(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086193
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】超音波内視鏡、及び内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201206
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 正也
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE10
4C601FE01
4C601GA02
4C601GD12
(57)【要約】
【課題】耐久性を向上させた超音波内視鏡及び内視鏡装置を提供する。
【解決手段】超音波内視鏡12は、挿入部22の先端部40に設けられた超音波振動子48と、超音波振動子48に接続された信号線束72と、先端部40において信号線束72を支持し且つ信号線束72に沿って延びたブラケット120と、ブラケット120を支持するブラケット支持部材110と、ブラケット支持部材110に対するブラケット120の揺動を規制する規制構造(突出部121a)と、を備える。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波内視鏡であって、
挿入部の先端部に設けられた超音波振動子と、
前記超音波振動子に接続されたケーブルと、
前記先端部において前記ケーブルを支持し且つ前記ケーブルに沿って延びた第1支持部材と、
前記第1支持部材を支持する第2支持部材と、
前記第2支持部材に対する前記第1支持部材の揺動を規制する規制構造と、を備える超音波内視鏡。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波内視鏡であって、
前記規制構造は、前記第1支持部材の短手方向に延びる軸回りへの前記第1支持部材の揺動を規制する超音波内視鏡。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波内視鏡であって、
前記規制構造は、前記第1支持部材における前記挿入部の基端側が、前記先端部の軸線に近づくのを規制する超音波内視鏡。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材には、前記第2支持部材により支持される被支持部よりも、前記挿入部の先端側の位置に、前記第1支持部材の外周側に配置される前記先端部の第1別部材に向けて突出する突出部が設けられ、
前記突出部によって前記規制構造が構成される超音波内視鏡。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材は、前記第2支持部材により支持される被支持部を有し、
前記被支持部は、前記第1支持部材の長手方向の中間位置よりも前記挿入部の基端側に設けられる超音波内視鏡。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材には、前記第2支持部材により支持される被支持部が、前記第1支持部材の長手方向に沿って離間して複数設けられ、
前記複数の前記被支持部によって前記規制構造が構成される超音波内視鏡。
【請求項7】
請求項6に記載の超音波内視鏡であって、
前記複数の前記被支持部は、前記第1支持部材の長手方向及び短手方向に交差する方向の位置が異なる第1被支持部と第2被支持部を含み、
前記第1被支持部は、前記第2被支持部よりも、前記先端部の外周側に配置され、
前記第1被支持部は、前記第2被支持部よりも、前記挿入部の基端側に配置される超音波内視鏡。
【請求項8】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材には、前記第2支持部材により支持される被支持部よりも、前記挿入部の基端側の位置に、前記第1支持部材の外周側に配置される前記先端部の第2別部材と係合する係合部が設けられ、
前記係合部によって前記規制構造が構成される超音波内視鏡。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材と前記第2支持部材の一方には、突起が設けられ、
前記第1支持部材と前記第2支持部材の他方には、前記突起と係合するスリットが設けられ、
前記第1支持部材の短手方向に見た状態において、前記スリットの延びる方向は、前記先端部の軸線方向に対して傾斜しており、
前記突起及び前記スリットによって前記規制構造が構成されている超音波内視鏡。
【請求項10】
請求項9に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材の短手方向に見た状態において、前記スリットにおける前記挿入部の先端側の端は、前記スリットにおける前記挿入部の基端側の端よりも、前記先端部の軸線に近い位置に設けられる超音波内視鏡。
【請求項11】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波内視鏡であって、
前記第1支持部材と前記第2支持部材の一方には、突起が設けられ、
前記第1支持部材と前記第2支持部材の他方には、前記突起と係合するスリットが設けられ、
前記突起と前記スリットの係合により、前記第1支持部材が前記第2支持部材により支持されている超音波内視鏡。
【請求項12】
請求項1から3のいずれか1項に記載の超音波内視鏡を備える内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波内視鏡、及び内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、挿入部の先端部に、超音波トランスデューサが配置された超音波内視鏡であって、上記超音波トランスデューサに電気的に接続され、上記先端部の中心軸に沿って延びる複数の信号線束であって、各信号線束は複数の同軸ケーブルと、上記複数の同軸ケーブルを被覆するシールド層と、上記シールド層を被覆する外皮とを含み、上記複数の信号線束の先端側に位置し、上記先端部において、外周側に配置される受け部材と、内側に配置される押さえ部材と、を備え、上記複数の信号線束が上記受け部材と上記押さえ部材との間で挟持されることで固定される、超音波内視鏡が記載されている。
【0003】
特許文献2には、超音波信号を発受信するための超音波プローブと光学観察を行うための対物光学系とが配置された先端部本体が、遠隔操作によって屈曲する湾曲部の先側に連結され、上記超音波プローブに入出力される信号を伝送するためのフレキシブル基板が上記湾曲部内に引き通されて、上記フレキシブル基板に対して上記先端部本体の後端に隣接する部分まで電気絶縁性の可撓性チューブが被覆された超音波内視鏡の先端部において、上記フレキシブル基板を被覆する可撓性チューブの端部付近を上記湾曲部の径方向に挟み込む一対の塀状補強部材を上記先端部本体の後端位置に設けたことを特徴とする超音波内視鏡の先端部が記載されている。
【0004】
特許文献3には、挿入部の最先端部に配置された先端部本体に、超音波信号を発受信するための超音波プローブと光学観察を行うための対物光学系とが配置されて、上記超音波プローブに入出力される信号を上記挿入部内において伝送するための信号伝達部材であるフレキシブル基板が上記先端部本体からその後方の挿入部内に引き通されると共に、上記フレキシブル基板と同程度の幅に形成された電気絶縁性の補強用可撓性シートが、上記先端部本体内から上記挿入部内にわたって上記フレキシブル基板をサンドイッチ状に挟み付ける状態に上記フレキシブル基板と重ね合わせて配置された超音波内視鏡の先端部において、上記先端部本体に、上記補強用可撓性シートを後方から差し込んだ時に上記補強用可撓性シートの先端面が所定位置において当接する段差を形成したことを特徴とする超音波内視鏡の先端部が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2022-124502号公報
【特許文献2】特開2003-325527号公報
【特許文献3】特開2005-211549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、耐久性を向上させた超音波内視鏡及び内視鏡装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の技術に係る一つの実施形態の超音波内視鏡は、挿入部の先端部に設けられた超音波振動子と、上記超音波振動子に接続されたケーブルと、上記先端部において上記ケーブルを支持し且つ上記ケーブルに沿って延びた第1支持部材と、上記第1支持部材を支持する第2支持部材と、上記第2支持部材に対する上記第1支持部材の揺動を規制する規制構造と、を備えるものである。
【0008】
本開示の技術に係る一つの実施形態の内視鏡装置は、上記超音波内視鏡を備えるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の超音波内視鏡の一実施形態である超音波内視鏡12を使用する内視鏡装置10を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す超音波内視鏡12の先端部の一例の外観を示す部分拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す超音波内視鏡12の先端部の軸線に沿う縦断面図である。
【
図4】
図4は、同軸ケーブル58の構成を示す断面図である。
【
図5】
図5は、信号線束72の構成を示す断面図である。
【
図6】
図6は、超音波内視鏡12の先端部40の一部を示す斜視図である。
【
図8】
図8は、
図6において信号線束72が省略されていない状態を示す図である。
【
図9】
図9は、
図8に示す先端部40を下側から見た斜視図である。
【
図11】
図11は、金属リング41c、ブラケット120、及びブラケット支持部材110の位置関係を示す模式図である。
【
図12】
図12は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Aの模式図である。
【
図13】
図13は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Bの模式図である。
【
図14】
図14は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Cの模式図である。
【
図15】
図15は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Dの模式図である。
【
図16】
図16は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Eの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本開示の超音波内視鏡の一実施形態である超音波内視鏡12を使用する内視鏡装置10を示す概略構成図である。
図2は、
図1に示す超音波内視鏡12の先端部の一例の外観を示す部分拡大斜視図である。
図3は、
図2に示す超音波内視鏡12の先端部の軸線に沿う縦断面図である。
【0012】
図1に示すように、内視鏡装置10は、超音波内視鏡12と、超音波画像を生成する超音波用プロセッサ装置14と、内視鏡画像を生成する内視鏡用プロセッサ装置16と、体腔内を照明する照明光を超音波内視鏡12に供給する光源装置18と、超音波画像及び内視鏡画像等を表示するモニタ20と、洗浄水などを貯留する送水タンク21aと、体腔内の吸引物を吸引する吸引ポンプ21bと、を備える。
【0013】
超音波内視鏡12は、被検体の体腔内に挿入される挿入部22と、挿入部22の基端部に連設され、術者が操作を行うための操作部24と、操作部24に一端が接続されたユニバーサルコード26とを有する。
【0014】
操作部24には、送水タンク21aからの送気送水管路(不図示)を開閉する送気送水ボタン28aと、吸引ポンプ21bからの吸引管路(不図示)を開閉する吸引ボタン28bとが並設される。また、操作部24には、一対のアングルノブ29と、処置具挿入口30とが設けられる。
【0015】
ユニバーサルコード26の他端部には、超音波用プロセッサ装置14に接続される超音波用のコネクタ32aと、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される内視鏡用のコネクタ32bと、光源装置18に接続される光源用のコネクタ32cとが設けられる。超音波内視鏡12は、これらのコネクタ32a、32b及び32cを介してそれぞれ超音波用プロセッサ装置14、内視鏡用プロセッサ装置16及び光源装置18に着脱自在に接続される。また、コネクタ32cには、送水タンク21aに接続される送気送水用チューブ34aと、吸引ポンプ21bに接続される吸引用チューブ34bとが備えられる。
【0016】
挿入部22は、先端側から順に、硬質部材で形成され、超音波観察部36と内視鏡観察部38とを有する先端部40と、先端部40の基端側に連設された湾曲部42と、湾曲部42の基端側と操作部24の先端側との間を連結する軟性部44とを有する。湾曲部42は、複数の湾曲駒(アングルリング)を連結してなり、湾曲自在に構成される。軟性部44は、細長、且つ長尺で、可撓性を有する。
【0017】
超音波用プロセッサ装置14は、後述する超音波観察部36の超音波トランスデューサ46(
図2参照)の複数の超音波振動子48に超音波を発生させるための超音波信号を生成して供給する。また、超音波用プロセッサ装置14は、超音波が放射された観察対象部位から反射されたエコー信号を超音波振動子48で受信して取得し、取得したエコー信号に対して各種の信号処理を施して超音波画像を生成する。生成された超音波画像がモニタ20に表示される。
【0018】
内視鏡用プロセッサ装置16は、内視鏡観察部38において光源装置18からの照明光に照明された観察対象部位から取得された画像信号を受信して取得し、取得した画像信号に対して各種の信号処理及び画像処理を施して、内視鏡画像を生成する。生成された内視鏡画像がモニタ20に表示される。
【0019】
光源装置18は、内視鏡観察部38を用いて体腔内の観察対象部位を撮像して画像信号を取得するために、赤光、緑光及び青光などの3原色光からなる白色光又は特定波長光などの照明光を発生させて、この照明光を超音波内視鏡12内のライトガイド(不図示)などで伝搬し、内視鏡観察部38から出射して体腔内の観察対象部位を照明する。
【0020】
次に、
図2及び
図3を参照して先端部40の構成を説明する。
図3には、超音波内視鏡12の挿入部22における方向として、基端側から先端側に向かう先端方向Fと、先端側から基端側に向かう基端方向Bと、が示されている。先端方向F及び基端方向Bを、挿入部22の軸線方向とも記載する。
図3には、挿入部22の径方向(軸線方向に垂直な方向)として、上方向U及び上方向Uの反対方向である下方向Dが示されている。以下では、挿入部22の径方向のうち、上方向U及び下方向Dに垂直な方向の一方を右方向Rと記載し、右方向Rの反対方向を左方向Lと記載する。上方向U及び下方向Dを併せて上下方向とも記載し、右方向R及び左方向Lを併せて左右方向とも記載する。
【0021】
図2に示すように、超音波内視鏡12の先端部40には、基端側に超音波画像を取得するための超音波観察部36が設けられ、先端側に内視鏡画像を取得するための内視鏡観察部38が設けられている。
【0022】
超音波内視鏡12の先端部40は、先端側の内視鏡観察部38の部分に被せられるキャップ状の先端部品41aと、基端側の超音波観察部36の基端側に配置される基端側リング41bと、SUS(ステンレス鋼(Steel Use Stainless))等の金属リング41c(
図3参照)とを備える。ここで、先端部品41a及び基端側リング41bは、硬質樹脂等の硬質部材からなり、外装部材となる。金属リング41cは、外装部材の内側に配置される。
【0023】
内視鏡観察部38は、先端面に設けられる処置具導出口76、観察窓78、照明窓80及び洗浄ノズル82などを含んでいる。
【0024】
超音波観察部36は、超音波トランスデューサ46により構成される。超音波トランスデューサ46は、複数の超音波振動子48を、円周方向に配列されて構成される。
【0025】
先端部40には、超音波観察部36を覆う超音波伝達媒体(例えば、水、オイル等)を注入したバルーン(不図示)が着脱自在に装着されていてもよい。
【0026】
図3に示すように、先端部40には、観察窓78の後方(基端側)に、観察系ユニット85が配置される。観察系ユニット85は、例えば、対物レンズ86と、プリズム88と、撮像素子90と、基板92と、信号ケーブル94とを含んでいる。
【0027】
観察窓78から入射した観察対象部位の反射光は、対物レンズ86によって取り込まれる。取り込まれた反射光は、プリズム88により光路が直角に折り曲げられて、撮像素子90の撮像面に結像される。撮像素子90は、観察窓78、対物レンズ86及びプリズム88を透過して撮像面に結像された観察対象部位の反射光を光電変換して、画像信号を出力する。
【0028】
撮像素子90は基板92に搭載される。基板92には撮像素子90と電気的に接続される回路パターン(不図示)が形成されている。回路パターンは端部に複数の電極を備え、この複数の電極に複数の信号ケーブル94がそれぞれ接続される。複数の信号ケーブル94は、内視鏡用のコネクタ32bに接続される(
図1参照)。内視鏡用のコネクタ32bは、内視鏡用プロセッサ装置16に接続される。
【0029】
照明窓80(
図2参照)には、ライトガイド98の出射端が接続される。ライトガイド98の入射端は、ユニバーサルコード26を介して、光源装置18に接続される。光源装置18で発せられた照明光は、ライトガイド98を伝って照明窓80から被観察部位に照射される。
【0030】
洗浄ノズル82は、観察窓78及び照明窓80の表面を洗浄するために、送水タンク21aから超音波内視鏡12内の送気送水チャネル100を経て、空気、又は洗浄水を観察窓78及び照明窓80に向けて噴出する。
【0031】
金属リング41cの内側には、内視鏡観察部38を構成する部品、挿入部22の基端側から先端側に延びる管路及び伝送路などの様々な部材が収納される。
【0032】
超音波観察部36を構成する超音波トランスデューサ46は、円筒状に配列された複数の超音波振動子48(
図2参照)と、複数の超音波振動子48のそれぞれに対応する個別電極52a及び複数の超音波振動子48に共通の共通電極52bを備える電極部52と、各個別電極52aが接続されるフレキシブルプリント基板56と、外周に巻き付けられた複数の超音波振動子48を支持する金属リング41cとを含んでいる。
【0033】
フレキシブルプリント基板56は、薄くて柔軟性を有するので、容易に屈曲させることができる。フレキシブルプリント基板56に代えて柔軟性を有さない剛性の高いリジッド基板を適用することができる。
【0034】
超音波トランスデューサ46は、更に、超音波振動子48の上に積層された音響整合層64と、音響整合層64上に積層された音響レンズ66とを有する。超音波トランスデューサ46は、音響レンズ66、音響整合層64、超音波振動子48及びバッキング材層54の積層体からなる。なお、金属リング41cの外周面には、この積層体が嵌合等の方法で結合される。
【0035】
図2に示すように、超音波振動子48は、円筒状に配列された複数、例えば48~192個の直方体形状の超音波振動子48からなる複数チャンネル、例えば48~192チャンネル(CH)のアレイである。
【0036】
超音波トランスデューサ46では、複数の超音波振動子48が、一例として、図示例のように周方向に所定のピッチで配列されている。このように、超音波トランスデューサ46を構成する各超音波振動子48は、先端部40の軸線CLを中心とする円筒状に等間隔で配列されている。さらに、各超音波振動子48は、超音波用プロセッサ装置14から入力される駆動信号に基づいて順次駆動される。これによって、超音波振動子48が配列された範囲を走査範囲としてラジアル電子走査が行われる。
【0037】
図3に示すように、バッキング材層54の基端側の側面に取り付けられるフレキシブルプリント基板56は、一方で、電極部52の各個別電極52aと電気的に接続され、他方で、信号線束72の複数の同軸ケーブル58と配線接続される。こうして、超音波振動子48の個別電極52aと同軸ケーブル58とが電気的に接続され、各超音波振動子48と信号線束72とが電気的に接続される。信号線束72は、超音波振動子48に接続されたケーブルを構成し、軸線CLに沿って延びる構成となっている。超音波内視鏡12は、後述するように、複数(一例として2つ)の信号線束72を有する。
【0038】
超音波内視鏡12は、先端部40において信号線束72を支持し且つ信号線束72に沿って延びたブラケット120と、ブラケット120を支持するブラケット支持部材110と、を備えている。ブラケット120は、第1支持部材を構成する。ブラケット支持部材110は、第2支持部材を構成する。
【0039】
ブラケット120とブラケット支持部材110の少なくとも一方は、好ましくは金属製である。金属製にすることにより、その厚さを薄くできる。金属製の材料としてSUS、アルミニウムなどを挙げることができる。ブラケット120とブラケット支持部材110の両方が金属製であることが好ましい。
【0040】
次に、
図4及び
図5に基づいて、同軸ケーブル58と信号線束72の構造について説明する。
図4に示すように、同軸ケーブル58は、中心に芯線58aと、芯線58aの外周に第1絶縁層58bと、第1絶縁層58bの外周にシールド部材58cと、シールド部材58cの外周に第2絶縁層58dとを備える。同軸ケーブル58は、中心側から芯線58aと、第1絶縁層58bと、シールド部材58cと、第2絶縁層58dとを同心円状に積層される。
【0041】
図5に示すように、信号線束72は、複数の同軸ケーブル58で構成されるケーブル束72aと、ケーブル束72aを被覆するシールド層72bと、シールド層72bを被覆する外皮72cとを備える。ケーブル束72aは、複数の同軸ケーブル58を撚り合わせすることで構成してもよい。信号線束72は複数の同軸ケーブル58を内部に含む一本の信号線束72として取り扱われる。
【0042】
シールド層72bは、例えば、複数本の素線を編み組むことで構成できる。素線は、メッキ処理(錫メッキ又は銀メッキ)された銅線又は銅合金線等で構成される。
【0043】
また、シールド層72bの内側で、ケーブル束72aの外周に、テープ巻き層(不図示)が配置されてもよい。テープ巻き層は、例えば、樹脂製テープであり、ケーブル束72aが個々の同軸ケーブル58にばらけてしまうことを抑制できる。その場合、テープ巻き層の範囲はケーブル束72aが拘束される長手方向の範囲と基本的には同じになる。
【0044】
次に、
図6から
図10を参照して、ブラケット120とブラケット支持部材110について説明する。
図6は、超音波内視鏡12の先端部40の一部を示す斜視図である。
図6においては、ブラケット120とブラケット支持部材110の構造の理解を容易にするため、信号線束72が省略されている。
図7は、
図6に示すブラケット120の斜視図である。
図8は、
図6において信号線束72が省略されていない状態を示す図である。
図9は、
図8に示す先端部40を下側から見た斜視図である。
図10は、
図3のX-X矢視の断面模式図である。
【0045】
図10には、先端部40の軸線CLを通り且つ左右方向に延びる直線L1が示されている。先端部40は、この直線L1によって、2つの領域に分割されている。2つに分割された領域のうち一方側(
図10の例では上側)の領域を第1分割領域AR1と記載し、他方側(
図10の例では下側)の領域を第2分割領域AR2と記載する。
【0046】
図10に示すように、ブラケット支持部材110は、先端部40の基端側リング41bの内周に沿って配置される、円筒形状の部材である。ブラケット支持部材110の円筒形状には、完全に閉じた円筒形状の他、軸線CLに沿って一部が切り取られた円筒形状が含まれる。
図9に示すように、ブラケット支持部材110は、先端側に延びる連結部110aを有している。この連結部110aを介して、ブラケット支持部材110と金属リング41cとが連結されている。
【0047】
図10に示すように、ブラケット支持部材110のうち、第1分割領域AR1にある部分の左端付近と右端付近には、それぞれ、軸線CLに沿って延び且つ基端側を向く一端が開放されたスリット110bが設けられている。ブラケット支持部材110は、このスリット110bにおいて、その内側にブラケット120を収容する状態で、ブラケット120を支持している。
【0048】
図7に示すように、ブラケット120は、軸線方向に延びて構成されている。換言すると、ブラケット120は、その長手方向が軸線方向と略一致し、その短手方向が先端部40の径方向と略一致する状態で、先端部40内に配置されている。より詳細には、ブラケット120は、軸線方向に延び、且つ、厚さ方向が上下方向と一致する板状の長尺部121と、長尺部121の左端から左方向Lに延び且つ下方向Dに湾曲した板状の湾曲部121Lと、長尺部121の右端から右方向Rに延び且つ下方向Dに湾曲した板状の湾曲部121Rと、を備える。湾曲部121Rと湾曲部121Lは、それぞれ、ブラケット120の長手方向の中央部よりも先端側が切り欠かれた構成となっている。このように、ブラケット120の短手方向の幅は、先端側が狭くなっていることで、ブラケット120の軽量化や、他部材との干渉の回避が可能となっている。
【0049】
湾曲部121Rには、ブラケット120の長手方向の中央部に、右方向R且つ上方向Uに突出する略L字状の突起121Rcが設けられている。湾曲部121Lには、ブラケット120の長手方向の中央部に、左方向L且つ上方向Uに突出する略L字状の突起121Lcが設けられている。
図6、
図8、
図9、及び
図10に示すように、ブラケット120の突起121Rcの先端121Rceと突起121Lcの先端121Lceは、ブラケット支持部材110のスリット110bに係合可能な形状となっている。
【0050】
図10に示すように、ブラケット支持部材110の右側のスリット110bに突起121Rcの先端121Rceが係合し、ブラケット支持部材110の左側のスリット110bに突起121Lcの先端121Lceが係合することで、ブラケット120は、ブラケット支持部材110に支持される。このように、スリットと突起の係合によって、ブラケット支持部材110とブラケット120との相対位置が位置決めされる。
図10に示す位置決め構造は、接着剤の使用を不要にでき、接着剤を塗布する工程を省くことができる。ただし、この位置決め構造は接着剤の使用を許容する。また、この位置決め構造は、突起121Rcと突起121Lcをスリット110bに挿入する比較的簡単な構造で、ブラケット支持部材110とブラケット120とを位置決めでき、ネジの使用を不要にできる。その結果、先端部40を細径化できる。
【0051】
図8及び
図10に示すように、信号線束72は、湾曲部121Lの上側の面及び湾曲部121Rの上側の面と、ブラケット支持部材110の内周面とに挟持されており、ブラケット120とブラケット支持部材110によって支持される。なお、ブラケット120の湾曲部121Lと湾曲部121Rを、
図10に示す断面で例えば半円筒状に構成する(
図10において、ブラケット120の左右の両端をブラケット支持部材110の内周面に沿って上側まで延ばす)ことで、ブラケット120とブラケット支持部材110のうちのブラケット120のみによって信号線束72を支持する構成とすることも可能である。
【0052】
図10に示すように、ブラケット120は、第1分割領域AR1に配置されているため、2つの信号線束72も第1分割領域AR1に配置される。このように、複数の信号線束72が第1分割領域AR1に配置されるので、先端部40において、信号線束72以外の内容物を挿通させる際の、配置空間を大きくできる。配置空間を有効活用することで先端部40のデッドスペースを小さくでき、内容物を効率的に先端部40に配置できるので、結果として先端部40を細径化することが可能になる。
【0053】
図11は、金属リング41c、ブラケット120、及びブラケット支持部材110の位置関係を示す模式図である。
図3、
図6、及び
図11に示すように、長尺部121の先端側は、金属リング41cの基端側から金属リング41cに内挿されている。長尺部121における金属リング41cに挿入された部分には、金属リング41cの内周面に向けて突出する突出部121aが設けられている。本形態では、長尺部121の先端縁に、先端部40における外周側(軸線CLから離れる方向)、すなわち上方向Uに向けて突出する突出部121aが設けられている。突出部121aは、金属リング41cの内周面に当接していなくてもよいが、金属リング41cの内周面に当接していることが好ましい。金属リング41cは、ブラケット120の外周側に配置される先端部40の第1別部材を構成する。
【0054】
ブラケット120は、スリット110bの位置において、スリット110bと突起121Lc、121Rcとの係合によって、ブラケット支持部材110に支持される。スリット110bと突起121Lc、121Rcとの係合を容易に行うためには、ブラケット支持部材110の周方向におけるスリット110bの幅を、先端121Lce、121Rceの厚みよりも僅かに大きくしておくことが好ましい。このようにすると、スリット110bと先端121Lce、121Rceの間の隙間によって、ブラケット120には、先端121Lce、121Rceを支点として回動させようとする力が作用する場合がある。
【0055】
例えば、
図11において、下方向Dが鉛直方向と一致する状態を想定する。この場合には、湾曲部121L、121Rに支持されている信号線束72に対して重力が下方向Dに作用する。信号線束72は、超音波内視鏡12の先端側においては、各同軸ケーブル58が外皮72cから露出しており、1本毎に拘束されていない状態となっている。例えば、信号線束72は、突起121Rc、121Lcよりも先端側においては同軸ケーブル58が外皮72cから露出し、突起121Rc、121Lcよりも基端側においては同軸ケーブル58が外皮72cによって拘束されている。したがって、ブラケット120が信号線束72から受ける重力は、基端側においては先端側よりも相対的に大きくなる。
【0056】
そのため、信号線束72に対して重力が下方向Dに作用する場合には、信号線束72のブラケット120に支持されている部分のうち、突起121Rc、121Lcよりも基端側においては、突起121Rc、121Lcよりも先端側と比べて、大きな重力がかかる。この結果、
図11中の太い曲線矢印で示すように、ブラケット120には、スリット110bを通過し且つ左右方向(ブラケット120の短手方向と同義)に延びる軸を中心として、先端側を軸線CLから遠ざけ、基端側を軸線CLに近づけようとする回動力Fが作用する。
【0057】
なお、スリット110bの幅を先端121Lce、121Rceの厚みと同じにする場合や、スリット110bの幅を先端121Lce、121Rceの厚みよりも僅かに小さくする場合であっても、スリット110bの寸法公差や先端121Lceの寸法公差等によって、ブラケット120には、同様の回動力Fが作用し得る。
【0058】
ブラケット120には、その先端に突出部121aが設けられている。そのため、上述した回動力Fがブラケット120に作用した場合でも、突出部121aが金属リング41cの内周面に当接することで、ブラケット120の基端側が軸線CLに近づくのが規制される。突出部121aが存在しない場合、先端部40の姿勢によっては、上述した回動力Fによってブラケット120が反時計回りに回動したり、その逆方向に回動したりして、揺動する可能性がある。これに対し、本形態では、突出部121aを設けることで、ブラケット支持部材110に対するブラケット120の揺動を規制している。したがって、信号線束72にかかる負荷を軽減して、耐久性を高めたり、超音波振動子48の入出力を安定させたりすることができる。
【0059】
本形態では、ブラケット120が、その先端側において、短手方向の幅が細くなる構成である。この場合、ブラケット120に対して生じ得る回動力Fは、短手方向の幅が一律の場合と比較して、大きくなりやすい。しかし、突出部121aがあることで、この回動力Fによるブラケット120の揺動を規制できるため、前述したように、ブラケット120自体の軽量化や、先端部40内のスペースを確保しつつ、信号線束72の耐久性を高めることが可能である。
【0060】
なお、
図11の例では、突出部121aが長尺部121の先端縁に設けられているが、突出部121aの位置はこれに限定されるものではない。突出部121aは、ブラケット120のうち、ブラケット支持部材110によって支持される被支持部(つまり、先端121Rce、121Lce)よりも先端側の位置に設けられていればよい。
【0061】
また、ブラケット120の被支持部(先端121Rce、121Lce)の位置は、ブラケット120の長手方向の中間位置よりも基端側に設けられていることが好ましい。このようにすることで、上述した回動力Fを小さくすることができ、ブラケット120の回動を抑制できる。したがって、突出部121aとの組み合わせにより、ブラケット120の揺動をより効果的に抑制できる。
【0062】
ここまでは、ブラケット支持部材110に対するブラケット120の揺動を規制する規制構造の一例として、ブラケット120に突出部121aを設ける構成を説明した。以下では、この規制構造の変形例について説明する。
【0063】
図12は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Aの模式図である。
図12には、ここまでに説明してこなかった先端部40内の部材として、先端部40内での位置が固定の部材130が示されている。部材130は、例えば、湾曲部42と先端部40とを連結するリング状の部材であり、ブラケット120Aよりも外周側に配置されている。部材130には、上下方向に貫通する貫通孔131が設けられている。部材130は、第2別部材を構成する。
【0064】
ブラケット120Aは、突出部121aの代わりに、係合部を構成するフック121bが設けられた点を除いては、ブラケット120と同じ構成である。ブラケット120Aの長尺部121には、その基端部において、上方向Uに突出したフック121bが設けられている。フック121bは、部材130の貫通孔131に挿通されており、その先端が、部材130の外周側の面に引っかかることで、部材130と係合されている。
【0065】
ブラケット120Aの構成によれば、上述した回動力Fによって、ブラケット120Aの基端側が軸線CLに近づこうとしても、フック121bと部材130との係合力によって、ブラケット120Aの基端側が軸線CLに近づくのが規制される。このため、ブラケット120と同様の効果を得ることができる。
図12の例では、フック121bが、ブラケット120Aの揺動を規制する規制構造を構成する。
【0066】
なお、
図12の例では、フック121bが長尺部121の基端部に設けられているが、フック121bの位置はこれに限定されるものではない。フック121bは、ブラケット120Aのうち、ブラケット支持部材110によって支持される被支持部(先端121Rce、Lce)よりも基端側の位置に設けられていればよい。
【0067】
また、ブラケット120と同様に、ブラケット120Aの先端121Rce、Lceの位置は、ブラケット120Aの長手方向の中間位置よりも基端側に設けられていることが好ましい。このようにすることで、フック121bとの組み合わせにより、ブラケット120Aの揺動をより効果的に抑制できる。
【0068】
図13は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Bの模式図である。
図13に示すブラケット120Bを用いる場合には、ブラケット支持部材110のスリット110bの形状が、
図11の場合と比較して変更される。具体的には、ブラケット支持部材110のスリット110bは、その延びる方向が、軸線方向に対して傾斜している。より詳細には、スリット110bは、先端側の端が基端側の端よりも軸線CLに近い位置となるように傾斜している。
【0069】
ブラケット120Bは、スリット110bの傾斜形状に合わせて、先端121Rce、121Lceが傾斜した形状に変更され、突出部121aが削除された点を除いては、ブラケット120と同じ構成である。
【0070】
図13に示す変形例によれば、スリット110bと先端121Rce、121Lceの構造的な寸法公差等によって、ブラケット120Bが揺動可能な状態になっていても、スリット110bの延びる方向と軸線方向とが一致する構成と比べると、回動力Fによるブラケット120Bの回動量を小さくできる。この結果、ブラケット120Bの揺動を規制することができる。
図13に示す例では、先端121Rce、121Lceとスリット110bによって、ブラケット120Bの揺動を規制する規制構造が構成される。
【0071】
なお、
図13の例においては、ブラケット120Bの基端が軸線CLに近づくように、ブラケット120Bが最大限回動した場合でも、ブラケット120Bの長手方向と軸線方向とが一致した状態を保持できるように、ブラケット120Bを軸線方向に対して傾斜させた構成(スリット110bの延びる方向と同じ方向にブラケット120Bが伸びる構成)としてもよい。
【0072】
図14は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Cの模式図である。ブラケット120Cは、突起121Lcと突起121Rcがそれぞれ1つ追加された点を除いては、ブラケット120と同じ構成である。
【0073】
具体的には、ブラケット120Cには、湾曲部121Lの長手方向の中央部から左方向L且つ上方向Uに突出する突起121Lcと、湾曲部121Lの長手方向の基端部から左方向L且つ上方向Uに突出する突起121Lcと、が設けられている。同様に、ブラケット120Cには、湾曲部121Rの長手方向の中央部から右方向R且つ上方向Uに突出する突起121Rc(図示省略)と、湾曲部121Rの長手方向の基端部から右方向R且つ上方向Uに突出する突起121Rc(図示省略)と、が設けられている。
【0074】
ブラケット120Cにおける2つの突起121Lcの構造は同一であり、ブラケット120Cにおける2つの突起121Rcの構造は同一である。2つの突起121Lcのそれぞれの先端121Lceの上下方向の位置は同一であり、2つの突起121Rcのそれぞれの先端121Rceの上下方向の位置は同一である。ブラケット120Cは、これら2つの先端121Lceがブラケット支持部材110の左側のスリット110bに係合し、これら2つの先端121Rceがブラケット支持部材110の右側のスリット110bに係合することで、ブラケット支持部材110によって支持されている。
【0075】
図14に示す変形例によれば、ブラケット120Cが長手方向の複数の位置でブラケット支持部材110によって支持される。このため、信号線束72の重みによって、ブラケット120Cの端部に回動力Fが働く場合でも、ブラケット120Cの回動が抑制される。これにより、ブラケット120Cの揺動を規制することができる。
図14に示す例では、長手方向に離間して設けられた2つの突起121Rcと、長手方向に離間して設けられた2つの突起121Lcと、のそれぞれによって、ブラケット120Cの揺動を規制する規制構造が構成される。
【0076】
なお、突起121Rcと突起121Lcは、それぞれ、長手方向に離間して3つ以上並べて設けられていてもよい。また、ブラケット120Cにおいて、突出部121aは必須ではなく、省略してもよい。
【0077】
図15は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Dの模式図である。ブラケット120Dは、ブラケット120Cにおいて、2つある突起121Lcのうち、基端側の突起121Lcの先端121Lceが上側(先端部40の外周側)に移動し、2つある突起121Rcのうち、基端側の突起121Rcの先端121Rceが上側(先端部40の外周側)に移動した構成である。
【0078】
図15に示すブラケット120Dを用いる場合には、ブラケット支持部材110には、スリット110bbとスリット110baが形成される。スリット110bbは、2つのある突起121Lcのうち先端側の突起121Lcと係合し、2つのある突起121Rcのうち先端側の突起121Rcと係合する。スリット110baは、スリット110bbよりも上側に設けられ、2つのある突起121Lcのうち基端側の突起121Lcと係合し、2つのある突起121Rcのうち基端側の突起121Rcと係合する。
【0079】
図15に示す例では、基端側の突起121Lc、121Rcの先端がそれぞれ第1被支持部を構成し、先端側の突起121Lc、121Rcの先端がそれぞれ第2被支持部を構成し、第1被支持部と第2被支持部によって規制構造が構成されている。
【0080】
図15に示す変形例によれば、ブラケット120Dが長手方向及び短手方向に交差する方向の異なる位置でブラケット支持部材110によって支持される。このため、信号線束72の重みによって、ブラケット120Dの端部に力が働く場合でも、ブラケット120Cと比較して、ブラケット120Dの回動がより抑制される。これにより、ブラケット120Dの揺動を効果的に規制することができる。なお、ブラケット120Dにおいて、突出部121aは必須ではなく、省略してもよい。
【0081】
図16は、ブラケット120の変形例であるブラケット120Eの模式図である。ブラケット120Eは、ブラケット120において、突起121Lc、121Rcの基端縁を基端方向Bに伸ばした構成となっている。ブラケット支持部材110及びスリット110bは、突起121Lc、121Rcの長尺形状に合わせて伸びた構成となっている。
【0082】
図16に示すように、ブラケット120におけるブラケット支持部材110によって支持される箇所を長手方向に大きくすることでも、ブラケット120の揺動を規制することが可能である。
図16の例では、ブラケット120の揺動を規制する効果を高めるために、スリット110bの軸線方向の長さが、ブラケット支持部材110の軸線方向の長さの半分以上となっていることが好ましい。また、突起121Lc、121Rcの軸線方向の長さは、ブラケット120の軸線方向の長さの半分以上となっていることが好ましい。
【0083】
ここまでの説明では、ブラケット120に設けられた突起とブラケット支持部材110に設けられたスリットとの係合によって、ブラケット支持部材110によるブラケット120の支持を行う構成とした。しかし、ブラケット120の突起121Rc、121Lcにスリットを設け、このスリットに係合する突起をブラケット支持部材110に設けて、ブラケット支持部材110によるブラケット120の支持を行う構成としてもよい。
【0084】
以上説明してきたように、本明細書には少なくとも以下の事項が記載されている。
【0085】
(1)
超音波内視鏡であって、
挿入部の先端部に設けられた超音波振動子と、
上記超音波振動子に接続されたケーブルと、
上記先端部において上記ケーブルを支持し且つ上記ケーブルに沿って延びた第1支持部材と、
上記第1支持部材を支持する第2支持部材と、
上記第2支持部材に対する上記第1支持部材の揺動を規制する規制構造と、を備える超音波内視鏡。
【0086】
(1)によれば、第2支持部材と第1支持部材の構造的な寸法公差等によって、第2支持部材に対して第1支持部材が揺動可能な状態になっていても、その揺動が規制構造によって規制される。このため、ケーブルにかかる負荷を軽減して、耐久性を高めたり、超音波振動子の入出力を安定させたりすることができる。規制構造を設けない場合、第1支持部材が揺動することで、ケーブルが他の内容物(光学観察を行うための対物光学系等)を圧迫させて損傷させる可能性がある。本開示の構成によれば、このような内容物が動く空間がある中空の挿入部の先端でケーブルの揺動を規制できるため、他の内容物への圧迫を抑制し、損傷を防止させることができる。
【0087】
(2)
(1)に記載の超音波内視鏡であって、
上記規制構造は、上記第1支持部材の短手方向に延びる軸回りへの上記第1支持部材の揺動を規制する超音波内視鏡。
【0088】
(2)によれば、ケーブルにかかる負荷を軽減して、耐久性を高めたり、超音波振動子の入出力を安定させたりすることができる。
【0089】
(3)
(2)に記載の超音波内視鏡であって、
上記規制構造は、上記第1支持部材における上記挿入部の基端側が、上記第1支持部材における上記挿入部の先端側よりも、上記先端部の軸線に近づくのを規制する超音波内視鏡。
【0090】
(3)によれば、第1支持部材の先端と基端を結ぶ方向を、先端部の軸線方向と略同じに維持できるため、ケーブルにかかる負荷を軽減することができる。
【0091】
(4)
(1)から(3)のいずれかに記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材には、上記第2支持部材により支持される被支持部よりも、上記挿入部の先端側の位置に、上記第1支持部材の外周側に配置される上記先端部の第1別部材に向けて突出する突出部が設けられ、
上記突出部によって上記規制構造が構成される超音波内視鏡。
【0092】
(4)によれば、ケーブルの重みによって、第1支持部材の基端側に対し、先端部の軸線に向かう方向の力が働き、被支持部を回動軸として第1支持部材が回動しようとする場合でも、突出部と別部材との当接によって、第1支持部材が回動するのを防ぐことができる。これにより、第1支持部材の揺動を規制することができる。
【0093】
(5)
(1)から(4)のいずれかに記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材は、上記第2支持部材により支持される被支持部を有し、
上記被支持部は、上記第1支持部材の長手方向の中間位置よりも上記挿入部の基端側に設けられる超音波内視鏡。
【0094】
(5)によれば、第2支持部材に対する第1支持部材の回動支点が挿入部の基端側に位置するため、第1支持部材の基端側にケーブルの重い部分が載置される場合でも、その重みによる第1支持部材の回動が抑制される。したがって、規制構造との組み合わせにより、第1支持部材の揺動をより効果的に抑制できる。
【0095】
(6)
(1)から(4)のいずれかに記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材には、上記第2支持部材により支持される被支持部が、上記第1支持部材の長手方向に沿って離間して複数設けられ、
上記複数の上記被支持部によって上記規制構造が構成される超音波内視鏡。
【0096】
(6)によれば、第1支持部材が長手方向の複数の位置で第2支持部材によって支持されるため、ケーブルの重みによって、第1支持部材の端部に力が働く場合でも、第1支持部材の回動が抑制される。これにより、第1支持部材の揺動を規制することができる。
【0097】
(7)
(6)に記載の超音波内視鏡であって、
上記複数の上記被支持部は、上記第1支持部材の長手方向及び短手方向に交差する方向の位置が異なる第1被支持部と第2被支持部を含み、
上記第1被支持部は、上記第2被支持部よりも、上記先端部の外周側に配置され、
上記第1被支持部は、上記第2被支持部よりも、上記挿入部の基端側に配置される超音波内視鏡。
【0098】
(7)によれば、第1支持部材が長手方向及び短手方向に交差する方向の異なる位置で第2支持部材によって支持されるため、ケーブルの重みによって、第1支持部材の端部に力が働く場合でも、第1支持部材の回動がより抑制される。これにより、第1支持部材の揺動を効果的に規制することができる。
【0099】
(8)
(1)から(5)のいずれかに記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材には、上記第2支持部材により支持される被支持部よりも、上記挿入部の基端側の位置に、上記第1支持部材の外周側に配置される上記先端部の第2別部材と係合する係合部が設けられ、
上記係合部によって上記規制構造が構成される超音波内視鏡。
【0100】
(8)によれば、ケーブルの重みによって、第1支持部材の基端側に対し、先端部の軸線に向かう方向の力が働いた場合でも、係合部による係合力によって、第1支持部材が回動するのを防ぐことができる。これにより、第1支持部材の揺動を規制することができる。
【0101】
(9)
(1)から(3)のいずれかに記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材と上記第2支持部材の一方には、突起が設けられ、
上記第1支持部材と上記第2支持部材の他方には、上記突起と係合するスリットが設けられ、
上記第1支持部材の短手方向に見た状態において、上記スリットの延びる方向は、上記先端部の軸線方向に対して傾斜しており、
上記突起及び上記スリットによって上記規制構造が構成されている超音波内視鏡。
【0102】
(9)によれば、スリットと突起の構造的な寸法公差等によって、第1支持部材が揺動可能な状態になっていても、スリットの延びる方向と軸線方向とが一致する構成と比べると、第1支持部材の動きを抑制できる。これにより、第1支持部材の揺動を容易に規制することができる。
【0103】
(10)
(9)に記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材の短手方向に見た状態において、上記スリットにおける上記挿入部の先端側の端は、上記スリットにおける上記挿入部の基端側の端よりも、上記先端部の軸線に近い位置に設けられる超音波内視鏡。
【0104】
(10)によれば、例えば、第1支持部材の延びる方向をスリットの延びる方向と同じにすることで、第1支持部材の基端側が軸線に近づく方向に回動した場合でも、第1支持部材の基端側が第1支持部材の先端側よりも軸線側に移動してしまうのを防ぐことができる。これにより、第1支持部材の先端側が大きく移動するのを防ぐことができる。
【0105】
(11)
(1)から(10)のいずれかに記載の超音波内視鏡であって、
上記第1支持部材と上記第2支持部材の一方には、突起が設けられ、
上記第1支持部材と上記第2支持部材の他方には、上記突起と係合するスリットが設けられ、
上記突起と上記スリットの係合により、上記第1支持部材が上記第2支持部材により支持されている超音波内視鏡。
【0106】
(12)
(1)から(11)のいずれかに記載の超音波内視鏡を備える内視鏡装置。
【符号の説明】
【0107】
L1 直線
10 内視鏡装置
12 超音波内視鏡
14 超音波用プロセッサ装置
16 内視鏡用プロセッサ装置
18 光源装置
20 モニタ
21a 送水タンク
21b 吸引ポンプ
22 挿入部
24 操作部
26 ユニバーサルコード
28a 送気送水ボタン
28b 吸引ボタン
29 アングルノブ
30 処置具挿入口
32a,32b,32c コネクタ
34a 送気送水用チューブ
34b 吸引用チューブ
36 超音波観察部
38 内視鏡観察部
40 先端部
41a 先端部品
41b 基端側リング
41c 金属リング
42,121L,121R 湾曲部
44 軟性部
46 超音波トランスデューサ
48 超音波振動子
52a 個別電極
52b 共通電極
52 電極部
54 バッキング材層
56 フレキシブルプリント基板
58a 芯線
58b 第1絶縁層
58c シールド部材
58d 第2絶縁層
58 同軸ケーブル
64 音響整合層
66 音響レンズ
72a ケーブル束
72b シールド層
72c 外皮
72 信号線束
76 処置具導出口
78 観察窓
80 照明窓
82 洗浄ノズル
85 観察系ユニット
86 対物レンズ
88 プリズム
90 撮像素子
92 基板
94 信号ケーブル
98 ライトガイド
100 送気送水チャネル
110ba,110bb,110b スリット
110a 連結部
110 ブラケット支持部材
120A,120B,120C,120D,120E,120 ブラケット
121 長尺部
121Rc,121Lc 突起
121a 突出部
121Rce,121Lce 先端
121b フック
130 部材
131 貫通孔
AR1 第1分割領域
AR2 第2分割領域