(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086681
(43)【公開日】2024-06-27
(54)【発明の名称】安全インターロックを備えたレーザ装置及びレーザ装置とともに使用する科学機器
(51)【国際特許分類】
G01N 21/65 20060101AFI20240620BHJP
G01J 3/44 20060101ALI20240620BHJP
G02B 21/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
G01N21/65
G01J3/44
G02B21/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023211804
(22)【出願日】2023-12-15
(31)【優先権主張番号】18/083,228
(32)【優先日】2022-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】501233536
【氏名又は名称】エフ イー アイ カンパニ
【氏名又は名称原語表記】FEI COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フランシス デック
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン モロウ
【テーマコード(参考)】
2G020
2G043
2H052
【Fターム(参考)】
2G020CA04
2G020CB23
2G020CC26
2G020CD03
2G020CD11
2G020CD37
2G043AA03
2G043EA03
2G043EA10
2G043FA02
2G043HA02
2G043HA15
2G043JA01
2G043JA02
2G043JA03
2G043KA09
2G043LA01
2G043NA05
2G043NA06
2H052AC14
2H052AC34
2H052AF07
(57)【要約】
【課題】従来技術の問題を解決する。
【解決手段】科学機器とともに使用するレーザ装置。レーザ装置は、レーザエミッタと制御システムとを含む。レーザエミッタは、科学機器の真空チャンバ内に配置された試料を照射するためのレーザビームを生成するように構成される。制御システムは、圧力センサから真空チャンバに関連付けられた圧力信号を受信し、圧力が閾値レベルに達することに応答してレーザビームの状態を変更するように構成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
科学機器とともに使用するレーザ装置であって、
前記科学機器の真空チャンバ内に配置される試料を照射するレーザビームを生成するように構成されるレーザエミッタと、
圧力センサから前記真空チャンバに関連付けられた圧力信号を受信し、圧力が閾値レベルに達したことに応答して前記レーザビームの状態を変更するように構成される、制御システムと、を備える、
レーザ装置。
【請求項2】
前記レーザビームの前記状態を変更することは、前記レーザエミッタへの電力を遮断することを含む、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項3】
前記レーザビームの前記状態を変更することは、前記レーザビームを遮断することを含む、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項4】
前記閾値レベルは、前記真空チャンバの通常動作圧力範囲よりも高い圧力レベルに対応する、請求項1~3のうちのいずれか1項に記載のレーザ装置。
【請求項5】
前記科学機器に取り外し可能に取り付け可能であるように構成される真空フランジを更に備える、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項6】
前記圧力センサは、前記真空フランジに結合されている、請求項5に記載のレーザ装置。
【請求項7】
前記科学機器は、荷電粒子顕微鏡である、請求項1に記載のレーザ装置。
【請求項8】
顕微鏡とともに使用するラマンプローブであって、
試料チャンバ内に配置される試料を照射するためのレーザビームを生成するように構成されるレーザエミッタと、
前記試料チャンバに関連付けられた圧力を感知するように構成されるセンサと、
前記試料チャンバに関連付けられた前記圧力を監視し、前記圧力が閾値レベルに達したことに応答して前記レーザビームの状態を変更するように構成される、制御システムと、を備える、
ラマンプローブ。
【請求項9】
前記試料から反射される光を分光器に向けるように構成される光学アセンブリを更に備える、請求項8に記載のラマンプローブ。
【請求項10】
前記光学アセンブリは、前記試料から反射される前記光を伝送するように構成される分光器ファイバを含む、請求項9に記載のラマンプローブ。
【請求項11】
前記分光器は、
前記試料から反射される前記光からレーザビーム波長を除去するように構成されるフィルタと、
前記フィルタからフィルタリングされた光を受光するように構成される分光器検出器と、を含む、
請求項10に記載のラマンプローブ。
【請求項12】
前記制御システムは、リレーを含む、請求項8に記載のラマンプローブ。
【請求項13】
前記顕微鏡に搭載されるように構成される真空フランジを更に備え、前記センサは、前記真空フランジに結合されている、請求項8に記載のラマンプローブ。
【請求項14】
科学機器とともに使用可能なレーザ装置のための安全インターロックを提供する方法であって、
前記科学機器の真空チャンバ内に配置される試料を照射するレーザビームを生成するように構成されるレーザエミッタを提供することと、
前記科学機器の前記真空チャンバに関連付けられた圧力を感知するように構成されるセンサを提供することと、
前記科学機器の前記真空チャンバ内の前記圧力が閾値レベルに達したことに応答して、前記レーザビームの状態を変更することと、を含む、
方法。
【請求項15】
前記真空チャンバをポンプダウンして、前記試料を分析するための真空状態を作り出すことと、
前記試料を前記真空チャンバ内に装填することと、
前記レーザビームを前記真空チャンバに入射させることと、
前記試料を分析する間に前記圧力を監視することと、を更に含み、
前記レーザビームの前記状態を変更することは、前記レーザビームを抑制することを含む、
請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本開示は、顕微鏡又は他の科学機器の真空チャンバなどの真空チャンバとともに使用するためのラマン分光計プローブなどのレーザ装置に関する。
【発明の概要】
【0002】
一実装では、本開示は、科学機器とともに使用するためのレーザ装置を提供する。レーザ装置は、科学機器の真空チャンバ内に配置された試料を照射するためのレーザビームを生成するように構成されたレーザエミッタと、圧力センサから真空チャンバに関連付けられた圧力信号を受信し、圧力が閾値レベルに達したことに応答してレーザビームの状態を変更するように構成された制御システムとを含む。
【0003】
別の実装では、本開示は、顕微鏡とともに使用するためのラマンプローブを提供する。ラマンプローブは、試料チャンバ内に配置された試料を照射するためのレーザビームを生成するように構成されたレーザエミッタと、試料チャンバに関連付けられた圧力を感知するように構成されたセンサと、試料チャンバに関連付けられた圧力を監視し、圧力が閾値レベルに達したことに応答してレーザビームの状態を変更するように構成された制御システムとを含む。
【0004】
更に別の実装では、本開示は、科学機器とともに使用可能なレーザ装置のための安全インターロックを提供する方法を提供する。この方法は、科学機器の真空チャンバ内に配置された試料を照射するためのレーザビームを生成するように構成されたレーザエミッタを提供することと、科学機器の真空チャンバに関連付けられた圧力を感知するように構成されたセンサを提供することと、科学機器の真空チャンバ内の圧力が閾値レベルに達したことに応答してレーザビームの状態を変更することとを含む。
【0005】
本開示の他の態様は、詳細な説明及び添付の図面を考慮することによって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の実装による真空エンクロージャを有する科学機器の縦断面立面図を概略的に示す。
【
図2】
図1に示される科学機器の真空エンクロージャとともに使用するためのレーザ装置を概略的に示す。
【
図3】
図2に示されたレーザ装置の制御システムの一実装の概略図である。
【
図4】
図2に示されたレーザ装置の制御システムの別の実装の概略図である。
【
図5】
図2に示されるレーザ装置の制御システムの更に別の実装の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示の任意の実装が詳細に説明される前に、本開示は、その適用において、以下の説明に記載される又は以下の図面に示される構成の詳細及び構成要素の配置に限定されないことを理解されたい。本開示は、他の実装が可能であり、様々な方法で実施又は実行されることが可能である。
【0008】
図1は、レーザ装置210(
図2に示す)を実装することができる顕微鏡Mなどの科学機器の実装の非常に概略的な図である。顕微鏡Mは、試料102を分析する(検査及び/又は修正することを含み得る)ための真空チャンバ(すなわち、試料チャンバ)107を内部に有する真空エンクロージャ106を含む。顕微鏡Mはまた、試料102を検査する(例えば、撮像する、データを収集するなど)ために、真空チャンバ107と交差する光軸Aを画定する。試料を受け入れるための真空チャンバ(真空チャンバ107など)を画定する真空エンクロージャ(真空エンクロージャ106など)を含む他のタイプの科学機器を使用してもよい。
【0009】
顕微鏡Mは、荷電粒子顕微鏡であってもよい。
図1は、走査電子顕微鏡(SEM)の実装を示すが、透過電子顕微鏡、走査/透過電子顕微鏡、イオンベースの顕微鏡、プロトンベースの顕微鏡など、任意のタイプの荷電粒子顕微鏡が
図1に示された顕微鏡Mによって表わされ得る。他の実装では、真空チャンバ(真空チャンバ107など)を有する任意のタイプの顕微鏡を使用し得る。更に他の実装では、真空チャンバ(真空チャンバ107など)を有する任意のタイプの科学機器を使用し得る。
【0010】
顕微鏡Mは、光軸Aを画定する粒子光学カラム115を含んでもよい。粒子光学カラム115は、真空エンクロージャ106又は任意の他の好適な構造上に搭載されてもよい。粒子光学カラム115内において、電子源112によって生成された電子は、複合レンズシステム114によって修正された後に、レンズシステム116によって光軸Aに沿って試料102に集束される。入射ビーム104は、走査コイル113を操作することによって試料102全体を走査し得る。試料102は、真空エンクロージャ106に配置された試料ステージ108によって保持され得る。試料ステージ108は、試料Sの装填、除去、及び交換のために、真空チャンバ107に挿入可能であり、真空チャンバ107から取り外し可能であり得る。
【0011】
顕微鏡Mは、入射ビーム104の照射に応じて試料102からの様々な放射を検出する1つ以上の検出器を含み得る。例えば、検出器101は、試料102から放射される後方散乱及び/又は二次電子などの電子を検出し得る。一例では、検出器101は、セグメント化された電子検出器であってもよい。
【0012】
真空エンクロージャ106は、試料102を分析するのに適した真空を保持するように構成されている。真空は、周囲大気圧よりも低い圧力チャンバ107内の圧力である。例えば、環境走査型電子顕微鏡(ESEM)用途では、真空は、26ミリバール以下の圧力を含んでもよい。別の例として、低真空用途では、真空は、2ミリバール以下の圧力を含んでもよい。別の例として、真空は、10-3ミリバール以下の圧力を含んでもよい。別の例として、高真空用途において、真空は、6×10-6ミリバール以下の圧力を含んでもよい。別の例として、真空は、10-7ミリバール以下の圧力を含んでもよい。別の例として、真空は、10-8ミリバール以下などの圧力を含んでもよい。真空エンクロージャ106は、真空を生成するための少なくとも1つのポンプ103に流体結合されている。
【0013】
真空エンクロージャ106は、
図2に示されるレーザ装置210などのプローブを選択的に受容するための真空ポート105を含んでもよい。真空ポート105は、レーザ装置210を受け入れるために開放可能であり、レーザ装置210が取り外されたときに閉鎖可能であるように構成されている。他の実装では、レーザ装置210は、顕微鏡M(又は他の科学機器)と統合されてもよい(例えば、顕微鏡M(又は他の科学機器)から分離できない、又はその一部として形成されてもよい)。
【0014】
図2を参照すると、レーザ装置210は、レーザエミッタ222及び光学アセンブリ224を囲む装置ハウジング220を含む。レーザエミッタ222は、レーザビームBを放射するように構成されている。光学アセンブリ224は、レーザビームBを方向付けるように構成されている。レーザビームBは、任意の所望の波長を有し得る。例えば、レーザビームBは、200ナノメートルから50ミクロンの範囲のいずれかの波長を有してもよい。より具体的には、レーザビームBは、例えば、ラマン分光法用途のために、紫外線(例えば、350ナノメートル)から赤外線(例えば、1064ナノメートル)のいずれかの波長を有してもよい。
【0015】
光学アセンブリ224は、レーザビームBの経路を制御するように構成された1つ以上のミラー及び/又はレーザガルバノメータを含んでもよい。光学アセンブリ224はまた、試料102におけるレーザビームBの電力を制御するためのフィルタなどの1つ以上のフィルタを含んでもよい。
【0016】
レーザ装置210は、レーザビームBを選択的に遮断するように構成されたシャッタ228を含んでもよい。例えば、シャッタ228は、レーザビームBが通過することを可能にする開位置(
図2において実線として示される)と、レーザビームBを遮断する閉位置(
図2において破線として示される)との間で移動可能であってもよい。レーザビームBが遮断されると、レーザビームBはシャッタ228を通過することができず、したがってレーザ装置210から出ることができない。いくつかの実装では、シャッタ228は、顕微鏡M(又は他の科学機器)に移動可能に結合され、レーザビームBが顕微鏡M(又は他の科学機器)から出るのを阻止するように構成され得る。シャッタ228の移動は、手動又は電子的に制御可能であってもよい。例えば、シャッタ228は、ソレノイド230(
図4)上に搭載されてもよく、シャッタ228は、ソレノイド230が非通電されると、レーザビームBを遮断するように構成されている。他の実装では、シャッタ228は、ソレノイド230が通電されたときにレーザビームBを遮断するように構成されてもよい。シャッタ228の移動を制御するための他の適切な構造、例えばステップモータなどが可能である。シャッタ228は、レーザビームBの経路に沿った任意の場所に配置されてもよく、レーザ装置210及び/又は顕微鏡Mの一部であってもよい。いくつかの実装では、シャッタ228は、レーザ装置210又は顕微鏡Mの任意の部分、例えばそのハウジング又はエンクロージャの静止(不動)不透明部分として具現化されてもよく、ミラー及び/又はガルバノメータ(例えば、光学アセンブリ224の一部)は、レーザビームBをシャッタ228に向け直すように移動されてもよい。
【0017】
レーザ装置210は、レーザビームBを光学アセンブリ224から試料102に中継し、反射光(例えば、試料102から反射されたレーザビーム光)を受け取ってレーザ装置210に中継して戻すためのリレーレンズ232を含んでもよい。図示の実装では、レーザ装置210は、第1のリレーレンズ232aと第2のリレーレンズ232bとを含むが、任意の数のリレーレンズ232を使用してもよい。レーザ装置210は、リレーレンズ232の遠位端に結合された対物レンズ234を含んでもよい。対物レンズ234は、リレーレンズ232と位置合わせされ得る。
【0018】
レーザ装置210は、分光器238に光を伝送するための可撓性光導管として構成される分光器ファイバ236に結合可能であってもよい。他の実装では、他の光導管を使用してもよい。一例では、レーザ装置210は、試料102にレーザビームBを放射し、試料102からの反射光Rを受け取り、分光器ファイバ236(又は他の適切な手段)を使用して反射光Rを分光器238に向けるように構成されたラマンプローブであってもよい。レーザ光Bと反射光Rとは同軸であってもよい。レーザ装置210又は分光器238の一方又は両方は、反射光RをフィルタリングしてレーザビームBの波長を除去するように構成された1つ以上のフィルタ240を含み得る。レーザビームBの波長をフィルタリングした後の残りのスペクトル(フィルタリングされた反射光F)は、分光器検出器242によって受信され、分析(例えば、検査、比較、説明、及び/又は解釈)されて、試料102の材料組成を決定し得る。いくつかの実装では、分光器238は、1つ以上のフィルタ240と、フィルタリングされた反射光Fを受光するための分光器検出器242とを含む。したがって、分光器238は、分光器ファイバ236を介してレーザ装置210に接続可能かつ分離可能な別個のモジュールであってもよい。他の実施形態では、分光器238は、レーザ装置210の一部であってもよい。いずれの実装においても、分光器ファイバ236は、光学アセンブリ224の一部であると考えられ得る。他の実装では、レーザ装置210は、蛍光プローブなどの他のタイプのレーザ装置、又は真空チャンバ内の試料を分析するように動作可能な任意の他のレーザ装置として具現化され得る。別の例として、レーザ装置210は、顕微鏡M内の試料Sをミリング、機械加工、エッチング、アブレーション、燃焼、溶融、気化、切断など、又は他の方法で修正するように構成された波長のレーザビームBを使用するレーザミリング機械であってもよい。
【0019】
レーザ装置210は、装置ハウジング220に結合された支持ブラケット244と、支持ブラケット244に結合された真空フランジ246とを含む。真空フランジ246は、例えば、任意のタイプの好適な締結具(複数可)、クランプ、ラッチ、任意の他の好適な手段、又はそれらの任意の組合せ(図示せず)によって、真空エンクロージャ106に取り外し可能に結合されるように構成されている。例えば、真空フランジ246及びエンクロージャ106は、真空フランジ246をエンクロージャ106に対して締め付けるための1つ以上の対応する締結具(図示せず)を受容するように構成された1つ以上の開口(図示せず)を含んでもよい。別の例として、真空フランジ246及びエンクロージャ106は、それぞれのリムの周りにクランプ(図示せず)を受け入れるように構成されてもよい。例えば、ヒンジ式クランプ又は任意の他の適切なクランプを用いて、真空フランジ246をエンクロージャ106又はアダプタの対応するフランジに締め付けてもよい。いずれの実装においても、真空エンクロージャ106とレーザ装置210との間の真空を保持するために、Oリング、ガスケットなどの1つ以上のシール248が用いられてもよい。真空フランジ246は、レーザ装置210が真空エンクロージャ106に選択的に結合され(密封方式で)、そこから分離されることを可能にするように構成されている。真空フランジ246は、それを通る開口250を含むことができ、リレーレンズ232は、開口250を通して配置され得る。レーザ装置210は、真空エンクロージャ106内の真空を保持するために、鋼ベローズ又は任意の他の適切な材料などのベローズ252を含み得る。ベローズ252は、真空フランジ246と装置ハウジング220との間に配置することができ、リレーレンズ232の少なくとも一部を取り囲み得る。ベローズ252は、Oリングシール又は他の適切なシール(図示せず)など、真空を保持するように構成されたシールを用いて、一端で真空フランジ246に結合され得る。ベローズ252は、Oリングシール又は他の適切なシールなど、真空を保持するように構成されたシール256を用いて、反対側の端で装置ハウジング220又は真空シール窓254に結合され得る。真空シール窓254は、レーザビームBが通過することを可能にする光学窓として構成されてもよく、真空を保持するために、1つ以上のOリングシールなどのシール(図示せず)、又は任意の他の適切なタイプのシールを含んでもよい。いくつかの実装では、真空シール窓254は、シール256に対して保持されたリレーレンズ232の端によって形成される。
【0020】
真空インターロック(又は安全インターロック)258は、真空チャンバ107内の圧力が閾値圧力(又は閾値レベルの圧力)に達したことに応答してレーザビームBの状態を変更するように構成されている。レーザビームBの状態は、電力及び/又は位置に関するレーザビームBの状態及び/又は状況である。例えば、レーザビームBの状態を変更することは、レーザビームBがレーザ装置210から出ることを阻止すること、レーザビームBが真空チャンバ107から出ることを阻止すること、レーザビームBが顕微鏡M(又は他の科学機器)から出ることを阻止すること、又は逆に、レーザビームBがレーザ装置210から出る(例えば、真空チャンバ107に入射する)ことを可能にすることを含んでもよい。更により具体的には、レーザビームBを抑制することは、レーザエミッタ222をオフにすること、並びに/又はレーザビームBを遮断すること(例えば、シャッタ228を使用して、及び/若しくは、例えば、ミラー及び/若しくはガルバノメータ、若しくは任意の他の適切な手段を使用して、装置ハウジング内のレーザビームBの経路を制限すること)、並びに/又は、レーザビームBが全容量で正常に動作することを抑制することを含んでもよい。レーザビームBを許可することは、レーザエミッタ222をオンにすること、並びに/又は(例えば、シャッタ228、ミラー(複数可)、及び/若しくはガルバノメータ(複数可)、若しくは他の適切な手段を使用して)レーザビームBを遮断しないこと、並びに/又は任意の適切な手段を使用してレーザビームBが正常に動作する(例えば、試料Sを照射する)ことを可能にすること、又は別様に現状に戻ることを含んでもよい。
【0021】
「閾値(圧力)レベルに達する」は、閾値圧力に「等しい」、「以上である」、又は「より大きい」ことを含む。一例では、閾値圧力は、任意の所望の圧力に事前選択又は能動的に設定されてもよい。例えば、閾値圧力は、真空破壊を検出することができるように、真空チャンバ107内の通常動作圧力よりも高くてもよい。閾値圧力は、通常動作圧力と大気圧との間であってもよい。通常動作圧力は、荷電粒子ビームを使用して試料を分析され得る真空チャンバ107の圧力範囲であってもよい。例えば、ESEM用途では、閾値圧力は、26ミリバール超、例えば、50ミリバール以上、又は50~100ミリバールであってもよい。低真空用途では、閾値圧力は、2ミリバール超、例えば、10ミリバール以上、又は50ミリバール以上、又は50~100ミリバールであってもよい。高真空用途では、閾値圧力は、6×10-6ミリバール以上、例えば10-3ミリバール以上、10-2ミリバール以上などの任意の圧力であってもよい。いくつかの実装では、第2の閾値圧力は、レーザ装置210を動作可能にする(例えば、レーザビームBを許可する)ために、圧力降下(例えば、真空チャンバ107内の真空のポンピング)に対応してもよい。第2の閾値圧力に関して、「第2の閾値(圧力)レベルに達する」は、第2の閾値圧力に「等しい」、「以下」、又は「未満」であることを含む。
【0022】
真空インターロック258は、レーザ装置210が顕微鏡Mに取り付けられたとき、又は顕微鏡Mとともに使用されたときに、真空チャンバ107に関連付けられた圧力を感知するように構成されたセンサ260を含んでもよい。センサ260は、真空チャンバ107内の圧力を読み取るための任意の適切な位置に配置されてもよい。一例では、センサ260は、真空フランジ246に結合されてもよい。センサ260は、
図2に示されるように、真空フランジ246内の開口262を通して圧力を読み取るように構成され得る。センサ260は、エポキシ、例えば、真空グレードエポキシを使用して、開口262の中にシールされてもよい。他の実装では、センサ260は、真空フランジ246に隣接する圧力、又は真空チャンバ107と連通する任意の他の適切な位置の圧力を読み取るように構成され得る。例えば、センサ260は、真空チャンバ107内に配置されてもよい。センサ260が真空チャンバ107内に配置されるそのような実装では、センサ260は、レーザ装置210の一部又は顕微鏡Mの一部とすることができる。センサ260が顕微鏡Mの一部である場合、真空インターロック258は、センサ260から外部信号を受信するように構成され得る。別の例として、センサ260は、リレーレンズ232及び/又は対物レンズ234に結合されてもよい。
【0023】
センサ260は、真空センサ又は圧力センサであってもよい。機械センサ(例えば、ダイヤフラムスナップセンサ)、ダイヤルゲージ、絶対圧センサ、熱伝導率センサ、静電容量センサ、コンベクションセンサ、ピエゾセンサ、マクラウドゲージ、イオン化センサなど、又は任意の他のセンサ若しくはそれらの組合せなど、任意のタイプの適切なセンサ260を使用し得る。
【0024】
図3に示すように、真空インターロック258は、圧力が閾値圧力に達したことに応答してレーザビームBの状態を変更するように構成された制御システム270を含み得る。制御システム270は、アナログ、デジタル、又はそれらの組合せであってもよい。
【0025】
一実装では、
図3に示すように、制御システム270は、センサ260によって読み取られた圧力に応答して開閉するように構成されたリレー272(本明細書では同義でスイッチと呼ばれることもある)を含み得る。リレー272は、閉じているときにリレー回路274を介してレーザエミッタ222への電力供給を可能にし、開いているときにレーザエミッタ222をオフにするように構成され得る。リレー272は、圧力が閾値圧力に達することに応答して開くように構成されてもよい。リレー272は、圧力が閾値圧力未満に低下したことに応答して、又は圧力が閾値圧力とは異なる第2の閾値圧力未満に低下したことに応答して閉じるように構成されてもよい。(閾値圧力は、本明細書では第1の閾値圧力とも称され得る)。任意の適切なタイプのスイッチ又はリレーを使用してもよい。リレー272は、センサ260とは別個であってもよいし、統合されていてもよい。統合される場合、組み合わせられたリレー272及びセンサ260は、真空スイッチと称され得る。レーザエミッタ222をオン及びオフにする他の手段も可能である。
【0026】
別の実装では、
図4に示すように、制御システム270’は、リレー回路278内に配置され、シャッタ228(例えば、ソレノイド230又は他の機構)を通電及び非通電にして、レーザビームBの通過を選択的に遮断及び許可するように構成されたリレー276(本明細書では同義でスイッチと呼ばれることもある)を含んでもよい。レーザビームBは、閾値圧力に達する圧力に応答して、シャッタ228によって遮断され得る。レーザビームBは、閾値圧力を下回る圧力降下に応答して、又は閾値圧力とは異なる第2の閾値圧力を下回る圧力降下に応答して、シャッタ228によって許容されてもよい。任意の適切なタイプのスイッチ又はリレーを使用してもよい。リレー276は、センサ260とは別個であってもよいし、統合されていてもよい。統合される場合、組み合わせられたリレー276及びセンサ260は、真空スイッチと称され得る。シャッタ228を移動させる他の手段も可能である。
【0027】
他の実装では、
図5に示すように、制御システム270”は、上述のリレー回路274、278と同じ機能を実行する(すなわち、同じ結果を生成する)ように構成されたコントローラ280を使用し得る。コントローラ280は、レーザ装置210の一部であってもよいし、顕微鏡Mの一部であってもよい。レーザ装置210の一部である場合、コントローラ280は、レーザ装置210のための追加のコンピュータ可読命令を有するレーザ装置コントローラと統合されてもよく、又は真空インターロック258とは別個で専用であってもよい(すなわち、レーザ装置コントローラとは別個であってもよい)。顕微鏡Mの一部である場合、コントローラ280は、顕微鏡Mのための追加のコンピュータ可読命令を有する顕微鏡コントローラと統合されてもよく、又は真空インターロック258とは別個で専用であってもよい(すなわち、顕微鏡コントローラとは別個である)。
【0028】
一例として、コントローラ280は、真空チャンバ107に関連付けられた圧力に応答して、上述のようにレーザエミッタ222及び/又はシャッタ228(及び/又はレーザビームBの状態を変更するための他の適切な手段)を自動的に制御するように構成されてもよい。コントローラ280は、プログラマブルプロセッサ282(例えば、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラ、又は別の好適なプログラマブル装置)と、非一時的メモリなどのメモリ284とを含んでもよい。メモリ284は、例えば、プログラム記憶領域286及びデータ記憶領域288を含んでもよい。プログラム記憶領域286及びデータ記憶領域288は、読み出し専用メモリ(「ROM」)、ランダムアクセスメモリ(「RAM」)(例えば、ダイナミックRAM(「DRAM」)、シンクロナスDRAM(「SDRAM」)など)、電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(「EEPROM」)、フラッシュメモリ、ハードディスク、SDカード、又は他の適切な磁気、光学、物理、電子メモリ装置、又は他のデータ構造など、異なるタイプのメモリの組合せを含むことができる。制御システム270 ”は、上述した機能を実行するために、集積回路及び/又はアナログ装置、例えば、トランジスタ、比較器、演算増幅器などを更に又は代替的に含んでもよい。
【0029】
いくつかの実装では、コントローラ280は、
図5に示すように、様々な構成要素への、及び様々な構成要素からの1つ以上の入力290及び出力292を含むことができる。コントローラ280は、出力292に制御信号を提供し、入力290からデータ及び/又は信号(例えば、センサデータ、ユーザ入力信号など)を受信するように構成されてもよい。1つ以上の入力292は、センサ260、閾値圧力Tを含んでもよいが、これらに限定されず、他の構成要素又はユーザ設定値を含んでもよい。1つ以上の出力292は、レーザエミッタ222、シャッタ228、光学アセンブリ224などを含んでもよいが、それらに限定されず、他の構成要素を含んでもよい。したがって、コントローラ280は、レーザエミッタ222及び/又はシャッタ228及び/又は光学アセンブリ224などのこれらの構成要素のいずれかを自動的に制御して、上述のように圧力読取値に応答してレーザビームBの状態を変更するようにプログラムされ得る。コントローラ280は、センサ260とは別個であってもよいし、統合されていてもよい。統合される場合、組み合わせられたコントローラ280及びセンサ260は、真空スイッチと称され得る。
【0030】
別の実装では、制御システム270、270’、270 ”の特徴は、任意の組合せで組み合わされ得る(例えば、リレー回路274、278の一方又は両方の1つ以上の態様は、コントローラ280の1つ以上の態様と組み合わされ得る)。
【0031】
いずれの実装においても、閾値圧力は、予め選択されてもよく、又はユーザ入力によって動作中に選択可能であってもよい。本明細書に開示される制御システム実装は、任意の組み合わせで組み合わせられてもよい。
【0032】
いくつかの実装では、真空インターロック258に冗長性を追加してもよい。例えば、真空インターロック258は、上述の真空インターロック258のうちの2つを、それらの任意の組合せで含んでもよい。いくつかの実装では、冗長センサ260が採用されてもよい。
【0033】
図6は、真空インターロック(又は安全インターロック)258を提供する方法300を示す。本方法は、本開示から明らかな他の追加及び中間ステップの中でも、ステップ301~306を含んでもよい。ステップ301において、方法300は、科学機器(顕微鏡Mなど)とともにレーザ装置(レーザ装置210など)を使用することを含む。ステップ301は、レーザ装置210を科学機器に取り付けること、又は科学機器と統合されたレーザ装置210を使用することを含み得る。レーザ装置210は、科学機器の真空チャンバ107内に配置された試料Sを照射するためのレーザビームBを生成するように構成されたレーザエミッタ222を提供する。科学機器の真空チャンバ107に関連付けられた圧力を感知するように構成されたセンサ260もまた、レーザ装置210によって、又は科学機器によって提供される。レーザ装置210は、真空フランジ246を介して科学機器に取り外し可能に取り付けられ得る。ステップ302において、方法300は、試料Sを分析するための真空状態を作り出すために、科学機器の真空チャンバ107をポンプダウンすることを含む。例えば、ポンプ103は、ステップ302において使用されてもよい。ステップ303において、方法300は、試料Sを真空チャンバ107内に装填することを含む。例えば、試料ステージ108は、ステップ303で使用されてもよい。ステップ304において、方法300は、レーザビームBを真空チャンバ107に入射させることを含む。例えば、リレー回路274、278は、ステップ304において、デフォルトで回路を閉じてレーザビームBを許可する。いくつかの実装では、回路278を開くことは、(例えば、シャッタ228を開くようにソレノイド230を制御することによって)レーザビームBを許可し得る。他の例では、ステップ304において、コントローラ280は、デフォルトで、閾値圧力Tに達するか又はそれを超えない限り、レーザビームBが真空チャンバ107に入射することを可能にする。ステップ305において、方法300は、試料Sを分析しながら真空チャンバ107内の圧力を監視することを含む。監視は、制御システム270、270’、270 ”によって、又は任意の他の好適な手段によって行われてもよく、それを使用して自動的に監視することを含んでもよい。ステップ306において、方法300は、例えばセンサ260によって読み取られるように、真空チャンバ107内の圧力が閾値レベルTに達する/超えることに応答して、レーザビームBの状態を変更することを含む。レーザビームBの状態を変更することは、圧力が閾値レベルTに達したときにレーザビームBを抑制することを含んでもよい。レーザビームBを抑制することは、レーザエミッタ222への電力を遮断すること、及び/又はシャッタ228若しくは任意の適切な機械的構成を有する他の不透明なレーザ遮断材料でレーザビームBを遮断することを含んでもよい。シャッタ228でレーザビームを遮断することはまた、ミラー(複数可)又はガルバノメータ(複数可)を使用してレーザビームBをシャッタ228(任意の不透明材料を含む)に向け直すことを含み得る。そのような実装では、シャッタ228は、そのハウジング又はエンクロージャなど、レーザ装置210又は顕微鏡Mの任意の部分の不透明部分として具現化され得る。
【0034】
方法100における後続又は中間の更なる方法ステップは、以下の動作の説明から明らかであり得る。動作において、レーザ装置210が顕微鏡Mに取り付けられるとき、リレーレンズ232及び対物レンズ234は、真空ポート105を通過し、対物レンズ234が試料ステージ108の近くに配置された状態で真空チャンバ107内に配置され得る。取り付けられると、真空は、
図2に示されるように、真空チャンバ107から真空ポート105を通って対物レンズ234及びリレーレンズ232の周りに延びる。真空は、真空密封窓254で密封される。この領域内のどこかの圧力は、真空チャンバ107内の圧力に関連付けられる。真空インターロック258は、この領域内のどこかの圧力の読み取りに基づいて動作可能であってもよい。真空が適切な圧力(第1又は第2の閾値圧力以下)に保持されている限り、真空インターロック258は、例えば、レーザビームBがレーザ装置210から出ることができるように、レーザ装置210が正常に動作することを可能にする。圧力が閾値圧力T以上に上昇する場合(例えば、真空が破壊される場合)、真空インターロック258は、レーザビームBの状態を変更する(例えば、レーザエミッタをオフにする、レーザビームを遮断するなど)。真空は、顕微鏡M上のポートが開かれた場合に破壊され得る。また、真空インターロック258は、レーザ装置210が真空エンクロージャ106から取り外されたときに、レーザビームBがレーザ装置210から出るのを阻止し得る。
【0035】
いくつかの実装では、真空インターロック258は、真空チャンバ107内の圧力に基づいてのみ動作する。したがって、真空エンクロージャ106上の様々なポート(真空ポート105及び図示されていない他のポートなど)の個々の状態(開放又は閉鎖)を監視するためにセンサを使用する必要がない。いずれかのポートが開いて真空チャンバ107内の真空が破壊された場合、又は真空が他の何らかの理由で失われた場合、単一の圧力センサ260が真空の損失を検出する。「単一の」圧力センサ260は、冗長性(例えば、一次センサ故障の場合に同じ機能を実行するように構成された1つ以上のバックアップ圧力センサ260)を含み得ることを理解されたい。
【0036】
したがって、本開示は、とりわけ、真空インターロック258を有するレーザ装置210を提供する。本開示の様々な特徴及び利点は、以下の特許請求の範囲に記載されている。
【外国語明細書】