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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024086741
(43)【公開日】2024-06-28
(54)【発明の名称】研磨パッドの厚み測定装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/10 20060101AFI20240621BHJP
   B24B 37/24 20120101ALI20240621BHJP
   B24B 49/18 20060101ALI20240621BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B24B49/10
B24B37/24 Z
B24B49/18
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024050643
(22)【出願日】2024-03-27
(62)【分割の表示】P 2020044144の分割
【原出願日】2020-03-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】深田 辰五郎
(57)【要約】
【課題】研磨パッドの摩耗を厚みで計り、研磨パッドの摩耗を直接的な方法で確認できるようにする研磨パッドの厚み測定装置を提供する。
【解決手段】ウエハW等の被研磨物の研磨に用いる研磨パッド13の厚みを測定する厚み測定装置10であって、研磨パッド32が取り付けられて、回転及び上下方向に水平移動可能な研磨パッド保持プレート31と、研磨パッド保持プレート31に研磨パッド32を介して略直角に押し付けられ、研磨パッド保持プレート31までの距離に応じた電気信号を出力する研磨パッド厚み測定用センサ14と、研磨パッド厚み測定用センサ14からの電気信号に基ついて、研磨パッド32の厚みを測定する測定手段36を有する制御部15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研磨物の研磨に用いる研磨パッドの厚みを測定する研磨パッドの厚み測定装置であって、
前記研磨パッドが取り付けられて、上下方向に移動可能な研磨パッド保持プレートと、
前記上下方向に移動可能な研磨パッド厚み測定用センサと、
を備え、
前記研磨パッド厚み測定用センサは、前記研磨パッド保持プレートに前記研磨パッドを介して押し込まれて所定位置まで移動した状態で、前記研磨パッド保持プレートまでの距離に応じた前記電気信号を出力する、ことを特徴とする研磨パッドの厚み測定装置。
【請求項2】
前記研磨パッドは、非導体材料で形成され、
前記研磨パッド保持プレートは、導体材料で形成され、
前記研磨パッド厚み測定用センサは、渦電流式変位センサである、
ことを特徴とする請求項1に記載の研磨パッドの厚み測定装置。
【請求項3】
前記研磨パッド厚み測定用センサからの電気信号に基づいて、前記研磨パッドの厚みを測定する測定手段と、
測定された前記研磨パッドの厚みから、前記研磨パッドの寿命判定を行う判定手段と、を有する制御部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の研磨パッドの厚み測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は研磨パッドの厚み測定装置に関するものであり、特に、研磨パッドの寿命を判定するなどに使用するための研磨パッドの厚み測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、研磨パッドと被研磨物との間に荷重を加えつつ、研磨パッドと被研磨物を研磨する研磨装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような研磨装置として、例えば、半導体デバイスウエハ等の表面を平坦化するのに使用される、化学的機械的研磨(Chemical Mecanical Polish:以下「CMP」という)を行う研磨装置を、挙げることができる。CMPは、物理的研磨に、化学的な作用(研磨剤、溶液による溶かし出し)を併用して、ウエハの表面凹凸を除去していく工程で、スラリーと呼ばれる研磨剤を用い、適当な研磨パッドで、ウエハの表面を加圧し、相対運動させることにより研磨を進行させ、ウエハ面内での一様な研磨を行うようにする。
【0004】
このような研磨装置では、研磨パッドの研磨面は、研磨時間に応じて目詰まりが進行して劣化する。そのため、定期的にドレッシングを行って良好な加工が継続されるようにメンテナンスされる。
【0005】
このドレッシングでは、研磨パッドの研磨面とドレッシングのドレッシング面とを当接させて、研磨パッドとドレッシングとを相対移動させることにより行われる。ドレッシングとしては、例えば、円環状又は円状のドレッシング面の全体に渡ってダイヤモンド粒子等の砥粒が分布された工具が用いられる。前記相対移動は、例えば、研磨パッド及びドレッシングを両方とも回転させることにより行われる。
【0006】
研磨パッドの厚さは、ウエハ等の被研磨物の研磨に伴う消耗や、ドレッシングに伴う消耗により、薄くなる。そして、やがて所望の研磨特性を得ることができなくなり、寿命が尽きる。このため、研磨パッドを新しい研磨パッドに交換する必要がある。そこで、従来は、研磨パッドによる研磨の累積時間、ドレッシングの累積時間、研磨した被研磨物の数、ドレッシングの回数等によって、研磨パッドの寿命を判定し、その寿命が尽きた(使用限界)と判定したときに、研磨パッドを新しいものに交換していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-134383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、研磨パッドの寿命は、研磨パッド個々の特性(初期厚み、弾性係数、硬度など)の違いにより、各研磨パッドの摩耗進行状況が異なる。研磨パッド個々の特性を無視し、研磨パッドによる研磨の累積時間や、ドレッシングの累積時間や、研磨した被研磨物の数や、ドレッシングの回数等によって、研磨パッドの寿命を判定する方法では、運用上、過摩耗状態の研磨パッドで研磨するという自体が発生する虞がある。そのため、ウエハの損傷を防止するために、より直接的な方法で正確な研磨パッドの摩耗を確認する方法が求められている。
【0009】
そこで、研磨パッドの摩耗を厚みで計り、研磨パッドの摩耗を直接的な方法で確認できるようにする研磨パッドの厚み測定装置を提供するために、解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、被研磨物の研磨に用いる研磨パッドの厚みを測定する研磨パッドの厚み測定装置であって、前記研磨パッドが取り付けられて、上下方向に水平移動可能な研磨パッド保持プレートと、前記上下方向に移動可能な研磨パッド厚み測定用センサと、を備え、前記研磨パッド厚み測定用センサは、前記研磨パッド保持プレートに前記研磨パッドを介して押し込まれて所定位置まで移動した状態で、前記研磨パッド保持プレートまでの距離に応じた前記電気信号を出力する、研磨パッドの厚み測定装置を提供する。
【0011】
この構成によれば、研磨パッド保持プレートに取り付けられた研磨パッドを挟むようにして、研磨パッド厚み測定用センサを研磨パッド保持プレートに略垂直に押し付け、研磨パッド厚み測定用センサから研磨パッド保持プレートまでの距離を、研磨パッドの厚みとして測定する。このように、研磨パッド厚み測定用センサと研磨パッド保持プレートまでの距離を研磨パッドの厚みとして測定した場合、測定時点での研磨パッドの厚みを直接的に、又、正確に知ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記研磨パッドは、非導体材料で形成され、前記研磨パッド保持プレートは、導体材料で形成され、前記研磨パッド厚み測定用センサは、渦電流式変位センサである、研磨パッドの厚み測定装置を提供する。
【0013】
この構成によれば、渦電流式変位センサを使用して、研磨パッドが取り付けられている研磨パッド保持プレートまでの距離を、研磨パッドの上から測定する。渦電流式変位センサは導体である研磨パッド保持プレートに発生する誘導電流に影響された磁界の変化を基に距離を測定しているが、導体でない研磨パッドはセンサ磁界に変化を及ぼさない。したがって、渦電流式変位センサが、研磨パッドの上から研磨パッド保持プレートまでの距離を測定した場合、研磨パッド保持プレートまでの距離を研磨パッドの厚みとして正確に得ることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記研磨パッド厚み測定用センサからの電気信号に基づいて、前記研磨パッドの厚みを測定する測定手段と、測定された前記研磨パッドの厚みから、前記研磨パッドの寿命判定を行う判定手段と、を有する制御部をさらに備える、研磨パッドの厚み測定装置を提供する。
【0015】
この構成によれば、研磨パッドの厚みから、研磨パッドの寿命を判定した場合、測定時点での寿命を直接的に、又、正確に知ることができる。
【発明の効果】
【0016】
発明によれば、研磨パッド保持プレートに取り付けられた研磨パッドを挟むようにして、研磨パッド保持プレートを研磨パッド厚み測定用センサに押し付け、研磨パッドの厚みを測定するようにしているので、研磨パッド厚み測定用センサから研磨パッド保持プレートまでの距離が、研磨パッドの厚みとして得ることができる。したがって、測定時点での研磨パッドの厚みを直接的に、又、正確に知ることができる。また、研磨パッドが使用限界にあるか否か等を直接的に判断して、必要な処理を迅速に行うことが可能になる。これにより、ウエハの損傷等を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る実施例として示す研磨パッドの厚み測定装置を搭載した研磨装置の概略構成側面図である。
図2】同上研磨パッドの厚み測定装置の概略構成側面図である。
図3】同上研磨パッドの厚み測定装置の動作説明図である。
図4】同上研磨パッドの厚み測定装置の動作を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、研磨パッドの摩耗を厚みで計り、研磨パッドの摩耗を直接的な方法で確認できるようにする研磨パッドの厚み測定装置を提供するという目的を達成するために、被研磨物の研磨に用いる研磨パッドの厚みを測定する研磨パッドの厚み測定装置であって、前記研磨パッドが取り付けられて一体に回転するとともに、上下方向に水平移動可能な研磨パッド保持プレートと、前記研磨パッド保持プレートに前記研磨パッドを介して略直角に押し付けられ、前記研磨パッド保持プレートまでの距離に応じた電気信号を出力する研磨パッド厚み測定用センサと、前記研磨パッド厚み測定用センサからの前記電気信号に基づいて、前記研磨パッドの厚みを測定する測定手段を有する制御部と、を備えることにより実現した。
【実施例0019】
以下、本発明の実施形態に係る一実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施例において、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0020】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
【0021】
また、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明の研磨パッドの厚み測定装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0022】
図1は本発明に係る研磨パッドの厚み測定装置10を搭載した研磨装置11の構成を概略的に示す側面図であり、図2はその研磨パッドの厚み測定装置10を概略的に示す側面図である。
【0023】
図1において、研磨装置11は、半導体製造における半導体基板表面の平面加工を行う場合のCMP装置である。研磨装置11は、被研磨物の一例であるウエハWを保持し得る回転チャックテーブル12と、研磨パッド32を支持して回転チャックテーブル12の上方に配置された研磨ヘッド13と、回転チャックテーブル12に並置して配設されている研磨パッド厚み測定用センサ14と、研磨装置11の全体の動作を予め決められた手順で制御する制御部15等で構成されている。
【0024】
回転チャックテーブル12は、上面にウエハWを負圧で吸引保持するチャック面12aを有している。また、回転チャックテーブル12は、テーブル軸12bを介してその下方に配置されているテーブルモータ16に連結されており、テーブルモータ16の駆動力でテーブル軸12bを中心に回転可能になっている。回転チャックテーブル12の上方には、図示しない研磨液供給ノズルが設置されており、この研磨液供給ノズルによってウエハWの研磨加工面上に研磨液(例えばスラリー)が供給されるようになっている。
【0025】
研磨ヘッド13は、研磨ヘッド軸17の下端に着脱可能に取り付けられている。研磨ヘッド軸17は、アクチュエータ18によりヘッドアーム19に対して略水平な状態で、研磨ヘッド13と一体に上下動するようになっている。この研磨ヘッド軸17の上下動により、ヘッドアーム19に対して研磨ヘッド13の全体を略水平な状態で昇降させて、所定の位置に位置決めできるようになっている。研磨ヘッド13は、研磨ヘッド軸17及びアクチュエータ18を介してヘッドアーム19に支持されている。研磨ヘッド軸17は、ヘッドアーム19を貫通して延びている。
【0026】
アクチュエータ18は、研磨ヘッド13及び研磨ヘッド軸17をヘッドアーム19に対して相対的に移動させることが可能である。アクチュエータ18によって移動される研磨ヘッド13の方向は、チャック面12aに垂直(上下方向)である。
【0027】
研磨ヘッド軸17及び研磨ヘッド13を上下方向に移動させるアクチュエータ18は、支持台20に固定されている。支持台20は、ヘッドアーム19の上面に固定されている。アクチュエータ18は、研磨ヘッド軸17を回転可能に支持する軸受21と、この軸受21を保持するブリッジ22と、このブリッジ22に連結されたボールねじ機構23と、支持台20上に固定されたサーボモータ24とを備えている。
【0028】
ボールねじ機構23は、サーボモータ24に連結されたねじ軸23aと、ねじ軸23aが螺合するナット23bとを備えている。ナット23bは、ブリッジ22に保持されている。
【0029】
研磨ヘッド軸17は、軸受21及びブリッジ22と一体となって上下動可能である。すなわち、サーボモータ24を駆動すると、ボールねじ機構23を介してブリッジ22が上下動し、これにより研磨ヘッド軸17及び研磨ヘッド13が略水平な状態で上下動するようになっている。研磨ヘッド13は、研磨ヘッド軸17、アクチュエータ18、及び支持台20を介してヘッドアーム19に連結されている。
【0030】
研磨ヘッド軸17は、その軸方向に移動可能にボールスプライン軸受25に支持されている。ボールスプライン軸受25の外周部にはプーリ26が固定されている。
【0031】
ヘッドアーム19には、研磨ヘッド回転モータ27が固定されており、プーリ26は、研磨ヘッド回転モータ27に取り付けられたプーリ28にベルト29を介して接続されている。したがって、研磨ヘッド回転モータ27を回転駆動すると、プーリ28、ベルト29、及びプーリ26を介してボールスプライン軸受25及び研磨ヘッド軸17が一体に回転し、研磨ヘッド13が研磨ヘッド軸17を中心に回転する。なお、プーリ26,28、ベルト29、及びボールスプライン軸受25は、ヘッドアーム19内に配置されている。
【0032】
ヘッドアーム19は、フレーム(図示せず)に支持された旋回軸30によって支持されている。
【0033】
研磨ヘッド13は、その下面に円板状をした研磨パッド保持プレート31を介して、研磨パッド保持プレート31の外径と略同じ大きさをした円板状の研磨パッド32を着脱可能に保持できるようになっている。なお、研磨パッド保持プレート31は導体材料(例えば、ステンレス等)で形成され、研磨パッド32は非導体材料(例えば、ポリエステル繊維等)で形成されている。
【0034】
ヘッドアーム19は、旋回軸30を中心として旋回可能に構成されている。下面に研磨パッド32を保持した研磨ヘッド13は、ヘッドアーム19の旋回により、回転チャックテーブル12のチャック面12aの上方位置と研磨パッド厚み測定用センサ14の上方位置に切り換え移動可能になっている。
【0035】
研磨パッド厚み測定用センサ14は、センサ保持台33から上方に向かって突出された状態にして、センサ保持台33上に固定して取り付けられている。センサ保持台33は、ロッド34aを介してセンサ昇降シリンダ34に連結されており、センサ昇降シリンダ34の駆動で上下方向に往復移動可能になっている。なお、本実施例では、研磨パッド厚み測定用センサ14として渦電流式変位センサを用いている。研磨パッド厚み測定用センサ14に渦電流式センサを用いた場合では、研磨パッド厚み測定用センサ14が、研磨パッド32を挟んで研磨パッド保持プレート31に当接されると、研磨パッド保持プレート31との間に発生する渦電流の大きさから、制御部15内の測定手段36が研磨パッド保持プレート31までの距離を測定し、この距離を研磨パッド32の厚みとして認識するようになっている。
【0036】
制御部15は、研磨パッド厚み測定用センサ14からの電気信号を演算して研磨パッド32の厚みを測定する測定手段36と、測定手段36で測定された研磨パッド32の厚みが適正な厚みを有しているか否か、すなわち使用を続けても研磨加工に支障がないか否かの判定を行う判定手段37と、を有する以外に、研磨装置11及び厚み測定装置10の全体の動作制御を実行するものである。制御部15は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、マイクロコンピュータに組み込まれているプログラムに従って、必要な演算処理を行いつつ、所定の手順で、研磨装置11及び厚み測定装置10を制御する。したがって、制御部15には、研磨パッド厚み測定用センサ14、テーブルモータ16、アクチュエータ18、サーボモータ24、研磨ヘッド回転モータ27、センサ昇降シリンダ34、上方位置検出センサ35a、下方位置検出センサ35b等が接続されている。
【0037】
ウエハWの研磨は次のようにして行われる。研磨ヘッド13を所定の基準高さまで上昇させて、回転チャックテーブル12から離した状態において、回転チャックテーブル12のチャック面12a上に載置されたウエハWを、真空吸着してチャック面12a上にチャックする。次に、回転チャックテーブル12及び研磨ヘッド13をそれぞれ相対回転させ、図示しない研磨液供給ノズルからウエハW面上に研磨液(スラリー)を供給する。この状態で、研磨ヘッド13を所定の基準高さにまで下降させ、研磨パッド32をウエハWの被加工面上に押圧する。これにより、ウエハWは、研磨液の存在下で研磨パッド32の研磨面がウエハWの表面に摺接され、ウエハWの表面が研磨される。
【0038】
このような研磨装置11では、研磨パッド32の研磨面は、研磨時間に応じて目詰まりが進行して劣化する。そのため、定期的にドレッシングを行って良好な加工が継続されるようにメンテナンスされる。また、研磨パッド32の厚さは、ウエハWの研磨に伴う消耗や、ドレッシングに伴う消耗により、薄くなる。そして、やがて所望の研磨特性を得ることができなくなり、寿命が尽きる。このため、研磨パッドを新しい研磨パッドに交換する必要がある。そこで、厚み測定装置10では、研磨パッド32の厚みを検出し、その厚みから研磨パッド32の寿命を判定し、その寿命が尽きた(使用限界)と判定したときに、研磨パッド32を新しいものに交換することを促す。なお、研磨パッド32の厚みは、一般に6mm程度で、2mm程度まで摩耗すると交換が必要になる。
【0039】
厚み測定装置10では、研磨パッド32の厚みの測定は次のようにして行われる。図3は厚み測定装置10の動作説明図であり、厚み測定装置10は、図3の(a)、(b)、(c)、(d)の順で動作される。また、図4は、厚み測定装置10のタイミングチャートである。そこで、研磨パッド32の厚みの測定を図3の動作図(a)~(d)に従い、また図4のタイミングチャート(ステップSa~ステップSd)と共に説明する。
【0040】
研磨パッド32の厚み測定を行う場合、まず、制御部15の指示によりヘッドアーム19を旋回させ、研磨ヘッド13を、回転チャックテーブル12のチャック面12aの上方の位置から研磨パッド厚み測定用センサ14の上方の位置に移動させる。図3の(a)は、研磨ヘッド13が研磨パッド厚み測定用センサ14の上方の位置に移動した状態を示している。この状態は、図4のステップSaの状態に対応し、研磨パッド厚み測定用センサ14と研磨パッド32との間は離れている。そして、上方位置検出センサ35aの信号はOFF、下方位置検出センサ35bの信号はONを出力している。
【0041】
次いで、制御部15の指示により、図4のステップSaからステップSbへの移行が開始される。ステップSbへの移行では、センサ昇降シリンダ34が駆動されて、センサ昇降シリンダ34の駆動で研磨パッド厚み測定用センサ14が研磨ヘッド13に向かって上昇される。また、研磨パッド厚み測定用センサ14が所定量だけ上昇すると、下方位置検出センサ35bの信号がONからOFFに切り替わる。研磨パッド厚み測定用センサ14の上昇が更に進み、研磨パッド厚み測定用センサ14がステップSbに到達する直前になると、下方位置検出センサ35bの信号がOFFからONに切り替わる。そして、制御部15の指示でセンサ昇降シリンダ34の駆動が停止され、研磨パッド厚み測定用センサ14がその上昇位置で停止される。図3の(b)は、研磨パッド厚み測定用センサ14が上方の位置に移動された状態を示している。この状態は図4のステップSbの状態に対応し、研磨パッド厚み測定用センサ14と研磨パッド32との間は未だ離れている。
【0042】
次いで、制御部15の指示により、図4のステップSbからステップScへの移行が開始される。ステップSbへの移行では、サーボモータ24が駆動されて、サーボモータ24の駆動力で研磨ヘッド13が下降を開始する。そして、下降の途中で研磨パッド32の下面と研磨パッド厚み測定用センサ14の上面が互いに当接する。図3の(c)は、研磨パッド保持プレート31が、研磨パッド32を挟んで研磨パッド厚み測定用センサ14の上面に緩く当接した状態を示している。また、研磨ヘッド13が更に下降して、研磨ヘッド13の研磨パッド保持プレート31が研磨パッド32を挟んで研磨パッド厚み測定用センサ14の上面に強く押し付けられる。なお、図4の信号Tは、ステップSbからステップScへの移行終了の間際に、研磨パッド厚み測定用センサ14からの信号により測定手段36で測定される研磨パッド32の厚み量の信号である。
【0043】
続いて、制御部15の指示により、図4のステップScからステップSdへの移行が開始される。ステップScからステップSdへの移行は、ステップSbからステップScへの移行に連続して行われる。すなわち、研磨パッド32の下面が、研磨パッド厚み測定用センサ14の上面に当接しても、サーボモータ24は停止されずに駆動される。そして、研磨ヘッド13の研磨パッド保持プレート31が、研磨パッド32を挟んで研磨パッド厚み測定用センサ14の上面に強く押し付けられ、更にセンサ昇降シリンダ34の押し上げ力に抗して研磨パッド厚み測定用センサ14を押し下げる。これにより、研磨パッド32を、研磨パッド保持プレート31と研磨パッド厚み測定用センサ14との間に挟んだ状態にして、研磨ヘッド13が研磨パッド厚み測定用センサの上面に強く押し付けられる。
【0044】
図3の(d)は、研磨パッド保持プレート31の下面が、研磨パッド32を挟んで研磨パッド厚み測定用センサ14の上面に強く押し付けられて、研磨ヘッド13が研磨パッド厚み測定用センサ14を押し下げた状態を示している。なお、ステップScからステップSdへの移行が終了する間際に、上方位置検出センサ35aの信号はONからOFFに切り替わり、研磨パッド厚み測定用センサ14を、研磨ヘッド13が所定の位置まで押し下げた状態にあることを制御部15に出力する。そして、制御部15では、研磨ヘッド13を研磨パッド厚み測定用センサ14に強く押し付けているときの、研磨パッド厚み測定用センサ14からの電気信号を測定手段36が取得し、その信号を研磨パッド32の厚み量に変換して、その電気信号に基づいて研磨パッド32の厚みを知ることができる。これにより、測定手段36が研磨パッド32の厚みを検出する。また、ここで測定された研磨パッド32の厚みから、判定手段37が研磨パッド32の寿命を判定する。そして、交換寿命が来ている場合には、制御部15は研磨パッド32の交換を促す。また、測定後は、制御部15の指示により、サーボモータ24、センサ昇降シリンダ34が制御されて、研磨ヘッド13が上昇するとともに、研磨パッド厚み測定用センサ14が下降し、図3の(a)の位置まで戻る。その後、制御部15の指示によりヘッドアーム19を旋回させ、研磨ヘッド13を、回転チャックテーブル12のチャック面12aの上方の位置に移動させ、再び研磨加工を開始する。
【0045】
本実施例の構成による、研磨装置11における研磨パッドの厚み測定装置10では、研磨ヘッド13の研磨パッド32の厚みを測定する場合、研磨パッド32を挟むようにして、研磨パッド保持プレート31を研磨パッド厚み測定用センサ14に押し付けて研磨パッド32の厚みを測定するようにしている。このようにして、研磨パッド32を挟んで研磨パッド厚み測定用センサ14と研磨パッド保持プレート31までの距離を測定した場合、研磨パッド厚み測定用センサ14と研磨パッド保持プレート31との間の距離が研磨パッド32の厚みとして、測定値を得ることができる。これにより、測定時点での研磨パッド32の厚みを直接的に、又、正確に知ることができる。
【0046】
また、研磨パッド32を非導体材料で形成しているとともに研磨パッド保持プレート31を導体材料で形成し、又、研磨パッド厚み測定用センサ14として渦電流式変位センサを使用しているので、非導体材料の研磨パッド32上では渦電流が発生せず、導体である研磨パッド保持プレート31の上にだけ渦電流が発生する。したがって、研磨パッド32の上から研磨パッド保持プレート31までの距離を測定すると、研磨パッド32からの影響を受けることなく、研磨パッド保持プレート31までの距離を研磨パッド32の厚みとして、正確に得ることができる。
【0047】
また、制御部15は、測定された研磨パッド32の厚みから研磨パッド32の寿命判定を行う判定手段37を備えているので、測定時点での寿命を直接的に、又、正確に知ることができる。
【0048】
なお、研磨パッド厚み測定用センサ14として渦電流式センサを使用した場合を説明したが、渦電流式センサに、リニアスケール、レーザ式センサ、超音波センサ、近接センサなどを研磨パッド厚み測定用センサ14として用いることができる。
【0049】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0050】
10 :厚み測定装置
11 :研磨装置
12 :回転チャックテーブル
12a :チャック面
12b :テーブル軸
13 :研磨ヘッド
14 :研磨パッド厚み測定用センサ
15 :制御部
16 :テーブルモータ
17 :研磨ヘッド軸
18 :アクチュエータ
19 :ヘッドアーム
20 :支持台
21 :軸受
22 :ブリッジ
23 :ボールねじ機構
23a :ねじ軸
23b :ナット
24 :サーボモータ
25 :ボールスプライン軸受
26 :プーリ
27 :研磨ヘッド回転モータ
28 :プーリ
29 :ベルト
30 :旋回軸
31 :研磨パッド保持プレート
32 :研磨パッド
33 :センサ保持台
34 :センサ昇降シリンダ
34a :ロッド
35a :上方位置検出センサ
35b :下方位置検出センサ
36 :測定手段
37 :判定手段
Sa :ステップ
Sb :ステップ
Sc :ステップ
Sd :ステップ
T :信号
W :ウエハ
図1
図2
図3
図4