(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087416
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】水冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25C 1/25 20180101AFI20240624BHJP
F25C 1/12 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F25C1/25 A
F25C1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202236
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】391043505
【氏名又は名称】アイスマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】神戸 雅範
(72)【発明者】
【氏名】北山 英博
(72)【発明者】
【氏名】藤本 岳生
(72)【発明者】
【氏名】茅嶋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 延王
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知昭
(72)【発明者】
【氏名】井植 哲二
(72)【発明者】
【氏名】胡 博
(57)【要約】
【課題】散水器から流出した水を冷却器の外側面に安定して均一に流せるようにして、水の冷却効率を高めることができる水冷却装置を提供する。
【解決手段】水冷却装置は、板状の冷却器11と、散水器12と、案内部と、を備える。冷却器11は、板厚方向が略水平方向を向くように配置され、冷却された冷媒が内部を流れる。散水器12は、冷却器11の上方に配置され、冷却対象である水wを冷却器11の外側面11sに流す。案内部は、散水器12から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚方向が略水平方向を向くように配置され、冷却された冷媒が内部を流れる板状の冷却器と、
前記冷却器の上方に配置され、冷却対象である水を前記冷却器の外側面に流す散水器と、
前記散水器から流出した前記水を前記冷却器の前記外側面に案内する案内部と、を備えていることを特徴とする水冷却装置。
【請求項2】
前記散水器は、前記水を内部に滞留し、かつ滞留した前記水を底部の複数の連通孔から下方に流出させる滞留槽を備え、
前記滞留槽の前記底部には、前記連通孔が形成されるとともに前記冷却器の前記外側面に斜め上方から対向する傾斜壁が設けられ、
前記案内部は、前記傾斜壁によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の水冷却装置。
【請求項3】
前記傾斜壁は、
前記冷却器の一方の前記外側面に斜め上方から対向する第1傾斜壁と、
前記冷却器の一方の前記外側面と相反する側の他方の前記外側面に斜め上方から対向する第2傾斜壁と、を含むことを特徴とする請求項2に記載の水冷却装置。
【請求項4】
前記滞留槽に脱着可能に設けられ、前記滞留槽に取り付けられた状態で、複数の前記連通孔のうちの一部を閉塞する脱着プレートを備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の水冷却装置。
【請求項5】
前記散水器は、前記水を内部に滞留し、かつ滞留した前記水を底部の複数の連通孔から下方に流出させる滞留槽を備え、
前記冷却器の上端部には、最大幅が前記冷却器の板厚よりも広く、かつ頂部から前記冷却器の外側面に連なる湾曲した外面形状を持つ案内ブロックが設けられ、
前記案内部は、前記案内ブロックによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の水冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒が内部を流れる板状の冷却器の外側面に、上方から小流量の水を均一に流し、冷却器の外側面を通して水を冷却する水冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の水冷却装置は、冷却器の外側面に流す水を凍結させて氷を生成する製氷装置である。この水冷却装置では、冷媒が内部を流れる冷却器は、板厚方向が略水平方向を向くように起立状態で設置されている。冷却器の上方には、冷却対象である水を冷却器の外側面に流す散水器が設置されている。散水器は、冷却対象である水を内部に滞留する滞留槽を備え、その滞留槽の平坦な底壁に複数の連通孔が形成されている。複数の連通孔は、冷却器の頂部に対向するよう直線状に配列されている。
【0004】
滞留槽に滞留した水は、滞留槽の底壁の連通孔を通して、冷却器の頂部に向かって流出する。連通孔から冷却器の頂部に向かって流出した水は冷却器の外側面に沿って下方に流れ、水膜となって冷却器の外側面によって冷却される。特許文献1に記載の水冷却装置では、冷却器の外側面上に膜状の氷が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載の水冷却装置は、散水器の滞留槽の平坦な底壁に、冷却器の頂部に対向するように複数の連通孔が形成されているため、連通孔の製造誤差や、滞留槽に滞留する水の水位の変化等により、連通孔からの水の流出方向が変化することがある。そして、連通孔からの水の流出方向が冷却器の頂部から外れると、連通孔から流出した水が冷却器の外側面に均一に流れなくなり、冷却対象である水の冷却効率が低下してしまう。
【0007】
そこで本発明は、散水器から流出した水を冷却器の外側面に安定して均一に流せるようにして、水の冷却効率を高めることができる水冷却装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る水冷却装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の一態様に係る水冷却装置は、板厚方向が略水平方向を向くように配置され、冷却された冷媒が内部を流れる板状の冷却器と、前記冷却器の上方に配置され、冷却対象である水を前記冷却器の外側面に流す散水器と、前記散水器から流出した前記水を前記冷却器の前記外側面に案内する案内部と、を備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成において、冷却対象である水が散水器から流出すると、その水は案内部の機能によって冷却器の外側面に案内され、確実に冷却器の外側面を伝って下方に流下する。このため、散水器の製造誤差や散水器内の水位の変動等があっても、散水器から流出した水は冷却器の外側面を安定して均一に流れるようになる。
【0010】
前記散水器は、前記水を内部に滞留し、かつ滞留した前記水を底部の複数の連通孔から下方に流出させる滞留槽を備え、前記滞留槽の前記底部には、前記連通孔が形成されるとともに前記冷却器の前記外側面に斜め上方から対向する傾斜壁が設けられ、前記案内部は、前記傾斜壁によって構成されるようにしても良い。
【0011】
この場合、滞留槽の内部の水が流出する連通孔が滞留槽の底部の傾斜壁に設けられているため、連通孔から流出した水は、冷却器の外側面に斜め上方から確実に当たる。このため、連通孔からの水の流出方向が多少ずれることがあっても、連通孔から流出した水は確実に冷却器の外側面に当たって下方に流下する。また、このとき、連通孔から流出した水は角度をもって冷却器の外側面に当たるため、当たった部分から外側に広がり、冷却器の外側面の広範囲に均一に広がって下方に流下する。
【0012】
前記傾斜壁は、前記冷却器の一方の前記外側面に斜め上方から対向する第1傾斜壁と、前記冷却器の一方の前記外側面と相反する側の他方の前記外側面に斜め上方から対向する第2傾斜壁と、を含むことが望ましい。
【0013】
この場合、冷却器の一方の外側面と他方の外側面に対し、滞留槽の底部の第1傾斜壁と第2傾斜壁から均一に水が供給されることになる。このため、散水器から流出した水をより効率良く冷却することができる。
【0014】
前記滞留槽に脱着可能に設けられ、前記滞留槽に取り付けられた状態で、複数の前記連通孔のうちの一部を閉塞する脱着プレートを備えるようにしても良い。
【0015】
この場合、冷却する水の流量を変更する場合には、脱着プレートを適宜脱着することにより、連通孔から流出する水の総流量を容易に変更することが可能になる。
【0016】
前記散水器は、前記水を内部に滞留し、かつ滞留した前記水を底部の複数の連通孔から下方に流出させる滞留槽を備え、前記冷却器の上端部には、最大幅が前記冷却器の板厚よりも広く、かつ頂部から前記冷却器の外側面に連なる湾曲した外面形状を持つ案内ブロックが設けられ、前記案内部は、前記案内ブロックによって構成されるようにしても良い。
【0017】
この場合、滞留槽に滞留した水が底部の複数の連通孔から下方に流出すると、その水は、冷却器の板厚よりも幅の広い案内ブロックに当たり、案内ブロックの湾曲した外面形状に沿って冷却器の外側面を流れる。このため、連通孔の流出方向が多少ずれることがあっても、連通孔から流出した水は確実に冷却器の外側面を伝って下方に流下する。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る水冷却装置は、散水器から流出した水を冷却器の外側面に案内する案内部を備えているため、散水器から流出した水を冷却器の外側面に安定して均一に流すことができる。したがって、本発明に係る冷却装置を採用した場合には、水の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図6】
図1のVI-VI断面に対応する冷却器の断面図。
【
図7】
図6のVII-VII断面に対応する断面図。
【
図9】第3実施形態の水冷却装置の第1実施形態の
図6に対応する断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下で説明する各実施形態では、共通部分に同一符号を付し、重複する説明を一部省略するものとする。
【0021】
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の水冷却装置1の側面図であり、
図2は、水冷却装置1の斜視図である。
本実施形態の水冷却装置1は、供給源2から送給された水wを冷却器11によって0°近い低温に冷却することにより、冷水を生成する装置である。生成された冷水は、供給通路25を通して使用機器3に供給される。
図1,
図2において、符号4は、水冷却装置1の主要構成部材を支持するフレーム枠である。フレーム枠4には、図示しない外壁が取り付けられている。水冷却装置1の主要構成部材は、フレーム枠4に取り付けられた外壁によって外側を覆われている。
【0022】
水冷却装置1は、冷却された冷媒が内部を流れる板状の冷却器11と、冷却器11の上方に配置され、冷却対象である水を冷却器11の外側面11sに流す散水器12と、冷却器11の下方に配置され、冷却器11の外側面11sとの熱交換によって生成された冷水が一時的に貯留される冷水タンク13と、を備えている。
【0023】
冷却器11は、縦長の長方形状の板状に形成されている。冷却器11は、板厚方向が略水平方向を向く起立姿勢でフレーム枠4に固定されている。冷却器11の冷却器本体15は、縦長の長方形状の一対の熱交換プレート14が周縁部を相互に接合されて形成されている。冷却器本体15の内部には、二次冷媒(冷媒)の流れる流路が形成されている。熱交換プレート14は、例えば、ステンレス(SUS)等の金属材料によって形成されている。
【0024】
冷却器本体15の上辺の一端部には、冷却器本体15の内部に二次冷媒(冷媒)を流入させる流入口16が設けられ、冷却器本体15の下辺の一端部には、冷却器本体15内を通過した冷媒を外部に流出させる流出口17が設けられている。
以下では、説明の便宜上、冷却器11の流入口16や流出口17の配置される側を「前」と称し、それと逆側を「後」と称する。また、前方に向かって左側を「左」と称し、それと逆側を「右」と称する。図面には、鉛直上方を指す矢印UPと、前方を指す矢印FRと、左側方を指すLHが記されている。
【0025】
冷却器11の流入口16と流出口17は、冷媒(二次冷媒)の循環する循環回路18に接続されている。本実施形態では、循環回路18を流れる二次冷媒として二酸化炭素(CO2)が用いられている。このため、万が一、冷媒(二酸化炭素)の漏れが生じることがあっても人体には無害である。したがって、本実施形態の水冷却装置1は、食品を取り扱う機器にも用いることができる。ただし、循環回路18に流す冷媒(二次冷媒)は必ずしも二酸化炭素(CO2)に限定されない。
なお、
図1,
図2中の符号5は、冷却器11の流入口16を循環回路18に接続するための接続パイプであり、符号6は、冷却器11の流出口17を循環回路18に接続するための接続パイプである。冷却器11の詳細構造については後に詳述する。
【0026】
循環回路18には、当該回路内に二次冷媒を流すための送給ポンプ19と、一次冷媒と二次冷媒の間で熱交換を行うための熱交換器20と、が介装されている。熱交換器20には、一次冷媒が内部を循環する冷凍サイクル21の蒸発器部分が接続されている。本実施形態では、冷凍サイクル21を流れる一次冷媒としてアンモニア(NH3)が用いられている。ただし、冷凍サイクル21に流す冷媒はアンモニア(NH3)に限定されない。
【0027】
本実施形態では、同構造の二つの冷却器11が散水器12の下方に左右に並んで配置されている。二つの冷却器11は、循環回路18に並列に接続されている。ただし、散水器12の下方に配置する冷却器11の個数は二つに限定されない。冷却器11の設置個数は、構築するシステムに応じて任意の数に設定することができる。
【0028】
散水器12は、上方側に開口する箱型状の散水パン22を備えている。散水パン22は、冷却対象である水wを、所定範囲の水位に保つように内部に滞留させる。本実施形態では、散水パン22が散水器12の滞留槽を構成している。散水パン22に滞留した水wは、散水パン22の底部の後述する連通孔23(
図3,
図4,
図6参照)を通して、下方の冷却器11に向かって流出する。散水器12の詳細構造については後に詳述する。
【0029】
散水器12の上方には、散水ヘッド24が配置されている。散水ヘッド24は、供給源2から送給されてきた水wを、散水パン22の上方の開口を通して散水パン22の滞留部27内に導入する散水機器である。散水ヘッド24には、図示しない複数の給水孔が形成されている。供給源2から散水ヘッド24に供給された水wは、複数の給水孔を通して散水パン22の滞留部27内に流入する。
散水パン22と散水ヘッド24は、フレーム枠4に適宜固定されている。
【0030】
冷水タンク13は、上方側が開口した箱型の容器であり、冷却器11の外側面11sを通過して生成された冷水を、冷却器11の下方において、一時的に貯留する。冷水タンク13には、内部に流入した冷水を使用機器3に供給するための供給通路25が接続されている。冷水タンク13から使用機器3には、図示しない送給ポンプによって冷水が供給される。
また、
図1では図示が省略されているが、冷水タンク13には、内部に流入した冷水を散水器12に戻すための戻し配管が接続されている。この戻し配管は、冷水タンク13内の冷水の温度が規定の温度よりも高いときに、図示しない送給ポンプによって冷水を散水器12に戻す。これにより、冷水タンク13内の冷水を冷却器11によって再度冷却し、冷水タンク13に貯留される冷水の温度を規定の温度以下に低下させる。
【0031】
また、二つの冷却器11の各下方には、上方側に開口し、かつ長手方向の一端側が下方に傾斜する案内樋26(
図2参照)が配置されている。案内樋26の下方に傾斜した端部は、冷水タンク13の冷水貯留部の上方に位置されている。案内樋26は、各冷却器11の外側面11sを通過して生成された冷水を冷却器11の下方で捕捉し、その冷水を冷水タンク13の冷水滞留部内に流入させる。
【0032】
図3は、散水器12の斜視図であり、
図4は、散水器12の平面図である。また、
図5は、散水器12の正面図であり、
図6は、
図1のVI-VI断面に対応する散水器12と冷却器11の断面図である。なお、
図5では、散水器12の下方に配置される冷却器11が仮想線で示されている。
散水器12は、前述のように上方側に開口する箱型状の散水パン22を備えている。散水パン22は、平面視が略長方形状の底壁22a(底部)と、底壁22aの周域から上方に起立する周壁22bと、を備えている。散水器12は、略長方形状の底壁22aの長手方向を前後方向に向けるようにフレーム枠4に取り付けられている。底壁22aと周壁22bに囲まれた上方開口の空間部は、散水ヘッド24(
図1,
図2参照)から流入した水wが滞留する滞留部27とされている。周壁22bの上部には、散水パン22をフレーム枠4(
図1,
図2参照)に取り付けるための複数のブラケット28が取り付けられている。
【0033】
散水パン22の底壁22aのうちの、左右の各冷却器11の直上位置には、冷却器11の一方の外側面11sに斜め上方から対向する第1傾斜壁30Aと、冷却器11の他方の外側面11sに斜め上方から対向する第2傾斜壁30Bと、が設けられている。左右方向で隣り合う第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの間には、前後方向に沿って延びる上方に凸の稜線31が形成されている。隣り合う第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bは、稜線31を挟んで夫々内側下方に向くように傾斜している。鉛直線(鉛直方向に沿う仮想線)に対する第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各傾斜角度は、傾斜の向きは逆向きであるが、同角度とされている。
【0034】
散水パン22の底壁22a(底部)には、上述のように稜線31を挟んで隣接する第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの対が二組設けられている。各対の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの幅方向の中央には、複数の連通孔23が前後方向に等間隔に形成されている。これらの連通孔23は、各傾斜壁30A,30Bを板厚方向に貫通し、かつ、各傾斜壁30A,30Bの上下の面に対して直交するように形成されている。これらの連通孔23は、一定内径の円形状の孔であり、すべてが同内径に形成されている。散水パン22の内部に滞留した水wは、当該水wの重力によって複数の連通孔23を通して下方に流出する。
【0035】
第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各対の下方には、
図6に示すように、対応する冷却器11が配置されている。各冷却器11は、前後方向に沿って延びる頂部11tが対応する対の稜線31の直下に位置するように配置されている。各対の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの連通孔23から流出した水wは、冷却器11の左右の外側面11sに対して所定の角度(0°よりも大きい角度)をもって吹き付けられる。これにより、冷却器11の外側面11sに吹き付けられた水wは、吹き付け部を中心として外側面11sに沿って外側に広がり、その後に
図6中の矢印で示すように下方に流下する。
本実施形態では、連通孔23を有する第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bが、散水器12から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する案内部を構成している。
【0036】
また、散水パン22の底壁22a(底部)のうちの、上述の二組の傾斜壁30A,30Bの対の間には、第3傾斜壁30Cと第4傾斜壁30Dが形成されている。第3傾斜壁30Cと第4傾斜壁30Dは、上方に凸に突出する稜線32を挟んで夫々内側下方に向くように傾斜している。本実施形態では、これらの傾斜壁30C,30Dには連通孔23は形成されていない。ただし、これらの傾斜壁30C,30Dの下方に冷却器11を配置する場合には、連通孔23を形成するようにしても良い。
【0037】
図7は、
図6のVII-VII断面に対応する冷却器11の断面図である。
冷却器11の冷却器本体15は、
図6,
図7に示すように、金属製の一対の熱交換プレート14が周縁部14pを相互に接合されて形成されている。また、一対の熱交換プレート14の内側領域(周縁部14pの内側領域)には、相互に対向する側に窪む複数の窪み部40A,40(
図6参照)が形成され、相互に対向する窪み部同士が溶接によって接合されている。
図6,
図7中の符号45Aは、窪み部40A同士が溶接された溶接部であり、符号45は、窪み部40同士が溶接された溶接部である。冷却器本体15の内部は、複数の溶接部45A,45の周域の空間が冷媒r(二次冷媒)の流れる通路とされている。流入口16から冷却器本体15の内部に流入した冷媒rは、複数の溶接部45A,45の周域を通って流出口17から外部(循環回路18)に流出する。
溶接部45A,45は、冷却器本体15の内部に冷媒rの通路を形成する複数の絞り部を構成している。
【0038】
冷却器本体15の最上部に配置される溶接部45Aは、流入口16よりも僅かに低い高さ位置において、冷却器本体15の幅方向(水冷却装置1の前後方向)に一列に並んで配置されている。換言すれば、溶接部45Aは、流入口16の近傍部から冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されている。複数の溶接部45Aは、冷却器本体15に幅方向に等間隔に設けられている。
【0039】
また、最上部の溶接部45Aよりも下方に配置される溶接部45は、上下に複数段となって設けられ、かつ、各段の溶接部45が冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されている。各段の溶接部45は、冷却器本体15に幅方向に等間隔に設けられている。各段の複数の溶接部45は、上下の段の溶接部45(45A)の並びに対して千鳥状に配置されている。このため、流入口16から冷却器本体15の上部に流入した冷媒rは、重力によって下方に流れる際に、各段の溶接部45の周域に当たり、多様な方向に分流することになる。
【0040】
最上部の溶接部45Aは、冷却器本体15の幅方向に長い略長円形状に形成されている。これに対し、溶接部45Aよりも下方の各溶接部45は、略真円形状に形成されている。最上部の溶接部45Aの上下方向の高さは、下方の段の溶接部45の直径とほぼ同じとされ、溶接部45Aの幅は、下方の段の溶接部45の直径よりも大きくなっている。このため、最上部の複数の溶接部45Aの幅方向の間隔(離間隙間g)は、当該溶接部45Aよりも下方に配置される各段の溶接部45の幅方向の間隔よりも狭くなっている。最上部の複数の溶接部45Aの間の離間隙間gは、すべてほぼ均等に設定されている。
【0041】
最上部の複数の溶接部45Aは、流入口16の近傍部から冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されることで、冷媒rの分散通路33を構成している。分散通路33の下部側を構成する複数の溶接部45Aの離間隙間gは充分に狭く、かつ、幅方向に均等に配置されている。このため、流入口16から分散通路33に流入した冷媒rは、分散通路33の幅方向の全域に均等に分散されて下方に流下する。分散通路33から下方に流下した冷媒rは、前述のように下方の各段の溶接部45の周域に当たり、多様な方向に分流する。このため、冷媒rは、流出口17から外部に流出するまでの間に、左右の熱交換プレート14の裏面の広範囲に均等に接触する。したがって、冷却器11の外側面11sを伝って下方に流下する水wは、外側面11sの広範囲で、冷却器11内の冷媒rによって均等に冷却される。
【0042】
以上のように、本実施形態の水冷却装置1は、散水器12から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する案内部(第1傾斜壁30A、及び、第2傾斜壁30B)を備えている。このため、連通孔23の製造誤差や散水器12内の水位の変動等があっても、散水器12から流出した水wは冷却器11の外側面11sを安定して均一に流れるようになる。
したがって、本実施形態に係る水冷却装置1では、散水器12から流出した水wを冷却器11の外側面11sに対して安定して均一に流すことができる。よって、本実施形態に係る水冷却装置1を採用した場合には、散水器12から流出した水wの冷却効率を高めることができる。
【0043】
また、本実施形態の水冷却装置1は、散水パン22(滞留槽)の底部に、連通孔23が形成されるとともに冷却器11の外側面11sに斜め上方から対向する傾斜壁(第1傾斜壁30A、及び、第2傾斜壁30B)が設けられている。そして、散水器12から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する案内部が、傾斜壁(第1傾斜壁30A、及び、第2傾斜壁30B)によって構成されている。このため、連通孔23からの水wの流出方向が多少ずれることがあっても、連通孔23から流出した水wは確実に冷却器11の外側面11sに当たって下方に流下する。また、連通孔23から流出した水wは、角度(0°以外の角度)をもって冷却器11の外側面11sに当たるため、当たった部分から外側に広がり、冷却器11の外側面11sの広範囲に均一に広がって下方に流下する。
したがって、本構成を採用した場合には、散水器12から流出した水wの冷却効率をより高めることができる。
【0044】
特に、本実施形態の水冷却装置1は、冷却器11の一方の外側面11sに斜め上方から対向する第1傾斜壁30Aと、冷却器11の他方の外側面11sに斜め上方から対向する第2傾斜壁30Bが散水器12に設けられている。このため、冷却器11の一方の外側面11sと他方の外側面11sに均一に水wを供給することができる。したがって、本構成を採用した場合には、散水器12から流出した水wをより効率良く冷却することができる。
【0045】
なお、上記の実施形態では、第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bが散水器12に設けられているが、散水器12に設ける傾斜壁は、第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bのいずれか一方であっても良い。
【0046】
<第2実施形態>
図8は、本実施形態の散水器112の一部を示す斜視図である。
本実施形態の冷却装置は、全体の基本構成は第1実施形態とほぼ同様であるが、散水器112の構成が若干異なっている。散水器112は、第1実施形態と同様に散水パン22(滞留槽)の底壁22aに第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bが設けられ、第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの夫々に複数の連通孔23が形成されている。散水パン22の底壁22aの上面側には、脱着プレート60が脱着可能とされている。脱着プレート60は、前後方向と直交する断面が略L字状の金属製のプレート材であり、散水パン22の第1傾斜壁30Aの上面に重ねられる第1傾斜壁60aと、散水パン22の第2傾斜壁30Bの上面に重ねられる第2傾斜壁60bと、第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの間の稜線31に対応する上方に凸に突出する稜線60cと、を備えている。脱着プレート60は、散水パン22の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bに対してボルト締結等によって脱着可能とされている。
【0047】
脱着プレート60の第1傾斜壁60aと第2傾斜壁60bには、複数の連通孔61が形成されている。各連通孔61は、第1傾斜壁60aと第2傾斜壁60bの夫々を板厚方向に貫通している。また、各連通孔61は、散水パン22の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bに夫々形成される連通孔23よりも大径に形成されている。さらに、各連通孔61の形成ピッチは、散水パン22側の連通孔23の形成ピッチよりも大きく、かつ、連通孔23の形成ピッチ整数倍に設定されている。そして、脱着プレート60は、散水パン22の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各上面に重ねて取り付けられることにより、散水パン22側の連通孔23の一部を閉塞することができる。つまり、脱着プレート60は、自身の連通孔61と上下方向で重ならない散水パン22側の連通孔23を閉塞し、連通孔61と上下方向で重なる連通孔23のみを散水パン22の内部と連通させる。
【0048】
本実施形態の水冷却装置は、第1実施形態と同様の基本構成とされているため、上述した第1実施形態と同様の基本的な効果を得ることができる。
これに加え、本実施形態の水冷却装置は、脱着プレート60を適宜脱着することにより、連通孔23から流出する水の総流量を容易に変更することができる、という利点がある。即ち、脱着プレート60を取り付けない基本使用形態に対して、冷却する水の流量を減少させる場合には、散水パン22の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの上面側に脱着プレート60を取り付けることにより、散水パン22から流出する水の総流量を減少させることができる。そして、連通孔61の形成ピッチの異なる脱着プレート60を予め何種類か用意しておき、取り付ける脱着プレート60を適宜変えることによって、冷却する水の流量に応じて散水器112から流出する水の流量を柔軟に変更することができる。
【0049】
また、本実施形態では、脱着プレート60が断面略L字状に形成され、脱着プレート60の第1傾斜壁60aと第2傾斜壁60bを、散水パン22側の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの上面に同時に重ねることができる構造とされている。このため、脱着プレート60の稜線60cを、散水パン22側の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの間の稜線31の上に重ねることにより、脱着プレート60の幅方向の位置ずれを防止することができる。したがって、本構成の脱着プレート60を採用した場合には、散水パン22に対する脱着プレート60の取り付けが容易になる。
【0050】
なお、本実施形態では、脱着プレート60が断面略L字状に形成されているが、平板状の脱着プレートを散水パン22側の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各上面に脱着可能に取り付けるようにしても良い。また、脱着プレート60は、散水パン22側の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各下面側に取り付けるようにしても良い。
さらに、脱着プレート60に形成する連通孔61の形成ピッチは必ずしも等ピッチである必要はない。脱着プレート60は、散水パン22側の少なくとも一部の連通孔23を閉塞できる構造であれば良い。
【0051】
<第3実施形態>
図9は、本実施形態の水冷却装置201の第1実施形態の
図6に対応する断面図である。
本実施形態の水冷却装置201は、第1実施形態と同様に、板状の冷却器11と、冷却器11の上方に配置される散水器212と、を備えている。冷却器11は、第1実施形態のものと同様の構成とされている。散水器212は、上方側に開口する箱型状の散水パン222(滞留槽)を備えている。散水パン222は、平面視が略長方形状の底壁222a(底部)と、底壁222aの周域から上方に起立する周壁222bと、を備えている。底壁222aと周壁222bに囲まれた上方開口の空間部は、水wが滞留する滞留部27とされている。
【0052】
散水パン222の底壁222aは、略水平な平坦な壁によって構成されている。この底壁222aのうちの、左右の冷却器11の直上位置には、各冷却器11の頂部11tに対向するように複数の連通孔223が形成されている。各連通孔223は、鉛直方向に沿うように底壁222aを厚み方向に貫通している。散水パン222の滞留部27に滞留した水wは、複数の連通孔223を通して下方に流出する。
【0053】
左右の冷却器11の上縁部には、略円筒状の案内ブロック70が取り付けられている。案内ブロック70は、例えば、ステンレス(SUS)等の金属材料によって形成することが望ましい。案内ブロック70の周壁には、軸方向に沿うようにスリット71が形成されている。案内ブロック70は、スリット71部分が各冷却器11の上縁部に嵌合された状態で各冷却器11の上部に取り付けられている。案内ブロック70の外径は、冷却器11の板厚方向の幅よりも大きく設定されている。このため、冷却器11の上部に案内ブロック70が取り付けられた状態では、案内ブロック70が冷却器11よりも幅方向に張り出している。
【0054】
また、案内ブロック70は、略円筒形状であるため、その外面は滑らかな円弧面とされている。このため、冷却器11の上部に案内ブロック70が取り付けられた状態では、案内ブロック70の左右の半円状の円弧面が、当該案内ブロック70の頂部と冷却器11の外側面11sを滑らかに連続させている。
本実施形態では、案内ブロック70が、散水器212から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する案内部を構成している。
なお、本実施形態では、案内ブロック70が略円筒状に形成されているが、案内ブロック70は必ずしも略円筒形状でなくても良い。案内ブロック70は、最大幅が冷却器11の板厚よりも広く、かつ頂部から冷却器11の外側面に連なる湾曲した外面形状を持つものであれば、略円筒形状以外の形状であっても良い。
【0055】
水冷却装置201は、散水器212の散水パン222に滞留した水wが底部の複数の連通孔223から下方に流出すると、その水wが冷却器11の板厚よりも幅の広い案内ブロック70に当たる。そして、案内ブロック70に当たった水wは、案内ブロック70の湾曲した外面形状に沿って冷却器11の左右の外側面11sを流れる。このため、連通孔223の流出方向が左右に多少ずれることがあっても、連通孔223から流出した水wは確実に冷却器11の外側面11sを伝って下方に流下する。
【0056】
以上のように、本実施形態の水冷却装置201は、散水器212から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する案内部(案内ブロック70)を備えている。このため、連通孔223の製造誤差や散水器212内の水位の変動等があっても、散水器212から流出した水wは冷却器11の外側面11sを安定して均一に流れるようになる。
したがって、本実施形態に係る水冷却装置201を採用した場合には、散水器212から流出した水wを冷却器11の外側面11sに対して安定して均一に流し、散水器12から流出した水wを効率良く冷却することができる。
【0057】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、各構成部材の材質や設置個数等は適宜変更することができる。
【0058】
また、散水器から流出した水を冷却器の外側面に案内する案内部は、上記の各実施形態の構成に限定されない。案内部としては、散水器の散水パン(滞留槽)から流出した水を、下方の冷却器の外側面に案内する案内壁や案内パイプを散水パンに設けるようにしても良い。
【0059】
また、上記の実施形態では、水冷却装置によって0℃近くの低温の冷水を生成しているが、水冷却装置は、冷却対象である水を0℃以下に冷却して氷を生成するものであっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1,201…水冷却装置
11…冷却器
11s…外側面
12,112,212…散水器
22,222…散水パン(滞留槽)
23,223…連通孔
30A…第1傾斜壁(傾斜壁,案内部)
30B…第2傾斜壁(傾斜壁,案内部)
33…分散通路
60…脱着プレート
70…案内ブロック(案内部)