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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090000
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】光学式測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/02 20060101AFI20240627BHJP
【FI】
G01B11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205610
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今泉 良一
(72)【発明者】
【氏名】林 拓実
(72)【発明者】
【氏名】成宮 浩平
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA12
2F065AA22
2F065AA26
2F065FF02
2F065GG04
2F065HH04
2F065HH13
2F065JJ09
2F065JJ18
2F065LL10
2F065MM16
2F065QQ04
2F065QQ25
2F065SS13
(57)【要約】
【課題】測定対象物の配置に際して作業性の低下を招くことなく測定精度の低下を抑制可能な光学式測定装置を提供する。
【解決手段】光学式測定装置は、測定対象物が配置される測定領域と、測定領域に光ビームを照射し、光ビームの照射方向と交差する走査方向に光ビームを走査する光ビーム走査部と、測定領域を通過した光ビームを受光して受光信号を出力する受光部と、受光信号に基づいて、測定対象物の走査方向における寸法を示すデータを出力する信号処理部と、光ビーム走査部の筐体に着脱可能に構成され、筐体から測定対象物までの範囲において光ビームの光路を覆う光路カバーと、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物が配置される測定領域と、
前記測定領域に光ビームを照射し、前記光ビームの照射方向と交差する走査方向に前記光ビームを走査する光ビーム走査部と、
前記測定領域を通過した前記光ビームを受光して受光信号を出力する受光部と、
前記受光信号に基づいて、前記測定対象物の前記走査方向における寸法を示すデータを出力する信号処理部と、
前記光ビーム走査部の筐体に着脱可能に構成され、前記筐体から前記測定対象物までの範囲において前記光ビームの光路を覆う光路カバーと
を備える光学式測定装置。
【請求項2】
前記光路カバーは、前記照射方向と交差する着脱方向から前記筐体に着脱可能に構成されている
請求項1記載の光学式測定装置。
【請求項3】
前記光路カバーの前記筐体への着脱に際して、前記光路カバーの前記筐体に対する前記照射方向への移動を制限可能である
請求項2記載の光学式測定装置。
【請求項4】
前記着脱方向は、前記走査方向と交差し、
前記光路カバーの、前記筐体に対する前記着脱方向の位置が調整可能であり、
前記着脱方向の位置が調整された状態で前記光路カバーを前記筐体に対して固定可能である
請求項3記載の光学式測定装置。
【請求項5】
前記筐体の前記光ビームの出射口に設けられた部材と、
前記部材に前記照射方向から螺合され、前記部材と共に前記光路カバーの一部を挟持可能な雄ネジと
を更に備え、
前記部材は、前記光路カバーの着脱に際して、前記光路カバーと摺動可能である
請求項1記載の光学式測定装置。
【請求項6】
前記光路カバーは、
前記照射方向と交差する着脱方向から前記筐体に着脱可能に構成され、
前記光ビームの光路を覆うカバー部と、
前記筐体への着脱に際して前記部材と摺動可能な装着部と
を備え、
前記装着部は、前記雄ネジと対応する位置に設けられ、前記着脱方向に延伸する溝部を備える
請求項5記載の光学式測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物が配置される測定領域と、この測定領域に光ビームを照射し、この光ビームを走査方向に走査して、この走査方向における測定対象物の寸法等を測定する光学式測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
測定対象物が配置される測定領域と、この測定領域に光ビームを照射して光ビームの照射方向と交差する走査方向に光ビームを走査する光ビーム走査部と、測定領域を通過した光ビームを受光して受光信号を出力する受光部と、受光信号に基づいて測定対象物の走査方向における寸法を示すデータを出力する信号処理部と、を備える光学式測定装置が知られている。
【0003】
この様な構成においては、光ビームの光源からの熱や、光ビームを走査する機構からの微弱な風等の影響により、光ビーム走査部の筐体の内部において、光ビームの光路における空気揺らぎが発生し、測定精度の低下を招いてしまうおそれがある。
【0004】
そこで、特許文献1及び特許文献2では、光ビーム走査部の筐体の内部に、光ビームの光路を覆う光路カバーを設けている。この様な構成によれば、光ビーム走査部の筐体の内部において、光ビームの光路における空気揺らぎを抑制し、測定精度の低下を抑制することが出来る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-179837号公報
【特許文献2】特開昭58-48805号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した様な空気揺らぎは、光ビーム走査部の筐体の内部だけでなく、外部においても発生しうる。従って、光学式測定装置においては、筐体の内部だけでなく、筐体の外部にも光路カバーを設けることが望ましい。
【0007】
ここで、筐体外部の空気揺らぎを好適に抑制するためには、光路カバーが、光ビーム走査部から測定対象物の近傍までの範囲において光ビームの光路を覆うことが望ましい。しかしながら、この様な光路カバーが測定対象物に近接すると、測定領域に、測定対象物を配置したり、これを支持する支持具を配置したりする際の妨げとなってしまい、作業性の低下に繋がってしまうおそれがある。
【0008】
本発明は、この様な点に鑑みなされたもので、測定対象物の配置に際して作業性の低下を招くことなく測定精度の低下を抑制可能な光学式測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を解決すべく、本発明の一の実施形態に係る光学式測定装置は、測定対象物が配置される測定領域と、測定領域に光ビームを照射し、光ビームの照射方向と交差する走査方向に光ビームを走査する光ビーム走査部と、測定領域を通過した光ビームを受光して受光信号を出力する受光部と、受光信号に基づいて、測定対象物の走査方向における寸法を示すデータを出力する信号処理部と、光ビーム走査部の筐体に着脱可能に構成され、筐体から測定対象物までの範囲において光ビームの光路を覆う光路カバーと、を備える。
【0010】
この様な構成によれば、測定対象物や支持具の配置に際しては光ビーム走査部の筐体から光路カバーを取り外し、且つ、測定対象物や支持具の配置後に筐体に光路カバーを取り付けることによって、作業性の低下を招くことなく、測定精度の低下を抑制可能である。
【0011】
上記光路カバーは、照射方向と交差する着脱方向から筐体に着脱可能に構成されていても良い。また、上記光路カバーの筐体への着脱に際して、光路カバーの筐体に対する照射方向への移動を制限可能であっても良い。
【0012】
この様な構成によれば、光路カバーの筐体への着脱に際して、光路カバーが測定対象物や支持具に接触することを防止可能である。従って、本実施形態に係る光路カバーは、測定対象物や支持具の配置後であっても、筐体に容易に装着可能である。
【0013】
また、上記着脱方向は、走査方向と交差していても良い。また、上記光路カバーの、筐体に対する着脱方向の位置は、調整可能であっても良い。また、上記着脱方向の位置が調整された状態で、光路カバーを筐体に対して固定可能であっても良い。
【0014】
この様な構成によれば、光ビームの位置が設計と異なってしまっても、光路カバーの着脱方向における位置を調整することにより、光ビームを測定領域に好適に出射可能である。従って、光路カバーの幅を小さくして、空気揺らぎの影響が少なく、且つ、耐環境性の高い光学式測定装置を提供可能である。
【0015】
また、上記光学式測定装置は、筐体の光ビームの出射口に設けられた部材と、この部材に照射方向から螺合され、この部材と共に光路カバーの一部を挟持可能な雄ネジと、を更に備えていても良い。また、この部材は、光路カバーの着脱に際して、光路カバーと摺動可能であっても良い。
【0016】
また、上記光路カバーは、照射方向と交差する着脱方向から筐体に着脱可能に構成され、光ビームの光路を覆うカバー部と、筐体への着脱に際して上記部材と摺動可能な装着部と、を備えていても良い。また、装着部は、雄ネジと対応する位置に設けられ、着脱方向に延伸する溝部を備えていても良い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、測定対象物の配置に際して作業性の低下を招くことなく測定精度の低下を抑制可能な光学式測定装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す斜視図である。
図2】測定部100及び制御部200の構成を示すブロック図である。
図3】光路カバー130が取り外された状態の測定部100の構成を示す側面図である。
図4】光路カバー130が取り付けられた状態の測定部100の構成を示す側面図である。
図5】光路カバー130が取り外された状態の測定部100の構成を示す斜視図である。
図6】光路カバー130が取り付けられた状態の測定部100の構成を示す斜視図である。
図7】光路カバー130のカバー部131の構成を示す正面図である。
図8】光路カバー130の装着部132の構成を示す正面図である。
図9】部材140の構成を示す正面図である。
図10】光路カバー130が取り外された状態の測定部100の構成を示す上面図である。
図11】光路カバー130が取り付けられた状態の測定部100の構成を示す上面図である。
図12】本発明の第2の実施形態に係る光路カバー230の装着部232の構成を示す正面図である。
図13】本発明の第2の実施形態に係る部材240の構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1の実施形態]
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施形態に係る光学式測定装置について説明する。
【0020】
[概略構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光学式測定装置の構成を示す斜視図である。
【0021】
図1に示す様に、本実施形態に係る光学式測定装置は、測定部100と、測定部100を制御する制御部200(信号処理部)と、制御部200に接続されたPC300と、を備える。測定部100は、測定対象物Wが配置される測定領域101と、測定領域101に光ビーム(レーザ光L)を照射してこの光ビームを走査方向(-Z方向)に走査する光ビーム走査部110と、測定領域101を通過した光ビームを受光する受光部150と、光ビーム走査部110及び受光部150を連結する連結部160と、を備える。
【0022】
尚、図1の例では、光ビーム走査部110及び受光部150がX方向に離間しており、光ビーム走査部110及び受光部150の間の空間が測定領域101となっている。また、測定領域101にはY方向に延伸する円柱状の測定対象物Wと、この測定対象物Wを支持する支持具170と、が配置されている。支持具170は、連結部160の上面に載置される台座部171と、測定対象物Wを支持する支持部172と、これら台座部171と支持部172との位置関係をX方向及びZ方向に調整可能な図示しない調整機構と、を備える。また、光ビーム走査部110は、光ビーム走査部110の筐体120に設けられた出射口120aを介して-X方向に進行するレーザ光Lを出射し、-Z方向に走査する。
【0023】
図2は、測定部100及び制御部200の構成を示すブロック図である。
【0024】
光ビーム走査部110は、レーザ光Lを出射するレーザ光源111と、出射されたレーザ光Lを反射するミラー112と、ミラー112で反射されたレーザ光Lを更に反射するポリゴンミラー113と、ポリゴンミラー113で反射されたレーザ光Lを測定領域101に導くfθレンズ114と、レーザ光Lの走査終了時にリセット信号RSTを出力するフォトダイオード等の受光素子115と、を備える。また、光ビーム走査部110は、ポリゴンミラー113を回転させるモータ116と、モータ116を駆動するモータ駆動回路117と、クロック信号CLKに応じてモータ駆動回路117に同期信号を入力するモータ同期回路118と、を備える。
【0025】
受光部150は、測定領域101を通過したレーザ光Lを集光する集光レンズ151と、集光されたレーザ光Lを受光するフォトダイオード等の受光素子152と、受光素子152の出力信号を増幅して受光信号S1として出力するアンプ153と、を備える。
【0026】
制御部200は、受光信号S1を2値化してエッジ検出信号S2を出力するエッジ検出回路201と、エッジ検出信号S2の立ち上がり及び立ち下がりに応じてエッジ選択信号S3を立ち上げるセグメント選択回路202と、エッジ選択信号S3及びクロック信号CLKのAND信号を一又は複数のゲート信号S4として出力するゲート回路203と、一又は複数のゲート信号S4に含まれるクロックパルスの数を数えるカウント回路204と、補正テーブルが記録されるメモリ205と、を備える。また、制御部200は、バス206を介してこれらの構成に接続されたCPU207と、これらの構成にクロック信号CLKを出力するクロック信号出力回路208と、を備える。
【0027】
[寸法測定時の動作]
寸法測定に際しては、例えば、測定領域101に、支持具170及び測定対象物Wを配置する。測定対象物Wは、例えば、fθレンズ114の焦点位置に配置する。
【0028】
次に、レーザ光源111からレーザ光Lを出射し、ポリゴンミラー113を回転させる。例えばポリゴンミラー113が正16角柱状の形状を有し、16個の反射面を備えている場合、ポリゴンミラー113を1回転させるごとに、レーザ光Lは16回ずつ走査される。
【0029】
レーザ光Lの走査が開始されると、レーザ光Lが測定領域101を通過して受光部150に受光される。また、受光信号S1がしきい値よりも大きい値となり、エッジ検出信号S2が立ち上がる。また、カウント回路204は、測定対象物Wの上方領域に対応するクロックパルスの計数を開始する。
【0030】
レーザ光Lが測定対象物Wに到達すると、レーザ光Lが測定対象物Wによって遮光され、測定領域101を通過しなくなる。また、受光信号S1がしきい値よりも小さい値となり、エッジ検出信号S2が立ち下がる。また、カウント回路204は、測定対象物Wに対応するクロックパルスの計数を開始する。
【0031】
レーザ光Lが測定対象物Wを通過すると、レーザ光Lが測定領域101を通過して受光部150に受光される。また、受光信号S1がしきい値よりも大きい値となり、エッジ検出信号S2が立ち上がる。また、カウント回路204は、測定対象物Wの下方領域に対応するクロックパルスの計数を開始する。
【0032】
レーザ光Lが受光素子115によって受光されると、リセット信号RSTが立ち上がる。カウント回路204は、リセット信号RSTを受信して、クロックパルスの計数結果を、エッジカウント値としてCPU207に出力する。また、カウント回路204は、保持していたエッジカウント値をリセットする。CPU207は、例えば、メモリ205に記録された補正テーブルを参照し、エッジカウント値を補正して、補正後のエッジカウント値を取得する。その後、例えば補正後のエッジカウント値のうち、測定対象物Wに対応するものから、測定対象物Wの下方領域に対応するものを減算して差分値を取得する。また、この差分値と、レーザ光Lが1クロックあたりに-Z方向に走査される距離と、を乗算し、その結果を測定対象物Wの外径を示す寸法データとしてPC300に出力する。PC300は、出力された寸法データを記録し、寸法データが示す外径をディスプレイに表示する。
【0033】
[光路カバー130]
次に、図3及び図4を参照して、光路カバー130について説明する。図3は、光路カバー130が取り外された状態の測定部100の構成を示す側面図である。図4は、光路カバー130が取り付けられた状態の測定部100の構成を示す側面図である。
【0034】
図1及び図2を参照して説明した様な光学式測定装置では、光ビーム走査部110から測定対象物Wまでの範囲に空気の流れや熱勾配等が存在すると、図3に示す様に、光ビームの光路において空気揺らぎが発生する。空気揺らぎが発生すると、空気の粗密の状態に応じて空気中の屈折率が変化してしまい、測定精度の低下を招いてしまうおそれがある。これを抑制するためには、例えば図4に示す様に、光ビーム走査部110から測定対象物Wまでの範囲においてレーザ光Lの光路を覆う光路カバー130を設けることが考えられる。
【0035】
ここで、空気揺らぎを好適に抑制するためには、光路カバー130が、光ビーム走査部110から測定対象物Wの近傍までの範囲においてレーザ光Lの光路を覆うことが望ましい。しかしながら、この様な光路カバー130が測定対象物Wに近接すると、測定領域101に支持具170を配置したり、支持具170上に測定対象物Wを配置したりする際の妨げとなってしまい、作業性の低下に繋がってしまうおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態に係る光学式測定装置は、光ビーム走査部110の筐体120に容易に着脱可能な光路カバー130(図5図9)を備える。この様な構成によれば、支持具170及び測定対象物Wの配置に際しては図3に示す様に筐体120から光路カバー130を取り外し、且つ、支持具170及び測定対象物Wの配置後に筐体120に図4に示す様に光路カバー130を取り付けることが可能である。従って、支持具170及び測定対象物Wの配置に際して作業性の低下を招くことなく、測定精度の低下を抑制可能である。
【0037】
[光路カバー130等の構成]
次に、図5図9を参照し、光路カバー130等の構成について説明する。図5は、光路カバー130が取り外された状態の測定部100の構成を示す斜視図である。図6は、光路カバー130が取り付けられた状態の測定部100の構成を示す斜視図である。図7は、光路カバー130のカバー部131の構成を示す正面図である。図8は、光路カバー130の装着部132の構成を示す正面図である。図9は、部材140の構成を示す正面図である。
【0038】
図5に示す様に、本実施形態に係る光学式測定装置は、光路カバー130と、光路カバー130を筐体120に着脱可能に構成された部材140と、を備える。
【0039】
光路カバー130は、光ビーム走査部110から測定対象物Wまでの範囲においてレーザ光Lの光路を覆うカバー部131と、部材140に対して着脱可能に構成された装着部132と、を備える。
【0040】
カバー部131は、レーザ光Lの照射方向(-X方向)及び走査方向(-Z方向)に延伸する略四角筒型の形状を備える。図7に示す様に、カバー部131は、Y方向に離間する一対の壁部131aと、Z方向に離間する一対の壁部131bと、を備える。一対の壁部131aは、それぞれ、X方向及びZ方向に延伸する。一対の壁部131bは、それぞれ、X方向及びY方向に延伸する。これら一対の壁部131a及び一対の壁部131bで囲まれた領域131cは、レーザ光Lが通過する領域である。
【0041】
装着部132は、Y方向及びZ方向に延伸する略矩形型の形状を備える。図8に示す様に、装着部132の中心には、Z方向に延伸する貫通孔132aが設けられている。貫通孔132aは、レーザ光Lが通過する領域である。また、装着部132の上端及び下端には、それぞれ、溝部132b,132cが設けられている。溝部132b,132cは、それぞれ、後述する雄ネジ142b,142c(図9)に対応する位置から、装着部132のY方向の一方側の端部(図示の例では、Y方向正側の端部)にかけてY方向に延伸し、一方側の端部が解放されている。
【0042】
部材140は、図9に示す様に、Y方向及びZ方向に延伸する略矩形型の形状を備える。部材140の中心には、Z方向に延伸する貫通孔141が設けられている。貫通孔141は、レーザ光Lが通過する領域である。貫通孔141のX方向の幅は、領域131c(図7)のX方向の幅及び貫通孔132a(図8)のX方向の幅と等しくても良いし、これらの幅より大きくても良い。また、部材140の四隅には、それぞれ、部材140を筐体120に固定する雄ネジ142aが設けられている。また、貫通孔141の上方及び下方の領域には、それぞれ、X方向負側から部材140に螺合された雄ネジ142b,142cが設けられている。
【0043】
[光路カバー130の着脱]
次に、図10及び図11を参照して、光路カバー130の着脱について説明する。図10は、光路カバー130が取り外された状態の測定部100の構成を示す上面図である。図11は、光路カバー130が取り付けられた状態の測定部100の構成を示す上面図である。
【0044】
光路カバー130の取り付けに際しては、図10に示す様に、雄ネジ142b,142cを、X方向負側に突出した状態とする。次に、光路カバー130の装着部132を、部材140と、雄ネジ142b,142cの頭部と、の間の領域に、Y方向正側に挿入する。この際、装着部132は、部材140に対して摺動する。また、雄ネジ142b,142cのネジ部は、溝部132b,132cに挿入される。次に、図11に示す様に、光路カバー130の筐体120に対するY方向の位置を調整する。次に、雄ネジ142b,142cを締め、部材140及び雄ネジ142b,142cの頭部によって装着部132を挟持することにより、光路カバー130を、筐体120に対して固定する。
【0045】
光路カバー130の取り外しに際しては、雄ネジ142b,142cを緩める。次に、図10に示す様に、光路カバー130の装着部132を、部材140と、雄ネジ142b,142cの頭部と、の間の領域から、Y方向負側に引き抜く。
【0046】
即ち、本実施形態においては、光路カバー130が、レーザ光Lの照射方向(-X方向)と交差する着脱方向(本実施形態においては、Y方向)から筐体120に着脱可能に構成されている。また、光路カバー130の筐体120への着脱に際して、光路カバー130の筐体120に対する照射方向(-X方向)への移動を制限可能である。
【0047】
この様な構成によれば、光路カバー130の筐体120への着脱に際して、光路カバー130が支持具170(図1)及び測定対象物Wに接触することを防止可能である。従って、本実施形態に係る光路カバー130は、支持具170(図1)及び測定対象物Wの配置後であっても、筐体120に容易に装着可能である。
【0048】
また、この様な構成によれば、例えば、光路カバー130を取り外した状態で測定を行い、測定結果のバラつきが大きかった場合に、高精度化のために光路カバー130を取り付けることも可能である。この様な場合、光路カバー130が支持具170(図1)及び測定対象物Wに接触しないため、同一の条件で測定を行うことが可能である。
【0049】
また、本実施形態においては、光路カバー130の筐体120に対するY方向の位置が調整可能であり、且つ、着脱方向の位置が調整された状態で光路カバー130を筐体120に対して固定可能である。
【0050】
ここで、以上において説明した様な光学式測定装置では、領域131c(図7)及び貫通孔132a(図8)の、X方向の幅が小さい程、空気揺らぎの影響を低減可能である。また、外部からの異物等の侵入を抑制可能である。
【0051】
一方、以上において説明した様な光学式測定装置では、ポリゴンミラー113(図2)の製造誤差や、各構成の組付誤差等に起因して、レーザ光LのY方向における位置が、設計と異なってしまう場合がある。従って、領域131c(図7)及び貫通孔132a(図8)のX方向の幅を、ある程度大きくしないと、光路カバー130によってレーザ光Lを遮ってしまい、好適な測定が実行出来ないおそれがある。
【0052】
しかしながら、本実施形態においては、レーザ光LのY方向における位置が設計と異なってしまっても、光路カバー130のY方向における位置を調整することにより、レーザ光Lを測定領域101に好適に出射可能である。従って、領域131c(図7)のX方向の幅及び貫通孔132a(図8)のX方向の幅を小さくして、空気揺らぎの影響が少なく、且つ、耐環境性の高い光学式測定装置を提供可能である。
【0053】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る光学式測定装置について説明する。以下の説明において、第1の実施形態と同様の部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0054】
第2の実施形態に係る光学式測定装置は、基本的には、第1の実施形態に係る光学式測定装置と同様に構成されている。ただし、第2の実施形態に係る光学式測定装置は、光路カバー130及び部材140のかわりに、光路カバー230及び部材240を備える。
【0055】
図12は、光路カバー230の装着部232の構成を示す正面図である。光路カバー230は、基本的には、光路カバー130と同様に構成されている。ただし、光路カバー230は、装着部132のかわりに、装着部232を備える。装着部232は、基本的には、装着部132と同様に構成されている。ただし、装着部232は、溝部132b,132cを有していない。また、装着部232のY方向の一端及び他端には、それぞれ、溝部232b,232cが設けられている。溝部232b,232cは、それぞれ、後述する雄ネジ242b,242c(図13)に対応する位置から、装着部132のZ方向の一方側の端部(図示の例では、Z方向負側の端部)にかけてZ方向に延伸し、一方側の端部が解放されている。
【0056】
図13は、部材240の構成を示す正面図である。部材240は、基本的には、部材140と同様に構成されている。ただし、部材240には、雄ネジ142b,142cが設けられていない。また、貫通孔141に対してY方向正側及びY方向負側の領域には、それぞれ、X方向負側から部材240に螺合された雄ネジ242b,242cが設けられている。
【0057】
第2の実施形態に係る光路カバー230は、基本的には、第1の実施形態に係る光路カバー130と同様の方法によって、筐体120に着脱可能である。ただし、第1の実施形態では、光路カバー130を筐体120に対して着脱する着脱方向が、Y方向である。一方、第2の実施形態では、光路カバー230を筐体120に対して着脱する着脱方向が、Z方向である。
【0058】
[その他の実施形態]
第1の実施形態では、光路カバー130を、部材140を介して、筐体120に着脱する例を示した。しかしながら、光路カバー130は、筐体120に直接着脱可能であっても良い。この様な場合、筐体120は、光路カバー130の着脱に際して装着部132と摺動可能な面を備えていても良い。また、雄ネジ142b,142cは、筐体120に螺合されていても良い。
【符号の説明】
【0059】
100…測定部、101…測定領域、110…光ビーム走査部、111…レーザ光源、112…ミラー、113…ポリゴンミラー、114…fθレンズ、115…受光素子、116…モータ、117…モータ駆動回路、118…モータ同期回路、130…光路カバー、131…カバー部、132…装着部、140…部材、142a,142b,142c…雄ネジ、150…受光部、151…集光レンズ、152…受光素子、153…アンプ、160…連結部、200…制御部、201…エッジ検出回路、202…セグメント選択回路、203…ゲート回路、204…カウント回路、205…メモリ、206…バス、207…CPU、208…クロック信号出力回路。
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