(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090707
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
F25D 21/06 20060101AFI20240627BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20240627BHJP
F25D 21/12 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
F25D21/06 L
F25B47/02 G
F25D21/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206774
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000148357
【氏名又は名称】株式会社前川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】篠宮 尚志
(72)【発明者】
【氏名】阿部 啓太郎
【テーマコード(参考)】
3L046
【Fターム(参考)】
3L046AA04
3L046BA01
3L046CA01
3L046CA12
3L046JA09
3L046LA02
3L046LA14
3L046LA15
3L046MA04
3L046MA05
(57)【要約】
【課題】使用するエネルギーを抑えて除霜運転を行うことができる冷却装置を提供する。
【解決手段】冷却装置1は、蒸発器21と、加熱部61と、開口11,12が形成され、蒸発器21及び加熱部61が収容されたケース10と、開口11,12を開閉可能に覆うシャッター15,16と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が形成されたケースと、
前記開口を開閉可能に覆うシャッターと、
前記ケース内に設けられ、庫内の空気を冷却する蒸発器と、
前記ケース内に設けられ、前記ケース内の空気を加熱する加熱部と、
を備える、冷却装置。
【請求項2】
前記ケースに収容された送風機を備える、請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記蒸発器で前記庫内の空気を冷却する冷却媒体を冷却して液化する冷凍サイクルと、
前記冷凍サイクルにおける凝縮器で放出した熱を回収した第1加熱媒体を蓄える貯留部と、
を備え、
前記加熱部は、前記第1加熱媒体に蓄えられた熱により前記ケース内の空気を加熱する、請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記第1加熱媒体により加熱された第2加熱媒体を前記加熱部に供給する熱源供給部を備える、請求項3に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記第2加熱媒体は二酸化炭素である、請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記蒸発器で気化した前記冷却媒体を液化する熱交換器と、
前記熱交換器で液化された前記冷却媒体を保持するレシーバと、
前記蒸発器と前記レシーバを順次接続する環状の配管と、
前記配管に設けられ、前記レシーバ内の前記冷却媒体を前記蒸発器に向かって送るポンプと、
前記配管における、前記蒸発器の前記冷却媒体の出口と前記レシーバとの間に設けられた電磁弁と、
前記配管における、前記ポンプと前記蒸発器の前記冷却媒体の入口との間に設けられた膨張弁と、
前記シャッター、前記ポンプ、前記電磁弁、及び前記膨張弁を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、除霜運転時に、前記シャッター、前記電磁弁、及び前記膨張弁をそれぞれ閉じ、前記送風機により空気を流すとともに、前記加熱部により前記ケース内の空気を加熱する、請求項3又は4に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、冷蔵冷凍室内を冷却するための冷却装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された冷却装置は、冷却器(蒸発器)と、散水管と、散水箱と、を有する。散水箱は、冷却器の上方に配置されている。
通常の冷却運転時には、冷却器により冷却した空気により、冷蔵冷凍室内を冷却する。
冷却器を一定の期間使用すると、冷却器に霜が付着する場合がある。この場合には、除霜運転を行い、散水管からポンプにて加圧された除霜用水を散水する、又は冷却器付近に設置した電気ヒーターで周囲空気を加温することで、冷却器に付着している霜を溶かす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の主な除霜運転である散水方式又や電気ヒーター方式では、それぞれ散水を加圧し送水するためのポンプ電力やヒーター電力を要しており、冷蔵冷凍施設において相当なエネルギーを要し、省エネルギー化が進まない原因であった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、使用するエネルギーを抑えて除霜運転を行うことができる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
(1)本発明の態様1は、開口が形成されたケースと、前記開口を開閉可能に覆うシャッターと、前記ケース内に設けられ、庫内の空気を冷却する蒸発器と、前記ケース内に設けられ、前記ケース内の空気を加熱する加熱部と、を備える、冷却装置である。
【0007】
この発明では、例えば、冷却装置のケースは、冷蔵冷凍室(庫)内に配置される。冷却運転時には、ケースの開口に対してシャッターを開状態にする。蒸発器で冷却された空気は、ケースの開口からケースの外部に流れ出し、冷蔵冷凍室内を冷却する。
一方で、蒸発器に霜が付着したときには、除霜運転を行うために、ケースの開口に対してシャッターを閉状態にする。加熱部を動作させると、ケース内の空気が加熱されて蒸発器に付着している霜が溶ける。シャッターが閉状態であるため、加熱部により加熱されたケース内の空気は、ケースの外部に流れ出しにくい。このため、加熱された空気はケース内に閉じ込められ、蒸発器に付着した霜を効率的に溶かすことができる。
従って、使用するエネルギーを抑えて除霜運転を行うことができる。
【0008】
(2)本発明の態様2は、前記ケースに収容された送風機を備える、(1)に記載の冷却装置であってもよい。
この発明では、冷却運転時に送風機を運転させることで、蒸発器で冷却された空気をケースの開口からケースの外部に流れ出しやすくすることができる。一方で、除霜運転時に送風機を運転させることで、加熱部により加熱された空気が蒸発器に当たるが、この空気はケースの外部に流れ出しにくい。従って、蒸発器を効率的に除霜することができる。
【0009】
(3)本発明の態様3は、前記蒸発器で前記庫内の空気を冷却する冷却媒体を冷却して液化する冷凍サイクルと、前記冷凍サイクルにおける凝縮器で放出した熱を回収した第1加熱媒体を蓄える貯留部と、を備え、前記加熱部は、前記第1加熱媒体に蓄えられた熱により前記ケース内の空気を加熱する、(2)に記載の冷却装置であってもよい。
この発明では、冷却運転時に蒸発器で冷却媒体が吸収した熱を、冷凍サイクルの凝縮器で放出することにより、第1加熱媒体を加熱する。加熱された第1加熱媒体を貯留部で蓄え、除霜運転時に加熱部は、第1加熱媒体に蓄えられた熱によりケース内の空気を加熱する。従って、加熱部として電気ヒーターを用いる場合に比べて、加熱部によりケース内の空気を加熱するために必要なエネルギーを、より抑えることができる。
【0010】
(4)本発明の態様4は、前記第1加熱媒体により加熱された第2加熱媒体を前記加熱部に供給する熱源供給部を備える、(3)に記載の冷却装置であってもよい。
この発明では、第1加熱媒体とは異なる第2加熱媒体を用いて、加熱部によりケース内の空気を加熱することができる。
【0011】
(5)本発明の態様5は、前記第2加熱媒体は二酸化炭素である、(4)に記載の冷却装置であってもよい。
この発明では、第2加熱媒体として、環境への負荷が比較的少ない二酸化炭素を用いることができる。
【0012】
(6)本発明の態様6は、前記蒸発器で気化した前記冷却媒体を液化する熱交換器と、前記熱交換器で液化された前記冷却媒体を保持するレシーバと、前記蒸発器と前記レシーバを順次接続する環状の配管と、前記配管に設けられ、前記レシーバ内の前記冷却媒体を前記蒸発器に向かって送るポンプと、前記配管における、前記蒸発器の前記冷却媒体の出口と前記レシーバとの間に設けられた電磁弁と、前記配管における、前記ポンプと前記蒸発器の前記冷却媒体の入口との間に設けられた膨張弁と、前記シャッター、前記電磁弁、及び前記膨張弁を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、除霜運転時に、前記シャッター、前記ポンプ、前記電磁弁、及び前記膨張弁をそれぞれ閉じ、前記送風機により前記空気を流すとともに、前記加熱部により前記ケース内の空気を加熱する、(3)又は(4)に記載の冷却装置であってもよい。
【0013】
この発明では、冷却運転時には、制御部は、ケースの開口に対してシャッターを開状態にし、電磁弁を開いておく。ポンプを運転させて、冷却媒体をレシーバから蒸発器に向かって送る。冷却媒体は、膨張弁で膨張し、蒸発器内に流れ込む。この蒸発器で冷却された空気により、冷蔵冷凍室内を冷却することができる。
一方で除霜運転時には、制御部は、ケースの開口に対してシャッターを閉状態にする。電磁弁及び膨張弁をそれぞれ閉じることで、配管における電磁弁と膨張弁との間の蒸発器側の部分内に、冷却媒体を閉じ込める。そして、送風機により空気を流すとともに、加熱部によりケース内の空気を加熱することで、配管の前記部分内に閉じ込められた冷却媒体が効率よく蒸発し、さらに蒸発器の温度が上昇していく。従って、配管の所定の部分内に冷却媒体を閉じ込めずに蒸発器を除霜する場合に比べて、蒸発器に付着した霜を短時間で溶かすことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の冷却装置では、庫内温度の上昇を抑制しつつ、使用するエネルギーを抑えて除霜運転を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態の冷却装置の概要構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る冷却装置の一実施形態を、
図1を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施形態の冷却装置1は、間接膨張式であり、冷蔵冷凍室100内に設置して用いられる。ここで言う冷蔵冷凍室100とは、例えば、-5℃以上5℃以下の冷蔵温度帯、-15℃以下の冷凍温度帯の少なくとも一方に庫内温度を調整できる部屋を意味する。
冷却装置1は、ケース10と、シャッター15,16と、送風機17と、冷却回路20と、冷凍サイクル30と、蓄熱回路50と、加熱回路60と、制御部75と、を備える。
【0017】
例えば、ケース10は中空の箱状に形成されており、ケース10内外の温度差を維持できる素材又は構造を有している。ケース10の側壁には、入口開口(開口)11及び出口開口(開口)12が形成されている。この例では、入口開口11及び出口開口12は、互いに対向するように配置されている。ケース10の底壁には、貫通孔10aが形成されている。
ケース10は、冷蔵冷凍室(庫)100内に配置され、冷蔵冷凍室100の天壁101に固定されている。
なお、ケース10に形成される開口の数は限定されず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。また、冷蔵冷凍室100内に配置されるケース10の数は1つだけではなく、冷蔵冷凍室100内に設置する後述する蒸発器21の数に合わせて複数設置してもよい。
ケース10内には、ケース10内の空気の温度を測定する温度センサ13が取付けられていることが好ましい。温度センサ13は、温度の測定結果を制御部75に送信する。
【0018】
シャッター15は、入口開口11を開閉可能に覆う。シャッター15には、入口開口11を空気が流れ得る開状態(開いた状態)、及び入口開口11を空気が流れない閉状態(閉じた状態)とがある。シャッター15は、モータ及び駆動機構を有する駆動部(不図示)により、開状態と閉状態とに切り替えられる。
シャッター15と同様に、シャッター16は、出口開口12を開閉可能に覆う。シャッター16には、出口開口12を空気が流れ得る開状態、及び出口開口12を空気が流れない開状態とがある。シャッター16は、駆動部(不図示)により、開状態と閉状態とに切り替えられる。
ケース10の貫通孔10a内には、蒸発器21の除霜後の排水を一時的に溜めるドレンパン18の下部に接続する排水パイプ19の上端部が配置されている。排水パイプ19の下端部は、冷蔵冷凍室100の外部に引き回されている。
【0019】
冷却回路20内には、例えば二酸化炭素である第1冷却媒体が収容されている。冷却回路20は、蒸発器21と、冷却媒体送り配管22と、冷却媒体戻し配管23と、冷却ポンプ(ポンプ)24と、冷却電磁弁(電磁弁)25と、冷却膨張弁(膨張弁)26と、レシーバ27と、再液化配管28と、を有する。なお、冷却媒体送り配管22及び冷却媒体戻し配管23で、蒸発器21、レシーバ27、及び冷却ポンプ24を順次接続する環状の配管29を構成する。
蒸発器21では、第1冷却媒体が熱を吸収する。例えば、蒸発器21は、コイル21aと、伝熱フィン(不図示)と、を有する。
例えば、コイル21aは、所定の形状に形成した冷媒配管により構成されている。コイル21a内では、所定の向きに向かって第1冷却媒体が流れる。コイル21aの第1端部が、蒸発器21の第1冷却媒体の入口21b(以下では、蒸発器21の入口21bと言う)であり、コイル21aにおける第1端部とは反対側の第2端部が、蒸発器21の第1冷却媒体の出口21c(以下では、蒸発器21の出口21cと言う)である。
【0020】
冷却媒体送り配管22は、
図1に示すように、レシーバ27の下方に接続されている。また、冷却媒体戻し配管23は、
図1に示すように、レシーバ27の上方に接続されている。
冷却ポンプ24は、冷却媒体送り配管22における蒸発器21とレシーバ27との間に設けられている。冷却ポンプ24は、レシーバ27内の第1冷却媒体を、レシーバ27から蒸発器21に向かって送る。
冷却電磁弁25は、冷却媒体戻し配管23における、蒸発器21の出口21cとレシーバ27との間に設けられている。冷却電磁弁25は、冷却媒体戻し配管23内を第1冷却媒体が流れ得る開状態(開いた状態)と、冷却媒体戻し配管23内を第1冷却媒体が流れない閉状態(閉じた状態)と、に切り替えることができる。
【0021】
冷却膨張弁26は、冷却媒体送り配管22における、冷却ポンプ24と蒸発器21の入口21bとの間に設けられている。冷却膨張弁26は、冷却媒体送り配管22内を流れる第1冷却媒体の流量を調節することができる。
【0022】
送風機17は、蒸発器21に対向するように配置されている。送風機17は、蒸発器21に空気を流す。
この例では、送風機17及び蒸発器21は、ケース10内に設けられている。すなわち、ケース10は、送風機17及び蒸発器21の周囲を囲う。
蒸発器21は、ケース10(冷蔵冷凍室100)内の空気を冷却する。
【0023】
冷却媒体戻し配管23における蒸発器21の出口21cとレシーバ27との間の部分には、温度センサ23a及び圧力センサ23bが取付けられている。温度センサ23aは、冷却媒体戻し配管23内の第1冷却媒体の温度を測定する。圧力センサ23bは、冷却媒体戻し配管23内の第1冷却媒体の圧力を測定する。
温度センサ23aは温度の測定結果を制御部75に送信し、圧力センサ23bは圧力の測定結果を制御部75に送信する。
【0024】
再液化配管28は、レシーバ27の上方に接続されている。レシーバ27内のガス状の第1冷却媒体は、再液化配管28を通る際に、後述する冷凍サイクル30の熱交換器31によって再液化される。そして、再液化された液状の第1冷却媒体は、レシーバ27に戻る。
【0025】
冷凍サイクル30は、例えばアンモニア冷媒である第2冷却媒体が循環する。なお、前記第1冷却媒体及び第2冷却媒体で、冷却媒体を構成する。冷凍サイクル30は、蒸発器21で冷蔵冷凍室100内の空気を冷却する冷却媒体を冷却して液化する。冷却装置が直接膨張式である場合には、第1冷却媒体のみで冷却媒体を構成する。
冷凍サイクル30は、ガス状の第1冷却媒体を冷却して液化する。冷凍サイクル30は、
図1に示すように、第1冷却媒体と第2冷却媒体との間で熱交換を行う熱交換器31と、圧縮機である冷凍機32と、凝縮器33と、膨張弁34と、第2冷却媒体が循環する冷却配管35と、を有する。
【0026】
熱交換器31において、ガス状の第1冷却媒体の熱により蒸発した第2冷却媒体は冷凍機32によって圧縮され、高温高圧ガス状の第2冷却媒体は凝縮器33において第1加熱媒体によって冷却されて凝縮し、液状の第2冷却媒体は膨張弁34に送られて膨張され、熱交換器31に送られてガス状の第1冷却媒体の冷却に用いられる。
熱交換器31は、蒸発器21で気化した第1冷却媒体を液化する。
【0027】
凝縮器33には、蓄熱回路50が導設されている。
【0028】
蓄熱回路50内には、例えば水である第1加熱媒体Rが収容されている。蓄熱回路50は、タンク(貯留部)51と、冷却塔52と、第1蓄熱配管53と、第2蓄熱配管54と、第3蓄熱配管55と、第1蓄熱ポンプ56と、第2蓄熱ポンプ57と、第3蓄熱ポンプ58と、逆止弁59と、を有する。
蓄熱回路50を循環する第1加熱媒体Rは、凝縮器33で第2冷却媒体を冷却することによって凝縮熱を回収する。
【0029】
例えば、タンク51は、上下方向に沿って延びる、中空の円柱状に形成されている。タンク51は、冷凍サイクル30の凝縮器33で第2冷却媒体が放出した熱を回収した第1加熱媒体Rを蓄える。
タンク51には、複数の温度センサ44が取付けられている。複数の温度センサ44は、互いに上下方向の異なる位置の第1加熱媒体Rの温度を測定する。複数の温度センサ44は、温度の測定結果を制御部75に送信する。
なお、加熱された第1加熱媒体Rがタンク51内に流れ込むと、温度が高い第1加熱媒体Rの方が密度が小さいため、温度が高い第1加熱媒体Rはタンク51内の上部に溜まる。
冷却塔52は、第1加熱媒体Rを冷却する。
【0030】
第1蓄熱配管53の第1端部は、タンク51の下端部に接続されている。第1蓄熱配管53における第1端部とは反対側の第2端部は、タンク51の上端部に接続されている。凝縮器33は、第1蓄熱配管53の第1端部と第2端部の間に設けられている。第1蓄熱ポンプ56は、第1蓄熱配管53における第1端部と凝縮器33が設けられた部分との間の部分に設けられている。第1蓄熱ポンプ56は、第1蓄熱配管53の第1端部から第2端部に向かって、第1加熱媒体Rを送り出す。
第2蓄熱配管54の第1端部は、タンク51の上端部に接続されている。第2蓄熱配管54における第1端部とは反対側の第2端部は、タンク51の下端部に接続されている。第2蓄熱配管54には、第2蓄熱ポンプ57及び冷却塔52が設けられている。第2蓄熱ポンプ57及び冷却塔52は、第2蓄熱配管54の第1端部から第2端部に向かってこの順で配置されている。第2蓄熱ポンプ57は、第2蓄熱配管54の第1端部から第2端部に向かって、第1加熱媒体Rを送り出す。
【0031】
第3蓄熱配管55の第1端部は、タンク51の上端部に接続されている。第3蓄熱配管55における第1端部とは反対側の第2端部は、第2蓄熱配管54における冷却塔52が設けられた部分と第2端部との間の部分、又はタンク51の下端部に接続されている。
第3蓄熱ポンプ58は、第3蓄熱配管55の第1端部と第2端部の間に設けられている。第3蓄熱ポンプ58は、第3蓄熱配管55の第1端部から第2端部に向かって、第1加熱媒体Rを送り出す。
【0032】
本実施形態では、蓄熱回路50は、逆止弁59を3つ備えている。
1つ目の逆止弁59は、第1蓄熱配管53における第1蓄熱ポンプ56と凝縮器33との間の部分に設けられている。この逆止弁59は、第1蓄熱配管53における第1蓄熱ポンプ56から凝縮器33に向かう第1加熱媒体Rの流れを許容し、その逆向きに向かう第1加熱媒体Rの流れを抑制する。
2つ目の逆止弁59は、第2蓄熱配管54における第2蓄熱ポンプ57と冷却塔52との間の部分に設けられている。この逆止弁59は、第2蓄熱配管54における第2蓄熱ポンプ57から冷却塔52に向かう第1加熱媒体Rの流れを許容し、その逆向きに向かう第1加熱媒体Rの流れを抑制する。
3つ目の逆止弁59は、第3蓄熱配管55における第3蓄熱ポンプ58と後述する熱交換部66との間の部分に設けられている。この逆止弁59は、第3蓄熱配管55における第3蓄熱ポンプ58から熱交換部66に向かう第1加熱媒体Rの流れを許容し、その逆向きに向かう第1加熱媒体Rの流れを抑制する。
【0033】
加熱回路60内には、例えば二酸化炭素である第2加熱媒体が収容されている。加熱回路60は、加熱部61と、加熱配管62と、加熱ポンプ63と、加熱電磁弁64と、レシーバ65と、熱交換部66と、を有する。
例えば、加熱部61は熱交換器である。加熱部61は、コイル61aと、伝熱フィン(不図示)と、を有する。コイル61aは、所定の形状に形成した冷媒配管により構成されている。
加熱部61は、ケース10内に収容されている。加熱部61は、第1加熱媒体Rに蓄えられた熱によりケース10内の空気を加熱する。このとき、蒸発器21を間接的に温めることで、水蒸気の発生を好適に抑制することができる。
【0034】
加熱配管62は、環状に形成され、加熱部61のコイル61aに接続されている。より詳しくは、加熱配管62の第1端部はコイル61aの第1端部61bに接続され、加熱配管62における第1端部とは反対側の第2端部はコイル61aにおける第1端部61bとは反対側の第2端部61cに接続されている。
加熱配管62内の第2加熱媒体は、熱交換部66により、第3蓄熱配管55における第3蓄熱ポンプ58が設けられた部分と第2端部との間の部分内の第1加熱媒体Rとの間で熱交換する。
加熱ポンプ63は、加熱配管62に設けられている。加熱ポンプ63は、加熱ポンプ63から、加熱配管62における熱交換部66で熱交換している部分に向かって、第2加熱媒体を送り出す。
【0035】
加熱電磁弁64は、加熱配管62におけるコイル61aの第1端部61bとレシーバ65との間の部分に設けられている。加熱電磁弁64は冷却電磁弁25と同様に、加熱配管62に対して開状態及び閉状態に切り替えることができる。
レシーバ65は、加熱配管62に設けられている。レシーバ65は、一定量の第2加熱媒体を蓄える。
なお、加熱配管62及び加熱ポンプ63で、第1加熱媒体Rにより加熱された第2加熱媒体を加熱部61に供給する熱源供給部67を構成する。
【0036】
熱交換部66は、第3蓄熱配管55における逆止弁59が設けられた部分と第2端部との間に設けられている。熱交換部66は、第3蓄熱配管55内を流れる第1加熱媒体Rと、加熱配管62における加熱ポンプ63とレシーバ65との間を流れる第2加熱媒体と、を熱交換させる。
【0037】
制御部75は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、メモリ等を有する。メモリには、冷却媒体の上限温度及び上限圧力、タンク51内の第1加熱媒体Rの下限温度及び上限温度等の冷却装置1の運転に要する情報が記憶されている。さらに、メモリには、CPUを制御するための制御プログラム等が記憶されている。第1加熱媒体Rの下限温度は、第1加熱媒体Rの上限温度よりも低い。例えば、第1加熱媒体Rの下限温度は30℃であり、第1加熱媒体Rの上限温度は40℃である。
制御部75は、センサ13,23a,23b,44、シャッター15,16の駆動部、ポンプ24,56,57,58,63、冷凍機32、電磁弁25,64、及び冷却膨張弁26、及び送風機17にそれぞれ接続されている。制御部75は、シャッター15,16の駆動部、ポンプ24,56,57,58,63、冷凍機32、電磁弁25,64、及び冷却膨張弁26、膨張弁34、及び送風機17をそれぞれ制御する。
【0038】
次に、以上のように構成された冷却装置1の動作について説明する。
予め、タンク51に蓄えられている第1加熱媒体Rの温度は、第1加熱媒体Rの下限温度よりも高く、第1加熱媒体Rの上限温度よりも低いとする。
制御部75は、冷凍機32を運転させておく。制御部75は、一定の期間ごとに、温度センサ13,23a、複数の温度センサ44、圧力センサ23bから送信された測定結果を検出する。例えば、制御部75は、複数の温度センサ44の測定結果よりタンク51に蓄えられている第1加熱媒体Rの温度分布に基づいて、以下の処理を行う。
【0039】
通常の冷却運転時には、制御部75は、駆動部により、ケース10の開口11,12に対してシャッター15,16を開状態にする。冷却電磁弁25を開状態にする。冷却膨張弁26を絞り状態にし、加熱電磁弁64を閉状態にする。送風機17を運転させて空気を流すと、入口開口11からケース10内に空気が流れ込む。ポンプ24,56を運転させるが、ポンプ57,58,63は停止させておく。
蒸発器21内で放熱後に蒸発した冷却媒体は、冷却媒体戻し配管23をレシーバ27に向かって流れる。再液化配管28を通して熱交換器31内で再液化された冷却媒体は、レシーバ27からポンプ24で圧送されて冷却膨張弁26で膨張し、蒸発器21内に流れ込む。レシーバ27は、熱交換器31で液化された第1冷却媒体を保持する。
冷却媒体は、蒸発器21内で蒸発する。送風機17で送られた空気は、蒸発器21で冷却される。蒸発器21で冷却された空気は、ケース10の出口開口12からケース10の外部に流れ出し、冷蔵冷凍室100内を冷却する。例えば、冷蔵冷凍室100内の空気の温度は、-25℃である。
冷蔵冷凍室100は、内部に食品等の被収容物が収容されて使用される。
【0040】
第1蓄熱ポンプ56により、第1蓄熱配管53内を、第1蓄熱配管53の第1端部から第2端部に向かって第1加熱媒体Rが流れる。第1加熱媒体Rは、凝縮器33において第2冷却媒体からの凝縮熱を回収する。凝縮熱を回収した第1加熱媒体Rは、第1蓄熱配管53を通してタンク51の上端部からタンク51内に流れ込む。
一方で、タンク51の下端部から第1蓄熱配管53の第1端部に流れ込んだ第1加熱媒体Rは、第1蓄熱ポンプ56により凝縮器33に向かって送り出される。
以上のようにして、タンク51内の第1加熱媒体Rの温度が次第に高くなり、第1加熱媒体Rの上限温度に近づいていく。
【0041】
制御部75は、第1加熱媒体Rの温度の複数の測定結果よりタンク51内部の温度分布を把握し、高温部がタンク51内部の著しく大きな割合を示した時に、第2蓄熱ポンプ57を運転させる。すると、タンク51の上端部から第2蓄熱配管54内に流れ込んだ第1加熱媒体Rは、冷却塔52で冷却される。冷却塔52で冷却された第1加熱媒体Rは、第2蓄熱配管54内を通してタンク51の下端部からタンク51内に流れ込む。
以上のようにして、第2蓄熱ポンプ57を運転すると、タンク51内の第1加熱媒体Rの温度が低くなる。
【0042】
制御部75は、タンク51内部の第1加熱媒体Rの温度の複数の測定結果よりタンク51内部の温度分布を把握し、低温部がタンク51内部の著しく大きな割合を示した時に、第2蓄熱ポンプ57を停止させる。すると、前述のようにタンク51内の第1加熱媒体Rの温度が高くなる。
このように、タンク51内の第1加熱媒体Rの温度は、第1加熱媒体Rの下限温度以上第1加熱媒体Rの上限温度以下に制御される。
【0043】
一方で、一定の冷凍冷蔵運転を行うと、蒸発器21に霜が付着し、蒸発器21で冷却媒体が熱交換し難くなるため、一定時間が経過する毎に除霜運転を行う。一定時間は冷却装置1の容量等によって変わるため、限定されない。また、一回の除霜運転時間は、一般には10分程度である。制御部75は、以下のように、冷却運転から除霜運転に切り替える。
【0044】
制御部75は、駆動部により、ケース10の開口11,12に対してシャッター15,16を閉状態にする。加熱電磁弁64を開状態にする。冷却電磁弁25を閉状態とし、ポンプ24を停止させて蒸発器21への冷却媒体の供給を停止する。ポンプ56は、冷凍サイクル30の運転と連動させる。ポンプ57はタンク51内部の温度分布により運転又は停止させる。ポンプ58,63を運転させる。
第3蓄熱ポンプ58が運転することで、タンク51の上端部から第3蓄熱配管55内に第1加熱媒体Rが流れ込む。第1加熱媒体Rは、熱交換部66で加熱配管62内の第2加熱媒体を加熱する。第2加熱媒体を加熱した第1加熱媒体Rは、第3蓄熱配管55内を通してタンク51の下端部からタンク51内に流れ込む。このように、タンク51内の第1加熱媒体Rの温度は次第に低くなる。
【0045】
熱交換部66で加熱された第2加熱媒体は、加熱配管62内を通して加熱部61のコイル61a内に流れ込む。コイル61a内に加熱された第2加熱媒体が流れ込むと、加熱部61が動作する。
加熱部61は、周囲の空気を加熱する。送風機17が流す加熱された空気は、ケース10内で流れる。このように、加熱部61を動作させると、蒸発器21が加熱されて蒸発器21に付着している霜が溶ける。溶けた霜による霜融解水は、ドレンパン18から排水パイプ19を通して冷蔵冷凍室100の外部に排出される。シャッター15,16が閉状態であるため、加熱部61により加熱されたケース10内の空気は、ケース10の外部に流れ出しにくい。
制御部75は、温度センサ13によりケース10内の空気の温度が0℃以上であるか、確認することが好ましい。例えば、ケース10内の空気の温度が0℃未満である場合には、制御部75は、加熱ポンプ63が第2加熱媒体を流す流量を増加させる等する。例えば、ケース10の空気の温度は、0℃以上5℃以下である。
【0046】
本実施形態の冷却装置1では、加熱された空気はケース10内に閉じ込められ、蒸発器21に付着した霜を効率的に溶かすことができる。このとき、内外の温度差を維持できるケースで冷却装置を覆うことで、庫内温度の上昇を好適に抑制し、使用するエネルギーを抑えて除霜運転を行うことができる。
【0047】
冷却装置1は、送風機17を備える。冷却運転時に送風機17を運転させることで、蒸発器21で冷却された空気をケース10の出口開口12からケース10の外部に流れ出しやすくすることができる。一方で、除霜運転時に送風機17を運転させることで、加熱部61により加熱された空気が蒸発器21に当たるが、この空気はケース10の外部に流れ出しにくい。従って、蒸発器21を効率的に加熱することができる。
加熱部61は、第1加熱媒体Rに蓄えられた熱によりケース10内部の空気を加熱する。冷却運転時に蒸発器21で冷却媒体が吸収した熱を冷凍サイクル30の凝縮器33で放出することにより、第1加熱媒体Rを加熱する。加熱された第1加熱媒体Rをタンク51で蓄え、除霜運転時に加熱部61は、第1加熱媒体Rに蓄えられた熱によりケース10内部の空気を加熱する。従って、加熱部61として電気ヒーターを用いる場合に比べて、加熱部61によりケース10内部の空気を加熱するために必要なエネルギーを、より抑えることができる。
【0048】
冷却装置1は、第1加熱媒体Rにより加熱された第2加熱媒体を加熱部61に供給する熱源供給部67を備える。このため、第1加熱媒体Rとは異なる第2加熱媒体を用いて、加熱部61によりケース10内部の空気を加熱することができる。
第2加熱媒体は、例えば二酸化炭素である。これにより、環境への負荷を比較的少なくすることができる。
【0049】
なお、除霜運転時に、制御部75は、電磁弁25及び冷却膨張弁26を閉状態にし、送風機17により空気を流すとともに、加熱部61によりケース10内部の空気を加熱してもよい。
冷却電磁弁25及び冷却膨張弁26をそれぞれ閉状態にすることで、冷却回路20における冷却電磁弁25と冷却膨張弁26との間の蒸発器21側の部分内に、冷却媒体を閉じ込める。そして、送風機17により空気を流すとともに、加熱部61によりケース10内部の空気を加熱することで、冷却回路20の前記部分内に閉じ込められた冷却媒体が効率よく蒸発し、さらに蒸発器21の温度が上昇していく。従って、冷却回路20の所定の部分内に冷却媒体を閉じ込めずに蒸発器21を除霜する場合に比べて、蒸発器21に付着した霜を短時間で溶かすことができる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、ケース10は、冷蔵冷凍室の天壁に埋め込まれてもよい。具体的には、例えば天壁が、H形鋼等による鉄骨ぶどう棚と、この鉄骨ぶどう棚よりも下方に配置された断熱吊り天井とで構成される場合がある。この場合に、ケース10を鉄骨ぶどう棚と吊り天井との間に、ケース10の底壁と断熱吊り天井とが面一になるように配置する。この場合、入口開口及び出口開口を、ケース10の底壁に形成してもよい。
このように構成することで、冷蔵冷凍室内に、断熱吊り天井まで被収容物を収容することができる。
【0051】
冷却装置1は、冷却電磁弁25、タンク51、加熱回路60、センサ44を備えなくてもよい。この場合、加熱部は電気ヒーター等であるとしてもよい。
第2加熱媒体は、水、不凍液(ブライン)等でもよい。
【0052】
また、上述した実施形態では、冷却装置として間膨式が採用されたが、直膨式であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 冷却装置
10 ケース
11 入口開口(開口)
12 出口開口(開口)
15,16 シャッター
17 送風機
21 蒸発器
21b 入口
21c 出口
22 冷却媒体送り配管
23 冷却媒体戻し配管
24 冷却ポンプ(ポンプ)
25 冷却電磁弁(電磁弁)
26 冷却膨張弁(膨張弁)
27 レシーバ
29 配管
30 冷凍サイクル
31 熱交換器
33 凝縮器
51 タンク(貯留部)
61 加熱部
67 熱源供給部
75 制御部
100 冷蔵冷凍室(庫)
R 第1加熱媒体