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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090789
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】環境負荷管理装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/04 20120101AFI20240627BHJP
【FI】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206903
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】501387839
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテク
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】直江 和明
(72)【発明者】
【氏名】上野 裕美子
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸一
(72)【発明者】
【氏名】川田 みゆき
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】サプライチェーンの状況、特に環境負荷を総合的に把握でき、部品の発注先への要望やその選択を支援する環境負荷管理装置及び方法を提供する。
【解決手段】環境負荷管理システム200において、製品の部品の発注を行う発注元の発注元端末装置220及び発注元からの発注に応じて部品を発注元に供給する複数の発注先夫々における複数の発注先端末装置231~233と通信可能に接続し、製品における環境負荷を管理するための環境負荷管理装置を実現するサーバ装置210は、複数の発注先端末装置夫々から、発注元の部品における環境負荷を示す環境負荷情報を受信する通信部213と、受信した環境負荷情報に基づいて、製品における環境負荷量を算出する環境負荷量算出部212bと、環境負荷量を含む画面データを作成する画面データ作成部212dと、画面データを出力する通信部213と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品における環境負荷を管理するための環境負荷管理装置において、
前記製品の部品の発注を行う発注元の発注元端末装置および、前記発注元からの発注に応じて前記部品を前記発注元に供給する複数の発注先それぞれにおける複数の発注先端末装置と通信可能に接続し、前記複数の発注先端末装置それぞれから、当該発注元の部品における環境負荷を示す環境負荷情報を受信する通信部と、
受信された前記環境負荷情報に基づいて、前記製品における環境負荷量を算出する環境負荷量算出部と、
前記環境負荷量を含む画面データを作成する画面データ作成部を有し、
前記通信部が、前記画面データを出力する環境負荷管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の環境負荷管理装置において、
さらに、前記通信部が前記複数の発注先端末装置それぞれから受信した、当該発注元の部品における品質を示す品質情報に基づいて、前記製品における品質指標を算出する品質指標算出部を有し、
前記画面データ作成部は、前記品質指標および前記環境負荷量を含む前記画面データを作成する環境負荷管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の環境負荷管理装置において、
前記通信部を介して前記発注元端末装置および前記発注先端末装置の少なくとも1つにおける同一画面上に、前記画面データを表示させる環境負荷管理装置。
【請求項4】
請求項3に記載の環境負荷管理装置において、
前記環境負荷量算出部は、前記部品の工程ごとに、前記環境負荷量を算出し、
品質指標算出部は、前記部品の工程ごとに、前記品質指標を算出する環境負荷管理装置。
【請求項5】
請求項4に記載の環境負荷管理装置において、
前記通信部を介して前記発注元端末装置および発注先端末装置の少なくとも1つにおける同一画面上に、前記品質指標のうちボトルネック工程の品質指標および前記環境負荷量のうちボトルネック工程の環境負荷量を、表示させる環境負荷管理装置。
【請求項6】
請求項5に記載の環境負荷管理装置において、
前記環境負荷量算出部は、前記ボトルネック工程と同一の工程を有する発注先を抽出し、
前記画面データ作成部は、抽出された前記発注先における前記同一の工程における環境負荷情報および前記ボトルネック工程の環境負荷情報を含む前記画面データを作成し、
前記通信部を介して前記発注元端末装置における同一画面上に、前記画面データを表示させる環境負荷管理装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の環境負荷管理装置において、
前記通信部を介して前記複数の発注先端末装置の少なくとも1つに、当該発注先の環境負荷情報を表示させる環境負荷管理装置。
【請求項8】
環境負荷管理装置を用いた、製品における環境負荷を管理するための環境負荷管理方法において、
通信部により、前記製品の部品の発注を行う発注元の発注元端末装置および、前記発注元からの発注に応じて前記部品を前記発注元に供給する複数の発注先それぞれにおける複数の発注先端末装置と通信可能に接続し、前記複数の発注先端末装置それぞれから、当該発注元の部品における環境負荷を示す環境負荷情報を受信し、
環境負荷量算出部により、受信された前記環境負荷情報に基づいて、前記製品における環境負荷量を算出し、
画面データ作成部により、前記環境負荷量を含む画面データを作成し、
前記通信部により、前記画面データを出力する環境負荷管理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の環境負荷管理方法において、
さらに、品質指標算出部により、前記通信部が前記複数の発注先端末装置それぞれから受信した、当該発注元の部品における品質を示す品質情報に基づいて、前記製品における品質指標を算出し、
前記画面データ作成部により、前記品質指標および前記環境負荷量を含む前記画面データを作成する環境負荷管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の環境負荷管理方法において、
前記通信部を介して前記発注元端末装置および前記発注先端末装置の少なくとも1つにおける同一画面上に、前記画面データを表示させる環境負荷管理方法。
【請求項11】
請求項10に記載の環境負荷管理方法において、
前記環境負荷量算出部により、前記部品の工程ごとに、前記環境負荷量を算出し、
品質指標算出部により、前記部品の工程ごとに、前記品質指標を算出する環境負荷管理方法。
【請求項12】
請求項11に記載の環境負荷管理方法において、
前記通信部を介して前記発注元端末装置および発注先端末装置の少なくとも1つにおける同一画面上に、前記品質指標のうちボトルネック工程の品質指標および前記環境負荷量のうちボトルネック工程の環境負荷量を、表示させる環境負荷管理方法。
【請求項13】
請求項12に記載の環境負荷管理方法において、
前記環境負荷量算出部により、前記ボトルネック工程と同一の工程を有する発注先を抽出し、
前記画面データ作成部により、抽出された前記発注先における前記同一の工程における環境負荷情報および前記ボトルネック工程の環境負荷情報を含む前記画面データを作成し、
前記通信部を介して前記発注元端末装置における同一画面上に、前記画面データを表示させる環境負荷管理方法。
【請求項14】
請求項8乃至13のいずれかに記載の環境負荷管理方法において、
前記通信部を介して前記複数の発注先端末装置の少なくとも1つに、当該発注先の環境負荷情報を表示させる環境負荷管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品、原材料、輸送手段等の製品の製造、供給に関するサプライチェーン管理における環境負荷を示す環境負荷情報を管理、処理するための環境負荷管理装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、需要変動による調達リスクや環境規制の強化に基づき、製品におけるサプライチェーンの状況の可視化が求められている。例えば、特許文献1では、「製品別環境負荷の高精度把握と管理を、ユーザ負担を少なく実現する」ことを課題としている。そして、この課題を解決するために、特許文献1では、「サプライチェーン上の環境負荷を、設計情報や過去の統計情報のみならず、実行中の業務プロセスと接続することにより、実行中の製品負荷関連情報を取得・反映して、個別の製品ごとに細かい管理を行なう。これにより、プロセス途中での環境負荷増大の抑止も可能とする」技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-113512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、特許文献1では、サプライチェーンに関する状況として環境負荷を把握するために、実行中の業務プロセス中の環境負荷情報を扱っている。このため、特許文献1では、環境負荷情報として、現在取引中の発注先(Tier)のもので、業務プロセスを実行中の実態しか把握できない。しかしながら、発注先を選択したり、発注先に製品・部品についての要望を出したりするために、取引中以外の発注先の環境負荷情報を把握する必要がある。また、取引中の発注先であっても、業務プロセス中以外の環境負荷も把握する必要がある。
【0005】
そこで、本発明では、発注先の選択や発注先への要望を特定するために、サプライチェーンの状況、特に環境負荷を総合的に把握することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、上記の課題を解決するため、複数の発注先における製品の部品における環境負荷情報を集約する。
【0007】
より具体的な本発明の構成は、製品における環境負荷を管理するための環境負荷管理装置において、前記製品の部品の発注を行う発注元の発注元端末装置および、前記発注元からの発注に応じて前記部品を前記発注元に供給する複数の発注先それぞれにおける複数の発注先端末装置と通信可能に接続し、前記複数の発注先端末装置それぞれから、当該発注元の部品における環境負荷を示す環境負荷情報を受信する通信部と、受信された前記環境負荷情報に基づいて、前記製品における環境負荷量を算出する環境負荷量算出部と、前記環境負荷量を含む画面データを作成する画面データ作成部を有し、前記通信部が、前記画面データを出力する環境負荷管理装置である。また、本発明には、環境負荷管理装置を用いた環境負荷管理方法も含まれる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、サプライチェーンの状況、特に環境負荷を総合的に把握でき、部品の発注先への要望やその選択を支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態における製品のサプライチェーンを示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態における環境負荷管理システム200の機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態におけるサーバ装置210および端末装置220、231~233のハードウェア構成を示す構成図である。
図4】本発明の一実施形態における品質指標および環境負荷量の算出フローを示すフローチャートである。
図5】本発明の一実施形態における品質指標および環境負荷量を用いた分析フローを示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態における表示画面の第1の例を示す図である。
図7】本発明の一実施形態における表示画面の第2の例を示す図である。
図8】本発明の一実施形態におけるサーバ装置210を社内システムとして実現した一例を示す図である。
図9】本発明の一実施形態における発注先端末装置230の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を、図面を用いて説明する。本実施形態では、部品を供給する複数の発注先と、この部品の供給を受ける発注元が連携して、これら部品や製品(完成品)のサプライチェーンの状況を総合的に把握する。例えば、発注先には、製品の部品や原材料を提供する部品メーカーが想定され、発注元としてはセットメーカーが想定される。そして、本実施形態では、サプライチェーンの状況として、部品や製品の品質および環境負荷を把握する。さらに、本実施形態の部品とは、製品の部品そのものの他、原材料、製造装置等、製造や流通などの提供に資するものを含めることが可能である。
【0011】
また、本実施形態では、発注元と発注先に関して、以下の課題を解決する。まず、発注先においては、自社の製造において改善すべき工程を、品質や環境負荷の点から、定量的に選定することを課題とする。また、これらの改善に関し、継続改善の取り組みをアピールすることで、既存顧客との契約継続、新規顧客獲得を実現することを課題とする。
【0012】
また、発注元においては、品質や環境負荷が優れた発注先を選定することを課題とする。さらに、このような選定を顧客にアピールし、既存顧客との契約継続、新規顧客獲得を実現することを課題とする。またさらに、従来、発注元の環境負荷は分からないため、改善を促す発注先を選定できなかった。そこで、発注元の上流のサプライチェーンにおいて、環境負荷の低減余地がある発注先を選定することも課題とする。
【0013】
まず、本実施形態が対象とするサプライチェーンについて説明する。図1は、本実施形態における製品のサプライチェーンを示す模式図である。以下、図1を参照して、発注元110が完成させる製品(完成品)のサプライチェーン100を説明する。サプライチェーン100は、完成品の構成部品を発注する発注元110と、発注元110に対して直接部品を供給する1又は複数の第1層発注先121と、第1層発注先121に対して部品を供給する1又は複数の第2層発注先122と、第(N―1)層発注先に対して部品を供給する1又は複数の第N層発注先123と、によって構成されている。Nは、2以上の整数である。
【0014】
発注元110に供給される部品は、完成品を構成するハードウェアだけでなく、完成品を構成するソフトウェアを含む。発注元110の完成品に関するサプライチェーンでは第N層発注先が、別の完成品に関するサプライチェーンでは、第N層ではない発注先となり得る。
【0015】
次に、図2は、本実施形態における環境負荷管理システム200の機能ブロック図である。環境負荷管理システム200は、サーバ装置210が、発注元端末装置220および各発注先端末装置231~233と、通信回線240を介して接続されることで構成される。サーバ装置210は、環境負荷管理装置を実現するための一例であり、発注元端末装置220や各発注先端末装置231~233から情報を収集し、これを用いた処理結果を提供する。また、発注元端末装置220は、対象のサプライチェーンにおける製品を提供する発注元で利用される装置である。さらに、各発注先端末装置231~233は、対象の製品の部品や原材料を提供する発注先のそれぞれで利用される装置である。なお、各発注先は、上述のように第1階層(Tier 1)発注先~第N階層(Tier N)に分類できる。また、発注元端末装置220や発注先端末装置231~233の通信方式は、有線であってもよいし、無線であってもよい。通信回線240は、インターネット回線であってもよいし、専用回線であってもよい。なお、環境負荷管理システム200は、サプライチェーンにおける課題の解決策を示すソリューションを提供するソリューション提供システムとして実現してもよい。
【0016】
以下、環境負荷管理システム200および発注元端末装置220や発注先端末装置231~233の詳細について説明する。
【0017】
まず、サーバ装置210は、本実施形態の主たる処理を実行するもので、発注元端末装置220および各発注先端末装置231~233から環境負荷情報および品質情報を収集し、これらに対する集計等の演算を行う。このために、サーバ装置210は、記憶部211、演算部212および通信部213を有する。以下これらの各部について説明する。
【0018】
演算部212は、記憶部211の情報、データを用いて、サプライチェーンにおける品質や環境負荷を把握するための情報処理を実行する。このために、演算部212は、品質指標算出部212a、環境負荷量算出部212b、製造現場改善ソリューション評価部212cおよび画面データ作成部212dを有する。品質指標算出部212aは、発注先端末装置231~233から受信した品質情報から品質指標を算出する。例えば、品質情報としてある工程の開始日時及び終了日時を受信すると、品質指標算出部212aは、開始日時および終了日時から品質指標としてリードタイムを算出する。また、品質情報として部品の製造実績数及び良品数を受信すると、品質指標算出部212aは、製造実績数および良品数から品質指標として合格率を算出する。発注先端末装置231~233から受信した品質情報が品質指標であることもあり得る。この場合、品質指標算出部212aは、受信した品質情報を品質指標とする。
【0019】
ここで、品質情報は、部品の品質に関する情報であり、例えば、部品名、製造工程、工程別合格率、工程別リードタイム、工程別標準作業時間、設備稼働時間、全体合格率、全体リードタイム、全体標準作業時間、及びコストの少なくとも1つを含む。また、品質指標は、品質情報から算出される品質の良し悪しを評価するための指標である。この算出には、収集した品質情報の統一的な項目への変換が含まれる。このため、品質指標には、上述のように、品質情報である開始日時および終了日時から算出されるリードタイムや品質情報である製造実績数および良品数から算出される合格率が含まれる。さらに、品質情報が品質指標としてもよい。
【0020】
また、環境負荷量算出部212bは、発注先端末装置231~233から受信した環境負荷情報から環境負荷量を算出する。例えば、環境負荷情報として、部品の製造、流通におけるCO2排出量(温室効果ガス)を受信すると、環境負荷量算出部212bは、発注元の製品を構成する部品を抽出し、これらにおけるCO2排出量の総和を、環境負荷量として算出する。また、環境負荷量算出部212bは、環境負荷量として、工程ごとの環境負荷量を算出してもよい。またさらに、環境負荷量算出部212bは、複数種類の環境負荷情報を用いて、これらをパラメータとして統合的な環境負荷量を算出してもよい。この統合的な環境負荷量は、工程ごとの環境負荷量を用いてもよい。
【0021】
ここで、環境負荷情報は、各発注元での部品の提供における環境負荷を示す情報であり、CO2排出量、廃棄物量、化学物質使用量、粒子状物質排出量の少なくとも1つが含まれる。また、環境負荷量には、各環境負荷量の総和やこれらを統合した数値の他、これらの工程ごとの値が含まれる。なお、本実施形態では、環境負荷情報から算出される工程ごとの環境負荷量を用いることとする。
【0022】
また、製造現場改善ソリューション評価部212cは、品質指標および環境負荷量のうち少なくとも一方に基づいて、製造に対する現場改善ソリューションを特定する。このために、例えば、製造現場改善ソリューション評価部212cは、品質指標と品質指標条件情報を比較し、品質指標やこれを算出するための品質情報とその良し悪しを評価する。このように、品質指標条件情報とは、受信した品質情報から算出される品質指標と比較される条件を示す情報である。また、製造現場改善ソリューション評価部212cは、環境負荷量とその良し悪しを評価するための指標を比較してもよい。
【0023】
また、画面データ作成部212dは、発注元端末装置220に提供する画面に関する画面データ(例えば、発注元端末装置220のWebブラウザに画面を表示させるためのHTMLデータ)、発注先端末装置231~233に提供する画面に関する画面データ(例えば、発注先端末装置231~233のWebブラウザに画面を表示させるHTMLデータ)を生成する。
【0024】
また、記憶部211は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、やSSD(Solid State Drive)等で実現できる。そして、記憶部211は、品質データ211a、品質指標条件情報211b、製造現場改善ソリューション情報211c、参加企業情報211dおよび環境負荷データ211eの各情報を記憶する。
【0025】
ここで、品質データ211aは、品質情報およびこれから算出される品質指標が含まれる。なお、品質情報や品質指標については、上述で説明済である。
【0026】
例えば、品質情報である工程の開始日時および終了日時から、品質指標としてリードタイムが算出される。また、品質情報である部品の製造実績数および良品数から、品質指標として合格率もしくは不良率が算出される。
【0027】
また、品質指標条件情報211bは、各発注先端末装置231~233から収集される品質情報と比較される条件を示す。このため、製造工程ごとに、品質情報と同様の値を有する。この比較により、収集された品質情報の各値の良し悪しが評価されるまた、製造現場改善ソリューション情報211cは、品質や環境負荷を改善するための解決策を示す情報である。例えば、品質指標条件情報211bを満たさない品質情報もしくは品質指標である発注元に対する解決策を示す。このために、製造現場改善ソリューション情報211cとして、ソリューション名、関連する製造工程および詳細な解決策が記録されるリンク先を用いることができる。なお、リンク先に加え、もしくはこれに代えて、解決策そのものを含めてもよい。
【0028】
また、参加企業情報211dは、発注元や発注先に関する情報である。このため、参加企業情報211dは、参加企業名、ログインID、ログインパスワードおよびロール(発注元、発注先の別)を用いることができる。これを用いることで、サーバ装置210は、ロールに応じたサービスや画面を提供することが可能となる。
【0029】
さらに、環境負荷データ211eには、環境負荷情報およびこれから算出される環境負荷量が含まれる。これらの内容は、上述済である。
【0030】
また、画面データ作成部212dは、品質指標算出部212a、環境負荷量算出部212bおよび製造現場改善ソリューション評価部212cでの処理結果に応じて、発注元端末装置220や発注先端末装置231~233で表示する画面データを作成する。
【0031】
さらに、通信部213は、通信回線240を介して、発注元端末装置220や発注先端末装置231~233と接続し、これらから品質情報や環境負荷情報を受け付ける。また、通信部213は、発注元端末装置220や発注先端末装置231~233に対し、画面データ作成部212dで作成された画面データを出力する。
【0032】
また、発注元端末装置220は、発注元で利用されるコンピュータで実現できる。そして、発注元端末装置220は、通信回線240を介して、入力する画面データを表示したり、サーバ装置210に対する指示を出力したりする。このために、発注元端末装置220は、入力部、出力部、演算部および通信部を有する。入力部は、利用者からの操作を受け付け、キーボード等の入力デバイスで実現できる。また、出力部は、画面データを表示し、ディスプレイ等の表示装置で実現できる。なお、入力部および出力部は、タッチパネルなどで構成してもよい。演算部は、プロセッサで実現でき、各種演算を実行する。さらに、通信部は、通信回線240を介して、サーバ装置210や発注先端末装置231~233と接続する。なお、発注元端末装置220は、サーバを含む生産管理システムといったコンピュータシステムで実現してもよい。
【0033】
また、発注先端末装置231~233のそれぞれは、各発注元で利用されるコンピュータで実現できる。そして、その構成は、発注元端末装置220と同様に実現できる。なお、発注先端末装置231~233は、通信部を用いてサーバ装置210に、自身が提供する部品における品質情報や環境負荷情報を送信(アップロード)する。この結果、サーバ装置210では、品質指標や環境負荷量を算出することになる。
【0034】
ここで、サーバ装置210、発注元端末装置220および発注先端末装置231~233の実装例を示すハードウェア構成について説明する。なお、発注元端末装置220および発注先端末装置231~233のハードウェア構成は共通であるため、以下では、単に端末装置220、231~233と称する。
【0035】
図3は、本実施形態におけるサーバ装置210および端末装置220、231~233のハードウェア構成を示す構成図である。図3の上部は、サーバ装置210のハードウェア構成を示す。サーバ装置210は、上記したように記憶部211と、演算部212と、通信部213とを有する。そして、演算部212は、プロセッサ301と、主記憶部302と、補助記憶部303と、入出力インターフェース(以下、インターフェースをI/Fと略記する)304と、通信I/F305と、上記した各モジュールを通信可能に接続するバス306と、を有する。
【0036】
プロセッサ301は、サーバ装置210の各部の動作の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。プロセッサ301は、補助記憶部303や記憶部211に記憶されたプログラム(例えば、Webアプリ307)を主記憶部302の作業領域に展開し、実行する。なお、このプログラムについては、図8に示す実装例で説明する。主記憶部302は、プロセッサ301が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を一時的に記憶する。主記憶部302は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等である。補助記憶部303は、各種のプログラム(例えば、ブートプログラム)および各種のデータを記憶する。補助記憶部303は、ROM(Read Only Memory)等である。入出力I/F304は、入出力装置とのインターフェースであって、記憶部211が接続される。また、通信I/F305は、通信部213とのインターフェースであって、通信部213が接続される。
【0037】
次に、図3の下部は、端末装置220、231~233のハードウェア構成を示す。サーバ装置210のハードウェア構成と同等の構成の説明は適宜省略する。端末装置220及び231~233は、記憶部311と、演算部312と、通信部313と、表示部314と、入力部315と、を有する。表示部314は、例えば、液晶モニタなどである。入力部315は、例えば、キーボード、マウス、表示部314の表面に設けられたタッチセンサなどである。演算部312は、演算部212と同様に、プロセッサ351と、主記憶部352と、補助記憶部353と、入出力I/F354と、通信I/F355と、バス356と、を有する。プロセッサ351は、記憶部311に記憶されたプログラム(例えば、Webブラウザ357)を主記憶部352の作業領域に展開し、実行する。
【0038】
次に、本実施形態における処理フローについて説明する。本実施形態では、品質指標および環境負荷量の算出フローとこれらを用いた分析フローの2つを例示する。なお、これら各処理フローについては、図2に示す構成を処理主体として説明する。
【0039】
図4は、本実施形態における品質指標および環境負荷量の算出フローを示すフローチャートである。ステップS1において、通信部213が、各端末装置、特に、発注先端末装置231~233のそれぞれから、該当の発注元が提供する部品における品質情報および環境負荷情報を受信する。
【0040】
このために、発注先端末装置231~233は、製造などの提供過程(工程)ごとの品質情報および環境負荷情報を取得する。また、発注先端末装置231~233は、品質情報および環境負荷情報に対する前処理を施す。この前処理には、サーバ装置210でこれらを扱われるための標準化を含むいわゆるデータクレンジングが含まれる。そして、発注先端末装置231~233は、前処理された品質情報および環境負荷情報を、サーバ装置210に送信する。この結果、ステップS1では、通信部213が、前処理されサーバ装置210が扱える形式の品質情報および環境負荷情報を受信することになる。
【0041】
また、ステップS2において、品質指標算出部212aが、発注先端末装置231~233のそれぞれから受信した品質情報に基づいて、品質指標を算出する。なお、品質指標の算出には、品質情報の集計、変換、流用などが含まれる。そして、品質指標算出部212aが、この品質指標を品質データ211aとして記憶部211に記憶する。
【0042】
また、環境負荷量算出部212bが、発注先端末装置231~233のそれぞれから受信した環境負荷情報に基づいて、環境負荷量を算出する。なお、ステップS2においては、環境負荷量の算出に限定して実行してもよい。そして、環境負荷量算出部212bが、この環境負荷量を環境負荷データ211eとして記憶部211に記憶する。なお、環境負荷量の算出には、環境負荷情報の集計、変換、流用などが含まれる。
【0043】
また、ステップS3において、画面データ作成部212dが、画面データとして、ステップS2で算出された品質指標および環境負荷量を含む実績集計画面を作成する。そして、ステップS4において、通信部213が、作成された画面データを出力する。例えば、通信部213が、通信回線240を介して、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つに画面データを出力する。この結果、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つにおいて、画面データである実績集計画面を表示することになる。つまり、通信部213の出力により、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つに画面データを表示させることになる。ここで、より望ましくは、通信部213の出力により、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つにおいては、同一画面上に、品質指標および環境負荷量を表示させる構成を採用できる。この表示については、図7を用いて後述する。
【0044】
以上で、図4の説明を終わり、次に、品質指標および環境負荷量を用いた分析フローについて説明する。図5は、本実施形態における品質指標および環境負荷量を用いた分析フローを示すフローチャートである。本例では、品質指標および環境負荷量として、部品についての各工程における品質指標および環境負荷量を用いる。
【0045】
図5において、ステップS1およびステップS2は、図4と同様の処理である。但し、ステップS2においては、品質指標算出部212aが、品質指標として、各工程の品質指標を算出する。これは、発注先ごとの品質指標であってもよいし、複数の発注先で共通する工程をまとめた品質指標であってもよい。さらに、環境負荷量算出部212bが、環境負荷量として、各工程の環境負荷量を算出する。これは、発注先ごとの環境負荷量であってもよいし、複数の発注先で共通する工程をまとめた環境負荷量であってもよい。
【0046】
また、ステップS5において、製造現場改善ソリューション評価部212cが、ステップS2で算出された品質指標を用いて、品質指標が最も悪い工程およびその指標値を抽出する。なお、最も悪い工程は、複数であってもよいし、その指標値が予め定められた閾値以下など所定条件を満たす工程としてもよい。品質指標が最も悪い工程、もしくは、これら所定条件を満たす工程をボトルネック(BN)工程と称することができる。この所定条件として、本実施形態では、品質指標条件情報211bを用いることができる。
【0047】
また、ステップS6において、製造現場改善ソリューション評価部212cが、ステップS2で算出された環境負荷量を用いて、環境負荷量が最も悪い工程およびその負荷量を抽出する。なお、最も悪い工程は、複数であってもよいし、その負荷量が予め定められた閾値以下など所定条件を満たす工程としてもよい。環境負荷量が最も悪い工程、もしくは、これら所定条件を満たす工程もBN工程と称することができる。
【0048】
なお、製造現場改善ソリューション評価部212cは、ステップS5およびステップS6の結果を用いて、BN工程を特定してもよい。この場合、製造現場改善ソリューション評価部212cは、ステップS5およびステップS6のそれぞれで抽出された結果を、BN工程候補とする。そして、製造現場改善ソリューション評価部212cは、BN工程候補の指標値および負荷量を用いて、BN工程を特定する。例えば、製造現場改善ソリューション評価部212cは、指標値および負荷量をパラメータとする算出式を用いて、その算出値に応じて、BN工程を特定する。
【0049】
また、ステップS7において、画面データ作成部212dが、画面データとして、ステップS5およびステップS6の結果を含む分析結果画面を作成する。この画面データには、ステップS2で算出された品質指標および環境負荷量を含まれることが望ましい。
【0050】
そして、ステップS4において、通信部213が、作成された画面データを出力する。例えば、通信部213が、通信回線240を介して、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つに画面データを出力する。この結果、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つにおいて、画面データである実績集計画面を表示することになる。つまり、通信部213の出力により、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つに画面データを表示させることになる。ここで、より望ましくは、通信部213の出力により、発注元端末装置220、発注先端末装置231~233の少なくとも1つにおいては、同一画面上に、ステップS5およびステップS6の分析結果や品質指標および環境負荷量を表示させる構成を採用できる。
【0051】
ここで、ステップS8での出力に応じた、端末装置での表示画面について説明する。図6は、本実施形態における表示画面の第1の例を示す図である。図6では、品質指標として該当の部品における合格率を用いる。つまり、図6の上部に、部品の工程ごとの合格率を示す棒グラフが表示される。この例では、合格率が最低の工程CがBN工程として表示されている。
【0052】
また、図6の下部には、部品の工程ごとの環境負荷量を示す棒グラフが表示される。この例では、環境負荷量が最大(負荷が大きい)の工程CがBN工程として表示されている。なお、環境負荷量としては、CO2排出量や化学物質の排出量などを用いることができる。以上のように、図6では、分析結果である品質指標の一種である合格率および環境負荷量を、同一画面上に表示している。さらに、これらに加えもしくは代えては、品質指標および環境負荷量そのものを同一画面上に表示してもよい。またさらに、図6の表示内容に加え、もしくはこれに代えて、合格率および環境負荷量をまとめた総合分析結果を表示してもよい。なお、図6は、発注先の発注先端末装置231~233に特化した表示としてもよい。この場合、各発注先端末装置231~233では、自身の工程に限定した情報を表示する構成としてもよい。なお、図6に示す情報については、製造現場改善ソリューション評価部212cが、品質データ211aおよび環境負荷データ211eとして記憶部211に記憶する。
【0053】
以上の図6では、品質指標の一例である合格率と、環境負荷量の両方を表示する表示画面を用いる。これは、品質と環境の両面で工程を評価するためである。一方のみを表示した場合、工程について一面的な評価しかできない。例えば、品質のみを表示した場合、ある工程がBN工程であっても、環境面では優れた工程であることもあり得る。そこで、図6のように品質指標(合格率)と環境負荷量の両方を表示することで、利用者は直感的に、また、多面的・総合的にBN工程を把握することできる。このため、本表示画面により、利用者に対し、BN工程の改善のための検討を支援することが可能となる。また、品質指標が改善余地のある工程は、その工程において、無理や無駄がある可能性を示唆しており、その工程を改善することで、環境負荷量も改善できる可能性がある。品質指標と環境負荷量を同時に表示することで、品質指標を改善することで環境負荷量も改善できる気づきを与えることができる。さらに、品質指標のBN工程と環境負荷量のBN工程が一致する場合、その工程の改善効果が特に大きいことを意味しており、そのような工程から優先して対策に取り組むことで、品質向上、環境負荷低減の効果を得やすい。
【0054】
図7は、本実施形態における表示画面の第2の例を示す図である。図7では、分析結果として、製品の部品表および製品を構成する各部品の分析結果を表示している。図7の左部には、製品(PR01)の部品表が表示されている。つまり、製品(PR01)は、部品(P001)(P002)および(P003)で構成され、部品(P002)が部品(P201)および部品(P202)で構成される。
【0055】
また、図7の右部には、各部品の部品番号、種別、取引先、工程合格率、製造LT、価格、環境負荷量、品質指標BN工程および環境負荷BN工程の各項目を有する一覧表が表示される。まず、部品番号は、部品を識別する項目である。また、種別は、該当の部品の種別を示す項目である。取引先は、該当の部品の取引先(発注先や発注元)を示す項目であり、参加企業情報211dを用いて特定される。また、工程合格率は、該当の部品の各項目における合格率の平均やBN工程における合格率など合格率の代表値を示す項目である。また、製造LTは、該当の部品の製造におけるリードタイムを示す項目である。ここで、合格率および製造LTは、ステップS2で算出される品質指標の例である。
【0056】
また、価格は、該当の部品における価格を示す項目であり、その原価や販売価格を用いることができる。また、環境負荷量は、ステップS2で算出される環境負荷量を示す項目である。但し、この環境負荷量としては、該当の部品の製造全体における環境負荷量としてもよいし、BN工程における環境負荷量としてもよい。つまり、環境負荷量として、該当の部品における環境負荷量の代表値を用いることができる。
【0057】
また、品質指標BN工程は、該当の部品における品質指標におけるボトルネック(BN)工程を示す項目である。さらに、環境負荷BN工程は、該当の部品における環境負荷量におけるボトルネック(BN)工程を示す項目である。そして、品質指標BN工程および環境負荷BN工程については、それぞれステップ5およびステップS6で抽出された工程が用いられる。なお、図7に示す情報については、製造現場改善ソリューション評価部212cが、品質データ211aおよび環境負荷データ211eとして記憶部211に記憶する。
【0058】
以上のように、図7では、分析結果である品質指標の一種である合格率や製造LTおよび環境負荷量を、同一画面上に表示している。さらに、これらに加え品質指標および環境負荷量でのBN工程も同一画面上に表示している。
【0059】
まず、品質指標と環境負荷量を同一画面上に表示することで、品質面と環境面を多面的な評価を行うことができる。例えば、図7の板金に関わる部品(P001)と部品(P003)の工程合格率については、それぞれ95.0%と97.5%とであり、部品(P003)が有利である。但し、部品(P001)と部品(P003)の環境負荷量については、それぞれ3.1と3.8であり、部品(P001)が有利である。このため、発注元にて、品質面を重要視する場合には部品(P001)を選択、環境面を重視する場合には部品(P003)を選択、とニーズに合った選択が可能になる。
【0060】
また、これらに加え品質指標および環境負荷量でのBN工程も表示することで、環境負荷BN工程が同じ種類の部品同士で、その環境負荷量を比較することができる。BN工程における環境負荷量は、その工程の種類(例えば、接合、塗装、熱処理など)に依存することがある。つまり、その工程で求められる物理的、化学的な前提条件から、一定水準以上の環境負荷量にせざるを得ない場合がある。例えば、図7に記載した部品の環境負荷BN工程と環境負荷量に着目すると、環境負荷BN工程が塗装工程である部品(P001、P003)は、環境負荷BN工程が接合工程である部品(P201、P202)よりも環境負荷量が多く、環境負荷BN工程が熱処理工程である部品(P002)は、環境負荷BN工程が塗装工程である部品(P001、P003)よりも環境負荷量が多い傾向がある。部品(P001)の環境負荷量は3.1、部品(P201)の環境負荷量は1.1であり、部品(P001)の環境負荷の水準が悪いように見えるが、同じ環境負荷BN工程をもつ部品(P003)よりも環境負荷の水準が低いことが分かる。環境負荷工程が同種の発注先を比較することで、工程で求められる物理的、化学的な前提条件を考慮した上で、環境負荷量の改善余地がある部品を選択することが可能になる。
【0061】
また、品質指標および環境負荷量でのBN工程を表示することで、サプライチェーン全体におけるBN工程を把握できる。図7の例では、品質指標BN工程および環境負荷BN工程として、接合工程および塗装工程が共に3工程(最大数)ずつ挙げられている。特に、環境負荷BN工程として、接合工程および塗装工程が共に2工程(最大数)ずつ挙げられている。このため、サプライチェーン全体として、特に環境面において、接合工程および塗装工程の改善が求められることが把握できる。
【0062】
なお、図7の表示画面は、発注元端末装置220(発注元)に限定的に表示することが望ましいが、発注先端末装置231~233に表示してもよい。前者については、各発注先の部品の情報を総合的に表示することが望ましく、後者については自身(発注先)に関する部品に限定的に表示することが望ましい。
【0063】
さらに、発注先端末装置231~233では、自身に関する部品として、該当の発注先の部品そのものや自身の部品と同様の他発注先の部品が含まれる。図7に示す表示により、利用者は製品全体、つまり、サプライチェーンにおける環境負荷や品質について、総合的に把握することが可能になる。この結果、本実施形態では、BN工程の改善の検討を支援することができる。
【0064】
以上で、本実施形態の表示画面の説明を終わり、次に、本実施形態の他のバリエーションについて説明する。まず、製造現場改善ソリューション評価部212cの機能について、説明する。製造現場改善ソリューション評価部212cでは、部品の提供についての効率化、つまり、改善を促すための処理を行う。この改善には、BN工程の改善が含まれる。このために、製造現場改善ソリューション評価部212cは、特定されたBN工程とその指標量ないし負荷量に基づき、記憶部211の製造現場改善ソリューション情報211cから改善案を示すソリューションを特定する。
【0065】
そして、通信部213が、特定されたソリューションを、発注元端末装置220および発注先端末装置231~233の少なくとも1つに出力する。この結果、発注元端末装置220および発注先端末装置231~233の少なくとも1つは、自身の出力部に、該当のソリューションを表示する。この結果、利用者は、BN工程に対する改善案を確認できる。さらに、製造現場改善ソリューション情報211cは、利用者が発注元端末装置220および発注先端末装置231~233を介して入力された改善案を評価する機能を有してもよい。
【0066】
次に、サーバ装置210についての図3とは別の実装例について、説明する。図8は、本実施形態におけるサーバ装置210を社内システムとして実現した一例を示す図である。図8において、サーバ装置210は、発注元の社内システムとして実現している。このため、サーバ装置210は、通信回線240の一例である発注元のイントラネット242を介して、発注元端末装置220と接続される。なお、図8では、発注元端末装置220を2台記載したが、これの台数は限定されない。さらに、サーバ装置210は、発注元の社内システムに限定されず、第三者が運用するデータセンタに設け、いわゆるクラウドシステムで実現されてもよい。
【0067】
また、イントラネット242は、インターネットのような広域ネットワーク241を介して、発注先の生産管理システムと接続される。発注先の生産システムそれぞれは、発注先端末装置231~233および生産管理サーバ251~253を有する。そして、発注先端末装置231~233および生産管理サーバ251~253のいずれから自身の品質情報や環境負荷情報を、サーバ装置210に対して送信する。この結果、サーバ装置210は、上述の各処理を実行する。以下、サーバ装置210の構成について説明する。
【0068】
サーバ装置210は、環境負荷管理装置の実現例であり、コンピュータとして構成できる。このため、サーバ装置210は、処理装置801、通信装置802、主記憶装置803および補助記憶装置804を有し、これらは通信路を介して互いに接続されている。
【0069】
まず、処理装置801は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサで実現でき、図3のプロセッサ301に相当する。また、処理装置801は、後述する補助記憶装置804に記憶されているサプライチェーン管理プログラム805に従って演算を実行する。
【0070】
また、通信装置802は、図2の通信部213や図3の通信部213に相当し、イントラネット242や広域ネットワーク241といった通信回線(ネットワーク)と接続するインターフェース機能を有する。つまり、通信装置802は、発注元端末装置220での利用者からの入力を受け付けたり、発注元端末装置220で表示する内容を出力したりする。
【0071】
また、主記憶装置803および補助記憶装置804は、図2の記憶部211や図3の主記憶部302および補助記憶部303に相当する。そして、主記憶装置803は、補助記憶装置804に記憶されているサプライチェーン管理プログラム805や処理装置801での処理に用いられる情報が展開される。また、補助記憶装置804は、いわゆるストレージで実現できる。そして、補助記憶装置804は、サプライチェーン管理プログラム805、品質データ211a、品質指標条件情報211b、製造現場改善ソリューション情報211c、参加企業情報211dおよび環境負荷データ211eを記憶する。また、補助記憶装置804は、外付けのHDD、SSD、メモリカードなどの各種記憶媒体で実現できる。また、補助記憶装置804は、ファイルサーバのようにサーバ装置210とは別装置で実現してもよい。
【0072】
ここで、サプライチェーン管理プログラム805は、その機能ごとに、品質指標算出モジュール806、環境負荷量算出モジュール807、製造現場改善ソリューション評価モジュール808および画面データ作成モジュール809を有する。なお、これら各モジュールは、個別のプログラムや一部の組合せで実現してもよい。また、サプライチェーン管理プログラム805は、製品の生産を管理する生産管理プログラムの一機能として実現してもよい。さらに、画面データ作成モジュール809は、サーバ装置210のOS(Operating System)の機能として実現してもよい。
【0073】
また、各モジュールは、以下に示す図2の各部を同一の機能を有する。
品質指標算出モジュール806:品質指標算出部212a
環境負荷量算出モジュール807:環境負荷量算出部212b
製造現場改善ソリューション評価モジュール808:製造現場改善ソリューション評価部212c
画面データ作成モジュール809:画面データ作成部212d
このため、処理装置801は、サプライチェーン管理プログラム805に従って、本実施形態における品質指標算出部212a~画面データ作成部212dの処理を実行することになる。また、サプライチェーン管理プログラム805は、記憶媒体に格納されることが可能である。
【0074】
なお、これら各モジュールは、個別のプログラムで構成されてもよいし、その一部の組合せで構成されるプログラムで実現してもよい。また、サーバ装置210に含まれるハードウェアの一部または全部については、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などで代替してもよい。また、ハードウェアの一部または全部を通信回線上のサーバに集中または分散してクラウド配置し、複数の利用者がイントラネット242や広域ネットワーク241を介して共同作業してもよい。
【0075】
また、本実施形態の各処理は、発注先端末装置231~233もしくは生産管理サーバ251~253で実行することが可能である。このための構成を、発注先端末装置231~233(以下、発注先端末装置230と略記する)を例に説明する。図9は、本実施形態における発注先端末装置230の機能ブロック図である。図9に示す発注先端末装置230は、図2に示すサーバ装置210と同様の処理を実行するため、ほぼ同様の構成を有する。つまり、発注先端末装置230は、記憶部31、演算部32、通信部33、入力部34および出力部35を有する。記憶部31は、品質データ211a、品質指標条件情報211b、製造現場改善ソリューション情報211c、参加企業情報211dおよび環境負荷データ211eとの各情報を記憶する。これは、図2の記憶部211と同様であるが、各情報は、該当の発注元の情報に限定してもよい。
【0076】
また、演算部32は、品質指標算出部32a、環境負荷量算出部32b、製造現場改善ソリューション評価部32cおよび画面データ作成部32dを有し、図1の演算部212と同様に処理を実行する。つまり、品質指標算出部32a、環境負荷量算出部32b、製造現場改善ソリューション評価部32cおよび画面データ作成部32dのそれぞれは、品質指標算出部212a、環境負荷量算出部212b、製造現場改善ソリューション評価部212cおよび画面データ作成部212dと同様の機能を有する。但し、演算部32は、該当の発注先の部品に関する処理を限定的に行ってもよいし、他の発注先の部品も含む処理(サーバ装置210と同様の処理)を実行してもよい。前者の処理については、発注先端末装置230単体で実行できる。
【0077】
また、通信部33は、通信回線240接続し、他の発注先端末装置230や発注元端末装置220と接続する。さらに、入力部34や出力部35は、発注元端末装置220で説明したものと同様である。
【0078】
以上で、本実施形態の説明を終わるが、本発明はこれらに限定されない。例えば、本実施形態では、発注先端末装置230側では、品質情報や環境負荷情報に対し、データクレンジングを行い、サーバ装置210にアップロードしているが、サーバ装置210の処理の一部を実行してアップロードしてもよい。例えば、発注先端末装置230が、品質指標や環境負荷量の算出を実行してもよい。さらに、本実施形態のサーバ装置210を、サプライチェーンを管理するサプライチェーン管理装置として実現してもよいし、製品の生産を管理する生産管理システムとして実現してもよい。
【符号の説明】
【0079】
100…サプライチェーン、110…発注元、121…第1層発注先、122…第2層発注先、123…第N層発注先、200…環境負荷管理システム、210…サーバ装置、211…記憶部、211a…品質データ、211b…品質指標条件情報、211c…製造現場改善ソリューション情報、211d…参加企業情報、211e…環境負荷データ、212…演算部、212a…品質指標算出部、212b…環境負荷量算出部、212c…製造現場改善ソリューション評価部、212d…画面データ作成部、213…通信部、220…発注元端末装置、231~233…発注先端末装置、301…プロセッサ、302…主記憶部、303…補助記憶部、304…入出力I/F、305…通信I/F、306…バス、307…Webアプリ、311…記憶部、312…演算部、313…通信部、314…表示部、315…入力部、351…プロセッサ、352…主記憶部、353…補助記憶部、354…入出力I/F、355…通信I/F、356…バス、357…Webブラウザ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9