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特開2024-88481画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088481
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 30/40 20180101AFI20240625BHJP
   A61B 6/03 20060101ALI20240625BHJP
   A61B 5/055 20060101ALI20240625BHJP
   A61B 6/00 20240101ALI20240625BHJP
【FI】
G16H30/40
A61B6/03 360D
A61B5/055 380
A61B6/00 350A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203681
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武井 瑞希
【テーマコード(参考)】
4C093
4C096
5L099
【Fターム(参考)】
4C093CA18
4C093CA35
4C093DA01
4C093FA44
4C093FA60
4C093FF17
4C093FF18
4C093FF28
4C096AB39
4C096AB44
4C096AD14
4C096AD24
4C096DC20
4C096DC21
4C096DC28
5L099AA26
(57)【要約】
【課題】医用画像の読影効率の低下を抑制することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを得る。
【解決手段】画像処理装置は、医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、設定した実行条件に従って異常検出処理を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのプロセッサを備える画像処理装置であって、
前記プロセッサは、
医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、
前記臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、
設定した実行条件に従って前記異常検出処理を実行する
画像処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記医用文書内の所見及び診断結果の少なくとも一方に記述された文章に基づいて前記注目度を導出する
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記臓器毎の関連単語の出現頻度、前記臓器毎の関連文の出現頻度、前記臓器毎の関連文の文字量、及び前記臓器毎の関連文の複雑度の少なくとも1つに基づいて前記注目度を導出する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記医用文書の少なくとも一部を入力とし、前記注目度を出力とする学習済みモデルであって、複数組の前記医用文書の少なくとも一部及び前記注目度を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像に対応する前記医用文書の少なくとも一部を入力することによって前記注目度を導出する
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記医用画像を入力とし、前記医用画像の異常領域を表す領域情報及び前記異常領域が異常であることの確信度を出力とする学習済みモデルであって、複数組の前記医用画像、前記領域情報、及び前記確信度を学習用データとして用いて臓器毎に学習された複数の学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像を入力することによって前記異常検出処理を実行し、
前記実行条件は、臓器毎の前記異常検出処理の実行要否、及び前記確信度と比較する検出閾値を含む
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記臓器の前記注目度が高いほど、その臓器に対応する前記学習済みモデルから出力される前記確信度と比較する前記検出閾値を大きい値に設定する
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記注目度が閾値以上の臓器については前記異常検出処理を実行せず、
前記注目度が前記閾値未満の臓器については前記異常検出処理を実行する
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項8】
医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、
前記臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、
設定した実行条件に従って前記異常検出処理を実行する
処理を画像処理装置が備えるプロセッサが実行する画像処理方法。
【請求項9】
医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、
前記臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、
設定した実行条件に従って前記異常検出処理を実行する
処理を画像処理装置が備えるプロセッサに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の検査項目の検査データに基づいて異常値を有する検査データの検査項目を抽出し、抽出した検査項目に基づいて注目対象を特定し、注目対象の3次元画像の解析を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-011446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
読影者が医用画像の読影を行う際の目的は様々であり、例えば、「特定の臓器に注目して病変を探索する」及び「医用画像全体を広く観察して病変を探索する」等、目的に応じて読影者の各臓器への注目度は異なる。すなわち、目的によっては読影者の注目度が低い臓器が存在する場合がある。この場合、その臓器の異常が見落とされる可能性が高くなる。読影者による異常の見落としを抑制するために、コンピュータによって医用画像に対して異常検出処理を実行することによって、読影者を支援する技術が知られている。
【0005】
しかしながら、医用画像に含まれる全ての臓器に対して一律にコンピュータによる異常検出処理が行われると、処理時間が増大してしまう。また、この場合、多数の異常が読影者に提示されてしまう場合がある。その結果、医用画像の読影効率が低下してしまう。
【0006】
本開示は、以上の事情を鑑みてなされたものであり、医用画像の読影効率の低下を抑制することができる画像処理装置、画像処理方法、及び画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様の画像処理装置は、少なくとも一つのプロセッサを備える画像処理装置であって、プロセッサは、医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、設定した実行条件に従って異常検出処理を実行する。
【0008】
第2の態様の画像処理装置は、第1の態様の画像処理装置において、プロセッサは、医用文書内の所見及び診断結果の少なくとも一方に記述された文章に基づいて注目度を導出する。
【0009】
第3の態様の画像処理装置は、第2の態様の画像処理装置において、プロセッサは、臓器毎の関連単語の出現頻度、臓器毎の関連文の出現頻度、臓器毎の関連文の文字量、及び臓器毎の関連文の複雑度の少なくとも1つに基づいて注目度を導出する。
【0010】
第4の態様の画像処理装置は、第2の態様の画像処理装置において、プロセッサは、医用文書の少なくとも一部を入力とし、注目度を出力とする学習済みモデルであって、複数組の医用文書の少なくとも一部及び注目度を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像に対応する医用文書の少なくとも一部を入力することによって注目度を導出する。
【0011】
第5の態様の画像処理装置は、第1の態様から第4の態様の何れか1態様の画像処理装置において、プロセッサは、医用画像を入力とし、医用画像の異常領域を表す領域情報及び異常領域が異常であることの確信度を出力とする学習済みモデルであって、複数組の医用画像、領域情報、及び確信度を学習用データとして用いて臓器毎に学習された複数の学習済みモデルに対し、診断対象の医用画像を入力することによって異常検出処理を実行し、実行条件は、臓器毎の異常検出処理の実行要否、及び確信度と比較する検出閾値を含む。
【0012】
第6の態様の画像処理装置は、第5の態様の画像処理装置において、プロセッサは、臓器の注目度が高いほど、その臓器に対応する学習済みモデルから出力される確信度と比較する検出閾値を大きい値に設定する。
【0013】
第7の態様の画像処理装置は、第5の態様又は第6の態様の画像処理装置において、プロセッサは、注目度が閾値以上の臓器については異常検出処理を実行せず、注目度が閾値未満の臓器については異常検出処理を実行する。
【0014】
第8の態様の画像処理方法は、医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、設定した実行条件に従って異常検出処理を実行する処理を画像処理装置が備えるプロセッサが実行するものである。
【0015】
第9の態様の画像処理プログラムは、医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出し、臓器毎の注目度に応じて、医用画像に対する異常検出処理の実行条件を設定し、設定した実行条件に従って異常検出処理を実行する処理を画像処理装置が備えるプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、医用画像の読影効率の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】医療情報システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】画像処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】画像処理装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4】医用文書の一例を示す図である。
図5】異常検出処理の実行条件の設定処理を説明するための図である。
図6】学習済みモデルを説明するための図である。
図7】異常検出処理を説明するための図である。
図8】表示画面の一例を示す図である。
図9】表示画面の一例を示す図である。
図10】表示画面の一例を示す図である。
図11】診断支援処理の一例を示すフローチャートである。
図12】変形例に係る学習済みモデルを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示の技術を実施するための形態例を詳細に説明する。
【0019】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る医療情報システム1の構成を説明する。図1に示すように、医療情報システム1は、画像処理装置10、撮影装置12、及び画像保管サーバ14を含む。画像処理装置10、撮影装置12、及び画像保管サーバ14は、有線又は無線のネットワーク18を介して互いに通信可能な状態で接続される。画像処理装置10は、例えば、パーソナルコンピュータ又はサーバコンピュータ等のコンピュータである。
【0020】
撮影装置12は、被検体の診断対象とする部位を撮影することにより、その部位を表す医用画像を生成する装置である。撮影装置12の例としては、単純X線撮影装置、内視鏡装置、CT(Computed Tomography)装置、MRI(Magnetic Resonance Imaging)装置、及びPET(Positron Emission Tomography)装置等が挙げられる。本実施形態では、撮影装置12がCT装置であり、診断対象とする部位が腹部である例を説明する。すなわち、本実施形態に係る撮影装置12は、被検体の腹部のCT画像を、複数の断層画像からなる3次元の医用画像として生成する。撮影装置12により生成された医用画像は、ネットワーク18を介して画像保管サーバ14に送信され、画像保管サーバ14により保存される。
【0021】
画像保管サーバ14は、各種データを保存して管理するコンピュータであり、大容量の外部記憶装置及びデータベース管理用ソフトウェアを備える。画像保管サーバ14は、撮影装置12により生成された医用画像を、ネットワーク18を介して受信し、受信した医用画像を保存して管理する。画像保管サーバ14による画像データの格納形式及びネットワーク18を介した他の装置との通信は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)等のプロトコルに基づいている。
【0022】
次に、図2を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10のハードウェア構成を説明する。図2に示すように、画像処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)20、一時記憶領域としてのメモリ21、及び不揮発性の記憶部22を含む。また、画像処理装置10は、液晶ディスプレイ等のディスプレイ23、キーボードとマウス等の入力装置24、及びネットワーク18に接続されるネットワークI/F(InterFace)25を含む。CPU20、メモリ21、記憶部22、ディスプレイ23、入力装置24、及びネットワークI/F25は、バス27に接続される。CPU20は、開示の技術に係るプロセッサの一例である。
【0023】
記憶部22は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部22には、画像処理プログラム30が記憶される。CPU20は、記憶部22から画像処理プログラム30を読み出してからメモリ21に展開し、展開した画像処理プログラム30を実行する。
【0024】
また、記憶部22には、複数の学習済みモデル32が記憶される。学習済みモデル32の詳細については後述する。
【0025】
本実施形態に係る画像処理装置10は、医用画像の読影効率の低下を抑制するために、医用文書の内容に基づいて医用画像に対する異常検出処理の実行条件を切り替える機能を有する。本実施形態では、医用文書として、診断対象の医用画像(以下、「診断対象画像」という)を医師等の読影者が読影することによって作成した読影レポートを適用した例を説明する。また、以下では、診断対象画像及びその診断対象画像について作成された医用文書が、画像処理装置10に保存されているものとする。
【0026】
次に、図3を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の機能的な構成について説明する。図3に示すように、画像処理装置10は、導出部40、設定部42、検出部44、及び表示制御部46を含む。CPU20が画像処理プログラム30を実行することにより、導出部40、設定部42、検出部44、及び表示制御部46として機能する。
【0027】
導出部40は、医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出する。一例として図4に示すように、本実施形態に係る医用文書には、読影者が所見を記述する欄と診断結果を記述する欄が設けられる。図4の例では、所見の欄には、肝臓、胆嚢、膵臓、及び脾臓のそれぞれに関する所見を表す文章が記述され、診断結果の欄には、膵臓に関する診断結果を表す文章が記述されている。なお、医用文書には、そもそも記述がされていない臓器が存在する場合もある。図4の例では、所見の欄に、腎臓についての所見が記述されていない。
【0028】
本実施形態に係る導出部40は、医用文書内の所見及び診断結果に記述された文章に基づいて臓器毎の注目度を導出する。なお、導出部40は、医用文書内の所見及び診断結果の何れか一方に基づいて臓器毎の注目度を導出してもよい。具体的には、導出部40は、医用文書に記述された文章における臓器毎の関連単語の出現頻度、臓器毎の関連文の出現頻度、臓器毎の関連文の文字量、及び臓器毎の関連文の複雑度に基づいて、臓器毎の注目度を導出する。なお、導出部40は、臓器毎の関連単語の出現頻度、臓器毎の関連文の出現頻度、臓器毎の関連文の文字量、及び臓器毎の関連文の複雑度の何れか1つ、2つ又は3つに基づいて臓器毎の注目度を導出してもよい。
【0029】
例えば、導出部40は、臓器の関連単語の出現頻度が高いほど、その臓器の注目度を高く導出する。また、例えば、導出部40は、臓器の関連文の出現頻度が高いほど、その臓器の注目度を高く導出する。また、例えば、導出部40は、臓器の関連文の文字量が多いほど、その臓器の注目度を高く導出する。また、例えば、導出部40は、臓器の関連文の複雑度が高いほど、その臓器の注目度を高く導出する。臓器の関連文とは、例えば、その臓器の関連単語を含む文である。また、関連文の複雑度は、例えば、その文中の助詞の連接数、及び助詞の出現頻度に基づいて導出される。臓器毎の関連単語は、例えば、予め臓器毎に定義される。
【0030】
図4に示した医用文書の例では、導出部40は、肝臓及び膵臓の注目度を「高」と導出し、胆嚢及び脾臓の注目度を「中」と導出し、腎臓の注目度を「低」と導出する。なお、注目度は、3段階に限定されず、2段階でもよいし、4段階以上でもよい。また、注目度は、数値でもよい。
【0031】
また、例えば、導出部40は、処理対象の医用文書における各臓器についての文章と、他の医用文書の各臓器についての文章との類似度に基づいて、臓器毎の注目度を導出してもよい。この場合、導出部40は、類似度が低いほど、特異性が高いと見なして、注目度を高く導出する。
【0032】
設定部42は、導出部40により導出された臓器毎の注目度に応じて、診断対象画像に対する異常検出処理の実行条件を設定する。本実施形態に係る設定部42は、異常検出処理の実行条件として、臓器毎に、後述する学習済みモデル32から出力される確信度と比較される閾値(以下、「検出閾値」という)を設定する。具体的には、設定部42は、臓器の注目度が高いほど、その臓器に対応する学習済みモデル32から出力される確信度と比較する検出閾値を大きい値に設定する。
【0033】
図4に示した医用文書の例では、図5に示すように、設定部42は、注目度が「中」の胆嚢及び脾臓については、検出閾値を予め定められた基準値に設定する。また、設定部42は、注目度が「高」の肝臓及び膵臓については、検出閾値を基準値よりも大きい値に設定する。また、設定部42は、注目度が「低」の腎臓については、検出閾値を基準値よりも小さい値に設定する。
【0034】
また、本実施形態では、設定部42は、各臓器についての実行条件として、臓器毎の異常検出処理の実行を要すると設定する。なお、例えば、設定部42は、注目度が閾値以上(例えば、「高」)の臓器については、異常検出処理の実行を要しないと設定し、注目度が閾値未満の臓器については、異常検出処理の実行を要すると設定してもよい。
【0035】
検出部44は、診断対象画像と複数の学習済みモデル32とを用いて、設定部42により設定された実行条件に従って異常検出処理を実行する。一例として図6に示すように、学習済みモデル32は、医用画像を入力とし、入力の医用画像の異常を含む領域(以下、「異常領域」という)を表す領域情報(以下、「異常領域情報」という)、及びその異常領域が異常であることの確信度を出力とする学習済みモデルである。
【0036】
本実施形態における異常検出処理によって検出対象とされる異常は、がん、嚢胞、及び炎症等の直接的に治療を行う対象となる病変を含む。また、検出対象とされる異常は、病変に加えて、病変の周辺に発生する形状及び性状の少なくとも一方が異常な部分も含む。この異常な部分は、間接所見とも呼ばれる。例えば、膵がんを疑う間接所見の例としては、膵臓における部分的な萎縮及び腫大等の形状異常等が挙げられる。また、異常領域情報は、医用画像内の異常領域を特定可能な情報であればよく、例えば、医用画像における異常領域のボクセル位置を表す情報でもよいし、医用画像における異常領域が予め設定された色で塗りつぶされた画像でもよい。確信度は、例えば、下限値以上上限値以下の数値であって、値が大きいほど確信度が高い数値である。学習済みモデル32は、例えば、CNN(Convolutional Neural Network)によって構成される。
【0037】
また、学習済みモデル32は、複数組の医用画像、異常領域情報、及び確信度を学習用データとして用いて臓器毎に学習された学習済みモデル32である。すなわち、学習済みモデル32は、「肝臓用」及び「膵臓用」といったように、臓器毎に予め機械学習によって得られ、記憶部22に記憶される。
【0038】
図7に示すように、検出部44は、臓器毎に学習された複数の学習済みモデル32に対し、診断対象画像を入力する。各学習済みモデル32は、それぞれの臓器についての異常領域情報及び確信度を出力する。検出部44は、確信度が検出閾値以上の異常領域情報を検出する。前述したように、この検出閾値が臓器毎の注目度に応じて設定部42により設定される。このように、検出部44は、異常検出処理を実行する。なお、検出部44は、臓器毎の学習済みモデル32に対し、診断対象画像における学習済みモデル32に対応する臓器部分を切り抜いた部分画像を入力してもよい。
【0039】
表示制御部46は、検出部44による異常検出処理の実行結果をディスプレイ23に表示する制御を行う。一例として図8に示すように、表示制御部46は、検出部44により確信度が検出閾値以上の異常領域情報が検出された場合、異常検出処理の実行結果として、診断対象画像と、その異常領域情報が示す異常領域と、異常が存在する旨のメッセージとをディスプレイ23に表示する制御を行う。図8では、異常検出処理により破線の内側の領域が異常領域として検出された例を示している。
【0040】
また、一例として図9に示すように、表示制御部46は、検出部44により確信度が検出閾値以上の異常領域情報が検出されなかった場合、異常検出処理の実行結果として、診断対象画像と、異常が検出されなかった旨のメッセージとをディスプレイ23に表示する制御を行う。
【0041】
なお、図10に示すように、表示制御部46は、異常検出処理の実行結果として、更に、確信度をディスプレイ23に表示する制御を行ってもよい。
【0042】
次に、図11を参照して、本実施形態に係る画像処理装置10の作用を説明する。CPU20が画像処理プログラム30を実行することによって、図11に示す診断支援処理が実行される。図11に示す診断支援処理は、例えば、ユーザにより実行開始の指示が入力された場合に実行される。
【0043】
図11のステップS10で、導出部40は、前述したように、医用文書の内容に基づいて臓器毎の注目度を導出する。ステップS12で、設定部42は、前述したように、ステップS10で導出された臓器毎の注目度に応じて、診断対象画像に対する異常検出処理の実行条件を設定する。
【0044】
ステップS14で、検出部44は、前述したように、診断対象画像と複数の学習済みモデル32とを用いて、ステップS12で設定された実行条件に従って異常検出処理を実行する。ステップS16で、表示制御部46は、前述したように、ステップS16での異常検出処理の実行結果をディスプレイ23に表示する制御を行う。ステップS16の処理が終了すると、診断支援処理が終了する。
【0045】
以上説明したように、本実施形態によれば、臓器毎の注目度に応じて、診断対象画像に対する異常検出処理の実行条件が設定される。具体的には、本実施形態では、臓器の注目度が高いほど、その臓器の異常検出処理の検出閾値が大きい値とされる。すなわち、読影者が診断対象画像の読影時に注目していない臓器については、より多くの異常の候補が検出され、かつ読影者に提示される。これにより、読影者による異常の見落としを抑制することができる。また、診断対象画像の読影時に注目していた臓器については、読影者に提示される異常の候補は比較的少なくなる。従って、医用画像の読影効率の低下を抑制することができる。
【0046】
なお、上記実施形態では、導出部40は、医用文書に記述された文章における臓器毎の関連単語の出現頻度、臓器毎の関連文の出現頻度、臓器毎の関連文の文字量、及び臓器毎の関連文の複雑度に基づいて、臓器毎の注目度を導出する場合について説明したが、これに限定されない。一例として図12に示すように、導出部40は、医用文書に基づいて臓器毎の注目度を導出するための学習済みモデル34を用いて、臓器毎の注目度を導出する形態としてもよい。
【0047】
この形態例における学習済みモデル34は、医用文書を入力とし、臓器毎の注目度を出力とする学習済みモデルであって、複数組の医用文書及び臓器毎の注目度を学習用データとして用いて学習された学習済みモデルである。学習済みモデル34は、例えば、RNN(Recurrent Neural Network)によって構成される。導出部40は、診断対象画像に対応する医用文書を学習済みモデル34に入力する。学習済みモデル34は、その医用文書に基づく臓器毎の注目度を出力する。これにより、導出部40は、臓器毎の注目度を導出する。なお、この形態例において、導出部40は、医用文書における臓器に関連しない部分を取り除き、医用文書の一部、すなわち、臓器に関連する部分のみを学習済みモデル34に入力してもよい。
【0048】
また、この形態例における学習済みモデル34は、臓器毎に学習された複数の学習済みモデルであってもよい。この場合、導出部40は、医用文書に記述された文章を、文章に出現する単語等に基づいて、どの臓器について記述された文章であるかを分類し、分類した臓器に対応する学習済みモデル34に対してその文章を入力する。これにより、導出部40は、分類した臓器の注目度を導出する。また、例えば、医用文書の文字の入力欄が臓器毎に分かれている場合、導出部40は、入力欄の臓器に対応する学習済みモデル34に対してその入力欄に記述された文章を入力することによって、その臓器の注目度を導出してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、学習済みモデル32がCNNによって構成される場合について説明したが、これに限定されない。学習済みモデル32は、CNN以外の機械学習の手法によって構成されてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、診断対象画像として、CT画像を適用した場合について説明したが、これに限定されない。診断対象画像として、単純X線撮影装置により撮影された放射線画像、及びMRI装置により撮影されたMRI画像等のCT画像以外の医用画像を適用してもよい。
【0051】
また、上記実施形態に係る診断支援処理のステップS10~S14の処理は、ユーザにより実行開始の指示が入力される前に実行されてもよい。この場合、ユーザにより実行開始の指示が入力されると、ステップS16が実行され、画面表示が行われる。
【0052】
また、上記実施形態において、例えば、導出部40、設定部42、検出部44、及び表示制御部46といった各種の処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して各種の処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0053】
1つの処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、複数の処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0054】
複数の処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが複数の処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System on Chip:SoC)等に代表されるように、複数の処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、各種の処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0055】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。
【0056】
また、上記実施形態では、画像処理プログラム30が記憶部22に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。画像処理プログラム30は、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、画像処理プログラム30は、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 医療情報システム
10 画像処理装置
12 撮影装置
14 画像保管サーバ
18 ネットワーク
20 CPU
21 メモリ
22 記憶部
23 ディスプレイ
24 入力装置
25 ネットワークI/F
27 バス
30 画像処理プログラム
32、34 学習済みモデル
40 導出部
42 設定部
44 検出部
46 表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
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図12