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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090071
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】接着性樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C09J 167/00 20060101AFI20240627BHJP
   C08L 101/16 20060101ALI20240627BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20240627BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240627BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20240627BHJP
【FI】
C09J167/00
C08L101/16
B32B27/00 D
B65D65/40 D
C09J7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022205720
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【弁理士】
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100172605
【弁理士】
【氏名又は名称】岩木 郁子
(72)【発明者】
【氏名】大越 拓
(72)【発明者】
【氏名】榎本 圭佑
(72)【発明者】
【氏名】内藤 加菜
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4J004
4J040
4J200
【Fターム(参考)】
3E086AD06
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA29
3E086BA35
3E086BB01
3E086BB15
3E086BB23
3E086BB35
3E086BB41
3E086BB55
3E086BB58
3E086BB66
3E086BB85
3E086CA01
3E086CA11
3E086CA22
4F100AJ07
4F100AJ07B
4F100AK01A
4F100AK21
4F100AK21C
4F100AK41
4F100AK41B
4F100BA03
4F100BA07
4F100CB00B
4F100EH20
4F100GB15
4F100JA04B
4F100JA05
4F100JA05B
4F100JA06
4F100JA07
4F100JC00
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4F100JC00B
4F100JJ03
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4F100JL11B
4F100YY00B
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4J200AA04
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4J200BA05
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4J200BA36
4J200BA37
4J200CA02
4J200DA03
4J200EA05
4J200EA11
(57)【要約】
【課題】耐熱性に優れるとともに、ポリビニルアルコール系樹脂層と生分解性樹脂層の両方に対する接着強度に優れた接着性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】本発明の接着性樹脂組成物は、生分解性ポリエステル系樹脂(A)100質量部を基準に、ポリオール(B)を3~24質量部、及び、スターチ又は変性スターチ(C)を0~40質量部含み、ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量が44質量部以下であり、生分解性ポリエステル系樹脂(A)のISO 527-1に準拠して測定された破断伸びが50%以上であり、ポリオール(B)のガラス転移温度が-10℃以上である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリエステル系樹脂(A)100質量部を基準に、ポリオール(B)を3~24質量部、及び、スターチ又は変性スターチ(C)を0~40質量部含み、ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量は44質量部以下であり、生分解性ポリエステル(A)は、ISO 527-1に準拠して測定された破断伸びが50%以上であり、ポリオール(B)のガラス転移温度は-10℃以上である、接着性樹脂組成物。
【請求項2】
生分解性ポリエステル系樹脂(A)の融点は、70℃以上である、請求項1に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項3】
生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項4】
前記芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂は、ポリブチレンアジペートテレフタレートである、請求項3に記載の接着性樹脂組成物。
【請求項5】
ポリオール(B)は、マルチトール、ソルビトール、及びトレハロースからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項1~4のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
【請求項6】
スターチ又は変性スターチ(C)を含まない、請求項1~5のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層を含む、積層体。
【請求項8】
生分解性樹脂層、前記接着層、及びポリビニルアルコール系樹脂層をこの順に含む、請求項7に記載の積層体。
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層、又は、請求項7又は8に記載の積層体を含む、食品包装材。
【請求項10】
請求項1~6のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層、又は、請求項7又は8に記載の積層体を含む、コーヒーカプセル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物を含んでなる接着層を含む積層体、並びに、該接着層又は該積層体を含む食品包装材及びコーヒーカプセルに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックは、成形性、強度、耐水性、透明性などが高いことから、包装材料として広く使用されている。しかし、プラスチックは生分解性に乏しく、使用後に自然界に投棄されると、長期間残存して環境破壊の原因となり得る。これに対し、近年、土中や水中で生分解又は加水分解され、環境汚染の防止に有用な生分解性樹脂が注目され、生分解性樹脂組成物を用いた包装材料の実用化が進められている。包装材料に用いられる樹脂組成物として、例えば、特許文献1には、ポリ乳酸等の生分解性ポリエステル、澱粉等の多糖類、及びグリセリン等の多価アルコールを含む樹脂組成物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-335934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような生分解性の包装材料は、通常、多層構造を有しており、その具体例としては、生分解性樹脂層、接着層及びポリビニルアルコール系樹脂層を含む積層体が挙げられる。しかし、本発明者の検討によれば、接着層を従来の樹脂組成物により形成した場合、生分解性樹脂層とポリビニルアルコール系樹脂層の両方に対して、十分な接着強度を発現することは困難であることがわかった。さらに、従来の樹脂組成物は耐熱性に劣り、高温下で発生しうる着色を抑制できない場合があることがわかった。
【0005】
したがって、本発明の目的は、耐熱性に優れるとともに、ポリビニルアルコール系樹脂層と生分解性樹脂層の両方に対する接着強度に優れた接着性樹脂組成物、該接着性樹脂組成物を含んでなる接着層を含む積層体、並びに、該接着層又は該積層体を含む食品包装材及びコーヒーカプセルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、接着性樹脂組成物中の生分解性ポリエステル(A)、ポリオール(B)、及びスターチ又は変性スターチ(C)の含有量、並びに前記(B)と前記(C)との合計量を特定の範囲とし、さらに生分解性ポリエステル(A)の破断伸び及びポリオール(B)のガラス転移温度が特定の範囲であれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の好適な態様を包含する。
【0007】
[1]生分解性ポリエステル系樹脂(A)100質量部を基準に、ポリオール(B)を3~24質量部、及び、スターチ又は変性スターチ(C)を0~40質量部含み、ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量は44質量部以下であり、生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、ISO 527-1に準拠して測定された破断伸びが50%以上であり、ポリオール(B)のガラス転移温度は-10℃以上である、接着性樹脂組成物。
[2]生分解性ポリエステル系樹脂(A)の融点は、70℃以上である、[1]に記載の接着性樹脂組成物。
[3]生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂を含む、[1]又は[2]に記載の接着性樹脂組成物。
[4]前記芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂は、ポリブチレンアジペートテレフタレートである、[3]に記載の接着性樹脂組成物。
[5]ポリオール(B)は、マルチトール、ソルビトール、及びトレハロースからなる群から選択される少なくとも1つである、[1]~[4]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[6]スターチ又は変性スターチ(C)を含まない、[1]~[5]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層を含む、積層体。
[8]生分解性樹脂層、前記接着層、及びポリビニルアルコール系樹脂層をこの順に含む、[7]に記載の積層体。
[9][1]~[6]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層、又は、[7]又は[8]に記載の積層体を含む、食品包装材。
[10][1]~[6]のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層、又は、[7]又は[8]に記載の積層体を含む、コーヒーカプセル。
【発明の効果】
【0008】
本発明の接着性樹脂組成物は、耐熱性に優れるとともに、ポリビニルアルコール系樹脂層と生分解性樹脂層の両方に対する接着強度に優れている。そのため、食品等の包装材料として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[接着性樹脂組成物]
本発明の接着性樹脂組成物は、生分解性ポリエステル(A)を100質量部、ポリオール(B)を3~24質量部、及び、スターチ又は変性スターチ(C)を0~40質量部含み、ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量が44質量部以下であり、生分解性ポリエステル(A)が、ISO 527-1に準拠して測定された破断伸びが50%以上であり、ポリオール(B)のガラス転移温度(Tgと略記することがある)が-10℃以上である。本明細書において、生分解性ポリエステル系樹脂(A)を「成分(A)」と称することがあり、ポリオール(B)を「成分(B)」と称することがあり、スターチ又は変性スターチ(C)を「成分(C)」と称することがあり、ポリビニルアルコールをPVAと略記することがある。本明細書において、上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
【0010】
本発明者は、積層体の層間接着性や熱による着色について検討を進めたところ、接着性樹脂組成物において、成分(A)、成分(B)及び成分(C)[成分(A)~(C)と略記することがある]の含有量、成分(B)と成分(C)との合計量、成分(A)の破断伸び、並びに、成分(B)のTgが特定の範囲であれば、驚くべきことに、PVA系樹脂層と生分解性樹脂層の両方に対する接着強度を向上できるとともに、耐熱性も向上でき、高温下における着色を抑制できることを見出した。これは、破断伸びが50%以上である特定量の成分(A)により、組成物自体の靭性や強度を向上できるとともに、生分解性樹脂層に対する高い接着力を発現でき;またTgが-10℃以上である特定量の成分(B)により、ブリードアウト及び靭性の低下を抑制しつつ、PVA系樹脂層に対する高い接着力を発現でき;さらに特定量の成分(C)により、靭性の低下を抑制しつつ、耐熱性を向上できるからだと推定される。なお、本明細書において、接着強度は剥離試験により評価でき、接着性樹脂組成物(接着層)と、PVA系樹脂層、生分解性樹脂層などの他の層との剥離強度を意味する。ここで、剥離試験において剥離前に接着層が破壊することを「凝集破壊」と称し、「凝集破壊」する場合は凝集破壊した時点の強度により接着強度を評価する。そのため、接着強度は、他の層に対する接着性樹脂組成物の接着力と、該組成物自体の強度や靭性力とを含む意味である。また、本明細書において、耐熱性とは高温下においても着色を抑制できる特性を示し、例えば実施例に記載の方法により評価できる。
【0011】
<生分解性ポリエステル系樹脂(A)>
本発明の接着性樹脂組成物は、ISO 527-1に準拠して測定された破断伸びが50%以上である生分解性ポリエステル系樹脂(A)を含む。このような生分解性ポリエステル系樹脂(A)を含むことにより、生分解性を維持しつつ、接着性樹脂組成物自体の靭性が高くなり、生分解性樹脂層及びPVA系樹脂層に対する接着強度を向上できる。生分解性とは、例えば、加水分解、酵素分解、微生物分解等の作用により化学的に分解することが可能な性質を有するものであり、好ましくはEN13432又はASTM6400に特定される生分解性基準に適合する材料を表す。すなわち、コンポスト環境に置かれた時に、12週間以内にその90%が平均の大きさ2mm未満の粒子に崩壊し、そして、6ヶ月後にASTM6400の場合その少なくとも60%が、又はEN13432の場合その少なくとも90%が、二酸化炭素及び/又は水に分解している材料は、生分解性であるとされる。
【0012】
生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、破断伸びが50%以上である。破断伸びが50%未満であると、組成物自体の靭性が十分でなく、接着強度が低下する傾向がある。生分解性ポリエステル系樹脂(A)の破断伸びは、50%以上、好ましくは100%以上、より好ましくは200%以上、さらに好ましくは400%以上、さらにより好ましくは600%以上、特に好ましくは800%以上、特により好ましくは900%以上である。破断伸びが上記の下限以上であると、靭性が高くなるため、接着強度を向上できる。前記破断伸びの上限は、通常、5000%以下、好ましくは3000%以下、より好ましくは2000%以下である。破断伸びが上記の上限以下であると、接着性組成物の弾性率及び最大強度の低下を抑制できるため、接着強度の低下を抑制できる。なお、破断伸びは、ISO 527-1に準拠して測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。二種以上の生分解性ポリエステル系樹脂(A)を組み合わせて使用する場合の破断伸びは、使用した生分解性ポリエステル系樹脂の混合物の破断伸びを測定し、得られた破断伸びを生分解性ポリエステル系樹脂(A)の破断伸びとする。
【0013】
生分解性ポリエステル系樹脂は、破断伸びが50%以上であり、かつ上記の生分解性を有するポリエステル系樹脂であれば、特に限定されず、石油由来の生分解性樹脂であっても、生物由来の生分解性樹脂であってもよい。生分解性ポリエステル系樹脂としては、例えば、脂肪族ポリエステル系樹脂、芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂などが挙げられ、生分解性ポリエステル系樹脂は、脂肪族ポリエステル系樹脂及び芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、高い生分解性を有しつつ、接着強度及び耐熱性を高めやすい観点からは、芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂を含むことがより好ましい。
【0014】
脂肪族ポリエステル系樹脂としては、例えばポリアルキレンモノカルボキシレート、ポリアルキレンジカルボキシレートなどが挙げられる。
【0015】
ポリアルキレンモノカルボキシレートとしては、ラクトン(環状エステル)の開環重合体が挙げられる。その具体例としては、ポリカプロラクトン(PCLと略記する)などが挙げられる。
【0016】
ポリアルキレンジカルボキシレートは、脂肪族ジオール(又はその誘導体)と脂肪族ジカルボン酸(又はその誘導体)との重縮合体である。その例としては、ポリブチレンサクシネート(PBSと略記する)、ポリエチレンサクシネート(PESと略記する)、ポリ(ブチレンサクシネート-co-ブチレンアジペート)などが挙げられる。
【0017】
芳香族-脂肪族共重合ポリエステル系樹脂は、芳香族部位と脂肪族部位の両方を有するポリエステル系樹脂であり、脂肪族又は芳香族ジオール(又はその誘導体)と、芳香族又は脂肪族ジカルボン酸(又はその誘導体)との縮合体である。その例としては、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBATと略記する)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、ポリエチレンアジペートテレフタレート(PEAT)などが挙げられ、高い生分解性を有しつつ、接着強度及び耐熱性を高めやすい観点からは、PBATが好ましい。
これらの生分解性ポリエステル系樹脂は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、慣用の方法で製造してもよいし、市販品を使用してもよい。生分解性ポリエステル系樹脂(A)の市販品としては、UnionCarbideによってTone(商標)(例えば、ToneP-300、P-700、P-767及びP-787、それぞれ、約10,000、40,000、43,000及び80,000の重量平均分子量を有する)の商用名で販売されているポリカプロラクトン(PCL)、又は、PerstorfによってCAPA6800及びCAPAFB100(それぞれ、80,000及び100,000ダルトンの分子量を有する)の商用名で販売されているポリカプロラクトン(PCL);昭和高分子(株)によってBionolle(商標)の商用名で販売されているポリエチレンサクシネート(PES)及びポリブチレンサクシネート(PBS)(例えば、Bionolle(商標)1001(PBS)及びBionelle(商標)6000(PES));SKChemicals(韓国)からSkygreen(商標)SG100の商用名で販売されているポリブチレンアジペート(PBA);ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)脂肪族/芳香族コポリエステル、例えば、BASF(ドイツ)によるEcoflex(商標)、又はIreChemicalLtd(ソウル)によるEnPOL(商標)G8060及びEnPOL(商標)8000;などが挙げられる。
【0019】
生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、変性された生分解性ポリエステル系樹脂であっても、未変性の生分解性ポリエステル系樹脂であってもよい。変性された生分解性ポリエステル系樹脂としては、特に限定されないが、例えば生分解性ポリエステル系樹脂を不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体によりグラフト変性してなる変性生分解性ポリエステル系樹脂であってもよい。変性剤としての不飽和カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、特に限定されないが、例えば酸無水物、エステル、アミド、イミド、金属塩等が挙げられる。
【0020】
不飽和カルボン酸の誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水ハイミック酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、イタコン酸モノメチルエステル、イタコン酸ジエチルエステル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレイン酸モノアミド、マレイン酸ジアミド、マレイン酸-N-モノエチルアミド、マレイン酸-N,N-ジエチルアミド、マレイン酸-N,N-モノブチルアミド、マレイン酸-N,N-ジブチルアミド、フマル酸モノアミド、フマル酸ジアミド、フマル酸-N-モノブチルアミド、フマル酸-N,N-ジブチルアミド、マレイミド、Nブチルマレイミド、N-フェニルマレイミド、アクリル酸ナトリウム、メタクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリル酸カリウム等が挙げられる。
これらの不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体は、1種類のみを単独で、又は2種類以上を任意の組み合せ及び比率で用いることができる。これらのうち、特にマレイン酸又はその無水物が、電子密度が低く反応性が高いことから好適である。
【0021】
変性剤の含有量は、変性された生分解性ポリエステル系樹脂の質量に対して、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、さらに好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは1.0質量%以下、さらに好ましくは0.2質量%以下である。
【0022】
本発明の接着性樹脂組成物は、特定量の成分(A)~(C)を含むアロイであるため、生分解性ポリエステル系樹脂(A)を変性することなく、PVA系樹脂層及び生分解性樹脂層に対する優れた接着強度及び耐熱性を発現できる。そのため、本発明の好適な実施形態では、生分解性ポリエステル系樹脂(A)は、未変性の生分解性ポリエステル系樹脂であることが好ましい。未変性である場合、変性による生分解性の低下を防止できるとともに、変性による製造の煩雑さを回避することもできる。
【0023】
本発明の好適な実施形態において、生分解性ポリエステル系樹脂(A)の融点は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは90℃以上、さらにより好ましくは100℃以上、特に好ましくは105℃以上である。生分解性ポリエステル系樹脂(A)の融点が上記の下限以上であると、熱成形性をより向上しやすいため、得られる積層体のシワ等の発生を抑制又は防止しやすく、外観が良好になりやすい。前記融点の上限は、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下、さらに好ましくは150℃以下、さらにより好ましくは140℃以下、特に好ましくは130℃以下である。前記融点が上記の上限以下であると、熱成形性を高めやすいため、得られる積層体を所定の形状に容易に成形しやすい。なお、融点は、示差走査熱量計(DSC)により測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
【0024】
本発明の一実施形態において、生分解性ポリエステル系樹脂(A)のメルトマスフローレート(MFR)は、好ましくは1.0g/10分以上、より好ましくは3.0g/10分以上、さらに好ましくは5.0/10分以上、さらにより好ましくは10g/10分以上であり、好ましくは30g/10分以下、より好ましくは25g/10分以下、さらに好ましくは20g/10分以下である。生分解性ポリエステル系樹脂(A)のMFRが上記範囲であることで、接着強度、耐熱性及び熱成形性を高めやすい。MFRは、ISO1133に準拠して、200℃、2.16kgの条件で測定できる。
【0025】
本発明の一実施形態において、生分解性ポリエステル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは10,000以上、より好ましくは30,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、好ましくは500,000以下、より好ましくは200,000以下、さらに好ましくは100,000以下である。生分解性ポリエステル系樹脂(A)のMwが上記範囲であることで、接着強度、熱成形性及び耐熱性を高めやすい。
【0026】
本発明の一実施形態において、生分解性ポリエステル系樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上であり、好ましくは200,000以下、より好ましくは100,000以下、さらに好ましくは50,000以下である。生分解性ポリエステル系樹脂(A)のMnが上記範囲であることで、接着強度、熱成形性及び耐熱性を高めやすい。
なお、生分解性ポリエステル系樹脂(A)のMw及びMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定を行い、標準ポリスチレン換算により求めることができ、例えば実施例に記載の方法により求めることができる。
【0027】
本発明の一実施形態において、生分解性ポリエステル系樹脂(A)の含有量は、接着性樹脂組成物の質量を基準に、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上、さらにより好ましくは65質量%以上であり、例えば、75質量%以上又は85質量%以上であってもよい。生分解性ポリエステル系樹脂(A)の含有量が上記の下限以上であると、生分解性樹脂層に対する親和性の向上により生分解性樹脂層に対する接着力が高まりやすい。また、組成物自体の靭性や強度の向上により、生分解性樹脂層及びPVA系樹脂層に対する接着強度が高まりやすい。生分解性ポリエステル系樹脂(A)の含有量は、接着性樹脂組成物の質量を基準に、好ましくは96.5質量%以下、より好ましくは95質量%以下、さらに好ましくは92質量%以下である。生分解性ポリエステル系樹脂(A)の含有量が、上記の上限以下であると、PVA系樹脂層に対する接着力が高まりやすい。
【0028】
[ポリオール(B)]
本発明の接着性樹脂組成物は、ポリオール(B)を含む。該接着性樹脂組成物に含まれるポリオール(B)のガラス転移温度(Tg)が-10℃以上であり、その含有量が3~24質量部であるため、接着強度及び耐熱性を向上できる。ポリオールは、人工物由来又は天然物由来であってもよく、好ましくは天然物由来であり、より好ましくは糖アルコールである。
【0029】
本発明の接着性樹脂組成物において、ポリオール(B)のTgは、-10℃以上である。ポリオール(B)のTgが-10℃未満であると、ポリオール(B)がブリードアウト等することにより、接着強度が低下する傾向がある。ポリオール(B)のTgは、-10℃以上、好ましくは-5℃以上、より好ましくは0℃以上、さらに好ましくは5℃以上、さらにより好ましくは15℃以上、特に好ましくは25℃以上である。ポリオール(B)のTgが上記の下限以上であると、ブリードアウト等を抑制でき、接着強度を高めることができる。ポリオール(B)のTgは、好ましくは150℃以下、より好ましくは130℃以下、さらに好ましくは100℃以下、さらにより好ましくは80℃以下、特に好ましくは60℃以下である。ポリオール(B)のTgが上記の上限以下である場合も接着強度を向上しやすい。ポリオール(B)のTgは、示差走査熱量計(DSC)により測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。二種以上のポリオールを組み合わせて使用する場合のTgは、使用したポリオール混合物のTgを測定し、得られたTgをポリオール(B)のTgとする。
【0030】
Tgが-10℃以上のポリオール(B)としては、例えばマルチトール、ソルビトール、トレハロース、ラクチトール、ガラクチトールなどが挙げられる。接着強度及び耐熱性を高めやすい観点から、ポリオール(B)は、マルチトール、ソルビトール、及びトレハロースからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、マルチトール及びソルビトールからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましくマルチトールであることがさらに好ましい。なお、これらのポリオールは、Tgが-10℃以上であれば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドが付加したポリオール誘導体であってもよい。
【0031】
ポリオール(B)の含有量は、生分解性ポリエステル系樹脂(A)100質量部を基準に、3~24質量部である。ポリオール(B)の含有量が3質量部未満24質量部超であると、接着強度が低下する傾向がある。ポリオール(B)の含有量は、生分解性ポリエステル(A)100質量部に対して、3質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは6質量部以上であり、8質量部以上又は9質量部以上であってもよい。ポリオール(B)の含有量が上記の下限以上であると、PVA系樹脂層に対する接着力を高めることができる。ポリオール(B)の含有量は、生分解性ポリエステル(A)100質量部に対して、24質量部以下、好ましくは22質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは18質量部以下であり、16質量部以下、14質量部以下、又は12質量部以下であってもよい。ポリオール(B)の含有量が上記の上限以下であると、接着性樹脂組成物自体の靭性や強度が高まりやすく、接着強度を向上できる。
【0032】
[スターチ又は変性スターチ(C)]
本発明の接着性樹脂組成物は、スターチ又は変性スターチ(C)を含むことができる。すなわち、本発明の接着性樹脂組成物は、スターチ又は変性スターチ(C)を含んでいても含んでいなくてもよい。
【0033】
スターチとしては、例えば、キャッサバ、トウモロコシ、馬鈴薯、甘藷、サゴ、タピオカ、モロコシ、豆、ワラビ、ハス、ヒシ、小麦、コメ、オート麦、クズウコン、エンドウ等に由来するスターチが挙げられる。中でもトウモロコシ、キャッサバに由来するスターチが好ましく、トウモロコシに由来するスターチがさらに好ましい。スターチは単独又は二種以上を組み合わせて使用できる。
【0034】
変性スターチは、例えばエーテル化スターチ、エステル化スターチ、カチオン化スターチ、架橋スターチ及びアミド化スターチからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。
【0035】
エーテル化スターチとしては、例えばメチルエーテル化スターチ等のアルキルエーテル化スターチ;例えばカルボキシメチルエーテル化スターチ等のカルボキシアルキルエーテル化スターチ;例えば炭素原子数2~6のヒドロキシアルキル基を有するエーテル化スターチ等のヒドロキシアルキルエーテル化スターチなどが挙げられる。また、エーテル化スターチの他の例としては、臭化セチル、臭化ラウリル、エポキシ化大豆脂肪アルコール、エポキシ化亜麻仁脂肪アルコール;アリルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、デカングリシジルエーテル、ラウリルフェニルグリシジルエーテル、ミリストイルグリシジルエーテル、セチルグリシジルエーテル、パルミチルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、リノリルグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルに由来する構造単位を有するエーテル化スターチ(該グリシジルエーテルをエーテル化により結合させたスターチ);アリルエーテル化スターチなどが挙げられる。前記ヒドロキシアルキルエーテル化スターチとしては、ヒドロキシエチルエーテル化スターチ、ヒドロキシプロピルエーテル化スターチ、ヒドロキシブチルエーテル化スターチ等が好ましく、例えばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキシドとスターチとの反応により得られるものであってよい。変性に用いられるヒドロキシ基の平均数は、スターチ中の1グルコースユニット当たり好ましくは0.05~2である。前記グリシジルエーテル由来の構造単位を有するエーテル化スターチとしては、炭素原子数2~24のグリシジルエーテル由来の構造単位を有するエーテル化スターチが好ましく、炭素原子数6~24のグリシジルエーテル由来の構造単位を有するエーテル化スターチがより好ましい。
【0036】
エステル化スターチとしては、例えば酢酸由来の構造単位を有するエステル化スターチ等のカルボン酸由来の構造単位を有するエステル化スターチ;例えばマレイン酸無水物、フタル酸無水物、コハク酸無水物等のジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ;例えばオクタン酸酢酸無水物、デカン酸酢酸無水物、ラウリン酸酢酸無水物、ミリスチン酸酢酸無水物等のアルカン酸カルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ;オクテニルコハク酸無水物、ノニルコハク酸無水物、デシルコハク酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、オクテニルマレイン酸無水物、ノニルマレイン酸無水物、デシルマレイン酸無水物、ドデセニルマレイン酸無水物等のアルキル又はアルケニルジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ;例えば硝酸エステル化スターチ、リン酸エステル化スターチ、尿素リン酸エステル化スターチ等のオキソ酸由来の構造単位を有するエステル化スターチ;キサントゲン酸エステル化スターチ;アセト酢酸エステル化スターチなどが挙げられる。前記カルボン酸、前記ジカルボン酸無水物、前記アルキル又はアルケニルジカルボン酸の炭素原子数は、例えば2~24であってよく、2~6又は7~24であってもよい。また、アルキル又はアルケニルジカルボン酸無水物としては、オクテニルコハク酸無水物又はオクテニルマレイン酸無水物が好ましい。
【0037】
カチオン化スターチとしては、スターチと2-ジエチルアミノエチルクロライドとの反応物、スターチと2,3-エポキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドとの反応物等が挙げられる。
【0038】
架橋スターチとしては、ホルムアルデヒド架橋スターチ、エピクロルヒドリン架橋スターチ、リン酸架橋スターチ、アクロレイン架橋スターチ等が挙げられる。
【0039】
アミド化スターチとしては、n-ドデシルアミン、n-ヘキサデシルアミン、n-オクタデシルアミン、ココアミン、タローアミン、水素添加N-タロー-1,3-ジアミノプロパン、N-水素化タロー-1,3-ジアミノプロパン、N-オレイル-1,3-ジアミノプロパン等の脂肪族アミンをアミド化により結合させたスターチが挙げられる。
【0040】
スターチ又は変性スターチ(C)は、スターチ又は変性スターチ(C)中の含水率が好ましくは5~15質量%であってもよい。
【0041】
スターチ又は変性スターチ(C)としては、接着強度及び耐熱性を高めやすい観点から、上記の変性スターチが好ましく、ヒドロキシアルキルエーテル化スターチ(好ましくは炭素原子数2~6のヒドロキシアルキル基を有するエーテル化スターチ)、グリシジルエーテル由来の構造単位を有するエーテル化スターチ(好ましくは炭素原子数6~24のグリシジルエーテルに由来する構造単位を有するエーテル化スターチ)、ジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ(好ましくは炭素原子数2~6のジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ)、及び、アルキル又はアルケニルジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ(好ましくは炭素原子数6~24のアルキル又はアルケニルジカルボン酸無水物由来の構造単位を有するエステル化スターチ)からなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましい。これらの変性スターチは単独又は二種以上組み合わせて使用できる。なお、本明細書において、「スターチ」の前に記載された炭素原子数は、スターチ中の1つの水酸基に置換した基(スターチ中の1つの水酸基を変性して形成された基)の炭素原子数を表す。例えば炭素原子数2~5のヒドロキシアルキル基を有するエーテル化スターチは、該スターチ中の1つの水酸基を変性して形成されたヒドロキシアルキル基の炭素原子数が2~5であることを示す。
【0042】
本発明の一実施形態において、スターチ又は変性スターチ(C)は、平均アミロース含有量が、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは0.8質量%以上であってもよく、好ましくは90質量%以下、より好ましくは70質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下、さらにより好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下であってもよい。平均アミロース含有量が上記の範囲内であると、スターチ又は変性スターチ(C)及び接着性樹脂組成物自体の熱成形性及び接着性を高めやすい。アミロース含有量は、例えば「Starch 50 No.4 158-163(1998)」に記載のヨウ素呈色法により測定できる。なお、平均アミロース含有量は、スターチ又は変性スターチが1種類の場合は、該1種類のスターチ又は変性スターチのアミロース含有量を示し、スターチ又は変性スターチを2種類以上使用する場合は、2種以上のスターチ又は変性スターチのアミロース含有量を加重平均したものである。また、スターチ又は変性スターチ(C)は、市販されているものを用いてよい。
【0043】
本発明の一実施形態において、スターチ又は変性スターチ(C)の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは5,000以上、より好ましくは10,000以上、さらに好ましくは20,000以上であってもよく、好ましくは800,000以下、より好ましくは600,000以下、さらに好ましくは400,000以下、さらにより好ましくは200,000以下であってもよい。スターチ又は変性スターチ(C)のMwが上記の範囲内であると、スターチ又は変性スターチ(C)及び接着性樹脂組成物自体の熱成形性及び接着性を高めやすい。スターチ又は変性スターチ(C)のMwは、例えばGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)を用いて測定できる。
【0044】
スターチ又は変性スターチ(C)の含有量は、生分解性ポリエステル系樹脂(A)100質量部を基準に0~40質量部である。スターチ又は変性スターチ(C)の含有量が40質量部超であると、接着強度及び耐熱性が低下する傾向がある。本発明の一実施形態では、スターチ又は変性スターチ(C)の含有量は、40質量部以下、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、さらにより好ましくは10質量部以下、特に好ましくは5質量部以下、特により好ましくは3質量部以下、特にさらに好ましくは1質量部以下である。スターチ又は変性スターチ(C)の含有量が上記の上限以下であると、組成物自体の靭性の低下を抑制しやすく、高い接着強度を発現できるとともに、耐熱性の低下を抑制できる。また、本発明の好適な実施形態では、本発明の接着性樹脂組成物は、スターチ又は変性スターチ(C)を含まない。スターチ又は変性スターチ(C)を含まない場合、優れた接着強度及び耐熱性を発現しやすい。
本発明の別の実施形態では、スターチ又は変性スターチ(C)の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、好ましくは35質量%以下である。スターチ又は変性スターチ(C)の含有量が上記の範囲であると、生分解性、接着強度及び耐熱性の観点から有利である。
【0045】
本発明の接着性樹脂組成物において、ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量は、生分解性ポリエステル(A)100質量部を基準に44質量部以下である。前記合計量が44質量部を超えると、接着強度及び耐熱性が低下する傾向がある。ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量は、44質量部以下、好ましくは43質量部以下、より好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは35質量部以下、さらにより好ましくは30質量部以下、特に好ましくは25質量部以下、特により好ましくは20質量部以下、特にさらに好ましくは15質量部以下である。ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量が上記の上限以下であると、組成物自体の靭性の低下を抑制しやすく、高い接着強度を発現できるとともに、耐熱性の低下を抑制できる。ポリオール(B)とスターチ又は変性スターチ(C)との合計量は、生分解性ポリエステル(A)100質量部を基準に、好ましくは3質量部以上、より好ましくは4質量部以上、さらに好ましくは5質量部以上である。前記合計量が上記の下限以上であると、接着強度を高めやすい。
【0046】
<接着性樹脂組成物>
本発明の接着性樹脂組成物は、生分解性ポリエステル系樹脂(A)100質量部を基準に、ポリオール(B)を3~24質量部、及び、スターチ又は変性スターチ(C)を0~40質量部含み、成分(B)と成分(C)との合計量が44質量部以下であり、生分解性ポリエステル(A)の破断伸びが50%以上であり、ポリオール(B)のTgが-10℃以上であるため、耐熱性に優れ、高温下であっても(例えば製造時又は成形時等に高温下に曝露しても)着色を抑制又は防止できるとともに、ポリビニルアルコール系樹脂層と生分解性樹脂層の両方に対する接着強度に優れている。したがって、本発明の接着性樹脂組成物は、食品等の包装材料として好適に使用できる。さらに、本発明の一実施形態では、本発明の接着性樹脂組成物は、熱成形性にも優れ、得られる積層体を容易に所定形状に成形できる。
【0047】
本発明の一実施形態では、本発明の接着性樹脂組成物に含まれる成分(A)~(C)の合計量は、接着強度及び耐熱性を高めやすい観点から、接着性樹脂組成物の質量を基準に、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、さらにより好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上、特により好ましくは95質量%以上であってもよく、例えば97質量%以上又は99質量%以上であってもよい。また、本発明の接着性樹脂組成物は、生分解性ポリエステル(A)、ポリオール(B)、及び、スターチ又は変性スターチ(C)からなるものであってもよい。
【0048】
本発明の一実施形態において、本発明の接着性樹脂組成物のPVA系樹脂層に対する接着強度は、好ましくは5N/25mm以上、より好ましくは10N/25mm以上、さらに好ましくは15N/25mm以上、さらにより好ましくは20N/25mm以上、特に好ましくは30N/25mm以上、特により好ましくは40N/25mm以上、特にさらに好ましくは50N/25mm以上である。前記接着強度が上記の下限以上であると、得られる積層体の強度を向上しやすい。PVA系樹脂層に対する接着強度は、通常200N/25mm以下である。PVA系樹脂に対する接着強度は、接着性樹脂組成物からなる接着層とPVA樹脂層とを含む多層シートにおける接着層とPVA樹脂層との間の剥離強度を示す。該剥離強度は、JIS K 6854-2に準じて、ピール試験機を用いて、剥離角度180°、引張速度100mm/分、及び環境温度23℃の条件で測定できる。PVA系樹脂に対する接着強度は、例えば実施例に記載の方法により求めることができる。
【0049】
本発明の一実施形態において、本発明の接着性樹脂組成物の生分解性樹脂層に対する接着強度は、好ましくは5N/25mm以上、より好ましくは15N/25mm以上、さらに好ましくは25N/25mm以上、さらにより好ましくは30N/25mm以上、特に好ましくは40N/25mm以上、特により好ましくは50N/25mm以上、特にさらに好ましくは60N/25mm以上である。前記接着強度が上記の下限以上であると、得られる積層体の強度を向上しやすい。生分解性樹脂層に対する接着強度は、通常200N/25mm以下である。生分解性樹脂層に対する接着強度は、接着性樹脂組成物からなる接着層と生分解性樹脂層とを含む多層シートにおける接着層と生分解性樹脂層との間の剥離強度を示す。該剥離強度は、JIS K 6854-2に準じて、ピール試験機を用いて、剥離角度180°、引張速度100mm/分、及び環境温度23℃の条件で測定できる。生分解性樹脂層に対する接着強度は、例えば実施例に記載の方法により求めることができる。
【0050】
本発明の接着性樹脂組成物は、接着性樹脂組成物中の生分解性ポリエステル系樹脂(A)の破断伸びが50%を下回らない範囲で、成分(A)以外の破断伸びが50%未満の生分解性ポリエステルを含んでもよい。
【0051】
前記破断伸びが50%未満の生分解性ポリエステルとしては、例えばPHA等が挙げられる。PHAは、ヒドロキシアルカン酸をモノマー単位とする重合体である。より詳細には、ポリグリコール酸、ポリ乳酸(PLAと略記することがある)、ポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)(P3HAと略記する)、ポリ(4-ヒドロキシアルカノエート)などが挙げられる。
【0052】
P3HAは、3-ヒドロキシアルカン酸を主にモノマー単位とする重合体である。3-ヒドロキシアルカン酸としては、例えば、3-ヒドロキシブチレート、3-ヒドロキシプロピオネート、3-ヒドロキシバレレート、3-ヒドロキシヘキサノエート、3-ヒドロキシヘプタノエート、3-ヒドロキシオクタノエートなどが挙げられる。P3HAは、単独重合体であっても、二種以上のモノマー単位を含む共重合体であってもよい。また、P3HAが共重合体の場合には、2種以上の3-ヒドロキシアルカン酸を共重合させたものであってもよいし、1種又は2種以上の3-ヒドロキシアルカン酸に、4-ヒドロキシブチレート等の4-ヒドロキシアルカン酸を共重合させたものであってもよい。
【0053】
P3HAの具体例としては、ポリ(3-ヒドロキシブチレート)単独重合体(PHBと略記する)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシヘキサノエート)(PHBHと略記する)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)(PHBVと略記する)、ポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)(3HB4HBと略記する)などが挙げられる。
【0054】
破断伸びが50%未満の生分解性ポリエステルは、接着性樹脂組成物中の生分解性ポリエステル系樹脂(A)の破断伸びが50%を下回らない範囲で添加するのであれば、特に限定されないが、接着性樹脂組成物の質量に対して、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、好ましくは0質量%以上、例えば0.1質量%又は1質量%以上であってもよい。
【0055】
本発明の接着性樹脂組成物は、接着性樹脂組成物中のポリオール(B)のTgが-10℃を下回らない範囲で、成分(B)以外のTgが-10℃未満又はTgが観測されないポリオールを含んでもよい。
【0056】
Tgが-10℃未満又はTgが観測されないポリオールとしては、グリセロール、キシリトール、マンニトール、エリスリトール,ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどが挙げられる。
【0057】
Tgが-10℃未満又はTgが観測されないポリオールは、接着性樹脂組成物中のポリオール(B)のTgが-10℃を下回らない範囲で添加するのであれば、特に限定されないが、接着性樹脂組成物の質量に対して、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、好ましくは0質量%以上、例えば0.1質量%又は1質量%以上であってもよい。
【0058】
本発明の接着性樹脂組成物は、本発明の目的や効果を損なわない範囲で、成分(A)、成分(B)及び成分(C)以外の添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば充填剤、加工安定剤、耐候安定剤、着色剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、潤滑剤、香料、発泡剤、消臭剤、増量剤、剥離剤、離型剤、補強材、防かび剤、防腐剤、結晶化速度遅延剤、生分解性ポリエステル系樹脂以外の他の樹脂などが挙げられる。これらの添加剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0059】
充填剤は、好ましくは硬度や剛度を高めやすく、ブロッキングを防止しやすいなどの観点から添加し得る。充填剤としては、雲母類、カオリン、カオリナイト、クレー、タルク、酸性白土、シリカ、アルミナ、珪草土、ベントナイト、モンモリロナイト、木節粘土、蛙目粘土、ロウ石、ミョウバン石、陶土、長石、石綿、パーライト、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、バーミキュライト、酸化チタン、マイカ、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、シラス、ガラス、ガラス繊維などの無機充填剤、尿素-ホルマリン系樹脂、メラミン-ホルマリン系樹脂などの有機充填剤が挙げられる。充填剤は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0060】
他の樹脂としては、例えば、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート系樹脂等の(メタ)アクリレート系樹脂などが挙げられる。他の樹脂は単独又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0061】
添加剤の含有量は、本発明の目的や効果を損なわない範囲で添加するのであれば、特に限定されないが、接着性樹脂組成物の質量に対して、例えば20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、好ましくは0質量%以上、例えば0.1質量%又は1質量%以上であってもよい。
【0062】
本発明の接着性樹脂組成物の形態は、特に限定されず、ペレット、シート、又はフィルムであってもよい。すなわち、接着性樹脂組成物を含んでなる又はからなるペレット、シート又はフィルムであってもよい。該シート又はフィルムの厚みは、用途に応じて適宜選択でき、好ましくは5~1000μm、より好ましくは10~500μmである。該フィルム又はシートの厚みは、厚み計により測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。また、本発明の接着性樹脂組成物は、溶媒を含んでいてもよく、溶液又は分散液の形態であってもよく、溶媒としては、組成物中の成分が溶解又は分散可能な公知の溶媒を用いることができる。
【0063】
本発明の接着性樹脂組成物の製造方法は、特に限定されないが、例えば、生分解性ポリエステル系樹脂(A)、ポリオール(B)、並びに、任意にスターチ又は変性スターチ(C)及び添加剤等を混合する方法であってもよい。混合は、慣用の混合機、好ましくは溶融混練機を好適に使用できる。混合又は混練する際の温度は、好ましくは40℃以上、より好ましくは80℃以上、さらに好ましくは100℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下である。また、混練機の回転速度は、好ましくは20rpm以上、より好ましくは40rpm以上であり、通常1000ppm以下、好ましくは500rpm以下である。また、これらの各成分をミキサー等用いて予備混合したものを溶融混練機中へ導入してもよい。
【0064】
本発明の一実施形態では、押出機を用いて溶融混練して接着性樹脂組成物を得ることができる。押出機としては、好ましくは二軸スクリュー押出機を用いることができる。二軸スクリュー押出機は、共回転又は逆回転のいずれであってもよい。スクリューの回転速度は、上記の混練機の回転速度と同様の範囲から選択できる。シリンダー温度は、上記の混合又は混練する際の温度の範囲から選択できる。各成分はそれぞれ直接、押出機中へ導入することができる。
【0065】
溶融混練されながら押出機中を押し進められてきた溶融した混合物は、ダイから押出される。ダイの温度は好ましくは100~200℃、より好ましくは100~150℃であってよい。また、吐出速度は、好ましくは1~10kg/h、より好ましくは2~5kg/hである。
【0066】
押出された混合物(溶融物)をシート状、フィルム状又はストランド状に押し出すことができる。この際、混合物(溶融物)は冷却及び乾燥を行う。
【0067】
混合物をストランド状に押出す場合、複数穴のストランドノズルから押出し、回転カッターで切断することでストランドをペレット形状にできる。ペレットの膠着を防ぐために、振動を定期的もしくは定常的に与え、熱風、脱湿空気又は赤外線ヒーターによりペレット中の水分を除去することができる。
【0068】
混合物をシート状又はフィルム状に押出す場合、混合物はフィルム成形用ダイから押出し、次いで引取りローラーで巻取りながら冷却及び乾燥することができる。ダイ及びローラーの間では、混合物がローラーに付着するのを防ぐように冷却するのが好ましい。なお、本発明の接着性樹脂組成物の溶液又は分散液を慣用の製膜法(例えばキャスト成膜等)により製膜してシート又はフィルムの形態にしてもよい。
【0069】
接着性樹脂組成物(例えばペレット状の接着性樹脂組成物等)を押出成形、圧縮成形又はプレス成形等の慣用の方法により、シート状又はフィルム状に形成してもよい。
【0070】
[積層体]
本発明は、本発明の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層を含む積層体を包含する。本発明の積層体は、本発明の接着層を1層又は2層以上含んでいてもよく、2層以上含む場合、各接着層の組成は同じであっても異なっていてもよい。接着層の形態は特に限定されず、例えばフィルム状又はシート状であってもよい。該積層体は、本発明の接着層以外の他の層を含むことができる。他の層としては、例えば、樹脂層、紙、他の接着層などが挙げられる。なお、該樹脂層は、接着層とは異なる組成の樹脂層である。
【0071】
樹脂層を構成する樹脂としては、特に限定されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂;ポリプロピレン(PP)[好ましくは二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)]、ポリエチレン(PE)[好ましくは低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)]等のポリオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体;ポリビニルアルコール、エチレン・α-オレフィン共重合体等のポリビニルアルコール系樹脂;生分解性ポリエステル系樹脂等の生分解性樹脂;及びこれらを無水マレイン酸等の変性剤で変性した樹脂;などが挙げられる。樹脂層は単独又は2種以上組み合わせて使用できる。
本発明の積層体における接着層は、上記接着性樹脂組成物を含んでなるため、生分解性樹脂層とポリビニルアルコール系樹脂層の両方に対して優れた接着強度を発現できる。そのため、本発明の積層体は樹脂層として生分解性樹脂層及び/又はポリビニルアルコール系樹脂層を含むことが好ましく、生分解性樹脂層及びポリビニルアルコール系樹脂層を含むことがより好ましい。さらに本発明の積層体は、接着層を含むことにより、耐熱性、生分解性及びガスバリア性を向上できる。
【0072】
前記生分解性樹脂層は、主成分として生分解性樹脂を含んでいれば、特に限定されず、その例としては、上記の<生分解性ポリエステル系樹脂(A)>の項に記載の生分解性ポリエステル系樹脂の他、カゼイン、変性スターチ、セルロースアセテート、PLA、PHB、PHBV、3HB4HB、及びPHBHなどが挙げられ、これらの中でも、接着層との接着強度及び生分解性を高めやすい観点から、生分解性樹脂は、前記生分解性ポリエステル系樹脂(A)、PLA、PHB、PHBV、3HB4HB、及びPHBHからなる群から選択される少なくとも1つであることが好ましく、PLA、PHB、PHBV、3HB4HB、PHBH、PBAT、PBS及びPCLからなる群から選択される少なくとも1つであることがより好ましい。
【0073】
前記PVA系樹脂層は、主成分としてPVA系樹脂を含んでいれば、特に限定されない。PVA系樹脂は、ビニルエステル重合体又は共重合体(これらを総称してビニルアルコール系重合体と称する)を含む樹脂である。該ビニルアルコール系重合体は、ビニルアルコール単位を単量体単位として含む重合体である。ビニルアルコール系重合体は、その原料モノマーであるビニルエステル単量体を重合してなるビニルエステル系重合体をけん化することで得られ、けん化後のビニルアルコール系重合体はビニルアルコール単位の他にビニルエステル単位を含み得る。ビニルアルコール系重合体は、その原料モノマーであるビニルエステル単量体と、他の単量体とを共重合させてなる共重合体をけん化して、ビニルアルコール単位及びビニルエステル単位以外の他の単量体単位を含む変性ビニルアルコール系共重合体であってもよい。ビニルアルコール系重合体の原料モノマーとして用いられるビニルエステル単量体としては、特に限定されず、例えば酢酸ビニル等が挙げられる。また、他の単量体としては、特に限定されず、例えばエチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブチレン等のα-オレフィン等が挙げられる。PVA系樹脂は、ビニルアルコール系重合体として、無変性のビニルアルコール重合体、及びα-オレフィン-ビニルアルコール共重合体からなる群から選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、無変性のビニルアルコール重合体を含むことがより好ましい。
【0074】
また、本発明の一実施形態では、PVA系樹脂層は、PVA系樹脂の他、例えばポリオール(例えばトレハロース等)の可塑剤を含み得る。
なお、本明細書において、「主成分」は、層の質量に対して50質量%超含まれる成分を意味し、その量は、例えば55質量%以上、70質量%以上、又は90質量%以上であってもよい。
【0075】
紙としては、特に限定されず、例えばクラフト紙、両晒クラフト紙、上質紙、模造紙、グラシン紙、パーチメント紙、合成紙、白板紙、マニラボール、ミルクカートン原紙、カップ原紙、アイボリー紙、白銀紙などが挙げられる。
【0076】
本発明の積層体としては、生分解性樹脂層/接着層をこの順に含む積層体;PVA系樹脂層/接着層をこの順に含む積層体;生分解性樹脂層/接着層/PVA系樹脂層をこの順に含む積層体などが挙げられる。これらの中でも、本発明の積層体は、生分解性樹脂層/接着層/PVA系樹脂層をこの順に含む積層体(積層体Aと称することがある)が好ましい。これらの積層体は、各層の間や外側に、生分解性樹脂層及びPVA系樹脂層以外の他の層を含んでいてもよいが、各層の間には該他の層を含まないこと、すなわち、各層は隣接していることが好ましい。例えば、積層体Aは、生分解性樹脂層、接着層及びPVA系樹脂がこの順に隣接して(すなわち、接するように)配置されていることが好ましい。積層体Aは、生分解性樹脂層と接着層、接着層とPVA系樹脂層との接着強度、耐熱性、及び生分解性に優れている。
【0077】
本発明の積層体中の接着層の厚さは、積層体の種類に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらにより好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。接着層の厚さが上記の範囲内であると、接着強度、耐熱性、生分解性、及びガスバリア性を高めやすい。上記の接着層の厚さは、積層体中に接着層が2層以上含まれる場合は1層の厚さを示す。
【0078】
本発明の積層体中の前記他の層の厚さは、積層体の種類に応じて適宜選択でき、特に限定されないが、好ましくは10~3000μm、より好ましくは15~1000μm、さらに好ましくは20~500μmである。他の層の厚さが上記の範囲内であると、接着強度、耐熱性、生分解性及びガスバリア性を高めやすい。上記の他の層の厚さは、積層体中に他の層が2層以上含まれる場合は1層の厚さを示す。
【0079】
本発明の積層体の厚さは、特に限定されないが、好ましくは20μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは100μm以上、さらにより好ましくは200μm以上、特に好ましくは300μm以上であり、好ましくは5000μm以下、より好ましくは3000μm以下、さらに好ましくは1000μm以下である。積層体の厚さが上記の範囲内であると、積層体の強度、耐熱性、生分解性及びガスバリア性を高めやすい。
【0080】
本発明の一実施形態では、本発明の積層体A中の接着層の厚さは、上述の接着層の厚さと同じである。また、積層体A中の生分解性樹脂層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上、さらに好ましくは200μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下である。さらに、積層体A中のPVA系樹脂層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは200μm以下、さらにより好ましくは100μm以下、特に好ましくは50μm以下である。各層の厚さが上記の範囲内であると、接着強度、耐熱性、生分解性及びガスバリア性を高めやすい。上記の積層体A中の各層(生分解性樹脂層、接着層及びPVA系樹脂層)の厚さは、積層体A中に同じ層が2層以上ある場合は1層の厚さを示す。上記の各層の厚さ及び積層体の厚さは、厚み計を用いて測定でき、例えば実施例に記載の方法により測定できる。
【0081】
本発明の積層体Aの具体的な層構成としては、以下のものが例示できる。
生分解性樹脂層/接着層/PVA系樹脂層;生分解性樹脂層/接着層/PVA系樹脂層/接着層/生分解性樹脂層;生分解性樹脂層/リグラインド層/接着層/PVA系樹脂層/接着層/リグラインド層/生分解性樹脂層;生分解性樹脂層/接着層/PVA系樹脂層/接着層/紙。
【0082】
本発明の積層体は、樹脂層等の他の層と接着層とを共押出成形法(共押出ラミネート法、共押出シート成形法、共押出インフレーション成形法、共押出ブロー成形法等)、共射出成形法、押出ラミネート法、ドライラミネート法などの慣用の方法により、積層することで製造できる。例えば、他の層と接着層とを共押出又はラミネートする方法;他の層に接着性樹脂組成物を製膜する方法であってもよい。ラミネートする際には、接着性樹脂組成物を、他の層の表面に塗布したり、他の層の表面に押出コーティングしてもよい。
【0083】
本発明の好適な実施形態である積層体Aの製造方法としては、特に限定されないが、ペレット状の接着性樹脂組成物、生分解性樹脂層を形成するペレット状の生分解性樹脂(又は生分解性樹脂組成物)、及び、PVA系樹脂層を形成するペレット状のPVA系樹脂(又はPVA系樹脂組成物)を共押出機により共押出する方法が好ましい。より詳細には、各押出機のホッパーに各樹脂(又は各樹脂組成物)を導入して溶融混練し、フィードブロックダイにより、共押出することができる。各押出機のシリンダー温度は、樹脂(又は樹脂組成物)の溶融温度に応じて適宜選択すればよい。限定されないが、例えば接着層用の押出機のシリンダー温度は、例えば120~300℃、好ましくは150~250℃であってよく、生分解性樹脂層用の押出機のシリンダー温度は、例えば150~300℃、好ましくは180~250℃であってよく、PVA系樹脂層用の押出機のシリンダー温度は、例えば150~300℃、好ましくは190~260℃であってよい。
【0084】
本発明の一実施形態において、本発明の積層体は耐熱性にも優れ、例えば、製造時又は成形時の高温下における着色を抑制又は防止できる。本発明の積層体は熱成形性にも優れ、所定の形状に容易に成形できる。好ましい実施形態では熱成形してもシワ等を生じることもない。そのため、本発明の積層体は外観性に優れている。成形方法は好ましくは溶融成形であり、溶融成形方法としては、特に限定されないが、例えば、押出成形法、射出成形法、Tダイからの押出製膜法、インフレーション製膜法、圧縮成形法、トランスファー成形法、強化プラスチック成形法、中空成形法、プレス成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、発泡成形法、真空成形法、圧空成形法などが挙げられる。所望により共押出成形法、ラミネート成形法、などの方法によって他の熱可塑性樹脂を積層することもできる。これらの方法により、フィルム、シート、チューブ、ボトル、カプセル、不織布、繊維などの任意形状の成形体が得られる。本発明の一実施形態では、真空成形法により成形する場合、積層体を加熱した後に真空成形機により所望の形状に成形できる。成形温度は、限定されず、積層体の種類に応じて適宜選択でき、好ましくは100℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは150℃以上であり、好ましくは300℃以下、より好ましくは200℃以下である。このような成形温度である場合、熱成形性に優れた成形体を形成しやすい。
【0085】
[食品包装材]
本発明の接着性樹脂組成物及び積層体の用途は特に限定されないが、包装材料、特に食品包装材として好適に使用できる。そのため、本発明は、本発明の接着性樹脂組成物を含んでなる接着層、又は、本発明の積層体を含む食品包装材、特にコーヒーカプセルを包含する。本発明の食品包装材は、本発明における接着層又は積層体を含むため、接着強度、耐熱性、熱成形性、生分解性、及びガスバリア性に優れる。食品包装材としては、特に限定されないが、例えば、肉類、生麺、加工食品、紅茶、コーヒー粉、コーヒー豆、漬物等の食品を包装するための容器が挙げられる。また、本発明の好適な実施形態では、食品包装材は、有機性廃棄物用のゴム袋、各種イベントで用いられる容器、紅茶パック、コーヒーカプセル等であってよく、特にコーヒーカプセルとして好適に用いられる。
【実施例0086】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例における各測定方法及び各評価方法を以下に示す。
【0087】
[破断伸び]
生分解性ポリエステル樹脂を熱プレス成型して得られたシートを幅15mm、長さ100mmに切り出し、ISO527-1に準じて破断伸びを測定した。
【0088】
[融点]
各実施例及び比較例で得られた樹脂組成物ペレットのうち、10mgをアルミニウム製パン(TA Instrument社製)に封入し、―30℃から220℃まで10℃/分の速度にて昇温した後、10℃/分の速度にて―30℃まで急冷して、再度―30℃から220℃まで10℃/分の速度にて昇温することでDSC測定を実施した。得られたDSC曲線における2回目の昇温時における融解開始から終了までの温度範囲のピークの頂点温度より融点Tm(℃)を求めた。
【0089】
[MFR]
生分解性ポリエステル樹脂(A)について、JIS K7210:2014に準じて、200℃、2.16kg荷重下でMFRを測定した。
【0090】
[Mw、Mn]
生分解性ポリエステル系樹脂(A)のMw及びMnは、以下に示すGPC分析による相対分子量の分析方法を用いて測定した。
<サンプルの調整>
生分解性ポリエステル系樹脂(A)の約5mgの粉体サンプルを採取して、精秤した。採取したサンプルに、サンプル1mgあたり、1mlの20mMのトリフルオロ酢酸ナトリウムを添加したヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)を加え、40℃で3時間加熱して溶解させた。この溶液を用いて、以下の条件でGPC分析を行った。相対分子量分布曲線の算出は、RI検出器から求められた相対分子量を、分析装置付属の解析ソフトによって換算して行った。分析は同一サンプルについて3回行い、その平均値を分析結果とした。
【0091】
<GPC分析条件>
測定装置:HLC-8320GPC(TOSOH社製)
解析ソフト:Empower(Waters社製)
サンプル濃度:0.1mg/ml
移動相溶媒:20mMトリフルオロ酢酸Naを添加したヘキサフルオロイソプロパノール
注入量:10μl
流速:0.2ml/min
測定温度:40℃
サンプル溶解条件:40℃×3時間
フィルターろ過:0.45μmPTFE製フィルター
カラム:GMMHR-H(S)(TOSOH社製)2本
検出器:装置付属のRI検出器
装置校正用標品:PMMA(Agilent社製)
【0092】
[厚み]
実施例及び比較例における接着性樹脂組成物からなるシート、積層体、及び該積層体中の各層の厚みは、デジタルマイクロメーターにより測定した。
【0093】
[ガラス転移温度(Tg)]
ポリオール(B)のTgは窒素下、昇温速度10℃/分で、DSC測定を行うことで評価した。
【0094】
[接着性樹脂組成物のPVA系樹脂層に対する接着強度]
実施例及び比較例で得られた接着性樹脂組成物のペレットを、圧縮成形機を用いて180℃で5分間予熱した後に、荷重50kgf/cmの条件下で30秒間圧縮成形することで、接着性樹脂組成物からなるフィルム(接着層ともいう)を得た。接着性樹脂組成物からなるフィルム(縦150mm×横150mm×厚さ0.3mm)、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン社製「カプトンフィルム」、縦75mm×横150mm×厚さ0.05mm)、及びポリビニルアルコール樹脂からなるフィルム(PVA樹脂層ともいう)(クラレ社製「モビフレックスC17」、縦150mm×横150mm×厚さ0.5mm)をこの順で重ね、内寸150mm×150mm、厚さ0.8mmの金属製スペーサーの中央部に配置した。この重ねたフィルムと金属製スペーサーをポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、さらに外側から金属板で挟み、圧縮成形機を用いて、180℃、荷重50kgf/cmで30秒間圧縮成形することで、接着層とPVA樹脂層とを含む多層シートを得た。
該多層シートを25mm幅に切断し、接着強度測定用試験片とし、接着層とPVA樹脂層との間の剥離強度をJIS K 6854-2に準じて、ピール試験機(島津製作所社製「AGS-X」)を使用して、剥離角度180°、引張速度100mm/分、環境温度23℃の条件で測定し、これを接着性樹脂組成物のPVA系樹脂層に対する接着強度とした。
【0095】
[接着性樹脂組成物のPLA(ポリ乳酸)樹脂層に対する接着強度]
実施例及び比較例で得られた接着性樹脂組成物のペレットを、熱プレス機((株)神藤金属工業所製「自動プレスSF-37型」)を用いて150℃、荷重100kgf/cmの条件下で30秒圧縮成形することで、接着性樹脂組成物からなるフィルム(接着層ともいう)を得た。接着性樹脂組成物からなるフィルム(縦150mm×横150mm×厚さ0.5mm)、ポリイミドフィルム(UBE株式会社製「ユーピレックス」、縦75mm×横150mm×厚さ0.05mm)、及びPLA樹脂からなるフィルム(PLA樹脂層ともいう)(Nature Works社製「Ingeo 2003D」、縦150mm×横150mm×厚さ0.3mm)をこの順で重ね、内寸150mm×150mm、厚さ0.8mmの金属製スペーサーの中央部に配置した。この重ねたフィルムと金属製スペーサーをポリテトラフルオロエチレン製シートで挟み、さらに外側から金属板で挟み、熱プレス機を用いて、180℃、荷重50kgf/cmで30秒間圧縮成形することで、接着層とPLA樹脂層とを含む多層シートを得た。
該多層シートを25mm幅に切断し、接着強度測定用試験片とし、接着層とPLA樹脂層との間の剥離強度をJIS K 6854-2に準じて、ピール試験機(島津製作所社製「AGS―X」)を使用して、剥離角度180°、引張速度100mm/分、環境温度23℃の条件で測定し、これを接着性樹脂組成物のPLA樹脂層に対する接着強度とした。
【0096】
以下のような指標で各接着強度を評価した。結果を表2に示す。
◎ : 剥離強度が25N/25mm以上
〇 : 剥離強度が5N/25mm以上25N/25mm未満
× : 剥離強度が5N/25mm未満
【0097】
[耐熱性の評価]
キャピラリーレオメーター(CAPIROGRAPH 1C,TOYOSEIKI社製)に円形(直径:1mm)のキャピラリーを取り付け、実施例及び比較例で得られた接着性樹脂組成物を温度:200℃で5分間滞留させた後、ピストンスピード10mm/minで押し出し、得られたストランドの着色を目視で観察し、以下のような指標で耐熱性を評価した。結果を表2に示す。
◎ : 着色なし
〇 : 薄い茶色程度の着色
× : 茶色~黒色に着色
【0098】
[実施例1]
<接着性樹脂組成物>
生分解性ポリエステル(A)として、ポリブチレンアジペートテレフタレート(BASF社製「EcoflexFBlendC1200」、融点:118℃、破断伸び:1102%、MFR:15.8g/10分、Mw:72000、Mn:24500)100質量部、ポリオール(B)として、マルチトール(伊藤忠製糖社製「パリジェンヌ」、Tg:47℃)10.0質量部、及び、変性スターチ(C)(Ingredion社製「Capsul(登録商標)」、オクテニルコハク酸無水物により変性されたトウモロコシスターチ、重量平均分子量32,000、平均アミロース含有量1質量%)15.0質量部をドライブレンドした後、二軸押出機KZW15-45MG(D=15mmφ、L/D=45、(株)テクノベル製)を用いて、下記条件にて溶融混錬した。溶融混練物をストランドノズルから押出した後、得られたストランドを冷却後カットし、接着性樹脂組成物のペレットを得た。
【表1】
スクリュー回転速度:250rpm
運転方式:同方向同回転完全噛合型
【0099】
<積層体>
以下の方法で生分解性樹脂層/接着層/ポリビニルアルコール系樹脂層/接着層/生分解性樹脂層がこの順に積層された3種5層の積層体を作製した。
上記で得られた接着性樹脂組成物のペレットと、ポリビニルアルコール系樹脂組成物(エチレン-ビニルアルコール共重合体(A1)100質量部/トレハロース67質量部を二軸押出機で混練することで得た組成物)のペレットと、ポリ乳酸(Natureworks社製、Ingeo(登録商標)、biopolymer 2003D)のペレットとを、それぞれ単軸押出機(G.M.ENGINEERING社製、VGM25-28EX)のホッパーに投入し、フィードブロックダイを用いて流量5kg/hで共押出し、幅20cmの3種5層の積層体を得た。この時、設定した各シリンダー温度は以下の通りであった。
(シリンダー温度)
接着層:180℃、ポリビニルアルコール系樹脂層:210℃、生分解性樹脂層:220℃
【0100】
得られた積層体の構成は、外側からポリ乳酸層/接着層/ポリビニルアルコール系樹脂層/接着層/ポリ乳酸層=250μm/20μm/30μm/20μm/250μm(厚み)であった。
【0101】
[実施例2~11及び比較例1~5]
接着性樹脂組成物作製時の生分解性ポリエステル系樹脂(A)、ポリオール(B)及び変性スターチ(C)それぞれの種類及び配合量を表2の通りに変更したこと以外は、実施例1と同様に接着性樹脂組成物及び積層体を得た。表2中、PBAT及びマルチトールは実施例1と同一のものを使用し、ソルビトールは、富士フィルム和光純薬社製「D(-)-ソルビトール」、Tg:-4℃であり、トレハロースは、林原社製「トレハ」、Tg:120℃であり、グリセリンは、富士フィルム和光純薬社製「グリセリン」、Tg:-75℃である。また、実施例及び比較例で用いたPBATは、EN13432及びASTM6400に特定される生分解性基準を満たすものである。
【0102】
上記の方法に従って、実施例及び比較例で得られた各接着性樹脂組成物について、PLA樹脂層及びPVA系樹脂層それぞれに対する剥離強度を測定し、接着強度について評価した。また、各接着性樹脂組成物について、耐熱性について評価した。結果を表2に示す。なお、表2中、「凝集破壊」は、剥離試験において、接着性樹脂組成物からなるフィルム(接着層)が剥離前に破壊したものを示す。凝集破壊したフィルム(接着層)は、凝集破壊した時点の強度により接着強度を評価した。括弧内の数値は凝集破壊した時点の強度を示し、※1は凝集破壊した時点の強度が測定できないほど材料が脆いものを指す。
【表2】
【0103】
表2に示されるように、実施例1~11の接着性樹脂組成物は、PVA系樹脂層及びPLA樹脂層の両方に対する接着強度の評価、及び、耐熱性の評価が高いことが確認された。これに対して、比較例1~5の接着性樹脂組成物は、少なくともいずれかの評価が劣ることが確認された。したがって、本発明の接着性樹脂組成物は、耐熱性に優れるとともに、PVA系樹脂層及び生分解性樹脂層の両方に対する接着強度に優れている。