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特開2024-88438使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088438
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法
(51)【国際特許分類】
   B29B 17/02 20060101AFI20240625BHJP
   D21C 5/02 20060101ALI20240625BHJP
   D21B 1/32 20060101ALI20240625BHJP
   B09B 3/70 20220101ALI20240625BHJP
   B09B 3/35 20220101ALI20240625BHJP
【FI】
B29B17/02 ZAB
D21C5/02
D21B1/32
B09B3/70
B09B3/35
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203603
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100139022
【弁理士】
【氏名又は名称】小野田 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100192463
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 剛規
(74)【代理人】
【識別番号】100169328
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 健治
(72)【発明者】
【氏名】西嶋 恒
(72)【発明者】
【氏名】三好 博行
【テーマコード(参考)】
4D004
4F401
4L055
【Fターム(参考)】
4D004AA48
4D004CA04
4D004CA13
4D004CA34
4D004CB13
4D004CC12
4D004CC15
4F401AD04
4F401BA13
4F401CA01
4F401CA02
4F401CA14
4F401CA31
4F401CA35
4F401CA48
4F401CB32
4F401EA23
4F401EA64
4L055AA11
4L055AC09
4L055AG34
4L055AG99
4L055FA22
(57)【要約】
【課題】廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制しつつ、繊維状物及び粒子状物の少なくとも一方の分離率を高め、回収率を向上することが可能な、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法を提供する。
【解決手段】分離方法は、使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液Qを、第1スクリーン装置10で、繊維状物及び処理液を多く含む第1アクセプトA1と、粒子状物を多く含む第1リジェクトR1と、に分離する第1スクリーン工程S41と、第1アクセプトを固液分離して得られた処理液L1の一部を、第1混合装置11で、第1リジェクトと混合して第1混合液C1を生成する第1混合工程S42と、第1混合液を、第2スクリーン装置12で、繊維状物及び処理液を多く含む第2アクセプトA2と、粒子状物を多く含む第2リジェクトR2と、に分離する第2スクリーン工程S43と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法であって、
前記使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、前記繊維状物及び前記処理液を多く含む第1アクセプトと、前記粒子状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する第1スクリーン工程と、
前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトを、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する第1固液分離工程と、
前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1リジェクトと混合して第1混合液を生成する第1混合工程と、
前記第1混合液を、第2スクリーン装置で、前記繊維状物及び前記処理液を多く含む第2アクセプトと、前記粒子状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する第2スクリーン工程と、
を備える、分離方法。
【請求項2】
前記第2スクリーン工程で得られた前記第2アクセプトを、前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトと混合して第2混合液を生成する第2混合工程を更に備え、
前記第1固液分離工程は、前記第2混合液を、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する工程を含む、
請求項1に記載の分離方法。
【請求項3】
前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の他の一部を、前記第2スクリーン工程で得られた前記第2リジェクトと混合して第3混合液を生成する第3混合工程と、
前記第3混合液を、前記粒子状物と前記処理液とに固液分離する第2固液分離工程と、
を更に備える、
請求項1又は2に記載の分離方法。
【請求項4】
前記第1スクリーン工程の前に、前記使用済み衛生用品の繊維状物及び粒子状物を前記処理液中で離解して、前記分散液を生成する離解工程と、
前記第2固液分離工程で得られた前記処理液の一部を、前記離解工程に戻す戻し工程と、
を更に備える、
請求項3に記載の分離方法。
【請求項5】
前記第1固液分離工程で分離された前記繊維状物を圧搾して、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する、第3固液分離工程を更に備え、
前記第1混合工程は、前記第3固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1混合液と混合する工程を含む、
請求項1又は2に記載の分離方法。
【請求項6】
前記第1固液分離工程で分離された前記繊維状物を圧搾して、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する、第3固液分離工程を更に備え、
前記第3混合工程は、前記第3固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第3混合液と混合する工程を含む、
請求項3に記載の分離方法。
【請求項7】
前記粒子状物は、高吸水性ポリマーであり、
前記処理液は、前記高吸水性ポリマーを不活化する不活化剤を含む水溶液である、
請求項1又は2に記載の分離方法。
【請求項8】
前記不活化剤は、無機酸又は有機酸を含む、
請求項7に記載の分離方法。
【請求項9】
使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法であって、
前記使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、前記粒子状物及び前記処理液を多く含む第1アクセプトと、前記繊維状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する第1スクリーン工程と、
前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトを、前記粒子状物と前記処理液とに固液分離する第1固液分離工程と、
前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1リジェクトと混合して第1混合液を生成する第1混合工程と、
前記第1混合液を、第2スクリーン装置で、前記粒子状物及び前記処理液を多く含む第2アクセプトと、前記繊維状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する第2スクリーン工程と、
を備える、分離方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法に関し、特に、使用済み衛生用品からリサイクル材料を製造するときに使用される使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物とを分離する方法が知られている。例えば、特許文献1には、使用済み衛生用品の処理方法が開示されている。この処理方法は、衛生用品を離解して水に分散させる工程と、衛生用品に含まれる繊維(繊維状物)およびSAP(粒子状物)を分離回収する工程と、を少なくとも含む。前記衛生用品を離解して水に分散させる工程では、その水に架橋剤および酸性物質を加える。
【0003】
具体的には、特許文献1では、まず、衛生用品を離解して水に分散させる工程として、原料である使用済み紙おむつをパルパーに投入し、水に分散する。その後、紙おむつに含まれる繊維およびSAPを分離回収する工程として、分散液を、スクリーン等を用いて処理し、まずSAP分を回収する。続いて、繊維を含む分散液を、脱水機等により洗浄・脱水する。ここで、脱水された水は工程内に戻し再利用することができる。さらに、繊維を含む分散液を、高濃度化装置により処理する。そして、必要に応じて洗浄・脱水やスクリーン処理を行い、繊維分を回収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-150976号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1ではスクリーンのような分離装置を用いた分離工程で、衛生用品が離解され水に分散された分散液から、衛生用品の繊維状物及び粒子状物をそれぞれ分離している。しかし、繊維状物及び粒子状物はいずれも細かい材料であるため、一度の分離工程だけで、それらを互いに十分に分離、回収することは容易ではない。
【0006】
そこで、繊維状物及び粒子状物の少なくとも一方の分離率や回収率を高めるべく、それぞれ複数回の分離工程を行うことが考えられる。
【0007】
ここで、各分離工程では、アクセプトには固体(例示:繊維状物)と水(液体)とが含まれる(固形分濃度が低い)。一方、リジェクトには固体(例示:粒子状物)は含まれるが、水(液体)はあまり含まれない(固形分濃度が高い)。すなわち、アクセプトでの水(液体)の割合は高いが、リジェクトでの水(液体)の割合が低くなり易く、アクセプトとリジェクトとで、水(液体)の量のバランスが偏り易くなる。
【0008】
そのため、アクセプトを再び分離工程で処理する場合には、水の部分的な除去などにより、水(液体)中の固体の濃度を分離工程に必要な数値範囲に調整し易い。しかし、リジェクトを再び分離工程で処理する場合には、水(液体)中の固体の濃度を分離工程に必要な数値範囲に調整するには、水(液体)を新たに追加する必要が出てきてしまう。そうなると、分離工程後の廃液の量が増えてしまい、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を招くおそれがある。
【0009】
本発明の目的は、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法において、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制しつつ、繊維状物及び粒子状物の少なくとも一方の分離率を高め、回収率を向上することが可能な分離方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法であって、前記使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、前記繊維状物及び前記処理液を多く含む第1アクセプトと、前記粒子状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する第1スクリーン工程と、前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトを、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する第1固液分離工程と、前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1リジェクトと混合して第1混合液を生成する第1混合工程と、前記第1混合液を、第2スクリーン装置で、前記繊維状物及び前記処理液を多く含む第2アクセプトと、前記粒子状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する第2スクリーン工程と、を備える、分離方法、である。
【0011】
本発明の他の態様は、使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法であって、前記使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、前記粒子状物及び前記処理液を多く含む第1アクセプトと、前記繊維状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する第1スクリーン工程と、前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトを、前記粒子状物と前記処理液とに固液分離する第1固液分離工程と、前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1リジェクトと混合して第1混合液を生成する第1混合工程と、前記第1混合液を、第2スクリーン装置で、前記粒子状物及び前記処理液を多く含む第2アクセプトと、前記繊維状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する第2スクリーン工程と、を備える、分離方法、である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法において、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制しつつ、繊維状物及び粒子状物の少なくとも一方の分離率を高め、回収率を向上することが可能な分離方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態に係る使用済み衛生用品の構成材料の分離方法に用いられるシステムの構成例を示すブロック図である。
図2】実施形態に係る使用済み衛生用品の構成材料の分離方法の一例を示すフロー図である。
図3】実施形態に係る使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法に用いられる装置の構成例を示すブロック図である。
図4】実施形態に係る使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本実施形態は、以下の態様に関する。
[態様1]
使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法であって、前記使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、前記繊維状物及び前記処理液を多く含む第1アクセプトと、前記粒子状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する第1スクリーン工程と、前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトを、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する第1固液分離工程と、前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1リジェクトと混合して第1混合液を生成する第1混合工程と、前記第1混合液を、第2スクリーン装置で、前記繊維状物及び前記処理液を多く含む第2アクセプトと、前記粒子状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する第2スクリーン工程と、を備える、分離方法。
【0015】
本方法では、先ず、分散液に対して第1スクリーン工程を行い、第1リジェクト(主に粒子状物と処理水;固形分濃度が高い)と第1アクセプト(主に繊維状物と処理水;固形分濃度が低い)とを生成し、次いで、第1リジェクトを、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液と混合して、その濃度を薄めた第1混合液とし、次いで、第1混合液に対して第2スクリーン工程を行うことで、第2リジェクト(主に粒子状物)を得ている。ここで、第1リジェクトに対して第2スクリーン工程を行うとき、第1リジェクトに、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液を混合して第1混合液とすることで、その濃度をスクリーン工程に有利な適正濃度に薄めているので、第2スクリーン工程を適正に実施できる。その際、分離し切れずに処理液に残存していた粒子状物も第1混合液に含めて第2スクリーン工程を実施できる。それらにより、粒子状物の分離率を高めることができ、それにより、回収率を向上することができる。その際、第2スクリーン工程において、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液を用いているので、液体(例示:水、処理液)を新たに追加する必要が無い。それにより、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制することができる。
【0016】
[態様2]
前記第2スクリーン工程で得られた前記第2アクセプトを、前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトと混合して第2混合液を生成する第2混合工程を更に備え、前記第1固液分離工程は、前記第2混合液を、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する工程を含む、態様1に記載の分離方法。
【0017】
本方法では、第2アクセプト(主に繊維状物及び処理液)と、第1アクセプト(主に繊維状物と処理水)とを混合した第2混合液に対して、第1固液分離工程を行っているので、第1アクセプトのみに対して、第1固液分離工程を行う場合と比較して、より多くの繊維状物を得ることができる。それにより、繊維状物の分離率を高めることができ、それにより、回収率を向上することができる。
【0018】
[態様3]
前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の他の一部を、前記第2スクリーン工程で得られた前記第2リジェクトと混合して第3混合液を生成する第3混合工程と、前記第3混合液を、前記粒子状物と前記処理液とに固液分離する第2固液分離工程と、を更に備える、態様1又は2に記載の分離方法。
【0019】
本方法では、第2リジェクト(主に粒子状物)を、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液と混合し、その濃度を薄めた第3混合液とし、第3混合液に対して第2固液分離工程を行うことで、粒子状物を得ている。ここで、第2リジェクトに対して第2固液分離工程を行うとき、第2リジェクトに、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液を混合することで、その濃度を固液分離工程に必要な適正濃度に薄めているので、第2固液分離工程を適正に実施できる。その際、第1固液分離工程で分離し切れずに処理液に残存していた粒子状物も第3混合液に含めて第2固液分離工程を実施できる。それにより、粒子状物の分離率をより高めることができ、それにより、回収率をより向上することができる。
【0020】
[態様4]
前記第1スクリーン工程の前に、前記使用済み衛生用品の繊維状物及び粒子状物を前記処理液中で離解して、前記分散液を生成する離解工程と、前記第2固液分離工程で得られた前記処理液の一部を、前記離解工程に戻す戻し工程と、を更に備える、態様3に記載の分離方法。
【0021】
本方法では、第2固液分離工程で得られた前記処理液の一部を、離解工程に戻すので、戻し工程が無い場合と比較して、新たに追加する液体(例示:水、処理液)の量を抑制できる。それにより、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制することができる。
【0022】
[態様5]
前記第1固液分離工程で分離された前記繊維状物を圧搾して、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する、第3固液分離工程を更に備え、前記第1混合工程は、前記第3固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1混合液と混合する工程を含む、態様1乃至4のいずれか一項に記載の分離方法。
【0023】
本方法では、第3固液分離工程において、第1固液分離工程で分離された繊維状物(の集合体)を圧搾することで、繊維状物(の集合体)に含まれていた処理液を抽出し、抽出された処理液を第1混合液と混合している。それにより、第2スクリーン工程を行うとき、第1、第3固液分離工程で分離し切れずに抽出された処理液に残存していた粒子状物も第1混合液に含めて第2スクリーン工程を実施できる。それにより、粒子状物の分離率をより高めることができ、回収率をより向上することができる。
【0024】
[態様6]
前記第1固液分離工程で分離された前記繊維状物を圧搾して、前記繊維状物と前記処理液とに固液分離する、第3固液分離工程を更に備え、前記第3混合工程は、前記第3固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第3混合液と混合する工程を含む、態様3に記載の分離方法。
【0025】
本方法では、第3固液分離工程において、第1固液分離工程で分離された繊維状物(の集合体)を圧搾することで、繊維状物(の集合体)に含まれていた処理液を抽出し、抽出された処理液を第3混合液と混合している。それにより、第2固液分離工程を行うとき、第1、第3固液分離工程で分離し切れずに処理液に残存していた粒子状物も第3混合液に含めて第2固液分離工程を実施できる。それにより、粒子状物の分離率をより高めることができ、回収率をより向上することができる。
【0026】
[態様7]
前記粒子状物は、高吸水性ポリマーであり、前記処理液は、前記高吸水性ポリマーを不活化する不活化剤を含む水溶液である、態様1又は2に記載の分離方法。
【0027】
本方法では、処理液は、高吸水性ポリマーを不活化する不活化剤を含む水溶液であるため、各工程において、高吸水性ポリマーが膨潤して分離し難くなることを抑制できる。それにより、高吸水性ポリマー、すなわち粒子状物の分離率をより高めることができ、それにより、回収率をより向上することができる。その際、不活化剤を含む水溶液を用いると、通常の水を用いる場合と比較して、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大が生じ易いが、本方法により、それらを抑制することができる。
【0028】
[態様8]
前記不活化剤は、無機酸又は有機酸を含む、態様7に記載の分離方法。
【0029】
本方法では、不活化剤は、無機酸又は有機酸を含んでいる。そのため、高吸水性ポリマーを適切に不活化することができ、各工程において、高吸水性ポリマーが膨潤して分離し難くなることをより抑制できる。
【0030】
[態様9]
使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法であって、前記使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、前記粒子状物及び前記処理液を多く含む第1アクセプトと、前記繊維状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する第1スクリーン工程と、前記第1スクリーン工程で得られた前記第1アクセプトを、前記粒子状物と前記処理液とに固液分離する第1固液分離工程と、前記第1固液分離工程で得られた前記処理液の一部を前記第1リジェクトと混合して第1混合液を生成する第1混合工程と、前記第1混合液を、第2スクリーン装置で、前記粒子状物及び前記処理液を多く含む第2アクセプトと、前記繊維状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する第2スクリーン工程と、を備える、分離方法。
【0031】
本方法では、先ず、分散液に対して第1スクリーン工程を行い、第1リジェクト(主に繊維状物;固形分濃度が高い)と第1アクセプト(主に粒子状物と処理水;固形分濃度が低い)とを生成し、次いで、第1リジェクトを、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液と混合して、その濃度を薄めた第1混合液とし、次いで、第1混合液に対して第2スクリーン工程を行うことで、第2リジェクト(主に繊維状物)を得ている。ここで、第1リジェクトに対して第2スクリーン工程を行うとき、第1リジェクトに、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液を混合して第1混合液とすることで、その濃度をスクリーン工程に必要な適正濃度に薄めているので、第2スクリーン工程を適正に実施できる。その際、分離し切れずに処理液に残存していた繊維状物も第1混合液に含めて第2スクリーン工程を実施できる。それらにより、繊維状物の分離率を高めることができ、それにより、回収率を向上することができる。その際、第2スクリーン工程において、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液を用いているので、液体(例示:水、処理液)を新たに追加する必要が無い。それにより、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制することができる。
【0032】
以下、本実施形態に係る使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法について説明する。
【0033】
ただし、使用済み衛生用品は、使用者によって使用された衛生用品であるが、使用されていない衛生用品を含んでもよい。衛生用品としては、例えば、使い捨ておむつ、尿取りパッド、失禁パッド、生理用ナプキン、使い捨てショーツ、ベッド用シート及びペット用シートのような吸収性物品が挙げられる。使用済みの衛生用品は、使用者の排泄物(例示:尿、便、経血)を吸収・保持した状態でもよく、吸収・保持していない状態でもよい。
【0034】
まず、実施形態において対象となる衛生用品の構成例について説明する。衛生用品は、表面シートと、裏面シートと、表面シートと裏面シートとの間に配置された吸収体とを備える。衛生用品の大きさとしては、例えば、長さ約15~100cm、幅5~100cmが挙げられるが、この例に限定されるものではない。なお、衛生用品は、一般的な衛生用品が備える他の部材、例えば拡散シート、防漏壁、サイドシート、外装シート、弾性部材などを更に含んでもよい。
【0035】
表面シートの構成部材としては、例えば液透過性の不織布、液透過孔を有する合成樹脂フィルム、これらの複合シート等が挙げられる。裏面シートの構成部材としては、例えば液不透過性の不織布、液不透過性の合成樹脂フィルム、これらの複合シートが挙げられる。拡散シートの構成部材としては、例えば液透過性の不織布が挙げられる。防漏壁やサイドシートの構成部材としては、例えば撥水性の不織布が挙げられ、防漏壁はゴムのような弾性部材を含んでもよい。外装シートの構成部材としては、例えば液不透過性かつ通気性の不織布、液不透過性かつ通気性の合成樹脂フィルム、これらの複合シートが挙げられる。弾性部材の構成部材としては、例えばゴム系の合成樹脂が挙げられる。不織布の種類としては、特に制限はなく、例えばメルトブローン不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布などが挙げられる。合成樹脂フィルムの種類としては、特に制限はなく、公知のフィルム材料を用いることができる。不織布や合成樹脂フィルムの材料としては、衛生用品用として使用可能であれば特に制限はないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂、6-ナイロン、6,6-ナイロン等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンタレフタレート、ポリブチレンテレタレート等のポリエステル系樹脂等が挙げられる。これらの不織布や合成樹脂フィルムの材料は、合成樹脂であり、プラスチック材料ということができる。本実施形態では裏面シートの構成部材を合成樹脂フィルムとし、表面シートの構成部材を不織布とする。
【0036】
吸収体の構成部材としては吸収体材料、例えば、繊維状物であるパルプ繊維及び粒子状物である高吸水性ポリマーの少なくとも一方が挙げられる。繊維状物であるパルプ繊維としては、例えばセルロース系繊維が挙げられる。セルロース系繊維としては、例えば木材パルプ、架橋パルプ、非木材パルプ、再生セルロース、半合成セルロース等が挙げられる。パルプ繊維の大きさとしては、繊維の平均長径が例えば数十μmが挙げられ、20~40μmが好ましく、平均繊維長が例えば数mmが挙げられ、2~5mmが好ましい。粒子状物である高吸水性ポリマー(SuperAbsorbent Polymer:SAP)としては、例えばポリアクリル酸塩系、ポリスルホン酸塩系、無水マレイン酸塩系の吸水性ポリマーが挙げられる。高吸水性ポリマーの大きさ(乾燥時)としては、平均粒径が例えば数百μmが挙げられ、200~500μmが好ましい。吸収体は液透過性シートで形成されたコアラップを含んでもよい。本実施形態では吸収体の構成材料をコアラップで包まれた繊維状物であるパルプ繊維及び粒子状物である高吸水性ポリマーとする。
【0037】
吸収体の一方の面及び他方の面は、それぞれ表面シート及び裏面シートに接着剤を介して接合されている。平面視で、表面シートのうちの、吸収体を囲むように、吸収体の外側に延出した部分(周縁部分)は、裏面シートのうちの、吸収体を囲むように、吸収体の外側に延出した部分(周縁部分)と接着剤を介して接合されている。したがって、吸収体は表面シートと裏面シートとの接合体の内部に包み込まれている。接着剤としては、特に制限はないが、例えばホットメルト型接着剤が挙げられる。ホットメルト型接着剤としては、例えばスチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-ブタジエン-スチレン、スチレン-イソプレン-スチレン等のゴム系主体、又はポリエチレン等のオレフィン系主体の感圧型接着剤又は感熱型接着剤が挙げられる。
【0038】
次に、実施形態に係る使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法について、具体的に説明する。ここでは、その使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法が適用された例として、使用済み衛生用品の構成材料(例示:プラスチック材料、パルプ繊維及び高吸水性ポリマー)の分離方法について説明する。本実施形態では、衛生用品は吸収性物品(使い捨ておむつ)である。
【0039】
図1は、実施形態に係る使用済み衛生用品の構成材料の分離方法に用いられるシステム1の構成例を示すブロック図である。図2は、実施形態に係る使用済み衛生用品の構成材料の分離方法の一例を示すフロー図である。図2の方法は、図1のシステム1を用いて実施され、収集袋に収容された使用済み衛生用品を、プラスチック材料、粒子状物である高吸水性ポリマー(SAP)及び繊維状物であるパルプ繊維に分離する。以下、詳細に説明する。
【0040】
図2に示すように、使用済み衛生用品の構成材料の分離方法は、破砕工程S1と、第1分離工程S2と、除塵工程S3と、第2分離工程S4と、第3分離工程S5と、酸化剤処理工程S6と、第4分離工程S7と、を具備する。
【0041】
本実施形態では、使用済み衛生用品を、再利用(リサイクル)のために外部から回収して用いる。その際、複数の使用済み衛生用品を収集袋に封入することで、排泄物や菌類や臭気が外部に漏れることを抑制している。収集袋内の個々の使用済み衛生用品は、例えば、排泄物や菌類が表側に露出せず、臭気が周囲に拡散しないように、排泄物が排泄される表面シートを内側に、丸められた状態や折り畳まれた状態で回収される。なお、使用済み衛生用品は、収集袋に封入されなくてもよいし、丸められなくてもよい。
【0042】
破砕工程S1は、使用済み衛生用品を、高吸水性ポリマーを不活化する不活化剤を含む不活化水溶液と共に破砕する工程である。破砕工程S1は、破砕装置3(例示:二軸回転式破砕機、二軸差動式破砕機、二軸せん断式破砕機のような二軸破砕機)により実施される。不活化水溶液と共に破砕するとは、不活化水溶液と共に使用済み衛生用品を破砕装置3に供給しつつ破砕する場合や、破砕装置3に貯留された不活化水溶液の中に使用済み衛生用品を入れて破砕する場合を含む。本実施形態では前者の場合である。
【0043】
本実施形態では、破砕工程S1において、使用済み衛生用品を封入した収集袋91が、受入装置2(例示:受け入れ槽、受入容器)に供給され、受入装置2の下方に連通した破砕装置3へ移動する。それと共に、不活化水溶液(例示:酸性水溶液(酸含有水溶液))が受入装置2を介して破砕装置3へ供給される。収集袋91は、破砕装置3により、不活化水溶液と共に破砕される。それにより、収集袋91内の使用済み衛生用品が、収集袋91ごと不活化水溶液中で破砕されて、破砕物が生成される。その際、不活化水溶液で高吸水性ポリマーが不活化される。破砕物は不活化水溶液と共に混合物92として、第1分離工程S2へ送られる。なお、収集袋91の受け入れ前の破砕装置3に、予め不活化水溶液が貯留されていてもよい。なお、混合物とは、固体状のものだけでなく、スラリー状のものや、液体状のものであってもよく、以下、同様である。
【0044】
ここで、破砕工程S1では、破砕物の大きさが概ね1~150mm、好ましくは5~100mmとなるように、使用済み衛生用品が破砕されることが好ましい。1mm以上にすると、パルプ繊維及び高吸水性ポリマー以外の他の資材(例示:フィルム、不織布、弾性体など)が大きく切断されて、後続の工程でそれら資材とパルプ繊維及び高吸水性ポリマーとを分離し易くできる。150mm以下にすると、使用済みの衛生用品の各資材同士が絡み難くなるので、大きめの資材同士が離解し易くなるほか、それら資材同士に挟持されたパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを分離し易くできる。
【0045】
使用済み衛生用品を不活化水溶液と共に粉砕処理すると、使用済み衛生用品に含まれていた高吸水性ポリマーは、不活化し、脱水して、小粒径になる。そのため、後続の工程において高吸水性ポリマーの取り扱い(分離や回収)が容易になり、処理の効率が向上する。不活化剤としては、無機酸及び有機酸の水溶液、すなわち酸性水溶液を用いることが好ましい。酸性水溶液を用いると、石灰や塩化カルシウムのような水溶液を用いる場合と比較して、プラスチック材料や高吸水性ポリマーやパルプ繊維などに灰分や塩素を残留し難くでき、不活化の程度(粒径や比重の大きさ)をpHで調整し易くできる。なお、不活化水溶液として、公知の多価金属イオンを供給可能な多価金属イオン供給源を含む水溶液で不活化してもよい。
【0046】
有機酸としては、例えば、クエン酸、酒石酸、グリコール酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、アスコルビン酸、等が挙げられ、クエン酸が好ましい。クエン酸は、キレート効果により、排泄物中の金属イオン等をトラップして除去可能であり、かつ、洗浄効果により、汚れ成分を除去可能である。一方、無機酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸が挙げられ、硫酸が好ましい。硫酸は、塩素を含まず、よってプラスチック材料などに塩素が残留し難く、低コストである。
【0047】
酸性水溶液のpHとしては1.0~4.0が好ましい。pHを1.0以上にすると、設備が腐食し難く、排水処理時の中和処理に必要なアルカリ薬品も低減でき、pHを4.0以下にすると、高吸水性ポリマーを十分に小さくでき、殺菌能力も高められる。pHは水温により変化するため、本発明におけるpHは、水溶液温度20℃で測定したpHをいうものとする。
【0048】
有機酸水溶液の有機酸濃度は、特に限定されないが、有機酸がクエン酸の場合は、0.5質量%以上4質量%以下が好ましい。無機酸水溶液の無機酸濃度は、特に限定されないが、無機酸が硫酸の場合は、0.1質量%以上2.0質量%以下が好ましい。本実施形態では、不活化水溶液として、無機酸の硫酸(希硫酸)の水溶液、すなわち酸性水溶液(酸含有水溶液)を用いた場合について説明する。
【0049】
なお、破砕装置3での破砕工程S1は、酸性水溶液のような不活化水溶液と共に行わなくてもよく、例えば空気中で行ってもよい。その場合、少なくとも後続の工程である第1分離工程S2及び/又は第2分離工程S4を、不活化水溶液と共に行う。
【0050】
このように、破砕工程S1では、使用済み衛生用品における各構成部材が、概ね所定の大きさに破砕される。その際、破砕時に生じる熱及び/又は酸性水溶液の熱などにより、各構成部材同士の接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)の接合力を低下させて、各構成部材を互いに容易に離解させることも可能である。
【0051】
なお、酸性水溶液を加熱すること(温度:70~95℃)で、使用済み衛生用品の構成部材間の接合に使用されている接着剤(例えば、ホットメルト接着剤)を軟化させ、接着剤の接合力を低下できる。それにより、自然に又は小さな衝撃で構成部材同士を容易に離解させることができる。使用済み衛生用品をより殺菌(消毒)することも可能となる。
【0052】
なお、破砕工程S1を用いない場合には、例えば、加熱された水又は水溶液(例示:酸化剤水溶液のような不活化水溶液)に、使用済み衛生用品を浸漬し、攪拌などの物理的衝撃により、各構成部材同士の接着剤の接合力を低下させて、各構成部材を互いに分離させてもよい。水など不活化剤を含まない水溶液を用いた場合、少なくとも後続の工程である第1分離工程S2及び/又は第2分離工程S4を、不活化水溶液と共に行う。
【0053】
第1分離工程S2は、使用済み衛生用品を、プラスチック材料を含む第1画分と、排泄物、不活化された高吸水性ポリマー、及びパルプ繊維を含む第2画分と、に分離する工程である。すなわち、第1分離工程S2では、使用済み衛生用品を分解し得られるプラスチック材料、排泄物、不活化された高吸水性ポリマー及びパルプ繊維の混合物から、プラスチック材料(を含む第1画分)と、排泄物、高吸水性ポリマー及びパルプ繊維(を含む第2画分)と、が分離される。第1分離工程S2は、第1分離装置4(例示:パルパー分離機、スクリーン分離機)により実施される。
【0054】
本実施形態では、第1分離工程S2において、破砕工程S1で生成された破砕物と不活化水溶液である酸性水溶液との混合物92が、第1分離装置4であるパルパー分離機に供給される。パルパー分離機は、混合物を洗浄する洗浄槽、及び、混合物を分離するふるい槽の両方の機能を有する撹拌分離槽を備えている。なお、第1分離工程S2には、酸性水溶液として、破砕工程S1で使用されていない別の酸性水溶液を供給してもよい。
【0055】
混合物92は、パルパー分離機により、撹拌され、破砕物の汚れを除去する洗浄を施されつつ、スクリーンにより、収集袋、フィルム、不織布などを含む第1画分と、パルプ繊維、不活化された高吸水性ポリマー、排泄物及び酸性水溶液などを含む第2画分とに分離される。すなわち、パルプ繊維、高吸水性ポリマー、排泄物及び酸性水溶液(を含む第2画分)は、スクリーンを通過して混合物92から分離されて、混合物93としてパルパー分離機から送出される。一方、スクリーンを通過できなかった収集袋、フィルム、不織布などの他の資材(を含む第1画分)は、パルパー分離機内に残存する。このとき、パルプ繊維、高吸水性ポリマー、排泄物及び酸性水溶液の一部はスクリーンを通過せず、他の資材と共にスクリーン上に残存し得る。また、他の資材の一部は、スクリーンを通過する場合があり得る。
【0056】
また、本実施形態のように、第1分離工程S2よりも前に(破砕工程S1等で)、高吸水性ポリマーを予め不活化し、粒状にして、吸水能力を抑えている場合には、第1分離工程S2以降では、不活化水溶液(酸性水溶液)を用いず、不活化水溶液を概ね除いてから、不活化剤を含まない水(水溶液)を用いてもよい。その場合、第1分離工程S2以降の任意の工程から、不活化剤を含まない水(水溶液)を用いるようにしてもよい。それにより、不活化水溶液(及び不活化剤)の使用量を削減でき、廃水処理の負担を低減できる。
【0057】
また、第1分離工程S2よりも前に(破砕工程S1等で)、高吸水性ポリマーを予め不活化しない場合、第1分離工程S2は、最初に使用済み衛生用品を不活化水溶液(酸性水溶液)で処理する工程、すなわち、高吸水性ポリマーを不活化する工程を含んでもよい。その場合、処理方法としては、例えば、使用済み衛生用品を不活化水溶液(酸性水溶液)に浸漬する、又は、使用済み衛生用品に不活化水溶液(酸性水溶液)を噴射する、などの方法が挙げられる。酸性水溶液については、既述のとおりである。第1分離工程S2は、その工程の後に、使用済み衛生用品を第1画分と第2画分と分離する工程を実施する。この場合にも、上記のように、第1分離工程S2より後の任意の工程から、不活化剤を含まない水(水溶液)を用いるようにしてもよい。
【0058】
ただし、他の資材である収集袋、フィルム、不織布などは、合成樹脂製であり、プラスチック材料ということができる。したがって、第1分離工程S2において、プラスチック材料並びに少量の残存物(パルプ繊維、高吸水性ポリマー、排泄物及び酸性水溶液)がスクリーン上の残留物(リジェクト)となり、分離されたパルプ繊維、高吸水性ポリマー、排泄物及び酸性水溶液がスクリーンを通過した通過物(アクセプト)となり、混合物93となる。
【0059】
本実施形態では、第1分離工程S2は、並列接続された二台の第1分離装置のうちの一方で実施される。例えば、二台のパルパー分離機を並列接続し、一方のパルパー分離機を稼働し、そのパルパー分離機にメンテナンス等が必要になった場合には、そのパルパー分離機を停止し、他方のパルパー分離機を稼働させる。それにより、連続的に、第1分離工程S2を実施できる。なお、第1分離装置は、三台以上並列接続されてもよい。
【0060】
本実施形態では、第1分離工程S2において、酸性水溶液のpHが所定の範囲内に維持されるように調整されている。pHの所定の範囲とは、pHの変動が±1.0以内の範囲とする。それにより、高吸水性ポリマーの比重及び大きさと、パルプ繊維の比重及び大きさとの相違が、所定の範囲内になるようにできる。この場合、相違が所定の範囲内とは、例えば一方が他方の0.2~5倍の範囲内とする。それにより、パルプ繊維と高吸水性ポリマーとの相違は、比重が所定の範囲内であり、かつ、大きさが所定の範囲内である。その結果、パルプ繊維及び高吸水性ポリマーを、使用済み衛生用品の資材のうちのパルプ繊維及び高吸水性ポリマーを除いた他の資材(主にプラスチック材料)と、大きさや比重の相違を利用して容易に分離できる。pHの調整は、pHセンサで測定されるpHの値に基づいて、酸性の水溶液やアルカリ性の水溶液を用いて行うことができる。なお、第2分離工程S4や第3分離工程S5においても、第1分離工程S2と同様にpHが調整されてもよい。
【0061】
また、破砕工程S1において、不活化水溶液(酸性水溶液)を用いる場合には、第1分離工程S2と同様に、酸性水溶液のpHが調整されてもよい。
【0062】
第1分離工程S2の第1画分(プラスチック材料を含む)には、必要に応じて、分離(酸性水溶液中の物理的衝撃により、プラスチック材料と、第1分離工程S2で分離し切れずに残存する排泄物、高吸水性ポリマー及びパルプ繊維と、をスクリーン分離)、洗浄及び殺菌(例示:オゾン水処理)、脱水及び乾燥などの処理が行われ、プラスチック材料が回収される。
【0063】
除塵工程S3は、第1分離工程S2で分離されたパルプ繊維、高吸水性ポリマー、排泄物及び酸性水溶液を含む混合物93から異物を取り除く(除塵する)工程である。除塵工程S3は、除塵装置5(例示:スクリーン分離機、サイクロン分離機)で実施される。
【0064】
本実施形態では、除塵工程S3は、除塵装置5により、第1分離工程S2から供給された混合物93から、分離し切れなかった他の資材(収集袋、フィルム、不織布、弾性体など)などの異物を分離する。除塵装置5として、例えば、スクリーン分離機(目開きが相対的に大)、スクリーン分離機(目開きが相対的に小)及びサイクロン分離機がこの順に配置され、混合物93から異物が順次分離される。それにより、異物の少ないパルプ繊維及び高吸水性ポリマーと酸性水溶液(排泄物を含む)との混合物94が得られる。混合物94は、第2分離工程S4へ供給される。なお、混合物93中の異物を分離する必要が無い場合(例示:含まれる異物が少ない、後の他の工程で異物を分離する)には、除塵工程S3を省略できる。
【0065】
第2分離工程S4は、除塵工程S3(又は第1分離工程S2)から供給された混合物94(又は混合物93)から、高吸水性ポリマーを分離する工程である。ここで、混合物94(又は混合物93)は、使用済み衛生用品から離解されたパルプ繊維、高吸水性ポリマー及び酸性水溶液(排泄物を含む)を含んでいる。したがって、混合物94は、使用済み衛生用品から離解された繊維状物(パルプ繊維)、粒子状物(高吸水性ポリマー)及び処理液(酸性水溶液)を含む分散液ということができる。第2分離工程S4は、第2分離装置6(例示:スクリーン分離機、ドラムスクリーン分離機、又は、それらの組み合わせ)により実施される。
【0066】
本実施形態では、第2分離工程S4において、複数のスクリーン分離機及びドラムスクリーン分離機により、混合物94から、高吸水性ポリマー及び酸性水溶液と、パルプ繊維(高吸水性ポリマーが表面などに残存)及び酸性水溶液と、が分離される。それにより、高吸水性ポリマーを含む混合物95と、パルプ繊維(高吸水性ポリマーが残存)及び酸性水溶液を含む混合物96と、が得られる。そして、混合物95は、酸性水溶液を除かれ、必要に応じて殺菌、洗浄、乾燥等をされて、高吸水性ポリマーとして回収される。このようにして分離、回収された高吸水性ポリマー(SAP)は、いわゆるリサイクル高吸水性ポリマーとなる。一方、混合物96は第3分離工程S5へ供給される。第2分離工程S4の詳細は後述される。
【0067】
第3分離工程S5は、第2分離工程S4から供給された混合物96から、パルプ繊維を分離する工程である。第3分離工程S5は、第3分離装置7(例示:ドラムスクリーン分離機、スクリュープレス分離機、それらの組み合わせ)により実施される。
【0068】
本実施形態では、第3分離工程S5において、ドラムスクリーン装置及びスクリュープレス装置により、混合物96から、パルプ繊維(高吸水性ポリマーが表面などに残存)と、酸性水溶液と、が分離される。それにより、パルプ繊維(高吸水性ポリマーが表面などに残存)である混合物97と、酸性水溶液(図示されず)と、がそれぞれ取り出される。混合物97は酸化剤処理工程S6へ供給される。第3分離工程S5の詳細は後述される。
【0069】
酸化剤処理工程S6は、第3分離工程S5から供給された混合物97(パルプ繊維及びパルプ繊維の表面などに残存する高吸水性ポリマー含む)中の高吸水性ポリマーを、酸化剤水溶液により酸化分解し、可溶化して、パルプ繊維から除去する工程である。酸化剤処理工程S6は、酸化剤処理装置8(例示:酸化剤水溶液を貯留する処理槽)により実施される。
【0070】
本実施形態では、酸化剤処理工程S6において、酸化剤としてオゾンを含む酸化剤水溶液を貯留する処理槽に、混合物97(高吸水性ポリマーを有するパルプ繊維を含む)が投入され、パルプ繊維中の高吸水性ポリマーが酸化分解され、可溶化されて、不純物の極めて少ないパルプ繊維が得られる。不純物(高吸水性ポリマーを含む)の少ないパルプ繊維は、酸化剤水溶液と共に混合物98として第4分離工程S7へ供給される。
【0071】
酸化剤処理工程S6における酸化剤の種類については、例えば、オゾン及び過酸化水素のうちの少なくとも一つが挙げられるが、本実施形態では、酸化力や殺菌力や漂白力の観点からオゾンを用いる。酸化剤水溶液中のオゾン濃度は、高吸水性ポリマーを分解することができる濃度であれば、特に限定されないが、例えば10~50質量ppmが挙げられる。濃度が低過ぎないことで、高吸水性ポリマーを完全に可溶化でき、濃度が高過ぎないことで、パルプ繊維に損傷を与えることはない。酸化剤水溶液での処理時間は、高吸水性ポリマーを分解することができる時間であれば、特に限定されないが、酸化剤水溶液中のオゾン濃度が高ければ短く、オゾン濃度が低ければ長くし、典型的には5~300分である。酸化剤水溶液中のオゾン濃度(ppm)と処理工程の処理時間(分)の積(以下「CT値」ともいう。)は、好ましくは100~15000ppm・分である。CT値が小さすぎると、高吸水性ポリマーを完全に可溶化できずパルプ繊維に高吸水性ポリマーが残留するおそれがあり、CT値が大きすぎると、パルプ繊維に損傷を与えるおそれがある
【0072】
第4分離工程S7は、酸化剤処理工程S6から供給された混合物98から、パルプ繊維を分離する工程である。第4分離工程S7は、第4分離装置9(例示:ドラムスクリーン装置、スクリュープレス装置、それらの組み合わせ)により実施される。
【0073】
本実施形態では、第4分離工程S7において、ドラムスクリーン装置及びスクリュープレス装置により、混合物96から、パルプ繊維と、酸化剤水溶液と、が分離される。それにより、パルプ繊維と、酸化剤水溶液(図示されず)と、がそれぞれ取り出される。パルプ繊維は、必要に応じて殺菌、洗浄、乾燥等をされて回収される。このようにして分離、回収されたパルプ繊維は、いわゆるリサイクルパルプ繊維となる。
【0074】
次に、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法について説明する。本実施形態では、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法を、使用済み衛生用品を構成材料の分離方法に適用する場合について説明する。その場合、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法は、少なくとも上記の第2分離工程S4及び第3分離工程S5に対応している。ただし、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法はこの例に限定されるものではない。
【0075】
図3は、図1のシステム1に適用された、実施形態に係る使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法に用いられる装置の構成例を示すブロック図である。図4は、図2の分離方法に適用された、実施形態に係る使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法の一例を示すフロー図である。図4の方法は、図3の装置を用いて実施され、使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、粒子状物(及び処理液の一部)と繊維状物(及び処理液の一部)とに分離する。以下、詳細に説明する。
【0076】
図4に示すように、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法は、第1スクリーン工程S41と、第1混合工程S42と、第2スクリーン工程S43と、第1固液分離工程S52と、を備える。本実施形態では、本分離方法は、更に、第3混合工程S44と、第2固液分離工程S45と、第2混合工程S51と、第3固液分離工程S53と、を備える。
【0077】
本実施形態では、本分離方法のうち、第1スクリーン工程S41、第1混合工程S42、第2スクリーン工程S43、第3混合工程S44及び第2固液分離工程S45は、第2分離工程S4に含まれ、したがって、第2分離工程S4に適用された工程ということができる。一方、第2混合工程S51、第1固液分離工程S52及び第3固液分離工程S53は、第3分離工程S5に含まれ、したがって、第3分離工程S5に適用された工程ということができる。
【0078】
本分離方法に対応して、図3に示すように、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法に用いられる装置は、第1スクリーン装置10と、第1混合装置11と、第2スクリーン装置12と、第1固液分離装置16と、を備える。本実施形態では、本分離方法に用いられる装置は、更に、第3混合装置13と、第2固液分離装置14と、第2混合装置15と、第3固液分離装置17と、を更に備える。
【0079】
本分離方法に用いられる装置のうち、第1スクリーン装置10、第1混合装置11、第2スクリーン装置12、第3混合装置13及び第2固液分離装置14は、第2分離装置6に含まれ、したがって、第2分離装置6に適用された装置ということができる。一方、第2混合装置15、第1固液分離装置16及び第3固液分離装置17は、第3分離装置7に含まれ、したがって、第3分離装置7に適用された装置ということができる。
【0080】
なお、以下の説明において、本実施形態では、各スクリーン装置のスクリーンは、粒子状物よりも繊維状物が通過容易なスクリーンが好ましい。そのスクリーンの穴形状は、粒子状物の粒径よりも小さく、繊維状物の繊維径よりも大きい幅を有し、繊維状物の繊維長よりも長いスリット形状であることが好ましい。それにより、繊維状物がスクリーンを通過し易く、粒子状物がスクリーンを通過困難にすることができる。一方、各固液分離装置(第2固液分離装置14を除く)のスクリーンは、繊維状物よりも粒子状物が通過容易なスクリーンが好ましい。そのスクリーンの穴形状は、粒子状物の粒径よりも大きく、繊維状物の繊維長よりも小さい直径を有する丸穴形状であることが好ましい。それにより、粒子状物がスクリーンを通過し易く、繊維状物がスクリーンを通過困難にできる。
【0081】
最初に、第2分離工程S4について説明する。
【0082】
まず、第1スクリーン工程S41は、使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液Qを、繊維状物(例示:パルプ繊維)及び処理液を多く含む第1アクセプトA1と、粒子状物(例示:高吸水性ポリマー)を多く含む第1リジェクトR1と、に分離する工程である。第1スクリーン工程S41は、第1スクリーン装置10(例示:スクリーン分離機)で実施される。
【0083】
本実施形態では、第1スクリーン工程S41において、まず、除塵工程S3(又は第1分離工程S2)から混合物94が、配管21-1を介して第1スクリーン装置10に供給される。混合物94は、使用済み衛生用品から離解された繊維状物(例示:パルプ繊維)、粒子状物(例示:高吸水性ポリマー)及び処理液(例示:酸性水溶液)を含む分散液Qである。そして、分散液Qは、第1スクリーン装置10により、繊維状物及び処理液を多く含む第1アクセプトA1と、粒子状物を多く含むが処理液を少なく含む第1リジェクトR1と、に分離される。そして、第1アクセプトA1は、第1固液分離工程S52へ供給される。一方、第1リジェクトR1は、第1混合工程S42へ供給される。
【0084】
第1アクセプトA1に含まれる処理液の割合は、第1リジェクトR1に含まれる処理液の割合よりも多い。言い換えると、第1アクセプトA1の固形分濃度の方が、第1リジェクトR1の固形分濃度よりも低い。例えば、第1アクセプトA1における固形分濃度は、0.01~1質量%であり、第1リジェクトR1における固形分濃度は、0.1~3質量%である。また、第1アクセプトA1には、繊維状物が相対的に多く含まれ、主成分であるが、粒子状物も含まれる。第1リジェクトR1には、粒子状物が相対的に多く含まれ、主成分であるが、繊維状物も含まれる。
【0085】
次いで、第1混合工程S42は、第1固液分離工程S52で得られた処理液L1の一部を第1リジェクトR1と混合して第1混合液C1を生成する工程である。第1混合工程S42は、第1混合装置11(例示:容器又は槽と撹拌機)で実施される。ただし、第1固液分離工程S52については後述される。なお、第1混合工程S42では、更に、第1固液分離工程S52後の第3固液分離工程S53で得られた処理液L3の一部を第1リジェクトR1と混合してもよい。ただし、第3固液分離工程S53については後述される。
【0086】
本実施形態では、第1混合工程S42において、まず、第1固液分離工程S52得られた処理液L1の少なくとも一部が、配管24-1,24-2を介して第1混合装置11に供給される。処理液L1は、第1アクセプトA1から固液分離されたものである。処理液L1は、第1リジェクトR1へ分離されずに第1アクセプトA1に混入し、固液分離で処理液L1の側に分離された粒子状物を含んでいる。一方、第1スクリーン工程S41で得られた第1リジェクトR1が、配管22-1を介して第1混合装置11へ供給される。そして、処理液L1の少なくとも一部と第1リジェクトR1とが、第1混合装置11で混合されて、第1混合液C1が生成される。第1混合液C1は、第2スクリーン工程S43に供給される。
【0087】
第1混合液C1は、処理液L1及び第1リジェクトR1から供給された粒子状物と、処理液と、を含み、繊維状物を含み得る。処理液L1の固形分濃度が第1リジェクトR1の固形分濃度よりも低いため、第1混合液C1の固形分濃度は、第1リジェクトR1の固形分濃度よりも低くなる。例えば、第1混合液C1における固形分濃度は、0.01~1質量%である。
【0088】
次いで、第2スクリーン工程S43は、第1混合液C1を、繊維状物及び処理液を多く含む第2アクセプトA2と、粒子状物を多く含む第2リジェクトR2と、に分離する工程である。第2スクリーン工程S43は、第2スクリーン装置12(例示:スクリーン分離機)で実施される。
【0089】
本実施形態では、第2スクリーン工程S43において、まず、第1混合工程S42から第1混合液C1が、配管22-2を介して第2スクリーン装置12に供給される。第1混合液C1は、粒子状物と、繊維状物と、処理液とが混合されたものである。そして、第1混合液C1は、第2スクリーン装置12より、繊維状物及び処理液を多く含む第2アクセプトA2と、粒子状物を多く含むが処理液を少なく含む第2リジェクトR2と、に分離される。そして、第2アクセプトA2は、第2混合工程S51へ供給される。一方、第2リジェクトR2は、第3混合工程S44へ供給される。
【0090】
第2アクセプトA2に含まれる処理液の割合が、第2リジェクトR2に含まれる処理液の割合よりも多い。言い換えると、第2アクセプトA2の固形分濃度の方が、第2リジェクトR2の固形分濃度よりも低い。例えば、第2アクセプトA2における固形分濃度は、0.01~1質量%であり、第2リジェクトR2における固形分濃度は、0.1~3質量%である。また、第2アクセプトA2には、繊維状物が相対的に多く含まれ、主成分であるが、粒子状物も含まれ得る。第2リジェクトR2には、粒子状物が相対的に多く含まれ、主成分であるが、繊維状物も含まれ得る。
【0091】
次いで、第3混合工程S44は、第1固液分離工程S52で得られた処理液L1の一部を第2リジェクトR2と混合して第3混合液C3を生成する工程である。第3混合工程S44は、第3混合装置13(例示:容器又は槽と撹拌機)で実施される。なお、第3混合工程S44では、更に、第1固液分離工程S52後の第3固液分離工程S53で得られた処理液L3の一部を第2リジェクトR2と混合してもよい。ただし、第3固液分離工程S53については後述される。
【0092】
本実施形態では、第3混合工程S44において、まず、第1固液分離工程S52得られた処理液L1の少なくとも一部が、配管24-1を介して第3混合装置13に供給される。処理液L1は、既述のように粒子状物を含んでいる。一方、第2スクリーン工程S43で得られた第2リジェクトR2が、配管22-3を介して第3混合装置13へ供給される。そして、処理液L1の少なくとも一部と第2リジェクトR2とが、第3混合装置13で混合されて、第3混合液C3が生成される。ただし、処理液L1の固形分濃度は、第2リジェクトR2の固形分濃度よりも低い。第3混合液C3は、第2固液分離工程S45へ供給される。
【0093】
第3混合液C3は、処理液L1及び第2リジェクトR2から供給された粒子状物と、処理液と、を含み、繊維状物を含み得る。処理液L1の固形分濃度が第2リジェクトR2の固形分濃度よりも低いため、第3混合液C3の固形分濃度は、第2リジェクトR2の固形分濃度よりも低くなる。例えば、第3混合液C3における固形分濃度は、0.01~1質量%である。
【0094】
なお、第3混合工程S44は、省略されてもよい。その場合、第2リジェクトR2は、必要に応じて殺菌・洗浄・脱水・乾燥等がなされて粒子状物(高吸水性ポリマー)として外部へ取り出され、再利用されるか、又は、第2固液分離工程S45へ供給される。
【0095】
次いで、第2固液分離工程S45は、第3混合工程S44で得られた第3混合液C3を、固体としての粒子状物P1と、液体としての、繊維状物を含む処理液L2と、に固液分離する工程である。第2固液分離工程S45は、第2固液分離装置14(例示:ドラムスクリーン分離機)で実施される。
【0096】
本実施形態では、第2固液分離工程S45において、まず、第3混合工程S44から第3混合液C3が、配管22-4を介して第2固液分離装置14に供給される。第3混合液C3は、粒子状物と、処理液とが混合されたものであり、繊維状物を含み得る。そして、第3混合液C3は、第2固液分離装置14により、固体としての粒子状物P1と、液体としての、繊維状物を含む処理液L2と、に分離される。そして、粒子状物P1は、必要に応じて殺菌・洗浄・脱水・乾燥等がなされ回収される。このように分離、回収された粒子状物P1が高吸水性ポリマー(SAP)の場合には、回収後に再活性化させる(例示:公知のアルカリ金属イオンを供給可能なアルカリ金属イオン供給源に接触させる方法による)ことにより、優れた吸水性能を有する、いわゆるリサイクル高吸水性ポリマーとなる。
【0097】
一方、繊維状物を含む処理液L2は、第2分離工程S4より前の、破砕工程S1、第1分離工程S2及び除塵工程S3の少なくとも一つの工程に戻され、処理液(酸性水溶液)として再利用される。例えば、処理液L2における固形分濃度は、0.01~1質量%である。破砕工程S1、第1分離工程S2及び除塵工程S3は、使用済み衛生用品の繊維状物及び粒子状物を処理液中で離解して、分散液を生成する離解工程ということができる。このとき、その処理液が繊維状物を含んでいる場合には、離解工程に戻されることで、その処理液中の繊維状物を分離回収することができる。それにより、繊維状物の回収率を高めることができる。
【0098】
なお、第2固液分離装置14については、スクリーンは、粒子状物よりも繊維状物が通過容易なスクリーンが好ましい。そのスクリーンの穴形状は、粒子状物の粒径よりも小さく、繊維状物の繊維径よりも大きい幅を有し、繊維状物の繊維長よりも長いスリット形状であることが好ましい。それにより、繊維状物がスクリーンを通過し易くなり、繊維状物を含む処理液L2を液体として送出することができ、粒子状物がスクリーンを通過困難になり、粒子状物P1を固体として回収できる。
【0099】
次に、第3分離工程S5について説明する。
【0100】
まず、第2混合工程S51は、第2スクリーン工程S43で得られた第2アクセプトA2を、第1スクリーン工程S41で得られた第1アクセプトA1と混合して第2混合液C2を生成する工程である。第2混合工程S51は、第2混合装置15(例示:容器又は槽と撹拌機)で実施される。
【0101】
本実施形態では、第2混合工程S51において、まず、第1スクリーン工程S41で得られた第1アクセプトA1が、配管21-2を介して第2混合装置15に供給される。第1アクセプトA1は、繊維状物が相対的に多く含まれ、粒子状物も少なく含まれた処理液である。一方、第2スクリーン工程S43で得られた第2アクセプトA2が、配管23を介して第2混合装置15へ供給される。第2アクセプトA2は、繊維状物が相対的に多く含まれ、粒子状物も少なく含まれた処理液である。そして、第1アクセプトA1と第2アクセプトA2とが、第2混合装置15で混合されて、第2混合液C2が生成される。第2混合液C2は、第1固液分離工程S52へ供給される。
【0102】
第2混合液C2は、第1アクセプトA1及び第2アクセプトA2から供給された繊維状物と、処理液と、を含み、粒子状物を少量含んでいる。第2アクセプトA2の固形分濃度が第1アクセプトA1の固形分濃度よりも低くなる傾向にあるため、第2混合液C2の固形分濃度は、第1アクセプトA1の固形分濃度よりも低くなる低くなる傾向にある。例えば、第2混合液C2における固形分濃度は、0.01~1質量%である。
【0103】
なお、第2混合工程S51は、省略されてもよい。その場合、第1アクセプトA1は、第1固液分離工程S52へ供給される。
【0104】
次いで、第1固液分離工程S52は、第2混合工程S51で得られた第2混合液C2を、固体としての繊維状物F1と、液体としての、粒子状物を含む処理液L1と、に固液分離する工程である。ただし、第2混合工程S51が省略される場合には、第1固液分離工程S52は、第1スクリーン工程S41で得られた第1アクセプトA1を、固体としての繊維状物F1と、液体としての、粒子状物を含む処理液L1と、に固液分離する工程である。第1固液分離工程S52は、第1固液分離装置16(例示:ドラムスクリーン分離機)で実施される。
【0105】
本実施形態では、第1固液分離工程S52において、まず、第2混合工程S51から第2混合液C2が配管21-3を介して第1固液分離装置16に供給される。第2混合液C2は、繊維状物と処理液とが混合されたものであり、少量の粒子状物を含んでいる。そして、第2混合液C2は、第1固液分離装置16により、固体としての繊維状物F1と、液体としての、粒子状物を含む処理液L1と、に分離される。ただし、繊維状物F1は、固液分離で分離し切れずに残留する処理液や粒子状物を含んでいる。繊維状物F1は、第3固液分離工程S53へ供給される。一方、粒子状物を含む処理液L1の一部は、第1混合工程S42及び/又は第3混合工程S44に供給される。
【0106】
なお、第2混合工程S51が省略される場合には、第1固液分離工程S52において、第1スクリーン工程S41から第1アクセプトA1が配管21-2、21-3を介して第1固液分離装置16に供給され、固液分離される。
【0107】
第3固液分離工程S53は、第1固液分離工程S52で得られた繊維状物F1を、圧搾して、固体としての繊維状物F2と、液体としての処理液L3と、に固液分離する工程である。第3固液分離工程S53は、第3固液分離装置17(例示:スクリュープレス分離機)で実施される。
【0108】
本実施形態では、第3固液分離工程S53において、まず、第1固液分離工程S52から繊維状物F1が配管21-4を介して第3固液分離装置17に供給される。繊維状物F1は、繊維状物の他に、分離し切れずに残留する処理液と粒子状物とが混合されたものである。そして、繊維状物F1は、第3固液分離装置17での圧搾により、固体としての繊維状物F2と、液体としての、粒子状物を含む処理液L3と、に分離される。ただし、繊維状物F2は、固液分離で分離し切れずに残留する処理液や粒子状物を含み得る。繊維状物F2は、混合物97として、酸化剤処理工程S6(酸化剤処理装置8)へ供給される。一方、粒子状物を含む処理液L3の一部は、第1混合工程S42及び/又は第3混合工程S44に供給される。
【0109】
なお、第3固液分離工程S53は、省略されてもよい。その場合、第1固液分離工程S52からの繊維状物F1は、混合物97として、酸化剤処理工程S6(酸化剤処理装置8)へ供給される。また、繊維状物F1及び/又は繊維状物F2の一部は、必要に応じて殺菌・洗浄・乾燥等がなされて外部へ繊維状物として取り出され、再利用されてもよい。このように分離、回収された繊維状物F1及び/又は繊維状物F2がパルプ繊維の場合には、いわゆるリサイクルパルプ繊維となる。
【0110】
以上のようにして、第2分離工程S4及び第3分離工程S5が実施される。
【0111】
なお、本実施形態では、使用済み衛生用品の繊維状物と粒子状物との分離方法は、使用済み衛生用品を構成材料の分離方法のS4、S5に適用されているが、所定の分散液Qを提供されれば、単独の分離方法として実施してもよいし、他の前工程や後工程を追加して実施してもよい。
【0112】
本実施形態では、先ず、第1スクリーン工程S41により、使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液Qを、第1リジェクトR1(主に粒子状物と処理水)と第1アクセプトA1(主に繊維状物と処理水)とに分離する。次いで、第1混合工程S42により、第1リジェクトR1を、第1固液分離工程S52で第1アクセプトA1を固液分離して得られる処理液L1の一部と混合して、その濃度を薄めた第1混合液C1を生成する。次いで、第2スクリーン工程S43により、第1混合液C1を、第2アクセプトA2(主に繊維状物と処理水)と、第2リジェクトR2(主に粒子状物)と、に分離する。
【0113】
このように、第1リジェクトR1に対して第2スクリーン工程S43を行うとき、第1リジェクトR1に、第1アクセプトA1を第1固液分離工程S52で固液分離して得られる処理液L1を混合して第1混合液C1としている。それにより、第1リジェクトR1の固形分の濃度をスクリーン工程に有利な適正濃度に薄めることがきるので、第2スクリーン工程S43を適正に実施できる。その際、分離し切れずに処理液L1に残存していた粒子状物も第1混合液C1に含めて第2スクリーン工程S43を実施できる。それらにより第2リジェクトR2(主に粒子状物)での粒子状物の分離率を高めることができ、粒子状物の回収率を向上することができる。
【0114】
その際、第1リジェクトR1の固形分の濃度の調整に、第1アクセプトA1を固液分離して得られる処理液L1の一部を用いている。したがって、第2スクリーン工程S43において、液体(例示:水、処理液)を新たに追加する必要が無いので、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制することができる。
【0115】
本実施形態の好ましい態様では、第2混合工程S51において、第2スクリーン工程S43で得られた第2アクセプトA2(主に繊維状物及び処理液)と、第1アクセプトA1(主に繊維状物と処理水)とを混合して第2混合液C2を生成し、第1固液分離工程S52において、第2混合液C2を固液分離している。そのため、第1アクセプトA1のみに対して第1固液分離工程S52を行う場合と比較して、より多くの繊維状物を得ることができる。それにより、繊維状物の分離率を高めることができ、それにより、回収率を向上することができる。
【0116】
本実施形態の好ましい態様では、第3混合工程S44において、第1アクセプトA1を第1固液分離工程S52で固液分離して得られる処理液L1の他の一部と、第2スクリーン工程S43で得られた第2リジェクトR2(主に粒子状物)とを混合して第3混合液C3を生成し、第2固液分離工程S45において、第3混合液C3に固液分離を行うことで、粒子状物を得ている。ここで、第2リジェクトR2に対して第2固液分離工程S45を行うとき、第2リジェクトR2に、第1アクセプトA1を固液分離して得られる処理液L1を混合することで、第2リジェクトR2の濃度を固液分離工程に必要な適正濃度に薄めることができ、第2固液分離工程S45を適正に実施できる。その際、第1固液分離工程S52で分離し切れずに処理液L1に残存していた粒子状物も第3混合液C3に含めて第2固液分離工程S45を実施できる。それにより、粒子状物の分離率をより高めることができ、それにより、回収率をより向上することができる。
【0117】
本実施形態の好ましい態様では、第1スクリーン工程S41の前に、使用済み衛生用品の繊維状物及び粒子状物を処理液中で離解して、分散液Qを生成する離解工程(S1~S3の少なくとも一つ)と、第2固液分離工程でS45得られた処理液L2の一部を、離解工程(S1~S3の少なくとも一つ)に戻す戻し工程(図示されず)と、を更に備えている。それにより、戻し工程が無い場合と比較して、新たに追加する液体(例示:水、処理液)の量を抑制できる。それにより、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制することができる。
【0118】
本実施形態の好ましい態様では、第3固液分離工程S53において、第1固液分離工程S52で分離された繊維状物(の集合体)を圧搾することで、繊維状物F1(の集合体)に含まれていた処理液L3を抽出し、抽出された処理液L3の一部を第1混合液C1と混合している。それにより、第2スクリーン工程S43を行うとき、第1、第3固液分離工程S52、S53で分離し切れずに処理液に残存していた粒子状物も、第1混合液C1に含めて第2スクリーン工程S43を実施できる。それにより、粒子状物の分離率をより高めることができ、粒子状物の回収率をより向上することができる。
【0119】
本実施形態の好ましい態様では、第3固液分離工程S53において、第1固液分離工程52で分離された繊維状物(の集合体)を圧搾することで、繊維状物F1(の集合体)に含まれていた処理液L3を抽出し、抽出された処理液L3を第3混合液C3と混合している。それにより、第2固液分離工程S45を行うとき、第1、第3固液分離工程S52、S53で分離し切れずに処理液に残存していた粒子状物も、第3混合液C3に含めて第3固液分離工程S53を実施できる。それにより、粒子状物の分離率をより高めることができ、粒子状物の回収率をより向上することができる。
【0120】
本実施形態の好ましい態様では、粒子状物は高吸水性ポリマーであり、処理液は、高吸水性ポリマーを不活化する不活化剤を含む水溶液であるため、処理液を用いる各工程において、高吸水性ポリマーが膨潤して分離し難くなることを抑制できる。それにより、高吸水性ポリマー、すなわち粒子状物の分離率をより高めることができ、それにより、回収率をより向上することができる。その際、不活化剤を含む水溶液を用いると、通常の水を用いる場合と比較して、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大が生じ易いが、本方法により、それらを抑制することができる。
【0121】
本実施形態の好ましい態様では、不活化剤は、無機酸又は有機酸を含んでいる。そのため、粒子状物のとしての高吸水性ポリマーを適切に不活化することができ、処理液を用いる各工程において、高吸水性ポリマーが膨潤して分離し難くなることをより抑制できる。
【0122】
次に、別の実施形態に係る使用済み衛生用品から繊維状物及び粒子状物の各々を分離する分離方法について説明する。
【0123】
この別の実施形態は、少なくとも、第1スクリーン装置10及び第2スクリーン装置12において、アクセプトが(繊維状物ではなく)粒子状物を多く含み、リジェクトが(粒子状物ではなく)繊維状物を多く含む、という点で前述の実施形態と相違する。
【0124】
この別の実施形態では、各スクリーン装置のスクリーンの穴形状は、粒子状物の粒径よりも大きく、繊維状物の繊維長よりも小さい直径を有する丸穴形状であることが好ましい。それにより、粒子状物がスクリーンを通過し易く、繊維状物がスクリーンを通過困難にすることができる。一方、固液分離装置では、スクリーンの穴形状は、粒子状物の粒径よりも小さく、繊維状物の繊維径よりも大きい幅を有し、繊維状物の繊維長よりも長いスリット形状であることが好ましい。それにより、繊維状物が処理液中に残存していたとしても、その繊維状物が処理液と共にスクリーンを通過し易く、粒子状物がスクリーンを通過困難にすることができる。
【0125】
この別の実施形態の分離方法は、第1スクリーン工程と、第1固液分離工程と、第1混合工程と、第2スクリーン工程と、を備える。第1スクリーン工程は、使用済み衛生用品から離解された繊維状物、粒子状物及び処理液を含む分散液を、第1スクリーン装置で、粒子状物及び処理液を多く含む第1アクセプトと、繊維状物を多く含む第1リジェクトと、に分離する。第1固液分離工程は、第1スクリーン工程で得られた第1アクセプトを、粒子状物と処理液(繊維状物を含む)とに固液分離する。第1混合工程は、第1固液分離工程で得られた処理液(繊維状物を含む)の一部を第1リジェクト(繊維状物を多く含む)と混合して第1混合液を生成する。第2スクリーン工程は、第1混合液を、第2スクリーン装置で、粒子状物及び処理液を多く含む第2アクセプトと、繊維状物を多く含む第2リジェクトと、に分離する。
【0126】
すなわち、この別の実施形態の分離方法では、先ず、第1スクリーン工程により、分散液を、第1リジェクト(主に繊維状物)と第1アクセプト(主に粒子状物と処理水)とに分離する。次いで、第1混合工程により、第1リジェクトを、第1固液分離工程で第1アクセプトを固液分離して得られる処理液(主に繊維状物)と混合して、その濃度を薄めた第1混合液を生成する。次いで、第2スクリーン工程により、第1混合液を、第2リジェクト(主に繊維状物)と第2アクセプト(主に粒子状物と処理液)とに分離する。第2リジェクト(主に繊維状物)は、例えば、酸化剤処理工程S6へ供給してもよいし、必要に応じて殺菌・洗浄・乾燥等がなされて外部へ繊維状物(パルプ繊維)として取り出され、再利用されてもよい。第2アクセプト(主に粒子状物と処理液)は、例えば、必要に応じて殺菌・洗浄・乾燥等がなされて外部へ粒子状物(高吸水性ポリマー)として取り出され、再利用されてもよい。なお、第1固液分離工程で第1アクセプトを固液分離して得られる粒子状物は、例えば、必要に応じて殺菌・洗浄・乾燥等がなされて外部へ粒子状物(高吸水性ポリマー)として取り出され、再利用されてもよい。
【0127】
ここで、第1リジェクト(主に繊維状物)に対して第2スクリーン工程を行うとき、第1リジェクトに、第1アクセプト(主に粒子状物と処理水)を固液分離して得られる処理液(主に繊維状物)を混合して第1混合液としている。それにより、第1リジェクトの固形分の濃度をスクリーン工程に必要な適正濃度に薄めることができるので、第2スクリーン工程を適正に実施できる。その際、分離し切れずに処理液に残存していた繊維状物も第1混合液に含めて第2スクリーン工程を実施できる。それらにより、第2リジェクトR2(主に繊維状物)での繊維状物の分離率を高めることができ、回収率を向上することができる。
【0128】
その際、第1リジェクトR1の固形分の濃度の調整に、第1アクセプトを固液分離して得られる処理液を用いている。したがって、第2スクリーン工程において、液体(例示:水、処理液)を新たに追加する必要が無いので、廃液処理負担の増加や環境負荷の増大を抑制することができる。
【0129】
この別の実施形態の好ましい態様では、第2スクリーン工程で得られた第2アクセプト(主に粒子状物と処理液)を、第1スクリーン工程で得られた第1アクセプト(主に粒子状物と処理水)と混合して第2混合液を生成する第2混合工程を更に備えてもよい。その場合、記第1固液分離工程は、第2混合液を、粒子状物と処理液とに固液分離する工程を含んでもよい。
【0130】
第2アクセプト(主に粒子状物及び処理液)と、第1アクセプト(主に粒子状物と処理水)とを混合した第2混合液に対して、第1固液分離工程を行っているので、第1アクセプトのみに対して、第1固液分離工程を行う場合と比較して、より多くの粒子状物を得ることができる。それにより、粒子状物の分離率を高めることができ、その回収率を向上することができる。
【0131】
本発明の衛生用品は、上述した各実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組合せや変更等が可能である。
【符号の説明】
【0132】
10 第1スクリーン装置
11 第1混合装置
12 第2スクリーン装置
Q 分散液
A1 第1アクセプト
R1 第1リジェクト
L1 処理液
C1 第1混合液
A2 第2アクセプト
R2 第2リジェクト
S41 第1スクリーン工程
S42 第1混合工程
S43 第2スクリーン工程
図1
図2
図3
図4