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  • 特開-精選装置及び精選方法 図1
  • 特開-精選装置及び精選方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024088850
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】精選装置及び精選方法
(51)【国際特許分類】
   D21D 5/02 20060101AFI20240626BHJP
【FI】
D21D5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022203846
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】303017679
【氏名又は名称】独立行政法人 国立印刷局
(72)【発明者】
【氏名】長濱 秀明
【テーマコード(参考)】
4L055
【Fターム(参考)】
4L055CA03
4L055CB22
4L055FA21
4L055FA22
4L055FA23
(57)【要約】
【課題】連続して精選作業を行うことができる精選装置及び精選方法を提供する。
【解決手段】精選装置1は、原料が通過可能な複数の孔が形成されたスクリーン4と、スクリーン4を移動させる駆動部6と、移動したスクリーン4が通過するボックス2と、を備えている。また、精選装置1は、スクリーン4がボックス2を通過する際に、スクリーン4に原料を供給する原料供給部3と、ボックス2及びスクリーン4を振動させる加振器5と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料が通過可能な複数の孔が形成されたスクリーンと、
前記スクリーンを移動させる駆動部と、
移動した前記スクリーンが通過するボックスと、
前記スクリーンが前記ボックスを通過する際に、前記スクリーンに原料を供給する原料供給部と、
前記ボックス及び前記スクリーンを振動させる加振器と、
を備えた精選装置。
【請求項2】
前記スクリーンは、長手方向の一端部と他端部が接続された無端状に形成されて、前記駆動部により循環移動する請求項1に記載の精選装置。
【請求項3】
前記スクリーンは、複数のローラにより張架され、前記ボックス内において前記原料供給部から前記原料が供給される一面は、前記ボックスを通過した後、上下方向の下方を向く請求項1及び2に記載の精選装置。
【請求項4】
前記スクリーンを洗浄する洗浄装置を備え、
前記洗浄装置は、前記ボックスよりも前記スクリーンの移動方向の下流側に配置され、前記スクリーンの一面が下方を向く箇所において、前記スクリーンよりも上下方向の上方に配置される請求項1に記載の精選装置。
【請求項5】
前記ボックスの側面部には、前記スクリーンが通過する開口部が形成され、
前記開口部には、前記スクリーンを支持する支持部が、前記異物が通過できる程度の間隙を有して設けられている請求項1に記載の精選装置。
【請求項6】
前記支持部は、前記開口部において、前記スクリーンの撓み量を調整可能な範囲で、設置位置が上下方向に変更可能に構成される請求項5に記載の精選装置。
【請求項7】
前記スクリーンに付着した異物を回収する回収ボックスを備え、前記回収ボックスの底面部は、傾斜しており、
前記回収ボックスの底面部において、傾斜方向の下側に排水部が設けられる請求項1に記載の精選装置。
【請求項8】
用紙製造における原料に含まれる異物を取り除く工程において、
原料が通過可能な複数の孔が形成されたスクリーンを移動させる駆動工程と、
移動する前記スクリーンがボックスを通過する際に、前記スクリーンに原料を供給する原料供給工程と、
前記スクリーン及び前記ボックスを振動させる加振工程と、
を含む精選方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精選装置及び精選方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材パルプや、非木材パルプ、合成繊維等の単一材料、または混合材料からなる紙を製造する際に、原料(インレット)に含まれる異物を取り除く作業として精選作業が行われる。このような精選作業に用いられる技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。
【0003】
特許文献1には、槽内に浮動的支持手段により吊設して、揺振手段により揺振させるスクリーン枠と、スクリーン枠におけるスクリーンプレートの下側に設けて、スクリーン枠の上下動により上方への水の吹き上げを起させる多数の小区画室とを備えた技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61-296191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、精選作業を行うにつれてスクリーンに汚れが付着し、スクリーンに形成した孔に目詰まりが発生し、除塵率や歩留まりに影響を及ぼしていた。そのため、特許文献1に記載された技術では、定期的に装置を停止させて、スクリーンの清掃作業を行う必要があり、精選作業の効率が低下する、という問題を有していた。
【0006】
本発明の目的は、上記の問題点を考慮し、連続して精選作業を行うことができる精選装置及び精選方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、精選装置は、原料が通過可能な複数の孔が形成されたスクリーンと、スクリーンを移動させる駆動部と、移動したスクリーンが通過するボックスとを備えている。また、精選装置は、スクリーンがボックスを通過する際に、スクリーンに原料を供給する原料供給部と、ボックス及びスクリーンを振動させる加振器とを備えている。
【0008】
また、精選方法は、以下(1)から(3)に示す工程を含む。
(1)複数の孔が形成されたスクリーンを駆動部により移動させる工程。
(2)移動するスクリーンがボックスを通過する際に、スクリーンに原料を供給する工程。
(3)スクリーン及びボックスを加振器により振動させる工程。
【発明の効果】
【0009】
上記構成の精選装置及び精選方法によれば、スクリーンのつまりを抑制し、連続して精選作業を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施の形態例にかかる精選装置を正面から見た断面図である。
図2】本発明の実施の形態例にかかる精選装置を側面から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態例(以下、「本例」という。)にかかる精選装置及び精選方法について、図1及び図2を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
【0012】
図1は本例の精選装置を示す正面から見た断面図であり、図2は本例の精選装置を示す側面から見た断面図である。
【0013】
図1に示す本例の装置は、紙を製造する際に、原料(インレット)に含まれる異物を取り除く作業を行う精選装置である。図1及び図2に示すように、精選装置1は、ボックス2と、原料供給部3と、スクリーン4と、加振器5と、駆動部6と、複数のローラ7、9と、回収ボックス8と、洗浄装置11と、支持部12と、を有している。
【0014】
ボックス2は、中空の容器状に形成されている。ボックス2は、上下方向の上面が開放されている。ボックス2の上下方向の上方には、原料(インレット)31を供給する原料供給部3が配置されている。そして、原料供給部3から原料31がボックス2に供給される。
【0015】
また、ボックス2の上下方向の下端部には、排出部16が設けられている。排出部16からは、汚れが除去された原料(アクセプト)21がボックス2の外側に排出される。また、ボックス2の上下方向の下端部には、加振器5が設置されている。そして、加振器5が駆動することで、ボックス2が振動する。
【0016】
また、図2に示すように、ボックス2の幅方向の両側の側面部には、後述するスクリーン4と、スクリーン4上に残存する異物が通過できる程度の間隙を有して、それぞれ開口部2aが設けられている。開口部2aには、スクリーン4が挿通する。さらに、2つの開口部2aには、それぞれスクリーン4を支持する2つの支持部12が配置されている。支持部12としては、例えば、ローラやラバー等が適用される。
【0017】
スクリーン4は、原料21が通過可能な複数の孔を有している。スクリーン4は、例えば、メッシュ状のワイヤ、または複数のスリットや丸孔、ハニカム形状等の複数の孔が形成されたスチールベルトにより形成されている。スクリーン4は、長手方向の一端部と他端部が接続された無端状(シームレス状)に形成されている。そして、スクリーン4は、複数のローラ7、9により張架されている。複数のローラ7、9のうち一つのローラ9には、駆動部6が接続されている。駆動部6が駆動すると、複数のローラ7、9が回転し、スクリーン4が循環移動する。
【0018】
また、スクリーン4は、ボックス2に設けた2つの開口部2aのうち一つの開口部2aからボックス2の内部に移動し、ボックス2内を通過する。そして、スクリーン4は、ボックス2に設けた反対側の開口部2aからボックス2の外側に移動する。また、スクリーン4は、ボックス2の開口部2aに設けた支持部12により支持される。さらに、スクリーン4は、ボックス2内において自重により上下方向の下方に向けて撓む。
【0019】
ボックス2が加振器5によって振動した際、ボックス2の振動が支持部12を介してスクリーン4に伝達される。これにより、スクリーン4は、ボックス2とともに振動する。
【0020】
スクリーン4がボックス2内を通過する際、スクリーン4の上下方向の上方を向く一面4aは、原料供給部3と対向する。そして、スクリーン4の一面4aには、原料供給部3から原料31が供給される。上述したように、スクリーン4は、幅方向の両端部の2つの支持部12間において、上下方向の下方に向けて撓んでいる。そのため、スクリーン4は、ボックス2の開口部2aに対して下方に向けて傾斜している。これにより、ボックス2内において、スクリーン4に原料31が溜まる箇所を形成することができる。また、スクリーン4に供給された原料31が開口部2aからボックス2の外側にこぼれ落ちることを防止することができる。
【0021】
また、開口部2aに設けられた支持部12は、スクリーン4の撓み量を調整可能な範囲で、設置位置が上下方向に変更可能に構成されている。支持部12の設置位置を変更することで、原料31の排出状況に応じてスクリーン4の傾斜角度を調整することができる。
【0022】
また、スクリーン4の一部は、複数のローラ7、9に張架されてボックス2の上下方向の下方を移動する。ボックス2の下方を通過するスクリーン4の下側には、回収ボックス8が配置されている。回収ボックス8は、スクリーン4における原料が供給される一面4aと対向する。回収ボックス8は、その底面部が傾斜している。そして、回収ボックス8の底面部の傾斜方向の下側には、排水部14が設けられている。排水部14からは、回収ボックス8に溜まった洗浄水やゴミ51等が排水される。回収ボックス8の底面部が排水部14に向けて傾斜していることで、洗浄水やゴミ51等をスムーズに排水することができる。
【0023】
スクリーン4における回収ボックス8と対向する箇所には、洗浄装置11が配置されている。洗浄装置11は、スクリーン4の移動方向においてボックス2よりも下流側に配置される。洗浄装置11は、ボックス2を通過したスクリーン4よりも上下方向の上方に配置されている。そして、洗浄装置11は、スクリーン4に洗浄水やエアー等を吹き付ける。これにより、スクリーン4に付着したゴミ51がスクリーン4から除去されて、回収ボックス8に回収される。
【0024】
次に、上述した精選装置1の動作例について説明する。
【0025】
まず、駆動部6を駆動させて、スクリーン4を複数のローラ7、9の間で循環移動させる。そして、スクリーン4の一部がボックス2内を通過する際、スクリーン4の一面4aに原料供給部3から原料31を供給する。次に、加振器5を駆動させて、ボックス2とスクリーン4を振動させる。スクリーン4が振動することで、原料31から異物が除去される。そして、異物が除去された原料(アクセプト)21がスクリーン4の孔を通過し、ボックス2の底面部に溜まる。ボックス2に溜まった原料(アクセプト)21は、排出部16からボックス2の外側に排出される。
【0026】
また、スクリーン4は、循環移動することで、ボックス2内を通過し、回収ボックス8と対向する位置まで移動する。上述したように、回収ボックス8は、ボックス2やスクリーン4よりも上下方向の下方に配置されている。そのため、スクリーン4における原料31が供給される一面4aは、回収ボックス8まで移動した際は、上下方向の下方を向く。これにより、スクリーン4の一面4aに付着したゴミ51の一部は、自重により上下方向の下方に向けて落下し、回収ボックス8に回収される。
【0027】
また、回収ボックス8と対向する位置において、ボックス2を通過したスクリーン4よりも上下方向の上方に配置された洗浄装置11からスクリーン4に向けて洗浄水やエアーを吹き付ける。これにより、スクリーン4からゴミ51が除去される。そして、洗浄されたスクリーン4の一部は、再びボックス2内に移動する。その結果、スクリーン4は、目詰まりが解消された綺麗な状態で、ボックス2内に移動する。
【0028】
このように、本例の精選装置1によれば、精選作業中にスクリーン4の清掃作業を行うことができる。これにより、スクリーン4に目詰まりが発生し、除塵率や歩留まりに影響がでることを防止することができる。さらに、清掃作業のために装置を停止させる必要がなくなるため、連続して精選作業を行うことができる。
【0029】
なお、本発明は上述しかつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0030】
上述した実施の形態例では、スクリーン4を無端状に形成し、循環移動させる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、スクリーン4を長尺状のロール形状により形成してもよい。そして、ボックス2の上流側に配置された供給ローラからスクリーン4をボックス2に向けて供給し、ボックス2を通過したスクリーン4を回収ローラにより回収してもよい。このとき、洗浄装置11は、ボックス2よりもスクリーン4の移動方向の下流側においてボックス2と回収ローラの間に配置される。そして、回収ローラによってスクリーン4が巻き取られると、回収ローラ及び供給ローラを反転させて、回収ローラからボックス2に向けてスクリーン4を移動させて、供給ローラでスクリーン4を回収するようにしてもよい。
【0031】
なお、本明細書において、「平行」及び「直交」等の単語を使用したが、これらは厳密な「平行」及び「直交」のみを意味するものではなく、「平行」及び「直交」を含み、さらにその機能を発揮し得る範囲にある、「略平行」や「略直交」の状態であってもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…精選装置、 2…ボックス、 2a…開口部、 3…原料供給部、 4…スクリーン、 4a…一面、 5…加振器、 6…駆動部、 7、9…ローラ、 8…回収ボックス、 11…洗浄装置、 12…支持部、 14…排水部、 16…排出部、 21…原料(アクセプト)、 31…原料(インレット)、 51…ゴミ
図1
図2