(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088503
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】配線基板、発光装置及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240625BHJP
H01L 33/48 20100101ALI20240625BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240625BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/48
H05K3/40 K
H05K3/00 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】32
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203717
(22)【出願日】2022-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健次
【テーマコード(参考)】
5E317
5F142
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB03
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5F142AA32
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5F142DA02
5F142DA14
5F142DA22
5F142DB16
5F142FA03
(57)【要約】
【課題】有底ビア底面の金属と導電性ペーストとの接続における強度の向上を図る配線基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】配線基板1は、第1面10Aと反対側の第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔を有する絶縁部10と貫通孔を塞ぎ有底孔51となるように絶縁部10の第2面10Bに対面して配置される金属部20とを有する基板30と、有底孔51に配置される導電体40と、を有し、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20は、少なくとも第1凹部と第2凹部と第1凹部と第2凹部との間にある第1側壁とを有し、有底孔51内に位置する金属部20の厚さ方向に切断する断面視において、第1側壁は、第1凹部内にある第1下端部と第2凹部内にある第2下端部と第1下端部と第2下端部との間にある第1頂部とを有し、第1頂部は第1凹部を画定する底面の直上に位置し、かつ、第1下端部は第1頂部よりも第2凹部側にある。
【選択図】
図2C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有する絶縁部と、前記貫通孔を塞ぎ、有底孔となるように前記絶縁部の第2面に対面して配置される金属部と、を有する基板と、
前記有底孔に配置される導電体と、を有し、
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、少なくとも第1凹部と、第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部との間にある第1側壁と、を有し、
前記有底孔内に位置する前記金属部の厚さ方向に切断する断面視において、前記第1側壁は、前記第1凹部内にある第1下端部と、前記第2凹部内にある第2下端部と、前記第1下端部と前記第2下端部との間にある第1頂部と、を有し、前記第1頂部は、前記第1凹部を画定する底面の直上に位置し、かつ、前記第1下端部は、前記第1頂部よりも第2凹部側にある配線基板。
【請求項2】
平面視において、前記有底孔を画定する底面は円形状であり、
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記第2凹部と隣り合い、前記第1凹部と反対側に第3凹部を有し、前記第2凹部と前記第3凹部との間に第2側壁を有し、
前記第1凹部、前記第2凹部、前記第3凹部は、円形状の前記有底孔を画定する底面の外周に沿って円弧状に配置されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記第1凹部、前記第2凹部を含み、複数の凹部があり、前記複数の凹部は、渦巻き状に配置されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1凹部を画定する底面から前記第1頂部までの高さは0.5μm以上10μm以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記第1凹部及び前記第2凹部を含む複数の凹部と、前記第1側壁を含む隣接する前記凹部同士の間にある側壁と、を有し、
平面視において前記側壁に覆われていない各前記凹部を画定する底面の面積は、最頻値が10μm2以上50μm2以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記絶縁部の第1面は、前記有底孔を囲むように、表面の一部が取り除かれている段差部を有する請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記段差部の段差の高さは、0.1μm以上10μm以下である請求項6に記載の配線基板。
【請求項8】
前記段差部の幅は、1μm以上400μm以下である請求項6に記載の配線基板。
【請求項9】
前記有底孔は、内径が前記第2面側から前記第1面側に向かって大きくなる請求項1に記載の配線基板。
【請求項10】
前記有底孔の最大径は、100μm以上500μm以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項11】
前記金属部は銅板であり、前記絶縁部の第2面と対面する表面に防錆層を有し、
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記防錆層が除去されている領域を有する請求項1に記載の配線基板。
【請求項12】
請求項1から請求項11の何れか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に配置される発光素子と、を備え、
前記発光素子は前記金属部と電気的に接続されている発光装置。
【請求項13】
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁部と、前記絶縁部の第2面に対面して配置される金属部と、を有する基板を準備することと、
前記絶縁部の第1面側に第1レーザ光を照射して、前記絶縁部の少なくとも一部を除去して第1次有底孔を形成することと、
前記第1次有底孔を画定する底面に前記第1レーザ光よりも波長の短い第2レーザ光を照射して、前記金属部が底面となる有底孔を形成することと、
前記有底孔内に導電性ペーストを配置することと、
前記導電性ペーストを硬化し、導電体を形成することと、を含み、
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部に、少なくとも第1凹部と、第2凹部と、を持つ複数の凹部が形成され、かつ、前記第1凹部と前記第2凹部との間に第1側壁が形成されるように前記第2レーザ光を照射する配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔内に位置する前記金属部の厚さ方向に切断する断面視において、前記第1側壁は、前記第1凹部内にある第1下端部と、前記第2凹部内にある第2下端部と、前記第1下端部と前記第2下端部との間にある第1頂部と、を有し、前記第1頂部は、前記第1凹部を画定する底面の直上に位置し、かつ、前記第1下端部は、前記第1頂部よりも第2凹部側にあるように前記第2レーザ光を照射する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部に前記第2レーザ光を照射する際、前記第2レーザ光からの第1出射光が直接又は前記絶縁部を介して前記金属部に照射されることで、前記第1凹部と前記第1側壁とが形成され、
前記第2レーザ光からの第2出射光が直接又は前記絶縁部を介して前記第1側壁と一部重なるように前記金属部に照射されることで、前記第2凹部が形成され、かつ、前記第1側壁が前記第1凹部側に傾斜するように変形される請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の外周側から内側に向かって渦巻き状又は同心円状に前記第2レーザ光を照射する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の外周側から前記有底孔を画定する底面の中心に向かって渦巻き状又は同心円状となるように照射位置を連続して移動させながら前記第2レーザ光を照射する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記有底孔を形成することにおいて、前記第2レーザ光を照射する領域は、平面視において前記有底孔を含む前記有底孔よりも大きい領域に対して行う請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の周囲の前記絶縁部の第1面に前記第2レーザ光を照射して段差部を形成する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の周囲の前記絶縁部の第1面に前記第2レーザ光を照射して段差部を形成した後、前記有底孔内を照射する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項21】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面において、前記有底孔の外周側から中心に向かう方向における、前記渦巻き状又は前記同心円状の凹部の間隔は5μm以上50μm以下である請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項22】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面において、前記第2レーザ光のビーム径は、10μm以上50μm以下である請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項23】
前記有底孔を形成することにおいて、前記第2レーザ光はパルスレーザ光であり、1ショットで1個の前記凹部を形成する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項24】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面において、連続する前記ショットの照射位置の間隔は、5μm以上50μm以下である請求項23に記載の配線基板の製造方法。
【請求項25】
前記第1次有底孔を形成することにおいて、前記第1レーザ光の波長は9.3μm以上10.6μm以下であり、
前記有底孔を形成することにおいて、前記第2レーザ光の波長は355nm以上532nm以下である請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項26】
前記基板を準備することにおいて、前記絶縁部の前記第2面と対面される前記金属部の表面に防錆層がある請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項27】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部の表面にある前記防錆層は、前記第2レーザ光の照射によって除去される請求項26に記載の配線基板の製造方法。
【請求項28】
前記導電性ペーストを配置することにおいて、前記導電性ペーストは少なくとも前記第1凹部内及び前記第2凹部内を全て満たすように配置されている請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項29】
前記導電性ペーストを配置することにおいて、前記導電性ペーストは還元剤が含有されている請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項30】
前記第1次有底孔を形成すること及び前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の内径が前記第2面側から前記第1面側に向かって大きくなるように前記有底孔を形成する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項31】
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の最大径が100μm以上500μm以下となるように前記有底孔を形成する請求項13に記載の配線基板の製造方法。
【請求項32】
請求項13から請求項31の何れか一項に記載の配線基板の製造方法によって配線基板を準備することと、
前記配線基板に発光素子を配置することと、
前記発光素子と前記金属部とを電気的に接続することと、を含む発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板、発光装置及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、配線基板に設ける有底ビアの穴をレーザ加工で形成することが行われている。また、穴を形成した後に、残渣の除去や穴の底面の加工のために別途レーザを照射する場合もある。例えば特許文献1には、有底ビアの底面に露出する銅に対し、底面内に照射するレーザの強度分布を調節して、リング状の凹凸を形成した有底ビアが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、有底ビアにおける底面の金属と導電性ペーストとの接続における強度の向上を図る配線基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される配線基板は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有する絶縁部と、前記貫通孔を塞ぎ、有底孔となるように前記絶縁部の第2面に対面して配置される金属部と、を有する基板と、前記有底孔に配置される導電体と、を有し、前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、少なくとも第1凹部と、第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部との間にある第1側壁と、を有し、前記有底孔内に位置する前記金属部の厚さ方向に切断する断面視において、前記第1側壁は、前記第1凹部内にある第1下端部と、前記第2凹部内にある第2下端部と、前記第1下端部と前記第2下端部との間にある第1頂部と、を有し、前記第1頂部は、前記第1凹部を画定する底面の直上に位置し、かつ、前記第1下端部は、前記第1頂部よりも第2凹部側にある。
【0006】
また、実施形態に開示される発光装置は、実施形態に開示される配線基板と、前記配線基板に配置される発光素子と、を備え、前記発光素子は前記金属部と電気的に接続されている。
【0007】
また、実施形態に開示される配線基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁部と、前記絶縁部の第2面に対面して配置される金属部と、を有する基板を準備することと、前記絶縁部の第1面側に第1レーザ光を照射して、前記絶縁部の少なくとも一部を除去して第1次有底孔を形成することと、前記第1次有底孔を画定する底面に前記第1レーザ光よりも波長の短い第2レーザ光を照射して、前記金属部が底面となる有底孔を形成することと、前記有底孔内に導電性ペーストを配置することと、前記導電性ペーストを硬化し、導電体を形成することと、を含み、前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部に、少なくとも第1凹部と、第2凹部と、を持つ複数の凹部が形成され、かつ、前記第1凹部と前記第2凹部との間に第1側壁が形成されるように前記第2レーザ光を照射する。
【0008】
また、実施形態に開示される発光装置の製造方法は、実施形態に開示される配線基板の製造方法によって配線基板を準備することと、前記配線基板に発光素子を配置することと、前記発光素子と前記金属部とを電気的に接続することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、有底ビアにおける底面の金属と導電性ペーストとの接続における強度の向上を図ることができる配線基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1A】実施形態に係る配線基板の一部を例示する第2面側の概略斜視図である。
【
図1B】実施形態に係る配線基板の一部を例示する第1面側の概略斜視図である。
【
図1C】実施形態に係る配線基板の一部を例示する第2面側の概略平面図である。
【
図1D】実施形態に係る配線基板の一部を例示する第1面側の概略平面図である。
【
図2A】実施形態に係るビア接続部を例示する第1面側の概略平面図である。
【
図2B】実施形態に係る有底孔及び段差部について導電体の記載を省略して例示する概略平面図である。
【
図2C】
図2AのIIC-IIC線における断面を例示する概略断面図である。
【
図2D】
図2BのIID-IID線における断面を例示する概略断面図である。
【
図3】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図4A】実施形態に係る配線基板の製造方法において、準備した基板を例示する概略断面図である。
【
図4B】実施形態に係る配線基板の製造方法において、金属部の配線パターンを形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図4C】実施形態に係る配線基板の製造方法において、第1次有底孔を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図4D】実施形態に係る配線基板の製造方法において、底面に複数の凹部を有する有底孔を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図4E】実施形態に係る配線基板の製造方法において、導電性ペーストを配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図4F】実施形態に係る配線基板の製造方法において、導電体を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図5A】実施形態に係る配線基板の製造方法において、第2レーザ光の照射を例示する概略平面図である。
【
図5B】実施形態に係る配線基板の製造方法において、第1凹部を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図5C】実施形態に係る配線基板の製造方法において、第1凹部及び第2凹部を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図5D】実施形態に係る配線基板の製造方法において、形成された有底孔を例示する写真である。
【
図6】実施形態に係る配線基板の製造方法において、導電性ペーストの配置に使用するマスクの一部を例示する概略平面図である。
【
図7A】実施形態に係る発光装置を例示する概略平面図である。
【
図7B】実施形態に係る発光装置における配線基板の一部を例示する概略平面図である。
【
図7C】実施形態に係る発光装置について、
図7AのVIIC-VIIC線における断面を例示する概略断面図である。
【
図8】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図9A】実施形態に係る発光装置の製造方法において、準備した配線基板を例示する概略断面図である。
【
図9B】実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図9C】実施形態に係る発光装置の製造方法において、光反射部材を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図9D】実施形態に係る発光装置の製造方法において、第1導光部材を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図9E】実施形態に係る発光装置の製造方法において、第2導光部材を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図9F】実施形態に係る発光装置の製造方法において、光調整部材を配置した状態を例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合や断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0012】
[配線基板]
実施形態に係る配線基板1を、
図1Aから
図2Dを参照しながら説明する。
図1Aは、配線基板1の一部を例示する第2面10B側の概略斜視図である。
図1Bは、配線基板1の一部を例示する第1面10A側の概略斜視図である。
図1Cは、配線基板1の一部を例示する第2面10B側の概略平面図である。
図1Dは、配線基板1の一部を例示する第1面10A側の概略平面図である。
図2Aは、ビア接続部50を例示する第1面10A側の概略平面図である。
図2Bは、有底孔51及び段差部55について導電体40の記載を省略して例示する概略平面図である。
図2Cは、
図2AのIIC-IIC線における断面を例示する概略断面図である。
図2Dは、
図2BのIID-IID線における断面を例示する概略断面図である。なお、段差部55の一部及び有底孔51に配置されている導電体40について、
図2Bでは記載を省略し、
図2Dでは記載している。
図1Aから
図1Dに示すように、配線基板1は、両面に互いに異なるパターンの電気的な配線を設けることができる。両面の配線は、ビア接続部50によって接続されている。配線基板1の一方の面には、後記する金属部20による配線が設けられ、反対側の面には後記する導電体40による配線が設けられている。ビア接続部50は、後記する有底孔51を有し、導電体40によって両面の配線を接続している。なお、ビア接続部50は、一例を
図2Aに拡大して示している。
【0013】
配線基板1は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有し、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔13を有する絶縁部10と、貫通孔13を塞ぎ、有底孔51となるように絶縁部10の第2面10Bに対面して配置される金属部20と、を有する基板30と、有底孔51に配置される導電体40と、を有している。有底孔51を画定する底面51Bの金属部20は、少なくとも第1凹部61と、第2凹部62と、第1凹部61と第2凹部62との間にある第1側壁71と、を有しており、有底孔51内に位置する金属部20の厚さ方向に切断する断面視において、第1側壁71は、第1凹部61内にある第1下端部71Bと、第2凹部62内にある第2下端部71Cと、第1下端部71Bと第2下端部71Cとの間にある第1頂部71Aと、を有している。そして、第1頂部71Aは、第1凹部61を画定する底面61Bの直上に位置し、かつ、第1下端部71Bは、第1頂部71Aよりも第2凹部62側にある。次に、配線基板1の各構成について説明する。
【0014】
(基板)
基板30は、配線基板1の基礎となる板状又はシート状の部材である。基板30の平面視形状は、例えば矩形状である。なお、基板30の平面視形状は特に限定されない。基板30は、絶縁部10と、絶縁部10の第2面10Bに対面して配置される配線となる金属部20と、を有する。絶縁部10の第1面10Aには、配線となる導電体40が配置される。そして、絶縁部10を貫通して形成された配線となるビア接続部50(貫通孔及び導電体)を介して、金属部20の配線及び導電体40の配線が接続される。
(絶縁部)
絶縁部10は、配線パターンが形成される土台となる絶縁性の板状又はシート状の部材である。絶縁部10は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有しており、第1面10Aと第2面10Bを繋ぐように貫通する貫通孔である有底孔51が形成されている。ここでは、絶縁部10は、ポリイミド層11及び樹脂層12の2層からなり、ポリイミド層11側が第1面10A、樹脂層12側が第2面10Bである。ポリイミド層11の厚さT3は、例えば12μm以上75μm以下であり、樹脂層12の厚さT2は、例えば5μm以上20μm以下である。なお、絶縁部10の材料や構造、厚さは特に限定されない。
【0015】
(金属部)
金属部20は、予め設定された配線パターンを形成する導電性の部材である。金属部20の材料は、例えば、Ag、Al、Ni、Au、Cu、Ti、Pt、W等の単体金属又はこれらを含む合金とすることができる。ここでは、金属部20は一例として銅板を使用している。銅板の厚さT1は、例えば12μm以上35μm以下である。金属部20の配線パターンは、エッチングによって形成することができる。
金属部20には、接続パッド部22を設けることができる。接続パッド部22は、ビア接続部50を設け易いように、例えば幅を広く形成する金属部20の一部である。ここでは、矩形状の接続パッド部22が金属部20の配線パターンの先端部に設けられ、平面視において、後記する導電体40による配線と重なる領域を有するように配置されている。接続パッド部22は、配線パターンと共にエッチングによって形成することができる。
【0016】
金属部20の表面には、防錆処理が施されていることが好ましい。特に、絶縁部10に対面する表面には防錆層21が形成されていることが好ましい。防錆層21は、例えば、表面に凹凸を形成して粗化処理を施した粗化層、ZnやNi、Cr等のメッキ層、有機皮膜層等からなり、金属部20としての銅板等の表面を形成している。防錆層21は、銅板等の金属部20の酸化を抑え、絶縁部10との密着性を高める。但し、防錆層21の電気抵抗は銅板等よりも大きい。このため、絶縁部10に対面する銅板等の表面に電気的接点を設けようとする場合、電気的接点における電気抵抗を小さくするために、防錆層21が除去されるのが好ましい。防錆層21は、例えば、レーザ光を照射して蒸発させることや、還元剤による化学反応、機械的な研削等の方法で除去することができる。防錆層21の厚さは、例えば0.1μm以上7μm以下である。
【0017】
(導電体)
導電体40は、第1面10Aに配置される配線を形成すると共に、第1面10Aに配置される配線と第2面10Bに対面して配置される金属部20とを接続する部材である。導電体40は、第1面10Aに配線として配置されると共に、後記する有底孔51に配置されている。
銅板の体積抵抗率が例えば1.7μΩ・cmであるのに対し、導電体40の体積抵抗率は、例えば10μΩ・cm以上100μΩ・cm以下である。導電体40の配線抵抗を小さくするために、配線の断面積を大きくすることができる。第1面10Aに配置される配線に係る導電体40の配線厚さT4は、配線基板1をできるだけ薄くするために、例えば10μm以上30μm以下としている。このため、導電体40の配線幅は、0.5mm以上2mm以下とするのが好ましい。
導電体40の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の単体若しくはその合金や混合粉末と樹脂バインダとの混合物である。樹脂バインダは、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。また、導電体40には有機酸等の還元剤を含むことが好ましい。これにより金属部20との接続における電気抵抗を小さくする事が出来る。
【0018】
(有底孔)
有底孔51は、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように絶縁部10を貫通して貫通孔13とし、かつ、その貫通孔13を金属部20により塞ぐことで有底孔51として構成されている。有底孔51は、金属部20に対面する位置に設けられ、絶縁部10の第2面10Bに対面して配置される金属部20の表面が、有底孔51を画定する底面51Bとなっている。ここでは、1つの接続パッド部22に対面する位置に、2つの有底孔51が設けられている。
【0019】
有底孔51は、内径D1が第2面10B側から第1面10A側に向かって大きくなっている。有底孔51の最大径は、100μm以上500μm以下であることが好ましい。また、ここでは、金属部20は銅板であり、絶縁部10の第2面10Bと対面する表面に防錆層21を有し、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20の防錆層21は除去されている。
【0020】
配線基板1において、基板30は、連続する金属部20における絶縁部10側の表面を底面51Bとする、並列する複数の有底孔51を有し、並列する複数の有底孔51のそれぞれの底面51Bに接する導電体40は、絶縁部10の第1面10Aに配置されている導電体40による配線を介して連続する。
ここでは、
図2Aに示すように、連続する金属部20で形成される1つの接続パッド部22に対し、並列する2つの有底孔51が設けられている。すなわち、2つの有底孔51は、底面51Bの金属部20が連続している。そして、第1面10Aの配線において連続する導電体40が、それぞれの底面51Bを覆っている。
また、導電体40は、平面視において、一定の幅からはみ出すように導電体40に連続して有底孔51の中に入り込んで配置される充填部41が形成されている。
【0021】
(凹部)
有底孔51を画定する底面51Bの金属部20は、複数の凹部60を有している。隣接する凹部60同士の間には側壁70があり、それぞれの凹部60は、それぞれの底面60B及び側壁70で画定されている。
複数の凹部60は、少なくとも第1凹部61と、第2凹部62とを有し、第1凹部61と第2凹部62との間には第1側壁71がある。
有底孔51内に位置する金属部20の厚さ方向に切断する断面視において、第1側壁71は、第1凹部61内にある第1下端部71Bと、第2凹部62内にある第2下端部71Cと、第1下端部71Bと第2下端部71Cとの間にある第1頂部71Aと、を有する。第1頂部71Aは、第1凹部61を画定する底面61Bの直上に位置し、かつ、第1下端部71Bは、第1頂部71Aよりも第2凹部62側にある。
なお、
図2B及び
図2Cでは、有底孔51を画定する底面51Bの全面に凹部60が隣接するように配置されており、複数の凹部60を説明し易くするために第1、第2、第3等の形式的な番号を付している。
【0022】
ここでは、平面視において、有底孔51を画定する底面51Bは円形状である。有底孔51を画定する底面51Bの金属部20は、第2凹部62と隣り合い、第1凹部61と反対側に第3凹部63を有し、第2凹部62と第3凹部63との間に第2側壁72を有する。第1凹部61、第2凹部62、第3凹部63は、円形状の有底孔51を画定する底面51Bの外周に沿って円弧状に配置されている。つまり、複数の凹部60が有底孔51の外周に沿って同心円状に配置されていてもよい。なお、複数の凹部60は後記するように有底孔51の外周側から一周配置され、次にその内側に一周配置され、さらにその内側に一周配置されるように外側から内側に向かって形成されている。これを繰り返して、複数の凹部60が渦巻き状又は同心円状に配置されている。なお、同心円の中心は、有底孔51を画定する底面51Bの中心と一致していることが好ましいが、一致していなくてもよい。
【0023】
有底孔51内に位置する金属部20の厚さ方向に切断する断面視において、第1側壁71は、第1凹部61内にある第1下端部71Bと、第2凹部62内にある第2下端部71Cと、第1下端部71Bと第2下端部71Cとの間にある第1頂部71Aと、を有している。第1凹部61を画定する底面61Bから第1頂部71Aまでの高さH1は、例えば0.5μm以上10μm以下であり、1μm以上3μm以下が好ましい。
【0024】
第1側壁71は、第1凹部61側に傾斜し、第1凹部61を画定する底面61Bの一部と高さ方向において重なっている。すなわち、第1頂部71Aは、第1凹部61を画定する底面61Bの直上に位置し、かつ、第1下端部71Bは、第1頂部71Aよりも第2凹部62側にある。そして、導電体40は、少なくとも第1凹部61内及び第2凹部62内を全て満たすように配置され、第1下端部71Bに入り込んで配置されている。
側壁70は、隣接する2つの凹部60の一方の底面60Bと高さ方向において重なるように傾斜し、それぞれの側壁70の一方の下端部70Bは、頂部70Aよりも隣接する2つの凹部60の他方側にあることが好ましい。そして、導電体40は、それぞれの凹部60内を全て満たすように配置され、それぞれの下端部70Bに入り込んで配置されていることが好ましい。
【0025】
また、凹部60を画定する底面60Bは、傾斜する側壁70に一部が覆われている。このため、平面視において、底面60Bの面積は、側壁70に覆われている部分と覆われていない部分との合計になっている。平面視において側壁70に覆われていない底面60Bの面積は、例えば最頻値が10μm2以上50μm2以下であり、20μm2以上40μm2以下が好ましい。また、一例として、有底孔51を画定する底面51Bの面積が32000μm2の場合、平面視において側壁70に覆われていない底面60Bの面積の合計は、5000μm2以上20000μm2以下とすることができる。
【0026】
(段差部)
有底孔51の周囲の絶縁部10の第1面10Aは、有底孔51を囲むように、表面の一部が取り除かれている段差部55を有している。段差部55は、平面視において、有底孔51の外周に沿って略一定の幅D2を有している。段差部55の幅D2は、例えば1μm以上400μm以下であり、20μm以上200μm以下が好ましい。
また、段差部55の段差の高さT5は、例えば0.1μm以上10μm以下であり、0.5μm以上5μm以下が好ましい。段差部55の表面は、凹凸を有している。段差部55の高さT5は、段差部55の凹凸の平均の位置からの絶縁部10の第1面10Aの高さとすることができる。
【0027】
上記のような構成を備えることにより、有底孔51を画定する底面51Bの第1下端部71Bに導電体40が入り込み、金属部20と導電体40との間の接合強度の向上及び抵抗値の低減を図ることができる。
【0028】
なお、有底孔51を画定する底面51Bの形状は、上述した円形状だけでなく、楕円形状や三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の多角形状であってもよい。有底孔51を画定する底面51Bの形状が円形状でない場合でも、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20は、第1凹部61、第2凹部62を含む複数の凹部60を有することができる。複数の凹部60は、円形状の有底孔51を画定する底面51Bに配置する場合と同様に、有底孔51を画定する底面51Bの外周に沿って一周配置して、次にその内側に一周配置することを繰り返して、複数の凹部60を渦巻き状又は同心の相似形状に配置することができる。
【0029】
また、平面視における接続パッド部22の形状は、矩形状でもよく、台形状や曲線部分を含む形状でもよい。また、接続パッド部22を設けずに、金属部20の配線パターンの一部に底面51Bが位置するように有底孔51を設けてもよい。
また、1つの接続パッド部22又は連続する金属部20の配線パターンに対して設ける有底孔51は1つでもよく、3つ以上でもよい。複数設ける場合には、
図2Aに示すように、導電体40の配線と同じ方向に並んでいてもよく、導電体40の配線と異なる方向に並んでいてもよい。
【0030】
また、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20において、防錆層21が除去されている領域は、有底孔51を画定する底面51Bの一部であってもよい。防錆層21が除去されている領域は、例えば底面51Bの中央部に設けることができる。また有底孔51を画定する底面51Bに対して、防錆層21が除去されている面積は、20%以上であればよく、40%以上が好ましく、55%以上がより好ましく、70%以上がさらにより好ましい。有底孔51を画定する底面51Bに対して、防錆層21が除去されている面積は、80%以下が好ましい。なお、有底孔51を画定する底面51Bに対して、防錆層21が除去されている面積は、100%であってもよい。これにより導電体40と金属部20との電気抵抗を小さくすることができる。また防錆層21が除去されている領域は有底孔51中において1箇所だけでなく、複数箇所あっても良い。防錆層21が除去されている領域が底面51Bの一部である場合、凹部60は、防錆層21が除去されている領域に配置することができる。
【0031】
[配線基板の製造方法]
次に、実施形態に係る配線基板の製造方法S10について、
図3から
図6を参照しながら説明する。
図3は、配線基板の製造方法S10を例示するフローチャートである。
図4Aは、準備した基板30を例示する概略断面図である。
図4Bは、金属部20の配線パターンを形成した状態を例示する概略断面図である。
図4Cは、第1次有底孔15を形成した状態を例示する概略断面図である。
図4Dは、底面51Bに複数の凹部60を有する有底孔51を形成した状態を例示する概略断面図である。
図4Eは、導電性ペースト40Aを配置した状態を例示する概略断面図である。
図4Fは、導電体40を形成した状態を例示する概略断面図である。
図5Aは、第2レーザ光L2の照射を例示する概略平面図である。
図5Bは、第1凹部61を形成した状態を例示する概略断面図である。
図5Cは、第1凹部61及び第2凹部62を形成した状態を例示する概略断面図である。
図5Dは、形成された有底孔51を例示する写真である。
図6は、導電性ペースト40Aの配置に使用するマスクM1の一部を例示する概略平面図である。
【0032】
配線基板の製造方法S10は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有する絶縁部10と、絶縁部10の第2面10Bに対面して配置される金属部20と、を有する基板30を準備することS1と、絶縁部10の第1面10A側に第1レーザ光L1を照射して、絶縁部10の少なくとも一部を除去して第1次有底孔15を形成することS3と、第1次有底孔15を画定する底面15Bに第1レーザ光L1よりも波長の短い第2レーザ光L2を照射して、金属部20が底面となる有底孔51を形成することS4と、有底孔51内に導電性ペースト40Aを配置することS5と、導電性ペースト40Aを硬化し、導電体40を形成することS6と、を含む。そして、有底孔を形成することS4において、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20に、少なくとも第1凹部61と、第2凹部62と、を持つ複数の凹部60が形成され、かつ、第1凹部61と第2凹部62との間に第1側壁71が形成されるように第2レーザ光L2を照射する。なお、ここでは、第1次有底孔を形成することS3の前に、準備した基板30の金属部20をエッチングすることS2を行っている。
【0033】
(基板を準備する)
基板を準備することS1において、絶縁部10の一方の面(第2面10B)に対面して金属部20が配置されている基板30を準備する。ここでは、絶縁部10の第2面10Bと対面される金属部20の表面に防錆層21がある。金属部20は、一例として銅板である。
金属部20は、絶縁部10の基材となるポリイミド層11に、接着層となる樹脂層12を介して貼り合わされている。金属部20及び絶縁部10は、互いにシート状で貼り合わせたものが準備される。絶縁部10の材料や構造、厚さは特に限定されない。例えば、樹脂層12を設けずに、熱圧着等によって、金属部20とポリイミド層11とを貼り合わせてもよい。基板30は、購入することで準備してもよい。また、ポリイミド層11及び樹脂層12をポリイミド樹脂で形成し絶縁部10を一体化した材料を用いても良い。
【0034】
(金属部をエッチングする)
金属部をエッチングすることS2において、金属部20に、エッチングにて配線パターンを形成する。配線パターンの形成には、接続パッド部22の形成も含まれる。なお、基板を準備することS1において、すでに金属部20の配線パターンが形成された基板を購入してもよい。その場合は、金属部をエッチングすることS2を省略することができる。
【0035】
(第1次有底孔を形成する)
第1次有底孔を形成することS3において、絶縁部10に、絶縁部10を貫通して第1次有底孔15を形成する。
ここでは、第1次有底孔15は、第1面10A側から第1レーザ光L1を照射して、樹脂を材料とする絶縁部10に形成する。使用するレーザは、加工速度の観点からCO2レーザが好ましいが、グリーンレーザやUVレーザ等も用いる事ができる。第1レーザ光L1の波長は9.3μm以上10.6μm以下であることが好ましい。第1次有底孔15を画定する底面15Bの径は、およそ第1レーザ光L1のビーム径DL1の大きさに形成することができる。
【0036】
(有底孔を形成する)
有底孔を形成することS4において、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20に、少なくとも第1凹部61と、第2凹部62と、を持つ複数の凹部60が形成され、かつ、第1凹部61と第2凹部62との間に第1側壁71が形成されるように第2レーザ光L2を照射する。有底孔を形成することS4では、第1次有底孔15を画定する底面に第1レーザ光L1よりも波長の短い第2レーザ光L2を照射して、金属部20が底面51Bとなる有底孔51を形成する。第2レーザ光L2の波長は355nm以上532nm以下とすることができる。
第1次有底孔15を画定する底面15Bの金属部20は防錆層21を有している。防錆層21は、有底孔51に導電体40を配置する前に除去しておくことが好ましい。有底孔51を画定する底面51Bの金属部20の表面において、防錆層21は第2レーザ光L2の照射によって除去することができる。
また、第1次有底孔15には、第1次有底孔15の形成に伴って、絶縁部10の材料である樹脂の残渣や開口部周縁のバリ等が発生している。これらについても、防錆層21と同様に、有底孔51に導電体40を配置する前に除去しておくことが好ましく、第2レーザ光L2の照射によって蒸発等させて除去することができる。
【0037】
第2レーザ光L2は、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20に複数の凹部60を形成するように照射する。そして、凹部60が、少なくとも第1凹部61と、第2凹部62と、を持ち、かつ、第1凹部61と第2凹部62との間に第1側壁71が形成されるように第2レーザ光L2を照射する。これにより、有底孔51における金属部20と導電体40との間の接合強度の向上及び抵抗値の低減を図ることができる。
また、第2レーザ光L2は、有底孔51内に位置する金属部20の厚さ方向に切断する断面視において、第1側壁71が、第1凹部61内にある第1下端部71Bと、第2凹部62内にある第2下端部71Cと、第1下端部71Bと第2下端部71Cとの間にある第1頂部71Aと、を有するように照射する。そして、第1頂部71Aが、第1凹部61を画定する底面61Bの直上に位置し、かつ、第1下端部71Bは、第1頂部71Aよりも第2凹部62側にあるように照射するのが好ましい。これにより、さらに金属部20と導電体40との間の接合強度の向上を図ることができる。
【0038】
第2レーザ光L2の照射は、パルスレーザ光とすることができる。パルスレーザ光の1回の照射時間の長さ、すなわちパルス幅を調節することで、熱による変形等を抑えることができる。第2レーザ光L2のパルス幅は、例えば5ns以上50ns以下とすることができる。ここでは、1回の照射毎に、すなわち1ショット毎に照射位置を移動している。そして、第2レーザ光L2の1ショットで1個の凹部60を形成している。これにより、凹部60を効率よく形成することができる。
凹部60を画定する底面60Bの径は、およそ第2レーザ光L2のビーム径DL2の大きさに形成することができる。また、ショットの照射位置の間隔S1によって、側壁70の厚さを調節することができる。なお、照射位置の間隔S1は、隣り合うビームの中心の間隔である。一例として、有底孔51を画定する底面51Bにおけるビーム径DL2は10μm以上50μm以下とし、連続するショットの照射位置の間隔S1は、5μm以上50μm以下とすることができる。
【0039】
有底孔51を画定する底面51Bの金属部20に第2レーザ光L2を照射する際、第2レーザ光L2の1ショットの光である第1出射光が金属部20に照射される。第1出射光は、直接の照射光L2A0又は絶縁部10に反射等されて絶縁部10を介する照射光L2A1、L2A2として金属部20に照射される。この第1出射光によって第1凹部61及び第1側壁71が形成される。そして、第2レーザ光L2の次のショットの光である第2出射光が、照射位置を間隔S1移動して第1凹部61の近くの金属部20に、第1側壁71と一部重なるように照射される。第2出射光は、第1出射光と同様に、直接の照射光L2B0又は絶縁部10に反射等されて絶縁部10を介する照射光L2B1、L2B2として金属部20に照射される。この第2出射光によって第2凹部62が形成され、かつ、第1側壁71が第1凹部61側に傾斜するように変形して形成される。これにより、第1凹部61は、底面61B上を第1側壁71が庇のように覆う領域を有するように形成することができる。
【0040】
第2レーザ光L2を照射する領域は、平面視において有底孔51を含む有底孔51よりも大きい領域に対して行っている。これにより、有底孔51の周囲の絶縁部10の第1面10Aに第2レーザ光L2を照射によって絶縁部10の一部が除去された段差部55を形成することができる。
第2レーザ光L2は、照射位置を移動させながら、照射する領域を塗りつぶすように照射する。第2レーザ光L2の照射は、有底孔51から離れた外側から始め、有底孔51の周りを周回するように照射しながら、その周回する径を徐々に小さくして、有底孔51の内側で照射を終えるようにすることが好ましい。これにより、樹脂の残渣等が有底孔51の内側に残りにくくなり、金属部20と導電体40との間の接合をさらに良好にすることができる。
【0041】
第2レーザ光L2の照射位置の移動方向は、まず、有底孔51から離れた絶縁部10の第1面10Aにおいて、有底孔51を囲むように渦巻き状又は同心円状に照射位置を移動させ、周回する毎に周回する径を小さくしながら有底孔51に近づけていくことが好ましい。例えば、有底孔51を囲む1つの同心円に沿って円の外周側から内周側に向かって照射位置を移動させながら一周して第n周目の照射を行った後、有底孔51に近い隣りの同心円に沿って第n+1周目の照射を行う。さらに、有底孔51に近い隣りの同心円に沿って第n+2周目の照射を行う。これを繰り返して照射位置を移動させることができる。このようにして、有底孔51の外周側から内側に向かって渦巻き状又は同心円状に第2レーザ光L2を照射する。すなわち、有底孔51の周囲の絶縁部10の第1面10Aに第2レーザ光L2を照射して段差部55を形成した後、有底孔51内を照射する。
【0042】
第2レーザ光L2の照射は、有底孔51の外周側から有底孔51を画定する底面51Bの中心に向かって渦巻き状又は同心円状となるように照射位置を連続して移動させながら行うことが好ましい。一例として、有底孔51を画定する底面51Bにおいて、有底孔51の外周側から中心に向かう方向における、渦巻き状又は同心円状に並ぶ凹部60の間隔S2は5μm以上50μm以下とすることができる。凹部の間隔S2は、第2レーザ光L2の各ショットの中心が移動する軌道について、隣り合う渦巻き状又は同心円状の軌道の間隔である。なお、第2レーザ光L2の照射を終了する位置は、有底孔51を画定する底面51Bの中心と一致していなくてもよい。
【0043】
有底孔51は、最大径が100μm以上500μm以下となるように形成することが好ましい。有底孔51が小さいと、後の工程において、導電性ペースト40Aが注入されにくい。また、有底孔51が大きいと、金属部20を広く形成する必要が生じ、金属部20の配線パターンの配置が制限されることになる。このため、有底孔51の最大径は、50μm以上800μm以下であり、100μm以上500μm以下が好ましく、200μm以上300μm以下がさらに好ましい。
また、第1次有底孔を形成することS3及び有底孔を形成することS4において、有底孔51の内径D1が第2面10B側から第1面10A側に向かって大きくなるように有底孔51を形成している。すなわち、有底孔51は、底面51Bに向かって先細るテーパ状となっている。
【0044】
また、第1次有底孔を形成することS3及び有底孔を形成することS4において、連続する金属部20における絶縁部10側の表面を底面51Bとする複数の有底孔51を並列に形成する。そして、後記する導電性ペーストを配置することS5において、並列に形成した複数の有底孔51を画定する底面51Bに接する導電性ペースト40Aを第1面10Aの導電性ペースト40Aを介して連続させている。
ここでは、一例として、連続する金属部20で形成される1つの接続パッド部22に対面する位置に、2つの有底孔51を並列に形成している。接続パッド部22の絶縁部10側の表面は、2つの有底孔51を画定する底面51Bとなっている。そして、導電性ペーストを配置することS5において、2つの有底孔51を画定する底面51Bに接する導電性ペースト40Aが、第1面10Aの導電性ペースト40Aを介して連続するように導電性ペースト40Aを配置している。なお、有底孔51は、接続パッド部22かどうかに拘らず、金属部20に対面する位置に形成すればよい。
【0045】
(導電性ペーストを配置する)
導電性ペーストを配置することS5において、流動性を有する硬化前の導電性ペースト40Aを有底孔51及び絶縁部10の第1面10Aに配置する。導電性ペースト40Aの配置は、例えば、ディスペンサのノズルから注入してもよく、スクリーン印刷により設けてもよく、ノズルから注入した後にスクリーン印刷をするなど、ノズル注入とスクリーン印刷との併用でもよい。
【0046】
ここでは、一例として、マスクM1の開口部MA1を介して導電性ペースト40Aを配置している。平面視において、マスクM1の開口部MA1と有底孔51の開口部とが重なる面積は、有底孔51の開口部の面積の40%以上70%以下であり、45%以上60%以下が好ましく、50%以上55%以下がさらに好ましい。導電性ペースト40Aの配置は、マスクM1を使用して、スクリーン印刷やメタルマスク印刷によって行うことができる。
図6に示すように、マスクM1の開口部MA1は、平面視において、有底孔51の一部と重なっている。なお、
図6は、基板30を第1面10A側からみた概略平面図であり、一例として、反対側の面である第2面10Bには、金属部20の接続パッド部22が形成され、有底孔51を画定する底面51Bとなっている。導電性ペースト40Aは、開口部MA1と有底孔51とが重なる領域P11から、有底孔51に注入して配置される。一例として、有底孔51の開口部は円形状であり、領域P11は、有底孔51の開口部から弓形を取り除いたような形状である。領域P11の形状及び大きさを調節することによって、有底孔51に対して導電性ペースト40Aを注入する位置及び分量を調節することができる。
【0047】
図4Eに示すように、注入直後の底面51Bは、導電性ペースト40Aに対面していない部分を有している。導電性ペースト40Aは、その流動性によって、底面51Bに密着するように広がっていく。このとき、底面51Bに対面している空気は、導電性ペースト40Aに押し出されるように、例えば、空気の流れA3として有底孔51から外部へ排出される。
導電性ペースト40Aは、底面51Bに形成した凹部60及び側壁70をすべて覆うように配置することが好ましい。導電性ペースト40Aは、少なくとも第1凹部61内及び第2凹部62内を全て満たすように配置する。
導電性ペースト40Aに還元剤を含有させて配置してもよい。導電性ペースト40Aが還元剤を含有することで、導電性ペースト40Aから形成される導電体40と金属部20との接合の品質向上を図ることができる。
【0048】
(導電体を形成する)
導電体を形成することS6において、配置した導電性ペースト40Aを硬化させる。導電性ペースト40Aの硬化は、例えば熱処理によって行う。
有底孔51の内部に位置する導電体40は、有底孔51を画定する底面51Bの全面に対面していることが好ましい。これにより、金属部20と導電体40との間の接続における電気抵抗が小さくなる。また、導電体40が空気に触れないことで、金属部20の酸化を抑えることができる。
有底孔51の内部に位置する導電体40の体積は、有底孔51の体積の80%以上であり、90%以上が好ましく、100%がさらに好ましい。なお、有底孔51の内部に位置する導電体40の体積が、有底孔51の体積の100%に近づくほど、有底孔51の内部における導電体40の配線抵抗を小さくすることができる。
【0049】
上記のような構成を含む配線基板の製造方法S10は、有底孔51を画定する底面51Bの金属部20に、第1凹部61及び第2凹部62を含む複数の凹部60を形成し、第1凹部61と第2凹部62との間に第1側壁71が形成されるように第2レーザ光L2を照射することで、有底孔51における金属部20と導電体40との間の接合強度の向上及び抵抗値の低減を図ることができる。そして、第1側壁71の第1頂部71Aが、第1凹部61を画定する底面61Bの直上に位置し、かつ、第1下端部71Bが第1頂部71Aよりも第2凹部62側にあるように照射することで、さらに金属部20と導電体40との間の接合強度の向上を図ることができる。
また、第2レーザ光L2の照射は、平面視において有底孔51を含む有底孔51よりも大きい領域に対して行い、有底孔51の周囲の絶縁部10の第1面10Aに第2レーザ光L2を照射して段差部55を形成した後、有底孔51内を照射する。そして、有底孔51の外周側から有底孔51を画定する底面51Bの中心に向かって渦巻き状又は同心円状となるように照射位置を連続して移動させながら照射することで、残渣の除去等の確度を高め、効率よく有底孔51の洗浄を行うことができる。
【0050】
なお、第2レーザ光L2は、有底孔51を画定する底面51Bの一部の領域に照射してもよい。第2レーザ光L2を照射しない領域の防錆層21の除去は、導電性ペーストを配置することS5において、導電性ペースト40Aに還元剤を含有させて行うことができる。また、防錆層21の除去のためのレーザ光の照射を凹部60の形成とは別に行ってもよく、工具による研削で防錆層21を除去してもよい。防錆層21の除去は、レーザ光の照射、工具による研削又は導電性ペーストへの還元剤の添加のうち、何れか一つによって行ってもよく、二つ以上を組み合わせて行ってもよい。
【0051】
[発光装置]
次に、実施形態に係る発光装置100Aについて、
図7Aから
図7Cを参照しながら説明する。
図7Aは、発光装置100Aの一部を例示する概略平面図である。
図7Bは配線基板1Aの一部を例示する概略平面図である。
図7Cは、発光装置100Aの一部を例示する概略断面図である。なお、
図7Bは、
図7Aに例示する発光装置100Aの一部における配線基板1Aを例示している。
発光装置100Aは、配線基板1上に発光素子110を並べて発光させることができる装置である。発光素子110は、例えば行方向及び列方向に整列させてもよく、行方向及び列方向の何れか一方に整列させてもよい。発光素子110の個数は必要に応じて設定することができる。発光素子110は1個であってもよい。
【0052】
配線基板1は、既に説明した構成であるものが使用される。なお、配線基板1では、用途に応じて様々なパターンの配線を形成することができる。発光装置100Aに使用される配線基板1は、発光装置100Aのために、発光素子110が配置される電極や配線が形成されたものであり、これを配線基板1Aとして説明する。配線基板1Aは、金属部20に電極25Aを有しており、発光素子110は電極25Aに配置される。
【0053】
発光装置100Aは、配線基板1Aと、配線基板1Aに配置される発光素子110と、を備え、発光素子110は金属部20と電気的に接続されている。ここでは、発光装置100Aは、発光素子110の光取出し面側に配置される透光性部材120と、金属部20を覆う光反射部材300Aと、発光素子110、透光性部材120及び光反射部材300Aを覆う導光部材200と、発光素子110及び透光性部材120の上側に配置される光調整部材400と、をさらに備えている。
なお、発光装置100Aにおいて、発光素子110は配線基板1Aの絶縁部10の第2面10B側に配置されている。発光素子110が配置されている絶縁部10の第2面10B側を配線基板1Aの上面側として説明する。
【0054】
(発光素子)
発光素子110は、一対の素子電極130を有し、電力を供給されて発光する部材である。
発光素子110は、半導体積層体を含み、本実施形態においては透光性部材120が半導体積層体の上面側に配置され、下面側に一対の素子電極130を有している。半導体積層体としては、所望とする発光波長に応じて任意の組成を用いることができるが、例えば、青色又は緑色の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaP、又は、赤色の発光が可能なGaAlAsやAlInGaPなどを用いることができる。また、使用する目的に応じて発光素子110の大きさや形状は適宜選択が可能である。
【0055】
(透光性部材)
透光性部材120は、発光素子110の光取出し面側に配置される部材である。透光性部材120は、例えば、透光性の樹脂材料からなり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらを混合した樹脂等を用いることができる。透光性部材120は、蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子110からの青色の光を吸収し、黄色の光を放射する蛍光体を含むことにより、発光装置100Aから白色の光を出射させることができる。また、透光性部材120は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子110からの青色の光を吸収して、緑色の光を放射する蛍光体と、赤色の光を放射する蛍光体と、を含むことによっても、発光装置100Aから白色の光を出射させることができる。
【0056】
このような蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、Mz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)、若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、又は、ペロブスカイト、カルコパイライト等の量子ドット蛍光体等を用いることができる。
【0057】
(光反射部材)
光反射部材300Aは、光反射性を有するシート状の部材である。光反射部材300Aは、配線基板1Aにおける絶縁部10の第2面10Bに配置され、金属部20を覆っている。ただし、ここでは、光反射部材300Aは、発光素子110及び透光性部材120を囲む開口部350Aを有し、開口部350Aは、平面視において、発光素子110及び透光性部材120の周囲を50μmから100μm程度離れて囲んでいるため、開口部350Aの内側に位置する一部を除き、金属部20を覆っていることになる。これは、後記する発光装置の製造方法S100Aにおいても同様である。
【0058】
光反射部材300Aは、発光素子110からの光を有効に利用するために、高い反射率を有し、白色であることが好ましい。光反射部材300Aの反射率は、発光素子110の発する光の波長において、例えば90%以上であることが好ましく、94%以上がより好ましい。
光反射部材300Aには、多数の気泡を含む樹脂シート(例えば発泡樹脂シート)や、光拡散材を含む樹脂シート等を用いることができる。光反射部材300Aに用いられる樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂若しくはポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、光拡散材としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料を用いることができる。
【0059】
(導光部材)
導光部材200は、発光素子110及び透光性部材120からの光を透過させて伝える部材である。導光部材200は、光反射部材300Aを覆う第1導光部材210と、発光素子110及び透光性部材120を覆う第2導光部材220と、を備えている。第1導光部材210は、透光性を有する板状又はシート状の部材である。ただし、ここでは、第1導光部材210は、発光素子110及び透光性部材120を囲む開口部250を有している。そして、開口部250は、平面視において、発光素子110及び透光性部材120の周囲を100μmから200μm程度離れて囲んでおり、光反射部材300Aの開口部350Aに対向する位置で開口部350Aを内側に包含する大きさである。このため、第1導光部材210は、開口部250の内側に位置する一部を除き、光反射部材300Aを覆っていることになる。また、第2導光部材220は、第1導光部材210の開口部250に充填され開口部350Aから発光素子110及び透光性部材120までを覆うように配置されている。
【0060】
第1導光部材210の材料は、例えば、アクリル、ポリカーボネート、環状ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリエステル等の熱可塑性樹脂、又はガラス等の透光性を有する材料を用いることができる。特に、透明性が高く、安価なポリカーボネートを用いるのが好ましい。第2導光部材220の材料は、透明な樹脂であれば限定されないが、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
導光部材200は、区画溝230によって発光素子110毎に区切られている。区画溝230は、隣の発光素子110及び透光性部材120から、導光部材200を透過してくる光を低減するために設けられている。区画溝230は、導光部材200を分離する空隙としてもよく、導光部材200が一部で連続していてもよい。また、区画溝230に光反射性を有する部材を配置してもよい。光反射性を有する部材は、導光部材200の材料である樹脂に、光拡散材を含有させて形成することができる。光拡散材は、例えば酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等を用いることができる。
【0061】
(光調整部材)
発光装置100Aは、光調整部材400を有していてもよい。光調整部材400は、発光素子110側からの光の一部を光反射部材300A側に反射させる膜状又は板状の部材である。光調整部材400は、平面視において、導光部材200の表面における発光素子110と重なる位置に配置されている。
光調整部材400の透過率は、発光素子110及び透光性部材120からの光に対して、例えば20%以上60%以下であるのが好ましく、30%以上40%以下がさらに好ましい。光調整部材400の材料は、例えば、光拡散材を含む樹脂材料を用いてもよく、金属材料を用いてもよい。樹脂材料は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はこれらを混合した樹脂とすることができる。光拡散材は、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料とすることができる。光調整部材400は、平面視において発光素子110及び透光性部材120に対向する位置において発光素子110及び透光性部材120を包含する大きさであればよく、
図7Aにおいては円形状であるが、矩形状等でもよい。
【0062】
[発光装置の製造方法]
次に、発光装置の製造方法S100Aを
図8から
図9Fを参照して説明する。
図8は、発光装置の製造方法S100Aのフローチャートである。
図9Aは、準備した配線基板1Aを例示する概略断面図である。
図9Bは、発光素子110を配置した状態を例示する概略断面図である。
図9Cは、光反射部材300Aを配置した状態を例示する概略断面図である。
図9Dは、第1導光部材210を配置した状態を例示する概略断面図である。
図9Eは、第2導光部材220を配置した状態を例示する概略断面図である。
図9Fは、光調整部材400を配置した状態を例示する概略断面図である。
発光装置の製造方法S100Aは、配線基板の製造方法S10によって配線基板を準備することS110と、配線基板1Aに発光素子110を配置することS120と、発光素子110と金属部20とを電気的に接続することS125と、を含む。ここでは、さらに、金属部20を覆うように光反射部材300Aを配置することS130Aと、光反射部材300Aを覆うように第1導光部材210を配置することS141と、第2導光部材220を配置することS142と、光調整部材400を配置する工程S150を含んでいる。
【0063】
(配線基板を準備する)
配線基板を準備することS110において、配線基板の製造方法S10によって配線基板1Aを準備する。
図9Aでは、金属部20が配置されている絶縁部10の第2面10B側を図における上面としている。電極25Aの間隔は、発光素子110に合わせて調節して形成することができる。ここでは、電極25Aが一対の素子電極130と対面するような間隔G1Aとしている。
【0064】
(発光素子を配置する)
発光素子を配置することS120において、発光素子110を配線基板1Aに配置する。発光装置の製造方法S100Aでは、発光素子110の素子電極130が配線基板1Aにおける金属部20の電極25Aに対面するように配置する。
【0065】
(発光素子と金属部とを電気的に接続する)
発光素子と金属部とを電気的に接続することS125において、発光素子110の素子電極130と金属部20とを電気的に接続する。一対の素子電極130は、導電性の接着部材160を介して電極25Aに接合される。導電性の接着部材160としては、例えば、金、銀、銅等のバンプ、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属粉末と樹脂バインダとの混合物である導電性ペースト、または、錫-銀-銅(SAC)系もしくは錫-ビスマス(SnBi)系のはんだを用いることができる。ここでは、はんだリフローによって発光素子110を配置している。なお、導電性の接着部材160は、一対の素子電極130と電極25Aとの間に配置されている。
【0066】
(光反射部材を配置する)
光反射部材を配置することS130Aにおいて、金属部20を覆うように光反射部材300Aを配置する。光反射部材300Aは、発光素子110を囲むように開口部350Aが形成されており、発光素子110が開口部350Aに位置するように配置される。光反射部材300Aの上面及び下面には、両面を接着面又は粘着面とする接着シートが貼付されている。接着シートは、ウレタン、アクリル樹脂等からなり、厚みは10μmから75μm程度である。さらに接着シートは酸化チタン、硫酸バリウム等を添加し反射率を向上させることが望ましい。接着性又は粘着性を有するシートとして、白色のボンディングシートを使用し、反射率をさらに大きくするために、白色のポリエチレンテレフタラートのシートと重ねてあるいは挟み合って使用することもできる。なお、光反射部材300Aは、接着シートを使用せずに、接着剤を塗布して配置してもよい。
【0067】
(第1導光部材を配置する)
第1導光部材を配置することS141において、光反射部材300Aを覆うように第1導光部材210を配置する。第1導光部材210は、発光素子110及び透光性部材120を囲むように開口部250が形成されている板状又はシート状の部材であり、発光素子110及び透光性部材120が開口部250に位置するように配置される。第1導光部材210は、位置合わせをした後、加熱しながら配線基板1Aの方向に加圧して、光反射部材300Aに貼合している。第1導光部材210は、区画溝230によって区切られている。区画溝230に光反射性を有する部材を配置してもよい。
【0068】
(第2導光部材を配置する)
第2導光部材を配置することS142において、発光素子110及び透光性部材120を覆うように第2導光部材220を配置する。第2導光部材220は、第1導光部材210の開口部250から液状又はペースト状の樹脂を注入し、硬化させることで、発光素子110及び透光性部材120を覆うように配置することができる。第2導光部材220の材料は、第1導光部材210と同じでもよく、異なっていてもよい。この工程S142では、第1導光部材210と同じ材料を未硬化の状態で開口部250から注入して硬化させている。
なお、第1導光部材を配置することS141と第2導光部材を配置することS142とを合わせて、導光部材を配置することS140となる。
【0069】
(光調整部材を配置する工程)
光調整部材を配置することS150において、平面視において、導光部材200の表面における発光素子110及び透光性部材120と重なる位置に、光調整部材400を配置する。光調整部材400は、導光部材200上に材料となる樹脂を塗布して硬化させてもよく、膜状又は板状の部材を配置してもよい。ここでは、一例として、酸化チタンを含有するシリコーン樹脂を導光部材200の表面で発光素子110及び透光性部材120に対向する位置に配置している。
【0070】
本開示に係る実施形態は、次の各項を含む。
[項1]
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有し、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有する絶縁部と、前記貫通孔を塞ぎ、有底孔となるように前記絶縁部の第2面に対面して配置される金属部と、を有する基板と、
前記有底孔に配置される導電体と、を有し、
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、少なくとも第1凹部と、第2凹部と、前記第1凹部と前記第2凹部との間にある第1側壁と、を有し、
前記有底孔内に位置する前記金属部の厚さ方向に切断する断面視において、前記第1側壁は、前記第1凹部内にある第1下端部と、前記第2凹部内にある第2下端部と、前記第1下端部と前記第2下端部との間にある第1頂部と、を有し、前記第1頂部は、前記第1凹部を画定する底面の直上に位置し、かつ、前記第1下端部は、前記第1頂部よりも第2凹部側にある配線基板。
[項2]
平面視において、前記有底孔を画定する底面は円形状であり、
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記第2凹部と隣り合い、前記第1凹部と反対側に第3凹部を有し、前記第2凹部と前記第3凹部との間に第2側壁を有し、
前記第1凹部、前記第2凹部、前記第3凹部は、円形状の前記有底孔を画定する底面の外周に沿って円弧状に配置されている項1に記載の配線基板。
[項3]
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記第1凹部、前記第2凹部を含み、複数の凹部があり、前記複数の凹部は、渦巻き状に配置されている項1又は項2に記載の配線基板。
[項4]
前記第1凹部を画定する底面から前記第1頂部までの高さは0.5μm以上10μm以下である項1から項3の何れか一項に記載の配線基板。
[項5]
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記第1凹部及び前記第2凹部を含む複数の凹部と、前記第1側壁を含む隣接する前記凹部同士の間にある側壁と、を有し、
平面視において前記側壁に覆われていない各前記凹部を画定する底面の面積は、最頻値が10μm2以上50μm2以下である項1から項4の何れか一項に記載の配線基板。
[項6]
前記絶縁部の第1面は、前記有底孔を囲むように、表面の一部が取り除かれている段差部を有する項1から項5の何れか一項に記載の配線基板。
[項7]
前記段差部の段差の高さは、0.1μm以上10μm以下である項6に記載の配線基板。
[項8]
前記段差部の幅は、1μm以上400μm以下である項6又は項7に記載の配線基板。
[項9]
前記有底孔は、内径が前記第2面側から前記第1面側に向かって大きくなる項1から項8の何れか一項に記載の配線基板。
[項10]
前記有底孔の最大径は、100μm以上500μm以下である項1から項9の何れか一項に記載の配線基板。
[項11]
前記金属部は銅板であり、前記絶縁部の第2面と対面する表面に防錆層を有し、
前記有底孔を画定する底面の前記金属部は、前記防錆層が除去されている領域を有する項1から項10の何れか一項に記載の配線基板。
[項12]
項1から項11の何れか一項に記載の配線基板と、
前記配線基板に配置される発光素子と、を備え、
前記発光素子は前記金属部と電気的に接続されている発光装置。
[項13]
第1面及び前記第1面の反対側の第2面を有する絶縁部と、前記絶縁部の第2面に対面して配置される金属部と、を有する基板を準備することと、
前記絶縁部の第1面側に第1レーザ光を照射して、前記絶縁部の少なくとも一部を除去して第1次有底孔を形成することと、
前記第1次有底孔を画定する底面に前記第1レーザ光よりも波長の短い第2レーザ光を照射して、前記金属部が底面となる有底孔を形成することと、
前記有底孔内に導電性ペーストを配置することと、
前記導電性ペーストを硬化し、導電体を形成することと、を含み、
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部に、少なくとも第1凹部と、第2凹部と、を持つ複数の凹部が形成され、かつ、前記第1凹部と前記第2凹部との間に第1側壁が形成されるように前記第2レーザ光を照射する配線基板の製造方法。
[項14]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔内に位置する前記金属部の厚さ方向に切断する断面視において、前記第1側壁は、前記第1凹部内にある第1下端部と、前記第2凹部内にある第2下端部と、前記第1下端部と前記第2下端部との間にある第1頂部と、を有し、前記第1頂部は、前記第1凹部を画定する底面の直上に位置し、かつ、前記第1下端部は、前記第1頂部よりも第2凹部側にあるように前記第2レーザ光を照射する項13に記載の配線基板の製造方法。
[項15]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部に前記第2レーザ光を照射する際、前記第2レーザ光からの第1出射光が直接又は前記絶縁部を介して前記金属部に照射されることで、前記第1凹部と前記第1側壁とが形成され、
前記第2レーザ光からの第2出射光が直接又は前記絶縁部を介して前記第1側壁と一部重なるように前記金属部に照射されることで、前記第2凹部が形成され、かつ、前記第1側壁が前記第1凹部側に傾斜するように変形される項13又は項14に記載の配線基板の製造方法。
[項16]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の外周側から内側に向かって渦巻き状又は同心円状に前記第2レーザ光を照射する項13から項15の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項17]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の外周側から前記有底孔を画定する底面の中心に向かって渦巻き状又は同心円状となるように照射位置を連続して移動させながら前記第2レーザ光を照射する項13から項16の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項18]
前記有底孔を形成することにおいて、前記第2レーザ光を照射する領域は、平面視において前記有底孔を含む前記有底孔よりも大きい領域に対して行う項13から項17の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項19]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の周囲の前記絶縁部の第1面に前記第2レーザ光を照射して段差部を形成する項13から項18の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項20]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の周囲の前記絶縁部の第1面に前記第2レーザ光を照射して段差部を形成した後、前記有底孔内を照射する項13から項19の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項21]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面において、前記有底孔の外周側から中心に向かう方向における、前記渦巻き状又は前記同心円状の凹部の間隔は5μm以上50μm以下である項16に記載の配線基板の製造方法。
[項22]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面において、前記第2レーザ光のビーム径は、10μm以上50μm以下である項13から項21の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項23]
前記有底孔を形成することにおいて、前記第2レーザ光はパルスレーザ光であり、1ショットで1個の前記凹部を形成する項13から項22の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項24]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面において、連続する前記ショットの照射位置の間隔は、5μm以上50μm以下である項23に記載の配線基板の製造方法。
[項25]
前記第1次有底孔を形成することにおいて、前記第1レーザ光の波長は9.3μm以上10.6μm以下であり、
前記有底孔を形成することにおいて、前記第2レーザ光の波長は355nm以上532nm以下である項13から項24の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項26]
前記基板を準備することにおいて、前記絶縁部の前記第2面と対面される前記金属部の表面に防錆層がある項13から項25の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項27]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔を画定する底面の前記金属部の表面にある前記防錆層は、前記第2レーザ光の照射によって除去される項26に記載の配線基板の製造方法。
[項28]
前記導電性ペーストを配置することにおいて、前記導電性ペーストは少なくとも前記第1凹部内及び前記第2凹部内を全て満たすように配置されている項13から項27の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項29]
前記導電性ペーストを配置することにおいて、前記導電性ペーストは還元剤が含有されている項13から項28の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項30]
前記第1次有底孔を形成すること及び前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の内径が前記第2面側から前記第1面側に向かって大きくなるように前記有底孔を形成する項13から項30の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項31]
前記有底孔を形成することにおいて、前記有底孔の最大径が100μm以上500μm以下となるように前記有底孔を形成する項13から項30の何れか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項32]
項13から項31の何れか一項に記載の配線基板の製造方法によって配線基板を準備することと、
前記配線基板に発光素子を配置することと、
前記発光素子と前記金属部とを電気的に接続することと、を含む発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0071】
1 配線基板
1A 配線基板(発光装置)
10 絶縁部
10A 第1面
10B 第2面
11 ポリイミド層
12 樹脂層
13 貫通孔
20 金属部
21 防錆層
22 接続パッド部
30 基板
40A 導電性ペースト
40 導電体
50 ビア接続部
51 有底孔
51B 底面
100A 発光装置
110 発光素子
120 透光性部材
130 素子電極
200 導光部材
210 第1導光部材
220 第2導光部材
250 開口部(第1導光部材)
300A 光反射部材
350A 開口部(光反射部材)
400 光調整部材