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特開2024-85372リチウム二次電池用正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池
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  • 特開-リチウム二次電池用正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085372
(43)【公開日】2024-06-26
(54)【発明の名称】リチウム二次電池用正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/525 20100101AFI20240619BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240619BHJP
   H01M 4/505 20100101ALI20240619BHJP
   C01G 53/00 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01M4/525
H01M4/36 C
H01M4/36 D
H01M4/505
C01G53/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023134040
(22)【出願日】2023-08-21
(31)【優先権主張番号】10-2022-0175050
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0073465
(32)【優先日】2023-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】金 珍和
(72)【発明者】
【氏名】金 民漢
(72)【発明者】
【氏名】石 知賢
(72)【発明者】
【氏名】蔡 榮周
(72)【発明者】
【氏名】李 淳律
(72)【発明者】
【氏名】梁 祐榮
(72)【発明者】
【氏名】崔 益圭
(72)【発明者】
【氏名】金 鍾▲ミン▼
(72)【発明者】
【氏名】任 鐘汕
【テーマコード(参考)】
4G048
5H050
【Fターム(参考)】
4G048AA04
4G048AB02
4G048AB04
4G048AC06
4G048AD03
4G048AE05
5H050AA07
5H050AA08
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA29
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB12
5H050FA05
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA10
5H050GA26
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA14
(57)【要約】
【課題】単粒子形態の正極活物質の製造工程上効率性を極大化し、混合正極活物質の容量と効率を改善して、リチウム二次電池の初期容量、初期効率および寿命特性を改善し生産性を向上させるリチウム二次電池用正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】一実施形態によるリチウム二次電池用正極活物質は、リチウムニッケル系複合酸化物を含む複数の1次粒子が凝集された2次粒子および前記2次粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第1正極活物質、およびリチウムニッケル系複合酸化物を含む単粒子および前記単粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質であって、第1正極活物質の前記2次粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)の比率は、1.5~3.0である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウムニッケル系複合酸化物を含む複数の1次粒子が凝集された2次粒子および前記2次粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第1正極活物質、および
リチウムニッケル系複合酸化物を含む単粒子および前記単粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質であって、
第1正極活物質の前記2次粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)の比率は、1.5~3.0である、リチウム二次電池用正極活物質。
【請求項2】
第1正極活物質の前記2次粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)の比率は、1.8~2.5である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項3】
第1正極活物質の前記2次粒子の表面におけるNi元素含量に対するZr元素含量比に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面におけるNi元素含量に対するZr元素含量比の比率は、2.0~4.0である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項4】
第1正極活物質の前記2次粒子の表面におけるNi元素含量に対するZr元素含量比に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面におけるNi元素含量に対するZr元素含量比の比率は、2.0~3.0である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項5】
第1正極活物質の前記2次粒子の表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)の比率は、2.3~5.0である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項6】
第1正極活物質の前記2次粒子の表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)の比率は、2.6~3.3である、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項7】
第1正極活物質の前記2次粒子の平均粒径は、第2正極活物質の前記単粒子の平均粒径より大きい、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項8】
第1正極活物質の前記2次粒子の平均粒径は5μm~25μmであり、
第2正極活物質の前記単粒子の平均粒径は1μm~10μmである、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項9】
第1正極活物質と第2正極活物質の総量に対して、第1正極活物質は60重量%~95重量%含まれ、第2正極活物質は5重量%~40重量%含まれる、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質。
【請求項10】
第1正極活物質のリチウムニッケル系複合酸化物、および第2正極活物質のリチウムニッケル系複合酸化物は、それぞれ独立して下記化学式1で表される、請求項1に記載のリチウム二次電池用正極活物質:
[化学式1]
Lia1Nix1 y1 z12-b1b1
上記化学式1中、0.9≦a1≦1.2、0.7≦x1≦1、0≦y1≦0.3、0≦z1≦0.3、0.9≦x1+y1+z1≦1.1、および0≦b1≦0.1であり、MおよびMはそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなるグループより選択される一つ以上の元素であり、XはF、PおよびSからなるグループより選択される一つ以上の元素である。
【請求項11】
ニッケル系複合水酸化物及びリチウム原料を混合し第1熱処理して複数の1次粒子が凝集された2次粒子形態の第1正極活物質半製品を準備し、
ニッケル系複合水酸化物、リチウム原料、およびジルコニウム原料を混合し第2熱処理した後、粉砕して単粒子形態の第2正極活物質半製品を準備し、
第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品とを混合し、ここにジルコニウム原料を混合して第3熱処理することを含む、正極活物質の製造方法。
【請求項12】
第2熱処理は650℃~850℃で行われる、請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項13】
第2正極活物質半製品を製造する段階で、前記ジルコニウム原料中のジルコニウムの含量は、前記ニッケル系複合水酸化物の金属100重量部に対して0.1重量部~5重量部である、請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項14】
第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品は、95:5~60:40の重量比で混合される、請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項15】
第3熱処理は500℃~800℃の温度範囲で行われる、請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項16】
第3熱処理段階で前記ジルコニウム原料中のジルコニウムの含量は、第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品との混合物でリチウムを除いた金属全体100モル部に対して0.1モル部~5モル部である、請求項11に記載の正極活物質の製造方法。
【請求項17】
請求項1~10のうちのいずれか一項によるリチウム二次電池用正極活物質を含む正極、負極、および電解質を含む、リチウム二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
リチウム二次電池用正極活物質およびこれを含むリチウム二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話、ノートパソコン、スマートフォンなどの移動情報端末器の駆動電源として高いエネルギー密度を有しながらも携帯が容易なリチウム二次電池が主に使用されている。最近はエネルギー密度の高いリチウム二次電池をハイブリッド自動車や電気自動車の駆動用電源または電力貯蔵用電源として使用するための研究が活発に行われている。
【0003】
このような用途に符合するリチウム二次電池を実現するために多様な正極活物質が検討されている。そのうち、リチウムニッケル系酸化物、リチウムニッケルマンガンコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム複合酸化物、リチウムコバルト酸化物などが主に正極活物質として使用される。しかし、このような正極活物質は充放電を繰り返すにつれて構造が崩壊するかクラックが発生して、リチウム二次電池の長期寿命が低下し抵抗が増加して満足できる容量特性を示すことができない問題がある。よって、高容量、高エネルギー密度を実現しながらも長期寿命特性を確保することができる新たな正極活物質の開発が要求される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
単粒子形態の正極活物質の製造工程上効率性を極大化し、混合正極活物質の容量と効率を改善して、リチウム二次電池の初期容量、初期効率および寿命特性を改善し生産性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、リチウムニッケル系複合酸化物を含む複数の1次粒子が凝集された2次粒子および前記2次粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第1正極活物質、およびリチウムニッケル系複合酸化物を含む単粒子および前記単粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質であって、第1正極活物質の前記2次粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)の比率は、1.5~3.0である、リチウム二次電池用正極活物質を提供する。
【0006】
他の一実施形態では、前記正極活物質を含む正極と負極および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0007】
一実施形態によって製造されたリチウム二次電池用正極活物質は、生産性が向上し、初期容量、初期効率、および寿命特性が改善される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。
図2】実施例1で製造した第1正極活物質半製品の表面に対するSEMイメージである。
図3】実施例1で製造した第2正極活物質半製品の表面に対するSEMイメージである。
図4】実施例1および比較例1の最終正極活物質の表面に対するSEM-EDS分析結果であって、正極活物質の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)を示したすグラフである。
図5】実施例1および比較例1の最終正極活物質の表面に対するSEM-EDS分析結果であって、正極活物質の表面におけるNi元素含量(at%)に対するZr元素含量(at%)の比率を示したグラフである。
図6】実施例1および比較例1の最終正極活物質の表面に対するSEM-EDS分析結果であって、正極活物質表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)を示したグラフである。
図7】実施例1と比較例1の寿命特性を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、具体的な実施形態についてこの技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。しかし、本発明は様々な異なる形態で実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0010】
ここで使用される用語はただ例示的な実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なる意味を有しない限り、複数の表現を含む。
【0011】
ここで“これらの組み合わせ”とは、構成物の混合物、積層物、複合体、共重合体、合金、ブレンド、反応生成物などを意味する。
【0012】
ここで“含む”、“備える”または“有する”などの用語は実施された特徴、数字、段階、構成要素またはこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであり、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、構成要素、またはこれらを組み合わせたものの存在または付加可能性を予め排除しないと理解されなければならない。
【0013】
図面で様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示し、明細書全体にわたって類似の部分については同一図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分“の上に”または“上に”あるという時、これは他の部分“の直上に”ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分“の直上に”あるという時には中間に他の部分がないことを意味する。
【0014】
また、ここで“層”は、平面図で観察した時、全体面に形成されている形状だけでなく、一部面に形成されている形状も含む。
【0015】
また、平均粒径は当業者に広く公知された方法で測定することができ、例えば、粒度分析器で測定するか、または透過電子顕微鏡写真または走査電子顕微鏡写真で測定することもできる。他の方法としては、動的光散乱法を用いて測定しデータ分析を実施してそれぞれの粒子サイズ範囲に対して粒子数をカウンティングした後、これから計算して平均粒径値を得ることができる。別途の定義がない限り、平均粒径は粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を意味することができる。
【0016】
ここで“または”は排除的な(exclusive)意味に解釈されず、例えば“AまたはB”はA、B、A+Bなどを含むと解釈される。
【0017】
“金属”は一般金属と遷移金属および半金属を含む概念に解釈される。
【0018】
正極活物質
一実施形態では、リチウムニッケル系複合酸化物を含む複数の1次粒子が凝集された2次粒子および前記2次粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第1正極活物質、およびリチウムニッケル系複合酸化物を含む単粒子および前記単粒子の表面に位置するジルコニウムを含む第2正極活物質を含むリチウム二次電池用正極活物質を提供する。ここで、第1正極活物質の前記2次粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面における全体元素に対するZrの含量(at%)の比率は1.5~3.0であることを特徴とし、前記比率は例えば1.5~2.5、または1.8~2.5であってもよい。これは2次粒子と単粒子の混合正極活物質において単粒子の表面にさらに多くのジルコニウムがコーティングされていることを意味し、特に2次粒子表面のZr含量に対する単粒子表面のZr含量の比率が1.5~3.0であることを意味する。これを満足する正極活物質は高い容量とエネルギー密度を実現しながら、初期効率および寿命特性が向上し、非常に高い生産性を実現することができる。
【0019】
第1正極活物質の前記2次粒子の表面におけるNi元素含量に対するZr元素含量比に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面におけるNi元素含量に対するZr元素含量比の比率は2.0~4.0であってもよく、例えば2.0~3.0、または2.3~3.0であってもよい。
【0020】
また、第1正極活物質の前記2次粒子の表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)に対する、第2正極活物質の前記単粒子の表面におけるリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)の比率は、2.3~5.0であってもよく、例えば2.3~4.0、2.3~3.3、または2.6~3.3であってもよい。
【0021】
ここで、正極活物質の表面におけるZrなどの含量を測定する方法は、正極活物質表面に対する走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析(SEM-EDS)を実施して定量分析を通じて測定する方法であってもよい。Zr含量を測定する方法としては、SEM-EDS以外にも誘導結合プラズマ質量分析法(Inductively Coupled Plasma-Mass Spectrometry;ICP-MS)、あるいは誘導結合プラズマ光放出分光法(Inductively Coupled Plasma Optical Emission Spectroscopy;ICP-OES)などを使用することもできる。
【0022】
第1正極活物質は少なくとも2つ以上の1次粒子が凝集された2次粒子形態であって、例えば、多結晶(polycrystal)形態であってもよい。第2正極活物質は単粒子(single particle)形態であって、これは粒子内に粒子境界(grain boundary)を有せず単独で存在し一つの粒子からなることを意味し、モルフォロジー相に粒子が相互凝集されていない独立した相(phase)として存在する単一粒子、モノリス(monolith)構造または単一体構造または非凝集粒子を意味することができ、一例として単結晶(single crystal)であってもよい。
【0023】
第1正極活物質の前記2次粒子の平均粒径は、第2正極活物質の前記単粒子の平均粒径より大きいものであってもよい。これにより、第1正極活物質は大粒、大粒子、大粒粒子などと表現することができ、第2正極活物質は小粒、小粒子、小粒粒子などと表現することができる。例えば、第1正極活物質の前記2次粒子の平均粒径は5μm~25μmであってもよく、具体的に7μm~25μm、10μm~20μm、または12μm~18μmであってもよい。第2正極活物質の前記単粒子の平均粒径は1μm~10μmであってもよく、例えば、1μm~8μm、1μm~6μm、または2μm~5μmであってもよい。第1正極活物質と第2正極活物質がそれぞれ前記粒径範囲を満足する場合、合剤密度を向上させることができ、高い容量とエネルギー密度を実現することができる。ここで、第1正極活物質の平均粒径は、正極活物質に対する走査電子顕微鏡写真で2次粒子のうちの20個程度を任意に選択して粒径を測定し、その粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を平均粒径として取ったものであってもよい。また、第2正極活物質の平均粒径は、正極活物質に対する走査電子顕微鏡写真で単粒子のうちの20個程度を任意に選択して粒径を測定し、その粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径(D50)を平均粒径として取ったものであってもよい。
【0024】
一実施形態による正極活物質において、第1正極活物質と第2正極活物質の総量に対して、第1正極活物質は60重量%~95重量%で含まれ、第2正極活物質は5重量%~40重量%で含まれてもよい。第1正極活物質は例えば60重量%~90重量%、または70重量%~90重量%で含まれてもよく、第2正極活物質は10重量%~40重量%、または10重量%~30重量%で含まれてもよい。第1正極活物質と第2正極活物質の含量比率がこのような場合、これを含む正極活物質は高い容量を実現し合剤密度が向上し高いエネルギー密度を示すことができる。
【0025】
第1正極活物質と第2正極活物質は、一例として、高ニッケル系正極活物質であってもよい。例えば、リチウムニッケル系複合酸化物において、ニッケルの含量はリチウムを除いた金属100重量%に対して80モル%以上であってもよく、例えば85モル%以上、90モル%以上、91モル%以上、99.9モル%以下、または99モル%以下であってもよい。このような高ニッケル系正極活物質は高容量高性能を実現することができる。
【0026】
具体的に、第1正極活物質と第2正極活物質は、それぞれ独立して下記化学式1で表されるリチウムニッケル系複合酸化物を含むことができる。
【0027】
[化学式1]
Lia1Nix1 y1 z12-b1b1
【0028】
上記化学式1中、0.9≦a1≦1.8、0.7≦x1≦1、0≦y1≦0.3、0≦z1≦0.3、0.9≦x1+y1+z1≦1.1、および0≦b1≦0.1であり、MおよびMはそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなるグループより選択される一つ以上の元素であり、XはF、PおよびSからなるグループより選択される一つ以上の元素である。
【0029】
前記化学式1中、0.8≦x1≦1、0≦y1≦0.2、および0≦z1≦0.2であるか、または0.9≦x1≦1、0≦y1≦0.1、および0≦z1≦0.1であってもよい。
【0030】
例えば、第1正極活物質と第2正極活物質はそれぞれ独立して下記化学式2で表されるリチウムニッケルコバルト系複合酸化物を含むことができる。
【0031】
[化学式2]
Lia2Nix2Coy2 z22-b2b2
【0032】
上記化学式2中、0.9≦a2≦1.8、0.7≦x2<1、0<y2≦0.3、0≦z2≦0.3、0.9≦x2+y2+z2≦1.1、および0≦b2≦0.1であり、MはAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなるグループより選択される一つ以上の元素であり、XはF、PおよびSからなるグループより選択される一つ以上の元素である。
【0033】
前記化学式2中、0.8≦x2≦0.99、0.01≦y2≦0.2、および0.01≦z2≦0.2であるか、または0.9≦x2≦0.99、0.01≦y2≦0.1、および0.01≦z2≦0.1であってもよい。
【0034】
一例として、第1正極活物質と第2正極活物質はそれぞれ独立して下記化学式3で表示されるリチウムニッケル系複合酸化物を含むことができる。化学式3の化合物は、リチウムニッケル-コバルト-アルミニウム酸化物、あるいはリチウムニッケル-コバルト-マンガン酸化物といえる。
【0035】
[化学式3]
Lia3Nix3Coy3 z3 w32-b3b3
【0036】
上記化学式3中、0.9≦a3≦1.8、0.7≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.29、0.01≦z3≦0.29、0≦w3≦0.29、0.9≦x3+y3+z3+w3≦1.1、および0≦b3≦0.1であり、MはAl、およびMnからなるグループより選択される一つ以上の元素であり、MはB、Ba、Ca、Ce、Cr、Fe、Mg、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなるグループより選択される一つ以上の元素であり、XはF、PおよびSからなるグループより選択される一つ以上の元素である。
【0037】
前記化学式3中、0.85≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.14、0.01≦z3≦0.14、および0≦w3≦0.14であるか、または0.9≦x3≦0.98、0.01≦y3≦0.09、0.01≦z3≦0.09、および0≦w3≦0.09であってもよい。
【0038】
一例として、第1正極活物質と第2正極活物質はそれぞれ独立して下記化学式4で表されるコバルト-フリーリチウムニッケル-マンガン系酸化物を含むことができる。
【0039】
[化学式4]
Lia4Nix4Mny4 z42-b4b4
【0040】
上記化学式4中、0.9≦a4≦1.8、0.7≦x4<1、0<y4≦0.3、0≦z4≦0.3、0.9≦x4+y4+z4≦1.1、および0≦b4≦0.1であり、MはAl、B、Ba、Ca、Ce、Cr、Fe、Mg、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、V、W、およびZrからなるグループより選択される一つ以上の元素であり、XはF、PおよびSからなるグループより選択される一つ以上の元素である。
【0041】
正極活物質の製造方法
一実施形態では、(i)ニッケル系複合水酸化物およびリチウム原料を混合し第1熱処理して複数の1次粒子が凝集された2次粒子形態の第1正極活物質半製品を準備し、(ii)ニッケル系複合水酸化物、リチウム原料、およびジルコニウム原料を混合し第2熱処理した後、粉砕して単粒子形態の第2正極活物質半製品を準備し、(iii)第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品を混合し、ここにジルコニウム原料を混合して第3熱処理することを含む正極活物質の製造方法を提供する。
【0042】
従来は、一般に2次粒子形態の正極活物質と単粒子形態の正極活物質を混合した後、ジルコニウムなどの元素をコーティングする方法が使用され、この場合、単粒子よりは2次粒子の表面にさらに多くの含量のジルコニウムがコーティングされる。これは、単粒子に比べて2次粒子の比表面積が高く、平均粒径が大体大きく、重量比もさらに高いためであると理解される。しかし、この場合、単粒子の劣化が加速化されて効率が落ち寿命特性が低下する問題が発生する。反面、一実施形態の製造方法によれば、2次粒子に比べて単粒子の表面にさらに多くの含量のジルコニウムがコーティングされ、特に2次粒子表面のZr含量に対する単粒子表面のZr含量の比率が1.5~3.0を満足するようになり、これにより単粒子の劣化を抑制することができ、2種粒子の劣化速度バランスが合わせられて電池の寿命特性が向上できる。
【0043】
前記ニッケル系複合水酸化物は正極活物質の前駆体を意味する。第1正極活物質半製品(half-finished product)と第2正極活物質半製品はそれぞれリチウムニッケル系複合酸化物を含むものであって、最終ジルコニウムコーティング過程を経る前の状態を意味する。
前記ニッケル系複合水酸化物は、下記の化学式11で表すことができる。
[化学式11]
Nix1111 y1112 z11(OH)
前記化学式11中、0.9≦a11≦1.8、0.7≦x11≦1、0≦y11≦0.3、0≦z11≦0.3、0.9≦x11+y11+z11≦1.1、及び0≦b11≦0.1であり、M11及びM12はそれぞれ独立してAl、B、Ba、Ca、Ce、Co、Cr、Cu、Fe、Mg、Mn、Mo、Nb、Si、Sr、Ti、V、W、及びZrからなるグループより選択される一つ以上の元素である。
第1正極活物質半製品を製造する段階で、第1熱処理は約600℃~850℃で行うことができ、例えば、650℃~800℃または700℃~780℃で行うことができ、約5時間~12時間行うことができ、例えば6時間~10時間行うことができる。第1熱処理温度は第2熱処理温度と同じか、またはより低くてもよく、第1熱処理時間は第2熱処理時間と同じか、またはより長くてもよい。
【0044】
第2正極活物質半製品を製造する段階で、第2熱処理は約650℃~850℃で行うことができ、例えば、700℃~820℃、750℃~800℃で行うことができる。また、第2熱処理は、約5時間~12時間行うことができ、例えば6時間~10時間行うことができる。一般に、単粒子製造時には900℃以上の高温で焼成が必要であり、12時間以上の長時間焼成が必要である。反面、一実施形態では、単粒子製造時にジルコニウム原料を使用することによって比較的に低温で焼成が可能であり、焼成時間も短縮することができ、この場合、一日に生産できる単粒子の重量が大きく増加し、これにより生産性を10倍程度増加できる。また、従来の方法で高温焼成する場合には過焼成により粒子を粉砕することが難しく、粒形を制御することが困難であったが、一実施形態により低温で短時間焼成する場合、粒子の粉砕が容易で小粒化過程に有利であり、単粒子の主要特性である粒形を制御することが容易であるという長所がある。
第2正極活物質半製品を製造する段階で、ジルコニウム原料中のジルコニウムの含量はニッケル系複合水酸化物の金属100重量部に対して0.1モル部~5モル部、0.1モル部~3モル部、0.1モル部~1モル部、または0.1モル部~0.5モル部であってもよい。
【0045】
第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品は95:5~60:40の重量比で混合することができ、例えば90:10~60:40、または80:20~60:40の重量比で混合することができる。この場合、合剤密度を極大化し容量を高めることができる。
【0046】
第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品を混合する過程は一例として、これらを蒸留水などの溶媒に投入して洗浄した後、乾燥させることを含むことができる。乾燥された混合物にジルコニウム原料を投入し、焼成炉で乾式で第3熱処理してもよい。ジルコニウム原料を投入することは、前記混合物においてリチウムを除いた金属全体100モル部に対してジルコニウムが0.1モル部~5モル部、または0.1モル部~3モル部、0.1モル部~1モル部、0.1モル部~0.5モル部になるように投入することであってもよい。
【0047】
第3熱処理は例えば500℃~800℃、または650℃~750℃で行うことができ、4時間~24時間、あるいは10時間~20時間行うことができる。
【0048】
リチウム二次電池
他の一実施形態は、正極、負極、前記正極と前記負極の間に位置するセパレータ、および電解質を含むリチウム二次電池を提供する。
【0049】
図1は、一実施形態によるリチウム二次電池を示した概略図である。図1を参照すれば、一実施形態によるリチウム二次電池100は、正極114、正極114と対向して位置する負極112、正極114と負極112の間に配置されているセパレータ113および正極114、負極112およびセパレータ113を含浸するリチウム二次電池用電解質を含む電池セルと、前記電池セルを収納している電池容器120、および前記電池容器120を密封する密封部材140を含む。
【0050】
正極
リチウム二次電池用正極は集電体およびこの集電体上に位置する正極活物質層を含むことができる。前記正極活物質層は正極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0051】
前記バインダーは正極活物質粒子を互いによく付着させ、また正極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たし、その代表的な例としては、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂、ナイロンなどを使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0052】
前記正極活物質層で、バインダーの含量は、正極活物質層全体重量に対して大略1重量%~5重量%であってもよい。
【0053】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含有し金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0054】
前記正極活物質層で、導電材の含量は、正極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。
【0055】
前記正極集電体としてはアルミニウム箔を使用することができるが、これに限定されるものではない。
【0056】
負極
リチウム二次電池用負極は、集電体、およびこの集電体上に位置する負極活物質層を含む。前記負極活物質層は負極活物質を含み、バインダーおよび/または導電材をさらに含むことができる。
【0057】
前記負極活物質は、リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質、リチウム金属、リチウム金属の合金、リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質または遷移金属酸化物を含む。
【0058】
前記リチウムイオンを可逆的にインターカレーション/デインターカレーションすることができる物質としては、炭素系負極活物質であって、例えば、結晶質炭素、非晶質炭素またはこれらの組み合わせを含むことができる。前記結晶質炭素の例としては無定形、板状型、鱗片状(flake)、球状または繊維状の天然黒鉛または人造黒鉛のような黒鉛が挙げられ、前記非晶質炭素の例としてはソフトカーボンまたはハードカーボン、メソフェーズピッチ炭化物、焼成されたコークスなどが挙げられる。
【0059】
前記リチウム金属の合金としては、リチウムとNa、K、Rb、Cs、Fr、Be、Mg、Ca、Sr、Si、Sb、Pb、In、Zn、Ba、Ra、Ge、AlおよびSnからなる群より選択される金属の合金を使用することができる。
【0060】
前記リチウムにドープおよび脱ドープ可能な物質としてはSi系負極活物質またはSn系負極活物質を使用することができ、前記Si系負極活物質としてはシリコン、シリコン-炭素複合体、SiO(0<x<2)、Si-Q合金(前記Qはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Siではない)、前記Sn系負極活物質としてはSn、SnO、Sn-R合金(前記Rはアルカリ金属、アルカリ土類金属、13族元素、14族元素、15族元素、16族元素、遷移金属、希土類元素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される元素であり、Snではない)などが挙げられ、またこれらのうちの少なくとも一つとSiOを混合して使用することもできる。前記元素QおよびRとしてはMg、Ca、Sr、Ba、Ra、Sc、Y、Ti、Zr、Hf、Rf、V、Nb、Ta、Db、Cr、Mo、W、Sg、Tc、Re、Bh、Fe、Pb、Ru、Os、Hs、Rh、Ir、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、B、Al、Ga、Sn、In、Tl、Ge、P、As、Sb、Bi、S、Se、Te、Po、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0061】
前記シリコン-炭素複合体は、例えば、結晶質炭素およびシリコン粒子を含むコア、およびこのコア表面に位置する非晶質炭素コーティング層を含むシリコン-炭素複合体であってもよい。前記結晶質炭素は、人造黒鉛、天然黒鉛またはこれらの組み合わせであってもよい。前記非晶質炭素前駆体としては、石炭系ピッチ、メソフェーズピッチ、石油系ピッチ、石炭系オイル、石油系重質油またはフェノール樹脂、フラン樹脂、ポリイミド樹脂などの高分子樹脂を使用することができる。この時、シリコンの含量は、シリコン-炭素複合体全体重量に対して10重量%~50重量%であってもよい。また、前記結晶質炭素の含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して10重量%~70重量%であってもよく、前記非晶質炭素の含量はシリコン-炭素複合体全体重量に対して20重量%~40重量%であってもよい。また、前記非晶質炭素コーティング層の厚さは5nm~100nmであってもよい。前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は10nm~20μmであってもよい。前記シリコン粒子の平均粒径(D50)は好ましく10nm~200nmであってもよい。前記シリコン粒子は酸化された形態で存在し、この時、酸化程度を示すシリコン粒子内Si:Oの原子含量比率は99:1~33:67であってもよい。前記シリコン粒子はSiO粒子であってもよく、この時、SiO中、x範囲は0超過、2未満であってもよい。本明細書で、別途の定義がない限り、平均粒径(D50)は粒度分布で累積体積が50体積%である粒子の直径を意味する。
【0062】
前記Si系負極活物質またはSn系負極活物質は炭素系負極活物質と混合して使用することができる。Si系負極活物質またはSn系負極活物質と炭素系負極活物質を混合使用する時、その混合比は重量比として1:99~90:10であってもよい。
【0063】
前記負極活物質層で、負極活物質の含量は、負極活物質層全体重量に対して95重量%~99重量%であってもよい。
【0064】
一実施形態で、前記負極活物質層はバインダーをさらに含み、選択的に導電材をさらに含むことができる。前記負極活物質層で、バインダーの含量は、負極活物質層全体重量に対して1重量%~5重量%であってもよい。また、導電材をさらに含む場合、前記負極活物質層は、負極活物質を90重量%~98重量%、バインダーを1重量%~5重量%、導電材を1重量%~5重量%含むことができる。
【0065】
前記バインダーは負極活物質粒子を互いによく付着させ、また負極活物質を電流集電体によく付着させる役割を果たす。前記バインダーとしては非水溶性バインダー、水溶性バインダーまたはこれらの組み合わせを使用することができる。
【0066】
前記非水溶性バインダーとしては、ポリビニルクロリド、カルボキシル化されたポリビニルクロリド、ポリビニルフルオライド、エチレンオキシドを含むポリマー、エチレンプロピレン共重合体、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミドイミド、ポリイミドまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0067】
前記水溶性バインダーとしては、ゴム系バインダーまたは高分子樹脂バインダーが挙げられる。前記ゴム系バインダーはスチレンブタジエンゴム、アクリレーテッドスチレンブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、およびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。前記高分子樹脂バインダーは、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドン、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリアクリロニトリル、エチレンプロピレンジエン共重合体、ポリビニルピリジン、クロロスルホン化ポリエチレン、ラテックス、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせから選択されるものであってもよい。
【0068】
前記負極バインダーとして水溶性バインダーを使用する場合、粘性を付与することができるセルロース系列化合物をさらに含むことができる。このセルロース系列化合物としてはカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、またはこれらのアルカリ金属塩などを1種以上混合して使用することができる。前記アルカリ金属としてはNa、KまたはLiを使用することができる。このような増粘剤の使用含量は、負極活物質100重量部に対して0.1重量部~3重量部であってもよい。
【0069】
前記導電材は電極に導電性を付与するために使用されるものであって、構成される電池において、化学変化を引き起こさず電子伝導性材料であればいずれのものでも使用可能であり、その例として天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、炭素繊維、炭素ナノ繊維、炭素ナノチューブなどの炭素系物質;銅、ニッケル、アルミニウム、銀などを含み、金属粉末または金属繊維形態の金属系物質;ポリフェニレン誘導体などの導電性ポリマー;またはこれらの混合物を含む導電性材料を使用することができる。
【0070】
前記負極集電体としては、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、ニッケル発泡体(foam)、銅発泡体、伝導性金属がコーティングされたポリマー基材、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものを使用することができる。
【0071】
電解質
前記電解質は、非水性有機溶媒とリチウム塩を含む。
【0072】
前記非水性有機溶媒は、電池の電気化学的反応に関与するイオンが移動できる媒質の役割を果たす。非水性有機溶媒としては、カーボネート系、エステル系、エーテル系、ケトン系、アルコール系、または非プロトン性溶媒を使用することができる。前記カーボネート系溶媒としては、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、エチルプロピルカーボネート(EPC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)などを使用することができる。前記エステル系溶媒としては、メチルアセテート、エチルアセテート、n-プロピルアセテート、ジメチルアセテート、メチルプロピオネート、エチルプロピオネート、γ-ブチロラクトン、デカノリド(decanolide)、バレロラクトン、メバロノラクトン(mevalonolactone)、カプロラクトン(caprolactone)などを使用することができる。前記エーテル系溶媒としてはジブチルエーテル、テトラグライム、ジグライム、ジメトキシエタン、2-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフランなどを使用することができ、前記ケトン系溶媒としてはシクロヘキサノンなどを使用することができる。また、前記アルコール系溶媒としてはエチルアルコール、イソプロピルアルコールなどを使用することができ、前記非プロトン性溶媒としてはR-CN(ここで、Rは炭素数2~20の直鎖状、分枝状、または環構造の炭化水素基であり、二重結合、芳香環またはエーテル結合を含むことができる)などのニトリル類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、1,3-ジオキソランなどのジオキソラン類、スルホラン(sulfolane)類などを使用することができる。
【0073】
前記非水性有機溶媒は単独でまたは一つ以上混合して使用することができ、一つ以上混合して使用する場合の混合比率は目的とする電池性能によって適切に調節することができ、これは当該分野に従事する者には広く理解されるはずである。
【0074】
また、前記カーボネート系溶媒の場合、環状(cyclic)カーボネートと鎖状(chain)カーボネートを混合して使用することができる。この場合、環状カーボネートと鎖状カーボネートを約1:1~約1:9の体積比で混合して使用する場合に電解液の性能が優れることになる。
【0075】
前記非水性有機溶媒は、前記カーボネート系溶媒に芳香族炭化水素系有機溶媒をさらに含んでもよい。この時、前記カーボネート系溶媒と芳香族炭化水素系有機溶媒は、約1:1~約30:1の体積比で混合することができる。
【0076】
前記芳香族炭化水素系溶媒としては、下記化学式Iの芳香族炭化水素系化合物を使用することができる。
【0077】
【化1】
【0078】
上記化学式I中、R~Rは互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0079】
前記芳香族炭化水素系溶媒の具体的な例としては、ベンゼン、フルオロベンゼン、1,2-ジフルオロベンゼン、1,3-ジフルオロベンゼン、1,4-ジフルオロベンゼン、1,2,3-トリフルオロベンゼン、1,2,4-トリフルオロベンゼン、クロロベンゼン、1,2-ジクロロベンゼン、1,3-ジクロロベンゼン、1,4-ジクロロベンゼン、1,2,3-トリクロロベンゼン、1,2,4-トリクロロベンゼン、ヨードベンゼン、1,2-ジヨードベンゼン、1,3-ジヨードベンゼン、1,4-ジヨードベンゼン、1,2,3-トリヨードベンゼン、1,2,4-トリヨードベンゼン、トルエン、フルオロトルエン、2,3-ジフルオロトルエン、2,4-ジフルオロトルエン、2,5-ジフルオロトルエン、2,3,4-トリフルオロトルエン、2,3,5-トリフルオロトルエン、クロロトルエン、2,3-ジクロロトルエン、2,4-ジクロロトルエン、2,5-ジクロロトルエン、2,3,4-トリクロロトルエン、2,3,5-トリクロロトルエン、ヨードトルエン、2,3-ジヨードトルエン、2,4-ジヨードトルエン、2,5-ジヨードトルエン、2,3,4-トリヨードトルエン、2,3,5-トリヨードトルエン、キシレン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択されるものである。
【0080】
前記電解液は、電池寿命を向上させるためにビニレンカーボネートまたは下記化学式IIのエチレンカーボネート系化合物を寿命向上添加剤としてさらに含んでもよい。
【0081】
【化2】
【0082】
上記化学式II中、R10およびR11は互いに同一であるか異なり、水素、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択され、前記R10およびR11のうちの少なくとも一つはハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、およびフッ素化された炭素数1~5のアルキル基からなる群より選択されるが、但しR10およびR11が全て水素ではない。
【0083】
前記エチレンカーボネート系化合物の代表的な例としては、ジフルオロエチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネート、ジクロロエチレンカーボネート、ブロモエチレンカーボネート、ジブロモエチレンカーボネート、ニトロエチレンカーボネート、シアノエチレンカーボネートまたはフルオロエチレンカーボネートなどが挙げられる。このような寿命向上添加剤をさらに使用する場合、その使用量は適切に調節することができる。
【0084】
前記リチウム塩は、非水性有機溶媒に溶解されて、電池内でリチウムイオンの供給源として作用して基本的なリチウム二次電池の作動を可能にし、正極と負極の間のリチウムイオンの移動を促進する役割を果たす物質である。
【0085】
リチウム塩の代表的な例としては、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(SO、Li(CFSON、LiN(SO、Li(FSON(リチウムビスフルオロスルホニルイミド;lithium bis(fluorosulfonyl)imide;LiFSI)、LiCSO、LiClO、LiAlO、LiAlCl、LiPO、LiN(C2x+1SO)(C2y+1SO)(ここで、xおよびyは自然数であり、例えば1~20の整数である)、リチウムジフルオロビスオキサラトホスフェート(lithium difluoro(bisoxalato)phosphate)、LiCl、LiI、LiB(C(リチウムビス(オキサラト)ボレート(lithium bis(oxalato)borate;LiBOB)、およびリチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiDFOB)からなる群より選択される一つまたは二つ以上が挙げられる。
【0086】
リチウム塩の濃度は0.1M~2.0Mの範囲内で使用することがよい。リチウム塩の濃度が前記範囲に含まれれば、電解質が適切な伝導度および粘度を有するので優れた電解質性能を示すことができ、リチウムイオンが効果的に移動できる。
【0087】
セパレータ113は正極114と負極112を分離しリチウムイオンの移動通路を提供するものであって、リチウムイオン電池で通常使用されるものであれば全て使用することができる。即ち、電解質のイオン移動に対して低い抵抗を有しながら電解液含湿能力に優れたものを使用することができる。例えば、前記セパレータ113はガラス繊維、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンまたはこれらの組み合わせなどを含むことができ、不織布または織布形態であってもよい。例えば、リチウムイオン電池にはポリエチレン、ポリプロピレンなどのようなポリオレフィン系高分子セパレータが主に使用され、耐熱性または機械的強度確保のためにセラミック成分または高分子物質が含まれているコーティングされたセパレータを使用することもでき、選択的に単層または多層構造で使用することができる。
【0088】
リチウム二次電池は使用するセパレータと電解質の種類によってリチウムイオン電池、リチウムイオンポリマー電池、およびリチウムポリマー電池に分類することができ、形態によって円筒形、角型、コイン型、パウチ型などに分類することができ、サイズによってバルクタイプと薄膜タイプに分類することができる。これらの電池の構造と製造方法はこの分野において広く知られているので、詳細な説明は省略する。
【0089】
一実施形態によるリチウム二次電池は高容量を実現し、高温で保存安定性、寿命特性および高率特性などに優れて電気車両(electric vehicle、EV)に使用することができ、プラグインハイブリッド車両(plug-in hybrid electric vehicle、PHEV)などのハイブリッド車両に使用することができ、携帯用電子機器などに使用することができる。
【0090】
以下、本発明の実施例および比較例を記載する。下記の実施例は本発明の一例に過ぎず、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例0091】
実施例1
1.第1正極活物質半製品製造
金属原料として硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを95:4:1モル比になるように溶媒である蒸留水に溶かして金属原料混合溶液を準備し、錯化合物形成のためにアンモニア水(NHOH)と沈殿剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を準備する。連続式反応器にアンモニア水希釈液を投入した後、金属原料混合溶液を連続的に投入し、反応器内部のpHを維持するために水酸化ナトリウムを投入する。大略80時間徐々に反応を行い、反応が安定化されたら、オーバーフローされる生成物を収集して洗浄および乾燥させて、2次粒子形態のニッケル系複合水酸化物(Ni0.95Co0.04Mn0.01(OH))を得た。
【0092】
得られたニッケル系複合水酸化物と、Li/(Ni+Co+ Mn )=1.05を満足するLiOHを焼成炉に投入し酸素雰囲気で750℃で15時間熱処理して、1次粒子が凝集された2次粒子形態であり、前記2次粒子の平均粒径が約15μmであるリチウムニッケル系複合酸化物を製造した。図2はこのような第1正極活物質半製品である2次粒子の表面に対するSEMイメージである。
【0093】
2.第2正極活物質半製品製造
金属原料として硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを95:4:1モル比になるように溶媒である蒸留水に溶かして金属原料混合溶液を準備し、錯化合物形成のためにアンモニア水(NHOH)希釈液と、沈殿剤として水酸化ナトリウム(NaOH)を準備する。反応器に金属原料混合溶液、アンモニア水および水酸化ナトリウムをpHが低くなる傾きを同じように制御しながら反応器内部に投入し、攪拌しながら約20時間反応を行う。反応器内のスラリー溶液をろ過し高純度の蒸留水で洗浄した後、24時間乾燥させてニッケル系複合水酸化物(Ni0.95Co0.04Mn0.01(OH))粉末を得た。
【0094】
得られたニッケル系複合水酸化物と、Li/(Ni+Co+Mn)=1.05を満足するLiOHと前記ニッケル系複合水酸化物においてリチウムを除いた金属全体100モル部に対してZrが0.2モル部になるようにZrOを混合して焼成炉に投入し、酸素雰囲気で800℃で8時間熱処理する。収得物を粉砕して、平均粒径が約2.7μmである単粒子形態のリチウムニッケル系複合酸化物を製造した。図3は、このような第2正極活物質半製品である単粒子に対するSEMイメージである。
【0095】
3.最終正極活物質の製造
蒸留水溶媒に第1正極活物質半製品と第2正極活物質半製品を70:30の重量比で投入し洗浄した後に乾燥させる。収得物と、収得物においてリチウムを除いた金属全体100モル部に対してZrが0.25モル部になるようにZrOを焼成炉に投入し、酸素雰囲気で約710℃で15時間熱処理して、最終正極活物質を製造した。
【0096】
4.正極の製造
最終正極活物質95重量%、ポリビニリデンフルオライドバインダー3重量%および炭素ナノチューブ導電材2重量%をN-メチルピロリドン溶媒中で混合して正極活物質スラリーを製造する。アルミニウム集電体に前記正極活物質スラリーを塗布し乾燥させた後、圧延して正極を準備する。
【0097】
5.リチウム二次電池の製造
準備した正極とリチウム金属対極を使用し、その間にポリエチレンポリプロピレン多層構造のセパレータを介し、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを50:50体積比で混合した溶媒に1.0MのLiPFリチウム塩を添加した電解液を注入して、コインハーフセルを製造する。
【0098】
比較例1
実施例1の“2.第2正極活物質半製品の製造”で熱処理時にZrOを投入せず900℃で14時間熱処理したことを除いては、実施例1と実質的に同様の方法で正極活物質を製造し、リチウム二次電池を製造する。
【0099】
評価例1:正極活物質表面でZr含量分析(SEM-EDS)
まず、実施例1で製造した最終正極活物質の断面に対してTOF-SIMS分析を行った結果、第1正極活物質と第2正極活物質の内部ではZrが検出されず、これによりZrはリチウムニッケル系複合酸化物の格子内には入らないことを確認した。
【0100】
次いで、実施例1および比較例1で製造した最終正極活物質の表面に対してSEM-EDS分析を実施して、2次粒子形態の第1正極活物質の表面におけるZr含量と単粒子形態の第2正極活物質の表面におけるZr含量をそれぞれ測定し、その結果を図4図6に示した。
【0101】
図4は正極活物質の表面において全体元素に対するZrの含量(at%)を示したものであり、図5は正極活物質の表面においてNi元素含量(at%)に対するZr元素含量(at%)の比率を示したものであり、図6は正極活物質表面においてリチウムを除いた金属全体に対するZrの含量(at%)を示したものである。
【0102】
図4を参照すれば、実施例1の第1正極活物質における全体元素に対するZrの含量の平均値は約0.38at%であり、実施例1の第2正極活物質における全体元素に対するZrの含量の平均値は約0.68at%であって、前者に対する後者の比率は約1.8と計算される。また、比較例1の第1正極活物質における全体元素に対するZrの含量の平均値は約0.42at%であり、比較例1の第2正極活物質における全体元素に対するZrの含量の平均値は約0.24at%であって、前者に対する後者の比率は約0.6と計算される。
【0103】
図5を参照すれば、実施例1の第1正極活物質におけるNi元素含量に対するZr元素含量比率の平均値は約0.021であり、実施例1の第2正極活物質におけるNi元素含量に対するZr元素含量比率の平均値は約0.049であって、前者に対する後者の比率は約2.3と計算される。また、比較例1の第1正極活物質におけるNi元素含量に対するZr元素含量比率の平均値は約0.024であり、比較例1の第2正極活物質におけるNi元素含量に対するZr元素含量比率の平均値は約0.015であって、前者に対する後者の比率は約0.6と計算される。
【0104】
図6を参照すれば、実施例1の第1正極活物質における(Ni+Co+Al+Mn+Zr)に対するZrの含量の平均値は約1.06at%であり、実施例1の第2正極活物質における(Ni+Co+Al+Mn+Zr)に対するZrの含量の平均値は約2.77at%であって、前者に対する後者の比率は約2.6と計算される。また、比較例1の第1正極活物質における(Ni+Co+Al+Mn+Zr)に対するZrの含量の平均値は約1.20at%であり、比較例1の第2正極活物質における(Ni+Co+Al+Mn+Zr)に対するZrの含量の平均値は約0.86at%であって、前者に対する後者の比率は約0.7と計算される。
【0105】
下記表1に図4図6の分析内容を簡略に示した。表1で小粒は第2正極活物質、大粒は第1正極活物質を意味する。
【0106】
【表1】
【0107】
比較例1のように2次粒子形態の第1正極活物質と単粒子形態の第2正極活物質を混合した後にZrコーティングを行う場合、第2正極活物質に比べて第1正極活物質にさらに多くのZrが存在するようになる。これは第2正極活物質に比べて第1正極活物質の重量がさらに高く粒径がさらに大きいためであると理解される。反面、実施例1のように第2正極活物質を製造する段階でZr原料を投入し、その後、第1正極活物質と第2正極活物質を混合した後にZrコーティングを行った場合、第1正極活物質に比べて第2正極活物質にさらに多くのZrが存在するようになると確認される。
【0108】
実施例1の場合、単粒子の第2正極活物質の製造時、Zr原料を使用することによってさらに低い温度で焼成が可能であり焼成時間も短縮することができて生産性が約10倍増加すると確認され、単粒子形態を得るために粉砕する過程でもさらに容易に粉砕され粒形の制御が有利であると確認される。それだけでなく、このような方法で第2正極活物質にさらに多くのZrがコーティングされた形態の混合正極活物質を適用する場合、リチウム二次電池の初期充放電容量、初期効率および寿命特性が向上すると確認される。
【0109】
評価例2:リチウム二次電池の性能評価
実施例1および比較例1で製造したリチウム二次電池を定電流(0.2C)および定電圧(4.25V、0.05C cut-off)条件で初期充電し、10分間休止した後、定電流(0.2C)条件下で3.0Vになるまで放電させて初期充放電を行う。その後、45℃で0.5C/0.5Cで150回充放電を繰り返す。初期放電容量に対する各サイクルでの放電容量の比率である容量維持率、即ち、高温寿命特性を評価し、その結果を図7に示した。
【0110】
図7を参照すれば、実施例1は比較例1に比べて寿命特性が改善されるということを確認することができる。
【0111】
以上、好ましい実施例について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されるのではなく、次の請求範囲で定義している基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の権利範囲に属する。
【符号の説明】
【0112】
100:リチウム二次電池
112:負極
113:セパレータ
114:正極
120:電池容器
140:密封部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7