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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024089656
(43)【公開日】2024-07-03
(54)【発明の名称】救援端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/04 20060101AFI20240626BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240626BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240626BHJP
   H01R 4/34 20060101ALI20240626BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240626BHJP
【FI】
H01R13/04 C
H02G3/16
B60R16/02 610Z
H01R4/34
H02J7/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023214734
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2022204456
(32)【優先日】2022-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391045897
【氏名又は名称】古河AS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100182888
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100196357
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 吉章
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】広瀬 総史
(72)【発明者】
【氏名】白鳥 友嗣
(72)【発明者】
【氏名】岩松 祐也
【テーマコード(参考)】
5E012
5G361
5G503
【Fターム(参考)】
5E012BA12
5G361BA02
5G361BA06
5G361BB01
5G361BC01
5G361BC02
5G503AA01
5G503AA04
5G503BA01
5G503BB01
5G503FA03
(57)【要約】
【課題】クランプで挟持して安定して通電することができ、耐久性が高い救援端子を提供することを目的とする。
【解決手段】電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられ、ブースターケーブル200のクランプ201におけるクランプ挟持部202で挟持する救援端子1は、電源入力端子150を介して電気回路と接続される金属製板材10で構成され、金属製板材10の突出方向Hを補強する側方折曲片15が設けられた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられ、ブースターケーブルのクランプにおけるクランプ挟持部で挟持する救援端子であって、
電気回路と接続される金属製板材で構成され、
前記金属製板材の突出方向を補強する補強部が設けられた
救援端子。
【請求項2】
前記金属製板材の主面において、前記金属製板材が突出する突出方向に直交する方向を幅方向とし、
前記補強部は、前記金属製板材における前記幅方向の両端縁の少なくとも一方に沿って、板厚方向に曲げられた曲げ補強部である
請求項1に記載の救援端子。
【請求項3】
前記曲げ補強部に、挟持する前記クランプ挟持部を係止する係止部が設けられた
請求項2に記載の救援端子。
【請求項4】
前記金属製板材の先端に、板厚方向における前記曲げ補強部と反対側に曲げた先端曲げ部が設けられた
請求項3に記載の救援端子。
【請求項5】
前記補強部は、前記金属製板材における突出方向に沿って形成された突出方向ビードである
請求項1に記載の救援端子。
【請求項6】
前記金属製板材に対して、別の第2金属製板材が積層され、
積層された前記第2金属製板材が前記補強部である
請求項1に記載の救援端子。
【請求項7】
積層された前記金属製板材から前記第2金属製板材に向かって板厚方向に凹凸嵌合された
請求項6に記載の救援端子。
【請求項8】
前記第2金属製板材は、前記金属製板材より板厚が厚い金属製厚板材である
請求項6に記載の救援端子。
【請求項9】
前記金属製厚板材において、前記金属製板材が突出する突出方向の基端側に、
電気回路に接続された電源入力端子を固定する固定ボルトが締結する締結孔が設けられた
請求項8に記載の救援端子。
【請求項10】
電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられ、ブースターケーブルのクランプにおけるクランプ挟持部で挟持する救援端子であって、
電気回路と接続され、板厚方向に積層された2枚の金属製板材が備えられ、
2枚の前記金属製板材のうち一方の前記金属製板材は他方の前記金属製板材の突出方向を補強する
救援端子。
【請求項11】
2枚の前記金属製板材のうち一方の前記金属製板材を第1金属製板材とするとともに、他方の前記金属製板材を第2金属製板材とし、前記第1金属製板材は、基部側の第1基台部、及び前記第1基台部から前記突出方向に突出する幅狭の第1端子本体部が備えられ、
前記第2金属製板材は、前記第1金属製板材の前記第1端子本体部と同じ幅の第2端子本体部、及び前記第2端子本体部と同じ幅の第2基台部で略帯状に形成され、
前記第1金属製板材の先端に、前記第2金属製板材に対して反対側に曲げた先端曲げ部が設けられた
請求項10に記載の救援端子。
【請求項12】
前記先端曲げ部は、前記クランプ挟持部の幅に対応する幅で形成されるとともに、
前記第1端子本体部の幅より幅狭で形成された
請求項11に記載の救援端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、ハイブリッド車などの車両のバッテリ上がり時にブースターケーブルを接続して受給電するための救援端子に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等にはたくさんの電装機器が装備されており、電源としてバッテリを搭載している。そのような電源であるバッテリが過放電となり、いわゆるバッテリ上がりになるとエンジンの始動やその他の電装機器を稼働できなくなる。
【0003】
そのため、バッテリ上がり時には、エンジンルーム内に配置されたバッテリのバッテリポストをブースターケーブルの先端に設けたクランプで挟持し、電源供給して対応することとなる。
なお、ハイブリッド車等においては、バッテリポストにブースターケーブルのクランプを直接装着することができない車両後部などにバッテリを搭載していることがあった。
【0004】
そのため、特許文献1には、エンジンルーム内に配設される電気接続箱において、バッテリと接続され、ブースターケーブルのクランプで挟持する救援端子(ブースターケーブル接続用導体)を備えたものが開示されている。
【0005】
上述の救援端子を備えた電気接続箱は、樹脂製であるケース本体に一体形成されたバスバー保持部とバッテリと接続されたバスバーとを積層して構成した救援端子(ブースターケーブル接続用導体)を備えており、車両後部などにバッテリが搭載されている場合であっても、バッテリと接続された救援端子をブースターケーブルのクランプで挟持してバッテリに対して受給電することができる。
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された救援端子は、上述したように、ケース本体に一体形成されたバスバー保持部とバスバーとを積層して構成しており、積層するバスバー保持部とバスバーとをクランプで挟持して通電することとなる。
【0007】
大電流を通電することがあるハイブリッド車などの場合、救援端子を挟持するクランプと、救援端子のバスバーとの接触箇所に大電流が通電されるため加熱され、樹脂製であるケース本体に一体形成されたバスバー保持部が熱や経年によって劣化するおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-330527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、クランプで挟持して安定して通電することができ、耐久性が高い救援端子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明は、電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられ、ブースターケーブルのクランプにおけるクランプ挟持部で挟持する救援端子であって、電気回路と接続される金属製板材で構成され、前記金属製板材の突出方向を補強する補強部が設けられたことを特徴とする。
【0011】
上述の電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられた救援端子は、電気接続箱の内部において、他の部分より突出する態様、他の部分より突出しなくても救援端子の周りに凹部を設けて突出する態様、電気接続箱の外部において突出する態様、電気接続箱の外部において突出しなくても、外部に露出するように内部において突出する態様などを含むものとする。
【0012】
上述の前記金属製板材の突出方向を補強する補強部は、前記金属製板材の突出方向に沿った、つまり板厚方向の剛性・強度が向上するように補強するものである。
【0013】
この発明により、本発明の救援端子は、耐久性が高く、クランプで挟持して安定して通電することができる。
詳述すると、電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられ、ブースターケーブルのクランプにおけるクランプ挟持部で挟持する救援端子は、電気回路と接続される金属製板材で構成しているため、樹脂製部材と前記金属製板材とで構成する救援端子に比べ、耐久性は向上するものの、板厚方向の強度が低くなり、前記クランプによる挟持状態が不安定になるおそれがある。これに対し、前記金属製板材における突出方向を補強する前記補強部により、前記金属製板材の板厚方向の強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない前記金属製板材で構成した前記救援端子であっても板厚方向の強度を有し、前記クランプによる挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0014】
また、前記金属製板材を前記クランプ挟持部で挟持するため、ケース本体に一体形成された樹脂製の保持部と前記金属製板材と前記クランプ挟持部で挟持する場合に比べて、前記クランプ挟持部と前記金属製板材との接触面積が増大し、導通性が向上する。そのため、前記クランプ挟持部で挟持され、大電流が通電することによる救援端子の発熱量を低減することができる。
【0015】
この発明の態様として、前記金属製板材の主面において、前記金属製板材が突出する突出方向に直交する方向を幅方向とし、前記補強部は、前記金属製板材における前記幅方向の両端縁の少なくとも一方に沿って、板厚方向に曲げられた曲げ補強部であってもよい。
この発明により、前記金属製板材における前記幅方向の両端縁に沿って板厚方向に曲げることで、前記金属製板材の板厚方向の強度を向上し、前記クランプによる挟持状態を安定化することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記曲げ補強部に、挟持する前記クランプ挟持部を係止する係止部が設けられてもよい。
この発明により、所要の挟持力で前記クランプ挟持部はしっかりと前記曲げ補強部を挟持することができる。
【0017】
詳述すると、前記曲げ補強部は、前記クランプ挟持部の幅方向の一部にだけ形成されるため、前記曲げ補強部と前記クランプ挟持部の接触面積が小さくなり、挟持状態が不安定になりやすいが、前記曲げ補強部に設けた係止部に前記クランプ挟持部を係止することで安定した挟持状態で挟持することができる。
【0018】
さらに、救援端子においてクランプ挟持部で挟持する被挟持部分を係止部により明示できるため、作業者がクランプ挟持部によって挟持する被挟持部分を間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材で構成する救援端子に対してクランプで安定して挟持することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記金属製板材の先端に、板厚方向における前記曲げ補強部と反対側に曲げた先端曲げ部が設けられてもよい。
この発明により、前記クランプ挟持部による被挟持部分の厚さをさらに増大でき、前記クランプ挟持部の挟持力が増大し、さらに安定した挟持状態で挟持することができる。
【0020】
詳述すると、前記クランプ挟持部は、バネの付勢力に抗して大きく開いて、前記曲げ補強部、及び前記曲げ補強部とは反対側に曲げた先端曲げ部とを挟持するため、前記クランプ挟持部の挟持力が増大し、前記クランプはさらに安定した挟持状態で挟持することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記補強部は、前記金属製板材における突出方向に沿って形成された突出方向ビードであってもよい。
この発明により、突出方向に沿う突出方向ビードによって板厚方向の強度を増大することができる。
【0022】
なお、前記金属製板材における突出方向に沿って形成された突出方向ビードは、前記金属製板材における突出方向の全範囲に形成されてもよいし、前記金属製板材において前記クランプ挟持部に挟持される被挟持部分にのみ形成されてもよい。
前記突出方向ビードは前記金属製板材を板厚方向に曲げたり押し出したりして形成してもよいし、金属製板材に対して肉盛りして形成してもよい。
【0023】
またこの発明の態様として、前記金属製板材に対して、別の第2金属製板材が積層され、積層された前記第2金属製板材が前記補強部であってもよい。
この発明により、一枚の前記金属製板材に比べて、補強部として機能する前記第2金属製板材を積層することで板厚方向の強度を向上することができる。また、前記金属製板材に前記第2金属製板材が積層されるため、安定して電力供給することができる。
【0024】
またこの発明の態様として、積層された前記金属製板材から前記第2金属製板材に向かって板厚方向に凹凸嵌合されてもよい。
上述の凹凸嵌合部は、ひとつであっても、複数設けられてもよい。凹凸嵌合部が複数設けられる場合、すべての凹凸嵌合部が同方向に凹凸嵌合してもよいし、いくつかの凹凸嵌合部が他の凹凸嵌合部と逆方向に凹凸嵌合してもよい。
【0025】
また、前記凹凸嵌合部は、積層された前記金属製板材のうち一方側の前記金属製板材の主面において凸状となり、他方側の前記金属製板材の主面において凹状になる態様であってもよいし、一方側の前記金属製板材の主面において凹状となり、かつ他方側の前記金属製板材の主面において凸状になる態様であってもよい。なお、凹状には、凹みだけでなく、開口や切欠きも含まれる。
【0026】
この発明により、積層された前記金属製板材と前記第2金属製板材が前記凹凸嵌合部で一体化されているため、一枚の前記金属製板材で構成した場合に比べて板厚が増大し、剛性の高い前記救援端子を構成することができる。
また、凹凸嵌合部を前記クランプ挟持部で挟持することで、前記クランプ挟持部は凹凸嵌合部に係止し、安定した挟持状態とすることができる。
【0027】
またこの発明の態様として、前記第2金属製板材は、前記金属製板材より板厚が厚い金属製厚板材であってもよい。
この発明により、前記金属製板材と同じ厚みの前記第2金属製板材を積層した場合に比べてさらに剛性の高い前記救援端子を構成することができる。
【0028】
また、金属製板材より板厚が厚い金属製厚板材は導電性が高いため、安定した電力供給ができるとともに、金属製厚板材の板厚を通電する電流に応じて調整することができ、金属製厚板材の発熱量を調整することができる。
【0029】
またこの発明の態様として、前記金属製厚板材において、前記金属製板材が突出する突出方向の基端側に、電気回路に接続された電源入力端子を固定する固定ボルトが締結する締結孔が設けられてもよい。
この発明により、前記基準板材と積層される前記金属製厚板材が自動車用丸形板端子(LA端子)などの前記電気回路に接続された電源入力端子を固定する固定ボルトを螺合接続するナットとして機能でき、電源入力端子を安定して前記救援端子に接続することができる。
【0030】
またこの発明は、電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられ、ブースターケーブルのクランプにおけるクランプ挟持部で挟持する救援端子であって、電気回路と接続され、板厚方向に積層された2枚の金属製板材が備えられ、2枚の前記金属製板材のうち一方の前記金属製板材は他方の前記金属製板材の突出方向を補強することを特徴とする。
【0031】
この発明により、本発明の救援端子は、耐久性が高く、クランプで挟持して安定して通電することができる。
詳述すると、電気接続箱においてベース体のベース部から突出するように設けられ、ブースターケーブルのクランプにおけるクランプ挟持部で挟持する救援端子は、電気回路と接続され、板厚方向に積層された2枚の金属製板材は、2枚のうち一方が他方の前記金属製板材の突出方向を補強するため、板厚方向の強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない前記金属製板材で構成した前記救援端子であっても板厚方向の強度を有し、前記クランプによる挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0032】
また、前記金属製板材を前記クランプ挟持部で挟持するため、ケース本体に一体形成された樹脂製の保持部と前記金属製板材と前記クランプ挟持部で挟持する場合に比べて、前記クランプ挟持部と前記金属製板材との接触面積が増大し、導通性が向上する。そのため、前記クランプ挟持部で挟持され、大電流が通電することによる救援端子の発熱量を低減することができる。
【0033】
またこの発明の態様として、2枚の前記金属製板材のうち一方の前記金属製板材を第1金属製板材とするとともに、他方の前記金属製板材を第2金属製板材とし、前記第1金属製板材は、基部側の第1基台部、及び前記第1基台部から前記突出方向に突出する幅狭の第1端子本体部が備えられ、前記第2金属製板材は、前記第1金属製板材の前記第1端子本体部と同じ幅の第2端子本体部、及び前記第2端子本体部と同じ幅の第2基台部で略帯状に形成され、前記第1金属製板材の先端に、前記第2金属製板材に対して反対側に曲げた先端曲げ部が設けられてもよい。
【0034】
この発明により、幅広の第1基台部及び幅狭の第1端子本体部で構成する第1金属製板材と、同幅の第2端子本体部及び第2基台部で帯状に形成された第2金属製板材とを積層するため、同幅の第1端子本体部及び第2端子本体部が積層され、第1端子本体部及び第2端子本体部のうち一方が他方の突出方向を補強するため、板厚方向の強度を確保することができる。
【0035】
またこの発明の態様として、前記先端曲げ部は、前記クランプ挟持部の幅に対応する幅で形成されるとともに、前記第1端子本体部の幅より幅狭で形成されてもよい。
この発明により、前記第1端子本体部より幅方向に突出することのない前記先端曲げ部を形成することができる。
【発明の効果】
【0036】
この発明によれば、クランプで挟持して安定して通電することができ、耐久性が高い救援端子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】開放状態の電気接続箱の斜視図。
図2】開放状態の電気接続箱の説明図。
図3】救援端子の説明図。
図4】救援端子の分解説明図。
図5】クランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図6】第2実施形態の救援端子の説明図。
図7】第2実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図8】第3実施形態の救援端子の説明図。
図9】第3実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図10】第4実施形態の救援端子の説明図。
図11】第4実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図12】第5実施形態の救援端子の説明図。
図13】第5実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図14】第6実施形態の救援端子の説明図。
図15】第6実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図16】第7実施形態の救援端子の説明図。
図17】第7実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
図18】第8実施形態の救援端子の説明図。
図19】第8実施形態の救援端子の分解説明図。
図20】第8実施形態のクランプ挟持状態の救援端子の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
この発明の一実施形態を以下において図1乃至図5とともに詳述する。
なお、図1は開放状態の電気接続箱100の斜視図を示し、図2は開放状態の電気接続箱100の説明図を示し、図3は救援端子1の説明図を示し、図4は救援端子1の分解説明図を示し、図5はクランプ挟持状態の救援端子1の説明図を示している。
【0039】
詳述すると、図1はカバー101を開放した状態の電気接続箱100の斜視図を示し、図2は開放状態の電気接続箱100の説明図を示している。詳しくは、図2(a)は端子カバー111を閉じた状態の斜視図を示し、図2(b)は救援端子1にクランプ201を装着した状態の斜視図を示している。なお、図2ではカバー101の図示を省略している。
【0040】
また、図3(a)は救援端子1の正面、左側面及び平面を示す図であり、図3(b)は救援端子1の背面、左側面及び平面を示す図である。
なお、図3において、救援端子1と一体成型される電源分岐部140を破線で示している。また、本明細書における以降の図面において電源分岐部140の図示を省略している。
【0041】
図4(a)は電源入力端子150、固定ボルト161及びナット162を分解した状態の救援端子1の正面、左側面及び平面を示す図であり、図4(b)は同状態の救援端子1の背面、左側面及び平面を示す図である。図5(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1の図5(b)のA-A矢視断面図を示し、図5(b)は同状態の救援端子1の正面図を示している。
【0042】
なお、図3において、救援端子1を構成する金属製板材10が電気接続箱100のベース体102のベース部103から突出する方向を突出方向H、金属製板材10の幅方向を幅方向Wとし、金属製板材10の厚み方向を板厚方向Dとしている。なお、突出方向Hは、電気接続箱100における上下方向と略一致する方向である。また、板厚方向Dにおいて手前側を正面側Dfとし、奥側を背面側Dbとしている。
【0043】
救援端子1は、エンジンルームなどの外部からアクセス可能な箇所に配置された電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられ、ブースターケーブル200のクランプ201におけるクランプ挟持部202で挟持するものである。
【0044】
また、救援端子1は、電気回路と接続される自動車用丸形板端子(LA端子)などの電源入力端子150が接続される金属製板材10で構成され、金属製板材10の突出方向Hを補強する補強部として機能する側方折曲片15が設けられている。
【0045】
以下において、救援端子1及び電気接続箱100について詳細に説明する。
救援端子1は、バッテリが過放電となり、いわゆるバッテリ上がり時にブースターケーブル200の先端に設けたクランプ201で挟持し、電源供給するための端子であり、電気接続箱100に設けられている。
【0046】
なお、ブースターケーブル200の先端に設けられたクランプ201は、図5(a)に示すように、二つの挟持片203を枢動支点204で枢動可能に連結され、内部に備えた巻きバネ205によって挟持片203の先端側のクランプ挟持部202に閉じる方向の付勢力が作用するように構成している。なお、挟持片203は、内側が開放された角形U字状断面で形成され、その先端のクランプ挟持部202は、内側に向かって尖っており、例えばのこぎり歯状である。
【0047】
電気接続箱100は、利用者や整備士が容易に操作可能なエンジンルーム内に配置され、上面が開放されたベース体102と、ベース体102の開口を塞ぐカバー101とで構成された箱体であり、図示省略するハーネスが接続されている。なお、電気接続箱100は、ベース体102の側方に備えた固定部104で車体に固定されている。
【0048】
ベース体102の内部には、ヒューズ105やリレー106などの各種電子部品が装着されるベース部103が設けられ、ベース部103に救援端子1が設けられている。
詳しくは、救援端子1は、ベース体102の開放された上方に向かって突出するように、後述する端子カバー111が係合する端子ホルダ110に沿って配置されている。なお、上方に向かって突出する救援端子1の方向を突出方向Hとしている。
【0049】
端子ホルダ110には、開閉自在な端子カバー111が設けられ、図2(a)に図示するように、通常時において端子カバー111は端子ホルダ110に係合して閉じられている。このように端子カバー111が閉じられた状態では、端子ホルダ110に保持された救援端子1は露出しないように構成されている。
【0050】
なお、後述するように、端子カバー111が開放された状態では、端子ホルダ110に保持された救援端子1において、クランプ201の先端のクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20が露出することとなる。
【0051】
このように構成された電気接続箱100におけるベース部103において突出するように構成された救援端子1を用いてバッテリ上がり時に受給電するためには、図1に示すように、カバー101を外すとともに、端子カバー111を開放して、端子ホルダ110に保持された救援端子1を露出させる。
【0052】
そして、図2(b)に示すように、ブースターケーブル200の先端に設けたクランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1の被挟持部分20を挟持する。これにより、ブースターケーブル200の両端に備えたクランプ挟持部202で挟持するバッテリや救援端子と電気的に接続され、電源入力端子150を介して接続されるバッテリへの給電や、バッテリから他車への給電が可能になる。
【0053】
このように、端子ホルダ110に保持された救援端子1について、図3乃至図5に基づいて説明する。
救援端子1は、例えば、正面視において略逆T字状に形成された適宜の厚みの金属製板材10で構成されている。本実施形態では、金属製板材10は、約1mm厚の銅合金製の板材である。なお、金属製板材10は、正面視略L字状であってもよいし、略L字状の金属製板材10と略逆L字状の金属製板材10を重ねて正面視略逆T字状に形成してもよい。
【0054】
より具体的には、金属製板材10は、突出方向Hに延びる端子本体部11と、端子本体部11の基端側において幅方向Wに延びる基台部12とで略逆T字状に形成している。
図示省略するが、基台部12の先には、図3において破線で電源分岐部140が一体成型されているが、電源分岐部140が無くてもよい。
【0055】
そして、端子本体部11は、幅方向Wの長さがクランプ201のクランプ挟持部202の幅に対応する幅で形成され、突出方向Hに長い帯状であり、基台部12における突出方向Hの中央付近には、締結体160によって電源入力端子150が取り付けられている。
【0056】
詳しくは、基台部12における突出方向Hの中央付近に、図4に示すようにボルト孔13が設けられている。図示省略するバッテリに接続された電源入力端子150を、基台部12のボルト孔13に対して取り付ける締結体160は、ボルト孔13を貫通する固定ボルト161と、固定ボルト161と螺合するナット162とがある。
なお、電源入力端子150及び締結体160は、基台部12における突出方向Hの中央付近に限定されず、突出方向Hにおいても幅方向Wにおいても適宜の箇所に配置してもよい。
【0057】
このように構成された締結体160を用いて電源入力端子150を救援端子1に取り付けるには、ボルト孔13に対して電源入力端子150を配置し、固定ボルト161の軸部をボルト孔13及び電源入力端子150に挿通し、その反対側でナット162と固定ボルト161とを螺合することで、電源入力端子150を救援端子1に取付け、固定することができる。
【0058】
このように、基端部に電源入力端子150が取り付けられる端子本体部11の突出方向Hの先端には、背面側Dbに折り曲げられた先端折曲部14を備えている。
また、端子本体部11における幅方向Wの両側には、正面側Dfに折り曲げられた側方折曲片15を備え、側方折曲片15における係止凹部16を設けている。
【0059】
具体的には、端子本体部11において、突出方向Hにおいて基台部12と先端折曲部14と間の部分、より詳しくは端子本体部11における先端側の1/3~1/2程度の長さの部分を正面側Dfに折り曲げて側方折曲片15を形成している。
【0060】
そして、端子本体部11の幅方向Wの両側辺に沿って突出方向Hに延びる側方折曲片15は突出方向H及び板厚方向Dに沿う平面体であり、側方折曲片15の正面側Dfにおいて突出方向Hの1/3程度の高さに、係止凹部16を設けている。
【0061】
なお、端子本体部11に対して先端折曲部14が背面側Dbに突出する長さと、側方折曲片15が正面側Dfに突出する長さとは同程度の長さであり、救援端子1を形成する金属製板材10の厚みの5倍程度の長さであり、所定の厚みであるおよそ5mm程度で形成している。
また、側方折曲片15の正面側Dfに端縁から端子本体部11に向かって凹状となる係止凹部16は、側方折曲片15の板厚方向Dの長さに対して1/4程度の深さで形成した凹状である。
【0062】
このように構成された救援端子1の端子本体部11における突出方向Hの側を、クランプ201のクランプ挟持部202によって挟持される被挟持部分20としている。
したがって、被挟持部分20は、端子本体部11の一部と、端子本体部11より背面側Dbに突出する先端折曲部14と、端子本体部11より正面側Dfに突出する側方折曲片15とを有することとなる。
【0063】
このように構成された救援端子1は、図1に示すように、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20はベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0064】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1は、端子カバー111を開放すると、図1に示すように、端子本体部11の被挟持部分20が露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図5(a)に示すように、先端折曲部14及び側方折曲片15を挟み込み、係止凹部16に食い込むように挟持することとなる。
【0065】
上述したように、電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられ、ブースターケーブル200のクランプ201におけるクランプ挟持部202で挟持する救援端子1は、電源入力端子150を介して電気回路と接続される金属製板材10で構成され、金属製板材10の突出方向Hを補強する側方折曲片15が設けられているため、本発明の救援端子1は、耐久性が高く、クランプ201で挟持して安定して通電することができるという主たる効果を奏することができる。
【0066】
詳述すると、電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられ、ブースターケーブル200のクランプ201におけるクランプ挟持部202で挟持する救援端子1は、電気回路と接続される金属製板材10で構成しているため、樹脂製部材と金属製板材とで構成する救援端子1に比べ、耐久性は向上するものの、板厚方向Dの強度が低くなり、クランプ201による挟持状態が不安定になるおそれがある。これに対し、金属製板材10における突出方向Hを補強する側方折曲片15により、金属製板材10の板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10で構成した救援端子1であっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0067】
また、金属製板材10をクランプ挟持部202で挟持するため、ベース体102に一体形成された樹脂製の保持部と金属製板材10とをクランプ挟持部202で挟持する場合に比べて、クランプ挟持部202と金属製板材10との接触面積が増大し、導通性が向上する。そのため、クランプ挟持部202で挟持され、大電流が通電することによる救援端子1の発熱量を低減することができる。
【0068】
さらに、金属製板材10で構成された救援端子1において、挟持するクランプ挟持部202を係止する側方折曲片15の係止凹部16が、金属製板材10の主面に対して突出するように設けられているため、金属製板材10に対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1を介し、安定して通電することができる。
【0069】
さらにまた、救援端子1においてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20を係止凹部16により明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20を間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10に対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0070】
また、金属製板材10を挟持するクランプ挟持部202は、通常状態では巻きバネ205によって閉じており、巻きバネ205の付勢力に抗してクランプ挟持部202を開いて金属製板材10を挟持する。したがって、金属製板材10を挟持する挟持力はクランプ201の巻きバネ205の付勢力となるが、クランプ挟持部202を開いた方が巻きバネ205による付勢力は増大し、金属製板材10を挟持する挟持力も増大する。そのため、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20の厚みを所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10の被挟持部分20を挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0071】
なお、所要の挟持力とは、クランプ挟持部202で被挟持部分20を挟持した状態において、作業者が意図せず接触するなどの不用意な力がかかっても外れることなく安定して導通可能な挟持状態を維持できる力である。
【0072】
本明細書において、ハイブリッド車のバッテリ上がり時にクランプ201のクランプ挟持部202で挟持して受給電するために要する所要の挟持力は約0.5kdf以上であり、より好ましくは約1.0kdf以上である。また、所要の挟持力で挟持するために要する被挟持部分20の所定の厚みは約5mm以上であり、より好ましくは、所定の厚みは約5mm以上20mm以下である。なお、所定の厚みが約5mmより薄い場合、上述の所要の挟持力である0.5kdf以上を確保することが難しく、所定の厚みが20mmより厚いと、上述のより好ましい所要の挟持力である1.0kdf以上を確保できるが、クランプ挟持部202で救援端子1を挟持するためのクランプ201の操作性が低下するおそれがある。
【0073】
また、金属製板材10の主面において、金属製板材10が突出する突出方向Hに直交する方向を幅方向Wとし、側方折曲片15は、金属製板材10における幅方向Wの両端縁に沿って板厚方向Dに曲げられているため、金属製板材10の板厚方向Dの強度を向上し、クランプ201による挟持状態を安定化することができる。
【0074】
また、側方折曲片15に、挟持するクランプ挟持部202を係止する係止凹部16が設けられているため、所要の挟持力でクランプ挟持部202はしっかりと側方折曲片15を挟持することができる。
【0075】
詳述すると、側方折曲片15は、クランプ挟持部202の幅方向Wの一部にだけ形成されるため、側方折曲片15とクランプ挟持部202の接触面積が小さくなり、挟持状態が不安定になりやすいが、側方折曲片15に設けた係止凹部16にクランプ挟持部202を係止することで安定した挟持状態で挟持することができる。
【0076】
また、金属製板材10の先端に、板厚方向Dにおける側方折曲片15と反対側である背面側Dbに曲げた先端折曲部14が設けられているため、クランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20のみかけの厚さがさらに増大することで、クランプ挟持部202の挟持力が増大し、さらに安定した挟持状態で挟持することができる。
【0077】
詳述すると、クランプ挟持部202は、巻きバネ205の付勢力に抗して大きく開いて、側方折曲片15と、側方折曲片15とは反対側である背面側Dbに向かって曲げた先端折曲部14とを挟持するため、クランプ挟持部202の挟持力が増大し、クランプ201はさらに安定した挟持状態で挟持することができる。
【0078】
また、係止凹部16は、角形U字状断面で形成されたクランプ挟持部202における幅方向Wの両端部に対応する位置に設けられているため、係止凹部16を確実にクランプ挟持部202で挟持することができる。また、金属製板材10においてクランプ挟持部202における幅方向Wの両端部に対応する位置に係止凹部16が設けられているため、幅方向Wの全体に係止凹部を設ける場合に比べて効率よく容易に加工することができる。
【0079】
また、係止凹部16は、主面から正面側Dfに突出する側方折曲片15の正面側Dfの端縁に対して凹状であるため、凹状の係止凹部16に対してクランプ挟持部202の先端が咬みこんで係止することで、金属製板材10に対するクランプ挟持部202による挟持状態が不用意に解消されることがなく、安定した挟持状態とすることができる。
【0080】
また、金属製板材10の主面において、金属製板材10が突出する突出方向Hに直交する方向を幅方向Wとし、被挟持部分20は、金属製板材10における幅方向Wの両端縁に沿って板厚方向Dに曲げられた側方折曲片15を有するため、所定の厚みより薄い金属製板材10であっても、金属製板材10における幅方向Wの両端縁に沿って板厚方向Dに曲げることで、金属製板材10のみかけの厚さが所定の厚みとなる側方折曲片15を形成することができる。したがって、全体を所定の厚みで形成した金属製板材10に比べて軽量化することができる。
【0081】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の救援端子1aについて以下において図6及び図7とともに詳述する。
なお、以下の説明において、上述の構成と同様の構成については、同様符号を付してその説明を省略する。
【0082】
また、図6及び図7は第2実施形態の救援端子1aの説明図を示している。詳しくは、図6(a)は救援端子1aの正面、左側面及び平面を示す図であり、図6(b)は救援端子1aの背面、左側面及び平面を示す図であり、図7(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1aの図7(b)のA-A矢視断面図を示し、図7(b)は同状態の救援端子1aの正面図を示している。
【0083】
図6及び図7に示す第2実施形態の救援端子1aは、上述の救援端子1と異なり、2枚の金属製板材を積層して構成している。
具体的には、救援端子1aは、端子本体部11と基台部12で構成する略逆T字状に形成された金属製板材10aと、別体構成された第2金属製板材30aとを、板厚方向Dに積層して構成している。
金属製板材10aは、約1mm厚の銅合金製の板材である。
【0084】
第2金属製板材30aは、金属製板材10aにおける端子本体部11と同じ幅で形成された帯状であり、端子本体部11及び基台部12との突出方向Hの長さと同じ長さで形成され、金属製板材10aにおけるボルト孔と対応する箇所にボルト孔(図示省略)を設けている。
【0085】
第2金属製板材30aは、金属製板材10aより分厚い金属製厚板材で形成されている。具体的には、本実施形態では、約1mm厚の銅合金製の板材である金属製板材10aに対して、第2金属製板材30aは、およそ3mm厚の銅合金製の板材である。これにより、救援端子1aの被挟持部分20aは、後述するビード16aを含めて所定の厚みであるおよそ5mm程度となる。
【0086】
金属製板材10aは、先端折曲部14と、係止凹部16を有する側方折曲片15とを設けた金属製板材10と異なり、先端折曲部14や側方折曲片15を備えていないものの、端子本体部11の突出方向Hの先端側の被挟持部分20aにビード16aを設けている。
【0087】
ビード16aは、所定の厚みの金属製板材10aで構成した端子本体部11における突出方向Hの先端側の被挟持部分20aにおいて、板厚方向Dに半円状に押し出して幅方向Wに延びるように形成しており、端子本体部11の主面に対して正面側Dfに突出するビードである。なお、ビード16aは、金属製板材10aの板厚の2~4倍程度の突出量で形成している。
第2金属製板材30aと積層された金属製板材10aに設けたビード16aを有する被挟持部分20aは、ビード16aを含めて所定の厚みに形成されている。
【0088】
このように構成された救援端子1aは、上述の救援端子1と同様に、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20aはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0089】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1aは、端子カバー111を開放することで被挟持部分20aが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1aの被挟持部分20aを挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図7(a)に示すように、ビード16aを挟み込むように挟持することとなる。
【0090】
上述したように、電源入力端子150を介して電気回路と接続される金属製板材10aの突出方向Hを補強する第2金属製板材30aが設けられている上述の救援端子1aは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
【0091】
詳述すると、救援端子1aは、電気回路と接続される金属製板材10aにおける突出方向Hを補強する第2金属製板材30aにより、金属製板材10aの板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10aで構成した救援端子1aであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0092】
また、金属製板材10aで構成された救援端子1aにおいて、挟持するクランプ挟持部202を係止するビード16aが、金属製板材10aの主面から突出するように設けられているため、金属製板材10aに対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1aを介し、安定して通電することができる。
【0093】
さらに、救援端子1aにおいてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20aをビード16aにより明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20aを間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10aに対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0094】
また、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20aの厚みを所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10aの被挟持部分20aを挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0095】
また、金属製板材10aに対して積層される第2金属製板材30aが金属製厚板材であるため、一枚の金属製板材10aに比べて、補強部として機能する第2金属製板材30aを積層することで板厚方向Dの強度を向上することができる。また、金属製板材10aに第2金属製板材30aが積層されるため、安定して電力供給することができる。
【0096】
また、第2金属製板材30aは、金属製板材10aより板厚が厚い金属製厚板材であるため、金属製板材10aと同じ厚みの第2金属製板材を積層した場合に比べてさらに剛性の高い救援端子1aを構成することができる。
【0097】
また、金属製板材10aより板厚が厚い第2金属製板材30aは導電性が高いため、安定した電力供給ができるとともに、第2金属製板材30aの板厚を通電する電流に応じて調整することができ、第2金属製板材30aの発熱量を調整することができる。
【0098】
また、ビード16aは、クランプ挟持部202の幅に対応する幅で形成されているため、クランプ挟持部202の幅に対応する幅で形成されたビード16aに対してクランプ挟持部202を確実に係止させて、クランプ201の挟持状態をより安定させることができる。
【0099】
また、ビード16aは、主面に対して凸状となるため、凸状のビード16aがクランプ挟持部202の歯の部分に咬みこんで係止することで、金属製板材10aに対するクランプ挟持部202による挟持状態が不用意に解消されることがなく、安定した挟持状態とすることができる。
【0100】
また、金属製板材10a,30aが板厚方向Dに積層され、積層状態における金属製板材10aの主面にビード16aが設けられているため、金属製板材10a,30aが積層された厚みと同じ板厚の金属製板材に加工してビード16aを設ける場合に比べて、積層する金属製板材10aに対してビード16aを設ける加工を容易に行って、精度の高いビード16aを形成することができる。
【0101】
また、第2金属製板材30aは、金属製板材10aより板厚が厚い金属製厚板材であるため、同じ厚みの金属製板材10aを積層した場合に比べてさらに剛性の高い救援端子1aを構成することができる。
また、ビード16aを金属製板材10aに形成する場合、第2金属製板材30aより加工性が高いため、容易な加工によって、精度の高いビード16aを形成することができる。
【0102】
また、金属製板材10aにおける少なくとも被挟持部分20aに対して、別の第2金属製板材30aが積層され、ビード16aを含めて、所定の厚みを形成しているため、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
詳述すると、ビード16aを有する金属製板材10aと第2金属製板材30aとが積層するため、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20aの厚みを所定の厚みとすることができ、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10aの被挟持部分20aを挟持することができる。
【0103】
なお、ビード16aは、背面側Dbに突出するように第2金属製板材30aに設けてもよいし、金属製板材10aと第2金属製板材30aのそれぞれにビード16aを設けてもよい。なお、金属製板材10aと第2金属製板材30aのそれぞれにビード16aを設ける場合、第2金属製板材30aは金属製板材10aと同じ厚さであってもよい。金属製板材10aと第2金属製板材30aのそれぞれにビード16aを設ける場合、金属製板材10aに設けたビード16aと第2金属製板材30aに設けたビード16aとは突出方向Hにおいて同じ位置に設けてもよいし、突出方向Hにおいて異なる位置に設けてもよい。
また、第2金属製板材30aを金属製板材10aの正面側Dfに配置して積層してもよい。
【0104】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の救援端子1bについて以下において図8及び図9とともに詳述する。
図8及び図9は第3実施形態の救援端子1bの説明図を示している。詳しくは、図8(a)は救援端子1bの正面、左側面及び平面を示す図であり、図8(b)は救援端子1bの背面、左側面及び平面を示す図であり、図9(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1bの図9(b)のA-A矢視断面図を示し、図9(b)は同状態の救援端子1bの正面図を示している。
【0105】
図8及び図9に示す第3実施形態の救援端子1bは、上述の救援端子1aと同様に、2枚の金属製板材を積層して構成している。
具体的には、救援端子1bは、救援端子1aと同様に、端子本体部11と基台部12で構成する略逆T字状に形成された金属製板材10bと、別体構成された第2金属製板材30bとを、板厚方向Dに積層して構成している。
金属製板材10bは、約1mm厚の銅合金製の板材である。
【0106】
なお、第2金属製板材30bは、救援端子1aの第2金属製板材30aと同じ構成であるため、説明を省略する。
金属製板材10bは、幅方向Wの両縁に沿って正面側Dfに向かって突出する折返し片16bを被挟持部分20bに設けている。
【0107】
第2金属製板材30bと積層された金属製板材10bに設けた折返し片16bを有する被挟持部分20bは、折返し片16bを含めて所定の厚みに形成されている。
折返し片16bは、金属製板材10bにおける端子本体部11の幅方向Wの両縁の一部を切り欠くとともに、正面側Dfに向かって折り返して形成している。なお、折返し片16bは、金属製板材10bの板厚の2~4倍程度の突出量で形成している。
【0108】
このように構成された救援端子1bは、上述の救援端子1などと同様に、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20bはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0109】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1aは、端子カバー111を開放することで被挟持部分20bが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1aの被挟持部分20bを挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図9(a)に示すように、折返し片16bを挟み込むように挟持することとなる。
【0110】
上述したように、金属製板材10bの突出方向Hを補強する第2金属製板材30bが設けられている上述の救援端子1bは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
詳述すると、救援端子1bは、電気回路と接続される金属製板材10bにおける突出方向Hを補強する第2金属製板材30bにより、金属製板材10bの板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10bで構成した救援端子1bであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0111】
また、金属製板材10bで構成された救援端子1bにおいて、挟持するクランプ挟持部202を係止する折返し片16bが、金属製板材10bの主面から突出するように設けられているため、金属製板材10bに対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1bを介し、安定して通電することができる。
【0112】
さらに、救援端子1bにおいてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20bを折返し片16bにより明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20bを間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10bに対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0113】
また、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20bの厚みを所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10bの被挟持部分20bを挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0114】
また、金属製板材10bに対して、別の第2金属製板材30bが積層され、積層された第2金属製板材30bが金属製厚板材であるため、一枚の金属製板材10bに比べて、補強部として機能する第2金属製板材30bを積層することで板厚方向Dの強度を向上することができる。また、金属製板材10bに第2金属製板材30bが積層されるため、安定して電力供給することができる。
【0115】
また、第2金属製板材30bは、金属製板材10bより板厚が厚い金属製厚板材であるため、金属製板材10bと同じ厚みの第2金属製板材を積層した場合に比べてさらに剛性の高い救援端子1bを構成することができる。
【0116】
また、金属製板材10bより板厚が厚い第2金属製板材30bは導電性が高いため、安定した電力供給ができるとともに、第2金属製板材30bの板厚を通電する電流に応じて調整することができ、第2金属製板材30bの発熱量を調整することができる。
【0117】
また、折返し片16bは、角形U字状断面で形成されたクランプ挟持部202における幅方向Wの両端部に対応する位置に設けられているため、折返し片16bを確実にクランプ挟持部202で挟持することができる。また、金属製板材10bにおいてクランプ挟持部202における幅方向Wの両端部に対応する位置に折返し片16bが設けられているため、効率よく容易に加工することができる。
【0118】
また、折返し片16bは、主面に対して正面側Dfに向かう凸状であるため、凸状の折返し片16bがクランプ挟持部202の歯の部分に咬みこんで係止することで、金属製板材10bに対するクランプ挟持部202による挟持状態が不用意に解消されることがなく、安定した挟持状態とすることができる。
【0119】
また、金属製板材10b,30bが板厚方向Dに積層され、積層状態における金属製板材10bの主面に折返し片16bが設けられているため、金属製板材10b,30bが積層された厚みと同じ板厚の金属製板材10bに加工して折返し片16bを設ける場合に比べて、積層する金属製板材10bのいずれかに対して折返し片16bを設ける加工を容易に行って、精度の高い折返し片16bを形成することができる。
【0120】
また、積層された複数の金属製板材のひとつが金属製板材10bであるとともに、他の金属製板材が第2金属製板材30bであり、金属製板材10bに折返し片16bが設けられているため、積層された金属製板材を板厚方向Dに貫通しない折返し片16bを容易に形成することができる。
【0121】
また、第2金属製板材30bは、金属製板材10bより板厚が厚い金属製厚板材であるため、同じ厚みの金属製板材10bを積層した場合に比べてさらに剛性の高い救援端子1bを構成することができる。
また、折返し片16bを金属製板材10bに形成する場合、第2金属製板材30bより加工性が高いため、容易な加工によって、精度の高い折返し片16bを形成することができる。
【0122】
さらに、金属製板材10bより板厚が厚い第2金属製板材30bは導電性が高いため、安定した電力供給ができるとともに、第2金属製板材30bの板厚を通電する電流に応じて調整することができ、第2金属製板材30bの発熱量を調整することができる。
【0123】
また、金属製板材10bにおいて折返し片16bを有する被挟持部分20bに対して、別の第2金属製板材30bが積層され、所定の厚みを形成しているため、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
詳述すると、折返し片16bを有する金属製板材10bと第2金属製板材30bとが積層するため、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20bの厚みを所定の厚みとすることができ、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10bの被挟持部分20bを挟持することができる。
【0124】
なお、折返し片16bは、背面側Dbに突出するように第2金属製板材30bに設けてもよいし、金属製板材10bと第2金属製板材30bのそれぞれに折返し片16bを設けてもよい。なお、金属製板材10bと第2金属製板材30bのそれぞれに折返し片16bを設ける場合、第2金属製板材30bは金属製板材10bと同じ厚さであってもよい。また、金属製板材10bと第2金属製板材30bのそれぞれに折返し片16bを設ける場合、金属製板材10bに設けた折返し片16bと第2金属製板材30bに設けた折返し片16bとは突出方向Hにおいて同じ位置に設けてもよいし、突出方向Hにおいて異なる位置に設けてもよい。
また、第2金属製板材30bを金属製板材10bの正面側Dfに配置して積層してもよい。
【0125】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態の救援端子1cについて以下において図10及び図11とともに詳述する。
図10及び図11は第4実施形態の救援端子1cの説明図を示している。詳しくは、図10(a)は救援端子1cの正面、左側面及び平面を示す図であり、図10(b)は救援端子1cの背面、左側面及び平面を示す図であり、図11(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1cの図11(b)のA-A矢視断面図を示し、図11(b)は同状態の救援端子1cの正面図を示している。
【0126】
図10及び図11に示す第4実施形態の救援端子1cは、上述の救援端子1a,1bと同様に、2枚の金属製板材を積層して構成している。
具体的には、救援端子1cは、救援端子1aと同様に、端子本体部11と基台部12で構成する略逆T字状に形成された金属製板材10cと、別体構成された第2金属製板材30cとを、板厚方向Dに積層して構成している。
金属製板材10cは、約1mm厚の銅合金製の板材である。
【0127】
第2金属製板材30cは、金属製板材10cにおける端子本体部11と同じ幅で形成された帯状であり、端子本体部11及び基台部12との突出方向Hの長さと同じ長さで形成され、金属製板材10cにおけるボルト孔と対応する箇所にボルト孔を設けている。
【0128】
第2金属製板材30cは、金属製厚板材で構成した第2金属製板材30と異なり、金属製板材10cと同等の厚みに形成されている。
【0129】
このように構成した第2金属製板材30cは、金属製板材10cの正面側Dfにおいて、端子本体部11と板厚方向Dに積層するように配置している。
そして、金属製板材10cの端子本体部11と、正面側Dfに配置した第2金属製板材30cとを凹凸嵌合する凹凸嵌合部16cによって一体化している。
【0130】
詳述すると、積層された金属製板材10cと第2金属製板材30cとを、第2金属製板材30cから金属製板材10cに向かって板厚方向Dに凹凸嵌合して凹凸嵌合部16cを形成している。
そのため、第2金属製板材30cにおいて凹凸嵌合部16cは主面に対して凹状となり、金属製板材10cの背面側Dbの主面に対して凸状となる。
【0131】
なお、凹凸嵌合部16cは金属製板材10cの背面側Dbの主面から背面側Dbに向かって、金属製板材10cの板厚と同程度の高さ突出しているため、被挟持部分20cにおいて第2金属製板材30cの正面側Dfの主面と凹凸嵌合部16cの背面側Dbの頂部との厚みが所定の厚みとなる。
【0132】
このように、金属製板材10cの背面側Dbの主面に対して凸状となる凹凸嵌合部16cは、金属製板材10cの端子本体部11に対して、幅方向Wに所定間隔を隔てて2つ配置されている。
なお、凹凸嵌合部16c同士の間隔は、クランプ201のクランプ挟持部202の幅に対応する間隔である。
【0133】
このように構成された救援端子1cは、上述の救援端子1などと同様に、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20cはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0134】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1cは、端子カバー111を開放することで被挟持部分20cが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1cの被挟持部分20cを挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図11(a)に示すように、凹凸嵌合部16cを挟み込むように挟持することとなる。
【0135】
上述したように、金属製板材10cの突出方向Hを補強する第2金属製板材30cが設けられている上述の救援端子1cは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
【0136】
詳述すると、救援端子1cは、電気回路と接続される金属製板材10cにおける突出方向Hを補強する第2金属製板材30cにより、金属製板材10cの板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10cで構成した救援端子1cであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0137】
また、金属製板材10cで構成された救援端子1cにおいて、挟持するクランプ挟持部202を係止する凹凸嵌合部16cが、金属製板材10cの主面から突出するように設けられているため、金属製板材10cに対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1cを介し、安定して通電することができる。
【0138】
さらに、救援端子1cにおいてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20cを凹凸嵌合部16cにより明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20cを間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10cに対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0139】
詳述すると、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20cの厚みを凹凸嵌合部16cによって所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10cの被挟持部分20cを挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0140】
また、金属製板材10cに対して、別の第2金属製板材30cが積層され、積層された第2金属製板材30cが第2金属製板材30cであるため、一枚の金属製板材10cに比べて、第2金属製板材30cとして機能する第2金属製板材30cを積層することで板厚方向Dの強度を向上することができる。また、金属製板材10cに第2金属製板材30cが積層されるため、安定して電力供給することができる。
【0141】
また、積層された金属製板材10cから第2金属製板材30cに向かって板厚方向Dに凹凸嵌合されているため、積層された金属製板材10cと第2金属製板材30cが凹凸嵌合部16cで一体化されているため、一枚の金属製板材10cで構成した場合に比べて板厚が増大し、剛性の高い救援端子1cを構成することができる。
また、凹凸嵌合部16cをクランプ挟持部202で挟持することで、クランプ挟持部202は凹凸嵌合部16cに係止し、安定した挟持状態とすることができる。
【0142】
また、凹凸嵌合部16cは、角形U字状断面で形成されたクランプ挟持部202における幅方向Wの両端部に対応する位置に設けられているため、凹凸嵌合部16cを確実にクランプ挟持部202で挟持することができる。また、金属製板材10cにおいてクランプ挟持部202における幅方向Wの両端部に対応する位置に凹凸嵌合部16cが設けられているため、幅方向Wの全体に凹凸嵌合部16cを設ける場合に比べて効率よく容易に加工することができる。
【0143】
また、凹凸嵌合部16cは、金属製板材10cの背面側Dbの主面に対して凸状となるため、凸状の凹凸嵌合部16cがクランプ挟持部202の歯の部分に咬みこんで係止することで、金属製板材10cに対するクランプ挟持部202による挟持状態が不用意に解消されることがなく、安定した挟持状態とすることができる。
【0144】
また、複数の金属製板材が板厚方向Dに積層され、凹凸嵌合部16cは、積層された第2金属製板材30cから金属製板材10cに向かって板厚方向Dに凹凸嵌合するため、積層された金属製板材10cと第2金属製板材30cとが凹凸嵌合部16cで一体化され、一枚の金属製板材10cで構成した場合に比べて板厚が増大し、剛性の高い救援端子1cを構成することができる。
【0145】
また、積層した金属製板材10cを凹凸嵌合させて一体化する凹凸嵌合部16cが係止部として機能するため、別途係止部を設けることなく、積層して一体化した金属製板材10c,30cに対して、クランプ201の挟持状態を安定させることができる。
【0146】
また、金属製板材10cにおける少なくとも被挟持部分20cに対して、別の第2金属製板材30cが積層されるとともに、凹凸嵌合部16cで一体化され、凹凸嵌合部16cの部分の板厚方向Dの厚みが所定の厚みとなるため、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0147】
詳述すると、金属製板材10cと第2金属製板材30cとが積層するため、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20cの厚みを凹凸嵌合部16cによって所定の厚みとすることができ、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10cの被挟持部分20cを挟持することができる。
【0148】
なお、凹凸嵌合部16cは、上述したように、幅方向Wに所定間隔を隔てて配置されたふたつの凹凸嵌合部16cが端子本体部11の背面側Dbに突出するように凹凸嵌合したが、正面側Dfに突出するように凹凸嵌合部16cを凹凸嵌合してもよいし、2つの凹凸嵌合部16cの一方が背面側Dbに突出し、他方が正面側Dfに突出するよう凹凸嵌合してもよい。さらには、幅方向Wに所定間隔を隔てて配置されたふたつの凹凸嵌合部16cを突出方向Hに所定間隔を隔てて複数配置してもよい。
また、第2金属製板材30cを金属製板材10cの背面側Dbに積層して一体化してもよい。
【0149】
(第5実施形態)
続いて、第5実施形態の救援端子1dについて以下において図12及び図13とともに詳述する。
図12及び図13は第5実施形態の救援端子1dの説明図を示している。詳しくは、図12(a)は救援端子1dの正面、左側面及び平面を示す図であり、図12(b)は救援端子1dの背面、左側面及び平面を示す図であり、図13(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1dの図13(b)のA-A矢視断面図を示し、図13(b)は同状態の救援端子1dの正面図を示している。
【0150】
図12及び図13に示す第5実施形態の救援端子1dは、上述の金属製板材10dと厚板ナット40dとを有している。
具体的には、救援端子1dは、端子本体部11と基台部12で構成する略逆T字状に形成された金属製板材10dと、ナット部162dを有する厚板ナット40dとを備えている。
【0151】
金属製板材10dは、突出方向Hに延びる端子本体部11と、端子本体部11の基端側において幅方向Wに延びる基台部12とで略逆T字状に形成し、基台部12における突出方向Hの中央付近にボルト孔が設けられている。本実施形態では、金属製板材10dは、約1mm厚の銅合金製の板材である。
【0152】
金属製板材10dは、端子本体部11の突出方向Hの先端側の被挟持部分20dにビード16dを設けている。
ビード16dは、所定の厚みの金属製板材10dで構成した端子本体部11における突出方向Hの先端側の被挟持部分20dにおいて、板厚方向Dに半円状に押し出して幅方向Wに延びるように形成しており、端子本体部11の主面に対して正面側Dfに突出するビードである。なお、ビード16dは、後述する厚板ナット40dの板厚程度の突出量で形成している。
【0153】
厚板ナット40dは、金属製板材10dにおける端子本体部11と同じ幅で形成された帯状であり、端子本体部11及び基台部12との突出方向Hの長さと同じ長さで形成され、金属製板材10dにおけるボルト孔と対応する箇所にナット部162dを設けている。ナット部162dは、厚板ナット40dの正面側Dfの主面より突出するように設けられるとともに、正面視中央に電源入力端子150を固定する固定ボルト161が螺合する螺合孔を設けている。
【0154】
厚板ナット40dは、金属製板材10dより分厚い金属製厚板材で形成されている。具体的には、本実施形態では、約1mm厚の銅合金製の板材である金属製板材10dに対して、厚板ナット40dは、およそ3mm厚の炭素鋼合金製の板材である。
厚板ナット40dと積層された金属製板材10dに設けたビード16dを有する被挟持部分20dは、ビード16dを含めて所定の厚みに形成されている。
【0155】
このように構成された救援端子1dは、金属製板材10dの正面側Dfに厚板ナット40dを配置する。このとき基台部12のボルト孔に厚板ナット40dのナット部162dとが連通するように厚板ナット40dを配置する。そして、ボルト孔に対して電源入力端子150を配置し、固定ボルト161の軸部をボルト孔及び電源入力端子150に挿通し、その反対側でナット部162dを固定ボルト161と螺合することで、電源入力端子150を救援端子1に取付け、固定することができる。
【0156】
そして、上述の構成である救援端子1dは、上述の救援端子1などと同様に、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20dはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0157】
そして、上述するように、端子ホルダ110で保持された救援端子1dは、端子カバー111を開放することで被挟持部分20dが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1dの被挟持部分20dを挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図13(a)に示すように、金属製板材10dの端子本体部11と厚板ナット40dとをともに挟み込むように挟持することとなる。
【0158】
上述したように、金属製板材10dの突出方向Hを補強する厚板ナット40dが設けられている上述の救援端子1dは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
【0159】
詳述すると、救援端子1dは、電気回路と接続される金属製板材10dにおける突出方向Hを補強する厚板ナット40dにより、金属製板材10dの板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10dで構成した救援端子1dであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0160】
また、金属製板材10dで構成された救援端子1dにおいて、挟持するクランプ挟持部202を係止するビード16dが、金属製板材10dの主面から突出するように設けられているため、金属製板材10dに対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1dを介し、安定して通電することができる。
【0161】
さらに、救援端子1dにおいてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20dをビード16dにより明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20dを間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10dに対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0162】
なお、救援端子1dにおいて、金属製板材10dに対してクランプ201の挟持状態を安定させるように、ビード16dを設けたが、ビード16dの代わりに、先端折曲部14や折返し片16bあるいは後述する縦ビード16eや格子ビード16fを金属製板材10dに設け、金属製板材10dに対してクランプ201の挟持状態を安定させるように構成してもよい。
【0163】
また、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20dの厚みを所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10dの被挟持部分20dを挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0164】
また、金属製板材10dに対して、別の厚板ナット40dが積層され、積層された厚板ナット40dがナット部162dを有する金属製厚板材であるため、一枚の金属製板材10dに比べて、補強部として機能する厚板ナット40dを積層することで板厚方向Dの強度を向上することができる。また、金属製板材10dに厚板ナット40dが積層されるため、安定して電力供給することができる。
【0165】
また、厚板ナット40dは、金属製板材10dより板厚が厚いナット部162dを有する金属製厚板材であるため、金属製板材10dと同じ厚みの厚板ナットを積層した場合に比べてさらに剛性の高い救援端子1dを構成することができる。
また、金属製板材10dより板厚が厚い厚板ナット40dは金属製板材10dの熱を吸熱し、全体の発熱量を調整することができる。
【0166】
また、厚板ナット40dにおいて、金属製板材10dが突出する突出方向Hの基端側に、電気回路に接続された電源入力端子150を固定する固定ボルト161が締結するナット部162dが設けられているため、金属製板材10dと積層される厚板ナット40dが電気回路に接続された電源入力端子150を固定する固定ボルト161を螺合接続するナットとして機能でき、電源入力端子150を安定して救援端子1dに接続することができる。
【0167】
また、金属製板材10dにおいてビード16dを有する被挟持部分20dに対して、別の厚板ナット40dが積層され、所定の厚みを形成しているため、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0168】
詳述すると、ビード16dを有する金属製板材10dと厚板ナット40dとが積層するため、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20dの厚みを所定の厚みとすることができ、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10dの被挟持部分20dを挟持することができる。
【0169】
(第6実施形態)
続いて、第6実施形態の救援端子1eについて以下において図14及び図15とともに詳述する。
図14及び図15は第6実施形態の救援端子1eの説明図を示している。詳しくは、図14(a)は救援端子1eの正面、左側面及び平面を示す図であり、図14(b)は救援端子1eの背面、左側面及び平面を示す図であり、図15(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1eの図15(b)のA-A矢視断面図を示し、図15(b)は同状態の救援端子1eの正面図を示している。
【0170】
図14及び図15に示す第6実施形態の救援端子1eは、端子本体部11と基台部12で構成する略逆T字状に形成された金属製板材10eで構成している。
金属製板材10eは、約1mm厚の銅合金製の板材である。金属製板材10eは、突出方向Hの先端側の被挟持部分20eにビード16aを設けた金属製板材10aと異なり、先端側の被挟持部分20eに、突出方向Hに沿う縦ビード16eを、幅方向Wに所定間隔を隔てて2本配置している。
【0171】
縦ビード16eは、金属製板材10eで構成した端子本体部11における突出方向Hの先端側の被挟持部分20eにおいて、板厚方向Dに半円状に押し出して突出方向Hに延びるように形成しており、端子本体部11の主面に対して背面側Dbに突出するビードである。なお、縦ビード16eは、金属製板材10eの板厚の2~4倍程度の突出量で形成している。
【0172】
このように構成された救援端子1eは、上述の救援端子1などと同様に、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20eはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0173】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1eは、端子カバー111を開放することで被挟持部分20eが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1eの被挟持部分20eを挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図15(a)に示すように、縦ビード16eの下方を挟み込むように挟持することとなる。
【0174】
上述したように、金属製板材10eの突出方向Hを補強する縦ビード16eが設けられている上述の救援端子1eは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
【0175】
詳述すると、救援端子1eは、電気回路と接続される金属製板材10eにおける突出方向Hを補強する縦ビード16eにより、金属製板材10eの板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10eで構成した救援端子1eであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0176】
また、金属製板材10eで構成された救援端子1eにおいて、挟持するクランプ挟持部202を係止する縦ビード16eが、金属製板材10eの主面から突出するように設けられているため、金属製板材10eに対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1eを介し、安定して通電することができる。
【0177】
さらに、救援端子1eにおいてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20eを縦ビード16eにより明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20eを間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10eに対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0178】
また、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20eの厚みを所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10eの被挟持部分20eを挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0179】
また、縦ビード16eは、突出方向Hに沿って形成されているため、金属製板材10eの突出方向Hに沿った、つまり板厚方向Dの剛性を向上できるとともに、クランプ挟持部202の先端に突出方向Hに沿って形成された縦ビード16eが咬みこんで係止でき、安定した挟持状態とすることができる。
【0180】
また、電気接続箱100において、救援端子1eはベース部103の一部を貫通して配置される際に縦ビード16eを通過させるための孔が必要となるが、幅方向Wに延びる凹凸状の縦ビード16eを通過させる孔より、突出方向Hに延びる凹凸状の縦ビード16eがベース部103を通過するための孔を小さくでき、ベース部103に対して救援端子1eを安定して装着することができる。
【0181】
また、被挟持部分20eは、突出方向Hに沿って形成された縦ビード16eを有するため、所定の厚みより薄い金属製板材10eであっても突出方向Hに沿う縦ビード16eによって所定の厚みを確保することができる。
また、クランプ挟持部202による金属製板材10eにおける突出方向Hの挟持位置がずれても所定の厚みを確保することができる。
【0182】
なお、縦ビード16eは、正面側Dfに突出するように形成してもよいし、2本の縦ビード16eのうち1本を背面側Dbに突出するように形成し、もう一本の縦ビード16eを正面側Dfに突出するように形成してもよい。
【0183】
(第7実施形態)
続いて、第7実施形態の救援端子1fについて以下において図16及び図17とともに詳述する。
図16及び図17は第7実施形態の救援端子1fの説明図を示している。詳しくは、図16(a)は救援端子1fの正面、左側面及び平面を示す図であり、図16(b)は救援端子1fの背面、左側面及び平面を示す図であり、図17(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1fの図17(b)のA-A矢視断面図を示し、図17(b)は同状態の救援端子1fの正面図を示している。
【0184】
図16及び図17に示す第7実施形態の救援端子1fは、端子本体部11と基台部12で構成する略逆T字状に形成された金属製板材10fで構成している。
金属製板材10fは、約1mm厚の銅合金製の板材である。
【0185】
金属製板材10fは、突出方向Hの先端側の被挟持部分20fに突出方向Hに沿う縦ビード16eを、幅方向Wに所定間隔を隔てて2本配置した金属製板材10eと異なり、先端側の被挟持部分20fに、突出方向Hに沿う2本の縦ビード16faと、幅方向Wの横ビード16fbとで構成する格子ビード16fを備えている。
【0186】
格子ビード16fを構成する縦ビード16faと横ビード16fbは、金属製板材10fで構成した端子本体部11における突出方向Hの先端側の被挟持部分20fにおいて、板厚方向Dに半円状に押し出して形成しており、端子本体部11の主面に対して背面側Dbに突出するビードである。
【0187】
格子ビード16fを構成する縦ビード16faは、突出方向Hに沿って延びるように形成され、幅方向Wに所定間隔を隔てて2本配置されている。格子ビード16fを構成する横ビード16fbは、幅方向Wに沿って延びるように形成され、幅方向Wに所定間隔を隔てて配置した縦ビード16faと交差している。
なお、縦ビード16fa及び横ビード16fbは、金属製板材10fの板厚の2~4倍程度の突出量で形成している。
【0188】
このように構成された救援端子1fは、上述の救援端子1などと同様に、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12及び端子本体部11における基端側の電源入力端子150が取り付けられた部分がベース体102の内部に配置され、被挟持部分20fはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0189】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1fは、端子カバー111を開放することで被挟持部分20fが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で救援端子1fの被挟持部分20fを挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図17(a)に示すように、格子ビード16fを構成する縦ビード16faや横ビード16fbの下方を挟み込むように挟持することとなる。
【0190】
上述したように、金属製板材10fの突出方向Hを補強する縦ビード16faが設けられている上述の救援端子1fは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
【0191】
詳述すると、救援端子1fは、電気回路と接続される金属製板材10fにおける突出方向Hを補強する縦ビード16faにより、金属製板材10fの板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない金属製板材10fで構成した救援端子1fであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0192】
また、救援端子1fは、電気回路と接続される金属製板材10fで構成するため、一部を樹脂製部材で構成する救援端子に比べ、通電等による熱に対する耐熱性や耐候性などの耐久性を向上することができる。
【0193】
また、金属製板材10fで構成された救援端子1fにおいて、挟持するクランプ挟持部202を係止する格子ビード16fが、金属製板材10fの主面から突出するように設けられているため、金属製板材10fに対してクランプ201の挟持状態を安定させることができる。そのため、クランプ201で挟持する救援端子1fを介し、安定して通電することができる。
【0194】
さらに、救援端子1fにおいてクランプ挟持部202で挟持する被挟持部分20fを格子ビード16fにより明示できるため、作業者がクランプ挟持部202によって挟持する被挟持部分20fを間違えることなく確実に挟持でき、金属製板材10fに対してクランプ201を安定して挟持することができる。
【0195】
また、クランプ挟持部202で挟持される被挟持部分20fの厚みを、格子ビード16fを形成して所定の厚みとすることで、樹脂製のバスバー保持部を有する場合に比べて耐久性を向上できるとともに、クランプ挟持部202は所要の挟持力で金属製板材10fの被挟持部分20fを挟持することができる。したがって、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0196】
また、格子ビード16fのうち縦ビード16faは、突出方向Hに沿って形成されているため、金属製板材10fの突出方向Hに沿った、つまり板厚方向Dの剛性を向上できるとともに、クランプ挟持部202の先端に突出方向Hに沿って形成された格子ビード16fが咬みこんで係止でき、安定した挟持状態とすることができる。
【0197】
また、被挟持部分20fは、突出方向Hに沿って形成された格子ビード16fであるため、所定の厚みより薄い金属製板材10fであっても突出方向Hに沿う縦ビード16faによって所定の厚みを確保することができる。
また、クランプ挟持部202による金属製板材10fにおける突出方向Hの挟持位置がずれても所定の厚みを確保することができる。
【0198】
なお、格子ビード16fは、正面側Dfに突出するように形成してもよいし、2本の縦ビード16faのうち1本を背面側Dbに突出するように形成し、もう一本の縦ビード16faを正面側Dfに突出するように形成してもよい。
また、格子ビード16fを構成する縦ビード16faと横ビード16fbとのうち一方を背面側Dbに突出するように形成し、他方を正面側Dfに突出するように形成してもよい。
【0199】
(第8実施形態)
続いて、第8実施形態の救援端子1gについて以下において図18乃至図20とともに詳述する。
【0200】
なお、図18は第8実施形態の救援端子1gの説明図を示し、図19は第8実施形態の救援端子1gの分解説明図を示し、図20は第8実施形態の救援端子1gの説明図を示している。
詳しくは、図18(a)は救援端子1gの正面、左側面及び平面を示す図であり、図18(b)は救援端子1gの背面、左側面及び平面を示す図である。なお、図18において、第1金属製板材10gの第1基台部12gと一体成型される電源分岐部140及び第2金属製板材30gの第2基台部32gと一体成型される電源分岐部340を破線で示している。
【0201】
また、図19(a)は電源入力端子150、固定ボルト161及びナット162を分解した状態の救援端子1gの正面、左側面及び平面を示す図であり、図19(b)は同状態の救援端子1gの背面、左側面及び平面を示す図である。
図20(a)はクランプ挟持部202で挟持された状態の救援端子1gの図20(b)のA-A矢視断面図を示し、図20(b)は同状態の救援端子1gの正面図を示している。
【0202】
図18乃至図20に示す第8実施形態の救援端子1gは、上述の救援端子1aと同様に、2枚の金属製板材10g,30gを積層して構成している。
具体的には、救援端子1gは、救援端子1aと同様に、第1端子本体部11gと第1基台部12gで構成する略逆T字状に形成された金属製板材10gと、別体構成された第2金属製板材30gとを、板厚方向Dに積層して構成している。
【0203】
より具体的には、金属製板材10gは、突出方向Hに延びる第1端子本体部11gと、第1端子本体部11gの基端側において幅方向Wに延びる第1基台部12gとで略逆T字状に形成している。
図示省略するが、第1基台部12gの先には、図18において破線で電源分岐部140が一体成型されているが、電源分岐部140が無くてもよい。
【0204】
そして、第1端子本体部11gは、幅方向Wの長さがクランプ201のクランプ挟持部202の幅に対応する幅よりひと回り幅広に形成され、突出方向Hに長い帯状であり、第1基台部12gには、締結体160によって電源入力端子150が取り付けられている。
【0205】
詳しくは、第1端子本体部11gと第1基台部12gの間には、図19に示すようにボルト孔13gが設けられている。図示省略するバッテリに接続された電源入力端子150を、ボルト孔13g,33gに対して取り付ける締結体160は、ボルト孔13gを貫通する固定ボルト161と、固定ボルト161と螺合するナット162とがある。
なお、電源入力端子150及び締結体160は、第1基台部12gに限定されず、突出方向Hにおいても幅方向Wにおいても適宜の箇所に配置してもよい。
【0206】
このように構成された締結体160を用いて電源入力端子150を救援端子1gに取り付けるには、ボルト孔13g,33gに対して電源入力端子150を配置し、固定ボルト161の軸部をボルト孔13g,33g及び電源入力端子150に挿通し、その反対側でナット162と固定ボルト161とを螺合することで、電源入力端子150を救援端子1gに取付け、固定することができる。
【0207】
このように、第1端子本体部11gの突出方向Hの先端には、金属製板材10において突出方向Hの先端に設けた先端折曲部14と反対側である正面側Dfに折り曲げられた先端折曲部14gを備えている。
【0208】
なお、第1端子本体部11gに対して先端折曲部14gが正面側Dfに突出する長さは、救援端子1gを形成する金属製板材10gの厚みの5倍程度の長さであり、所定の厚みであるおよそ5mm程度で形成している。
また、先端折曲部14gは第1端子本体部11gより幅狭で、クランプ挟持部202の幅に対応する幅で形成されている。
【0209】
このように構成した第1金属製板材10gと積層する第2金属製板材30gは、金属製板材10gにおける第1端子本体部11gと同じ幅で形成された帯状であり、第1端子本体部11g及び第1基台部12gとの突出方向Hの長さと同じ長さで形成され、金属製板材10gにおけるボルト孔13gと対応する箇所にボルト孔33gを設けている。
【0210】
なお、第2金属製板材30gにおいて、第1金属製板材10gの第1端子本体部11gに対応する部分を第2端子本体部31gとし、第1金属製板材10gの第1基台部12gに対応する部分を第2基台部32gとしている。
図示省略するが、第2基台部32gの先には、図18において破線で電源分岐部340が一体成型されているが、電源分岐部340が無くてもよい。
【0211】
第2金属製板材30gは、金属製板材10gと同等の厚みの金属製厚板材で形成されている。具体的には、本実施形態では、約1mm厚の銅合金製の板材である金属製板材10gに対して、第2金属製板材30gもおよそ1mm厚の銅合金製の板材である。
【0212】
このように構成された救援端子1gの第1端子本体部11g及び第2端子本体部31gにおける突出方向Hの側を、クランプ201のクランプ挟持部202によって挟持される被挟持部分20gとしている。
したがって、被挟持部分20gは、端子本体部11g,31gの一部と、第1端子本体部11gより正面側Dfに突出する先端折曲部14gとを有することとなる。
【0213】
このように構成された救援端子1gは、電気接続箱100におけるベース部103に対して、基台部12g,32gがベース体102の内部に配置され、被挟持部分20gはベース部103を貫通し、ベース部103より突出方向Hに突出する態様で取り付けられる。
【0214】
そして、上述するように、端子ホルダ110に沿って配置された救援端子1gは、端子カバー111を開放すると、端子本体部11g,31gの被挟持部分20gが露出することとなり、クランプ201のクランプ挟持部202で挟持することができる。このとき、クランプ挟持部202は、図20(a)に示すように、端子本体部11g,31gの一部及び先端折曲部14gを挟み込んで挟持することとなる。
【0215】
上述したように、クランプ挟持部202で挟持される金属製板材10g,30gの突出方向Hの側の被挟持部分20gが、所要の挟持力でクランプ挟持部202が挟持する所定の厚みを有するため、上述の救援端子1gは、第1実施形態の救援端子1の主たる効果と同じ主たる効果を奏することができる。
【0216】
詳述すると、電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられ、ブースターケーブル200のクランプ201におけるクランプ挟持部202で挟持する救援端子1gは、電気回路と接続され、板厚方向Dに積層された2枚の金属製板材10g,30gが備えられ、2枚の金属製板材10g,30gのうち一方は他方の突出方向Hを補強するため、救援端子1gは、耐久性が高く、クランプ201で挟持して安定して通電することができる。
【0217】
より詳しくは、電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられ、ブースターケーブル200のクランプ201におけるクランプ挟持部202で挟持する救援端子1gにおいて、電気回路と接続され、板厚方向Dに積層された2枚の金属製板材10g,30gは、2枚のうち一方が他方の突出方向Hを補強するため、板厚方向Dの強度を確保することができる。したがって、樹脂製部材を備えない2枚の金属製板材10g,30gで構成した救援端子1gであっても板厚方向Dの強度を有し、クランプ201による挟持状態が安定し、安定して通電することができる。
【0218】
また、2枚の金属製板材10g,30gをクランプ挟持部202で挟持するため、ベース体102に一体形成された樹脂製の保持部と金属製板材をクランプ挟持部202で挟持する場合に比べて、クランプ挟持部202と2枚の金属製板材10g,30gとの接触面積が増大し、導通性が向上する。そのため、クランプ挟持部202で挟持され、大電流が通電することによる救援端子1gの発熱量を低減することができる。
【0219】
また、2枚の金属製板材10g,30gのうち一方が第1金属製板材10gであるとともに、他方が第2金属製板材30gであり、第1金属製板材10gは、基部側の第1基台部12g、及び第1基台部12gから突出方向Hに突出する幅狭の第1端子本体部11gが備えられ、第2金属製板材30gは、第1金属製板材10gの第1端子本体部11gと同じ幅の第2端子本体部31g、及び第2端子本体部31gと同じ幅の第2基台部32gで略帯状に形成され、第1金属製板材10gの先端に、第2金属製板材30gに対して反対側である正面側Dfに曲げた先端折曲部14gが設けられている。
【0220】
そのため、幅広の第1基台部12g及び幅狭の第1端子本体部11gで構成する第1金属製板材10gと、同幅の第2端子本体部31g及び第2基台部32gで帯状に形成された第2金属製板材30gとを積層するため、同幅の第1端子本体部11g及び第2端子本体部31gが積層され、第1端子本体部11g及び第2端子本体部31gのうち一方が他方の突出方向Hを補強するため、板厚方向Dの強度を確保することができる。
【0221】
また、先端折曲部14gは、クランプ挟持部202の幅に対応する幅で形成されるとともに、第1端子本体部11gの幅より幅狭で形成されているため、第1端子本体部11gより幅方向Wに突出することのない先端折曲部14gを形成することができる。
【0222】
この発明の構成と、実施形態との対応において、この発明の電気接続箱は電気接続箱100に対応し、
以下同様に、
ベース体はベース体102に対応し、
ベース部はベース部103に対応し、
ブースターケーブルはブースターケーブル200に対応し、
クランプはクランプ201に対応し、
クランプ挟持部はクランプ挟持部202に対応し、
救援端子は救援端子1,1a~1gに対応し、
金属製板材は金属製板材10,10a~10gに対応し、
突出方向は突出方向Hに対応し、
補強部は側方折曲片15,縦ビード16e,第2金属製板材30,30c,30g,厚板ナット40dに対応し、
幅方向は幅方向Wに対応し、
曲げ補強部は側方折曲片15に対応し、
係止部は係止凹部16に対応し、
金属製厚板材は第2金属製板材30,厚板ナット40dに対応し、
先端曲げ部は先端折曲部14,14gに対応し、
固定ボルトは固定ボルト161に対応し、
第2金属製板材は第2金属製板材30,30c,30g,厚板ナット40dに対応し、
締結孔はナット部162dに対応し、
電源入力端子は電源入力端子150に対応し、
突出方向ビードは縦ビード16e,縦ビード16faに対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、請求項に示される技術思想に基づいて応用することができ、多くの実施の形態を得ることができる。
【0223】
例えば、上述の電気接続箱100においてベース体102のベース部103から突出するように設けられた救援端子1は、電気接続箱100の内部において、他の部分より突出する態様であったが、他の部分より突出しなくても救援端子1の周りに凹部を設けて突出する態様、電気接続箱100の外部において突出する態様、電気接続箱100の外部において突出しなくても、電気接続箱100の外部に露出するように内部において突出する態様であってもよい。
【0224】
上述の凹凸嵌合部16cは、幅方向Wに所定間隔を隔てて2つ設けたが、ひとつであっても3つ以上であってもよい。凹凸嵌合部16cが複数設けられる場合、すべての凹凸嵌合部16cが同方向に凹凸嵌合してもよいし、いくつかの凹凸嵌合部16cが他の凹凸嵌合部16cと逆方向に凹凸嵌合してもよい。
【0225】
上記締結体160は、固定ボルト161と、ナット162やナット部162dとで構成したが、金属製板材10に設けられたスタッドボルトに対してナット162を螺合させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0226】
1,1a~1g…救援端子
10,10a~10g…金属製板材
14,14g…先端折曲部
15…側方折曲片
16…係止凹部
16e,16fa…縦ビード
30,30c,30g…第2金属製板材
40d…厚板ナット
100…電気接続箱
102…ベース体
103…ベース部
150…電源入力端子
161…固定ボルト
162d…ナット部
200…ブースターケーブル
201…クランプ
202…クランプ挟持部
H…突出方向
W…幅方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20