(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089433
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240626BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20240626BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20240626BHJP
H05K 1/11 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01L33/62
H05K1/02 Q
H05K3/40 K
H05K1/11 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022204788
(22)【出願日】2022-12-21
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹岡 典史
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
5F142
【Fターム(参考)】
5E317AA24
5E317BB04
5E317BB11
5E317BB12
5E317BB13
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5F142CG04
5F142CG05
5F142CG24
5F142DA14
5F142FA03
5F142FA30
(57)【要約】
【課題】放熱性の高い焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】焼結体基板10は、第1面1A及び第1面1Aの反対側となる第2面1Bを持ち、第1面1Aと第2面1Bとを繋ぐように貫通する貫通孔2を有し、第1面の貫通孔2の開口面積が第2面1Bの貫通孔2の開口面積よりも大きいセラミックス基板1と、貫通孔内に配置されたビア3と、を備え、ビア3は、第1金属4と、第1金属4よりも融点の低い第2金属5と、貫通孔2を画定する内壁に配置される金属化合物6と、を含み、セラミックス基板1における第1面1Aの貫通孔2の形状は、平面視において多角形であり、第1金属4及び第2金属5は、セラミックス基板1よりも熱伝導率が高い。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有し、前記第1面の前記貫通孔の開口面積が前記第2面の前記貫通孔の開口面積よりも大きいセラミックス基板と、
前記貫通孔内に配置されたビアと、を備え、
前記ビアは、第1金属と、前記第1金属よりも融点の低い第2金属と、前記貫通孔を画定する内壁に配置される金属化合物と、を含み、
前記セラミックス基板における前記第1面の前記貫通孔の形状は、平面視において多角形であり、
前記第1金属及び前記第2金属は、前記セラミックス基板よりも熱伝導率が高い、焼結体基板。
【請求項2】
前記セラミックス基板における前記第2面の前記貫通孔の形状は、底面視において、前記第1面の前記貫通孔と相似形である請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項3】
前記金属化合物は、層状であり、
前記セラミックス基板の平均厚みと、前記貫通孔の最大径と、の比であるアスペクト比が0.5の場合、前記金属化合物の平均厚みが、15μm以上20μm以下となり、前記アスペクト比が1.0のときに前記金属化合物の平均厚みが、7.5μm以上10μm以下となる請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項4】
前記セラミックス基板の平均厚みと、前記貫通孔の最大径と、の比であるアスペクト比が2.0の場合、前記金属化合物の平均厚みが、5μm以上10μm以下となる請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項5】
前記第1金属は、Cu、Cr、Niの少なくともいずれか1種を含む請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項6】
前記第2金属は、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金の少なくともいずれか1種を含む請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項7】
前記セラミックス基板は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の少なくとも1種を含む請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項8】
前記貫通孔の最大径は、0.05mm以上0.5mm以下である請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項9】
前記セラミックス基板において、前記貫通孔は最大径の異なる大きさごとに貫通孔群が複数ある請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項10】
前記焼結体基板は、実装部品電極を持つ実装部品に配置されており、
前記セラミックス基板の前記第2面側における前記ビアの面積は、前記実装部品電極の面積に対して60%以上200%以下である請求項1に記載の焼結体基板。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の焼結体基板と、
素子電極を持つ発光素子と、を備え、
前記焼結体基板の前記ビアと、前記素子電極と、を電気的に接続し、
底面視において、前記焼結体基板における前記第2面の前記貫通孔の開口面積と、前記素子電極の面積と、は±10%以内である発光装置。
【請求項12】
前記貫通孔は、前記第1面から前記第2面に向かって傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面の少なくとも一部が、前記素子電極の間の直下となる請求項11に記載の発光装置。
【請求項13】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有し、前記第1面の前記貫通孔の開口面積が前記第2面の前記貫通孔の開口面積よりも大きいセラミックス基板を準備することと、
前記貫通孔にビアペーストを充填することと、
前記ビアペーストを焼成することと、を含み、
前記セラミックス基板を準備することにおいて、前記セラミックス基板における前記第1面の前記貫通孔の形状は、平面視において多角形であり、
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、複数個の第1金属粉体と、複数個の第2金属粉体と、複数個の活性金属粉体と、を含み、前記第1金属粉体及び前記第2金属粉体の熱伝導率は、前記セラミックス基板の熱伝導率よりも高く、
前記ビアペーストを焼成することにおいて、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以下であり前記第2金属粉体の融点以上である、焼結体基板の製造方法。
【請求項14】
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記活性金属粉体の含有量は、3重量部以上である請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項15】
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記第1金属粉体は、Cu、Cr、Niの少なくともいずれか1種を含む請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項16】
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記第2金属粉体は、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金粉末の少なくともいずれか1種を含む請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項17】
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記活性金属粉体は、TiH2、CeH2、ZrH2、MgH2の少なくともいずれか1種を含む請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項18】
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、さらに有機バインダを含む請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項19】
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、さらに、金属を除く複数個の無機フィラーを含む請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項20】
前記ビアペーストを焼成することにおいて、焼成雰囲気は99.9%以上のAr雰囲気または10-5Pa以下の真空雰囲気である請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項21】
前記セラミックス基板を準備することにおいて、前記セラミックス基板の前記第1面側からレーザ光を照射して前記貫通孔を形成する請求項13に記載の焼結体基板の製造方法。
【請求項22】
請求項13から請求項21のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法により製造した焼結体基板を準備することと、
前記焼結体基板に、素子電極を持つ発光素子を配置することと、を含み、
前記焼結体基板を準備することにおいて、前記貫通孔に充填されたビアペーストを焼成することにより、ビアとなり、
前記発光素子を配置することにおいて、前記ビアと、前記素子電極と、を電気的に接続する、発光装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セラミックス基板に使用されるビア材は低融点金属粉と高融点金属粉と活性金属粉とからなることが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6122561号公報
【特許文献2】特許第5922739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、放熱性の高い焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示される焼結体基板は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有し、前記第1面の前記貫通孔の開口面積が前記第2面の前記貫通孔の開口面積よりも大きいセラミックス基板と、前記貫通孔内に配置されたビアと、を備え、前記ビアは、第1金属と、前記第1金属よりも融点の低い第2金属と、前記貫通孔を画定する内壁に配置される金属化合物と、を含み、前記セラミックス基板における前記第1面の前記貫通孔の形状は、平面視において多角形であり、前記第1金属及び前記第2金属は、前記セラミックス基板よりも熱伝導率が高い。
【0006】
実施形態に開示される発光装置は、前記した焼結体基板と、素子電極を持つ発光素子と、を備え、前記焼結体基板の前記ビアと、前記素子電極と、を電気的に接続し、底面視において、前記焼結体基板における前記第2面の前記貫通孔の開口面積と、前記素子電極の面積と、は±10%以内である。
【0007】
また、実施形態に開示される焼結体基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有し、前記第1面の前記貫通孔の開口面積が前記第2面の前記貫通孔の開口面積よりも大きいセラミックス基板を準備することと、前記貫通孔にビアペーストを充填することと、前記ビアペーストを焼成することと、を含み、前記セラミックス基板を準備することにおいて、前記セラミックス基板における前記第1面の前記貫通孔の形状は、平面視において多角形であり、前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、複数個の第1金属粉体と、複数個の第2金属粉体と、複数個の活性金属粉体と、を含み、前記第1金属粉体及び前記第2金属粉体の熱伝導率は、前記セラミックス基板の熱伝導率よりも高く、前記ビアペーストを焼成することにおいて、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以下であり前記第2金属粉体の融点以上である。
【0008】
また、実施形態に開示されるセ発光装置の製造方法は、前記した焼結体基板の製造方法により製造した焼結体基板を準備することと、前記焼結体基板に、素子電極を持つ発光素子を配置することと、を含み、前記焼結体基板を準備することにおいて、前記貫通孔に充填されたビアペーストを焼成することにより、ビアとなり、前記発光素子を配置することにおいて、前記ビアと、前記素子電極と、を電気的に接続する
【発明の効果】
【0009】
本開示の実施形態によれば、放熱性の高い焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る焼結体基板を模式的に示す斜視断面図である。
【
図2】実施形態に係る焼結体基板を模式的に示す平面図である。
【
図3A】
図2のIIIA-IIIA線における断面図である。
【
図3B】
図2のIIIB-IIIB線における断面図である。
【
図4A】実施形態に係る焼結体基板の一部の貫通孔内を例示する断面図である。
【
図4B】実施形態に係る焼結体基板の一部の貫通孔を例示する平面図である。
【
図5】実施形態に係る焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図6A】実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、セラミックス基板を模式的に示す断面図である。
【
図6B】実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、セラミックス基板に貫通孔を形成した状態を模式的に示す断面図である。
【
図6C】実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、セラミックス基板の貫通孔にビアペーストを充填する状態を模式的に示す断面図である。
【
図6D】実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、導電ペーストを配置した状態を模式的に示す断面図である。
【
図6E】実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、ビアペーストを焼成した状態を模式的に示す断面図である。
【
図7】実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
【
図9】実施形態に係る発光素子と焼結体基板の貫通孔の傾斜面との関係を示す説明図である。
【
図10】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図11A】実施形態に係る発光装置の製造方法において焼結体基板に接合部材を配置した状態を例示する断面図である。
【
図11B】実施形態に係る発光装置の製造方法において発光素子を配置した状態を示す断面図である。
【
図11C】実施形態に係る発光装置の製造方法において光反射部材を配置した状態を例示する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0012】
[焼結体基板]
実施形態に係る焼結体基板10を、
図1Aから
図4を参照しながら説明する。なお、
図1は、実施形態に係る焼結体基板を模式的に示す斜視断面図である。
図2は、実施形態に係る焼結体基板を模式的に示す平面図である。
図3Aは、
図2のIIIA-IIIA線における断面図である。
図3Bは、
図2のIIIB-IIIB線における断面図である。
図4Aは、実施形態に係る焼結体基板の一部の貫通孔内を例示する断面図である。
図4Bは、実施形態に係る焼結体基板の一部の貫通孔を例示する平面図である。
【0013】
焼結体基板10は、第1面1A及び第1面1Aの反対側となる第2面1Bを持ち、第1面1Aと第2面1Bとを繋ぐように貫通する貫通孔2を有し、第1面1Aの貫通孔2の開口面積が第2面1Bの前記貫通孔2の開口面積よりも大きいセラミックス基板1と、貫通孔2内に配置されたビア3と、を備えている。そして、ビア3は、第1金属4と、第1金属4よりも融点の低い第2金属5と、貫通孔2を画定する内壁に配置される金属化合物6と、を含んでいる。また、セラミックス基板1における第1面1Aの貫通孔2の形状は、平面視において多角形としている。さらに、第1金属4及び第2金属5は、セラミックス基板1よりも熱伝導率が10W/m・k以上130W/m・k以下程度高い。
【0014】
なお、焼結体基板10では、セラミックス基板1に実装する発光素子20の大きさの種類が複数となる前提で説明する。ここでは、一例として、発光素子20の大きさが2種類である場合のセラミックス基板1の構成である場合について説明する。もちろん、焼結体基板10は、セラミックス基板1に実装する発光素子20の大きさの種類が1種類であっても、3種類以上であっても構わない。
以下、焼結体基板10の各構成について説明する。
【0015】
(セラミックス基板)
セラミックス基板1は、焼結体基板10の基礎となる板状の部材である。セラミックス基板1の平面視形状は、例えば矩形状である。なお、セラミックス基板1の平面視形状は特に限定されない。セラミックス基板1は、既に焼成されたものが使用される。セラミックス基板1は、一例として、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の少なくとも1種を含むものであることが好ましい。なお、セラミックス基板1は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックスが好ましいが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの酸化物系セラミックスを使用してもよい。また、セラミックス基板1は、酸化ベリリウム、炭化ケイ素、ムライト、ホウケイ酸ガラス等も使用してもよい。
【0016】
セラミックス基板1は、第1面1Aと第2面1Bとを繋ぐように貫通するように板厚方向に貫通孔2が所定位置に設置され、貫通孔2の内部にビア3が配置される。セラミックス基板1の貫通孔2は、内部に配置されるビア3を介して発光素子20の素子電極24と、セラミックス基板1の外部に配置される外部電極と、を電気的に接続するためのビアホールである。セラミックス基板1では、一例として貫通孔2の最大径の異なる大きさごとに貫通孔群が2種類ある。すなわち、セラミックス基板1は、貫通孔2として、基板中央に整列する第1貫通孔群となる第1貫通孔2Aと、第1貫通孔2Aの左右に配列して第2貫通孔群となる第2貫通孔2Bとを備えている。なお、一例として2種類の貫通孔2を備えたセラミックス基板1を用いて説明しているが、これに限定されない。また、第1貫通孔群及び第2貫通孔群において、第1貫通孔2A及び第2貫通孔2Bが、大きさが異なるのみで構成される形状や条件は共通するため、以下では貫通孔2として説明する。明細書において、貫通孔の最大径とは、多角形である貫通孔における対角線のうち最も長いものを指す。貫通孔の最大径は0.05mm以上0.5mm以下である。
【0017】
貫通孔2は、一例として複数有り、いずれもセラミックス基板1の第1面1Aの開口面積が、セラミックス基板1の第2面1Bの開口面積よりも大きくなっている。貫通孔2は多角形に形成されており、一例として、長方形や正方形などの四角形である矩形に形成されている。そして、第2面1Bの貫通孔2の形状は、底面視において、第1面1Aの貫通孔2と相似形であることが好ましい。つまり、貫通孔2の第1面1Aの開口形状が矩形であったとき、貫通孔2の第2面1Bの開口形状も大きさの異なる同じ矩形である。貫通孔2の開口形状は、多角形であることが好ましく、正多角形であることが特に好ましい。貫通孔2の開口形状は、平面視において四角形であれば台形の形状や平行四辺形の形状を採ることができる。また、貫通孔2の開口形状は、四角形の他、三角形や五角形や六角形であってもよい。貫通孔2の開口形状が多角形であることで、第1面1A側の開口面積を大きくすることができる。なお、貫通孔2の開口形状は、実装部品電極の形状や面積に対応させて形成されることが好ましい。なお、多角形の貫通孔2は、二つの連続する辺の頂角が、厳密に直線同士が接続して構成されるもの以外でもよく、例えば、小さな円弧で直線同士が接続されるような角が丸みを帯びている状態の多角形様の形状であってもよい。また、貫通孔2は、中央の貫通孔群と、その左右の貫通孔群とにおいて、貫通孔群ごとに同じ孔径となるように図示しているが、貫通孔群が異なる孔径の貫通孔2を配置する構成であっても構わない。
【0018】
貫通孔2は、セラミックス基板1に対して垂直方向に切断した際に、その形状が略台形であることが好ましい。つまり、第1面1Aから第2面1Bに亘る方向に切断したときに、貫通孔2の形状が第1面1Aに向かって末広がりとなる台形形状になっていることが好ましい。そして、貫通孔2の最大径は、0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。貫通孔2が0.05mm以上であると、焼成前のビアペースト3Aの充填が的確に行いやすくなる。また、貫通孔2が0.5mm以下であると、強度を高く維持することができ、充填されるビアペースト3Aの量の無駄を減らすことができる。
【0019】
さらに、貫通孔2の第2面1B側の開口面積は、実装される実装部品電極(例えば素子電極)の面積に対して60%以上200%以下であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましい。そして、第2面1Bの貫通孔2の開口面積は、実装される実装部品電極(例えば素子電極)の面積に対して190%以下であることがより好ましく、180%以下であることがさらに好ましい。第2面1Bの開口面積が実装部品電極の面積に対して60%以上であると、放熱性を高めることができる。また、第2面1Bの開口面積が実装部品電極の面積に対して200%以下であることで基板の剛性を保ち強度を維持することができる。
【0020】
また、焼結体基板10における第2面1Bの貫通孔2の開口面積と、後記する素子電極24の面積と、は±10%以内であることが好ましい。なお、第2面1Bの貫通孔2の開口面積と、素子電極24の面積と、の前記した関係は、第1面1Aの貫通孔2の開口面積が第2面1Bの貫通孔2の開口面積より広いことが前提である。また、第2面1Bの貫通孔2の開口面積が素子電極24の面積に対して60%以上200%以下である場合においても、第1面1Aの貫通孔2の開口面積が第2面1Bの貫通孔2の開口面積より大きいことが前提である。さらに、第2面1Bの貫通孔2の開口面積と、素子電極24の面積と、は±10%以内である関係では、第1面1Aの貫通孔2の開口面積が素子電極24の面積に対して60%以上200%以下である場合おいて、第1面1Aの貫通孔2の開口面積が第2面1Bの貫通孔2の開口面積より広いことが前提である。
【0021】
貫通孔2は、実装部品電極が接合される側となる第2面1Bの開口面積より外部配線基板50等と接続される第1面1Aの開口面積を広くすることで、焼結体基板10の熱伝導率を向上させ放熱性を高めることができる。また、強度を保って剛性を維持した上での薄型化、信頼性等の性能向上が可能となる。貫通孔2は、一例として、レーザ加工で形成することや、機械的な加工で形成することや、エッチング等の化学的な加工で形成することができる。
貫通孔2には、内部にビア3が配置され、ビア3の少なくとも一部が接触するようにセラミックス基板1上に配線8が配置される。なお、配線8は、ここでは、発光素子20と電気的な接続を行うための配線、配線パッドあるいは外部接続電極部分として用いられる。
【0022】
(ビア)
ビア3は、セラミックス基板1の貫通孔2内に配置されるものである。ビア3は、単独で、あるいは、配線8と共に、発光素子20と電気的な接続を行う部材である。ビア3は、一例として、複数個の第1金属粉体4Aと、複数個の第2金属粉体5Aと、複数個の活性金属粉体6Aと、を含んだ状態で焼成されることで、第1金属4と、第2金属5と、金属化合物の反応層6aが貫通孔2の内側面に形成されていると共に、第2金属5の表面に金属化合物6の反応物6bが形成されている。なお、ビア3は、ここでは、焼成前のビアペースト3Aでは、有機バインダ7B及び金属を除く無機フィラー7A(
図6D参照)を含んでおり、焼成後において、金属を除く無機フィラー7を含むものである。また、ここでいう「複数個」とは、粉体の数が複数あることを示している。
【0023】
ビア3は、セラミックス基板1の第2面1B側におけるビア3の面積が、実装部品電極である発光素子20の素子電極24の面積に対して60%以上200%以下であることが好ましい。ビア3は、貫通孔2の形状に沿って断面視形状が台形であるため、ビア3の素子電極24の面積に対して60以上であることで放熱性を向上させる。ビア3の素子電極24の面積に対して200%以下であることで、セラミックス基板1の強度を維持することができる。ビア3は、素子電極24の面積に対して70%以上であることが好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがより好ましく、100%であることが最も好ましい。また、ビア3は、素子電極24の面積に対して190%以下であることが好ましく、180%以下であることがさらに好ましく、170%以下であることがより好ましい。なお、図面では、ビア3の面積は、素子電極24の面積に対して100%として示している。
【0024】
ビア3は、一例として、焼成前の状態として、ビアペースト3Aにおいて第1金属4となる第1金属粉体4A、第2金属5となる第2金属粉体5Aが合わせて63質量%以上85質量%以下、溶剤である有機バインダ7Bを5質量%以上15質量%以下、金属を除く無機フィラー7を許容範囲の質量%で含み、それらの合計量に対して、活性金属粉体6Aが3重量部以上を含むようにしている。活性金属粉体6Aは、前記した合計量に対して5重量部以上であることがさらに好ましく、7重量部以上であることがより好ましい。活性金属粉体6Aが3重量部以上であることで、貫通孔2の内側面に形成される反応層6aと、反応物6bを確保することができる。そして、ビア3は、焼成後において、第1金属4が60質量%以上80質量%以下、第2金属5が3質量%以上25質量%以下、金属化合物6が1質量%以上15質量%以下として含まれる。そして、金属化合物6は、反応物6bとして第2金属5の周囲に配置されると共に、貫通孔2の内側面に金属化合物6の反応層6aが偏析している状態で貫通孔2内に配置される。なお、活性金属粉体6Aは、前記したように3重量部以上含むことで、金属化合物6の反応層6a及び金属化合物6の反応物6bを無機フィラー7Aと共に、ビア3内に分散した状態とする。
【0025】
(第1金属)
第1金属4は、焼成前において第1金属粉体4Aとして貫通孔2内に充填され焼成されることで、他の部材と共にビア3を構成する。第1金属4は、セラミックス基板1の熱伝導率よりも10W/m・k以上130W/m・k以下程度高いものである。第1金属4は、一例として、Cu、Cr、Niの少なくともいずれか1種を含むことが好ましい。第1金属4は、特に、CuあるいはCu合金であることが好ましい。また、第2金属5にAgを使用せず、Agよりも融点の低い第2金属5を使用する場合は、第1金属4にAgを使用してもよい。また、焼成前の第1金属粉体4Aである場合、第1金属4の粒子径(メジアン径)が、0.01μm以上50μm以下であることが好ましく、0.1μm以上20μm以下であることがさらに好ましい。特に小粒子径の銅粉の粒子径(メジアン径)は0.1μm以上0.5μm以下が好ましく、大粒子径の銅粉の粒子径(メジアン径)は2.0μm以上5.0μm以下であることが好ましい。明細書において特に断りのない限り、粒子径はメジアン径(D50)のことを示しており、粒子径分布の測定方法はレーザ回折・散乱法で行っており、粒子径分布測定装置はマイクロトラック・ベル社製MT3300IIなどを使用することができる。また、第1金属粉体4Aの融点は、1050℃以上2500℃以下であることが好ましい。
【0026】
(第2金属)
第2金属5は、焼成前において第2金属粉体5Aとして貫通孔2に充填され焼成されることで、他の部材と共にビア3を構成する。第2金属5は、セラミックス基板1の熱伝導率よりも10W/m・k以上130W/m・k以下程度高いものである。また、第2金属5は、第1金属4よりも融点が低く、一例として、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金粉末の少なくとも1種を含むことが好ましい。第2金属5は、溶融前の状態において第1金属粉体4Aの直径又は長径に対して、3%以上30%以下の平均厚みを有するように第1金属粉体4Aの周りに配置されており、焼成により溶融して第1金属4の周囲に位置している。
【0027】
第2金属5は、焼成後において、セラミックス基板1が窒素を含有する、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素から選ばれる少なくとも1種である場合には、焼成後において、第1金属4の周囲に配置される部分の表面側に金属化合物6として窒化物金属の反応物6bを形成している。また、第2金属5は、金属化合物6としての窒化物金属である場合で、セラミックス基板1が窒化物を含む場合では、窒化物金属の成分と併せて、貫通孔2の内側面に窒化物金属の反応層6aを形成する。
【0028】
(金属化合物)
金属化合物6は、焼成前では活性金属粉体6Aであり、焼成後において、層状の反応層6aを貫通孔2の内側面に配置すると共に、一部が金属化合物6の反応物6bとして第2金属5の周囲に配置することになる。そして、金属化合物6の反応層6aは、セラミックス基板1の平均厚みと、貫通孔2の最大径と、の比であるアスペクト比が0.5の場合、金属化合物6の反応層6aの平均厚みとして、15μm以上20μm以下となることが好ましい。さらに、アスペクト比が1.0のときに金属化合物6の反応層6aの平均厚みは、7.5μm以上10μm以下となることが好ましい。また、アスペクト比が2.0の場合、金属化合物6の反応層6aの平均厚みは、5μm以上10μm以下となることが好ましい。
【0029】
金属化合物6は、一例として、焼成前の活性金属粉体6A(
図6D参照)が、TiH
2、CeH
2、ZrH
2、MgH
2の少なくともいずれか1種を含む材料であることが好ましい。また、金属化合物6は、特に、TiH
2が使用されることが好ましく、TiH
2(水素化チタン)を含むことで、セラミックス基板1の窒素を含む場合のセラミックス成分の窒素と反応し、セラミックス基板1との界面において、活性層となる反応層6aを形成し、ビア3とセラミックス基板1との密着性を向上させ、ビア3が貫通孔2に対して強固に密着することになる。
金属化合物6の反応層6aは、セラミックス基板1の平均厚みに対するアスペクト比において、前記したような平均厚みの範囲であることで、セラミックス基板1の厚みを薄くすると共に、ビア3の接合強度を向上させることができる。
【0030】
(無機フィラー)
無機フィラー7は、ビア3内に分散してクラックの発生を抑制する。焼成前の無機フィラー7A(
図6D参照)は、一例として、金属を除く複数個の粒状の部材であり、セラミックスフィラーとして、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などの無機フィラー、ガラスフィラーなどが挙げられる。なお、焼成前の無機フィラー7Aは、ビアペースト3Aに、他の含有物の効果を妨げない範囲の含有量で含有される。
【0031】
(有機バインダ)
有機バインダ7Bは、焼成前のビアペースト3Aに含有される部材である。この有機バインダ7Bは、焼成後には蒸発してビア3内には残留していない状態となる。有機バインダ7Bは、一例として、一般的にビア材として使用される溶剤及び樹脂材料であってもよい。
【0032】
(配線)
配線8は、予め設定されたセラミックス基板1に配置される配線パターンであり、配線パッドあるいは外部接続電極等を形成する導電性の部材である。配線8は、例えば、焼成前は導電ペースト8A(
図6D参照)として配置される。配線8は、ビア3の少なくとも一部に接するように配置され、ここでは、セラミックス基板1の第1面1A側及び第2面1B側のそれぞれのビア3の端面に接触して覆うように配置されている。配線の厚さは、例えば12μm以上35μm以下であることが好ましい。配線8は、例えば、エッチングによって形成することができる。なお、配線8は、一例として、矩形のビア3の端面全部に接するように、矩形として図示しているが、その形状や配置は任意であり限定されるものではない。
【0033】
この配線8は、例えば、ビア3と同じ部材を使用してもよく、又は、金属部材として銅箔を使用してもよい。さらに、配線8の材料は、例えば、金、銀、銅、白金、アルミニウム等の単体若しくはその合金や混合粉末と樹脂バインダとの混合物であってもよい。樹脂バインダは、例えば、エポキシ樹脂やシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を使用することができる。また、配線8には有機酸等の還元剤を含むことが好ましい。これにより接続における電気抵抗を小さくすることができる。
【0034】
上記のような構成を備える焼結体基板10は、貫通孔2は、第1面1Aの開口面積よりも第2面1Bの開口面積が大きく、第2金属5が第1金属4よりも融点が低く、さらに、第1金属4及び第2金属5がセラミックス基板1よりも熱伝導率が高い。そのため、焼結体基板10は、熱伝導率を向上させ放熱性を高め、かつ、強度を保って剛性を維持した上での薄型化、信頼性等の性能アップが可能となる。
【0035】
[セラミック焼結体基板の製造方法]
次に、実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を、
図5から
図6Eを参照しながら説明する。
図5は、実施形態に係る焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。
図6Aは、実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、セラミックス基板を模式的に示す断面図である。
図6Bは、実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、セラミックス基板に貫通孔を形成した状態を模式的に示す断面図である。
図6Cは、実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、セラミックス基板の貫通孔にビアペーストを充填する状態を模式的に示す断面図である。
図6Dは、実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、導電ペーストを配置した状態を模式的に示す断面図である。
図6Eは、実施形態に係る焼結体基板の製造方法において、ビアペーストを焼成した状態を模式的に示す断面図である。
【0036】
セラミックス焼結体基板の製造方法S10は、第1面1A及び第1面1Aの反対側となる第2面1Bを持ち、第1面1Aと第2面1Bとを繋ぐように貫通する貫通孔2を有し、第1面1Aの貫通孔2の開口面積が第2面1Bの貫通孔2の開口面積よりも大きいセラミックス基板を準備することS11と、貫通孔にビアペーストを充填することS12と、ビアペーストを焼成することS14と、を含んでいる。そして、セラミックス基板1を準備することS11において、セラミックス基板1における第1面1Aの貫通孔2の形状は、平面視において多角形であり、ビアペーストを充填することS12において、ビアペースト3Aは、複数個の第1金属粉体4Aと、複数個の第2金属粉体5Aと、複数個の活性金属粉体6Aと、を含み、第1金属粉体4A及び第2金属粉体5Aの熱伝導率は、セラミックス基板1の熱伝導率よりも高く、ビアペーストを焼成することS14において、焼成温度は、第1金属粉体4Aの融点以下であり第2金属粉体5Aの融点以上である。例えば、焼成温度は、第2金属粉体5AにAg-Cuを使用する場合は780℃以上、好ましくは800℃以上、更に好ましくは850℃以上が好ましい。また、第1金属粉体4AにCuを使用し、第2金属粉体5AにAgを使用する場合は、970℃以上であることが好ましい。なお、貫通孔にビアペーストを充填することS12の後でビアペーストに接触するように導電ペーストを配置することS13を、ビアペーストを焼成することS14の前に行うこととしている。
【0037】
(セラミックス基板を準備すること)
セラミックス基板を準備することS11(以下、工程S11という)は、第1面1Aと第2面1Bとを繋ぐように貫通する貫通孔2を有するセラミックス基板を準備する。この工程S11では、準備するセラミックス基板1において、第1面の貫通孔2の開口面積が第2面1Bの貫通孔2の開口面積よりも大きく形成されている。工程S11では、例えば、既に焼成されたセラミックス基板が使用される。工程S11では、一例として、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の少なくともいずれか1種を含む材料の平板状の基板が使用している。この工程S11において、準備されたセラミックス基板1は、例えば、セラミックス基板1の第1面1A側からレーザ光を照射するレーザ加工等により後記する発光素子20の素子電極24等の接続部分に対応した数の貫通孔2が形成されている。セラミックス基板1は、発光素子20を一つ配置する場合には、一例として、2か所に貫通孔2が形成される。なお、セラミックス基板1は、複数の発光素子20を配置する面積の大きさ、及び、素子電極24の数に対応した数の貫通孔2を形成した状態で準備されることや、所定の数の発光素子20を配置する大きさに切断されて準備されることとしてもよい。
【0038】
また、この工程S11において、セラミックス基板1に形成された貫通孔2は、平面視の形状が多角形に形成され、セラミックス基板1に対して垂直方向に切断した際に、貫通孔2は台形であり、貫通孔2の最大径が、0.05mm以上0.5mm以下であることが好ましい。貫通孔2は、後記するビアペースト3Aが充填されるため、貫通孔2の最大径が0.05mm以上になると、ビアペースト3Aの粘性やフィラー粒形との関係で、充填がし易くなる。また、貫通孔2の最大径が0.5mm以下であると、ビアペースト3Aの充填量を減らすことができる。このため、貫通孔2を形成する場合には、形成する貫通孔2の最大径は、0.05mm以上0.5mm以下であるのが好ましい。また、この工程S11で準備されるセラミックス基板1は、一例として、貫通孔2が最大径の異なる大きさの貫通孔群を、2種類備えるように形成している。貫通孔2は、一例として、
図2、
図3A及び
図3Bに示すように、セラミックス基板1の中央に一定の間隔を空けて整列する第1貫通孔2Aを形成した第1貫通孔群と、第1貫通孔2Aの左右に一定の間隔を空けて整列する第2貫通孔を形成した第2貫通孔群とを備えている。貫通孔の大きさおよび貫通孔群の数は、後記するように実装する実装部品の電極の大きさいに対応して形成される。また、貫通孔2は、一例として、第1面1Aの開口形状と第2面の開口形状とが矩形で相似形となるように形成されている。
【0039】
(ビアペーストを充填すること)
ビアペーストを充填することS12(以下、工程S12という)は、セラミックス基板1に形成された貫通孔2にビアペースト3Aを充填することである。この工程S12では、例えば、スクリーン印刷やノズルにより注入することにより、貫通孔2にビアペースト3Aを充填している。充填するビアペースト3Aは、一例として、第1金属粉体4A及び第2金属粉体5Aが63質量%以上85質量%以下、活性金属粉体6Aが1質量%以上15質量%以下と、溶剤である有機バインダ7Bを5質量%以上15質量%以下含み、金属を除く無機フィラー7Aを許容範囲の質量%で含むものである。なお、活性金属粉体6Aは、他の部材の全体を100としたときに3重量部以上となるように含んでいることが好ましい。
【0040】
この工程S12において、第1金属粉体4Aは、Cu、Cr、Niの少なくともいずれか1種を含むことが好ましく、一例として、Cuの粉体を用いることとする。ただし、第2金属粉体5AにAgを使用せず、Agよりも融点の低い第2金属粉体5Aを使用する場合は、第1金属粉体4AにAgを使用してもよい。また、第2金属粉体5Aは、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金粉末の少なくともいずれか1種を含むことが好ましく、一例として、Ag-Cu合金粉末を用いている。そして、第2金属粉体5Aの融点は、200℃以上1000℃以下であることが好ましい。この工程S12において、第1金属粉体4Aのメジアン径は、1μm以上50μm以下であることが好ましい。さらに、第1金属粉体4Aの融点は、1050℃以上2500℃以下であることが好ましい。
【0041】
この工程S12において、活性金属粉体6Aは、TiH2、CeH2、ZrH2、MgH2の少なくともいずれか1種を含むことが好ましく、一例として、TiH2を用いることとする。なお、工程S12では、ビアペースト3Aを貫通孔2に充填する場合、セラミックス基板1の一方の面である第1面1Aから、例えば、スクリーン印刷に使用される工具であるスキージを用いてビアペースト3Aを貫通孔2に充填し、さらに、セラミックス基板1の他方の面である第2面1Bから、第1面1Aと同様にスキージを用いてビアペースト3Aを貫通孔2に充填することが好ましい。
【0042】
(導電ペーストを配置すること)
次に、導電ペースト8Aを配置することS13(以下、工程S13という)を行う。この工程S13は、貫通孔2に充填したビアペースト3Aと少なくとも一部が接触するようにセラミックス基板1上に配線8となる導電ペースト8Aを配置することである。この工程S13では、セラミックス基板1の貫通孔2から露出しているビアペースト3Aの全面に接触するように導電ペースト8Aが配置される。導電ペースト8Aは、一例として、セラミックス基板1の第1面に2か所、セラミックス基板1の第2面に2か所の合計4箇所に、矩形に配置される。そして、導電ペースト8Aは、スクリーン印刷、メタルマスク印刷等によりマスクを介して矩形の配線あるいは配線パッドを、セラミックス基板1の第1面1A上及び第2面1B上に形成している。
なお、工程S12及び工程S13で使用されるビアペースト3A及び導電ペースト8Aは、流動性を有しており、任意の形状の貫通孔2に充填が自在でできると共に、任意の形状、厚みに塗布した後に硬化させることで配置することができる。また、導電ペースト8Aの面積は、ビアペースト3Aの第1面1A及び第2面1Bでの面積と同等の広さとなるように配置している。
【0043】
(ビアペーストを焼成すること)
次に、ビアペーストを焼成することS14(以下、工程S14という)を行う。この工程S14では、焼成温度は、第1金属粉体4Aの融点以下であり第2金属粉体5Aの融点以上であればよく、例えば780℃以上の温度で行うことが好ましい。なお、この工程S14では、焼成作業を行う場合、焼成雰囲気は99.9%以上のAr雰囲気または10-5Pa以下の真空雰囲気であることが好ましい。そして、この工程S14において、焼成温度は、850℃以上であることが好ましく、900℃以上であることがより好ましい。焼成温度は、第1金属粉体4Aが溶融せず、第2金属粉体5Aが溶融する温度である。これにより熱伝導率の高い金属、例えば、CuやAgを使用することができる。なお、この工程S14では、セラミックス基板1のビアペースト3A及び導電ペースト8Aを焼成するために、セラミックス基板1を電気炉等に入れ、前記した雰囲気中で焼成作業を行っている。
【0044】
工程S14により、焼結体基板10を製造することができる。焼結体基板10では、ビアペースト3Aが焼成されることでビア3となる。そして、ビア3において、金属化合物6の反応層6aが貫通孔2の内側面に形成され、金属化合物6の反応物6bが、第2金属粉体5Aが焼成された第2金属5の周囲に位置するようになる。また、第1金属粉体4Aが第1金属4として第2金属5と共にビア3の全体の構成となる。
【0045】
焼結体基板10では、セラミックス基板1の平均厚みと、貫通孔2の最大径と、の比であるアスペクト比が0.5の場合、金属化合物6の反応層6aの平均厚みとして、15μm以上20μm以下となり、アスペクト比が1.0のときに金属化合物6の反応層6aの平均厚みは、7.5μm以上10μm以下となり、また、アスペクト比が2.0の場合、金属化合物6の反応層6aの平均厚みは、5μm以上10μm以下となることが好ましい。このようなアスペクト比における金属化合物6の反応層6aの平均厚みを備えることで、ビア3の貫通孔2における接合強度をより確実に高めることができる。
なお、金属化合物6は、例えば、窒化物化合物として反応層6a及び反応物6bを形成することが好ましい。ビアペースト3Aにより焼成後に窒化物金属の反応層6aが形成されることで、ビア3が貫通孔2に強度に接合した状態となる。そして、第1金属4及び第2金属5がセラミックス基板1よりも熱伝導率が高く、貫通孔2の第1面1Aの開口面積が第2面1Bの開口面積よりも大きいため、放熱性に優れる。したがって、焼結体基板10は、放熱性を高め、かつ、強度を維持して、信頼性が高い構成を実現できる。
【0046】
[発光装置]
次に、実施形態に係る発光装置100を、
図7から
図9を参照しながら説明する。
図7は、実施形態に係る発光装置を模式的に示す斜視図である。
図8は、実施形態に係る発光装置の断面図である。
図9は、実施形態に係る発光素子と焼結体基板の貫通孔の傾斜面との関係を示す説明図である。
発光装置100は、焼結体基板10に発光素子20を配置して発光するようにした装置であり、図面では大きさの異なる2種類の発光素子20が全部で15個を配置した例としているが、発光素子20の数は1つでも、また、同じ大きさでも、2種類以上の異なる大きさでもよく、その配置も一列状にすること等、特に限定されるもではない。
発光装置100は、既に説明した焼結体基板10と、焼結体基板10の配線8に電気的に接続される発光素子20と、を備えている。なお、発光装置100は、発光素子20側面及び焼結体基板10上を覆う光反射部材30を一例として配置しているものとして説明する。また、発光装置100は、焼結体基板10のビア3に電気的に接続されると共に、外部配線基板50と焼結体基板10とを電気的に接続した構成として説明する。
【0047】
発光装置100では、実装部品電極である素子電極24を持つ実装部品である発光素子20が配置されており、セラミックス基板1の第2面1B側におけるビア3の面積は、素子電極24の面積に対して60%以上200%以下であるようになっている。つまり、素子電極24は、ビア3に接触している面積が、最小でも60%であり、最大で100%を超えるようになる。そのため、発光装置100では、ビア3が第1面1Aに向かって面積が大きくなるので、発光素子20の点灯により生じる熱を放熱し易い状態になっている。なお、
図9では、一例として、素子電極24の電極幅L11がビア3の第2面1B側での幅D11と同等であり、それぞれの面積が同等(100%)である状態を示している。そして、ビア3は、第1面1A側の幅D12が第2面1B側の幅D11よりも広くなっており、ビア3の面積は、第2面1B側よりも第1面1A側が大きくなっている。
【0048】
(発光素子)
発光素子20は、一対の素子電極24と、発光素子20の光取出し面側に配置される透光性部材23と、素子基板22と、半導体積層体21と、を有している。
発光素子20は、一例として素子基板22に半導体積層体21を有し、本実施形態においては透光性部材23が素子基板22の光取出し面となる上面側に配置され、素子基板22の下面側に半導体積層体21を備え、半導体積層体21側に一対の素子電極24を有している。半導体積層体21としては、所望とする発光波長に応じて任意の組成を用いることができるが、例えば、青色又は緑色の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaP、又は、赤色の発光が可能なGaAlAsやAlInGaPなどを用いることができる。また、使用する目的に応じて発光素子20の大きさや形状は適宜選択が可能である。
【0049】
素子基板22は、一例として、サファイア基板あるいはシリコン基板が使用される。素子基板22の厚みは、例えば、20μmから2mmが挙げられ、50μmから500μmが好ましく、80μmから160μmがより好ましい。
【0050】
透光性部材23は、例えば、透光性の樹脂材料からなり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらを混合した樹脂等を用いることができる。透光性部材23は、蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子20からの青色の光を吸収し、黄色の光を放射する蛍光体を含むことにより、白色の光を出射させることができる。また、透光性部材23は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、半導体積層体21からの青色の光を吸収して、緑色の光を放射する蛍光体と、赤色の光を放射する蛍光体と、を含むことによっても、発光素子20から白色の光を出射させることができる。
【0051】
このような蛍光体としては、例えば、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、βサイアロン蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)、αサイアロン蛍光体(例えば、Mz(Si,Al)12(O,N)16(但し、0<z≦2であり、MはLi、Mg、Ca、Y、及びLaとCeを除くランタニド元素))、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si,Al)F6:Mn)、若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体、又は、ペロブスカイト、カルコパイライト等の量子ドット蛍光体等を用いることができる。
【0052】
素子電極24は、接合部材11を介して焼結体基板10の配線8に接続されている。素子電極24は、一方がp電極であり、他方のn電極と電気的に短絡しない距離を保って配置されている。素子電極24は、一例として、p電極とn電極とをそれぞれ一か所ずつ配置する構成としているが、いずれか一方を2か所とし、他方を一か所に配置するような構成としても構わない。
なお、焼結体基板10の貫通孔の開口面積と、素子電極の面積と、は±10%以内であるようにすることが好ましい。ここでは、一例として、貫通孔2の最大径が0.05mm以上0.5mm以下であったときに、その±10%の範囲内にあることが好ましい。
また、貫通孔2は、第1面1Aから第2面1Bに向かって傾斜する傾斜面2aを有し、傾斜面2aの少なくとも一部が、素子電極24の間の直下となる。貫通孔2の傾斜面2aが素子電極24の間の直下、つまり、発光素子20の直下となることで、発光素子20の下方に出た光を取り出し易くなる。
【0053】
金属バンプ又は接合部材11は、素子電極24と配線8とを電気的に接続させるものである。金属バンプは、素子電極24側に配置されることや、配線8側に配置されることのいずれであってもよい。また、金属バンプは、その形状、大きさ、数は、いずれも、素子電極24の範囲で配置できる限り、適宜設定することができる。また、金属バンプの大きさは、半導体積層体の大きさ、求められる発光素子の発光出力等によって適宜調整することができ、例えば、最大直径が数十μmから数百μm程度の大きさが挙げられる。
【0054】
金属バンプは、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、錫、白金、亜鉛、ニッケル又はこれらの合金により形成することができ、例えば当該分野で公知のスタッドバンプにより形成することができる。スタッドバンプは、スタッドバンプボンダー、ワイヤボンディング装置等により形成することができる。また、金属バンプは、電解めっき、無電解めっき、蒸着、スパッタ等の当該分野において公知の方法によって形成してもよい。
【0055】
接合部材11は、例えば、錫-ビスマス系、錫-銅系、錫-銀系、金-錫系などの半田、金と錫とを主成分とする合金、金とケイ素とを主成分とする合金、金とゲルマニウムとを主成分とする合金等の共晶合金、あるいは、銀、金、パラジウムなどのペースト材、ACP、ACF等の異方性導電材、低融点金属のろう材、これらを組み合わせた導電性接着材、導電性複合接着材等が挙げられる。接合部材11は、例えば、鍍金により配線8を配置した場合には配線8の上に、あるいは、配線8を配置しなかった場合にはビア3の上に塗布される。
【0056】
(光反射部材)
光反射部材30は、光反射性を有する部材である。光反射部材30は、焼結体基板10における第1面上を覆うと共に、発光素子20の側面を覆うように配置されている。また、光反射部材30は、発光素子20の光取出し面を露出するように配置され、発光素子20の透光性部材23と同一平面となるように配置されている。なお、光反射部材30は、一例として、発光素子20の下面と焼結体基板10の上面(第1面)との間にも配置されている。
【0057】
光反射部材30は、発光素子20からの光を有効に利用するために、高い反射率を有し、白色であることが好ましい。光反射部材30の反射率は、発光素子20の発する光の波長において、例えば90%以上であることが好ましく、94%以上がより好ましい。
光反射部材30は、樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂若しくはポリエステル樹脂等の熱可塑性樹脂、又は、エポキシ樹脂若しくはシリコーン樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。また、光拡散材としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛又はガラス等の公知の材料を用いることができる。
【0058】
セラミックス基板1は、一例として、外部配線基板50に接続されている。外部配線基板50は、板厚方向に貫通する貫通孔に導電部材が配置され、その導電部材とセラミックス基板の第1面1Aに配置した配線8が接合部材11を介して電気的に接続されている。
外部配線基板50は、この種の発光装置100で使用されるものであれば、特にその構成を限定されるものではない。
【0059】
上記のような構成を備える発光装置100は、焼結体基板10における貫通孔2の第1面1Aの開口面積が第2面1Bの開口面積よりも大きくすることで、焼結体基板10の強度をも確保して放熱性を高め信頼性を向上することができる。
なお、発光装置100は、15個の発光素子20を1個のユニットとして明るさ及び点消灯の制御単位としているが、1個のユニットに含まれる発光素子20ごとに点消灯の制御単位とすることや、発光素子20の大きさや個数は、1個で1種類あるいは、複数個で3種類以上でもよい。例えば、1個の発光素子を1ユニットすることや、同じ大きさの発光素子20を1行4列、あるいは、2行2列の4個の発光素子20や3行3列の9個の発光素子20を1個のユニットとすることができる。また、大きさの異なる発光素子20を大きさごとに整列させて任意の配置にする構成を1個のユニットとしてもよい。
【0060】
[発光装置の製造方法]
次に、実施形態に係る発光装置の製造方法を
図10から
図11Cを参照して説明する。
図10は、実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
図11Aは、実施形態に係る発光装置の製造方法において焼結体基板に接合部材を配置した状態を例示する断面図である。
図11Bは、実施形態に係る発光装置の製造方法において発光素子を配置した状態を示す断面図である。
図11Cは、実施形態に係る発光装置の製造方法において光反射部材を配置した状態を例示する断面図である。
発光装置の製造方法S20は、既に説明した焼結体基板の製造方法S10により製造した焼結体基板を準備することS21と、焼結体基板に、素子電極を持つ発光素子を配置することS22と、を含む。そして、焼結体基板を準備することS21において、貫通孔2に充填されたビアペースト3Aは、ビアペースト3Aを焼成することにより、ビア3となり、発光素子を配置することS22において、ビア3と、素子電極24と、を電気的に接続している。なお、発光素子を配置することS22の後に、一例として、発光素子20側面及び焼結体基板10上を覆う光反射部材を配置することS23を行うものとして説明する。
【0061】
(焼結体基板を準備すること)
焼結体基板を準備することS21(以下、工程S21という)とは、既に説明した焼結体基板の製造方法S10によって製造した焼結体基板10を準備することである。焼結体基板10は、その第1面1Aの開口面積が第2面1Bの開口面積よりも大きな貫通孔2に配置されたビア3と同じ面積の大きさの配線8がビア3ごとに配置されている。なお、焼結体基板10は、発光素子20を配置する領域が複数あり、後記する光反射部材30を配置した後に、発光装置100ごとに個片化する大きさとすることや、一つの発光装置100ごとの大きさとすることであっても構わない。
【0062】
(発光素子を配置すること)
発光素子を配置することS22(以下、工程S22という)とは、発光素子20を焼結体基板10に配置することである。なお、発光素子20は、予め透光性部材23が素子基板22に接続された状態のものが配置される。透光性部材23を素子基板22に接合する場合には、透光性の接合材料を使用している。この工程S22では、発光素子20の素子電極24を、配線8に配置した接合部材11を介して接続している。また、発光素子20は、素子電極24が配線8を設けることなく直接、ビア3に接続するようにしても構わない。つまり、焼結体基板10を準備するときに、配線8を配置しない状態で準備することであってもよい。
【0063】
(光反射部材を配置すること)
光反射部材を配置することS23(以下、工程S23という)とは、焼結体基板10の上面である第2面1Bを覆うと共に、発光素子20の側面を覆うように光反射部材30を配置することである。この工程S23では、光反射部材30は、発光素子20を囲み発光素子20の光取出し面となる各透光性部材23の上面を露出するように焼結体基板10の上に配置される。光反射部材30は、平面視において矩形となるように配置される。
【0064】
なお、発光装置の製造方法S20では、工程S23の作業が終了した後に、必要に応じて個片化作業が行われる。発光装置100は、使用されている発光素子20の数で予め発光装置100の1つの単位が設定されている。そのため、発光装置100をまとめて複数製造している場合には、個片化作業が行われる。個片化作業を行う場合には、格子状に切断することで、複数の発光装置100を作製する。また、切断する方法としては、例えば、円盤状の回転刃、超音波カッター、レーザ光照射等を用いることができる。
【0065】
上記のような構成を備える発光装置の製造方法S20は、セラミックス焼結体基板の製造方法S10によって、セラミックス基板1の貫通孔2が第1面1Aの開口面積が第2面1Bの開口面積より大きく、その貫通孔2に配置するビア3により放熱性が高く、また、ビア3と貫通孔2との接合強度を向上させることで信頼性を図り、発光素子20の安定した制御をすることが可能となる。
【0066】
なお、本願発明では、以下のような構成となる各項の関係であってもよい。
[項1]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有し、前記第1面の前記貫通孔の開口面積が前記第2面の前記貫通孔の開口面積よりも大きいセラミックス基板と、
前記貫通孔内に配置されたビアと、を備え、
前記ビアは、第1金属と、前記第1金属よりも融点の低い第2金属と、前記貫通孔を画定する内壁に配置される金属化合物と、を含み、
前記セラミックス基板における前記第1面の前記貫通孔の形状は、平面視において多角形であり、
前記第1金属及び前記第2金属は、前記セラミックス基板よりも熱伝導率が高い焼結体基板。
[項2]
前記セラミックス基板における前記第2面の前記貫通孔の形状は、底面視において、前記第1面の前記貫通孔と相似形である項1に記載の焼結体基板。
[項3]
前記金属化合物は、層状であり、
前記セラミックス基板の平均厚みと、前記貫通孔の最大径と、の比であるアスペクト比が0.5の場合、前記金属化合物の平均厚みが、15μm以上20μm以下となり、前記アスペクト比が1.0のときに前記金属化合物の平均厚みが、7.5μm以上10μm以下となる項1又は項2に記載の焼結体基板。
[項4]
前記セラミックス基板の平均厚みと、前記貫通孔の最大径と、の比であるアスペクト比が2.0の場合、前記金属化合物の平均厚みが、5μm以上10μm以下となる項1から項3のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項5]
前記第1金属は、Cu、Cr、Niの少なくともいずれか1種を含む項1から項4のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項6]
前記第2金属は、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金の少なくともいずれか1種を含む項1から項5のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項7]
前記セラミックス基板は、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素の少なくとも1種を含む項1から項6のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項8]
前記貫通孔の最大径は、0.05mm以上0.5mm以下である項1から項7のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項9]
前記セラミックス基板において、前記貫通孔は最大径の異なる大きさごとに貫通孔群が複数ある項1から項8のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項10]
前記焼結体基板は、実装部品電極を持つ実装部品に配置されており、
前記セラミックス基板の前記第2面側における前記ビアの面積は、前記実装部品電極の面積に対して60%以上200%以下である項1から項9のいずれか一項に記載の焼結体基板。
[項11]
項1から項10のいずれか一項に記載の焼結体基板と、
素子電極を持つ発光素子と、を備え、
前記焼結体基板の前記ビアと、前記素子電極と、を電気的に接続し、
底面視において、前記焼結体基板における前記第2面の前記貫通孔の開口面積と、前記素子電極の面積と、は±10%以内である発光装置。
[項12]
前記貫通孔は、前記第1面から前記第2面に向かって傾斜する傾斜面を有し、
前記傾斜面の少なくとも一部が、前記素子電極の間の直下となる項11に記載の発光装置。
[項13]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を有し、前記第1面の前記貫通孔の開口面積が前記第2面の前記貫通孔の開口面積よりも大きいセラミックス基板を準備することと、
前記貫通孔にビアペーストを充填することと、
前記ビアペーストを焼成することと、を含み、
前記セラミックス基板を準備することにおいて、前記セラミックス基板における前記第1面の前記貫通孔の形状は、平面視において多角形であり、
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、複数個の第1金属粉体と、複数個の第2金属粉体と、複数個の活性金属粉体と、を含み、前記第1金属粉体及び前記第2金属粉体の熱伝導率は、前記セラミックス基板の熱伝導率よりも高く、
前記ビアペーストを焼成することにおいて、焼成温度は、前記第1金属粉体の融点以下であり前記第2金属粉体の融点以上である、焼結体基板の製造方法。
[項14]
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記活性金属粉体の含有量は、3重量部以上である項13に記載の焼結体基板の製造方法。
[項15]
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記第1金属粉体は、Cu、Cr、Niの少なくともいずれか1種を含む項13又は項14に記載の焼結体基板の製造方法。
[項16]
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記第2金属粉体は、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金粉末の少なくともいずれか1種を含む項13から項15のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法。
[項17]
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記活性金属粉体は、TiH2、CeH2、ZrH2、MgH2の少なくともいずれか1種を含む項13から項16のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法。
[項18]
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、さらに有機バインダを含む項13から項17のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法。
[項19]
前記ビアペーストを充填することにおいて、前記ビアペーストは、さらに、金属を除く複数個の無機フィラーを含む項13から項18のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法。
[項20]
前記ビアペーストを焼成することにおいて、焼成雰囲気は99.9%以上のAr雰囲気または10-5Pa以下の真空雰囲気である項13から項19のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法。
[項21]
前記セラミックス基板を準備することにおいて、前記セラミックス基板の前記第1面側からレーザ光を照射して前記貫通孔を形成する項13から項20のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法。
[項22]
項13から項21のいずれか一項に記載の焼結体基板の製造方法により製造した焼結体基板を準備することと、
前記焼結体基板に、素子電極を持つ発光素子を配置することと、を含み、
前記焼結体基板を準備することにおいて、前記貫通孔に充填されたビアペーストを焼成することにより、ビアとなり、
前記発光素子を配置することにおいて、前記ビアと、前記素子電極と、を電気的に接続する、発光装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本開示の実施形態に係る発光装置は、携帯電話やカメラのフラッシュ、配光可変型ヘッドランプ光源に利用することができる。その他、本開示の実施形態に係る発光装置は、液晶ディスプレイのバックライト光源、各種照明器具、大型ディスプレイ、広告や行き先案内等の各種表示装置、更には、デジタルビデオカメラ、ファクシミリ、コピー機、スキャナ等における画像読取装置、プロジェクタ装置等に利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 セラミックス基板
1A 第1面
1B 第2面
2 貫通孔
2a 傾斜面
3 ビア
3A ビアペースト
4 第1金属
4A 第1金属粉体
5 第2金属
5A 第2金属粉体
6 金属化合物
6A 活性金属粉体
6a 反応層
6b 反応物
7 無機フィラー:焼成後
7A 無機フィラー:焼成前
7B 有機バインダ
8 配線
8A 導電ペースト
10 焼結体基板
11 接合部材
12 金属バンプ
20 発光素子
21 半導体層
22 素子基板
23 透光性部材
24 素子電極
30 光反射部材
100 発光装置
S10 焼結体基板の製造方法
S11 セラミックス基板を準備すること
S12 ビアペーストを充填すること
S13 導電ペーストを配置すること
S14 ビアペーストを焼成すること
S20 発光装置の製造方法
S21 焼結体基板を準備すること
S22 発光素子を配置すること
S23 光反射部材を配置すること