(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000863
(43)【公開日】2024-01-09
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01S 5/0239 20210101AFI20231226BHJP
H01S 5/02257 20210101ALI20231226BHJP
H01S 5/02315 20210101ALI20231226BHJP
H01S 5/042 20060101ALI20231226BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20231226BHJP
【FI】
H01S5/0239
H01S5/02257
H01S5/02315
H01S5/042 612
F21S2/00 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099818
(22)【出願日】2022-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三浦 創一郎
【テーマコード(参考)】
5F173
【Fターム(参考)】
5F173MA10
5F173MB02
5F173MC30
5F173MD04
5F173MD59
5F173ME03
5F173ME22
5F173ME32
5F173ME47
5F173MF03
5F173MF10
5F173MF40
5F173SE03
5F173SH03
5F173SH23
(57)【要約】
【課題】外部の検知回路を用いずに発光装置の安全性を確保する。
【解決手段】本発光装置は、載置面を有する基部と、前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する波長変換部材と、を備える。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置面を有する基部と、
前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、
前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する波長変換部材と、を備える発光装置。
【請求項2】
前記波長変換部材は、
前記発光素子から出射された光が入射する入射側面と、光が出射される上面と、を有する波長変換部と、
前記波長変換部の周囲に設けられ、前記配線領域が設けられる包囲部と、を有する、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記包囲部は、上面視で、前記波長変換部の上面を囲う上面を有し、
前記配線領域は、前記包囲部の上面に設けられる第1導電膜である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記包囲部は、前記基部の載置面と対向する下面を有し、
前記配線領域は、前記包囲部の下面に設けられる第2導電膜である、請求項2に記載の発光装置。
【請求項5】
前記包囲部は、導電性材料からなる、請求項2に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基部は、前記載置面を有する底部と、上面視で前記載置面を囲う枠部とからなり、
前記波長変換部材及び前記発光素子は、上面視で前記枠部の内側に配置される、請求項1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記枠部と接合し、前記発光素子及び前記波長変換部材が配置される封止空間を形成する蓋部をさらに備える、請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記波長変換部材の側面は凹部を有し、
前記凹部の一部は波長変換部である、請求項1から4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
上面視で、前記発光素子の出射端面は、前記凹部の直下に位置する、請求項8に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基部は底部と枠部とからなり、前記波長変換部材及び前記発光素子は、上面視で前記枠部の内側に配置され、
前記底部の上面よりも上方、かつ、前記枠部の上面よりも下方に位置する上面を備えた第1段差部を有し、
前記第1段差部の上面には第3導電膜が設けられ、
前記第3導電膜は、第1配線を介して、前記配線領域に電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、及び前記配線領域、を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記底部の上面よりも上方、かつ、前記枠部の上面よりも下方に位置する上面を備えた第2段差部を有し、
前記第2段差部の上面には第4導電膜が設けられ、
前記配線領域は、第2配線を介して、前記第4導電膜と電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、及び前記第4導電膜、を含む、請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第4導電膜は、第3配線を介して、前記発光素子の第1電極に電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、及び前記第1電極、を含む、請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
前記第1段差部には、前記第3導電膜と離隔して第5導電膜が設けられ、
前記発光素子の第2電極は、第4配線を介して、前記第5導電膜と電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、前記第1電極、前記第2電極、前記第4配線、及び前記第5導電膜、を含む、請求項12に記載の発光装置。
【請求項14】
前記枠部と接合し、前記発光素子及び前記波長変換部材が配置される封止空間を形成する蓋部をさらに備え、
前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、前記第1電極、前記第2電極、前記第4配線、及び前記第5導電膜は、前記封止空間内に存在する請求項13に記載の発光装置。
【請求項15】
前記第3導電膜は、前記第1段差部を貫通する第1ビア配線を介して、前記基部の下面に設けられた第1外部接続電極と電気的に接続され、
前記第5導電膜は、前記第1段差部を貫通する第2ビア配線を介して、前記基部の下面に設けられた第2外部接続電極と電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第1外部接続電極、前記第1ビア配線、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、前記第1電極、前記第2電極、前記第4配線、前記第5導電膜、前記第2ビア配線、及び前記第2外部接続電極、を含む、請求項14に記載の発光装置。
【請求項16】
載置面を有する基部と、
前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、
前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する光変換部と、を備える発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の半導体レーザ素子から出射された光を光反射部材で反射して波長変換部に入射し、波長変換部に入射した光を波長変換部により異なる波長の光に変換して外部に出射する発光装置が開示されている。レーザ光は直接目に照射されると失明などの危険があるが、波長変換部から出射される光は、このような危険性のない安全な光となっている。
【0003】
また、この発光装置では、安全性への配慮から、波長変換部に割れなどの異常が発生したときの対策がなされている。具体的には、波長変換部の周りに導電膜を配置し、この導電膜の抵抗値の変化から異常を検知することができる。また、異常を検知する電流経路と、半導体レーザ素子に電力を供給する電流経路とが、並列に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような発光装置では、レーザ光を安全な光に変換する波長変換部などの光変換部の異常の有無を確認し、異常が検知された場合に半導体レーザ素子への電力供給を停止するといった間接的な制御が可能である。しかしながら、光変換部に異常が発生したことから直接的に半導体レーザ素子への電力供給が断絶される仕組みが開示されているわけではない。
【0006】
光変換部に異常が発生した場合に、直接的に発光素子への電力供給が止まる発光装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態に係る発光装置は、載置面を有する基部と、前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する波長変換部材と、を備える。
【0008】
また、本開示の一実施形態に係る発光装置は、載置面を有する基部と、前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する光変換部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一実施形態によれば、波長変換部に異常が発生した場合に発光素子の電流経路が断たれることで、直接的に発光素子への電力供給が止まる発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第1実施形態または第2実施形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る発光装置から蓋部を取り除いた状態の斜視図である。
【
図4】
図1のIV-IV断面線における第1実施形態に係る発光装置の断面図である。
【
図5】本開示に係る波長変換部の構造例を示す斜視図である。
【
図6】本開示に係る波長変換部材の構造例を示す斜視図である。
【
図7】
図6のVII-VII断面線における波長変換部材の断面図である。
【
図8】第1実施形態に係る発光装置における発光素子の電流経路について説明する上面図である。
【
図9】第2実施形態に係る発光装置から蓋部を取り除いた状態の上面図である。
【
図10】
図9のX-X断面線における発光装置の断面図である。
【
図11】
図9に示す発光装置から基部の載置面に実装されている部材及び各配線を取り除いた状態の上面図である。
【
図12】第3実施形態に係る発光装置を例示する斜視図である。
【
図13】
図12に示す発光装置から枠部及び蓋部を取り除いた状態の斜視図である。
【
図15】
図12のXV-XV断面線における発光装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、及びそれらの用語を含む別の用語)を用いる。それらの用語は図面を参照した発明の理解を容易にするために相対的な位置関係を説明するものであるから、相対的な位置関係が同一であれば、本発明の技術的範囲に属する。また、複数の図面に表れる同一符号の部分は同一もしくは同等の部分又は部材を示す。
【0012】
また、本開示において、三角形や四角形等の多角形に関しては、多角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施された形状は、本開示で記載される"多角形"の解釈に含まれるものとする。
【0013】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸等、特定の形状を表す言葉についても同様である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺において、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、"辺"の解釈には加工された部分も含まれる。なお、部分的な加工のない"多角形"や"辺"を、加工された形状と区別する場合は"厳密な"を付して、例えば、"厳密な四角形"等と記載するものとする。
【0014】
さらに、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための発光装置等を例示するものであって、本発明を以下に限定するものではない。また、以下に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、特定的な記載がない限り、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、例示することを意図したものである。また、一の実施形態において説明する内容は、他の実施形態や変形例にも適用可能である。また、図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため、誇張している場合がある。さらに、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略した模式図を用いたり、断面図や端面図を用いたりすることがある。
【0015】
<第1実施形態>
第1実施形態の発光装置は、基部と、発光素子と、波長変換部材とを備える。
図1から
図7を参照して、第1実施形態に係る発光装置200の構造例を説明する。
【0016】
図1は、第1実施形態に係る発光装置200を例示する斜視図である。
図2は、
図1に示す発光装置200から蓋部213を取り除いた状態の斜視図である。
図3は、
図2に示す状態の発光装置200の上面図である。
図4は、
図1のIV-IV断面線における発光装置200の断面図である。
図5は、本開示に係る波長変換部241の構造例を示す斜視図である。
図6は、本開示に係る波長変換部材240の構造例を示す斜視図である。
図7は、
図6のVII-VII断面線における波長変換部材の断面図である。
【0017】
本実施形態に係る発光装置200は、基部210と、1又は複数の発光素子220と、波長変換部材240と、を備える。図示される例では、発光装置200は、さらに蓋部213、サブマウント230及び235、保護素子250、及び第1配線271~第5配線275を備える。なお、発光装置200は、これらの構成要素の全てを備えなくてもよい。
【0018】
発光装置200の各構成要素について説明する。
【0019】
(基部210)
基部210は、底部211と枠部212とを有する。基部210は、載置面211aを有する。底部211は、載置面211a、及び下面211bを有する。また、底部211は、載置面211a及び下面211bと接続する1又は複数の側面を有している。1または複数の側面は、載置面211aの外縁と下面211bの外縁とを接続する。なお、上記定義より、基部210は載置面211a、及び下面211bを有する。
【0020】
底部211は、例えば、直方体又は立方体である。この場合、底部211の載置面211a及び下面211bは何れも矩形であり、底部211は4つの矩形の側面を有する。なお、上面視における底部211の外形は、矩形でなくてもよい。特に正方形を除外するような言及がされていない限り、矩形には正方形も含まれてよいものとする。ここで、上面視とは、底部211の載置面211aの法線方向から対象物を視ることを指す。
【0021】
底部211は、例えば、金属やセラミックス等を主材料として形成することができる。例えば、主材料として、アルミニウム、金、銀、銅、タングステン、鉄、ニッケル、コバルト、若しくはそれらの合金、又は酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素等のセラミックスや、ダイヤモンド、銅ダイヤモンド複合材料等を用いることができる。
【0022】
枠部212は、上面212a、下面212b、1又は複数の内側面212c、1又は複数の外側面212dを有している。枠部212は、例えば、上面視で矩形の環状である。枠部212の1又は複数の内側面212cは、載置面211aと接し、載置面211aから下方に延伸する。枠部212の1又は複数の外側面212dは、枠部212の上面212a及び下面212bと接続する。
【0023】
枠部212は、底部211の載置面211aよりも上方、かつ、枠部212の上面212aよりも下方に位置する上面214aを有した第1段差部214をさらに有してもよい。また、枠部212は、底部211の載置面211aよりも上方、かつ、枠部212の上面212aよりも下方に位置する上面215aを有した第2段差部215をさらに有してもよい。第1段差部214及び第2段差部215は、枠部212の内側に設けられる。第1段差部214は、例えば、枠部212の上面212aの内縁形状のうちの1辺の全長に沿って設けられる。第2段差部215は、例えば、枠部212の上面212aの内縁形状のうち、第1段差部214が設けられる1辺と対向する1辺の全長に沿って設けられる。
【0024】
第1段差部214は、例えば、上面214a、及び、上面214aと接続し下方に延伸する内側面から構成される。第1段差部214の上面214aは、枠部212の1又は複数の内側面212cと接続する。上面214aは、底部211の載置面211aと平行であり得る。第1段差部214の内側面は、例えば、底部211の載置面211aと接する。第2段差部215は、例えば、上面215a、及び、上面215aと接続し下方に延伸する内側面から構成される。第2段差部215の上面215aは、枠部212の1又は複数の内側面212cと接続する。上面215aは、底部211の載置面211aと平行であり得る。第2段差部215の内側面は、例えば、底部211の載置面211aと接する。第1段差部214の上面214a及び/又は第2段差部215の上面215aには、1又は複数の導電膜が設けられ得る。
【0025】
第1段差部214は、第1段差部214の内側面と接続する下面214bをさらに有し得る。下面214bは、上面214aよりも下方に位置する。下面214bは、上面214aと平行な平面であり得る。下面214bは、枠部212の下面212bよりも上方に位置する。第1段差部214は、下面214bが底部211の載置面211aと直接的に接するように設けられてもよいし、接合部材を介して間接的に接するように設けられてもよい。図示する例では、枠部212は、下面214bと接続し、下方に延伸する側面をさらに有する。この側面は、枠部212の下面212bと接続する。
【0026】
第2段差部215は、第2段差部215の内側面と接続する下面215bをさらに有し得る。下面215bは、上面215aよりも下方に位置する。下面215bは、上面215aと平行な平面であり得る。下面215bは、枠部212の下面212bよりも上方に位置する。第2段差部215は、下面215bが底部211の載置面211aと直接的に接するように設けられてもよいし、接合部材を介して間接的に接するように設けられてもよい。図示する例では、枠部212は、下面215bと接続し、下方に延伸する側面をさらに有する。この側面は、枠部212の下面212bと接続する。
【0027】
さらに、枠部212は、1又は複数の導電膜を有する。枠部212の第1段差部214の上面214a及び/又は第2段差部215の上面215aに1又は複数の導電膜(後述する第3導電膜263、第4導電膜264及び/又は第5導電膜265など)を設けることができる。また、枠部212の下面212bに、1又は複数の導電膜(後述する第1外部接続電極291及び/又は第2外部接続電極292など)を設けることができる。なお、枠部212の上面212aに1又は複数の導電膜が設けられてもよい。第1段差部214の上面214a及び/又は第2段差部215の上面215aに設けられる1又は複数の導電膜に、上面212aに設けられた導電膜と電気的に接続される導電膜が含まれてもよい。
【0028】
底部211と枠部212からなる基部210は、枠部212の上面212aから底部211の載置面211aの方向に窪んだ凹形状を形成する。凹形状は、上面視で枠部212の内側に形成される。上面視で、底部211の載置面211aは、枠部212の1又は複数の内側面212c、及び/又は、第1段差部214及び第2段差部215の内側面が形成する枠によって囲まれる。この枠の外形は、例えば、長辺と短辺を有する矩形である。図示される例で、基部210は底部211及び枠部212を、それぞれを別々に形成し、これらを接合して形成される。なお、基部210は、一体に形成してもよい。
【0029】
枠部212は、例えば、底部211と異なる材料を主材料として形成することができる。枠部212を形成する主材料の例として、セラミックスが挙げられる。例えば、セラミックスとして、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いることができる。また、枠部212を形成する主材料の他の例として、鉄、ニッケル、コバルト、若しくはそれらの合金、又はガラス等が挙げられる。
【0030】
(蓋部213)
蓋部213は、上面213a、及び下面213bを有する。また、蓋部213は、上面213a及び下面213bと接する1または複数の側面213cを有している。1または複数の側面213cは、上面213aの外縁と下面213bの外縁とを接続する。蓋部213は、例えば、直方体又は立方体である。この場合、蓋部213の上面213a及び下面213bは何れも矩形であり、蓋部213は4つの矩形の側面213cを有する。
【0031】
ただし、蓋部213は、直方体や立方体には限定されない。すなわち、蓋部213は、上面視で矩形には限定されず、円形、楕円形、多角形等の任意の形状とすることが可能である。
【0032】
蓋部213は枠部212に支持される。蓋部213は、底部211の載置面211aの上方に配置されている。蓋部213の下面213bの外周部は、例えば、枠部212の上面212aと接合されている。蓋部213が枠部212に接合されることで、底部211、枠部212、及び蓋部213に囲まれた封止空間が形成される。
【0033】
蓋部213は、所定波長の光を透過させる光透過領域を有してもよい。光透過領域は、蓋部213の上面213aおよび下面213bの少なくとも一部を構成する。蓋部213の光透過領域は、例えば、サファイアを主材料に用いて形成できる。サファイアは、比較的透過率が高く、比較的強度も高い材料である。なお、蓋部213の光透過領域の主材料には、サファイアの他に、例えば、石英、炭化ケイ素、又は、ガラス等を含む透光性の材料を用いてもよい。蓋部213の光透過領域以外の部分は、遮光部材で形成されていてもよいし、光透過領域と同一材料により、光透過領域と一体に形成されてもよい。
【0034】
(発光素子220)
図示される発光装置200の例では、1つの発光素子220が搭載されている。発光装置200は、複数の発光素子を搭載してもよい。発光素子220は、例えば、半導体レーザ素子である。発光素子220は、半導体レーザ素子に限らず、例えば、発光ダイオード(LED)や有機発光ダイオード(OLED)などであってもよい。
図1~
図4に例示的に図示される発光装置200では、発光素子220として、半導体レーザ素子が採用されている。
【0035】
発光素子220は、例えば、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の2つの短辺のうちの一辺と接続する側面が、発光素子220から放射される光の出射端面となる。また、発光素子220の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大きい。
【0036】
発光素子220から出射される光は、その状態を変換させて利用されることが好ましい光である。例えば、半導体レーザ素子を用いて、かつ、発光装置からの出射光が人体に照射される使用形態である場合、レーザ光を拡散させてから出射することが好ましいことがある。この場合、拡散部材などを用いて、発光素子220から出射される光の状態を変換させてから、発光装置の外部に光が出射されることが好ましい。このような例示に限らず、発光素子から出射される光は、その性質と、最終的な利用形態とから、所望の状態に変換させて利用することが好ましい。
【0037】
発光素子220として、出射される光が青色光である発光素子を用いることができる。「青色光を出射する発光素子」とは、出射される光の発光ピーク波長が、405nm~494nmの範囲にあるものを用いることを指すものとする。また、発光素子220として、出射される光のピーク波長が430nm~480nmである発光素子を用いることが好ましい。このような発光素子220としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、又はAlGaNを用いることができる。
【0038】
なお、発光素子220から出射される光の発光ピークは、これに限らなくてよい。例えば、発光素子220から出射される光は、青色光の他に、前述した波長範囲外の波長を有する緑色光、赤色光を含む可視光、紫外光、赤外光であり得る。
【0039】
ここで、発光素子220が半導体レーザ素子である場合について説明する。発光素子220から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、出射端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光強度分布を示す。
【0040】
発光素子220から出射される楕円形状の光のFFPに基づき、楕円形状の長径を通る方向をFFPの速軸方向、楕円形状の短径を通る方向をFFPの遅軸方向とする。発光素子220におけるFFPの速軸方向は、発光素子220の活性層を含む複数の半導体層が積層される積層方向と一致し得る。
【0041】
また、FFPの楕円形状の中心を通る光、言い換えると、FFPの光強度分布においてピーク強度の光を、光軸を進む光、あるいは、光軸を通る光、と呼ぶものとする。また、FFPの楕円形状の中心を進む光の光路を、その光の光軸、と呼ぶものとする。
【0042】
(サブマウント230)
サブマウント230は、例えば、直方体の形状で構成され、下面、上面、及び、1または複数の側面を有する。また、サブマウント230は上面視で光軸方向及び光軸方向に垂直な方向の幅よりも、紙面に垂直な方向の幅が最も小さい。なお、形状は直方体に限らなくてよい。サブマウント230は、例えば、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用いて形成されるが、窒化ケイ素、ダイヤモンド、銅、酸化アルミニウムなどを用いてもよいし、これらの材料を組み合わせて形成してもよい。また、サブマウント230の上面には、例えば、導電膜が設けられている。
【0043】
(サブマウント235)
サブマウント235は、例えば、サブマウント230と同じ材料から形成されるものを用いることができる。なお、サブマウント235は、サブマウント230と異なる材料から形成されるものを用いても良い。
【0044】
(波長変換部材240)
波長変換部材240は、波長変換部241と、包囲部242とを有する。波長変換部材240の側面は凹部240xを有する。凹部240xの一部は波長変換部241であり、凹部240xの他の一部は包囲部242である。
【0045】
波長変換部241は、上面241aと、上面241aの反対面である下面241bと、1又は複数の側面とを有する。波長変換部241の下面241bは、底部の載置面211aと対向する。
図5の例では、波長変換部241は、複数の側面として、入射側面241i、第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fを備えている。
【0046】
第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fは、上面241aの外縁と下面241bの外縁とに接続する。第3側面241eは、第1側面241c及び第4側面241fとそれぞれ接続する。第4側面241fは、第2側面241d及び第3側面241eとそれぞれ接続する。第1側面241cと第4側面241fは接続しない。第2側面241dと第3側面241eは接続しない。
【0047】
第1側面241c及び第2側面241dは、上方側では互いに接続し、下方側ではそれぞれが入射側面241iと接続する。入射側面241iの下方側は、下面241bの外縁に接続する。入射側面241iの下方側は、第1側面241cと第2側面241dの接続部分側から、第3側面241eと第4側面241fの接続部分側に向かって窪んでいる。
【0048】
上面視で、第1側面241cと第4側面241fは、平行であってもよい。また、上面視で、第2側面241dと第3側面241eは、平行であってもよい。また、上面視で、第1側面241cと第2側面241d、第1側面241cと第3側面241e、第3側面241eと第4側面241f、第4側面241fと第2側面241dは、それぞれ垂直であってもよい。
【0049】
波長変換部241には光が照射されるため、波長変換部241の母材は、光の照射により分解されにくい無機材料を主材料に用いて形成することが好ましい。主材料は、例えば、セラミックスである。波長変換部241の主材料がセラミックスである場合、セラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、又は酸化マグネシウムが挙げられる。セラミックスの主材料は、波長変換部241に熱による変形や変色等の変質が生じないように、融点が1300℃~2500℃の材料を選択することが好ましい。ここで、特定の部材の「主材料」とは、その構成要素において、重量比または体積比で、最も多くの割合を占める材料である。また、「主材料」には、他の材料が含まれない、つまり、主材料のみでその構成要素を形成することも含み得る。なお、波長変換部241はセラミックス以外の材料を主材料として形成されていても良い。
【0050】
波長変換部241は、蛍光体を含む。波長変換部241は、例えば、蛍光体と、酸化アルミニウム等とを焼結させて形成できる。また、波長変換部241は、例えば、蛍光体の粉体を焼結させた、実質的に蛍光体のみからなるセラミックスを用いてもよい。蛍光体の含有量は、セラミックスの総体積に対して0.05体積%~100体積%とすることができる。また、波長変換部241は、蛍光体の単結晶で形成されてもよい。
【0051】
蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(YAG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)、αサイアロン蛍光体、βサイアロン蛍光体等が挙げられる。なかでも、YAG蛍光体は、耐熱性が良好である。
【0052】
包囲部242は、上面242aと、上面242aの反対面である下面242bと、上面242aの内縁と下面242bの内縁とを接続する1又は複数の内側面と、上面242aの外縁と下面242bの外縁とを接続する1又は複数の外側面とを有する。包囲部242は、1または複数の内側面において、光に対する反射率が80%以上100%以下であることが好ましく、90%以上100%以下であることがより好ましい。
【0053】
包囲部242は、波長変換部241の周囲に設けられる。包囲部242の上面242aは、上面視で、波長変換部241の上面241aを囲う。包囲部242は、その1または複数の内側面が、波長変換部241の第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fを覆っている。包囲部242は、入射側面241iを覆っておらず、入射側面241iは、包囲部242から露出する。
【0054】
包囲部242の上面242aは、波長変換部241の上面241aと同じ平面上に位置する。同様に、包囲部242の下面242bは、波長変換部241の下面241bと同じ平面上に位置する。なお、包囲部242の上面242aは、波長変換部241の上面241aと同じ平面上に位置していなくてもよい。同様に、包囲部242の下面242bは、波長変換部241の下面241bと同じ平面上に位置しなくても良い。図示する例において、上面視で、包囲部242の4つの外側面と上面242aが接続する4辺は、いずれも、波長変換部241の上面241aと、4つの側面とが接続する4辺と非平行であってよい。
【0055】
包囲部242は、さらに、突出部242tを備えている。本明細書においては、包囲部242において、入射側面241iよりも上方側において、入射側面241iから発光素子220が配置されている方向に向かって突出する部分を「突出部242t」とする。
【0056】
突出部242tは、包囲部242の上面242aの少なくとも一部と、包囲部242の外側面の1つである端面242eと、下面242c、および包囲部242の外側面242dの少なくとも一部から構成される。包囲部242の下面242bは、突出部242tを構成しない。
【0057】
包囲部242は、例えば、セラミックスを主材料として形成された焼結体である。主材料に用いられるセラミックスとしては、例えば、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。主材料の焼結密度を低くすることで、反射率を向上させることができる。包囲部242は、高反射性を有するセラミックスを主材料として構成されることがより好ましい。ここで、「高反射性を有する」とは、特定のピーク波長を有する光の反射率が80%以上であることを指す。高反射性を有するセラミックスとして、酸化アルミニウムが挙げられる。なお、包囲部242は、セラミックスを主材料としなくてもよい。包囲部242は、例えば、金属等の導電性材料や、セラミックスと金属の複合体や、樹脂等を用いて形成されてもよい。
【0058】
波長変換部材240において、波長変換部241と包囲部242は一体的に形成することができる。なお、波長変換部241と包囲部242を別々に形成し、これらを接合して波長変換部材240を形成してもよい。波長変換部241と包囲部242とは、例えば、一体焼結体である。なお、波長変換部材240において、凹部240xの表面は、波長変換部241の入射側面241i、包囲部242の外側面242d、及び突出部242tの下面242cにより構成される。
【0059】
波長変換部材240は、上面に反射防止膜を有してもよい。反射防止膜は、波長変換部241の上面241a及び/又は包囲部242の上面242aに設けることができる。また、波長変換部材240は、波長変換部241の下面241b及び/又は包囲部242の下面242bに、反射膜を有してもよい。また、波長変換部材240は、入射側面241iに、反射膜を有してもよい。
【0060】
(保護素子250)
保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子を保護するための構成要素である。例えば保護素子250は、半導体レーザ素子等の特定の素子に過剰な電流が流れて破壊されることを防ぐための構成要素である。保護素子250としては、例えば、Siで形成されたツェナーダイオードを使用できる。また例えば、保護素子250は、特定の素子が温度環境によって故障しないように温度を測定するための構成要素であってもよい。このような温度測定素子としては、サーミスタを使用できる。温度測定素子は、発光素子220の出射端面220aの近くに配置するのがよい。
【0061】
(第1配線271~第5配線275)
第1配線271、第2配線272、第3配線273、第4配線274、及び第5配線275は、両端を接合部とする線状の形状を有する導電体から構成される。言い換えると、第1配線271~第5配線275は、線状部分の両端に、他の構成要素と接合する接合部を有する。第1配線271~第5配線275は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。第1配線271~第5配線275としては、例えば、金属のワイヤを用いることができる。金属としては、例えば、金、アルミニウム、銀、銅、タングステンなどが挙げられる。
【0062】
(発光装置200)
次に、発光装置200について説明する。
【0063】
1又は複数の発光素子220は、底部211の載置面211aに配置される。発光素子220は、上面視で枠部212の内側に配置される。図示される例では、1つの発光素子220が載置面211aに配置される。発光素子220は、さらに枠部212によって囲まれる。発光素子220は、出射端面から側方に進む光を出射する。発光素子220から出射される光は、例えば青色光である。なお、発光素子220から出射される光は、青色光に限定されない。また、図示される例において、発光素子220は、半導体レーザ素子である。
【0064】
発光素子220は、例えば、底部211の載置面211aに配置されたサブマウント230上に載置される。サブマウント230は、例えば、底部211の載置面211aに設けられた金属膜269上に金属接着剤を介して接合される。金属膜269としては、例えば、Ni/Au(Ni、Auの順で積層した金属膜)やTi/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)などが挙げられる。金属接着剤としては、例えばAuSnが挙げられる。発光素子220をサブマウント230上に載置することで、発光素子220の駆動によって発生する熱を効果的に冷却することができる。なお、発光素子220をサブマウント230の上に載置せず、底部211の載置面211aに直接載置してもよい。
【0065】
発光素子220は、出射端面220aが、波長変換部241の入射側面241iと対向するように配置される。また、発光素子220の出射端面220aは、例えば、枠部212の1つの内側面212c又は1つの外側面212dと平行あるいは垂直であり得る。
【0066】
波長変換部材240は、底部211の載置面211aに配置される。波長変換部材240は、上面視で枠部212の内側に配置される。波長変換部241の下面241b及び包囲部242の下面242bは、底部211の載置面211aと対向する。波長変換部材240は、発光素子220から出射された光が進む方向に配置される。より具体的には、波長変換部材240は、発光素子220から出射され、側方に進行する光が入射する位置に配置される。
【0067】
さらに、波長変換部材240は、発光素子220から側方に出射された光の光軸OA上に位置する。図示する例において、発光素子220から出射され、波長変換部材240の波長変換部241に入射するまでの間には、出射されて光軸OAを進む光の進行方向は一定の方向である。図示される例において、発光素子220から出射されて光軸OAを進む光が波長変換部241の入射側面241iに入射するまでの光路上に他の部材が存在しない。これにより、発光装置200を小型化することができる。なお、発光素子220と波長変換部241との間には、コリメートレンズ等の他の部材を配置しても良い。
【0068】
波長変換部材240は、例えば、底部211の載置面211aに配置されたサブマウント235上に載置される。サブマウント235は、例えば、サブマウント230と共に、底部211の載置面211aに設けられた金属膜269上に金属接着剤を介して接合される。波長変換部材240が配置されるサブマウント235の上面の高さは、発光素子220が配置されるサブマウント230の上面の高さよりも低いことが好ましい。これにより、発光素子220から出射された光のうち、光軸OAよりも下方に進む光を、入射側面241iから効率よく波長変換部241に取り込むことができる。波長変換部材240をサブマウント235上に載置することで、波長変換部材240から発生する熱を効果的に冷却することができる。なお、波長変換部材240は、発光素子220が配置されるサブマウント230に配置されてもよいし、底部211の載置面211aに直接載置してもよい。
【0069】
波長変換部材240の波長変換部241は、発光素子220の出射端面220aから出射され、側方に進行する光が入射する入射側面と、入射した光が波長変換された光を出射する出射面と、を有する。図示する例において、波長変換部241の入射側面241iと、上面241aが、それぞれ入射側面及び出射面になる。波長変換部241の上面241aは、波長変換された光を上方に出射する。波長変換部材240の包囲部242は、波長変換部241の周囲に設けられる。なお、光を出射する出射面は、波長変換部材240の側面に設けられてもよい。
【0070】
波長変換部241の下面241bが含まれる平面内で、波長変換部241の第1側面241cの延長線と第2側面241dの延長線とは、入射側面241iよりも発光素子220側で接する。また、下面視で、波長変換部241の第3側面241eと第4側面241fとは、入射側面241iに対して発光素子220とは反対側で接続する。
【0071】
波長変換部材240が有する包囲部242の突出部242tは、発光素子220よりも上方において、入射側面241iよりも発光素子220側に突出する。また、突出部242tは、波長変換部材240の下面における発光素子220側の端部よりも発光素子220側に突出する。突出部242tは、上面視で、発光素子220の出射端面220aと重なる。上面視で、発光素子220の出射端面220aは、凹部240xの直下に位置する。上面視で、発光素子220の出射端面220aは、下面242cの直下に位置する。
【0072】
突出部242tは、上面視で、発光素子220の出射端面220aの全体に重なるように配置されていることが好ましい。このような配置にすることにより、発光素子220から出射される光のうち、波長変換部241に入射しない漏れ光を抑制することができる。また、このような配置にすることで発光素子220と波長変換部材240との距離を近づけることができ、発光装置200のサイズを小型化することができる。発光装置200が、複数の発光素子220を備える場合、全ての発光素子220の出射端面220aと、突出部242tは、上面視で重なることが好ましい。これにより、全ての発光素子220の光軸OAよりも上方に進行する漏れ光を抑制することができる。
【0073】
波長変換部241は、例えば、上面視で、発光素子220から出射する光の光軸OAが通過する位置に配置される。上面視で、波長変換部241の上面241aの形状は、光軸OAを基準軸とした線対称であってもよい。また、上面視で、包囲部242の上面の形状は、光軸OAを基準軸とした線対称であってもよい。
【0074】
発光素子220から出射された光は、波長変換部材240の方向に向かって進行し、包囲部242から露出する波長変換部241の入射側面241iに入射する。波長変換部241の入射側面241iの少なくとも一部は、光軸OAよりも下方に位置する。これにより、発光素子220から出射された光のうち、光軸OAよりも下方に進む光を、入射側面241iから効率よく波長変換部241に取り込むことができる。入射側面241iに入射した光に基づき、波長変換部241の上面241aから光が出射される。ここで、入射した光に基づいて出射される光とは、例えば、入射した光であり、また例えば、入射した光に基づいて波長変換された光である。
【0075】
波長変換部材240によって波長変換された光は、レーザ光と比較して、直視することによるダメージが少ない安全な光である。また、発光装置200から出射される光がレーザ光であったとしても、波長変換部材240を通り、波長変換部材240から出射される光は、直視することによるダメージが少ない安全な光である。これは、波長変換部材240を通ることで、レーザ光が拡散されることによる。
【0076】
発光素子から出射される光、及び/又は波長変換部241で波長変換された光は、包囲部242で反射されて波長変換部241の上面241a側に進み、波長変換部241の上面241aから出射される。これにより、効率的に、上面241aから光を出射させることができる。
【0077】
出射端面220aと接続する発光素子220の2つの側面のうちの一方の側面は、第1段差部214の側面と対向する。出射端面220aと接続する発光素子220の2つの側面のうちの一方の側面は、例えば、第1段差部214の側面と平行になる。出射端面220aと接続する発光素子220の2つの側面のうちの他方の側面は、第2段差部215の側面と対向する。出射端面220aと接続する発光素子220の2つの側面のうちの他方の側面は、例えば、第2段差部215の側面と平行になる。第1段差部214の上面214a及び第2段差部215の上面215aは、例えば、底部211の載置面211aを基準として、波長変換部241の上面241aの高さよりも低い位置にある。このような高さにすることで、上面241aから上方に出射された光が直接に第1段差部214及び第2段差部215に照射されなくなり、段差部による遮光や光の吸収が起こらず、波長変換部から出射される光の損失を抑制することができる。
【0078】
第1段差部214の上面214a及び第2段差部215の上面215aは、例えば、底部211の載置面211aを基準として、発光素子220の上面の高さよりも高い。
【0079】
発光装置200において、第1配線271、第2配線272、第3配線273、及び第4配線274により、発光素子220が、底部211や枠部212に設けられた導電膜と電気的に接続される。言い換えると、発光装置200において、第1配線271、第2配線272、第3配線273、及び第4配線274により、発光素子220が、基部210に設けられた導電膜と電気的に接続される。また、第5配線275を配置することで、保護素子250を発光素子220と並列に接続してもよい。図示される発光装置200は、保護素子250をツェナーダイオードとした例であるが、保護素子250が温度測定素子であった場合には、図とは異なる配線の接続となることがある。なお、第1配線271、第2配線272、第3配線273、第4配線274、及び第5配線275と、発光素子220及び保護素子250等との電気的な接続については後述する。
【0080】
蓋部213は、枠部212の上面212aに配置される。蓋部213は枠部212の上面212aに支持され、枠部212に囲まれる発光素子220の上方に配置される。蓋部213の下面の外周部は、例えば、枠部212の上面212aと接合される。例えば、蓋部213の下面の外周部に設けられた金属膜と、枠部212の上面212aに設けられた金属膜とがAuSn等を介して接合される。
【0081】
蓋部213が枠部212の上面212aに接合されることで、発光素子220及び波長変換部材240が配置される封止空間を形成する。また、この封止空間は、気密封止された状態で形成されてもよい。この封止空間が密閉された状態であることで、発光素子220の出射端面220aに有機物等が集塵することを抑制できる。
【0082】
蓋部213は、波長変換部241の上面241aから出射された光を透過させて外部に出射させる光透過領域を有してもよい。つまり、波長変換部241の上面241aから蓋部213側に出射された光は、蓋部213の光透過領域を透過して発光装置200の外部に出射されてもよい。蓋部213の全体が光透過領域であってもよい。蓋部213の光透過領域は、発光素子220から出射される光及び波長変換部材240から発せられる光の70%以上を透過させる。
【0083】
図8は、第1実施形態に係る発光装置200における発光素子220の電流経路について説明する上面図である。
図1~
図7に加え
図8を参照して、発光素子220の電流経路について説明する。なお、
図8では、説明の便宜上、一部の導電膜をドットパターンで示している。
【0084】
包囲部242は、発光素子220の電流経路の一部となる配線領域を有する。具体的には、発光装置200では、包囲部242の上面242aに、配線領域となる第1導電膜261が設けられている。第1導電膜261は、上面視で波長変換部241の上面241aの周りを囲うように設けられている。具体的には、第1導電膜261は、波長変換部241の上面241aを除く部分、すなわち包囲部242の上面242aの少なくとも一部に設けられている。第1導電膜261が包囲部242の上面242aを覆う面積は、包囲部242の上面242a全体の面積の80%以上であることが望ましい。第1導電膜261は、波長変換部241の上面241aを環状に囲わなくてもよい。包囲部242は、上面視で、そこに第1導電膜261が設けられれば環状の第1導電膜261となる領域であって、第1導電膜261が設けられていない欠損領域を有する。なお、第1導電膜261は包囲部242の上面242aに欠損領域なしに設けられていてもよい。
【0085】
図8の例では、上面視で、第1導電膜261の内縁は、波長変換部241の第1側面241cと第2側面241dの接続部近傍を除き、第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fに沿って配置されている。第1導電膜261の内縁は、第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fには達しない。すなわち、上面視で、第1導電膜261の内縁と、第1側面241c、第2側面241d、第3側面241e、及び第4側面241fとの間には、第1側面241cと第2側面241dの接続部近傍を除き、おおよそ一定の隙間が設けられている。
図8の例では、上面視で、第1導電膜261の外縁は、包囲部242の上面242aの外縁と一致する。すなわち、第1導電膜261は、包囲部242の上面242aの最も外側まで設けられている。なお、上面視で、第1導電膜261の外縁は、包囲部242の上面242aの外縁と一致しなくてもよい。
【0086】
上面視で、第1導電膜261は、波長変換部材240の上面を光軸OAを通る仮想的な直線によって二分したときの一方の領域から他方の領域に亘って設けられる。これにより、波長変換部材240への第1配線271及び第2配線272の接合がしやすくなる。
【0087】
第1段差部214の上面214aには、第3導電膜263と第5導電膜265が、枠部212の上面212aの内縁形状のうちの1辺に沿って互いに離隔して設けられている。
図8の例では、上面視で、第3導電膜263は、波長変換部材240の側面とおおよそ対向する位置に設けられている。また、上面視で、第5導電膜265は、サブマウント230の側面とおおよそ対向する位置に設けられている。第3導電膜263は上面視で、波長変換部241の辺のうち発光素子220の光軸と平行な辺を含む直線と、枠部212の内側面212cのうち発光素子220の光軸と平行な辺を含む直線とに挟まれた領域に設けることができる。また、第5導電膜は上面視で、サブマウント230の辺のうち発光素子220の光軸と平行な辺を含む直線と、枠部212の内側面212cのうち発光素子220の光軸と平行な辺を含む直線とに挟まれた領域に設けることができる。なお、第3導電膜263と第5導電膜265は必ずしも第1段差部214の上面214aに設けられなくてもよい。
【0088】
第3導電膜263は、第1配線271を介して、包囲部242の上面242aに設けられた配線領域である第1導電膜261に電気的に接続されている。つまり、発光素子220の電流経路は、第3導電膜263、第1配線271、及び配線領域である第1導電膜261を含む。また、第3導電膜263と第1配線271、及び第1配線271と第1導電膜261とは、それぞれ物理的に接合されている。この物理的な結合により、波長変換部材240が基部210に固定されない状態になったとしても、波長変換部材240の移動を制限させることができ、発光素子220から出射された光が波長変換部241に入射しないといった異常の発生を低減させることができる。なお、
図8の例では、第1配線271は2本設けられているが、第1配線271は1本だけ設けられてもよいし、3本以上設けられてもよい。
【0089】
第2段差部215の上面215aには、第4導電膜264が設けられている。
図8の例は、上面視で、第4導電膜264は、波長変換部材240の側面とおおよそ対向する位置からサブマウント230の側面とおおよそ対向する位置にまで設けられている。上面視で、第4導電膜264は、第2段差部215の上面215aの全体に設けられてもよいし、第2段差部215の上面215aの一部に設けられてもよい。
【0090】
上面視で、波長変換部材240の端面242eを通り端面242eに平行な仮想直線は、第4導電膜264を通過する。これにより、波長変換部材240を発光素子220の電流経路の一部とする上で、第4導電膜264を利用しやすくなる。また、上面視で、第3導電膜263と第5導電膜265とを離隔させる領域を通り、光軸OAに垂直な方向に延びる仮想直線が、第4導電膜264を通過してもよい。
【0091】
上面視で、光軸OAに平行な方向において波長変換部241の最も発光素子220に近い点を通り光軸OAに垂直な仮想直線と、光軸OAに平行な方向において発光素子220の中点を通り光軸OAに垂直な仮想直線とで挟まれる領域において、光軸OAに平行な方向の全長に亘って、第4導電膜264は設けられる。これにより、第2配線272及び第3配線273の配線長を抑えることができ、配線への負荷を低減させることができる。
【0092】
包囲部242の上面242aに設けられた配線領域である第1導電膜261は、第2配線272を介して、第4導電膜264と電気的に接続されている。つまり、発光素子220の電流経路は、第3導電膜263、第1配線271、配線領域である第1導電膜261、第2配線272、及び第4導電膜264を含む。また、第1導電膜261と第2配線272、及び第2配線272と第4導電膜264とは、それぞれ物理的に接合されている。この物理的な結合により、波長変換部材240が基部210に固定されない状態になったとしても、波長変換部材240の移動を制限させることができ、発光素子220から出射された光が波長変換部241に入射しないといった異常の発生を低減させることができる。なお、
図8の例では、第2配線272は2本設けられているが、第2配線272は1本だけ設けられてもよいし、3本以上設けられてもよい。
【0093】
発光素子220の上面には、第1電極221が設けられている。第4導電膜264は、第3配線273を介して、発光素子220の第1電極221に電気的に接続されている。つまり、発光素子220の電流経路は、第3導電膜263、第1配線271、配線領域である第1導電膜261、第2配線272、第4導電膜264、第3配線273、及び第1電極221を含む。また、第4導電膜264と第3配線273、及び第3配線273と第1電極221とは、それぞれ物理的に接合されている。なお、
図8の例では、第3配線273は3本設けられているが、第3配線273は1本だけ設けられてもよいし、2本設けられてもよいし、4本以上設けられてもよい。
【0094】
発光素子220の下面には、第2電極が設けられている。発光素子220の第2電極は、第4配線274を介して、第1段差部214の上面214aに設けられた第5導電膜265と電気的に接続される。
図8の例では、発光素子220は、サブマウント230の上面に設けられた第6導電膜266上に実装されている。発光素子220の下面に設けられた第2電極は、導電性の第1接合部295を介して第6導電膜266と接合されている。導電性の第1接合部295としては、例えばAuSnが挙げられる。第6導電膜266は、第4配線274を介して、第5導電膜265と電気的に接続されている。
【0095】
つまり、発光素子220の電流経路は、第3導電膜263、第1配線271、配線領域である第1導電膜261、第2配線272、第4導電膜264、第3配線273、第1電極221、発光素子220の第2電極、第1接合部295、第6導電膜266、第4配線274、及び第5導電膜265を含む。また、第6導電膜266と第4配線274、及び第4配線274と第5導電膜265とは、それぞれ物理的に接合されている。なお、
図8の例では、第4配線274は2本設けられているが、第4配線274は1本だけ設けられてもよいし、3本以上設けられてもよい。
【0096】
第3導電膜263、第1配線271、配線領域である第1導電膜261、第2配線272、第4導電膜264、第3配線273、第1電極221、発光素子220の第2電極、第4配線274、及び第5導電膜265は、蓋部213と基部210で形成される封止空間内に存在する。これにより、各導電膜や各配線に有機物等が集塵することを抑制できる。
【0097】
第3導電膜263は、第1段差部214を貫通する第1ビア配線281を介して、枠部212の下面212bに設けられた第1外部接続電極291と電気的に接続されている。また、第5導電膜265は、第1段差部214を貫通する第2ビア配線282を介して、枠部212の下面212bに設けられた第2外部接続電極292と電気的に接続されている。
【0098】
つまり、発光素子220の電流経路は、第1外部接続電極291、第1ビア配線281、第3導電膜263、第1配線271、配線領域である第1導電膜261、第2配線272、第4導電膜264、第3配線273、第1電極221、発光素子220の第2電極、第4配線274、第5導電膜265、第2ビア配線282、及び第2外部接続電極292を含む。
【0099】
また、第1ビア配線281から発光素子220を通り、第2ビア配線282へと繋がる電流経路は、蓋部213と基部210で形成される封止空間内に存在する。これにより、各導電膜や各配線に有機物等が集塵することを抑制できる。なお、ここでの第1ビア配線281から第2ビア配線282へと繋がる電流経路は、第1ビア配線281及び第2ビア配線282は含まれず、第1ビア配線281と第2ビア配線282の間を繋ぐ電流経路である。
【0100】
第1導電膜261、第3導電膜263、第4導電膜264、第5導電膜265、及び第6導電膜266としては、例えば、金属膜を用いることができる。金属膜としては、例えば、Ni/Au(Ni、Auの順で積層した金属膜)やTi/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)等が挙げられる。第1導電膜261、第3導電膜263、第4導電膜264、第5導電膜265、及び第6導電膜266として、酸化インジウムスズ(ITO)等の金属膜以外の膜を用いてもよい。
【0101】
なお、波長変換部材240の包囲部242を、アルミニウム等の導電性材料を用いて形成してもよい。その場合、包囲部242の上面242aに導電膜を設けずに、包囲部242の上面242aを配線領域とすることができる。
【0102】
発光装置200では、発光素子220の電流経路に、波長変換部材240の包囲部242の上面242aに設けた第1導電膜261が含まれるように設定されている。そのため、波長変換部材240に割れや脱落等が生じて第1導電膜261が断線したり、第1配線271及び/又は第2配線272が断線したりした場合に、発光素子220に電流が流れないようにすることができる。その結果、波長変換部材240に割れや脱落等が生じた場合に、発光素子220の発光が停止するため、波長変換部材240に発生した異常から直接的に発光素子220への電力供給が止まる。これにより、発光装置200の安全性に関する対策を図ることができる。
【0103】
また、第1導電膜261が包囲部242の上面242aに設けられていることで、波長変換部材240の上面付近のみが破損した場合でも第1導電膜261が断線し、発光素子220に電流が流れないようにすることができる。一方、例えば、導電膜が包囲部242の下面242bに設けられている場合、波長変換部材240の上面付近のみが破損した場合、発光素子220へ電流が流れたままになってしまう。このため、第1導電膜261が包囲部242の上面242aに設けられていることで、第1導電膜261が包囲部242の下面242bに設ける場合に比べて、より発光装置200の安全性を向上することができる。
【0104】
第1導電膜261を包囲部242の上面242aの一部に欠損領域を設け、欠損領域を跨いで電流が流れないように設けた場合、例えば、波長変換部241の上面241aから、第1導電膜261を通り、波長変換部材240の側面にかけてひびが1か所だけ生じた場合でも第1導電膜261が断線する。これに対し、第1導電膜261を波長変換部241の上面241aの周りに欠損領域なしに設けた場合、前述するようなひびが1か所だけ生じた場合、そのひびの、波長変換部241の上面241aを挟んで反対側にある第1導電膜は電流が導通可能な状態にあるため、ひびが生じても電流経路は断線せず、発光素子220が点灯したままになってしまう虞がある。このため、第1導電膜261を波長変換部241の上面241aの周りを、欠損領域を設けつつ囲った場合のほうが、欠損領域なしに設けた場合と比べて、より発光装置200の安全性を向上することができる。
【0105】
また、包囲部242の上面242aのうち、突出部242tを構成する領域に破損が生じる場合と比べて、発光素子220から遠い側の領域に破損が生じる方が、安全性に対するリスクは大きいと考えることができる。波長変換部241の上面241aから、発光素子220が配置されている方向に向かい、包囲部242の端面242eにかけて、発光素子220から近い領域に存在する第1導電膜261に欠損領域を設けることで、発光素子220から遠い側の領域に破損が生じた場合に確実に発光素子220への電流を遮断することができる。一方、例えば、包囲部242の上面242aのうち、発光素子220から遠い側の領域に欠損領域を設けた場合、包囲部242の上面242aのうち発光素子220から遠い側の領域に破損が生じても、発光素子220への電流が遮断されない可能性がある。したがって、包囲部242の上面242aのうち発光素子220から近い領域に欠損領域を設けることで、遠い領域に欠損領域を設ける場合に比べてより発光装置200の安全性を向上することができる。
【0106】
発光装置200では、外部の検知回路を用いた間接的な制御を必要としないため、発光装置200を含む装置全体が大型化及び煩雑化することを抑制できる。また、検知回路そのものの故障により安全対策が機能しなくなるといったリスクもない。更に、検知回路を設けて間接的に制御する場合は、異常の検出と、検出に基づく制御の実行という二つのプロセスを経るため、直接的に電流回路が遮断される場合の方が異常の発生に対する安全対策の応答速度の速い。なお、発光装置200は、直接的に電流供給を止める仕組みを有しているが、さらに間接的に電流供給を止める仕組みを有してもよい。
【0107】
<第2実施形態>
次に、
図1、
図9~
図11を参照して、第2実施形態に係る発光装置201を説明する。
図1は、第2実施形態に係る発光装置201の斜視図である。
図9は、
図1に示す発光装置201から蓋部213を取り除いた状態の上面図である。
図10は、
図9のX-X断面線における発光装置201の断面図である。
図11は、
図9に示す発光装置201から底部211の載置面211aに実装されている部材及び各配線を取り除いた状態の上面図である。なお、
図11では、説明の便宜上、一部の導電膜をドットパターンで示している。
【0108】
第2実施形態に係る発光装置201は、
図1に示すように、外形形状は発光装置200と同様である。しかし、発光装置201は、発光素子220の電流経路が発光装置200とは異なる。
【0109】
具体的には、発光装置201では、包囲部242の配線領域は、包囲部242の上面242aには設けられず、包囲部242の下面242bに設けられる。すなわち、発光装置201において、包囲部242の上面242aには、
図8に示す第1導電膜261に相当する導電膜は設けられていない。一方、
図10に示すように、包囲部242の下面242bには、配線領域である第2導電膜262が設けられている。第2導電膜262は、包囲部242の下面242bのみに設けられてもよいが、
図10に示すように、包囲部242の下面242bから波長変換部241の下面241bに延伸してもよい。
【0110】
また、波長変換部材240はサブマウント235を介さず底部211の載置面211aに設けてもよい。サブマウント235を介さずに波長変換部材240を載置面211aの上面に設けた場合、発光装置201の高さを低くすることができる。
【0111】
さらに、波長変換部材240の包囲部242を、アルミニウム等の導電性材料を用いて形成してもよい。その場合、包囲部242の下面242bに導電膜を設けずに、包囲部242の下面242bを配線領域とすることができる。
【0112】
上面視で、底部211の載置面211aのうち、サブマウント230が配置されない領域に第7導電膜267及び第8導電膜268が設けられる。なお、サブマウント230を用いない場合は、上面視で、底部211の載置面211aのうち、発光素子220が配置されない領域に第7導電膜267及び第8導電膜268を設けることができる。第7導電膜267及び第8導電膜268の少なくとも一部は、上面視で、波長変換部材240と重なっている。また、第7導電膜267及び第8導電膜268は第2導電膜262に接合されている。第7導電膜267と第8導電膜268とは、互いに離隔している。
【0113】
図10に示すように、第2導電膜262は、上面視で、第7導電膜267及び第8導電膜268と重なる領域を有している。そして、第7導電膜267は、導電性の第2接合部296を介して第2導電膜262と電気的に接続されている。また、第8導電膜268は、導電性の第3接合部297を介して第2導電膜262と電気的に接続されている。つまり、第7導電膜267、第2接合部296、第2導電膜262、第3接合部297、及び第8導電膜268は、直列に接続されている。
【0114】
第2導電膜262、第7導電膜267、及び第8導電膜268としては、例えば、金属膜を用いることができる。金属膜としては、例えば、Ni/Au(Ni、Auの順で積層した金属膜)やTi/Pt/Au(Ti、Pt、Auの順で積層した金属膜)等が挙げられる。第2導電膜262、第7導電膜267、及び第8導電膜268として、酸化インジウムスズ(ITO)等の金属膜以外の膜を用いてもよい。第2接合部296及び第3接合部297としては、例えばAuSn、導電性ペースト、および金属バンプ等が挙げられる。
【0115】
第7導電膜267は、底部211を貫通する第3ビア配線283を介して、底部211の下面211bに設けられた第1外部接続電極291と電気的に接続されている。また、第8導電膜268は、第2段差部215を貫通する第4ビア配線284を介して、第2段差部215の上面215aに設けられた第4導電膜264と電気的に接続されている。
【0116】
なお、発光装置201において、第4導電膜264、第3配線273、第1電極221、発光素子220の第2電極、第4配線274、第5導電膜265、第2ビア配線282、及び第2外部接続電極292の電流経路については、発光装置200と同様である。発光装置201において、第5導電膜265は、第1段差部214の上面214aの全面に設けられていてもよいし、発光装置200と同様の形状に設けられていてもよい。
【0117】
つまり、発光装置201において、発光素子220の電流経路は、第1外部接続電極291、第3ビア配線283、第7導電膜267、第2接合部296、第2導電膜262、第3接合部297、第8導電膜268、第4ビア配線284、第4導電膜264、第3配線273、第1電極221、発光素子220の第2電極、第4配線274、第5導電膜265、第2ビア配線282、及び第2外部接続電極292を含む。
【0118】
このように、発光装置201では、発光素子220の電流経路が、波長変換部材240の包囲部242の下面242bに設けた第2導電膜262が含まれるように設定されている。そのため、波長変換部材240に割れや脱落等が生じて第2導電膜262が断線したり、第2接合部296及び/又は第3接合部297が断線したりした場合に、発光素子220に電流が流れないようにすることができる。また、波長変換部241の上面241aに配線を接合しないため、波長変換部材240を小型化することができる。
【0119】
<第3実施形態>
次に、
図12~
図15を参照して、第3実施形態に係る発光装置202を説明する。
図12は、第3実施形態に係る発光装置202を例示する斜視図である。
図13は、
図12に示す発光装置202から蓋部213を取り除いた状態の斜視図である。
図14は、
図13に示す発光装置202の上面図である。
図15は、
図12のXV-XV断面線における発光装置202の断面図である。
【0120】
第3実施形態に係る発光装置202は、基部210が底部211のみから構成され、平板部213M及び枠部212Mからなる蓋部213を有している点が、
図1等に示す発光装置200とは異なる。枠部212Mは、例えば、上面視で矩形の枠状である。また、平板部213Mは、例えば、上面視で矩形である。枠部212Mの1又は複数の内側面212cは段差部を有していない。蓋部213は一体に形成されてもよいし、枠部212M及び平板部213Mを、それぞれを別々に形成し、これらを接合して形成されてもよい。蓋部213の主材料には、例えばガラス、セラミックス等の無機材料を用いることができる。また、枠部212M及び平板部213Mを、それぞれ別々の材料で成形してもよい。その場合でも、ガラス、セラミックス等の無機材料などを用い得る。蓋部213は、底部211の載置面211aの外縁に接合されている。底部211と蓋部213との接合には、例えば、金属接着剤を用い得る。金属接着剤としては、例えば、AuSnや金属ペーストが挙げられる。底部211と蓋部213との接合に樹脂接着剤を用いてもよい。
【0121】
図14の例では、上面視で、底部211の載置面211aは発光素子220の光軸方向を長手方向とする矩形状である。底部211の載置面211aには、第3導電膜263、第4導電膜264、第5導電膜265、及び金属膜269が設けられている。第3導電膜263及び第5導電膜265は、金属膜269の長手方向に垂直な方向の一方側に、金属膜269と離隔して設けられている。また、第3導電膜263と第5導電膜265とは、互いに離隔して設けられている。第4導電膜264は、金属膜269の長手方向に垂直な方向の他方側に、金属膜269と離隔して設けられている。第3導電膜263及び第5導電膜265は、金属膜269を挟んで、第4導電膜264とおおよそ対向する。
【0122】
発光装置202では、発光装置200の場合と同様に、第3導電膜263は、第1配線271を介して、包囲部242の上面242aに設けられた配線領域である第1導電膜261に電気的に接続されている。第1導電膜261は、第2配線272を介して、第4導電膜264と電気的に接続されている。第4導電膜264は、第3配線273を介して、発光素子220の第1電極221に電気的に接続されている。発光素子220の第2電極は、第4配線274を介して、第5導電膜265と電気的に接続されている。
【0123】
第3導電膜263は、底部211を貫通する第1ビア配線281を介して、底部211の下面211bに設けられた第1外部接続電極291と電気的に接続されている。また、第5導電膜265は、底部211を貫通する第2ビア配線282を介して、底部211の下面211bに設けられた第2外部接続電極292と電気的に接続されている。つまり、発光素子220の電流経路は、第1外部接続電極291、第1ビア配線281、第3導電膜263、第1配線271、配線領域である第1導電膜261、第2配線272、第4導電膜264、第3配線273、第1電極221、発光素子220の第2電極、第4配線274、第5導電膜265、第2ビア配線282、及び第2外部接続電極292を含む。
【0124】
このように、発光装置202における発光素子220の電流経路は、発光装置200における発光素子220の電流経路と同じにすることができる。その結果、発光装置202では、発光装置200と同様の安全性を確保することができる。
【0125】
発光装置200、201、202は、例えば、車載ヘッドライトに利用できる。また、発光装置200、201、202は、これに限らず、照明、プロジェクター、ヘッドマウントディスプレイ、その他ディスプレイのバックライト等の光源に利用できる。
【0126】
以上、好ましい実施形態等について詳説したが、前述した実施形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、前述した実施形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0127】
波長変換部材240は、発光素子220から出射された光を変換する光変換部の一例である。発光素子220から出射された光は光変換部に入射し、光変換部は波長変換や拡散、あるいは他の光学作用によって光を変換して出射する。光変換部に入射する光は、光変換部による変換の前後で光学的な性質が異なる。発光装置から出射される光は、光変換部によって変換後の状態の光であることが望まれる一方で、変換前の状態の光であることは望まれない。波長変換部材240は、このような光変換部に制限されるわけではないが、このような光変換部の該当例といえる。
【0128】
以上の実施形態に加えて、さらに以下の付記を開示する。
(付記1)
載置面を有する基部と、
前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、
前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する波長変換部材と、を備える発光装置。
(付記2)
前記波長変換部材は、
前記発光素子から出射された光が入射する入射側面と、光が出射される上面と、を有する波長変換部と、
前記波長変換部の周囲に設けられ、前記配線領域が設けられる包囲部と、を有する、付記1に記載の発光装置。
(付記3)
前記包囲部は、上面視で、前記波長変換部の上面を囲う上面を有し、
前記配線領域は、前記包囲部の上面に設けられる第1導電膜である、付記2に記載の発光装置。
(付記4)
前記包囲部は、前記基部の載置面と対向する下面を有し、
前記配線領域は、前記包囲部の下面に設けられる第2導電膜である、付記2に記載の発光装置。
(付記5)
前記包囲部は、導電性材料からなる、付記2に記載の発光装置。
(付記6)
前記基部は、前記載置面を有する底部と、上面視で前記載置面を囲う枠部とからなり、
前記波長変換部材及び前記発光素子は、上面視で前記枠部の内側に配置される、付記1から5のいずれか1項に記載の発光装置。
(付記7)
前記枠部と接合し、前記発光素子及び前記波長変換部材が配置される封止空間を形成する蓋部をさらに備える、付記6に記載の発光装置。
(付記8)
前記波長変換部材の側面は凹部を有し、
前記凹部の一部は波長変換部である、付記1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
(付記9)
上面視で、前記発光素子の出射端面は、前記凹部の直下に位置する、付記8に記載の発光装置。
(付記10)
前記基部は底部と枠部とからなり、前記波長変換部材及び前記発光素子は、上面視で前記枠部の内側に配置され、
前記底部の上面よりも上方、かつ、前記枠部の上面よりも下方に位置する上面を備えた第1段差部を有し、
前記第1段差部の上面には第3導電膜が設けられ、
前記第3導電膜は、第1配線を介して、前記配線領域に電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、及び前記配線領域、を含む、付記1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
(付記11)
前記底部の上面よりも上方、かつ、前記枠部の上面よりも下方に位置する上面を備えた第2段差部を有し、
前記第2段差部の上面には第4導電膜が設けられ、
前記配線領域は、第2配線を介して、前記第4導電膜と電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、及び前記第4導電膜、を含む、付記10に記載の発光装置。
(付記12)
前記第4導電膜は、第3配線を介して、前記発光素子の第1電極に電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、及び前記第1電極、を含む、付記11に記載の発光装置。
(付記13)
前記第1段差部には、前記第3導電膜と離隔して第5導電膜が設けられ、
前記発光素子の第2電極は、第4配線を介して、前記第5導電膜と電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、前記第1電極、前記第2電極、前記第4配線、及び前記第5導電膜、を含む、付記12に記載の発光装置。
(付記14)
前記枠部と接合し、前記発光素子及び前記波長変換部材が配置される封止空間を形成する蓋部をさらに備え、
前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、前記第1電極、前記第2電極、前記第4配線、及び前記第5導電膜は、前記封止空間内に存在する付記13に記載の発光装置。
(付記15)
前記第3導電膜は、前記第1段差部を貫通する第1ビア配線を介して、前記基部の下面に設けられた第1外部接続電極と電気的に接続され、
前記第5導電膜は、前記第1段差部を貫通する第2ビア配線を介して、前記基部の下面に設けられた第2外部接続電極と電気的に接続され、
前記電流経路は、前記第1外部接続電極、前記第1ビア配線、前記第3導電膜、前記第1配線、前記配線領域、前記第2配線、前記第4導電膜、前記第3配線、前記第1電極、前記第2電極、前記第4配線、前記第5導電膜、前記第2ビア配線、及び前記第2外部接続電極、を含む、付記14に記載の発光装置。
(付記16)
載置面を有する基部と、
前記載置面に配置され出射端面から光を出射する発光素子と、
前記載置面において、前記発光素子から出射された光が進む方向に配置され、前記発光素子の電流経路の一部となる配線領域を有する光変換部と、を備える発光装置。
【符号の説明】
【0129】
200,201,202 発光装置
210 基部
211 底部
211a 載置面
211b 下面
212,212M 枠部
212a 上面
212b 下面
212c 内側面
212d 外側面
213 蓋部
213a 上面
213b 下面
213c 側面
213M 平板部
214 第1段差部
215 第2段差部
214a,215a 上面
214b,215b 下面
220 発光素子
220a 出射端面
221 第1電極
230,235 サブマウント
240 波長変換部材
241 波長変換部
241a 上面
241b 下面
241c 第1側面
241d 第2側面
241e 第3側面
241f 第4側面
241i 入射側面
242 包囲部
242a 上面
242b 下面
242t 突出部
250 保護素子
261 第1導電膜
262 第2導電膜
263 第3導電膜
264 第4導電膜
265 第5導電膜
266 第6導電膜
267 第7導電膜
268 第8導電膜
269 金属膜
271 第1配線
272 第2配線
273 第3配線
274 第4配線
275 第5配線
281 第1ビア配線
282 第2ビア配線
283 第3ビア配線
284 第4ビア配線
291 第1外部接続電極
292 第2外部接続電極
295 第1接合部
296 第2接合部
297 第3接合部