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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024085680
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】発光装置、照明装置及び暗視装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/50 20100101AFI20240620BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240620BHJP
   H04N 23/56 20230101ALI20240620BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20240620BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/00 L
H04N23/56
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022200341
(22)【出願日】2022-12-15
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000707
【氏名又は名称】弁理士法人市澤・川田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村▲崎▼ 嘉典
【テーマコード(参考)】
5C122
5F142
【Fターム(参考)】
5C122DA11
5C122DA16
5C122EA12
5C122FC00
5C122FH02
5C122FH11
5C122GG04
5C122GG14
5C122GG17
5C122HB07
5C122HB09
5F142AA22
5F142BA24
5F142BA32
5F142CA02
5F142CA11
5F142CA13
5F142CC26
5F142CD02
5F142CG01
5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142CG26
5F142CG43
5F142DA12
5F142DA14
5F142DA22
5F142DA23
5F142DA32
5F142DA43
5F142DA45
5F142DA48
5F142DA52
5F142DA53
5F142DA54
5F142DA72
5F142DA73
5F142DA74
5F142DB20
5F142FA24
5F142FA26
5F142GA21
5F142GA28
5F142GA33
5F142GA40
5F142HA01
(57)【要約】
【課題】近赤外光の波長範囲内の光を照射することができる発光装置、発光装置を用いた照明装置及び暗視装置を提供する。
【解決手段】発光素子と、前記発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体と、を備え、前記蛍光体は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する第1蛍光体、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する2種以上の蛍光体を含む発光装置である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、前記発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体と、を備え、
前記蛍光体は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する第1蛍光体、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する2種以上の蛍光体を含む、発光装置。
【請求項2】
前記発光素子が、250nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、700nm以上1400nm以下の範囲内における発光強度の最小値が5%以上である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項4】
発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、800nm以上1200nm以下の範囲における発光強度の最小値が10%以上である、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体が、それぞれ下記式(1)で表される組成を有する第1酸化物蛍光体、下記式(2)で表される組成を有する第2酸化物蛍光体、下記式(3)で表される組成を有する第3酸化物蛍光体、下記式(4)で表される組成を有する第4酸化物蛍光体、下記式(5)で表される組成を有する第5酸化物蛍光体、下記式(6)で表される組成を有する第6酸化物蛍光体、下記式(7)で表される組成を有する第7酸化物蛍光体、下記式(8)で表される組成を有する第8酸化物蛍光体、及び下記式(9)で表される組成を有する第9酸化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1又は2に記載の発光装置。
t1 u1 v1 w1:Crx1,M y1 (1)
(前記式(1)中、Mが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、B、Al、Ga、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t1、u1、v1、w1、x1及びy1は、0.7≦t1≦1.3、1.5≦u1≦2.5、0.7≦v1≦1.3、12.9≦w1≦15.1、0<x1≦0.2、0≦y1≦0.10、y1<x1を満たす。)
(Mg1-t2 t2u2(Ga1-v2-x2-y2 v2w2:Crx2,M y2 (2)
(前記式(2)中、Mが、Ca、Sr、Ba、Ni及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、B、Al、In及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t2、u2、v2、w2、x2及びy2は、0≦t2≦0.8、0.7≦u2≦1.3、0≦v2≦0.8、3.7≦w2≦4.3、0.02<x2≦0.3、0≦y2≦0.2、y2<x2を満たす。)
t310 u3(Ge1-v311 v3w3:Crx3,M12 y3 (3)
(前記式(3)中、Mが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M10が、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M11が、Si、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M12が、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t3、u3、v3、w3、x3及びy3は、1.5≦t3≦2.5、0.7≦u3≦1.3、0≦v3≦0.4、12.9≦w3≦15.1、0<x3≦0.2、0≦y3≦0.10、y3<x3を満たす。)
Ga:Cr (4)
Sr(Al,Ga)1425:Cr (5)
LiScSi:Cr (6)
LiGa:Cr (7)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12 (8)
LaGaGeO14:Cr (9)
【請求項6】
前記第3蛍光体が、下記式(10)で表される組成を有する第10酸化物蛍光体、下記式(11)で表される組成を有する第11酸化物蛍光体、及び下記式(12)で表される組成を有する第12酸化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項1又は2に記載の発光装置。
(Li1-t413 t4u4(Ga1-v414 v4w4:Crx4,Niy4,M15 z4 (10)
(前記式(10)中、M13は、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M14は、B、Al、Sc、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M15は、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Bi、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t4、u4、v4、w4、x4、y4及びz4は、それぞれ0≦t4≦1.0、0.7≦u4≦1.6、0≦v4<1.0、7.85≦w4≦11.5、0.05≦x4≦1.2、0≦y4≦0.5、0.25<x4+y4≦1.2、y4<x4、0≦z4≦0.5を満たす。)
MgGa:Cr,Ni (11)
GdGa12:Cr,Ni (12)
【請求項7】
前記蛍光体は、400nm以上700nm未満の第4範囲内に発光ピーク波長を有する第4蛍光体を含む、請求項1又は2に記載の発光装置。
【請求項8】
前記第4蛍光体が、下記式(13)で表される組成を有するリン酸塩蛍光体、下記式(14)で表される組成を有するケイ酸塩蛍光体、下記式(15)で表される組成を有する第1アルミニウム酸塩蛍光体、下記式(16)で表される組成を有する第2アルミニウム酸塩蛍光体、下記式(17)で表される組成を有する第1窒化物蛍光体、下記式(18)で表される組成を有する第2窒化物蛍光体、下記式(19)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体、及び下記式(20)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、請求項7に記載の発光装置。
(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,I):Eu (13)
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (14)
SrAl1425:Eu (15)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce (16)
(Ba,Sr,Ca)Si:Eu (17)
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (18)
SiF:Mn (19)
[Si1-x5Alx5]F6-x5:Mn (20)
(式(20)中、x5は、0<x5≦0.1を満たす。)
【請求項9】
400nm以上780nm以下の波長範囲の光の平均透過率が5%以下のカットフィルタ、を備えた請求項1又は7に記載の発光装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の発光装置と、タングステンランプ、キセノンランプ及びハロゲンランプからなる群から選択される少なくとも1種の補助光源と、を備えた照明装置。
【請求項11】
請求項1に記載の発光装置又は請求項10に記載の照明装置と、赤外線カメラと、前記赤外線カメラで撮影された画像を解析して、可視光領域の色を再現する画像処理部と、を備えた暗視装置。
【請求項12】
前記画像処理部で再現された可視光領域の画像を表示する表示部を備えた、請求項11に記載の暗視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置、照明装置及び暗視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防犯等の目的でカメラを備えた映像化システムが建物に設置される場合がある。また、自動運転車両の運転を補助するために、自動運転車両に搭載したカメラからの画像データをオペレータに伝える映像化システムが用いられる場合がある。これらの映像化システムには、周囲が暗い場所でも被光照射対象物(ヒトや動物等)の映像が得られるように、近赤外光を発光する手段を備えたものがある。
【0003】
例えば特許文献1には、暗視用近赤外撮像機能を有する複数のカメラと、近赤外LEDが用いられた近赤外照明手段を備えた監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-109118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、被光照射対象物に近赤外光の波長範囲内の光を照射することができる発光装置、発光装置を用いた照明装置及び暗視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様は、発光素子と、前記発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体と、を備え、前記蛍光体は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する第1蛍光体、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する少なくとも2種以上の蛍光体を含む、発光装置である。
【0007】
第2態様は、前記発光装置と、タングステンランプ、キセノンランプ及びハロゲンランプからなる群から選択される少なくとも1種の補助光源と、を備えた照明装置である。
【0008】
第3態様は、前記発光装置又は前記照明装置と、赤外線カメラと、前記赤外線カメラで撮影された画像を解析して、可視光領域の色を再現する画像処理部と、を備えた暗視装置である。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、被光照射対象物に近赤外光の波長範囲内の光を照射することができる発光装置、発光装置を用いた照明装置及び暗視装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】発光装置の一例の概略断面図である。
図2】発光装置の一例の概略断面図である。
図3】発光装置の一例の概略断面図である。
図4】発光装置の一例の概略断面図である。
図5】発光装置の一例の概略断面図である。
図6】発光装置の一例の概略断面図である。
図7】暗視装置の一例の概略構成図である。
図8】暗視装置の一例の概略構成図である。
図9】実施例1及び2に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
図10】実施例3に係る発光装置の発光スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る発光装置、照明装置及び暗視装置を説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は、以下の発光装置、照明装置及び暗視装置に限定されない。また、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に限定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本開示の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。図面に示す部材は、大きさや位置関係において誇張していることがあり、また、形状を単純化していることがある。また、以下の説明において、同一の名称、符号は、原則として同一又は同質の部材を示すものである。なお、光について、色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。本明細書において、半値全幅は、発光スペクトルにおいて、最大の発光強度を示す発光ピーク波長における発光強度に対して発光強度が50%となる波長幅をいう。近赤外光から赤外光の波長範囲は、780nm以上3000nm以下の範囲内の波長範囲をいう。また、可視光の波長範囲は、380nm以上780nm未満の波長範囲をいう。
【0012】
発光装置は、発光素子と、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体と、を備え、蛍光体は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する第1蛍光体、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する少なくとも2種以上の蛍光体含む発光装置である。発光装置は、発光素子からの光と、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して光を発する蛍光体からの光により、近赤外光の波長範囲内の光を照射することができる。700nm以上800nm未満の第1範囲に発光ピーク波長を有する第1蛍光体は、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して、近赤外光から赤外光の波長範囲である780nm以上3000nm以下の範囲内にも発光強度を有する光を発する。発光装置から近赤外光の波長範囲の光を照射された被光照射対象物は、近赤外光の波長範囲の光を反射し、後述するように、反射された近赤外光の波長ごとの強度差や波長ごとの反射率差等を解析することによって、被光照射対象物の画像データからカラー化した画像を表示することが可能である。本件明細書において、蛍光体の発光ピーク波長が存在する波長の範囲を、それぞれ第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体,及び後述する第4蛍光体に対応させて、第1範囲、第2範囲、第3範囲、第4範囲という。
【0013】
図1は、発光装置の第1例を示す概略断面図である。発光装置100は、発光素子10と、発光素子10からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体70と、を備える。発光装置100は、成形体40と、蛍光体70を含む波長変換部材50を備える。成形体40は、第1リード21及び第2リード22と、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂を含む樹脂部42と、が一体的に成形されてなる。成形体40は底面と側面を持つ凹部を有しており、凹部の底面に発光素子10が配置されている。発光素子10は一対の正負の電極を有しており、その一対の正負の電極はそれぞれ第1リード21及び第2リード22とそれぞれワイヤ60を介して電気的に接続されている。発光素子10は波長変換部材50により被覆されている。波長変換部材50は、発光素子10からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体70と、発光素子10を被覆して保護するために封止材料ともなる透光性材料を含むことが好ましい。蛍光体70は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第1蛍光体71、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第2蛍光体72、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第3蛍光体73からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する少なくとも2種以上の蛍光体を含む。発光装置100は、第1リード21及び第2リード31を介して、外部から発光素子10に電力が供給され発光する。
【0014】
図2は、発光装置の第2例を示す概略断面図である。発光装置100は、波長変換部材50の光の出射側に、400nm以上780nm以下の波長範囲の光の平均透過率が5%以下のカットフィルタ200を備えてもよい。カットフィルタ200は、波長変換部材50の光の出射側を遮るように配置することもでき、光の出射側を遮らないように配置することもできるように、可動に配置されることが好ましい。
【0015】
図3は、発光装置の第3例を示す概略断面図である。発光装置100は、波長変換部材50に含まれる蛍光体70に、発光素子10からの光を波長変換して、400nm以上700nm未満の第4範囲内に発光ピーク波長を有する第4蛍光体74を含んでいてもよい。発光装置100が、第4蛍光体74を含む場合は、発光装置100から近赤外光の波長範囲の光と、可視光の波長範囲の光を出射することができ、周囲が暗い場合や被光照射対象物に気づかれずに画像データを取得するような秘匿性が不要な場合には、被光照射対象物の視認性を向上することができる。
【0016】
波長変換部材は、好ましくは封止材料ともなる透光性材料を含む。封止材料ともなる透光性材料は、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる樹脂を用いることができる。製造の容易性を考慮すると、透光性材料として用いられる樹脂は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。波長変換部材は、蛍光体及び透光性材料の他に、フィラー、光安定剤、着色剤等のその他の成分を含んでいてもよい。フィラーとしては、例えば酸化ケイ素、チタン酸バリウム、酸化チタン、酸化アルミニウム等を挙げることができる。波長変換部材中の、蛍光体及び透光性材料以外のその他の成分の含有量は、目的とする発光装置の大きさ、色調に基づいて、好適範囲に設定することができる。例えば、波長変換部材中の蛍光体及び透光性材料以外のその他の成分の含有量は、透光性材料100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下とすることができる。
【0017】
図4は、発光装置の第4例を示す概略断面図である。発光装置101は、発光素子11と、発光素子11からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体70とを含む波長変換部材51と、を備える。蛍光体70は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第1蛍光体71、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第2蛍光体72、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第3蛍光体73からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する少なくとも2種以上の蛍光体を含む。発光装置101は、支持体30の少なくとも一方の面に発光素子11を実装する配線パターン等の導電部材61,61を備える。支持体30は、発光素子11を実装する面とは異なる面に導電部材62,62を備える。発光素子11は、発光素子11に形成された電極12,13が支持体30の導電部材61,61とバンプ等の接続部材14,15を介して接続される。発光装置101は、発光素子11に接触させて蛍光体70を含む波長変換部材51を備える。波長変換部材51は、透光性材料も含む。発光素子11及び波長変換部材51の周囲は、光反射部材43を備える。発光装置101は、発光素子11の側面からの光が波長変換部材51に入射されるように導光部材80を備える。
【0018】
図5は、発光装置の第5例を示す概略断面図である。発光装置101は、波長変換部材51に含まれる蛍光体70として、発光素子11からの光の少なくとも一部を吸収して波長変換し、400nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する第4蛍光体74を含んでいてもよい。
【0019】
図6は、発光装置の第6例を示す概略断面図である。発光装置101は、波長変換部材51の光の出射側に、400nm以上780nm以下の波長範囲の光の平均透過率が5%以下のカットフィルタ201を備えてもよい。カットフィルタ201は、波長変換部材51の光の出射側を遮るように配置することもでき、光の出射側を遮らないように配置することもできるように、可動に配置されることが好ましい。
【0020】
図4から図6における波長変換部材は、液状の透光性材料である樹脂と蛍光体とを含む波長変換部材用樹脂組成物を、塗布、印刷、スプレー塗布、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、ポッティング等の方法によってシート状に成形することができる。波長変換部材に用いる樹脂としては、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。導光部材に用いる樹脂は、波長変換部材に用いる樹脂と同様の樹脂を用いることができる。波長変換部材と、導光部材とは、同一の樹脂を用いてもよく、異なる樹脂を用いてもよい。
【0021】
支持体は、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等のセラミックスを含む支持体、繊維強化樹脂を含む樹脂を含む支持体等が挙げられる。支持体を構成する樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、BT(ビスマレイミドトリアジン)レジン、ポリイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂や、ポリフタルアミド樹脂、ナイロン樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0022】
第1蛍光体及び第2蛍光体は、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して、発光装置から近赤外光の波長範囲内の光を発するために、それぞれ下記式(1)で表される組成を有する第1酸化物蛍光体、下記式(2)で表される組成を有する第2酸化物蛍光体、下記式(3)で表される組成を有する第3酸化物蛍光体、下記式(4)で表される組成を有する第4酸化物蛍光体、下記式(5)で表される組成を有する第5酸化物蛍光体、下記式(6)で表される組成を有する第6酸化物蛍光体、下記式(7)で表される組成を有する第7酸化物蛍光体、下記式(8)で表される組成を有する第8酸化物蛍光体、及び下記式(9)で表される組成を有する第9酸化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましい。第1蛍光体及び第2蛍光体は、同一の式で表される組成を有している場合であっても、組成に含まれる元素のモル比等の違いにより、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して、発光ピーク波長が700nm以上800nm未満の第1範囲に含まれる光を発する場合は第1蛍光体であり、発光ピーク波長が800nm以上1100nm未満の第2範囲内に含まれる光を発する場合は、第2蛍光体とする。
t1 u1 v1 w1:Crx1,M y1 (1)
(前記式(1)中、Mが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、B、Al、Ga、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t1、u1、v1、w1、x1及びy1は、0.7≦t1≦1.3、1.5≦u1≦2.5、0.7≦v1≦1.3、12.9≦w1≦15.1、0<x1≦0.2、0≦y1≦0.10、y1<x1を満たす。)
(Mg1-t2 t2u2(Ga1-v2-x2-y2 v2w2:Crx2,M y2 (2)
(前記式(2)中、Mが、Ca、Sr、Ba、Ni及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、B、Al、In及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t2、u2、v2、w2、x2及びy2は、0≦t2≦0.8、0.7≦u2≦1.3、0≦v2≦0.8、3.7≦w2≦4.3、0.02<x2≦0.3、0≦y2≦0.2、y2<x2を満たす。)
t310 u3(Ge1-v311 v3w3:Crx3,M12 y3 (3)
(前記式(3)中、Mが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M10が、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M11が、Si、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M12が、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t3、u3、v3、w3、x3及びy3は、1.5≦t3≦2.5、0.7≦u3≦1.3、0≦v3≦0.4、12.9≦w3≦15.1、0<x3≦0.2、0≦y3≦0.10、y3<x3を満たす。)
Ga:Cr (4)
Sr(Al,Ga)1425:Cr (5)
LiScSi:Cr (6)
LiGa:Cr (7)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12 (8)
LaGaGeO14:Cr (9)
【0023】
第3蛍光体は、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して、発光装置から近赤外光の波長範囲内の光を発するために、下記式(10)で表される組成を有する第10酸化物蛍光体、下記式(11)で表される組成を有する第11酸化物蛍光体、及び下記式(12)で表される組成を有する第12酸化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましい。
(Li1-t413 t4u4(Ga1-v414 v4w4:Crx4,Niy4,M15 z4 (10)
(前記式(10)中、M13は、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M14は、B、Al、Sc、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M15は、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Bi、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t4、u4、v4、w4、x4、y4及びz4は、それぞれ0≦t4≦1.0、0.7≦u4≦1.6、0≦v4<1.0、7.85≦w4≦11.5、0.05≦x4≦1.2、0≦y4≦0.5、0.25<x4+y4≦1.2、y4<x4、0≦z4≦0.5を満たす。)
MgGa:Cr,Ni (11)
GdGa12:Cr,Ni (12)
【0024】
発光装置は、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して、400nm以上700nm未満の第4範囲内に発光ピーク波長を有する光を発する第4蛍光体を含むことが好ましい。発光装置は、第4蛍光体を含むことにより、近赤外光の波長範囲の光を照射するだけでなく、発光素子とともに第4蛍光体から可視光の波長範囲の光を発することができる。
【0025】
第4蛍光体は、発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して可視光の波長範囲の光を発するために、下記式(13)で表される組成を有するリン酸塩蛍光体、下記式(14)で表される組成を有するケイ酸塩蛍光体、下記式(15)で表される組成を有する第1アルミニウム酸塩蛍光体、下記式(16)で表される組成を有する第2アルミニウム酸塩蛍光体、下記式(17)で表される組成を有する第1窒化物蛍光体、下記式(18)で表される組成を有する第2窒化物蛍光体、下記式(19)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体、及び下記式(20)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含むことが好ましい。
(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,I):Eu (13)
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (14)
SrAl1425:Eu (15)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce (16)
(Ba,Sr,Ca)Si:Eu (17)
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (18)
SiF:Mn (19)
[Si1-x5Alx5]F6-x5:Mn (20)
(式(20)中、x5は、0<x5≦0.1を満たす。)
【0026】
発光素子は、250nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発することが好ましい。特に、発光素子が、380nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発するものであると、近赤外光の波長範囲の光とともに、可視光の波長範囲の光も発することができ、周囲が暗い場合や被光照射対象物に気づかれずに画像データを取得するような秘匿性が不要な場合には、被光照射対象物の視認性を向上することができる。発光素子は、380nm以上500nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発することがより好ましく、380nm以上450nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有する光を発することがさらに好ましい。
【0027】
発光素子は、半導体発光素子を用いることが好ましい。発光素子として半導体発光素子を用いることによって、高効率で入力に対する出力のリニアリティが高く、機械的衝撃にも強い安定した光源を備えた発光装置を提供することができる。半導体発光素子としては、窒化物系半導体発光素子であることが好ましく、GaN系半導体発光素子であることがより好ましい。窒化物系半導体発光素子は、例えばInAlGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表される組成を有するGaN系半導体発光素子を用いることができる。発光素子の発光スペクトルの半値全幅は、例えば、30nm以下とすることができる。
【0028】
発光装置は、光の出射側に400nm以上780nm以下の波長範囲の光を平均透過率が5%以下のカットフィルタを備えることが好ましい。カットフィルタの400nm以上780nm以下の波長範囲の光の平均透過率は、4%以下でもよく、3%以下でもよく、0%以上でもよく、0.5%以上でもよく、1%以上でもよい。カットフィルタは、例えば400nm以上780nm以下の波長範囲の光を吸収する色素を含む組成物を用いて製造されたものであってもよい。また、カットフィルタは、発光装置の光の出射を遮るように配置することもでき、光の出射側を遮らないように配置することもできるように、可動に配置されることが好ましい。発光装置は、カットフィルタを備えることにより、400nm以上780nm以下の範囲の可視光の波長範囲の光の発生を低減することができ、被光照射対象物(ヒトや動物等)に眩しさを感じさせることなく、また、被光照射対象物に気づかれないように画像データを得ることが可能である。カットフィルタの透過率は、例えばカットフィルタに400nm以上780nm以下の範囲内に発光ピーク波長を有し、発光ピーク波長が互いに異なる複数の光を垂直にカットフィルタに入射し、分光光度計(例えば日立ハイテクサイエンス製)を用いて入射光と出射光の発光強度を測定し、測定された入射光と出射光の発光強度を比較することによって透過率を測定することができる。400nm以上780nm以下の範囲内で、発光ピーク波長の異なる少なくとも5つの発光ピーク波長を有する光の透過率を、前述の透過率の測定と同様にして測定し、5点の算術平均値を、カットフィルタの400nm以上780nm以下の範囲内の平均透過率とすることができる。
【0029】
波長変換部材に含まれる蛍光体は、波長変換部材に含まれる透光性材料が樹脂である場合は、樹脂の100質量部に対して、第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する少なくとも2種以上の蛍光体は、蛍光体の総量が10質量部以上300質量部以下の範囲内であることが好ましく、15質量部以上250質量部以下の範囲内であることがより好ましく、20質量部以上200質量部以下の範囲内であることがより好ましい。波長変換部材に含まれる蛍光体の総量が、樹脂の100質量部に対して、10質量部以上300質量部以下の範囲内であれば、被光照射対象物に近赤外光の波長範囲内の発光強度の高い光を照射することができ、被光照射対象物によって反射される光の強度も大きくなるため、近赤外の様々な波長の光に対する被光照射対象物の反射率の情報が容易に得られる。後述するように、得られた光の波長ごとの反射率の差を解析することによって、被光照射対象物からの反射光を含む反射率のデータをカラー化した画像にすることが可能である。
【0030】
波長変換部材に含まれる第1蛍光体は、被光照射対象物に発光装置から近赤外光の波長範囲内の光を照射するために、波長変換部材に含まれる透光性材料が樹脂である場合には、樹脂の100質量部に対して、5質量部以上100質量部以下の範囲内であることが好ましく、10質量部以上80質量部以下の範囲内でもよい。第1蛍光体が組成の異なる複数種の第1蛍光体を含む場合には、波長変換部材に含まれる第1蛍光体の量は、複数種の第1蛍光体の合計量を意味する。
【0031】
波長変換部材に含まれる第2蛍光体は、被光照射対象物に発光装置から近赤外光の波長範囲内の光を照射するために、波長変換部材に含まれる透光性材料が樹脂である場合には、樹脂の100質量部に対して、10質量部以上100質量部以下の範囲内であることが好ましく、15質量部以上95質量部以下の範囲内でもよく、20質量部以上90質量部以下の範囲内でもよい。第2蛍光体が組成の異なる複数種の第2蛍光体を含む場合には、波長変換部材に含まれる第2蛍光体の量は、複数種の第2蛍光体の合計量を意味する。
【0032】
波長変換部材に含まれる第3蛍光体は、被光照射対象物に発光装置から近赤外光の波長範囲内の光を照射するために、波長変換部材に含まれる透光性材料が樹脂である場合には、樹脂の100質量部に対して、15質量部以上100質量部以下の範囲内であることが好ましく、20質量部以上95質量部以下の範囲内でもよく、25質量部以上90質量部以下の範囲内でもよい。第3蛍光体が組成の異なる複数種の第3蛍光体を含む場合には、波長変換部材に含まれる第3蛍光体の量は、複数種の第3蛍光体の合計量を意味する。
【0033】
波長変換部材に第4蛍光体を含む場合は、波長変換部材に含まれる透光性材料が樹脂である場合は、樹脂の100質量部に対して、蛍光体の総量が10質量部以上550質量部以下の範囲内であることが好ましく、20質量部以上500質量部以下の範囲内であることがより好ましく、30質量部以上450質量部以下の範囲内であることがより好ましい。波長変換部材に第4蛍光体を含む場合には、蛍光体の総量が、樹脂の100質量部に対して、10質量部以上550質量部以下の範囲内であれば、被光照射対象物に近赤外光の波長範囲内の光とともに、可視光の波長範囲の光を照射することができる。
【0034】
波長変換部材に第4蛍光体を含む場合は、波長変換部材に含まれる透光性材料が樹脂である場合は、樹脂の100質量部に対して、第4蛍光体が10質量部以上200質量部以下の範囲内であることが好ましく、20質量部以上180質量部以下の範囲内であることがより好ましく、30質量部以上150量部以下の範囲内であることがより好ましい。波長変換部材に含まれ第4蛍光体が、樹脂の100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲内であれば、被光照射対象物に近赤外光の波長範囲内の光とともに、可視光の波長範囲の光を照射することができる。第4蛍光体が組成の異なる複数種の第4蛍光体を含む場合には、波長変換部材に含まれる第4蛍光体の量は、複数種の第4蛍光体の合計量を意味する。
【0035】
波長変換部材に第4蛍光体を含む場合は、第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体からなる群から選択される少なくとも2種以上の蛍光体の合計と、第4蛍光体の質量比率(第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体からなる群から選択される少なくとも2種以上の蛍光体の合計量:第4蛍光体)で、第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体からなる群から選択される少なくとも2種以上の蛍光体の合計量100質量部に対して、第4蛍光体が10質量部以上180質量部以下の範囲内であることが好ましく、20質量部以上150質量部以下の範囲内であることがより好ましく、30質量部以上140質量部以下の範囲内であることがさらに好ましい。第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体からなる群から選択される少なくとも2種以上の合計量の100質量部に対して、第4蛍光体の量が10質量部以上180質量部以下の範囲内であれば、発光装置は、被光照射対象物に、後述する反射率の差によるカラー化を可能とする程度の発光強度の高い近赤外光の波長範囲内の光とともに、可視光の波長範囲の光を照射することができる。
【0036】
発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、700nm以上1400nm以下の範囲内における発光強度の最小値が5%以上であることが好ましい。発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときの700nm以上1400nm以下の範囲内における発光強度の最小値が5%以上であれば、被光照射対象物によって反射される近赤外光の強度も大きくなり、近赤外の様々な波長の光に対する被光照射対象物の反射率の情報が容易に得られるため、より詳細な光の波長ごとの反射率の差を解析して、より鮮明なカラー画像となるようデータを得ることができる。
【0037】
発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、800nm以上1200nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上であることが好ましい。発光装置は、発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときの800nm以上1200nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上であれば、被光照射対象物によって反射される近赤外光の強度もより大きくなり、近赤外の様々な波長の光に対する被光照射対象物の反射率の情報がより容易に得られるため、より詳細な光の波長ごとの反射率の差を解析して、より鮮明なカラー画像となるようデータを得ることができる。
【0038】
照明装置は、発光装置と、タングステンランプ、キセノンランプ及びハロゲンランプからなる群から選択される少なくとも1種の補助光源を備えることが好ましい。照明装置は、発光装置と、タングステンランプ、キセノンランプ及びハロゲンランプからなる群から選択される少なくとも1種の補助光源を備えることにより、発光装置からの近赤外光では不足している波長範囲の光を補うことができ、近赤外光の波長範囲の光を被光照射対象物に照射することができる。また、被光照射対象物からの近赤外光の波長範囲の光の反射率の差を解析して、鮮明なカラー画像となるデータを得ることができる。
【0039】
暗視装置は、発光装置又は照明装置と、赤外線カメラと、赤外線カメラで撮影された画像を解析して、可視光領域の色を再現する画像処理部と、を備える。暗視装置は、画像処理部で再現された可視光領域の画像を表示する表示部を備えることが好ましい。
【0040】
図7は、発光装置を備えた暗視装置の一例の概略構成を模式的に示す図である。暗視装置1は、光源となる発光装置102を含む照明装置300と、赤外線検出器である赤外線カメラ400と、赤外線カメラに受信した画像データである信号を解析して可視光領域の色を再現する画像処理部500を備える。暗視装置1は、画像処理部500で処理した信号を疑似カラー化して表示する表示部600を備える。暗視装置1は、照明装置300から光を出射する部分に、可動な第1カットフィルタ202を備えていてもよく、赤外線カメラ400の光が入射する部分に可動な第2カットフィルタ203を備えていてもよい。暗視装置1は、照明装置300から出射された光が被光照射対象物Tに照射される。被光照射対象物Tは、照明装置300から出射された光を反射する。被光照射対象物Tから反射された光は、赤外線検出器である赤外線カメラ400が受光する。赤外線カメラ400は、反射ミラーや対物レンズ当の光学系を備えてもよい。暗視装置1は、赤外線カメラ400が受光した被光照射対象物Tからの反射光の信号を画像処理部500で解析する。暗視装置1は、赤外線カメラ400が受光した被光照射対象物Tからの反射光の信号を増幅して画像処理部500に伝える増幅器を備えていてもよい。画像処理部500は、赤外線カメラ400が受光した被光照射対象物Tからの反射光の波長及び強度等の信号を解析する信号処理装置501と、信号処理装置501によって例えば反射光の波長の違いによって、それぞれ赤色(R)、青色(B)、緑色(G)とみなして疑似カラーを生成する色変換手段502とを備える。例えば被光照射対象物Tからの反射光の波長が780nm、870nm、940nmである場合に、反射光の波長と色との関係が設定されたデータをメモリ等の記憶部に予め記憶しておき、色変換手段502が、記憶されたデータに基づいて、反射光の各波長をそれぞれ色、例えば赤色(R)、青色(B)、緑色(G)に変換し、疑似カラー化した画像を液晶ディスプレイ等の表示部600にカラー画像として表示することができる。赤外線カメラ400が受光した被光照射対象物Tからの反射光は、波長ごとの反射率の差分等が画像処理部500で検出され、色変換手段502でより鮮明な疑似カラー化され、液晶ディスプレイ等の表示部600にカラー画像として表示される。図7中、矢印は光又は光による信号を表す。
【0041】
なお、近赤外光を照射して得る画像データは、赤外線サーモグラフィ等の熱検知センサを使用して赤外線放射エネルギー量を検出し、被光照射対象物の熱温度の差分を検知して、差分を白黒画像として表するため、不鮮明の画像となることが多い。
【0042】
本開示に係る暗視装置は、発光装置から発光強度の高い近赤外光を被光照射対象物に照射し、被光照射対象物からの反射光を画像データとして赤外線カメラで受光し、画像データである信号を解析して、反射光の波長によって赤色(R)、青色(B)、緑色(G)に振り分けて疑似カラー化することができるので、より鮮明なカラー画像とすることができる。
【0043】
暗視装置は、発光素子と、第1蛍光体、第2蛍光体及び第3蛍光体からなる群から選択される少なくとも2種以上の蛍光体を備えた前述の発光装置を光源として備えるため、被光照射対象物に発光強度の高い近赤外光を照射することができ、被光照射対象物Tから反射光を解析して、反射光の波長等によって疑似カラー化することができるので、より鮮明なカラー画像を表示部に表示することができる。また、例えば被光照射対象物Tからの反射光を受光する部分に配置する第2カットフィルタの分光特性をディープラーニングにて補ってもよい。ディープラーニングにて補った暗視装置は、赤外線カメラで受光した被光照射対象物Tからの反射光の波長又は強度をより詳細に検出して、疑似カラーの精度を向上させて、より鮮明なカラー画像を表示部に表示させることができる。
【0044】
図8は、発光装置を備える暗視装置の一例の概略構成を模式的に示す図である。暗視装置2は、光源となる発光装置102と、タングステンランプ、キセノンランプ及びハロゲンランプからなる群から選択される少なくとも1種の補助光源103を含む照明装置301と、を備えることが、図7に示す暗視装置1と異なり、他の概略構成は、図7に示す暗視装置1と同様である。図8中、矢印は光又は光による信号を表す。
【0045】
本開示は、以下の態様を包含してよい。
[項1]
発光素子と、前記発光素子からの光の少なくとも一部を吸収して発光する蛍光体と、を備え、
前記蛍光体は、700nm以上800nm未満の第1範囲内に発光ピーク波長を有する第1蛍光体、800nm以上1100nm未満の第2範囲内に発光ピーク波長を有する第2蛍光体、及び1100nm以上1500nm未満の第3範囲内に発光ピーク波長を有する第3蛍光体からなる群から選択されるそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する2種以上の蛍光体と、を含む、発光装置。
[項2]
前記発光素子が、250nm以上700nm未満の範囲内に発光ピーク波長を有する、項1に記載の発光装置。
[項3]
発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、700nm以上1400nm以下の範囲内における発光強度の最小値が5%以上である、項1又は2に記載の発光装置。
[項4]
発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、800nm以上1200nm以下の範囲における発光強度の最小値が10%以上である、項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
[項5]
前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体が、それぞれ下記式(1)で表される組成を有する第1酸化物蛍光体、下記式(2)で表される組成を有する第2酸化物蛍光体、下記式(3)で表される組成を有する第3酸化物蛍光体、下記式(4)で表される組成を有する第4酸化物蛍光体、下記式(5)で表される組成を有する第5酸化物蛍光体、下記式(6)で表される組成を有する第6酸化物蛍光体、下記式(7)で表される組成を有する第7酸化物蛍光体、下記式(8)で表される組成を有する第8酸化物蛍光体、及び下記式(9)で表される組成を有する第9酸化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
t1 u1 v1 w1:Crx1,M y1 (1)
(前記式(1)中、Mが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Mg、Ca、Sr、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、B、Al、Ga、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Si、Ti、Ge、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t1、u1、v1、w1、x1及びy1は、0.7≦t1≦1.3、1.5≦u1≦2.5、0.7≦v1≦1.3、12.9≦w1≦15.1、0<x1≦0.2、0≦y1≦0.10、y1<x1を満たす。)
(Mg1-t2 t2u2(Ga1-v2-x2-y2 v2w2:Crx2,M y2 (2)
(前記式(2)中、Mが、Ca、Sr、Ba、Ni及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、B、Al、In及びScからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、Mが、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t2、u2、v2、w2、x2及びy2は、0≦t2≦0.8、0.7≦u2≦1.3、0≦v2≦0.8、3.7≦w2≦4.3、0.02<x2≦0.3、0≦y2≦0.2、y2<x2を満たす。)
t310 u3(Ge1-v311 v3w3:Crx3,M12 y3 (3)
(前記式(3)中、Mが、Li、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M10が、Ca、Sr、Mg、Ba及びZnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M11が、Si、Ti、Zr、Sn、Hf及びPbからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M12が、Eu、Ce、Tb、Pr、Nd、Sm、Yb、Ho、Er、Tm、Ni及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t3、u3、v3、w3、x3及びy3は、1.5≦t3≦2.5、0.7≦u3≦1.3、0≦v3≦0.4、12.9≦w3≦15.1、0<x3≦0.2、0≦y3≦0.10、y3<x3を満たす。)
Ga:Cr (4)
Sr(Al,Ga)1425:Cr (5)
LiScSi:Cr (6)
LiGa:Cr (7)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12 (8)
LaGaGeO14:Cr (9)
[項6]
前記第3蛍光体が、下記式(10)で表される組成を有する第10酸化物蛍光体、下記式(11)で表される組成を有する第11酸化物蛍光体、及び下記式(12)で表される組成を有する第12酸化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
(Li1-t413 t4u4(Ga1-v414 v4w4:Crx4,Niy4,M15 z4 (10)
(前記式(10)中、M13は、Na、K、Rb及びCsからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M14は、B、Al、Sc、In及び希土類元素からなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、M15は、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hf、Bi、V、Nb及びTaからなる群から選択される少なくとも1種の元素であり、t4、u4、v4、w4、x4、y4及びz4は、それぞれ0≦t4≦1.0、0.7≦u4≦1.6、0≦v4<1.0、7.85≦w4≦11.5、0.05≦x4≦1.2、0≦y4≦0.5、0.25<x4+y4≦1.2、y4<x4、0≦z4≦0.5を満たす。)
MgGa:Cr,Ni (11)
GdGa12:Cr,Ni (12)
[項7]
前記蛍光体は、400nm以上700nm未満の第4範囲内に発光ピーク波長を有する第4蛍光体を含む、項1から6のいずれか1項に記載の発光装置。
[項8]
前記第4蛍光体が、下記式(13)で表される組成を有するリン酸塩蛍光体、下記式(14)で表される組成を有するケイ酸塩蛍光体、下記式(15)で表される組成を有する第1アルミニウム酸塩蛍光体、下記式(16)で表される組成を有する第2アルミニウム酸塩蛍光体、下記式(17)で表される組成を有する第1窒化物蛍光体、下記式(18)で表される組成を有する第2窒化物蛍光体、下記式(19)で表される組成を有する第1フッ化物蛍光体、及び下記式(20)で表される組成を有する第2フッ化物蛍光体からなる群から選択される少なくとも1種の蛍光体を含む、項7に記載の発光装置。
(Ca,Sr,Ba,Mg)10(PO(F,Cl,Br,I):Eu (13)
(Ca,Sr,Ba)MgSi16(F,Cl,Br):Eu (14)
SrAl1425:Eu (15)
(Lu,Y,Gd,Tb)(Al,Ga)12:Ce (16)
(Ba,Sr,Ca)Si:Eu (17)
(Sr,Ca)AlSiN:Eu (18)
SiF:Mn (19)
[Si1-x5Alx5]F6-x5:Mn (20)
(式(20)中、x5は、0<x5≦0.1を満たす。)
[項9]
400nm以上780nm以下の波長範囲の光の平均透過率が5%以下のカットフィルタ、を備えた項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
[項10]
項1から9に記載の発光装置と、タングステンランプ、キセノンランプ及びハロゲンランプからなる群から選択される少なくとも1種の補助光源と、を備えた照明装置。
[項11]
請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置又は項10に記載の照明装置と、赤外線カメラと、前記赤外線カメラで撮影された画像を解析して、可視光領域の色を再現する画像処理部と、を備えた暗視装置。
[項12]
前記画像処理部で再現された可視光領域の画像を表示する表示部を備えた、項11に記載の暗視装置。
【実施例0046】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
【0047】
実施例1
凹部を有する成形体と、凹部の底面に配置された発光素子と、凹部内に配置され発光素子を覆う波長変換部材と、備える、図1に示す態様の発光装置を製造した。発光装置の励起光源として、発光ピーク波長が440nmである光を出射するGaN系半導体発光素子を用いた。発光素子は、導電部材を介して凹部の底面に実装した。波長変換部材は、透光性材料としてシリコーン樹脂と、発光素子から出射された光の少なくとも一部を吸収してそれぞれ異なる範囲に発光ピーク波長を有する光を発する第1蛍光体、第2蛍光体、及び第3蛍光体を含む。波長変換部材用樹脂組成物は、ポッティングにて凹部内に配置した。波長変換部材用樹脂組成物を硬化させて実施例1に係る発光装置を製造した。実施例1に係る発光装置に含まれる第1蛍光体、第2蛍光体、及び第3蛍光体の種類及び発光ピーク波長と、波長変換部材用樹脂組成物におけるシリコーン樹脂100質量部に対する各蛍光体の量と、を表1に示す。本明細書において、表中の「-」の記号は、該当する項目の数値がないことを表す。
【0048】
実施例2
発光装置に含まれる第1蛍光体、第2蛍光体、及び第3蛍光体の種類と、シリコーン樹脂100質量部に対する各蛍光体の量を表1に表す量としたこと以外は、実施例1と同様にして、発光装置を製造した。
【0049】
実施例3
第4蛍光体を含み、発光装置に含まれる第1蛍光体、第2蛍光体、第3蛍光体、及び第4蛍光体の種類と、シリコーン樹脂100質量部に対する各蛍光体の量を表2に表す量としたこと以外は、実施例1と同様にして、図3に示す態様の発光装置を製造した。
【0050】
発光スペクトル
製造した発光装置について、積分球を使用した全光束測定装置(日亜化学工業株式会社製)を用いて、カットフィルタで遮断しない状態で、各発光装置から出射される光の波長に対する相対発光強度(任意値)を示す発光スペクトルを測定した。図9は、実施例1及び実施例2に係る発光装置の発光スペクトルを示し、図10は、実施例3に係る照明装置の光源として用いる発光装置の発光スペクトルを示した。図10は、発光装置の発光スペクトルにおいて、光の波長に対する最も高い発光強度を100%としたときの相対発光強度の割合(%)で表した。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
図9に示すように、実施例1及び2に係る発光装置は、各発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、700nm以上1400nm以下の範囲内における発光強度の最小値が5%以上であった。また、実施例1及び2に係る発光装置は、各発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、800nm以上1200nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上であった。
【0054】
図10に示すように、実施例3に係る発光装置は、各発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、700nm以上1400nm以下の範囲内における発光強度の最小値が5%以上であった。また、実施例3に係る発光装置は、各発光装置の発光スペクトルにおいて、700nm以上の範囲における発光強度の最大値を100%としたときに、800nm以上1200nm以下の範囲内における発光強度の最小値が10%以上であった。また、実施例3に係る発光装置は、可視光の波長範囲においても高い発光強度を有する光を照射することが確認できた。
【0055】
実施例1から3に係る発光装置は、周囲が暗い場合であっても、被光照射対象物に眩しさを感じさせることなく、また、被光照射対象物に光の照射を気づかれにくい、発光強度の高い近赤外光の波長範囲の光を照射することができた。実施例1から3に係る発光装置を照明装置又は暗視装置に使用すると、発光装置から発光強度の高い近赤外光が照射され、被光照射対象物によって反射される近赤外光の強度も大きくなり、より詳細な光の波長ごとの反射率の差を解析して、より鮮明なカラー画像となるデータを得ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本開示に係る発光装置は、暗闇でも被光照射対象物に近赤外光を照射することができ、セキュリティ用の照明装置又は暗視装置、夜行性動物の生態等を記録又は観測する照明装置又は暗視装置、自動運転車両等の車両用の発光装置に使用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1,2:暗視装置、10,11:発光素子、12,13:電極、14,15:接続部材、21:第1リード、22:第2リード、30:支持体、40:成形体、42:樹脂部、43:反射部材、50、51:波長変換部材、60:ワイヤ、61、62:導電部材、70:蛍光体、71:第1蛍光体、72:第2蛍光体、73:第3蛍光体、74:第4蛍光体、80:導光部材、100,101,102:発光装置、103:補助光源、200,201:カットフィルタ、202:第1カットフィルタ、203:第2カットフィルタ、300,301:照明装置、400:赤外線カメラ、500:画像処理部、501:信号処理装置、502:色変換手段、600:表示部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10