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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086288
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240620BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H02G3/04 087
B60R16/02 623T
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201341
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】濱本 知男
【テーマコード(参考)】
5G357
【Fターム(参考)】
5G357DA06
5G357DA10
5G357DB01
5G357DB02
5G357DB03
5G357DC12
5G357DD02
5G357DD06
5G357DE02
5G357DE10
(57)【要約】
【課題】必要な樹脂量を抑えつつ、電線の噛込みを抑制可能なプロテクタを提供する。
【解決手段】プロテクタ1は、ベース10と、ヒンジ30と、カバー20と、を備える。カバー20は、ヒンジ30を介してベース10に接続されており、ベース10の収容空間40の少なくとも一部を閉鎖する。ベース10には、ヒンジ30が接続される端部において、第1ベース傾斜面13が形成されており、カバー20には、ヒンジ30が接続される端部において、第1カバー傾斜面23が形成されている。カバー20を閉じた状態において、第1ベース傾斜面13及び第1カバー傾斜面23は、収容空間40の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状である。第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23により収容空間40側に形成される角度が90度以上である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を保護するプロテクタにおいて、
前記電線が収容される収容空間が形成されたベースと、
前記ベースに接続されるヒンジと、
前記ヒンジを介して前記ベースに接続されており、前記ベースの前記収容空間の少なくとも一部を閉鎖するカバーと、
を備え、
前記カバーの回転軸方向で前記ベース及び前記カバーを見たときに、前記ベースには、前記ヒンジが接続される端部において、第1ベース傾斜面が形成されており、前記カバーには、前記ヒンジが接続される端部において、第1カバー傾斜面が形成されており、
前記カバーを閉じた状態において、前記第1ベース傾斜面及び前記第1カバー傾斜面は、前記収容空間の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状であり、
前記第1ベース傾斜面と前記第1カバー傾斜面により前記収容空間側に形成される角度が90度以上であることを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のプロテクタであって、
前記第1ベース傾斜面は、前記ベースの長手方向の全体にわたって形成され、
前記第1カバー傾斜面は、前記カバーの長手方向の全体にわたって形成されることを特徴とするプロテクタ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のプロテクタであって、
前記ベース及び前記カバーは、前記ヒンジとは反対側の端部において、カバーをベースに係合するための係合部をそれぞれ備えており、
前記カバーの回転軸方向で前記ベース及び前記カバーを見たときに、前記ベースには、前記係合部を備える端部において、第2ベース傾斜面が形成されており、前記カバーには、前記係合部を備える端部において、第2カバー傾斜面が形成されており、
前記カバーを閉じた状態において、前記第2ベース傾斜面及び前記第2カバー傾斜面は、前記収容空間の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状であり、
前記第2ベース傾斜面と前記第2カバー傾斜面により前記収容空間側に形成される角度が90度以上であることを特徴とするプロテクタ。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のプロテクタであって、
前記ベース及び前記カバーは、前記ヒンジとは反対側の端部において、カバーをベースに係合するための係合部をそれぞれ備えており、
前記ベースは規制部を備え、
前記規制部は、前記カバーが開いた状態において、一部が前記収容空間の外側に位置するとともに、前記ベースのうち前記係合部を備える端部と、前記収容空間と、を仕切り、
前記規制部は、前記カバーが閉じられることにより、当該カバーに押圧されて前記収容空間に収まることを特徴とするプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、電線を収容して保護するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、プロテクタ本体と蓋とを薄肉ヒンジ部で連結したプロテクタを開示する。プロテクタ本体の側壁先端(薄肉ヒンジ部が接続される側)には、可撓性を有するストッパー片が突設されている。プロテクタ本体に電線が収容された後に蓋が閉じられる。ストッパー片が突設されていることにより、蓋を閉じる際に蓋とプロテクタ本体の間に電線が噛み込まれることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-268163号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、電線の噛込みを抑制するためにストッパー片の突設が必要であるため、必要な樹脂量が多くなる。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、必要な樹脂量を抑えつつ、電線の噛込みを抑制可能なプロテクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0007】
本発明の観点によれば、以下の構成のプロテクタが提供される。プロテクタは、ベースと、ヒンジと、カバーと、を備える。前記ベースには、前記電線が収容される収容空間が形成される。前記ヒンジは、前記ベースに接続される。前記カバーは、前記ヒンジを介して前記ベースに接続されており、前記ベースの前記収容空間の少なくとも一部を閉鎖する。前記カバーの回転軸方向で前記ベース及び前記カバーを見たときに、前記ベースには、前記ヒンジが接続される端部において、第1ベース傾斜面が形成されており、前記カバーには、前記ヒンジが接続される端部において、第1カバー傾斜面が形成されている。前記カバーを閉じた状態において、前記第1ベース傾斜面及び前記第1カバー傾斜面は、前記収容空間の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状である。前記第1ベース傾斜面と前記第1カバー傾斜面により前記収容空間側に形成される角度が90度以上である。
【0008】
これにより、2つの第1傾斜面の間に位置できない程度の大径の電線は、カバーを閉じることにより、第1傾斜面に沿って収容空間に滑り落ちる。2つの第1傾斜面の間に位置できる程度の小径の電線であっても、2つの傾斜面で形成される角度が90度以上であるため、電線が噛み込まれない。また、ストッパー片を形成する場合と比較して、使用する樹脂量を減らすことができる。
【0009】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記第1ベース傾斜面は、前記ベースの長手方向の全体にわたって形成される。前記第1カバー傾斜面は、前記カバーの長手方向の全体にわたって形成される。
【0010】
これにより、長手方向の全体にわたって電線の噛み込みを抑制できる。
【0011】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース及び前記カバーは、前記ヒンジとは反対側の端部において、カバーをベースに係合するための係合部をそれぞれ備えている。前記カバーの回転軸方向で前記ベース及び前記カバーを見たときに、前記ベースには、前記係合部を備える端部において、第2ベース傾斜面が形成されており、前記カバーには、前記係合部を備える端部において、第2カバー傾斜面が形成されている。前記カバーを閉じた状態において、前記第2ベース傾斜面及び前記第2カバー傾斜面は、前記収容空間の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状である。前記第2ベース傾斜面と前記第2カバー傾斜面により前記収容空間側に形成される角度が90度以上である。
【0012】
これにより、係合部側においても電線の噛込みを抑制できる。
【0013】
前記のプロテクタにおいては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記ベース及び前記カバーは、前記ヒンジとは反対側の端部において、カバーをベースに係合するための係合部をそれぞれ備えている。前記ベースは規制部を備える。前記規制部は、前記カバーが開いた状態において、一部が前記収容空間の外側に位置するとともに、前記ベースのうち前記係合部を備える端部と、前記収容空間と、を仕切る。前記規制部は、前記カバーが閉じられることにより、当該カバーに押圧されて前記収容空間に収まる。
【0014】
これにより、係合部側に傾斜面を形成せずに、電線の噛込みを抑制できる。そのため、係合部の周囲の強度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るプロテクタの斜視図。
図2】ベースに電線が収容された後にカバーを閉じる流れを示す断面図。
図3】ベースとカバーの接続箇所の近傍に大径の電線が位置する状況においてカバーを閉じた際の電線の動きを示す拡大断面図。
図4】ベースとカバーの接続箇所の近傍に小径の電線が位置する状況においてカバーを閉じた際の電線の動きを示す拡大断面図。
図5】第1変形例のプロテクタのカバーを閉じる流れを示す断面図。
図6】第2変形例のプロテクタのカバーを閉じる流れを示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1を参照して、プロテクタ1の概要について説明する。
【0017】
図1には、プロテクタ1が示されている。プロテクタ1は、樹脂製の部材であり、複数の電線50の周囲を覆って、電線50を保護する部材である。プロテクタ1は、例えば、自動車に配置される電線50を保護するが、自動車以外に配置される電線50を保護してもよい。
【0018】
プロテクタ1は、ベース10とカバー20とを備える。以下の説明では、プロテクタ1又は電線50の長手方向を単に「長手方向」と称し、長手方向と高さ方向に垂直な方向を「幅方向」と称する。
【0019】
ベース10は、ベース本体11と、係合部12と、第1ベース傾斜面13と、を備える。
【0020】
ベース本体11は、底板と、一対の側板と、を備える。一対の側板は、底板の幅方向の両端部から高さ方向に立設するように位置している。底板と、一対の側板と、により収容空間40が形成される。収容空間40は電線50を収容するための空間である。係合部12は、一対の側板の一方(具体的には後述のヒンジ30が形成されない方の側板)に形成される。係合部12は、ベース10とカバー20を係合するために用いられる。第1ベース傾斜面13は、一対の側板の他方(具体的には後述のヒンジ30が形成される方の側板)の上面に形成される。第1ベース傾斜面13は、長手方向の全体にわたって形成される。第1ベース傾斜面13の機能については後述する。
【0021】
カバー20は、カバー本体21と、係合部22と、第1カバー傾斜面23と、を備える。
【0022】
カバー本体21は、板状であり、ベース10に形成される収容空間40の少なくとも一部(具体的には上側)を閉鎖する。係合部22は、カバー本体21の幅方向の一方の端部(具体的にはヒンジ30が形成されない方の端部)に形成される。係合部22が形成される位置は、係合部12が形成される位置と対応している。更に、係合部12と係合部22は互いに係合可能な構成である。本実施形態では、係合部12が孔で係合部22が突起(爪)であるが、係合部12が突起(爪)で係合部22が孔であってもよい。第1カバー傾斜面23は、カバー本体21の幅方向の他方の端部(具体的にはヒンジ30が形成される方の端部)に形成される。第1カバー傾斜面23は、長手方向の全体にわたって形成される。
【0023】
ヒンジ30は、ベース10とカバー20を接続する。具体的には、ヒンジ30は、ベース本体11の一対の側板の他方(第1ベース傾斜面13が形成される方)の上面に接続される。ヒンジ30は、カバー本体21の幅方向の他方の端部(具体的には第1カバー傾斜面23が形成される方の端部)に接続される。ヒンジ30は薄肉状の部分を含んでいるため、薄肉状の部分を支点として、折曲げ可能(回転可能)である。この構成により、薄肉状の部分を支点として、ベース10に対してカバー20を回転させることができる。なお、ヒンジ30は薄肉状に限られず、例えば、蝶番状の別部材を用いてもよい。
【0024】
図2には、プロテクタ1に電線を収容する工程が図示されている。図2は、プロテクタ1を長手方向に垂直な面で切った断面図である。また、図2は、プロテクタ1をカバー20の回転軸方向で見た図と言い換えることもできる。
【0025】
初めに、作業者は、図2の上図に示すように、ベース10の収容空間40に電線50を入れる。その後、作業者は、図2の下図に示すように、ヒンジ30を中心にカバー20を回転させて、カバー20を閉じる。これにより、ベース10の係合部12とカバー20の係合部22とが係合する。また、ベース10の収容空間40がカバー20により閉鎖される。
【0026】
カバー20を閉じる際において、カバー20の根元部分と、ベース本体11の側板の上面とで電線50を噛み込む可能性がある。電線50を噛み込んだ場合、電線50が破損したり、カバー20が閉じられなくなったりする。また、電線50を噛み込まないように作業者が電線50の位置を確認したり、噛み込みそうな電線50の位置を変更したりすることは煩雑であり、作業効率が低下し、かつ、作業者の負担になる。
【0027】
本実施形態のプロテクタ1は、電線50の噛込みを抑制するための、第1ベース傾斜面13及び第1カバー傾斜面23を備える。上述したように、第1ベース傾斜面13及び第1カバー傾斜面23は、それぞれヒンジ30の近傍に形成される。そのため、図2の下図に示すように、第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23の位置は対応している。その結果、第1ベース傾斜面13及び第1カバー傾斜面23は、テーパ状(対向する2面が徐々に広がる又は狭まる形状)となる。詳細には、カバー20をベース10に取り付けた状態において、収容空間40の内側に近づくに連れて、第1ベース傾斜面13及び第1カバー傾斜面23の間隔が広がる。プロテクタ1がこのようなテーパ状の部分を有することにより、以下で説明するように、電線50の噛込みを抑制できる。
【0028】
初めに、図3を参照して、大径の電線50の噛込みを抑制できることについて説明する。
【0029】
以下では、図3の上図に示すように、第1ベース傾斜面13に大径の電線50が載った状態でカバー20を閉じる状況を考える。通常のプロテクタであれば、この状況では電線がベースとカバーで挟まれるので、電線の噛込みが発生する。
【0030】
この点、本実施形態では、第1ベース傾斜面13が斜め下方に傾斜しているので、カバー20を閉じる際の振動等により、大径の電線50が第1ベース傾斜面13から滑り落ち易い。仮に、カバー20を閉じるタイミングでも大径の電線50が第1ベース傾斜面13に載っていたとしても、図3の下図に示すように、カバー20の第1カバー傾斜面23が、大径の電線50を斜め下方(第1ベース傾斜面13に沿う方向)に押圧する。その結果、大径の電線50が噛み込まれる前に、大径の電線50を第1ベース傾斜面13から下方に落とすことができる。以上により、大径の電線50の噛込みを抑制できる。
【0031】
次に、図4を参照して、小径の電線50の噛込みを抑制できることについて説明する。
【0032】
以下では、図4の上図に示すように、第1ベース傾斜面13に小径の電線50が載った状態でカバー20を閉じる状況を考える。通常のプロテクタであれば、この状況では電線がベースとカバーで挟まれるので、電線の噛込みが発生する。
【0033】
大径の電線50に関して説明したのと同様に、小径の電線50も、第1ベース傾斜面13から自重で滑り落ちたり、第1カバー傾斜面23に押圧されて下方に落ちる可能性がある。しかし、小径の電線50は、第1カバー傾斜面23に当たりにくいので、カバー20を閉じた後においても、第1ベース傾斜面13に載った状態を維持することがある。このとき、第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23がなす角が小さければ、小径の電線50が第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23に噛み込まれる可能性がある。
【0034】
この点、本実施形態では、第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23がなす角θ(詳細には、2つのなす角のうち、収容空間40側に形成される方の角)が90度以上である。ここで、ある点から円に向かって引いた2つの接線がなす角は90度である。そのため、電線50が第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23に挟み込まれずに、第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23の間の空間に位置する可能性が高い。仮に、小径の電線50が第1ベース傾斜面13のうちヒンジ30に近い側の端部に位置していたとしても、角θが90度以上であるため、第1カバー傾斜面23は、小径の電線50を挟み込む方向(第1ベース傾斜面13に垂直な方向)ではなく、小径の電線50を下方に落とす方向(第1ベース傾斜面13に沿う方向)に電線50を押圧する可能性が高い。そのため、電線50は噛み込まれずに、第1ベース傾斜面13に載った状態を維持するか、下方に落ちる。以上により、小径の電線50の噛込みを抑制できる。
【0035】
次に、図5を参照して、第1変形例について説明する。なお、以後の説明においては、前述の実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0036】
第1変形例のプロテクタ1は、ヒンジ30側だけでなく、係合部12,22側もテーパ状である。具体的には、図5の上図に示すように、ベース10は、更に第2ベース傾斜面14を備える。第2ベース傾斜面14は、ベース本体11の一対の側板の一方(具体的には係合部12が形成される方の側板)の上面に形成される。カバー20は、図5の上図に示すように、更に第2カバー傾斜面24を備える。第2カバー傾斜面24は、カバー本体21の幅方向の一方の端部(具体的には係合部22が形成される方の端部)に形成される。
【0037】
図5の下図に示すように、第2ベース傾斜面14と第2カバー傾斜面24の位置は対応している。その結果、第2ベース傾斜面14及び第2カバー傾斜面24は、テーパ状となる。詳細には、カバー20をベース10に取り付けた状態において、収容空間40の内側に近づくに連れて、第2ベース傾斜面14及び第2カバー傾斜面24の間隔が広がる。また、第2ベース傾斜面14と第2カバー傾斜面24がなす角は、90度以上である。
【0038】
これにより、上記実施形態と同じ原理により、係合部12,22側における電線50の噛込みを抑制できる。
【0039】
次に、図6を参照して、第2変形例について説明する。
【0040】
第2変形例のプロテクタ1は、ベース本体11が規制部15を備える。規制部15は、ベース本体11の一対の側板の一方(具体的には係合部12が形成される方の側板)の内壁面に形成される。以下では、この側板を「外側の側板」と称する。カバー20が開いた状態(図6の上図)において、規制部15の一部は収容空間40の外側に位置する。更に、規制部15は、外側の側板と、収容空間40と、を仕切る。
【0041】
これにより、収容空間40に位置する電線50は、外側の側板の上端に位置することはできない。そのため、カバー20を閉じるタイミングにおいて、外側の側板の上面に電線50が位置しないので、電線50の噛込みを抑制できる。また、規制部15は、カバーが閉じられることにより、当該カバー20に押圧されて収容空間40に収まる。そのため、作業者は規制部15を意識することなくカバー20を閉じる作業を行うことができる。
【0042】
以上に説明したように、本実施形態及び各変形例のプロテクタ1は、ベース10と、ヒンジ30と、カバー20と、を備える。ベース10には、電線50が収容される収容空間40が形成される。ヒンジ30は、ベース10に接続される。カバー20は、ヒンジ30を介してベース10に接続されており、ベース10の収容空間40の少なくとも一部を閉鎖する。カバー20の回転軸方向でベース10及びカバー20を見たときに、ベース10には、ヒンジ30が接続される端部において、第1ベース傾斜面13が形成されており、カバー20には、ヒンジ30が接続される端部において、第1カバー傾斜面23が形成されている。カバー20を閉じた状態において、第1ベース傾斜面13及び第1カバー傾斜面23は、収容空間40の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状である。第1ベース傾斜面13と第1カバー傾斜面23により収容空間40側に形成される角度が90度以上である。
【0043】
これにより、2つの第1傾斜面(第1ベース傾斜面13、第1カバー傾斜面23、以下同じ)の間に位置できない程度の大径の電線50は、カバー20を閉じることにより、第1傾斜面に沿って収容空間40に滑り落ちる。2つの第1傾斜面の間に位置できる程度の小径の電線50であっても、2つの傾斜面で形成される角度が90度以上であるため、電線50が噛み込まれない。また、ストッパー片を形成する場合と比較して、使用する樹脂量を減らすことができる。
【0044】
本実施形態及び各変形例のプロテクタ1において、第1ベース傾斜面13は、ベース10の長手方向の全体にわたって形成される。第1カバー傾斜面23は、カバー20の長手方向の全体にわたって形成される。
【0045】
これにより、長手方向の全体にわたって電線50の噛み込みを抑制できる。
【0046】
第1変形例のプロテクタ1において、ベース10及びカバー20は、ヒンジ30とは反対側の端部において、カバー20をベース10に係合するための係合部12,22をそれぞれ備えている。カバー20の回転軸方向でベース10及びカバー20を見たときに、ベース10には、係合部12,22を備える端部において、第2ベース傾斜面14が形成されており、カバー20には、係合部12,22を備える端部において、第2カバー傾斜面24が形成されている。カバー20を閉じた状態において、第2ベース傾斜面14及び第2カバー傾斜面24は、収容空間40の内側に近づくに連れて間隔が広がるテーパ状である。第2ベース傾斜面14と第2カバー傾斜面24により収容空間40側に形成される角度が90度以上である。
【0047】
これにより、係合部12,22側においても電線50の噛込みを抑制できる。
【0048】
第2変形例のプロテクタ1において、ベース10及びカバー20は、ヒンジ30とは反対側の端部において、カバー20をベース10に係合するための係合部12,22をそれぞれ備えている。ベース10は規制部15を備える。規制部15は、カバー20が開いた状態において、一部が収容空間40の外側に位置するとともに、ベース10のうち係合部12,22を備える端部と、収容空間40と、を仕切る。規制部15は、カバー20が閉じられることにより、カバー20に押圧されて収容空間40に収まる。
【0049】
これにより、係合部12,22側に傾斜面を形成せずに、電線50の噛込みを抑制できる。そのため、係合部12,22の周囲の強度を高くすることができる。
【0050】
以上に本発明の好適な実施の形態及び変形例を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0051】
上記実施形態のプロテクタ1の断面は矩形であるが、少なくとも一部が湾曲した形状であってもよい。
【0052】
上記実施形態では、係合部12,22は長手方向に2つ設けられるが、1つ又は3つ以上設けられてもよい。
【0053】
上記実施形態では、ベース本体11の側板の上面の全体が傾斜面(第1ベース傾斜面13又は第2ベース傾斜面14)であるが、側板の上面の一部のみが傾斜面であってもよい。また、上記実施形態では、第1ベース傾斜面13及び第2ベース傾斜面14は、長手方向の全体にわたって形成されるが、第1ベース傾斜面13及び第2ベース傾斜面14が形成されていない部分が含まれていてもよい(第1カバー傾斜面23及び第2カバー傾斜面24についても同様)。
【符号の説明】
【0054】
1 プロテクタ
10 ベース
20 カバー
30 ヒンジ
40 収容空間
50 電線
図1
図2
図3
図4
図5
図6