(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086364
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】硬化性樹脂組成物及び電子部品装置
(51)【国際特許分類】
C08G 59/32 20060101AFI20240620BHJP
【FI】
C08G59/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201454
(22)【出願日】2022-12-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西山 智雄
(72)【発明者】
【氏名】山本 貴耶
(72)【発明者】
【氏名】平 理子
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AC03
4J036FB07
4J036FB08
4J036JA07
(57)【要約】
【課題】硬化物を85℃、85%RHの条件で吸湿させた場合でもリードフレームからの剥離が抑制される硬化性樹脂組成物、及び、この硬化性樹脂組成物により封止される素子を備える電子部品装置の提供。
【解決手段】アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含む、硬化性樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含む、硬化性樹脂組成物。
【請求項2】
前記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂に含まれるベンゼン環が、アルキル基を2以上有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項3】
前記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の主鎖に含まれるベンゼン環が、アルキル基を2以上有する、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項4】
前記アルキル基が、t-ブチル基を含む、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
【請求項5】
素子と、前記素子を封止する請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物と、を備える電子部品装置。
【請求項6】
前記素子を一方の面に搭載するリードフレームを備える、請求項5に記載の電子部品装置。
【請求項7】
前記リードフレームがAgを含む、請求項6に記載の電子部品装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化性樹脂組成物及び電子部品装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体素子の高密度実装化が進んでいる。これに伴い、樹脂封止型半導体装置は従来のピン挿入型のパッケージから面実装型のパッケージが主流になっている。面実装型のIC(Integrated Circuit)、LSI(Large Scale Integration)等は、実装密度を高くし、実装高さを低くするために薄型且つ小型のパッケージになっている。そのため、素子のパッケージに対する占有面積が大きくなり、パッケージの厚さは非常に薄くなってきている。
【0003】
さらに、これらのパッケージはピン挿入型パッケージとは実装方法が異なっている。すなわち、ピン挿入型パッケージはピンを配線板に挿入した後、配線板の裏面からはんだ付けを行うため、パッケージが直接高温に曝されない構造となっている。
しかし、面実装型ICは配線板表面に仮止めを行い、はんだバス、リフロー装置等で処理されるため、直接はんだ付け温度(リフロー温度)にパッケージが曝される。この結果、パッケージが吸湿している場合、リフロー時に吸湿水分が気化して、発生した蒸気圧が剥離応力として働き、素子、リードフレーム等の支持部材と封止材との間における剥離が発生し、パッケージクラックの発生、電気的特性不良等の原因となる。そのため、支持部材との接着性に優れ、ひいてははんだ耐熱性(耐リフロー性)に優れる封止材料の開発が望まれている。
【0004】
優れた耐リフロー性を有する封止材料として、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材及び特定の構造を有するアルコキシシラン重合体を含む硬化性樹脂組成物が特許文献1において提案されている。
また、耐リフロー性の改良を目的として、例えば、めっき処理の前にリードフレーム表面を粗面化し、封止材との接着性を改良することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
より厳しい吸湿条件においてもリードフレームからの剥離が抑制される封止材料の開発が望まれている。
本開示は上記状況に鑑みてなされたものであり、硬化物を85℃、85%RHの条件で吸湿させた場合でもリードフレームからの剥離が抑制される硬化性樹脂組成物、及び、この硬化性樹脂組成物により封止される素子を備える電子部品装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<1> アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含む、硬化性樹脂組成物。
<2> 前記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂に含まれるベンゼン環が、アルキル基を2以上有する、<1>に記載の硬化性樹脂組成物。
<3> 前記トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の主鎖に含まれるベンゼン環が、アルキル基を2以上有する、<1>又は<2>に記載の硬化性樹脂組成物。
<4> 前記アルキル基が、t-ブチル基を含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
<5> 素子と、前記素子を封止する<1>~<4>のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物と、を備える電子部品装置。
<6> 前記素子を一方の面に搭載するリードフレームを備える、<5>に記載の電子部品装置。
<7> 前記リードフレームがAgを含む、<6>に記載の電子部品装置。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、硬化物を85℃、85%RHの条件で吸湿させた場合でもリードフレームからの剥離が抑制される硬化性樹脂組成物、及び、この硬化性樹脂組成物により封止される素子を備える電子部品装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明表した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
【0010】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、合成例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する化合物を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを表し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示の基(原子団)の表記において、置換及び非置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。
本開示において構造単位数は、単一の分子については整数値を表すが、複数種の分子の集合体としては平均値である有理数を表す。
本開示において、炭素数とは、ある基全体に含まれる炭素原子の総数を意味し、該基が置換基を有さない場合は当該基の骨格を形成する炭素原子の数を表し、該基が置換基を有する場合は当該基の骨格を形成する炭素原子の数に置換基中の炭素原子の数を加えた総数を表す。
【0011】
本開示において、重量平均分子量(Mw)は、下記測定条件において、下記GPC測定装置を使用して測定し、標準ポリスチレンの検量線を使用して換算した値である。但し、分子量が小さいためにGPCでは正確なMwを測定できない化合物については、化合物の化学構造から求められる分子量を、その化合物のMw、Mn又は重合度として採用する。
測定装置の一例として以下が挙げられ、検量線の作成は、標準ポリスチレンとして5サンプルセット(「PStQuick MP-H」及び「PStQuick B」、東ソー株式会社製)を用いてよい。
【0012】
(GPC測定装置)
GPC装置 :高速GPC装置「HCL-8320GPC」、検出器は示差屈折計又はUV、東ソー株式会社製
カラム :カラムTSKgel SuperMultipore HZ-H(カラム長さ:15cm、カラム内径:4.6mm)、東ソー株式会社製
(測定条件)
溶媒 :テトラヒドロフラン(THF)
測定温度 :40℃
流量 :0.35mL/分
試料濃度 :10mg/THF5mL
注入量 :20μL
【0013】
<硬化性樹脂組成物>
本開示の硬化性樹脂組成物は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含む。以下、「アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有するトリフェニルメタン型エポキシ樹脂」を「特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂」とも称する。
本開示の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を85℃、85%RHの条件で吸湿させた場合でもリードフレームからの剥離が抑制される。本開示の硬化性樹脂組成物により上記効果が奏される理由は明らかではないが以下のように推察される。
【0014】
トリフェニルメタン型エポキシ樹脂がアルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有するとモノマーが嵩高くなり、また、モノマーの分子量が大きくなり、重合後には分子間距離が広がった、架橋密度が低いポリマーとなる。このため単位体積あたりの分子が少なくなり、引張り応力が掛かった際には分子が解け易いため、硬化性樹脂組成物の硬化物の弾性率の低減及び線膨張率の上昇が予期される。その結果、支持部材間の線膨張差で生じた応力(歪み、弾性率、線膨張差及び温度差の組み合わせ)が低減され、樹脂の接着力以下に軽減できるため、硬化性樹脂組成物の硬化物が支持部材から剥離することが抑制される。ひいては耐リフロー性も向上すると推察される。
以下、硬化性樹脂組成物が含み得る各種材料について説明する。
【0015】
(エポキシ樹脂)
本開示の硬化性樹脂組成物は、特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂を含む。
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、アルキル基及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1種を有し、アルキル基を有することが好ましい。特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
【0016】
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂が有するアルキル基としては、炭素数が1~20であることが好ましく、1~16であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましい。アルキル基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよいが、少なくとも一つのアルキル基は分岐状であることが好ましく、t-ブチル基を含むことが好ましい。
【0017】
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂が有するアルコキシ基としては、炭素数が1~20であることが好ましく、1~16であることがより好ましく、1~10であることがさらに好ましい。アルコキシ基は、直鎖状、分岐状、及び環状のいずれであってもよい。
【0018】
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂に含まれるベンゼン環がアルキル基を2以上有することが好ましく、主鎖に含まれるベンゼン環がアルキル基を2以上有することがより好ましい。ベンゼン環が有する2以上のアルキル基のうち少なくとも1つは分岐状のアルキル基であることが好ましく、分岐状のアルキル基はグリシジルオキシ基に対してオルト位に配置されていることが好ましい。
【0019】
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂は、下記式(1)で表されるエポキシ樹脂であってもよい。
【0020】
【0021】
式(1)中、Rは各々独立に、アルキル基又はアルコキシ基を表し、iは各々独立に1~3の整数を表し、kは各々独立に0~4の整数を表す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0022】
Rで表されるアルキル基及びアルコキシ基は、上記で説明したものが挙げられる。
iは1~3の整数を表し、2又は3であることが好ましく、2であることがより好ましい。iが2の場合、添え字がiで表されるRは、少なくとも一つが分岐状のアルキル基であることが好ましく、分岐状のアルキル基と直鎖状のアルキル基の組み合わせであることがより好ましく、例えば、t-ブチル基とメチル基の組み合わせが挙げられる。t-ブチル基及びメチル基は、ベンゼン環上でいずれの位置に配置していてもよいが、t-ブチル基はグリシジルオキシ基に対してオルト位に配置されていることが好ましい。また、t-ブチル基及とメチル基との配置関係はいずれであってもよく、オルト位、メタ位及びパラ位のいずれで配置されていてもよい。
kは各々独立に0~4の整数を表し、0であることが好ましい。
【0023】
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の具体例としては、下記式(2)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0024】
【0025】
本開示の硬化性樹脂組成物は、特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂以外のその他のエポキシ樹脂を含んでもよい。
その他のエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。その他のエポキシ樹脂の具体例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。
【0026】
具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂(但し、特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂を除く);上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有型エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,5-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキサン-m-ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはアミノフェノールのグリシジルエーテルであるアミノフェノール型エポキシ樹脂等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
上記エポキシ樹脂の中でも、本開示の硬化性樹脂組成物のリードフレームに対する接着性の観点及び耐熱性と流動性とのバランスの観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0028】
ビフェニル型エポキシ樹脂は、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(II)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。
【0029】
【0030】
式(II)中、R8は水素原子、炭素数1~12のアルキル基又は炭素数4~18の芳香族基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0031】
スチルベン型エポキシ樹脂は、スチルベン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(III)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。
【0032】
【0033】
式(III)中、R9及びR10は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0034】
ジフェニルメタン型エポキシ樹脂は、ジフェニルメタン骨格を有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(IV)で表されるエポキシ樹脂が好ましい。
【0035】
【0036】
式(IV)中、R11及びR12は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0037】
硫黄原子含有型エポキシ樹脂は、硫黄原子を含有するエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(V)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0038】
【0039】
式(V)中、R13は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0040】
ノボラック型エポキシ樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂をエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、下記一般式(VI)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0041】
【0042】
式(VI)中、R14は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R15は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0043】
ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料としてエポキシ化して得られるエポキシ樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(VII)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0044】
【0045】
式(VII)中、R16は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0046】
特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂以外のその他のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂としては、アルキル基及びアルコキシ基を有さないトリフェニルメタン型エポキシ樹脂が挙げられる。
【0047】
ナフトール化合物及びフェノール化合物と、アルデヒド化合物とから得られるノボラック樹脂をエポキシ化した共重合型エポキシ樹脂は、ナフトール骨格を有する化合物及びフェノール骨格を有する化合物を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、下記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0048】
【0049】
式(IX)中、R19~R21は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数、jは各々独立に0~2の整数、kは各々独立に0~4の整数を示す。l及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(l+m)は0~10の数を示す。式(IX)で表されるエポキシ樹脂の末端は、下記式(IX-1)又は(IX-2)のいずれか一方である。式(IX-1)及び(IX-2)において、R19~R21、i、j及びkの定義は式(IX)におけるR19~R21、i、j及びkの定義と同じである。nは1(メチレン基を介して結合する場合)又は0(メチレン基を介して結合しない場合)である。
【0050】
【0051】
上記一般式(IX)で表されるエポキシ樹脂としては、l個の構造単位及びm個の構造単位をランダムに含むランダム共重合体、交互に含む交互共重合体、規則的に含む共重合体、ブロック状に含むブロック共重合体等が挙げられる。これらのいずれか1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0052】
共重合型エポキシ樹脂としては、下記2種の構造単位をランダム、交互又はブロックの順序で含むメトキシナフタレン・クレゾールホルムアルデヒド共縮合型エポキシ樹脂であるエピクロンHP-5000(DIC株式会社、商品名)もまた好ましい。例えば、下記一般式で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。下記一般式では、n及びmはそれぞれ平均値であり、0~10の数であり、(n+m)は0~10の数を示し、好ましくはn及びmはそれぞれ平均値であり、1~9の数であり、(n+m)は2~10の数を示す。
【0053】
【0054】
アラルキル型エポキシ樹脂は、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂を原料とするエポキシ樹脂であれば、特に限定されない。例えば、フェノール、クレゾール等のフェノール化合物及びナフトール、ジメチルナフトール等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体とから合成されるフェノール樹脂をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂が好ましく、下記一般式(X)及び(XI)で表されるエポキシ樹脂がより好ましい。
【0055】
【0056】
式(X)及び(XI)において、R38は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R37、R39~R41は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、lはそれぞれ独立に0~4の整数を示す。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
【0057】
上記一般式(II)~(VII)、(IX)~(XI)中のR8~R21及びR37~R41について、「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」とは、例えば、式(II)中の8~88個のR8の全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。他のR9~R21及びR37~R41についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも異なっていてもよいことを意味している。また、R8~R21及びR37~R41はそれぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R9とR10の全てについて同一でも異なっていてもよい。
また、一般式(III)~(VII)、(IX)~(XI)における炭素数1~18の1価の有機基はアルキル基又はアリール基であることが好ましい。
【0058】
上記一般式(II)~(VII)、(IX)~(XI)中のnは、平均値であり、それぞれ独立に0~10の範囲であることが好ましい。nが10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度が低下し、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等の発生が抑制される傾向にある。nは0~4の範囲に設定されることがより好ましい。
【0059】
その他のエポキシ樹脂のエポキシ当量は特に制限されない。成形性、耐熱性及び電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、その他のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、40g/eq~1000g/eqが好ましく、45g/eq~500g/eqがより好ましく、50g/eq~350g/eqがさらに好ましい。
その他のエポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
【0060】
その他のエポキシ樹脂は、25℃において、固体であってもよく、液体であってもよい。25℃においてエポキシ樹脂が固体である場合、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐熱性とのバランスの観点からは、その他のエポキシ樹脂の軟化点又は融点は、40℃~180℃であることが好ましい。また、硬化性樹脂組成物の製造の際の取扱い性の観点からは、エポキシ樹脂の軟化点又は融点は、50℃~130℃であることが好ましい。
本開示において、軟化点は、JIS K 7234:1986の環球法により測定された値をいう。
本開示において、融点は、JIS K 0064:1992の目視による方法に則って測定された値をいう。
【0061】
成形性と耐熱性とのバランスの観点から、その他のエポキシ樹脂のMwは、550~1050であることが好ましく、650~950であることがより好ましい。
【0062】
硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の総量100質量部に対する特定トリフェニルメタン型エポキシ樹脂の占める割合は、15質量部以上であることが好ましく、20質量部以上であることがより好ましく、25質量部以上であることがさらに好ましい。当該割合の上限値は特に制限されないが、95質量部以下であってもよく、90質量部以下であってもよく、85質量部以下であってもよい。
【0063】
硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂の総含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%~60質量%であることが好ましく、2質量%~50質量%であることがより好ましく、3質量%~45質量%であることがさらに好ましい。
【0064】
(硬化剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、硬化剤を含むことが好ましい。硬化剤の種類は特に制限されず、硬化性樹脂組成物の成分として一般に使用されているものから選択できる。硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本開示において、硬化剤とは、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂と反応し、硬化性樹脂組成物を硬化することができる構造を有していればよく、含有量が少なく、硬化性樹脂組成物の硬化反応における寄与が少ない化合物であっても、硬化剤に含まれるものとする。
【0065】
硬化剤としては、フェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤、ブロックイソシアネート系硬化剤等が挙げられる。
これらの中でも、耐熱性の観点から、硬化剤はフェノール系硬化剤又はアミン系硬化剤が好ましい。また、本開示の硬化性樹脂組成物のリードフレームに対する接着性の観点及び耐熱性の観点から、硬化剤はフェノール系硬化剤が好ましい。
【0066】
フェノール系硬化剤としては、例えば、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂及び多価フェノール化合物が挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα-ナフトール、β-ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂などが挙げられる。これらのフェノール系硬化剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
アラルキル型フェノール樹脂としては、フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等とから合成されるフェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等が挙げられる。アラルキル型フェノール樹脂は、さらに他のフェノール樹脂と共重合していてもよい。共重合したアラルキル型フェノール樹脂としては、トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、サリチルアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、ノボラック型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂等が挙げられる。
【0068】
アラルキル型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル又はこれらの誘導体と、から合成されるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XII)~(XIV)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
【0069】
【0070】
式(XII)~(XIV)において、R23は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R22、R24、R25及びR28は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R26及びR27は水酸基又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、jはそれぞれ独立に0~2の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、pはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、それぞれ独立に0~10の数である。
【0071】
本開示の硬化性樹脂組成物のリードフレームに対する接着性の観点及び耐熱性の観点から、アラルキル型フェノール樹脂は、一般式(XIII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
本開示の硬化性樹脂組成物のリードフレームに対する接着性の観点及び耐熱性の観点から、また、一般式(XIII)中、i及びkは共に0であることが好ましい。
【0072】
ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂は、ジシクロペンタジエン骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XV)で表されるフェノール樹脂が挙げられる。
【0073】
【0074】
式(XV)中、R29は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0075】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂は、芳香族アルデヒド化合物を原料として得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVI)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
【0076】
【0077】
式(XVI)中、R30及びR31は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数である。nは平均値であり、0~10の数である。
【0078】
トリフェニルメタン型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂は、ベンズアルデヒド骨格を有する化合物を原料として得られるフェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
【0079】
【0080】
式(XVII)中、R32~R34は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iはそれぞれ独立に0~3の整数であり、kはそれぞれ独立に0~4の整数であり、qはそれぞれ独立に0~5の整数である。l及びmはそれぞれ平均値であり、それぞれ独立に1~11の数である。
【0081】
ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール化合物及びナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるフェノール樹脂であれば特に限定されない。例えば、下記一般式(XVIII)で表されるフェノール樹脂が好ましい。
【0082】
【0083】
式(XVIII)中、R35は水素原子又は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。R36は炭素数1~18の1価の有機基を示し、それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい。iは各々独立に0~3の整数を示す。nは平均値であり、0~10の数を示す。
【0084】
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるR22~R36について記載した「それぞれ全てが同一でも異なっていてもよい」は、例えば、式(XII)中のi個のR22の全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。他のR23~R36についても、式中に含まれるそれぞれの個数について全てが同一でも相互に異なっていてもよいことを意味している。また、R22~R36は、それぞれが同一でも異なっていてもよい。例えば、R22及びR23の全てについて同一でも異なっていてもよく、R30及びR31の全てについて同一でも異なっていてもよい。
【0085】
上記一般式(XII)~(XVIII)におけるnは、0~10の範囲であることが好ましい。10以下であると樹脂成分の溶融粘度が高くなりすぎず、硬化性樹脂組成物の溶融成形時の粘度も低くなり、充填不良、ボンディングワイヤ(素子とリードを接続する金線)の変形等が発生し難くなる。1分子中の平均nは0~4の範囲に設定されることが好ましい。
【0086】
アミン系硬化剤としては、具体的には、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、n-プロピルアミン、2-ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、シクロヘキシルアミン、4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン等の脂肪族アミン化合物、ジエチルトルエンジアミン、3,3’-ジエチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、ジメチルチオトルエンジアミン、2-メチルアニリン等の芳香族アミン化合物、イミダゾール、2-メチルイミダゾール、2-エチルイミダゾール、2-イソプロピルイミダゾール等のイミダゾール化合物、イミダゾリン、2-メチルイミダゾリン、2-エチルイミダゾリン等のイミダゾリン化合物などが挙げられる。
【0087】
硬化剤の官能基当量(フェノール系硬化剤の場合は水酸基当量、アミン系硬化剤の場合は活性水素当量)は、特に制限されない。成形性、耐熱性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、10g/eq~1000g/eqであることが好ましく、30g/eq~500g/eqであることがより好ましい。
フェノール系硬化剤の場合における水酸基当量は、JIS K 0070:1992に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出された値をいう。また、アミン系硬化剤の場合における活性水素当量は、JIS K 7237:1995に準拠して測定されたアミン価に基づいて算出された値をいう。
【0088】
25℃において硬化剤が固体である場合、その軟化点又は融点は、特に制限されない。成形性と耐熱性の観点からは、硬化剤の軟化点又は融点は、40℃~180℃であることが好ましい。また、硬化性樹脂組成物の製造時における取扱い性の観点からは、硬化剤の軟化点又は融点は、50℃~130℃であることが好ましい。
【0089】
硬化剤がフェノール系硬化剤である場合、硬化性樹脂組成物におけるエポキシ樹脂のエポキシ基に対するフェノール系硬化剤のフェノール性水酸基(活性水素)の当量比(フェノール系硬化剤のフェノール性水酸基(活性水素)のモル数/エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数)は、特に制限はないが、例えば、0.5~1.2とすることができ、0.5~1.0であってもよく、0.55~0.9であってもよく、0.6~0.8であってもよい。
当該当量比を0.5以上1.0未満とすると、硬化性樹脂組成物の硬化物と支持部材との接着性が向上する傾向にある。この理由は明らかではないが、リフロー温度付近のtanδの値を増大することができ、リフロー時における樹脂硬化物の内部応力が緩和される傾向にある。
【0090】
硬化剤が、フェノール系硬化剤を含む場合、本開示の硬化性樹脂組成物のリードフレームに対する接着性の観点からは、硬化剤の全質量に対するフェノール系硬化剤の含有率は、50質量%~100質量%であることが好ましく、60質量%~100質量%であることがより好ましく、70質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
【0091】
フェノール系硬化剤が、アラルキル型フェノール樹脂を含む場合、本開示の硬化性樹脂組成物のリードフレームに対する接着性の観点から、フェノール系硬化剤の全質量に対するアラルキル型フェノール樹脂の含有率は、60質量%~100質量%であることがより好ましく、70質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
【0092】
(無機充填材)
本開示の硬化性樹脂組成物は、無機充填材を含んでもよい。硬化性樹脂組成物が無機充填材を含むことで、硬化性樹脂組成物の吸湿性が低減し、硬化状態での強度が向上する傾向にある。硬化性樹脂組成物を半導体パッケージの封止材として用いる場合には、無機充填材を含有することが好ましい。
【0093】
無機充填材を構成する無機材料は、特に制限されない。無機材料としては、具体的には、球状シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ベーマイト、ベリリア、酸化マグネシウム、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ、チタン酸塩等が挙げられる。
難燃効果を有する無機材料により構成される無機充填材を用いてもよい。難燃効果を有する無機材料としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。
無機充填材は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0094】
無機充填材の形状は特に制限されず、例えば、粉状、球状、繊維状等が挙げられる。硬化性樹脂組成物の成形時の流動性及び金型摩耗性の点からは、球状であることが好ましい。
【0095】
無機充填材の平均粒子径は、特に制限されない。硬化性樹脂組成物の粘度、充填性等のバランスの観点からは、無機充填材の体積平均粒子径は、0.1μm~50μmであることが好ましく、0.3μm~30μmであることがより好ましく、0.5μm~25μmであることがさらに好ましい。
無機充填材の体積平均粒子径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、体積平均粒子径(D50)として測定することができる。
【0096】
無機充填材の粒子径はトップカットされていてもよく、100μm以下でトップカットされていてもよく、75μm以下でトップカットされていてもよい。
トップカットの粒子径は、上記の体積平均粒子径(D50)を測定したときの粒度分布により求めることができる。
【0097】
硬化性樹脂組成物が無機充填材を含有する場合、その含有率は特に制限されない。硬化性樹脂組成物全体に対する無機充填材の含有率は、30質量%~90質量%であることが好ましく、35質量%~80質量%であることがより好ましく、40質量%~70質量%であることがさらに好ましい。
無機充填材の含有率が硬化性樹脂組成物全体の30質量%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が硬化性樹脂組成物全体の90質量%以下であると、硬化性樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
【0098】
硬化性樹脂組成物全体に対する無機充填材の含有率は、68体積%~86体積%であることが好ましく、70体積%~84体積%であることがより好ましく、72体積%~82体積%であることがさらに好ましい。
無機充填材の含有率が硬化性樹脂組成物全体の68体積%以上であると、硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性がより向上する傾向にある。無機充填材の含有率が硬化性樹脂組成物全体の86体積%以下であると、硬化性樹脂組成物の粘度の上昇が抑制され、流動性がより向上して成形性がより良好になる傾向にある。
【0099】
(硬化促進剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、硬化促進剤を含んでもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の種類、硬化性樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。硬化促進剤は1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。硬化促進剤の具体例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。
硬化促進剤としては、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)等のジアザビシクロアルケン、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール等の環状アミジン化合物;前記環状アミジン化合物の誘導体;前記環状アミジン化合物又はその誘導体のフェノールノボラック塩;これらの化合物に無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;DBUのテトラフェニルボレート塩、DBNのテトラフェニルボレート塩、2-エチル-4-メチルイミダゾールのテトラフェニルボレート塩、N-メチルモルホリンのテトラフェニルボレート塩等の環状アミジニウム化合物;ピリジン、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の三級アミン化合物;前記三級アミン化合物の誘導体;酢酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、リン酸テトラ-n-ブチルアンモニウム、酢酸テトラエチルアンモニウム、安息香酸テトラ-n-ヘキシルアンモニウム、水酸化テトラプロピルアンモニウム等のアンモニウム塩化合物;エチルホスフィン、フェニルホスフィン等の一級ホスフィン、ジメチルホスフィン、ジフェニルホスフィン等の二級ホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニル(p-トリル)ホスフィン、トリス(アルキルフェニル)ホスフィン、トリス(アルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(アルキルアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルキルフェニル)ホスフィン、トリス(ジアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(トリアルコキシフェニル)ホスフィン、トリス(テトラアルコキシフェニル)ホスフィン、トリアルキルホスフィン、ジアルキルアリールホスフィン、アルキルジアリールホスフィン、トリナフチルホスフィン、トリス(ベンジル)ホスフィン等の三級ホスフィンなどの、有機ホスフィン;前記有機ホスフィンと有機ボロン類との錯体等のホスフィン化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と無水マレイン酸、1,4-ベンゾキノン、2,5-トルキノン、1,4-ナフトキノン、2,3-ジメチルベンゾキノン、2,6-ジメチルベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-5-メチル-1,4-ベンゾキノン、2,3-ジメトキシ-1,4-ベンゾキノン、フェニル-1,4-ベンゾキノン、アントラキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタンなどの、π結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;前記有機ホスフィン又は前記ホスフィン化合物と4-ブロモフェノール、3-ブロモフェノール、2-ブロモフェノール、4-クロロフェノール、3-クロロフェノール、2-クロロフェノール、4-ヨウ化フェノール、3-ヨウ化フェノール、2-ヨウ化フェノール、4-ブロモ-2-メチルフェノール、4-ブロモ-3-メチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジメチルフェノール、4-ブロモ-3,5-ジメチルフェノール、4-ブロモ-2,6-ジ-t-ブチルフェノール、4-クロロ-1-ナフトール、1-ブロモ-2-ナフトール、6-ブロモ-2-ナフトール、4-ブロモ-4’-ヒドロキシビフェニル等のハロゲン化フェノール化合物を反応させた後に、脱ハロゲン化水素の工程を経て得られる、分子内分極を有する化合物;テトラフェニルホスホニウム等のテトラ置換ホスホニウム、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート等のテトラ置換ホスホニウムのテトラフェニルボレート塩、テトラ置換ホスホニウムとフェノール化合物との塩などの、テトラ置換ホスホニウム化合物;ホスホベタイン化合物;ホスホニウム化合物とシラン化合物との付加物などが挙げられる。
好適な硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィンのキノン化合物付加物等が挙げられる。
【0100】
硬化性樹脂組成物が硬化促進剤を含む場合、硬化促進剤の含有量は、エポキシ樹脂及び硬化剤の合計量100質量部に対して、0.1質量%~8質量%であることが好ましく、0.3質量%~7質量%であることがより好ましく、0.5質量%~6質量%であることがさらに好ましい。硬化促進剤の含有量を上記数値範囲内とすることにより、本開示の硬化性樹脂組成物の硬化速度が適切な数値となり、成形品の製造が容易となる。
【0101】
(各種添加材)
本開示の硬化性樹脂組成物は、上述の成分に加えて、カップリング剤、応力緩和剤、離型剤、着色剤、難燃剤、イオン交換体等の各種添加材を含んでいてもよい。また、本開示の硬化性樹脂組成物は、エポキシ基及びアルコキシ基を有する構造単位を有し、且つ重合度が2である、シロキサン化合物を含んでいてもよい。硬化性樹脂組成物は、以下に例表する添加材以外にも必要に応じて当技術分野で周知の各種添加材を含んでいてもよい。
【0102】
(カップリング剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、カップリング剤を含んでもよい。カップリング剤の種類は特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
【0103】
シランカップリング剤は、特に限定されるものではなく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、オクテニルトリメトキシシラン、グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0104】
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル-アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
【0105】
硬化性樹脂組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有量は、エポキシ樹脂と無機充填材との界面の接着性の観点から、硬化性樹脂組成物に含まれる無機充填材100質量部に対して、0.001質量部~10質量部であることが好ましく、0.01質量部~8質量部であることがより好ましく、0.05質量部~5質量部であることがさらに好ましい。
【0106】
(応力緩和剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、シリコーンオイル、シリコーンゴム粒子等の応力緩和剤を含んでいてもよい。硬化性樹脂組成物が応力緩和剤を含むことにより、パッケージの反り変形及びパッケージクラックの発生をより低減させることができる。応力緩和剤としては、一般に使用されている公知の応力緩和剤(可とう剤)が挙げられる。具体的には、応力緩和剤としては、シリコーン系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系等の熱可塑性エラストマー、天然ゴム(NR)、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体(NBR)、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンパウダー等のゴム粒子、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体(MBS)、メタクリル酸メチル-シリコーン共重合体、メタクリル酸メチル-アクリル酸ブチル共重合体等のコア-シェル構造を有するゴム粒子などが挙げられる。応力緩和剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、シリコーン系応力緩和剤が好ましい。シリコーン系応力緩和剤としては、エポキシ基を有するもの、アミノ基を有するもの、これらをポリエーテル変性したもの等が挙げられる。
【0107】
硬化性樹脂組成物が応力緩和剤を含有する場合、その含有量は、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して10質量部~60質量部であることが好ましく、20質量部~50質量部であることがより好ましい。
【0108】
(離型剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、成形時における金型を使用する場合、金型との離型性の観点から、離型剤を含んでいてもよい。離型剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。離型剤としては、カルナバワックス、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックスなどが挙げられる。離型剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0109】
本開示の硬化性樹脂組成物が離型剤を含む場合、離型剤の含有量は、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して0.01質量部~15質量部であることが好ましく、0.1質量部~10質量部であることがより好ましい。離型剤の量が樹脂成分100質量部に対して0.01質量部以上であると、離型性が充分に得られる傾向にある。15質量部以下であると、より良好な離型性が得られる傾向にある。
【0110】
(着色剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、着色剤を含んでいてもよい。着色剤としてはカーボンブラック、有機染料、有機顔料、酸化チタン、鉛丹、ベンガラ等の公知の着色剤を挙げることができる。着色剤の含有量は目的等に応じて適宜選択できる。着色剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0111】
硬化性樹脂組成物が着色剤を含有する場合、その含有率は、0.01質量%~5質量%であることが好ましく、0.05質量%~4質量%であることがより好ましい。
【0112】
(難燃剤)
本開示の硬化性樹脂組成物は、難燃剤を含んでいてもよい。難燃剤は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。難燃剤としては、ハロゲン原子、アンチモン原子、窒素原子又はリン原子を含む有機又は無機の化合物、金属水酸化物等が挙げられる。難燃剤は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0113】
本開示の硬化性樹脂組成物が難燃剤を含む場合、その含有量は、所望の難燃効果を得るのに充分な量であれば特に制限されない。難燃剤の含有量は、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して1質量部~300質量部であることが好ましく、2質量部~150質量部であることがより好ましい。
【0114】
(イオン交換体)
本開示の硬化性樹脂組成物は、イオン交換体を含んでいてもよい。硬化性樹脂組成物を半導体パッケージの封止材として用いる場合には、封止される素子を備える電子部品装置の耐湿性及び高温放置特性を向上させる観点から、無機のイオン交換体を含有することが好ましい。
イオン交換体は特に制限されず、従来公知のものを用いることができる。具体的には、ハイドロタルサイト化合物、並びに、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム及びビスマスからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の含水酸化物が挙げられる。イオン交換体は、1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせて用いてもよい。具体的には、イオン交換体としては、下記一般式(A)で表されるハイドロタルサイトが挙げられる。
【0115】
Mg(1-X)AlX(OH)2(CO3)X/2・mH2O・・・(A)
(0<X≦0.5、mは正の数)
【0116】
本開示の硬化性樹脂組成物がイオン交換体を含む場合、その含有量は、ハロゲンイオン等のイオンを捕捉するのに充分な量であれば特に制限はない。イオン交換体の含有量は、硬化性樹脂組成物に含まれるエポキシ樹脂100質量部に対して0.1質量部~30質量部であることが好ましく、1質量部~6質量部であることがより好ましい。
【0117】
(硬化性樹脂組成物の物性)
本開示の硬化性樹脂組成物は、流動性の観点から、以下の方法により求められるスパイラルフローが、100cm以上であることが好ましく、120cm以上であることがより好ましく、140cm以上であることがさらに好ましい。スパイラルフローの上限値は特に限定されず、例えば170cm以下であってもよい。
【0118】
スパイラルフローの測定は、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、硬化性樹脂組成物を金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で成形したときの流動距離を求める。
【0119】
硬化性樹脂組成物の175℃におけるゲルタイムは、流動性及び硬化性の観点から、15秒以上であることが好ましく、18秒以上であることがより好ましく、21秒以上であることがさらに好ましい。
【0120】
ゲルタイムは、熱硬化性樹脂組成物0.5gを、175℃に予熱したホットプレート上に置いた時間から、樹脂の粘性が失われた時間までの時間を測定する。スパチュラ等で樹脂を定期的にかき混ぜながら、加熱することが好ましい。「樹脂の粘性が失われた」とは、スパチュラ等を用いて樹脂を練った場合に樹脂が破断する、又は破壊される現象を指す。
【0121】
本開示の硬化性樹脂組成物の175℃における粘度は、0.01Pa・s~1000Pa・sであることが好ましく、0.1Pa・s~200Pa・sであることがより好ましく、1Pa・s~50Pa・sであることが更に好ましい。硬化性樹脂組成物の175℃における粘度は、フローテスター粘度計を用い、圧力1MPa、ノズル径1mm、長さ10mmにて測定する。
【0122】
本開示の硬化性樹脂組成物の硬化物のパッケージの反り発生の抑制の観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物の180℃~200℃の線膨張率は、25ppm/℃以上であることが好ましく、28ppm/℃以上であることがより好ましく、31ppm/℃以上であることがさらに好ましい。従前は、線膨張率は小さいほどリードフレームからの剥離が抑えられると考えられていたが、本開示の硬化性樹脂組成物においては硬化物の180℃~200℃での線膨張率が31ppm/℃以上であることがリードフレームからの剥離の抑制に効果があることが見出されている。この理由は明らかではないが、部材間の線膨張率差で生じる、反りの抑制による熱応力低減効果であると推察される。特に、本開示の硬化性樹脂組成物ではガラス転移温度(Tg)を低くすることが可能であり、線膨張率の許容範囲が広くなりえる。
当該線膨張率の上限値は、パッケージ部材との熱応力発生抑制の観点から、60ppm/℃以下であることが好ましく、55ppm/℃以下であることがより好ましく、50ppm/℃以下であることがさらに好ましい。
【0123】
本開示において、線膨張率は、JIS K 7197:2012に基づいて熱機械分析法(TMA:Thermal Mechanical Analysis)により、硬化物の歪みを温度に対してプロットした場合の180℃~200℃における接線の傾きである。なお、試験荷重は98mN、昇温速度は5℃/分として測定する。線膨張率は、熱機械的分析装置(例えば、セイコーインスルツメンツ株式会社製のTMA/SS6100)を使用し、測定することができる。
なお、硬化物は、トランスファー成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で硬化性樹脂組成物を成形した後、175℃で5時間の条件で後硬化を行うことにより作製する。硬化物は、短辺5.1mm、長辺20mm、厚さ2mmの長方形形状を有する。
【0124】
耐熱性等の観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度(Tg)は、80℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましく、90℃以上であることがさらに好ましい。当該Tgの上限値は特に制限なく、200℃以下であってもよく、180℃以下であってもよく、
【0125】
本開示において硬化物のガラス転移温度は、上記線膨張率の測定により得られた、10℃~30℃における接線と、200℃~220℃における接線との交点の温度とする。
【0126】
本開示の硬化性樹脂組成物の硬化物のリードフレームに対する接着性の観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物の260℃における弾性率は、フィラー量にもよるが、1000MPa以下であることが好ましく、900MPa以下であることがより好ましく、800MPa以下であることがさらに好ましい。
【0127】
硬化性樹脂組成物の硬化物の弾性率は、粘弾性測定装置(例えば、TA Instruments社製、RSAIII)を用いて、スパン間距離40mm、周波数1Hzの条件下、3点曲げ法にて20℃から300℃まで5℃/分で昇温し、260℃での弾性率を求める。なお、硬化物は、線膨張率で説明した方法により作製する。硬化物は、短辺5.1mm、長辺20mm、厚さ2mmの長方形形状を有する硬化物を使用する。
【0128】
本開示の硬化性樹脂組成物の硬化物のリードフレームに対する接着性の観点から、硬化性樹脂組成物の硬化物のAg(銀)に対する接着強度は、0.3MPa以上であることが好ましく、0.35MPa以上であることがより好ましく、0.4MPa以上であることがさらに好ましい。また、当該接着強度の上限値は特に制限されない。
【0129】
硬化性樹脂組成物の硬化物のAg(銀)に対する接着強度の測定では、まず、Ag基板の上に硬化性樹脂組成物を付与し、175℃、硬化時間120秒の条件で硬化した後、175℃で5時間の条件で後硬化を行うことによりサンプルを作製する。サンプルの硬化物は、短辺3.0mm、長辺3.5mm、厚さ2.9mmの形状を有する。このサンプルを、85℃、85%RHで168時間、加湿加熱してから、ボンドテスター装置(例えば、ノードソン社製、製品名4000 Optima)を用いて、260℃の条件下、装置のツールを硬化物に当てるシェア強度試験を行って測定する。
【0130】
硬化性樹脂組成物の成形性、取り扱い性等の観点から、硬化物の熱時硬度は、56以上であることが好ましく、58以上であることがより好ましく、60以上であることがさらに好ましい。また、当該熱時硬度の上限値は特に制限なく、85以下であってもよく、83以下であってもよく、80以下であってもよい。
【0131】
硬化物の熱時硬度は、大きさ:4mm×80mm×10mmの直方体状の熱時硬度測定用試験片について、ショア硬度計D型(例えば、高分子計器(株)製)を用いて熱時硬度(175℃)を測定する。試験片は、トランスファー成形機と円板金型を用いて、175℃、120秒、圧力7MPaの条件にて硬化性樹脂組成物を硬化及び成形して得る。測定は、試験片の作製直後にプレス中にて行う。
【0132】
硬化性樹脂組成物の成形性、取り扱い性等の観点から、硬化物の熱時強度は、3MN/m2以上であることが好ましく、4MN/m2以上であることがより好ましく、5MN/m2以上であることがさらに好ましい。また、当該熱時強度の上限値は特に制限なく、20MN/m2以下であってもよく、18MN/m2以下であってもよく、16MN/m2以下であってもよい。
【0133】
硬化物の熱時強度は、大きさ:4mm×80mm×10mmの直方体状の熱時強度測定用試験片について、荷重試験機(例えば、アイコーエンジニアリング株式会社、卓上試験機1301K)を用いて測定する。試験片は、トランスファー成形機と円板金型を用いて、175℃、120秒、圧力7MPaの条件にて硬化性樹脂組成物を硬化及び成形して得る。
【0134】
(硬化性樹脂組成物の製造方法)
硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されない。一般的な手法としては、所定の配合量の成分をミキサー等によって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、例えば、上述した成分の所定量を均一に攪拌及び混合し、予め70℃~140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練し、冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。
【0135】
硬化性樹脂組成物は、25℃において固体であることが好ましい。25℃において硬化性樹脂組成物が固体である場合、硬化性樹脂組成物の形状は特に制限されず、粉状、粒状、タブレット状等が挙げられる。硬化性樹脂組成物がタブレット状である場合の寸法及び質量は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び質量となるようにすることが取り扱い性の観点から好ましい。
【0136】
(硬化性樹脂組成物の用途)
本開示の硬化性樹脂組成物の用途は特に制限されず、例えば電子部品装置の封止材として種々の実装技術に用いることができる。また、本開示の硬化性樹脂組成物は、各種モジュール用樹脂成形体、モーター用樹脂成形体、車載用樹脂成形体、電子回路用保護材用封止材等、樹脂組成物が良好な流動性及び硬化性を有することが望ましい種々の用途に用いることができる。
【0137】
<電子部品装置>
本開示の電子部品装置は、素子と、素子を封止する上記硬化性樹脂組成物の硬化物とを備える。
【0138】
電子部品装置は、素子を搭載する支持部材を備えることができる。
支持部材としては、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ、有機基板等が挙げられる。上記支持部材の中でも、上記硬化性樹脂組成物の硬化物との接着性の観点からリードフレームが好ましい。
【0139】
リードフレームは、表面が粗面化されていてもよく、粗面化されていなくてもよいが、製造コストの観点からは、リードフレームが好ましく、接着性の観点からは、粗面化リードフレームが好ましい。
粗面化方法は、特に限定されるものではなく、アルカリ処理、シランカップリング処理、サンドマット処理、プラズマ処理、コロナ放電処理等が挙げられる。
【0140】
リードフレームは、Agを含むことが好ましく、さらにCu等を含んでもよい。
【0141】
電子部品装置が備える素子としては、例えば、シリコンチップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子などが挙げられる。
【0142】
電子部品装置の具体的な構成としては、以下の構成が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)リードフレーム上に素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部とをワイヤボンディング、バンプ等を用いて接続した後、硬化性樹脂組成物を用いて封止した構造を有するDIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J-lead Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;
(2)テープキャリアにバンプを用いて接続した素子を、硬化性樹脂組成物を用いて封止した構造を有するTCP(Tape Carrier Package);
(3)支持部材上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等を用いて接続した素子を、硬化性樹脂組成物を用いて封止した構造を有するCOB(Chip On Board)モジュール、ハイブリッドIC、マルチチップモジュール等;
(4)裏面に配線板接続用の端子を形成した支持部材の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングを用いて素子と支持部材に形成された配線とを接続した後、硬化性樹脂組成物を用いて素子を封止した構造を有するBGA(Ball Grid Array)、CSP(Chip Size Package)、MCP(Multi Chip Package)、SiP(System in a Package)等
【0143】
硬化性樹脂組成物を用いて素子を封止する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することが可能である。封止方法としては、例えば、低圧トランスファー成形が一般的であるが、インジェクション成形、圧縮成形、注型等を用いてもよい。
【実施例0144】
以下に、本開示を実施例により具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例に限定されるものではない。また、表中の数値は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
【0145】
[実施例1及び比較例1~5]
表1に示す配合の材料を予備混合(ドライブレンド)した後、二軸ロール(ロール表面温度:約80℃)で約15分間混練し、冷却し、粉砕して粉末状の硬化性樹脂組成物を製造した。なお、エポキシ樹脂のエポキシ基に対するフェノール系硬化剤のフェノール性水酸基(活性水素)の当量比は、0.7とした。
【0146】
表1中における材料の詳細は以下の通りである。
【0147】
・エポキシ樹脂A:ビフェニル型、エポキシ当量192g/eq
【0148】
・エポキシ樹脂B:硫黄原子含有型エポキシ樹脂、エポキシ当量238g/eq~254g/eq、融点116℃~126℃
【0149】
・エポキシ樹脂C:トリフェニルメタン型(但し、アルキル基及びアルコキシ基を有さない)、エポキシ当量169g/mol、軟化点60℃
【0150】
・エポキシ樹脂D:オルトクレゾール型、エポキシ当量200g/eq、
【0151】
・エポキシ樹脂E:トリフェニルメタン型(但し、アルキル基及びアルコキシ基を有さない)、エポキシ当量165g/eq、融点104℃
【0152】
・エポキシ樹脂F:上記式(2)で表されるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂、エポキシ当量214g/eq、融点85℃
【0153】
・硬化剤A:フェノール樹脂、水酸基当量175g/eq
・硬化剤B:トリフェニルメタン型フェノール樹脂、水酸基当量104g/eq
・硬化剤C:アルキル変性型フェノール樹脂、水酸基当量224g/eq
・硬化剤D:アミノトリアジン変性型フェノール樹脂、アミン当量120g/eq
【0154】
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィンの1,4-ベンゾキノン付加物
・無機充填材:トップカット75μm、体積平均粒子径19μmの球状シリカ粒子
【0155】
・カップリング剤A:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤B:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤C:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
【0156】
・離型剤:モンタン酸エステル等のエステル系ワックス
・着色剤:カーボンブラック
・イオン交換体:ハイドロタルサイト
【0157】
・応力緩和剤A:メチル/フェニル系ポリシロキサン化合物、25℃で固体
・応力緩和剤B:トリフェニルホスフィンオキサイド
・応力緩和剤C:クマロン樹脂、軟化点100℃
【0158】
<<硬化性樹脂組成物の評価>>
実施例及び比較例において調製した硬化性樹脂組成物の特性を下記方法により測定及び評価した。評価結果を表2に示す。
【0159】
<スパイラルフローの測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物のスパイラルフローを測定した。
【0160】
<ゲルタイムの測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物のゲルタイムを測定した。
【0161】
<粘度の測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物の175℃における粘度を測定した。
【0162】
<線膨張率の測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物の硬化物について180℃~200℃の熱膨張率を測定した。熱機械的分析装置としては、セイコーインスルツメンツ株式会社製のTMA/SS6100を用いた。
【0163】
<硬化物のガラス転移温度(Tg)>
上記線膨張率の測定により得られた、10℃~30℃における接線と、200℃~220℃における接線との交点の温度を硬化物のガラス転移温度とした。
【0164】
<弾性率の測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物の硬化物について260℃における熱膨張率を測定した。粘弾性測定装置としては、TA Instruments社製、RSAIIIを用いた。
【0165】
<Ag(銀)に対する接着強度の測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物の硬化物についてAg(銀)に対する接着強度を測定した。測定装置として、ノードソン社製、製品名4000 Optimaを用いた。
【0166】
<熱時硬度の測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物の硬化物について熱時硬度を測定した。測定装置としては、高分子計器(株)製のショア硬度計D型を用いた。
【0167】
<熱時強度の測定>
上述の方法により、硬化性樹脂組成物の硬化物について熱時強度を測定した。測定装置としては、アイコーエンジニアリング株式会社、卓上試験機1301Kを用いた。
【0168】
<高温吸湿時の剥離性評価>
上記条件により形成した硬化性樹脂組成物の硬化物を用いて封止したシリコンチップ(縦8mm、横10mm、厚さ0.4mm)を搭載した外形寸法が縦20mm、横14mm、厚さ2mmの80ピンフラットパッケージ(リードフレーム材質:AgCu)を作製した。
上記パッケージを85℃、85%RHで168時間(MSL1)、及び85℃、60%RHで168時間(MSL2)の2条件で加熱した。
その後、260℃において、10秒間のリフロー処理をそれぞれ行い、パッケージ内部の剥離発生の有無を超音波探傷装置(日立建機株式会社製、HYE-FOCUS)でそれぞれ観察した。試験パッケージ数(16個)に対する、剥離が発生したパッケージ数により剥離性を評価した。
【0169】
【0170】
【0171】
表2に示されるように、85℃、60%RHの吸湿条件では、比較例及び実施例で剥離性に差が見られないものの、85℃、85%RHの厳しい吸湿条件とすると、実施例は比較例に比べて著しく剥離が抑えられていることがわかる。