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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088243
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】気化器および液体材料気化装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/205 20060101AFI20240625BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20240625BHJP
   C23C 16/448 20060101ALI20240625BHJP
   B01J 7/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L21/205
H01L21/31 B
C23C16/448
B01J7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203318
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000127961
【氏名又は名称】株式会社堀場エステック
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西脇 圭亮
【テーマコード(参考)】
4G068
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4G068DB04
4G068DD01
4G068DD11
4K030EA01
4K030EA05
5F045AA03
5F045AC15
5F045AC16
5F045BB08
5F045EB03
5F045EE02
5F045EE04
(57)【要約】
【課題】液体材料の気化性能を向上させて、液体材料の大流量での気化を実現する。
【解決手段】気化器は、液体材料を加熱して気化させる気化室と、気化室内に配置される熱交換素子と、を備える。気化室は、内面に溝を有する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体材料を加熱して気化させる気化室と、
前記気化室内に配置される熱交換素子と、を備え、
前記気化室は、内面に溝を有する、気化器。
【請求項2】
前記溝は、前記気化室の前記内面において、前記気化室が延びる中心軸方向に沿って位置する、請求項1に記載の気化器。
【請求項3】
前記溝は、前記気化室の前記内面において、前記中心軸方向から見て周方向に間隔を置いて並んで位置する、請求項2に記載の気化器。
【請求項4】
前記熱交換素子は、複数のフィンを前記中心軸方向に連結したスタティックミキサで構成される、請求項2または3に記載の気化器。
【請求項5】
前記複数のフィンは、
前記中心軸方向から見て、周方向の一方向に捩じられた第1フィンと、
前記中心軸方向から見て、周方向の逆方向に捩じられた第2フィンと、を有し、
前記第1フィンと前記第2フィンとは、前記中心軸方向に交互に連結される、請求項4に記載の気化器。
【請求項6】
前記複数のフィンの少なくともいずれかは、開口部を有する、請求項4または5に記載の気化器。
【請求項7】
液体材料を加熱して気化させる気化室と、
前記気化室内に配置される熱交換素子と、を備え、
前記熱交換素子は、複数のフィンを前記中心軸方向に連結したスタティックミキサで構成され、
前記複数のフィンの少なくともいずれかは、開口部を有する、気化器。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の気化器と、
前記気化器に液体材料を供給する液体材料供給部と、を備える液体材料気化装置。
【請求項9】
前記液体材料供給部は、前記液体材料とキャリアガスとを混合した気液混合体を前記気化器に供給する、請求項8に記載の液体材料気化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気化器および液体材料気化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
DLI(Direct Liquid Injection )方式の気化器では、液体材料とキャリアガスとを混合した気液混合体をノズルにより気化室内に噴霧して、液体材料を気化させる。液体材料を気化室内で完全に気化させるため、気化室はヒータによって加熱される。
【0003】
気化室内には、スタティックミキサなどの熱交換素子が挿入される場合がある。熱交換素子は、気化させる液体材料との接触面積を増大させて、液体材料の熱交換効率を高め、液体材料の気化性能を向上させる目的で挿入される。
【0004】
なお、樹脂製で単なる撹拌目的のスタティックミキサについては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-247348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、半導体製造プロセスにおける成膜面積の増大により、液体材料を大流量で気化させて半導体製造装置に供給することが求められている。液体材料を大流量で気化させるためには、気化室内での液体材料の熱交換効率をさらに向上させて、気化性能をさらに向上させることが要求される。このような点で、従来の気化器は改善の余地がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、液体材料の気化性能を向上させて、液体材料の大流量での気化を実現することができる気化器と、その気化器を備えた液体材料気化装置と、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面に係る気化器は、液体材料を加熱して気化させる気化室と、前記気化室内に配置される熱交換素子と、を備え、前記気化室は、内面に溝を有する。
【0009】
本発明の他の側面に係る気化器は、液体材料を加熱して気化させる気化室と、前記気化室内に配置される熱交換素子と、を備え、前記熱交換素子は、複数のフィンを前記中心軸方向に連結したスタティックミキサで構成され、前記フィンは、開口部を有する。
【0010】
本発明のさらに他の側面に係る液体材料気化装置は、上記の気化器と、前記気化器に液体材料を供給する液体材料供給部と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液体材料の気化性能を向上させて、液体材料の大流量での気化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施の一形態に係る液体材料気化装置の概略の構成を模式的に示す断面図である。
図2】上記液体材料気化装置の気化器が備える熱交換素子としてのスタティックミキサの一部を示す斜視図である。
図3】上記スタティックミキサの平面図である。
図4】上記スタティックミキサを軸方向から見たときの図である。
図5】上記スタティックミキサが配置された上記気化器を出口側から見たときの斜視図である。
図6】上記気化器を中心軸方向から見たときの図である。
図7】上記熱交換素子としての他のスタティックミキサの一部を示す斜視図である。
図8】上記他のスタティックミキサを軸方向から見たときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の液体材料気化装置1の概略の構成を模式的に示す断面図である。液体材料気化装置1は、例えば半導体製造装置(図示せず)に設置される。液体材料気化装置1は、液体材料供給部2と、気化器3と、を備える。液体材料供給部2と気化器3とは、接続部4を介して繋がっているが、接続部4を介さずに直接つながっていてもよい。
【0015】
液体材料供給部2は、気化器3に液体材料LQを供給する。このような液体材料供給部2は、例えば流量制御弁(流量調整弁)からなる。特に、本実施形態では、液体材料供給部2は、液体材料LQとキャリアガスCGとを混合した気液混合体MGを気化器3に供給する。上記の液体材料LQは、半導体製造プロセスで用いる所望のガスの液体材料である。上記のキャリアガスCGとしては、例えば窒素、アルゴンなどの不活性ガスを用いることができる。
【0016】
液体材料LQとキャリアガスCGとの混合は、気液混合部2aにおいて行われる。気液混合部2aは、例えば弁座部材と、弁体部材とを有して構成される。上記弁体部材は、アクチュエータ2bによって駆動されて、弁座部材に対して接触または離間する。弁座部材に対する弁体部材の接離により、弁座部材と弁体部材との間の隙間を介して流れる液体材料LQの供給がオンオフされる。これにより、キャリアガスCGに対する液体材料LQの混合のオンオフを切り替えることができる。アクチュエータ2bは、例えばピエゾ素子を複数枚積層したピエゾスタックで構成されるが、ソレノイド等で構成されてもよい。
【0017】
気化器3は、ノズル11と、気化部12と、を有する。気化部12は、中心軸CA方向に延びる円筒形状の構造体であり、内部に気化室13を有する。気化室13の側壁を構成する円筒状の側壁部12aには、気化室13を加熱するヒータ14が埋め込まれる。
【0018】
ノズル11は、気化部12における中心軸CA方向の一端側に配置され、液体材料供給部2から供給される気液混合体MGを、気化室13内に噴霧する。噴霧された気液混合体MGに含まれる液体材料LQは、気化室13内で加熱されて気化される。このように、気化器3は、液体材料LQを加熱して気化させる気化室13を備える。気化室13内で気化されたガスは、気化室13の中心軸CA方向の他端部側(出口側)から、不図示の半導体製造装置に向かって排出される。
【0019】
気化器3は、熱交換素子15を備える。熱交換素子15は、気化室13内に例えば出口側から挿入され、気化室13の内面と所定の位置で接して配置される。なお、例えば、気化部12の入口にノズル11を溶接等により固定する前に、熱交換素子15を気化室13内に入口側から挿入し、その後、気化部12の入口にノズル11を溶接してもよい。したがって、気化室13内に熱交換素子15を設置する際の熱交換素子15の挿入方向は、特に限定されない。熱交換素子15は、例えば熱伝導性を有する金属材料で形成される。上記金属材料としては、例えばSUS(ステンレス鋼)、銅、アルミニウム、チタン、などが挙げられる。
【0020】
熱交換素子15は、例えばスタティックミキサ15aで構成される。図2および図3はそれぞれ、スタティックミキサ15aの一部を示す斜視図および平面図である。図4は、スタティックミキサ15aを軸AX方向から見たときの図である。なお、スタティックミキサ15aの軸AXは、スタティックミキサ15aを気化室13内に配置したときに、気化部12の中心軸CAと一致する軸である。したがって、気化器3においては、スタティックミキサ15aの「軸AX」を「中心軸CA」で適宜読み替えることができるとする。
【0021】
熱交換素子15としてのスタティックミキサ15aは、複数のフィン150を軸AX方向に、つまり、中心軸CA方向に連結して構成される。なお、フィン150の枚数は複数であれば特に限定されない。複数のフィン150は、第1フィン151と、第2フィン152と、を有する。第1フィン151は、中心軸CA方向の一方側から見て平板を左回りに捩じって構成される。つまり、第1フィン151は、中心軸CA方向から見て、中心軸CAを中心とする周方向の一方向に平板を捩じって構成される。第2フィン152は、中心軸CA方向の一方側から見て平板を右回りに捩じって構成される。つまり、第2フィン152は、中心軸CA方向から見て、周方向の上記一方向とは逆方向に平板を捩じって構成される。そして、第1フィン151と第2フィン152とは、中心軸CA方向に交互に位置し、溶接等により連結される。
【0022】
なお、スタティックミキサ15aの形成方法は上記の方法には限定されない。例えば、金属材料を用いて造形する3Dプリンタにより、スタティックミキサ15aを形成してもよいし、円柱状または角柱形状の柱状体を切削してスタティックミキサ15aを形成してもよい。
【0023】
図5は、スタティックミキサ15aが気化室13内に配置された気化器3を出口側から見たときの斜視図である。図6は、上記気化器3を中心軸CA方向から見たときの図である。気化室13は、内面に溝130を有する。溝130は、気化室13の内面において、気化室13が延びる中心軸CA方向に沿って位置する。また、図6に示すように、溝130は、気化室13の内面において、中心軸CA方向から見て周方向に間隔を置いて並んで位置する。なお、溝130の本数は、特に限定されず、少なくとも1本の溝130が気化室13の内面に形成されていればよい。
【0024】
本実施形態のように、気化室13の内面に溝130が形成されることにより、溝130のない構成に比べて、気化室13の内面の表面積が増大する。そして、気化室13内に導入された気液混合体MGに含まれる液体材料LQの、気化室13の内面に対する接触面積が増大する。これにより、気化室13内での液体材料LQの熱交換効率を向上させることができ、液体材料LQの気化性能を向上させることができる。加えて、気化室13内では、液体材料LQが熱交換素子15および気化室13の内面の溝130の両者と接触することで、気化室13内で流体の複雑な乱流が発生する。なお、上記流体には、気化する前の液体材料LQ、液体材料LQが気化された後のガス、およびキャリアガスCGが含まれる。上記乱流の発生により、上記流体に含まれる液体材料LQの熱交換効率をより向上させることができ、液体材料LQの気化性能をさらに向上させることができる。したがって、気化室13内に大流量の液体材料LQを導入しても、その大流量の液体材料LQを気化させて半導体製造装置に排出することができる。つまり、液体材料LQの気化性能を向上させて、近年要求されている液体材料LQの大流量での気化を実現することができる。
【0025】
特に、液体材料気化装置1において、液体材料供給部2が、気液混合体MGを気化器3に供給し、気化器3にて気液混合体MGに含まれる液体材料LQを気化させる構成において、液体材料LQの大流量での気化を実現することができる。
【0026】
以上のことから、気化室13の内面に形成された溝130は、気化室13の内面の表面積を増大させ、気液混合体MG(液体材料LQ)が溝130に入り込むことによって気化室13内に複雑な乱流を発生させ、熱交換効率を向上させることができる構造体であると言うことができる。また、図6より、溝130は、中心軸CA方向から見て、スタティックミキサ15aよりも径方向外側に位置する構造体であるとも言うこともできる。
【0027】
また、気化器3において、溝130は、気化室13内で中心軸CA方向に沿って位置するため、気化室13の中心軸CA方向の全体にわたって、上記接触面積の増大による気化性能の向上と、複雑な乱流の発生による気化性能の向上とを図ることができる。これにより、大流量の液体材料を気化させることが確実に可能となる。また、溝130が中心軸CA方向に沿う構成であれば、気化室13の内面に溝130を加工形成することも容易である。
【0028】
なお、気化室13の内面において、溝130は螺旋形状で形成されてもよいし、中心軸CA周りの方向(周方向)に形成されてもよい。この場合、例えば、気化室13を有する構造体(気化部12)を、中心軸CAを含む面で2分割して所望の形状の溝130をそれぞれ形成した後、分割した構造体同士を貼り合わせる等により、気化部12を製造することができる。また、溝130は、途中で途切れていてもよい。
【0029】
また、図6で示したように、溝130は、気化室13の内面において周方向に間隔を置いて並んで位置し、周方向の複数箇所に位置する。このため、気化室13の内面に対する液体材料の接触面積を確実に増大させることができるとともに、液体材料を含む流体の複雑な乱流を確実に発生させることができる。
【0030】
また、熱交換素子15は、複数のフィン150を連結したスタティックミキサ15aで構成される。各フィン150により、液体材料LQを気化室13内で撹拌させることができる。これにより、気化室13内でより複雑な乱流を発生させて、液体材料LQの熱交換効率の向上ひいては気化性能の向上を図ることができる。
【0031】
スタティックミキサ15aは、中心軸CA方向に交互に連結される第1フィン151および第2フィン152を有する。この構成では、気化室13内において、第1フィン151または第2フィン152により、液体材料LQの流路の分割(フィン150の表面側および裏面側への流路の分割)と、分割された各流路の合流とが繰り返される。これにより、気化室13内でより複雑な乱流を確実に発生させて、気化性能の向上を図ることができる。
【0032】
図7は、他のスタティックミキサ15bの一部を示す斜視図である。図8は、スタティックミキサ15bを軸AX方向から見たときの図である。図1で示した気化器3の気化室13内に配置する熱交換素子15として、スタティックミキサ15aの代わりにスタティックミキサ15bを用いてもよい。
【0033】
図7および図8に示すように、スタティックミキサ15bは、第1フィン151および第2フィン152のそれぞれに、少なくとも1つの開口部15Pを形成した以外は、図2等で示したスタティックミキサ15aと同様の構成である。開口部15Pは、軸AX方向に開口した孔で形成される。このようなスタティックミキサ15bは、図2等で示したスタティックミキサ15aの各フィン150に対して、軸AX方向に沿って切削工具(例えばドリル)を進行させて開口部15Pとなる貫通孔を形成することにより、製造することができる。
【0034】
なお、開口部15Pを、周囲が閉じた孔で形成する代わりに、周囲の一部が開いた切り欠きで形成してもよい。また、開口部15Pは、第1フィン151および第2フィン152のどちらか一方にのみ形成されていてもよい。例えば開口部15Pを有する第1フィン151と、開口部15Pを有さない第2フィン152とを軸AX方向に溶接等によって連結してスタティックミキサ15bを構成してもよい。また、開口部15Pは、フィン150を厚さ方向(フィン150の表面または裏面と垂直な方向)に貫通する孔であってもよい。
【0035】
このように、スタティックミキサ15bを構成する複数のフィン150の少なくともいずれかは、開口部15Pを有する。このようなスタティックミキサ15bを気化室13内に配置することにより、気化室13内では、液体材料LQの流路として、フィン150によって(表面側および裏面側に)2分割されてフィン150に沿って流れる流路に加えて、フィン150の開口部15Pを通る流路を発生させることができる。複数のフィン150により、これらの流路の分割と、分割された流路の合流とが繰り返されるため、気化室13内で流体の複雑な乱流をより確実に発生させることができる。その結果、気化性能の向上を図る本実施形態の効果をより高めることができる。
【0036】
図7および図8で示したスタティックミキサ15bを気化室13内に配置した気化器3は、以下のように表現することができる。すなわち、上記気化器3は、液体材料LQを加熱して気化させる気化室13と、気化室13内に配置される熱交換素子15と、を備える。上記熱交換素子15は、複数のフィン150を中心軸CA方向に連結したスタティックミキサ15bで構成される。スタティックミキサ15bの複数のフィン150の少なくともいずれかは、開口部15Pを有する。この構成により、気化室13内で流体の複雑な乱流をより確実に発生させて、気化性能の向上を図る本実施形態の効果をより高めることができると言える。
【0037】
なお、熱交換素子15としてスタティックミキサ15bを用いた場合でも、気化室13の内面には溝130が形成されていることが望ましいが、溝130は形成されていなくてもよい。つまり、熱交換素子15としてスタティックミキサ15bを用いた場合、気化室13の内面に溝130が形成されていなくても、気化室13内での液体材料LQの気化性能を向上させて、液体材料LQの大流量での気化を実現することは可能である。
【0038】
本実施形態では、液体材料供給部2の内部において液体材料LQとキャリアガスCGとを混合する内部混合方式の液体材料気化装置1について説明したが、液体材料気化装置1は、液体材料供給部2の外部で液体材料LQとキャリアガスCGとを混合する外部混合方式であってもよい。外部混合方式では、例えば、液体材料供給部2がノズル11を介して液体材料LQを気化室13内に導入し、別のルートでキャリアガスCGを気化室13内に導入する。このような外部混合方式であっても、本実施形態の気化器3の構成を適用することにより、液体材料LQの気化性能を向上させて、液体材料LQの大流量での気化を実現することができることに変わりはない。
【0039】
図1の構成において熱交換素子15をスタティックミキサ15aで構成する代わりに、充填材で構成してもよい。充填材は、金属製の粒状物質と、粒状物質に対して流路の上流側および下流側に配置されるフィルタと、を含んで構成される。このとき、気化室13内に導入される気液混合体MGに含まれる液体材料LQを、気化室13の内面の溝130に確実に接触させるため、気化室13の内面の溝130の幅は、上記粒状物質の径よりも小さいとする。充填材により、スタティックミキサ15aと同等の熱交換効率を実現することができるため、充填材をスタティックミキサ15aの代わりに用いても、液体材料LQの気化性能を向上させて、液体材料LQの大流量での気化を実現することができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で拡張または変更して実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、例えば半導体製造装置の前段に設けられる気化器に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 液体材料気化装置
2 液体材料供給部
3 気化器
13 気化室
15 熱交換素子
15P 開口部
15a スタティックミキサ
15b スタティックミキサ
130 溝
150 フィン
151 第1フィン
152 第2フィン
CA 中心軸
LQ 液体材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8