(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085548
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】冷水チラー及び冷水チラーの作動方法
(51)【国際特許分類】
F28F 25/04 20060101AFI20240620BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
F28F25/04
F28F27/00 501Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200116
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 毅
(57)【要約】
【課題】冷却水の温度を制御しつつ、装置全体を停止させることなく冷却水の所定の菌を効果的に減少させることができる冷水チラー及び冷水チラーの作動方法を提供する。
【解決手段】冷水チラー1は、熱源で加熱された冷却水を充填材9に散布することで冷却水を冷却する散水部3と、1つの散水部3に対し、散水部3から排水された冷却水を貯水する3つの貯水部51,52,53と、1つの散水部3から排水された冷却水を各貯水部51,52,53に分配する分配部4と、各貯水部51,52,53の冷却水を熱源へと送出する送出部6と、各貯水部51,52,53に冷却水を供給する供給部7と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源で加熱された冷却水を充填材に散布することで前記冷却水を冷却する散水部と、
1つの前記散水部に対し、前記散水部から排水された前記冷却水を貯水する複数の貯水部と、
1つの前記散水部から排水された前記冷却水を各前記貯水部に分配する分配部と、
各前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する送出部と、
各前記貯水部に前記冷却水を供給する供給部と、
を備える、
ことを特徴とする冷水チラー。
【請求項2】
前記供給部は、前記供給部から前記貯水部に供給する前記冷却水の殺菌用薬剤の濃度を高める薬剤投入部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷水チラー。
【請求項3】
請求項1に記載の冷水チラーの作動方法であって、
前記貯水部における前記冷却水の温度、前記分配部における前記冷却水の温度、及び前記供給部における前記冷却水の温度を比較する第1温度比較工程と、
各前記貯水部における前記冷却水の貯水量がそれぞれ上限水位以下であるか否かを判断する第1貯水量判断工程と、
前記第1温度比較工程によって前記供給部における前記冷却水の温度よりも温度の高い前記冷却水が貯水されていると判断された前記貯水部を第1高温貯水部とし、
前記第1貯水量判断工程によって前記貯水量が上限水位以下であると判断された前記貯水部を少量貯水部とし、
前記第1高温貯水部で、かつ前記少量貯水部である前記貯水部を第1高温少量貯水部としたとき、
前記第1温度比較工程によって前記分配部における前記冷却水の温度よりも前記供給部における前記冷却水の温度が低いと判断された場合で、かつ少なくとも1つ前記第1高温少量貯水部がある場合、任意の前記第1高温少量貯水部に前記供給部から前記冷却水を供給する第1冷却水供給工程と、
前記送出部によって前記第1冷却水供給工程が行われている以外の前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第1冷却水送出工程と、
前記第1冷却水供給工程の後に、前記第1冷却水送出工程が行われている前記貯水部に前記分配部を介して前記冷却水を還流させる第1冷却水還流工程と、
を有する、
ことを特徴とする冷水チラーの作動方法。
【請求項4】
請求項1に記載の冷水チラーの作動方法であって、
前記貯水部における前記冷却水の温度、前記分配部における前記冷却水の温度、及び前記供給部における前記冷却水の温度を比較する第1温度比較工程と、
各前記貯水部における前記冷却水の貯水量がそれぞれ上限水位以下であるか否かを判断する第1貯水量判断工程と、
前記第1温度比較工程によって前記分配部におけるにおける前記冷却水の温度よりも温度の高い前記冷却水が貯水されていると判断された前記貯水部を第2高温貯水部とし、
前記第1貯水量判断工程によって前記貯水量が上限水位以下であると判断された前記貯水部を少量貯水部とし、
前記第2高温貯水部で、かつ前記少量貯水部である前記貯水部を第2高温少量貯水部としたとき、
前記第1温度比較工程によって前記供給部における前記冷却水の温度よりも前記分配部における前記冷却水の温度が低いと判断された場合で、かつ少なくとも1つ前記第2高温少量貯水部がある場合、任意の前記第2高温少量貯水部に前記分配部から前記冷却水を供給する第2冷却水供給工程と、
前記送出部によって前記第2冷却水供給工程が行われている以外の前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第2冷却水送出工程と、
前記第2冷却水供給工程の後に、前記第2冷却水送出工程が行われている前記貯水部に前記分配部を介して前記冷却水を還流させる第2冷却水還流工程と、
を有する、
ことを特徴とする冷水チラーの作動方法。
【請求項5】
請求項1に記載の冷水チラーの作動方法であって、
前記送出部によって複数の前記貯水部のうち、1つの前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第3冷却水送出工程と、
前記第3冷却水送出工程の途中に、前記熱源で加熱された前記冷却水の温度が所定の温度上限値以上となった場合、前記第3冷却水送出工程が行われている前記貯水部における前記冷却水の温度と、前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部における前記冷却水の温度と、を比較する第2温度比較工程と、
各前記貯水部における前記冷却水の貯水量がそれぞれ下限水位以下であるか否かを判断する第2貯水量判断工程と、
前記第2温度比較工程によって前記第3冷却水送出工程が行われている前記貯水部における前記冷却水の温度よりも前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部における前記冷却水の温度が低いと判断された場合で、かつ前記第2貯水量判断工程によって前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部における前記冷却水の貯水量が下限水位よりも高いと判断された場合、前記送出部によって前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第4冷却水送出工程と、
を有する、
ことを特徴とする冷水チラーの作動方法。
【請求項6】
各前記貯水部における前記冷却水の所定の菌成分の濃度が上限値以上であるか否かを判断する菌濃度判断工程と、
前記菌濃度判断工程によって、菌成分の濃度が上限値以上であると判断された前記貯水部の前記冷却水を排水する排水工程と、
前記排水工程の後に、前記排水工程が行われた前記貯水部に前記供給部から前記冷却水を供給する第3冷却水供給工程と、
を有する、
ことを特徴とする請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の冷水チラーの作動方法。
【請求項7】
前記第3冷却水供給工程において、前記冷却水に殺菌用薬剤を投入する薬剤投入工程を有する、
ことを特徴とする請求項6に記載の冷水チラーの作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷水チラー及び冷水チラーの作動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱源を冷却するための冷水チラーの中には、冷却塔を備えたものがある。冷却塔は、充填材に冷却水を散布する散水部と、散水部の下方に設けられた貯水部と、を備える。充填材に散布された冷却水は、気化熱を利用して冷却される。散水部によって冷却された冷却水が下方に排水されて貯水部に貯水される。この貯水部の冷却水を熱源に送出することにより、熱源が冷却される。熱源によって加熱された冷却水は、再び散水部へと送出される。
【0003】
上記のサイクルを繰り返すので、貯水部の冷却水は気化により減少していくばかりか、冷却水に含有されている成分が濃縮されて所定の菌が発生、増殖する可能性があった。このため、貯水部内の冷却水を定期的に入れ替える必要があった。冷却水の入れ替え方法としては、例えば、冷水チラーを運転しながら貯水部に新鮮な冷却水を継ぎ足していく方法や、完全に冷水チラーを停止させて貯水部の冷却水を入れ替える方法などがある。また、冷却水に殺菌用薬剤を投入する方法もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、冷却水の温度が給水温度、外気温度、熱源への冷却負荷のバランスによって決まることから、冷却水の温度を制御することが困難である。これに加え、例えば貯水部に新鮮な冷却水を継ぎ足していく方法では、貯水部の冷却水を完全に入れ替えることが困難である。このため、冷却水の所定の菌を減少させにくいという課題があった。また、殺菌用薬剤による殺菌効果も得にくい。
完全に冷水チラーを停止させて貯水部の冷却水を入れ替える方法では、冷水チラーを停止させるため、その間熱源を冷却できず、熱源が不具合を生じる可能性があった。
【0006】
そこで、本発明は、冷却水の温度を制御しつつ、装置全体を停止させることなく冷却水の所定の菌を効果的に減少させることができる冷水チラー及び冷水チラーの作動方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る冷水チラーは、熱源で加熱された冷却水を充填材に散布することで前記冷却水を冷却する散水部と、1つの前記散水部に対し、前記散水部から排水された前記冷却水を貯水する複数の貯水部と、1つの前記散水部から排水された前記冷却水を各前記貯水部に分配する分配部と、各前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する送出部と、各前記貯水部に前記冷却水を供給する供給部と、を備える。
【0008】
このように構成することで、1つの貯水部内の冷却水を入れ替えている間に、他の貯水部を利用して熱源の冷却を継続することができる。各貯水部に貯水された冷却水の温度を監視することにより、例えば比較的温度の高い方の貯水部の冷却水を優先的に冷却させることで冷却水の温度制御も可能になる。このように、冷水チラーを停止させることなく、貯水部における冷却水の所定の菌を効果的に減少させることができる。
【0009】
上記構成において、前記供給部は、前記供給部から前記貯水部に供給する前記冷却水の殺菌用薬剤の濃度を高める薬剤投入部を有してもよい。
【0010】
このように構成することで、冷却水の殺菌効果を自動的に高めることができる。このため、冷却水の所定の菌をさらに効果的に減少させることができる。
【0011】
上記の冷水チラーの作動方法であって、請求項1に記載の冷水チラーの作動方法であって、前記貯水部における前記冷却水の温度、前記分配部における前記冷却水の温度、及び前記供給部における前記冷却水の温度を比較する第1温度比較工程と、各前記貯水部における前記冷却水の貯水量がそれぞれ上限水位以下であるか否かを判断する第1貯水量判断工程と、前記第1温度比較工程によって前記供給部における前記冷却水の温度よりも温度の高い前記冷却水が貯水されていると判断された前記貯水部を第1高温貯水部とし、前記第1貯水量判断工程によって前記貯水量が上限水位以下であると判断された前記貯水部を少量貯水部とし、前記第1高温貯水部で、かつ前記少量貯水部である前記貯水部を第1高温少量貯水部としたとき、前記第1温度比較工程によって前記分配部における前記冷却水の温度よりも前記供給部における前記冷却水の温度が低いと判断された場合で、かつ少なくとも1つ前記第1高温少量貯水部がある場合、任意の前記第1高温少量貯水部に前記供給部から前記冷却水を供給する第1冷却水供給工程と、前記送出部によって前記第1冷却水供給工程が行われている以外の前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第1冷却水送出工程と、前記第1冷却水供給工程の後に、前記第1冷却水送出工程が行われている前記貯水部に前記分配部を介して前記冷却水を還流させる第1冷却水還流工程と、を有する。
【0012】
このような方法とすることで、効率よく各貯水部の冷却水を冷却させていくことができるとともに、熱源を効率よく冷却できる。また、容易に冷却水の温度を制御することが可能になる。
【0013】
上記の冷水チラーの作動方法であって、前記貯水部における前記冷却水の温度、前記分配部における前記冷却水の温度、及び前記供給部における前記冷却水の温度を比較する第1温度比較工程と、各前記貯水部における前記冷却水の貯水量がそれぞれ上限水位以下であるか否かを判断する第1貯水量判断工程と、前記第1温度比較工程によって前記分配部におけるにおける前記冷却水の温度よりも温度の高い前記冷却水が貯水されていると判断された前記貯水部を第2高温貯水部とし、前記第1貯水量判断工程によって前記貯水量が上限水位以下であると判断された前記貯水部を少量貯水部とし、前記第2高温貯水部で、かつ前記少量貯水部である前記貯水部を第2高温少量貯水部としたとき、前記第1温度比較工程によって前記供給部における前記冷却水の温度よりも前記分配部における前記冷却水の温度が低いと判断された場合で、かつ少なくとも1つ前記第2高温少量貯水部がある場合、任意の前記第2高温少量貯水部に前記分配部から前記冷却水を供給する第2冷却水供給工程と、前記送出部によって前記第2冷却水供給工程が行われている以外の前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第2冷却水送出工程と、前記第2冷却水供給工程の後に、前記第2冷却水送出工程が行われている前記貯水部に前記分配部を介して前記冷却水を還流させる第2冷却水還流工程と、を有する。
【0014】
このような方法とすることで、効率よく各貯水部の冷却水を冷却させていくことができるとともに、熱源を効率よく冷却できる。また、容易に冷却水の温度を制御することが可能になる。
【0015】
上記の冷水チラーの作動方法であって、前記送出部によって複数の前記貯水部のうち、1つの前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第3冷却水送出工程と、前記第3冷却水送出工程の途中に、前記熱源で加熱された前記冷却水の温度が所定の温度上限値以上となった場合、前記第3冷却水送出工程が行われている前記貯水部における前記冷却水の温度と、前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部における前記冷却水の温度と、を比較する第2温度比較工程と、各前記貯水部における前記冷却水の貯水量がそれぞれ下限水位以下であるか否かを判断する第2貯水量判断工程と、前記第2温度比較工程によって前記第3冷却水送出工程が行われている前記貯水部における前記冷却水の温度よりも前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部における前記冷却水の温度が低いと判断された場合で、かつ前記第2貯水量判断工程によって前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部における前記冷却水の貯水量が下限水位よりも高いと判断された場合、前記送出部によって前記第3冷却水送出工程が行われている以外の前記貯水部の前記冷却水を前記熱源へと送出する第4冷却水送出工程と、を有する。
【0016】
このような方法とすることで、熱源を効率よく冷却することが可能になる。
【0017】
上記方法において、各前記貯水部における前記冷却水の所定の菌成分の濃度が上限値以上であるか否かを判断する菌濃度判断工程と、前記菌濃度判断工程によって、菌成分の濃度が上限値以上であると判断された前記貯水部の前記冷却水を排水する排水工程と、前記排水工程の後に、前記排水工程が行われた前記貯水部に前記供給部から前記冷却水を供給する第3冷却水供給工程と、を有してもよい。
【0018】
このような方法とすることで、貯水部における冷却水の所定の菌成分の濃度が上限値以上である場合、速やかに貯水部の冷却水を入れ替えることができる。このため、冷却水の所定の菌を速やかに減少させることができる。
【0019】
上記方法では、前記第3冷却水供給工程において、前記冷却水に殺菌用薬剤を投入する薬剤投入工程を有してもよい。
【0020】
このような方法とすることで、冷却水の殺菌効果を速やかに高めることができる。このため、冷却水の所定の菌をさらに効果的に減少させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、冷水チラーの冷却水の温度を制御しつつ、冷水チラーを停止させることなく冷却水の所定の菌を効果的に減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態における冷水チラーの概略構成図である。
【
図2】本発明の実施形態における冷水チラーの動作を示すフローチャートである。
【
図3】本発明の実施形態における給水蓄冷の動作を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態における循環蓄冷の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の実施形態における蓄冷出力の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の実施形態における排水運転の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
<冷水チラー>
図1は、冷水チラー1の概略構成図である。以下の説明では、重力方向の上方を単に上方、重力方向の下方を単に下方と称する。
図1に示すように、冷水チラー1は、熱交換器(熱源)2に送出される冷却水を利用して図示しない対象物を冷却するものである。冷水チラー1は、対象物を冷却するための熱交換器2と、熱交換器2で加熱された冷却水が送出される散水部3と、散水部3の下方に設けられた分配部4と、分配部4の下方に設けられた3つの貯水部51,52,53(第1貯水部51、第2貯水部52、第3貯水部53)と、各貯水部51,52,53と熱交換器2とを連結する送出部6と、各貯水部51,52,53に冷却水を供給する供給部7と、各貯水部51,52,53の冷却水を排水する排水部5と、を備える。
【0025】
<散水部>
散水部3は、熱交換器2によって加熱された冷却水を冷却する。散水部3は、上下方向が開放された筐体80内に、散水管8と、充填材9と、ファン10と、が設けられている。散水管8は、戻り流路20を介して熱交換器2に接続されている。戻り流路20には、戻り流路20を流れる冷却水の温度を検出する戻り流路温度計11が設けられている。散水管8には、無数の孔が形成されており、充填材9へ冷却水が散布される。
【0026】
充填材9は、散水管8の下方に設けられている。充填材9は、例えば樹脂により形成された板状の部材を複数重ねて構成される。充填材9に散布された冷却水は、液滴となって下方に垂れ落ちる。この間、冷却水が外気と接触することによる気化熱によって冷却水が冷却される。
【0027】
ファン10は、散水管8の上方に設けられている。ファン10は、筐体80内の空気を吸引して上方から排気している。これにより筐体80内に外気が積極的に送り込まれ、外気が充填材9を通過する。これにより、充填材9に散布された冷却水の気化が促進され、冷却水が効率よく冷却される。図示は省略するが、ファン10と散水管8との間には、エリミネータが設けられている。これにより、筐体80の外部への冷却水の飛散が抑制される。
【0028】
<分配部>
分配部4は、充填材9から滴下される冷却水を3つの貯水部51,52,53に分配する。分配部4は、散水部3に接続された元流路12と、元流路12から分岐した3つの分配路13,14,15(第1分配路13、第2分配路14、第3分配路15)と、を備える。元流路12には、元流路12を流れる冷却水の温度を検出する分配温度計16が設けられている。各分配路13,14,15には、それぞれ分配バルブ17,18,19(第1分配バルブ17、第2分配バルブ18、第3分配バルブ19)が設けられている。各分配バルブ17,18,19は、それぞれ対応する分配路13,14,15を開閉するバルブである。各分配バルブ17,18,19は、例えば電磁弁である。
【0029】
<貯水部>
各貯水部51,52,53は、散水部3から滴下された冷却水が分配部4を介して貯水される。3つの貯水部51,52,53のうち、第1貯水部51は、第1分配路13に接続されている。3つの貯水部51,52,53のうち、第2貯水部52は、第2分配路14に接続されている。3つの貯水部51,52,53のうち、第3貯水部53は、第3分配路15に接続されている。
【0030】
各貯水部51,52,53には、それぞれ水量計21,22,23(第1水量計21、第2水量計22、第3水量計23)が設けられている。各水量計21,22,23は、対応する貯水部51,52,53の貯水量を検出する。
各貯水部51,52,53には、それぞれ貯水温度計24,25,26(第1貯水温度計24、第2貯水温度計25、第3貯水温度計26)が設けられている。各貯水温度計24,25,26は、対応する貯水部51,52,53に貯水された冷却水の温度を検出する。
【0031】
各貯水部51,52,53には、それぞれ菌成分濃度計27,28,29(第1菌成分濃度計27、第2菌成分濃度計28、第3菌成分濃度計29)が設けられている。各菌成分濃度計27,28,29は、対応する貯水部51,52,53に貯水された冷却水における所定の菌成分の濃度を検出する。菌成分は、例えばレジオネラ菌等である。
【0032】
<送出部>
送出部6は、各貯水部51,52,53の冷却水を熱交換器2へと送出する。送出部6は、対応する貯水部51,52,53にそれぞれ別々に接続された3つの送出路31,32,33(第1送出路31、第2送出路32、第3送出路33)と、各送出路31,32,33が合流される合流送出路34と、を備える。合流送出路34の各送出路31,32,33とは反対側は、熱交換器2に接続されている。
【0033】
各送出路31,32,33には、それぞれ送出バルブ36,37,38(第1送出バルブ36、第2送出バルブ37、第3送出バルブ38)が設けられている。各送出バルブ36,37,38は、それぞれ対応する送出路31,32,33を開閉するバルブである。各送出バルブ36,37,38は、例えば電磁弁である。
合流送出路34には、ポンプ39が設けられている。ポンプ39は、冷却水を熱交換器2へと送出する。
【0034】
<供給部>
供給部7は、図示しない水源から各貯水部51,52,53に冷却水を供給する。供給部7は、水源から延びる源流路40と、源流路40から分岐した3つの供給路41,42,43(第1供給路41、第2供給路42、第3供給路43)と、を備える。源流路40には、源流路40を流れる冷却水の温度を検出する供給温度計47が設けられている。
【0035】
各供給路41,42,43の源流路40とは反対側は、それぞれ対応する貯水部51,52,53に接続されている。すなわち、3つの供給路41,42,43のうち、第1供給路41は、第1貯水部51に接続されている。3つの供給路41,42,43のうち、第2供給路42は、第2貯水部52に接続されている。3つの供給路41,42,43のうち、第3供給路43は、第3貯水部53に接続されている。
【0036】
各供給路41,42,43には、それぞれ供給バルブ44,45,46(第1供給バルブ44、第2供給バルブ45、第3供給バルブ46)が設けられている。各供給バルブ44,45,46は、それぞれ対応する供給路41,42,43を開閉するバルブである。各供給バルブ44,45,46は、例えば電磁弁である。
【0037】
供給部7は、冷却水の殺菌用薬剤を投入する薬剤投入部60を備える。薬剤投入部60は、殺菌用薬剤が充填されたタンク64と、タンク64と各貯水部51,52,53及び各供給路41,42,43に接続された薬剤投入路61,62,63(第1薬剤投入路61、第2薬剤投入路62、第3薬剤投入路63)と、を備える。各薬剤投入路61,62,63には、それぞれ投入バルブ66,67,68(第1投入バルブ66、第2投入バルブ67、第3投入バルブ68)が設けられている。各投入バルブ66,67,68は、それぞれ対応する薬剤投入路61,62,63を開閉するバルブである。各投入バルブ66,67,68は、例えば電磁弁である。
【0038】
<排水部>
排水部5は、各貯水部51,52,53の冷却水を排水する。排水部5は、対応する貯水部51,52,53にそれぞれ別々に接続された3つの排水路71,72,73(第1排水路71、第2排水路72、第3排水路73)と、各排水路71,72,73が合流される合流排水路74と、を備える。合流排水路74の各排水路71,72,73とは反対側は、例えば図示しないドレンタンクに接続されている。
【0039】
各排水路71,72,73には、それぞれ排水バルブ76,77,78(第1排水バルブ76、第2排水バルブ77、第3排水バルブ78)が設けられている。各排水バルブ76,77,78は、それぞれ対応する排水路71,72,73を開閉するバルブである。各排水バルブ76,77,78は、例えば電磁弁である。
【0040】
<冷水チラーの動作>
次に、
図1から
図6に基づいて、冷水チラー1の動作について説明する。
図2は、冷水チラー1の動作を示すフローチャートである。以下の説明では、初動作では、各バルブ17~18,36~38,44~46,66~68,76~78は閉じているものとする。また、以下の説明では、各貯水部51,52,53には、予め冷水チラー1を運転可能な程度(下限水位を上回る程度)に冷却水が貯水されているものとする。さらに、ファン10は駆動されているものとする。
【0041】
<メイン動作>
冷水チラー1は、基本的には第1貯水部51に貯水された冷却水を循環させながら熱交換器2を介して対象物を冷却する。換言すれば、冷水チラー1は、第1貯水部51を主として動作する。
すなわち、
図1、
図2に示すように、まず第1分配バルブ17を開ける(ステップST10)。
続いて、第1送出バルブ36を開ける(ステップST11)。
続いて、ポンプ39を駆動する(ステップST12)。
【0042】
これにより、第1貯水部51に貯水された冷却水が熱交換器2に送出される(第3冷却水送出工程)。熱交換器2では、冷却水の熱と対象物との間で熱交換が行われ、対象物が冷却される(ステップST13)。
熱交換器2で加熱された冷却水は、戻り流路20及び散水管8を介して充填材9に散布される。充填材9に散布された冷却水は気化熱を利用して冷却された後、分配部4へと滴下される。分配部4では、第1分配バルブ17が開いているので、冷却水が第1貯水部51へと還流される。この循環を繰り返すことにより、対象物の冷却が促進される。
【0043】
対象物の冷却が行われている間、充填材9での冷却水の気化により、第1貯水部51の貯水量が徐々に減少していく。このため、第1水量計21によって検出された第1貯水部51での冷却水の貯水量(以下、第1貯水部水量と称する)が定格水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST14;第1貯水量判断工程)。
定格水位とは、各貯水部51,52,53に貯水された冷却水の水位が冷水チラー1を運転するのに望ましい水位のうち、最低水位をいう。定格水位を下限水位としてもよいし、定格水位を下限水位以上、上限水位以下としてもよい。上限水位とは、各貯水部51,52,53に冷却水を貯水可能な最大水位をいう。
【0044】
ステップST14と同時に、戻り流路温度計11によって検出された戻り流路20を流れる冷却水の温度(以下、戻り流路水温と称する)が、予め決められた温度上限値以上であるか否かの判断を行う(ステップST15)。
【0045】
ステップST14、ステップST15と同時に、第1菌成分濃度計27によって検出された第1貯水部51の冷却水における所定の菌成分の濃度(以下、第1貯水部菌濃度と称する)が予め決められた濃度上限値以上であるか否かの判断を行う(ステップST16;菌濃度判断工程)。
【0046】
ステップST14による判断が「No」、つまり、第1貯水部水量が定格水位よりも高い場合、引き続きステップST14による判断を行う。
ステップST14による判断が「Yes」、つまり、第1貯水部水量が定格水位よりも低い場合、第1供給バルブ44を開ける(ステップST17)。これにより、第1貯水部51に水源から冷却水が供給され、冷水チラー1のメイン動作が完了する。
【0047】
一方、ステップST15による判断が「No」、つまり、戻り流路水温が予め決められた温度上限値よりも低い場合、分配温度計16によって検出された分配部4の元流路12を流れる冷却水の温度(以下、分配水温と称する)と、供給温度計47によって検出された供給部7の源流路40を流れる冷却水の温度(以下、供給水温と称する)と、を比較する(第1温度比較工程)。そして、供給水温よりも分配水温が高いか否かの判断を行う(ステップST18)。
ステップST60による判断が「Yes」、つまり、供給水温よりも分配水温が高い場合、給水蓄冷を開始する(ステップST100)。
【0048】
<給水蓄冷>
図3は、給水蓄冷の動作を示すフローチャートである。
図3に示すように、給水蓄冷では、まず、第2貯水温度計25によって検出された第2貯水部52の冷却水の温度(以下、第2貯水部水温と称する)と、供給水温と、を比較する(第1温度比較工程)。そして、供給水温よりも第2貯水部水温が高いか否かの判断を行う(ステップST101)。
【0049】
ステップST101による判断が「No」、つまり、供給水温よりも第2貯水部水温が低い場合、引き続きステップST101による判断を行う。
ステップST101による判断が「Yes」、つまり、供給水温よりも第2貯水部水温が高い場合、第2水量計22によって検出された第2貯水部52での冷却水の貯水量(以下、第2貯水部水量と称する)が上限水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST102;第1貯水量判断工程)。
【0050】
ステップST102による判断が「Yes」、つまり、第2貯水部水量が上限水位以下である場合、第2供給バルブ45を開ける(ステップST103)。これにより、第2貯水部52に水源から冷却水が供給される(第1冷却水供給工程)。
ステップST102による判断が「No」、つまり、第2貯水部水量が上限水位よりも高い場合、第1貯水部水量が上限水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST104;第1貯水量判断工程)。
【0051】
ステップST104による判断が「No」、つまり、第1貯水部水量が上限水位よりも高い場合、引き続きステップST104による判断を行う。
ステップST104による判断が「Yes」、つまり、上限水位以下である場合、第2分配バルブ18を閉じるとともに、第1分配バルブ17を開ける(ステップST105)。これにより、散水部3から滴下された冷却水が分配部4を介して第1貯水部51に還流される(第1冷却水還流工程)。
【0052】
続いて、第1送出バルブ36を閉じるとともに、第2送出バルブ37を開ける(ステップST106)。これにより、第2貯水部52に貯水された冷却水が熱交換器2に送出される(第1冷却水送出工程)。給水蓄冷の一連の動作を繰り返すことにより、冷水チラー1による対象物の冷却を継続しながら、第1貯水部51や第2貯水部52に、より温度の低い(冷却された)冷却水が貯水されることになる。以上により、給水蓄冷の動作が完了する。
【0053】
一方、
図2に示すように、ステップST18による判断が「No」、つまり、供給水温よりも分配水温が低い場合、循環蓄冷を開始する(ステップST200)。
【0054】
<循環蓄冷>
図4は、循環蓄冷の動作を示すフローチャートである。
図4に示すように、循環蓄冷では、まず、分配水温と、第2貯水部水温と、を比較する(第1温度比較工程)。そして、分配水温よりも第2貯水部水温が高いか否かの判断を行う(ステップST201)。
【0055】
ステップST201による判断が「No」、つまり、分配水温よりも第2貯水部水温が低い場合、引き続きステップST201による判断を行う。
ステップST201による判断が「Yes」、つまり、分配水温よりも第2貯水部水温が高い場合、第2貯水部水量が上限水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST202;第1貯水量判断工程)。
【0056】
ステップST202による判断が「Yes」、つまり、第2貯水部水量が上限水位以下である場合、第1分配バルブ17を閉じるとともに、第2分配バルブ18を開ける(ステップST203)。これにより、散水部3から滴下された冷却水が分配部4を介して第2貯水部52に供給(還流)される(第2冷却水供給工程)。
ステップST202による判断が「No」、つまり、第2貯水部水量が上限水位よりも高い場合、第1貯水部水量が上限水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST204;第1貯水量判断工程)。
【0057】
ステップST204による判断が「No」、つまり、第1貯水部水量が上限水位よりも高い場合、引き続きステップST204による判断を行う。
ステップST204による判断が「Yes」、つまり、上限水位以下である場合、第2分配バルブ18を閉じるとともに、第1分配バルブ17を開ける(ステップST205)。これにより、散水部3から滴下された冷却水が分配部4を介して第1貯水部51に還流される(第2冷却水還流工程)。
【0058】
続いて、第1送出バルブ36を閉じるとともに、第2送出バルブ37を開ける(ステップST206)。これにより、第2貯水部52に貯水された冷却水が熱交換器2に送出される(第2冷却水送出工程)。循環蓄冷の一連の動作を繰り返すことにより、冷水チラー1による対象物の冷却を継続しながら、第1貯水部51や第2貯水部52に、より温度の低い(冷却された)冷却水が貯水されることになる。以上により、循環蓄冷の動作が完了する。
【0059】
一方、
図2に示すように、ステップST15による判断が「Yes」、つまり、戻り流路水温が予め決められた温度上限値以上である場合、第1貯水温度計24によって検出された第1貯水部51の冷却水の温度(以下、第1貯水部水温と称する)よりも第2貯水部水温が低いか否かの判断を行う(ステップST19;第2温度比較工程)。
ステップST15による判断が「Yes」とは、第1貯水部51の冷却水では、対象物の冷却に限界が生じているということである。
【0060】
ステップST19による判断が「No」、つまり、第1貯水部水温が第2貯水部水温以下である場合、引き続きステップST19による判断を行う。
ステップST19による判断が「Yes」、つまり、第1貯水部水温よりも第2貯水部水温が低い場合、蓄冷出力を開始する(ステップST300)。
【0061】
<蓄冷出力>
図5は、蓄冷出力の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、蓄冷出力では、まず、第2貯水部水量が下限水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST301;第2貯水量判断工程)。
ステップST301による判断が「Yes」、つまり、第2貯水部水量が下限水位以下である場合、引き続きステップST301による判断を行う。
【0062】
ステップST301による判断が「No」、つまり、第2貯水部水量が下限水位よりも高い場合、第1分配バルブ17を閉じるとともに、第2分配バルブ18を開ける(ステップST302)。これにより、散水部3から滴下された冷却水が分配部4を介して第2貯水部52に還流される(第1冷却水還流工程)。
【0063】
続いて、第1送出バルブ36を閉じるとともに、第2送出バルブ37を開ける(ステップST303)。これにより、第2貯水部52に貯水された冷却水が熱交換器2に送出される(第4冷却水送出工程)。つまり、第1貯水部51の冷却水よりも冷えた第2貯水部52の冷却水が熱交換器2に送出される。このため、熱交換器2では、冷却水の熱と対象物との間でより効率的に熱交換が行われ、対象物が速やかに冷却される。以上により、蓄冷出力の動作が完了する。
【0064】
一方、
図2に示すように、ステップST16による判断が「No」、つまり、第1貯水部菌濃度が予め決められた濃度上限値よりも低い場合、引き続きステップST16による判断を行う。
ステップST16による判断が「Yes」、つまり、第1貯水部菌濃度が予め決められた濃度上限値以上である場合、排水運転を開始する(ステップST400)。
【0065】
<排水運転>
図6は、排水運転の動作を示すフローチャートである。
図6に示すように、排水運転では、まず、第1供給バルブ44を閉じる(ステップST401)。
続いて、第1送出バルブ36を閉じるとともに、第3送出バルブ38を開ける(ステップST402)。
続いて、第1分配バルブ17を閉じるとともに、第3分配バルブ19を開ける(ステップST403)。
【0066】
これにより、第1貯水部51の使用が完全に停止される。第1貯水部51に代わって第3貯水部53を使用して冷水チラー1の動作が継続される。すなわち、第3貯水部53に貯水された冷却水が熱交換器2に送出される。熱交換器2で加熱された冷却水は、散水部3及び分配部4を介して第3貯水部53に還流される。
【0067】
続いて、第1水量計21によって、第1貯水部51に貯水されている冷却水が全て排出されているかの判断を行う(ステップST404)。
ステップST404と同時に、第3水量計23によって検出された第3貯水部53での冷却水の貯水量(以下、第3貯水部水量と称する)が定格水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST405)。
【0068】
ステップST404による判断が「No」、つまり、第1貯水部51に貯水されている冷却水が全て排出されていない場合、第1排水バルブ76を開ける(ステップST406)。これにより、第1貯水部51の冷却水を排水する(排水工程)。
この後、再度ステップST404の判断を行う。
ステップST404による判断が「Yes」、つまり、第1貯水部51に貯水されている冷却水が全て排出された場合、第1排水バルブ76を閉じる(ステップST407)。
【0069】
続いて、第1貯水部水量が下限水位以上であるか否かの判断を行う(ステップST408)。
ステップST408による判断が「No」、つまり、第1貯水部水量が下限水位よりも低い場合、第1供給バルブ44を開けるとともに、第1投入バルブ66を開ける(ステップST409)。これにより、第1貯水部51に水源から冷却水が供給される(第3冷却水供給工程)。そして、第1貯水部51の冷却水が完全に入れ替えられる。
【0070】
また、第1貯水部51に、薬剤投入路61を介してタンク64の殺菌用薬剤が投入される(薬剤投入工程)。
この後、再度ステップST408の判断を行う。
ステップST408による判断が「Yes」、つまり、第1貯水部水量が下限水位以上である場合、第1送出バルブ36を開けるとともに、第3送出バルブ38を閉じる(ステップST410)。
【0071】
続いて、第1分配バルブ17を開けるとともに、第3分配バルブ19を閉じる(ステップST411)。これにより、散水部3から滴下された冷却水が分配部4を介して第1貯水部51に還流される。
続いて、第1貯水部水量が定格水位以下であるか否かの判断を行う(ステップST412)。
ステップST412による判断が「No」、つまり、第1貯水部水量が定格水位よりも高い場合、再びステップST412による判断を行う。
【0072】
ステップST412による判断が「Yes」、つまり、第1貯水部水量が定格水位以下である場合、第1供給バルブ44を開ける(ステップST413)。これにより、第1貯水部51に水源から冷却水が供給される。
【0073】
一方、ステップST405による判断が「No」、つまり、第3貯水部水量が定格水位よりも高い場合、引き続きステップST405による判断を行う。
ステップST405による判断が「Yes」、つまり、第3貯水部水量が定格水位以下である場合、第3供給バルブ46を開く(ステップST414)。これにより、第3貯水部53に水源から冷却水が供給される。これにより、第1貯水部51が排水運転を行っている際に第1貯水部51に代わって第3貯水部53の冷却水を使用する準備が整う。以上により、排水運転の動作が完了する。
【0074】
このように、上述の冷水チラー1は、散水部3と、1つの散水部3に対して3つの貯水部51,52,53と、分配部4と、送出部6と、供給部7と、を備える。このため、1つの貯水部51,52,53内の冷却水を入れ替えている間に、他の貯水部51,52,53を利用して対象物の冷却を継続することができる。各貯水部51,52,53に貯水された冷却水の温度を監視することにより、例えば比較的温度の高い方の貯水部51,52,53の冷却水を優先的に冷却させることで冷却水の温度制御も可能になる。このように、冷水チラーを停止させることなく、貯水部51,52,53における冷却水の所定の菌を効果的に減少させることができる。
【0075】
しかも、冷水チラー1は、薬剤投入部60を備える。このため、各貯水部51,52,53の冷却水における殺菌効果を自動的に高めることができる。よって、冷却水の所定の菌をさらに効果的に減少させることができる。
【0076】
冷水チラー1の動作としては、第1温度比較工程と、第1貯水量判断工程と、第1冷却水供給工程と、第1冷却水還流工程と、を有する。これにより、給水蓄冷の動作を行うことができる。このため、効率よく各貯水部51,52,53の冷却水を冷却させていくことができるとともに、対象物を効率よく冷却できる。また、容易に冷却水の温度を制御することが可能になる。
【0077】
他の冷水チラー1の動作としては、第1温度比較工程と、第1貯水量判断工程と、第2冷却水供給工程と、第2冷却水還流工程と、を有する。これにより、循環蓄冷の動作を行うことができる。このため、効率よく各貯水部51,52,53の冷却水を冷却させていくことができるとともに、対象物を効率よく冷却できる。また、容易に冷却水の温度を制御することが可能になる。
【0078】
他の冷水チラー1の動作としては、第3冷却水送出工程と、第2温度比較工程と、第2貯水量判断工程と、第4冷却水送出工程と、を有する。これにより、蓄冷出力の動作を行うことができる。このため、対象物を効率よく冷却することが可能になる。
【0079】
他の冷水チラー1の動作としては、菌濃度判断工程と、排水工程と、第3冷却水供給工程と、を有する。これにより、排水運転の動作を行うことができる。このため、第1貯水部51における冷却水の所定の菌成分の濃度が上限値以上である場合、速やかに第1貯水部51の冷却水を入れ替えることができる。よって、冷却水の所定の菌を速やかに減少させることができる。
第3冷却水供給工程において、薬剤投入工程を有している。このため、冷却水の殺菌効果を速やかに高めることができ、冷却水の所定の菌をさらに効果的に減少させることができる。
【0080】
本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
【0081】
例えば、上述の実施形態では、冷水チラー1は、1つの散水部3に対し、3つの貯水部51,52,53を備える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく1つの散水部3に対し、2つの貯水部を備えてもよい。この場合、第2貯水部52と第3貯水部53とを1つにまとめ、第2貯水部52の役割と第2貯水部53の役割を1つの貯水部で兼ねるようにすればよい。また、1つの散水部3に対し3つ以上の貯水部を備えてもよい。
【0082】
上述の実施形態では、排水運転の動作説明において、第1貯水部菌濃度が予め決められた濃度上限値以上であるか否かの判断を行う(ステップST16)場合について説明した。そして、第1貯水部51の冷却水を入れ替える場合について説明した。しかしながらこれに限られるものではなく、排水運転では、第2菌成分濃度計28によって検出された第2貯水部52の冷却水における所定の菌成分の濃度(以下、第2貯水部菌濃度と称する)が予め決められた濃度上限値以上であるか否かの判断を行ってもよい。また、排水運転では、第3菌成分濃度計29によって検出された第3貯水部53の冷却水における所定の菌成分の濃度(以下、第3貯水部菌濃度と称する)が予め決められた濃度上限値以上であるか否かの判断を行ってもよい。第2貯水部菌濃度や第3貯水部菌濃度が予め決められた濃度上限値以上である場合、第1貯水部51の排水運転と同様に、第2貯水部52や第3貯水部53の排水運転を行う。この間、排水運転されている貯水部52,53以外の貯水部の冷却水を熱交換器2に送出する。
【0083】
この他、例えば冷水チラー1を寒冷地仕様として用いる場合、第2貯水部52や第3貯水部53の冷却水は、外気により凍結することも考えられる。第1貯水部51を主として用いる場合、熱交換器2を介して対象物によって冷却水が加熱されるので、第1貯水部51が凍結してしまう可能性は低い。そこで、第2貯水部水温と第3貯水温度計26によって検出された第3貯水部53の冷却水の温度とが凍結温度に近くなった場合、第1貯水部51を主とした運転から第2貯水部52や第3貯水部53を主とした運転に切り替えることにより、第2貯水部52や第3貯水部53の冷却水の凍結を回避することが可能になる。
【符号の説明】
【0084】
1…冷水チラー
2…熱交換器(熱源)
3…散水部
4…分配部
5…排水部
6…送出部
7…供給部
9…充填材
51…第1貯水部(貯水部)
52…第2貯水部(貯水部)
53…第3貯水部(貯水部)
60…薬剤投入部