(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024090852
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】海島複合繊維およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
D01F 8/14 20060101AFI20240627BHJP
D01F 8/10 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
D01F8/14 Z
D01F8/10 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207010
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000001085
【氏名又は名称】株式会社クラレ
(71)【出願人】
【識別番号】591121513
【氏名又は名称】クラレトレーディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179969
【弁理士】
【氏名又は名称】駒井 慎二
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 康平
(72)【発明者】
【氏名】小野木 祥玄
(72)【発明者】
【氏名】勝谷 郷史
(72)【発明者】
【氏名】山田 佳実
(72)【発明者】
【氏名】細木 朋哉
【テーマコード(参考)】
4L041
【Fターム(参考)】
4L041AA07
4L041AA08
4L041AA14
4L041AA18
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA16
4L041BA17
4L041BA60
4L041BC02
4L041BC06
4L041BC20
4L041BD20
4L041CA11
4L041CA44
4L041DD01
4L041DD08
(57)【要約】
【課題】偏光依存性の散乱機能を有し、液晶表示装置の輝度および光利用効率の向上が可能な光学フィルムに用いる複合繊維およびその製造方法を提供すること
【解決手段】島成分が複屈折性熱可塑性樹脂、海成分が親水性熱可塑性樹脂を含み、前記島成分の直径が1μm以下である海島複合繊維
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
島成分が複屈折性熱可塑性樹脂、海成分が親水性熱可塑性樹脂を含み、前記島成分の直径が1μm以下である海島複合繊維。
【請求項2】
前記島成分の配向度が0.90以上である請求項1に記載の海島複合繊維。
【請求項3】
前記複屈折性熱可塑性樹脂がポリエステルである請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
【請求項4】
前記海島複合繊維中の前記海成分の質量が50質量%以上である請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
【請求項5】
単位断面積当たりの島成分個数が1,000,000個/mm2以上である請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
【請求項6】
前記親水性熱可塑性樹脂の絶乾時融点と湿潤時融点が下記式(1)を満たす請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
Tm-dry>Tm-wet+50℃ (1)
式(1)中、Tm-dryは絶乾時融点(℃)、Tm-wetは湿潤時融点(℃)を表す。
【請求項7】
前記湿潤時融点が前記複屈折性熱可塑性樹脂の湿潤時ガラス転移温度よりも低い請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
【請求項8】
前記親水性熱可塑性樹脂が水溶性樹脂である請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
【請求項9】
前記水溶性樹脂がビニルアルコール樹脂である請求項8に記載の海島複合繊維。
【請求項10】
前記親水性熱可塑性樹脂の湿熱下フィルム化温度が、前記複屈折性熱可塑性樹脂の配向緩和温度以下である請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維。
【請求項11】
海成分となる親水性熱可塑性樹脂と島成分となる複屈折性熱可塑性樹を各々独立に溶融し、それぞれが海成分、島成分となるよう紡出する請求項1または請求項2に記載の海島複合繊維の製造方法。
【請求項12】
前記紡出の後、得られた糸条を延伸する請求項11に記載の海島複合繊維の製造方法。
【請求項13】
前記延伸の延伸倍率が1.5倍以上である請求項12に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は海島複合繊維および該海島複合繊維の製造方法に関する。
【0002】
繊維の特性の改良または他の性質の付加を目的として、海島構造を有する複合繊維の開発が行われている。たとえば特許文献1には、ポリエステルの染色性を改良する目的で水溶性熱可塑性ポリビニルアルコールを海成分とし、島成分には常圧環境下でカチオン染料および分散染料に対して濃色性を示すポリエステルを形成した海島型複合繊維が開示されている。
【0003】
また最近では、偏光を制御する光学システムに適用できる光学フィルムに複合繊維を用いることが検討されている。
例えば、特許文献2には散乱繊維を充填剤中に配向して配置した複合繊維をポリマーマトリックス中に配置した光学フィルムが提案されている。
【0004】
特に液晶テレビ、スマートフォンなどの液晶表示装置に用いられる偏光フィルムの需要が高くなっていることから、偏光フィルムのさらなる改良が要望されている。現在用いられている偏光フィルムでは理論上50%の光が吸収され、この吸収が液晶表示の輝度低下、消費電力の上昇を招くと考えられている。このような偏光フィルムの課題の改良方法の一つとして、複合繊維を用いた光学フィルムの検討が注目を集めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-005578号公報
【特許文献2】特表2008-531865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献2に記載の複合繊維を用いた光学フィルムでは、反射光が大きく、光学性能は未だ十分ではなかった。したがって、偏光依存性の散乱機能を有し、液晶表示装置の輝度および光利用効率の向上が可能な光学フィルムに用いられる複合繊維の開発が求められている。
【0007】
本発明の目的は偏光依存性の散乱機能を有し、液晶表示装置の輝度および光利用効率の向上が可能な光学フィルムに用いる複合繊維およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明は、
[1]
島成分が複屈折性熱可塑性樹脂、海成分が親水性熱可塑性樹脂を含み、前記島成分の直径が1μm以下である海島複合繊維、
に関する。
【0009】
さらに本発明は好ましい形態として、
[2]
前記島成分の配向度が0.90以上である前記[1]に記載の海島複合繊維、
[3]
前記複屈折性熱可塑性樹脂がポリエステルである前記[1]または[2]に記載の海島複合繊維、
[4]
前記海島複合繊維中の前記海成分の質量が50質量%以上である前記[1]から[3]のいずれかに記載の海島複合繊維、
[5]
単位断面積当たりの島成分個数が1,000,000個/mm2以上である前記[1]から[4]のいずれかに記載の海島複合繊維、
[6]
前記親水性熱可塑性樹脂の絶乾時融点と湿潤時融点が下記式(1)を満たす前記[1]から[5]のいずれかに記載の海島複合繊維、
Tm-dry>Tm-wet+50℃ (1)
式(1)中、Tm-dryは絶乾時融点(℃)、Tm-wetは湿潤時融点(℃)を表す。
[7]
前記湿潤時融点が前記複屈折性熱可塑性樹脂の湿潤時ガラス転移温度よりも低い前記[1]から[6]のいずれかに記載の海島複合繊維、
[8]
前記親水性熱可塑性樹脂が水溶性樹脂である前記[1]から[7]のいずれかに記載の海島複合繊維、
[9]
前記水溶性樹脂がビニルアルコール樹脂である前記[8]に記載の海島複合繊維、および
[10]
前記親水性熱可塑性樹脂の湿熱下フィルム化温度が、前記複屈折性熱可塑性樹脂の配向緩和温度以下である前記[1]から[9]のいずれかに記載の海島複合繊維。
に関する。
【0010】
また本発明は、
[11]
海成分となる親水性熱可塑性樹脂と島成分となる複屈折性熱可塑性樹を各々独立に溶融し、それぞれが海成分、島成分となるよう紡出する前記[1]から[10]のいずれかに記載の海島複合繊維の製造方法、および
[12]
前記紡出の後、得られた糸条を延伸する前記[11]に記載の海島複合繊維の製造方法、
[13]
前記延伸の延伸倍率が1.5倍以上である前記[12]に記載の製造方法。
に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、偏光依存性の散乱機能を有し、液晶表示装置の輝度および光利用効率の向上が可能な光学フィルムに用いる複合繊維およびその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の海島複合繊維(以下、「複合繊維」と記す。)は海島構造を有し、島成分は複屈折性熱可塑性樹脂を、海成分は親水性熱可塑性樹脂を含み、前記島成分の直径は1μm以下である。
島成分が含む複屈折性熱可塑性樹脂とは、複屈折性を示す熱可塑性樹脂であり、固有複屈折値は正でも負でもよい。
固有複屈折値が正の樹脂は、通常、固有複屈折値が正の重合体を含む。この重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド等のポリアリーレンサルファイド;ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリアリレート、セルロースエステル重合体、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリアリルサルホン、ポリ塩化ビニル;ノルボルネン重合体等の環状オレフィン重合体;棒状液晶ポリマーなどが挙げられる。
【0013】
固有複屈折値が負の樹脂は、通常、固有複屈折値が負の重合体を含む。この重合体としては、スチレン類化合物の単独重合体、スチレン類化合物と任意のモノマーとの共重合体を含むスチレン重合体、ポリアクリロニトリル重合体、ポリメチルメタクリレート重合体、あるいはこれらの多元共重合ポリマー、などが挙げられる。また、スチレン類化合物に共重合させうる前記任意のモノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、無水マレイン酸、メチルメタクリレート、およびブタジエンが挙げられる。
【0014】
前記複屈折性熱可塑性樹脂は、単独重合体でもよく、共重合体でもよい。
また、前記島成分はこれら複屈折性熱可塑性樹脂を1種類含んでもよく、2種類以上を任意の比率で含んでもよい。前記島成分は複屈折性熱可塑性樹脂以外の樹脂または他の成分を含んでも良い。他の成分としては、通常、熱可塑性樹脂に用いられる安定剤、添加剤等が挙げられる。
【0015】
島成分に含まれる複屈折性熱可塑性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルを含むことが好ましく、中でもポリエチレンテレフタレートがより好ましい。また、これらポリエステルは第3成分として、ブタンジオールのようなアルコール成分またはイソフタル酸等のジカルボン酸を共重合させた共重合体でも良く、さらにこれら各種ポリエステルの混合体でも良い。
【0016】
前記島成分の直径は1μm以下であり、本発明の複合繊維から光学フィルムとした時の偏光依存性の観点から、0.8μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましい。
なお、島成分の直径とは複合繊維を繊維方向に対して垂直に切断した面の島成分の直径であり、光学顕微鏡や電子顕微鏡により測定できる。
【0017】
前記島成分の個数は、本発明の複合繊維から得られる光学フィルムの偏光選択性の観点から、複合繊維の単位面積あたり1,000,000個/mm2以上が好ましく、2,000,000個/mm2以上がより好ましく、3,000,000個/mm2以上がさらに好ましい。
前記島成分の個数は、複合繊維を繊維方向に対して垂直に切断した時の切断面の単位面積当たりの個数であり、複合繊維を繊維方向に対して垂直に切断した時の切断面の島成分の個数を複合繊維の断面積で除することで求められる。
【0018】
前記海成分に含まれる親水性熱可塑性樹脂とは高分子鎖に親水性基を有する熱可塑性樹脂であり、親水性基としては、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アルコキシ基などが挙げられる。親水性熱可塑性樹脂はこれら親水性基を有する単量体の重合体または共重合体挙げられる。
親水性熱可塑性樹脂としては、例えば、アルキレンオキシドコポリマー、ポリエチレンオキシド-co-アルキレンオキシドコポリマー、ポリエチレンオキシド-アルキレンオキシドコポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリアクリル酸-co-アクリルアミド、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、エチレンオキシド-プロピレンオキシド-アリルグリシジルエーテル、ポリカプロラクトン-block-ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリスチレン-エチレンオキシド-ブロックコポリマー、ポリエピクロロヒドリン-co-エチレンオキシド、ポリエチレン-co-プロピレンオキシド、ポリエーテル-ポリオール、ポリエチレンオキシド-ポリプロピレンオキシド-ポリエチレンオキシド-トリブロックコポリマー、ポリホスファゼン-ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリアセチド-block-ポリエチレンオキシドコポリマー、ポリエチレンオキシド-block-ポリアミノ酸、プロピレングリコール-エチレングリコール重縮合物、ポリエチレンオキシド-co-プロピレンオキシド-co-ブチレンオキシド等が挙げられる。
【0019】
これら親水性熱可塑性樹脂のなかでも、水溶性の樹脂が好ましく、ビニルアルコール樹脂がより好ましい。
ビニルアルコール樹脂としては、ビニルエステル重合体のけん化物、ビニルエステルと共重合可能なモノマーとの共重合体のけん化物、またはビニルエステル重合体をけん化し主鎖にエチレンをグラフトしたグラフト重合体が挙げられる。
前記ビニルエステルは、例えば、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、バレリアン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル等を挙げることができる。これらのなかでも、酢酸ビニルが好ましい。
【0020】
前記ビニルエステルと共重合可能なモノマーとしては、例えば、エチレン;プロピレン、1-ブテン、イソブテン等の炭素数3から30のオレフィン;アクリル酸またはその塩;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸i-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸i-ブチル、アクリル酸t-ブチル、アクリル酸2-エチルへキシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクタデシル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸またはその塩;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸i-プロピル、メタクリル酸n-ブチル、メタクリル酸i-ブチル、メタクリル酸t-ブチル、メタクリル酸2-エチルへキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル等のメタクリル酸エステル;アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N-メチロールアクリルアミドまたはその誘導体等のアクリルアミド誘導体;メタクリルアミド、N-メチルメタクリルアミド、N-エチルメタクリルアミド、メタクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N-メチロールメタクリルアミドまたはその誘導体等のメタクリルアミド誘導体;N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルピロリドン等のN-ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、i-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、i-ブチルビニルエーテル、t-ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;酢酸イソプロペニル等が挙げられる。
これらの中でもエチレンまたは炭素数3から30のオレフィンが好ましく、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテンおよび1-ヘキセンが好ましい。
【0021】
ビニルアルコール樹脂としては、ビニルエステル重合体のけん化物であるポリビニルアルコール、ビニルエステルと共重合可能なモノマーとの共重合体のけん化物であるビニルアルコール共重合体が好ましく、ポリビニルアルコールおよびビニルアルコール共重合体がより好ましく、ビニルエステルとエチレンとの共重合体のけん化物(以下、「エチレン変性ポリビニルアルコール」とも記す。)がさらに好ましい。
【0022】
ポリビニルアルコールおよびエチレン変性ポリビニルアルコールの製造に用いられる前記ビニルエステルは1種または2種以上を用いてもよく、1種のビニルエステルを用いるのが好ましい。
ポリビニルアルコールまたはエチレン変性ポリビニルアルコールのけん化度は、溶融紡糸時の熱安定性の観点から、90モル%以上が好ましく、95モル%から99.9モル%がより好ましい。
エチレン変性ポリビニルアルコールの場合、エチレンの割合(以下、「エチレン変性率」とも記す。)は、溶融紡糸性や繊維物性の観点から、エチレン変性ポリビニルアルコールを構成する全構造単位のモル数に基づいて、0.1モル%以上20モル%以下であることが好ましく、5モル%以上15モル%以下であることがより好ましい。
【0023】
前記けん化度は、けん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位、典型的にはビニルエステルモノマー単位とビニルアルコール単位との合計モル数に対して、ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。
前記けん化度は、JIS K 6726-1994の記載に準じて測定することができる。
【0024】
前記エチレン変性率とはエチレン変性ポリビニルアルコールを構成する全構造単位を100モル%として、全構造単位に占めるエチレンに由来する構造単位の割合である。
エチレン変性率はIRまたはNMR測定により求めることができる。
【0025】
前記ポリビニルアルコールの重合度(粘度平均重合度)は、得られる光学フィルムの機械的強度と水溶性およびゲル化による複合繊維の不溶解化抑制の観点から、500以下が好ましく、450以下がより好ましい。重合度が大きすぎると、紡糸性の低下を招く場合がある。繊維間膠着を抑制し、複合繊維の機械的性能・品位の維持の観点から、重合度は200以上が好ましく、230以上がより好ましく、250以上が特に好ましい。
【0026】
なお重合度は、JIS K 6726-1994の記載に準じて測定される平均重合度を意味する。すなわち、本明細書において、重合度はポリビニルアルコールの残存エステル基を再けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η](単位:デシリットル/g)から、次式により求められる。
重合度Po = ([η]×104/8.29)(1/0.62)
【0027】
前記ビニルアルコール樹脂はスルホン酸基、スルホネート基、マレイン酸基、イタコン酸基、アクリル酸基およびメタクリル酸基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有してもよい。
なお、マレイン酸基とはマレイン酸から水酸基以外の水素を除いた残基のことであり、除かれる水素は水酸基以外であれば特に限定はない。イタコン酸基、アクリル酸基およびメタクリル酸基についても同様である。
【0028】
前記官能基はこれら官能基を有する単量体とビニルエステル単量体とを共重合し、得られたポリビニルエステル共重合体をけん化する方法、または予め合成したポリビニルアルコールに後からこれらの官能基を導入する方法等によりポリビニルアルコールAに官能基を導入することができる。
【0029】
スルホン酸基またはスルホネート基を含有する単量体は、ビニルエステルと共重合可能で、けん化後スルホン酸基またはその塩であるスルホネート基となるような単量体である。具体的には、2-アクリルアミド-2-エチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸などのオレフィンスルホン酸またはその金属塩などが挙げられる。なかでもビニルエステルとの反応性やけん化時の安定性などの点から、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸またはそのアルカリ金属塩が好ましい。
【0030】
スルホン酸基またはスルホネート基をポリビニルアルコールに後から導入してもよい。例えば、予め合成されたポリビニルアルコールをジメチルスルホキシド等の有機溶媒に溶解し、オルトベンズアルデヒドスルホン酸ナトリウムのような芳香族アルデヒドスルホン酸またはその塩と反応させ、ポリビニルアルコールの水酸基の部分をスルホン酸基またはその金属塩で変性してもよい。
この時、触媒としてパラトルエンスルホン酸のような芳香族スルホン酸を用いてもよい。
【0031】
マレイン酸基を含有する単量体は、ビニルエステルと共重合可能で、マレイン酸基が得られた共重合体に存在するものである。具体的には、マレイン酸またはその塩、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸エステル、無水マレイン酸またはその誘導体などが挙げられる。なかでもビニルエステルとの共重合反応やけん化時の安定性などの点から、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチルが好ましい。
【0032】
イタコン酸基を含有する単量体は、ビニルエステルと共重合可能で、イタコン酸基が得られた共重合体に存在するものである。具体的には、イタコン酸またはその塩、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸ジエチル等のイタコン酸エステル、無水イタコン酸またはその誘導体などが挙げられる。なかでもビニルエステルとの共重合反応やけん化時の安定性などの点から、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチルが好ましい。
【0033】
アクリル酸基を含有する単量体は、ビニルエステルと共重合可能で、アクリル酸基が得られた共重合体に存在するものである。具体的には、アクリル酸またはその塩、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸イソプロピル等のアクリル酸エステルなどが挙げられる。なかでもビニルエステルとの共重合反応やけん化時の安定性などの点から、アクリル酸、アクリル酸メチルが好ましい。
【0034】
メタクリル酸基を含有する単量体は、ビニルエステルと共重合可能で、メタクリル酸基が得られた共重合体に存在するものである。具体的には、メタクリル酸またはその塩、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸イソプロピル等のメタクリル酸エステルなどが挙げられる。なかでもビニルエステルとの共重合反応やけん化時の安定性などの点から、メタクリル酸、メタクリル酸メチルが好ましい。
【0035】
本発明の複合繊維中の海成分の量は、複合繊維の全質量を100%として、本発明の複合繊維から得られる光学フィルムの偏光選択性の観点から、50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましく、75質量%以上がさらに好ましい。また島成分の断面形成性の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
複合繊維中の海成分の量は、後述する複合繊維の製造において海成分に含まれる親水性熱可塑性樹脂および島成分に含まれる複屈折性熱可塑性樹脂のそれぞれの質量から求めることができる。
【0036】
前記親水性熱可塑性樹脂の絶乾時融点と湿潤時融点が下記式(1)を満たすのが好ましい。
Tm-dry>Tm-wet+50℃ (1)
なお式(1)中、Tm-dryは絶乾時融点(℃)、Tm-wetは湿潤時融点(℃)を表す。
前記式(1)を満たすことで、低温での湿熱フィルム化が可能になり、島成分に含まれる複屈折性熱可塑性樹脂の繊維形態を維持した光学フィルムが得られ、得られた光学フィルムの偏光性能が高くなる。
前記絶乾時融点とは相対湿度0%の時の融点であり、湿潤時融点とは飽和吸水時の融点である。
【0037】
前記親水性熱可塑性樹脂の絶乾時融点と湿潤時融点は下記式(2)を満たすのがより好ましく、下記式(3)を満たすのがさらに好ましい。
Tm-dry>Tm-wet+70℃ (2)
Tm-dry>Tm-wet+100℃ (3)
前記式(1)を満たす親水性熱可塑性樹脂としては、ビニルアルコール樹脂が挙げられる。
【0038】
前記親水性熱可塑性樹脂と前記複屈折性熱可塑性樹脂の組合せは、前記親水性熱可塑性樹脂の前記湿潤時融点が前記複屈折性熱可塑性樹脂の湿潤時ガラス転移温度(Tg)より低くなるような組み合わせが好ましい。このような組み合わせとすることで、湿潤条件下で本発明の複合繊維をフィルム化する際、島成分である複屈折性熱可塑性樹脂の配向緩和が抑制され、得られる光学フィルムの偏光性能が高くなる。
なお、湿潤時ガラス転移温度は水存在下での示差走査熱量計(DSC)で測定される。
前記親水性熱可塑性樹脂の前記湿潤時融点が前記複屈折性熱可塑性樹脂の湿潤時ガラス転移温度より5℃以上低いのが好ましく、8℃以上低いのがより好ましい。
かかる、親水性熱可塑性樹脂と複屈折性熱可塑性樹脂の組合せとしては、親水性熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール、複屈折性熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートの組合せが好ましい。
【0039】
海成分に含まれる前記親水性熱可塑性樹脂の融点は島成分に含まれる前記複屈折性熱可塑性樹脂の融点より低いのが好ましく、25℃以上低いのがより好ましい。融点差があることで本発明の複合繊維の海成分を溶融してフィルム化する際、島成分の配向緩和が抑制される。
また同様に、海成分に含まれる親水性熱可塑性樹脂の湿熱下フィルム化温度が、島成分に含まれる複屈折性熱可塑性樹脂の配向緩和温度以下であることが好ましい。
かかる親水性熱可塑性樹脂と複屈折性熱可塑性樹脂の組合せとしては、親水性熱可塑性樹脂としてエチレン変性ポリビニルアルコール、複屈折性熱可塑性樹脂としてポリエチレンテレフタレートの組合せが好ましい。
【0040】
本発明の複合繊維には上記以外に、通常用いられる可塑剤、架橋剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤、加工助剤、帯電防止剤、着色剤、耐衝撃助剤および発泡剤などの各種添加剤を添加してもよい。
【0041】
前記本発明の複合繊維は海成分となる前記親水性熱可塑性樹脂と島成分となる前記複屈折性熱可塑性樹を各々独立に溶融し、それぞれが海成分、島成分となるよう溶融紡糸装置を用いて口金より紡出する。溶融紡糸装置の口金の形状や大きさによって、得られる複合繊維の断面形状や径を任意に設定することができる。
【0042】
複合繊維の単糸あたり島数は、300個以上が好ましく、500個以上がより好ましく、700個以上がさらに好ましい。かかる島数とすることで、繊維の島径を細くすることができる。単糸あたり島数の上限値は特に限定されないが、例えば1000個以下であってもよい。単糸あたり島数は、任意の数の島成分を有した海島断面を形成する紡糸口金を使用して紡出することで制御することができる。
【0043】
複合繊維の繊維径は25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましい。かかる繊維径とすることで、繊維の島径を細くすることができる。このような繊維径とするために前記紡出後、得られた糸条を延伸するのが好ましい。糸条を延伸する場合、低速、中速で溶融紡糸した後に延伸する方法、高速による直接紡糸延伸法、紡糸後に延伸と仮撚を同時に、または続いて行うなどの方法を採用することができる。
【0044】
島成分の配向度は0.90以上が好ましく、0.93以上がより好ましく、0.95以上がさらに好ましい。かかる島成分の配向度とすることで、島成分と海成分の繊維配向方向の屈折率差を大きくすることができ、優れた偏光依存性の散乱機能を有する光学フィルムが得られる。島成分の配向度を上記範囲とする観点から、糸条を延伸する場合、延伸倍率は1.5倍以上が好ましく、1.8倍以上がより好ましい。また延伸温度は、80℃から120℃程度が好ましい。
また海成分に含まれる親水性熱可塑性樹に水溶性の樹脂を用いることで、海成分を水により溶脱することで島成分の単位面積当たりの個数を制御することができる。
【0045】
本発明の複合繊維を複数束ねて繊維束を作製し、前記繊維束における各前記複合繊維を互いに融着させ、フィルム状に成形することで光学フィルムが得られる。得られた光学フィルムは偏光依存性の散乱機能を有し、液晶表示装置の輝度および光利用効率の向上を可能とする。
【実施例0046】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値は以下の測定方法により測定される。
【0047】
[絶乾時融点(Tm-dry)]
海成分の絶乾時融点(Tm-dry)は、示差熱走査型熱量計[DSC-60(株式会社製島津製作所製)]を使用して、昇温速度10℃/分にて30℃から250℃まで昇温して測定した。なお、サンプルは一昼夜真空乾燥を行った複合繊維を使用し、対照サンプルとして複合繊維を70℃の熱水中に1時間浸漬して海成分を除去処理した後、一昼夜真空乾燥を行ったものを使用して測定した。
【0048】
[湿潤時融点(Tm-wet)]
海成分の湿潤時融点(Tm-wet)は、示差熱走査型熱量計[DSC-60(株式会社製島津製作所製)]を使用して、水存在下で昇温速度10℃/分にて30℃から250℃まで昇温して測定した。なお、サンプルは一昼夜真空乾燥を行った複合繊維を使用し、対照サンプルとして複合繊維を70℃の熱水中に1時間浸漬して海成分を除去処理した後、一昼夜真空乾燥を行ったものを使用して測定した。
【0049】
[湿潤時ガラス転移温度(Tg)]
島成分の湿潤時ガラス転移温度(Tg)は、示差熱走査型熱量計[DSC-60(株式会社製島津製作所製)]を使用して、水存在下で昇温速度10℃/分にて30℃から250℃まで昇温して測定した。なお、サンプルは複合繊維を70℃の熱水中に1時間浸漬して海成分を除去処理した後、一昼夜真空乾燥を行ったものを使用して測定した。
【0050】
[島成分の直径]
島成分の直径は、複合繊維1本の繊維方向に対して垂直に切断した面を走査型電子顕微鏡[JCM-6000Plus(日本電子株式会社製)]により観察し、ランダムに選択した島成分10個について直径を計測し、その平均値を島成分の直径とした。
【0051】
[単位断面積あたりの島成分の個数]
単位断面積あたりの島成分の個数は、複合繊維10本の繊維方向に対して垂直に切断した面を走査型電子顕微鏡[JCM-6000Plus(日本電子株式会社製)]により観察した。複合繊維の断面積を計測してその平均値を求め、島成分の個数を複合繊維の断面積で除することで、単位断面積あたりの島成分の個数を求めた。
【0052】
[島成分の配向度]
島成分の配向度は以下の測定装置、測定条件により測定し、3回測定の平均値を算出した。サンプルはヤーンを50から100本程度引き揃えた後、70℃の熱水中に1時間浸漬して海成分を除去処理したものを使用した。
測定装置:Bruker AXS社製、二次元検出器搭載X線回折装置「D8 Discover IμS」
検出器:2次元PSPC・VANTEC-500
X線源:Cu(波長=0.154nm)
測定条件:電流=1mA、電圧=50kV、カメラ距離=17cm、コリメーター径=0.5mm、露光時間=600sec、2θ(検出器位置)=0°、θ(サンプル位置)=0°、Psi(煽り角)=90°
次いで、上記方法で得られた子午線方向の2次元データを以下の条件で、方位角(β(°))方向のX線回折強度曲線に変換した。
2θ=17から18°、β=160から380°、ステップ幅=0.5°
最後に、上記方法で得られた強度図のピークの半価幅(W(°))を求め、簡易法により以下の式を用いて繊維の配向度を算出した。
配向度=(180-W)/180
【0053】
[偏光シグナル比]
偏光シグナル比は、偏光顕微分光システム[LVmicro V/KR(株式会社ラムダビジョン製)]により、複合繊維1本に対して波長550nmでの横偏光反射シグナルおよび縦偏光反射シグナルを計測し、その比(横偏光シグナル値/縦偏光シグナル値)を算出した。なお、偏光シグナル比が小さいほど、偏光性能が高いことを意味する。
【0054】
[島成分の断面形成性]
島成分の断面形成性は、複合繊維10本の繊維方向に対して垂直に切断した面を走査型電子顕微鏡[JCM-6000Plus(日本電子株式会社製)]により観察し、各複合繊維において島成分同士が接着している箇所を計測してその平均値を求め、以下の基準に基づき評価した。
◎:島成分同士の接着箇所が1箇所未満であり、非常に優れている。
○:島成分同士の接着箇所が1箇所以上5箇所未満であり、優れている。
△:島成分同士の接着箇所が5箇所以上10箇所未満であり、やや不良である。
×:島成分同士の接着箇所が10箇所以上であり、不良である。
島成分の断面形成性はシグナル比等の偏光性能に影響し、島成分同士の接着が少ないほど、偏光性能が高い。
【0055】
[実施例1]
海成分にエチレン-ポリビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、けん化度:98.5、エチレン含有量8.0モル%、重合度:380)を、島成分にイソフタル酸を10モル%共重合した固有粘度[η]0.59の変性ポリエチレンテレフタレートを用い、表1に示す海島比率に従い、海成分と島成分とをそれぞれ別々の押出し機で溶融させ、単糸あたり島数を726個有する海島断面の複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた。次いで、紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、冷却風装置から出てきた繊維に紡糸油剤を付与し、引き続いてローラーを介して2000m/分の引取り速度で巻き取って、30dtex/6フィラメントの複合繊維を得た。その後、延伸温度80℃、延伸倍率2.0倍で延伸を行い、15dtex/6フィラメントの複合繊維を得た。複合繊維の偏光シグナル比は十分に小さく、島成分の断面形成性も非常に優れており、優れた偏光性能を有していた。
【0056】
[実施例2]
延伸を行わなかった以外は、実施例1と同様にして複合繊維を得た。複合繊維の偏光シグナル比は小さく、島成分の断面形成性も非常に優れており、優れた偏光性能を有していた。
【0057】
[実施例3]
海島比率を変更した以外は、実施例1と同様にして複合繊維を得た。複合繊維の偏光シグナル比は小さく、島成分の断面形成性も優れており、優れた偏光性能を有していた。
【0058】
[比較例1]
海成分にエチレン-ポリビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製、けん化度:98.5、エチレン含有量8.0モル%、重合度:380)を、島成分にイソフタル酸を10モル%共重合した固有粘度、[η]、が0.59の変性ポリエチレンテレフタレートを用い、表1に示す海島比率に従い、海成分と島成分とをそれぞれ別々の押出し機で溶融させ、単糸あたり島数を36個有する海島断面の複合繊維を複合紡糸ノズルより吐出させた。次いで、紡糸口金より吐出された糸条を、長さ1.0mの横吹付け型冷却風装置により冷却した後、冷却風装置から出てきた繊維に紡糸油剤を付与し、引き続いてローラーを介して2000m/分の引取り速度で巻き取って、84dtex/24フィラメントの複合繊維を得た。その後、延伸温度80℃、延伸倍率1.5倍で延伸を行い、56dtex/24フィラメントの複合繊維を得た。複合繊維の偏光シグナル比は実施例1から3よりも大きく、島成分の断面形成性は非常に優れていたものの、偏光性能としては劣ったものであった。
【0059】
【0060】
前記結果から明らかなように、本発明の複合繊維は偏光シグナル比が小さく偏光子として用いたときの性能に優れる。
本発明の複合繊維から得られる光学フィルムは偏光依存性の散乱機能を有し、液晶表示装置の輝度および光利用効率の向上を可能とする。