(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088499
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】使い捨ておむつ
(51)【国際特許分類】
A61F 13/494 20060101AFI20240625BHJP
A61F 13/496 20060101ALI20240625BHJP
A61F 13/49 20060101ALI20240625BHJP
A61F 13/51 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
A61F13/494 200
A61F13/496
A61F13/494 111
A61F13/49 413
A61F13/49 312Z
A61F13/51
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203713
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000115108
【氏名又は名称】ユニ・チャーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003247
【氏名又は名称】弁理士法人小澤知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】米澤 時希
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
(72)【発明者】
【氏名】川上 ひかり
【テーマコード(参考)】
3B200
【Fターム(参考)】
3B200AA01
3B200BA16
3B200BB11
3B200CA03
3B200CA06
3B200DA02
3B200DA21
(57)【要約】
【課題】ポケット内の体液の経路をコントロールするとともに、肌側シートのめくれを抑制しポケットを形成し続けることができる使い捨ておむつを提供する。
【解決手段】使い捨ておむつ(1)は、吸収コア(50)及び吸収コアの肌側を覆うトップシート(41)を有する吸収性本体(40)と、前胴回り域において、吸収性本体よりも肌側に位置し、股下域側を開口端(83)としたポケット(80)を形成する肌側シート(81)と、を有する。肌側シートは、肌側シートの非肌側に対向する非肌側部材(82)に対して接合領域において接合され、非肌側部材に対して非接合領域において接合されてない。非接合領域は、前胴回り域の幅方向の中心である前幅中心(WS1)を挟んだ両側に設けられた一対のサイド非接合領域(NR2)を有する。接合領域は、幅方向においてサイド非接合領域間に設けられた中央接合領域(R1)を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
吸収コア及び前記吸収コアの肌側を覆うトップシートを有する吸収性本体と、
前記前胴回り域において、前記吸収性本体よりも肌側に位置し、前記股下域側を開口端としたポケットを形成する肌側シートと、を有する使い捨ておむつであって、
前記肌側シートは、前記肌側シートの非肌側に対向する非肌側部材に対して接合領域において接合され、前記非肌側部材に対して非接合領域において接合されてなく、
前記非接合領域は、前記前胴回り域の前記幅方向の中心である前幅中心を挟んだ両側に設けられた一対のサイド非接合領域を有し、
前記接合領域は、前記幅方向において前記サイド非接合領域間に設けられた中央接合領域を有する、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記中央接合領域の少なくとも一部は、前記使い捨ておむつの平面視にて前記吸収性本体と重なる領域、又は前記吸収性本体から前記前後方向の外側に延びる領域に配置されている、請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記中央接合領域は、前記前幅中心を跨いでいる、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記吸収性本体は、防漏弾性部材の収縮によって起立する起立部と、前記起立部よりも前記幅方向の外側に位置し、前記起立部の起立支点となる幅支点部と、を有する起立性の防漏ギャザーを備え、
前記サイド非接合領域は、前記幅支点部から前記前後方向の外側に延びる延長線上に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記接合領域は、前記サイド非接合領域よりも前記幅方向の外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域を有し、
前記一対の端部接合領域の前記幅方向の合計長さは、前記一対の端部接合領域によって挟まれた領域の前記幅方向の長さに対する1/2未満である、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記接合領域は、前記サイド非接合領域よりも前記幅方向の外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域を有し、
前記一対の端部接合領域の前記幅方向の合計長さは、前記一対の端部接合領域によって挟まれた領域の前記幅方向の長さに対する1/2以上である、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記接合領域は、前記サイド非接合領域よりも前記幅方向の外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域を有し、
前記前後方向において、前記端部接合領域の内端縁は、前記中央接合領域の内端縁よりも内側に位置する、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記非接合領域は、前記中央接合領域の前記前後方向の内側に設けられた中央非接合領域を有し、
前記中央非接合領域の前記前後方向の長さは、前記サイド非接合領域の前記前後方向の長さに対する1/2以上である、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前記非接合領域は、前記中央接合領域の前記前後方向の内側に設けられた中央非接合領域を有し、
前記中央非接合領域の前記前後方向の長さは、前記サイド非接合領域の前記前後方向の長さに対する1/2未満である、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項10】
前記中央接合領域は、前記幅方向に間隔を空けて複数設けられている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項11】
前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有し、
前記ポケット弾性部材は、前記中央接合領域と重ならない領域に設けられている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項12】
前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有し、
前記ポケット弾性部材の少なくとも一部は、前記中央接合領域と重なり、かつ前記吸収性本体と重なっている、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項13】
前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有し、
前記前後方向において、前記ポケットの中心よりも内側における前記ポケットの前記幅方向の収縮力は、前記ポケットの中心よりも外側における前記ポケットの前記幅方向の収縮力よりも高い、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項14】
前記サイド非接合領域の前記前後方向の外側には、前記ポケットの起立基点となる基端縁が設けられおり、
前記基端縁は、前記中央接合領域に隣接している、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項15】
前記サイド非接合領域の前記前後方向の外側には、前記ポケットの起立基点となる基端縁が設けられおり、
前記基端縁と前記中央接合領域は、前記前後方向に離間している、請求項1又は請求項2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項16】
互いに直交する前後方向及び幅方向と、
前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、
吸収コア及び前記吸収コアの肌側を覆うトップシートを有する吸収性本体と、
前記前胴回り域において、前記吸収性本体よりも肌側に位置し、前記股下域側を開口端としたポケットを形成する肌側シートと、を有する使い捨ておむつであって、
前記ポケットは、前記前胴回り域に配置された前ポケットと、前記後胴回り域に配置された後ポケットと、を有し、
前記前ポケットの前記前後方向の長さは、前記後ポケットの前記前後方向の長さよりも長い、使い捨ておむつ。
【請求項17】
前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有し、
前記前ポケットには、前記ポケット弾性部材によって伸縮する前ポケット伸縮領域が設けられており、
前記前ポケット伸縮領域の前記前後方向の長さは、前記前ポケットの前記前後方向の長さに対する50%以下である、請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項18】
前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有し、
前記後ポケットには、前記ポケット弾性部材によって伸縮する後ポケット伸縮領域が設けられており、
前記後ポケット伸縮領域の前記前後方向の長さは、前記後ポケットの前記前後方向の長さに対する50%以下である、請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項19】
前記前ポケットの前記前後方向の長さは、前記前胴回り域の前記前後方向の長さの50%以下である、請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項20】
前記後ポケットの前記前後方向の長さは、前記後胴回り域の前記前後方向の長さの50%以下である、請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項21】
前記ポケットと前記吸収コアが重なる重複領域を有し、
前記重複領域の前記前後方向の長さは、前記重複領域が設けられた当該ポケットの前記前後方向の長さに対する50%以下である、請求項1又は請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項22】
前記使い捨ておむつの肌側から視認した状態において、前記肌側シートの股下域側の端縁から前記前後方向の外側に延びる第1領域と、前記肌側シートの股下域側の端縁から前記前後方向の内側に延びる第2領域と、を有し、
前記第1領域と第2領域の色差ΔEは、3.0以上である、請求項1又は請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項23】
前記吸収性本体は、防漏弾性部材の収縮によって起立する起立部と、前記起立部よりも前記幅方向の外側に位置し、前記起立部の起立支点となる幅支点部と、を有する起立性の防漏ギャザーを備え、
前記幅支点部は、前記起立部の頂点に対して前記幅方向の外側に位置する、請求項1又は請求項16に記載の使い捨ておむつ。
【請求項24】
前記防漏ギャザーは、前記防漏弾性部材が固定され、前記起立部及び前記幅支点部を構成する防漏シートを有し、
前記防漏シートは、前記吸収性本体の外側縁を基点に折り返され、前記吸収コアよりも肌側と、前記吸収コアよりも非肌側と、に配置されている、請求項23に記載の使い捨ておむつ。
【請求項25】
前記防漏シートよりも肌側に位置し、前記防漏シートの前記前後方向の外端縁を覆うカバーシートを有する、請求項24に記載の使い捨ておむつ。
【請求項26】
前記肌側シートの少なくとも一部は、前記防漏ギャザーの肌側を覆っている、請求項23に記載の使い捨ておむつ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、股下域側を開口端としたポケットを有する使い捨ておむつが開示されている。ポケットは、2枚のシートと、当該シート間に配置された弾性部材と、を有している。ポケットを形成するシートは、ポケットの非肌側に位置する非肌側部材に対して、開口端を股下部に向けて凹状に接着している。これにより、凹状に開口したポケットが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の使い捨ておむつは、以下の問題があった。
上述の使い捨ておむつでは、股下域側に開口するポケットが凹状に形成されている。ポケットの収容空間は、幅方向に連続している。そのため、収容空間を広く形成できる一方で、収容空間内において体液が自由に移動でき、体液の経路をコントロールできず、体液の経路によっては漏れが発生するおそれがあった。より詳細には、ポケット内に流入した体液を吸収コアによって吸収できずに体液の漏れが生じるおそれがあった。また、ポケットの収容空間は、幅方向に連続しているため、連続した収容空間の全体に亘って肌側シートが非肌側部材に対して自由に移動でき、肌側シートが意図せずにめくれてしまい、ポケットを形成し続けることができないおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、ポケット内の体液の経路をコントロールするとともに、ポケットのめくれを抑制しポケットを形成し続けることができる使い捨ておむつを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、吸収コア及び前記吸収コアの肌側を覆うトップシートを有する吸収性本体と、前記前胴回り域において、前記吸収性本体よりも肌側に位置し、前記股下域側を開口端としたポケットを形成する肌側シートと、を有する。前記肌側シートは、前記肌側シートの非肌側に対向する非肌側部材に対して接合領域において接合され、前記非肌側部材に対して非接合領域において接合されてない。前記非接合領域は、前記前胴回り域の幅方向の中心である前幅中心を挟んだ両側に設けられた一対のサイド非接合領域を有する。前記接合領域は、前記幅方向において前記サイド非接合領域間に設けられた中央接合領域を有する。
【0007】
他態様に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、吸収コア及び前記吸収コアの肌側を覆うトップシートを有する吸収性本体と、前記前胴回り域において、前記吸収性本体よりも肌側に位置し、前記股下域側を開口端としたポケットを形成する肌側シートと、を有する。前記ポケットは、前記前胴回り域に配置された前ポケットと、前記後胴回り域に配置された後ポケットと、を有する。前記前ポケットの前記前後方向の長さは、前記後ポケットの前記前後方向の長さよりも長い。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る使い捨ておむつの後胴回り域側から見た斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る使い捨ておむつの肌側から見た平面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示すB-B線に沿った模式断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示すC-C線に沿った模式断面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示すD-D線に沿った模式断面図である。
【
図7】
図7は、接合領域の接着剤の配置態様を模式的に示した平面図である。
【
図8】
図8は、変形例1に係る使い捨ておむつの肌側から見た平面図である。
【
図9】
図9は、変形例2に係る使い捨ておむつの肌側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)実施形態の概要
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
態様1に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、吸収コア及び前記吸収コアの肌側を覆うトップシートを有する吸収性本体と、前記前胴回り域において、前記吸収性本体よりも肌側に位置し、前記股下域側を開口端としたポケットを形成する肌側シートと、を有する。前記肌側シートは、前記肌側シートの非肌側に対向する非肌側部材に対して接合領域において接合され、前記非肌側部材に対して非接合領域において接合されてない。前記非接合領域は、前記前胴回り域の幅方向の中心である前幅中心を挟んだ両側に設けられた一対のサイド非接合領域を有する。前記接合領域は、前記幅方向において前記サイド非接合領域間に設けられた中央接合領域を有する。本態様によれば、ポケットの中央接合領域は、幅方向においてサイド非接合領域に挟まれた領域に設けられているため、サイド非接合領域間に設けられた中央接合領域によって体液の流れをコントロールでき、体液を意図した経路に導き易い。また、中央接合領域によって肌側シートを非肌側部材に接合でき、肌側シートが意図せずにめくれる不具合を抑制できる。よって、ポケット形成し続け易くなる。
【0010】
好ましい態様によれば、態様2に係る発明は、態様1に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記中央接合領域の少なくとも一部は、前記使い捨ておむつの平面視にて前記吸収性本体と重なる領域、又は前記吸収性本体から前記前後方向の外側に延びる領域に配置されている。本態様によれば、吸収性本体上の体液、又は吸収性本体から前後方向の外側に移動した体液を中央接合領域によってコントロールし易くなる。特に、吸収性本体と中央接合領域が重なる構成にあっては、中央接合領域によってポケット内を移動する体液を吸収性本体側に導き易く、収容空間内の体液を吸収コアによって吸収し易い。
【0011】
好ましい態様によれば、態様3に係る発明は、態様1又は態様2に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記中央接合領域は、前記前幅中心を跨いでいる。本態様によれば、前幅中心に沿って伝わった体液が中央接合領域に当たり易く、体液の経路をコントロールしやすい。また、中央接合領域によってポケットの幅方向の中心を接合することで、ポケットの肌側シートのめくれを効果的に抑制できる。
【0012】
好ましい態様によれば、態様4に係る発明は、態様1から態様3のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性本体は、防漏弾性部材の収縮によって起立する起立部と、前記起立部よりも幅方向の外側に位置し、前記起立部の起立支点となる幅支点部と、を有する起立性の防漏ギャザーを備える。前記サイド非接合領域は、前記幅支点部から前記前後方向の外側に延びる延長線上に設けられている。防漏ギャザーの起立部は、排泄口の幅方向の両側において幅支点部を基点として起立する。排泄口から排出された体液の一部は幅支点部に沿って前後方向の外側に導かれる。このとき、幅支点部から前後方向の外側に延びる延長線上にサイド非接合領域が設けられているため、幅支点部に沿って前後方向の外側に導かれた体液をサイド非接合領域が設けられた収容空間で収容できる。
【0013】
好ましい態様によれば、態様5に係る発明は、態様1から態様4に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記接合領域は、前記サイド非接合領域よりも幅方向の外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域を有する。前記一対の端部接合領域の前記幅方向の合計長さは、前記一対の端部接合領域によって挟まれた領域の幅方向の長さに対する1/2未満である。本態様によれば、一対の端部接合領域によって挟まれた領域がポケットの収容空間として機能し、その両側を端部接合領域によって押さえることで、肌側シートの意図しないめくれをより抑制できる。また、端部接合領域の合計長さが収容空間の幅方向の全体長さに対する半分未満であるため、端部接合領域の存在によって収容空間が小さくなり過ぎることを抑制し、収容空間を確保できる。
【0014】
好ましい態様によれば、態様6に係る発明は、態様1から態様4に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記接合領域は、前記サイド非接合領域よりも幅方向の外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域を有する。前記一対の端部接合領域の前記幅方向の合計長さは、前記一対の端部接合領域によって挟まれた領域の幅方向の長さに対する1/2以上である。本態様によれば、一対の端部接合領域によって挟まれた領域がポケットの収容空間として機能し、その両側を端部接合領域によって押さえることで、肌側シートの意図しないめくれをより抑制できる。また、端部接合領域の合計長さが収容空間の幅方向の全体長さに対する半分以上であるため、端部接合領域の存在によって肌側シートのめくれをより抑制でき、ポケットの形状を維持し続けることができる。
【0015】
好ましい態様によれば、態様7に係る発明は、態様1から態様6のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記接合領域は、前記サイド非接合領域よりも幅方向の外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域を有する。前記前後方向において、前記端部接合領域の内端縁は、前記中央接合領域の内端縁よりも内側に位置する。本態様によれば、前後方向において端部接合領域が中央接合領域よりも内側に延びているため、サイド非接合領域に対する幅方向の両側を端部接合領域によって前後方向の長い範囲で押さえることができる。また、中央接合領域は、端部接合領域よりも前後方向の外側で終端している。中央接合領域よりも前後方向の内側には、非接合領域(中央非接合領域)が形成される。中央非接合領域にも体液を収容でき、体液の経路がより複数形成され、体液の流れをよりコントロールし易くなる。
【0016】
好ましい態様によれば、態様8に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記非接合領域は、前記中央接合領域の前後方向の内側に設けられた中央非接合領域を有する。前記中央非接合領域の前記前後方向の長さは、前記サイド非接合領域の前記前後方向の長さに対する1/2以上である。本態様によれば、中央接合領域によって肌側シートの意図しないめくれや体液の経路のコントロールを実現しつつ、中央非接合領域の前後方向の長さを確保して、ポケットの収容空間の容積をより確保できる。
【0017】
好ましい態様によれば、態様9に係る発明は、態様1から態様7のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記非接合領域は、前記中央接合領域の前後方向の内側に設けられた中央非接合領域を有する。前記中央非接合領域の前記前後方向の長さは、前記サイド非接合領域の前記前後方向の長さに対する1/2未満である。本態様によれば、中央接合領域の前後方向の長さを確保することで肌側シートののめくれをより抑制でき、ポケットの形状をより維持し易い。
【0018】
好ましい態様によれば、態様10に係る発明は、態様1から態様9のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記中央接合領域は、前記幅方向に間隔を空けて複数設けられている。本態様によれば、体液の経路を更に多く設けることができ、体液の経路をより細かくかつ適切にコントロールできる。
【0019】
好ましい態様によれば、態様11に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有する。前記ポケット弾性部材は、前記中央接合領域と重ならない領域に設けられている。本態様によれば、ポケット弾性部材の収縮力を中央接合領域における接合によって阻害せず、ポケット弾性部材の収縮によってポケットを起立させ、体液の収容空間を確保し易い。
【0020】
好ましい態様によれば、態様12に係る発明は、態様1から態様10のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有する。前記ポケット弾性部材の少なくとも一部は、前記中央接合領域と重なり、かつ前記吸収性本体と重なっている。本態様によれば、中央接合領域を介してポケット弾性部材と吸収性本体が連動し易くなる。よって、ポケットの収容空間内に導かれた体液を吸収性本体側に導き、吸収コアによって当該体液を吸収し易くなる。
【0021】
好ましい態様によれば、態様13に係る発明は、態様1から態様12のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有する。前記前後方向において、前記ポケットの中心よりも内側における前記ポケットの前記幅方向の収縮力は、前記ポケットの中心よりも外側における前記ポケットの前記幅方向の収縮力よりも高い。ポケットの前後方向の中心よりも内側は、ポケットの開口端側である。ポケットの開口端側が弾性部材によって収縮することで、ポケットの開口端が起立し易くなり、股下域側からの体液を円滑に収容空間に導き易くなる。また、ポケットの開口端が起立することで、使用者は、ポケットの存在に気づき、ポケットを適切に装着できるとともに、ポケットの存在によって漏れに対する安心感を得ることができる。また、ポケットの前後方向の中心よりも外側の領域は、比較的収縮力が低く、起立し難い。よって、相対的にポケットの開口端側が起立し易くなり、体液を流入させ易くできる。
【0022】
好ましい態様によれば、態様14に係る発明は、態様1から態様13のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記サイド非接合領域の前後方向の外側には、前記ポケットの起立基点となる基端縁が設けられている。前記基端縁は、前記中央接合領域に隣接している。サイド非接合領域に導かれた体液は、基端縁に当たって股下域側に導かれることがある。このとき、基端縁と中央接合領域が連なっているため、基端縁と中央接合領域が協働して体液の経路を形成し、体液の経路をコントロールできる。
【0023】
好ましい態様によれば、態様15に係る発明は、態様1から態様13のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記サイド非接合領域の前後方向の外側には、前記ポケットの起立基点となる基端縁が設けられている。前記基端縁と前記中央接合領域は、前記前後方向に離間している。本態様によれば、基端縁と中央接合領域によって挟まれた領域に体液を導くことができ、より多くの体液の経路を形成できる。よって、サイド非接合領域に導かれ、基端縁に当たった体液は、基端縁から股下域側に導かれる経路と、基端縁によって基端縁と中央接合領域の間を通る経路と、分散できる。体液の経路をより細かくかつ適切にコントロールできる。
【0024】
態様16に係る使い捨ておむつは、互いに直交する前後方向及び幅方向と、前胴回り域、後胴回り域、及び前記前胴回り域及び前記後胴回り域との間に配置された股下域と、吸収コア及び前記吸収コアの肌側を覆うトップシートを有する吸収性本体と、前記前胴回り域において、前記吸収性本体よりも肌側に位置し、前記股下域側を開口端としたポケットを形成する肌側シートと、を有する。前記ポケットは、前記前胴回り域に配置された前ポケットと、前記後胴回り域に配置された後ポケットと、を有する。前記前ポケットの前記前後方向の長さは、前記後ポケットの前記前後方向の長さよりも長い。出願人が鋭意研究した結果、乳幼児等の特定の着用者においては、食事の前後等によって腹部の形状の変化が大きく、腹部においてポケットのめくれが生じ、ポケットを形成し続け難くなることがわかった。一方、臀部の形状は、一日の生活の中で大きく変化し難く、ポケットのめくれが生じ難いことがわかった。本態様に係る使い捨ておむつは、前ポケットの前記前後方向の長さは、後ポケットの前記前後方向の長さよりも長く構成されている。そのため、着用時に腹部の形状が変化し、腹部のポケットの肌側シートが意図せずにめくれた場合であっても、肌側シートにおいてめくれない領域を確保し、前ポケットを形成し続けることができる。
【0025】
好ましい態様によれば、態様17に係る使い捨ておむつは、態様16に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有する。前記前ポケットには、前記ポケット弾性部材によって伸縮する前ポケット伸縮領域が設けられている。前記前ポケット伸縮領域の前後方向の長さは、前記前ポケットの前後方向の長さに対する50%以下である。本態様によれば、ポケット弾性部材によって収縮することでポケットが起立し易くなり、体液をポケット内に導き易くなる。また、ポケット弾性部材によって収縮することで肌側シートが浮き上がるため、ポケットの収容空間内に体液を導き易くなる一方で、収容空間内に導かれた体液のコントロールが難しいおそれがある。しかし、本態様に係る使い捨ておむつは、前ポケット伸縮領域の前後方向の長さが前ポケットの前後方向Lの長さに対する50%以下であり、前ポケットの前後方向の長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材によって伸縮しない領域となる。当該収縮しない領域では、肌側シートが起立し難いため、肌側シートの接触によって体液の経路をコントロールすることができる。すなわち、ポケット弾性部材によって収縮する領域を設けるとともに、ポケット弾性部材によって収縮しない領域も確保することで、ポケットの収容空間内に体液を導き、かつ導いた体液の経路をコントロールすることができる。また、前ポケットの前後方向の長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材によって伸縮しない領域であり、ポケット弾性部材の収縮に起因して収容空間が狭くならない領域である。前ポケットの収容空間の容積を大きくすることができ、一度により大量の尿を貯水することができるとともに、前ポケット内に入った排泄物をポケット弾性部材の応力で押し出すことを抑制し、漏れをより抑制できる。
【0026】
好ましい態様によれば、態様18に係る使い捨ておむつは、態様16又は態様17に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートに接合され、前記幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材を有する。前記後ポケットには、前記ポケット弾性部材によって伸縮する後ポケット伸縮領域が設けられている。前記後ポケット伸縮領域の前後方向の長さは、前記後ポケットの前後方向の長さに対する50%以下である。本態様によれば、ポケット弾性部材によって収縮することでポケットが起立し易くなり、体液をポケット内に導き易くなる。また、ポケット弾性部材によって収縮することで肌側シートが浮き上がるため、ポケットの収容空間内に体液を導き易くなる一方で、収容空間内に導かれた体液のコントロールが難しいおそれがある。しかし、本態様に係る使い捨ておむつは、後ポケット伸縮領域の前後方向の長さが後ポケットの前後方向の長さに対する50%以下であり、後ポケットの前後方向の長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材によって伸縮しない領域となる。当該収縮しない領域では、肌側シートが起立し難いため、肌側シートの接触によって体液の経路をコントロールすることができる。すなわち、ポケット弾性部材によって収縮する領域を設けるとともに、ポケット弾性部材によって収縮しない域も確保することで、ポケットの収容空間内に体液を導き、かつ導いた体液の経路をコントロールすることができる。また、後ポケットの前後方向の長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材によって伸縮しない領域であり、ポケット弾性部材の収縮に起因して収容空間が狭くならない領域である。後ポケットの収容空間の容積を大きくすることができ、一度により大量の尿を貯水することができるとともに、後ポケット内に入った排泄物をポケット弾性部材の応力で押し出すことを抑制し、漏れをより抑制できる。
【0027】
好ましい態様によれば、態様19に係る使い捨ておむつは、態様16から態様18のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前ポケットの前後方向の長さは、前記前胴回り域の前記前後方向の長さの50%以下である。前胴回り域における前ポケットの前後方向の長さが長すぎないため、着用者の姿勢や男性器の向きによっても前ポケットの肌側(肌側シートよりも肌側)に体液が排出されることを抑制し、前ポケット内に体液を導くことができる。また、前ポケットの前後方向の長さが長すぎないことにより、前ポケット内の体液の経路を広くしすぎずに、体液の経路をコントロールし易くなる。
【0028】
好ましい態様によれば、態様20に係る使い捨ておむつは、態様16から態様19のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。後ポケットの前後方向の長さは、前記後胴回り域の前記前後方向の長さの50%以下である。後胴回り域における後ポケットの前後方向の長さが長すぎないため、着用者の姿勢によっても後ポケットの肌側(肌側シートよりも肌側)に体液が排出されることを抑制し、後ポケット内に体液を導くことができる。また、後ポケットの前後方向の長さが長すぎないことにより、後ポケット内の体液の経路を広くしすぎずに、体液の経路をコントロールし易くなる。
【0029】
好ましい態様によれば、態様21に係る使い捨ておむつは、態様16から態様20のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。使い捨ておむつは、前記ポケットと前記吸収コアが重なる重複領域を有する。前記重複領域の前記前後方向の長さは、前記重複領域が設けられた当該ポケットの前後方向の長さに対する50%以下である。本態様によれば、ポケットの収容空間に導かれた体液を吸収コア側に導き易く、吸収コアによって体液を吸収することで伝え漏れを抑制できる。また、ポケットにおいて吸収コアと重なる長さが比較的短いため、比較的厚みが厚い吸収コアの存在によって、収容空間の容積が小さくなることを抑制し、収容空間の容積を確保し、体液の漏れを抑制できる。
【0030】
好ましい態様によれば、態様22に係る発明は、態様1から態様21のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記使い捨ておむつの肌側から視認した状態において、前記肌側シートの股下域側の端縁から前記前後方向の外側に延びる第1領域と、前記肌側シートの股下域側の端縁から前記前後方向の内側に延びる第2領域と、を有する。前記第1領域と第2領域の色差ΔEは、3.0以上である。本態様によれば、肌側シートの股下側の端縁を境界とした第1領域と第2領域の色差ΔEが3.0以上であるため、使用者が、第1領域と第2領域を区別して認識し易くなる。使用者は、ポケットの存在を把握し、ポケットを適切に(例えば、肌側シートがめくれないように)配置でき、ポケットの機能によって排泄物の漏れを抑制する効果をより得やすい。
【0031】
好ましい態様によれば、態様23に係る発明は、態様1から態様22のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記吸収性本体は、防漏弾性部材の収縮によって起立する起立部と、前記起立部よりも幅方向の外側に位置し、前記起立部の起立支点となる幅支点部と、を有する起立性の防漏ギャザーを備える。前記幅支点部は、前記起立部の頂点に対して前記幅方向の外側に位置する。本態様によれば、防漏ギャザーの頂点が幅支点部よりも幅方向の内側に位置しており、内倒しの防漏ギャザーとなる。防漏ギャザーの起立部によって覆われた領域に導かれた体液を横漏れさせずに吸収コア側に導くことができ、横漏れを抑制できる。また、起立部によって幅方向の外側への体液の漏れを抑制することで、当該体液を前後方向に導きポケット内に収容できる。
【0032】
好ましい態様によれば、態様24に係る発明は、態様23に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記防漏ギャザーは、防漏弾性部材が固定され、前記起立部及び前記幅支点部を構成する防漏シートを有する。前記防漏シートは、前記吸収性本体の外側縁を基点に折り返され、前記吸収コアよりも肌側と、前記吸収性コアよりも非肌側と、に配置されている。本態様によれば、防漏シートが吸収性本体の外側縁にて折り返されており、防漏シートによって体液の横漏れを抑制できる。また、防漏シートによって幅方向の外側への体液の漏れを抑制することで、当該体液を前後方向に導きポケット内に収容し易くなる。
【0033】
好ましい態様によれば、態様25に係る発明は、態様24に係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記防漏シートよりも肌側に位置し、前記防漏シートの前記前後方向の外端縁を覆うカバーシートを有する。本態様によれば、カバーシートによって防漏シートの外端縁が起立することを抑制できる。防漏ギャザーを介して前後方向の外側に導かれた体液を、防漏シートの外端縁によって堰き止めずに、ポケット内にスムーズに導くことができる。
【0034】
好ましい態様によれば、態様26に係る発明は、態様22から態様25のいずれかに係る発明において、以下の特徴を有してよい。前記肌側シートの少なくとも一部は、前記防漏ギャザーの肌側を覆っている。本態様によれば、防漏ギャザーを介して前後方向の外側に導かれた体液を、ポケット内に導くことができる。また、防漏ギャザーの起立部と肌側シートが重なる形態にあっては、起立部の起立によってポケットが肌側に押し上げられ、ポケットの収容空間の容積を大きくすることができる。
【0035】
なお、態様1から態様15に係る発明は、態様17から26のいずれかに係る発明の構成を備えていてもよいし、態様17から26のいずれかに係る発明の構成を備えていなくてもよい。また、態様17から26のいずれかに係る発明は、態様1から15のいずれかに係る発明の構成を備えていてもよいし、態様1から15のいずれかに係る発明の構成を備えていなくてもよい。
【0036】
(2)実施形態に係る使い捨ておむつ
以下、図面を参照して、実施形態に係る使い捨ておむつ1について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。実施形態の使い捨ておむつ1は、パンツタイプの使い捨ておむつであるが、変形例において、テープタイプの使い捨ておむつであってもよい。また、使い捨ておむつは、大人用のおむつであってもよいし、子供用のおむつであってもよい。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合がある。
【0037】
図1は、パンツ型に形成された状態の使い捨ておむつ1であり、後胴回り域S2側から視認した斜視図である。
図2は、
図1に示す使い捨ておむつ1を展開した展開状態の平面図である。
図3は、
図2に示すA-A線に沿った断面図である。
図4は、
図3のB部分の拡大した模式断面図である。
図5は、
図2に示すC-C線に沿った模式断面図である。
図6は、
図2に示すD-D線に沿った模式断面図である。
図2から
図6は、伸長状態の使い捨ておむつ1を示している。なお、本発明における伸長状態とは、使い捨ておむつ1を皺が形成されない状態まで伸長させた状態である。なお、断面図では、説明の便宜上、各部材を厚さ方向Tにおいて離間して示しているが、実際の製品においては厚さ方向Tに接している。
【0038】
使い捨ておむつ1は、互いに直交する前後方向L及び幅方向Wを有する。前後方向Lは、身体前側と身体後側とに延びる方向によって規定される。言い換えると、前後方向Lは、展開された使い捨ておむつ1において前後に延びる方向である。また、使い捨ておむつ1は、前後方向Lと幅方向Wの両方の直交する厚さ方向Tを有する。厚さ方向Tは、着用者側に向かう肌側T1と、肌側と反対側の非肌側T2と、に延びる。なお、本発明における外側部とは、幅方向Wにおける外側縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、外側縁とは、幅方向Wにおける外側縁である。なお、前後方向に一定の範囲を占める構成部材の外側縁は、当該構成部材において幅方向の外側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。本発明における内側部とは、幅方向Wにおける内縁を含む幅方向Wに一定の範囲を占める部分であり、内側縁とは、幅方向Wにおける内縁である。なお、前後方向に一定の範囲を占める構成部材の内側縁は、当該構成部材において幅方向の内側に位置する点を、構成部材全体に亘って繋いだ縁である。また、本発明における前端部及び後端部は、前後方向Lにおける縁を含む前後方向Lに一定の範囲を占める部分であり、前端縁及び後端縁は、前後方向Lにおける縁である。外端部は、前端部及び後端部を含んでおり、外端縁は、前端縁及び後端縁を含んでいる。なお、本明細書において、「前後方向Lに沿って」という用語は、前後方向Lに対して45°未満の角度を持った方向を意味し、「幅方向Wに沿って」という用語は、幅方向Wに対して45°未満の角度を持った方向を意味する。
【0039】
使い捨ておむつ1は、前胴回り域S1と、後胴回り域S2と、股下域S3と、を有する。前胴回り域S1は、着用者の前胴回り(腹部)に対向する領域である。後胴回り域S2は、着用者の後胴回り(背部)に対向する領域であり、装着時に身体(臀部)が載せられる領域を含む。股下域S3は、着用者の股下に位置し、前胴回り域S1と後胴回り域S2との間に配置された領域である。股下域S3は、着用者のレッグに配置されるレッグ開口72が設けられた領域である。レッグ開口72は、使い捨ておむつの外側縁から幅方向の内側に凹む部分である。
【0040】
使い捨ておむつ1は、外装体15と、吸収性本体40と、を有していてよい。外装体15は、吸収性本体40と厚さ方向Tに重なっている。外装体15は、前胴回り域S1に配置された前外装体20と、後胴回り域S2に配置された後外装体30と、を有してよい。前外装体20と後外装体30は、本実施の形態のように前後方向Lに離間していてもよいし、変形例において前後方向Lにおいて連なっていてもよい。前外装体20と後外装体30が前後方向Lに離間した形態にあっては、前外装体20と後外装体30の間の領域が股下域S3を構成してよい。
【0041】
図1に示すように、幅方向Wにおける前胴回り域S1の外側部と、幅方向Wにおける後胴回り域S2の外側部と、を接合したサイド接合部18が設けられていてよい。
図2は、サイド接合部18における接合を解除し、使い捨ておむつ1を展開した状態を示している。サイド接合部18は、前外装体20及び後外装体30のそれぞれにおいて、前後方向Lに沿って延びていてよい。
図1に示すように、サイド接合部18が形成された状態で、使い捨ておむつ1には、着用者の胴が通されるウエスト開口71と、着用者の脚がそれぞれ挿入される一対のレッグ開口72と、が形成される。ウエスト開口71は、前胴回り域S1の前端縁S1Fと、後胴回り域S2の後端縁S2Rと、によって規定されていてよい。また、レッグ開口72は、吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出した前外装体20の後端縁と、吸収性本体40よりも幅方向Wの外側に延出した後外装体30の前端縁と、股下域S3における吸収性本体40の外側縁と、によって規定されていてよい。
【0042】
以下の説明において、外装体15についての説明は、前外装体20と後外装体30の少なくとも一方の説明であり、前外装体20と後外装体30のいずれにおいても採用できる構成である。外装体15は、吸収性本体40の少なくとも非肌側T2に配置されてよい。外装体15は、吸収性本体40の肌側T1に配置された部分を有してもよく、後述する肌側シート81を備えてもよい。外装体15は、例えば不織布のような外装シートを有してよい。外装体15は、複数の外装シートを有してよい。外装シートは、第1外装シート25と、第1外装シート25の外側に位置する第2外装シート26と、を有してよい。第1外装シート25と第2外装シート26は、ウエスト開口71において折り返されており、吸収性本体40の肌側T1と非肌側T2のそれぞれに配置されてよい。なお、変形例において、第1外装シート25と第2外装シート26は、ウエスト開口71において折り返されてなくてもよい。すなわち、吸収性本体40の肌側T1の外装シートと、吸収性本体40の非肌側T2の外装シートと、が別体によって構成されてよい。外装体15は、吸収性本体40の肌側T1において、第1外装シート25よりも非肌側T2に配置された第3外装シート27を有してよい。本実施の形態の第3外装シート27は、厚さ方向Tにおいて吸収性本体40と第1外装シート25の間に配置されている。第3外装シート27の外端縁は、ウエスト開口71に配置され、第3外装シート27の内端縁は、吸収性本体40よりも肌側T1に位置する第1外装シート25の内端縁及び吸収性本体40よりも肌側T1に位置する第2外装シート26の内端縁よりも前後方向Lの内側に延びてよい。
【0043】
使い捨ておむつ1は、体液を一時的に収容可能なポケット80を有する。ポケット80は、肌側シート81と非肌側部材82とによって囲まれた収容空間85を有する。本実施の形態のポケット80は、第1外装シート25のうち吸収性本体40よりも肌側に位置する領域と、第3外装シート27と、の間に、形成されている。第1外装シート25のうち吸収性本体40よりも肌側に位置する領域が、第3外装シート27に対して接合されていない部分(非接合領域)が収容空間85を形成する。肌側シート81及び非肌側部材82は、外装体15の一部であってもよいし、外装体15と別体であってもよい。ポケット80については、後述にて詳細に説明する。
【0044】
外装体15は、幅方向Wに伸縮可能な弾性部材を有してよい。弾性部材は、例えば、幅方向Wに伸縮可能な糸ゴム、又は幅方向Wに伸縮可能な弾性シートによって構成されていてよい。弾性部材は、肌側シート81に接合されたポケット弾性部材65と、吸収性本体40よりも非肌側T2に配置されたウエスト弾性部材66と、を有してよい。ポケット弾性部材65及びウエスト弾性部材66は、いずれも糸ゴムによって構成されており、厚さ方向Tにおいて第1外装シート25と第2外装シート26の間に配置されている。弾性部材は、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されてよい。弾性部材は、幅方向Wに沿って直線状に配置されていてもよいし、幅方向Wに傾斜して配置されていてもよい。
【0045】
吸収性本体40は、前外装体20と後外装体30を跨って配置されてよい。すなわち、吸収性本体40は、前胴回り域S1、後胴回り域S2及び股下域S3にわたって延びてよい。吸収性本体40は、前外装体20及び後外装体30とは別体として構成されていてよい。吸収性本体40は、吸収材料を含む吸収コア50を有してよい。吸収コア50を含む。吸収コア50は、粉砕パルプもしくは高吸収性ポリマー(SAP)、又はこれらの混合物等の吸収材料を含む。吸収コア50は、図示しないコアラップによって覆われてよい。吸収コア50とコアラップによって吸収体が構成されてよい。コアラップは、テッシュ又はSMS不織布によって構成され、吸収コア50の肌側T1と吸収コア50の非肌側T2に配置されてよい。本実施の形態の吸収コア50は、幅方向Wの内側に凹む括れ部51(
図1及び
図2参照)を有する。括れ部51は、前胴回り域S1に形成されてなく、後胴回り域S2のみに形成されている。よって、後胴回り域S2に形成された括れ部51によって脚に対する当たりを抑制しつつ、前胴回り域S1の吸収容量を確保し、前漏れを抑制できる。
【0046】
図3等に示すように、吸収性本体40は、複数のシートを有してよい。吸収性本体40のシートは、吸収コア50の肌側T1を覆うトップシート41を有してよい。トップシート41は、着用者の肌に当接するシートであってよく、コアラップを有する形態にあっては、コアラップの肌側T1を覆ってよい。トップシート41は、液透過性を有してよい。吸収性本体40のシートは、吸収コア50の非肌側T2を覆う液不透過性のバックシート42と、バックシート42の非肌側T2を覆う本体外側シート43と、を有してよい。トップシート41及び本体外側シート43は、不織布によって構成されてよい。バックシート42は、フィルムによって構成されてよい。
図3に示すように、バックシート42の外端縁及びトップシート41の外端縁は、吸収コア50の外端縁よりも前後方向の外側、かつ本体外側シート43の外端縁よりも前後方向Lの外側に位置してよい。本体外側シート43の外側部は、トップシート41の肌側T1に折り返され、防漏ギャザー60を構成してよい。
【0047】
吸収性本体40は、起立性の防漏ギャザー60を備えてよい。防漏ギャザー60は、吸収性本体40の外側部に設けられ、着用時に肌側T1に起立可能に構成されている。防漏ギャザー60は、防漏弾性部材61の収縮によって起立する起立部63と、起立部63よりも幅方向Wの外側に位置し、起立部の起立支点となる幅支点部64と、を有する。幅支点部64は、起立部63の外側縁を構成してよく、起立部63を構成するシートが固定された固定部の内側縁、又は起立部を構成するシートが折り返された形態におけるシートの折り目によって構成されてよい。本実施の形態の防漏ギャザー60は、本体外側シート43がバックシート42の外側縁を基点に幅方向の内側かつ肌側T1に折り返されており、本体外側シート43の折り返された部分と防漏弾性部材61とによって構成されている。
【0048】
次いで、このように構成された使い捨ておむつにおけるポケット80について詳細に説明する。本実施の形態の使い捨ておむつ1は、ポケット80内の体液の経路をコントロールするとともに、肌側シートのめくれを抑制しポケット80を形成し続けることができるように構成されている。ポケット80は、吸収性本体40よりも肌側T1に位置し、股下域S3側を開口端83としている。ポケット80は、吸収性本体40の股下域S3に排出された体液が前後方向Lに流れた場合に、当該体液を一時的に収容できるように構成されている。なお、以下のポケット80の説明にあっては、前胴回り域S1に形成されたポケット80について説明する。しかし、ポケット80は、前胴回り域S1と共に後胴回り域S2に設けられていてもよいし、前胴回り域S1に設けられずに、後胴回り域S2に設けられていてもよい。後胴回り域S2のポケットの構成は、前胴回り域S1のポケットの構成と同様であってよく、ただし、前後方向の位置関係は逆として読み替えるものとする。すなわち、ポケットの説明における前後方向Lの外側は、前胴回り域では、前側であり、後胴回り域S2では、後側である。本実施の形態のポケット80は、少なくとも前胴回り域S1に設けられてよい。特にうつぶせ寝の状態、または着用者が男性の場合には、吸収コア50の前端部側に体液が流れ易く、前漏れが発生し易い。前胴回り域S1にポケット80を設けることにより前漏れを抑制できる。
【0049】
ポケット80の収容空間85は、肌側シート81と非肌側部材82との間に挟まれた空間である。肌側シート81は、接合領域において非肌側部材82に接合され、非接合領域においてと非肌側部材82に接合されていない(離間可能に接している構成を含む)。肌側シート81と非肌側部材82が接合されていない非接合領域は、収容空間85を形成する。本実施の形態の収容空間85は、第1外装シート25において吸収性本体40よりも肌側T1に配置された領域(
図4に示す251)と、第3外装シート27と、の間に形成される。しかし、変形例において、使い捨ておむつ1が第3外装シート27を備えず、ポケット80の収容空間85は、吸収性本体40と、吸収性本体40よりも肌側T1に配置されたシート(例えば、第1外装シート25)と、の間に形成されてもよい。すなわち、吸収性本体40が非肌側部材82を構成してよい。ポケット80の収容空間85を形成するシート(第3外装シート27及び第1外装シート)は、特に限定されず。周知の材料を採用でき、不織布又はフィルムを例示できる。なお、体液の漏れを抑制するために、ポケット80の収容空間85を形成するシートは、液透過性を有するシート、又は疎水処理されたシートであってよい。ポケット80の収容空間85の肌側T1に位置するシートは、肌側シート81を構成する。ポケット80の股下域S3側の開口端83は、肌側シート81の股下域S3側の端縁である。
【0050】
接合領域は、肌側シート81と非肌側部材82が離間せずに接合された領域であればよく、その一部が非接合であってもよい。
図7は、ポケットの接合領域の接着剤29の配置態様を模式的に示した平面図である。接合領域に付される接着剤29は、接合領域全面にむら無く塗布されていてもよいが、
図7に示すように非連続形状(例えば、スパイラル状又はオメガ状)に塗布されていてもよい。接着剤が非連続形状に配置された形態にあっては、接着剤が配置されていないが接着剤によって囲まれた領域は、実質的に浮き上がらないため、接合領域を構成してよい。接着剤が非連続形状に配置された形態にあっては、接着剤の外縁を繋いだ仮想線(
図7に示すFL1)が、接合領域の外縁を構成してよい。
【0051】
収容空間85の外側縁は、ポケット80の幅方向Wの外縁である。本実施の形態の肌側シート81及び非肌側部材82は、前胴回り域(外装体)の幅方向の全域に亘って配置されており、サイド接合部18において互いに接合されている。そのため、収容空間85の外側縁は、サイド接合部18の内側縁に一致する。なお、サイド接合部18よりも幅方向Wの内側に接合領域が配置された形態にあっては、収容空間85の外側縁は、サイド接合部18と離間してもよい。ポケット80の収容空間85は、前胴回り域S1の幅方向の中心である前幅中心WS1に対して左右対称であってよい。
【0052】
収容空間85の外端縁は、ポケット80の前後方向Lの外縁であり、ポケット80の起立基点となる基端縁84である。本実施の形態では、ウエスト開口71から股下域S3側に延びる領域において、肌側シート81と非肌側部材82が接合されており(後述するウエスト接合領域R5)、ウエスト接合領域R5の内端縁が収容空間85の外端縁(基端縁84)を構成する。なお、変形例において、肌側シート81と非肌側部材82は、別々の部材でなく、同一の部材によって構成されてよい。具体的には、同一のシートが幅方向に沿って折り目を基点に折り返され、折り目を挟んで肌側T1に位置する領域が肌側シート81を構成し、折り目を挟んで非肌側T2に位置する領域が非肌側部材82を構成してもよい。当該変形例にあっては、折り目は、ポケット80の基端縁84を構成し、収容空間85の外端縁となる。
【0053】
非接合領域は、前幅中心WS1を挟んだ両側に設けられた一対のサイド非接合領域NR2を有してよい。サイド非接合領域NR2は、前幅中心WS1と離間し、前幅中心WS1よりも幅方向Wの外側に位置する。サイド非接合領域NR2の内端縁は、ポケット80の開口端83に一致してよく、サイド非接合領域NR2の外端縁は、収容空間85の外端縁(ポケット80の基端縁84)に一致してよい。接合領域は、幅方向Wにおいてサイド非接合領域NR2間に設けられた中央接合領域R1を有する。中央接合領域R1は、左右のサイド非接合領域NR2によって挟まれた領域の少なくとも一部に設けられている。中央接合領域R1は、左右のサイド非接合領域NR2によって挟まれた領域の幅方向の全域に連続してもよく、中央接合領域R1の外側縁は、サイド非接合領域NR2の外側縁に一致してよい。また、変形例において、左右のサイド非接合領域NR2によって挟まれた領域に、複数の中央接合領域R1が幅方向に間隔を空けて配置されてよい。当該変形例にあっては、複数の中央接合領域R1の間に非接合領域が設けられてよい。
【0054】
本構成によれば、ポケット80は、股下域S3側を開口端83として開口しており、股下域S3側から前後方向Lの外側に伝わった体液を収容できる。このとき、非接合領域が幅方向Wに連続している形態にあっては、連続した非接合領域の全体に亘って体液が自由に移動できる。そのため、体液が移動する経路をコントロールできず、ポケット80内に流入した体液を吸収コア50によって吸収できずに体液の漏れが生じるおそれがあった。また、非接合領域が幅方向Wに連続している形態にあっては、連続した非接合領域の全体に亘って、肌側シートが非肌側部材に対して自由に移動でき、意図せずにめくれてしまい、ポケット80を形成し続けることができないおそれがあった。これに対して、本実施形態では、中央接合領域R1は、幅方向Wにおいてサイド非接合領域NR2に挟まれた領域に設けられているため、サイド非接合領域NR2間に設けられた中央接合領域R1によって体液の流れをコントロールでき、体液を意図した経路に導き易い。なお、体液の経路については、後述にて詳細に説明する。また、中央接合領域R1によって肌側シート81を非肌側部材82に接合でき、肌側シート81が意図せずにめくれる不具合を抑制できる。特にうつぶせ寝の状態、または着用者が男性の場合には、吸収コア50の前端部側に体液が流れ易く、前漏れが発生し易い。本発明によれば、前側に流れた体液の経路をコントロールしつつ吸収コアに導き、前漏れを抑制できる。加えて、うつぶせ寝等において前胴回り域S1が身体に対して擦れた場合であっても、肌側シート81が意図せずにめくれることを抑制し、ポケット80を形成し続け前漏れを抑制できる。
【0055】
中央接合領域R1の少なくとも一部は、使い捨ておむつの平面視(
図2に示す状態)にて吸収性本体40と重なる領域、又は吸収性本体40から前後方向Lの外側に延びる領域に配置されてよい。使い捨ておむつの平面視にて吸収性本体40と重なる領域、及び吸収性本体40から前後方向の外側に延びる領域は、吸収性本体40の幅方向Wの外側縁によって挟まれた範囲又は吸収性本体の幅方向Wの外側縁の延長線(
図2に示すFL2)によって挟まれた範囲である。吸収性本体40上の体液、又は吸収性本体40から前後方向Lの外側に移動した体液を、中央接合領域R1によってコントロールできる。特に、吸収性本体40と中央接合領域R1が重なる構成にあっては、中央接合領域R1によってポケット80内を移動する体液を吸収性本体40側に導き易く、収容空間85において一旦収容した体液を吸収コア50によって吸収し易い。なお、中央接合領域R1は、吸収性本体を構成するシート(例えば、トップシート)と重なっていればよく、吸収コアと重なっていてもよい。中央接合領域R1が吸収コア50と重なっていることにより、ポケット80内を移動する体液を吸収コア50に導き易くなる。本実施の形態の中央接合領域R1は、吸収性本体40の前端縁と重なり、吸収コア50と重ならない領域に設けられている。
【0056】
中央接合領域R1は、前幅中心WS1を跨いでよい。一般的に、おむつの幅方向Wの中心に対向して排泄口が配置され、体液は、前胴回り域S1においては前幅中心WS1に沿って導かれ易い。前幅中心WS1に沿って伝わった体液が中央接合領域R1に当たり易く、体液の経路をコントロールしやすい。また、中央接合領域R1によってポケット80の幅方向Wの中心を接合することで、肌側シート81のめくれを効果的に抑制できる。前幅中心WS1を跨いで配置された中央接合領域R1の幅方向Wの長さは、吸収コア50の幅方向Wの長さの1/2以下であってよい。吸収コア50の幅方向Wの全域に中央接合領域R1が設けられた形態と比較して、収容空間85を形成するサイド非接合領域NR2の面積を確保でき、体液の収容容量を確保し、漏れを抑制できる。変形例において、中央接合領域R1は、前幅中心WS1に設けられていなくてもよく、前幅中心WS1を挟んで両側に配置されてよい。前幅中心WS1に沿って伝わった体液を、左右の中央接合領域R1間の非接合領域にも導くことができる。すなわち、体液の経路をより多く設けることができる。
【0057】
中央接合領域R1の幅方向Wの長さは、吸収性本体40の幅方向Wの長さよりも短くてよく、吸収コア50の幅方向Wの長さよりも短くてよい。中央接合領域R1の外側縁(サイド非接合領域NR2の内端縁)は、吸収性本体40の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置してよく、吸収性本体40の外側縁と重なる領域、又は吸収性本体40の外側縁から前後方向Lの外側に延びる延長線上には、サイド非接合領域が設けられてよい。当該構成によれば、吸収性本体の外側部に設けられた防漏ギャザーに沿って導かれた体液をポケット80のサイド非接合領域NR2に導き、サイド非接合領域NR2内に収容し易い。また、吸収性本体40の外側縁から前後方向の外側に延びる延長線上には、サイド非接合領域NR2が設けられ、着用時に吸収性本体の外側部が動き易く、吸収性本体の外側部が身体の動きに追従し、体液の漏れを抑制できる。また、中央接合領域R1の外側縁(サイド非接合領域NR2の内端縁)は、吸収コア50の外側縁よりも幅方向Wの内側に位置してよく、吸収コア50の外側縁から前後方向の外側に延びる延長線上には、サイド非接合領域NR2が設けられてよい。当該構成によれば、吸収コア50の外側部に沿って導かれた体液をポケット80のサイド非接合領域NR2に導き、サイド非接合領域NR2内に収容し易い。
【0058】
サイド非接合領域NR2は、防漏ギャザー60の幅支点部64と重なる領域、又は幅支点部64から前後方向Lの外側に延びる延長線(
図2に示すFL3)上に設けられてよい。好適には、サイド非接合領域NR2は、防漏ギャザー60の幅支点部64から前後方向Lの外側に延びる延長線FL3を幅方向Wに跨いでよい。防漏ギャザー60の起立部63は、排泄口の幅方向Wの両側において、幅支点部64を基点として起立する。排泄口から排出された体液の一部は、左右の幅支点部64間において非肌側T2に導かれることで、吸収コア50で吸収される。また、排泄口から排出された体液の一部は、幅支点部64に沿って前後方向Lの外側に導かれる。このとき、幅支点部64から前後方向Lの外側に延びる延長線FL3上には、サイド非接合領域NR2が設けられているため、幅支点部64に沿って前後方向Lの外側に導かれた体液をサイド非接合領域NR2が設けられた収容空間85で収容できる。また、サイド非接合領域NR2は、伸長状態における防漏ギャザーの内側縁(起立部の内側縁)から前後方向Lの外側に延びる延長線上に設けられてよい。当該構成によっても、防漏ギャザー60によって挟まれた空間内の体液が前後方向Lの外側に導かれた際に、体液をサイド非接合領域NR2が設けられた収容空間85で収容できる。
【0059】
サイド非接合領域NR2は、体液の収容する収容空間85を形成でき、収容空間85を確保するために面積を大きくしてよい。例えば、各サイド非接合領域NR2の幅方向Wの長さは、中央接合領域R1の幅方向Wの長さよりも長くてよい。各サイド非接合領域NR2の幅方向Wの長さを合計したサイド非接合領域NR2の幅方向Wの長さは、吸収コア50の幅方向Wの全体長さよりも長くてよく、好適には、吸収性本体40の幅方向Wの全体長さよりも長くてよい。
【0060】
接合領域は、サイド非接合領域NR2よりも幅方向Wの外側にそれぞれ設けられた一対の端部接合領域R3を有してよい。端部接合領域R3は、サイド接合部18の内側縁とサイド非接合領域NR2の外側縁の間に設けられ、サイド接合部18の内側縁とサイド非接合領域NR2の外側縁の間において連続してよい。一対の端部接合領域R3によって挟まれた領域がポケット80の収容空間85として機能し、その両側を端部接合領域R3によって押さえることで、ポケット80のめくれをより抑制できる。一対の端部接合領域R3の幅方向Wの合計長さは、一対の端部接合領域R3によって挟まれた領域に対する1/2未満であってよい。端部接合領域R3の合計長さが収容空間85の幅方向Wの全体長さに対する半分未満であることにより、端部接合領域R3の存在によって収容空間85が小さくなり過ぎることを抑制し、収容空間85を確保できる。また、変形例において、一対の端部接合領域R3の幅方向Wの合計長さは、一対の端部接合領域R3によって挟まれた領域に対する1/2以上であってもよい。本態様によれば、端部接合領域R3の存在によって肌側シート81のめくれをより抑制でき、ポケットの形状を維持し続けることができる。
【0061】
端部接合領域R3の内端縁は、収容空間85の内端縁(開口端83)に一致していてもよいし、収容空間85の内端縁よりも前後方向の外側に位置してもよい。本実施の形態の端部接合領域R3の内端縁は、収容空間85の内端縁よりも前後方向Lの外側に位置している。そのため、非接合領域は、端部接合領域R3の前後方向Lの内側に設けられた端部非接合領域NR3を有している。端部非接合領域NR3とサイド非接合領域NR2は連なっている。端部非接合領域NR3の内端縁は、収容空間85の内端縁に一致する。本構成によれば、外装体の外側部に伝わった体液を端部非接合領域NR3によって収容でき、端部非接合領域NR3から吸収性本体40側又はサイド非接合領域NR2側に、すなわち複数の経路に体液を導くことができる。サイド非接合領域NR2の前後方向Lの長さは、端部非接合領域NR3の前後方向Lの長さよりも長くてよい。サイド非接合領域NR2の吸収容量を確保するとともに、サイド非接合領域NR2から端部非接合領域NR3側へ体液が流れることを抑制し、収容空間85内の体液を吸収性本体40側に導き易くなる。なお、変形例において、端部非接合領域NR3が設けられず、端部接合領域R3は、ポケットの開口端83に到達してもよい。
【0062】
前後方向Lにおいて、端部接合領域R3の内端縁は、中央接合領域R1の内端縁よりも内側に位置してよい。すなわち、端部接合領域R3は、中央接合領域R1よりも前後方向Lの内側に延びている。よって、サイド非接合領域NR2に対する幅方向Wの両側を、端部接合領域R3によって前後方向Lの長い範囲で押さえることができる。また、中央接合領域R1は、端部接合領域R3よりも前後方向Lの外側で終端しており、非接合領域は、中央接合領域R1よりも前後方向の内側に配置された中央非接合領域NR1を有してよい。中央非接合領域NR1は、サイド非接合領域NR2と連なってよい。中央非接合領域NR1とサイド非接合領域NR2が連なった領域は、幅方向Wにおいて端部接合領域R3によって挟まれている。端部接合領域R3によって幅方向Wに挟まれた領域には、サイド非接合領域NR2と中央非接合領域NR1が幅方向Wに連なった領域と、サイド非接合領域NR2と中央接合領域R1が隣接した領域と、が形成される。接合領域と非接合領域によって体液の経路が複数形成され、体液の流れをよりコントロールし易くなる。なお、変形例において、中央非接合領域NR1が設けられず、中央接合領域R1は、ポケットの開口端83に到達してもよい。
【0063】
サイド非接合領域NR2、端部非接合領域NR3、及び中央非接合領域NR1は、幅方向Wに連続してよい。サイド非接合領域NR2、端部非接合領域NR3、及び中央非接合領域NR1は、いずれも収容空間85の開口端83から前後方向Lの外側に延びている。サイド非接合領域NR2の前後方向Lの長さは、中央非接合領域NR1の前後方向Lの長さよりも長くてよく、中央非接合領域NR1の前後方向Lの長さは、端部非接合領域NR3の前後方向Lの長さよりも長くてよい。サイド非接合領域NR2の前後方向Lの長さは、収容空間85の前後方向Lの長さと同じであってよい。中央非接合領域NR1の前後方向Lの長さは、サイド非接合領域NR2の前後方向の長さ(収容空間85の前後方向Lの長さ)に対する1/2以上であってよい。本構成によれば、中央接合領域R1によって肌側シート81のめくれや体液の経路のコントロールを実現しつつ、中央接合領域R1に隣接した中央非接合領域NR1の前後方向の長さを確保して、ポケット80の収容空間85を確保できる。また、端部非接合領域NR3の前後方向Lの長さは、端部接合領域R3の前後方向Lの長さに対する1/2未満であってよく、好適には、10%以下であってよい。端部非接合領域NR3は、吸収性本体40と幅方向Wに離間して設けられており、収容した体液を吸収コアに導き難いことがある。そのため、端部非接合領域NR3の収容空間85を大きくしすぎないことが好ましい。なお、変形例において、中央非接合領域NR1の前後方向Lの長さは、サイド非接合領域NR2の前後方向の長さに対する1/2未満であってよい。変形例によれば、中央接合領域R1の前後方向の長さを確保し、肌側シート81のめくれをより抑制でき、体液の経路のコントロールをより実現できる。
【0064】
接合領域は、ウエスト接合領域R5を有してよい。ウエスト接合領域R5は、ウエスト開口71を基点に折り返された第1外装シート25(肌側シート81)と、第3外装シート27(非肌側部材82)と、が接合された領域であり、ウエスト開口71から前後方向Lの内側に延びる。ウエスト接合領域R5は、左右のサイド接合部18間において幅方向Wに連続してよい。ウエスト接合領域R5の内端縁には、中央接合領域R1、サイド非接合領域NR2、及び端部接合領域R3が隣接してよい。ウエスト接合領域R5の前後方向Lの長さは、前外装体20の前後方向Lの長さの1/2未満であってよく、好適には、5%以上20%以下であってよい。ウエスト接合領域R5の内端縁は、股下域側に向かってポケット80が開口する起立支点であり、ポケット80の基端縁84を構成する。
【0065】
ポケット80の基端縁84は、中央接合領域R1に隣接してよい。本態様によれば、サイド非接合領域NR2に導かれた体液は、基端縁84に当たって股下域側に導かれる。基端縁84と中央接合領域R1が連なっていることにより、基端縁84と中央接合領域R1が協働して体液の経路を形成し、体液の経路をコントロールできる。また、変形例において、基端縁84と中央接合領域R1は、前後方向に離間してよい。変形例によれば、基端縁84と中央接合領域R1によって挟まれた領域に体液を導くことができ、より多くの体液の経路を形成できる。よって、サイド非接合領域NR2に導かれ、基端縁に当たった体液は、基端縁から股下域側に導かれる経路と、基端縁によって基端縁と中央接合領域R1の間を通る経路と、分散できる。体液の経路をより細かくかつ適切にコントロールできる。
【0066】
ポケット内に流入した体液は、接合領域と非接合領域の境界に当たることで様々な経路に導かれる。
図7に、体液の経路の一例を示す。股下域S3側から前後方向Lの外側に導かれた体液の一部は、中央接合領域R1に当たって跳ね返され、前後方向Lの内側に導かれる(矢印91)。また、股下域S3側から前後方向Lの外側に導かれた体液の一部は、中央接合領域R1の内端縁に沿って幅方向Wの外側に導かれ、サイド非接合領域NR2内に流入する(矢印92)。サイド非接合領域NR2内に流入した体液の一部は、ウエスト接合領域R5の内端縁に当たって跳ね返され、前後方向Lの内側に導かれる(矢印93)。サイド非接合領域NR2内に流入した体液の一部は、ウエスト接合領域R5の内端縁に沿って幅方向Wの外側に導かれ、その過程で移動方向が変更して前後方向Lの内側に導かれたり(矢印94)、ウエスト接合領域R5の内端縁に沿って幅方向Wの外側に導かれ、端部接合領域R3の内側縁に当たって幅方向の内側に導かれたりする(矢印95)。また、股下域S3側から前後方向Lの外側に導かれた体液の一部は、サイド非接合領域NR2内にまず流入し、その一部は、ウエスト接合領域R5に当たって跳ね返され、前後方向Lの内側に導かれる(矢印96)。また、サイド非接合領域NR2内に流入した体液の一部は、幅方向Wの内側に移動して、中央接合領域R1の外側縁に当たって股下域S3側に導かれる(矢印97)。サイド非接合領域NR2内に流入した体液の一部は、矢印94及び95と同様に移動したりする。また、端部接合領域R3側に導かれた体液は、矢印95のように移動する他、端部非接合領域NR3に導かれることもある(矢印98)。このように、本実施の形態のポケットによれば、体液の経路を複数設けることができ、体液の経路を広い範囲で収容できるとともに、体液を適切に吸収コア側に導き、体液の漏れを抑制できる。
【0067】
ポケット弾性部材65は、中央接合領域R1と重なって配置されてよい。ポケット弾性部材65が収縮することで、ポケット80の開口端83側が閉じやすくなり、一旦収容空間85内に入った体液を収容し易い。ポケット弾性部材65の少なくとも一部は、吸収性本体40と重なってよく、好適には、吸収コア50と重なってよい。当該構成によれば、ポケット80の収容空間85内に導かれた体液を吸収性本体40側に導き、吸収コア50によって吸収し易くなる。ポケット弾性部材65は、中央接合領域R1と重ならない領域に設けられてよい。本態様によれば、ポケット弾性部材65の収縮力を中央接合領域R1における接合によって阻害せず、ポケット弾性部材65の収縮によってポケット80を起立させ、体液の収容空間85を確保し易い。変形例において、ポケット弾性部材の少なくとも一部は、中央接合領域R1と重なり、かつ吸収性本体と重なってよい。本態様によれば、中央接合領域R1を介してポケット弾性部材と吸収性本体が連動し易くなる。よって、ポケット80の収容空間85内に導かれた体液を吸収性本体側に導き、吸収コアによって吸収し易くなる。
【0068】
ポケット弾性部材65は、前後方向Lに間隔を空けて複数配置されてよい。前後方向Lにおいて、ポケット80の中心よりも内側におけるポケット80の幅方向Wの収縮力は、ポケット80の中心よりも外側におけるポケット80の幅方向Wの収縮力よりも高くてよい。より詳細には、ポケット80の前後方向の中心よりも内側におけるポケット弾性部材65の数が、ポケット80の前後方向の中心よりも外側におけるポケット弾性部材65の数よりも多くてよい。または、ポケット80の前後方向Lの中心よりも内側におけるポケット弾性部材65の伸長倍率が、ポケット80の前後方向の中心よりも外側におけるポケット弾性部材65の伸長倍率よりも高くてよい。ポケット80の前後方向の中心は、前後方向Lにおける基端縁84と開口端83の中心である。ポケット80の前後方向の中心よりも内側は、ポケット80の開口端側である。ポケット80の開口端側が弾性部材によって収縮することで、ポケット80の開口端83が起立し易くなり、股下域S3側からの体液を円滑に収容空間85に導き易くなる。また、ポケット80の開口端83が起立することで、体液が流入しやすくなる。また、使用者は、ポケット80の存在に気づき、ポケット80を適切に装着できるとともに、ポケット80の存在によって漏れに対する安心感を得ることができる。また、ポケットの前後方向の中心よりも外側の領域は、比較的収縮力が低く、起立し難い。よって、相対的にポケットの開口端83側が起立し易くなり、体液が流入し易くなる。
【0069】
なお、収縮力の測定は、以下の方法によって測定できる。肌側シート81及び肌側シート81に接合されたウエスト弾性部材66と一体化した部材、すなわち、ポケットの収容空間85に対して肌側シート81側の部材(本実施の形態における吸収性本体40の肌側T1には位置された第1外装シート25、第2外装シート26及びウエスト弾性部材66)を試験片として切り出す。次いで、ポケットの基端縁84に沿って試験片を切り、基端縁84と開口端83によって挟まれた領域のみを取り出す。基端縁84と開口端83によって挟まれた領域を、前後方向Lの中心を通り、幅方向に延びる線に沿って2つに切り離す。これにより、ポケット80の中心に対する前後方向の内側の領域と、ポケットの中心に対する前後方向の外側の領域と、の試験片を得ることができる。収縮力の測定は、引張試験機(例えば、株式会社島津製作所製:オートグラフ等)を用いて行うことができる。試験片を自然状態として、引張試験機の治具間の長さが、自然状態の試験片の左右方向における長さと等しくなるように調整して、試験片の幅方向の両端部を各々治具で掴んで固定する。その後、一定速度でサンプル片を左右方向に引っ張り、所定の長さだけ伸長させたときの力を測定する。この測定をn回(例えば、n=3)行い、その平均値を、各々のサンプルの収縮力とする。
【0070】
複数のポケット弾性部材65のうち最も開口端83側(股下域側)に配置されたポケット弾性部材65の収縮力は、複数のポケット弾性部材65のうち最もウエスト開口側(前後方向Lの外側)に配置されたポケット弾性部材65の収縮力よりも高くてよい。すなわち、ポケット80の開口端83側の幅方向Wの収縮力と基端縁84側の幅方向Wの収縮力とが異なってもよい。本構成によれば、開口端83側と基端縁84側の応力差でポケット80の起立性が向上し、収容空間85が形成され易くなり、効率的にポケット80を使用できる。また、ポケット80の起立性が向上することで、使用者がよりポケット80の存在を認識しやすくなる。
【0071】
図3に示すように、ポケット80の収容空間85の外端縁よりも前後方向Lの外側には、ウエスト弾性部材66が配置されてよい。本構成によれば、収容空間85よりも前後方向Lの外側の領域は、ウエスト弾性部材66の収縮によってフィットし、身体に対して浮き上がり難くなる。そのため、ポケット80の収容空間85が相対的に浮き上がり易くなり、体液をより収容し易くなる。また、収容空間85よりも前後方向Lの外側の領域がフィットすることで収容空間内に導かれた体液がウエスト開口71側に拡散しにくくなり、漏れを抑制できる。ウエスト弾性部材66は、吸収性本体40よりも非肌側に位置する第1外装シート25の肌面上に配置されている。ウエスト弾性部材66が前後方向Lに間隔を空けて複数配置されている形態にあっては、少なくとも1本のウエスト弾性部材66が配置されてよいが、好適には、収容空間85と重なる領域のウエスト弾性部材66の数が、収容空間85よりも前後方向の外側に位置するウエスト弾性部材66の数よりも多くてよく、また、収容空間85と重なる領域のウエスト弾性部材66の収縮力が、収容空間85のよりも外側の領域のウエスト弾性部材66の収縮力よりも高くてよい。本実施の形態では、前幅中心WS1においては、ウエスト弾性部材66は、ポケット80の収容空間85と重なる領域に配置されず、収容空間85の外端縁よりも前後方向Lの外側の領域のみに配置されている。
【0072】
ポケット80を構成する肌側シートは、少なくとも1枚のシートによって構成されていてよいが、好適には、複数のシートによって構成されてよい。本実施の形態では、ポケット80の収容空間85の肌側に、第1外装シート25と第2外装シート26が設けられている。本構成によれば、肌側シートが1枚の構成と比較して体液がポケット80を貫通し難くなる。体液がポケット80を貫通することを抑制することで、体液の漏れを抑制できるとともに、複数回繰り返してポケット80内で体液を貯水できる。
【0073】
(3)変形例1に係る使い捨ておむつ
次いで、変形例1に係る使い捨ておむつについて説明する。
図8は、変形例1に係る使い捨ておむつ1Xの肌側T1から見た平面図である。
図8は、伸長状態の使い捨ておむつを示している。なお、変形例の説明において、上述の実施形態と同様の構成については、同符号を用いて説明を省略する。変形例に係る使い捨ておむつ1Xは、前胴回り域S1に配置された前ポケットF80と、後胴回り域S2に設けられた後ポケットR80と、を有する。後ポケットR80は、上述の前胴回り域S1のポケットと前後方向の位置を逆にした構成であってよい。また、前ポケットF80と後ポケットR80は、使い捨ておむつの前後方向Lの中心を通り、かつ幅方向Wに延びる仮想線を中心とした線対称であってよいし、非対称であってもよい。前胴回り域S1のポケットの収容空間を、後胴回り域S2のポケットの収容空間をよりも大きくしたい場合には、前胴回り域S1の非接合領域の面積を、後胴回り域S2の非接合領域の面積よりの大きくしてよい。また、後ポケットR80の収容空間を、前ポケットF80の収容空間をよりも大きくしたい場合には、後胴回り域S2の非接合領域の面積を、前胴回り域S1の非接合領域の面積よりの大きくしてよい。また、他の形態において、ポケットを前胴回り域S1に設けず、後胴回り域S2のみに設けてもよい。
【0074】
(4)変形例2に係る使い捨ておむつ
次いで、変形例2に係る使い捨ておむつ1Yについて説明する。
図9は、変形例2に係る使い捨ておむつ1Yを展開した展開状態の平面図である。
図10は、
図9に示すE-E線に沿った模式断面図である。
図9及び
図10は、伸長状態の使い捨ておむつを示している。変形例2係る使い捨ておむつ1Yにおいて、ポケット80は、前胴回り域S1に配置された前ポケットF80と、後胴回り域S2に配置された後ポケットR80と、を有する。前ポケットF80の前後方向Lの長さは、後ポケットR80の前後方向Lの長さよりも長いことを特徴とする。なお、ポケット80の前後方向Lの長さは、ポケットの収容空間85の長さであり、非接合領域の前後方向の長さである。非接合領域の前後方向Lの長さが変化する形態にあっては、非接合領域の最大長さで比較してよい。
【0075】
出願人が鋭意研究した結果、乳幼児等の特定の着用者においては、食事の前後等によって腹部の形状の変化が大きく、腹部において前ポケットF80のめくれが生じ、前ポケットF80を形成し続け難いことがわかった。一方、臀部の形状は、一日の生活の中で大きく変化し難く、後ポケットR80のめくれが生じ難いことがわかった。本態様に係る使い捨ておむつ1Yは、前ポケットF80の前後方向Lの長さは、後ポケットR80の前後方向Lの長さよりも長く構成されている。そのため、着用時に腹部の形状が変化し、腹部のポケットの肌側シート81が意図せずにめくれた場合であっても、肌側シート81においてめくれない領域を確保し、前ポケットF80を形成し続けることができる。
【0076】
使い捨ておむつ1Yは、肌側シート81に接合され、幅方向に伸縮可能なポケット弾性部材65を有してよい。前ポケットF80には、ポケット弾性部材65によって伸縮する前ポケット伸縮領域F65が設けられている。前ポケット伸縮領域F65の前後方向Lの長さは、前ポケットF80の前後方向Lの長さに対する50%以下であってよい。本態様によれば、ポケット弾性部材65によって収縮することでポケットが起立し易くなり、体液を前ポケットF80内に導き易くなる。また、ポケット弾性部材65によって収縮することで肌側シート81が浮き上がるため、前ポケットF80の収容空間85内に体液を導き易くなる一方で、収容空間85内に導かれた体液のコントロールが難しいおそれがある。しかし、前ポケット伸縮領域F65の前後方向Lの長さが前ポケットF80の前後方向Lの長さに対する50%以下であり、前ポケットF80の前後方向Lの長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材65によって伸縮しない領域となる。当該収縮しない領域では、肌側シート81が起立し難いため、肌側シート81の接触によって体液の経路をコントロールすることができる。すなわち、ポケット弾性部材65によって収縮する領域を設けるとともに、ポケット弾性部材65によって収縮しない領域も確保することで、前ポケットF80の収容空間85内に体液を導き、かつ導いた体液の経路をコントロールすることができる。また、前ポケットF80の前後方向Lの長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材65によって伸縮しない領域であり、ポケット弾性部材65の収縮に起因して収容空間85が狭くならない領域である。前ポケットF80の収容空間85の容積を大きくすることができ、一度により大量の尿を貯水することができるとともに、前ポケットF80内に入った排泄物をポケット弾性部材65の応力で押し出すことを抑制し、漏れをより抑制できる。
【0077】
また、後ポケットR80には、ポケット弾性部材65によって伸縮する後ポケット伸縮領域R65が設けられてよい。後ポケット伸縮領域R65の前後方向Lの長さは、後ポケットR80の前後方向Lの長さに対する50%以下であってよい。後ポケット伸縮領域の前後方向の長さが後ポケットR80の前後方向Lの長さに対する50%以下であり、後ポケットR80の前後方向Lの長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材65によって伸縮しない領域となる。当該収縮しない領域では、肌側シート81が起立し難いため、肌側シート81の接触によって体液の経路をコントロールすることができる。すなわち、ポケット弾性部材65によって収縮する領域を設けるとともに、ポケット弾性部材65によって収縮しない領域も確保することで、後ポケットR80の収容空間85内に体液を導き、かつ導いた体液の経路をコントロールすることができる。また、後ポケットR80の前後方向Lの長さに対する半分近くの領域又はそれ以上の領域は、ポケット弾性部材65によって伸縮しない領域であり、ポケット弾性部材65の収縮に起因して収容空間85が狭くならない領域である。後ポケットR80の収容空間85の容積を大きくすることができ、一度により大量の尿を貯水することができるとともに、後ポケットR80内に入った排泄物をポケット弾性部材65の応力で押し出すことを抑制し、漏れをより抑制できる。
【0078】
なお、前ポケット伸縮領域F65の前後方向Lの長さ、及び後ポケット伸縮領域R65の前後方向Lの長さは、シート状のポケット弾性部材65にあっては、当該シート状のポケット弾性部材65が配置された領域の前後方向Lの長さである。また、変形例2に係る使い捨ておむつ1Yのように、幅方向Wに延び、かつ前後方向Lに間隔を空けた複数のポケット弾性部材65を有する形態にあっては、最も前側に位置するポケット弾性部材65と最も後側に位置するポケット弾性部材65によって挟まれた領域の前後方向Lの長さである。
【0079】
前ポケットF80の前後方向Lの長さは、前胴回り域S1の前後方向Lの長さの50%以下であってよい。前胴回り域S1における前ポケットF80の前後方向Lの長さが長すぎないため、着用者の姿勢や男性器の向きによっても前ポケットF80の肌側(肌側シートよりも肌側)に体液が排出されることを抑制し、前ポケットF80内に体液を導くことができる。また、前ポケットF80の前後方向の長さが長すぎないことにより、前ポケットF80内の体液の経路を広くしすぎずに、体液の経路をコントロールし易くなる。
【0080】
後ポケットR80の前後方向Lの長さは、後胴回り域S2の前後方向の長さの50%以下であってよい。後胴回り域S2における後ポケットR80の前後方向Lの長さが長すぎないため、着用者の姿勢によっても後ポケットR80の肌側(肌側シートよりも肌側)に体液が排出されることを抑制し、後ポケットR80内に体液を導くことができる。また、後ポケットR80の前後方向Lの長さが長すぎないことにより、後ポケットR80内の体液の経路を広くしすぎずに、体液の経路をコントロールし易くなる。
【0081】
使い捨ておむつ1Yは、ポケット80と吸収コア50が重なる重複領域CRを有してよい。重複領域CRの前後方向Lの長さは、重複領域CRが設けられた当該ポケット80の前後方向Lの長さに対する50%以下であってよい。本態様によれば、ポケット80の収容空間85に導かれた体液を吸収コア50側に導き易く、吸収コア50によって体液を吸収することで伝え漏れを抑制できる。また、ポケット80の収容空間85において吸収コア50と重なる長さが比較的短いため、比較的厚みが厚い吸収コア50の存在によって、収容空間85の容積が小さくなることを抑制し、収容空間85の容積を確保し、体液の漏れを抑制できる。なお、使い捨ておむつ1Yは、ポケット80と吸収コア50が重なる重複領域CRを有していなくてもよい。変形例2に係る使い捨ておむつ1Yは、前ポケットF80と吸収コア50が重なる重複領域CRを有しており、後ポケットR80と吸収コア50は重なっていない。また、重複領域CRの面積が、重複領域CRが設けられた当該ポケット80の収容空間85の面積の50%以下であってもよい。当該構成によっても、ポケット80の収容空間85において吸収コア50と重なる面積が比較的小さいため、比較的厚みが厚い吸収コア50の存在によって、収容空間85の容積が小さくなることを抑制し、収容空間85の容積を確保し、体液の漏れを抑制できる。
【0082】
使い捨ておむつの肌側から視認した状態において、肌側シート81の股下域側の端縁から前後方向の外側に延びる第1領域R11と、肌側シート81の股下域側の端縁81Eから前後方向の内側に延びる第2領域R12と、を有する。第1領域R11と第2領域R12の色差ΔEは、3.0以上であってよい。出願人が種々検討を重ねた結果、使用者は、一般的に色差ΔEが3.0以上であると、2つの領域を別の領域として認識し易いことがわかった。本態様によれば、肌側シート81の股下側の端縁81Eを境界とした第1領域R11と第2領域R12の色差ΔEが3.0以上であるため、使用者が、第1領域R11と第2領域R12を区別して認識し易くなる。使用者は、ポケット80の存在を把握し、ポケット80を適切に(例えば、肌側シート81がめくれないように)配置でき、ポケット80の機能によって排泄物の漏れを抑制する効果をより得やすい。
【0083】
ここで、色差ΔE*は、測定対象となる2点(2つの領域)について市販の測色器を用いて測色を行い、JIS Z 8729に規定されるCIE1976(L*a*b*)色空間に基づいて数値化した値を比較することによって求めることができる。具体的に、測定対象たる2点間のL*値の差がΔL*、a*の差がΔa*、b*値の差がΔb*であるときに、色差ΔE*=[(ΔL*)2+(Δa*)2+(Δb*)2]1/2によって求められる。本実施の形態の測定方法としては、以下によって測定できる。
・測定機器:KONICA・MINOLTA社 色彩色差計 CR-400。L*a*b*表色系で測定する。
・測定環境:恒温室(20℃、60%)
上記の条件で色差を測定する。測定は、使い捨ておむつを展開させかつ伸長状態で、白色基準板 (C Y9 3, x0.3114, y0.3202)を背面に置いた状態で測定する。なお、伸長状態の色差を測定する際は、使い捨ておむつの第1領域R11の肌面の測定箇所と、第2領域R12の肌面の測定箇所と、する。測定箇所は、肌側シート81の股下側の端縁81Eから20mm以内の範囲とする。
【0084】
なお、第1領域R11と、第2領域R12と、の色差ΔEは、第1領域R11の肌面及び第2領域R12の肌面を構成する構成部材の色のみならず、肌面を構成する構成部材を透けて見える色も影響するものである。そのため、なお、第1領域R11と、第2領域R12と、の色差ΔEを異ならせる構成は、肌側シート81、トップシート41、セカンドシート、吸収コア50、及びコアラップ等の構成部材のいずれに、色つきのシートを用いる構成、構成部材のいずれかに印刷等で色を付す構成、色つきのポケット弾性部材65を用いる構成を例示できる。
【0085】
使い捨ておむつ1Yの吸収性本体40は、起立部63と幅支点部64を有する起立性の防漏ギャザー60を備えてよい。幅支点部64は、使い捨ておむつ1Yの伸長状態において起立部63の頂点63Pに対して幅方向の外側に位置してよい。本態様によれば、起立部63の頂点63Pが幅支点部64よりも幅方向Wの内側に位置しており、内倒しの防漏ギャザー60となる。防漏ギャザーの起立部によって覆われた領域に導かれた体液を横漏れさせずに吸収コア50側に導くことができ、横漏れを抑制できる。また、起立部63によって幅方向の外側への体液の漏れを抑制することで、当該体液を前後方向Lに導きポケット80内に体液を収容できる。
【0086】
防漏ギャザー60は、防漏弾性部材61が固定され、起立部63及び幅支点部64を構成する防漏シート68を有してよい。防漏シート68は、吸収性本体40の外側縁を基点に折り返され、吸収コア50よりも肌側T1と、吸収コア50よりも非肌側T2と、に配置されてよい。本態様によれば、防漏シート68が吸収性本体40の外側縁にて折り返されており、防漏シート68によって体液が横漏れすることを抑制できる。また、防漏シート68によって幅方向Wの外側への体液の漏れを抑制することで、当該体液を前後方向Lに導きポケット80内に体液を収容し易くなる。
【0087】
使い捨ておむつ1Yは、防漏シート68よりも肌側に位置し、防漏シート68の前後方向の外端縁を覆うカバーシート(図示せず)を有してよい。本態様によれば、カバーシートによって防漏シート68の外端縁が起立することを抑制できる。防漏ギャザー60を介して前後方向Lの外側に導かれた体液を、防漏シート68の外端縁によって堰き止めずに、ポケット80内にスムーズに導くことができる。
【0088】
肌側シート81の少なくとも一部は、防漏ギャザー60の肌側T1を覆ってよい。本態様によれば、防漏ギャザー60を介して前後方向Lの外側に導かれた体液を、ポケット80内に導くことができる。また、防漏ギャザー60の起立部63と肌側シート81が重なる形態にあっては、起立部63の起立によってポケット80が肌側T1に押し上げられ、ポケット80の収容空間85の容積を大きくすることができる。
【0089】
トップシート41の外側縁に対する肌側に防漏シート等の部材が配置されない形態にあっては、トップシート41の外側部は、当該トップシート41よりも非肌側T2に位置する部材に対して接合されずに、非接合であってよい。当該構成にあっては、トップシート41の外側縁が肌側に浮き上がり、その浮き上がった部分の非肌側の空間によって体液を前後方向に拡散し、ポケット80に体液を導き易くなる。
【0090】
以上、上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0091】
実施形態の使い捨ておむつは、変形例1及び変形例2の使い捨ておむつのうち少なくとも一方の構成を備えていてもよいし、変形例1及び変形例2の使い捨ておむつの構成を備えていなくてもよい。また、変形例1の使い捨ておむつは、実施形態及び変形例2の使い捨ておむつのうち少なくとも一方の構成を備えていてもよいし、実施形態及び変形例2の使い捨ておむつの構成を備えていなくてもよい。また、変形例2の使い捨ておむつは、実施形態及び変形例1の使い捨ておむつのうち少なくとも一方の構成を備えていてもよいし、実施形態及び変形例1の使い捨ておむつの構成を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、1X、1Y:使い捨ておむつ
15 :外装体
25 :第1外装シート(肌側シート)
27 :第3外装シート(非肌側部材)
40 :吸収性本体
41 :トップシート
50 :吸収コア
60 :防漏ギャザー
61 :防漏弾性部材
63 :起立部
64 :幅支点部
65 :ポケット弾性部材
68 :防漏シート
80 :ポケット
F80 :前ポケット
R80 :後ポケット
81 :肌側シート
82 :非肌側部材
83 :開口端
84 :基端縁
85 :収容空間
L :前後方向
NR1 :中央非接合領域
NR2 :サイド非接合領域
NR3 :端部非接合領域
R1 :中央接合領域
R3 :端部接合領域
R5 :ウエスト接合領域
S1 :前胴回り域
S2 :後胴回り域
S3 :股下域
T1 :肌側
T2 :非肌側
W :幅方向
WS1 :前幅中心