(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008661
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H05K3/46 B
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022110703
(22)【出願日】2022-07-08
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 健介
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC10
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5E316FF13
5E316FF14
5E316FF15
5E316HH11
5E316JJ01
(57)【要約】
【課題】配線層や絶縁層にクラックが発生することを抑制可能な配線基板を提供する。
【解決手段】本配線基板は、第1配線層及び第1絶縁層を有する第1配線構造と、第2配線層及び第2絶縁層を有する第2配線構造であって、前記第1配線構造上に配置された第2配線構造と、を有し、前記第2配線層の配線幅及び配線間隔は、前記第1配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さく、前記第1絶縁層は、前記第1配線層の側面を被覆すると共に上面を露出し、前記第2絶縁層は、前記第1配線層の上面及び前記第1絶縁層の上面を被覆し、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、フィラーを含有し、前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径は、前記第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1配線層及び第1絶縁層を有する第1配線構造と、
第2配線層及び第2絶縁層を有する第2配線構造であって、前記第1配線構造上に配置された第2配線構造と、を有し、
前記第2配線層の配線幅及び配線間隔は、前記第1配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さく、
前記第1絶縁層は、前記第1配線層の側面を被覆すると共に上面を露出し、
前記第2絶縁層は、前記第1配線層の上面及び前記第1絶縁層の上面を被覆し、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、フィラーを含有し、
前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径は、前記第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい、配線基板。
【請求項2】
前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径は0.1μm以下であり、前記第2絶縁層が含有するフィラーの最大粒径は1μm以下である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1絶縁層の上面は、前記第1配線層の上面と面一である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である、請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1配線構造は、複数の第1配線層及び複数の第1絶縁層を有し、
前記第2配線構造は、複数の第2配線層及び複数の第2絶縁層を有し、
前記複数の第1配線層は、前記複数の第1配線層のうち前記第2配線構造に最も近い側に配置される最上第1配線層を含み、
前記複数の第1絶縁層は、前記複数の第1絶縁層のうち前記第2配線構造に最も近い側に配置され、前記最上第1配線層の側面を被覆し上面を露出する最上第1絶縁層を含み、
前記複数の第2絶縁層は、前記最上第1配線層の上面及び前記最上第1絶縁層の上面を被覆する最下第2絶縁層を含み、
前記最上第1絶縁層及び前記最下第2絶縁層は、フィラーを含有し、
前記最下第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径は、前記最上第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい、請求項1乃至4の何れか一項に記載の配線基板。
【請求項6】
すべての前記第1絶縁層及びすべての前記第2絶縁層は、フィラーを含有し、
各々の前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径は、いずれの前記第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい、請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記最上第1絶縁層の上面の粗度は、前記最上第1絶縁層以外の前記第1絶縁層の上面の粗度よりも小さい、請求項5に記載の配線基板。
【請求項8】
コア基板と、複数の第3配線層及び複数の第3絶縁層が積層された第3配線構造と、をさらに有し、
前記第1配線構造及び前記第2配線構造は、前記コア基板の一方の側に配置され、
前記第3配線構造は、前記コア基板の他方の側に配置され、
前記第2配線層の配線幅及び配線間隔は、前記第3配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい、請求項5に記載の配線基板。
【請求項9】
第1配線層及び第1絶縁層を有する第1配線構造と、
第2配線層及び第2絶縁層を有する第2配線構造であって、前記第1配線構造上に配置された第2配線構造と、を有する配線基板の製造方法であって、
第1配線層を形成する工程と、
前記第1配線層の側面及び上面を被覆する第1絶縁樹脂層を形成する工程と、
前記第1絶縁樹脂層を研磨し、前記第1配線層の側面を被覆し上面を露出する第1絶縁層を形成する工程と、
前記第1配線層の上面及び前記第1絶縁層の上面を被覆する未硬化の第2絶縁樹脂層を配置し、前記第2絶縁樹脂層を加熱しながら前記第1配線構造側に加圧して硬化させ、第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層上に第2配線層を形成する工程と、を有し、
前記第2配線層の配線幅及び配線間隔は、前記第1配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さく、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、フィラーを含有し、
前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径は、前記第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい、配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径は0.1μm以下であり、前記第2絶縁層が含有するフィラーの最大粒径は1μm以下である、請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1配線層を形成する工程では、前記第1配線層の上面に曲面状の突出部が形成され、
前記第1絶縁層を形成する工程では、前記研磨により前記突出部を除去し、前記第1配線層の上面と前記第1絶縁層の上面とを面一にする、請求項9又は10に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルドアップ法により複数の配線層及び複数の絶縁層を交互に積層する多層の配線基板が知られている。このような配線基板では、例えば、ビア配線を含む配線層の側面と絶縁層との間に意図的に微細な間隙を設け、この隙間にめっきを埋め込んで配線層を形成することにより、ビア配線を含む配線層の側面と絶縁層の密着性を向上させている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、微細な隙間にめっきを埋め込むことは実現が困難である。また、配線層の側面と絶縁層との間に意図しない間隙が形成される場合があり、この間隙に起因して配線層や絶縁層にクラックが発生し、断線等を引き起こす場合がある。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、配線層や絶縁層にクラックが発生することを抑制可能な配線基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本配線基板は、第1配線層及び第1絶縁層を有する第1配線構造と、第2配線層及び第2絶縁層を有する第2配線構造であって、前記第1配線構造上に配置された第2配線構造と、を有し、前記第2配線層の配線幅及び配線間隔は、前記第1配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さく、前記第1絶縁層は、前記第1配線層の側面を被覆すると共に上面を露出し、前記第2絶縁層は、前記第1配線層の上面及び前記第1絶縁層の上面を被覆し、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、フィラーを含有し、前記第2絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径は、前記第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、配線層や絶縁層にクラックが発生することを抑制可能な配線基板を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その1)である。
【
図3】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その2)である。
【
図4】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その3)である。
【
図5】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その4)である。
【
図6】第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図(その5)である。
【
図7】第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0010】
〈第1実施形態〉
[配線基板の構造]
図1は、第1実施形態に係る配線基板を例示する断面図である。
図1(a)は全体図であり、
図1(b)は
図1(a)のA部の拡大図である。
【0011】
図1を参照すると、配線基板5は、コア基板10と、第1配線構造1と、第2配線構造2と、第3配線構造3と、ソルダーレジスト層40及び50と、外部接続端子60とを有している。第1配線構造1及び第2配線構造2は、コア基板10の一方の側に配置され、第3配線構造3は、コア基板10の他方の側に配置されている。なお、ソルダーレジスト層40及び50と、外部接続端子60とは、必要に応じて設けることができる。
【0012】
なお、本実施形態では、便宜上、
図1における配線基板5のソルダーレジスト層40側を上側又は一方の側、ソルダーレジスト層50側を下側又は他方の側とする。また、各部位のソルダーレジスト層40側の面を一方の面又は上面、ソルダーレジスト層50側の面を他方の面又は下面とする。但し、配線基板5は天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。また、平面視とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視ることを指し、平面形状とは対象物をソルダーレジスト層40の一方の面の法線方向から視た形状を指すものとする。
【0013】
コア基板10としては、例えば、ガラスクロスにエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた所謂ガラスエポキシ基板等を用いることができる。コア基板10として、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維等の織布や不織布にエポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を含浸させた基板等を用いてもよい。コア基板10の厚さは、例えば、80~1200μm程度とすることができる。なお、各図において、ガラスクロス等の図示は省略されている。
【0014】
コア基板10には、コア基板10を貫通する複数の貫通孔10xが形成されている。貫通孔10xの平面形状は、例えば、直径が50~100μm程度の円形とすることができる。貫通孔10xのピッチは、例えば、100~1000μm程度とすることができる。貫通孔10xの内壁面には、貫通電極20が形成されており、貫通孔10xの中心部(貫通電極20の内側)には樹脂部30が充填されている。貫通電極20の材料としては、例えば、銅(Cu)等を用いることができる。貫通電極20の厚さは、例えば、15~35μm程度とすることができる。樹脂部30の材料としては、例えば、エポキシ系樹脂等の熱硬化性の絶縁樹脂を用いることができる。
【0015】
第1配線構造1は、コア基板10の一方の面10aに積層されている。第1配線構造1は、複数の第1配線層及び複数の第1絶縁層が積層された配線構造である。本実施形態では、複数の第1配線層は、第1配線層11、第1配線層13、及び第1配線層15を含む。第1配線層15は、複数の第1配線層のうち第2配線構造2に最も近い側に配置される最上第1配線層である。なお、第1配線層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第1配線層は、1層のみであってもよい。本実施形態では、複数の第1絶縁層は、第1絶縁層12、第1絶縁層14、及び第1絶縁層16を含む。第1絶縁層16は、複数の第1絶縁層のうち第2配線構造2に最も近い側に配置される最上第1絶縁層である。なお、第1絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第1絶縁層は、1層のみであってもよい。
【0016】
第3配線構造3は、コア基板10の他方の面10bに積層されている。第3配線構造3は、複数の第3配線層及び複数の第3絶縁層が積層された配線構造である。本実施形態では、複数の第3配線層は、第3配線層31、第3配線層33、及び第3配線層35を含む。なお、第3配線層の層数は、本実施形態の例には限定されない。本実施形態では、複数の第3絶縁層は、第3絶縁層32、及び第3絶縁層34を含む。なお、第3絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。
【0017】
第1配線層11は、コア基板10の一方の面10aに形成されている配線パターンである。第3配線層31は、コア基板10の他方の面10bに形成されている配線パターンである。第1配線層11は、コア基板10を貫通する貫通電極20を介して、第3配線層31と電気的に接続されている。第1配線層11及び第3配線層31は、例えば、銅箔等の金属箔や銅めっき等のめっき層からなる。第1配線層11及び第3配線層31の厚さは、例えば、15~35μm程度とすることができる。第1配線層11及び第3配線層31のライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~50μm/50μm程度とすることができる。
【0018】
なお、ライン/スペースにおけるラインとは配線幅を表し、スペースとは隣り合う配線同士の間隔(配線間隔)を表す。例えば、ライン/スペースが10μm/10μm~50μm/50μmと記載されていた場合、配線幅が10μm以上50μm以下で、かつ隣り合う配線同士の配線間隔が10μm以上50μm以下であることを表す。必ずしも配線幅と配線間隔とを等しくしなくてもよい。
【0019】
第1絶縁層12は、コア基板10の一方の面10aに、第1配線層11を被覆するように形成されている。第3絶縁層32は、コア基板10の他方の面10bに、第3配線層31を被覆するように形成されている。第1絶縁層12及び第3絶縁層32は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。第1絶縁層12及び第3絶縁層32は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることができる。第1絶縁層12及び第3絶縁層32の厚さは、例えば20~40μm程度とすることができる。第1絶縁層12及び第3絶縁層32は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。第1絶縁層12及び第3絶縁層32が含有するフィラーの平均粒径、フィラーの最大粒径は、及びフィラーの含有量は、例えば、後述の第1絶縁層16が含有するフィラー16fの場合と同様とすることができる。なお、フィラーの平均粒径及び最大粒径は、走査電子顕微鏡を用いて測定することができる。
【0020】
第1配線層13は、第1絶縁層12の一方の側に形成されており、第1配線層11と電気的に接続されている。第1配線層13は、第1絶縁層12を貫通し第1配線層11の一方の面を露出するビアホール12x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層12の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール12xは、第1絶縁層14側に開口されている開口部の径が第1配線層11の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0021】
第3配線層33は、第3絶縁層32の他方の側に形成されており、第3配線層31と電気的に接続されている。第3配線層33は、第3絶縁層32を貫通し第3配線層31の他方の面を露出するビアホール32x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層32の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール32xは、第3絶縁層34側に開口されている開口部の径が第3配線層31の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0022】
ビアホール12x及び32xの開口部の径は、例えば、50~60μm程度とすることができる。第1配線層13及び第3配線層33の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。第1配線層13及び第3配線層33の配線パターンの厚さは、例えば、15~25μm程度とすることができる。第1配線層13及び第3配線層33の配線パターンのライン/スペースは、例えば、10μm/10μm~50μm/50μm程度とすることができる。
【0023】
第1絶縁層14は、第1絶縁層12の一方の面に、第1配線層13を被覆するように形成されている。第3絶縁層34は、第3絶縁層32の他方の面に、第3配線層33を被覆するように形成されている。第1絶縁層14及び第3絶縁層34の材料や厚さは、例えば、第1絶縁層12及び第3絶縁層32と同様とすることができる。第1絶縁層14及び第3絶縁層34は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。第1絶縁層14及び第3絶縁層34が含有するフィラーの平均粒径、フィラーの最大粒径は、及びフィラーの含有量は、例えば、後述の第1絶縁層16が含有するフィラー16fの場合と同様とすることができる。
【0024】
第1配線層15は、第1絶縁層14の一方の側に形成されており、第1配線層13と電気的に接続されている。第1配線層15は、第1絶縁層14を貫通し第1配線層13の一方の面を露出するビアホール14x内に充填されたビア配線、及び第1絶縁層14の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール14xは、第1絶縁層16側に開口されている開口部の径が第1配線層13の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。
【0025】
第3配線層35は、第3絶縁層34の他方の側に形成されており、第3配線層33と電気的に接続されている。第3配線層35は、第3絶縁層34を貫通し第3配線層33の他方の面を露出するビアホール34x内に充填されたビア配線、及び第3絶縁層34の他方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール34xは、ソルダーレジスト層50側に開口されている開口部の径が第3配線層33の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。
【0026】
ビアホール14x及び34xの開口部の径は、例えば、50~60μm程度とすることができる。第1配線層15及び第3配線層35の材料、第1配線層15及び第3配線層35の配線パターンの厚さ、第1配線層15及び第3配線層35の配線パターンのライン/スペースは、例えば、第1配線層13及び第3配線層33と同様することができる。
【0027】
第1絶縁層16は、第1絶縁層14の上面に第1配線層15の側面を被覆し上面を露出するように形成されている。第1絶縁層16の材料は、例えば、第1絶縁層12と同様とすることができる。第1絶縁層16は、シリカ(SiO2)等のフィラー16fを含有する。フィラー16fの平均粒径は、例えば、0.5μm以下とすることができる。フィラー16fの最大粒径は、例えば、5μm以下とすることができる。フィラー16fの含有量は、例えば、72wt%程度とすることができる。第1絶縁層16が含有するフィラー16fの平均粒径及び最大粒径は、後述する第2絶縁層21が含有するフィラー21fの平均粒径及び最大粒径よりも大きい。
【0028】
第1絶縁層16の厚さは、例えば、5~15μm程度とすることができる。第1絶縁層16の厚さは第1配線層15を構成する配線パターンの厚さと同一であり、第1絶縁層16の上面は第1配線層15の上面と面一である。第1絶縁層16の上面の粗度は、例えば、Ra20~60nm程度とすることができる。なお、第1絶縁層12及び14の上面の粗度は、例えば、Ra150~200nm程度である。つまり、第1絶縁層16の上面の粗度は、第1絶縁層16以外の第1絶縁層の上面の粗度よりも小さい。
【0029】
第2配線構造2は、第1配線構造1上に配置されている。第2配線構造2は、複数の第2配線層及び複数の第2絶縁層が積層された配線構造である。本実施形態では、複数の第2配線層は、第2配線層22、第2配線層24、及び第2配線層26を含む。第2配線層22は、複数の第2配線層のうち第1配線構造1に最も近い側に配置される最下第2配線層である。なお、第2配線層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第2配線層は、1層のみであってもよい。
本実施形態では、複数の第2絶縁層は、第2絶縁層21、第2絶縁層23、及び第2絶縁層25を含む。第2絶縁層21は、複数の第2絶縁層のうち第1配線構造1に最も近い側に配置される最下第2絶縁層である。なお、第2絶縁層の層数は、本実施形態の例には限定されない。第2絶縁層は、1層のみであってもよい。
【0030】
第2配線層の配線幅及び配線間隔は、第1配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。また、第2配線層の配線幅及び配線間隔は、第3配線層の配線幅及び配線間隔よりも小さい。つまり、第2配線構造2を構成する第2配線層は、第1配線構造1を構成する第1配線層及び第3配線構造3を構成する第3配線層よりも配線密度の高い微細配線層である。
【0031】
第2絶縁層21は、第1配線構造1の第1配線層15の上面及び第1絶縁層16の上面を被覆するように形成されている。第2絶縁層21は、非感光性樹脂を主成分とする絶縁層である。第2絶縁層21は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることができる。第2絶縁層21は、シリカ(SiO2)等のフィラー21fを含有する。第2絶縁層21が含有するフィラー21fの平均粒径及び最大粒径は、第1絶縁層16が含有するフィラー16fの平均粒径及び最大粒径よりも小さい。フィラー21fの平均粒径は、例えば、0.1μm以下とすることができる。フィラー21fの最大粒径は、例えば、1μm以下とすることができる。フィラー21fの含有量は、例えば、50wt%程度とすることができる。第2絶縁層21は、第1絶縁層12及び14よりも薄い絶縁層である。第2絶縁層21の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。
【0032】
第2配線層22は、第2絶縁層21の一方の側に形成されており、第1配線構造1の第1配線層15と電気的に接続されている。第2配線層22は、第2絶縁層21を貫通し第1配線層15の一方の面を露出するビアホール21x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層21の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール21xは、第2絶縁層23側に開口されている開口部の径が第1配線層15の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール21xの開口部の径は、例えば、5~10μm程度とすることができる。第2配線層22の材料としては、例えば、銅等を用いることができる。第2配線層22を構成する配線パターンの厚さは、例えば、5~10μm程度とすることができる。第2配線層22を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、3μm/3μm~8μm/8μm程度とすることができる。
【0033】
第2絶縁層23は、第2絶縁層21の一方の面に、第2配線層22を被覆するように形成されている。第2絶縁層23の材料や厚さは、例えば、第2絶縁層21と同様とすることができる。第2絶縁層23は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。第2絶縁層23が含有するフィラーの平均粒径及びフィラーの最大粒径は、いずれの第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい。第2絶縁層23が含有するフィラーの平均粒径、フィラーの最大粒径、及びフィラーの含有量は、例えば、第2絶縁層21が含有するフィラー21fの場合と同様とすることができる。
【0034】
第2配線層24は、第2絶縁層23の一方の側に形成されており、第2配線層22と電気的に接続されている。第2配線層24は、第2絶縁層23を貫通し第2配線層22の一方の面を露出するビアホール23x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層23の一方の面に形成された配線パターンを含んで構成されている。ビアホール23xは、第2絶縁層25側に開口されている開口部の径が第2配線層22の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール23xの開口部の径は、例えば、5~10μm程度とすることができる。第2配線層24の材料、第2配線層24を構成する配線パターンの厚さ、及び第2配線層24を構成する配線パターンのライン/スペースは、例えば、第2配線層22と同様とすることができる。
【0035】
第2絶縁層25は、第2絶縁層23の一方の面に、第2配線層24を被覆するように形成されている。第2絶縁層25の材料や厚さは、例えば、第2絶縁層23と同様とすることができる。第2絶縁層25は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有してもよい。第2絶縁層25が含有するフィラーの平均粒径及びフィラーの最大粒径は、いずれの第1絶縁層が含有するフィラーの平均粒径及び最大粒径よりも小さい。第2絶縁層25が含有するフィラーの平均粒径、フィラーの最大粒径、及びフィラーの含有量は、例えば、第2絶縁層21が含有するフィラー21fの場合と同様とすることができる。
【0036】
第2配線層26は、第2絶縁層25の一方の側に形成されており、第2配線層24と電気的に接続されている。第2配線層26は、第2絶縁層25を貫通し第2配線層24の一方の面を露出するビアホール25x内に充填されたビア配線、及び第2絶縁層25の一方の面に形成された配線パターン及びパッドを含んで構成されている。ビアホール25xは、ソルダーレジスト層40側に開口されている開口部の径が第2配線層24の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール25xの開口部の径は、例えば、5~10μm程度とすることができる。
【0037】
第2配線層26の材料、及び第2配線層26を構成する配線パターンの厚さは、例えば、第2配線層22と同様とすることができる。第2配線層26を構成するパッドの厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。第2配線層26を構成するパッドの平面形状は、例えば、直径が20~30μm程度の円形とすることができる。第2配線層26を構成するパッドのピッチは、例えば、40~50μm程度とすることができる。第2配線層26を構成するパッドは、半導体チップ等の電子部品と電気的に接続するための電子部品搭載用のパッドとして機能する。
【0038】
なお、第2配線層26を構成するパッドの表面(上面のみ、又は上面及び側面)に表面処理層(図示せず)を形成してもよい。表面処理層の例としては、Au層や、Ni/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni/Pd/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)等を挙げることができる。又、第2配線層26を構成するパッドの表面(上面のみ、又は上面及び側面)に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理等の酸化防止処理を施して表面処理層を形成してもよい。
【0039】
ソルダーレジスト層40は、第2配線構造2の第2絶縁層25の一方の面の外周側に形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層40の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層40は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。ソルダーレジスト層40は、開口部40xを有し、開口部40x内には第2配線層26の一部が露出している。
【0040】
ソルダーレジスト層50は、第3配線構造3の第3絶縁層34の他方の面に、第3配線構造3の第3配線層35を被覆するように形成されている最外絶縁層である。ソルダーレジスト層50の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂等を主成分とする感光性の絶縁樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層40は、シリカ(SiO2)等のフィラーを含有しても構わない。
【0041】
ソルダーレジスト層50は、開口部50xを有し、開口部50xの底部には第3配線構造3の第3配線層35の一部が露出している。開口部40x内に露出する第3配線層35には、必要に応じて、はんだボール等の外部接続端子60が形成される。
【0042】
図1(b)に示すように、配線基板5の製造工程において、第1配線層15を構成する配線パターンの外縁と第1絶縁層16との間に、幅が5μm程度の間隙Gが形成される場合がある。仮に、間隙Gをそのままにしておくと、第1配線層15や第1絶縁層16にクラックが発生し、断線等を引き起こす要因となり得る。
【0043】
しかし、後述のように、配線基板5の製造工程は、第1配線層15の上面及び第1絶縁層16の上面を被覆する第2絶縁層21を形成する工程を含む。この工程では、第1配線層15の上面及び第1絶縁層16の上面を被覆する未硬化の第2絶縁樹脂層を配置し、第2絶縁樹脂層を加熱しながら第1配線構造1側に加圧して硬化させ、第2絶縁層21を形成する。この際、軟化した第2絶縁樹脂層が間隙Gを充填し、その後硬化するため、最終的には間隙Gは存在しなくなる。その結果、第1配線層15や第1絶縁層16にクラックが発生することを抑制できる。また、第2絶縁層21の一部が、間隙G内に入り込むため、アンカー効果が生じ、第1配線層15及び第1絶縁層16と第2絶縁層21との密着性を向上できる。
【0044】
なお、仮に第2絶縁層21が第1絶縁層16と同様にフィラー16fを含有する場合、フィラー16fの平均粒径は0.5μm以下、最大粒径は5μm以下である。そのため、間隙Gの近傍に大きめのフィラー16fが存在する場合、幅が5μm程度の間隙Gの充填に支障が生じ、間隙Gを充填しきれない場合があり得る。しかし、第2絶縁層21が含有するフィラー21fの平均粒径は0.1μm以下、最大粒径は1μm以下であるから、幅が5μm程度の間隙Gの充填に支障はない。すなわち、一般に、絶縁層に用いる非感光性樹脂には、絶縁性や熱膨張係数の調整のため、フィラーを含有させるが、配線基板5のように間隙に樹脂を充填させる場合、間隙への充填性を考えてフィラーの粒径を調整する必要がある。
【0045】
[配線基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係る配線基板の製造方法について説明する。
図2~
図6は、第1実施形態に係る配線基板の製造工程を例示する図である。なお、ここでは、
図1(a)に示す配線基板5の破線Bで囲んだ領域について図示しながら、配線基板5の製造工程を説明する。
【0046】
まず、
図2(a)に示す工程では、貫通電極20を有するコア基板10を形成する。具体的には、例えば、所謂ガラスエポキシ基板等であるコア基板10の一方の面及び他方の面にパターニングされていないプレーン状の銅箔が形成された積層板を準備する。そして、準備した積層板において、必要に応じて各面の銅箔を薄化した後、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法等により、コア基板10及び各面の銅箔を貫通する貫通孔10xを形成する。
【0047】
次に、必要に応じてデスミア処理を行い、貫通孔10xの内壁面に付着したコア基板10に含まれる樹脂の残渣を除去する。そして、例えば無電解めっき法やスパッタ法等により、各面の銅箔及び貫通孔10xの内壁面を被覆するシード層(銅等)を形成し、シード層を給電層に利用した電解めっき法により、シード層上に電解めっき層(銅等)を形成する。これにより、貫通孔10xの内壁にシード層上に電解めっき層が積層された貫通電極20が形成され、コア基板10の一方の面及び他方の面には、銅箔、シード層、及び電解めっき層が積層された第1配線層11及び第3配線層31が形成される。次に、第1配線層11及び第3配線層31をサブトラクティブ法等により所定の平面形状にパターニングする。また、貫通孔10x内において、貫通電極20の内側に樹脂部30を充填する。
【0048】
次に、
図2(b)に示す工程では、コア基板10の一方の面10aに第1配線層11を覆うように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて第1絶縁層12を形成する。又、コア基板10の他方の面10bに第3配線層31を覆うように半硬化状態のフィルム状のエポキシ系樹脂等をラミネートし、硬化させて第3絶縁層32を形成する。或いは、フィルム状のエポキシ系樹脂等のラミネートに代えて、液状又はペースト状のエポキシ系樹脂等を塗布後、硬化させて第1絶縁層12及び第3絶縁層32を形成してもよい。第1絶縁層12及び第3絶縁層32の各々の厚さは、例えば、20~40μm程度とすることができる。第1絶縁層12及び第3絶縁層32の各々は、シリカ(SiO
2)等のフィラーを含有することができる。
【0049】
次に、
図2(c)に示す工程では、第1絶縁層12に、第1絶縁層12を貫通し第1配線層11の上面を露出させるビアホール12xを形成する。又、第3絶縁層32に、第3絶縁層32を貫通し第3配線層31の下面を露出させるビアホール32xを形成する。ビアホール12x及び32xは、例えば、CO
2レーザ等を用いたレーザ加工法により形成できる。ビアホール12xは、第1絶縁層14が形成される側に開口されている開口部の径が第1配線層11の上面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい逆円錐台状の凹部とすることができる。また、ビアホール32xは、第3絶縁層34が形成される側に開口されている開口部の径が第3配線層31の下面によって形成された開口部の底面の径よりも大きい円錐台状の凹部とすることができる。ビアホール12x及び32xを形成後、デスミア処理を行い、ビアホール12x及び32xの底部に各々露出する第1配線層11及び第3配線層31の表面に付着した樹脂残渣を除去することが好ましい。
【0050】
次に、
図3(a)に示す工程では、ビアホール12xの内壁を含む第1絶縁層12の表面及びビアホール12x内に露出する第1配線層11の表面に、銅の無電解めっきや銅のスパッタによりシード層13aを形成する。また、ビアホール32xの内壁を含む第3絶縁層32の表面及びビアホール32x内に露出する第3配線層31の表面に銅の無電解めっきや銅のスパッタによりシード層33aを形成する。シード層13a及び33aの厚さは、例えば、200~400nm程度とすることができる。次に、シード層13a上に第1配線層13の配線パターンの形状に合わせた開口部300xを有するめっきレジストパターン300を形成する。また、シード層33a上に第3配線層33の配線パターンの形状に合わせた開口部310xを有するめっきレジストパターン310を形成する。
【0051】
次に、シード層13aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン300の開口部300xに露出するシード層13a上に電解めっき層13bを析出する。また、シード層33aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン310の開口部310xに露出するシード層33a上に電解めっき層33bを析出する。
【0052】
次に、
図3(b)に示す工程では、めっきレジストの剥離液を用いて、めっきレジストパターン300及び310を除去する。そして、電解めっき層13bをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層13bから露出するシード層13aを除去し第1配線層13を形成する。また、電解めっき層33bをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層33bから露出するシード層33aを除去し第3配線層33を形成する。
【0053】
次に、
図3(c)に示す工程では、第1絶縁層12と同様の形成方法により、第1絶縁層12の上面に第1配線層13を覆うように第1絶縁層14を形成する。第1絶縁層14の材料や厚さは、例えば、第1絶縁層12と同様とすることができる。また、第3絶縁層32と同様の形成方法により、第3絶縁層32の下面に第3配線層33を覆うように第3絶縁層34を形成する。第3絶縁層34の材料や厚さは、例えば、第3絶縁層32と同様とすることができる。
【0054】
次に、
図4(a)に示す工程では、
図2(c)に示す工程と同様にしてビアホール14x及び34xを形成する。そして、ビアホール14xの内壁を含む第1絶縁層14の表面及びビアホール14x内に露出する第1配線層13の表面に銅の無電解めっきやスパッタによるシード層15aを形成する。また、ビアホール34xの内壁を含む第3絶縁層34の表面及びビアホール34x内に露出する第3配線層33の表面に銅の無電解めっきやスパッタによるシード層35aを形成する。次に、シード層15a上に第1配線層15の配線パターンの形状に合わせた開口部320xを有するめっきレジストパターン320を形成する。また、シード層35a上に第3配線層35の配線パターンの形状に合わせた開口部330xを有するめっきレジストパターン330を形成する。
【0055】
次に、シード層15aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン330の開口部330xに露出するシード層15a上に電解めっき層15bを析出する。また、シード層35aから給電する銅の電解めっきにより、めっきレジストパターン330の開口部330xに露出するシード層35a上に電解めっき層35bを析出する。電解めっき層15bの析出は、電解めっき層15bの上面に曲面状の突出部が形成されるまで行う。
【0056】
第1絶縁層14の上面を基準として、電解めっき層15bの最も薄い部分の厚さ(電解めっき層15bの外縁部の厚さ)、例えば、15~25μm程度とすることができる。第1絶縁層14の上面を基準として、電解めっき層15bの最も厚い部分の厚さ(電解めっき層15bの中央部の厚さ)、は、最も薄い部分の厚さプラス3~8μm程度とすることができる。すなわち、電解めっき層15bの上面に形成される突出部の高さは、例えば、3~8μm程度とすることができる。
【0057】
なお、電解めっき層15bの充填性を向上し、電解めっき層15bの上面に曲面状の突出部が形成されやすくするために、ビアホール14xの開口径をビアホール12xや34xの開口径より小さくしてもよい。また、電解めっき層35bの下面は、平坦でも良いし、曲面状に突出してもよい。また、電解めっき層35bの下面に曲面状の突出部が形成された場合にも、以降の工程で突出部を研磨して平坦化しなくてよい。第3配線構造3には微細配線層を形成しないからである。
【0058】
次に、
図4(b)に示す工程では、めっきレジストパターン320及び330を除去する。そして、電解めっき層15bをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層15bから露出するシード層15aを除去し第1配線層15を形成する。また、電解めっき層35bをマスクとしたエッチングを行い、電解めっき層35bから露出するシード層35aを除去し第3配線層35を形成する。この工程により、コア基板10の下面に第3配線構造3が形成される。
【0059】
次に、
図4(c)に示す工程では、第1絶縁層12と同様の形成方法により、第1配線層15の側面及び上面を被覆する第1絶縁樹脂層16Aを形成する。第1絶縁樹脂層16Aの材料は、例えば、第1絶縁層12と同様とすることができる。第1絶縁樹脂層16Aの厚さは、突出部を含めた第1配線層15の全体を被覆できる十分な厚さとする。第1絶縁樹脂層16Aの厚さは、例えば、20~40μm程度とすることができる。
【0060】
次に、
図5(a)に示す工程では、第1絶縁樹脂層16Aを研磨し、第1配線層15の側面を被覆し上面を露出する第1絶縁層16を形成する。研磨は、第1配線層15の上面が第1絶縁層16の上面から露出し、さらに第1配線層15の上面が平坦化するまで行う。つまり、研磨により第1配線層15の上面に形成された突出部を除去し、第1配線層15の上面と前記第1絶縁層16の上面とを面一にする。研磨には、例えば、CMP法(chemical mechanical polishing法)を用いることができる。研磨後の第1配線層15を構成する配線パターンの厚さは、第1絶縁層16の厚さと同一となる。第1絶縁層16の厚さは、例えば、5~15μm程度とすることができる。研磨後の第1絶縁層16の上面の粗度は、研磨前の第1絶縁樹脂層16Aの上面の粗度よりも小さくなる。研磨前の第1絶縁樹脂層16Aの上面の粗度は、例えば、Ra150~200nm程度であり、研磨を実行することにより、第1絶縁層16の上面の粗度は、Ra20~60nm程度に低減することができる。
【0061】
この工程により、コア基板10の上面に第1配線構造1が形成される。なお、第1絶縁層12及び14の上面の粗度は、例えば、Ra150~200nm程度である。つまり、この工程における研磨により、第1絶縁層16の上面の粗度は、第1配線構造1を構成する他の絶縁層(第1絶縁層12及び14)の上面の粗度よりも小さくなる。つまり、第1絶縁層16の上面は、第1配線構造1を構成する他の絶縁層(第1絶縁層12及び14)の上面よりも平坦化される。このように、第1絶縁層16の上面の粗度を低減して平坦化することにより、後工程において、第1絶縁層16の上面に微細配線層(高密度の配線パターン)の形成が可能となる。
【0062】
次に、
図5(b)に示す工程では、第1配線構造1の第1配線層15の上面及び第1絶縁層16の上面を被覆する未硬化のフィルム状の第2絶縁樹脂層を配置し、この第2絶縁樹脂層を加熱しながら第1配線構造1側に加圧して硬化させ、第2絶縁層21を形成する。あるいは、フィルム状の第2絶縁樹脂層のラミネートに代えて、液状又はペースト状の絶縁樹脂を塗布後、硬化させて第2絶縁層21を形成してもよい。この工程は、第2絶縁層21を隙間G内(
図1(b)参照)に充填する為、真空中で行うことが好ましい。
【0063】
第2絶縁層21となる絶縁樹脂としては、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
【0064】
第2絶縁層21は、例えば、エポキシ系樹脂、イミド系樹脂、フェノール系樹脂、シアネート系樹脂等の熱硬化性の非感光性樹脂を主成分とすることが好ましい。第2絶縁層21は、シリカ(SiO
2)等のフィラー21fを含有する(
図1(b)参照)。第2絶縁層21が含有するフィラー21fの平均粒径及び最大粒径は、第1絶縁層16が含有するフィラー16fの平均粒径及び最大粒径よりも小さい。フィラー21fの平均粒径は、例えば、0.1μm以下とすることができる。フィラー21fの最大粒径は、例えば、1μm以下とすることができる。フィラー21fの含有量は、例えば、50wt%程度とすることができる。第2絶縁層21は、第1絶縁層12及び14よりも薄い絶縁層である。第2絶縁層21の厚さは、例えば、10~20μm程度とすることができる。
【0065】
なお、第2絶縁層21が非感光性樹脂を主成分とすることが好ましい理由は、下記のとおりである。非感光性樹脂は、感光性樹脂に比較し熱膨張係数が低い。また、非感光性樹脂は、感光性樹脂に比較し比誘電率と誘電正接が低い。これは、非感光性樹脂は、フィラーを含有させることで、これらの物性値を調整できるが、感光性樹脂は、露光工程等の関係上、フィラーを含有させることが困難であり、良好な物性値を得にくいためである。
【0066】
一般的に、配線層に用いる銅等の金属の熱膨張係数より、絶縁層に用いる樹脂の熱膨張係数の方が大きい。配線層と絶縁層との熱膨張係数の差が大きいと、熱膨張係数の差異に起因する応力が配線層と絶縁層との間に生じ、配線層と絶縁層との剥離や、配線層の破断が発生する場合がある。この傾向は、配線層が微細になるほど大きくなる。このため、絶縁層の熱膨張係数は、配線層の熱膨張係数に近づけるべく、なるべく低い方が好ましい。よって、微細配線層を形成する第2絶縁層21には、感光性樹脂より熱膨張係数の低い非感光性樹脂を用いる方が好ましい。他の第2絶縁層についても同様である。
【0067】
また、絶縁層の比誘電率や誘電正接が低いほど、配線層に高周波信号が流れやすくなる。絶縁層の比誘電率や誘電正接が高いと、配線層に流れる信号の遅延が生じる。この傾向は、配線層が微細になるほど大きくなる。よって、良好な高周波特性を得るために、微細配線層を形成する第2絶縁層21には、感光性樹脂より比誘電率や誘電正接が低い非感光性樹脂を用いる方が好ましい。他の第2絶縁層についても同様である。
【0068】
なお、
図5(a)に示す工程における研磨後に、
図1(b)に示したように、第1配線層15を構成する配線パターンの外縁と第1絶縁層16との間に、幅が5μm程度の間隙Gが形成される場合がある。しかし、
図5(b)に示す工程で第2絶縁層21を形成する際、軟化した第2絶縁樹脂層が間隙Gを充填し、その後硬化するため、最終的には間隙Gは存在しなくなる。その結果、第1配線層15や第1絶縁層16にクラックが発生することを抑制できる。また、第2絶縁層21の一部が、間隙G内に入り込むため、アンカー効果が生じ、第1配線層15及び第1絶縁層16と第2絶縁層21との密着性を向上できる。なお、
図5(a)に示す工程における研磨後に間隙Gが形成されない場合もあり得る。
【0069】
次に、
図5(c)に示す工程では、
図2(c)に示す工程と同様にしてビアホール21xを形成する。ビアホール21xは、他のビアホールと同様に逆円錐台状となる。ビアホール21xの開口径は、例えば、5~10μm程度とすることができる。次に、
図4(a)及び
図4(b)と同様にして第2配線層22を形成する。第2配線層22のライン/スペースは、例えば、3μm/3μm~8μm/8μm程度とすることができる。なお、ビアホール21xを含めた第2配線構造2の各ビアホールは、第1配線構造1の各ビアホールよりも開口径が小さいため、微細加工に適したエキシマレーザを用いて形成することが好ましい。
【0070】
次に、
図6(a)に示す工程では、
図4(a)及び
図4(b)と同様の工程を繰り返し、第2絶縁層23、第2配線層24、第2絶縁層25、第2配線層26を順次積層する。この工程により、第1配線構造1上に第2配線構造2が形成される。
【0071】
次に、
図6(b)に示す工程では、第2絶縁層25上に開口部40xを備えたソルダーレジスト層40(
図1参照)を形成する。また、第3配線層35上に開口部50xを備えたソルダーレジスト層50を形成する。そして、ソルダーレジスト層50の開口部50xから露出する第3配線層35上に、はんだボール等の外部接続端子60を形成する。以上の工程で、配線基板5が完成する。
【0072】
〈第1実施形態の応用例〉
第1実施形態の応用例では、配線基板に半導体チップを搭載した半導体装置の例を示す。なお、第1実施形態の応用例において、既に説明した実施形態と同一構成部品についての説明は省略する場合がある。
【0073】
図7は、第1実施形態の応用例に係る半導体装置を例示する断面図である。
図7を参照すると、半導体装置7は、
図1に示す配線基板5と、半導体チップ110と、電極ポスト120とを有する。
【0074】
半導体チップ110は、例えば、シリコン等からなる薄板化された半導体基板(図示せず)上に半導体集積回路(図示せず)等が形成されたものである。半導体基板(図示せず)には、半導体集積回路(図示せず)と電気的に接続された電極ポスト120が形成されている。電極ポスト120は、例えば、銅ポストである。
【0075】
電極ポスト120は、配線基板5の第2配線層26と接続されている。電極ポスト120と第2配線層26は、例えば、拡散接合等により直接接続してもよいし、はんだバンプ等を介して間接的に接続してもよい。後者の場合、はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金等を用いることができる。なお、半導体チップ110と配線基板5の上面との間にアンダーフィル樹脂が充填されてもよい。
【0076】
このように、第1実施形態に係る配線基板5に半導体チップを搭載することにより、半導体装置7を実現できる。半導体装置7は、配線層や絶縁層にクラックが発生することを抑制可能な配線基板5を備えるため、信頼性の高い半導体装置を実現できる。
【0077】
以上、好ましい実施形態について詳説したが、上述した実施形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0078】
例えば、本発明は、コア基板や第3配線構造を有さず、第1配線構造上に第2配線構造が積層されたコアレスの配線基板にも適用可能である。
【符号の説明】
【0079】
1 第1配線構造
2 第2配線構造
3 第3配線構造
5 配線基板
7 半導体装置
10 コア基板
10a 一方の面
10b 他方の面
10x 貫通孔
11,13,15 第1配線層
12,14,16第1絶縁層
12x,14x,21x,23x,25x,32x,34x ビアホール
16A 第1絶縁樹脂層
16f,21f フィラー
21,23,25 第2絶縁層
22,24,26 第2配線層
31,33,35 第3配線層
32,34 第3絶縁層
20 貫通電極
30 樹脂部
40,50 ソルダーレジスト層
40x,50x 開口部
60 外部接続端子
110 半導体チップ
120 電極ポスト
300,310,320,330 めっきレジストパターン
300x,310x,320x,330x 開口部