(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091142
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】セラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240627BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240627BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20240627BHJP
H05K 1/03 20060101ALI20240627BHJP
H05K 3/12 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L23/12 D
H05K3/00 K
H05K1/03 610D
H05K3/12 610G
H05K3/12 610H
H05K3/12 610J
【審査請求】未請求
【請求項の数】30
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207632
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】長江 明子
(72)【発明者】
【氏名】勝又 雅昭
【テーマコード(参考)】
5E343
5F142
【Fターム(参考)】
5E343AA02
5E343AA23
5E343BB22
5E343BB24
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5F142CG05
5F142FA03
5F142FA30
5F142FA42
5F142FA48
(57)【要約】
【課題】パターン精度の高いセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】セラミックス焼結体基板の製造方法S1は、セラミックス基板を準備することS10と、セラミックス基板の第1面及び第2面にドライフィルムを貼り合わせることS30Bと、露光及び現像を行うことS35Aと、所定のパターンに形成されたドライフィルムを介してエッチング又はブラストすることS40と、第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部及び第2面の第2平面部よりも凹んだ第2凹部を形成することS45と、ドライフィルムを剥離することS50Aと、金属ペーストを配置することS50Bと、金属ペーストを焼成し金属部材を得ることS60と、を含み、第1凹部及び第2凹部を形成する前に、第1凹部及び第2凹部となる位置に、第1面と第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、第1凹部、第2凹部及び貫通孔に金属ペーストを配置する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持つセラミックス基板を準備することと、
前記セラミックス基板の前記第1面にドライフィルムを貼り合わせることと、
前記ドライフィルムを貼り合わせた前記セラミックス基板の前記第1面にマスクを介して露光及び現像を行うことと、
前記露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成された前記ドライフィルムを介して前記セラミックス基板の前記第1面をエッチング又はブラストすることと、
前記エッチング又はブラストすることにより、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部を形成することと、
前記セラミックス基板から前記ドライフィルムを剥離することと、
前記セラミックス基板の前記第1凹部内に金属ペーストを配置することと、
前記第1凹部に配置した前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることと、を含み、
前記第1凹部を形成する前に、前記第1凹部となる位置に、前記セラミックス基板の前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記第1凹部及び前記貫通孔に前記金属ペーストを配置する、セラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項2】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持つセラミックス基板を準備することと、
前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面にドライフィルムを貼り合わせることと、
前記ドライフィルムを貼り合わせた前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面にマスクを介して露光及び現像を行うことと、
前記露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成された前記ドライフィルムを介して前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面をエッチング又はブラストすることと、
前記エッチング又はブラストすることにより、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部及び前記セラミックス基板の前記第2面の第2平面部よりも凹んだ第2凹部を形成することと、
前記セラミックス基板から前記ドライフィルムを剥離することと、
前記セラミックス基板の前記第1凹部及び前記第2凹部内に金属ペーストを配置することと、
前記第1凹部及び前記第2凹部に配置した前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることと、を含み、
前記第1凹部及び前記第2凹部を形成する前に、前記第1凹部及び前記第2凹部となる位置に、前記セラミックス基板の前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に前記金属ペーストを配置する、セラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項3】
前記ドライフィルムを貼り合わせることの前に、前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に接着層を配置し、
前記ドライフィルムを貼り合わせることにおいて、前記接着層に前記ドライフィルムを貼り合わせ、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方をエッチング又はブラストすることにおいて、前記接着層もエッチング又はブラストする請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項4】
前記接着層は、光吸収部材を含有する請求項3に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項5】
前記ドライフィルムを貼り合わせることの前に、前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方と、前記ドライフィルムと、の間に光吸収層を配置する請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項6】
前記貫通孔は、前記ドライフィルムを貼り合わせる前に形成されている請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記接着層を配置して前記ドライフィルムを貼り合わせた後に、前記ドライフィルム、前記接着層及び前記セラミックス基板を貫通するように形成する請求項3に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項8】
前記ドライフィルムを剥離することの前に、前記第1凹部及び前記第2凹部内の少なくとも一方に前記金属ペーストを配置することを行う請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項9】
前記金属部材を得た後に、前記金属部材を研磨することをさらに行う請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項10】
前記エッチング又はブラストすることにより、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項11】
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、少なくとも活性金属粉体を含む請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項12】
前記活性金属粉体は、TiH2、CeH2、ZrH2、MgH2から選ばれる少なくとも1種である請求項11に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項13】
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、Cu、Cr、Ni、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項14】
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、さらに有機バインダを含む請求項13に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項15】
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、さらに、金属を除く複数個の無機フィラーを含む請求項13に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項16】
前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることにおいて、焼成温度は700℃以上1200℃以下である請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項17】
前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることにおいて、焼成雰囲気は真空雰囲気または99.9%以上のAr雰囲気である請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項18】
前記貫通孔の直径は、0.05mm以上0.5mm以下となるように形成する請求項1又は請求項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
【請求項19】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、
前記金属部材に発光素子を配置することと、を含み、
前記発光素子を配置することにおいて、前記金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する、発光装置の製造方法。
【請求項20】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、
前記金属部材に発光素子を配置することと、を含み、
前記発光素子を配置することにおいて、前記金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する、発光装置の製造方法。
【請求項21】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、
前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、
前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板。
【請求項22】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、
前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、
前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板。
【請求項23】
前記丸みは、前記貫通孔に沿って環状に形成されている請求項21又は請求項22に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項24】
前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記丸みは、2μm以上110μm以下の半径を有する請求項21又は請求項22に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項25】
前記セラミックス焼結体基板の厚み方向の断面視において、前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方は、前記貫通孔を除いて、湾曲状である請求項21又は請求項22に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項26】
前記第1凹部を画定する内面及び前記第2凹部を画定する内面の少なくとも一方は、算術平均粗さRaが200nm以上2μm以下である請求項21又は請求項22に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項27】
前記セラミックス焼結体基板の厚み方向の断面視において、前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方に配置された金属部材は、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部及び前記第2面の第2平面部の少なくとも一方と、同一平面をなす請求項21又は請求項22に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項28】
前記金属部材と前記セラミックス基板との接触部分に金属化合物層がある請求項21又は請求項22に記載のセラミックス焼結体基板。
【請求項29】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、
前記金属部材に配置される発光素子と、を備え、
前記発光素子は、前記金属部材に直接又は間接に電気的に接続されている発光装置。
【請求項30】
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、
前記金属部材に配置される発光素子と、備え、
前記発光素子は、前記金属部材に直接又は間接に電気的に接続されている発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非伝導性基材の上に高分子物質を使用してレジスト層を形成し、レーザービームを用いて微細パターン溝を形成した後、前記微細パターン溝に黒化伝導性パターンを形成している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態は、パターン精度の高いセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に開示されるセラミックス焼結体基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持つセラミックス基板を準備することと、前記セラミックス基板の前記第1面にドライフィルムを貼り合わせることと、前記ドライフィルムを貼り合わせた前記セラミックス基板の前記第1面にマスクを介して露光及び現像を行うことと、前記露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成された前記ドライフィルムを介して前記セラミックス基板の前記第1面をエッチング又はブラストすることと、前記エッチング又はブラストすることにより、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部を形成することと、前記セラミックス基板から前記ドライフィルムを剥離することと、前記セラミックス基板の前記第1凹部内に金属ペーストを配置することと、前記第1凹部に配置した前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることと、を含み、前記第1凹部を形成する前に、前記第1凹部となる位置に、前記セラミックス基板の前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、前記金属ペーストを配置することにおいて、前記第1凹部及び前記貫通孔に前記金属ペーストを配置する。
【0006】
また、実施形態に開示される他のセラミックス焼結体基板の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持つセラミックス基板を準備することと、前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面にドライフィルムを貼り合わせることと、前記ドライフィルムを貼り合わせた前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面にマスクを介して露光及び現像を行うことと、前記露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成された前記ドライフィルムを介して前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面をエッチング又はブラストすることと、前記エッチング又はブラストすることにより、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部及び前記セラミックス基板の前記第2面の第2平面部よりも凹んだ第2凹部を形成することと、前記セラミックス基板から前記ドライフィルムを剥離することと、前記セラミックス基板の前記第1凹部及び前記第2凹部内に金属ペーストを配置することと、前記第1凹部及び前記第2凹部に配置した前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることと、を含み、前記第1凹部及び前記第2凹部を形成する前に、前記第1凹部及び前記第2凹部となる位置に、前記セラミックス基板の前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、前記金属ペーストを配置することにおいて、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に前記金属ペーストを配置する。
【0007】
また、実施形態に開示される発光装置の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、前記金属部材に発光素子を配置することと、を含み、前記発光素子を配置することにおいて、前記金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する。
【0008】
また、実施形態に開示される他の発光装置の製造方法は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、前記金属部材に発光素子を配置することと、を含み、前記発光素子を配置することにおいて、前記金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する。
【0009】
また、実施形態に開示されるセラミックス焼結体基板は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている。
【0010】
また、実施形態に開示される他のセラミックス焼結体基板は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている。
【0011】
また、実施形態に開示される発光装置は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、前記金属部材に配置される発光素子と、を備え、前記発光素子は、前記金属部材に直接又は間接に電気的に接続されている。
【0012】
また、実施形態に開示される他の発光装置は、第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、前記金属部材に配置される発光素子と、備え、前記発光素子は、前記金属部材に直接又は間接に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0013】
本開示の実施形態によれば、パターン精度の高いセラミックス焼結体基板、発光装置及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板を例示する概略平面図である。
【
図1B】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板を例示する概略底面図である。
【
図1C】
図1AのIC-IC線における断面を例示する概略断面図である。
【
図2】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の断面の一部を拡大して例示する写真である。
【
図3】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図4】実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法における個片化前のセラミックス焼結体基板の集合体を例示する概略平面図である。
【
図5A】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、準備したセラミックス基板を例示する概略断面図である。
【
図5B】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、貫通孔を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図5C】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、ドライフィルムを貼り合わせた状態を例示する概略断面図である。
【
図5D】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、ドライフィルムの露光を行った状態を例示する概略断面図である。
【
図5E】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、ドライフィルムの現像を行った状態を例示する概略断面図である。
【
図5F】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【
図5G】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、ドライフィルムを剥離した状態を例示する概略断面図である。
【
図5H】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属ペーストを配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図5I】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、焼成した金属部材を例示する概略断面図である。
【
図5J】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属部材を研磨した状態を例示する概略断面図である。
【
図5K】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属部材にめっき層を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図5L】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、個片化したセラミックス焼結体基板を例示する概略断面図である。
【
図6】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板を例示する概略断面図である。
【
図7】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図8A】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【
図8B】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属ペーストを配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図8C】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、焼成した金属部材を例示する概略断面図である。
【
図8D】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属部材を研磨した状態を例示する概略断面図である。
【
図8E】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属部材にめっき層を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図8F】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、個片化したセラミックス焼結体基板を例示する概略断面図である。
【
図9】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板を例示する概略断面図である。
【
図10】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図11A】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、ドライフィルムの現像を行った状態を例示する概略断面図である。
【
図11B】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、レーザで凹部を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図11C】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【
図11D】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属ペーストを配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図11E】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、焼成した金属部材を例示する概略断面図である。
【
図11F】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属部材を研磨した状態を例示する概略断面図である。
【
図11G】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、金属部材にめっき層を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図11H】第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法において、個片化したセラミックス焼結体基板を例示する概略断面図である。
【
図12A】セラミックス焼結体基板の第1変形例を例示する概略断面図である。
【
図12B】セラミックス焼結体基板の第2変形例を例示する概略断面図である。
【
図13A】セラミックス焼結体基板の第3変形例を例示する概略断面図である。
【
図13B】セラミックス焼結体基板の第4変形例を例示する概略断面図である。
【
図14】セラミックス焼結体基板の第3変形例の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図15A】セラミックス焼結体基板の第3変形例の製造方法において、ドライフィルムを貼り合わせた状態を例示する概略断面図である。
【
図15B】セラミックス焼結体基板の第3変形例の製造方法において、ドライフィルムにレーザでパターンを形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図15C】セラミックス焼結体基板の第3変形例の製造方法において、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【
図16】セラミックス焼結体基板の第5変形例を例示する概略断面図である。
【
図17】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例を例示するフローチャートである。
【
図18A】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、貫通孔を形成した状態を例示する概略断面図である。
【
図18B】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、接着層を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図18C】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、ドライフィルムを貼り合わせた状態を例示する概略断面図である。
【
図18D】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、ドライフィルムの露光を行った状態を例示する概略断面図である。
【
図18E】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、ドライフィルムの現像を行った状態を例示する概略断面図である。
【
図18F】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【
図18G】第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、ドライフィルム及び接着層を剥離した状態を例示する概略断面図である。
【
図19】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例を例示するフローチャートである。
【
図20A】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【
図20B】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、金属ペーストを配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図20C】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、焼成した金属部材を例示する概略断面図である。
【
図20D】第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例において、金属部材を研磨した状態を例示する概略断面図である。
【
図21A】実施形態に係る発光装置を例示する概略平面図である。
【
図21B】
図21AのXXIB-XXIB線における断面を例示する概略断面図である。
【
図22A】実施形態に係る発光装置の発光素子を例示する概略平面図である。
【
図22B】実施形態に係る発光装置の発光素子を例示する概略底面図である。
【
図23】実施形態に係る発光装置の製造方法を例示するフローチャートである。
【
図24】実施形態に係る発光装置の製造方法における個片化前の発光装置の集合体を例示する概略平面図である。
【
図25A】実施形態に係る発光装置の製造方法において、準備したセラミックス焼結体基板の集合体を例示する概略断面図である。
【
図25B】実施形態に係る発光装置の製造方法において、導電性部材を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図25C】実施形態に係る発光装置の製造方法において、発光素子を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図25D】実施形態に係る発光装置の製造方法において、被覆部材を配置した状態を例示する概略断面図である。
【
図25E】実施形態に係る発光装置の製造方法において、個片化した発光装置を例示する概略断面図である。
【
図26A】発光装置の第1変形例を例示する概略断面図である。
【
図26B】発光装置の第2変形例を例示する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示に係る実施形態について図面を参照しながら説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、本開示に係る技術的思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、発明を以下のものに限定しない。一つの実施形態において説明する内容は、他の実施形態及び変形例にも適用可能である。また、図面は実施形態を概略的に示すものであり、説明を明確にするため、各部材のスケールや間隔、位置関係等を誇張し、あるいは、部材の一部の図示を省略している場合や断面図として切断面のみを示す端面図を用いる場合がある。各図において示す方向は、構成要素間の相対的な位置を示し、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。なお、同一の名称、符号については、原則として、同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。また、実施形態について、「覆う」とは直接接する場合に限らず、間接的に、例えば他の部材を介して覆う場合も含む。
【0016】
[第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板]
第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1について、
図1Aから
図2を参照しながら説明する。
図1Aは、セラミックス焼結体基板1を例示する概略平面図である。
図1Bは、セラミックス焼結体基板1を例示する概略底面図である。
図1Cは、
図1AのIC-IC線における断面を例示する概略断面図である。
図2は、セラミックス焼結体基板1の断面の一部を拡大して例示する写真である。
【0017】
セラミックス焼結体基板1は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持ち、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15があり、第1面10Aは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第1凹部11、及び、第2面10Bは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第2凹部12、を有するセラミックス基板10と、第1凹部11、第2凹部12及び貫通孔15に配置する金属部材16と、を有している。そして、貫通孔15の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分、及び、第2凹部12を画定する内面と貫通孔15との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている。また、ここでは、セラミックス基板10から露出する金属部材16を覆うめっき層17をさらに有している。以下、セラミックス焼結体基板1の各構成について説明する。なお、セラミックス焼結体基板は、セラミックス基板にある貫通孔に金属ペーストを配置して焼成することによってできたものを指す。
【0018】
(セラミックス基板)
セラミックス基板10は、金属部材16を配置する土台となる絶縁性の部材である。セラミックス基板は焼成され成形されており、焼成前の軟化状態のものではない。セラミックス基板はセラミックスを焼成して成形してもよく、市販品等を使用してもよい。セラミックス基板10は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを有している。第1面10Aは、第1平面部13と第1平面部13よりも凹んだ2つの第1凹部11とを有し、第2面10Bは、第2平面部14と第2平面部14よりも凹んだ2つの第2凹部12とを有している。第1平面部13及び第2平面部14は、それぞれが平らな面であり、セラミックス焼結体基板1の外表面の一部を構成している。
【0019】
ここでは、第1凹部11及び第2凹部12は、平面視において矩形状であり、長手方向と短手方向を有している。第1凹部11及び第2凹部12は、それぞれ2つずつが短手方向に並び、第1凹部11と第2凹部12とが対向するように配置されている。なお、第1凹部11及び第2凹部12は、平面視において角部が丸くてもよく、長手方向の端部の全体が曲線状であってもよい。
第1凹部11及び第2凹部12は、板厚方向の内側面を湾曲した面とし、貫通孔15に連続する凹部を画定する底面の一部を平面としている。セラミックス基板10の板厚方向の断面視において、第1凹部11及び第2凹部12は、貫通孔15に向かって中央側となる凹部を画定する底面の一部の平面以外では湾曲状となっている。なお、第1凹部11及び第2凹部12は、内側面から貫通孔15に連続する凹部を画定する底面を湾曲状としてもよい。例えば、セラミックス焼結体基板1の厚み方向の断面視において、第1凹部11及び第2凹部12は湾曲状とすることができる。
【0020】
第1凹部11内及び第2凹部12を画定する内面は、粗面化されていることが好ましい。粗面化により、第1凹部11及び第2凹部12に配置される金属部材16の剥がれを低減することができる。第1凹部11を画定する内面及び第2凹部12を画定する内面の算術平均粗さRaは、例えば200nm以上2μm以下とすることができ、300nm以上800nm以下が好ましい。算術平均粗さRaは、先端の曲率半径rが2μmのダイヤモンドスタイラスを備える触針式の表面粗さ計(例えば、株式会社小坂研究所製SE3500)を用い、JIS B 0601に準拠して測定してもよい。
なお、第1凹部11の孔径は、第1凹部11と第1平面部13との境界の径であり、第2凹部12の孔径は、第2凹部12と第2平面部14との境界の径である。また、第1凹部11及び第2凹部12は、平面視における形状が矩形である場合には、孔径というときには、対角線の長さをいうこととする。さらに、第1凹部11の孔径は貫通孔15の第1面10A側の孔径よりも大きく、第2凹部12の孔径は貫通孔15の第2面10B側の孔径よりも大きい。
【0021】
セラミックス基板10は、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15を有している。貫通孔15は、第1凹部11内及び第2凹部12内で第1凹部11及び第2凹部12と接続されている。
ここでは、一例として、第1凹部11及び第2凹部12の凹部を画定する底面に長手方向に3つの貫通孔15が並んで配置されている。3つの貫通孔15は、平面視において第2凹部12に対しては短手方向の中央に位置し、第1凹部11に対しては外側寄りに位置している。また、貫通孔15は、平面視において円形状であり、第1面10A側から第2面10B側に向かって径が小さくなっている。貫通孔15の直径は、例えば0.05mm以上0.5mm以下とすることができる。
【0022】
貫通孔15が配置されているセラミックス基板10の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分19A、及び、第2凹部12を画定する内面と貫通孔15との接続部分19Bは丸みを帯びている。この丸みは、2μm以上110μm以下の半径Rの円弧に相当する。この丸みは、平面視において貫通孔15の開口に沿って環状に形成されていることが好ましい。
セラミックス基板10の材料は、放熱性の観点から熱伝導率の大きいセラミックスが好ましく、例えば窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素などの窒化物系セラミックスが好ましいが、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化マグネシウムなどの酸化物系セラミックスを使用してもよい。また、貫通孔15は、レーザ加工や、機械加工等により形成することが可能となる。
【0023】
(金属部材)
金属部材16は、セラミックス焼結体基板1における電気的な配線を担う部材である。金属部材16は、第1凹部11、第2凹部12及び貫通孔15を満たすように配置されている。そして、セラミックス基板10の第1面10A側において第1平面部13と同一平面をなし、第2面10B側において第2平面部14と同一平面をなすように配置されている。セラミックス基板10の厚み方向の断面視において、第1凹部11及び第2凹部12に配置された金属部材16は、セラミックス基板10の第1面10Aの第1平面部13及び第2面10Bの第2平面部14と同一平面をなしている。
【0024】
金属部材16は、例えばCu、Cr、Ni、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金から選ばれる少なくとも1種を含む金属を主成分としている。また、金属部材16は、さらにTi、Ce、Zr、Mg等の活性金属元素を含むことが好ましい。
図2に例示するように、セラミックス焼結体基板1は、金属部材16とセラミックス基板10との接触部分に金属化合物層18を有している。金属化合物層18は、金属部材16に含まれる活性金属元素とセラミックス基板10に含まれる非金属無機元素との化合物、例えば窒化チタンを多く含む層である。なお、
図2以外では金属化合物層18の図示を省略しているが、本開示における金属部材16とセラミックス基板10との接触部分には、金属化合物層18が配置されている。
【0025】
(めっき層)
セラミックス焼結体基板1は、めっき層17を有していてもよい。めっき層17は、セラミックス基板10から露出する金属部材16を覆う金属の層である。めっき層17は金属部材16の酸化を低減したり反射率を高めたりする。金属部材16が配置されている領域は、めっき層17の厚さ分だけ第1平面部13及び第2平面部14から突出している。
めっき層17を介することにより、外部の回路部品や配線等と金属部材16との接続を良好なものとすることができる。めっき層17は、例えば、金属部材16側からニッケル、パラジウム及び金の3層めっきや、ニッケル及び金の2層めっきとすることができる。
【0026】
以上のような構成を有するセラミックス焼結体基板1は、金属部材16が第1凹部11及び第2凹部12に埋め込まれて配置されていることにより、パターン精度を高めると共に放熱性の向上を図ることができる。また、第1凹部11及び第2凹部12の面が粗面化され、さらに金属部材16のセラミックス基板10との間に金属化合物層18を有することで、金属部材16の剥がれを低減することができる。
また、セラミックス焼結体基板1は、第1凹部11及び第2凹部12を画定する内側面と凹部を画定する底面との接続部分、及び、凹部を画定する底面と貫通孔15との接続部分が湾曲していることによって、応力の集中を低減することができ、信頼性の向上を図ることができる。
【0027】
なお、貫通孔15の厚み方向の断面視において丸みを帯びているのは、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分、及び、第2凹部12を画定する内面と貫通孔15との接続部分、の一方のみであってもよい。貫通孔15の径は、第1面10A側から第2面10B側まで同じ径であってもよく、第1面10A側から第2面10B側に向かって径が大きくなっていてもよい。厚み方向の中央部で径が細くなる鼓形状であってもよい。
また、セラミックス焼結体基板1は算術平均粗さRaが200nm以上2μm以下であることが好ましく、当該粗さは、第1凹部11を画定する内面及び第2凹部12を画定する内面の一方のみまたは両方とすることができる。
また、セラミックス焼結体基板1の厚み方向の断面視において、第1凹部11及び第2凹部12の一方のみまたは両方を前記した接続部分を湾曲状とすることができる。セラミックス焼結体基板1の厚み方向の断面視において、第1凹部11及び第2凹部12の一方のみが湾曲状であってもよい。
【0028】
[第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法]
次に、第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1の製造方法S1について、
図3から
図5Lを参照しながら説明する。
図3は、セラミックス焼結体基板の製造方法S1を例示するフローチャートである。
図4は、個片化前のセラミックス焼結体基板1の集合体1Pを例示する概略平面図である。
図5Aは、準備したセラミックス基板10を例示する概略断面図である。
図5Bは、貫通孔15を形成した状態を例示する概略断面図である。
図5Cは、ドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせた状態を例示する概略断面図である。
図5Dは、ドライフィルムDF1、DF2の露光を行った状態を例示する概略断面図である。
図5Eは、ドライフィルムDF1、DF2の現像を行った状態を例示する概略断面図である。
図5Fは、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
図5Gは、ドライフィルムDF1、DF2を剥離した状態を例示する概略断面図である。
図5Hは、金属ペースト86を配置した状態を例示する概略断面図である。
図5Iは、焼成した金属部材16を例示する概略断面図である。
図5Jは、金属部材16を研磨した状態を例示する概略断面図である。
図5Kは、金属部材16にめっき層17を形成した状態を例示する概略断面図である。
図5Lは、個片化したセラミックス焼結体基板1を例示する概略断面図である。
【0029】
セラミックス焼結体基板の製造方法S1は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持つセラミックス基板10を準備することS10と、セラミックス基板10の第1面10A及び第2面10Bにドライフィルムを貼り合わせることS30Bと、ドライフィルムを貼り合わせたセラミックス基板10の第1面10A及び第2面10Bにマスクを介して露光及び現像を行うことS35Aと、露光及び現像を行うことS35Aにより、所定のパターンに形成されたドライフィルムを介してセラミックス基板10の第1面10A及び第2面10Bをエッチング又はブラストすることS40と、エッチング又はブラストすることS40により、セラミックス基板10の第1面10Aの第1平面部13よりも凹んだ第1凹部11及びセラミックス基板10の第2面10Bの第2平面部14よりも凹んだ第2凹部12を形成することS45と、セラミックス基板10からドライフィルムを剥離することS50Aと、セラミックス基板10の第1凹部11及び第2凹部12内に金属ペースト86を配置することS50Bと、第1凹部11及び第2凹部12に配置した金属ペースト86を焼成し金属部材16を得ることS60と、を含んでいる。そして、第1凹部11及び第2凹部12を形成する前に、第1凹部11及び第2凹部12となる位置に、セラミックス基板10の第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15を形成し、金属ペーストを配置することS50Bにおいて、第1凹部11、第2凹部12及び貫通孔15に金属ペースト86を配置する。また、ここでは、金属ペースト86を焼成し金属部材16を得ることS60の後に、金属部材を研磨することS70と、めっき層17を形成することS80と、個片化することS90と、をさらに含んでいてもよい。以下、製造方法S1の各構成について説明する。
【0030】
なお、製造方法S1の説明では、複数のセラミックス焼結体基板1が行方向及び列方向に整列した集合体1Pを製造している。集合体1Pは、切断線SL1、SL2で切断することで、セラミックス焼結体基板1とすることができる。この点は、第2、第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法、発光装置の製造方法及びこれらの変形例についても同様である。
【0031】
(セラミックス基板を準備すること)
セラミックス基板を準備することS10において、セラミックス基板10を準備する。セラミックス基板10は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持つ板状の部材である。セラミックス基板10の厚さは、例えば0.08mm以上2mm以下が好ましい。
【0032】
(貫通孔を形成すること)
貫通孔を形成することS20において、セラミックス基板10の第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15を形成する。ここでは、貫通孔15は、ドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせる前に形成している。
貫通孔15は、対向する位置にある第1凹部11と第2凹部12との間に少なくとも1つ形成する。ここでは、第1凹部11及び第2凹部12のそれぞれが3個の貫通孔15を有するように形成している。
【0033】
貫通孔15は、例えばCO2レーザによって形成することができる。CO2レーザを第1面10A側から照射することで、第1面10Aから第2面10Bに向かって径が小さくなるように形成することができる。また、CO2レーザを第1面10A及び第2面10B側の両方から照射することで、板厚方向の中央部の孔径が、第1面10Aの開口径及び第2面10Bの開口径よりも小さくなる形成することができる。なお、貫通孔15は、第1面10Aから第2面10Bまで同じ径となるように形成してもよい。貫通孔15は、UVレーザやドリル加工、パンチング等によって形成してもよい。貫通孔15の直径は、例えば0.05mm以上0.5mm以下とすることが好ましい。
【0034】
(ドライフィルムを貼り合わせること)
ドライフィルムを貼り合わせることS30Bにおいて、セラミックス基板10の第1面10AにドライフィルムDF1を、第2面10BにドライフィルムDF2を貼り合わせる。ドライフィルムDF1、DF2は、シート状のフォトレジストである。ここでは、露光された領域が硬化するものを使用している。
【0035】
(露光及び現像を行うこと)
露光及び現像を行うことS35Aにおいて、ドライフィルムDF1、DF2の露光及び現像を行う。露光の前に、ドライフィルムDF1、DF2に重ねてマスクPM1、PM2を貼付する。マスクPM1は、第1凹部11を形成する領域に遮光パターンP1を有している。マスクPM2は、第2凹部12を形成する領域に遮光パターンP2を有している。
続いて、光L1を照射して露光を行う。光L1は例えば紫外線である。遮光パターンP1、P2以外の領域は光L1を透過し、その位置にあるドライフィルムDF1、DF2は硬化される。続く現像では、マスクPM1、PM2を除去し、ドライフィルムDF1、DF2の硬化していない部分をアルカリ性水溶液等で溶解除去する。硬化した部分は溶解除去されずに残り、レジストRE1、RE2が形成される。
【0036】
(エッチング又はブラストすること)
エッチング又はブラストすることS40において、所定のパターンに形成されたドライフィルム(レジストRE1、RE2)をレジストとして、セラミックス基板10の第1面10A及び第2面10Bをエッチング又はブラストする。
【0037】
(第1凹部及び第2凹部を形成すること)
第1凹部及び第2凹部を形成することS45において、セラミックス基板10の第1面10Aの第1平面部13よりも凹んだ第1凹部11及びセラミックス基板10の第2面10Bの第2平面部14よりも凹んだ第2凹部12を形成する。
第1凹部11及び第2凹部12をエッチング又はブラストによって形成することで、第1凹部11及び第2凹部12を画定する内側面を湾曲した形状にすることができる。
【0038】
また、エッチング又はブラストによって、第1凹部11内の凹部を画定する底面と貫通孔15との接続部分19A、及び、第2凹部12内の凹部を画定する底面と貫通孔15との接続部分19Bは、断面視において丸みを帯びた形状に形成することができる。ここでは、この丸みが2μm以上110μm以下の半径Rの円弧に相当するように形成している。接続部分19Aの丸みの半径R1と接続部分19Bの丸みの半径R2とは、同じでもよく、異なっていてもよい。
なお、エッチング又はブラストは、これらの一方のみを行えばよく、何れによっても、湾曲した面で形成され、断面視において貫通孔15との接続部分19A、19Bが丸みを帯びた形状である第1凹部11及び第2凹部12を形成することができる。
また、断面視において第1凹部11及び第2凹部12の凹部を画定する底面では、一部に平坦な部分があってもよく、平坦な部分は接続部分19A、19Bに連続する傾斜面であってもよい。
【0039】
エッチングは、ウェットエッチング、ドライエッチングで行うことができ、ウェットエッチングが好ましい。ウェットエッチングは、酸性やアルカリ性の薬剤、例えばHF、NH4F、KOH、NaOH、CsOHなどを用いて、エッチングすることで湾曲状の第1凹部11及び第2凹部12や貫通孔15の接続部分の丸みを形成することができる
ブラストは、第1面10A及び第2面10Bのそれぞれに対し、垂直な方向から砥粒を衝突させることで、セラミックス基板10を研磨又は研削して湾曲状の形状及び接続部分の丸みを形成することができる。
【0040】
(ドライフィルムを剥離すること)
ドライフィルムを剥離することS50Aにおいて、セラミックス基板10からドライフィルムDF1、DF2を剥離する。すなわち、エッチング又はブラストの後で、レジストRE1、RE2を除去する。
【0041】
(金属ペーストを配置すること)
金属ペーストを配置することS50Bにおいて、セラミックス基板10の第1凹部11及び第2凹部12内に金属ペースト86を配置する。なお、金属ペースト86は焼成することによって金属部材16となる。
金属ペースト86は流動性を有する部材であり、貫通孔15、第1凹部11及び第2凹部12の面に密着するように塗布して配置することができる。ここでは、貫通孔15、第1凹部11及び第2凹部12を充填し、さらに第1平面部13及び第2平面部14にも塗布して、表面に凹凸が生じないように金属ペースト86を配置している。
【0042】
金属ペースト86は、Cu、Cr、Ni、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金から選ばれる少なくとも1種を含むものとすることができる。これらの中で、780℃以上850℃以下のような比較的低温で焼成できるAg-Cu合金が好ましい。また高い電気伝導性を有するCu、Agを用いてもよい。
また、金属ペースト86は、少なくとも活性金属粉体を含むものとしている。活性金属粉体は、TiH2、CeH2、ZrH2、MgH2から選ばれる少なくとも1種とすることができる。これらの中で、TiH2が好ましい。TiH2を含むことで、セラミックス基板10に含まれる窒素と反応し、セラミックス基板10との界面において、TiNのような反応層となる金属化合物層を形成する。これにより、導電性ビアである金属部材16とセラミックス基板10との密着性を向上させ、金属部材16が貫通孔15に対して強固に密着することになる。
【0043】
金属ペースト86は、有機バインダを含んでいてもよい。有機バインダの種類や量によって金属ペースト86の粘度を調節することができる。有機バインダとして、例えば一般的に導電性ペーストとして使用される溶剤やアクリル、エポキシ、ウレタン、エチルセルロース、シリコーン、フェノール、ポリイミド、ポリウレタン、メラミン、ウレアなどの樹脂材料であってもよい。なお、有機バインダは、後記する焼成によって分解され、蒸発して除去される。
金属ペースト86は、金属を除く複数個の無機フィラーを含んでいてもよい。無機フィラーを含有することで、金属ペースト86の焼結時の体積収縮を低減することができる。無機フィラーとして、例えばAlNやSi3N4などを用いることができる。
重量百分率で表示すると、金属ペースト86は、一例として、AgとCuとの混合比が72:28のAg-Cu合金が60%以上99%以下、金属活性粉体としてTiH2が0.5%以上10%以下、有機バインダが0.1%以上10%以下、無機フィラーとして1%以上20%以下が好ましい。
【0044】
(金属ペーストを焼成し金属部材を得ること)
金属ペーストを焼成し金属部材を得ることS60において、金属ペースト86を貫通孔15、第1凹部11及び第2凹部12に配置し、金属ペースト86を焼成して金属部材16とする。
金属ペースト86は焼成の過程で収縮する。収縮しようとする応力F1は、貫通孔15の中央部から第1凹部11及び第2凹部12に向かう方向に働く。断面視において貫通孔15と第1凹部11及び第2凹部12との接続部分19A、19Bが丸みを帯びていることで、貫通孔15の金属ペースト86に働く応力F1の向きを分散させることができる。
【0045】
焼成温度は、700℃以上1200℃以下とすることができ、750℃以上1100℃以下が好ましく、780℃以上850℃以下が特に好ましい。焼成雰囲気は、10-5Pa以下の真空雰囲気または99.9%以上のAr雰囲気とすることが好ましい。
【0046】
(金属部材を研磨すること)
金属部材を研磨することS70において、金属部材16を研磨して、その一部を除去する。ここでは、第1平面部13及び第2平面部14が露出するように金属部材16を研磨している。研磨は、金属部材16の表面が第1平面部13及び第2平面部14と平行であるように進め、金属部材16が第1平面部13及び第2平面部14と同一平面をなすようにすることが好ましい。その際、金属部材16と共に第1平面部13及び第2平面部14の一部が研磨されてもよい。研磨は、例えば研削機や研磨機によって行うことができる。
【0047】
(めっき層を形成すること)
めっき層を形成することS80において、金属部材16の露出する表面にめっき層17を形成する。めっき層17は、無電解めっきによって形成することができる。めっきはマスクを介して行ってもよい。めっき層17の形成後、複数のセラミックス焼結体基板1が行方向及び列方向に整列した集合体1Pが形成されている。
【0048】
(個片化すること)
個片化することS90において、集合体1Pを切断して、個片であるセラミックス焼結体基板1に分離する。切断の狙いとなる切断線SL1、SL2は、平面視においてセラミックス基板10上に格子状に位置している。切断は、例えばレーザやブレードによって行うことができる。
【0049】
以上のような構成を有するセラミックス焼結体基板の製造方法S1は、貫通孔15の金属ペースト86に働く応力F1の向きを分散させることができる。これにより、貫通孔15の中央部における応力が、断面視において接続部分19A、19Bが丸みを帯びていない場合に比べて小さくなり、貫通孔15の内部における金属ペースト86の分断を低減することができる。
また、ドライフィルムDF1、DF2を露光及び現像したパターンによって形成した第1凹部11及び第2凹部12に金属ペースト86を配置することで、金属部材16の形成の精度を高めることができる。また、第1平面部13及び第2平面部14にも金属部材16を形成することで、金属部材16の研磨の際の変形を低減することができる。
【0050】
なお、貫通孔15は、第1凹部11及び第2凹部12を形成することS45の前に形成することができる。貫通孔15は、ドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせた後に、ドライフィルムDF1、DF2及びセラミックス基板10を貫通するように形成してもよく、露光及び現像の後に形成してもよい。
【0051】
[第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板]
次に、第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2について、
図6を参照しながら説明する。
図6は、セラミックス焼結体基板2を例示する概略断面図である。
【0052】
セラミックス焼結体基板2は、金属部材16がセラミックス基板10の第1平面部13及び第2平面部14よりも突出している点がセラミックス焼結体基板1と異なっている。めっき層17は、金属部材16の突出している側面部にも設けられている。その他の点はセラミックス焼結体基板1と共通する。
セラミックス焼結体基板2は、金属部材16をセラミックス基板10から突出させて厚みを増加させ、その厚みを調節することができる。また、突出している金属部材16の周りの第1平面部13及び第2平面部14に光反射性を有する樹脂等を厚く配置することができる。これにより、例えば発光装置に使用される場合、発光素子の光に対する光反射率を高め、発光装置の光取出し効率の向上を図ることができる。
【0053】
[第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法]
次に、第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2の製造方法S2について、
図7から
図8Fを参照しながら説明する。
図7は、セラミックス焼結体基板の製造方法S2を例示するフローチャートである。
図8Aは、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
図8Bは、金属ペースト86を配置した状態を例示する概略断面図である。
図8Cは、焼成した金属部材16を例示する概略断面図である。
図8Dは、金属部材16を研磨した状態を例示する概略断面図である。
図8Eは、金属部材16にめっき層17を形成した状態を例示する概略断面図である。
図8Fは、個片化したセラミックス焼結体基板2を例示する概略断面図である。
【0054】
製造方法S2は、金属ペーストを配置することS50Bの前に、ドライフィルムを剥離することS40を行わない点が製造方法S1と異なる。以下、エッチング又はブラストすることS40を行って第1凹部11及び第2凹部12を形成したところから始め、製造方法S1と異なる点について説明する。
【0055】
金属ペーストを配置することS50Bにおいて、レジストRE1、RE2が除去されていない状態で、第1凹部11及び第2凹部12内に金属ペースト86を配置する。金属ペースト86は、レジストRE1、RE2と同一平面となる位置まで配置されることで、第1平面部13及び第2平面部14から突出する厚みとすることができる。金属ペースト86を配置した時には、レジストRE1、RE2のセラミックス基板10と反対側の面が露出して配置している。
金属ペースト86を焼成し金属部材を得ることS60において、金属ペースト86を焼成して金属部材16とする。この焼成において、ドライフィルムDF1、DF2は分解され蒸発して除去される。これにより、製造方法S1で行うドライフィルムを剥離することS50Aは省略することができる。
【0056】
金属部材を研磨することS70において、
図8C及び
図8Dに示すように、金属部材16を研磨して、その一部を除去する。ここでは、第1平面部13及び第2平面部14から突出する金属部材16の厚さを調節しながら研磨している。第1平面部13及び第2平面部14から突出する金属部材16の厚さは、例えば1μm以上100μm以下とすることができる。研磨は、製造方法S1と同様に、例えば研磨機や研削機によって行うことができる。
【0057】
めっき層を形成することS80において、
図8Eに示すように、金属部材16の露出する表面にめっき層17を形成する。めっき層17は、製造方法S1と同様に無電解めっきによって形成することができ、セラミックス基板10から突出する金属部材16の側面部も覆うように形成する。そして、個片化することS90において、セラミックス焼結体基板2に分離することができる。
【0058】
セラミックス焼結体基板の製造方法S2は、金属部材16をセラミックス基板10から突出する形状に形成することができ、ドライフィルムを剥離することS50Aを省略して製造工程の短縮を図ることができる。
【0059】
[第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板]
次に、第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板3について、
図9を参照しながら説明する。
図9は、セラミックス焼結体基板3を例示する概略断面図である。
セラミックス焼結体基板3は、第1凹部11及び第2凹部12が、貫通孔15の周りに段差部11S、12Sを有する点で、セラミックス焼結体基板2と異なっている。第1凹部11及び第2凹部12を画定する内面と貫通孔15との接続部分の丸みは、段差部11S、12Sと貫通孔15との接続部分19A、19Bに形成されている。その他の点はセラミックス焼結体基板2と共通する。段差部11S及び段差部12Sは、第1凹部11及び第2凹部12内において曲面により接続されていることが好ましい。
セラミックス焼結体基板3は、第1凹部11及び第2凹部12が段差部11S、12Sを有することで、金属部材16とセラミックス基板10との接触する面積を大きくして、放熱性の向上を図ると共に金属部材16の剥がれをさらに低減することができる。
なお、段差部は、第1凹部11及び第2凹部12の一方にのみ設けてもよい。
【0060】
[第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法]
次に、第3実施形態に係るセラミックス焼結体基板3の製造方法S3について、
図10から
図11Hを参照しながら説明する。
図10は、セラミックス焼結体基板の製造方法S3を例示するフローチャートである。
図11Aは、ドライフィルムDF1、DF2の現像を行った状態を例示する概略断面図である。
図11Bは、レーザで凹部を形成した状態を例示する概略断面図である。
図11Cは、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
図11Dは、金属ペースト86を配置した状態を例示する概略断面図である。
図11Eは、焼成した金属部材16を例示する概略断面図である。
図11Fは、金属部材16を研磨した状態を例示する概略断面図である。
図11Gは、金属部材16にめっき層17を形成した状態を例示する概略断面図である。
図11Hは、個片化したセラミックス焼結体基板3を例示する概略断面図である。
【0061】
製造方法S3は、エッチング又はブラストすることS40の前に、レーザで凹部を形成することS35Bを行う点が製造方法S2と異なる。以下、露光及び現像を行うことS35Aを行ってレジストRE1、RE2を形成したところから説明する。
【0062】
レーザで凹部を形成することS35Bにおいて、レジストRE1、RE2が形成されたセラミックス基板10に対し、レジストRE1、RE2から離れた位置に、レーザ加工によって凹部11L、12Lを形成する。凹部11L、12Lは、平面視において貫通孔15を等幅で囲むように形成することが好ましい。凹部11L、12Lの第1平面部13又は第2平面部14からの深さは、例えば5μm以上60μm以下とすることができる。レーザは、例えばCO2レーザを用いることができる。
【0063】
エッチング又はブラストすることS40において、凹部11L、12Lが形成されたセラミックス基板10に対してエッチング又はブラストを行う。エッチング又はブラストを行うことで、凹部11L、12Lをもとに、セラミックス基板10の厚み方向の断面視において湾曲した形状の段差部11S、12Sを形成することができる。丸みを帯びた接続部分19A、19Bは、貫通孔15と段差部11S、12Sとの間に形成することができる。
金属ペーストを配置することS50Bにおいて、段差部11S、12Sにも密着するように金属ペースト86を配置する。ここでは、金属ペースト86は、製造方法S2と同様に、レジストRE1、RE2のセラミックス基板10と反対側の面を露出させるように配置している。
【0064】
金属ペーストを焼成し金属部材を得ることS60において、製造方法S2と同様に、金属ペースト86は金属部材16となり、ドライフィルムDF1、DF2は除去される。続いて、金属部材を研磨することS70において、厚みを調節しながら金属部材16を研磨し、めっき層を形成することS80において、セラミックス基板10から突出する金属部材16の側面部を含む表面にめっき層17を形成する。そして、個片化することS90において、個片化したセラミックス焼結体基板3に分離することができる。
なお、レーザで凹部を形成することS35Bにおいて、レーザ加工による凹部を第1平面部13及び第2平面部14の一方にのみ形成して、第1凹部11及び第2凹部12の一方にのみ段差部を形成することができる。
【0065】
(第1変形例及び第2変形例のセラミックス焼結体基板)
次に、第1変形例のセラミックス焼結体基板1A及び第2変形例のセラミックス焼結体基板2Aについて、
図12A及び
図12Bを参照しながら説明する。
図12Aは、セラミックス焼結体基板1Aを例示する概略断面図である。
図12Bは、セラミックス焼結体基板2Aを例示する概略断面図である。
第1変形例のセラミックス焼結体基板1Aは、第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1の第2凹部12を有していない変形例である。第2変形例のセラミックス焼結体基板2Aは、第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2の第2凹部12を有していない変形例である。セラミックス焼結体基板1A、2Aは、第2凹部12を有していない点でセラミックス焼結体基板1、2と異なり、その他の点では、セラミックス焼結体基板1、2と共通する。
セラミックス焼結体基板1A、2Aにおいて、貫通孔15は、第2凹部12と接続されることなく貫通孔15の孔径で第2面10Bの第2平面部14まで貫通している。
【0066】
セラミックス焼結体基板1A、2Aは、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持ち、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15があり、第1面10Aは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第1凹部11を有するセラミックス基板10と、第1凹部11及び貫通孔15に配置する金属部材16と、を有している。そして、貫通孔15の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分は丸みを帯びている。
【0067】
[第1変形例及び第2変形例のセラミックス焼結体基板の製造方法]
次に、第1変形例のセラミックス焼結体基板1Aの製造方法S1A及び第2変形例のセラミックス焼結体基板2Aの製造方法S2Aについて説明する。
製造方法S1Aは製造方法S1と同様に、製造方法S2Aは製造方法S2と同様に行うことができる。ただし、第1凹部及び第2凹部を形成することS45では、第2凹部12を形成せず、第1凹部11のみを形成する。貫通孔15の第2面10B側の孔開口は、第2面10Bと同一平面に位置する状態となる。また、ドライフィルムを貼り合わせることS30Bや露光及び現像を行うことS35Aでは、第2面10Bに対するドライフィルムDF2の貼合、露光及び現像を省略することができる。金属ペーストを配置することS50B以降は、第2凹部12を形成する場合と同様に行うことができる。
【0068】
セラミックス焼結体基板1Aの製造方法S1Aは、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持つセラミックス基板10を準備することS10と、セラミックス基板10の第1面10AにドライフィルムDF1を貼り合わせることと、ドライフィルムDF1を貼り合わせたセラミックス基板10の第1面10AにマスクPM1を介して露光及び現像を行うことと、露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成されたドライフィルムDF1を介してセラミックス基板10の第1面10Aをエッチング又はブラストすることと、エッチング又はブラストすることにより、セラミックス基板10の第1面10Aの第1平面部13よりも凹んだ第1凹部11を形成することと、セラミックス基板10からドライフィルムDF1を剥離することと、セラミックス基板の第1凹部11内に金属ペースト86を配置することS50Bと、第1凹部11に配置した金属ペースト86を焼成し金属部材を得ることS60と、を含み、第1凹部11を形成する前に、第1凹部11となる位置に、セラミックス基板10の第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15を形成し、金属ペーストを配置することS50Bにおいて、第1凹部11及び貫通孔15に金属ペースト86を配置する。また、第2凹部12を形成する場合と同様に、金属ペースト86を焼成することS60の後に、金属部材16を研磨することS70と、めっき層17を形成することS80と、個片化することS90と、をさらに含むことができる。
【0069】
(第3変形例及び第4変形例のセラミックス焼結体基板)
次に、第3変形例のセラミックス焼結体基板1B及び第4変形例のセラミックス焼結体基板2Bについて、
図13A及び
図13Bを参照しながら説明する。
図13Aは、セラミックス焼結体基板1Bを例示する概略断面図である。
図13Bは、セラミックス焼結体基板2Bを例示する概略断面図である。
第3変形例のセラミックス焼結体基板1Bは、第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1の変形例であり、セラミックス焼結体基板の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内側面が深さD1の直線状部分11Wを有し、第2凹部12を画定する内側面が深さD2の直線状部分12Wを有している。その他の点では、セラミックス焼結体基板1と共通する。
第4変形例のセラミックス焼結体基板2Bは、第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2の変形例であり、セラミックス焼結体基板の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内側面が深さD1の直線状部分11Wを有し、第2凹部12を画定する内側面が深さD2の直線状部分12Wを有している。その他の点では、セラミックス焼結体基板2と共通する。
【0070】
(第3変形例及び第4変形例のセラミックス焼結体基板の製造方法]
次に、第3変形例のセラミックス焼結体基板1Bの製造方法S1B及び第4変形例のセラミックス焼結体基板2Bの製造方法S2Bについて説明する。
図14は、製造方法S1Bを例示するフローチャートである。
図15Aは、ドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせた状態を例示する概略断面図である。
図15Bは、ドライフィルムDF1、DF2にレーザでパターンを形成した状態を例示する概略断面図である。
図15Cは、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
【0071】
製造方法S1B、S2Bは、露光及び現像を行うことS35Aに替えて、レーザでパターンを形成することS35Lを行う点が製造方法S1、S2と異なる。その他の点については、第3変形例の製造方法S1Bは製造方法S1と同様に、第4変形例の製造方法S2Bは製造方法S2と同様に行うことができる。以下、第3変形例の製造方法S1Bを例に、ドライフィルムを貼り合わせることS30Bを行って、貫通孔15を形成したセラミックス基板10にドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせたところから始め、製造方法S1と異なる点について説明する。
【0072】
レーザでパターンを形成することS35Lにおいて、ドライフィルムDF1、DF2に対し、レーザ加工によってパターンを形成する。すなわち、露光されていないドライフィルムDF1、DF2に、レーザ加工によってレジストRE3、RE4を形成する。そして、ドライフィルムDF1、DF2を除去した領域について、さらにセラミックス基板10の一部を除去して、レーザ加工による凹部11L、12Lを形成することができる。凹部11L、12Lの深さD1、D2は、レーザ加工の条件によって調節することができる。
【0073】
続いて、エッチング又はブラストすることS40において、セラミックス基板10の凹部11L、12Lに対し、レジストRE3、RE4をレジストとして、エッチング又はブラストする。第1凹部11及び第2凹部12は、少なくとも深さD1、D2だけ深い位置に形成され、セラミックス基板10の厚み方向の断面視において、直線状部分11W、12Wを有している。ドライフィルムを剥離することS50A以降は、製造方法S1と同様に行うことができる。
【0074】
なお、レーザでパターンを形成することS35Lにおいて、凹部11L、12Lを形成しないようにレーザ加工を行うか又は深さD1、D2を非常に浅く形成すれば、製造方法S1、S2と同様の第1凹部11及び第2凹部12とすることができる。
【0075】
製造方法S1B、S2Bは、露光及び現像を行う場合に比べて製造工程を簡略化することができる。また、レーザ加工による凹部11L、12Lの深さD1、D2によって、金属ペースト86の厚さを調節することができる。
【0076】
なお、エッチング又はブラストは第1面10A側及び第2面10B側の一方にのみ行ってもよい。エッチング又はブラストを行う一方の側にのみ、湾曲した面で形成され、断面視において貫通孔15との接続部分19A、19Bが丸みを帯びた形状である第1凹部11又は第2凹部12を形成することができる。エッチング又はブラストを行わない他方の側は、レーザでパターンを形成することS35Lの次に、レーザ加工による凹部11L又は凹部12Lに対し、金属ペーストを配置することS50Bを行うことができ、続いて金属ペーストを焼成し金属部材を得ることS60以降を同様に行うことができる。なお、エッチング又はブラストを行わない側に対し、ドライフィルムの貼合を省略することができる。
【0077】
(第5変形例のセラミックス焼結体基板)
次に、第5変形例のセラミックス焼結体基板2Cについて、
図16を参照しながら説明する。
図16は、セラミックス焼結体基板2Cを例示する概略断面図である。
第5変形例のセラミックス焼結体基板2Cは、第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1と第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2とを組み合わせた変形例である。セラミックス焼結体基板2に基づいて説明すると、第2面10B側において、金属部材16が第2平面部14と同一平面をなすように配置されている点がセラミックス焼結体基板2と異なる。例えば、セラミックス焼結体基板2の厚み方向の断面視において、第2凹部12に配置された金属部材16は、セラミックス基板10の第2面10Bの第2平面部14と同一平面をなしている。その他の点ではセラミックス焼結体基板2と共通する。
なお、第1面10A側において金属部材16が第1平面部13と同一平面をなし、第2面10B側において金属部材16が第2平面部14から突出していてもよい。すなわち、金属部材16は、第1平面部13及び第2平面部14の少なくとも一方と同一平面をなすようにすることができる。
【0078】
第5変形例のセラミックス焼結体基板2Cの製造方法は、第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1の製造方法S1と第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2の製造方法S2とを組み合わせて行う。
第1凹部及び第2凹部を形成することS45までは製造方法S1、S2と同様に行う。そして、金属部材16を突出させない側に対して製造方法S1を行う。すなわち、第1面10A及び第2面10Bの一方に対して、ドライフィルムを剥離してから金属ペースト86を配置する。また、金属部材16を突出させる側に対して製造方法S2を行う。すなわち、第1面10A及び第2面10Bの他方に対してドライフィルムを剥離せずに金属ペースト86を配置する。金属ペースト86を焼成し金属部材16を得ることS60以降は製造方法S1、S2と同様に行うことができる。
【0079】
(第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例)
次に、セラミックス焼結体基板1の製造方法S1の変形例である製造方法SA1について、
図17から
図18Gを参照しながら説明する。
図17は、製造方法SA1を例示するフローチャートである。
図18Aは、貫通孔15を形成した状態を例示する概略断面図である。
図18Bは、接着層A1、A2を配置した状態を例示する概略断面図である。
図18Cは、ドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせた状態を例示する概略断面図である。
図18Dは、ドライフィルムDF1、DF2の露光を行った状態を例示する概略断面図である。
図18Eは、ドライフィルムDF1、DF2の現像を行った状態を例示する概略断面図である。
図18Fは、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
図18Gは、ドライフィルムDF1、DF2及び接着層A1、A2を剥離した状態を例示する概略断面図である。
【0080】
製造方法SA1は、ドライフィルムを貼り合わせることS30Bの前に、接着層又は光吸収層を配置することS30Aを行う。これにより、接着層A1、A2又は光吸収層に関係する点が製造方法S1と異なる。以下、貫通孔を形成することS20を行ってセラミックス基板10に貫通孔15を形成したところから始め、製造方法S1と異なる点について説明する。
【0081】
接着層又は光吸収層を配置することS30Aにおいて、セラミックス基板10の第1面10Aに接着層A1を、第2面10Bに接着層A2を配置する。接着層A1、A2には、光吸収部材を含有させることができる。ここでは、光吸収部材として用いることができる、例えばアクリル、エポキシ、ウレタン、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、シリコ―ンなどを接着層A1、A2の材料としている。
【0082】
ドライフィルムを貼り合わせることS30Bにおいて、接着層A1にドライフィルムDF1を、接着層A2にドライフィルムDF2を貼り合わせる。製造方法S1と同様に露光及び現像を行い、接着層A1、A2上にレジストRE1、RE2を形成する。
エッチング又はブラストすることS40において、セラミックス基板10と共に接着層A1、A2もエッチング又はブラストする。
ドライフィルムを剥離することS50Aにおいて、ドライフィルムDF1、DF2と共に接着層A1、A2を除去する。接着層A1、A2の除去は、例えばブラスト又は溶剤に溶かして行うことができる。金属ペーストを配置することS50B以降は、製造方法S1と同様に行うことができる。
【0083】
接着層A1、A2は、光吸収層に置き換えることができる。すなわち、ドライフィルムを貼り合わせることS30Bの前に、セラミックス基板10の第1面10A及び第2面10Bの少なくとも一方と、ドライフィルムと、の間に光吸収層を配置してもよい。光吸収層は、例えばアクリル、エポキシ、ウレタン、エチルセルロース、ポリビニルアルコールなどとすることができ、接着層A1、A2と同様に扱うことができる。
【0084】
製造方法SA1は、接着層A1、A2又は光吸収層によって、露光時のセラミックス基板10による光L1の反射を抑え、ドライフィルムDF1、DF2のパターン形成の精度を高めることができる。
【0085】
なお、製造方法S1と同様に、貫通孔15は、第1凹部11及び第2凹部12を形成することS45の前に形成すればよい。貫通孔15は、接着層A1、A2又は光吸収層を配置してドライフィルムDF1、DF2を貼り合わせた後に、ドライフィルムDF1、DF2、接着層A1、A2及びセラミックス基板10を貫通するように形成してもよい。
接着層又は光反射層は、第1凹部11及び第2凹部12を形成する場合に、第1面10A及び第2面10Bに配置され、第1凹部11のみである場合には、第1面10Aの一方にのみ配置される。また、接着層又は光反射層は、第1凹部11及び第2凹部12の両方を形成する場合に、第1面10A及び第2面10Bの一方にのみ配置してもよい。
【0086】
(第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板の製造方法の変形例)
次に、セラミックス焼結体基板2の製造方法S2の変形例である製造方法SA2について、
図19から
図20Dを参照しながら説明する。
図19は、製造方法SA2を例示するフローチャートである。
図20Aは、エッチング又はブラストした状態を例示する概略断面図である。
図20Bは、金属ペースト86を配置した状態を例示する概略断面図である。
図20Cは、焼成した金属部材16を例示する概略断面図である。
図20Dは、金属部材16を研磨した状態を例示する概略断面図である。
【0087】
製造方法SA2は、製造方法SA1と同様に、ドライフィルムを貼り合わせることS30Bの前に、接着層又は光吸収層を配置することS30Aを行う。そして、エッチング又はブラストすることS40を行って第1凹部11及び第2凹部12を形成するところまでは、製造方法SA1と同様に行うことができる。一方、金属部材を研磨することS70を行った後は、製造方法S2と同様に行うことができる。そこで、以下、エッチング又はブラストすることS40を行って第1凹部11及び第2凹部12を形成したところから、金属部材を研磨することS70までについて説明する。
【0088】
エッチング又はブラストすることS40において、製造方法SA1と同様に、セラミックス基板10と共に接着層A1、A2もエッチング又はブラストされている。そして、ドライフィルムDF1、DF2及び接着層A1、A2が除去されていない状態で、第1凹部11及び第2凹部12内に金属ペースト86を配置する。ここでは、接着層A1、A2を越えて、レジストRE1、RE2のセラミックス基板10と反対側の面が露出するように金属ペースト86を配置している。
金属ペースト86を焼成し金属部材16を得ることS60において、金属ペースト86、接着層A1、A2及びドライフィルムDF1、DF2(レジストRE1、RE2)を焼成する。この焼成において、接着層A1、A2及びドライフィルムDF1、DF2は分解され蒸発して除去される。これにより、製造方法SA1で行うドライフィルムを剥離することS50Aは省略することができる。
【0089】
金属部材を研磨することS70において、金属部材16を研磨して、その一部を除去する。ここでは、製造方法S2と同様に、セラミックス基板10から突出する金属部材16の厚さを調節しながら研磨している。めっき層を形成することS80以降の工程は、製造方法S2と同様に行うことができる。なお、製造方法SA1と同様に、製造方法SA2においても、接着層A1、A2を光吸収層に置き換えることができる。
【0090】
なお、セラミックス焼結体基板、セラミックス焼結体基板の製造方法及びこれらの変形例は、以上において説明した構成だけでなく、各実施形態及び各変形例を相互に組み合わせたものとすることができる。
【0091】
[発光装置]
次に、実施形態に係る発光装置100について、
図21Aから
図22Bを参照しながら説明する。
図21Aは、発光装置100を例示する概略平面図である。
図21Bは、
図21AのXXIB-XXIB線における断面を例示する概略断面図である。
図22Aは、発光素子20を例示する概略平面図である。
図22Bは、発光素子20を例示する概略底面図である。
【0092】
発光装置100は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持ち、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15があり、第1面10Aは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第1凹部11、及び、第2面10Bは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第2凹部12、を有するセラミックス基板10と、第1凹部11、第2凹部12及び貫通孔15に配置する金属部材16と、を有し、貫通孔15の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分19A、及び、第2凹部12を画定する内面と貫通孔15との接続部分19B、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、金属部材16に配置される発光素子20と、を備え、発光素子20は、金属部材16に直接又は間接に電気的に接続されている。ここでは、発光装置100は、発光素子20の上面に配置される透光性部材30と、透光性部材30の上面を露出させて発光素子20及び透光性部材30を覆う被覆部材40と、をさらに備えている。
発光装置100は、一例として1個の発光素子20を有している。以下、発光装置100の各構成について説明する。
【0093】
(セラミックス焼結体基板)
セラミックス焼結体基板は、一例として第1実施形態に係るセラミックス焼結体基板1とすることができ、第1面10A側を上面として、発光素子20が配置されている。上面側の金属部材16及びめっき層17は、発光素子20の素子電極21を配置できる大きさ及び形状を有している。
【0094】
(発光素子)
発光素子20は、電力を供給されて発光する部材である。発光素子20は一例として矩形状である。発光素子20は、半導体積層体を含み、ここではサファイア、窒化ガリウム等の透光性の基板が半導体積層体の上面側に配置され、下面側に一対の素子電極21を有している。半導体積層体としては、所望とする発光波長に応じて任意の組成を用いることができ、例えば、青色又は緑色の発光が可能な窒化物半導体(InxAlyGa1-x-yN、0≦X、0≦Y、X+Y≦1)やGaP、又は、赤色の発光が可能なGaAlAsやAlInGaPなどを用いることができる。また、使用する目的に応じて発光素子20の大きさや形状は適宜選択が可能である。
【0095】
一対の素子電極21は一例として矩形状であり、発光素子20の下面20Bに露出している。素子電極21は、例えば、金、白金、パラジウム、ロジウム、ニッケル、タングステン、モリブデン、クロム、チタン等の金属又はこれらの合金の単層膜あるいは積層膜によって構成することができる。
ここでは、素子電極21は、導電性部材50及びめっき層17を介して、金属部材16に接続されている。すなわち、素子電極21は、間接に金属部材16に電気的に接続されている。導電性部材50は、例えば金やはんだ等のバンプとすることができ、バンプを設けずに、例えば電極面全体にはんだなどを印刷配置することによって素子電極21とめっき層17とを接続してもよい。また、めっき層17を介さず、素子電極21を金属部材16にはんだ等で直接に電気的に接続してもよい。
【0096】
(透光性部材)
透光性部材30は、発光素子20の上面20Aを保護し、発光装置100の光取出し面に位置する部材である。ここでは、透光性部材30は、一例として矩形状であり、平面視において発光素子20と同じ大きさ及び形状を有している。透光性部材30は、平面視において発光素子20を包含する形状及び大きさであってもよい。
透光性部材30は、例えば、透光性の樹脂材料からなり、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらを混合した樹脂等を用いることができる。透光性部材30は、蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子20からの青色の光を吸収し、黄色の光を放射する蛍光体を含むことにより、発光装置100から白色の光を出射させることができる。また、透光性部材30は、複数種類の蛍光体を含んでいてもよく、例えば、発光素子20からの青色の光を吸収して、緑色の光を放射する蛍光体と、赤色の光を放射する蛍光体と、を含むことによっても、発光装置100から白色の光を出射させることができる。
【0097】
透光性部材30は、蛍光体、量子ドット等の発光材料を更に含んでいてもよい。このような蛍光体としては、例えば、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム(ガリウムドープ)・ガーネット、ユウロピウムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(ストロンチウム)、マンガンで賦活されたフッ化珪酸カリウム、βサイアロン系蛍光体等を挙げることができる。蛍光体として具体的には、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、(Y,Gd)3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、シリケート系蛍光体(例えば、(Ba,Sr,Ca,Mg)2SiO4:Eu)、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)若しくはαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)等の酸窒化物系蛍光体、LSN系蛍光体(例えば、(La,Y)3Si6N11:Ce)、BSESN系蛍光体(例えば、(Ba,Sr)2Si5N8:Eu)、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)若しくはSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)等の窒化物系蛍光体、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2(Si1-xAlx)F6-x:Mn、ここで、xは、0<x<1を満たす。)若しくはMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)等のフッ化物系蛍光体等を挙げることができる。量子ドットとしては、ペロブスカイト構造を有する量子ドット(例えば、(Cs,FA,MA)(Pb,Sn)(F,Cl,Br,I)3、ここで、FAはホルムアミジニウムを、MAはメチルアンモニウムを表す。)、II-VI族量子ドット(例えば、CdSe)、III-V族量子ドット(例えば、InP)、カルコパイライト構造を有する量子ドット(例えば、(Ag,Cu)(In,Ga)(S,Se)2)等を挙げることができる。
【0098】
(被覆部材)
被覆部材40は、セラミックス焼結体基板1の上面に配置され、発光素子20及び透光性部材30の側面を覆い、保護する部材である。被覆部材40は、透光性部材30の上面を露出させて配置されている。また、被覆部材40は、発光素子20とセラミックス焼結体基板1との間に入り込むことで、素子電極21や導電性部材50の側面も覆っている。
被覆部材40は、光反射性、透光性、遮光性等を有する樹脂、これらの樹脂に光反射性物質を含有した樹脂等によって形成することができる。被覆部材40は、光反射性及び遮光性の少なくとも何れかを有することが好ましい。樹脂としては、例えばシリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、アクリル樹脂の1種以上を含む樹脂又はハイブリッド樹脂等が挙げられる。光反射性物質としては、例えば酸化チタン、酸化珪素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが挙げられる。被覆部材40は、蛍光体、拡散材、着色剤等を含有してもよい。
【0099】
発光装置100は、駆動による温度上昇に対し、金属部材16が第1凹部11及び第2凹部12に埋め込まれて配置されているセラミックス焼結体基板1によって、放熱性の向上を図ることができる。また、駆動時と非駆動時との温度差による熱応力に対し、金属化合物層18を有するセラミックス焼結体基板1によって、金属部材16とセラミックス基板10との接合の信頼性の向上を図ることができる。
【0100】
[発光装置の製造方法]
次に、発光装置の製造方法S100について、
図23から
図25Eを参照しながら説明する。
図23は、発光装置の製造方法S100を例示するフローチャートである。
図24は、個片化前の発光装置100の集合体100Pを例示する概略平面図である。
図25Aは、準備したセラミックス焼結体基板1の集合体1Pを例示する概略断面図である。
図25Bは、導電性部材50Aを配置した状態を例示する概略断面図である。
図25Cは、発光素子20を配置した状態を例示する概略断面図である。
図25Dは、被覆部材40を配置した状態を例示する概略断面図である。
図25Eは、個片化した発光装置100を例示する概略断面図である。
【0101】
発光装置の製造方法S100は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持ち、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15があり、第1面10Aは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第1凹部11、及び、第2面10Bは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第2凹部12、を有するセラミックス基板10と、第1凹部11、第2凹部12及び貫通孔15に配置する金属部材16と、を有し、貫通孔15の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分19A、及び、第2凹部12を画定する内面と貫通孔15との接続部分19B、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することS110と、金属部材16に発光素子20を配置することS120と、を含み、発光素子を配置することS120において、金属部材16と、発光素子20と、を直接又は間接に電気的に接続する。ここでは、導電性部材50Aを配置することS115と、発光素子20の上面に配置されている透光性部材30の上面を露出させて発光素子20及び透光性部材30を覆う被覆部材40を形成することS130と、個片化することS140と、をさらに含んでいる。以下、発光装置の製造方法S100の各構成について説明する。
【0102】
なお、発光装置の製造方法S100の説明では、複数の発光装置100が行方向及び列方向に整列した集合体100Pを製造している。集合体100Pは、切断線SL1、SL2で切断することで、発光装置100とすることができる。
【0103】
(セラミックス焼結体基板を準備する)
セラミックス焼結体基板を準備することS110において、一例としてセラミックス焼結体基板の製造方法S1によって製造されるセラミックス焼結体基板1の集合体1Pを準備する。セラミックス焼結体基板1は、発光素子20を配置する第1面10A側を上面としている。また、発光素子20の大きさや配置、一対の素子電極21の間隔等に合わせて金属部材16及びめっき層17を形成する。
【0104】
(導電性部材を配置する)
導電性部材を配置することS115において、集合体1Pの上面側のめっき層17に接合前の導電性部材50Aを配置する。
【0105】
(発光素子を配置する)
発光素子を配置することS120において、素子電極21を集合体1P側にして、発光素子20を配置する。発光素子20は、集合体1P上に行方向及び列方向に整列して配置される。素子電極21は、導電性部材50とめっき層17とを介して、間接に電気的に接続することができる。
なお、めっき層17を設けていないセラミックス焼結体基板に対して、はんだ等によって、素子電極21と金属部材16とを直接に電気的に接続してもよい。この場合は、導電性部材を配置することS115は省略することができる。
【0106】
発光素子20の上面には透光性部材30が予め配置されている。透光性部材30は、例えばポッティング、スプレー、インクジェット、印刷等により未硬化の透光性部材30の材料の塗布等を行い、その後硬化させることによって配置することができる。透光性部材30は、シート状又は板状に形成された部材を発光素子20の上面に接着剤を介して配置してもよい。
なお、透光性部材30が予め配置されていない発光素子20をセラミックス焼結体基板に配置した後に、発光素子20の上面に透光性部材30を配置するようにしてもよい。
【0107】
(被覆部材を配置する)
被覆部材を配置することS130において、透光性部材30の上面を露出させるように、セラミックス焼結体基板1の集合体1Pの上面に被覆部材40を配置する。被覆部材40は、発光素子20及び透光性部材30の側面を覆うように配置し、発光素子20の下面や導電性部材50の側面も覆うように配置することが好ましい。被覆部材40は、例えば、集合体1Pの上方に樹脂吐出装置のノズルを配置し、ノズルの先端から未硬化の樹脂材料を吐出させながら、ノズルを移動させることにより塗布し、その後硬化させることによって配置することができる。被覆部材40の塗布は複数回に分けて行うことが好ましい。
【0108】
被覆部材40の上面は、透光性部材30の上面と同一平面となるように形成することが好ましい。隣り合う発光素子20及び透光性部材30の間に配置する被覆部材40は、上面が一部ひけるように、又は盛り上がるように配置してもよい。盛り上がった被覆部材40を研磨、研削等することにより、被覆部材40の上面を透光性部材30の上面と同一平面となるように形成することもできる。この際、被覆部材40の上面だけでなく、透光性部材30の上も研磨、研削等してもよい。
被覆部材40の配置後、複数の発光装置100が行方向及び列方向に整列した集合体100Pが形成されている。
【0109】
(個片化する)
個片化することS140において、発光装置の集合体100Pを切断して、個片である発光装置100に分離する。切断の狙いとなる切断線SL1、SL2は、平面視において被覆部材40上に格子状に位置している。切断は、例えばレーザやブレードによって行うことができる。
【0110】
(第1変形例及び第2変形例に係る発光装置)
次に、第1変形例に係る発光装置101A及び第2変形例に係る発光装置102について、
図26A及び
図26Bを参照しながら説明する。
図26Aは、発光装置101Aを例示する概略断面図である。
図26Bは、発光装置102を例示する概略断面図である。
発光装置101A、102は、セラミックス焼結体基板が発光装置100と異なり、その他の点は発光装置100と共通する。発光装置101Aは、第1変形例に係るセラミックス焼結体基板1Aを用いている。発光装置102は、第2実施形態に係るセラミックス焼結体基板2を用いている。
【0111】
発光装置101Aは、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持ち、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15があり、第1面10Aは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第1凹部11を有するセラミックス基板10と、第1凹部11及び貫通孔15に配置する金属部材16と、を有し、貫通孔15の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分19Aは丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、金属部材16に配置される発光素子20と、備え、発光素子20は、金属部材16に直接又は間接に電気的に接続されている。
【0112】
発光装置101Aの製造方法は、第1面10A及び第1面10Aの反対側となる第2面10Bを持ち、第1面10Aと第2面10Bとを繋ぐように貫通する貫通孔15があり、第1面10Aは貫通孔15よりも孔径が大きく貫通孔15と接続する第1凹部11を有するセラミックス基板10と、第1凹部11及び貫通孔15に配置する金属部材16と、を有し、貫通孔15の厚み方向の断面視において、第1凹部11を画定する内面と貫通孔15との接続部分19Aは丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、金属部材16に発光素子20を配置することと、を含み、発光素子20を配置することにおいて、金属部材16と、発光素子20と、を直接又は間接に電気的に接続する。また、導電性部材50Aを配置することS115と、発光素子20の上面に透光性部材30を配置することS130と、透光性部材30の上面を露出させて発光素子20及び透光性部材30を覆う被覆部材40を形成することS140と、個片化することS150と、をさらに含んでよい。
【0113】
なお、発光装置には、他の実施形態又は変形例に係るセラミックス焼結体基板も同様に用いることができる。発光装置の製造方法は、セラミックス焼結体基板を準備することS110において準備するセラミックス焼結体基板を他の実施形態又は変形例のものに置き換えて、発光装置の製造方法S100と同様に行うことができる。
【0114】
本開示に係る実施形態は、次の各項を含む。
[項1]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持つセラミックス基板を準備することと、
前記セラミックス基板の前記第1面にドライフィルムを貼り合わせることと、
前記ドライフィルムを貼り合わせた前記セラミックス基板の前記第1面にマスクを介して露光及び現像を行うことと、
前記露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成された前記ドライフィルムを介して前記セラミックス基板の前記第1面をエッチング又はブラストすることと、
前記エッチング又はブラストすることにより、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部を形成することと、
前記セラミックス基板から前記ドライフィルムを剥離することと、
前記セラミックス基板の前記第1凹部内に金属ペーストを配置することと、
前記第1凹部に配置した前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることと、を含み、
前記第1凹部を形成する前に、前記第1凹部となる位置に、前記セラミックス基板の前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記第1凹部及び前記貫通孔に前記金属ペーストを配置する、セラミックス焼結体基板の製造方法。
[項2]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持つセラミックス基板を準備することと、
前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面にドライフィルムを貼り合わせることと、
前記ドライフィルムを貼り合わせた前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面にマスクを介して露光及び現像を行うことと、
前記露光及び現像を行うことにより、所定のパターンに形成された前記ドライフィルムを介して前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面をエッチング又はブラストすることと、
前記エッチング又はブラストすることにより、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部よりも凹んだ第1凹部及び前記セラミックス基板の前記第2面の第2平面部よりも凹んだ第2凹部を形成することと、
前記セラミックス基板から前記ドライフィルムを剥離することと、前記セラミックス基板の前記第1凹部及び前記第2凹部内に金属ペーストを配置することと、
前記第1凹部及び前記第2凹部に配置した前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることと、を含み、
前記第1凹部及び前記第2凹部を形成する前に、前記第1凹部及び前記第2凹部となる位置に、前記セラミックス基板の前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔を形成し、
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に前記金属ペーストを配置する、セラミックス焼結体基板の製造方法。
[項3]
前記ドライフィルムを貼り合わせることの前に、前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方に接着層を配置し、
前記ドライフィルムを貼り合わせることにおいて、前記接着層に前記ドライフィルムを貼り合わせ、
前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方をエッチング又はブラストすることにおいて、前記接着層もエッチング又はブラストする項1又は項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項4]
前記接着層は、光吸収部材を含有する項3に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項5]
前記ドライフィルムを貼り合わせることの前に、前記セラミックス基板の前記第1面及び前記第2面の少なくとも一方と、前記ドライフィルムと、の間に光吸収層を配置する項1又は項2に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項6]
前記貫通孔は、前記ドライフィルムを貼り合わせる前に形成されている項1から項5の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項7]
前記貫通孔は、前記接着層を配置して前記ドライフィルムを貼り合わせた後に、前記ドライフィルム、前記接着層及び前記セラミックス基板を貫通するように形成する項3又は項4に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項8]
前記ドライフィルムを剥離することの前に、前記第1凹部及び前記第2凹部内の少なくとも一方に前記金属ペーストを配置することを行う項1から項7の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項9]
前記金属部材を得た後に、前記金属部材を研磨することをさらに行う項1から項8の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項10]
前記エッチング又はブラストすることにより、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている項1から項9の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項11]
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、少なくとも活性金属粉体を含む項1から項10の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項12]
前記活性金属粉体は、TiH2、CeH2、ZrH2、MgH2から選ばれる少なくとも1種である項11に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項13]
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、Cu、Cr、Ni、Ag、Al、Zn、Sn、Ag-Cu合金から選ばれる少なくとも1種を含む項1から項12の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項14]
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、さらに有機バインダを含む項13に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項15]
前記金属ペーストを配置することにおいて、前記金属ペーストは、さらに、金属を除く複数個の無機フィラーを含む項13又は項14に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項16]
前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることにおいて、焼成温度は700℃以上1200℃以下である項1から項15の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項17]
前記金属ペーストを焼成し金属部材を得ることにおいて、焼成雰囲気は真空雰囲気または99.9%以上のAr雰囲気である項1から項16の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項18]
前記貫通孔の直径は、0.05mm以上0.5mm以下となるように形成する項1から項17の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板の製造方法。
[項19]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、
前記金属部材に発光素子を配置することと、を含み、
前記発光素子を配置することにおいて、前記金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する、発光装置の製造方法。
[項20]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板を準備することと、
前記金属部材に発光素子を配置することと、を含み、
前記発光素子を配置することにおいて、前記金属部材と、前記発光素子と、を直接又は間接に電気的に接続する、発光装置の製造方法。
[項21]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、
前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、
前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板。
[項22]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、
前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、
前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板。
[項23]
前記丸みは、前記貫通孔に沿って環状に形成されている項21又は項22に記載のセラミックス焼結体基板。
[項24]
前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記丸みは、2μm以上110μm以下の半径を有する項21から項23の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項25]
前記セラミックス焼結体基板の厚み方向の断面視において、前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方は、前記貫通孔を除いて、湾曲状である項21から項24の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項26]
前記第1凹部を画定する内面及び前記第2凹部を画定する内面の少なくとも一方は、算術平均粗さRaが200nm以上2μm以下である項21から項25の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項27]
前記セラミックス焼結体基板の厚み方向の断面視において、前記第1凹部及び前記第2凹部の少なくとも一方に配置された金属部材は、前記セラミックス基板の前記第1面の第1平面部及び前記第2面の第2平面部の少なくとも一方と、同一平面をなす項21から項26の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項28]
前記金属部材と前記セラミックス基板との接触部分に金属化合物層がある項21から項27の何れか一項に記載のセラミックス焼結体基板。
[項29]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部、及び、前記第2面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第2凹部、を有するセラミックス基板と、前記第1凹部、前記第2凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、及び、前記第2凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分、の少なくとも一方は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、
前記金属部材に配置される発光素子と、を備え、
前記発光素子は、前記金属部材に直接又は間接に電気的に接続されている発光装置。
[項30]
第1面及び前記第1面の反対側となる第2面を持ち、前記第1面と前記第2面とを繋ぐように貫通する貫通孔があり、前記第1面は前記貫通孔よりも孔径が大きく前記貫通孔と接続する第1凹部を有するセラミックス基板と、前記第1凹部及び前記貫通孔に配置する金属部材と、を有し、前記貫通孔の厚み方向の断面視において、前記第1凹部を画定する内面と前記貫通孔との接続部分は丸みを帯びている、セラミックス焼結体基板と、
前記金属部材に配置される発光素子と、備え、
前記発光素子は、前記金属部材に直接又は間接に電気的に接続されている発光装置。
【符号の説明】
【0115】
1 セラミックス焼結体基板(第1実施形態)
1A セラミックス焼結体基板(第1変形例)
1B セラミックス焼結体基板(第3変形例)
2 セラミックス焼結体基板(第2実施形態)
2A セラミックス焼結体基板(第2変形例)
2B セラミックス焼結体基板(第4変形例)
2C セラミックス焼結体基板(第5変形例)
3 セラミックス焼結体基板(第3実施形態)
10 セラミックス基板
10A 第1面
10B 第2面
11 第1凹部
12 第2凹部
13 第1平面部
14 第2平面部
15 貫通孔
16 金属部材
17 めっき層
18 金属化合物層
19A 接続部分
19B 接続部分
20 発光素子
21 素子電極
30 透光性部材
40 被覆部材
50 導電性部材
86 金属ペースト
100 発光装置
101A 発光装置(第1変形例)
102 発光装置(第2変形例)
S1 セラミックス焼結体基板の製造方法(第1実施形態)
S2 セラミックス焼結体基板の製造方法(第2実施形態)
S3 セラミックス焼結体基板の製造方法(第3実施形態)
SA1 セラミックス焼結体基板の製造方法の変形例
SA2 セラミックス焼結体基板の製造方法の変形例
S100 発光装置の製造方法