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  • 特開-タンパク質の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087139
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】タンパク質の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/63 20060101AFI20240624BHJP
   C12P 21/02 20060101ALI20240624BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240624BHJP
   C12N 5/04 20060101ALI20240624BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20240624BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20240624BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20240624BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20240624BHJP
【FI】
C12N15/63 Z
C12P21/02 C ZNA
C12N5/10
C12N5/04
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N15/11 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022201765
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100162503
【弁理士】
【氏名又は名称】今野 智介
(74)【代理人】
【識別番号】100144794
【弁理士】
【氏名又は名称】大木 信人
(72)【発明者】
【氏名】竹本 浩
(72)【発明者】
【氏名】須藤 拓真
(72)【発明者】
【氏名】浅見 真希子
(72)【発明者】
【氏名】佐々野 晴花
(72)【発明者】
【氏名】出来島 康方
【テーマコード(参考)】
4B064
4B065
【Fターム(参考)】
4B064AG01
4B064CA11
4B064CA19
4B064DA11
4B065AA88X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA53
(57)【要約】
【課題】
内在性タンパク質分解酵素による組換えタンパク質の分解を抑制し、効率的に組換えタンパク質を製造する方法を提供すること。
【解決手段】
N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質とKDEL受容体を宿主細胞内で共発現させることを特徴とする、組換えタンパク質の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質と、KDEL受容体とを宿主細胞内で共発現させることを特徴とする、組換えタンパク質の製造方法。
【請求項2】
前記小胞体保留シグナルは、KDEL配列またはHDEL配列である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記KDEL受容体が、配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は前記配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
宿主細胞が植物細胞である、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質をコードする遺伝子と、KDEL受容体をコードする遺伝子とを含む、発現ベクター、又は、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパクをコードする遺伝子を含む発現ベクターと、KDEL受容体をコードする遺伝子を含む発現ベクターからなる、発現ベクターセット。
【請求項6】
前記KDEL受容体が、配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列を、又は前記配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、請求項5に記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の発現ベクター又は発現ベクターセットを含む、形質転換体。
【請求項8】
形質転換体が、植物体もしくはその一部又は植物細胞である、請求項7に記載の形質転換体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分解を抑制して組換えタンパク質を製造する方法に関する。より詳細には、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質とKDEL受容体を宿主細胞内で共発現させることを特徴とする、タンパク質の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物で組換えタンパク質発現を行う際、植物の内在性タンパク質分解酵素により組換えタンパク質が分解されることがある。組換えタンパク質が分解を受けると、その製造において分解物の除去工程が必要となり、手間とコストがかかる。
【0003】
これに対し、植物体における組換えタンパク質の製造において、目的タンパク質をプロテアーゼインヒビタータンパク質と共発現させることでタンパク質の分解を抑制する方法がある(特許文献1)。しかしながら、プロテアーゼインヒビターの効果は全てのプロテアーゼに対して期待できるわけではないため、分解の抑制は限定的である。
【0004】
CHO細胞の小胞体にヒトKDEL受容体タンパク質を過剰発現させ、タンパク質の正確なフォールディングとアセンブリに重要なシャペロンの小胞体への保留を強化することで、当該タンパク質の生産性を向上させる方法も報告されている(非特許文献1)。この方法は、抗体タンパク質などの分泌タンパク質の生産性向上を目的としたものであり、小胞体に保留した組換えタンパク質や、その分解抑制を目的としたものではない。
【0005】
遺伝子組換えタバコを作製して単鎖抗体を発現させる際の発現場所を細胞質、アポプラスト(細胞膜と細胞壁の間のスペース)、小胞体(ER)の3か所で検討し、ER発現が最も発現量が高いこと(アポプラスト発現の100倍)が報告されている(非特許文献2)。この報告では、ER発現では、ERからアポプラストへ分泌されるまでの間で起こる可能性のあるタンパク質分解が回避されて発現量が大幅に改善できているのではないかと考察している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】WO2019/063992
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Samy et al., Biotechnology Journal, 2020 Jun;15(6):e1900352, “Improvement of Intracellular Traffic System by Overexpression of KDEL Receptor 1 in Antibody-Producing CHO Cells"
【非特許文献2】Schouten et al., Plant Molecular Biology 1996 30:781-793, “The C-terminal KDEL sequence increases the expression level of a single-chain antibody designed to be targeted to both the cytosol and the secretory pathway in transgenic tobacco"
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の主な課題は、内在性タンパク質分解酵素による組換えタンパク質の分解を抑制し、効率的に組換えタンパク質を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述のように、KDEL配列などの小胞体保留シグナルを付与して組換えタンパク質を小胞体内に保留するだけでは、十分に内在性タンパク質分解酵素による組換えタンパク質の分解が避けられない場合がある。発明者らは、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質を、KDEL受容体タンパク質と共発現させることで、組換えタンパク質の小胞体への保留が強化され、小胞体から漏れ出して分解されるタンパク質が低減し、効率的な組換えタンパク質の製造が可能になることを見出した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づくものであり、以下の[1]~[12]に関する。
[1]N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質と、KDEL受容体とを宿主細胞内で共発現させることを特徴とする、組換えタンパク質の製造方法。
[2]前記小胞体保留シグナルは、KDEL配列またはHDEL配列である、[1]に記載の方法。
[3]前記KDEL受容体が、配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は前記配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、[1]又は[2]に記載の方法。
[4]宿主細胞が植物細胞である、[1]~[3]のいずれかに記載の方法。
[5]N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質をコードする遺伝子と、KDEL受容体をコードする遺伝子とを含む、発現ベクター、又は、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパクをコードする遺伝子を含む発現ベクターと、KDEL受容体をコードする遺伝子を含む発現ベクターからなる、発現ベクターセット。
[6]前記KDEL受容体が、配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列を、又は前記配列と80%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、[5]に記載の発現ベクター又は発現ベクターセット。
[7][5]又は[6]に記載の発現ベクター又は発現ベクターセットを含む、形質転換体。
[8]形質転換体が、植物体もしくはその一部又は植物細胞である、[7]に記載の形質転換体。
[9]N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質を、KDEL受容体と宿主細胞内で共発現させることを特徴とする、前記組換えタンパク質の宿主細胞内での分解を抑制する方法。
[10]前記小胞体保留シグナルは、KDEL配列またはHDEL配列である、[9]に記載の方法。
[11]前記KDEL受容体が、配列番号5~7のいずれかに示されるアミノ酸配列、又は前記配列と80%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、[9]又は[10]に記載の方法。
[12]宿主細胞が植物細胞である、[9]~[11]のいずれかに記載の方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、内在性のタンパク質分解酵素による組換えタンパク質の分解が抑制され、その結果、収量が増えるとともに、製造工程における分解物の除去作業が容易になり、効率的なタンパク質の生産方法が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1Aはヒト由来OSMとヒト由来又はベンサミアナタバコ由来KDEL受容体との共発現の結果を示す。#1: ヒト由来OSM alone、#2: ヒト由来OSM + ニコチアナタバコ KDEL受容体 ERD2b、#3: ヒト由来OSM + ニコチアナタバコ KDEL受容体 ERD2a、#4: ヒト由来OSM + ヒト KDEL受容体1 図1Bはヒト由来OSMとベンサミアナタバコ由来KDEL受容体の共発現の結果を示す。#1: ヒト由来VEGF165 alone、#2: VEGF + ニコチアナタバコ KDEL受容体 ERD2b
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.タンパク質の製造方法
本発明は、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質と、KDEL受容体とを宿主細胞内で共発現させることを特徴とする、組換えタンパク質の製造方法に関する。
【0014】
本発明にかかる「組換えタンパク質」を構成する目的タンパク質は、特に限定されず、宿主細胞で発現させたいタンパク質を使用できる。目的タンパク質はN末端側に小胞体移行シグナル配列を有する組換えタンパク質として宿主細胞に導入され、小胞体に移行される。また、目的タンパク質はC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質として、KDEL受容体と共発現させることにより、小胞体に保留されやすくなる。
【0015】
本明細書にかかる「小胞体保留シグナル配列」は、翻訳後のタンパク質が小胞体内に保留されるためのシグナル配列であれば特に限定されない。小胞体保留シグナル配列は、好ましくは「KDEL又はHDEL配列」である。KDEL又はHDEL配列は、後述するKDEL受容体によって認識され、タンパク質を小胞体内に留める機能を果たす。
【0016】
本明細書にかかる「KDEL受容体」とは、小胞体保留シグナル配列を認識する受容体分子である。本発明のKDEL受容体は小胞体保留シグナル配列を認識し、当該配列を有するタンパク質を小胞体内に保留させることが可能であれば特に限定されない。このことは、後述する実施例で使用したヒトKDEL受容体1と、ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2a、及びベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2bが、それぞれ由来も構造(50%程度の配列同一性)も異なるにも関わらず、本発明の効果(目的タンパク質の小胞体内保留と分解抑制)を奏することから明らかである。KDEL受容体としては、例えば以下のUniprot IDで特定される分子が知られているが、これらに限定されない。
【0017】
Uniprot ID: O43731、P24390、P33946、P33947、P84080、Q15363、Q19267、Q28735、Q569A6、Q5ZKX9、Q62848、Q63524、Q63584、Q8TD06、Q99JH8、Q9R0Q3、P49020、Q5U305、Q9CQM2、A0A0D9R2X3、A0A0D9S2T7、A0A1S3G3C5、A0A1U7R033、A0A1U7TF52、A0A287A228、A0A2I2Y536、A0A2I3LDM5、A0A2K5CR46、A0A2K5SEG2、A0A2K6NSZ2、A0A2K6UJP0、A0A2Y9F1W6、A0A2Z5WAD6、A0A337SGD8、A0A452FJP3、A0A452SXK2、A0A4U1FUD3、A0A4W2IEU6、A0A4X1W1X6、A0A4X2KXN2、A0A8C8WXV0、A0A8D0GTG3、E1BJK5、F1LPB5、F1SKP9、F2Z4Z3、F6RQH9、F6RT52、F6ZF67、G3QZ17、G3SM80、H0UTX0、H0WSL7、H2QLN5、H9GDN1、H9GJC6、H9GN40、I0FNT1、I3MLI2、K7EFN6、K7FRU9、M3XA02、M3XYD3、O42580、O76767、Q2KJ37、Q5XHA2、Q66JF2、Q68ES4、Q6P257、Q6PAB8、Q6PEH1、Q6PFS5、Q76NM1、Q7ZXS5、Q8R1L4、A0A086JII0、A0A086JU20、A0A086KRN2、A0A086LS76、A0A086PSF3、A0A086QP09、A0A091E1X4、A0A096MVF9、A0A0D9RYN6、A0A0P6IZG2、A0A125YHM7、A0A125YHM9、A0A139XLU8、A0A151H9F3、A0A1A7WI74、A0A1A7WYA5、A0A1A8DY33、A0A1A8G4J8、A0A1A8GAB7、A0A1A8IUI9、A0A1A8K517、A0A1A8Q4A1、A0A1A8R301、A0A1A8R4F7、A0A1S3FV96、A0A1U7QJ28、A0A218V043、A0A218V7A4、A0A250YC94、A0A286XC13、A0A2A9MAL8、A0A2G8XRS7、A0A2I0MJS7、A0A2I2YKA4、A0A2I3HD52、A0A2I3LTW8、A0A2I3M3E4、A0A2I3MLK9、A0A2I3RMU2、A0A2I3SN42、A0A2K5CAR1、A0A2K5CX30、A0A2K5I1V5、A0A2K5KKC0、A0A2K5ML46、A0A2K5N7Y6、A0A2K5PG89、A0A2K5SIV8、A0A2K5SIV9、A0A2K5UAL5、A0A2K5WKI0、A0A2K5YG50、A0A2K5YWD3、A0A2K5ZI41、A0A2K5ZI52、A0A2K6BLY9、A0A2K6BN51、A0A2K6EA26、A0A2K6EZX8、A0A2K6FQJ2、A0A2K6GDA7、A0A2K6JNF6、A0A2K6KQS9、A0A2K6LQ87、A0A2K6NT04、A0A2K6P0T4、A0A2K6P0T9、A0A2K6PA63、A0A2K6SJQ9、A0A2K6TCH4、A0A2R9AB20、A0A2T6INE0、A0A2Y9PL72、A0A2Y9Q190、A0A3B3S1F7、A0A3L8SDR9、A0A3P8Q3B5、A0A3P9BAZ8、A0A3Q2W5E6、A0A3Q2Z846、A0A3Q7R941、A0A3R8AK85、A0A452EL82、A0A452EWU1、A0A452I4I0、A0A452IN43、A0A452QKY7、A0A452QU19、A0A452R6B4、A0A452SE53、A0A452TSS9、A0A452UGT0、A0A4U1F048、A0A4W2C1D6、A0A4W2CQV3、A0A4W5P8S0、A0A4X1TVG2、A0A4X1TVH8、A0A4X2JWV7、A0A5A9NBB7、A0A5F4W9W6、A0A5F7Z979、A0A5G2R5F8、A0A662YQA0、A0A663DGW6、A0A672Q300、A0A672Q320、A0A6D2WFZ8、A0A6D2WJ19、A0A6P4TYC8、A0A6P4VWY6、A0A7J6KI26、A0A7J7XBR8、A0A7J8I785、A0A7J8I8C2、A0A7N5JAY7、A0A7N5K286、A0A7N9C728、A0A7N9DDL0、A0A834DER0、A0A8C0NNL1、A0A8C0QH30、A0A8C1IPQ5、A0A8C2B0V0、A0A8C2B2G6、A0A8C2GY23、A0A8C2QJ11、A0A8C4L937、A0A8C5UXX7、A0A8C5XEB6、A0A8C5YEJ5、A0A8C6EJ57、A0A8C8EGU2、A0A8C8WLH7、A0A8C8YK86、A0A8C9D742、A0A8C9J5V9、A0A8C9J801、A0A8C9JIF6、A0A8D0GI29、A0A8D0H3G8、A0A8D0PH38、A0A8D0YFP2、A0A8D2FB37、A0A8D2FZU8、A0A8D2JSD3、B9PY84、C1BV61、F6S5I7、F7BPN6、F7DP06、G1LVN8、G1M914、G1N821、G1NII3、G1PEG0、G1PM47、G1S0G6、G1SMX7、G3RU38、G3SVB6、G3T4E9、G5AYT1、H0W8S5、H0WIT6、H0XV11、H0ZF12、H0ZJG5、H2P4D5、H2PLF9、I3M0S3、I3M8L1、I7GLV4、K7F8J6、K7FXM3、M3YNU8、M3YYS0、Q6PH70、Q9GLI7、S7UHH8、U3I5B5、U3J4A1、U3KDM2、V9L9T1、W0NS04、W0NWG0、W5NVW1、W5PQ26、W5Q1F0、A0A061RBH4、A0A086JU29、A0A086LS71、A0A1A7WXP0、A0A1A7XNN0、A0A1A7YE96、A0A1A8A8D8、A0A1A8AZJ3、A0A1A8CRC9、A0A1A8EVS7、A0A1A8HQR2、A0A1A8LED0、A0A1A8N9G1、A0A1A8NUT9、A0A1A8QQT4、A0A1A8S797、A0A1D3CRW1、A0A1E7FS83、A0A1N6MCA7、A0A2C6KN91、A0A2C6LDN0、A0A2T6INF2、A0A425HRS7、A0A444U2K8、A0A5J4Y8P8、A0A699ZPR3、A0A6A3I8L4、A0A8I3NW53、A0A8I5T989、A0A8T1SAQ8、A0A8T1SFF2、E0S7T0、G9K6Z4、K5WMT8、Q2F603、Q307F5、Q5CSF0、Q5YER5
【0018】
ヒトKDEL受容体1、ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2a、及びベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2bのKDEL受容体はそれぞれ配列番号5~7に示されるアミノ酸配列を有する。本発明のKDEL受容体には、表1に示されるような、前記配列番号5~7に示されるいずれかのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列を有するKDEL受容体タンパク質(KDEL受容体として機能し得るタンパク質)も包含される。
【0019】
目的タンパク質は、翻訳後に効率的に小胞体に移行するように、宿主細胞に適した「小胞体移行シグナル配列」(小胞体移行シグナルペプチド、又は小胞体局在化シグナル配列とも言う)をそのN末端に有する。
【0020】
本発明で使用される「宿主細胞」は特に限定されず、酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞、植物細胞など、組換えタンパク質の製造において当該分野で通常使用される細胞を使用することができる。
【0021】
酵母細胞としては、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、ピヒア・パストリス(Pichia pastoris)等を使用することができる。
【0022】
昆虫細胞としては、Sf9細胞、Sf21細胞、ExpiSf9細胞、High five(BTI-TN-5B1-4)細胞、Tni細胞、S2細胞等を使用することができる。
【0023】
動物細胞としては、サル細胞COS-7、Vero、CHO-S細胞、CHO-K1細胞、HeLa細胞、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等が用いられる。
【0024】
植物細胞としては、例えばナス科植物(タバコ、トマト、ジャガイモ等)、イネ科植物(イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等)、アブラナ科植物(シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ等)、キク科植物(レタス等)、コケ植物(ゼニゴケ、ヒメツリガネゴケ等)の細胞が挙げられ、なかでもタバコ属植物の細胞が好ましい。
【0025】
タバコ属植物としては、例えば、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)、タバコ(N. tabacum)、ニコチアナ・エクセルシオ(N. excelsior)などが挙げられるが、これらに限定されない。培養細胞株としては、例えば、タバコBY-2細胞等が挙げられる。
【0026】
N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質とKDEL受容体は、それぞれ、前記N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質をコードする遺伝子(以下、「組換えタンパク質遺伝子」と記載する)と、前記KDEL受容体をコードする遺伝子(以下、「KDEL受容体遺伝子」と記載する)とを、適当なベクターを用いるなどして、上記した宿主細胞内に導入して「共発現」させる。ベクター(発現ベクター)については、次項で詳述する。
【0027】
組換えタンパク質遺伝子とKDEL受容体遺伝子は、同じベクターに組み込んで宿主細胞に導入し、共発現させてもよいし、それぞれ別個のベクターに組み込んで宿主細胞に導入して共発現させてもよい。同じベクターに組み込んで共発現させる場合、組換えタンパク質遺伝子とKDEL受容体遺伝子はモノシストロニックに発現させても、IRESや2Aなどのウイルス由来でポリシストロニック翻訳やプロセッシングを可能にする因子を用いてバイシストロニックに発現させてもよい。発現量を制御しやすいという点では、タンパク質遺伝子とKDEL受容体遺伝子はそれぞれ別個のベクターに組み込んで「共発現」させることが好ましい。
【0028】
宿主細胞内への遺伝子(遺伝子を含むベクター)の導入は、宿主細胞に応じて、当該分野で周知の方法により実施することができる。
【0029】
例えば、酵母細胞の場合には、エレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が使用できる。昆虫細胞の場合には、リン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等が使用できる。動物細胞の場合には、エレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が使用できる。植物細胞の場合には、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法、エレクトロポレーション法等が使用できる。
【0030】
本発明の方法によれば、宿主細胞内で翻訳された組換えタンパク質はC末端にKDEL又はHDELなどの小胞体保留シグナル配列を有するため、共発現・翻訳されたKDEL受容体と相互作用し、効率よく小胞体内に保留される。これにより、内在性タンパク質分解酵素による当該タンパク質の分解が低減し、収量が増えるとともに、製造工程における分解物の除去作業が容易になり、効率的な組換えタンパク質の生産が可能になる。
【0031】
2.発現ベクター
本発明は、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質をコードする遺伝子(組換えタンパク質遺伝子)と、KDEL受容体をコードする遺伝子(KDEL受容体遺伝子)とを含む、発現ベクター、又は、前記組換えタンパク質遺伝子を含む発現ベクターと、KDEL受容体をコードする遺伝子を含む発現ベクターからなる、発現ベクターセットも提供する。
【0032】
「ベクター」としては、例えば、プラスミドベクター及びウイルスベクターなどを用いることができる。ベクターは、一過性発現用のベクターでも恒常的発現用のベクターでもいずれでもよい。当業者であれば、ベクターを導入する宿主の種類及び目的に応じて、使用するベクターを適宜選択することができる。プラスミドベクターとしては、例えば、pRIベクター(pRI101、pRI909、pRI910、pRI201等)が用いられ得る。また、ウイルスベクターとしては、例えば、TMVベクター、PVXベクター、CPMVベクター、CMVベクター、PPVベクター、AIMVベクター、及びZYMVベクター等が用いられ得る。
【0033】
発現ベクターには、本発明の組換えタンパク質遺伝子とKDEL受容体遺伝子のほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、リボソーム結合配列(SD配列)、選択マーカー遺伝子、レポーター遺伝子などを連結することができる。なお、選択マーカー遺伝子としては、例えばジヒドロ葉酸還元酵素遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、ネオマイシン耐性遺伝子等が挙げられる。レポーター遺伝子としては、緑色蛍光タンパク質(GFP)又はその変異体(EGFP、BFP、YFP等の蛍光タンパク質)、ルシフェラーゼ、アルカリフォスファターゼ、LacZ等の遺伝子が挙げられる。
【0034】
組換えタンパク質遺伝子は、「1.」に記載した「N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質」をコードするものであれば特に限定されないが、使用する宿主細胞に合わせてコドンを最適化してもよい。
【0035】
組換えタンパク質遺伝子は、翻訳されたタンパク質を効率よく小胞体に局在させるため、宿主細胞に合わせて当該タンパク質の「小胞体シグナルペプチド」を、他のシグナルペプチドに置換してもよい。例えば、植物細胞を宿主とする場合には、イネαアミラーゼ由来シグナルペプチド、タバコエクステンシン由来シグナルペプチド、タバコPR1タンパク質由来シグナルぺプチド、シロイヌナズナキチナーゼ由来シグナルペプチドなどに置換することが好ましい。
【0036】
KDEL受容体遺伝子は、「1.」に記載したKDEL受容体をコードするポリヌクレオチドであれば特に限定されないが、使用する宿主細胞に合わせてコドンを最適化することが好ましい。
【0037】
KDEL受容体遺伝子としては、例えば、配列番号5~7に示されるいずれかのアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチド、配列番号5~7に示されるいずれかのアミノ酸配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有するアミノ酸配列をコードする塩基配列を有するポリヌクレオチドを挙げることができる。
【0038】
KDEL受容体遺伝子としては、配列番号8~10のいずれかに示される塩基配列を有するポリヌクレオチドや、配列番号8~10のいずれかに示される塩基配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の配列同一性を有する塩基配列を有し、KDEL受容体タンパク質(KDEL受容体として機能し得るタンパク質)をコードするポリヌクレオチドも挙げることができる。
【0039】
KDEL受容体遺伝子としては、配列番号8~10のいずれかに示される塩基配列を有するポリヌクレオチドとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、KDEL受容体タンパク質(KDEL受容体として機能し得るタンパク質)をコードするポリヌクレオチドも含まれる。例えば、配列番号8~10のいずれかに示される塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつ、KDEL受容体タンパク質(KDEL受容体として機能し得るタンパク質)をコードするポリヌクレオチドも挙げることができる。
【0040】
前記「ストリンジェントな条件」は、ハイブリダイゼーション後の洗浄時の条件であって塩濃度が300~2000mM、温度が40~75℃、好ましくは塩濃度が600~900mM、温度が65℃の条件を意味する。例えば、2×SSCで50℃等の条件を挙げることができる。当業者であれば、このようなバッファーの塩濃度、温度等の条件に加えて、その他のプローブ濃度、プローブの長さ、反応時間等の諸条件を加味し、適宜設定することができる。
【0041】
組換えタンパク質遺伝子とKDEL受容体遺伝子は、モノシストロニックに発現させても、IRESや2Aなどを用いてバイシストロニックに発現させてもよい。
【0042】
3.形質転換体
本発明は、本発明の発現ベクターを含む形質転換体も提供する。形質転換体は特に限定されず、前記した酵母細胞、昆虫細胞、動物細胞、植物細胞などを挙げることができる。本発明において、好ましい形質転換体としては、「植物体もしくはその一部又は植物細胞」を挙げることができる。
【0043】
「植物体もしくはその一部又は植物細胞」は、組換えタンパク質遺伝子やKDEL受容体遺伝子を発現し、翻訳できるものであれば特に限定されず、例えばナス科植物(タバコ、トマト、ジャガイモ等)、イネ科植物(イネ、コムギ、オオムギ、トウモロコシ等)、アブラナ科植物(シロイヌナズナ、セイヨウアブラナ等)、キク科植物(レタス等)、コケ植物(ゼニゴケ、ヒメツリガネゴケ等)の植物体もしくはその一部又は細胞を挙げることができる。
【0044】
なかでも、タバコ属植物の植物体もしくはその一部、又は細胞が好ましい。タバコ属植物としては、例えば、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)、タバコ(N. tabacum)、ニコチアナ・エクセルシオ(N. excelsior)などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0045】
なお、「植物体の一部」としては、カルス、植物組織、植物組織培養物、種子、果実、葉、茎、幹、根、及び花などを挙げることができる。
【0046】
「植物体もしくはその一部又は植物細胞」(以下、「植物等」と言う)の形質転換は、上記「2.」に記載したベクターを植物細胞内に導入することにより行うことができる。導入された遺伝子(ベクター)は、宿主又は宿主細胞のゲノム内に組み入れられてもよく、また組み入れられていなくてもよい。導入された遺伝子(ベクター)は、例えば、エピソームやプラスミドにおいて維持されてもよい。
【0047】
植物等へのベクターの導入は、公知の方法を用いて行うことができる。例えば、ウイルスベクターを用いた方法、アグロインフィルトレーション法、リン酸カルシウム法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE-デキストラン法、電気穿孔法、カチオン性脂質法等が挙げられるが、植物ウイルスベクターを用いた方法、アグロインフィルトレーション法が好ましい。
【0048】
以下に、アグロインフィルトレーション法について、簡単に説明する。
まず、目的遺伝子を含むベクターをアグロバクテリウムに電気穿孔法等により導入し、アグロバクテリウムを形質転換する。アグロバクテリウムとしては、限定されるものではないが、例えば、GV3101株、LBA4404株、EHA101株、EHA105株、AGL1株等が挙げられる。
【0049】
次に、形質転換したアグロバクテリウムを、植物等に感染させる。アグロバクテリウムを植物等に感染させる方法としては、例えば、真空浸潤(Vacuum Infiltration)法、シリンジインフィルトレーション法、リーフディスク法、葉面散布法などが挙げられる。真空浸潤法を用いる場合の手順としては、例えば、栽培した植物を逆さにしてビーカー中のアグロバクテリウムの菌液に全ての葉が完全に液中に浸かるように浸漬させる。その後、当該ビーカーを真空デシケーターに入れ、数分間(例えば1分間)静置し、減圧する。その後、バルブを一気に開放して復圧を行う。復圧終了後、植物を正立に戻し、人工気象器にセットする。感染後、人工気象器を用いて例えばDFT方式にて1~14日間(例えば6日)栽培する。環境条件は、上記と同様であり、当業者であれば植物の生育状況等に応じてこれらの条件を適宜調整することができる。
【0050】
上記の手順により、形質転換された植物等を作製することができる。なお、アグロバクテリウムを植物に感染させる際には、組換えタンパク質遺伝子と含むベクターとKDEL受容体遺伝子を含むベクターをそれぞれ含む複数のアグロバクテリウムを同時に感染させてもよい。
【0051】
得られた植物等を栽培あるいは培養すれば、組換えタンパク質遺伝子とKEDL受容体遺伝子が共発現される。栽培や培養は公知の方法にしたがって実施できる。
【0052】
例えば、肥料を入れた育苗トレイに種子を播種し、播種後の植物を人工気象器にて光サイクルを調節して数日間生育させる。肥料として液体肥料を用いる場合は、水耕栽培用ウレタンマットに液体肥料を染み込ませて育苗トレイに収めることができる。
次に、育苗した植物体を栽培(前期)用パネルに移植し、移植後のパネルを人工気象器にセットし、例えば、湛液方式(deep flow technique、DFT方式)にて数日間栽培する。
その後、栽培(前期)用パネルから植物体を取り出し、栽培(後期)用パネルに定植する。移植後の栽培(後期)用パネルを人工気象器にセットし、DFT方式にて数日間栽培し、植物体を得る。
【0053】
肥料としては液体肥料を用いることができるが、これらに限定されない。液体肥料を用いる場合は、水耕栽培用ウレタンマットに液体肥料を染み込ませて育苗トレイに収めることができる。
【0054】
液体肥料は市販のものを適宜組合せて使用することができ、限定されるものではない。液体肥料は、脱塩素水に溶解することができる。また、液体肥料は、電気伝導度及びpHを調整して用いることができ、当業者であれば公知の方法を用いてこれらを調整することができる。
【0055】
環境条件としては、例えば、温度が10~40℃(例えば28℃)、相対湿度が60~80%、CO2濃度が300~5000 ppm(例えば400 ppm、500 ppm)、栽培日数が栽培前期で0日~35日間(例えば9日間)、栽培後期で0日~35日間(例えば7日間)に設定することができるが、これらに限定されず、当業者であれば植物の生育状況等に応じてこれらの条件を適宜調整することができる。
【0056】
水耕栽培の方式としては、主に湛液方式(deep flow technique: DFT方式)と薄膜方式(Nutrient Film Technique: NFT方式)を用いることができる。
【0057】
植物等からの組換えタンパク質の単離も、従来公知の手法によって行うことができる。
例えば、形質転換した植物体の葉を採取し、抽出用緩衝液を用いてAFPを抽出する。採取する植物体の葉の量は植物体の種類によって異なる。また、抽出を行うまでの間は-80℃で凍結保存することができる。抽出用緩衝液としては、リン酸緩衝液、トリス緩衝液、酢酸緩衝液などが挙げられるが、これらに限定されない。pHは上記緩衝液が適切に作用する範囲を含め、通例pH2~11の間で調製される。
【0058】
次に、抽出液中に含まれる組換えタンパク質の精製を行う。本発明の方法では、不純物であるタンパク質の分解物が低減されているため、精製が容易である。精製は、通常の方法、例えば水性二相分配、硫安分画、アフィニティクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー等を単独又は適宜組み合わせることによって行うことができる。例えば、組換えタンパク質のKDEL配列の上流にHis-tag (His x 6 tag)を付与した場合、pH7~9のリン酸緩衝液中で植物体の葉をポリトロンホモジナイザーで破砕し、得られたタンパク質抽出液をNi-NTA アフィニティーカラムで処理することで容易に精製が可能である。
【0059】
得られた精製物質が目的の組換えタンパク質であることの確認は、通常の方法、例えばSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、N末端アミノ酸配列分析、ウエスタンブロッティング、酵素免疫測定法(ELISA)、質量分析等により行うことができる。
【0060】
4.組換えタンパク質の宿主細胞内での分解を抑制する方法
本発明の方法にしたがい、N末端側に小胞体移行シグナル配列を有し、且つC末端側に小胞体保留シグナル配列を有する組換えタンパク質を、KDEL受容体と宿主細胞内で共発現させることにより、前記組換えタンパク質の宿主細胞内での分解を抑制することができる。そのような分解抑制方法もまた本発明の範囲内である。
【実施例0061】
以下、実施例により本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0062】
実施例1:発現ベクターの構築
1.ポリヌクレオチドの作製
ヒト由来Oncostation M (ヒト由来OSM)ならびにヒト由来Vascular Endothelial Growth Factor 165(ヒト由来VEGF165)のアミノ酸配列をUniProtデータベース(https://www.uniprot.org/)より取得した。ヒト由来OSMのN末端から25アミノ酸残基、ヒト由来VEGF165のN末端から26アミノ酸残基にそれぞれ位置するシグナルペプチドを除き、そのN末端にイネαアミラーゼ由来シグナルペプチドを付加した。さらにC末端には小胞体保留シグナル(KDEL)を付加した(配列番号1, 2)。前記各タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列をユーロフィンジェノミクス社が提供するサービスでタバコ(Nicotiana tabacum)のコドン出現頻度に合わせて設計した。更にNetGene2(https://services.healthtech.dtu.dk/service.php?NetGene2-2.42)でイントロン予測を行い、スプライシング部位にサイレント変異を導入することで推定イントロンを除去した。ポリヌクレオチドはユーロフィンジェノミクス社(https://eurofinsgenomics.jp/jp/home/)で人工合成した(配列番号3,4)。
【0063】
共発現するヒト及びベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)由来KDEL受容体のアミノ酸配列をUniProtデータベース(https://www.uniprot.org/)より取得した (配列番号5-7)。SnapGeneソフトウエア(Dotmatics社)により、ポリヌクレオチド配列への逆翻訳とベンサミアナタバコのコドン出現頻度に合わせた配列最適化を行った。NetGene2(https://services.healthtech.dtu.dk/service.php?NetGene2-2.42)でイントロン予測を行い、スプライシング部位にサイレント変異を導入することで推定イントロンを除去した。ポリヌクレオチドはユーロフィンジェノミクス社(https://eurofinsgenomics.jp/jp/home/)で人工合成した(配列番号8-10)。
【0064】
2.発現ベクターの作製
上記1.で作製したポリヌクレオチドを、各々pRI201-ANベクター(タカラバイオ社)のNde I-Sal Iサイトにクローニングした。これにより、下記の組合せで、ヒト由来OSM又はヒト由来VEGF165の発現ベクターと、共発現するヒト又はベンサミアナタバコ由来KDEL受容体タンパク質とをコードするポリヌクレオチドを含む発現ベクターとの発現ベクターセットが得られた。
・ヒト由来OSM発現ベクター+ヒトKDEL受容体1発現ベクター
・ヒト由来OSM発現ベクター+ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2a発現ベクター
・ヒト由来OSM発現ベクター+ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2b発現ベクター
・ヒト由来VEGF165発現ベクター+ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2b発現ベクター
【0065】
実施例2:形質転換体の作製
1.宿主植物の栽培
本実施例では、宿主植物としてタバコ属植物であるベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)を用いた。
【0066】
(1)播種
播種用液体肥料(大塚ハウスS1号(大塚アグリテクノ株式会社)0.78 g/L、大塚ハウス2号(大塚アグリテクノ株式会社)0.25 g/L、pH 5.0)を 水耕栽培用ウレタンマット(江松化成 W587.5 mm×D282 mm×H28 mm:12×2マス 穴径φ9 mm)にしみこませ、育苗トレイ(W600 mm×D300 mm×H300 mm)に収め、ベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)種子を播種した。
【0067】
(2)育苗
播種後の植物を人工気象器 (NC-410HC) (日本医化器械製作所)にて室温28℃、相対湿度75%、16時間昼/8時間夜の光サイクルにて12日間生育させた。
【0068】
(3)栽培(前期)
育苗に用いたウレタンマットを1マスずつ分離し、栽培(前期)用パネル(W600 mm×D300 mm 30穴)に移植した。移植後の栽培(前期)用パネルを人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) にセットし、湛液方式(deep flow technique, DFT方式)にて9日間栽培した。環境条件及び液体肥料条件は以下のとおりに制御した。
【0069】
<環境条件>
温度:28℃
相対湿度:70%
CO2濃度:制御無し
照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):140 μmol/m2・秒、24 h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
【0070】
<液体肥料条件>
液体肥料は、肥料A液(大塚ハウスS1号150 g/L、大塚ハウス5号(大塚アグリテクノ株式会社)2.5 g/L)、肥料B液(大塚ハウス2号100 g/L)をそれぞれ脱塩素水に溶解し、等量に混合して使用した。pH調整にはpH調整剤ダウン(大塚アグリテクノ株式会社)及び4% KOH水溶液を用いた。液体肥料の電気伝導度(electrical conductivity, EC)及びpHは「らくらく肥料管理機3」(株式会社セムコーポレーション)を用いてEC: 2.3 mS/cm、pH 6.0になるように調整した。
【0071】
(4)栽培(後期)
栽培(前期)用パネルより植物体を取り出し、栽培(後期)用パネル(W600 mm×D300 mm 6穴)に定植した。移植後の栽培(後期)用パネルを人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) にセットし、DFT方式にて7日間(播種後28日間)栽培した。環境条件は以下のとおり制御した。
【0072】
<環境条件>
温度:28℃
相対湿度:50%
CO2濃度:制御なし
照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):140 μmol/m2・秒、24 h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
【0073】
2.形質転換体の作製
(1)Vacuum Infiltration(真空浸潤法)による感染
実施例1で構築したベクターを、それぞれエレクトロポレーション法によりアグロバクテリウムAGL1株に導入し、Tomato bushy stunt virus P19発現ベクター(pRIANP19)を保有するAGL1株とともにアグロインフィルトレーション法でベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)に感染させた。
【0074】
具体的には、上記「1.」で得られた播種後28日目のベンサミアナタバコを逆さにしてビーカー中のアグロバクテリウム菌液に全ての葉が完全に液中に浸るように沈めた。
その後、該ビーカーを真空デシケーター (FV-3P) (東京硝子器械株式会社) に入れ-0.09 MPaに1分間静置し、減圧した。その後、バルブを一気に開放して復圧をおこなった。
復圧終了後、植物を正立に戻し、人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) に植えた。
【0075】
(2)感染葉の栽培(発現工程)
感染後の栽培は人工気象器 (LH-410SP) (日本医化器械製作所) を用いて行った。DFT方式にて6日間栽培した。環境条件は以下のとおり制御した。
【0076】
<環境条件>
温度:20℃
相対湿度:60~80%
CO2濃度:制御無し
照明:平均光合成光量子束密度(PPFD):140 μmol/m2・秒、24 h連続照射、三波長蛍光灯「ルピカライン」(三菱電機株式会社)
【0077】
実施例3:タンパク質の抽出
実施例2において形質転換したベンサミアナタバコ(Nicotiana benthamiana)葉を-80℃で凍結した後、抽出緩衝液を葉重量の2倍量添加し、ポリトロンホモジナイザーPT2500E(KINEMATICA社)で破砕した。抽出用緩衝液には、100 mMリン酸カリウム、500 mM アルギニン塩酸塩の水溶液に、ピロ亜硫酸ナトリウムを0.4 mg/mLとなるように添加し、pHを8.0に調製した緩衝液を用いた。破砕物を15,000 x g、4℃で10分間遠心し、上清を抽出液として回収した。
【0078】
実施例4:ウエスタンブロット法による発現タンパク質の評価
実施例3において抽出したタンパク質についてウエスタンブロット法を行った。ウエスタンブロットにおいて、ヒト由来OSM及びヒト由来VEGF165の各所定の位置より低分子の位置に出現したタンパク質を分解タンパク質とした。
【0079】
具体的には、4-20% TGX ゲル(Bio-Rad社)でSDS-PAGEした抽出タンパク質をトランスブロット Turbo 転写システム(Bio-Rad社)を用いてPVDF膜に転写し、抗ヒト由来OSMもしくは抗ヒト由来VEGF165ヤギ由来ポリクロナール抗体(R&D Systems社)ならびに抗ヤギ抗体HRP標識ウサギ抗体(R&D Systems社)と反応させた。発光試薬としてClarity Western ECL Substrate(Bio-Rad社)を用い、ImageQuant LAS 500(Cytiva社)でシグナルを検出し、ImageQuant TL version 8.1(Cytiva社)プログラムで画像解析を行った。
【0080】
評価結果を図1A及び1Bに示す。図1Aはヒト由来OSMとヒト由来ならびにベンサミアナタバコ由来KDEL受容体の共発現の結果を示し、図1Bはヒト由来OSMとベンサミアナタバコ由来KDEL受容体の共発現の結果を示す。図1A及び1Bに示されるとおり、ヒト由来OSM、ヒト由来VEGF165の各単独発現では、低分子の位置に抗体と特異的に反応する分解タンパク質が検出されるが、KDEL受容体を共発現させることで、分解タンパク質の大部分が消失することが示された。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、有用タンパク質の組換え生産、特に植物や植物細胞を用いたタンパク質の組換え生産に有用である。
【0082】
本明細書中で引用した全ての刊行物、特許及び特許出願をそのまま参考として本明細書中にとり入れるものとする。
【0083】
配列番号1: ヒト由来OSM由来配列(アミノ酸配列)
MGKQMAALCGFLLVALLWLTPDVAHAAAIGSCSKEYRVLLGQLQKQTDLMQDTSRLLDPYIRIQGLDVPKLREHCRERPGAFPSEETLRGLGRRGFLQTLNATLGCVLHRLADLEQRLPKAQDLERSGLNIEDLEKLQMARPNILGLRNNIYCMAQLLDNSDTAEPTKAGRGASQPPTPTPASDAFQRKLEGCRFLHGYHRFMHSVGRVFSKWGESPNRSRRHSPHQALRKGVRRTRPSRKGKRLMTRGQLPRHHHHHHKDEL*
配列番号2: ヒト由来VEGF165由来配列(アミノ酸配列)
MGKQMAALCGFLLVALLWLTPDVAHAAPMAEGGGQNHHEVVKFMDVYQRSYCHPIETLVDIFQEYPDEIEYIFKPSCVPLMRCGGCCNDEGLECVPTEESNITMQIMRIKPHQGQHIGEMSFLQHNKCECRPKKDRARQENPCGPCSERRKHLFVQDPQTCKCSCKNTDSRCKARQLELNERTCRCDKPRRHHHHHHKDEL*
配列番号3: ヒト由来OSM由来配列(ポリヌクレオチド配列)
atggggaaacagatggctgcattatgcggtttcttgctcgttgctcttctttggctaacaccagatgtagcccatgcagcagccataggatcttgcagcaaagagtatagggttctgcttggtcagcttcagaagcaaaccgatcttatgcaagacactagtaggcttcttgatccctacattcgtattcaaggcttagatgtgcccaaactgagggaacactgtagggaaagaccaggtgcttttccatcagaggaaaccttacgaggattgggtagaagaggatttctgcagacgttgaatgcaactctaggttgcgtgcttcaccgattggctgacttagagcaaagacttcctaaggcacaagatctcgaaagatctgggcttaacattgaggacttagagaagctgcaaatggctagaccgaatatactcggactaagaaacaatatctactgtatggcgcagttgttggacaacagtgatactgccgaaccaacaaaagctggaagaggcgcttcacaacctcctacaccaactccagcatcagatgcgtttcagcgtaaactcgaaggatgtcgtttcttgcatggctatcacagattcatgcactctgttgggagagtctttagcaagtggggtgaatctcctaatagatccagaaggcattcccctcatcaagctctacgtaaaggcgtaagaaggacaagaccgtctaggaagggaaagcgtttgatgactcgaggtcaactccctagacatcatcaccatcaccataaggatgagttgtaa
配列番号4: ヒト由来VEGF165由来配列(ポリヌクレオチド配列)
atggggaaacaaatggctgctctttgtggctttctgttagtagcgttgctttggttgactccagatgttgctcatgcagctcctatggcagaaggtggaggacagaatcatcatgaagttgtcaagttcatggacgtttaccagcgatcatattgccaccctattgagacactagtggatatcttccaggaatatccggatgagattgagtacatcttcaaaccctcttgcgtaccactcatgagatgtggtggatgttgtaatgatgaaggtcttgagtgcgttccaacagaagagtcaaacataaccatgcagattatgaggataaagccacatcaaggacaacatattggggaaatgagctttcttcagcacaacaaatgcgaatgtagacctaagaaggatagagcacgacaagagaacccttgtggcccttgtagtgaacgtagaaagcacttgtttgtgcaagatccccaaacgtgtaagtgctcctgcaagaatactgactctagatgcaaagccagacaattagagctcaatgagagaacttgtaggtgtgacaaaccacgtaggcatcaccatcatcaccacaaagatgaactgtaa
配列番号5: ヒトKDEL受容体1由来配列(アミノ酸配列)
MNLFRFLGDLSHLLAIILLLLKIWKSRSCAGISGKSQVLFAVVFTARYLDLFTNYISLYNTCMKVVYIACSFTTVWLIYSKFKATYDGNHDTFRVEFLVVPTAILAFLVNHDFTPLEILWTFSIYLESVAILPQLFMVSKTGEAETITSHYLFALGVYRTLYLFNWIWRYHFEGFFDLIAIVAGLVQTVLYCDFFYLYITKVLKGKKLSLPA
配列番号6: ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2a由来配列(アミノ酸配列)
MNIFRLAGDMTHLISVLVLLLKIYATKSCSGISLKTQELYAIVFLARYLDLFSDFISLYNTVMKLVFIGSSLAIVWCMRYHRVVRRSYDRELDTFRYWILVGACFTLALVLHEKFSFQEVFWAFSIYLEAVAILPQLVLLQRSGNVDNLTGQYVFFLGAYRAFYILNWIYRYLTEPRFTRWISCFSGLVQTALYADFFYYYFISWKNNAKLQLPA
配列番号7: ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2b由来配列(アミノ酸配列)
MNIFRLVGDMTHLASVLVLLLKIHTIKSCAGISLKTQELYALVFVTRYLDIFTDFISLYNTTMKLVFLGSSLSIVWYMRHHKIVRRSYDKDQDTFRHIFLVLPCLVLALVIHEKFTFKEIMWTFSIFLEAVAILPQLVLLQRTRNIDNLTGQYILLLGAYRSLYILNWVYRYFTEPHFVHWITWIAGLVQTAVYADFFYYYFQSWKNNTKLELPA
配列番号8: ヒトKDEL受容体1由来配列(ポリヌクレオチド配列)
ATGAATCTTTTTCGCTTTCTCGGAGACTTGTCTCATCTACTCGCGATTATTTTGTTACTCTTAAAGATATGGAAGTCCAGGTCCTGCGCTGGGATTAGTGGaAAGAGCCAAGTcCTTTTTGCAGTTGTATTCACTGCTAGaTACCTTGATCTGTTTACCAATTATATAAGTCTTTATAATACTTGTATGAAAGTCGTATATATTGCATGtAGcTTCACTACTGTCTGGCTCATTTACTCCAAATTCAAGGCCACCTACGATGGTAATCATGATACATTCAGGGTTGAGTTCTTGGTGGTTCCAACAGCTATCCTAGCTTTTTTGGTGAATCACGATTTTACTCCCCTCGAAATACTTTGGACATTTAGTATATACTTAGAATCCGTCGCTATTCTCCCCCAGTTATTCATGGTCAGTAAGACAGGaGAGGCTGAAACTATTACCTCTCATTATTTGTTTGCACTGGGTGTCTACCGTACCTTATATCTCTTTAATTGGATCTGGCGGTATCACTTTGAAGGGTTCTTCGATCTAATAGCCATTGTTGCCGGATTGGTCCAGACGGTATTATACTGCGACTTCTTCTATCTATATATTACTAAGGTTTTGAAGGGTAAGAAACTGTCGTTGCCTGCAtaa
配列番号9: ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2a由来配列(ポリヌクレオチド配列)
ATGAATATCTTTCGCTTGGCTGGTGATATGACGCACTTAATTTCAGTCCTTGTGCTTCTATTGAAGATTTACGCAACGAAGTCCTGTTCAGGTATTTCACTCAAAACtCAAGAACTCTATGCCATAGTATTTCTCGCAAGATACTTAGATCTCTTTAGTGATTTTATATCATTGTACAACACAGTCATGAAGCTTGTCTTTATTGGTTCATCCTTGGCTATAGTATGGTGCATGAGATACCACAGGGTTGTTAGACGTTCTTATGATAGAGAACTTGATACATTCAGATACTGGATTTTGGTTGGAGCATGTTTCACCTTGGCACTTGTACTACATGAAAAATTCTCTTTCCAAGAGGTGTTTTGGGCCTTCTCAATCTATCTCGAAGCAGTAGCGATTTTACCACAGCTCGTATTGTTGCAGCGTAGCGGCAACGTGGATAATCTGACTGGTCAATACGTGTTCTTTCTCGGGGCTTACAGGGCTTTCTACATATTGAATTGGATCTATAGATATCTCACTGAGCCCAGGTTTACACGTTGGATCTCTTGCTTTTCtGGTCTTGTTCAGACGGCATTGTACGCTGACTTTTTCTACTACTATTTCATCAGCTGGAAAAATAACGCAAAGTTGCAGCTTCCTGCAtaa
配列番号10: ベンサミアナタバコKDEL受容体ERD2b(ポリヌクレオチド配列)
ATGAATATTTTCCGCTTGGTTGGTGATATGACCCATCTCGCAAGCGTTCTCGTACTGCTTCTGAAGATACACACTATAAAATCATGTGCGGGTATTTCTCTTAAGACACAAGAGCTTTACGCTTTGGTCTTTGTGACCCGTTATCTGGATATATTTACCGACTTTATTTCCTTGTATAACACAACTATGAAGCTGGTTTTCTTAGGCTCATCTTTGAGTATCGTATGGTATATGCGTCATCATAAGATTGTGCGTCGCTCTTACGATAAGGATCAAGATACGTTTCGCCATATCTTTTTGGTCTTACCTTGCCTAGTTCTTGCTCTTGTTATTCACGAAAAATTTACATTTAAGGAGATTATGTGGACATTTTCCATATTCCTCGAGGCTGTAGCAATTCTACCTCAACTGGTCCTATTGCAAAGGACACGAAACATTGATAATCTCACAGGACAGTATATTCTGTTGTTAGGAGCTTATAGGTCGTTGTACATACTTAATTGGGTCTATAGaTATTTTACCGAACCTCACTTCGTACATTGGATTACTTGGATAGCTGGTTTAGTGCAAACAGCTGTTTACGCCGATTTTTTTTACTACTACTTCCAAAGTTGGAAAAACAATACAAAGTTGGAACTCCCTGCAtaa
配列番号11: 小胞体保留シグナル
KDEL
配列番号12: 小胞体保留シグナル
HDEL
図1
【配列表】
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