(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090283
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
H01L 33/08 20100101AFI20240627BHJP
【FI】
H01L33/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206072
(22)【出願日】2022-12-22
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【弁理士】
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(72)【発明者】
【氏名】福井 義典
(72)【発明者】
【氏名】北濱 俊
(72)【発明者】
【氏名】井上 芳樹
【テーマコード(参考)】
5F241
【Fターム(参考)】
5F241AA01
5F241CA12
5F241CA22
5F241CA40
5F241CA88
5F241CB11
5F241CB25
(57)【要約】
【課題】発光強度分布が向上された発光素子を提供すること。
【解決手段】発光素子は、第1半導体層と、第1半導体層上に第1方向に沿って配置され、活性層と、活性層上に配置された第2半導体層とを含む複数の発光セルであって、複数の発光セルのうち中央に位置する第1発光セルと、第1発光セルの周囲に位置する複数の第2発光セルと、を含む複数の発光セルと、複数の発光セルに連続して配置され、第1方向において第2発光セルの外側に位置する第1半導体層の上方に配置された第1開口部と、複数の発光セルそれぞれにおける第2半導体層の上方に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁層と、第1絶縁層上に配置され、第1半導体層と第1開口部で電気的に接続される第1電極と、複数の発光セルの第2半導体層上にそれぞれ配置され、第2半導体層と第2開口部で電気的に接続される第2電極と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に第1方向に沿って配置され、活性層と、前記活性層上に配置された第2半導体層とを含む複数の発光セルであって、前記複数の発光セルのうち中央に位置する第1発光セルと、前記第1発光セルの周囲に位置する複数の第2発光セルと、を含む複数の発光セルと、
複数の発光セルに連続して配置され、前記第1方向において前記第2発光セルの外側に位置する前記第1半導体層の上方に配置された第1開口部と、前記複数の発光セルそれぞれにおける前記第2半導体層の上方に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に配置され、前記第1半導体層と前記第1開口部で電気的に接続される第1電極と、
前記複数の発光セルの前記第2半導体層上にそれぞれ配置され、前記第2半導体層と前記第2開口部で電気的に接続される第2電極と、を備える発光素子。
【請求項2】
上面視において、前記第1開口部は、前記複数の発光セルを囲むように配置される請求項1に記載の発光素子。
【請求項3】
上面視において、前記第2発光セルに配置された前記複数の第2開口部は、前記第1発光セル側に偏って配置されている請求項2に記載の発光素子。
【請求項4】
上面視において、前記第1電極は、前記複数の発光セルの外周部を連続して覆っている請求項1に記載の発光素子。
【請求項5】
前記複数の発光セルは、前記第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とに沿って行列状に配列され、
前記第1方向において、前記第2発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離は、前記第1発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離よりも小さい請求項1に記載の発光素子。
【請求項6】
前記第2方向において、前記第2発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離は、前記第1発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離よりも小さい請求項5に記載の発光素子。
【請求項7】
1つの前記第2発光セルに配置された第2開口部の数は、1つの前記第1発光セルに配置された第2開口部の数よりも少ない請求項1から6のいずれか1つに記載の発光素子。
【請求項8】
前記第1発光セルは1つである請求項1から6のいずれか1つに記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、キャリア上に設けた複数のピクセルを個別に駆動させる表示装置が開示されている。このような表示装置を駆動させる場合に、所望の発光強度分布を得ることが難しいことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、所望の発光強度分布を得られる発光素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る発光素子は、第1半導体層と、前記第1半導体層上に第1方向に沿って配置され、活性層と、前記活性層上に配置された第2半導体層とを含む複数の発光セルであって、前記複数の発光セルのうち中央に位置する第1発光セルと、前記第1発光セルの周囲に位置する複数の第2発光セルと、を含む複数の発光セルと、複数の発光セルに連続して配置され、前記第1方向において前記第2発光セルの外側に位置する前記第1半導体層の上方に配置された第1開口部と、前記複数の発光セルそれぞれにおける前記第2半導体層の上方に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁層と、前記第1絶縁層上に配置され、前記第1半導体層と前記第1開口部で電気的に接続される第1電極と、前記複数の発光セルの前記第2半導体層上にそれぞれ配置され、前記第2半導体層と前記第2開口部で電気的に接続される第2電極と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、所望の発光強度分布を得られる発光素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態に係る発光素子を模式的に示す上面図である。
【
図2】
図1のII-II線における第1実施形態に係る発光素子を模式的に示す断面図である。
【
図3】第2実施形態に係る発光素子を模式的に示す上面図である。
【
図4】第3実施形態に係る発光素子を模式的に示す上面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る発光素子及び発光装置について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面が示す部材のサイズや位置関係などは、説明を明確にするため誇張していることがある。また、平面図と対応する断面図とで、各部材の寸法や配置が厳密には一致しないことがある。図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略したり、断面図として切断面のみを示す端面図を用いたりする場合がある。更に以下の説明において、上下は相対的なものであり、絶対的な方向を示すものではない。そして、同一の名称、符号については、原則として同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する場合がある。また、実施形態について、「被覆」や「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して被覆する場合も含む。
【0009】
<第1実施形態>
第1実施形態に係る発光素子10Aについて、
図1、
図2を参照して説明する。
図1は、本実施形態の発光素子10Aの構成を示す模式上面図である。
図2は、
図1のII-II線における発光素子10Aの構成を示す模式断面図である。
【0010】
図2に示すように、発光素子10Aは、第1半導体層21と、第1半導体層21上に第1方向D1に沿って配置され、活性層23と、活性層23上に配置された第2半導体層22とを含む複数の発光セル30であって、複数の発光セル30のうち中央に位置する第1発光セル31と、第1発光セル31の周囲に位置する複数の第2発光セルと、を含む複数の発光セル30と、複数の発光セル30に連続して配置され、第1方向D1において第2発光セルの外側に位置する第1半導体層21の上方に配置された第1開口部60Aと、複数の発光セル30それぞれにおける第2半導体層22の上方に配置された複数の第2開口部60Bと、を有する第1絶縁層60と、第1絶縁層60上に配置され、第1半導体層21と第1開口部60Aで電気的に接続される第1電極41と、複数の発光セル30の第2半導体層22上にそれぞれ配置され、第2半導体層22と第2開口部60Bで電気的に接続される第2電極42と、を備える。
【0011】
図1、
図2に示すように、発光素子10Aは、基板11と、基板11上に配置された第1半導体層21と、第1半導体層21上に配置された複数の発光セル30とを有する。複数の発光セル30は、活性層23と、活性層23上に配置された第2半導体層22とをそれぞれ含む。活性層23は、第1半導体層21と第2半導体層22との間に位置している。第1半導体層21は、例えば、n型不純物を含む半導体層を有する。第2半導体層22は、例えば、p型不純物を含む半導体層を有する。
【0012】
第1半導体層21の上面は、複数の発光セル30が配置された第1領域R1と、第1領域R1と第1方向D1において隣接する第2領域R2を有している。第1半導体層21には、第1電極41が電気的に接続され、第2半導体層22には、第2電極42が電気的に接続される。第1電極41と第2電極42との間に順方向電圧を印加することで各発光セル30における活性層23が発光する。活性層23が発する光は、主に基板11の下面及び側面から外部に取り出される。
【0013】
図1に示すように、複数の発光セル30は、第1方向D1と第2方向D2に沿って行列状に配列されている。第2方向D2は、第1方向D1に直交する方向である。複数の発光セル30は、複数の発光セル30のうち中央に位置する第1発光セル31と、第1発光セル31の周囲に位置する複数の第2発光セル32と、を含む。発光素子10Aは、1個の第1発光セル31と、8個の第2発光セル32を有する。なお、本実施形態において、発光セル30が9個である形態を示したが、発光セル30の数はこれに限らない。例えば、発光セル30が、第1方向D1に4個以上10個以下、第2方向D2に4個以上10個以下、行列状に配列されていてもよい。また、第1発光セル31を1個とする形態に限定されず、複数の第1発光セル31を配置してもよい。例えば、5行5列に配列された複数の発光セル30のうち、中央に位置する3行3列の発光セル30を第1発光セル31として、5行5列に配列された複数の発光セル30のうち、第1発光セル31の外周に位置する6個の発光セル30を第2発光セル32としてもよい。また、複数の発光セル30が、第1方向D1に沿って並ぶ、1つの第1発光セル31と、2つの第2発光セル32とを有する形態としてもよい。この場合、第1発光セル31は、第1方向D1において、2つの第2発光セル32に挟まれて配置される。本明細書において、このような形態における第2発光セル32も、第1発光セル31の周囲に位置する発光セル30に含まれる。
【0014】
発光セル30の上面視形状は、例えば、矩形状である。上面視において、発光セル30の形状は、例えば、一辺が100μm以上500μm以下の正方形とすることができる。上面視において、隣り合う発光セル30間の距離は、例えば、1μm以上10μm以下とすることができる。
【0015】
基板11は、例えば、C面、R面、及びA面のいずれかを主面とするサファイアやスピネル(MgA12O4)のような絶縁性基板を用いることができる。窒化物半導体からなる半導体層をエピタキシャル成長させる場合には、C面を主面とするサファイア基板を用いることが好ましい。また、基板11として、SiC(6H、4H、3Cを含む)、ZnS、ZnO、GaAs、Si等を用いてもよい。基板11の上面視形状は、例えば、矩形状とすることができる。基板11の1辺の長さは、例えば、100μm以上2000μm以下であり、好ましくは500μm以上1000μm以下である。基板11は、備えなくてもよい。
【0016】
発光素子10Aとしては、発光ダイオード(LED)を用いるのが好ましい。発光ダイオードは、任意の波長のものを選択することができる。例えば、青色、緑色の発光ダイオードとしては、ZnSeや窒化物系半導体、GaPを用いたものを用いることができる。窒化物半導体は、InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1、0≦y≦1、x+y≦1)からなる化学式において組成比x及びyをそれぞれの範囲内で変化させた全ての組成の半導体を含む。
【0017】
図2に示すように、透光性導電層50は、各発光セル30の第2半導体層22上に配置され、第2半導体層22と電気的に接続されている。透光性導電層50は、活性層23からの光の波長に対して高い透光性を有することが好ましい。透光性導電層50には、例えば、錫を含む酸化インジウム(Indium Tin Oxide:ITO)、インジウムを含む酸化亜鉛(Indium Zinc Oxide:IZO)を用いることができる。
【0018】
図1、
図2に示すように、第1絶縁層60は、複数の発光セル30に連続して配置されている。第1絶縁層60は、透光性導電層50と第1電極41との間の一部と、透光性導電層50と第2電極42との間の一部とに配置されている。第1絶縁層60は、透光性導電層50と、発光セル30の上面及び側面と、第1半導体層21の上面とを連続して覆っている。第1絶縁層60は、第1半導体層21の第1領域R1及び第2領域R2に連続して覆っている。
【0019】
図1、2に示すように、第1絶縁層60は、第1方向D1において第2発光セル32の外側に位置する第1半導体層21の上方に配置された第1開口部60Aと、複数の発光セル30それぞれにおける第2半導体層22の上方に配置された複数の第2開口部60Bと、を有する。第1開口部60Aには第1半導体層21が露出し、第2開口部60Bには透光性導電層50が露出する。第1絶縁層60には、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンを用いることができる。
【0020】
上面視において、第1開口部60Aは、例えば、複数の発光セル30を囲むように配置される。本実施形態では、上面視において、9個の発光セル30は1つの第1開口部60Aにより囲まれている。第1方向又は第2方向D2において、第1開口部60Aの幅は、例えば、5μm以上20μm以下とすることができる。第2開口部60Bは、各発光セル30に9個配置されている。上面視において、各発光セル30に配置される第2開口部60Bは、等間隔に配置され、各発光セル30における第2開口部60Bの配置はそれぞれ同じである。第2開口部60Bの上面視形状は、例えば、円形状、楕円形状とすることができる。複数の第2開口部60Bの上面視形状は、それぞれ同じとすることができる。
【0021】
第1絶縁層60は、酸化シリコン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、窒化シリコン等から選択される誘電体層を用いた単層構造あるいは多層構造とすることができる。第1絶縁層60は、複数の誘電体層を含み、活性層23からの光を反射するように設計した誘電体多層膜としてもよい。第1絶縁層60には、例えば、酸化シリコン層と、酸化ニオブ層とが交互に積層された誘電体多層膜を用いることができる。これにより、活性層23から第1絶縁層60に向かう光を第1半導体層21側に反射でき、発光素子10Aの光取り出し効率を向上することができる。また、このような誘電体多層膜を含む第1絶縁層60を発光セル30の側面を覆うように配置することで、複数の発光セル30を個別に点灯制御する際に、点灯対象の発光セル30から隣り合う発光セル30に伝搬する光を低減することできる。これにより、複数の発光セル30を点灯制御する際、点灯対象の発光セル30の輝度と、点灯対象ではない発光セル30との輝度との差を大きくでき、発光素子10Aのコントラスト比を向上させることができる。
【0022】
図1、
図2に示すように、反射層70は、各発光セル30の第1絶縁層60上にそれぞれ配置される。反射層70は、第1絶縁層60と被覆層80との間に配置される。反射層70は、第2領域R2に位置する第1絶縁層60と被覆層80との間に配置してもよい。反射層70は、活性層23からの光のピーク波長に対して、第1電極41及び第2電極42よりも高い反射率を有することが好ましい。反射層70を配置することで、活性層23からの光のうち第1絶縁層60を通過して反射層70に到達する光を第1半導体層21側に反射でき、発光素子10Aの光取り出し効率を向上することができる。反射層70には、例えば、Al、Ag等の金属又はその合金を用いることができる。また、反射層70は、単層構造としてよいが、Al、Ag等の金属や又はその合金の上に、後述する被覆層80との密着性を向上させるために密着層を配置した多層構造としてもよい。密着層には、例えば、Ti、Niを用いることができる。
【0023】
反射層70は、上面視において、第2開口部60Bと重なる領域に対応する開口部70Aを有する。上面視において、開口部70Aの面積は、第2開口部60Bの面積よりも大きい。開口部70Aの上面視形状は、例えば、円形状、楕円形状とすることができる。複数の開口部70Aの上面視形状は、それぞれ同じとすることできる。
【0024】
被覆層80は、反射層70と第1絶縁層60とを覆うように配置される。被覆層80は、第1絶縁層60の第1開口部60Aと重なる開口部を有する。被覆層80には、例えば、酸化シリコン、窒化シリコンを用いることができる。
【0025】
第1電極41は、第1絶縁層60上に配置され、第1開口部60Aで第1半導体層21と電気的に接続されている。第1電極41は、第1半導体層21の第1領域R1と第2領域R2とに連続して配置されている。第1電極41は、複数の発光セル30間に配置され、上面視において格子状に配置されている。第1電極41は、第1半導体層21と第1開口部60Aのみで電気的に接続され、複数の発光セル30間に位置する第1半導体層21とは電気的に接続されていない。これにより、第1電極41が発光セル30間に位置する第1半導体層21と接続されることによる発光強度分布の偏りを低減することできる。第1電極41には、例えば、Ti、Rh、Pt、Ru、Au等の金属材料を用いることができる。なお、第1開口部60Aにおいて、第1電極41と第1半導体層21との接触面積が確保できる程度に、第1電極41と第1半導体層21とが一部接触していない領域があってもよい。
【0026】
上面視において、第1電極41は、複数の発光セル30の外周部を連続して覆っている。これにより、複数の発光セル30を点灯させたときに、1つの発光セル30から隣り合う他の発光セル30に伝搬する光を第1電極41により反射あるいは吸収させることができる。これにより、複数の発光セル30を点灯制御する際、点灯対象の発光セル30の輝度と、点灯対象ではない発光セル30との輝度との差を大きくでき、発光素子10Aのコントラスト比を向上させることができる。
【0027】
第2電極42は、複数の発光セル30の第2半導体層22上にそれぞれ配置され、複数の第2開口部60Bで透光性導電層50と電気的に接続されている。第2電極42は、透光性導電層50を介して第2半導体層22と電気的に接続されている。第2電極42と透光性導電層50との間の一部には、第1絶縁層60、反射層70、及び被覆層80が配置されている。第2電極42には、例えば、第1電極41と同様の金属材料を用いることができる。
【0028】
第2絶縁層90は、第1電極41と、第2電極42と、被覆層80とに連続して配置されている。第2絶縁層90は、複数の発光セル30の第2電極42の上方に位置する第3開口部90Aと、第2領域R2に位置する第1電極41の上方に位置する第4開口部90Bとを有する。第3開口部90Aには第1電極41が露出し、第4開口部90Bには第2電極42が露出する。上面視において、第3開口部90Aの形状は、第1方向よりも第2方向D2に長い長辺を有する長方形状である。上面視において、第4開口部90Bは、各発光セル30の中央領域に位置している。上面視において、第4開口部90Bの面積は、第2開口部60Bの面積よりも大きい。第4開口部90Bの上面視形状は、例えば、円形状、楕円形状とすることができる。複数の第4開口部90Bの上面視形状は、それぞれ同じとすることできる。第2絶縁層90には、例えば、第1絶縁層60と同様の材料を用いることができる。
【0029】
以上説明したように、発光素子10Aの第1電極41は、第1発光セル31の周囲に位置する第2発光セル32の外側に位置する第1開口部60Aで第1半導体層21と電気的に接続されている。そのため、第1電極41が発光セル30間に位置する第1半導体層21と接続されることによる発光強度分布の偏りを低減し、複数の発光セル30を個別に点灯制御する際に所望の発光強度分布を得ることができる。
【0030】
<第2実施形態>
第2実施形態に係る発光素子10Bについて、
図3を参照して説明する。
【0031】
発光素子10Bは、
図3に示すように、各発光セル30に配置されている第2開口部60Bの配置が発光素子10Aと主に相違し、第2開口部60Bの配置の変更に応じて他の構成部材の配置が変更されている。以下では、
図1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0032】
本実施形態では、上面視において、第2発光セル32に配置された複数の第2開口部60Bは、第1発光セル31側に偏って配置されている。上面視において、例えば、第2発光セル32の第2開口部60Bは、第1開口部60Aから所定距離の範囲には配置されていない。つまり、上面視において、第2発光セル32の第2開口部60Bは、第1開口部60Aから所定距離以上離れて配置されている。ここで、第1電極41が、複数の発光セル30の外側に配置した第1開口部60Aのみで第1半導体層21と電気的に接続させる場合、第2発光セル32のうち第1開口部60Aに近い領域が強く発光し、発光強度分布に偏りが生じるおそれがある。第2開口部60Bを上記した配置とすることで、発光素子10Bの発光強度分布が、第2発光セル32の第1開口部60Aに近い領域に偏ることを低減でき、所望の発光強度分布を得ることができる。特に、第1発光セル31のみを点灯させたときの第1発光セル31の発光強度分布と、第1発光セル31及び第2発光セル32をすべて点灯させたときの発光強度分布の偏りを低減することができる。所定距離とは、例えば、発光セル30の一辺の長さの40%以上60%以下とすることができる。
【0033】
1つの第2発光セル32に配置された第2開口部60Bの数は、1つの第1発光セル31に配置された第2開口部60Bの数よりも少ない。これにより、第2発光セル32よりも第1発光セル31側に電流が供給されやすくなり、発光素子10Bの発光強度分布が、第2発光セル32の第1開口部60Aに近い領域に偏ることを低減できる。
【0034】
<第3実施形態>
第3実施形態に係る発光素子10Cについて、
図4を参照して説明する。
【0035】
発光素子10Cは、
図4に示すように、各発光セル30に配置されている第2開口部60Bの配置が発光素子10Aと主に相違し、第2開口部60Bの配置の変更に応じて他の構成部材の配置が変更されている。以下では、
図1と同じ構成には同じ符号を付して説明を省略する。
【0036】
第1発光セル31及び第2発光セル32には、それぞれ同じ数の第2開口部60Bが配置されている。また、第1発光セル31及び第2発光セル32に配置されている第2開口部の面積はそれぞれ同じである。
【0037】
第2実施形態の発光素子10Bと同様に、上面視において、第2発光セル32に配置された複数の第2開口部60Bは、第1発光セル31側に偏って配置されている。上面視において、例えば、第2発光セル32の第2開口部60Bは、第1開口部60Aから所定距離の範囲には配置されていない。つまり、上面視において、第2発光セル32の第2開口部60Bは、第1開口部60Aから所定距離以上離れて配置されている。このような第2開口部60Bの配置とすることで、発光素子10Cの発光強度分布が、第2発光セル32の第1開口部60Aに近い領域に偏ることを低減でき、所望の発光強度分布を得ることができる。特に、第1発光セル31のみを点灯させたときの第1発光セル31の発光強度分布と、第1発光セル31及び第2発光セル32をすべて点灯させたときの発光強度分布の偏りを低減することができる。所定距離とは、例えば、発光セル30の一辺の長さの10%以上30%以下とすることができる。
【0038】
第1方向D1において、第2発光セル32に配置された複数の第2開口部60Bのうち隣り合う第2開口部60B間の距離は、第1発光セル31に配置された複数の第2開口部60Bのうち隣り合う第2開口部60B間の距離よりも小さくなっている。これにより、第1方向D1において、第2電極42と透光性導電層50との接触面積を確保しつつ、第2開口部60Bを第1発光セル31側に偏らせることができる。その結果、駆動電圧の悪化を低減しつつ、第1方向D1において、発光強度分布が第2発光セル32の第1開口部60Aに近い領域に偏ることを低減できる。
【0039】
第2方向D2において、第2発光セル32に配置された複数の第2開口部60Bのうち隣り合う第2開口部60B間の距離は、第1発光セル31に配置された複数の第2開口部60Bのうち隣り合う第2開口部60B間の距離よりも小さくなっている。これにより、第2電極42と透光性導電層50との接触面積を確保しつつ、第2開口部60Bを第1発光セル31側に偏らせることができる。これにより、第2方向D2において、第2電極42と透光性導電層50との接触面積を確保しつつ、第2開口部60Bを第1発光セル31側に偏らせることができる。その結果、駆動電圧の悪化を低減しつつ、第2方向D2において、発光強度分布が第2発光セル32の第1開口部60Aに近い領域に偏ることを低減できる。
【0040】
<発光装置100>
図5を参照して、発光素子10Aを用いた発光装置100の構成について説明する。
図5は、発光装置100の模式的断面図である。
【0041】
図5に示すように、発光装置100は、支持基板110と、支持基板110上に配置された発光素子10Aと、発光素子10Aの周囲に配置された反射部材130とを有する。支持基板110は、基材111と、基材111上に配置された複数の導電端子112とを有する。発光素子10Aは、支持基板110上に配置された導電端子112に接合部材120により電気的に接続される。
【0042】
第3開口部90Aにおいて露出する第1電極41は、支持基板110上に配置された導電端子112と接合部材120により電気的に接続される。各発光セル30において第4開口部90Bから露出する第2電極42のそれぞれは、支持基板110上に配置された導電端子112と接合部材120により電気的に接続される。発光素子10Aは、複数の発光セル30が個別に点灯制御できるように支持基板110に電気的に接続される。
【0043】
基材111の上面視形状は、例えば、矩形状である。基材111には、例えば、シリコン基板、SiC基板、GaN基板などを用いることができる。導電端子112には、例えば、Cu、Ag、Au、Al、Pt、Ti、W、Pd、Fe、Niなどの金属又はその合金などを用いることができる。支持基板110には、例えば、複数の発光セル30の駆動を制御するための回路が集積された集積回路(IC)基板を用いることができる。複数の発光セル30は、例えば、集積回路基板に電気的に接続された制御部により個別に点灯制御される。
【0044】
発光素子10Aと支持基板110とを電気的に接続するときには、接合部材120として、Au、Ag、Cu、Alなどの金属材料からなるバンプを用いることができる。また、接合部材120として、AuSn系合金、Sn系の鉛フリー半田などの半田材料を用いるようにしてもよい。また、接合部材120として、樹脂に導電性粒子を含有させた導電性接合材を用いることもできる。また、発光素子10Aと支持基板110とは、接合部材120を介さずに、発光素子10Aの電極と支持基板110の導電端子112とが直接接合により接合されていてもよい。
【0045】
図5に示すように、反射部材130は、発光素子10Aの上面及び側面と、支持基板110の上面とを被覆している。基板11の下面は、反射部材130から露出している。反射部材130は、発光素子10Aと支持基板110との間に配置されている。また、反射部材130は、複数の発光セル30間にも配置されている。反射部材130は、発光素子10Aから出射する光を基板11の下面側に反射させ、発光装置100の光取り出し効率を向上することができる。また、複数の発光セル30を個別に点灯制御する際に、点灯対象の発光セル30から隣り合う発光セル30に伝搬する光を低減することできる。これにより、複数の発光セル30を点灯制御する際、点灯対象の発光セル30の輝度と、点灯対象ではない発光セル30との輝度との差を大きくでき、発光素子10Aのコントラスト比を向上させることができる。
【0046】
反射部材130には、例えば、母材となる樹脂に、光反射性物質の粒子を含有させた樹脂を用いることができる。樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂、また、これらの樹脂を少なくとも一種以上含むハイブリッド樹脂等の樹脂を用いることができる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、炭酸バリウム、硫酸バリウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、ガラスフィラーなどを好適に用いることができる。なお、反射部材130は、カーボンブラック、グラファイト、チタンブラック等の光吸収性物質を含有してもよい。
【0047】
基板11の下面に、発光素子10Aからの光を透過する透光性部材を配置してよい。この場合、発光素子10Aから出射される光は、透光性部材を通過し透光性部材の上面から主に取り出される。透光性部材は、母材となる樹脂やガラスに、発光素子10Aからの光の一部を波長変換する波長変換部材を含む部材を用いることができる。波長変換部材には、例えば、蛍光体を用いることができる。
【0048】
以上、本発明に係る発光素子及び発光装置について、発明を実施するための形態により具体的に説明したが、本発明の趣旨はこれらの記載に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈されなければならない。また、これらの記載に基づいて種々変更、改変などしたものも本発明の趣旨に含まれることはいうまでもない。
【0049】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
(付記1) 第1半導体層と、
前記第1半導体層上に第1方向に沿って配置され、活性層と、前記活性層上に配置された第2半導体層とを含む複数の発光セルであって、前記複数の発光セルのうち中央に位置する第1発光セルと、前記第1発光セルの周囲に位置する複数の第2発光セルと、を含む複数の発光セルと、
複数の発光セルに連続して配置され、前記第1方向において前記第2発光セルの外側に位置する前記第1半導体層の上方に配置された第1開口部と、前記複数の発光セルそれぞれにおける前記第2半導体層の上方に配置された複数の第2開口部と、を有する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層上に配置され、前記第1半導体層と前記第1開口部で電気的に接続される第1電極と、
前記複数の発光セルの前記第2半導体層上にそれぞれ配置され、前記第2半導体層と前記第2開口部で電気的に接続される第2電極と、を備える発光素子。
(付記2) 上面視において、前記第1開口部は、前記複数の発光セルを囲むように配置される付記1に記載の発光素子。
(付記3 )上面視において、前記第2発光セルに配置された前記複数の第2開口部は、前記第1発光セル側に偏って配置されている付記1又は2に記載の発光素子。
(付記4) 上面視において、前記第1電極は、前記複数の発光セルの外周部を連続して覆っている付記1から3のいずれか一つに記載の発光素子。
(付記5) 前記複数の発光セルは、前記第1方向と、前記第1方向に直交する第2方向とに沿って行列状に配列され、
前記第1方向において、前記第2発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離は、前記第1発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離よりも小さい付記1から4のいずれか一つに記載の発光素子。
(付記6) 前記第2方向において、前記第2発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離は、前記第1発光セルに配置された複数の前記第2開口部のうち隣り合う前記第2開口部間の距離よりも小さい付記5に記載の発光素子。
(付記7) 1つの前記第2発光セルに配置された第2開口部の数は、1つの前記第1発光セルに配置された第2開口部の数よりも少ない付記1から6のいずれか1つに記載の発光素子。
(付記8) 前記第1発光セルは1つである付記1から7のいずれか1つに記載の発光素子。
【符号の説明】
【0050】
10A、10B、10C 発光素子
11 基板
21 第1半導体層
22 第2半導体層
23 活性層
30 発光セル
31 第1発光セル
32 第2発光セル
41 第1電極
42 第2電極
50 透光性導電層
60 第1絶縁層
60A 第1開口部
60B 第2開口部
70 反射層
70A 開口部
80 被覆層
90 第2絶縁層
90A 第3開口部
90B 第4開口部
100 発光装置
110 支持基板
111 基材
112 導電端子
120 接合部材
130 反射部材