(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088596
(43)【公開日】2024-07-02
(54)【発明の名称】着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、表示装置、及び固体撮像素子
(51)【国際特許分類】
G03F 7/033 20060101AFI20240625BHJP
G03F 7/004 20060101ALI20240625BHJP
G03F 7/027 20060101ALI20240625BHJP
G03F 7/038 20060101ALI20240625BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240625BHJP
C08F 20/00 20060101ALI20240625BHJP
【FI】
G03F7/033
G03F7/004 505
G03F7/027
G03F7/038 501
G03F7/038 503
G02B5/20 101
C08F20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023199434
(22)【出願日】2023-11-24
(31)【優先権主張番号】P 2022203567
(32)【優先日】2022-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】星 隼人
(72)【発明者】
【氏名】中尾 亜矢子
(72)【発明者】
【氏名】宮澤(中山) 萌黄
(72)【発明者】
【氏名】寺川 貴清
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
4J100
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BF15
2H148BF16
2H148BG01
2H148BG11
2H148BH18
2H225AC33
2H225AC43
2H225AC44
2H225AC46
2H225AD06
2H225AE13P
2H225AM22P
2H225AM32P
2H225AM66P
2H225AM86P
2H225AN39P
2H225AN94P
2H225AN98P
2H225BA16P
2H225BA22P
2H225BA33P
2H225BA35P
2H225CA17
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
4J100AJ02Q
4J100AL08P
4J100AL08R
4J100BA11P
4J100BC43P
4J100BC54P
4J100BC54R
4J100CA04
4J100CA05
4J100CA31
4J100DA01
4J100DA05
4J100DA09
4J100DA29
4J100FA03
4J100FA27
4J100HC39
4J100JA32
4J100JA37
(57)【要約】
【課題】本発明は、現像残渣が少ないカラーフィルタを形成可能な着色硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む着色硬化性樹脂組成物であり、前記樹脂(B)が、式(I)で表される構造単位を含む樹脂(B1)を含有し、前記樹脂(B1)の固形分酸価が、80~150mg-KOH/gである着色硬化性樹脂組成物。
[式(I)中、
R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
R
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
T
1は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
Xは、-O-又は-S-を表す。
T
2は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。]
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む着色硬化性樹脂組成物であり、
前記樹脂(B)が、式(I)で表される構造単位を含む樹脂(B1)を含有し、
前記樹脂(B1)の固形分酸価が、80~150mg-KOH/gである着色硬化性樹脂組成物。
【化1】
[式(I)中、
R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
R
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
T
1は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
Xは、-O-又は-S-を表す。
T
2は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。]
【請求項2】
請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載のカラーフィルタを含む固体撮像素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色硬化性樹脂組成物、カラーフィルタ、表示装置、及び固体撮像素子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置、エレクトロルミネッセンス表示装置、及びプラズマディスプレイ等の表示装置やCCDやCMOSセンサ等の固体撮像素子に使用されるカラーフィルタは、着色硬化性樹脂組成物から製造される。このような着色硬化性樹脂組成物としては、例えば、樹脂として、アクリル酸と3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8及び/又は9-イルアクリレートとの共重合体を含む着色硬化性樹脂組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来から知られる上記の着色硬化性樹脂組成物は、該着色硬化性樹脂組成物を用いてのカラーフィルタの製造において現像残渣が発生し、基板の透過性が変化してしまう場合があった。そこで本発明は、現像残渣が少ないカラーフィルタを形成可能な着色硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の要旨は、以下の通りである。
[1] 着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む着色硬化性樹脂組成物であり、
前記樹脂(B)が、式(I)で表される構造単位を含む樹脂(B1)を含有し、
前記樹脂(B1)の固形分酸価が、80~150mg-KOH/gである着色硬化性樹脂組成物。
【化1】
[式(I)中、
R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
R
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
T
1は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
Xは、-O-又は-S-を表す。
T
2は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。]
[2] [1]に記載の着色硬化性樹脂組成物から形成されるカラーフィルタ。
[3] [2]に記載のカラーフィルタを含む表示装置。
[4] [2]に記載のカラーフィルタを含む固体撮像素子。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、現像残渣が少ないカラーフィルタを形成可能な着色硬化性樹脂組成物を提供することができる。また好ましい態様においては、耐溶剤性、及び/又はパターン形状が良好なカラーフィルタを形成可能な着色硬化性樹脂組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、及び重合開始剤(D)を含む。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに溶剤(E)を含んでいてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらに重合開始助剤(D1)を含んでいてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらにチオール化合物(T)を含んでいてもよい。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、さらにレベリング剤(F)を含んでいてもよい。
なお本明細書において、各成分として例示する化合物は、特に断りのない限り単独で又は複数種を組み合わせて使用することができる。
【0008】
<着色剤(A)>
着色剤(A)としては、染料(A1)及び顔料(A2)が挙げられ、顔料(A2)が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0009】
染料(A1)は特に限定されず、公知の染料を使用することができ、例えば、溶剤染料、酸性染料、直接染料、媒染染料等が挙げられる。染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や、染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ染料、シアニン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、ナフトキノン染料、キノンイミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、スクアリリウム染料、アクリジン染料、スチリル染料、クマリン染料、キノリン染料、ニトロ染料、フタロシアニン染料、ペリレン染料、キノフタロン染料、イソインドリン染料等が挙げられる。これらのうち、有機溶剤可溶性染料が好ましい。
【0010】
具体的には、以下のようなカラーインデックス(C.I.)番号の染料が挙げられる。
C.I.ソルベントイエロー4、14、15、23、24、25、38、62、63、68、79、81、82、83、89、94、98、99、117、162、163、167、189;
C.I.ソルベントレッド24、45、49、90,91、111、118、119、122、124、125、127、130、132、143、145、146、150、151、155、160、168、169、172、175、181、207、218、222、227、230、245、247;
C.I.ソルベントオレンジ2、7、11、15、26、41、54、56、77、86、99;
C.I.ソルベントバイオレット11、13、14、26、31、36、37、38、45、47、48、51、59、60;
C.I.ソルベントブルー4、5、14、18、35、36、37、38、44、45、58、59、59:1、63、67、68、69、70、78、79、83、90、94、97、98、100、101、102、104、105、111、112、122、128、132、136、139;
C.I.ソルベントグリーン1、3、4、5、7、28、29、32、33、34、35;等のC.I.ソルベント染料、
C.I.アシッドイエロー1、3、7、9、11、17、23、25、29、34、36、38、40、42、54、65、72、73、76、79、98、99、111、112、113、114、116、119、123、128、134、135、138、139、140、144、150、155、157、160、161、163、168、169、172、177、178、179、184、190、193、196、197、199、202、203、204、205、207、212、214、220、221、228、230、232、235、238、240、242、243、251;
C.I.アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、31、33、34、35、37、40、42、44、50、51、52、57、66、73、76、80、87、88、91、92、94、95、97、98、103、106、111、114、129、133、134、138、143、145、150、151、155、158、160、172、176、182、183、195、198、206、211、215、216、217、227、228、249、252、257、258、260、261、266、268、270、274、277、280、281、289、308、312、315、316、339、341、345、346、349、382、383、388、394、401、412、417、418、422、426;
C.I.アシッドオレンジ6、7、8、10、12、26、50、51、52、56、62、63、64、74、75、94、95、107、108、149、162、169、173;
C.I.アシッドバイオレット6B、7、9、15、16、17、19、21、23、24、25、30、34、38、49、72、102;
C.I.アシッドブルー1、3、5、7、9、11、13、15、17、18、22、23、24、25、26、27、29、34、38、40、41、42、43、45、48、51、54、59、60、62、70、72、74、75、78、80、82、83、86、87、88、90、90:1、91、92、93、93:1、96、99、100、102、103、104、108、109、110、112、113、117、119、120、123、126、127、129、130、131、138、140、142、143、147、150、151、154、158、161、166、167、168、170、171、175、182、183、184、187、192、199、203、204、205、210、213、229、234、236、242、243、249、256、259、267、269、278、280、285、290、296、315、324:1、335、340;
C.I.アシッドグリーン1、3、5、6、7、8、9、11、13、14、15、16、22、25、27、28、41、50、50:1、58、63、65、80、104、105、106、109;等のC.I.アシッド染料、
C.I.ダイレクトイエロー2、4、28、33、34、35、38、39、43、44、47、50、54、58、68、69、70、71、86、93、94、95、98、102、108、109、129、132、136、138、141;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、91、92、96、97、98、99、105、106、107、172、173、176、177、179、181、182、184、204、207、211、213、218、220、221、222、232、233、234、241、243、246、250;
C.I.ダイレクトオレンジ26、34、39、41、46、50、52、56、57、61、64、65、68、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、59、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー1、2、3、6、8、15、22、25、28、29、40、41、42、47、52、55、57、71、76、77、78、80、81、84、85、86、87、90、93、94、95、97、98、99、100、101、106、107、108、109、113、114、115、117、119、120、137、149、150、153、155、156、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、170、171、172、173、188、189、190、192、193、194、195、196、198、199、200、201、202、203、207、209、210、212、213、214、222、225、226、228、229、236、237、238、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275、293;
C.I.ダイレクトグリーン25、27、31、32、34、37、63、65、66、67、68、69、72、79、82;等のC.I.ダイレクト染料、
C.I.ディスパースイエロー51、54、76;
C.I.ディスパースバイオレット26、27;
C.I.ディスパースブルー1、14、56、60;等のC.I.ディスパース染料、
C.I.ベーシックレッド1、10;
C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、19、21、22、24、25、26、28、29、40、41、45、47、54、58、59、60、64、65、66、67、68、81、83、88、89;
C.I.ベーシックバイオレット2;
C.I.ベーシックレッド9;
C.I.ベーシックグリーン1;等のC.I.ベーシック染料、
C.I.リアクティブイエロー2、76、116;
C.I.リアクティブオレンジ16;
C.I.リアクティブレッド36;等のC.I.リアクティブ染料、
C.I.モーダントイエロー5、8、10、16、20、26、30、31、33、42、43、45、56、61、62、65;
C.I.モーダントレッド1、2、3、4、9、11、12、14、17、18、19、22、23、24、25、26、27、29、30、32、33、36、37、38、39、41、42、43、45、46、48、52、53、56、62、63、71、74、76、78、85、86、88、90、94、95;
C.I.モーダントオレンジ3、4、5、8、12、13、14、20、21、23、24、28、29、32、34、35、36、37、42、43、47、48;
C.I.モーダントバイオレット1、1:1、2、3、4、5、6、7、8、10、11、14、15、16、17、18、19、21、22、23、24、27、28、30、31、32、33、36、37、39、40、41、44、45、47、48、49、53、58;
C.I.モーダントブルー1、2、3、7、8、9、12、13、15、16、19、20、21、22、23、24、26、30、31、32、39、40、41、43、44、48、49、53、61、74、77、83、84;
C.I.モーダントグリーン1、3、4、5、10、13、15、19、21、23、26、29、31、33、34、35、41、43、53;等のC.I.モーダント染料、
C.I.バットグリーン1;等のC.I.バット染料等
【0011】
これらの染料は、所望するカラーフィルタの分光スペクトルに合わせて適宜選択すればよい。
【0012】
顔料(A2)としては、公知の顔料を使用することができ、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)でピグメントに分類されている顔料が挙げられる。また、化学構造によれば、アゾ系顔料、シアニン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、キサンテン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ナフトキノン系顔料、キノンイミン系顔料、メチン系顔料、アゾメチン系顔料、スクアリリウム系顔料、アクリジン系顔料、スチリル系顔料、クマリン系顔料、キノリン系顔料、ニトロ系顔料、フタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料等が挙げられる。これらのうち、アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ジオキサン系顔料、アゾメチン系顔料、フタロシアニン系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料等が好ましい。
【0013】
ピグメントに分類されている顔料としては、具体的には、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、31、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、129、137、138、139、147、148、150、153、154、166、173、185、194、214、231等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65、71、73等のオレンジ色顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166、168、176、177、178、179、180、190、192、202、209、215、216、224、242、254、255、264、265、266、268、269、273、291等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオレット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59、62、63等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7、31、32等の黒色顔料;等が挙げられる。
【0014】
これらの顔料は、所望するカラーフィルタの分光スペクトルに合わせて適宜選択すればよい。
【0015】
緑色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合 、着色剤(A)としては、黄色染料及び黄色顔料(以下、これらを総称して「黄色着色剤」という場合がある)、緑色染料及び緑色顔料(以下、これらを総称して「緑色着色剤」という場合がある)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、黄色顔料及び/又は緑色顔料を含むことがより好ましい。
【0016】
黄色染料としては、上記染料のうち、色相が黄に分類されている染料が挙げられ、黄色顔料としては、上記顔料のうち、色相が黄に分類されている顔料が挙げられる。
黄色顔料のなかでも、キノフタロン系顔料、アゾメチン系顔料(特に金属含有アゾメチン系顔料)、イソインドリン系顔料が好ましく、C.I.ピグメントイエロー129、138、139、150、185がより好ましく、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185がさらに好ましい。
【0017】
緑色染料としては、上記染料のうち、色相が緑に分類されている染料が挙げられ、緑色顔料としては、上記顔料のうち、色相が緑に分類されている顔料が挙げられる。
緑色顔料のなかでも、フタロシアニン系顔料が好ましく、ハロゲン化銅フタロシアニン顔料及びハロゲン化亜鉛フタロシアニン顔料からなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましく、C.I.ピグメントグリーン7、36、58、59がさらに好ましい。
【0018】
緑色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)は、全着色剤100質量%中、黄色着色剤及び/又は緑色着色剤を合計で、例えば、50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。また、黄色着色剤及び緑色着色剤の両方を含むことが好ましく、黄色着色剤及び緑色着色剤の両方を含む場合、緑色着色剤の含有率は、黄色着色剤及び緑色着色剤の合計100質量%中、例えば、30~99質量%であることが好ましく、40~95質量%がより好ましく、50~90質量%がさらに好ましい。
【0019】
赤色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)としては、黄色着色剤、赤色染料及び赤色顔料(以下、これらを総称して「赤色着色剤」という場合がある)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、黄色顔料及び/又は赤色顔料を含むことがより好ましい。
【0020】
黄色着色剤としては、緑色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合と同様の例が挙げられ、好ましい態様も同様である。
【0021】
赤色染料としては、上記染料のうち、色相が赤に分類されている染料が挙げられ、赤色顔料としては、上記顔料のうち、色相が赤に分類されている顔料が挙げられる。
赤色顔料のなかでも、C.I.ピグメントレッド149、176、177、242、254、255、264、269、291が好ましい。また赤色顔料のなかでも、アゾ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料が好ましく、C.I.ピグメントレッド176、242、254、255、264、269、291がより好ましく、C.I.ピグメントレッド242、254、269、291がさらに好ましい。
【0022】
赤色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)は、全着色剤100質量%中、黄色着色剤及び/又は赤色着色剤を合計で、例えば、50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。また、黄色着色剤及び赤色着色剤の両方を含むことが好ましい。黄色着色剤及び赤色着色剤の両方を含む場合、赤色着色剤の含有率は、黄色着色剤及び赤色着色剤の合計100質量%中、例えば、30~99質量%であることが好ましく、30~97質量%がより好ましく、30~95質量%がさらに好ましく、40~90質量%がよりさらに好ましく、50~85質量%がいっそう好ましい。
【0023】
青色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)としては、青色染料及び青色顔料(以下、これらを総称して「青色着色剤」という場合がある)からなる群から選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましく、青色顔料を含むことがより好ましい。
【0024】
青色染料としては、上記染料のうち、色相が青に分類されている染料が挙げられ、青色顔料としては、上記顔料のうち、色相が青に分類されている顔料が挙げられる。
青色顔料としては、フタロシアニン系顔料が好ましく、C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、16がより好ましい。
【0025】
青色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、青色着色剤以外に、バイオレット色染料及びバイオレット色顔料(以下、これらを総称して「バイオレット色着色剤」という場合がある)も含有することも好ましい。
【0026】
バイオレット色染料としては、上記染料のうち、色相がバイオレットに分類されている染料が挙げられ、バイオレット色顔料としては、上記顔料のうち、色相がバイオレットに分類されている顔料が挙げられる。
バイオレット色着色剤としては、バイオレット色顔料が好ましく、バイオレット色顔料のなかでも、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29がより好ましい。
【0027】
青色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)は、全着色剤100質量%中、青色着色剤を、例えば、30~100質量%含むことが好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。また、バイオレット色着色剤も含む場合、青色着色剤の含有率は、青色着色剤及びバイオレット色着色剤の合計100質量%中、例えば、30~99質量%であることが好ましく、50~95質量%がより好ましく、60~85質量%がさらに好ましい。
【0028】
黄色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)としては、黄色着色剤を少なくとも一種含むことが好ましく、黄色顔料を少なくとも一種含むことがより好ましく、黄色顔料を二種以上含むことがさらに好ましい。
【0029】
黄色顔料のなかでも、キノフタロン系顔料、アゾメチン系顔料(特に金属含有アゾメチン系顔料)、イソインドリン系顔料が好ましく、C.I.ピグメントイエロー129、138、139、150、185がより好ましく、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、185がさらに好ましい。
【0030】
黄色の着色硬化性樹脂組成物を調整する場合、着色剤(A)は、全着色剤100質量%中、黄色着色剤を、例えば、50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、90質量%以上がよりさらに好ましく、100質量%が特に好ましい。
【0031】
着色硬化性樹脂組成物が溶剤(E)を含む場合、予め着色剤(A)と溶剤(E)とを含む着色剤含有液を調製した後、該着色剤含有液を使用して着色硬化性樹脂組成物を調製してもよい。着色剤(A)が溶剤(E)に溶解しない場合、例えば着色剤(A)が顔料(A2)を含む場合等には、着色剤含有液は、着色剤(A)を溶剤(E)に分散させて混合することにより調製できる。着色剤含有液は、着色硬化性樹脂組成物に含有される溶剤(E)の一部又は全部を含んでいてもよい。
【0032】
着色剤含有液中の固形分の含有率は、着色剤含有液の総量に対して、100質量%未満であり、好ましくは0.01~99.99質量%、より好ましくは0.1~99.9質量%、さらに好ましくは0.1~99質量%、よりさらに好ましくは0.5~90質量%であり、特に好ましくは1~50質量%である。
【0033】
着色剤含有液中の着色剤(A)の含有率は、着色剤含有液中の固形分の総量に対して、100質量%以下であり、好ましくは0.001~99.999質量%であり、より好ましくは0.01~99質量%であり、さらに好ましくは0.1~95質量%であり、よりさらに好ましくは1.0~93質量%であり、特に好ましくは5.0~90質量%である。
【0034】
着色剤(A)は、必要に応じて、ロジン処理、酸性基又は塩基性基が導入された誘導体等を用いた表面処理、高分子化合物等による着色剤(A)表面へのグラフト処理、硫酸微粒化法、ソルトミリング法等による微粒化処理、不純物を除去するための有機溶剤や水等による洗浄処理、イオン性不純物のイオン交換法等による除去処理等が施されていてもよい。着色剤(A)の粒径は、略均一であることが好ましい。
【0035】
着色剤(A)は、分散剤を含有させて分散処理を行うことで、着色剤(A)が溶液中で均一に分散した状態にすることができる。着色剤(A)として2種以上を組み合わせて使用する場合は、それぞれを単独で分散処理してもよく、複数種を混合して分散処理してもよい。
【0036】
分散剤としては、例えば、界面活性剤等が挙げられ、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、及び両性のいずれの界面活性剤であってもよい。具体的にはポリエステル系、ポリアミン系、及びアクリル系等の界面活性剤等が挙げられる。これらの分散剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。分散剤としては、商品名で表すと、KP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(登録商標)(ゼネカ(株)製)、EFKA(登録商標)(BASF社製)、アジスパー(登録商標)(味の素ファインテクノ(株)製)、Disperbyk(登録商標)(ビックケミー(株)製)、BYK(登録商標)(ビックケミー(株)製)等が挙げられる。
【0037】
分散剤を用いる場合、該分散剤(固形分)の使用量は、着色剤含有液中の着色剤(A)100質量部に対して、通常1~10000質量部であり、好ましくは5~5000質量部であり、より好ましくは10~1000質量部であり、さらに好ましくは15~800質量部である。該分散剤の使用量が前記の範囲にあると、より均一な分散状態の着色剤含有液(以下、「着色剤分散液」又は「顔料分散液」という場合がある)が得られる傾向がある。
【0038】
着色剤(A)と溶剤(E)とを含む着色剤含有液を予め調製した後、該着色剤含有液を使用して着色硬化性樹脂組成物を調製する場合、着色剤含有液は、着色硬化性樹脂組成物に含有される樹脂(B)の一部又は全部、好ましくは一部を予め含んでいてもよい。樹脂(B)を予め含ませておくことで、着色剤含有液の分散安定性をさらに改善できる。
【0039】
着色剤含有液が樹脂(B)を含有する場合、樹脂(B)の含有量は、着色剤含有液中の着色剤(A)100質量部に対して、例えば、0.01~10000質量部が好ましく、0.1~5000質量部がより好ましく、1~1000質量部がさらに好ましい。
【0040】
着色剤(A)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量中、好ましくは1~70質量%であり、より好ましくは5~60質量%であり、さらに好ましくは10~55質量%であり、よりさらに好ましくは20~50質量%である。着色剤(A)の含有率が前記の範囲にあると、カラーフィルタとしたときの色濃度が十分であり、且つ組成物中に樹脂(B)を必要量含有させることができるので、機械的強度が十分なパターンを形成することができることから好ましい。
ここで、本明細書における「固形分の総量」とは、着色硬化性樹脂組成物の総量から溶剤の含有量を除いた量のことをいう。固形分の総量及びこれに対する各成分の含有量は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0041】
<樹脂(B)>
樹脂(B)は、アルカリ可溶性樹脂であることが好ましい。アルカリ可溶性とは、アルカリ化合物の水溶液である現像液に溶解する性質のことをいう。
【0042】
樹脂(B)は、式(I)で表される構造単位(以下、「構造単位(I)」という場合がある)を含み、且つ固形分酸価が80~150mg-KOH/gである樹脂(B1)を含有する。
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、特定の構造を有し、且つ特定の固形分酸価を有する樹脂(B1)を含むことにより、カラーフィルタの製造において、現像時の残渣の発生を、基板の透明性の変化が抑制できるまで低減することができる。また本発明の着色硬化性樹脂組成物は、好ましくは、形成されるカラーフィルタの耐溶剤性を良好とすること及び/又はパターン形状を良好とすることもできる。
【0043】
【化2】
[式(I)中、
R
1は、水素原子又はメチル基を表す。
R
2は、置換基を有していてもよい炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基を表す。
T
1は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の2価の芳香族炭化水素基を表す。
Xは、-O-又は-S-を表す。
T
2は、置換基を有していてもよい炭素数6~20の芳香族炭化水素基を表す。]
【0044】
R1としては、水素原子が好ましい。
【0045】
R2で表される炭素数1~10の2価の脂肪族炭化水素基としては、2価の鎖状炭化水素基、2価の脂環式炭化水素基が挙げられる。
【0046】
R2で表される2価の鎖状炭化水素基としては、飽和であっても不飽和であってもよいが、2価の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましい。2価の飽和鎖状炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基等の飽和直鎖状炭化水素基;及びエタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ブタン-1,1-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-2,2-ジイル基、ペンタン-1,1-ジイル基、ペンタン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基等の飽和分岐状炭化水素基が挙げられ、2価の飽和直鎖状炭化水素基が好ましい。2価の鎖状炭化水素基の炭素数は、1~8が好ましく、1~5がより好ましく、1~3がさらに好ましく、1がよりさらに好ましい。
【0047】
R2で表される2価の脂環式炭化水素基は、飽和であっても不飽和であってもよいが、2価の飽和脂環式炭化水素基であることが好ましい。2価の飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロパン-1,2-ジイル基、シクロブタン-1,3-ジイル基、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等の単環式の飽和脂環式炭化水素基;及びノルボルナン-1,4-ジイル基、ノルボルナン-2,5-ジイル基、アダマンタン-1,5-ジイル基、アダマンタン-2,6-ジイル基等の多環式の飽和脂環式炭化水素基が挙げられる。2価の脂環式炭化水素基の炭素数は、3~10が好ましく、3~8がより好ましく、3~5がさらに好ましい。
【0048】
R2で表される2価の脂肪族炭化水素基は、炭素数の上限が10である限り、2価の鎖状炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基からそれぞれ選ばれる1つ以上を組み合わせた基であってもよい。このような基は、例えば、-2価の鎖状炭化水素基-2価の脂環式炭化水素基-、-2価の鎖状炭化水素基-2価の脂環式炭化水素基-2価の鎖状炭化水素基-等が挙げられる。2価の鎖状炭化水素基及び2価の脂環式炭化水素基を組み合わせた基の炭素数は、4~10が好ましく、6~10がより好ましい。
【0049】
T1で表される2価の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素環において、環を構成する炭素原子に直接結合する2つの水素原子が結合手に置き換わった基である。2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環は、単環及び縮合環のいずれでもよく、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、シクロブタジベンゼン環、フェナントレン環、及びそれら芳香族炭化水素環が有する少なくとも1つの水素原子が炭化水素基(以下、該炭化水素基をR3と表す場合がある)に置き換わった構造等が挙げられる。
【0050】
前記R3としては、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、飽和又は不飽和であってもよく、鎖状又は脂環式であってもよい。
【0051】
R3で表される飽和又は不飽和鎖状炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の直鎖状アルキル基;イソプロピル基、(1-エチル)プロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、(1-メチル)ブチル基、(1-エチル)ブチル基、(2-エチル)ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、(2-メチル)ペンチル基、イソヘキシル基等の分岐状アルキル基;ビニル基、1-プロペニル基、2-プロペニル基(アリル基)、(1-メチル)エテニル基、2-ブテニル基、3-ブテニル基、1,3-ブタジエニル基、(1-(2-プロペニル))エテニル基、(1,2-ジメチル)プロペニル基、2-ペンテニル基等のアルケニル基;等が挙げられる。飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、1~6が好ましく、1~3がより好ましい。また不飽和鎖状炭化水素基の炭素数は、2~6が好ましく、2~4がより好ましい。
【0052】
R3で表される飽和又は不飽和脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;シクロヘキセニル基(例えば、シクロヘキサ-2-エン、シクロヘキサ-3-エン)等のシクロアルケニル基;等が挙げられる。飽和又は不飽和脂環式炭化水素基の炭素数は、3~6が好ましい。
【0053】
R3で表される芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられ、フェニル基が好ましい。
【0054】
R3で表される炭化水素基は、鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる2つ以上を組み合わせた基であってもよい。このような基は、例えば、1-メチルシクロプロピル基、2-メチルシクロペンチル基、3-メチルシクロペンチル基等の1以上のアルキル基が結合した脂環式炭化水素基;シクロプロピルメチル基、シクロプロピルエチル基、シクロブチルメチル基、シクロブチルエチル基、シクロペンチルメチル基等の1以上の脂環式炭化水素基が結合したアルキル基;2-メチルシクロプロピルメチル基、2-メチルシクロブチルメチル基、3-メチルシクロブチルメチル基等の1以上のアルキル基が結合した脂環式炭化水素基が結合したアルキル基;o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2,6-キシリル基、3,4-キシリル基等の1以上のアルキル基が結合した芳香族炭化水素基;等が挙げられる。鎖状炭化水素基、脂環式炭化水素基、及び芳香族炭化水素基からなる群から選ばれる2つ以上を組み合わせた基の炭素数は、4~12が好ましく、4~6がより好ましい。
【0055】
R3としては、飽和鎖状炭化水素基、又は芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~3の飽和鎖状炭化水素基、又はフェニル基であることがより好ましい。
【0056】
T1で表される2価の芳香族炭化水素基を構成する芳香族炭化水素環としては、単環が好ましく、芳香族炭化水素環が有する水素原子が炭化水素基(R3)に置き換わらない構造である単環がより好ましく、ベンゼン環がさらに好ましい。また2価の芳香族炭化水素基の炭素数は、6~18が好ましく、6~14がより好ましく、6~10がさらに好ましく、6~8がよりさらに好ましい。2価の芳香族炭化水素基として、具体的には、以下の式(Ta-1)~式(Ta-8)で表される基が挙げられる。式中、*は結合手を表す。
【0057】
【0058】
T2で表される炭素数6~20の芳香族炭化水素基とは、芳香族炭化水素環において、環を構成する炭素原子に直接結合する1つの水素原子が結合手に置き換わった基である。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、ビフェニル基等のアリール基;o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基、2-エチルフェニル基、3-エチルフェニル基、4-エチルフェニル基、2,3-ジメチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2-メチル-6-エチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、o-イソプロピルフェニル基、m-イソプロピルフェニル基、p-イソプロピルフェニル基、2-メチル-6-イソプロピルフェニル基、4-ブチルフェニル基、o-tert-ブチルフェニル基、m-tert-ブチルフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基等のアルキルアリール基;4-ビニルフェニル基等のアルケニルアリール基;等が挙げられる。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~18が好ましく、6~15がより好ましく、6~12がさらに好ましい。
【0059】
R2、T1、T2で表される各基が有していてもよい置換基としては、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、-ORa1、-CO2Ra1、-SRa1、-SO2Ra1、-SO3Ra1、-SO3M、-SO2NRa1Ra2、及び-NRa1Ra2等が挙げられる。ここで、Ra1及びRa2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基を表し、Mは水素原子又はアルカリ金属原子を表す。
【0060】
Ra1及びRa2で表される炭化水素基としては、前述のR3で表される炭化水素基として例示した基が挙げられる。Ra1及びRa2で表される炭化水素基の炭素数は、1~12が好ましく、1~6がより好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
【0061】
R2、T1、T2で表される各基が有していてもよい置換基としては、-ORa1が好ましい。
-ORa1におけるRa1としては、水素原子、飽和鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基が好ましく、水素原子、炭素数1~3の飽和鎖状炭化水素基、芳香族炭化水素基がより好ましく、水素原子、フェニル基がさらに好ましい。
【0062】
R2で表される2価の脂肪族炭化水素基としては、2価の飽和鎖状炭化水素基であることが好ましく、炭素数1~8の2価の飽和鎖状炭化水素基がより好ましく、炭素数1~5の2価の飽和鎖状炭化水素基がさらに好ましく、炭素数1~3の2価の飽和鎖状炭化水素基がよりさらに好ましく、メチレン基が特に好ましい。
R2で表される2価の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、置換基を有していない方が好ましい。
【0063】
T1で表される2価の芳香族炭化水素基としては、上記式(Ta-1)~式(Ta-8)で表される基が好ましく、式(Ta-1)~式(Ta-3)、式(Ta-6)~式(Ta-8)で表される基がより好ましく、式(Ta-1)~式(Ta-3)で表される基がさらに好ましく、式(Ta-2)、式(Ta-3)で表される基がよりさらに好ましい。
T1で表される2価の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいが、置換基を有していない方が好ましい。
【0064】
Xとしては、-O-が好ましい。
【0065】
T2で表される芳香族炭化水素基としては、アリール基、アルキルアリール基が好ましく、フェニル基、炭素数1~6のアルキル基が結合したフェニル基がより好ましく、フェニル基、炭素数1~3のアルキルが結合したフェニル基がさらに好ましく、フェニル基、o-トリル基、m-トリル基、p-トリル基がよりさらに好ましく、フェニル基が特に好ましい。
T2で表される芳香族炭化水素基が有する置換基の数は、0~3が好ましく、0~2がより好ましく、0~1がさらに好ましく、また置換基を有していないことがよりさらに好ましい。
【0066】
構造単位(I)としては、具体的には、R1、R2、T1、T2、及びXの組合せが、下記表1~表4の何れかである構造単位(I-1)~構造単位(I-120)が挙げられる。なお表中、Hは水素原子を、Ta-1~Ta-3は上記式(Ta-1)~式(Ta-3)で表される基を、La-1~La10は、下記式(La-1)~式(La-10)で表される基を意味する。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
中でも、構造単位(I)としては、構造単位(I-1)~構造単位(I-60)が好ましく、構造単位(I-21)~構造単位(I-60)がより好ましく、構造単位(I-21)~構造単位(I-40)がさらに好ましく、構造単位(I-21)~構造単位(I-28)がよりさらに好ましく、構造単位(I-21)、構造単位(I-22)が特に好ましい。
【0073】
構造単位(I)は、例えば、下記式(Ii)で表される単量体(以下、「単量体(Ii)」という場合がある)から誘導することができる。
【0074】
【化5】
[式(Ii)中、R
1、R
2、X、T
1、及びT
2は、前記と同じ意味を表す。]
【0075】
単量体(Ii)における、R1、R2、X、T1、及びT2の例示及び好ましい態様は、構造単位(I)における例示及び好ましい態様と同様である。
【0076】
樹脂(B1)としては、例えば、以下の表5に示す構造単位を必須単位として有する樹脂[Ki1]~[Ki8]等が挙げられる。表5中、構造単位(I)、構造単位(a)~(e)は、それぞれ、以下の構造単位を意味する。
構造単位(I):上述の構造単位(I)と同義
構造単位(a):不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体(以下、「単量体(a)」という場合がある)に由来する構造単位
構造単位(b):炭素数2~4の環状エーテル構造及びエチレン性不飽和結合を有する単量体(以下、「単量体(b)」という場合がある)に由来する構造単位
構造単位(c):単量体(a)と共重合可能な単量体(ただし、単量体(a)、単量体(b)、及び構造単位(I)を誘導する単量体とは異なる)(以下、「単量体(c)」という場合がある)に由来する構造単位
構造単位(d1):構造単位(a)に単量体(b)を付加させた構造単位
構造単位(d2):構造単位(b)に単量体(a)を付加させた構造単位(ただし、構造単位(d1)は含まない)(構造単位(d1)と構造単位(d2)とを合わせて構造単位(d)とする)
構造単位(e):多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を構造単位(d)に付加させた構造単位
なお本明細書において「単量体に由来する構造単位」とは、単量体の炭素-炭素二重結合部分の少なくとも1つが、炭素-炭素一重結合単位に変化し、且つそれぞれの炭素原子に重合に由来する結合手が存在する構造に変化した構造を意味する。
また表5に示す樹脂[Ki1]~[Ki8]における必須構成単位の合計量は、それぞれ、全構成単位100質量%中、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%である。
【0077】
【0078】
単量体(a)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o-、m-、p-ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3-ビニルフタル酸、4-ビニルフタル酸、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸、5-カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-カルボキシ-6-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
コハク酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2-(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α-(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類;等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点や得られる樹脂のアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸等が好ましい。
なお本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0079】
単量体(b)は、例えば、炭素数2~4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環、及びテトラヒドロフラン環からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。単量体(b)は、炭素数2~4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
【0080】
単量体(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(以下、「単量体(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0081】
単量体(b1)としては、例えば、直鎖状又は分岐状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(以下、「単量体(b1-1)」という場合がある)、脂環式不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(以下、「単量体(b1-2)」という場合がある)が挙げられる。
【0082】
単量体(b1-1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β-エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-o-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-m-ビニルベンジルグリシジルエーテル、α-メチル-p-ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6-ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6-トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0083】
単量体(b1-2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2-エポキシ-4-ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;(株)ダイセル製)、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;(株)ダイセル製)、式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物等が挙げられる。
【0084】
【化6】
[式(BI)及び式(BII)中、R
e及びR
fは、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、該アルキル基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基で置換されていてもよい。
X
e及びX
fは、単結合、*-R
g-、*-R
g-O-、*-R
g-S-、又は*-R
g-NH-を表す。
R
gは、炭素数1~6のアルカンジイル基を表す。
*は、Oとの結合手を表す。]
【0085】
炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
水素原子がヒドロキシで置換されたアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基、1-ヒドロキシプロピル基、2-ヒドロキシプロピル基、3-ヒドロキシプロピル基、1-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、2-ヒドロキシ-1-メチルエチル基、1-ヒドロキシブチル基、2-ヒドロキシブチル基、3-ヒドロキシブチル基、4-ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
Re及びRfとしては、好ましくは水素原子、メチル基、ヒドロキシメチル基、1-ヒドロキシエチル基、2-ヒドロキシエチル基が挙げられ、より好ましくは水素原子、メチル基が挙げられる。
【0086】
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基等が挙げられる。
Xe及びXfとしては、好ましくは単結合、メチレン基、エチレン基、*-CH2-O-、及び*-CH2CH2-O-が挙げられ、より好ましくは単結合、*-CH2CH2-O-が挙げられる(*はOとの結合手を表す)。
【0087】
式(BI)で表される化合物としては、式(BI-1)~式(BI-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BI-1)、式(BI-3)、式(BII-5)、式(BI-7)、式(BI-9)、又は式(BI-11)~式(BI-15)で表される化合物が好ましく、式(BI-1)、式(BI-7)、式(BI-9)、又は式(BI-15)で表される化合物がより好ましい。
【0088】
【0089】
式(BII)で表される化合物としては、式(BII-1)~式(BII-15)のいずれかで表される化合物等が挙げられる。中でも、式(BII-1)、式(BII-3)、式(BII-5)、式(BII-7)、式(BII-9)、又は式(BII-11)~式(BII-15)で表される化合物が好ましく、式(BII-1)、式(BII-7)、式(BII-9)、又は式(BII-15)で表される化合物がより好ましい。
【0090】
【0091】
式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物は、それぞれ単独で用いても、2種以上を併用してもよい。式(BI)で表される化合物及び式(BII)で表される化合物を併用する場合、これらの含有比率(式(BI)で表される化合物:式(BII)で表される化合物)はモル基準で、好ましくは5:95~95:5、より好ましくは10:90~90:10、さらに好ましくは20:80~80:20である。
【0092】
単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。単量体(b2)としては、3-メチル-3-メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシメチルオキセタン、3-メチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-メチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3-エチル-3-アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0093】
単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。単量体(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0094】
単量体(b)としては、得られるカラーフィルタの耐熱性等の信頼性を高くすることができる点で、単量体(b1)であることが好ましい。さらに、着色硬化性樹脂組成物の保存安定性が優れるという点で、(b1-2)がより好ましい。
【0095】
単量体(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート」といわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン-8-イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジ(2’-ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシ-5-エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-ヒドロキシメチル-5-メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-tert-ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5-フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(tert-ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン、5,6-ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン等のビシクロ不飽和化合物;
N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-スクシンイミジル-3-マレイミドベンゾエート、N-スクシンイミジル-4-マレイミドブチレート、N-スクシンイミジル-6-マレイミドカプロエート、N-スクシンイミジル-3-マレイミドプロピオネート、N-(9-アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体;
スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、p-メトキシスチレン等のビニル基含有芳香族化合物;
(メタ)アクリロニトリル等のビニル基含有ニトリル;
塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化炭化水素;
(メタ)アクリルアミド等のビニル基含有アミド;
酢酸ビニル等のエステル;
1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン等のジエン;等が挙げられる。
【0096】
構造単位(d)のうち構造単位(d1)は、構造単位(a)に単量体(b)を付加させた構造単位であり、この構造単位(d1)の元となる構造単位(a)としては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和モノカルボン酸に由来する構造単位が好ましい。該構造単位(a)に付加する前記単量体(b)としては、環状エーテルの反応性が高く、未反応の単量体(b)が残存しにくいことから、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b1)が好ましく、直鎖状又は分岐状の脂肪族不飽和炭化水素がエポキシ化された構造を有する単量体(b1-1)がより好ましく、グリシジル(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
構造単位(d2)としては、構造単位(b)に単量体(a)を付加させた構造単位であって前記構造単位(d1)と重複しない構造単位が挙げられる。
【0097】
構造単位(d)として、好ましくは、以下の構造単位が挙げられる。
【0098】
【0099】
構造単位(e)は、前記構造単位(d)に多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させた構造単位であり、より正確には構造単位(d)が有するヒドロキシ基と多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物とをエステル結合させた構造単位である。
多価カルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、グルタル酸、トリカルバニル酸等が挙げられる。カルボン酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3-ビニルフタル酸無水物、4-ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6-テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6-ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン無水物等が挙げられる。これら例示のうちエチレン性二重結合を有さないものが多価カルボン酸及びカルボン酸無水物として好ましい。
【0100】
構造単位(e)として、好ましくは、以下の構造単位が挙げられる。
【0101】
【0102】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki1]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki1]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);40~98モル%
構造単位(a);2~60モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);45~90モル%
構造単位(a);10~55モル%
であることがより好ましい。
【0103】
樹脂[Ki1]は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
【0104】
具体的には、単量体(Ii)及び単量体(a)の所定量、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に入れて、例えば、窒素により酸素を置換することにより、脱酸素雰囲気にし、撹拌しながら、加熱及び保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているものを使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等)が挙げられ、溶剤としては、各単量体を溶解するものであればよく、本発明の着色硬化性樹脂組成物の溶剤(E)として後述する溶剤等が挙げられる。
【0105】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、本発明の着色硬化性樹脂組成物に含まれる溶剤を使用することにより、反応後の溶液をそのまま本発明の着色硬化性樹脂組成物の調製に使用することができるため、本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0106】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki2]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki2]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);2~55モル%
構造単位(b);2~85モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~85モル%
構造単位(a);5~50モル%
構造単位(b);5~60モル%
であることがより好ましく、
構造単位(I);10~70モル%
構造単位(a);25~50モル%
構造単位(b);5~60モル%
であることがさらに好ましい。
【0107】
樹脂[Ki2]は、例えば、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0108】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki3]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki3]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);2~55モル%
構造単位(b);2~85モル%
構造単位(c);1~50モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~85モル%
構造単位(a);5~50モル%
構造単位(b);5~60モル%
構造単位(c);2~40モル%
であることがより好ましい。
【0109】
樹脂[Ki3]は、例えば、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0110】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki4]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki4]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);2~55モル%
構造単位(c);1~50モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~85モル%
構造単位(a);5~50モル%
構造単位(c);2~40モル%
であることがより好ましい。
樹脂[Ki4]は、例えば、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0111】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki5]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki5]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);1~65モル%
構造単位(d);1~55モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~90モル%
構造単位(a);2~55モル%
構造単位(d);2~45モル%
であることがより好ましく、
構造単位(I);40~90モル%
構造単位(a);5~45モル%
構造単位(d);5~40モル%
であることがさらに好ましく、
構造単位(I);45~85モル%
構造単位(a);10~40モル%
構造単位(d);5~35モル%
であることがよりさらに好ましい。
【0112】
樹脂[Ki5]は、単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体を得て、該共重合体中の構造単位(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、単量体(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを付加させること、又は単量体(Ii)と単量体(a)と単量体(b)との共重合体を得て、該共重合体中の構造単位(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルに、単量体(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させることにより製造することができる。
【0113】
前記単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体、及び前記単量体(Ii)と単量体(a)と単量体(b)との共重合体は、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様の方法で製造できる。
前記単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体における、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、前記共重合体を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);5~95モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~90モル%
構造単位(a);10~90モル%
であることがより好ましく、
構造単位(I);40~90モル%
構造単位(a);10~60モル%
であることがさらに好ましく、
構造単位(I);45~85モル%
構造単位(a);15~55モル%
であることがよりさらに好ましい。
また前記単量体(Ii)と単量体(a)と単量体(b)との共重合体における、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、前記共重合体を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);1~65モル%
構造単位(b);1~55モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~90モル%
構造単位(a);2~55モル%
構造単位(b);2~45モル%
であることがより好ましく、
構造単位(I);40~90モル%
構造単位(a);5~45モル%
構造単位(b);5~40モル%
であることがさらに好ましく、
構造単位(I);45~85モル%
構造単位(a);10~40モル%
構造単位(b);5~35モル%
であることがよりさらに好ましい。
【0114】
単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体中の構造単位(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、単量体(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを付加させる反応、及び単量体(Ii)と単量体(a)と単量体(b)との共重合体中の構造単位(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルに、単量体(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させる反応としては、単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体、又は単量体(Ii)と単量体(a)と単量体(b)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、単量体(b)又は単量体(a)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えば、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリフェニルホスフィン等)、及び重合禁止剤(例えば、ハイドロキノン、メトキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60~135℃で、1~15時間反応させることにより行うことができる。
構造単位(a)に単量体(b)を付加させる反応での単量体(b)の使用量は、単量体(a)100モルに対して、5~80モルが好ましく、より好ましくは10~70モルであり、さらに好ましくは15~60モルである。
構造単位(b)に単量体(a)を付加させる反応での単量体(a)の使用量は、単量体(b)100モルに対して、70~100モルが好ましい。
前記反応触媒の使用量は、単量体(a)及び単量体(b)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。
前記重合禁止剤の使用量は、単量体(a)及び単量体(b)の合計量100質量部に対して0.001~5質量部が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0115】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki6]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki6]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(a);1~55モル%
構造単位(c);1~50モル%
構造単位(d);1~90モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~85モル%
構造単位(a);2~50モル%
構造単位(c);2~40モル%
構造単位(d);2~85モル%
であることがより好ましい。
【0116】
樹脂[Ki6]は、例えば、樹脂[Ki5]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0117】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki7]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki7]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(d);1~90モル%
構造単位(e);1~60モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~85モル%
構造単位(d);2~85モル%
構造単位(e);2~50モル%
であることがより好ましく、
構造単位(I);45~85モル%
構造単位(d);5~40モル%
構造単位(e);2~30モル%
であることがさらに好ましい。
【0118】
樹脂[Ki7]は、単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体を得て、該共重合体中の構造単位(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に、単量体(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを付加させることにより構造単位(d1)を形成し、該構造単位(d1)が有するヒドロキシ基の一部に多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させることにより製造することができる。また樹脂[Ki7]は、単量体(Ii)と単量体(b)との共重合体を得て、該共重合体中の構造単位(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルに、単量体(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させることにより構造単位(d2)を形成し、該構造単位(d2)が有するヒドロキシ基の一部に多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させることにより製造することもできる。
【0119】
前記単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体、及び前記単量体(Ii)と単量体(b)との共重合体は、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様の方法で製造できる。
前記単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体における、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、樹脂[Ki5]の製造方法の記載での単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体における比率と同様であり、前記単量体(Ii)と単量体(b)との共重合体における、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、樹脂[Ki5]の製造方法の記載での単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体における単量体(a)を単量体(b)と読み替えての比率と同様である。
【0120】
単量体(Ii)と単量体(a)との共重合体中の構造単位(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物に、単量体(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを付加させる反応、及び単量体(Ii)と単量体(b)との共重合体中の構造単位(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルに、単量体(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させる反応としては、樹脂[Ki5]の製造方法の記載での付加反応と同様の方法が挙げられる。
構造単位(a)に単量体(b)を付加させる反応での単量体(b)の使用量は、単量体(a)100モルに対して、50~100モルが好ましい。
構造単位(b)に単量体(a)を付加させる反応での単量体(a)の使用量は、単量体(b)100モルに対して、50~100モルが好ましい。
【0121】
共重合体中の構造単位(d)に多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させる反応における、多価カルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の使用量は、構造単位(d)100モルに対して、10~80モルが好ましく、より好ましくは25~60モルである。
【0122】
樹脂(B1)としての樹脂[Ki8]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[Ki8]を構成する全構造単位中、
構造単位(I);5~95モル%
構造単位(c);1~50モル%
構造単位(d);1~90モル%
構造単位(e);1~60モル%
であることが好ましく、
構造単位(I);10~90モル%
構造単位(c);2~40モル%
構造単位(d);2~70モル%
構造単位(e);2~50モル%
であることがより好ましく、
構造単位(I);40~90モル%
構造単位(c);2~30モル%
構造単位(d);2~40モル%
構造単位(e);2~40モル%
であることがさらに好ましく、
構造単位(I);45~85モル%
構造単位(c);2~25モル%
構造単位(d);2~35モル%
構造単位(e);2~30モル%
であることがよりさらに好ましい。
【0123】
樹脂[Ki8]は、例えば、樹脂[Ki7]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0124】
樹脂(B1)としては、具体的に、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[Ki1];
3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体等の樹脂[Ki2];
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン/フェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン/トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン/ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン/フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート共重合体等の樹脂[Ki3];
フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[Ki4];
フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[Ki5];
フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[Ki6];
フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらに無水コハク酸を反応させた樹脂等の樹脂[Ki7];
フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、フェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、トリルオキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、ヒドロキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂、フェノキシフェノキシベンジル(メタ)アクリレート/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにコハク酸を反応させた樹脂等の樹脂[Ki8];等が挙げられる。
【0125】
樹脂(B1)は、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、構造単位(I)の含有率が、40~90モル%であることが好ましく、45モル%以上がより好ましく、50モル%以上がさらに好ましい。構造単位(I)の含有率が上記範囲内であれば、より現像残渣が少ないカラーフィルタを形成可能であり、好ましくは耐溶剤性及び/又はパターン形状もより良好なカラーフィルタを形成可能である。また構造単位(I)の含有率が上記範囲内であれば、カラーレジストを低粘度化できるために保存安定性にも優れる。
【0126】
樹脂(B1)は、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、構造単位(a)の含有率が、5~45モル%であることが好ましく、10モル%以上がより好ましく、15モル%以上がさらに好ましく、20モル%以上がよりさらに好ましく、25モル%以上がいっそう好ましい。
樹脂(B1)は、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、構造単位(b)の含有率が、0~30モル%であることが好ましく、20モル%以下がより好ましく、10モル%以下がさらに好ましく、5モル%以下がよりさらに好ましい。
樹脂(B1)は、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、構造単位(c)の含有率が、0~10モル%であることが好ましく、5モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましく、1モル%以下がよりさらに好ましい。
樹脂(B1)は、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、構造単位(d)の含有率が、3~45モル%であることが好ましく、5モル%以上がより好ましく、8モル%以上がさらに好ましく、10モル%以上がよりさらに好ましく、また40モル%以下がより好ましく、35モル%以下がさらに好ましく、30モル%以下がよりさらに好ましい。
樹脂(B1)は、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、構造単位(e)の含有率が、0~10モル%であることが好ましく、5モル%以下がより好ましく、2モル%以下がさらに好ましく、1モル%以下がよりさらに好ましい。
【0127】
樹脂(B1)としては、現像残渣をより抑制する観点から、構造単位(I)を含み、さらに構造単位(a)、構成単位(d)、及び構造単位(e)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、構造単位(I)及び構造単位(a)を含むことがより好ましく、樹脂[Ki1]、樹脂[Ki2]、樹脂[Ki5]、樹脂[Ki6]がさらに好ましく、樹脂[Ki1]、樹脂[Ki2]、樹脂[Ki5]がよりさらに好ましい。また、形成されるカラーフィルタの耐溶剤性を向上させる観点からは、構造単位(I)、構造単位(a)、及び構造単位(d)を含むことが好ましく、樹脂[Ki5]、樹脂[Ki6]がより好ましく、樹脂[Ki5]がさらに好ましい。また、形成されるカラーフィルタのパターン形状をより良好とする観点からは、樹脂[Ki1]、樹脂[Ki2]が好ましい。
【0128】
樹脂(B1)は、現像残渣をより抑制する観点から、1級水酸基及び/又は2級水酸基を有することが好ましく、現像残渣の抑制に加えて耐溶剤性を向上させる観点から、1級水酸基及び2級水酸基を有することが好ましい。なお1級水酸基とは第1級炭素原子に結合している水酸基を意味し、2級水酸基とは第2級炭素原子に結合している水酸基を意味する。樹脂(B1)が1級水酸基及び2級水酸基を有する場合、樹脂(B1)が有する水酸基における1級水酸基の割合が、30~95モル%であることが好ましく、35モル%以上がより好ましく、40モル%以上がさらに好ましく、45モル%以上がよりさらに好ましく、50モル%以上がいっそう好ましく、また90モル%以下がより好ましく、85モル%以下がさらに好ましく、80モル%以下がよりさらに好ましい。なお1級水酸基の割合は、1H-NMR測定により求めることができる。具体的には、1H-NMR測定を行い、1級水酸基が結合したメチレン基の積分値と、2級水酸基が結合したメチン基の積分値とを比較することにより算出することができる。
【0129】
樹脂(B1)はエチレン性不飽和結合を有さずともよいが、形成されるカラーフィルタの耐溶剤性向上の観点から、エチレン性不飽和結合を有することが好ましく、樹脂(B1)を構成する全構造単位中、エチレン性不飽和結合を有する構造単位の含有率が、3~45モル%であることが好ましく、5~40モル%がより好ましく、8~35モル%がさらに好ましい。
【0130】
樹脂(B1)の酸価は固形分換算で(つまり、固形分酸価)、80~150mg-KOH/gであり、85mg-KOH/g以上が好ましく、また140mg-KOH/g以下が好ましく、135mg-KOH/g以下がより好ましく、130mg-KOH/g以下がさらに好ましい。樹脂(B1)の酸価が固形分換算で150mg-KOH/g超であると、溶剤(特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)への溶解性が低下し、着色硬化性樹脂組成物とした際に、均一性に欠けるという問題が生じ得る。ここで酸価は、樹脂(B1)1gを中和するために必要な水酸化カリウムの量(mg)として測定される値であり、例えば水酸化カリウム水溶液を用いて滴定することにより求めることができる。
【0131】
樹脂(B1)は二重結合を有さなくともよいが、形成されるカラーフィルタの耐溶剤性向上の観点から、樹脂(B1)の二重結合当量は、100~4000g/モルが好ましく、300g/モル以上がより好ましく、500g/モル以上がさらに好ましく、また3000g/モル以下がより好ましく、2000g/モル以下がさらに好ましい。ここで二重結合当量は、樹脂(B1)におけるエチレン性不飽和基1モル当りの質量のことである。二重結合当量は、例えば樹脂(B1)の製造に使用した単量体が全て反応したと仮定して、仕込み量から算出することができる。
【0132】
樹脂(B1)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは4,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。
【0133】
樹脂(B1)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0134】
樹脂(B)は、構造単位(I)を含まない樹脂(以下、「樹脂(B2)」という場合がある)や、構造単位(I)を含み、且つ固形分酸価が80mg-KOH/g未満又は150mg-KOH/g超である樹脂(以下、「樹脂(B3)」という場合がある)を含有していてもよい。樹脂(B2)、樹脂(B3)はそれぞれ、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
樹脂(B3)としては、例えば、前述の樹脂[Ki1]~[Ki8]等が挙げられる。
【0135】
樹脂(B2)としては、例えば、以下の表6に示す構造単位を必須単位として有する樹脂[K1]~[K7]等が挙げられる。表6中の構造単位(a)~(e)は、それぞれ、前述の構造単位(a)~(e)と同じ意味を表し、好ましい態様も同様である。
また表6に示す樹脂[K1]~[K7]における必須構成単位の合計量は、それぞれ、全構成単位100質量%中、例えば、80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%である。
【0136】
【0137】
樹脂[K1]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K1]を構成する全構造単位中、
構造単位(a);2~60モル%
構造単位(b);40~98モル%
であることが好ましく、
構造単位(a);10~50モル%
構造単位(b);50~90モル%
であることがより好ましい。
【0138】
樹脂[K1]は、例えば、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0139】
樹脂[K2]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K2]を構成する全構造単位中、
構造単位(a);2~45モル%
構造単位(b);2~95モル%
構造単位(c);1~65モル%
であることが好ましく、
構造単位(a);5~40モル%
構造単位(b);5~80モル%
構造単位(c);5~60モル%
であることがより好ましい。
【0140】
樹脂[K2]は、例えば、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0141】
樹脂[K3]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K3]を構成する全構造単位中、
構造単位(a);2~60モル%
構造単位(c);40~98モル%
であることが好ましく、
構造単位(a);10~50モル%
構造単位(c);50~90モル%
であることがより好ましい。
樹脂[K3]は、例えば、樹脂[Ki1]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0142】
樹脂[K4]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K4]を構成する全構造単位中、
構造単位(a);5~90モル%
構造単位(d);10~95モル%
であることが好ましく、
構造単位(a);10~80モル%
構造単位(d);20~90モル%
であることがより好ましい。
【0143】
樹脂[K4]は、単量体(a)から重合体を得て、該重合体中の構造単位(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、単量体(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルを付加させること、又は単量体(a)と単量体(b)との共重合体を得て、該共重合体中の構造単位(b)が有する炭素数2~4の環状エーテルに、単量体(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物を付加させることにより製造することができる。
前記単量体(a)と単量体(b)との共重合体における、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、樹脂[K1]で挙げた比率と同じであることが好ましい。
【0144】
構造単位(d)の形成反応は、樹脂[Ki5]の製造方法での構造単位(d)の形成反応と同様の条件で行うことができる。
【0145】
樹脂[K5]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K5]を構成する全構造単位中、
構造単位(a);1~55モル%
構造単位(c);1~50モル%
構造単位(d);1~95モル%
であることが好ましく、
構造単位(a);2~50モル%
構造単位(c);2~40モル%
構造単位(d);2~90モル%
であることがより好ましい。
【0146】
樹脂[K5]は、例えば、樹脂[Ki5]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0147】
樹脂[K6]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K6]を構成する全構造単位中、
構造単位(d);5~98モル%
構造単位(e);2~95モル%
であることが好ましく、
構造単位(d);8~95モル%
構造単位(e);5~92モル%
であることがより好ましい。
【0148】
樹脂[K6]は、例えば、樹脂[Ki7]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0149】
樹脂[K7]において、必須単位として有する構造単位のそれぞれの比率は、樹脂[K7]を構成する全構造単位中、
構造単位(c);1~50モル%
構造単位(d);1~95モル%
構造単位(e);1~60モル%
であることが好ましく、
構造単位(c);2~40モル%
構造単位(d);2~90モル%
構造単位(e);2~50モル%
であることがより好ましい。
【0150】
樹脂[K7]は、例えば、樹脂[Ki7]の製造方法として記載した方法と同様に製造することができる。
【0151】
樹脂(B2)としては、具体的に、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K1];
グリシジル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/N-シクロヘキシルマレイミド/2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート共重合体、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルアクリレート/(メタ)アクリル酸/ベンジル(メタ)アクリレート共重合体、3-メチル-3-(メタ)アクリルロイルオキシメチルオキセタン/(メタ)アクリル酸/スチレン共重合体等の樹脂[K2];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体等の樹脂[K3];
(メタ)アクリル酸重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K4];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、(メタ)アクリル酸/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、(メタ)アクリル酸/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等の樹脂[K5];
(メタ)アクリル酸重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、(メタ)アクリル酸/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K6];
ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、(メタ)アクリル酸/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂、(メタ)アクリル酸/トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等の樹脂[K7];等が挙げられる。
【0152】
樹脂(B2)の酸価は、固形分換算で、好ましくは10~300mg-KOH/gであり、より好ましくは20~250mg-KOH/gであり、さらに好ましくは25~200mg-KOH/gであり、よりさらに好ましくは30~150mg-KOH/gであり、特に好ましくは30~130mg-KOH/gである。
【0153】
樹脂(B2)のポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは3,000~100,000であり、より好ましくは4,000~50,000であり、さらに好ましくは5,000~30,000である。重量平均分子量が前記の範囲内にあると、得られる着色パターンの残膜率や硬度が高い傾向がある。
【0154】
樹脂(B2)の分散度[重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)]は、好ましくは1.1~6であり、より好ましくは1.2~4である。
【0155】
樹脂(B)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは1~65質量%であり、より好ましくは5~60質量%であり、さらに好ましくは8~55質量%である。樹脂(B)の含有率が、前記の範囲内にあると、着色パターンが形成でき、また着色パターンの解像度及び残膜率が向上する傾向がある。
【0156】
樹脂(B1)の含有率は、樹脂(B)の総量中、5~100質量%が好ましく、より好ましくは10~100質量%であり、さらに好ましくは30~100質量%であり、よりさらに好ましくは40~100質量%であり、特に好ましくは50~100質量%である。
【0157】
樹脂(B1)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは1~65質量%であり、より好ましくは5~55質量%であり、さらに好ましくは8~50質量%であり、よりさらに好ましくは10~45質量%であり、特に好ましくは15~40質量%である。
【0158】
樹脂(B2)を含有する場合、樹脂(B2)の含有率は、樹脂(B)の総量中、好ましくは1~95質量%であり、より好ましくは5~90質量%であり、さらに好ましくは10~70質量%であり、よりさらに好ましくは15~50質量%である。
【0159】
樹脂(B2)を含有する場合、樹脂(B2)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは1~50質量%であり、より好ましくは5~45質量%であり、さらに好ましくは8~40質量%であり、よりさらに好ましくは10~30質量%である。
【0160】
樹脂(B3)を含有する場合、樹脂(B3)の含有率は、樹脂(B)の総量中、好ましくは1~30質量%であり、より好ましくは1~20質量%であり、さらに好ましくは1~10質量%であり、よりさらに好ましくは1~5質量%である。
【0161】
樹脂(B3)を含有する場合、樹脂(B3)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、好ましくは0.1~20質量%であり、より好ましくは0.5~10質量%であり、さらに好ましくは0.5~5質量%である。
【0162】
<重合性化合物(C)>
重合性化合物(C)は、重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル及び/又は酸によって重合しうる化合物であり、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられ、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル化合物である。
【0163】
エチレン性不飽和結合を1つ有する重合性化合物としては、例えば、ノニルフェニルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルカルビトールアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-ビニルピロリドン等、並びに上述の単量体(Ii)、単量体(a)、単量体(b)、及び単量体(c)等が挙げられる。
【0164】
エチレン性不飽和結合を2つ有する重合性化合物としては、例えば、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル、及び3-メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0165】
重合性化合物(C)は、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する重合性化合物であることが好ましい。このような重合性化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられ、好ましくはトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0166】
重合性化合物(C)の重量平均分子量は、好ましくは50~4,000であり、より好ましくは70~3,500であり、さらに好ましくは100~3,000であり、よりさらに好ましくは150~2,900であり、特に好ましくは250~1,500である。
【0167】
重合性化合物(C)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量に対して、例えば1~99質量%であってよく、好ましくは5~90質量%であり、より好ましくは8~80質量%であり、さらに好ましくは10~70質量%である。
【0168】
<重合開始剤(D)>
重合開始剤(D)は、光や熱の作用により活性ラジカル、酸等を発生し、重合を開始しうる化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。
【0169】
重合開始剤(D)としては、O-アシルオキシム化合物、アルキルフェノン化合物、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物、及びアシルホスフィンオキサイド化合物等が挙げられる。
【0170】
前記O-アシルオキシム化合物は、式(d-1)で表される部分構造を有する化合物である。式中、*は結合手を表す。
【0171】
【0172】
前記O-アシルオキシム化合物としては、例えば、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-{2-メチル-4-(3,3-ジメチル-2,4-ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルファニル)フェニル)プロパン-1-オン-2-イミン、[8-[[(アセチルオキシ)イミノ][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メチル]-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-5-イル](2,4,6-トリメチルフェニル)メタノン等が挙げられる。イルガキュアOXE01(N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン)、イルガキュアOXE02(N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン)、イルガキュアOXE03([8-[[(アセチルオキシ)イミノ][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メチル]-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-5-イル](2,4,6-トリメチルフェニル)メタノン)(以上、BASF社製)、PBG-327(N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン;常州強力電子新材料(株)製)、アデカアークルズNCI-930(N-アセチルオキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルファニル)フェニル)プロパン-1-オン-2-イミン)、アデカオプトマーN-1919(以上、(株)ADEKA製)等の市販品を用いてもよい。中でも、O-アシルオキシム化合物は、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-2-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルファニル)フェニル)プロパン-1-オン-2-イミン、及び[8-[[(アセチルオキシ)イミノ][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メチル]-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-5-イル](2,4,6-トリメチルフェニル)メタノンからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、N-アセチルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)-3-シクロヘキシルプロパン-1-オン-2-イミン、N-ベンゾイルオキシ-1-(4-フェニルスルファニルフェニル)オクタン-1-オン-2-イミン、N-アセトキシ-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタン-1-イミン、N-アセチルオキシ-1-(4-(4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルファニル)フェニル)プロパン-1-オン-2-イミン、[8-[[(アセチルオキシ)イミノ][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メチル]-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-5-イル](2,4,6-トリメチルフェニル)メタノンがより好ましく、[8-[[(アセチルオキシ)イミノ][2-(2,2,3,3-テトラフルオロプロポキシ)フェニル]メチル]-11-(2-エチルヘキシル)-11H-ベンゾ[a]カルバゾール-5-イル](2,4,6-トリメチルフェニル)メタノンがさらに好ましい。これらのO-アシルオキシム化合物であると、高明度な光学フィルタが得られる傾向にある。
【0173】
前記アルキルフェノン化合物は、式(d-2)で表される部分構造又は式(d-3)で表される部分構造を有する化合物である。これらの部分構造中、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。式中、*は結合手を表す。
【0174】
【0175】
式(d-2)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルスルファニルフェニル)プロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-2-ベンジルブタン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]ブタン-1-オン等が挙げられる。イルガキュア369、907、379(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0176】
式(d-3)で表される部分構造を有する化合物としては、例えば、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-(4-イソプロペニルフェニル)プロパン-1-オンのオリゴマー、α,α-ジエトキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
感度の点で、アルキルフェノン化合物としては、式(d-2)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
【0177】
前記トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-ピペロニル-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0178】
前記アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。イルガキュア(登録商標)819(BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0179】
前記ビイミダゾール化合物としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2,3-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6-75372号公報、特開平6-75373号公報等参照)、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニルビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48-38403号公報、特開昭62-174204号公報等参照)、4,4’5,5’-位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているビイミダゾール化合物(例えば、特開平7-10913号公報等参照)等が挙げられる。中でも、下記式で表される化合物及びこれらの混合物が好ましい。
【0180】
【0181】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10-フェナンスレンキノン、2-エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10-ブチル-2-クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0182】
酸を発生する重合開始剤としては、例えば、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、4-アセトキシフェニルジメチルスルホニウムp-トルエンスルホナート、4-アセトキシフェニルメチルベンジルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムp-トルエンスルホナート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムp-トルエンスルホナート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート等のオニウム塩類や、ニトロベンジルトシレート類、ベンゾイントシレート類等が挙げられる。
【0183】
重合開始剤(D)としては、アルキルフェノン化合物、トリアジン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、O-アシルオキシム化合物、及びビイミダゾール化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む重合開始剤が好ましく、O-アシルオキシム化合物又はビイミダゾール化合物を含む重合開始剤がより好ましく、O-アシルオキシム化合物を含む重合開始剤がさらに好ましい。
【0184】
重合開始剤(D)の含有量は、樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部であり、より好ましくは1~20質量部である。重合開始剤(D)の含有量が、前記の範囲内にあると、高感度化して露光時間が短縮される傾向があるため光学フィルタの生産性が向上する。
【0185】
<重合開始助剤(D1)>
重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、若しくは増感剤である。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。
【0186】
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物、及びカルボン酸化合物等が挙げられる。
【0187】
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、及び4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、好ましくは4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。また、アミン化合物として、EAB-F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0188】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10-ジメトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、2-エチル-9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、及び2-エチル-9,10-ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0189】
チオキサントン化合物としては、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、及び1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0190】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N-フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N-ナフチルグリシン、及びナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0191】
これらの重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、着色硬化性樹脂組成物に含まれる全樹脂(B)及び重合性化合物(C)の合計量100質量部に対して、好ましくは0.1~30質量部、より好ましくは1~20質量部である。
【0192】
<溶剤(E)>
溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。
溶剤(E)は、例えば、エステル溶剤(分子内に-COO-を含み、-O-を含まない溶剤)、エーテル溶剤(分子内に-O-を含み、-COO-を含まない溶剤)、エーテルエステル溶剤(分子内に-COO-と-O-とを含む溶剤)、ケトン溶剤(分子内に-CO-を含み、-COO-を含まない溶剤)、アルコール溶剤(分子内にOHを含み、-O-、-CO-、及び-COO-を含まない溶剤)、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0193】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2-ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、及びγ-ブチロラクトン等が挙げられる。
【0194】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4-ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、及びメチルアニソール等が挙げられる。
【0195】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸メチル、2-メトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシプロピオン酸プロピル、2-エトキシプロピオン酸メチル、2-エトキシプロピオン酸エチル、2-メトキシ-2-メチルプロピオン酸メチル、2-エトキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、及びジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
【0196】
ケトン溶剤としては、4-ヒドロキシ-4-メチル-2-ペンタノン、アセトン、2-ブタノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン、4-ヘプタノン、4-メチル-2-ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、及びイソホロン等が挙げられる。
【0197】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、及びグリセリン等が挙げられる。
【0198】
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、及びメシチレン等が挙げられる。
【0199】
アミド溶剤としては、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、及びN-メチルピロリドン等が挙げられる。
【0200】
溶剤(E)としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、乳酸エチル、及びシクロヘキサノンが好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートがさらに好ましい。
【0201】
溶剤(E)を含む場合、溶剤(E)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、通常99.99質量%以下であり、好ましくは40~99質量%であり、より好ましくは50~97質量%であり、さらに好ましくは70~96質量%であり、よりさらに好ましくは75~95質量%である。言い換えると、着色硬化性樹脂組成物の固形分の総量は、通常0.01質量%以上であり、好ましくは1~60質量%であり、より好ましくは3~50質量%であり、さらに好ましくは4~30質量%であり、よりさらに好ましくは5~25質量%である。溶剤(E)の含有率が前記の範囲内にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0202】
<チオール化合物(T)>
チオール化合物(T)は、分子内にスルファニル基(-SH)を有する化合物である。
【0203】
分子内にスルファニル基を1つ有する化合物としては、例えば、2-スルファニルオキサゾール、2-スルファニルチアゾール、2-スルファニルベンズイミダゾール、2-スルファニルベンゾチアゾール、2-スルファニルベンゾオキサゾール、2-スルファニルニコチン酸、2-スルファニルピリジン、2-スルファニルピリジン-3-オール、2-スルファニルピリジン-N-オキサイド、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-スルファニルピリミジン、4-アミノ-6-ヒドロキシ-2-スルファニルピリミジン、4-アミノ-2-スルファニルピリミジン、6-アミノ-5-ニトロソ-2-チオウラシル、4,5-ジアミノ-6-ヒドロキシ-2-スルファニルピリミジン、4,6-ジアミノ-2-スルファニルピリミジン、2,4-ジアミノ-6-スルファニルピリミジン、4,6-ジヒドロキシ-2-スルファニルピリミジン、4,6-ジメチル-2-スルファニルピリミジン、4-ヒドロキシ-2-スルファニル-6-メチルピリミジン、4-ヒドロキシ-2-スルファニル-6-プロピルピリミジン、2-スルファニル-4-メチルピリミジン、2-スルファニルピリミジン、2-チオウラシル、3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-チオール、4,5-ジフェニルイミダゾール-2-チオール、2-スルファニルイミダゾール、2-スルファニル-1-メチルイミダゾール、4-アミノ-3-ヒドラジノ-5-スルファニル-1,2,4-トリアゾール、3-アミノ-5-スルファニル-1,2,4-トリアゾール、2-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、3-スルファニル-1H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、2-アミノ-5-スルファニル-1,3,4-チアジアゾール、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール、2,5-ジスルファニル-1,3,4-チアジアゾール、(フラン-2-イル)メタンチオール、2-スルファニル-5-チアゾリドン、2-スルファニルチアゾリン、2-スルファニル-4(3H)-キナゾリノン、1-フェニル-1H-テトラゾール-5-チオール、2-キノリンチオール、2-スルファニル-5-メチルベンズイミダゾール、2-スルファニル-5-ニトロベンズイミダゾール、6-アミノ-2-スルファニルベンゾチアゾール、5-クロロ-2-スルファニルベンゾチアゾール、6-エトキシ-2-スルファニルベンゾチアゾール、6-ニトロ-2-スルファニルベンゾチアゾール、2-スルファニルナフトイミダゾール、2-スルファニルナフトオキサゾール、3-スルファニル-1,2,4-トリアゾール、4-アミノ-6-スルファニルピラゾロ[2,4-d]ピリジン、2-アミノ-6-プリンチオール、6-スルファニルプリン、4-スルファニル-1H-ピラゾロ[2,4-d]ピリミジン等が挙げられる。
【0204】
分子内にスルファニル基を2つ以上有する化合物としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ビス(メチルスルファニル)ベンゼン、ブタンジオールビス(3-スルファニルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3-スルファニルアセテート)、エチレングリコールビス(3-スルファニルアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-スルファニルアセテート)、ブタンジオールビス(3-スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-スルファニルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-スルファニルアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-スルファニルアセテート)、トリスヒドロキシエチルトリス(3-スルファニルプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-スルファニルブチレート)、1,4-ビス(3-スルファニルブチルオキシ)ブタン等が挙げられる。
【0205】
チオール化合物(T)の含有量は、重合開始剤(D)100質量部に対して、好ましくは0.5~50質量部、より好ましくは5~45質量部である。チオール化合物(T)の含有量がこの範囲内にあると、感度が高くなり、また現像性がさらに良好になる傾向がある。
【0206】
<レベリング剤(F)>
レベリング剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0207】
シリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(商品名:東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF4446、TSF4452、及びTSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0208】
フッ素系界面活性剤としては、分子内にフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(登録商標)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同F554、同R30、同RS-718-K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(AGC(株)製)、及びE5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0209】
フッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、分子内にシロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、及び同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0210】
レベリング剤(F)を含有する場合、レベリング剤(F)の含有率は、着色硬化性樹脂組成物の総量に対して、好ましくは0.0005~1質量%であり、より好ましくは0.001~0.5質量%であり、さらに好ましくは0.005~0.1質量%である。なおこの含有量に、顔料分散剤の含有量は含まれない。レベリング剤(F)の含有率が前記の範囲内にあると、カラーフィルタの平坦性を良好にすることができる。
【0211】
<その他の成分>
着色硬化性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、クエンチャー、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤等、当該技術分野で公知の添加剤を含んでもよい。
【0212】
<着色硬化性樹脂組成物の製造方法>
着色硬化性樹脂組成物は、着色剤(A)、樹脂(B)、重合性化合物(C)、重合開始剤(D)、並びに必要に応じて用いられる重合開始助剤(D1)、溶剤(E)、チオール化合物(T)、レベリング剤(F)、及びその他の成分を混合することにより調製できる。混合は公知又は慣用の装置や条件により行うことができる。
着色剤(A)は、予め溶剤(E)の一部又は全部と混合し、平均粒子径が0.2μm以下程度となるまで、ビーズミル等を用いて分散させて得られた着色剤含有液として用いてもよく、着色剤含有液として用いることが好ましい。この際、必要に応じて前記分散剤、樹脂(B)の一部又は全部を配合してもよい。このようにして得られた着色剤含有液に、残りの成分を、所定の濃度となるように混合することにより、目的の着色硬化性樹脂組成物を調製できる。
また着色剤(A)として染料を含む場合の該染料は、予め溶剤(E)の一部又は全部に溶解させて溶液を調製してもよい。該溶液を、孔径0.01~1μm程度のフィルタでろ過することが好ましい。
【0213】
<カラーフィルタの製造方法>
本発明の着色硬化性樹脂組成物からカラーフィルタを形成することができる。着色パターンを製造する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。フォトリソグラフ法は、前記着色硬化性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成し、フォトマスクを介して該着色組成物層を露光して、現像する方法である。フォトリソグラフ法において、露光の際にフォトマスクを用いないこと、及び/又は現像しないことにより、前記着色組成物層の硬化物である着色塗膜を形成することができる。このように形成した着色パターンや着色塗膜が本発明のカラーフィルタである。
【0214】
作製するカラーフィルタの膜厚は、特に限定されず、目的や用途等に応じて適宜調整することができ、例えば、30μm以下、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、さらに好ましくは0.3μm以上である。
【0215】
基板としては、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミナケイ酸塩ガラス、表面をシリカコートしたソーダライムガラス等のガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板、シリコン、前記基板上にアルミニウム、銀、銀/銅/パラジウム合金薄膜等を形成したもの等が用いられる。これらの基板上には、別のカラーフィルタ層、樹脂層、トランジスタ、回路等が形成されていてもよい。またシリコン基板上にHMDS(ヘキサメチルジシラザン)処理を施した基板を使用してもよい。
【0216】
フォトリソグラフ法による各色画素の形成は、公知又は慣用の装置や条件で行うことができる。例えば、下記のようにして作製することができる。
まず、着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布し、加熱乾燥(プリベーク)及び/又は減圧乾燥することにより溶剤等の揮発成分を除去して乾燥させ、平滑な着色組成物層を得る。塗布方法としては、スピンコート法、スリットコート法、スリット アンド スピンコート法等が挙げられる。加熱乾燥を行う場合の温度は、30~120℃が好ましく、50~110℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間~60分間であることが好ましく、30秒間~30分間であることがより好ましい。減圧乾燥を行う場合は、50~150Paの圧力下、20~25℃の温度範囲で行うことが好ましい。着色組成物層の膜厚は、特に限定されず、目的とするカラーフィルタの膜厚に応じて適宜選択すればよい。
【0217】
次に、着色組成物層は、目的の着色パターンを形成するためのフォトマスクを介して露光される。該フォトマスク上のパターンは特に限定されず、目的とする用途に応じたパターンが用いられる。また、露光面全体に均一に平行光線を照射することや、フォトマスクと着色組成物層が形成された基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ及びステッパ等の露光装置を使用することが好ましい。着色塗膜を形成する場合には、フォトマスクを用いずに露光すればよい。
【0218】
露光に用いられる光源としては、250~450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
【0219】
露光後の着色組成物層を現像液に接触させて現像することにより、基板上に着色パターンが形成される。現像により、着色組成物層の未露光部が現像液に溶解して除去される。現像液としては、例えば、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等のアルカリ性化合物の水溶液が好ましい。これらのアルカリ性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは0.03質量%以上5質量%以下である。さらに、現像液は、界面活性剤を含んでいてもよい。現像方法は、パドル法、ディッピング法、及びスプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後の基板は、水洗されることが好ましい。
【0220】
さらに、得られた着色パターン又は着色塗膜に、ポストベークを行うことが好ましい。ポストベーク温度は、70~250℃が好ましく、80~240℃がより好ましい。ポストベーク時間は、1~120分間が好ましく、2~30分間がより好ましい。
【0221】
このようにして得られた着色パターン及び着色塗膜は、カラーフィルタとして有用である。
【0222】
本発明の着色硬化性樹脂組成物を用いれば、現像残渣が少ないカラーフィルタを形成することができる。未露光部における現像残渣が少ないことにより、該現像残渣に起因する基板の透明性変化(特に低下)を抑制することができる。また本発明の着色硬化性樹脂組成物を用いれば、好ましくは、耐溶剤性及び/又はパターン形状も良好なカラーフィルタを形成することができる。なお耐溶剤性とは、形成されたカラーフィルタの溶剤による膜厚低減のし難さを示すものである。またパターン形状は、パターンの線幅が、目標とする線幅(例えば、露光時に使用するフォトマスク上のパターンの線幅)に近い値である程に良好であるといえる。
【0223】
<表示装置、固体撮像素子>
前記カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置、電子ペーパー等)、及び固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタとして有用である。中でもOLED(Organic Light Emitting Diode)等を用いた有機EL表示装置に用いられるカラーフィルタとして有用である。
【実施例0224】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、以下においては、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
【0225】
<合成例1:顔料分散液(A-1)の調製>
C.I.ピグメントグリーン59 7.6部
C.I.ピグメントイエロー185 2.5部
C.I.ピグメントイエロー139 2.5部
アクリル系顔料分散剤 3.4部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 84.0部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させることにより、顔料分散液(A-1)を得た。
【0226】
<合成例2:顔料分散液(A-2)の調製>
C.I.ピグメントレッド291 19.6部
C.I.ピグメントレッド269 0.3部
C.I.ピグメントイエロー139 1.4部
アクリル系顔料分散剤 6.7部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 72.0部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させることにより、顔料分散液(A-2)を得た。
【0227】
<合成例3:樹脂(B-1)の調製>
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート252部を加え、窒素置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。次いで、3-フェノキシベンジルアクリレート290部、及びメタクリル酸65部からなるモノマー混合物に、11部のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートを添加したものを、滴下ロートから2時間にわたって前記フラスコ中に滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌して共重合反応を行った。その後、フラスコ内を空気に置換し、グリシジルメタクリレート27部、トリフェニルホスフィン1.1部、及びメトキノン0.8部を投入し、120℃で10時間にわたり反応を続け、樹脂(B-1)を生成した。最後に、反応溶液にポリマー固形分濃度が40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂(B-1)溶液を得た。生成した樹脂(B-1)の重量平均分子量Mwは9500であり、固形分酸価は90.8mg-KOH/gであった。
【0228】
<合成例4:樹脂(B-2)の調製>
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート249部を加え、窒素置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。次いで、3-フェノキシべンジルアクリレート242部、及びメタクリル酸81部からなるモノマー混合物に、11部のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートを添加したものを、滴下ロートから2時間にわたって前記フラスコ中に滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌して共重合反応を行った。その後、フラスコ内を空気に置換し、グリシジルメタクリレート54部、トリフェニルホスフィン1.1部、及びメトキノン0.8部を投入し、120℃で10時間にわたり反応を続け、樹脂(B-2)を生成した。最後に、反応溶液にポリマー固形分濃度が40%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂(B-2)溶液を得た。生成した樹脂(B-2)の重量平均分子量Mwは9700であり、固形分酸価は91.8mg-KOH/gであった。
【0229】
<合成例5:樹脂(B-3)の調製>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を適量流して窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート280部を加え、撹拌しながら80℃まで加熱した。次いで、アクリル酸38部、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物(含有比はモル比で1:1)289部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート125部の混合溶液を5時間かけて滴下した。一方、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)33部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート235部に溶解した混合溶液を6時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度125mPa・s、固形分濃度35.1%の樹脂(B-3)溶液を得た。生成した樹脂(B-3)の重量平均分子量Mwは9200、分散度は2.08、固形分酸価は81mg-KOH/gであった。
【0230】
<合成例6:樹脂(B-4)の調製>
撹拌装置、滴下ロート、コンデンサー、温度計、及びガス導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート403部を加え、窒素置換しながら撹拌し、120℃に昇温した。次いで、3-フェノキシベンジルアクリレート297部、及びメタクリル酸43部からなるモノマー混合物に、3.4部のt-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートを添加したものを、滴下ロートから2時間にわたって前記フラスコ中に滴下した。滴下終了後、さらに30分間撹拌して共重合反応を行い、樹脂(B-4)を生成した。最後に、反応溶液にポリマー固形分濃度が35%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて、樹脂(B-4)溶液を得た。生成した樹脂(B-1)の重量平均分子量Mwは12600、分散度は1.97、固形分酸価は84.5mg-KOH/gであった。
【0231】
<合成例7:樹脂(B-5)の調製>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を流して窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート256部を加え、撹拌しながら80℃まで昇温した。次いで、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物44部、アクリル酸57部、3-フェノキシベンジルアクリレート249部、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート159部の混合溶液を、前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。一方、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)25部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート210部に溶解した混合溶液を、前記フラスコ中に5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度51mPas、固形分濃度36.0%の樹脂(B-5)溶液を得た。生成した樹脂(B-5)の重量平均分子量Mwは11000、分散度は1.98、固形分酸価は119mg-KOH/gであった。
【0232】
<合成例8:樹脂(B-6)の調製>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を流して窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート211部を加え、撹拌しながら85℃まで昇温した。次いで、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物43部、アクリル酸53部、3-フェノキシベンジルアクリレート253部、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部の混合溶液を、前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。一方、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)30部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート210部に溶解した混合溶液を、前記フラスコ中に5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度46mPas、固形分濃度35.9%の樹脂(B-6)溶液を得た。生成した樹脂(B-6)の重量平均分子量Mwは10000、分散度1.99、固形分酸価は109mg-KOH/gであった。
【0233】
<合成例9:樹脂(B-7)の調製>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を流して窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート256部を加え、撹拌しながら80℃まで昇温した。次いで、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物41部、アクリル酸44部、3-フェノキシベンジルアクリレート265部、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート159部の混合溶液を、前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。一方、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)25部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート210部に溶解した混合溶液を、前記フラスコ中に5時間かけて滴下した。滴下終了後、80℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度39mPas、固形分濃度35.8%の樹脂(B-7)溶液を得た。生成した樹脂(B-7)の重量平均分子量Mwは11000、分散度は1.97、固形分酸価は89mg-KOH/gであった。
【0234】
<合成例10:樹脂(B-8)の調製>
還流冷却器、滴下ロート、及び撹拌機を備えたフラスコ内に窒素を流して窒素雰囲気に置換し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート215部を加え、撹拌しながら85℃まで昇温した。次いで、3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イルアクリレート及び3,4-エポキシトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-9-イルアクリレートの混合物39部、アクリル酸36部、3-フェノキシベンジルメタクリレート275部、並びにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート200部の混合溶液を、前記フラスコ中に3時間かけて滴下した。一方、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)25部をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート210部に溶解した混合溶液を、前記フラスコ中に5時間かけて滴下した。滴下終了後、85℃で4時間保持した後、室温まで冷却して、B型粘度計(23℃)で測定した粘度33mPas、固形分濃度35.8重量%の樹脂(B-8)溶液を得た。生成した樹脂(B-8)の重量平均分子量Mwは11000、分散度2.02、固形分酸価は73mg-KOH/gであった。
【0235】
上記の合成例で得られた樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnの測定については、GPC法を用いて以下の条件で行った。
装置 ;HLC-8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK-GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;テトラヒドロフラン
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001~0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F-40、F-4、F-288、A-2500、A-500
(東ソー(株)製)
上記で得られたポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量の比(Mw/Mn)を分散度とした。
【0236】
<実施例1~8、及び比較例1~3>
(1)着色硬化性樹脂組成物の調製
表7に記載の各成分を表7に記載の配合量となるように混合して、着色硬化性樹脂組成物を得た。なお、着色硬化性樹脂組成物の調製にあたり、実施例1~6及び比較例1~2は着色硬化性樹脂組成物の固形分が16%となるように、実施例7~8及び比較例3は着色硬化性樹脂組成物の固形分が28%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを混合した。表7における各成分の配合量の単位は「質量部」であり、また該配合量は固形分換算値である。
【0237】
表7における各成分は、以下の通りである。
着色剤(A-1):上記で得られた顔料分散液(A-1)に由来する顔料(具体的には、C.I.ピグメントグリーン59、C.I.ピグメントイエロー185、及びC.I.ピグメントイエロー139からなる混合顔料)
着色剤(A-2):上記で得られた顔料分散液(A-2)に由来する顔料(具体的には、C.I.ピグメントレッド291、C.I.ピグメントレッド269、及びC.I.ピグメントイエロー139からなる混合顔料)
分散剤:上記で得られた顔料分散液(A-1)又は(A-2)に由来する顔料分散剤
樹脂(B-1):上記で得られた樹脂(B-1)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-2):上記で得られた樹脂(B-2)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-3):上記で得られた樹脂(B-3)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-4):上記で得られた樹脂(B-4)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-5):上記で得られた樹脂(B-5)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-6):上記で得られた樹脂(B-6)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-7):上記で得られた樹脂(B-7)溶液に由来する樹脂
樹脂(B-8):上記で得られた樹脂(B-8)溶液に由来する樹脂
重合性化合物(C):トリメチロールプロパントリアクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「A-TMPT」)
重合開始剤(D):下記式で表される化合物(BASF社製、商品名「イルガキュアOXE03」)
【0238】
【化14】
レベリング剤(F):ポリエーテル変性シリコーンオイル(東レ・ダウコーニング(株)製、商品名「トーレシリコーンSH8400」)
【0239】
【0240】
(2)耐溶剤性の評価
5cm角のガラス基板(イーグル2000;コーニング社製)上に、着色硬化性樹脂組成物を、ポストベーク後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコート法で塗布したのち、80℃で2分間プリベークして着色組成物層を形成した。放冷後、着色組成物層が形成された基板を露光機(TME-150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、200mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射後の着色組成物層を、濃度1%未満の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含む水系現像液に23℃で60秒間浸漬し現像した。その後、ホットプレート90℃で15分間ポストベークを行い、着色塗膜を得た。
得られた着色塗膜について、膜厚を、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製)を用いて測定した。その後、着色塗膜をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートに23℃で5分間浸漬した後、再度膜厚を測定し残膜率を以下の式に基づき算出した。結果を表8に示す。残膜率に関しては、100%に近いほど耐溶剤性に優れるといえ好ましい。
残膜率(%)=(溶剤浸漬後の膜厚/溶剤浸漬前の膜厚)×100
【0241】
(3)現像残渣の評価
露光工程を除いた以外は上記(2)項と同様に、基板上に着色硬化性樹脂組成物の塗布、プリベーク、現像液への浸漬、ポストベークを行った。得られた基板について、測色機(OSP-SP-200;オリンパス(株)製)を用いて波長650nmにおける透過率を測定した。そして、予め測定しておいた着色硬化性樹脂組成物塗布前の基板の波長650nmにおける透過率と比して、以下の式に基づき透過率低下量を算出した。結果を表8、9に示す。なお該透過率の低下は、現像の際の未露光部における現像残渣に起因する透過率の低下に値する。透過率低下量に関しては、0%に近いほど現像残渣が抑制できているといえ好ましい。
透過率低下量(%)=着色硬化性樹脂組成物塗布前の基板の透過率(%)-上記で得られた基板の透過率(%)
【0242】
(4)パターン形状の評価
4インチのシリコン基板の表面に、着色硬化性樹脂組成物をスピンコート法で塗布した後、85℃で2分間プリベークして着色組成物層を形成した。冷却後、着色組成物層が形成された基板を露光機(NSR-2205i11D;ニコン(株)製)を用いて、50mJ/cm2の露光量(365nm基準)で光照射した。光照射の際に、2.0μm四方のドットパターンを形成するためのフォトマスクを使用した。光照射後の着色組成物層を、濃度5%未満の水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)を含む水系現像液に23℃で60秒間浸漬し現像した。その後、ホットプレート90℃で15分間ポストベークを行い、着色パターンを得た。
得られた着色パターンについて、走査電子顕微鏡(SEM)にて形状を測定した。具体的には、画素を断面から測定したときに、基板と接している幅を線幅として測長した。結果を表10に示す。着色パターンの線幅に関しては、目標の線幅(本実施例及び比較例においては2.0μm)に近いほどパターン形状が良好であるといえ好ましい。特に目標の線幅の90~110%の長さの線幅であることが好ましい。
【0243】
【0244】
【0245】