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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085540
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】吸引器具
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/015 20060101AFI20240620BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
A61B1/015 512
A61B1/00 650
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200106
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】508145506
【氏名又は名称】株式会社キャステム
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 清一
(72)【発明者】
【氏名】戸田 拓夫
(72)【発明者】
【氏名】石井 裕二
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF42
4C161FF43
4C161GG27
4C161HH04
4C161HH05
4C161HH23
4C161HH57
(57)【要約】
【課題】内視鏡を用いた手術または検査などにおいて、体内から外部に放出される生体物質を含む気体の拡散を抑制する。
【解決手段】吸引器具50は、体内へ内視鏡または処置具を挿入するための挿入部に接続される吸引器具50であって、本体部11と、接続部12と、封止部40とを備える。本体部11は吸引口部11bを含む。接続部12は、本体部11に連結される。接続部12は、吸引口部11bから吸引された気体を搬送するためのホース部材と接続される。封止部40は、本体部11に接続される。封止部40は、第1開口部40aと、第2開口部40bとが形成された袋状体である。封止部40において、第2開口部40bは第1開口部40aとは異なる位置に配置される。封止部40において、第1開口部40aは本体部11の表面に接続される。封止部40は、第2開口部40bの周長が拡縮可能に構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内へ内視鏡または処置具を挿入するための挿入部に接続される吸引器具であって、
吸引口部を含む本体部と、
前記本体部に連結され、前記吸引口部から吸引された気体を搬送するためのホース部材と接続される接続部と、
前記本体部に接続された封止部とを備え、
前記封止部は、第1開口部と、前記第1開口部とは異なる位置に配置された第2開口部とが形成された袋状体であり、
前記封止部において、
前記第1開口部は前記本体部の表面に接続され、
前記封止部は、前記第2開口部の周長が拡縮可能に構成されている、吸引器具。
【請求項2】
前記封止部を構成する材料は、伸縮可能な軟質材料である、請求項1に記載の吸引器具。
【請求項3】
前記本体部は貫通穴を有する環状体であり、
前記本体部の外周には前記貫通穴を囲むように周方向に延びる溝部が形成され、
前記封止部の前記第1開口部は前記本体部の前記溝部に接続されている、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【請求項4】
前記本体部の前記表面と間隔を隔てて配置された埋設部と、
前記本体部と前記埋設部とを連結する連結部とを備え、
前記埋設部が前記封止部に埋設されることにより、前記本体部と前記封止部とが接続されている、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【請求項5】
前記吸引口部は、前記本体部に形成された第1吸引口と第2吸引口とを含み、
前記本体部は、前記第1吸引口が形成された第1部分と、
前記第1部分に面し、前記第1吸引口に面する部分に前記第2吸引口が形成された第2部分とを含む、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【請求項6】
前記本体部の平面形状は環状であり、
前記吸引口部は、前記本体部において内周側に形成されている、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【請求項7】
前記本体部の平面形状はC字状であり、
前記吸引口部は、前記本体部において内周側に形成されている、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【請求項8】
前記本体部の平面形状はU字状であり、
前記吸引口部は、前記本体部において内周側に形成されている、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【請求項9】
前記接続部は、前記ホース部材と接続される接続口を含み、
前記本体部と前記接続部とには、前記接続口から前記吸引口部にまで延びる前記気体の流通路が形成され、
前記流通路と繋がり、前記接続部または前記本体部の前記表面から延びるように形成された追加吸引部をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の吸引器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吸引器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、手術または検査などに用いられる内視鏡が知られている。内視鏡には処置具が挿通されるチャネルが設けられている(たとえば、特表2009-527259号公報参照)。特表2009-527259号公報には、処置具の挿通部を鉗子口から引き抜く際あるいは挿通部を鉗子口に再び挿入する際に、体内で挿通部に付着した生体物質が手術室内に拡散することを防止するためのカバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009-527259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように処置具の挿通部を鉗子口から引き抜く場合などに、鉗子口から体内の気体が漏れ出ることがあった。このように鉗子口から漏れ出た気体は生体物質を含む気体(エアロゾル)となっている場合がある。このため、当該エアロゾルによって手術室内や術者の身体が生体物質で汚染される可能性がある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、体内から外部に放出される生体物質を含む気体の拡散を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った吸引器具は、体内へ内視鏡または処置具を挿入するための挿入部に接続される吸引器具であって、本体部と、接続部と、封止部とを備える。本体部は吸引口部を含む。接続部は本体部に連結される。接続部は、吸引口部から吸引された気体を搬送するためのホース部材と接続される。封止部は本体部に接続される。封止部は、第1開口部と第2開口部とが形成された袋状体である。第2開口部は、封止部において第1開口部とは異なる位置に配置されている。封止部において、第1開口部は本体部の表面に接続される。封止部は、第2開口部の周長が拡縮可能に構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、体内から外部に放出される生体物質を含む気体の拡散を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る吸引器具の斜視模式図である。
図2図1に示された吸引器具の側面模式図である。
図3図1に示された吸引器具の断面模式図である。
図4図1に示された吸引器具の吸引部の斜視模式図である。
図5図4に示された吸引部の底面模式図である。
図6図4に示された吸引部の斜視模式図である。
図7図1に示された吸引器具の使用方法を説明するための断面模式図である。
図8】実施の形態2に係る吸引器具の断面模式図である。
図9図8に示された吸引器具の使用方法を説明するための断面模式図である。
図10図8に示された吸引器具の第1変形例を示す断面模式図である。
図11図8に示された吸引器具の第2変形例を示す断面模式図である。
図12図8に示された吸引器具の第3変形例を示す断面模式図である。
図13】実施の形態3に係る吸引器具の吸引部を示す斜視模式図である。
図14図13に示された吸引部の平面模式図である。
図15】実施の形態3に係る吸引器具の吸引部の第1変形例を示す平面模式図である。
図16】実施の形態3に係る吸引器具の吸引部の第2変形例を示す平面模式図である。
図17】実施の形態3に係る吸引器具の吸引部の第3変形例を示す平面模式図である。
図18】実施の形態3に係る吸引器具の使用方法を説明するための模式図である。
図19】実施の形態3に係る吸引器具の使用方法の変形例を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、同一の構成には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
(実施の形態1)
<吸引器具の構成>
図1は、実施の形態1に係る吸引器具50の斜視模式図である。図2は、図1に示された吸引器具50の側面模式図である。図3は、図1に示された吸引器具50の断面模式図である。図4は、図1に示された吸引器具50の吸引部10の斜視模式図である。図5は、図4に示された吸引部10の底面模式図である。図6は、図4に示された吸引部10の斜視模式図である。図1図6に示された吸引器具50は、体内へ内視鏡または処置具を挿入するための挿入部に接続される吸引器具50であって、吸引部10と封止部40と埋設部13と連結部14とを主に備える。吸引部10は本体部11と接続部12とを含む。
【0011】
本体部11は円筒形状の部材であって、中央部に貫通穴11dが形成されている。本体部11には貫通穴11dの内周面に吸引口部11bが形成されている。接続部12は、本体部11に連結される。接続部12には貫通穴12aが形成されている。接続部12は、貫通穴12aが本体部11の吸引口部11bに連結するように、本体部11の外周面に接続されている。本体部11における貫通穴11dの一方の開口端を囲むように、フランジ部11eが形成されている。フランジ部11eは、接続部12と間隔を隔てて配置されている。
【0012】
接続部12は、本体部11側と反対側の端部において、吸引口部11bから吸引された気体を搬送するためのホース部材と接続される。接続部12は、本体部11の貫通穴11dの延在方向から見てフランジ部11eの外周より外側にまで伸びている。接続部12の上記端部は、フランジ部11eの外周より外側に位置し、上記ホース部材と接続するための接続構造(たとえばネジ構造)を有している。
【0013】
埋設部13は、本体部11の外周面を囲むように配置された環状の部材である。埋設部13は本体部11の表面である外周面と間隔を隔てて配置されている。埋設部13は接続部12と接続されている。なお、埋設部13の形状は環状以外の任意の形状とすることができる。
【0014】
埋設部13の内周面と本体部11の外周面とを接続するように連結部14が形成されている。つまり、連結部14は、本体部11と埋設部13とを連結する。連結部14は複数形成されている。連結部14の形状は棒状である。本体部11の外周面から埋設部13に向かう径方向と垂直な面における連結部14の断面形状は任意の形状とすることができるが、たとえば四角形状である。図5に示されるように、連結部14の数は3であるが、当該連結部14の数は1でもよく、2でもよく、4以上であってもよい。図5に示されるように、複数の連結部14と接続部12とは、本体部11の外周に沿った周方向において、それぞれの中心点間距離が同じになるように、等間隔に配置されている。
【0015】
図3に示されるように、封止部40は、第1開口部40aと、第2開口部40bとが形成された袋状体である。封止部40を構成する材料は、伸縮可能な軟質材料である。軟質材料として、任意の脂を用いることができるが、たとえば熱可塑性エラストマーなどのエラストマーを用いてもよい。封止部40において、第2開口部40bは第1開口部40aとは異なる位置に配置される。封止部40において、第1開口部40aは本体部11の表面に接続される。封止部40において、第1開口部40aに隣接する部分に、埋設部13が埋設されている。このように埋設部13が封止部40の内部に埋設された状態となるため、封止部40は本体部11に対して強固に固定されている。
【0016】
第1開口部40aは、本体部11の外周面に接続されている。また、封止部40において第1開口部40aに隣接する部分では、接続部12が当該部分を貫通し封止部40の表面から部分的に突出している。封止部40において第1開口部40aに隣接する表面部分はフランジ部11eの表面(本体部11の外周面と対向する下面)と接続されている。封止部40は上記の様に軟質材料により構成されているため、第1開口部40aは本体部11の外周面に気密に接続されている。封止部40の上記表面部分も、フランジ部11eの表面と気密に接続されている。また、封止部40と接続部12の表面との接触部においても、封止部40と接続部12の表面は気密に接続されている。なお、ここで気密に接続されているとは、当該部分において封止部40の外部から封止部40の内部に空気が流通しない状態であることを意味する。
【0017】
封止部40は、上記の様に軟質材料により構成されているため、第2開口部40bの周長が拡縮可能となっている。第2開口部40bの内径は、上記本体部11の貫通穴11dの内径より大きい。
【0018】
<吸引器具の使用方法>
図7は、図1から図6に示された吸引器具50の使用方法を説明するための断面模式図である。図7に示されるように、図1から図6に示された吸引器具50は、たとえば内視鏡などを体内に挿入するための器具であるトロッカー60に設置されて使用される。以下、具体的に説明する。
【0019】
吸引器具50が設置されるトロッカー60は、ヘッド部60aと外筒部60bとガスポート60cとを主に備える。ヘッド部60aの頂面から外筒部60bにまで延在するように貫通穴60dが形成されている。当該貫通穴60dは、内視鏡などを挿通させるための孔である。ガスポート60cは、ヘッド部60aに接続される。ガスポート60cは、ヘッド部60aの内部において貫通穴60dと繋がっている。
【0020】
吸引器具50はトロッカー60に接続される。具体的には、吸引器具50の本体部11の貫通穴11d(図3参照)が、ヘッド部60aの頂面における貫通穴60dの端部に面するように吸引器具50の本体部11が配置される。この状態で、封止部40の第2開口部40bがヘッド部60aの外周表面に密着する。第2開口部40bの無負荷時での幅(内径)は、ヘッド部60aの外周幅より小さくなっていることが好ましい。このようにすれば、封止部40の第2開口部40bが、ある程度拡大された状態でヘッド部60aの外周表面に気密に接触することになる。
【0021】
この状態で、接続部12にはホース部材(図示せず)が接続される。ホース部材は図示しない吸引装置に接続される。当該吸引装置が稼働することで、本体部11の吸引口部11bからヘッド部60aの頂面近傍の空気が吸引される。たとえば内視鏡を用いた手術において、患者の腹部表面を外筒部60bが貫通するように配置されたトロッカー60に対して、上記の様に吸引器具50を設置する。そして、吸引器具50の本体部11における貫通穴11dを介して、トロッカー60のヘッド部60aの頂面における貫通穴60dの開口端からトロッカー60に内視鏡または鉗子などの器具が挿入されたり抜き取られたりする。
【0022】
この場合、患者の内腔内のエアロゾル、ガスあるいは液体(以下、エアロゾル等とも呼ぶ)がトロッカー60の貫通穴60dの開口端から外部に流出し得るが、上記吸引器具50により当該エアロゾル等を本体部11の吸引口部11bから吸引できる。このため、当該エアロゾル等が手術室内に拡散することを抑制できる。また、上述した吸引器具50では、封止部40が配置されているため、トロッカー60の貫通穴60dの開口端を含む領域を吸引器具50の外部空間からある程度隔離した状態とできる。このため、上記エアロゾル等を吸引口部11bから確実に吸引できる。
【0023】
<作用効果>
本開示に従った吸引器具50は、体内へ内視鏡または処置具を挿入するための挿入部に接続される吸引器具50であって、本体部11と、接続部12と、封止部40とを備える。本体部11は吸引口部11bを含む。接続部12は、本体部11に連結される。接続部12は、吸引口部11bから吸引された気体を搬送するためのホース部材と接続される。封止部40は、本体部11に接続される。封止部40は、第1開口部40aと、第2開口部40bとが形成された袋状体である。封止部40において、第2開口部40bは第1開口部40aとは異なる位置に配置される。封止部40において、第1開口部40aは本体部11の表面に接続される。封止部40は、第2開口部40bの周長が拡縮可能に構成されている。
【0024】
上記のような吸引器具50は、たとえばトロッカー60の使用時にヘッド部60a上に配置し、当該吸引器具50の接続部12を吸引ポンプなどに接続することで、吸引口部11bからヘッド部60aの頂面近傍の空気を吸引することができる。このようにすれば、トロッカー60において内視鏡または処置具などを挿入または抜き取りする場合に、貫通穴60dを介して放出される、生体物質を含む気体(エアロゾル)を吸引器具50によって吸引できる。このたため、当該エアロゾルにより内視鏡などの使用者や室内が汚染される可能性を低減できる。
【0025】
上記吸引器具50において、封止部40を構成する材料は、伸縮可能な軟質材料であってもよい。この場合、本体部11と封止部40との接続部、および封止部40と設置対象物の一例であるトロッカー60との接続部において気密な接続を容易に実現できる。
【0026】
上記吸引器具50は、埋設部13と、連結部14とをさらに備えてもよい。埋設部13は、本体部11の表面と間隔を隔てて配置されてもよい。連結部14は、本体部11と埋設部13とを連結してもよい。埋設部13が封止部40に埋設されることにより、本体部11と封止部40とが接続されてもよい。この場合、埋設部13によって封止部40と本体部11との接続をより強固に行うことができる。
【0027】
(実施の形態2)
<吸引器具の構成>
図8は、実施の形態2に係る吸引器具50の断面模式図である。図8図3に対応する。図8に示されるように、実施の形態2に係る吸引器具50は、基本的には図1から図6に示された吸引器具50と同様の構成を備えるが、本体部11と封止部40との接続部の構成が図1から図6に示された吸引器具50と異なっている。具体的には、図8に示された吸引器具50では、吸引部10が埋設部13および連結部14を有しておらず、本体部11と封止部40との接続部は本体部11の外周面およびフランジ部11eの下面と封止部40とが接触する部分となっている。すなわち、本体部11は貫通穴11dを有する環状体である。本体部11の外周には貫通穴11dを囲むように周方向に延びる溝部11fが形成されている。封止部40の第1開口部40aは本体部11の溝部11fに接続されている。封止部40は、溝部11fの上端部であってフランジ部11eと接続される部分に接触している。本体部11の外周面(溝部11fの表面)およびフランジ部11eの下面と封止部40とは気密に接続されている。このような構成によっても、図1から図6に示された吸引器具50と同様の効果を得ることができる。
【0028】
<吸引器具の使用方法>
図9は、図8に示された吸引器具の使用方法を説明するための断面模式図である。図9図7に対応する。図9に示されるように、本実施の形態に係る吸引器具50の使用方法は、基本的には図1から図6に示された吸引器具50の使用方法と同様であり、同様の効果を得ることができる。すなわち、図9に示されるように吸引器具50の本体部11の貫通穴11d(図8参照)が、トロッカー60のヘッド部60aの頂面における貫通穴60dの端部に面するように、吸引器具50の本体部11が配置される。この状態で、封止部40の第2開口部40bがヘッド部60aの外周表面に密着する。この状態で、接続部12にはホース部材(図示せず)が接続される。ホース部材は図示しない吸引装置に接続される。当該吸引装置が稼働することで、本体部11の吸引口部11bからヘッド部60aの頂面近傍の空気が吸引される。
【0029】
このようにすれば、実施の形態1に係る吸引器具50と同様に、患者の内腔内のエアロゾル等が吸引器具50の外部である手術室内に拡散することを抑制できる。
【0030】
<作用効果>
上記吸引器具50において、本体部11は貫通穴11dを有する環状体であってもよい。本体部11の外周には貫通穴11dを囲むように周方向に延びる溝部11fが形成されていてもよい。封止部40の第1開口部40aは本体部11の溝部11fに接続されていてもよい。この場合、溝部11fに封止部40の第1開口部40aが接続されることで、本体部11と封止部40とを容易に接続することができる。また、封止部40を容易に交換できる。
【0031】
<変形例の構成および作用効果>
図10は、図8に示された吸引器具50の第1変形例を示す断面模式図である。図10図9に対応する。図10に示される吸引器具50の第1変形例は、基本的には図8および図9に示された吸引器具50と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、追加吸引部70を備えている点が図8および図9に示された吸引器具50と異なっている。具体的には、図10に示された吸引器具50では、接続部12に追加吸引部70が接続されている。追加吸引部70は接続部12の表面から伸びるように形成された管状体である。追加吸引部70は封止部40の外側に配置されている。追加吸引部70は、接続部12の貫通穴12aに接続されている。
【0032】
貫通穴12aは本体部11の流通路11aを介して吸引口部11bと接続されている。貫通穴12aと流通路11aとにより流通路80が構成される。流通路80は吸引口部11bから接続口12bにまで延びている。
【0033】
追加吸引部70において接続部12に接続された第1端と反対側に位置する第2端(先端)にはアダプタ71が設置されている。アダプタ71はトロッカー60のガスポート60cに接続される。この結果、追加吸引部70の第2端がガスポート60cと接続される。
【0034】
追加吸引部70は、流通路80と接続できればよく、図10に示されるように接続部12において流通路80と接続されてもよいが、本体部11において流通路80と接続されてもよい。つまり、追加吸引部70は本体部11の表面から延びるように形成されていてもよい。追加吸引部70を構成する材料は、任意の材料を用いることができるが、可撓性を有する材料であることが好ましい。たとえば、追加吸引部70を構成する材料として軟質の樹脂などを用いることができる。
【0035】
図10に示された吸引器具50の特徴的な構成を要約すれば、接続部12は、ホース部材と接続される接続口12bを含む。本体部11と接続部12とには、接続口12bから吸引口部11bにまで延びる気体の流通路80が形成されている。吸引器具50は、追加吸引部70をさらに備える。追加吸引部70は、流通路80と繋がり、本体部11または接続部12の表面から延びるように形成されている。この場合、追加吸引部70を、トロッカー60のガスポート60cなど、本来ホース部材が接続されて吸引されていた部分に接続することができる。この状態で接続部12の接続口12bにホース部材を接続して吸引することで、吸引口部11bでの吸引とガスポート60cでの吸引とを、接続口12bに接続された1本のホース部材により実施できる。このように、吸引器具50とトロッカー60とで吸引用のホース部材を共用できるので、吸引器具50を用いるために新たな吸引系統を準備する必要が無い。この結果、吸引器具50を利用する場合の設備制約を少なくすることができる。
【0036】
図11は、図8に示された吸引器具の第2変形例を示す断面模式図である。図11に示された吸引器具50は、基本的には図10に示された吸引器具50と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、追加吸引部70と封止部40との位置関係が図10に示された吸引器具50と異なる。図11に示された吸引器具50では、追加吸引部70が封止部40の内部に配置されている。追加吸引部70は、封止部40の内部において接続部12の表面から延びるように形成されている。また、追加吸引部70は、封止部40の内部においてトロッカー60のガスポート60cと接続されている。このような構成の吸引器具50によっても、図10に示された吸引器具50と同様の効果を得ることができる。
【0037】
図12は、図8に示された吸引器具の第3変形例を示す断面模式図である。図12に示された吸引器具50は、基本的には図10に示された吸引器具50と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、追加吸引部70が形成されておらず、分岐配管180を用いて接続部12の接続口12bとガスポート60cとを1つのホース部材と接続している点が図10に示された吸引器具50と異なる。図12に示された吸引器具50に付属する分岐配管180は、第1配管部180aと、第2配管部180bと、第3配管部180cと、アダプタ81、82、83とを主に含む。
【0038】
第1配管部180aの一端にはアダプタ81が設置されている。アダプタ81を接続口12bに固定することで、第1配管部180aの一端は接続口12bに接続される。第2配管部180bの一端にはアダプタ82が設置されている。アダプタ82をガスポート60cに固定することで、第2配管部180bの一端はガスポート60cに接続される。
【0039】
第1配管部180aにおける一端と反対側の他端は第3配管部180cの一端に接続される。第2配管部180bにおける一端と反対側の他端は第3配管部180cの一端に接続される。第3配管部180cの一端と反対側の他端にはアダプタ83が設置されている。アダプタ83を介して第3配管部180cの他端は図示しないホース部材と接続される。当該ホース部材を介して分岐配管180を吸引ポンプなどと接続する。この結果、図10に示された吸引器具50と同様に、1本のホース部材を吸引器具50での吸引とトロッカー60のガスポート60cでの吸引とで共用できる。
【0040】
(実施の形態3)
<吸引器具の構成>
図13は、実施の形態3に係る吸引器具50の吸引部10を示す斜視模式図である。図14は、図13に示された吸引部10の平面模式図である。なお、図13および図14では吸引部10のみが記載されており、封止部40は記載されていない。図1および図2に示されるように、本実施の形態に従った吸引器具50は、基本的には図1から図6に示された吸引器具50と同様の構成を備え同様の効果を得ることができるが、吸引部10の構成が図1から図6に示された吸引器具50と異なっている。すなわち、図13および図14に示された吸引器具50の吸引部10は、本体部11と接続部12とを主に備える。
【0041】
図示しない封止部40が接続される本体部11の平面形状は、図14に示されるように環状である。なお、本体部11の形状としては、図14に示すように円環状であってもよいが、環状であれば他の形状であってもよい。たとえば、本体部11の平面形状は楕円形状、三角形状、四角形状、あるいは五角形状などの多角形状であってもよい。
【0042】
本体部11には複数の吸引口部11bと、当該複数の吸引口部11bが接続された流通路11aとが形成されている。流通路11aは、本体部11の形状に沿って環状に形成されている。複数の吸引口部11bは、環状の本体部11における中央の開口部に面した領域、すなわち内周側に形成されている。
【0043】
複数の吸引口部11bは、環状の本体部11における周方向において、等間隔に配置されている。なお、複数の吸引口部11bは、不均等に配置されていてもよい。図13および図14に示した吸引部10では、吸引口部11bの数は6であるが、吸引口部11bの数は1以上の任意の数としてもよい。
【0044】
複数の吸引口部11bは、第1吸引口11b1と第2吸引口11b2とを含む。第2吸引口11b2は、第1吸引口11b1と対向する位置に配置されている。本体部11において、第1吸引口11b1が形成された領域が第1部分11c1に相当する。本体部11において、第2吸引口11b2が形成された領域が第2部分11c2に相当する。第2部分11c2は、第1部分11c1に面する。つまり、環状の本体部11において、第1部分11c1と第2部分11c2とは本体部11の開口部を挟むように配置されている。第2部分11c2において、第1吸引口11b1に面する部分に第2吸引口11b2が形成されている。また、第1部分11c1において、第2吸引口11b2に面する部分に第1吸引口11b1が形成されている。
【0045】
接続部12は本体部11に連結されている。接続部12は、たとえば直線状に延びる棒状の形状を有する。接続部12の内部には、本体部11の流通路11aと接続された流通路としての貫通穴12aが形成されている。接続部12において本体部11と接続された第1端部と反対側の第2端部には、ホース部材20が接続される。接続部12はホース部材20と接続部材30によって接続されている。接続部12における貫通穴12aは、本体部11に接続された第1端部から第2端部にまで延びている。貫通穴12aはホース部材20と繋がっている。ホース部材20は、複数の吸引口部11bから吸引された気体を吸引部10から排出する。ホース部材20は、図示しない吸引ポンプまたは手術室などに設置されている吸引口などに接続される。吸引部10とホース部材20と接続部材30とにより吸引器具アセンブリ100が構成される。
【0046】
<作用効果>
上記吸引器具50において、吸引口部11bは、本体部11に形成された第1吸引口11b1と第2吸引口11b2とを含む。本体部11は、第1部分11c1と第2部分11c2とを含む。第1部分11c1には第1吸引口11b1が形成されている。第2部分11c2は、第1部分11c1に面する。第2部分11c2で、第1吸引口11b1に面する部分に第2吸引口11b2が形成されている。
【0047】
上記のような本体部11を備える吸引器具50は、基本的には図1から図6に示された吸引器具50と同様の効果を得ることができる。すなわち、トロッカー60(図7参照)などに設置し、当該吸引器具50を吸引ポンプなどに接続することで、複数の吸引口部11bから周囲の空気を吸引することができる。このようにすれば、トロッカー60において内視鏡または処置具などを挿入または抜き取りする場合に、トロッカー60を介して放出される、生体物質を含む気体といったエアロゾル等を吸引器具50によって吸引できる。このたため、当該エアロゾル等により内視鏡の使用者や室内が汚染される可能性を低減できる。
【0048】
上記吸引器具50において、本体部11の平面形状は環状であってもよい。複数の吸引口部11bは、本体部11において内周側に形成されてもよい。この場合、トロッカー60における処置具などの挿通口である貫通穴60dに重なるように、環状の本体部11を配置することで、複数の吸引口部11bが当該挿通口を囲んだ状態とすることできる。このため、当該挿通口から外部に放出されるエアロゾル等を複数の吸引口部11bから迅速に吸引できる。
【0049】
上記吸引器具50は、固定部材としても機能する封止部40を備えている。封止部40は、トロッカー60に対する本体部11の位置を固定する。この場合、トロッカー60に対する吸引器具50の相対的な位置を封止部40によって規定できるので、使用者が吸引器具50を手で保持し続けるといった手間を省くことができる。
【0050】
<変形例の構成および作用効果>
図15は、実施の形態3に係る吸引器具50の吸引部10の第1変形例を説明するための平面模式図である。図15に示し吸引部10を含む吸引器具50および吸引器具アセンブリ100は、基本的には図13および図14に示した吸引器具50および吸引器具アセンブリ100と同様の構成を備えるが、吸引器具50における吸引部10の本体部11の構成が図13および図14に示した吸引部10および吸引器具アセンブリ100と異なっている。すなわち、図15に示した吸引器具50における吸引部10の本体部11は、平面形状がC字状となっており、さらに吸引口部11bの数が5となっている。
【0051】
複数の吸引口部11bは、本体部11において内周側に形成されている。図15に示した吸引部10の本体部11では、第1吸引口11b1が形成された領域(第1部分11c1)と、第2吸引口11b2が形成された領域(第2部分11c2)とは、本体部11の途切れた部分を挟んで両側に配置されている。複数の吸引口部11bは、本体部11の内周側において互いに対向するように配置されている。
【0052】
このような構成の吸引器具50および吸引器具アセンブリ100によっても、図13および図14に示した吸引器具50および吸引器具アセンブリ100と同様の効果を得ることができる。
【0053】
図16は、実施の形態3に係る吸引器具50の吸引部10の第2変形例を説明するための平面模式図である。図16に示した吸引部10および吸引器具アセンブリ100は、基本的には図13および図14に示した吸引部10および吸引器具アセンブリ100と同様の構成を備えるが、吸引部10の本体部11の構成が図13および図14に示した吸引器具50の吸引部10および吸引器具アセンブリ100と異なっている。すなわち、図16に示した吸引部10の本体部11は、平面形状がU字状となっている。
【0054】
図16に示した吸引部10の本体部11では、第1吸引口11b1が形成された領域(第1部分11c1)と、第2吸引口11b2が形成された領域(第2部分11c2)とは、本体部11において接続部12と接続された領域を挟んで対向するように配置されている。複数の吸引口部11bは、本体部11の内周側(本体部11により囲まれた領域に面する位置)に配置されている。
【0055】
このような構成の吸引部10を備える吸引器具50および吸引器具アセンブリ100によっても、図13および図14に示した吸引器具50および吸引器具アセンブリ100と同様の効果を得ることができる。
【0056】
図17は、実施の形態3に係る吸引器具50の吸引部10の第3変形例を説明するための平面模式図である。図17に示した吸引部10および吸引器具アセンブリ100は、基本的には図13および図14に示した吸引部10および吸引器具アセンブリ100と同様の構成を備えるが、吸引部10の本体部11の構成が図13および図14に示した吸引器具50の吸引部10および吸引器具アセンブリ100と異なっている。すなわち、図17に示した吸引部10の本体部11は、平面形状がV字状となっており、吸引口部11bの数が4となっている。
【0057】
複数の吸引口部11bは、本体部11において接続部12が接続された側と反対側の表面に形成されている。図17に示した吸引部10の本体部11では、第1吸引口11b1が形成された領域(第1部分11c1)と、第2吸引口11b2が形成された領域(第2部分11c2)とは、本体部11において接続部12と接続された領域を挟んで対向するように配置されている。
【0058】
このような構成の吸引部10を備える吸引器具50および吸引器具アセンブリ100によっても、図13および図14に示した吸引器具50および吸引器具アセンブリ100と同様の効果を得ることができる。また、上述した図13から図17に示された吸引部10を備える吸引器具50および吸引器具アセンブリ100においては、図10または図11に示された追加吸引部70を備えていてもよい。
【0059】
<吸引器具の使用状況>
図18に示すように、実施の形態3に係る吸引器具50は、たとえば内視鏡110の挿入部110Bである鉗子口に設置されて使用されてもよい。以下、具体的に説明する。
【0060】
まず、吸引部10を備える吸引器具50が適用される対象器具の一例である内視鏡110の構成を説明する。図18に示されるように、内視鏡110は、被検者の体外に配置されて術者によって操作される操作部と、被検者の体内に挿入される挿入部とを備える。図18では、内視鏡110の操作部と挿入部との境界が図示されていないが、紙面に向かって右側に位置する部分が操作部であり、紙面に向かって左側に位置する部分が挿入部である。
【0061】
内視鏡110には、処置具チャネル111Aと、吸引チャネル111Bと、送水チャネル112Aと、送気チャネル112Bとが形成されている。処置具チャネル111Aには、処置具130が挿通される。吸引チャネル111Bは、処置具チャネル111Aと連通しておりかつ体内から体液および空気を吸い出す。送水チャネル112Aは、内視鏡110の挿入部の先端部に取り付けられたレンズを洗浄するための液体(例えば水)を送るための流路である。送気チャネル112Bは、送水チャネル112Aに連通しておりかつレンズ上の水を吹き飛ばすための気体(例えば空気)を送るための流路である。
【0062】
処置具チャネル111Aは、挿入部の先端部において開口する開口部110Aと、操作部において開口する鉗子口である挿入部110Bとの間に延びている。吸引チャネル111Bは、開口部110Aと、操作部において開口する開口部110Cとの間に延びている。つまり、処置具チャネル111Aおよび吸引チャネル111Bは、開口部110Aに連なる一部分を共有している。開口部110Cは、図示しない吸引装置に接続される。
【0063】
送水チャネル112Aは、挿入部の先端部において開口する開口部110Dと、操作部において開口する開口部110Eとの間に延びている。開口部110Eは、送水装置140と送水管141を介して接続されている。送気チャネル112Bは、開口部110Dと、操作部において開口する開口部110Fとの間に延びている。開口部110Fは、図示しない送気装置に接続されている。
【0064】
処置具チャネル111Aのうち吸引チャネル111Bと共通化されてない部分は、処置具チャネル111Aのうち吸引チャネル111Bと共通化されている部分に対して、鈍角を成すように屈曲している。
【0065】
内視鏡110の上記操作部には、突起部113が形成されている。鉗子口である挿入部110Bは、突起部113に形成されている。
【0066】
挿入部110Bには、本実施の形態に係る吸引器具アセンブリ100が設置されている。具体的には、吸引器具50における吸引部10が挿入部110Bに対して封止部40により固定されている。封止部40は、挿入部110Bに対する本体部11の位置を固定する。封止部40としては、本体部11を挿入部110Bに対して固定できれば任意の構成を採用できる。本体部11の開口部である貫通穴が、鉗子口である挿入部110Bを囲むように、本体部11は配置される。本体部11に接続されたホース部材20は、図示しない吸引装置に接続されている。当該吸引装置が稼働することで、本体部11の複数の吸引口部11bから挿入部110Bの周囲の空気が吸引されている。吸引装置は常時稼働していてもよい。
【0067】
処置具130は、たとえば消化管の内腔に対して、牽引、切除、洗浄、薬剤の注入・散布等の処置を施すように設けられた任意の処置具である。処置具130は、例えば内視鏡用のスネアである。処置具130は、例えばシース131と、ケーブル132と、スネア133と、ハンドル部134とを備える。処置具130のうち、シース131、ケーブル132、およびスネア133は、処置具チャネル111Aに挿通される。ハンドル部134は、処置具チャネル111Aの外部に配置される。ハンドル部134は、操作部135と、把持部136とを含む。
【0068】
シース131は、管状の部材である。シース131は、把持部136に固定されている。ケーブル132は、シース131に挿通されている。ケーブル132の一端は、スネア133と接続されている。ケーブル132の他端は、操作部135に接続されている。ケーブル132、スネア133、および操作部135は、シース131および把持部136に対して、スライド可能である。
【0069】
シース131および把持部136には、ケーブル132およびスネア133を挿通するための挿通チャネルが形成されている。具体的には、シース131は、体内に挿入される第1端137と、把持部136に接続された第2端とを有している。把持部136には、シース131の第2端と連通し、ケーブル132が挿通されている挿通孔138が形成されている。上記挿通チャネルは、シース131の第1端137と把持部136の挿通孔138との間に延びている。上記挿通チャネルは、処置具チャネル111Aの内部に通される。シース131により、挿通チャネルと、処置具チャネル111Aおよび吸引チャネル111Bとは、区画されている。つまり、挿通チャネルは、吸引装置により吸引されない。
【0070】
図18において、送水装置140が駆動すると、送水管141から開口部110Eに流入した水は、送水チャネル112Aを流れた後、開口部110Dから体内に流出する。また、送気装置が駆動すると、開口部110Fに流入した空気は、送気チャネル112Bを流れた後、開口部110Dから体内に流出する。また、吸引装置が駆動すると、開口部110Aに流入した体液および空気は、吸引チャネル111Bを流れた後、開口部110Cから吸引装置に流出する。
【0071】
上述のように、シース131内の挿通チャネルは、シース131によって吸引チャネル111Bと区画されているため、吸引装置によって吸引されない。そのため、例えば内腔を膨らませるために内腔の気圧が体外の気圧よりも高く設定される場合には、吸引装置が駆動されていても、内腔内のエアロゾル等は挿通チャネルを通って挿通孔138から処置具130の外部に流出し得る。また、吸引装置が駆動を停止している状態では、内腔内のエアロゾル等は、挿通チャネルを通って挿通孔138から処置具130の外部に流出するとともに、処置具チャネル111Aを通って挿入部110Bから内視鏡110の外部に流出し得る。
【0072】
このとき、本実施の形態に係る吸引器具50を用いることで、体内のエアロゾル等が挿通チャネルおよび処置具チャネル111Aを介して手術室内に拡散することを抑制できる。また、挿入部110Bに対して処置具130を挿入あるいは抜き取る場合に、体内のエアロゾル等が挿入部110Bから外部に漏れたとしても、吸引器具50によって当該エアロゾル等を吸引できる。したがって、このような場合にも体内のエアロゾル等が手術室内に拡散することを抑制できる。
【0073】
なお、ここで挿入部110Bとしては図18において内視鏡110の鉗子口が例示されているが、当該挿入部110Bとしては、内視鏡検査を実施する際に体内へ内視鏡を挿入するための挿入口(たとえば口、鼻、肛門など)であってもよい。また、上記の説明では実施の形態3に係る吸引器具50を例として説明したが、実施の形態1または実施の形態2に係る吸引器具50を内視鏡110に適用してもよい。
【0074】
図19は、実施の形態3に係る吸引器具50の使用方法の変形例を説明するための模式図である。図19図18に対応する。図19に示される吸引器具50の使用方法は、図18に示された吸引器具50の使用方法と基本的には同様の構成を備え、同様の効果を得ることができるが、吸引器具50と吸引装置との接続構造が図18に示された吸引器具50の使用方法と異なっている。すなわち、図19に示された吸引器具50の使用方法では、吸引器具50と内視鏡110の開口部110Cとが同じ吸引装置150に接続されている。
【0075】
具体的には、図19に示されるように、吸引装置150は配管151Aを介して開口部110Cに接続されている。また、吸引装置150は、配管151Bおよび配管151Aの一部を介して吸引器具50と接続されている。配管151Bが配管151Aに接続されることで、吸引装置150は吸引器具50と開口部110Cとの両方で共用されている。このように、内視鏡110の開口部110Cに接続される吸引装置150を、吸引器具50においても利用することで、吸引器具50用の新たな吸引装置を準備する必要が無い。そのため、既存の設備において吸引器具50を容易に利用できる。
【0076】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
体内へ内視鏡または処置具を挿入するための挿入部に接続される吸引器具であって、
吸引口部を含む本体部と、
前記本体部に連結され、前記吸引口部から吸引された気体を搬送するためのホース部材と接続される接続部と、
前記本体部に接続された封止部とを備え、
前記封止部は、第1開口部と、前記第1開口部とは異なる位置に配置された第2開口部とが形成された袋状体であり、
前記封止部において、
前記第1開口部は前記本体部の表面に接続され、
前記封止部は、前記第2開口部の周長が拡縮可能に構成されている、吸引器具。
(付記2)
前記封止部を構成する材料は、伸縮可能な軟質材料である、付記1に記載の吸引器具。
(付記3)
前記本体部は貫通穴を有する環状体であり、
前記本体部の外周には前記貫通穴を囲むように周方向に延びる溝部が形成され、
前記封止部の前記第1開口部は前記本体部の前記溝部に接続されている、付記1または付記2に記載の吸引器具。
(付記4)
前記本体部の前記表面と間隔を隔てて配置された埋設部と、
前記本体部と前記埋設部とを連結する連結部とを備え、
前記埋設部が前記封止部に埋設されることにより、前記本体部と前記封止部とが接続されている、付記1または付記2に記載の吸引器具。
(付記5)
前記吸引口部は、前記本体部に形成された第1吸引口と第2吸引口とを含み、
前記本体部は、前記第1吸引口が形成された第1部分と、
前記第1部分に面し、前記第1吸引口に面する部分に前記第2吸引口が形成された第2部分とを含む、付記1から付記4のいずれか1項に記載の吸引器具。
(付記6)
前記本体部の平面形状は環状であり、
前記吸引口部は、前記本体部において内周側に形成されている、付記1または付記2に記載の吸引器具。
(付記7)
前記本体部の平面形状はC字状であり、
前記吸引口部は、前記本体部において内周側に形成されている、付記1または付記2に記載の吸引器具。
(付記8)
前記本体部の平面形状はU字状であり、
前記吸引口部は、前記本体部において内周側に形成されている、付記1または付記2に記載の吸引器具。
(付記9)
前記接続部は、前記ホース部材と接続される接続口を含み、
前記本体部と前記接続部とには、前記接続口から前記吸引口部にまで延びる前記気体の流通路が形成され、
前記流通路と繋がり、前記接続部または前記本体部の前記表面から延びるように形成された追加吸引部をさらに備える、付記1から付記8のいずれか1項に記載の吸引器具。
【0077】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【符号の説明】
【0078】
10 吸引部、11 本体部、11a,80 流通路、11b 吸引口部、11b1 第1吸引口、11b2 第2吸引口、11c1 第1部分、11c2 第2部分、11d,12a,60d 貫通穴、11e フランジ部、11f 溝部、11g 下端面、12 接続部、12a 貫通穴、12b 接続口、13 埋設部、14 連結部、20 ホース部材、30 接続部材、40 封止部、40a 第1開口部、40b 第2開口部、50 吸引器具、60 トロッカー、60a ヘッド部、60b 外筒部、60c ガスポート、70 追加吸引部、71,81,82,83 アダプタ、100 吸引部アセンブリ、110 内視鏡、110A,110C,110D,110E,110F 開口部、110B 挿入部、111A 処置具チャネル、111B 吸引チャネル、112A 送水チャネル、112B 送気チャネル、113 突起部、130 処置具、131 シース、132 ケーブル、133 スネア、134 ハンドル部、135 操作部、136 把持部、137 第1端、138 挿通孔、140 送水装置、141 送水管、150 吸引装置、151A,151B 配管、180 分岐配管、180a 第1配管部、180b 第2配管部、180c 第3配管部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19