(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089432
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】配線基板、発光装置及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240626BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240626BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240626BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L33/62
H05K1/11 N
H05K3/40 K
H05K3/00 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204787
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】細川 敦志
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】湊 永子
【テーマコード(参考)】
5E317
5F142
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB01
5E317BB02
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5F142CG24
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5F142FA03
5F142FA42
(57)【要約】
【課題】信頼性が向上する配線基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供すること。
【解決手段】配線基板10は、ビアホール2を備える基材1と、前記ビアホール内に配置される導通部3と、導通部と電気的に接続され、基材の表面に配置される配線部8と、を備え、導通部は銅粒子5と第1樹脂を含有する第1導電部材4Aを有しており、第1導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子5aと、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒5b子と、を含み、配線部は銅粒子を含有する第2導電部材4Bを有しており、第2導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、第1導電部材における小粒径粒子の重量割合は、第2導電部材における小粒径粒子の重量割合よりも少ない。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビアホールを備える基材と、
前記ビアホール内に配置される導通部と、
前記導通部と電気的に接続され、前記基材の表面に配置される配線部と、を備え、
前記導通部は銅粒子と第1樹脂を含有する第1導電部材を有しており、前記第1導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、
前記配線部は銅粒子を含有する第2導電部材を有しており、前記第2導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、
前記第1導電部材における前記小粒径粒子の重量割合は、前記第2導電部材における前記小粒径粒子の重量割合よりも少ない配線基板。
【請求項2】
前記第2導電部材に含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が70重量%以上95重量%以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記第1導電部材に含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が30重量%以上70重量%未満である請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記第1導電部材と前記第2導電部材とは界面を介することなく連続している請求項1に記載の配線基板。
【請求項5】
前記第1導電部材に含有する前記第1樹脂は、前記第1導電部材に含有する銅粒子100質量部に対して、前記第1樹脂は0.1質量部以上2質量部以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記第2導電部材は、さらに第2樹脂を含有しており、前記第2導電部材に含有する銅粒子100質量部に対して、前記第2樹脂は0.25質量部以上3質量部以下である請求項1に記載の配線基板。
【請求項7】
前記基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、窒化アルミニウム、窒化珪素の少なくともいずれか1種である請求項1に記載の配線基板。
【請求項8】
前記基材の表面は、粗面であり、粗化度はRz(最大高さ粗さ)=1.0μm以上である請求項1に記載の配線基板。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の配線基板と、前記配線基板の前記配線部と電気的に接続される発光素子と、を備える発光装置。
【請求項10】
前記発光装置は、さらに前記発光素子の側面に間を空けて配置した光反射部材と、前記光反射部材と前記発光素子の側面との間及び前記発光素子の上面を覆うように配置された封止部材と、を備える請求項9に記載の発光装置。
【請求項11】
ビアホールを備える基材、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子と1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子との銅粒子と、第1樹脂と、を含有する第1導電ペースト、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子と1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子との銅粒子を含有する第2導電ペースト、を準備することと、
前記第1導電ペーストを前記ビアホール内に充填して乾燥することと、
前記第2導電ペーストを前記第1導電ペースト上及び前記基材上に配置して乾燥することと、
前記第2導電ペーストを加圧して焼成することと、を含み、
前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストにおける小粒径粒子の重量割合は、前記第2導電ペーストにおける小粒径粒子の重量割合よりも少ない配線基板の製造方法。
【請求項12】
前記準備することにおいて、前記第2導電ペーストに含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が70重量%以上95重量%以下である請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項13】
前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストに含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が30重量%以上70重量%未満である請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項14】
前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストに含有する前記第1樹脂は、前記第1導電ペーストに含有する銅粒子100質量部に対して、前記第1樹脂は0.1質量部以上2質量部以下である請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項15】
前記準備することにおいて、前記第2導電ペーストは、さらに第2樹脂を含有しており、前記第2導電ペーストに含有する銅粒子100質量部に対して、前記第2樹脂は0.25質量部以上3質量部以下である請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項16】
前記準備することにおいて、前記第1導電ペースト及び前記第2導電ペーストの少なくとも一方は、さらに有機溶剤を含む請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項17】
前記有機溶剤は沸点が100℃以上300℃以下である請求項16に記載の配線基板の製造方法。
【請求項18】
前記第1導電ペーストを前記ビアホール内に充填して乾燥することにおいて、前記第1導電ペーストを60℃以上100℃以下の温度で乾燥する請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項19】
前記第2導電ペーストを前記第1導電ペースト上及び前記基材上に配置して乾燥することにおいて、前記第2導電ペーストを60℃以上100℃以下の温度で乾燥する請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項20】
前記焼成することにおいて、前記第1導電ペーストと前記第2導電ペーストとを連続するように形成する請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項21】
前記焼成することにおいて、大気中、真空中、不活性ガス中の少なくともいずれか1種の雰囲気中において焼成を行う請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項22】
前記焼成することにおいて、焼成温度は200℃以上300℃以下である請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項23】
前記焼成することにおいて、前記加圧は2.0MPa以上10.0MPa以下である請求項11に記載の配線基板の製造方法。
【請求項24】
請求項11から請求項23のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法によって配線基板を準備することと、
前記配線基板の配線部に発光素子を配置することと、
前記発光素子の側面から間を空けて光反射部材を配置することと、を含む発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板、発光装置及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多層配線基板の層間配線として、導電ペーストを充填したビアが採用される場合がある。例えば、特許文献1には、基板の両面に銅箔による配線を有し、導電ペーストを充填したビアを層間配線とする両面配線基板が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、信頼性が向上する配線基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される配線基板は、、ビアホールを備える基材と、前記ビアホール内に配置される導通部と、前記導通部と電気的に接続され、前記基材の表面に配置される配線部と、を備え、前記導通部は銅粒子と第1樹脂を含有する第1導電部材を有しており、前記第1導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、前記配線部は銅粒子を含有する第2導電部材を有しており、前記第2導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、前記第1導電部材における前記小粒径粒子の重量割合は、前記第2導電部材における前記小粒径粒子の重量割合よりも少ない。
【0006】
また、実施形態に開示される発光装置は、前記した配線基板と、前記配線基板の前記配線部と電気的に接続される発光素子と、を備える。
【0007】
また、実施形態に開示される配線基板の製造方法は、ビアホールを備える基材、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子と1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子との銅粒子と、第1樹脂と、を含有する第1導電ペースト、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子と1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子との銅粒子を含有する第2導電ペースト、を準備することと、前記第1導電ペーストを前記ビアホール内に充填して乾燥することと、前記第2導電ペーストを前記第1導電ペースト上及び前記基材上に配置して乾燥することと、前記第2導電ペーストを加圧して焼成することと、を含み、前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストにおける小粒径粒子の重量割合は、前記第2導電ペーストにおける小粒径粒子の重量割合よりも少ない。
【0008】
また、実施形態に開示される発光装置の製造方法は、前記した配線基板の製造方法によって配線基板を準備することと、前記配線基板の配線部に発光素子を配置することと、前記発光素子の側面から間を空けて光反射部材を配置することと、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、信頼性が向上する配線基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る配線基板を例示する断面斜視図である。
【
図2】実施形態に係る配線基板の一部を拡大して模式的に示す部分拡大断面図である。
【
図3】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図4A】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4B】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4C】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4D】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図4E】実施形態に係る配線基板の製造方法を例示する断面図である。
【
図5】実施形態に係る発光装置を例示する断面図である。
【
図6】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図7A】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図7B】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図7C】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。
【
図8】実施形態に係る発光装置の応用例を例示する断面図である。
【
図9】実施形態に係る発光装置の応用例を例示する平面図である。
【
図11】実施形態に係る配線基板の他の構成について一部を拡大して模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0012】
[配線基板]
実施形態に係る配線基板10を、
図1及び
図2を参照しながら説明する。なお、
図1は、実施形態に係る配線基板を例示する断面斜視図である。
図2は、実施形態に係る配線基板の一部を拡大して模式的に示す部分拡大断面図である。
【0013】
配線基板10は、ビアホール2を備える基材1と、ビアホール2内に配置される導通部3と、導通部3と電気的に接続され、基材の表面に配置される配線部8と、を備えている。そして、導通部3は銅粒子5と第1樹脂6Aを含有する第1導電部材4Aを有しており、第1導電部材4Aは0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子5aと、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子5bと、を含んでいる。さらに、配線部8は、銅粒子5を含有する第2導電部材4Bを有しており、第2導電部材4Bは0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子5aと、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子5bと、を含んでいる。そして、第1導電部材4Aにおける小粒径粒子5aの重量割合は、第2導電部材4Bにおける小粒径粒子5aの重量割合よりも少ないとしている。以下、配線基板10の各構成について説明する。明細書において特に断りのない限り、粒径はメジアン径(D50)のことを示しており、粒子径分布の測定方法はレーザ回折・散乱法で行っており、粒子径分布測定装置はマイクロトラック・ベル社製MT3300IIなどを使用することができる。
【0014】
配線基板10は、第1面10A及び第1面10Aの反対側の第2面10Bを有する基材1と、基材1の第1面10Aから第2面10Bに亘って貫通するビアホール2に配置した導通部3と、導通部3に電気的に接続される配線部8とを備えている。
(基材)
基材1は、配線基板10の基礎となる板状又はシート状の部材である。基材1の平面視形状は特に限定されず、例えば矩形状である。基材1は、ビアホール2が予め設定された位置に形成されている。この基材1は、例えば、ガラスエポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、窒化アルミニウム、窒化珪素の少なくともいずれか1種であることが好ましい。また、基材1の表面1aは、粗面であり、粗化度はRz(最大高さ粗さ)=1.0μm以上であることが好ましい。なお、基材1の表面粗さ(Rzjis)は、先端の曲率半径rが2μmのダイヤモンドスタイラスを備える触針式の表面粗さ計(例えば、株式会社小坂研究所製SE3500)を用い、JIS B 0601に準拠して測定してもよい。
【0015】
基材1の表面1aの粗化度がRz(最大高さ粗さ)=1.0μm以上であると、後記するように基材1と第2導電部材4Bとの接続強度が向上する。基材1の表面の粗化度Rzは、2.0μm以上がより好ましく、3.0μm以上がさらに好ましい。基材1の表面の粗化度Rzは、10.0μm以下が好ましく、8.0μm以下が特に好ましく、6.0μm以下がさらに好ましい。基材1の表面1aが前記した所定の粗面度であると、基材1に配置される配線部8の密着性を向上させることができる。つまり、配線部8では、第2導電部材4Bが後記するように、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合において小粒径粒子5aの重量割合が大きくなるように含有している。そのため、配線部8の第2導電部材4Bは、基材1の表面1aの粗面に小粒径粒子5aが入り込むことで、基材1の粗面の凹凸への追従性を向上させアンカー効果による密着性の向上を図ることができる。
【0016】
(導通部、配線部)
導通部3は、ビアホール2内に配置されて電気的に導通することができる部材である。導通部3は、基材1の表面に配置される配線部8に電気的に接続される。導通部3は、ビアホール2にペースト状で配置され焼成されることで導電性と強度を備えるものである。導通部3は、銅粒子5と第1樹脂6Aとを含有する第1導電部材4Aを有している。そして、第1導電部材4Aは、銅粒子5において、0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子5aと、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子5bと、を含んでいる。第1導電部材4Aの小粒径粒子5aは、配線部8が銅粒子5を含有する第2導電部材4Bでの小粒径粒子5aの重量割合より少ない。そのため、導通部3では配線部8より大粒径粒子5bの重量割合が多いので、焼成したときに、体積収縮量を減らすことで接続安定性や信頼性を向上することができる。また、配線部8よりも導通部3の方が熱伝導性が良くなり、放熱性を向上することができる。また、配線部8の表面の平滑性も向上することができる。
【0017】
導通部3では、第1導電部材4Aに含有する銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合が、小粒径粒子5aが30重量%以上で70重量%未満であることが好ましく、35重量%以上で65重量%以下であることがより好ましく、40重量%以上で60重量%以下であることが更に好ましい。なお、第1導電部材4Aの小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合は、第2導電部材4Bとの重量割合において、第2導電部材4Bの小粒径粒子5aよりも少ないことが前提となっており、この前提において、前記した重量割合の範囲で設定される。なお、導通部3と配線部8とが接する部分の配線部8の厚みまで導通部3と合わせた領域では、配線部8の他の領域と比較して大粒径粒子5bが小粒径粒子5aよりも重量割合で多くなるようになっている。そのため、前記領域では、焼成したときに体積収縮量を少なくすることができる。
【0018】
導通部3は、第1導電部材4Aが、第1樹脂6Aを含有しており、第1導電部材4Aに含有する銅粒子5の100質量部に対して、第1樹脂6Aは0.1質量部以上2質量部以下であることが好ましい。導通部3は、第1導電部材4Aが含有する第1樹脂6Aを、銅粒子5の100質量部に対して0.1質量以上2質量部以下の範囲であることで、焼成した後に、体積収縮量を少なくすることを補助する。第1導電部材4Aは、第1樹脂6Aを含有することで、焼成前の第1導電ペーストにおいてビアホール2に配置するときに、粉体のみの構成と比較して扱いやすくなる。
第1樹脂6Aは、銅粒子5との樹脂バインダとして、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂等の熱硬化性樹脂やポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。なお、第1導電部材4Aには、有機酸等の還元剤を含むことが好ましい。これにより銅粒子5同士が接合し易くなり電気抵抗を小さくすることができる。
【0019】
配線部8は、導通部3に電気的に接続され、基材1の表面1aとなる第1面10A及び第2面10Bに配置されている。配線部8は、一例として、導通部3が基材1を板厚方向に貫通して配置されている上面と下面とで接続されるように配置されている。配線部8は、例えば、導通部3に接続して覆うように、平面視形状が、矩形に配置されている。そして、配線部8は、銅粒子5を含有する第2導電部材4Bを有している。この第2導電部材4Bは、銅粒子5が0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子5aと、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子5bとを含んでいる。なお、第2導電部材4Bは、銅粒子5のみ、又は、銅粒子5を有機溶剤に含有させたものを用いることもできるが、ここでは一例として、銅粒子5と、第2樹脂6Bと、を含有している。
【0020】
配線部8では、第2導電部材4Bの銅粒子5の小粒径粒子5aを、大粒径粒子5bより重量割合が大きくなるように含んでいる。第2導電部材4Bは、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合において、小粒径粒子5aが70重量%以上で95重量%以下となるように含んでいることが好ましい。また、第2導電部材4Bは、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合は、小粒径粒子5aが75重量%以上であることがより好ましく、80重量%以上であることが更に好ましい。なお、第2導電部材4Bは、第1導電部材4Aの銅粒子5の小粒径粒子5aよりも重量割合が多いことが前提となっている。第2導電部材4Bは、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bの重量割合が前記した範囲にあると、基材1の表面1aに形成されている粗面において、粗面凹凸に小粒径粒子5aが入り込み易くなり、粗面凹凸への追従性を向上させアンカー効果による密着性の向上を図ることができる。
【0021】
また、配線部8は、第2導電部材4Bにおいて、銅粒子5の100質量部に対して、含有している第2樹脂6Bが0.25質量部以上3質量部以下であることが好ましい。第2樹脂6Bは、銅粒子5との樹脂バインダとしては、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂等の熱硬化性樹脂やポリビニルピロリドン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリエチレングリコール樹脂、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することができる。なお、第2導電部材4Bには、有機酸等の還元剤を含むことが好ましい。これにより銅粒子5との接続における電気抵抗を小さくすることができる。なお、第2樹脂6Bは、第1導電部材4Aの第1樹脂6Aと同じ材料であっても構わない。第2導電部材4Bは、第2樹脂6Bを含有することで、焼成前の第2導電ペーストにおいて基材1に配置するときに、粉体のみの構成と比較して扱いやすくなる。
【0022】
また、導通部3に接する配線部8は、第1導電部材4Aと第2導電部材4Bとが界面を介することなく連続している。第1導電部材4Aと第2導電部材4Bとは、銅粒子5と第1樹脂6Aあるいは第2樹脂6Bとの共通の部材を主としている。つまり、第1導電部材4Aと第2導電部材4Bは、主の材料である銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合が異なることで第1導電部材4Aあるいは第2導電部材4Bとして区分けしているので、焼成された後に界面ができることなく一体化する。
【0023】
上記のような構成を備える配線基板10は、ビアホール2内に配置される導通部3が焼成後において、体積収縮量を少なくすることができるので、発光素子20等のような電気的に接続するような部品との接続安定性を確保でき、信頼性を向上させることができる。
また、配線基板10では、第1導電部材4Aと第2導電部材4Bとが共通する銅粒子5において小粒径粒子5a及び大粒径粒子5bの重量割合を変えることで、配置する部分において配線部8ではアンカー効果により密着性の向上を図り、導通部3では体積収縮量を減らして接続安定性を向上させることができる。
【0024】
[配線基板の製造方法]
次に、実施形態に係る配線基板の製造方法S10を
図3から
図4Eを参照しながら説明する。
図3は、配線基板の製造方法S10のフローチャートである。
図4Aから
図4Eは、配線基板の製造方法S10を模式的に示す概略断面図である。
配線基板の製造方法S10は、ビアホール2を備える基材1、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子5aと1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子5bとの銅粒子5、第1樹脂6Aと、を含有する第1導電ペースト14A、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子5aと1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子5bとの銅粒子5を含有する第2導電ペースト14Bを準備することS11と、第1導電ペースト14Aをビアホール2内に配置して乾燥することS12と、第2導電ペースト14Bを第1導電ペースト14A上及び基材1上に配置して乾燥することS13と、第2導電ペースト14Bとを加圧して焼成することS14と、を含む。そして、準備することS11において、第1導電ペースト14Aにおける小粒径粒子5aの重量割合は、第2導電ペースト14Bにおける小粒径粒子5aの重量割合よりも少ないこととしている。
【0025】
(基板を準備すること)
基板を準備することS11は、ビアホールを備える基材1と、第1導電ペースト14Aと、第2導電ペースト14Bとを準備することである(以下、工程S11という)。この工程S11において、基材1は、表面1aを粗面としていることが好ましく、例えば、粗面の粗化度はRz=1.0μm以上であるものを準備する。また、基材1の表面1aを粗面とする処理は、ブラスト処理等の物理的な処理方法や、化学的な処理方法等、この分野で使用されている処理方法で行うことができる。なお、ビアホール2を基材1に形成する場合は、レーザ加工や、エッチングなどによる化学的な加工や、ドリルなどによる機械的な加工により形成することができる。
【0026】
この工程S11において、第1導電ペースト14Aは、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子5aと1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子5bとの銅粒子5を含む。そして、第1導電ペースト14Aは、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bの重量割合において、小粒径粒子5aを30重量%以上70重量%未満含むものであることが好ましい。第1導電ペースト14Aは、銅粒子5の小粒径粒子5aが、第2導電ペースト14Bの銅粒子5の小粒径粒子5aの重量割合よりも少ないことが前提となって、前記した小粒径粒子5a及び大粒径粒子5bとの重量割合となっている。また、工程S11において、第1導電ペースト14Aは、第1樹脂6Aを含有していることが好ましい。第1導電ペースト14Aに含有する第1樹脂6Aは、第1導電ペースト14Aに含有する銅粒子5の100重量部に対して第1樹脂6Aを0.1質量部以上2質量部以下で含有することが好ましい。さらに、工程S11において、第1導電ペースト14Aは、有機溶剤を含んでいることが好ましく、その有機溶剤の沸点が100℃以上300℃以下、特に150℃以上300℃以下であることが更に好ましい。第1導電部材4Aは、有機溶剤を含むことで流動性を有し、ビアホール2内に配置するときに扱いやすくなる。
【0027】
また、工程S11において、第2導電ペースト14Bは、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子5aと1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子5bとの銅粒子5を含む。そして、第2導電ペースト14Bは、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bの重量割合において、小粒径粒子5aを70重量%以上95重量%以下含むものであることが好ましい。第2導電ペースト14Bは、銅粒子5の小粒径粒子5aが、第1導電ペースト14Aの銅粒子5の小粒径粒子5aの重量割合よりも多いことが前提となって、前記した小粒径粒子5a及び大粒径粒子5bとの重量割合となっている。また、工程S11において、第2導電ペースト14Bは、さらに第2樹脂6Bを含有していることが好ましい。第2導電ペースト14Bは、第2導電ペースト14Bに含有する銅粒子5の100重量部に対して第2樹脂6Bを0.25質量部以上3質量部以下で含有することが好ましい。さらに、工程S11において、第2導電ペースト14Bは、有機溶剤を含んでいることが好ましく、その有機溶剤の沸点が100℃以上300℃以下、特に150℃以上300℃以下であることが更に好ましい。第2導電部材4Bは、有機溶剤を含むことで流動性を有し、基材1に配置するときに扱いやすくなる。
【0028】
(第1導電ペーストを配置して乾燥すること)
第1導電ペーストを配置して乾燥することS12(以下、工程S12という)は、基材1のビアホール2内に第1導電ペースト14Aを配置して乾燥させることである。工程S12において、導電ペースト14Aは、乾燥させる前は流動性を有しており、例えば、ディスペンサのノズルからビアホール2内に注入してもよく、スクリーン印刷やメタルマスク印刷によりビアホール2内に充填するように配置してもよく、ノズルから注入した後にスクリーン印刷をするなど、ノズル注入とスクリーン印刷との併用でもよい。また、この工程S12において、第1導電ペースト14Aを60℃以上100℃以下の温度で乾燥させることが好ましい。工程S12において、第1導電ペースト14Aを乾燥させる場合には、例えば、電気炉を用いて行うことができる。
【0029】
(第2導電ペーストを配置して乾燥すること)
第2導電ペーストを配置して乾燥することS13(以下、工程S13という)は、ビアホール2内に配置して乾燥させた第1導電ペースト14A上及び基材1上に第2導電ペースト14Bを配置して乾燥させることである。この工程S13では、例えば、第2導電ペースト14Bを、マスクを介して塗布することで配置でき、スクリーン印刷やメタルマスク印刷により配置することができる。また、この工程S13において、第2導電ペースト14Bを60℃以上100℃以下の温度で乾燥させることが好ましい。工程S13において、第2導電ペースト14Bを乾燥させる場合には、例えば、
図4Dに示すような、電気炉を用いて行うことができる。
【0030】
(加圧して焼成すること)
加圧して焼成することS14は、第2導電ペースト14Bを加圧して焼成することとである(以下、工程S14という)。この工程S14では、第1導電ペースト14Aと第2導電ペースト14Bとを連続するように形成することが好ましい。第1導電ペースト14Aと第1導電ペースト14A上及び基材1上に配置された第2導電ペースト14Bを一度に、又は、複数回に分けて加圧してもよい。また、第2導電ペースト14Bの全体を同時に加圧する他、第1導電ペースト14A上と基材1条とを別々に分けて加圧してもよい。また、第1導電ペースト14A及び第2導電ペースト14Bの主として含有される銅粒子5及び第1樹脂6A、第2樹脂6Bを共通させることで、第1導電ペースト14Aが焼成された第1導電部材4Aと、第2導電ペースト14Bが焼成された第2導電部材4Bとにおいて界面を形成することなく連続するように形成される。
【0031】
また、工程S14では、焼成することにおいて、大気中、真空中、不活性ガス中のいずれかの雰囲気中で行われることが好ましい。なお、大気中、あるいは、不活性ガス中で焼成される場合には、圧力を2.0MPa以上10.0MPa以下となるように、気圧を上げたりプレスしたりして調整することが好ましい。また、工程S14を真空中で行う場合には、プレスにより前記した圧力の範囲で行うことができる。
さらに、工程S14において、焼成温度は、200℃以上300℃以下で行われることが好ましい。工程S14において、焼成温度を300℃以下にすることで、第1導電ペースト14A及び第2導電ペースト14Bで含有させる有機溶剤の選択範囲を広くすることができる。なお、加圧して焼成する場合には、電気炉やこの種の配線基板の焼成作業を行う場合に使用される焼成炉やプレス炉を用いることができる。
【0032】
前記した手順により配線基板の製造方法S10では、第1導電ペースト14A及び第2導電ペースト14Bが、銅粒子5を用い、かつ、銅粒子5の小粒径粒子5a及び大粒径粒子5bの重量割合を、前記したように変えて導通部3及び配線部8を形成している。そのため、導通部3では、体積収縮量を減らして接続安定性を向上させることができ、また、配線部8では、アンカー効果により密着性の向上を図ることができる。
【0033】
[発光装置]
次に、実施形態に係る発光装置100を、
図5を参照しながら説明する。
図5は、発光装置100を例示する断面図である。
発光装置100は、配線基板10に発光素子20を配置して発光するようにした装置である。図面では発光素子20の数は1つであるが、発光素子20の数は複数でもよく、その配置も一列状にすること等、特に限定されるもではない。
発光装置100は、すでに説明した配線基板10と、配線基板10に備える第2導電部材4Bを有する配線部8と電気的に接続される発光素子20と、を備えている。なお、発光装置100は、発光素子20の側面及び配線基板10の上面に光反射部材30を一例として配置しているものである。また、配線基板10では、用途に応じて様々なパターンの配線を形成することができる。
【0034】
(発光素子)
発光素子20は、半導体積層体21と、素子基板22と、一対の素子電極24と、を有している。半導体積層体21の上方に素子基板22を備え、半導体積層体の下方に一対の素子電極24を有している。なお、発光素子20の素子基板22の上方には透光性部材23が配置されている。
半導体積層体21としては、所望とする発光波長に応じて任意の組成を用いることができるが、例えば、青色又は緑色の発光が可能な窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaP、又は、赤色の発光が可能なGaAlAsやAlInGaPなどを用いることができる。また、使用する目的に応じて発光素子20の大きさや形状は適宜選択が可能である。
素子基板22は、一例として、サファイア基板あるいはシリコン基板が使用される。
【0035】
透光性部材23は、例えば、蛍光体やガラス等の無機物や透光性の樹脂材料からなり、透光性の樹脂材料としてエポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらを混合した樹脂等を用いることができる。透光性部材23は、ガラスや樹脂に蛍光体を含んでいてもよく、蛍光体を焼成したものでもよい。蛍光体は、例えば、発光素子20からの青色の光を吸収し、緑色や黄色、橙色、赤色等の光を放射する蛍光体を含むことにより、白色の光を出射させることができる。また、透光性部材23は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、半導体積層体21からの青色の光を吸収して、緑色の光を放射する蛍光体と、赤色の光を放射する蛍光体と、を含むことによっても、発光装置100から白色の光を出射させることができる。
【0036】
このような蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、Mz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)、若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、又は、ペロブスカイト、カルコパイライト等の量子ドット蛍光体等を用いることができる。
【0037】
素子電極24は、金属バンプ12により、接合部材11を介して配線基板10の配線部8に接続されている。素子電極24は、一方がp電極、他方がn電極であり、p電極はn電極と電気的に短絡しない距離を保って配置されている。素子電極24は、一例として、p電極とn電極とをそれぞれ一箇所ずつ配置する構成としているが、いずれか一方を二箇所とし、他方を一箇所配置するような構成としても構わない。
【0038】
金属バンプ12は、素子電極24と配線部8とを電気的に接続させるものである。金属バンプ12は、その形状、大きさ、数は、いずれも、素子電極24の範囲で配置できる限り、適宜設定することができる。また、金属バンプ12の大きさは、半導体積層体の大きさ、求められる発光素子の発光出力等によって適宜調整することができ、例えば、直径が数十μmから数百μm程度の大きさが挙げられる。
【0039】
金属バンプ12は、例えば、Au、Ag、Cu、Al、Sn、Pt、Zn、Ni又はこれらの合金により形成することができ、例えば当該分野で公知のスタッドバンプにより形成することができる。スタッドバンプは、スタッドバンプボンダー、ワイヤボンディング装置等により形成することができる。また、金属バンプ12は、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ、印刷、ディスペンス等の当該分野において公知の方法によって形成してもよい。
【0040】
金属バンプ12は、一例として、ここでは、めっき層等の接合部材11を介して接合されている。ここで用いられる接合部材11としては、例えば、Sn-Bi系、Sn-Cu系、Sn-Ag系、Au-Sn系などの半田、AuとSnとを主成分とする合金、AuとSiとを主成分とする合金、AuとGeとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、Ag、Au、Pdなどのペースト材、ACP、ACF等の異方性導電材、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた導電性接着材、導電性複合接着材等が挙げられる。
【0041】
(光反射部材)
光反射部材30は、光反射性を有する部材である。光反射部材30は、配線基板10における上面を覆うと共に、発光素子20の側面を覆うように配置されている。また、光反射部材30は、発光素子20の光取出し面を露出するように配置され、発光素子20の透光性部材23と同一平面となるように配置されている。なお、光反射部材30は、一例として、発光素子20の下面と配線基板10の上面との間にも配置されている。
光反射部材30は、発光素子20からの光を有効に利用するために、高い反射率を有することが好ましい。光反射部材30は、白色であることが好ましい。光反射部材30の反射率は、発光素子20の発する光の波長において、例えば80%以上であることが好ましく、90%以上がより好ましい。
【0042】
光反射部材30は、樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂若しくはポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、光拡散材としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料を用いることができる。
なお、発光装置100は、外部との接続を行う場合には、配線基板10の下面となる配線部8に、一例として接合部材11としてのめっき層を配置している。
【0043】
上記のような構成を備える発光装置100は、配線基板10における導通部3に第1導電部材4Aを備えることで、第1導電部材4Aの体積収縮量が小さく、信頼性を向上することができる。これは、体積収縮量の小さい第1導電部材4Aを含有する導通部3を用いる配線基板10上に発光素子20を配置することで発光素子20の安定性が良く、接合し易いためである。そして、第2導電部材4Bを有する配線部8と基材1との密着性の向上を図ることができる。これは、第2導電部材4Bが銅粒子5の小粒径粒子5aが大粒径粒子5bよりも重量割合で多く含まれているため、基材1の表面1aに対してアンカー効果を奏することができるためである。さらに第2導電部材4Bの表面を平滑にすることができる。
【0044】
なお、発光装置は、
図8に示すような構成としてもよい。
図8は、実施形態に係る発光装置の応用例を例示する断面図である。また、既に説明した部品は同じ符号を付して適宜説明を省略する。
発光装置100Aは、発光素子20の側面に間を空けて配置した光反射部材30と、光反射部材30と発光素子20の側面との間及び発光素子20の上面を覆うように配置された封止部材50と、を備えている。光反射部材30は、ここでは、発光素子20から間を空けて枠状に配置されている。
発光装置100Aは、配線基板10と、配線基板10の配線部8と電気的に接続される発光素子20と、発光素子20の側面に間を空けて配置した光反射部材30と、光反射部材30と発光素子20の側面との間及び発光素子20の上面を覆うように配置された封止部材50を備える。
【0045】
(封止部材)
封止部材50は、発光装置100Aの発光領域に配置される部材である。封止部材50の上面は、発光装置100Aの発光面となる。また、封止部材50は、発光素子20を覆い、保護する部材である。
封止部材50は、枠状に配置された光反射部材30で囲まれる内側に充填されている。封止部材50の高さは特に限定されない。例えば、封止部材50の高さを枠部材となる光反射部材30の上端の高さと同じ、又は、高くすることで配向角を大きくすることができる。封止部材50は、中央部の高さが周縁部よりも高く、断面視凸形状であってもよい。これにより、発光装置100は、上方から見た輝度を高めることができる。一方において、封止部材50の高さを枠部材となる光反射部材30の上端の高さよりも低くすることで、横方向への光を透過し難くすることができる。
【0046】
封止部材50は、絶縁性及び透光性を有し、耐候性及び耐光性に優れることが好ましい。封止部材50の材料は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。封止部材50は、波長変換物質や光拡散材をフィラーとして含有していてもよい。
このように構成された発光装置100Aにおいても、導通部3の第1導電部材4A及び配線部8の第2導電部材4Bを用いているため、既に説明した発光装置100と同等の作用効果を奏することができる。
【0047】
[発光装置の製造方法]
次に、実施形態に係る発光装置100の製造方法を
図6から
図7Eを参照して説明する。
図6は、実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
図7Aから
図7Eは、実施形態に係る発光装置の製造方法を例示する断面図である。なお、発光装置100Aの製造方法は、発光装置100の製造方法を説明した後に、
図6を参照して説明する
【0048】
発光装置100の製造方法S20は、既に説明した配線基板の製造方法S10によって配線基板10を準備することS21と、配線基板10の配線部に発光素子20を配置することS22と、発光素子20の側面から間を空けて光反射部材30を配置することS23と、を含む。光反射部材30を配置することS23では、発光素子20の側面及び下面に接するように光反射部材30を配置することとしている。そして、発光素子20を配置することS21において、ここでは第1導電部材4Aを有する導通部3の上下面に第2導電部材4Bを有する配線部8配置しており、第2導電部材4Bを有する配線部8を介して、第1導電部材4Aを有する導通部3と、発光素子20と、を電気的に接続している。
【0049】
(配線基板を準備すること)
配線基板10を準備することS21(以下、工程S21という)とは、既に説明した配線基板の製造方法S10によって製造した配線基板10を準備することである。配線基板10は、その上面及び下面を繋ぐ2つのビアホール2に配置された第1導電部材4Aを有する導通部3に、第2導電部材4Bを有する配線部8を接続して4箇所配置している。なお、配線部8は、その形状や大きさや間隔は、発光素子20の素子電極24に合わせて調節して形成することができる。なお、配線基板10は、発光素子20を配置する領域が複数あり、後記する光反射部材30を配置した後に、発光装置100毎に個片化する大きさとすることや、一つの発光装置100ごとの大きさとすることであっても構わない。また、ここでは、配線基板10の第2導電部材4Bの表面に接合部材11を配置している。
【0050】
(発光素子を配置すること)
発光素子20を配置することS22(以下、工程S22という)とは、発光素子20を配線基板10に配置することである。この工程S22では、発光素子20の素子電極24を、第2導電部材4Bに配置した接合部材11を介して金属バンプ12を用いて接続している。なお、発光素子20は、予め透光性部材23が素子基板22に接続された状態のものを使用する。透光性部材23を素子基板22に接合する場合には、透光性の接合材料を使用してもよく、接合材料を使用せず直接接合してもよい。
【0051】
(光反射部材を配置すること)
光反射部材30を配置することS23(以下、工程S23という)は、配線基板10の上面を覆うと共に、発光素子20の側面を覆うように光反射部材30を配置してもよい。この工程S23では、光反射部材30は、発光素子20を囲み発光素子20の光取出し面となる上面を露出するように配線基板10の上に配置される。光反射部材30は、平面視において発光素子20を中央にして矩形となるように配置される。この工程S23において、光反射部材30は、印刷や射出成形、噴霧、トランスファ成形など公知の方法で配置することができる。
【0052】
なお、発光装置の製造方法S20では、工程S23の作業が終了した後に、必要に応じて個片化作業が行われる。発光装置100は、使用されている発光素子20の数で予め発光装置100の1つの単位が設定されている。そのため、発光装置100をまとめて複数製造している場合には、個片化作業が行われる。個片化作業を行う場合には、格子状に切断することで、複数の発光装置100を作製する。また、切断する方法としては、例えば、円盤状の回転刃、超音波カッター、レーザ光照射等を用いることができる。
【0053】
上記のような手順による発光装置の製造方法S20は、配線基板の製造方法S10によって、配線基板10のビアホール2に配置される導通部3に接続する配線部8と発光素子20との接合を安定化させることで信頼性を図り、発光素子20の安定したオンオフ等の制御をすることが可能となる。
【0054】
次に、
図8に示すような発光装置100Aの製造方法について
図6を参照して説明する。発光装置100Aの製造方法S20Aでは、発光素子20を封止部材50で覆うようにしてもよい。
また、発光装置100Aの製造方法S20Aでは、配線基板の製造方法S10によって配線基板を準備することS21と、配線基板の配線部に発光素子を配置することS22と、発光素子の側面から間を空けて光反射部材を配置することS23と、発光素子の側面及び発光素子の上面を覆う封止部材を配置することS24と、を含む。なお、光反射部材を配置することS23(以下、工程S23という)では、発光素子20の側面を空けて光反射部材30を配置して、発光素子20と光反射部材30との間に枠状の溝を形成している。
【0055】
工程S23では、発光装置100の製造方法と異なり、発光素子の側面から間を空けて光反射部材30を配置している。ここでは、発光素子20の平面視形状が矩形なので、矩形環状、あるいは、矩形枠状の間を発光素子20の側面から空けて枠状の溝ができる状態となるように光反射部材30が配置される。また、工程S23では、発光素子20の上面よりも、発光素子20から間を空けて配置した光反射部材30の上面が高くなるように光反射部材30が配置される。
【0056】
封止部材を配置することS24(以下、工程S24という)は、発光素子20の側面及び発光素子20の上面を覆うように封止部材50を配置することである。工程S24では、封止部材50は、光反射部材30と発光素子20との間の開口部分から液状又はペースト状の樹脂を注入し、硬化させることで、封止部材50により発光素子20を覆うように配置することができる。この工程S24では、封止部材50と光反射部材30との上面の高さが同じ高さになるように封止部材50が配置される。
また、配線基板10の導通部3及び配線部8では、既に説明したように、第1導電部材4A及び第2導電部材4Bが銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合を前記したようにしているため、配線部8と発光素子20との接合を安定化させることで信頼性を図り、発光素子20の安定した制御をすることが可能となる。
【0057】
[面状発光装置]
次に、
図9及び
図10に示すように、発光装置は、面状発光装置の構成としてもよい。
図9は、実施形態に係る発光装置の応用例を例示する平面図である。
図10は、
図9のX-X線における断面図である。既に説明した構成は同じ符号を付して説明を省略する。
面状発光装置200は、発光装置100Aの1個ずつが、連続する配線基板10において後記する区画溝40で区切られており、1個の発光装置100Aが、明るさ及び点消灯の制御単位であるセルとなっている。なお、面状発光装置200では、発光装置100Aを例示して説明するが、発光装置100Aの替わりに発光装置100を使用することとしても構わない。面状発光装置200は、既に説明した配線基板10と、配線基板10に配置されている発光素子20と、を備えている。
【0058】
面状発光装置200では、配線基板10の上面となる第1面10A及び下面となる第2面10Bでは、配線部8以外の基板表面部分に保護膜であるレジスト部70を一例として配置している。さらに、配線基板10の第2面10Bには、レジスト部70及び配線部8を覆う被覆部材80が配置されている。また、面状発光装置200では、封止部材50の上面を覆う光調整部材60を配置することとしてもよい。光調整部材60は、一例として、第1透光部61と、第1透光部61の上側に位置する第2透光部62と、を有する。
【0059】
(発光素子)
発光素子20は、配線基板10の一方の面に行方向及び列方向に整列して配置されている。そして、発光素子20は、封止部材50により覆われている。封止部材50の外側面には、光反射部材30が矩形枠状に配置されている。そして、光反射部材30は、隣り合う光反射部材30との間に、区画溝40を介して配置されている。なお、区画溝40には、光反射性を有する部材を充填してもよい。また、配線部8は、それぞれに個別に対面する接合部材11を介して発光素子20の素子電極24を接続している。
【0060】
発光素子20は、発光装置100Aで説明した構成であることや、発光装置100で説明した構成であってもよい。また、発光素子20は、一例として、透光性部材23を備えることなく素子基板22及び半導体積層体21のみでもよいが、透光性部材23や、封止部材50を配置して、透光性部材23及び/又は封止部材50に蛍光体等を含有することとしてもよい。さらに、発光素子20は、蛍光体等のみを素子基板22上に配置したものであってもよい。面状発光装置200では、個々の発光装置100Aが区画溝40を介して行方向及び列方向に整列して配置されているので、それに伴い発光素子20も行列方向に整列して配置されている。
【0061】
(配線基板)
配線基板10は、面状発光装置200に配置される複数の発光装置100Aにおいて共通で用いられるものである。配線基板10では、基材1の貫通孔2に配置した導通部3及び導通部3に接続する配線部8等の既に説明した構成を備え、第1面10A及び第2面10Bにおいて配線部8を除く部分にレジスト部70が配置されている。配線基板10は、一例として、第2面10Bに被覆部材80がさらに配置されている。レジスト部70は、配線部8を除く配線基板10の第1面10A及び第2面10Bにマスクを介してスクリーン印刷等により配置される。レジスト部70は、露光により硬化する材料を使用してもよい。また、レジスト部70は、ドライフィルムタイプの材料であってもよい。なお、レジスト部70は、配線基板10の第1面10A及び第2面10Bに配置しない構成としても構わない。さらに、配線基板10の第2面10Bに配置される被覆部材80は、絶縁性の部材である。被覆部材80の材料は、例えばシリコーン樹脂、エポキシ樹脂等とすることができる。配線基板10では、被覆部材80によって、配線基板10の下面を保護することができる。
【0062】
(区画溝)
区画溝40は、発光装置100Aを所定の個数毎に区画して囲む溝である。ここでは、区画溝40は矩形格子状に設けられ、発光装置100Aを1個毎に区画して囲んでいる。面状発光装置200は、区画溝40で囲まれる区画を単位として明るさ及び点消灯を制御することができる。区画溝40には、光反射性を有する部材が、区画溝40の一部又は全部を満たすように充填されてもよい。区画溝40に充填される部材の材料は、例えばアクリルやポリカーボネート、シリコーン、エポキシ等の樹脂に、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム等の光拡散材を含有させたものとすることができる。
【0063】
(封止部材)
封止部材50は、発光素子20の上方及び側方に配置される透光性の部材である。ここでは、封止部材50は、光反射部材30の内側で発光素子20の側方及び上方を覆うように配置されており、発光素子20の下面及びレジスト部70の上面に接して配置されている。封止部材50の材料は、透明な樹脂であれば限定されないが、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂、アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0064】
(光調整部材)
光調整部材60は、第1光調整部61及び第2光調整部62を備えている。第1光調整部61は、封止部材50の上面及び光反射部材30の上面に接して配置されている。第1光調整部61は、シート状又は板状の部材であり、平面視において封止部材50の上面を包含する形状及び大きさに形成されている。第1光調整部61は、一例として、平面視において円形状である。この第1光調整部61の材料は、封止部材50と同様の材料を用いることができる。また、第1光調整部61、第2光調整部62、又は、封止部材50は、1種類又は複数種類の蛍光体を含有することができる。
【0065】
第2光調整部62は、発光素子20の上方で発光素子20からの光の一部を反射するシート状又は板状の部材である。第2光調整部62は、発光素子20の上方に配置され、封止部材50及び第1光調整部61が設けられる場合には、これらの上側に配置される。第2光調整部62は、第1光調整部61の上面に包含されるように配置しているが、光反射部材30の上面にまで拡げて配置することもできる。第2光調整部62は、平面視において発光素子20に対向する位置に配置され、発光素子20を包含する形状及び大きさに形成されている。ここでは、第2光調整部62は円形状であるが、矩形状等としてもよい。
【0066】
第1光調整部61及び第2光調整部62の光透過率は、一例として、発光素子20の光に対して、20%以上60%以下が好ましく、30%以上40%以下がさらに好ましい。第2光調整部62の材料は、例えば、光拡散材を含む樹脂材料を用いてもよく、金属材料を用いてもよい。樹脂材料は、例えば、ポリエチレンテレフタラート樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はこれらを混合した樹脂とすることができる。光拡散材は、例えば、酸化チタン、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料とすることができる。第2光調整部62は内部に空気等の泡を含むようにしてもよい。
【0067】
面状発光装置200では、素子電極24と配線部8とが接続される場合に、導通部3に第1導電部材4Aを備えることで、第1導電部材4Aの体積収縮量が小さく、信頼性を向上することができる。特に、多くの発光素子を備える面状発光装置200では、体積収縮量の小さい第1導電部材4Aを含有する導通部3を用いる配線基板10上に発光素子20を配置することで、配置される全ての発光素子20の接続やオンオフ制御の安定性が良くなる。そして、面状発光装置200では、第2導電部材4Bを有する配線部8が、基材1の表面1aに対してアンカー効果を奏することで基材1との密着性の向上を図ることができ、信頼性を高めることができる。
【0068】
なお、区画溝40は、下端側と上端側とで幅が異なっていてもよい。区画溝40における光反射部材30の側面は、傾斜を有していても、有していなくてもよい。区画溝40は、配線基板10側で隣り合う光反射部材30の一部が連続するように形成されていてもよい。また、区画溝40は、複数の発光装置100Aを区画して囲んでもよい。一例として、区画溝40は、2行2列の4個の発光装置100Aや3行3列の9個の発光装置100A毎に区画して囲むようにしてもよい。この区画溝40の深さや形状によって、隣接する区画間の導光を調節することができる。
【0069】
[面状発光装置の製造方法]
次に、面状発光装置の製造方法を説明する。
面状発光装置の製造方法は、配線基板の製造方法S10によって配線基板10を製造して準備することと、配線基板10における配線部8に、発光素子20を配置することと、発光素子の側面から間を空けて光反射部材30を配置することと、発光素子20の側面及び発光素子20の上面を覆う封止部材50を配置することと、を含む。そして、封止部材50の上方及び光反射部材30の上方に光調整部材60を配置することと、を備えてもよい。なお、光反射部材30を配置することにおいては、隣り合う光反射部材30との間に区画溝40を空けて光反射部材30が配置されることになる。
【0070】
(配線基板を製造して準備すること)
配線基板を製造して準備することは、配線基板の製造方法S10によって配線基板10を製造して準備することである。なお、配線基板10は、面状発光装置200では、複数の発光素子20を配置するため、行列方向に区画溝40を介して配置される発光素子20の複数部の導通部3及び配線部8が形成されることになる。
【0071】
(発光素子を配置すること)
発光素子を配置することは、複数の発光素子20を配線基板10に配置することである。面状発光装置の製造方法では、配線基板10の上面となる配線部8に接合部材11を介して発光素子20の素子電極24を接続している。導電性の接合部材11としては、例えば、金、銀、銅等のバンプ、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の金属粉末と樹脂バインダとの混合物である導電ペースト、または、錫-銀-銅(SAC)系もしくは錫-ビスマス(SnBi)系のはんだを用いることができる。ここでは、はんだリフローによって発光素子20を配置している。なお、導電性の接合部材11は、一対の素子電極24側に予め配置して配線部8と接合することとしてもよい。
【0072】
(光反射部材を配置すること)
光反射部材を配置することは、発光素子20の側面との間を空けて光反射部材30を矩形枠状に配置することである。なお、光反射部材30は、隣り合う光反射部材30との間に区画溝40を空けて行列方向に配置される。
(封止部材を配置すること)
封止部材を配置することは、発光素子20の側面及び発光素子20の上面を覆うように封止部材50を配置することである。封止部材50は、光反射部材30と発光素子20との間の開口部分から液状又はペースト状の樹脂を注入し、硬化させることで、封止部材50により発光素子20を覆うように配置することができる。
【0073】
(光調整部材を配置すること)
面状発光装置の製造方法S100Aは、光調整部材を配置することを備えてもよい。光調整部材を配置することは、平面視において、封止部材50及び光反射部材30の上面で発光素子20に対面する位置に、光調整部材60を配置することである。光調整部材を配置することでは、光調整部材60は、封止部材50及び光反射部材30上に材料となる樹脂を塗布して硬化させてもよく、膜状又は板状の部材を配置してもよい。ここでは、一例として、酸化チタンを含有するシリコーン樹脂を封止部材50及び光反射部材30上にシート状の第1光調整部61として配置し、その後、第1光調整部61よりも面積が小さく形成されたシート状の第2光調整部62を配置している。
【0074】
上記のような構成を備える面状発光装置の製造方法S100Aでは、配線基板の製造方法S10によって製造された配線基板10を用いるため、配線基板10の導通部3の体積収縮量を抑制し、また、配線部8の基材1とのアンカー効果を高めることができる。そのため、面状発光装置200の信頼性を高めることができる。また、面状発光装置の製造方法S100Aでは、光調整部材60を有することで、面状発光装置200の光取出面における発光素子20の直上の光を弱めることができ、光取出面の輝度を均一に近づけることができる。
【0075】
なお、
図11に示すように、導通部3の第1導電部材4Aの銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合について、小粒径粒子5aが50重量%以下で30質量%以上であった場合で、配線部8の第2導通部材4Bの銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合が、小粒径粒子5aについて70重量%であった場合でも、導通部3では、体積収縮量の減少を従来の導通部と比較して少なくすることが可能となる。つまり、導通部3では、従来の構成において、銅粒子5の小粒径粒子5aと大粒径粒子5bとの重量割合について、配線部8との重なる部分も考慮して銅粒子5の粒子径の割合が検討されていない。そのため、従来の導通部と比較したとき、
図11のような構成であっても、十分その体積収縮量を少なくする構成となり本願発明の効果を奏するといえる。
【0076】
また、本願発明に係る配線基板、発光装置及びそれらの製造方法においては、以下に示す[項1]から[項24]のような従属関係であっても構わない。
[項1]
ビアホールを備える基材と、
前記ビアホール内に配置される導通部と、
前記導通部と電気的に接続され、前記基材の表面に配置される配線部と、を備え、
前記導通部は銅粒子と第1樹脂を含有する第1導電部材を有しており、前記第1導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、
前記配線部は銅粒子を含有する第2導電部材を有しており、前記第2導電部材は0.1μm以上1.0μm以下の小粒径粒子と、1.0μmを超えて10μm以下の大粒径粒子と、を含み、
前記第1導電部材における前記小粒径粒子の重量割合は、前記第2導電部材における前記小粒径粒子の重量割合よりも少ない配線基板。
[項2]
前記第2導電部材に含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が70重量%以上95重量%以下である項1に記載の配線基板。
[項3]
前記第1導電部材に含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が30重量%以上70重量%未満である項1又は項2に記載の配線基板。
[項4]
前記第1導電部材と前記第2導電部材とは界面を介することなく連続している項1から項3のいずれか一項に記載の配線基板。
[項5]
前記第1導電部材に含有する前記第1樹脂は、前記第1導電部材に含有する銅粒子100質量部に対して、前記第1樹脂は0.1質量部以上2質量部以下である項1から項4のいずれか一項に記載の配線基板。
[項6]
前記第2導電部材は、さらに第2樹脂を含有しており、前記第2導電部材に含有する銅粒子100質量部に対して、前記第2樹脂は0.25質量部以上3質量部以下である項1から項5のいずれか一項に記載の配線基板。
[項7]
前記基材は、ガラスエポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、窒化アルミニウム、窒化珪素の少なくともいずれか1種である項1から項6のいずれか一項に記載の配線基板。
[項8]
前記基材の表面は、粗面であり、粗化度はRz(最大高さ粗さ)=1.0μm以上である項1から項7のいずれ一項に記載の配線基板。
[項9]
項1から項8のいずれか一項に記載の配線基板と、前記配線基板の前記配線部と電気的に接続される発光素子と、を備える発光装置。
[項10]
前記発光装置は、さらに前記発光素子の側面に間を空けて配置した光反射部材と、前記光反射部材と前記発光素子の側面との間及び前記発光素子の上面を覆うように配置された封止部材と、を備える項9に記載の発光装置。
[項11]
ビアホールを備える基材、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子と1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子との銅粒子と、第1樹脂と、を含有する第1導電ペースト、0.1μm以上1.0μm以下である小粒径粒子と1.0μmを超えて10μm以下である大粒径粒子との銅粒子を含有する第2導電ペースト、を準備することと、
前記第1導電ペーストを前記ビアホール内に充填して乾燥することと、
前記第2導電ペーストを前記第1導電ペースト上及び前記基材上に配置して乾燥することと、
前記第2導電ペーストを加圧して焼成することと、を含み、
前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストにおける小粒径粒子の重量割合は、前記第2導電ペーストにおける小粒径粒子の重量割合よりも少ない配線基板の製造方法。
[項12]
前記準備することにおいて、前記第2導電ペーストに含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が70重量%以上95重量%以下である項11に記載の配線基板の製造方法。
[項13]
前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストに含有する小粒径粒子と大粒径粒子との重量割合は、小粒径粒子と大粒径粒子の合計量に対して、小粒径粒子の割合が30重量%以上70重量%未満である項11又は項12に記載の配線基板の製造方法。
[項14]
前記準備することにおいて、前記第1導電ペーストに含有する前記第1樹脂は、前記第1導電ペーストに含有する銅粒子100質量部に対して、前記第1樹脂は0.1質量部以上2質量部以下である項11から項13のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項15]
前記準備することにおいて、前記第2導電ペーストは、さらに第2樹脂を含有しており、前記第2導電ペーストに含有する銅粒子100質量部に対して、前記第2樹脂は0.25質量部以上3質量部以下である項11から項14のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項16]
前記準備することにおいて、前記第1導電ペースト及び前記第2導電ペーストの少なくとも一方は、さらに有機溶剤を含む項11から項15のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項17]
前記有機溶剤は沸点が100℃以上300℃以下である項16に記載の配線基板の製造方法。
[項18]
前記第1導電ペーストを前記ビアホール内に充填して乾燥することにおいて、前記第1導電ペーストを60℃以上100℃以下の温度で乾燥する項11から項17のいずか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項19]
前記第2導電ペーストを前記第1導電ペースト上及び前記基材上に配置して乾燥することにおいて、前記第2導電ペーストを60℃以上100℃以下の温度で乾燥する項11から項18のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項20]
前記焼成することにおいて、前記第1導電ペーストと前記第2導電ペーストとを連続するように形成する項11から項19のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項21]
前記焼成することにおいて、大気中、真空中、不活性ガス中の少なくともいずれか1種の雰囲気中において焼成を行う項11から項20のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項22]
前記焼成することにおいて、焼成温度は200℃以上300℃以下である項11から項21のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項23]
前記焼成することにおいて、前記加圧は2.0MPa以上10.0MPa以下である項11から項22のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法。
[項24]
項11から項23のいずれか一項に記載の配線基板の製造方法によって配線基板を準備することと、
前記配線基板の配線部に発光素子を配置することと、
前記発光素子の側面から間を空けて光反射部材を配置することと、を含む発光装置の製造方法。
【符号の説明】
【0077】
1 基材
2 ビアホール
3 導通部
4A 第1導電部材
4B 第2導電部材
5 銅粒子
5a 小粒径粒子
5b 大粒径粒子
6A 第1樹脂
6B 第2樹脂
8 配線部
10 配線基板
10A 第1面
10B 第2面
11 接合部材
20 発光素子
21 半導体積層体
22 素子基板
23 透光性部材
24 素子電極
30 光反射部材
40 区画溝
50 封止部材
60 光調整部材
200 面状発光装置