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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024087516
(43)【公開日】2024-07-01
(54)【発明の名称】水冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20240624BHJP
   F25C 1/12 20060101ALI20240624BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20240624BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F25C1/12 Z
F28F3/00 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022202371
(22)【出願日】2022-12-19
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(71)【出願人】
【識別番号】391043505
【氏名又は名称】アイスマン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】神戸 雅範
(72)【発明者】
【氏名】北山 英博
(72)【発明者】
【氏名】藤本 岳生
(72)【発明者】
【氏名】茅嶋 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 延王
(72)【発明者】
【氏名】秋山 知昭
(72)【発明者】
【氏名】井植 哲二
(72)【発明者】
【氏名】胡 博
(57)【要約】
【課題】冷却器の流入口から流入した冷媒を冷却器本体の幅方向の全域に均一に分散できるようにして、水の冷却効率を高めることができる水冷却装置を提供する。
【解決手段】水冷却装置は、板状の冷却器11と、水を前記冷却器の外側面に流す散水器と、を備える。冷却器11は、冷却器本体15と、流入口16と、流出口と、複数の絞り部と、を備える。冷却器本体15は、一対の熱交換プレート14が周縁部を相互に接合されて形成される。流入口は16、冷却器本体15の上部の幅方向の一端側に配置され、当該冷却器本体15の内部に冷媒を流入させる。流出口は、冷却器本体15の下部に配置され、当該冷却器本体15の内部を通過した冷媒を外部に流出させる。絞り部は、一対の熱交換プレート14の間に形成され、冷媒の通路を形成する。複数の絞り部の一部は、流入口16の近傍部から冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板厚方向が略水平方向を向くように配置され、冷却された冷媒が内部を流れる板状の冷却器と、
前記冷却器の上方に配置され、冷却対象である水を前記冷却器の外側面に流す散水器と、を備え、
前記冷却器は、
一対の熱交換プレートが周縁部を相互に接合されて成る冷却器本体と、
前記冷却器本体の上部の幅方向の一端側に配置され、当該冷却器本体の内部に前記冷媒を流入させる流入口と、
前記冷却器本体の下部に配置され、当該冷却器本体の内部を通過した前記冷媒を外部に流出させる流出口と、
一対の前記熱交換プレートの間に形成され、前記冷媒の通路を形成する複数の絞り部と、を備え、
複数の前記絞り部の一部は、前記流入口の近傍部から前記冷却器本体の幅方向に一列に並んで配置されることで前記冷媒の分散通路を構成していることを特徴とする水冷却装置。
【請求項2】
前記分散通路を構成する前記絞り部は、前記冷却器本体の幅方向に等間隔に形成されるとともに、当該絞り部よりも下方に配置される前記絞り部の前記幅方向の間隔よりも狭い間隔で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の水冷却装置。
【請求項3】
前記絞り部は、一対の前記熱交換プレートを接合する溶接部によって構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の水冷却装置。
【請求項4】
前記溶接部は、円形状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の水冷却装置。
【請求項5】
前記分散通路を構成する前記溶接部は、前記冷却器本体の幅方向に長い略長円形状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の水冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷媒が内部を流れる板状の冷却器の外側面に、上方から小流量の水を均一に流し、冷却器の外側面を通して水を冷却する水冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の水冷却装置は、冷却器の外側面に流す水を凍結させて氷を生成する製氷装置である。この水冷却装置では、冷媒が内部を流れる冷却器は、板厚方向が略水平方向を向くように起立状態で設置されている。冷却器の上方には、冷却対象である水を冷却器の外側面に流す散水器が設置されている。散水器は、冷却対象である水を内部に滞留する滞留槽を備え、その滞留槽の平坦な底壁に複数の連通孔が形成されている。複数の連通孔は、冷却器の頂部に対向するよう直線状に配列されている。
【0004】
滞留槽に滞留した水は、滞留槽の底壁の連通孔を通して、冷却器の頂部に向かって流出する。連通孔から冷却器の頂部に向かって流出した水は冷却器の外側面に沿って下方に流れ、水膜となって冷却器の外側面によって冷却される。特許文献1に記載の水冷却装置では、冷却器の外側面上に膜状の氷が生成される。
【0005】
この水冷却装置の冷却器は、一対の熱交換プレートが周縁部を相互に接合されて冷却器本体が構成されている。そして、一対の熱交換プレートは相互に対向する面の複数箇所が溶接によって接合され、冷却器内の複数の溶接部の周囲の空間が冷媒の流れる流路とされている。また、冷却器本体の上辺の幅方向の端部には、冷媒の流入する流入口が設けられ、冷却器本体の下辺の幅方向の端部には、冷媒が流出する流出口が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-148412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の水冷却装置は、冷却器本体の内部に冷媒を流入させる流入口が冷却器本体の上辺の幅方向の端部に配置されているため、流入口から冷却器本体の内部に流入した冷媒を冷却器本体の幅方向の全域に均一に分散させることが難しい。そして、冷媒が冷却器本体の幅方向の一部に偏って流れると、冷却器本体の外側面上を流れる水に対する熱交換が不均一になり、冷却対象である水の冷却効率が低下してしまう。
【0008】
そこで本発明は、冷却器の流入口から流入した冷媒を冷却器本体の幅方向の全域に均一に分散できるようにして、水の冷却効率を高めることができる水冷却装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る水冷却装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明に係る水冷却装置は、板厚方向が略水平方向を向くように配置され、冷却された冷媒が内部を流れる板状の冷却器と、前記冷却器の上方に配置され、冷却対象である水を前記冷却器の外側面に流す散水器と、を備え、前記冷却器は、一対の熱交換プレートが周縁部を相互に接合されて成る冷却器本体と、前記冷却器本体の上部の幅方向の一端側に配置され、当該冷却器本体の内部に前記冷媒を流入させる流入口と、前記冷却器本体の下部に配置され、当該冷却器本体の内部を通過した前記冷媒を外部に流出させる流出口と、一対の前記熱交換プレートの間に形成され、前記冷媒の通路を形成する複数の絞り部と、を備え、複数の前記絞り部の一部は、前記流入口の近傍部から前記冷却器本体の幅方向に一列に並んで配置されることで前記冷媒の分散通路を構成していることを特徴とする。
【0010】
上記の構成において、冷却器本体の上部の流入口から冷媒が導入されると、その冷媒は、分散通路を構成する複数の絞り部によって冷却器本体内の幅方向の広い範囲に分散される。こうして冷却器本体内の広範囲に分散された冷媒は、冷却器本体の外側面の広い範囲を均一に冷却するようになる。この状態で散水器から冷却器本体の外側面に冷却対象の水が流れ込むと、その水は、均一に冷却された冷却器本体の外側面によって効率良く冷却される。
【0011】
前記分散通路を構成する前記絞り部は、前記冷却器本体の幅方向に等間隔に形成されるとともに、当該絞り部よりも下方に配置される前記絞り部の前記幅方向の間隔よりも狭い間隔で配置されることが望ましい。
【0012】
この場合、分散通路を構成する絞り部は、冷却器本体の幅方向に等間隔に形成されているため、幅方向において均一に下方に冷媒を流すことができる。また、分散通路を構成する絞り部は、その絞り部よりも下方の絞り部の間隔よりも狭い間隔で配置されているため、下方の絞り部間を流れる冷媒の流れを良好に維持しつつ、冷媒を幅方向の広範囲に均一に分散させることができる。
【0013】
前記絞り部は、一対の前記熱交換プレートを接合する溶接部によって構成されるようにしても良い。
【0014】
この場合、一対の熱交換プレートを接合する溶接部が絞り部を構成するため、冷却器に絞り部を容易に形成することができる。
【0015】
前記溶接部は、円形状に形成されることが望ましい。
【0016】
この場合、溶接部の周縁部に応力集中が生じにくくなり、冷却器の耐久性が高まる。また、冷却器本体内を流れる冷媒が溶接部の周域において流れを阻害されにくくなり、冷媒の流動が円滑となる。
【0017】
前記分散通路を構成する前記溶接部は、前記冷却器本体の幅方向に長い略長円形状に形成されるようにしても良い。
【0018】
この場合、分散通路を構成する溶接部の幅方向の間隔を容易に狭めることができる。特に、分散通路を構成する溶接部よりも下方の溶接部が略真円形状である場合には、分散通路を構成する溶接部の間の間隔を狭め、かつ、その溶接部よりも下方の溶接部の間の間隔を広げた構造を容易に得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る水冷却装置は、複数の絞り部の一部が、流入口から冷却器本体の幅方向に一列に並んで配置されることで、冷媒の分散通路を構成しているため、流入口から流入した冷媒を冷却器本体内の幅方向の全域に均一に分散させることができる。したがって、本発明に係る水冷却装置を採用した場合には、水の冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第1実施形態の水冷却装置の側面図。
図2】第1実施形態の水冷却装置の斜視図。
図3】第1実施形態の散水器の斜視図。
図4】第1実施形態の散水器の平面図。
図5】第1実施形態の散水器の正面図。
図6図1のVI-VI断面に対応する第1実施形態の水冷却装置の断面図。
図7図6のVII-VII断面に対応する第1実施形態の冷却器の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は、本実施形態の水冷却装置1の側面図であり、図2は、水冷却装置1の斜視図である。
本実施形態の水冷却装置1は、供給源2から送給された水wを冷却器11によって0°近い低温に冷却することにより、冷水を生成する装置である。生成された冷水は、供給通路25を通して使用機器3に供給される。図1図2において、符号4は、水冷却装置1の主要構成部材を支持するフレーム枠である。フレーム枠4には、図示しない外壁が取り付けられている。水冷却装置1の主要構成部材は、フレーム枠4に取り付けられた外壁によって外側を覆われている。
【0023】
水冷却装置1は、冷却された冷媒が内部を流れる板状の冷却器11と、冷却器11の上方に配置され、冷却対象である水を冷却器11の外側面11sに流す散水器12と、冷却器11の下方に配置され、冷却器11の外側面11sとの熱交換によって生成された冷水が一時的に貯留される冷水タンク13と、を備えている。
【0024】
冷却器11は、縦長の長方形状の板状に形成されている。冷却器11は、板厚方向が略水平方向を向く起立姿勢でフレーム枠4に固定されている。冷却器11の冷却器本体15は、縦長の長方形状の一対の熱交換プレート14が周縁部を相互に接合されて形成されている。冷却器本体15の内部には、二次冷媒(冷媒)の流れる流路が形成されている。熱交換プレート14は、例えば、ステンレス(SUS)等の金属材料によって形成されている。
【0025】
冷却器本体15の上辺の一端部には、冷却器本体15の内部に二次冷媒(冷媒)を流入させる流入口16が設けられ、冷却器本体15の下辺の一端部には、冷却器本体15内を通過した冷媒を外部に流出させる流出口17が設けられている。
以下では、説明の便宜上、冷却器11の流入口16や流出口17の配置される側を「前」と称し、それと逆側を「後」と称する。また、前方に向かって左側を「左」と称し、それと逆側を「右」と称する。図面には、鉛直上方を指す矢印UPと、前方を指す矢印FRと、左側方を指すLHが記されている。
【0026】
冷却器11の流入口16と流出口17は、冷媒(二次冷媒)の循環する循環回路18に接続されている。本実施形態では、循環回路18を流れる二次冷媒として二酸化炭素(CO2)が用いられている。このため、万が一、冷媒(二酸化炭素)の漏れが生じることがあっても人体には無害である。したがって、本実施形態の水冷却装置1は、食品を取り扱う機器にも用いることができる。ただし、循環回路18に流す冷媒(二次冷媒)は必ずしも二酸化炭素(CO2)に限定されない。
なお、図1図2中の符号5は、冷却器11の流入口16を循環回路18に接続するための接続パイプであり、符号6は、冷却器11の流出口17を循環回路18に接続するための接続パイプである。冷却器11の詳細構造については後に詳述する。
【0027】
循環回路18には、当該回路内に二次冷媒を流すための送給ポンプ19と、一次冷媒と二次冷媒の間で熱交換を行うための熱交換器20と、が介装されている。熱交換器20には、一次冷媒が内部を循環する冷凍サイクル21の蒸発器部分が接続されている。本実施形態では、冷凍サイクル21を流れる一次冷媒としてアンモニア(NH3)が用いられている。ただし、冷凍サイクル21に流す冷媒はアンモニア(NH3)に限定されない。
【0028】
本実施形態では、同構造の二つの冷却器11が散水器12の下方に左右に並んで配置されている。二つの冷却器11は、循環回路18に並列に接続されている。ただし、散水器12の下方に配置する冷却器11の個数は二つに限定されない。冷却器11の設置個数は、構築するシステムに応じて任意の数に設定することができる。
【0029】
散水器12は、上方側に開口する箱型状の散水パン22を備えている。散水パン22は、冷却対象である水wを、所定範囲の水位に保つように内部に滞留させる。本実施形態では、散水パン22が散水器12の滞留槽を構成している。散水パン22に滞留した水wは、散水パン22の底部の後述する連通孔23(図3図4図6参照)を通して、下方の冷却器11に向かって流出する。散水器12の詳細構造については後に詳述する。
【0030】
散水器12の上方には、散水ヘッド24が配置されている。散水ヘッド24は、供給源2から送給されてきた水wを、散水パン22の上方の開口を通して散水パン22の滞留部27内に導入する散水機器である。散水ヘッド24には、図示しない複数の給水孔が形成されている。供給源2から散水ヘッド24に供給された水wは、複数の給水孔を通して散水パン22の滞留部27内に流入する。
散水パン22と散水ヘッド24は、フレーム枠4に適宜固定されている。
【0031】
冷水タンク13は、上方側が開口した箱型の容器であり、冷却器11の外側面11sを通過して生成された冷水を、冷却器11の下方において、一時的に貯留する。冷水タンク13には、内部に流入した冷水を使用機器3に供給するための供給通路25が接続されている。冷水タンク13から使用機器3には、図示しない送給ポンプによって冷水が供給される。
また、図1では図示が省略されているが、冷水タンク13には、内部に流入した冷水を散水器12に戻すための戻し配管が接続されている。この戻し配管は、冷水タンク13内の冷水の温度が規定の温度よりも高いときに、図示しない送給ポンプによって冷水を散水器12に戻す。これにより、冷水タンク13内の冷水を冷却器11によって再度冷却し、冷水タンク13に貯留される冷水の温度を規定の温度以下に低下させる。
【0032】
また、二つの冷却器11の各下方には、上方側に開口し、かつ長手方向の一端側が下方に傾斜する案内樋26(図2参照)が配置されている。案内樋26の下方に傾斜した端部は、冷水タンク13の冷水貯留部の上方に位置されている。案内樋26は、各冷却器11の外側面11sを通過して生成された冷水を冷却器11の下方で捕捉し、その冷水を冷水タンク13の冷水滞留部内に流入させる。
【0033】
図3は、散水器12の斜視図であり、図4は、散水器12の平面図である。また、図5は、散水器12の正面図であり、図6は、図1のVI-VI断面に対応する散水器12と冷却器11の断面図である。なお、図5では、散水器12の下方に配置される冷却器11が仮想線で示されている。
散水器12は、前述のように上方側に開口する箱型状の散水パン22を備えている。散水パン22は、平面視が略長方形状の底壁22a(底部)と、底壁22aの周域から上方に起立する周壁22bと、を備えている。散水器12は、略長方形状の底壁22aの長手方向を前後方向に向けるようにフレーム枠4に取り付けられている。底壁22aと周壁22bに囲まれた上方開口の空間部は、散水ヘッド24(図1図2参照)から流入した水wが滞留する滞留部27とされている。周壁22bの上部には、散水パン22をフレーム枠4(図1図2参照)に取り付けるための複数のブラケット28が取り付けられている。
【0034】
散水パン22の底壁22aのうちの、左右の各冷却器11の直上位置には、冷却器11の一方の外側面11sに斜め上方から対向する第1傾斜壁30Aと、冷却器11の他方の外側面11sに斜め上方から対向する第2傾斜壁30Bと、が設けられている。左右方向で隣り合う第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの間には、前後方向に沿って延びる上方に凸の稜線31が形成されている。隣り合う第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bは、稜線31を挟んで夫々内側下方に向くように傾斜している。鉛直線(鉛直方向に沿う仮想線)に対する第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各傾斜角度は、傾斜の向きは逆向きであるが、同角度とされている。
【0035】
散水パン22の底壁22a(底部)には、上述のように稜線31を挟んで隣接する第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの対が二組設けられている。各対の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの幅方向の中央には、複数の連通孔23が前後方向に等間隔に形成されている。これらの連通孔23は、各傾斜壁30A,30Bを板厚方向に貫通し、かつ、各傾斜壁30A,30Bの上下の面に対して直交するように形成されている。これらの連通孔23は、一定内径の円形状の孔であり、すべてが同内径に形成されている。散水パン22の内部に滞留した水wは、当該水wの重力によって複数の連通孔23を通して下方に流出する。
【0036】
第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの各対の下方には、図6に示すように、対応する冷却器11が配置されている。各冷却器11は、前後方向に沿って延びる頂部11tが対応する対の稜線31の直下に位置するように配置されている。各対の第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bの連通孔23から流出した水wは、冷却器11の左右の外側面11sに対して所定の角度(0°よりも大きい角度)をもって吹き付けられる。これにより、冷却器11の外側面11sに吹き付けられた水wは、吹き付け部を中心として外側面11sに沿って外側に広がり、その後に図6中の矢印で示すように下方に流下する。
本実施形態では、連通孔23を有する第1傾斜壁30Aと第2傾斜壁30Bが、散水器12から流出した水wを冷却器11の外側面11sに案内する案内部を構成している。
【0037】
また、散水パン22の底壁22a(底部)のうちの、上述の二組の傾斜壁30A,30Bの対の間には、第3傾斜壁30Cと第4傾斜壁30Dが形成されている。第3傾斜壁30Cと第4傾斜壁30Dは、上方に凸に突出する稜線32を挟んで夫々内側下方に向くように傾斜している。本実施形態では、これらの傾斜壁30C,30Dには連通孔23は形成されていない。ただし、これらの傾斜壁30C,30Dの下方に冷却器11を配置する場合には、連通孔23を形成するようにしても良い。
【0038】
図7は、図6のVII-VII断面に対応する冷却器11の断面図である。
冷却器11の冷却器本体15は、図6図7に示すように、金属製の一対の熱交換プレート14が周縁部14pを相互に接合されて形成されている。また、一対の熱交換プレート14の内側領域(周縁部14pの内側領域)には、相互に対向する側に窪む複数の窪み部40A,40(図6参照)が形成され、相互に対向する窪み部同士が溶接によって接合されている。図6図7中の符号45Aは、窪み部40A同士が溶接された溶接部であり、符号45は、窪み部40同士が溶接された溶接部である。冷却器本体15の内部は、複数の溶接部45A,45の周域の空間が冷媒r(二次冷媒)の流れる通路とされている。流入口16から冷却器本体15の内部に流入した冷媒rは、複数の溶接部45A,45の周域を通って流出口17から外部(循環回路18)に流出する。
溶接部45A,45は、冷却器本体15の内部に冷媒rの通路を形成する複数の絞り部を構成している。
【0039】
冷却器本体15の最上部に配置される溶接部45Aは、流入口16よりも僅かに低い高さ位置において、冷却器本体15の幅方向(水冷却装置1の前後方向)に一列に並んで配置されている。換言すれば、溶接部45Aは、流入口16の近傍部から冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されている。複数の溶接部45Aは、冷却器本体15に幅方向に等間隔に設けられている。
【0040】
また、最上部の溶接部45Aよりも下方に配置される溶接部45は、上下に複数段となって設けられ、かつ、各段の溶接部45が冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されている。各段の溶接部45は、冷却器本体15に幅方向に等間隔に設けられている。各段の複数の溶接部45は、上下の段の溶接部45(45A)の並びに対して千鳥状に配置されている。このため、流入口16から冷却器本体15の上部に流入した冷媒rは、重力によって下方に流れる際に、各段の溶接部45の周域に当たり、多様な方向に分流することになる。
【0041】
最上部の溶接部45Aは、冷却器本体15の幅方向に長い略長円形状に形成されている。これに対し、溶接部45Aよりも下方の各溶接部45は、略真円形状に形成されている。最上部の溶接部45Aの上下方向の高さは、下方の段の溶接部45の直径とほぼ同じとされ、溶接部45Aの幅は、下方の段の溶接部45の直径よりも大きくなっている。このため、最上部の複数の溶接部45Aの幅方向の間隔(離間隙間g)は、当該溶接部45Aよりも下方に配置される各段の溶接部45の幅方向の間隔よりも狭くなっている。最上部の複数の溶接部45Aの間の離間隙間gは、すべてほぼ均等に設定されている。
【0042】
最上部の複数の溶接部45Aは、流入口16の近傍部から冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されることで、冷媒rの分散通路33を構成している。分散通路33の下部側を構成する複数の溶接部45Aの離間隙間gは充分に狭く、かつ、幅方向に均等に配置されている。このため、流入口16から分散通路33に流入した冷媒rは、分散通路33の幅方向の全域に均等に分散されて下方に流下する。分散通路33から下方に流下した冷媒rは、前述のように下方の各段の溶接部45の周域に当たり、多様な方向に分流する。このため、冷媒rは、流出口17から外部に流出するまでの間に、左右の熱交換プレート14の裏面の広範囲に均等に接触する。したがって、冷却器11の外側面11sを伝って下方に流下する水wは、外側面11sの広範囲で、冷却器11内の冷媒rによって均等に冷却される。
【0043】
以上のように、本実施形態の水冷却装置1は、冷却器本体15内の最上部の絞り部(溶接部45A)が、流入口16から冷却器本体15の幅方向に一列に並んで配置されることで、冷媒rの分散通路33を構成している。このため、冷却器本体15の上部の流入口16から冷媒rが導入されると、その冷媒rは、分散通路33を構成する複数の絞り部(溶接部45A)によって冷却器本体15内の幅方向の広い範囲に分散される。こうして冷却器本体15内の広範囲に分散された冷媒rは、冷却器本体15の外側面11sの広い範囲を均一に冷却するようになる。
したがって、本実施形態の水冷却装置1を採用した場合には、冷却器本体15の外側面11sを流れる水wを冷却器本体15の外側面11sによって効率良く冷却することができる。
なお、本実施形態では、冷却器本体15の一対の熱交換プレート14の対向面を溶接する複数の溶接部45A,45が冷却器本体15内の複数の絞り部を構成しているが、複数の絞り部は溶接部とは別に設けることも可能である。この場合も、最上部の複数の絞り部で分散通路33を構成することにより、上述と同様の効果を得ることができる。
【0044】
また、本実施形態の水冷却装置1は、分散通路33を構成する冷却器本体15の最上部の絞り部(溶接部45A)が冷却器本体15の幅方向に等間隔に形成されている。このため、冷却器本体15の幅方向の全域において、分散通路33から冷媒rを均一に流すことができる。さらに、本実施形態の水冷却装置1は、冷却器本体15の最上部の絞り部(溶接部45A)が下方の絞り部(溶接部45)の幅方向の間隔よりも狭い間隔に配置されている。このため、下方の絞り部(溶接部45)の間を流れる冷媒rの流れを良好に維持しつつ、冷媒rを幅方向の広範囲に均一に分散させることができる。
【0045】
また、本実施形態の水冷却装置1は、冷却器本体15の内部に配列される複数の絞り部が、一対の熱交換プレート14を接合する溶接部45A,45によって構成されている。このため、冷却器本体15の内部に絞り部を容易に形成することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の水冷却装置1では、絞り部を構成する溶接部45A,45が円形状(長円形状も含む)に形成されている。このため、一対の熱交換プレート14を接合する溶接部45A,45の周縁部に応力集中が生じにくくなり、冷却器11の耐久性が高まる。また、冷却器本体15内を流れる冷媒rが溶接部45A,45の周域において流れを阻害されにくくなり、冷媒rの流動が円滑となる。
【0047】
本実施形態の水冷却装置1では、分散通路33を構成する最上部の溶接部45Aが、冷却器本体15の幅方向に長い略長円形状に形成されている。このため、分散通路33を構成する溶接部45Aの幅方向の間隔(離間隙間g)を容易に狭めることができる。特に、本実施形態のように分散通路33を構成する溶接部45Aよりも下方の溶接部45が略真円形状である場合には、分散通路33を構成する溶接部45Aの間の間隔を狭め、かつ、その溶接部45Aよりも下方の溶接部45の間の間隔を広げた構造を容易に得ることができる。
したがって、本実施形態の水冷却装置1を採用した場合には、冷却器本体15内の下方の溶接部45の間を流れる冷媒rの流れを阻害することなく、分散通路33を流れる冷媒rを冷却器本体15内の幅方向の広範囲に均一に分散させることができる。
【0048】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば、各構成部材の材質や設置個数等は適宜変更することができる。
【0049】
また、上記の実施形態では、水冷却装置によって0℃近くの低温の冷水を生成しているが、水冷却装置は、冷却対象である水を0℃以下に冷却して氷を生成するものであっても良い。
【符号の説明】
【0050】
1…水冷却装置
11…冷却器
12…散水器
14…熱交換プレート
15…冷却器本体
16…流入口
17…流出口
33…分散通路
45,45A…溶接部(絞り部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7