(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086118
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】ケース回路構成体
(51)【国際特許分類】
H05K 7/14 20060101AFI20240620BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20240620BHJP
H02G 3/16 20060101ALI20240620BHJP
H05K 5/02 20060101ALN20240620BHJP
H05K 3/00 20060101ALN20240620BHJP
【FI】
H05K7/14 F
H05K5/00 A
H02G3/16
H05K5/02 L
H05K3/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201070
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096091
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 誠一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 明憲
【テーマコード(参考)】
4E360
5E348
5G361
【Fターム(参考)】
4E360AB02
4E360AB12
4E360CA02
4E360EA03
4E360EA12
4E360EA24
4E360ED03
4E360ED28
4E360FA17
4E360GA28
4E360GA29
4E360GA33
4E360GB93
4E360GC08
5E348AA11
5E348AA15
5G361BA01
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
5G361BC03
(57)【要約】
【課題】 ピンの配置の自由度が高く、イオンマイグレーションの発生を抑制することが可能なケース回路構成体を提供することができる。
【解決手段】 基板5の表面には、導体性回路体13が形成される。導体性回路体13は、互いに電気的に絶縁された第1回路体11aと第2回路体11bを有する。第1回路体11aと第2回路体11bは、所定の距離をおいて配置される。突起部7の先端の少なくとも一部が第1回路体11aの一部と近接する場合において、第2回路体11bに、突起部7の先端部から所定の距離をあけるように切り欠き15が形成される。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースに回路基板が収容されたケース回路構成体であって、
基板は、第1ケース体と第2ケース体とによって内包され、
前記基板は、導体性回路体を有し、
前記導体性回路体は、互いに電気的に絶縁された第1回路体と第2回路体を有し、前記第1回路体と前記第2回路体は、離間して配置され、
前記第1ケース体には、前記基板の一部に近接する突起部を有し、
前記突起部の先端は前記第1回路体の一部と近接し、前記第2回路体には、前記突起部の先端部から所定の距離をあけるように切り欠きが形成されることを特徴とするケース回路構成体。
【請求項2】
前記突起部の先端は、前記第1回路体の端部近傍に配置されることを特徴とする請求項1記載のケース回路構成体。
【請求項3】
前記突起部の先端の一部が、前記第1回路体からはみ出すように配置され、
前記第2回路体には、前記第1回路体からはみ出している前記突起部の先端から、所定の距離をあけるように前記切り欠きが形成されることを特徴とする請求項2記載のケース回路構成体。
【請求項4】
前記第1回路体と前記第2回路体は、互いに電位が異なる回路であることを特徴とする請求項1記載のケース回路構成体。
【請求項5】
前記第1回路体と前記第2回路体は、一方が正極回路体であり、他方が負極回路体であることを特徴とする請求項4記載のケース回路構成体。
【請求項6】
前記突起部の外側面には、基部から先端方向に沿ってリブが形成されることを特徴とする請求項1記載のケース回路構成体。
【請求項7】
前記突起部の先端面には溝が形成されることを特徴とする請求項1記載のケース回路構成体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の電源分配ボックスなど、ケース内に基板が配置されるケース回路構成体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば自動車等において、内部にヒューズやリレー等が収容された電源分配ボックスが設置される。このような電源分配ボックスでは、ケース内に回路基板が配置され、回路基板上に種々の電気デバイスが搭載される。
【0003】
しかし、自動車等においては、振動が生じるため、回路基板が振動の影響を受ける。特に、回路基板の中央部近傍や、大きな電気デバイスが搭載された近傍では、この振動の影響が大きくなる。
【0004】
これに対し、ケースの内部にピンを設け、ケースで回路基板を挟み込むように配置した際に、ピンの先端を回路基板に押し付けることで、振動を抑制する方法が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述したように、ケース内に形成されるピンは、特に振動の影響を受けやすい場所や、荷重のかかる場所に配置することが効率的である。例えば、振動の影響を受けやすい場所として、ピンは、回路基板の中央部や重量のある電気デバイスの近傍に配置される。また、荷重のかかる場所として、ピンは、ヒューズやリレー等の電子部品や、端子付き電線のコネクタなどが挿入される部位の近傍に配置される。しかし、回路基板上には、回路導体(パターン)が配置されており、全ての回路導体を避けてピンを配置するのでは、上述したような効率のよい配置ができなくなる。
【0007】
このため、ピンの先端の一部は、回路導体上に配置される場合がある。通常、ピンは樹脂で形成されるため、仮に隣り合う回路導体にまたがってピンが配置されたとしても、直ちに短絡することはない。しかし、ピンが異電位の回路間を跨ぐように配置されると、水分浸入時等において、ピンと基板間に水分が保持される場合がある。
【0008】
例えば、回路基板上の回路導体は、電力を供給する正極と、GND回路である負極とが近接する場合がある。このように、正極回路と負極回路とが近接し、これらにまたがるように水分が付着して保持されると、正極側の銅箔パターンから銅イオンが溶出され、電解の作用により負極側の銅箔パターンに引き寄せられた銅イオンは負極から電子をもらい受けて銅となり析出する、いわゆるイオンマイグレーションを助長する可能性がある。このため、ピンが隣り合う回路導体同士の間にまたがるように配置されると、水分によって、回路導体同士の絶縁性能を確保することが困難となる。
【0009】
しかし、ピンを、回路導体同士に跨がらないよう配置しようとすると、ピンの配置の自由度が低下し、十分な基板の振動抑制効果を得ることや、基板への荷重に対する補強効果を得ることが困難となる場合がある。
【0010】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、ピンの配置の自由度が高く、イオンマイグレーションの発生を抑制することが可能なケース回路構成体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達するために本発明は、ケースに回路基板が収容されたケース回路構成体であって、基板は、第1ケース体と第2ケース体とによって内包され、前記基板は、導体性回路体を有し、前記導体性回路体は、互いに電気的に絶縁された第1回路体と第2回路体を有し、前記第1回路体と前記第2回路体は、離間して配置され、前記第1ケース体には、前記基板の一部に近接する突起部を有し、前記突起部の先端は前記第1回路体の一部と近接し、前記第2回路体には、前記突起部の先端部から所定の距離をあけるように切り欠きが形成されることを特徴とするケース回路構成体である。
【0012】
前記突起部の先端は、前記第1回路体の端部近傍に配置されてもよい。
【0013】
この場合、前記突起部の先端の一部が、前記第1回路体からはみ出すように配置され、前記第2回路体には、前記第1回路体からはみ出している前記突起部の先端から、所定の距離をあけるように前記切り欠きが形成されることが望ましい。
【0014】
前記第1回路体と前記第2回路体は、互いに電位が異なる回路であってもよい。
【0015】
前記第1回路体と前記第2回路体は、一方が正極回路体であり、他方が負極回路体であってもよい。
【0016】
前記突起部の外側面には、基部から先端方向に沿ってリブが形成されてもよい。
【0017】
前記突起部の先端面には溝が形成されてもよい。
【0018】
本発明によれば、突起部が基板と近接する部位において、突起部に対して所定の距離をあけるように、第2回路体に切り欠きを形成することで、突起部と基板との近接部に水分が付着したとしても、水分が第2回路体と接触することを抑制し、意図しない回路体同士の短絡や、イオンマイグレーションの発生を抑制することができる。このため、それぞれの回路体に接続された電気機器の誤作動や動作不良を抑制することができる。この際、突起部の配置の自由度が損なわれることが無い。
【0019】
このような効果は、特に、突起部の先端が第1回路体の端部近傍に配置される場合に有効であり、第1回路体から突起部の先端がはみ出すように配置された際に、より有効である。
【0020】
この際、第1回路体と第2回路体とは、互いに電位が異なる回路であるとより確実に効果を得ることができ、例えば、第1回路体と第2回路体が、一方が正極回路体であり、他方が負極回路体である場合において、より確実にイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0021】
また、突起部の外側面に、基部から先端方向に沿ってリブを形成することで、突起部の強度を高めることができる。この結果、突起部の変形が抑制され、回路体に対して、より確実に所定の距離を維持することができる。
【0022】
また、突起部の先端面に溝を形成することで、突起部の先端と基板との隙間に浸入した水分を毛細管現象によって基板上に滞留させなくすることができ、より確実にイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。特に、溝の形成方向を、突起部から所定の距離を空けたい方向(第2回路体の方向)に向かわないように配置すれば、たとえ水分が溝から排出されても、回路体間に水が溜まることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ピンの配置の自由度が高く、イオンマイグレーションの発生を抑制することが可能なケース回路構成体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】突起部7が基板5へ近接する部位近傍の拡大概念図。
【
図3】(a)、(b)は、第1回路体11aと第2回路体11bに対する突起部7の配置を示す平面図。
【
図4】第1回路体11aと第2回路体11bに対する突起部7の配置を示す平面図。
【
図5】(a)、(b)は、突起部7の先端部の溝17を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、ケース回路構成体1の部分斜視図である。ケース回路構成体1は、第1ケース体3a、第2ケース体3bと、基板5等から構成される。
【0026】
第1ケース体3aと第2ケース体3bは、絶縁部材からなり、対向させて連結することができる。この際、第1ケース体3aと第2ケース体3bとの間には基板5が内包される。すなわち、ケース回路構成体1は、第1ケース体3aと第2ケース体3bの内部に基板5が収容される。
【0027】
なお、ケース回路構成体1は、例えば自動車用の電源分配ボックスである。すなわち、ケース回路構成体1は、基板5上の回路と接続されたヒューズやリレー等の各種の電気部品が配置される。なお、ケース回路構成体1としては、特に用途及び機能は限定されない。
【0028】
第1ケース体3aの内面側には、基板5に向かって突出する突起部7が形成される。突起部7の先端は基板5の一部に近接する。なお、近接とは、通常時において突起部7の先端が基板5に当接していてもよく、わずかに(例えば0.1~0.2mm程度)隙間をあけていてもよい。突起部7と基板5との間にわずかに隙間が空いていたとしても、基板5が振動や荷重によりわずかに変位又は変形した際に、突起部7が基板5と接触し、その隙間以上の変形等が抑制される。すなわち、基板5の一部は、第1ケース体3aから突起部7によって押さえられることで、振動や荷重に対する変位や変形が抑制される。このため、基板5が第1ケース体3a及び第2ケース体3bに対して振動や荷重によって、所定以上の変位や変形することを抑制することができる。なお、突起部7は、第1ケース体3aの内面に、複数個所に配置され、特に、基板5の中央部近傍、重量のある電気部品が搭載されている部位近傍又は、コネクタ等の荷重のかかる部位近傍に配置される。
図1に示した例では、突起部7は、基板5のコネクタ8が配置された部位近傍の逆側に配置される。
【0029】
図2は、突起部7と基板5との配置を示す拡大概念図である。なお、突起部7の上端が図示を省略した第1ケース体3aの内面に接合される。すなわち、図の上方が突起部7の基部側であり、図の下方が突起部7の先端となる。前述したように、突起部7の先端は基板5に近接する。
【0030】
なお、突起部7の形態は特に限定されないが、例えば、図示したように、突起部7は、略円柱形状の部材であり、突起部7の外側面に、基部から先端方向に沿って複数のリブ9を形成してもよい。
【0031】
基板5の表面には、導体性回路体13が形成される。導体性回路体13は例えば銅箔が基板5上にプリントされて構成される。なお、回路体表面に形成されるレジスト(絶縁層については図示を省略する)。ここで、導体性回路体13は、互いに電気的に絶縁された第1回路体11aと第2回路体11bを有する。第1回路体11aと第2回路体11bは、離間して配置される。
【0032】
第1回路体11aと第2回路体11bは、互いに電位が異なる。すなわち、第1回路体11aと第2回路体11bとは、互いに異なる回路を構成する。例えば、第1回路体11aと第2回路体11bは、一方が正極回路体であり、他方が負極回路体(GND)であってもよい。
【0033】
図3(a)は、基板5の平面図であり、突起部7と、第1回路体11a及び第2回路体11bの位置関係を示す概念図である。なお、図中点線で示した範囲は、突起部7の先端面を示す。すなわち、点線で示した範囲が、突起部7において、基板5との近接(当接)可能範囲となる。
【0034】
図3(a)に示す例では、突起部7の先端の一部が、第1回路体11aからはみ出すように配置される。ここで、第2回路体11bには、第1回路体11aからはみ出している突起部7の先端から、所定の距離をあけるように切り欠き15が形成される。なお、図中点線Aは、切り欠き15が形成されないとした場合の第2回路体11bの形成範囲である。
【0035】
すなわち、
図3(a)に示す例では、突起部7が、第1回路体11aと、切り欠きが無いとした場合の第2回路体11bとにまたがるように配置される。この際、第2回路体11bには、突起部7と距離をあけるようにして切り欠き15が形成される。このため、突起部7は、第2回路体11bとは重ならずに、所定の間隔があけて配置される。例えば、切り欠き15は、突起部7の中心に対して同心円状に形成される。
【0036】
突起部7は、絶縁性の部材で構成されるため、第1回路体11aと第2回路体11bとにまたがるように配置されても、直ちに短絡することはない。また、第1回路体11aと第2回路体11bの表面は、レジストによって被覆されているため、第1回路体11aと第2回路体11bとの表面に他の部材が接触しても回路体同士が短絡することはない。しかし、基板5への突起部7の接触等によりレジストの一部がはがれてしまうと、第1回路体11aと第2回路体11bとが露出する恐れがある。この際、突起部7と基板5との近接部近傍に水分が付着すると、突起部7の先端面と基板5とのわずかな隙間や、突起部7の先端外縁部に水分が保持される。このため、互いに電位の異なる第1回路体11aと第2回路体11bとの間でイオンマイグレーションが生じる恐れがある。
【0037】
これに対し、第2回路体11bの突起部7との近接範囲に切り欠き15を形成することで、突起部7と基板5との間に水分が付着して保持されても、水分が第2回路体11bと接触することを抑制することができる。なお、突起部7の先端部における水分は、突起部7の先端面よりもわずかに外周にはみ出して保持される可能性があるため、突起部7と第2回路体11bとは、その分の隙間をあけるように切り欠き15が形成される。
【0038】
なお、
図3(b)に示すように、突起部7は、必ずしも第1回路体11aと第2回路体11bとにまたがるように配置されなくてもよい。
図3(b)に示す例では、切り欠き15が無いとした場合の第2回路体11bに対して、突起部7は重ならない。
【0039】
この場合でも、突起部7と第2回路体11bとの間に所定の間隔をあけるためには、第2回路体11bの一部に切り欠き15が形成される。すなわち、突起部7と、切り欠き15が無い場合の第2回路体11bとに重なりが無い場合であっても、切り欠き15を形成することで、上述したように、突起部7の先端部に保持された水分によるイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0040】
また、
図4は、さらに別の形態を示す図である。
図4に示す例では、突起部7の先端は、第1回路体11aの端部近傍(第2回路体11b側の端部)に配置されるが、突起部7の先端が第1回路体11aの端部から、はみ出していない。すなわち、突起部7の先端の全体が、第1回路体11aと重なるように配置される。
【0041】
この場合でも、突起部7と第2回路体11bとの間に所定の間隔をあけるためには、第2回路体11bの一部に切り欠き15が形成される。すなわち、突起部7が、第1回路体11aからはみ出していない場合であっても、第2回路体11bに切り欠き15を形成することで、上述したように、突起部7の先端部に保持された水分によるイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。
【0042】
このように、本実施形態では、突起部7の先端の少なくとも一部が第1回路体11aの一部と近接する場合において、第2回路体11bに、突起部7の先端部から所定の距離をあけるように切り欠き15が形成されれば、突起部7の配置は特に限定されない。なお、切り欠き15によって保持される突起部7と第2回路体11bとの距離は、例えば1mm程度であり、切り欠き15が無い部位における第1回路体11aと第2回路体11bとの間隔以上であることが望ましく、さらに望ましくは、切り欠き15によって保持される突起部7と第2回路体11bとの距離は、切り欠き15が無い部位における第1回路体11aと第2回路体11bとの間隔よりも大きいことが望ましい。
【0043】
また、突起部7の先端面は完全に平坦面で形成してもよいが、これには限定されない。例えば、
図5(a)に示すように、突起部7の先端面に溝17を形成してもよい。図示した例では、溝17は、突起部7の先端面の略中央を通り、径方向に貫通するように一直線状に形成される。すなわち、溝17は、突起部7の側方に開口する。
【0044】
前述したように、突起部7と基板5との近接部及びその周囲には、水分が保持される恐れがある。これに対し、溝17を形成することで、突起部7と基板5との間に浸入した水分を毛細管現象によって基板5上に滞留させなくすることができ、より確実にイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。又は、溝17内に水分を導入することで、突起部7の外周部に水分が流出することを抑制することができる。
【0045】
なお、
図5(b)に示すように、溝17は、十字状に形成してもよい。この場合でも、溝17によって、突起部7の先端部における水分を排出することが可能となる。
【0046】
以上、本実施形態によれば、第1ケース体3aと第2ケース体3bとに基板5が収容され、第1ケース体3aの内面側に、基板5に向けて突出する突起部7を設け、突起部7の先端を基板5に近接させることで、基板5の振動や荷重に対する変位や変形を抑制することができる。
【0047】
この際、互いに隣り合う第1回路体11aと第2回路体11bにおいて、突起部7の先端が第1回路体11aと近接する場合において、突起部7からの所定距離をあけるように第2回路体11bに切り欠き15を形成することで、第1回路体11aと第2回路体11bとの間のイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。このため、突起部7の配置の自由度が高い。
【0048】
また、突起部7に外周面にリブ9を形成することで、突起部7を補強することができる。このため、突起部7の径を小さくして、先端面のサイズを小さくしても、十分な強度を確保することができる。なお、リブ9の配置や個数は特に限定されない。
【0049】
また、突起部7の先端面に溝17を形成することで、突起部7と基板5との間に水が浸入した際にも、浸入した水分を毛細管現象によって基板上に滞留させなくすることができ、より確実にイオンマイグレーションの発生を抑制することができる。なお、溝17による水分の排出方向(溝17の形成方向)は、第2回路体11bの方向に向けないようにすることが望ましい。このように、溝17の形成方向を、突起部7から所定の距離を空けたい方向(第2回路体11bの方向)に向かわないように配置すれば、たとえ水分が溝17から排出されても、回路体間に水が溜まることを抑制することができる。
【0050】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0051】
1………ケース回路体
3a………第1ケース体
3b………第2ケース体
5………基板
7………突起部
8………コネクタ
9………リブ
11a………第1回路体
11b………第2回路体
13………導体性回路体
15………切り欠き
17………溝