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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024008953
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ウェーハの在荷検知装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/67 20060101AFI20240112BHJP
   H01L 21/673 20060101ALI20240112BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240112BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01L21/68 L
H01L21/68 U
H01L21/304 622L
B24B49/10
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023182937
(22)【出願日】2023-10-25
(62)【分割の表示】P 2019023929の分割
【原出願日】2019-02-13
(71)【出願人】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】芦澤 輝久
(72)【発明者】
【氏名】丸岡 哲
(57)【要約】
【課題】水滴の影響を受けることなく、透明なウェーハであっても確実にウェーハの在荷を検知可能なウェーハの在荷検知装置を提供する。
【解決手段】トレイ41の上にウェーハWが載置されているか否かを検知するウェーハの在荷検知装置であって、トレイ41を貫通する開口部42を介してウェーハWに向けた超音波の発信及びウェーハWで反射した超音波の受信を行う超音波式センサ43を備え、超音波式センサ43は、超音波を発信してから受信するまでの検知時間が超音波を発信してからトレイ41に載置されたウェーハWで反射した超音波を受信するまでの時間に応じて予め設定された閾値に相当するか否かに応じて、トレイ41にウェーハWが載置されているか否かを検知する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレイの上にウェーハが載置されているか否かを検知するウェーハの在荷検知装置であって、
前記トレイを貫通する開口部を介して前記ウェーハに向けた超音波の発信及び前記ウェーハで反射した前記超音波の受信を行う超音波式センサを備え、
前記超音波式センサは、前記超音波を発信してから受信するまでの検知時間が前記超音波を発信してから前記トレイに載置された前記ウェーハで反射した前記超音波を受信するまでの時間に応じて予め設定された閾値に相当するか否かに応じて、前記トレイに前記ウェーハが載置されているか否かを検知する、ことを特徴とするウェーハの在荷検知装置。
【請求項2】
前記超音波式センサは、前記検知時間が前記閾値に相当する場合、前記ウェーハが前記トレイに載置されていることを検知し、前記検知時間が前記閾値と異なる場合、前記ウェーハが前記トレイに載置されていないことを検知する、ことを特徴とする請求項1に記載のウェーハの在荷検知装置。
【請求項3】
前記超音波式センサから発信された前記超音波を前記開口部に向けて屈折反射させるとともに前記ウェーハで反射した前記超音波を前記超音波式センサに向けて屈折反射させる超音波屈折手段をさらに備えている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のウェーハの在荷検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はワーク(例えば、ウェーハ等)の在荷検知装置に関するものであり、特に、ウェーハにCMP加工を施すウェーハ研磨装置などにおいて、トレイの上にウェーハが載置されているか否かを検知するウェーハの在荷検知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造分野では、シリコンウェーハ等の半導体ウェーハ(以下、単に「ウェーハ」という)の表面を研磨するウェーハ研磨装置が知られている。
【0003】
特許文献1記載の研磨装置は、化学的機械的研磨、いわゆるCMP(Chemical Mechanical Polishing)技術を適用した研磨装置である。この研磨装置では、カセットから取り出されたウェーハが搬送されて来るロード・アンロード部とウェーハを研磨する研磨ヘッドとの間におけるウェーハの受け渡しを、ウェイティングユニットが中継している。
【0004】
ウェイティングユニットは、上下2段構造のウェーハ載置台であり、上段が研磨加工前のウェーハを研磨ヘッド側に受け渡すトレイを有したロード専用ウェーハ載置台(インテーブル)であり、下段が研磨加工後のウェーハを研磨ヘッドから受け取るトレイを有したアンロード専用ウェーハ配置台(アウトテーブル)である。
【0005】
この研磨装置では、インテーブルのトレイが、ウェーハを研磨ヘッドに受け渡す所定位置(ロード位置)まで移動すると、リテーナを取り付けた研磨ヘッドが下降して、ウェーハをリテーナに吸着保持して研磨定盤上に運び、ウェーハの研磨が行われる。
【0006】
研磨後は、アウトテーブルのトレイ上に移動し、加工後のウェーハをアウトテーブルのトレイに受け渡す。アウトテーブルは加工後のウェーハと共に所定の位置まで搬送され、その後、搬送ロボットによりアンロードカセットに移動される。以後、このような動作を繰り返すことにより、多数枚のウェーハを連続して研磨加工することができるようになっている。
【0007】
ところで、ウェイティングユニットを用いてウェーハを搬送する方法では、ウェーハの重送などのミスを無くすために、インテーブルのトレイ内やアウトテーブル内のトレイにウェーハが無い状態で、インテーブルが搬送ロボットからウェーハを受け取り、又はアウトテーブルが研磨ヘッドから研磨加工済みのウェーハを受け取るようにしなければならない。そのため、インテーブルのトレイ内及びアウトテーブルのトレイ内に、ウェーハが存在するか否かを検知するためのウェーハの在荷検知装置が設けられている。その従来におけるウェーハの在荷検知装置は、ウェーハの在荷を検知するのに光学式センサを用いていた。
【0008】
図7に示すように、従来のウェーハの在荷検知装置における光学式センサ101は、投光部102と受光部103を有する。一方、ウェーハWが載置されるインテーブル(又はアウトテーブル)のトレイ104には、上下に貫通している開口部105が設けられている。また、光学式センサ101は、トレイ104の開口部105に対応させて、トレイ104の下面側(又は上面側)に投光部102を配置するとともに、トレイ104の上面側(又は下面側)に受光部103を配置するようにして設けられる。
【0009】
そして、光学式センサ101は、インテーブル(又はアウトテーブル)のトレイ104上にウェーハWが載置されていると、開口部105がウェーハWにより閉じられ、ウェーハWで遮光されて投光部102からの光が受光部103に届かないことから、トレイ104上にウェーハWがあると認識する。反対に、インテーブル又はアウトテーブルのトレイ104上にウェーハWが載置されていないと開口部105が開かれた状態となり、投光部102からの光が開口部105を通って受光部103まで届き、トレイ104上にウェーハWがないと認識する。すなわち、受光部103に投光部102からの光が入るか入らないかにより、インテーブル又はアウトテーブルのトレイ104上のウェーハWの在荷を検知するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3510177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、光学式センサ101を用いてウェーハWの在荷を検知する従来の構造では、光学式センサ101に水滴が付着すると、ウェーハWの在荷を誤って検知することがあった。
【0012】
また、今日では、透明ガラスで作られた透明なウェーハW等も存在するが、透明なウェーハWの場合、投光部102からの光がウェーハWを透過して受光部103に入るために、透明なウェーハWを扱う場合には光学式センサ101を使用することができないという問題点もあった。
【0013】
そこで、水滴の影響を受けることなく、透明なウェーハであっても確実にウェーハの在荷を検知可能なウェーハの在荷検知装置を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、トレイの上にウェーハが載置されているか否かを検知するウェーハの在荷検知装置であって、前記トレイを貫通する開口部を介して前記ウェーハに向けた超音波の発信及び前記ウェーハで反射した前記超音波の受信を行う超音波式センサを備え、前記超音波式センサは、前記超音波を発信してから受信するまでの検知時間が前記超音波を発信してから前記トレイに載置された前記ウェーハで反射した前記超音波を受信するまでの時間に応じて予め設定された閾値に相当するか否かに応じて、前記トレイに前記ウェーハが載置されているか否かを検知する、ウェーハの在荷検知装置を提供する。
【0015】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記超音波式センサは、前記検知時間が前記閾値に相当する場合、前記ウェーハが前記トレイに載置されていることを検知し、前記検知時間が前記閾値と異なる場合、前記ウェーハが前記トレイに載置されていないことを検知する、前ウェーハの在荷検知装置を提供する。
【0016】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、前記超音波式センサから発信された前記超音波を前記開口部に向けて屈折反射させるとともに前記ウェーハで反射した前記超音波を前記超音波式センサに向けて屈折反射させる超音波屈折手段をさらに備えている、ウェーハの在荷検知装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ウェーハに向けて超音波を発信し、ウェーハで反射された超音波を受信するようにしているので、例えば透明ガラスで作られた透明なウェーハなどであっても、ウェーハの在荷を確実に検知することができる。これにより、検知精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のウェーハの在荷検知装置を使用したウェーハ研磨装置の全体構造を模式的に示す平面図である。
図2】同上ウェーハ研磨装置におけるウェイティングユニットの要部構成を模式的に示す図であり、(a)はウェイティングユニットの正面図、(b)はウェイティングユニットを上側から見た平面図である。
図3】本発明の第1実施例に係るウェーハの在荷検知装置の要部構成を模式的に示す縦断側面図である。
図4】本発明の第2実施例に係るウェーハの在荷検知装置の要部構成を模式的に示す縦断側面図である。
図5】本発明の第3実施例に係るウェーハの在荷検知装置の要部構成を模式的に示す縦断側面図である。
図6】本発明の第4実施例に係るウェーハの在荷検知装置の要部構成を模式的に示す縦断側面図である。
図7】従来におけるウェーハの在荷検知装置の要部構成を模式的に示す縦断側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、装置を大型化させることなく、また透明なウェーハであっても確実にウェーハの在荷を検知可能なウェーハの在荷検知装置を提供するという目的を達成するために、トレイの上にウェーハが載置されているか否かを検知するウェーハの在荷検知装置であって、前記トレイを貫通する開口部を介して前記ウェーハに向けた超音波の発信及び前記ウェーハで反射した前記超音波の受信を行う超音波式センサを備え、前記超音波式センサは、前記超音波を発信してから受信するまでの検知時間が前記超音波を発信してから前記トレイに載置された前記ウェーハで反射した前記超音波を受信するまでの時間に応じて予め設定された閾値に相当するか否かに応じて、前記トレイに前記ウェーハが載置されているか否かを検知する、ことにより実現した。
【実施例0020】
以下、本発明の実施形態に係る実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の各実施例において、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0021】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0022】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0023】
また、以下の説明において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、本発明のウェーハの在荷検知装置の各部が描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。また、実施例の説明の全体を通じて同じ要素には同じ符号を付している。
【0024】
図1は、本発明に係るウェーハの在荷検知装置を使用したウェーハ研磨装置10の全体構成を模式的に示した平面図である。図1において、ウェーハ研磨装置10は、CMP装置であり、ウェーハWの表面を平坦に研磨する。
【0025】
ウェーハ研磨装置10は、ロードカセット11と、搬送ロボット12と、アライナ13と、ウェイティングユニット14と、研磨定盤15と、アンロードカセット16と、を備えている。また、ウェイティングユニット14には、インテーブル17と、研磨ヘッド18と、アウトテーブル19と、を備えている。
【0026】
ロードカセット11は、研磨前のウェーハWを一時格納する場合に使用される。
【0027】
搬送ロボット12は、ウェーハWを搬送するロード用であり、ロードカセット11内から研磨加工前のウェーハWを受け取り、アライナ13、インテーブル17、研磨ヘッド18、研磨定盤15、アウトテーブル19の順に搬送し、研磨加工処理後のウェーハWを一時格納しておく、アンロードカセット16まで搬送する。
【0028】
アライナ13は、ロードカセット11から取り出され、ウェイティングユニット14に搬送される前のウェーハWの向きを調整する。
【0029】
研磨定盤15は、円板状に形成されており、上面には図示しない研磨パッドが交換可能に被着されている。研磨定盤15は、回転駆動機構の駆動により軸心を中心として研磨パッドと一体に回転する。その研磨定盤15は、研磨ヘッド18と共に押し付けられるウェーハWの表面を、研磨パッドにより平坦に研磨する。
【0030】
図2は、ウェイティングユニット14の構成を模式的に示す図であり、(a)はウェイティングユニット14の正面図、(b)はウェイティングユニット14を上側から見た平面図である。図2において、ウェイティングユニット14は、上下2段構造のウェーハ載置台である。ウェイティングユニット14には本発明に係るウェーハの在荷検知装置40が設けてある。
【0031】
ウェイティングユニット14の上段側におけるウェーハ載置台は、研磨加工前のウェーハWを研磨ヘッド18に受け渡すロード専用ウェーハ載置台としてのインテーブル17である。一方、下段側におけるウェーハ載置台は、研磨加工後のウェーハWを研磨ヘッド18から受け取るアンロード専用ウェーハ配置台としてのアウトテーブル19である。インテーブル17及びアウトテーブル19には、それぞれウェーハWが載置されて保持されるトレイ41が設けられている。インテーブル17に設けられたトレイ41はインテーブル17と一体に移動し、アウトテーブル19に設けられたトレイ41はアウトテーブル19と一体に移動する。
【0032】
ウェイティングユニット14における、インテーブル17及びアウトテーブル19は、それぞれ連結部材20a、20bを介してロッドレスシリンダ21a、21bに接続されている。そのウェイティングユニット14では、ロッドレスシリンダ21a、21bが駆動すると、インテーブル17及びアウトテーブル19は、図2(b)の矢印Y方向に移動することができる。
【0033】
研磨ヘッド18は、インテーブル17のトレイ41及びアウトテーブル19のトレイ41の上方にスライド可能であり、また垂直方向Zにも上下動可能に構成されている。研磨ヘッド18は、インテーブル17のトレイ41からウェーハWを受け取り、受け取り後、研磨定盤15の上に移動し、研磨加工する際に下降して研磨定盤15の上面に貼付されている図示しない研磨パッドにウェーハWを押圧して研磨を行う。なお、研磨加工の際、研磨パッド上に図示しないノズルから研磨剤と化学薬品との混合物であるCPMスラリーが供給される。
【0034】
また、研磨加工後は、アウトテーブル19上に移動し、加工後のウェーハWをアウトテーブル19のトレイ41上に受け渡す。アウトテーブル19は加工後のウェーハWと共に所定の位置まで搬送され、その後、搬送ロボット12によりアンロードカセット16に移動されるようになっている。
【0035】
このように、ウェーハWの移送をインテーブル17のトレイ41及びアウトテーブル19のトレイ41を介して行うウェーハ研磨装置10では、ウェーハWの重送などの重度のミスを無くして移動及び加工をスムーズに行うようにするには、インテーブル17のトレイ41の中におけるウェーハWの在荷の状態やアウトテーブル19のトレイ41の中におけるウェーハWの在荷の状態を検知した上で、必要な動作を実行する必要がある。そこで、本実施例のウェーハ研磨装置10では、インテーブル17及びアウトテーブル19における各トレイ41の中におけるウェーハWの在荷の状態を検知するウェーハの在荷検知装置40が、インテーブル17及びアウトテーブル19に各々対応して設けられている。
【0036】
本実施例のウェーハ研磨装置10における第1の実施例に係るウェーハの在荷検知装置40は、インテーブル17に設けられているウェーハの在荷検知装置40とアウトテーブル19に設けられているウェーハの在荷検知装置40とは、その構造がほぼ同じである。したがって以下の説明では、説明を簡略化するためにアウトテーブル19側におけるウェーハの在荷検知装置40を代表して説明する。よって、インテーブル17側にもアウトテーブル19側のインテーブル17に設けられているウェーハの在荷検知装置40と同じ、ウェーハの在荷検知装置40が設けられていると理解されたい。
【0037】
第1実施例に係るウェーハの在荷検知装置40は、図3に示すようにウェーハWが載置されて、そのウェーハWで覆われるトレイ41の略中央に、トレイ表面41aからトレイ裏面41bに渡って貫通して開口して設けられている開口部42を有している。また、ウェーハの在荷検知装置40は、トレイ41のトレイ裏面41b側で、開口部42と対応する位置に、検知面43aを開口部42に向けて超音波式センサ43が配置されている。
【0038】
超音波式センサ43は、それ自体はよく知られたセンサであり、検知面43aの発信部から超音波を発信し、ウェーハWの一面で反射されて来る超音波を検知面43aの受信部で受信する動作を交互に行い、ウェーハWの一面で反射されて検知面43aに返って来る超音波があるか無いかで、トレイ41上におけるウェーハWの在荷を検知するようになっている。なお、超音波式センサ43によっては、検知面43aが、超音波を照射する超音波発信面と反射して来る超音波を受信する受診超音波受信面とが別れている場合もある。
【0039】
すなわち、図3に示す第1実施例のウェーハの在荷検知装置40では、トレイ41にウェーハWが載置されて、ウェーハWで開口部42が覆われている状態で、超音波式センサ43の検知面43aの発信部から超音波が発信されると、その超音波は開口部42を通ってウェーハWの一面に当たり、その当たった超音波がウェーハWの一面で反射されて検知面43aの受信部に入り、検知面43aで所定の時間内に受信される。この超音波の発信と受信が交互に行われることにより、トレイ41にウェーハWが存在するか否かを検知することができる。また、このウェーハWの検知は、ウェーハWの一面で反射される超音波を検知するようにしているので、ウェーハWが例えば透明ガラスで作られた透明なウェーハWなどであっても、トレイ表面41a上に乗せられたウェーハWを確実に検知することができる。
【0040】
一方、トレイ41にウェーハWが載置されておらず、ウェーハWで開口部42が覆われていない状態で、超音波式センサ43の検知面43aの発信部から超音波が発信されると、その超音波は開口部42を通って上方に抜けて反射されない。また、他の部材で反射されて来たとしても検知面43aの受信部には所定の時間とは異なる時間長で入射され、トレイ41にウェーハWが存在しないことを検知することができる。
【0041】
したがって、図3に示すウェーハの在荷検知装置40では、超音波の発信部と受信部を、トレイ41の一面(本実施例では裏面)側に配置させて、高さ方向の距離Lを短くした状態で、超音波式センサ43を組み込むことができる。これにより、ウェーハの在荷検知装置40のコンパクト化を図ることができるとともに、ウェーハ研磨装置10全体の小型化が可能になる。
【0042】
また、ウェーハWの一面に向けて超音波を発信し、ウェーハWの一面で反射された超音波を受信するようにしているので、例えば透明ガラスで作られた透明なウェーハなどであっても、ウェーハWの在荷を確実に検知することができ、検知の精度が向上する。
【0043】
図4は、第2実施例のウェーハの在荷検知装置40を示すものである。第2実施例のウェーハの在荷検知装置40は、トレイ41の開口部42と超音波式センサ43との間に超音波反射面44aを有する超音波屈折手段としての反射板44を設けたものである。なお、反射板44は、金属板又はプラスチック板等の音波を反射する部材であり、その表面に超音波反射面44aを設けたものである。そして、超音波式センサ43は、検知面43aを反射板44に向けて、トレイ41のトレイ裏面41bの下側に配置され、超音波式センサ43の検知面43aの発信部からトレイ41のトレイ裏面41bと略平行(水平方向)に超音波を発信できるようになっている。
【0044】
反射板44の超音波反射面44aは、超音波式センサ43の検知面43aの発信部から水平方向に発信された超音波を、トレイ41に向けて略直角に屈折反射させ、またトレイ41側からの反射光を超音波式センサ43の検知面43aに向けて略直角に屈折反射させて、検知面43aに向けて返すことができるようになっている。
【0045】
すなわち、図4に示す第2実施例のウェーハの在荷検知装置40では、トレイ41にウェーハWが載置されて、ウェーハWで開口部42が覆われている状態で、超音波式センサ43の検知面43aの発信部から超音波が発信されると、その超音波は反射板44の超音波反射面44aに向かう。超音波反射面44aに向かった超音波は、超音波反射面44aで反射されて開口部42を通ってウェーハWの一面に当たる。そして、ウェーハWの一面に当たった超音波はウェーハWの一面で反射され、反射板44の超音波反射面44aを通って検知面43aの受信部に入り、所定の時間内に受信される。したがって、この実施例でも、この超音波の発信と受信が交互に行われることにより、トレイ41にウェーハWが存在することを検知することができる。また、このウェーハWの検知は、ウェーハWの一面で反射される超音波を検知するので、ウェーハWが例えば透明ガラスで作られた透明なウェーハなどで有っても確実に検知することができる。
【0046】
一方、トレイ41にウェーハWが載置されておらず、ウェーハWで開口部42が覆われていない状態で、超音波式センサ43の検知面43aの発信部から超音波が発信されると、その超音波は第1実施例の場合と同様に、開口部42を通って上方に抜けて反射されない。また、他の部材で反射されて来たとしても検知面43aの受信部には所定の時間内には入射されず、トレイ41にウェーハWが存在しないことを検知することができる。
【0047】
したがって、図4に示したウェーハの在荷検知装置40でも、超音波の発信部と受信部を、トレイ41の一面(本実施例では裏面)側に配置させて、高さ方向の距離Lを短くした状態で、超音波式センサ43を組み込むことができるので、ウェーハの在荷検知装置40のコンパクト化を図ることができ、ウェーハ研磨装置10全体の小型化が可能になる。しかも、開口部42と超音波式センサ43の検知面43aとの間に反射板44を配置することにより、超音波式センサ43をトレイ41のトレイ裏面41bに近づけた状態に配置し、超音波式センサ43とトレイ41までの高さ方向の距離Lを小さくすることができ、更にコンパクト化を図ることができる。また、超音波式センサ43での最短検知距離は約50mm以上と長いが、開口部42と超音波式センサ43との間に反射板44を設けて、超音波反射面44aで反射させて検知距離を稼ぐことにより、超音波式センサ43を容易に組み込むことが可能になる。
【0048】
また、第1実施例の場合と同様に、ウェーハWの一面に向けて超音波を発信し、ウェーハWの一面で反射された超音波を受信するようにしているので、例えば透明ガラスで作られた透明なウェーハなどであっても、ウェーハWの在荷を確実に検知することができ、検知の精度が向上する。
【0049】
図5は、第3実施例のウェーハの在荷検知装置40を示すものである。第3実施例のウェーハの在荷検知装置40は、第2実施例の場合と同じように、トレイ41の開口部42と超音波式センサ43との間に超音波反射面44aを有する超音波屈折手段としての反射板44を設けたものである。そして、超音波式センサ43は、検知面43aを反射板44に向けて、トレイ41のトレイ裏面41bの下側に配置され、超音波式センサ43の検知面43aの発信部から超音波を発信でき、また反射されてくる超音波を受信できるようになっている点は第2実施例のウェーハの在荷検知装置40と略同じである。
【0050】
第3実施例のウェーハの在荷検知装置40と第2実施例のウェーハの在荷検知装置40との違いは、第2実施例の場合では超音波式センサ43の検知面43aをトレイ41のトレイ裏面41bに対して略直角に配置していたのに対して、第3実施例の場合では、超音波式センサ43の検知面43aを斜め下側に傾けて設けたものである。
【0051】
すなわち、ウェーハWの洗浄時などに、超音波式センサ43の検知面43aに水滴などが飛散して付着したような場合、超音波が水滴などに屈折して検知性能が低下することも考えられる。しかし、第3実施例のように、超音波式センサ43の検知面43aを斜め下側に向けて設けた場合では、検知面43aに水滴などが付着するのを防ぎ、検知精度の安定化を図ることができる。
【0052】
図6は、本発明に係る第4実施例のウェーハの在荷検知装置40を示すものである。第4実施例のウェーハの在荷検知装置40は、第2実施例のウェーハの在荷検知装置40場合と同じように、トレイ41の開口部42と超音波式センサ43との間に超音波反射面44aを有する超音波屈折手段としての反射板44を設けると共に超音波反射面44aと超音波式センサ43の検知面43aにそれぞれ風を吹き付けるブロア45a、45bを設けたものである。
【0053】
そして、第4実施例のように、超音波反射面44aに風を吹き付けるブロア45aと超音波式センサ43の検知面43aに風を吹き付けるブロア45bを各々設けた構造では、超音波反射面44aや検知面43aに水滴や塵等が付着した場合に、ブロア45a、45bからの風で、超音波反射面44aや検知面43a上の水滴や塵等を吹き飛ばしてクリーンにすることができる。これにより、超音波経路を安定化し、安定したウェーハの在荷の検知精度を維持することができる。
【0054】
なお、第1、第2、第3、第4の実施例では、超音波式センサ43をトレイ41のトレイ裏面41b側に設けた構造を開示したが、トレイ41のトレイ表面41a側に設けた構造にしてもよい。また、トレイ41のトレイ表面41a側とトレイ裏面41bの両方に設けてもよいものである。
【0055】
さらに、第2、第3、第4の実施例の場合では、トレイ41の構造によっては、超音波反射面44aを設けた反射板44と超音波式センサ43を配置する凹部又は凹所をトレイ41の一部に設け、その凹部又は凹所内に反射板44と超音波式センサ43をそれぞれ配置させた構造にすると、反射板44と超音波式センサ43の高さ寸法の一部をトレイ41の厚み寸法内に吸収することも可能になる。
【0056】
また、上記各実施例は、ウェーハ研磨装置10のウェイティングユニット14に適用した場合について説明したが、ウェーハ研磨装置10のウェイティングユニット14に限ることなく、ウェーハWをトレイに乗せて作業を行う半導体製造装置内において適用できるものである。
【0057】
また、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0058】
10 :ウェーハ研磨装置
11 :ロードカセット
12 :搬送ロボット
13 :アライナ
14 :ウェイティングユニット
15 :研磨定盤
16 :アンロードカセット
17 :インテーブル
18 :研磨ヘッド
19 :アウトテーブル
20a :連結部材
20b :連結部材
21a :ロッドレスシリンダ
21b :ロッドレスシリンダ
40 :在荷検知装置
41 :トレイ
41a :トレイ表面
41b :トレイ裏面
42 :開口部
43 :超音波式センサ
43a :検知面
44 :反射板
44a :超音波反射面
45a :ブロア
45b :ブロア
L :高さ方向の距離
W :ウェーハ
Y :矢印
Z :垂直方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7