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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088440
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】カラー画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240625BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240625BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240625BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20240625BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240625BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240625BHJP
   G02B 26/12 20060101ALN20240625BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20240625BHJP
【FI】
G03G21/00 510
B41J2/47 101M
G03G15/00 303
G03G15/01 Y
G03G15/04 111
H04N1/113
G02B26/12
G02B26/10 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203605
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村上 昌俊
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
2H076
2H270
2H300
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA03
2C362AA10
2C362BA04
2C362BA50
2C362BA53
2C362BA54
2C362BA69
2C362BA70
2C362BA89
2C362BB30
2C362BB32
2C362BB33
2C362CA18
2C362CA22
2C362CA39
2H045AA01
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA63
2H045CA88
2H045CA98
2H045CB35
2H076AB05
2H076AB12
2H076AB34
2H076AB67
2H076AB76
2H076DA22
2H076DA43
2H270LA18
2H270LA70
2H270LD03
2H270LD14
2H270LD15
2H270MB12
2H270MB25
2H270MB28
2H270MB32
2H270MB38
2H270MB39
2H270MB41
2H270MB43
2H270MC09
2H270MC78
2H270MD01
2H270MD02
2H270MD05
2H270RB04
2H270RC10
2H270RC11
2H270RC12
2H270RC13
2H270RC14
2H270RC18
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC06
2H270ZC08
2H300EB04
2H300EB07
2H300EB12
2H300EC02
2H300EC15
2H300EF03
2H300EH16
2H300EH36
2H300EJ09
2H300EK03
2H300EM02
2H300GG21
2H300QQ10
2H300RR32
2H300RR38
2H300TT03
2H300TT04
2H300TT06
5C072AA03
5C072BA19
5C072BA20
5C072HA02
5C072HA06
5C072HA09
5C072HA13
5C072HB04
5C072HB08
5C072HB11
5C072XA01
5C072XA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安価な構成で高品質な画像を形成できるカラー画像形成装置の提供。
【解決手段】カラー画像形成装置の光書込み装置は、前記感光体に光を照射する発光素子と、発光制御素子、偏向素子、同期検知素子を有し、前記同期検知素子が光を検出してから画像データに応じた前記発光制御素子による発光制御を開始するまでの書出し開始タイミングを調整して、色ずれを補正する色ずれ補正機能部と、色ずれの補正の実行条件と色ずれの補正の色ずれ補正値を記憶する記憶部と、同期検知素子に入射される光の光量が変動したときに生じる検知ずれを補正する検知ずれ補正機能部とを備え、記憶部は、色ずれの補正を行うときの発光素子の第1の光量を記憶し、検知ずれ補正機能部は、第1の光量と、発光素子の点灯条件として決定される第2の光量と、を用いて同期検知素子の検知ずれの検知ずれ補正値を算出し、色ずれ補正値に検知ずれ補正値を加える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上に形成された静電潜像に現像剤を現像することにより画像を形成する電子写真方式のカラー画像形成装置において、
前記カラー画像形成装置は、
前記感光体を露光する光書込み装置を有し、
前記光書込み装置は、
前記感光体に光を照射する発光素子と、
前記発光素子を発光制御する発光制御素子と、
多面の反射体であって、前記発光素子からの光の出射光路上に設けられ、外部から入力される信号によって回転駆動し、前記反射体の表面に照射された光を偏向して前記感光体を一方向に走査する偏向素子と、
前記感光体上への光の照射による静電潜像の書出し開始タイミングを検出する同期検知素子と、を有し、
前記同期検知素子が光を検出してから画像データに応じた前記発光制御素子による発光制御を開始するまでの前記書出し開始タイミングを調整して、複数の色間の色ずれを補正する色ずれ補正機能部と、
前記色ずれの補正の実行条件と前記色ずれの補正の色ずれ補正値を記憶する記憶部と、
前記同期検知素子に入射される光の光量が変動したときに生じる検知ずれを補正する検知ずれ補正機能部と、を備え、
前記記憶部は、前記色ずれの補正を行うときの前記発光素子の第1の光量を記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記第1の光量と、前記発光素子の点灯条件として決定される第2の光量と、を用いて前記同期検知素子の検知ずれの検知ずれ補正値を算出し、前記色ずれ補正値に前記検知ずれ補正値を加える、カラー画像形成装置。
【請求項2】
前記発光制御素子は、前記偏向素子の一面の端から端まで照射される光が一方向に走査する間に、前記発光素子の光量を一定に制御する、請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項3】
前記光書込み装置は、異なる現像剤での現像に用いられる複数の前記発光素子からの光を、一つの前記同期検知素子に照射する、請求項1または2に記載のカラー画像形成装置。
【請求項4】
前記記憶部は、前記発光素子から照射される光の光量と、前記書出し開始タイミングの変化量と、を対応付ける補正テーブルを記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記補正テーブルにおいて前記第2の光量と対応付けられる前記変化量を用いて、前記検知ずれ補正値を算出する、請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項5】
前記検知ずれ補正機能部は、前記書出し開始タイミングの変化量を求める多項式の検知ずれ補正曲線を用いて、前記検知ずれ補正値を算出し、
前記記憶部は、前記多項式の係数を記憶する、請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記同期検知素子は、前記発光素子からの光の入射光路を制限するスリットを有する請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項7】
前記検知ずれ補正機能部は、前記同期検知素子に光を照射する前記発光素子毎に異なる前記多項式を用いて、前記検知ずれ補正値を算出する、請求項5に記載のカラー画像形成装置。
【請求項8】
前記検知ずれ補正機能部は、前記第2の光量に応じて決定される第2の検知ずれ補正量から前記第1の光量に応じて決定される第1の検知ずれ補正量を減算した値を、前記検知ずれ補正値として算出する、請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項9】
前記記憶部は、前記発光素子から照射される光量を基準の光量で除算した比率と、前記書出し開始タイミングの変化量と、を対応付ける補正テーブルを記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記補正テーブルにおいて、前記第2の光量を前記基準の光量で除算することにより得られる前記比率と対応付けられる前記変化量に基づいて、前記検知ずれ補正値を算出する、請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【請求項10】
前記記憶部は、前記基準の光量を記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記記憶部から、前記検知ずれ補正値を算出する場合に前記基準の光量を読み出し、前記第2の光量を前記基準の光量で除算することにより得られる前記比率と対応付けられる前記変化量から、前記第1の光量を前記基準の光量で除算することにより得られる前記比率と対応付けられる前記変化量を減算することにより前記検知ずれ補正値を算出する、請求項9に記載のカラー画像形成装置。
【請求項11】
前記記憶部に記憶されている前記第1の光量は、色合わせが正常に行われないときは更新されない、請求項1に記載のカラー画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置、特に、LD(レーザダイオード)等の発光素子で感光体を露光する構成においては、LDから出力されるビーム(光)を、回転するポリゴンミラー(偏光素子の一例)で反射させる。電子写真方式の画像形成装置では、ポリゴンミラーの1面の端から端までLDのビームを照射するとき、ポリゴンミラーの角度に応じて、ビームを偏向し、感光体上を1ライン分走査する。このとき、電子写真方式の画像形成装置は、入力される画像データに応じてLDの点灯および消灯を切り替えることにより1ライン分の静電潜像を感光体上に形成する。そして、電子写真方式の画像形成装置は、感光体を回転させながら感光体上の1ライン分の走査(ライン走査)を繰り返すことにより、所望の画像の静電潜像を形成する。
【0003】
電子写真方式の画像形成装置では、ライン走査を繰り返すとき、画像の形成を開始する書出し開始タイミングを合わせる必要がある。電子写真方式の画像形成装置では、この書出し開始タイミングを決定するため、感光体を走査するビームの走査位置の直前に光センサを設け、ビームの走査位置を検出する構成を取っている。この光センサを同期検知センサ(同期検知素子)と言う。電子写真方式の画像形成装置は、同期検知センサの出力信号に従い画像データの書出し開始タイミングを決定する。
【0004】
ここで、光センサとはフォトダイオードのことであり、増幅器とゲイン抵抗を利用して微小な電流変化を検知する。フォトダイオードは、その電流変化によってビームの入力の有無を判定する。フォトダイオードは、素子を組み合わせて回路を作ることもできるが、スリットまたはカバーガラスを設けて、ビームの検出精度を向上かつ安定化したフォトICが市販されており、安価に実現できる。
【0005】
電子写真方式の画像形成装置は、ビームの光量を画像の作像条件によって変更する。ビームの光量を変更する作像条件には、出力画像の解像度の変更の他に、生産性(線速)の変更、温度環境の変更等も含まれる。そして、ビームの光量を変更する作像条件が変更されると、同期検知センサに入力されるビームの光量も変わる。ビームの光量が変わると、同期検知センサに流れる電流の大きさが変わり、同期検知センサの検出波形が変化する。同期検知センサの検出波形が変化すると、画像データの書出し開始タイミングがずれて走査方向(主走査方向)に位置ずれを発生させる。当該位置ずれは、数10ns程度なので、モノクロ機のような単色であれば問題にならないが、カラー機であれば色味の変化または色ずれとなり、画像品質を劣化させてしまう。
【0006】
特許文献1では、光センサでビームを検出する際に波形整形を行っている。この波形整形は、比較器を用いた回路構成で実現しており、光センサに入力されるビームの光量の大きさに合わせて基準電圧を変更することで、光センサに入力されるビームが一定のパルス幅となるように調整する。また、特許文献2では、光センサで検出したビームのパルス幅を計測し、その半周期(中央)を書出し開始タイミングとする方法を開示している。当該方法によれば、ビームの光量が変化したとしても、そのピーク位置は中央で変化しないため、書出し開始タイミングをビームのパルス幅の中央位置にすることにより、光量変化の影響を受けずに画像を形成できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、基準電圧を変更することにより、光量変化による色ずれの影響を抑制して画像データの書出開始タイミングを調整できるが、この調整方法では、比較器および基準電圧の生成回路を用いる必要があるため、画像形成装置の部品点数が増えてしまう。また、特許文献1では、書込み光学設計上、一つの光センサに複数色のビームを照射して同期を取る構成の場合、色毎にLDの光量を変更してしまうと、基準電圧を決めることができず、適切なパルス幅を作れなくなる。
【0008】
また、特許文献2では、光センサで検出したビームのパルス幅を計測してその半周期(中央)を書出し開始タイミングとすることにより、ビームの光量の変化による色ずれの影響を抑制して画像データの書出し開始タイミングを調整できるが、この調整方法には、ビームで光センサを走査したときに左右対称の波形を出力することが、技術的に成立する前提条件となる。そのため、特許文献2では、スリットを設けたフォトICを扱う場合、フォトICに入射されるビームの入射角度が90°であれば左右対称の波形を出力できるが、入射角度が歪むほどフォトIC内の光センサの反応も歪み、出力波形が左右対称にならなくなる。そのような理由から、入射角度が90°付近を維持したいが、例えば、部品集約のために一つの光センサに複数色のビームを照射して同期を取る構成の場合、複数色のビームの全ての入射角度を90°とすることは非常に困難である。つまり、部品を集約して安価な構成を取る場合には、左右対称の波形が出力できる構成を作り上げることが難しく、光量の変化による色ずれの影響を完全には抑制できない。
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、安価な構成でありながら高品質な画像を形成できるカラー画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、感光体上に形成された静電潜像に現像剤を現像することにより画像を形成する電子写真方式のカラー画像形成装置において、前記カラー画像形成装置は、前記感光体を露光する光書込み装置を有し、前記光書込み装置は、前記感光体に光を照射する発光素子と、前記発光素子を発光制御する発光制御素子と、多面の反射体であって、前記発光素子からの光の出射光路上に設けられ、外部から入力される信号によって回転駆動し、前記反射体の表面に照射された光を偏向して前記感光体を一方向に走査する偏向素子と、前記感光体上への光の照射による静電潜像の書出し開始タイミングを検出する同期検知素子と、を有し、前記同期検知素子が光を検出してから画像データに応じた前記発光制御素子による発光制御を開始するまでの前記書出し開始タイミングを調整して、複数の色間の色ずれを補正する色ずれ補正機能部と、前記色ずれの補正の実行条件と前記色ずれの補正の色ずれ補正値を記憶する記憶部と、前記同期検知素子に入射される光の光量が変動したときに生じる検知ずれを補正する検知ずれ補正機能部と、を備え、前記記憶部は、前記色ずれの補正を行うときの前記発光素子の第1の光量を記憶し、前記検知ずれ補正機能部は、前記第1の光量と、前記発光素子の点灯条件として決定される第2の光量と、を用いて前記同期検知素子の検知ずれの検知ずれ補正値を算出し、前記色ずれ補正値に前記検知ずれ補正値を加える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、安価な構成でありながら高品質な画像を形成できる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置の構成の一例を示す図である。
図1B図1Bは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置を適用したMFPのハードウェア構成の一例を示す図である。
図2図2は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における書出し開始タイミングの補正処理の一例を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する同期検知板の一例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置の構成の一例を示す図である。
図6図6は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサから出力される信号の一例を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサに照射される光の強さ、検出信号、および出力信号の関係の一例を説明するための図である。
図8図8は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置の構成の一例を示す図である。
図9図9は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサから出力される信号の一例を説明するための図である。
図10図10は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサから出力される信号の一例を説明するための図である。
図11図11は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における書出し開始タイミングの変化の一例を説明するための図である。
図12図12は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する書出し開始タイミングの補正テーブルの一例を示す図である。
図13図13は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における補正テーブルを利用方法の一例を説明するための図である。
図14A図14Aは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における色合わせ処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図14B図14Bは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における印刷動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図15図15は、第2の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における書出し開始タイミングの補正方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照して、カラー画像形成装置の実施の形態を詳細に説明する。
【0014】
図1Aは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置の構成の一例を示す図である。カラー画像形成装置は、感光体上に形成された静電潜像を現像剤により現像することにより画像を形成し、レジストローラ等により搬送されている記録紙に当該画像を形成するカラー画像形成装置の一例である。
【0015】
本実施の形態にかかるカラー画像形成装置は、図1Aに示すように、一次転写ローラ15K,15C,15M,15Yと、感光体16K,16C,16M,16Yと、中間転写ベルト18と、テンションローラ17と、トナーマーキングセンサ(以下、TMセンサと称する)12と、駆動ローラ13と、二次転写ローラ14と、を備える。以下の説明では、一次転写ローラ15K,15C,15M,15Yを区別しない場合には、一次転写ローラ15と記載する。また、以下の説明では、感光体16K,16C,16M,16Yを区別しない場合には、感光体16と記載する。
【0016】
感光体16K,16C,16M,16Yは、中間転写ベルト18の搬送方向の上流側から感光体16K,16C,16M,16Yの順番で中間転写ベルト18に沿って配列されている。
【0017】
感光体16Kは、その周囲に、帯電器、現像器、一次転写ローラ15K、感光体クリーナ、および除電器等が配置されている。以下の説明では、感光体16K、帯電器、現像器、一次転写ローラ15K、感光体クリーナ、および除電器等を含めて作像部19Kと言う。
【0018】
なお、感光体16C、16M、および16Yは、いずれも感光体16Kと共通の構成要素がその周囲に配置されている。以下の説明では、感光体16C、帯電器、現像器、一次転写ローラ15C、感光体クリーナ、および除電器等を含めて作像部19Cと言う。感光体16M、帯電器、現像器、一次転写ローラ15M、感光体クリーナ、および除電器等を含めて作像部19Mと言う。感光体16Y、帯電器、現像器、一次転写ローラ15Y、感光体クリーナ、および除電器等を含めて作像部19Yと言う。
【0019】
本実施の形態では、カラー作像を行う場合、図1Aに示すように、感光体16K,16C,16M,16Yが中間転写ベルト18に当接し、モノクロ作像を行う場合、感光体16Kが中間転写ベルト18に当接し、感光体16C,16M,16Yは、中間転写ベルト18から離間する。
【0020】
そして、作像部19Kおよび発光素子の一例であるLD(Laser Diode)28(図2参照)は、感光体16Kが中間転写ベルト18に当接している状態で、作像プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程、クリーニング工程、および除電工程)を行うことにより、中間転写ベルト18上にブラックのトナー画像(画像の一例)を形成する。
【0021】
同様に、作像部19CおよびLD28は、感光体16Cが中間転写ベルト18に当接している状態で、作像プロセスを行うことにより中間転写ベルト18上にシアンのトナー画像を形成する。作像部19MおよびLD28は、感光体16Mが中間転写ベルト18に当接している状態で、作像プロセスを行うことにより中間転写ベルト18上にマゼンタのトナー画像を形成する。作像部19YおよびLD28は、感光体16Yが中間転写ベルト18に当接している状態で、作像プロセスを行うことにより中間転写ベルト18上にイエローのトナー画像を形成する。
【0022】
つまり、本実施の形態では、カラー画像を形成する場合、感光体16K,16C,16M,16Yが作像プロセスを行うが、モノクロ画像を形成する場合、感光体16Kは作像プロセスを行うが、感光体16C,16M,16Yは、作像プロセスを行わない。
【0023】
以下では、作像部19Kによる作像プロセスについての説明を主に行い、作像部19C,19M,19Yによる作像プロセスについては、その説明を省略する。
【0024】
感光体16Kは、駆動モータにより回転駆動される。
【0025】
まず、帯電工程では、帯電器は、回転駆動されている感光体16Kの外周面を暗中にて一様に帯電する。
【0026】
続いて、露光工程では、LD28は、回転駆動されている感光体16Kの外周面をブラック画像に応じた照射光(Bk)で露光し、感光体16K上にブラック画像に基づく静電潜像を形成する。
【0027】
続いて、現像工程では、現像器は、感光体16K上に形成された静電潜像をブラックトナーで現像し、感光体16K上にブラックのトナー画像を形成する。
【0028】
続いて、転写工程では、一次転写ローラ15Kは、感光体16Kと接する一次転写位置で、感光体16K上に形成されたブラックのトナー画像を中間転写ベルト18に転写する。なお、感光体16K上には、トナー画像の転写後においても未転写トナーが僅かながら残存する。
【0029】
続いて、クリーニング工程では、感光体クリーナは、感光体16K上に残存している未転写トナーを払拭する。
【0030】
最後に、除電工程では、除電器は、感光体16K上の残留電位を除電する。そして、感光体16Kは、次回の画像形成を待機する。
【0031】
中間転写ベルト18は、テンションローラ17と駆動ローラ13とに巻回されたエンドレスのベルトであり、駆動ローラ13が駆動モータにより回転駆動させられることにより、感光体16K,16C,16M,16Yの順に無端移動する。
【0032】
図1Aに示すように、カラー作像を行う場合、中間転写ベルト18には、まず、感光体16Kによりブラックのトナー画像が転写され、続いて、感光体16Cによりシアンのトナー画像、感光体16Mによりマゼンタのトナー画像、感光体16Yによりイエローのトナー画像が重畳して転写される。これにより、中間転写ベルト18上にフルカラーの画像が形成される。
【0033】
また、モノクロ作像を行う場合、中間転写ベルト18には、感光体16Kによりブラックのトナー画像が転写される。これにより、中間転写ベルト18上にモノクロの画像が形成される。
【0034】
そして、二次転写ローラ14は、駆動ローラ13と接する二次転写位置に、中間転写ベルト18上に形成された画像が運ばれると、当該二次転写位置において、レジストローラ17等により搬送されている記録紙を、中間転写ベルト18上に形成された画像に押し当てる。これにより、中間転写ベルト18から記録紙に画像が転写される。
【0035】
テンションローラ11は、中間転写ベルト18にテンションをかけることで、温度変化の影響による中間転写ベルト18の伸張を全て吸収する。つまり、本実施の形態では、温度変化の影響により、中間転写ベルト18が一様に伸張するのではなく、温度変化の影響による中間転写ベルト18の伸張がテンションローラ11部分に集約される。
【0036】
ここで、本実施の形態では、テンションローラ11は、中間転写ベルト18が最下流の一次転写位置(感光体16Yと一次転写ローラ15Yとが接する一次転写位置)からTMセンサ12に至るまでの経路上に配置されている。
【0037】
このため、本実施の形態によれば、温度変化の影響が同一であれば、カラー作像を行う場合の中間転写ベルト18による画像の搬送距離(感光体16Yと一次転写ローラ15Yとが接する一次転写位置から二次転写位置)における中間転写ベルト18の伸張量と、モノクロ作像を行う場合の中間転写ベルト18による画像の搬送距離(感光体16Kと一次転写ローラ15Kとが接する一次転写位置から二次転写位置)における中間転写ベルト18の伸張量と、が共通の値となる。
【0038】
TMセンサ12は、感光体16への光の照射による静電潜像の書出し開始タイミングを検出する同期検知素子の一例である。具体的には、TMセンサ12は、フォトセンサ等であり、中間転写ベルト18に形成された位置ずれ補正用パターンを読み取ることにより、書出し開始タイミングを検出する。本実施の形態では、図1Aに示すように、カラー作像を行う場合、感光体16K,16C,16M,16Yによりカラー4色の位置ずれ補正用パターンが中間転写ベルト18に形成され、モノクロ作像を行う場合、感光体16Kによりモノクロ1色の位置ずれ補正用パターンが中間転写ベルト18に形成される。
【0039】
図1Bは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置を適用したMFPのハードウェア構成の一例を示す図である。図1Bに示されているように、MFP(Multi-Function Peripheral/Product/Printer)9は、コントローラ910、近距離通信回路920、エンジン制御部930、操作パネル940、ネットワークI/F950を備えている。
【0040】
これらのうち、コントローラ910は、コンピュータの主要部であるCPU901、システムメモリ(MEM-P)902、ノースブリッジ(NB)903、サウスブリッジ(SB)904、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)906、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)907、HDDコントローラ908、および、記憶部であるHD909を有し、NB903とASIC906との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス921で接続した構成となっている。
【0041】
これらのうち、CPU901は、MFP9の全体制御を行う制御部である。NB903は、CPU901と、MEM-P902、SB904、およびAGPバス921とを接続するためのブリッジであり、MEM-P902に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0042】
MEM-P902は、コントローラ910の各機能を実現させるプログラムおよびデータの格納用メモリであるROM902a、プログラムおよびデータの展開、およびメモリ印刷時の描画用メモリ等として用いるRAM902bを有する。なお、RAM902bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0043】
SB904は、NB903とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC906は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス921、PCIバス922、HDD908およびMEM-C907をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC906は、PCIターゲットおよびAGPマスタ、ASIC906の中核をなすアービタ(ARB)、MEM-C907を制御するメモリコントローラ、ハードウェアロジック等により画像データの回転等を行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、スキャナ部931およびプリンタ部932との間でPCIバス922を介したデータ転送を行うPCIユニットを有する。なお、ASIC906には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェース、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースを接続するようにしてもよい。本実施の形態では、プリンタ部932は、図1Aに示すカラー画像形成装置の構成を有する。
【0044】
MEM-C907は、コピー用画像バッファおよび符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD909は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD909は、CPU901の制御にしたがってHD909に対するデータの読出または書込を制御する。AGPバス921は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P902に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0045】
また、近距離通信回路920には、近距離通信回路920aが備わっている。近距離通信回路920は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。更に、エンジン制御部930は、スキャナ部931およびプリンタ部932によって構成されている。また、操作パネル940は、現在の設定値および選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部940a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に関する条件の設定値を受け付けるテンキーおよびコピー開始指示を受け付けるスタートキー等からなる操作パネル940bを備えている。コントローラ910は、MFP9全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル940からの入力等を制御する。スキャナ部931またはプリンタ部932には、誤差拡散およびガンマ変換等の画像処理部分が含まれている。
【0046】
なお、MFP9は、操作パネル940のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0047】
また、ネットワークI/F950は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。近距離通信回路920およびネットワークI/F950は、PCIバス922を介して、ASIC906に電気的に接続されている。
【0048】
図2は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置の機能構成の一例を示すブロック図である。本実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置は、感光体16を露光する光書込み装置の一例である。具体的には、光書込み装置は、図2に示すように、TMセンサ12(光検出センサ)、LD28、ポリゴンモータ29、および光書込制御部20を有する。光書込制御部20は、図2に示すように、センサ制御部21、発光制御部22、カウント部23、偏向制御部24、基準値記憶部25、補正値算出部26、および補正値記憶部27を有する。
【0049】
LD28は、感光体16に光(ビーム、レーザビーム)を照射する発光素子の一例である。発光制御部22は、LD28の発光を制御する発光制御素子の一例である。発光制御部22は、偏光素子の一例であるポリゴンミラー52(図5参照)の一面の端から端まで照射される光が一方向に走査する間に、LD28の光量を一定に制御しても良い。これにより、主走査シェーディング機能の無い安価なLDドライバを採用でき、製造コストの削減に貢献できる。
【0050】
具体的には、発光制御部22は、LD28の点灯および消灯の制御、LD28の発光パワーを調整する機能を有する。発光制御部22は、感光体16上に静電潜像を形成するため、入力される画像データに応じたLD28の点灯信号および消灯信号を狙ったタイミングで転送する。以下、点灯信号および消灯信号の転送開始のタイミングを書出し開始タイミングと表現する。
【0051】
書出し開始タイミングを決定するため、LD28から出力されたレーザビームをTMセンサ12で検出する。TMセンサ12の出力信号は、光書込制御部20に入力され、カウント部23による内部カウント値をリセットする。画像形成中の内部カウント値は、カウント部23により自動的にカウントアップされる。内部カウント値が所定値に到達したときに、発光制御部22は、画像データに応じたLD28の点灯信号および消灯信号の転送を開始する。
【0052】
ここで、所定値とは、感光体16の配置とTMセンサ12(光検出センサ)の配置とに基づき決定される基準値と、各色の走査方向のずれ(主走査ずれ)の補正値と、の和によって決定される値である。走査方向のずれ(主走査ずれ)の補正値は、補正値記憶部27に記憶されており、画像形成を開始する前に、補正値記憶部27から読み出される。補正値算出部26は、補正値記憶部27から読み出した補正値と予め決まっている基準値(基準値記憶部25に記憶される基準値)とを用いて書出し開始タイミングを決定する。
【0053】
なお、補正値記憶部27に記憶されている補正値は、複数の色間の色ずれを補正する色合わせ動作時に更新される。このように構成することにより、色合わせ動作を行うことにより、感光体16の狙った位置に静電潜像を形成でき、高品質な画像を形成できるようになる。
【0054】
すなわち、補正値算出部26は、TMセンサ12が光を検出してから画像データに応じた発光制御部22による発光制御を開始するまでの書出し開始タイミングを調整して、複数の色間の色ずれを補正する色ずれ補正機能部の一例として機能する。また、補正値記憶部27は、補正値算出部26による色ずれの補正の実行条件、および当該色ずれの補正の補正値(色ずれ補正値)を記憶する記憶部の一例として機能する。また、補正値算出部26は、TMセンサ12に入射される光の光量が変動したときに生じるずれ(検知ずれ)を補正する検知ずれ補正機能部の一例として機能する。
【0055】
さらに、補正値記憶部27は、補正値算出部26により色ずれの補正を行う際のLD28の光量(第1の光量の一例)を記憶する。また、補正値算出部26は、第1の光量と、LD28の点灯条件として決定される光量(第2の光量の一例)と、を用いて、TMセンサ12の検知ずれの検知ずれ補正値を算出する。そして、補正値算出部26は、補正値記憶部27に記憶される色ずれ補正値に、検知ずれ補正値を加える。
【0056】
ここで、色ずれの補正は、画像の主走査レジスト、副走査レジスト、全体倍率等の補正処理を行う色合わせを含む。一般的に、画像の色合わせを行う場合、各色のトナーで作られる色合わせパターンをTMセンサ12で検出し、その検出結果から複数の色間の色ずれを補正する方法が用いられる。色合わせパターンを形成する場合の書出し開始タイミングは、色合わせパターンを形成する場合のビームの光量により決まる。そして、色合わせパターンを形成するときのビームの光量が変われば書出し開始タイミングが変わり、色合わせパターンのずれ方にも、算出される複数の色間の色ずれ補正値にも影響を与える。つまり、複数の色間の色ずれ補正値とは、色合わせパターンを形成するときのビームの光量と一対一の関係で結びつくものである。ビームの光量が変われば適切な色ずれ補正値も変わる。
【0057】
本実施の形態では、補正値算出部26は、上述の基準値および色ずれ補正値の他に、LD28の光量変動により生じる書出し開始タイミングのずれ(検知ずれ)を補正する検知ずれ補正値を追加する。これにより、色ずれの補正(色合わせ)を行ったときの第1の光量を記憶しておき、画像を印刷するとき(静電潜像を形成するとき)には、印刷するときの第2の光量と、色合わせを行ったときの第1の光量と、の2つの光量を用いて、画像書出し開始タイミングを補正する。その結果、安価な構成でありながら高品質な画像を形成できる。また、発光制御部22は、走査方向の特定のタイミングでLD28のビームパワーを変動させる機能を有することもあるが、製造コストの削減のため、本実施の形態ではその構成を取らず、全走査期間で均一なビームパワーとする構成としても良い。
【0058】
ポリゴンモータ29は、ポリゴンミラー52(図5参照)を駆動する。偏向制御部24は、ポリゴンモータ29の駆動を制御する。
【0059】
図3は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における書出し開始タイミングの補正処理の一例を説明するための図である。感光体16上に形成される静電潜像は、トナー(現像剤)で現像され、中間転写体(中間転写ベルト18)上に転写される。その中間転写ベルト18に対向して設けられかつ中間転写ベルト18上のトナーを検出するTMセンサ12が、中間転写ベルト18の搬送方向とは直交する方向(主走査方向)に複数個設置されている。
【0060】
色合わせ実行時には、それぞれのTMセンサ12を通過するように色合わせパターンを形成してTMセンサ12で当該色合わせパターンを検出する。補正値算出部26は、TMセンサ12の検出結果を用いて複数の色間のレジストずれまたは倍率ずれ等の色ずれを補正する補正値を算出する。書出し開始タイミングの色ずれ補正値はそのうちの一つに含まれる。
【0061】
図4は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する同期検知板の一例を説明するための図である。本実施の形態では、同期検知板41上にTMセンサ12が設置されているが、LD28からの光のビーム経路上に反射ミラーを置き、同期検知板41は、TMセンサ12とは全く異なるところに配置されていても良い。
【0062】
同期検知板41上に設置されるTMセンサ12は、LD28から出射されるビームの走査上に配置される。感光体16を1回走査するとき、その直前または直後に同期検知板41上のTMセンサ12がLD28のビームを検出し、同期信号を出力する。感光体16の書出し開始タイミングは、光書込制御部20に入力される同期信号に基づき決定される。
【0063】
図5は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置の構成の一例を示す図である。色毎に設置される感光体16をそれぞれ走査するLD28から出射された光は、レンズ51を経由してポリゴンミラー52の表面で偏向され、対向して設定されるfθレンズ53を透過して感光体16に照射される。ポリゴンミラー52が回転すると、LD28から出射された光が感光体16上を一方向に走査し、画像データに応じた静電潜像を感光体16上に形成する。
【0064】
ポリゴンミラー52の回転角度によって光の反射する角度は変わり、fθレンズ53に光が入射されないときは画像領域外の角度となる。画像領域外の光をミラー54により偏向させ、レンズ55を経由して同期検知板41にビームを照射するように構成される。すなわち、ポリゴンミラー52は、多面の反射体であって、LD28からの光の出射光路上に設けられ、外部から入力される信号によって回転駆動し、当該反射体の表面に照射された光を偏向して感光体16を一方向に走査する偏向素子の一例として機能する。
【0065】
図4で説明した通り、同期検知板41には光センサ(TMセンサ12)が配置されているため、TMセンサ12により、入射される光を検出して同期信号として光書込制御部20に出力される。カラー画像形成装置に搭載されている光書込み装置では、異なる色に応じたLD28が設けられ、ポリゴンミラー52の異なる面に向かって光を照射し、異なるfθレンズ53を経由して異なる色の感光体16上を走査する。光書込み装置には、もう一つの同期検知板41が設けられる。2枚の同期検知板41にそれぞれTMセンサ12が設けられ、それぞれのTMセンサ12はLD28から入射される光を検出し、色毎に異なる同期信号を光書込制御部20に出力する。
【0066】
図6は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサから出力される信号の一例を説明するための図である。図6に示すグラフにおいて、縦軸は、TMセンサ12から出力される信号を表し、横軸は、時間を表す。TMセンサ12は、フォトダイオードのように光を当てると電流を生じる半導体素子を含む。TMセンサ12による光の検出精度を向上させるため、外乱光を減らし光の入射方向を絞るためのスリットおよびレンズ等を設けても良い。すなわち、TMセンサ12は、LD28からの光の入射光路を制限するスリットを有していても良い。これにより、光の入射角度が傾いてS/N比が悪化する場合に、外乱光を避ける構成としたときの非線形の歪みを補正することができる。
【0067】
TMセンサ12が有する受光部にLD28からの光が照射されると、電流が発生し、その電流は内蔵オペアンプ回路により増幅される。そして、増幅された電流は、調整された固定値のゲイン抵抗に流れ、TMセンサ12の検出信号となる。この検出信号はアナログ値で、そのまま扱うのは難しい信号である。そこで、TMセンサ12の検出信号の大きさを比較器で比較し、一定の電圧を超過する期間のみビーム(LDビーム)を検出した期間とするデジタル値の出力信号(同期信号)に変換する。
【0068】
光書込制御部20には、デジタル値に変換されたTMセンサ12の出力信号を渡し、LD28からの光をTMセンサ12が検出したかどうかが判定される。
【0069】
図7は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサに照射される光の強さ、検出信号、および出力信号の関係の一例を説明するための図である。図7に示すグラフにおいて、縦軸は、TMセンサ12から出力される信号を表し、横軸は、時間を表す。LD28からの光の強さが変動すると、TMセンサ12の検出信号も変動する。LD28からの光の強さが強ければアナログの検出信号も大きくなり、LD28からの光の強さが弱ければ検出信号が小さくなる。その結果、TMセンサ12の出力信号が示す光(LDビーム)が検出される期間である検出期間が広がったり縮んだりする。同期検知板41に入射される光の検出位置は、検出信号の立下りエッジまたは検出信号の立上りエッジを使用する。そのため、LD28の光の強さが強まったり弱まったりすれば、検出信号のエッジの位置が変動して書出し開始タイミングがずれる。
【0070】
書出し開始タイミングのずれを抑制するため、従来では、次のような解決方法が提案されている。特許文献1では、光センサの比較器の基準電圧を調整可能とし、LDビームの検出期間を一定とする方法を開示している。特許文献2では、LDビームの検出期間を計測し、そのLDビームの検出期間の中央位置を検出位置として定めることにより、ビームパワーの大きさによらず、LDビームを検出できる方法を開示している。
【0071】
図8は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する光書込み装置の構成の一例を示す図である。図8に示す光書込み装置は、図5に示す光書込み装置と比較して、同期検知板41が1枚に集約されている。1枚の同期検知板41に対して2つのLD28から出射される光が異なる角度で入射される。すなわち、図8に示す光書込み装置は、異なる現像剤での現像に用いられる複数のLD28からの光を1つのTMセンサ12に照射する。このように構成することにより、同期検知板41を1枚削除でき、光書込み装置の製造のコスト削減に貢献できる。
【0072】
また、それぞれのLD28の光を検出するため、同期検知板41にTMセンサ12を複数載せることも可能であるが、光書込み装置の製造のコスト削減を目的としているので、同期検知板41に搭載するTMセンサ12の数を減らした方が有利になる。その観点から、本実施の形態にかかる光書込み装置の構成ではそれぞれのLD28の光を検出するTMセンサ12は共通の1個として考えても良い。
【0073】
1個のTMセンサ12で全てのLD28の光を検出する構成を取る場合、光書込み装置の製造のコストは削減できるが課題が生じる。それぞれのLD28の光の強さ(ビームパワー)は、各色に対応する感光体16に静電潜像を形成するために調整されている。ビームパワーが互いに異なるLD28から出射されるビームを共通のTMセンサ12で検出するため、それぞれのLD28の光の検出期間を一定にするという方法が取れなくなる。
【0074】
つまり、特許文献1のようにLD28の光の検出期間が一定になるように比較器の基準電圧を調整する方法では、一方のLD28のビームパワーに対しては調整できるが、同時に他方のLD28のビームパワーに対しては調整することができず、各色の書出し開始タイミングを最適化できない。その結果、画像品質が劣化してしまうことになる。
【0075】
そこで、本実施の形態では、色合わせを行ったときの第1の光量を記憶しておき、画像を印刷するとき(静電潜像を形成するとき)には、印刷するときの第2の光量と、色合わせを行ったときの第1の光量と、の2つの光量を用いて、画像書出し開始タイミングを補正する。これにより、図8に示す安価な構成であっても、書出し開始タイミングを最適化し、高品質な画像を提供できる。
【0076】
図9および図10は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置のTMセンサから出力される信号の一例を説明するための図である。図9および図10に示すグラフにおいて、縦軸は、TMセンサ12から出力される信号を表し、横軸は、時間を表す。図9に示す例は、図6と比較して、TMセンサ12に入射されるLD28からの光の角度が傾いている。図8に示すように、複数の光が1枚の同期検知板41(1つのTMセンサ12)に対して入射される場合、それぞれの光に入射角度が生じることがある。このとき、TMセンサ12の検出信号は左右対称にならず歪んだ波形になることがある。
【0077】
また、図10に示す例は、図7と比較して、TMセンサ12に入射されるLD28からの光の入射角度が傾いている場合の検出信号等の変化の様子である。光の入射角度が傾くと、TMセンサ12の検出信号が左右対称にならず歪む。このとき、LD28のビームパワーを強めたり弱めたりさせた場合、検出信号の立上り側(図に向かって左側)と検出信号の立下り側(図に向かって右側)の変化量は、均一にならなくなる。これは光の強さのピーク位置がLD28の光の検出期間の中央に無いということを示している。つまり、特許文献2のように、LD28からの光の検出期間を計測し、検出信号の立下りのエッジ位置からその検出期間の1/2を遅らせた位置を光の検出位置とする方法では、適切な位置をピーク位置と定めることができず、書出し開始タイミングを最適化できない。その結果、画像品質が劣化してしまうことになる。
【0078】
そこで、本実施の形態では、色合わせを行ったときの第1の光量を記憶しておき、画像を印刷するとき(静電潜像を形成するとき)には、印刷するときの第2の光量と、色合わせを行ったときの第1の光量と、の2つの光量を用いて、画像の書出し開始タイミングを補正する。その結果、図8のような安価な構成であっても、書出し開始タイミングを最適化し、高品質な画像を提供できる。
【0079】
図11は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における書出し開始タイミングの変化の一例を説明するための図である。図11の中央のグラフにおいて、縦軸は、TMセンサ12から出力される信号を表し、横軸は、時間を表す。また、図11に向かって右側のグラフにおいて、縦軸は、書出し開始タイミングの変化量を表し、横軸は、LD(LD)28のビームパワーを表す。同期検知板41に搭載されているTMセンサ12に入射されるLD28の光のビームパワーが強まったり弱まったりすると、TMセンサ12の出力信号の立下りエッジがずれ、画像の書出し開始タイミングが変動する。そのため、書出し開始タイミングの変化量をグラフ化すると非線形の形状となる。ビームパワーが小さいときは基準電圧に近しい電圧がピーク値となるため、ビームパワーの変化に対する感度が高く変化量が大きくなる。ビームパワーが大きいときは基準電圧に近しい電圧は簡単に超過してしまうため、ビームパワーの変化に対する感度が低く変化量が小さくなる。
【0080】
上述した書出し開始タイミングの変化量は、TMセンサ12に入射される光の入射角度、スリット、レンズ、受光部の形状等の物理的な構成により一つに決まる。物理構成により決定される変化量を入力パラメータとし、画像を形成するときにはその変化量を補正するように動作させることにより、ビームパワーを変化させても書出し開始タイミングを最適なタイミングで合わせることができ、高品質な画像を提供できる。そこで、本実施の形態では、この変化量を補正するための補正テーブルを用意し、書出し開始タイミングのずれを補正しても良い。
【0081】
図12は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置が有する書出し開始タイミングの補正テーブルの一例を示す図である。同期検知板41に搭載されているTMセンサ12に入射される光のビームパワーと、その書出し開始タイミングの変化量と、を対応付ける補正テーブルの一例を示す。すなわち、補正テーブルは、LD28から出射される光の光量と、書出し開始タイミングのずれである変化量(すなわち、TMセンサ12の出力信号のずれ)と、を対応付けるテーブルである。補正テーブルは、補正値記憶部27に記憶される。補正テーブルは、光の経路の異なるLD28毎に設けられる。
【0082】
補正値算出部26は、TMセンサ12に入射される光のビームパワーを一つ決めたときに、上記補正テーブルに従い書出し開始タイミングを補正する。すなわち、補正値算出部26は、補正テーブルにおいて第2の光量(印刷動作時またはLD28の点灯条件の決定時のビームパワー)と対応付けられる変化量を用いて、検知ずれ補正値を算出する。これにより、書出し開始タイミングの変化量の非線形の歪みを補正テーブルで補正できるようにして、高品質な画像を提供できる。
【0083】
例えば、LD28(LD1)のビームパワーを1.3mW、LD28(LD2)のビームパワーと1.1mWとして動作させるとき、補正テーブルは、LD1の書出し開始タイミングは8.640ns遅らせる必要があり、LD2の書出し開始タイミングは2.526ns早める必要があることを示している。このような補正テーブルを使用することにより、それぞれのLD28のビームパワーを変動させたとしても、書出しタイミングのずれを抑制して高品質な画像を提供できる。
【0084】
補正テーブルを参照するとき、入力値は、LD28の光のビームパワーとしても良いし、当該ビームパワーの基準のビームパワーに対する比率(ビームパワー比率)としても良い。すなわち、補正テーブルは、ビームパワー比率と、書出し開始タイミングの変化量と、を対応付けるテーブルであっても良い。図12に示す例では、基準のビームパワーは4.0mWとしてビームパワー比率を計算している。この基準のビームパワーをマシン組立て時に色毎に記憶しておく構成としても良い。そして、補正値算出部26は、補正テーブルにおいて、第2の光量を基準の光量で除算することにより得られるビームパワー比率と対応付けられる変化量に基づいて、検知ずれ補正値を算出する。ビームパワーの調整レンジが狭いとき、基準のビームパワーを記憶しておく方法が有効な補正方法になる。
【0085】
具体的には、補正値記憶部27は、基準のビームパワー(光量)を記憶する。補正値算出部26は、補正値記憶部27から基準のビームパワーを読み出す。そして、補正値算出部26は、第2の光量を基準のビームパワーで除算することにより得られるビームパワー比率と対応付けられる変化量から、第1の光量を基準のビームパワーで除算することにより得られるビームパワー比率と対応付けられる変化量を減算することにより検知ずれ補正値として算出する。
【0086】
図13は、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における補正テーブルを利用方法の一例を説明するための図である。図12で説明したように、LD28のビームパワーが変動したときの書出し開始タイミングの変化量をキャンセルできるようにテーブル化したものが補正テーブルである。カラー画像形成装置における複数の色間の色ずれは色合わせ時に補正される。中間転写ベルト18上に色合わせパターンを形成する必要があるため、LD28毎に何かしらのビームパワーで色合わせパターンを形成する。
【0087】
書出し開始タイミングは、同期検知板41のTMセンサ12の出力信号を基準に決定されるものであり、色合わせパターンの形成時でも印刷動作時でも差異は無く、LD28のビームパワーが変動すれば同じようにずれが生じる。色合わせパターンを形成するとき、書出し開始タイミングはそのビームパワーに応じてタイミングがずれるが、その状態で色合わせを行うため算出される補正値には書出し開始タイミングの補正値をも含んでいる。
【0088】
図13を例にすると、色合わせ実行時のLD28(LD1)のビームパワーが4.1mWであれば書出し開始タイミングが32.542nsずれるが、色合わせで算出される補正値にはその32.542nsのずれ分を含んだ補正値が算出される。従って、印刷動作時のLD1のビームパワーが4.1mWであれば、色合わせにより最適化された位置に画像を形成できるように調整される。
【0089】
本実施の形態における補正テーブルの使用方法を次のように定める。色合わせ実行時の動作条件としてLD28のそれぞれのビームパワーを記憶しておき、印刷実行時のビームパワーで生じる書出し開始タイミングの補正量と、色合わせ実行時のビームパワーで生じる書出し開始タイミングの補正量と、の差分をキャンセルするように書出し開始タイミングを補正する。すなわち、補正値算出部26は、印刷動作時(LD28の点灯条件の決定時)の第2の光量に応じて決定される書出し開始タイミングの変化量(第2の検知ずれ補正量の一例)から、色合わせ時の第1の光量に応じて決定される書出し開始タイミングの変化量(第1の検知ずれ補正量の一例)を減算した値を、検知ずれ補正値として算出する。これにより、色合わせ時のビームパワーからLD28のビームパワーが変動するときの色ずれを補正することができる。
【0090】
図13を例にすると、色合わせ実行時のLD1のビームパワーが4.1mWに対して印刷動作時のビームパワーが3.8mWであれば、下記の式(1)に示すように、補正テーブルにおけるその2つの補正量の差分である-0.862nsを補正することによりLD1の書出し開始タイミングを補正できる。また、色合わせ実行時のLD2のビームパワーが4.2mWに対して印刷動作時のビームパワーが4.0mWであれば、下記の式(2)に示すように、補正テーブルにおけるその2つの補正量の差分である0.463nsを補正することによりLD2の書出し開始タイミングを補正できる。
【数1】
【0091】
このように書出し開始タイミングの補正量を算出することにより、画像形成時に生じる書出し開始タイミングのずれを抑制し、高品質な画像を提供できる。
【0092】
図14Aは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における色合わせ処理の流れの一例を示すフローチャートである。図14Bは、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における印刷動作の流れの一例を示すフローチャートである。書出し開始タイミングの補正方法は、この2つのフローチャートの中で処理される。
【0093】
まず、カラー画像形成装置における色合わせ処理の流れの一例について説明する。光書込制御部20は、検出前処理を実行する(ステップS1401)。具体的には、光書込制御部20は、色合わせパターンを形成および検出する前の準備を行う。また、光書込制御部20は、中間転写ベルト18等を回転させながらTMセンサ12の発光強度を調整する。
【0094】
次に、光書込制御部20は、色合わせパターンの形成を行う(ステップS1402)。具体的には、光書込制御部20は、色合わせパターンの形成に関わる設定を行う。
【0095】
次に、光書込制御部20は、色合わせパターンの検出を行う(ステップS1403)。さらに、光書込制御部20は、色合わせパターンの検出に成功したか否かを判断する(ステップS1404)。具体的には、光書込制御部20は、色合わせパターンの検出に関わる処理を行い、形成した色合わせパターン全てを検出完了した時点で(ステップS1404:Yes)、色合わせパターンの検出処理を終了して、ステップS1405に進む。一方、光書込制御部20は、色合わせパターンが検出されなかった場合(ステップS1404:No)、色合わせ処理を終了する。
【0096】
次に、補正値算出部26は、色ずれ補正値の算出処理を行う(ステップS1405)。具体的には、補正値算出部26は、色合わせパターンの検出結果を用いて、色間のずれを補正する色ずれ補正値を算出する。ここで、色間のずれには、主走査レジストずれ、副走査レジストずれ、スキューずれ、倍率ずれ、部分倍率ずれ等のずれが含まれる。書出し開始タイミングのずれには、このうちの主走査レジストずれに含まれており、色合わせした時点で色間の主走査レジストずれを補正する色ずれ補正値が算出される。
【0097】
次に、算出した色ずれ補正値が正常値である場合(ステップS1406:Yes)、補正値算出部26は、色ずれ補正値および第1の光量を更新する(ステップS1407)。具体的には、補正値算出部26は、補正値記憶部27に記憶されている色ずれ補正値および第1の光量を更新する。ただし、色合わせパターン検出、補正値の演算結果等、色合わせが正常に行われないときは色ずれ補正値および第1の光量の更新処理をスキップする。すなわち、補正値記憶部27に記憶されている第1の光量は、色合わせが正常に行われない場合には、更新されない。
【0098】
次に、補正値算出部26は、色合わせ処理の実行条件を更新する(ステップS1408)。具体的には、補正値算出部26は、補正値記憶部27に記憶されている色合わせの実行条件を更新する。ここで、色合わせの実行条件には、実行時の機内温度、LD28のビームパワーが含まれる。ただし、色合わせパターンの検出および補正値の演算結果等、色合わせが正常に行われないときは、色合わせ処理の実行条件の更新処理をスキップする。
【0099】
次に、本実施の形態にかかるカラー画像形成装置の印刷動作の流れの一例について説明する。まず、光書込制御部20は、印刷動作前処理を実行する(ステップS1411)。具体的には、光書込制御部20は、印刷ジョブが入ってからの光書込み装置の起動処理を行う。ここで、光書込み装置の起動処理には、LDドライバの起動、ポリゴンモータ29の回転、印刷動作中のLD28のビームパワーの決定等が含まれる。
【0100】
次に、光書込制御部20は、LD28の初期化処理を実行する(ステップS1412)。具体的には、光書込制御部20は、LD28の点灯パワーが目標パワーになるように初期化する。また、光書込制御部20は、同期検知板41のTMセンサ12でLD28のビームを検出できるように同期点灯を開始する。
【0101】
次に、LD28の初期化が正常に行われ(ステップS1413:Yes)、同期信号が検出された場合(ステップS1414:Yes)、補正値算出部26は、色合わせの実行条件を読み出す(ステップS1415)。具体的には、補正値算出部26は、色合わせ処理の実行時に記憶しておいた、色合わせ実行時のLD28のビームパワーを読み出す。なお、LD28の初期化が正常に行われなかった場合(ステップS1413:No)、または同期信号が検出されなかった場合(ステップS1414:No)、光書込制御部20は、印刷処理を強制終了する(ステップS1420)。
【0102】
次に、補正値算出部26は、書出し開始タイミングを調整する(ステップS1416)。具体的には、補正値算出部26は、補正テーブルを参照し、印刷動作時のLD28のビームパワーと、色合わせ実行時のLD28のビームパワーを用いて書出し開始タイミングを色ごとに調整する。
【0103】
次に、光書込制御部20は、印刷動作中処理を実行する(ステップS1417)。具体的には、光書込制御部20は、画像データに応じてLD28を点灯および消灯させ、感光体16上に所望の静電潜像を形成するための処理を行う。
【0104】
その後、全ての印刷ジョブが終了した場合(ステップS1418:Yes)、光書込制御部20は、印刷動作後処理を実行する(ステップS1419)。具体的には、光書込制御部20は、印刷終了後の感光体16の除電、LDドライバの停止、ポリゴンモータの停止等を行う。
【0105】
このように、第1の実施の形態にかかるカラー画像形成装置によれば、色ずれの補正を行ったときの第1の光量を記憶しておき、画像を印刷するときには、印刷するときの第2の光量と、色合わせを行ったときの第1の光量と、の2つの光量を用いて、画像書出し開始タイミングを補正する。その結果、安価な構成でありながら高品質な画像を形成できる。
【0106】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、書出し開始タイミングの変化量を求める多項式の補正曲線を用いて書出し開始タイミングを補正する例である。以下の説明では、第1の実施の形態と同様の構成については説明を省略する。
【0107】
図15は、第2の実施の形態にかかるカラー画像形成装置における書出し開始タイミングの補正方法の一例を説明するための図である。図15において、縦軸は、書出し開始タイミングの補正量を表し、横軸は、LD(LD)28のビームパワーを表す。図12および図13で示したように、第1の実施の形態では、補正テーブルを用いて書出し開始タイミングを調整する方法を提案している。
【0108】
これに対して、本実施の形態では、補正値算出部26は、書出し開始タイミングの変化量を求める多項式の補正曲線を用いて書出し開始タイミングの補正量(変化量)を算出する。補正値算出部26は、色毎に異なる多項式の補正曲線を用いて書出し開始タイミングの補正量を算出する。具体的には、補正値算出部26は、図11に示す書出し開始タイミングの変化量をキャンセルするように算出した補正量の各プロット点から多項式の近似曲線を算出し、その係数a~a(図中ではaまで)を予め決定する。補正値記憶部27は、係数a~aを記憶する。また、補正値算出部26は、LD28のビームパワーLDpを入力値とし、それに係数a~aを掛けてLDpの0乗~n乗までの各項を合算することにより、書出し開始タイミングの補正量を算出する。
【0109】
そして、補正値記憶部27は、色合わせ実行時の動作条件としてLD28のそれぞれのビームパワーを記憶しておく。補正値算出部26は、印刷実行時のビームパワーで生じる書出し開始タイミングの補正量と、色合わせ実行時のビームパワーで生じる書出し開始タイミングの補正量と、の差分(検知ずれ補正値)を求め、当該差分をキャンセルするように書出し開始タイミングを補正する。
【0110】
例えば、補正係数がa=-42.249、a=62.972、a=-24.779、a=5.0273、a=-0.4872、a=0.0151、a=0.0003であるとする。色合わせ実行時のLD28(LD1)のビームパワーが4.1mWに対して印刷動作時のビームパワーが3.8mWであれば、補正値算出部26は、下記の式(3),(4)に示すように、補正曲線における補正量を、それぞれ27.1360ns、26.3738nsと算出する。
【数2】
【0111】
そして、補正値算出部26は、下記の式(5)に示すように、この2つの補正量の差分である-0.7622nsを検知ずれ補正値として算出し、当該検知ずれ補正値に基づいて色ずれを補正することによりLD1の書出し開始タイミングを補正する。
【数3】
【0112】
このように、第2の実施の形態にかかるカラー画像形成装置によれば、補正テーブルを用いて高精度に書き出しタイミングを補正する場合と比較して、データの保持によって記憶領域を大きく消費することなく、書出し開始タイミングを最適化し、高品質な画像を提供できる。
【0113】
なお、上記実施の形態では、本発明のカラー画像形成装置を、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能およびファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する複合機に適用した例を挙げて説明するが、複写機、プリンタ、スキャナ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置であればいずれにも適用することができる。
【0114】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0115】
<1>感光体上に形成された静電潜像に現像剤を現像することにより画像を形成する電子写真方式のカラー画像形成装置において、
前記カラー画像形成装置は、
前記感光体を露光する光書込み装置を有し、
前記光書込み装置は、
前記感光体に光を照射する発光素子と、
前記発光素子を発光制御する発光制御素子と、
多面の反射体であって、前記発光素子からの光の出射光路上に設けられ、外部から入力される信号によって回転駆動し、前記反射体の表面に照射された光を偏向して前記感光体を一方向に走査する偏向素子と、
前記感光体上への光の照射による静電潜像の書出し開始タイミングを検出する同期検知素子と、を有し、
前記同期検知素子が光を検出してから画像データに応じた前記発光制御素子による発光制御を開始するまでの前記書出し開始タイミングを調整して、複数の色間の色ずれを補正する色ずれ補正機能部と、
前記色ずれの補正の実行条件と前記色ずれの補正の色ずれ補正値を記憶する記憶部と、
前記同期検知素子に入射される光の光量が変動したときに生じる検知ずれを補正する検知ずれ補正機能部と、を備え、
前記記憶部は、前記色ずれの補正を行うときの前記発光素子の第1の光量を記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記第1の光量と、前記発光素子の点灯条件として決定される第2の光量と、を用いて前記同期検知素子の検知ずれの検知ずれ補正値を算出し、前記色ずれ補正値に前記検知ずれ補正値を加える、カラー画像形成装置。
【0116】
<2>前記発光制御素子は、前記偏向素子の一面の端から端まで照射される光が一方向に走査する間に、前記発光素子の光量を一定に制御する、<1>に記載のカラー画像形成装置。
【0117】
<3>前記光書込み装置は、異なる現像剤での現像に用いられる複数の前記発光素子からの光を、一つの前記同期検知素子に照射する、<1>または<2>に記載のカラー画像形成装置。
【0118】
<4>前記記憶部は、前記発光素子から照射される光の光量と、前記書出し開始タイミングの変化量と、を対応付ける補正テーブルを記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記補正テーブルにおいて前記第2の光量と対応付けられる前記変化量を用いて、前記検知ずれ補正値を算出する、<1>から<3>のいずれか一に記載のカラー画像形成装置。
【0119】
<5>前記検知ずれ補正機能部は、前記書出し開始タイミングの変化量を求める多項式の検知ずれ補正曲線を用いて、前記検知ずれ補正値を算出し、
前記記憶部は、前記多項式の係数を記憶する、<1>から<3>のいずれか一に記載のカラー画像形成装置。
【0120】
<6>前記同期検知素子は、前記発光素子からの光の入射光路を制限するスリットを有する<1>から<5>のいずれか一に記載のカラー画像形成装置。
【0121】
<7>前記検知ずれ補正機能部は、前記同期検知素子に光を照射する前記発光素子毎に異なる前記多項式を用いて、前記検知ずれ補正値を算出する、<5>に記載のカラー画像形成装置。
【0122】
<8>前記検知ずれ補正機能部は、前記第2の光量に応じて決定される第2の検知ずれ補正量から前記第1の光量に応じて決定される第1の検知ずれ補正量を減算した値を、前記検知ずれ補正値として算出する、<1>から<7>のいずれか一に記載のカラー画像形成装置。
【0123】
<9>前記記憶部は、前記発光素子から照射される光量を基準の光量で除算した比率と、前記書出し開始タイミングの変化量と、を対応付ける補正テーブルを記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記補正テーブルにおいて、前記第2の光量を前記基準の光量で除算することにより得られる前記比率と対応付けられる前記変化量に基づいて、前記検知ずれ補正値を算出する、<1>から<7>のいずれか一に記載のカラー画像形成装置。
【0124】
<10>前記記憶部は、前記基準の光量を記憶し、
前記検知ずれ補正機能部は、前記記憶部から、前記検知ずれ補正値を算出する場合に前記基準の光量を読み出し、前記第2の光量を前記基準の光量で除算することにより得られる前記比率と対応付けられる前記変化量から、前記第1の光量を前記基準の光量で除算することにより得られる前記比率と対応付けられる前記変化量を減算することにより前記検知ずれ補正値を算出する、<9>に記載のカラー画像形成装置。
【0125】
<11>前記記憶部に記憶されている前記第1の光量は、色合わせが正常に行われないときは更新されない、<1>から<10>のいずれか一に記載のカラー画像形成装置。
【符号の説明】
【0126】
12 TMセンサ
13 駆動ローラ
14 二次転写ローラ
15K,15C,15M,15Y 一次転写ローラ
16K,16C,16M、16Y 感光体
17 テンションローラ
18 中間転写ベルト
19K,19C,19M,19Y 作像部
20 光書込制御部
21 センサ制御部
22 発光制御部
23 カウント部
24 偏向制御部
25 基準値記憶部
26 補正値算出部
27 補正値記憶部
28 LD
29 ポリゴンモータ
52 ポリゴンミラー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0127】
【特許文献1】特許第2815183号公報
【特許文献2】特開昭61-025363号公報
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14A
図14B
図15