(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086347
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】表面加工方法及び表面加工装置
(51)【国際特許分類】
B23H 1/04 20060101AFI20240620BHJP
B23H 9/00 20060101ALI20240620BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
B23H1/04 Z
B23H9/00 Z
H01L21/304 611A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201432
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000139687
【氏名又は名称】株式会社安永
(71)【出願人】
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】国立研究開発法人産業技術総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐生 陽介
(72)【発明者】
【氏名】多和 靖展
(72)【発明者】
【氏名】加藤 智久
【テーマコード(参考)】
3C059
5F057
【Fターム(参考)】
3C059AA01
3C059AB07
3C059DA01
3C059DE01
3C059HA01
5F057BA12
5F057BB02
5F057BB03
5F057BB05
5F057BB06
5F057BB07
5F057BB08
5F057BB09
5F057CA02
5F057CA06
5F057DA15
5F057DA31
5F057DA40
5F057EB24
5F057EB26
5F057FA12
5F057FA42
(57)【要約】
【課題】円板状の加工対象物を放電加工により表面加工する際に、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制する。
【解決手段】平面視円形状をなしかつ外径が加工対象物の外径以上である加工電極30を、平面視で、加工対象物と部分的に重複するように、加工対象物の上側に配置し、加工対象物を第1中心軸X1周りに回転させ、加工電極30を第2中心軸X2周りに回転させ、加工対象物及び加工電極30の両方が回転した状態で、加工電極30と加工対象物との間で放電する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の加工対象物の表面を加工電極により放電加工する表面加工方法であって、
前記加工電極は、平面視円形状をなしかつ外径が前記加工対象物の外径以上であり、
平面視で、前記加工対象物と前記加工電極とが部分的に重複するように、前記加工対象物の上側に前記加工電極を配置する配置工程と、
前記加工対象物を、その中心軸周りに回転させる対象物回転工程と、
前記加工電極を、その中心軸周りに回転させる電極回転工程と、
前記加工対象物及び前記加工電極の両方が回転した状態で、前記加工電極と前記加工対象物との間で放電する放電工程と、を含むことを特徴とする表面加工方法。
【請求項2】
請求項1に記載の表面加工方法において、
前記加工電極は、前記加工対象物側が開口した円筒状をなすことを特徴とする表面加工方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の表面加工方法において、
前記放電工程中に、前記加工対象物及び前記加工電極の少なくとも一方を、水平方向に移動させる水平移動工程を更に含むことを特徴とする表面加工方法。
【請求項4】
請求項3に記載の表面加工方法であって、
前記加工電極は、前記加工対象物側が開口した円筒状をなし、
前記水平移動工程は、前記加工対象物の表面の半径をr、前記加工電極の外側半径をR、前記加工電極の筒部の幅をd(d<r)としたときに、前記加工対象物と前記加工電極との中心軸間の距離Lが、
R-d<L<r+R
となる範囲で、前記加工対象物及び前記加工電極の少なくとも一方を水平移動させる工程であることを特徴とする表面加工方法。
【請求項5】
請求項4に記載の表面加工方法であって、
前記対象物回転工程での前記加工対象物の回転方向と、前記電極回転工程での前記加工電極の回転方向は同じ方向であることを特徴とする表面加工方法。
【請求項6】
円板状の加工対象物の表面を放電加工する表面加工装置であって、
前記加工対象物が載置されかつ保持されるテーブルと、
平面視円形状をなしかつ外径が前記加工対象物の外径以上の加工電極と、
前記加工対象物を、その中心軸周りに回転させる第1回転装置と、
前記加工電極を、その中心軸周りに回転させる第2回転装置と、
前記加工電極、前記第1回転装置、及び前記第2回転装置と電気的に接続されたコントローラと、を備え、
前記コントローラは、前記加工対象物と前記加工電極とが平面視で部分的に重複した状態で、前記第1回転装置により前記加工対象物を回転させ、かつ前記第2回転装置により前記加工電極を回転させて、放電加工を行うことを特徴とする表面加工装置。
【請求項7】
請求項6に記載の表面加工装置において、
前記加工電極は、前記加工対象物側が開口した円筒状をなすことを特徴とする表面加工装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の表面加工装置において、
前記テーブル又は前記加工電極の少なくとも一方は、水平方向に移動可能に構成されており、
前記コントローラは、前記テーブル及び前記加工電極の少なくとも一方を、水平方向に移動させながら放電加工可能に構成されていることを特徴とする表面加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、表面加工方法及び表面加工装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、導電性を有する円板状の加工対象物に対して、表面を所望の形状に加工したり、表面の状態を変質させる技術が知られている。例えば、加工対象物が半導体ウェハの場合には、半導体チップの製造条件に応じて、ウェハの表面を平坦にしたり、太鼓状にしたりする。また、加工対象物がSiCの種結晶の場合には、種結晶と台座との密着性を向上させるために、台座との接着面を変質させることがある。
【0003】
特許文献1には、研磨スラリーを用いて半導体ウェハの表面を物理的に研磨する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ウェハブランクの全体を覆うように加工電極を配置した状態で、ウェハブランクの表面に放電して、ウェハブランクの表面を平坦化する方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、円板状のSiCの種結晶の表面を放電加工することで加工変質層を形成して、該加工変質層を接着剤により台座に接着させる方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009-81186号公報
【特許文献2】特開2012-236241号公報
【特許文献3】特開2015-30659号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように研磨スラリーによって表面を加工する場合、研磨スラリーが加工対象物の表面に対して偏って分布していないかを常に確認する必要があり、加工効率が必ずしも高くない。また、研磨スラリーのように加工対象物と接触して加工する方法では、加工対象物がSiCなど高硬度の材料で構成されているときには、装置の剛性を高くするために装置を大型化する必要がある。
【0008】
これに対して、特許文献2のように放電加工により加工対象物の表面を加工すれば、加工対象物と電極とが非接触の状態で加工することができるため、加工中の管理負担が軽減されるとともに、装置の大型化も抑制することができる。しかしながら、特許文献2のように、加工対象物の全体を加工電極で覆ってしまうと、加工対象物の表面全体のうちのエッジ形状の部分など、電荷が集中しやすい部分に集中的に放電されてしまい、加工対象物の表面を所望の形状に加工することが難しい。また、放電箇所が集中した結果、加工電極が偏って摩耗してしまうと、今度は、加工電極の表面形状が原因で放電箇所に偏りが発生してしまい、所望の形状をさらに得難くなるおそれがある。
【0009】
また、特許文献3では、接着面の粗さについての記載はあるが、所望の粗さを実現させるための加工装置については、詳細には開示されていない。
【0010】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、円板状の加工対象物を放電加工により表面加工する際に、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、円板状の加工対象物の表面を加工電極により放電加工する表面加工方法を対象として、前記加工電極は、平面視円形状をなしかつ外径が前記加工対象物の外径以上であり、平面視で、前記加工対象物と前記加工電極とが部分的に重複するように、前記加工対象物の上側に前記加工電極を配置する配置工程と、前記加工対象物を、その中心軸周りに回転させる対象物回転工程と、前記加工電極を、その中心軸周りに回転させる電極回転工程と、前記加工対象物及び前記加工電極の両方が回転した状態で、前記加工電極と前記加工対象物との間で放電する放電工程と、を含む、という構成とした。
【0012】
この構成によると、加工対象物と加工電極とが部分的に重複しているため、放電領域が限定される。一方で、加工対象物は中心軸周りに回転しているため、加工対象物の表面は少なくとも1度は、加工電極の直下に位置する。これにより、放電領域を限定しつつ加工対象物の表面全体を放電加工することができるため、加工対象物の表面状態により加工箇所が局所的に集中することを抑制することができる。
【0013】
また、加工電極自体も筒軸周りに回転しているため、加工電極における加工対象物との間で放電が発生する部分も逐次変化する。これにより、加工電極の摩耗が局所的に進行することを抑制することができ、加工電極の摩耗状態により加工箇所に偏りが生じることも抑制することができる。
【0014】
前記表面加工方法において、前記加工電極は、前記加工対象物側が開口した円筒状をなす、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、放電領域をより限定して、加工対象物の表面を放電加工することができる。加工対象物が回転しているため、加工電極が円筒状をなしていたとしても、加工対象物の表面全体を加工することができる。これにより、加工対象物の表面状態の影響をより効果的に抑えることができるため、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0016】
前記表面加工方法の一実施形態では、前記放電工程中に、前記加工対象物及び前記加工電極の少なくとも一方を、水平方向に移動させる水平移動工程を更に含む。
【0017】
すなわち、加工対象物の表面を平坦にしたいときには、加工対象物全体を万遍なく放電加工することが望ましい。加工対象物と加工電極との相対位置を固定したままにすると、中心部と外周部とで加工時間にムラができるおそれがある。加工対象物及び加工電極の少なくとも一方を、水平方向に移動させれば、加工電極を加工対象物の中心部から離して、加工対象物の外周部のみが放電加工される状態にすることができる。これにより、加工対象物の中心部と外周部との加工時間のムラを出来る限り小さくすることができる。この結果、平坦な表面を得やすくなる。
【0018】
一方で、加工対象物の表面を、中央に対して外周の厚みが薄い所謂太鼓状にしたいときには、外周部の放電時間を出来る限り長くする必要がある。このときには、加工対象物の外周部のみが加工電極と重複するようにして、加工対象物の外周部のみが放電加工される状態を維持する。これにより、太鼓状の表面を得ることができる。
【0019】
このように、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制する一方で、所望の表面形状に応じて意図的に加工箇所を偏らせることができる。
【0020】
また、加工電極における加工対象物への対向面を、加工対象物の表面のあらゆる箇所と対向させることができるため、加工電極をより均一に摩耗をさせることができる。
【0021】
前記一実施形態において、前記加工電極は、前記加工対象物側が開口した円筒状をなし、前記水平移動工程は、前記加工対象物の表面の半径をr、前記加工電極の外側半径をR、前記加工電極の筒部の幅をd(d<r)としたときに、前記加工対象物と前記加工電極との中心軸間の距離Lが、
R-d<L<r+R
となる範囲で、前記加工対象物及び前記加工電極の少なくとも一方を水平移動させる工程である、という構成でもよい。
【0022】
すなわち、前述の範囲で加工対象物と加工電極との相対位置を変更させれば、加工対象物全体の加工が可能である。つまり、加工対象物と加工電極とが重複する領域をより限定しつつ、加工対象物全体の加工を適切に加工することができる。これにより、加工対象物の表面状態の影響や、加工電極の摩耗箇所が局所的に集中することをより効果的に抑制することができる。この結果、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0023】
水平移動の範囲が限定された前記一実施形態において、前記対象物回転工程での前記加工対象物の回転方向と、前記電極回転工程での前記加工電極の回転方向は同じ方向である、という構成でもよい。
【0024】
この構成によると、加工対象物と加工電極とが重複した領域において、加工対象物の移動方向と加工電極の移動方向とを異ならせることができる。これにより、加工時間のムラをより効果的に抑制することができるため、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0025】
ここに開示された技術は、円板状の加工対象物の表面を放電加工する表面加工装置をも対象とする。具体的には、前記加工対象物が載置されかつ保持されるテーブルと、平面視円形状をなしかつ外径が前記加工対象物の外径以上の加工電極と、前記加工対象物を、その中心軸周りに回転させる第1回転装置と、前記加工電極を、その中心軸周りに回転させる第2回転装置と、前記加工電極、前記第1回転装置、及び前記第2回転装置と電気的に接続されたコントローラと、を備え、前記コントローラは、前記加工対象物と前記加工電極とが平面視で部分的に重複した状態で、前記第1回転装置により前記加工対象物を回転させ、かつ前記第2回転装置により前記加工電極を回転させて、放電加工を行う、という構成とした。
【0026】
この構成でも、放電領域を限定しつつ加工対象物の表面全体を放電加工することができるため、加工対象物の表面状態により加工箇所が局所的に集中することを抑制することができる。また、加工電極自体も筒軸周りに回転しているため、加工電極の摩耗が局所的に進行することを抑制することができる。これらのことから、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制することができる。
【0027】
前記表面加工装置において、前記加工電極は、前記加工対象物側が開口した円筒状をなす、という構成でもよい。
【0028】
この構成によると、放電領域をより限定して、加工対象物の表面を放電加工することができる。加工対象物が回転しているため、加工電極が円筒状をなしていたとしても、加工対象物の表面全体を加工することができる。これにより、加工対象物の表面状態の影響をより効果的に抑えることができるため、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0029】
前記表面加工装置において、前記テーブル又は前記加工電極の少なくとも一方は、水平方向に移動可能に構成されており、前記コントローラは、前記テーブル及び前記加工電極の少なくとも一方を、水平方向に移動させながら放電加工可能に構成されている、という構成でもよい。
【0030】
この構成でも、加工したい所望の表面形状に応じて、加工対象物の中央部と外周部との加工時間を調整することができる。また、加工電極における加工対象物への対向面を、加工対象物の表面のあらゆる箇所と対向させることができる。これらのことにより、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制する一方で、所望の表面形状に応じて意図的に加工箇所を偏らせることができる。
【発明の効果】
【0031】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、加工対象物を放電加工により加工する際に、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る表面加工装置の概略図である。
【
図2】
図2は、ウェハと加工電極との位置関係を説明するための図である。
【
図3】
図3は、表面加工装置の動作図であって、ウェハを載置台に固定した状態を示す。
【
図4】
図4は、表面加工装置の動作図であって、
図3の状態から加工電極を所定の位置に移動させた状態を示す。
【
図5】
図5は、表面加工装置の動作図であって、
図4の状態から加工電極を下降させて表面処理を開始した状態を示す。
【
図6】
図6は、表面加工装置の動作図であって、
図5の状態から加工電極をウェハの径方向に水平移動させた状態を示す。
【
図7】
図7は、表面加工装置の動作図であって、表面処理が完了した状態を示す。
【
図8】
図8は、表面加工装置によりウェハの特定の位置のみを加工する際の加工電極の配置を示す模式図である。
【
図9】
図9は、表面加工装置により放電加工したSiCの種結晶の断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る表面加工装置の概略図である。
【
図11】
図11は、実施形態2に係る表面加工装置の動作図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、上、下、左、及び右は、
図1の矢印に従う。ここで示す方向は、実際に表面加工装置1を使用する際の配置を限定するものではない。また、本明細書において、「表面加工」とは、単に表面の形状を加工するものだけでなく、表面の性質を変える加工も含まれる。
【0034】
〈実施形態1〉
図1は、本実施形態1に係る表面加工装置1を概略的に示す。この表面加工装置1は、導電性を有するウェハW、特に半導体ウェハを加工対象物として、該ウェハWの表面を放電加工により所望の形状になるように処理する装置である。加工対象となるウェハWは、Si、Ge、SiC、GaAs、GaP、InP、GaN、AlNなど、種々のものがある。ウェハWは、インゴットからワイヤーカットソーによりスライスされたウェハでもよいし、ウェハ一枚分だけ成長させて作成されたウェハでもよい。また、加工対象物は、ウェハに限らず、円形の表面を有するものであればよく、例えば、厚さ1~10mmの円板状のSiCやGaNなどでもよい。
【0035】
表面加工装置1は、床面F上に配置された箱状のハウジング2を備える。ハウジング2内には、加工液が貯留された加工槽10と、ウェハWが載置されかつ保持されるテーブル20と、ウェハWとの間で放電を発生させる加工電極30と、が設けられている。
【0036】
加工槽10は、加工液が貯留される槽本体11と、槽本体11を支持する複数の脚部12とを有する。槽本体11に貯留される加工液は、水や油である。加工液は、放電加工により発生した屑をウェハW上から除去したり、放電加工中のウェハWを冷却したりするためのものである。加工槽10は、加工液に流れを形成するための流動生成器が設けられていてもよい。
【0037】
テーブル20は、ウェハWが載置される載置部21と、ハウジング2の下面に設置されるベース部22と、載置部21とベース部22とを上下方向に連結する支柱23と、を有する。
図1に示すように、載置部21は、槽本体11の槽内に位置しており、ベース部22は、槽本体11の底部の下側に位置している。支柱23は、槽本体11の底部を貫通して延びている。載置部21にウェハWが載置されたときには、ウェハWは加工液に浸漬される。図示は省略しているが、支柱23と槽本体11の底部との間には、加工液の漏れを防止するためのシール機構が設けられている。
【0038】
ウェハWは、テーブル20に載置された際に載置部21から移動しないように保持される。特に、ウェハWは、後述するように載置部21が回転した際に、ウェハWが載置部21と共回りするように載置部21に保持される。ウェハWを載置部21に保持する方法は、真空吸着により保持する方法、導電性接着剤により接着する方法、粘着テープにより固定する方法など、種々の方法を採用することができる。
【0039】
テーブル20は、載置部21が回転する回転式のテーブルであり、ベース部22には、載置部21を回転させるための第1モータ24が内蔵されている。第1モータ24の回転軸は、支柱23内に延びている。このため、第1モータ24が駆動したときには、支柱23が回転することなく、載置部21が、第1モータ24の回転軸周りに回転する。図示は省略するが、載置部21には、第1モータ24の回転軸とウェハWの中心軸X1(
図2参照。以下、第1中心軸X1という)とが同軸になるように、ウェハWを載置させるためのガイドが設けられている。これにより、載置部21が回転したときには、ウェハWが第1中心軸X1周りに回転するようになる。このことから、第1モータ24は、ウェハWをその中心軸X1周りに回転させる第1回転装置に相当する。尚、第1モータ24によって支柱23ごと載置部21が回転する構成であってもよい。
【0040】
テーブル20の支柱23には、ウェハWに電荷を供給するための第1給電部25が設けられている。第1給電部25は、支柱23における槽本体11の外側に位置する部分に設けられている。
【0041】
加工電極30は、
図1及び
図2に示すように、平面視円形状、詳しくは、ウェハW側(ここでは下側)に開口する有底円筒状をなしている。加工電極30の外側半径Rは、ウェハWの半径rよりも大きい。加工電極30の筒部31は、幅dの円筒であって、ウェハWとの間で放電が発生する部分である。
【0042】
加工電極30は、保持部40に、軸部41を介して保持されている。軸部41は、加工電極30の底部32の中心部と接続されている。保持部40には、加工電極30を回転させるための第2モータ42が内蔵されている。加工電極30は、第2モータ42の回転軸と、自身の中心軸X2(筒軸に相当。以下、第2中心軸X2という)とが同軸になるように軸部41と接続されている。このため、第2モータ42が駆動したときには、加工電極30が第2中心軸X2周りに回転する。このことから、第2モータ42は、加工電極30をその中心軸X2周りに回転させる第2回転装置に相当する。
【0043】
保持部40は、水平方向に移動可能に構成されている。図示は省略するが、ハウジング2の天井部には、保持部40を支持しかつ左右方向に延びるレールが設けられており、保持部40は、該レールに沿って左右方向に移動可能である。保持部40を左右方向に移動させる方法としては、ラック&ピニオン機構やサーボモータを利用する方法など公知の方法を採用することができる。
【0044】
保持部40の移動方向は、
図2に示すように、ウェハWの径方向に沿った方向である。このため、保持部40が移動した際に加工電極30の中心が描く軌跡に沿った直線RL上に、ウェハWの中心が位置する。
【0045】
また、保持部40は、軸部41を上下方向に伸縮させることで、加工電極30を昇降させるように構成されている。具体的には、保持部40は、軸部41が伸ばされたときには加工電極30が下降する一方、軸部41が縮められたときには加工電極30が上昇するように構成されている。軸部41を伸縮させる方法についても、サーボモータを利用する方法など公知の方法を採用することができる。
【0046】
また、保持部40は、軸部41を鉛直方向に対して傾斜させる機構を有している。軸部41が傾斜したときには、加工電極30も水平方向に対して傾斜する(
図8参照)。軸部41を傾斜させる方法についても公知の方法を採用することができる。尚、軸部41を傾斜させたときには、第2モータ42も一緒に傾斜される。つまり、軸部41を傾斜させたときには、第2モータ42の回転軸も、軸部41と同じだけ傾斜する。
【0047】
保持部40には、加工電極30に電荷を供給するための第2給電部43が設けられている。第2給電部43は、その下端が加工電極30の底部32と接触しており、該接触部を介して加工電極30に電荷を供給している。このため、第2給電部43は、加工電極30が回転したとしても、回転することなく電荷を供給する。尚、第2給電部43は、軸部41と接触する構成であってもよい。
【0048】
表面加工装置1は、ウェハWの表面処理を行うために各装置を操作するコントローラ50を有する。コントローラ50は、第1モータ24、第1給電部25、第2モータ42、及び第2給電部43と電気的に接続されている。また、コントローラ50は、保持部40を左右方向に移動させる機構(以下、水平移動機構という)、軸部41を伸縮させる機構(以下、伸縮機構という)、軸部41を傾斜させる機構(以下、傾斜機構という)とも電気的に接続されている。
【0049】
(放電加工)
次に、表面加工装置1によりウェハWの表面加工を行う方法について、
図3~
図7を参照しながら詳細に説明する。
図3~
図7は、上図が側方から見た図であり、下図が上側から見た図である。尚、以下の説明で、「ウェハWと加工電極30が重複」とは、平面視でウェハWと加工電極30とが重複することを意味する。
【0050】
図3は、ウェハWがテーブル20に保持された状態を示す。このとき、加工電極30は初期位置に位置している。この状態では、ウェハWと加工電極30とは重複しておらず、ウェハWと加工電極30との中心軸間距離Lは、加工電極30の外側半径RとウェハWの半径rとの和よりも大きい。
【0051】
次に、
図3の状態から、コントローラ50は、前記水平移動機構により保持部40を移動させて、加工電極30をウェハWの径方向内側(ここでは左側)に向かって移動させる。コントローラ50は、
図4に示すように、加工電極30の筒部31がウェハWの第1中心軸X1上に位置するように、加工電極30を配置させる。より具体的には、コントローラ50は、加工電極30を移動させて、筒部31の幅の中点が第1中心軸X1上に位置するように、加工電極30を配置させる。このとき、中心軸間距離Lは、
L=R-d/2
となる。このように加工電極30を配置することにより、ウェハWと加工電極30とが部分的に重複するようになる。
【0052】
そして、コントローラ50は、第1モータ24及び第2モータ42を作動させて、ウェハWを第1中心軸X1周りに回転させるとともに、加工電極30を第2中心軸X2周りに回転させる。ウェハWの回転数は、最大300rpmであり、加工電極30の回転数は最大2300rpmである。加工電極30の回転数は、ウェハWの回転数の整数倍とはならないように調整される。具体的には、加工電極30の回転数は、ウェハWの回転数の√2倍などの無理数倍になるように調整される。
図4に示すように、ウェハWの回転方向と加工電極30の回転方向とは同じ方向である。これにより、ウェハWと加工電極30との重複部分においては、加工電極30の移動方向とウェハWの移動方向とが逆方向になる。
【0053】
次に、コントローラ50は、
図4の状態から、前記伸縮機構により軸部41を伸ばして、加工電極30を下降させて、ウェハWに接近させる。コントローラ50は、ウェハWと加工電極30との上下方向の距離が所定距離以下になったときに、第1給電部25及び第2給電部43を作動させて、放電加工を開始する。放電電圧は50V~300V程度である。尚、所定距離とは、少なくとも加工電極30の筒部31が加工液に浸かる距離である。また、コントローラ50は、ウェハWと加工電極30との間にパルス状の放電が生じるように第1給電部25及び第2給電部43を作動させる。ウェハWと加工電極30とは部分的に重複しているため、放電領域は、重複部分に限定される。
【0054】
表面加工装置1では、放電加工の極性として、ウェハWを正極としかつ加工電極30を負極とする正極性と、ウェハWを負極としかつ加工電極30を正極とする逆極性とのいずれも選択可能である。特に、放電加工の極性は、ウェハWの加工目的に応じて適宜変更されることが好ましい。例えば、加工速度を優先する場合には、放電加工の極性を正極性とする一方で、ウェハ表面の面粗度を優先する場合には、放電加工の極性を逆極性とすることが好ましい。放電加工の極性は、放電加工を開始してから終了するまでの間に適宜変更されてもよい。また、放電加工の極性は、加工対象となるワークの材質に合わせて適宜変更されてもよい。放電加工の極性は、作業者により加工の度に適宜選択されてもよいし、コントローラ50により自動的に選択されてもよい。
【0055】
次いで、コントローラ50は、第1給電部25及び第2給電部43を作動させたまま、すなわち、ウェハWと加工電極30との間で放電を行ったまま、前記水平移動機構により加工電極30をウェハWの径方向に沿って往復移動させる。加工電極30の往復移動の範囲は、中心軸間距離Lが
R-d<L<r+R
となる範囲である。
【0056】
より具体的には、
図6に示すように、コントローラ50は、加工開始位置と、筒部31の幅の中点がウェハWの外周縁の上側に位置する位置、すなわち、中心軸間距離Lが
L=r+R-d/2
となる位置とを往復移動させる。詳細には、加工電極30の移動範囲は、中心軸間距離Lが、
R-d/2≦L≦r+R-d/2
となる範囲である。
【0057】
また、コントローラ50は、ウェハWと加工電極30とが接触しない範囲で、ウェハWと加工電極30との上下方向の距離を徐々に小さくする。また、コントローラ50は、所望の表面形状に応じて、加工電極30の水平移動の速度を調整したり、加工電極30の水平移動を停止させたりする。例えば、所望の表面形状が太鼓状であるときには、ウェハWの中央部と比較して外周部がより多く加工すべく、加工電極30の筒部31がウェハWの外周部とのみ重複している時に、加工電極30の水平移動の速度を低くしたり、加工電極30の水平移動を停止させたりする。
【0058】
そして、コントローラ50は、ウェハWの表面形状が所望の形状になったときには、第1給電部25及び第2給電部43を停止させる。その後、コントローラ50は、
図7に示すように、前記伸縮機構により軸部41を縮めて、加工電極30を上昇させて、ウェハWから離間させる。また、コントローラ50は、ウェハW及び加工電極30の回転をそれぞれ停止させた後、加工電極30を、
図3に示すような初期位置に移動させる。
【0059】
以上のようにして、放電加工によるウェハWの表面処理が完了する。表面処理されたウェハWは、載置部21に対する保持を解除された後、作業者により回収される。
【0060】
したがって、本実施形態1では、加工電極30は、平面視円形状をなしかつ外径がウェハWの外径以上であり、平面視で、ウェハWと加工電極30とが部分的に重複するように、ウェハWの上側に加工電極30を配置し、ウェハWを第1中心軸X1周りに回転させ、加工電極30を第2中心軸X2周りに回転させ、ウェハW及び加工電極30の両方が回転した状態で、加工電極30とウェハWとの間で放電する。これにより、ウェハWと加工電極30とが部分的に重複した状態で放電されるため、放電領域が限定される。一方で、ウェハWは第1中心軸X1周りに回転しているため、ウェハWの表面は少なくとも1度は、加工電極30の直下に位置する。これにより、放電領域を限定しつつウェハWの表面全体を放電加工することができるため、ウェハWの表面状態により加工箇所が局所的に集中することを抑制することができる。また、加工電極30自体も第2中心軸X2周りに回転しているため、摩耗が局所的に進行することを抑制することができ、加工電極30の摩耗状態により加工箇所に偏りが生じることも抑制することができる。したがって、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制することができ、ウェハWの表面形状を所望の形状に加工しやすくなる。
【0061】
また、本実施形態1では、加工電極30は、ウェハW側が開口した円筒状をなす。放電領域をより限定して、ウェハWの表面を放電加工することができる。ウェハWが回転しているため、加工電極30が円筒状をなしていたとしても、ウェハWの表面全体を加工することができる。これにより、ウェハWの表面状態の影響をより効果的に抑えることができるため、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0062】
また、本実施形態1では、放電加工中に加工電極30を水平方向に移動させる。これにより、加工したい所望の表面形状に応じて、ウェハWの中央部と外周部との加工時間を調整することができる。また、加工電極30の筒部31を、ウェハWの表面のあらゆる箇所と対向させることができる。これにより、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制する一方で、所望の表面形状に応じて意図的に加工箇所を偏らせることができる。
【0063】
特に、本実施形態1では、加工電極30の移動範囲は、中心軸間距離Lが
R-d/2≦L≦r+R-d/2
となる範囲である。これにより、ウェハWと加工電極30とが重複する領域をより限定しつつ、ウェハW全体の加工を適切に加工することができる。この結果、ウェハWの表面状態の影響や、加工電極30の摩耗箇所が局所的に集中することをより効果的に抑制することができる。
【0064】
また、本実施形態1では、ウェハWの回転方向と加工電極30の回転方向とは同じである。これにより、ウェハWと加工電極30とが重複した領域において、ウェハWの移動方向と加工電極30の移動方向とを出来る限り異ならせることができる。これにより、加工時間のムラをより効果的に抑制することができるため、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態1では、加工電極30の回転数は、ウェハWの回転数の整数倍とはならないように調整される。仮に、加工電極30の回転数が、ウェハWの回転数の整数倍であった場合は、加工電極30の筒部31とウェハWの表面との対向する箇所に規則性ができるようになり、加工箇所に偏りが生じるおそれがある。加工電極30の回転数を、ウェハWの回転数の整数倍とはならないように調整すれば、加工電極30の筒部31とウェハWの表面との対向する箇所がランダムになるため、意図せずに加工箇所に偏りが生じることをより効果的に抑制することができる。
【0066】
図8は、本実施形態1の表面加工装置1の他の使用方法を示す。表面加工装置1では、
図8に示すように、前記傾斜機構により軸部41を傾斜させて、加工電極30を傾斜させることで、放電領域をより限定させることができる。これにより、ウェハWの表面形状を微調整することが可能であり、ウェハWの表面形状を所望の形状に加工しやすくなる。
【0067】
(SiCの種結晶の加工)
図9は、SiCの種結晶(以下、単に種結晶100という)を加工対象物として、種結晶100の表面を実施形態1に係る表面加工装置1により放電加工した結果を示す。種結晶100は、厚みが0.1mm~10mmの円板状をなしている。種結晶100は、例えば、SiCの単結晶をワイヤーカットソーによりスライスすることで製造することができる。
【0068】
図9に示すように、放電加工を行った後には、種結晶100の表面部分に変質した層(以下、変質層101という)が形成されることが分かる。この変質層101は、SiCの他に、炭素やSiO
2などが含まれている層である。表面加工装置1による放電加工では、変質層101の厚みは、0.1μm~10μm程度であった。
【0069】
このように、本実施形態に係る表面加工装置1により表面加工を行うことで、加工箇所に偏りが生じることを抑制して、適度な表面粗さの変質層101を形成することができる。このような変質層101を形成することで、種結晶100を台座に接着させる際の、種結晶100と台座との密着性を向上させることができ、その後の結晶成長を適切に進行させることができる。
【0070】
〈実施形態2〉
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0071】
本実施形態2の表面加工装置201では、ベース部22にモータが設けられていない点で、前述の実施形態1とは異なる。本実施形態2では、モータの代わりに加工槽10の槽内に加工液を供給するノズル260により、載置部21を回転させることで、ウェハWを回転させるように構成されている。一方で、加工電極30については、前述の実施形態1と同様に第2モータ42により回転する。
【0072】
具体的には、
図10及び
図11に示すように、テーブル20を挟んで、加工電極30と反対側には、加工槽10に加工液を供給するノズル260が設けられている。ノズル260は、ホース261を介してポンプPと接続されており、該ポンプPから加工液が圧送される。加工槽10には、ノズル260により加工液が供給されることにより発生する余剰分の加工液(つまり、槽内に収容出来ない分の加工液)を排出する排出管(図示省略)が設けられている。該排出管から排出された加工液は、ポンプPに送られて、再びノズル260から加工槽10に供給される。ポンプPは、コントローラ50と電気的に接続されており、圧送する加工液の流量、すなわち、供給圧を調整できるようになっている。
【0073】
図11に示すように、ノズル260は、ウェハWの接線の延長線上に位置する。これにより、排出した加工液の流れによる力が、ウェハWに接線方向に入力されて、ウェハWが回転するようになる。回転速度は、コントローラ50により、ポンプPからノズル260への加工液の供給圧が調整されて、ノズル260から槽内に供給される加工液の勢いが調整されることで、調整される。
【0074】
本実施形態2では、ウェハWを回転させるための回転装置が変更されたこと以外は、前述の実施形態1と同じである。つまり、加工電極30は、ウェハWと部分的に重複した状態で、ウェハWに対して放電する。より詳しくは、加工電極30は、中心軸間距離Lが、
L=R-d/2
となる位置と、
L=r+R-d/2
となる位置とで往復移動しながら、ウェハWに対して放電する。
【0075】
このような構成であっても、放電領域を限定しつつウェハWを第1中心軸X1周りに回転させて、ウェハWの表面全体を放電加工することができるため、ウェハWの表面状態により加工箇所が局所的に集中することを抑制することができる。また、加工電極30自体も第2中心軸X2周りに回転するため、摩耗が局所的に進行することを抑制することができ、加工電極30の摩耗状態により加工箇所に偏りが生じることも抑制することができる。したがって、意図せずに加工箇所に偏りが生じることを抑制することができ、ウェハWの表面形状を所望の形状に加工しやすくなる。
【0076】
〈その他の実施形態〉
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0077】
例えば、前述の実施形態1及び2では、加工電極30が水平方向に移動可能に構成されていた。これに限らず、加工電極30と加工対象物との相対位置が固定されていてもよい。このときには、加工電極30は、筒部31が加工対象物の第1中心軸X1上に位置するように配置される。これにより、加工対象物を第1中心軸X1周りに回転させれば、加工対象物の表面全体を放電加工することができる。
【0078】
また、前述の実施形態1及び2では、加工電極30を水平方向に移動させて、加工対象物と加工電極30との相対位置を変更していた。これに限らず、テーブル20を加工対象物ごと水平方向に移動させて、加工対象物と加工電極30との相対位置を変更するようにしてもよい。このときには、テーブル20の全体を加工槽10の槽内に位置させて、ベース部22を水平方向に移動させる機構を設けることが好ましい。また、第1給電部25はベース部22に内蔵させる構成が好ましい。
【0079】
また、前述の実施形態1及び2では、加工電極30は、中心軸間距離Lが
L=R-d/2
となる位置と、
L=r+R-d/2
となる位置とで往復移動していた。これに限らず、中心軸間距離Lが
R-d<L<r+R
となる範囲であり、かつ1往復中に1回は加工電極30の筒部31が第1中心軸X1上に位置するという条件が満たされれば、所望の表面形状に合わせて任意の範囲で加工電極30を往復移動させてよい。
【0080】
また、前述の実施形態1及び2では、加工電極30は、有底円筒状をなしていた。これに限らず、加工電極30は、円板状をなしていてもよいし、加工対象物側と保持部側との両方に開口した円筒状をなしていてもよい。
【0081】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0082】
ここに開示された技術は、円板状の加工対象物の表面を加工電極により放電加工するときに有用である。
【符号の説明】
【0083】
1 表面加工装置
20 テーブル
24 第1モータ(第1回転装置)
30 加工電極
31 筒部
42 第2モータ(第2回転装置)
50 コントローラ
100 種結晶(加工対象物)
W ウェハ(加工対象物)
X1 第1中心軸(加工対象物の中心軸)
X2 第2中心軸(加工電極の中心軸)