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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091150
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】探傷試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20240627BHJP
   G01N 22/00 20060101ALI20240627BHJP
   G01N 22/02 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
G01N29/06
G01N22/00 S
G01N22/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022207640
(22)【出願日】2022-12-23
(71)【出願人】
【識別番号】000173809
【氏名又は名称】一般財団法人電力中央研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】福冨 広幸
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047AA10
2G047BA03
2G047BB01
2G047BC07
2G047CA02
2G047CA04
2G047DB02
2G047EA07
2G047GB02
2G047GF06
2G047GF20
2G047GG24
2G047GG35
2G047GH06
(57)【要約】
【課題】表示データの虚像であるノイズの原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成する。
【解決手段】頻度導出手段12により、画像における画素の強度のカウント数を求めて強度の頻度を導出し(いわゆる、ヒストグラムを作成し)、選択手段13により、頻度に基づいて、画像を作成するために削除する強度の画素を選択し、ノイズの原因となる画素の影響を排除する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
波動素子からの対象物への波動の送受信信号に基づいて探傷画像を作成する探傷試験システムにおいて、
波動の送受信信号に基づいて作成された前記探傷画像における画素の強度のカウント数を求めて前記強度の頻度を導出する頻度導出手段と、
前記頻度導出手段で導出された前記頻度に基づいて、表示データの虚像とみなすことができる強度を選択し、選択された前記強度の画素を少なくとも削除して表示させる選択手段とを備えた
ことを特徴とする探傷試験システム。
【請求項2】
請求項1に記載の探傷試験システムにおいて、
前記選択手段は、
前記頻度導出手段で導出された前記頻度がピークになる前記強度の画素を少なくとも削除して前記探傷画像を作成する機能を有している
ことを特徴とする探傷試験システム。
【請求項3】
請求項1に記載の探傷試験システムにおいて、
前記選択手段は、
前記頻度導出手段で導出された前記頻度がピークになる前記強度の画素、及び、前記ピークになる前記強度の1倍を超す所定の倍数の強度の画素を削除して前記探傷画像を作成する機能を有している
ことを特徴とする探傷試験システム。
【請求項4】
請求項1に記載の探傷試験システムにおいて、
前記選択手段は、
前記頻度導出手段で導出された前記頻度がピークになる前記強度の画素、及び、前記ピークになる前記強度に対して所定割合の強度の画素を削除して前記探傷画像を作成する機能を有している
ことを特徴とする探傷試験システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の探傷試験システムにおいて、
前記波動素子は超音波振動子である
ことを特徴とする探傷試験システム。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の探傷試験システムにおいて、
前記波動素子は電磁波アンテナである
ことを特徴とする探傷試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、構造物を非破壊で検査する際の探傷試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
構造物の内部の状況を非破壊で検査する探傷試験システムとして、超音波探傷による非破壊検査の手法が従来から種々知られている(例えば、特許文献1)。超音波探傷による探傷試験では、超音波探傷機器から超音波を対象物に送信し、対象物における超音波の反射状況(反射信号)を合成して探傷画像を作成している。そして、探傷画像に基づいて構造物の内部の傷などの有無を判断している。
【0003】
従来から知られている探傷試験システムでは、超音波の反射信号を受信手段で受信し、受信した信号を合成して傷などが表示される探傷画像を作成している。受信手段で受信して探傷画像として合成される反射信号には、実際に反射した部分に対応する信号以外の信号(実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号)も含まれている。このため、探傷画像にはノイズの影響が少なからず生じているのが現状であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-42029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成することができる探傷試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の探傷試験システムは、波動素子からの対象物への波動の送受信信号に基づいて探傷画像を作成する探傷試験システムにおいて、波動の送受信信号に基づいて作成された前記探傷画像における画素の強度のカウント数を求めて前記強度の頻度を導出する頻度導出手段と、前記頻度導出手段で導出された前記頻度に基づいて、表示データの虚像とみなすことができる強度を選択し、選択された前記強度の画素を少なくとも削除して表示させる選択手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
波動の送受信信号に基づいて作成された探傷画像において、カウント数(頻度)が多い強度(濃淡度合)の画素は、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいたもの(強度が小さいもの)が多く存在していることが知られている。即ち、反射源に反射した信号に基づいた画素の強度が相対的に高くなることが知られている。
【0008】
請求項1に係る本発明は、この知見によりなされたもので、頻度導出手段により、波動の送受信信号に基づいて作成された探傷画像における画素の強度のカウント数を求めて前記強度の頻度を導出し(いわゆる、ヒストグラムを作成し)、選択手段により、表示データの虚像とみなすことができる強度を選択し、選択された強度の画素を少なくとも削除して表示させる。
【0009】
例えば、頻度(カウント数)がピークになる強度の探傷画像の画素を少なくとも削除することで、表示データの虚像とみなすことができる強度を含む画素を除いた画像を作成することができる。
【0010】
これにより、頻度が高い(カウント数が多い)部分の画素である、強度が小さい画素(実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた画素)が削除された状態になり、ノイズの表示を大幅に減らすことができる。
【0011】
従って、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成することが可能になる。
【0012】
そして、請求項2に係る本発明の探傷試験システムは、請求項1に記載の探傷試験システムにおいて、前記選択手段は、前記頻度導出手段で導出された前記頻度(カウント数)がピークになる前記強度の画素を少なくとも削除して前記探傷画像を作成する機能を有していることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る本発明では、頻度(カウント数)がピークになる強度の画素を少なくとも削除して探傷画像を作成するので、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた可能性がある画素を削除して表示することができる。
【0014】
また、請求項3に係る本発明の探傷試験システムは、請求項1に記載の探傷試験システムにおいて、前記選択手段は、前記頻度導出手段で導出された前記頻度(カウント数)がピークになる前記強度の画素、及び、前記ピークになる前記強度の1倍を超す所定の倍数の強度の画素を削除して前記探傷画像を作成する機能を有していることを特徴とする。
【0015】
請求項3に係る本発明では、頻度(カウント数)がピークになる強度の画素、及び、ピークになる強度の1倍を超す所定の倍数の強度の画素を削除して探傷画像を作成するので、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた可能性が高い画素を削除することができる。
【0016】
また、請求項4に係る本発明の探傷試験システムは、請求項1に記載の探傷試験システムにおいて、前記選択手段は、前記頻度導出手段で導出された前記頻度(カウント数)がピークになる前記強度の画素、及び、前記ピークになる前記強度に対して所定割合の強度の画素を削除して前記探傷画像を作成する機能を有していることを特徴とする。
【0017】
請求項4に係る本発明では、頻度(カウント数)がピークになる強度の画素、及び、ピークになる強度に対して所定割合の強度の画素を削除して探傷画像を作成するので、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた可能性が高い画素を削除することができる。
【0018】
また、請求項5に係る本発明の探傷試験システムは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の探傷試験システムにおいて、前記波動素子は超音波振動子であることを特徴とする。
【0019】
請求項5に係る本発明では、超音波探傷の分野において、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成することが可能になる。
【0020】
また、請求項6に係る本発明の探傷試験システムは、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の探傷試験システムにおいて、前記波動素子は電磁波アンテナであることを特徴とする。
【0021】
請求項6に係る本発明では、電磁波レーダーの分野において、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成することが可能になる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の探傷試験システムは、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施例に係る探傷試験システムの全体の概略構成図である。
図2】本発明の一実施例に係る探傷試験システムの信号処理手段のブロック構成図である。
図3】断面画像の表示範囲を再構成するエリアにおける受信信号の強度の頻度(受信信号の強度に対するカウント数)を説明する概念図である。
図4】傷(対象物)が表示された断面像の一例を説明する概念図である。
図5】全ての強度の画素を用いて作成した探傷画像の概念図である。
図6】ピークの頻度の強度の画素を削除して作成した探傷画像の概念図である。
図7】ピークの頻度の強度の画素、及び、ピークの頻度の画素の2倍の強度の画素を削除して作成した探傷画像の概念図である。
図8】ピークの頻度の強度の画素、及び、ピークの頻度の強度の画素の3倍の強度の画素を削除して作成した探傷画像の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1に基づいて本発明の探傷試験システムの実施例を説明する。
【0025】
図1には本発明の一実施例に係る探傷試験システムの全体の構成を説明するための概略状況を示してある。
【0026】
図1に示すように、探傷試験システム1は、対象物としての構造物2に超音波(波動)を発信すると共に、構造物2の内部の反射源(例えば、傷)8で反射した超音波(波動)を含むすべての受信信号を受信する波動素子としての探触子3(一つの送受信用素子:送信用素子、受信用素子)を備えている。探触子3は複数(例えば、10個)がアレイ状に配されて送受信手段4とされ、送受信手段4の探触子3は、構造物2に対して垂直方向に超音波を発信すると共に、垂直方向に反射した超音波を受信する構成となっている(一つの探触子3毎に超音波の送受信が行われる)。
【0027】
尚、アレイ状に配された探触子3において、超音波(波動)を送信する探触子3の組み合わせ(送受信用素子と波動エネルギーを受信する送受信用素子の組み合わせ)は任意であり、上述した実施例のように、超音波を送信する探触子3と超音波を受信する探触子3が同じ場合の組み合わせ、構造物2に対して任意の傾斜角度をもって超音波を発信し、異なる探触子3で超音波を受信する構成の組み合わせ、全ての探触子3から超音波を送信し(角度は任意)、一つの探触子3で超音波を受信する場合の組み合わせなど、任意の組み合わせを適用することができる。
【0028】
また、波動素子として、超音波(音)を送受信する構成の例を挙げて説明しているが、電磁波アンテナを適用し、電磁波(電磁波レーダー)を使用することも可能である。構造物として、例えば、コンクリートに適用し、空洞や鉄筋の配置などを検査することができる。
【0029】
送受信手段4の情報は処理手段5に入力され、入力情報に基づいて画像再構成の計算が実施されて探傷画像が作成される。そして、処理手段5では、画素の強度(濃淡の度合)のカウント数を求めて強度の頻度が求められ(ヒストグラムが形成され)、頻度に基づいて、表示データの虚像とみなすことができる強度が選択されて強度の画素が少なくとも削除されて表示用の画像が作成される。表示用の画像情報は表示手段6に送られ探傷画像が表示される。
【0030】
波動の送受信信号に基づいて作成された探傷画像において、カウント数(頻度)が多い強度(濃淡度合)の画素は、実際には反射源(傷)がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいたもの(強度が小さいもの)が多い。即ち、反射源(傷)に反射した信号に基づいた画素の強度が相対的に高くなることが知られている。
【0031】
処理手段5では、超音波の送受信信号に基づいて作成された探傷画像における画素の強度のカウント数を求めて強度の頻度を求め(いわゆる、ヒストグラムを作成し)、表示データの虚像とみなすことができる強度を選択し、選択された強度の画素を少なくとも削除して表示させるようにしている。
【0032】
例えば、頻度(カウント数)がピークになる強度の探傷画像の画素を少なくとも削除することで、表示データの虚像とみなすことができる強度を含む画素を除いた画像を作成するようにしている。
【0033】
これにより、頻度が高い(カウント数が多い)部分の画素である、強度が小さい画素(実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた画素)が削除された状態になり、ノイズの表示を大幅に減らすことができる。
【0034】
従って、実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる画素の影響を排除して探傷画像を作成することが可能になる。
【0035】
図2から図5に基づいて探傷試験システムの処理を具体的に説明する。
【0036】
図2には本発明の一実施例に係る探傷試験システムにおける処理手段のブロック構成、図3には断面画像の表示範囲を再構成するエリアにおける画素の強度の頻度(画素の強度に対するカウント数)を説明する概念状況を示してある。
【0037】
そして、図4には傷(対象物)が表示された断面画像の概念状態を示してあり、ノイズである表示データの虚像(実際には反射源がないところに生じる指示模様)が抑制された状態の図である。
【0038】
図2に示すように、処理手段5は、探傷画像が表示される範囲における超音波の受信信号に応じて求められる画素の強度の分布に応じた探傷画像を作成する画像作成手段11を有している。処理手段5には、画素の強度(濃淡の度合)のカウント数を求めて強度の頻度を導出する(ヒストグラムを形成する)頻度導出手段12が備えられている。そして、頻度導出手段12で求められた頻度に基づいて、表示データの虚像とみなすことができる強度が選択され、選択された強度の画素が少なくとも削除されて表示用の画像が作成される選択手段13が備えられている。
【0039】
カウント数(頻度)が多い強度(濃淡度合)の画素は、実際には反射源(傷)がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいたもの(強度が小さいもの)が多く、反射源(傷)に反射した信号に基づいた画素の強度が相対的に高くなることが知られている。
【0040】
この知見に基づき、頻度導出手段12により、画素の強度(濃淡の度合)のカウント数を求めて強度の頻度が求められる(ヒストグラムが形成される)。選択手段13により、表示データの虚像とみなすことができる強度が選択され、選択された強度の画素が少なくとも削除され、探傷画像が作成される。
【0041】
例えば、カウント数(頻度)がピークになる強度の画素が少なくとも削除され、探傷画像が作成される。即ち、頻度導出手段12で導出された頻度(カウント数)がピークになる強度SP1の画素が削除されて探傷画像が作成される。
【0042】
これにより、頻度が高い(カウント数が多い)部分の画素である、強度が小さい画素(実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた画素)が削除された状態になり、ノイズの表示を減らすことができる。
【0043】
尚、選択手段13として、頻度導出手段12で導出された頻度(カウント数)がピークになる強度SP1の画素、及び、ピークになる強度SP1の画素の1倍を超す所定の倍数(2倍、3倍)の強度SP2、強度SP3の画素を削除して探傷画像を作成することができる。
【0044】
これにより、頻度が高い(カウント数が多い)部分の画素である、強度が小さい画素(実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた画素)が削除された状態になり、ノイズの表示を大幅に減らすことができる。
【0045】
また、選択手段13として、頻度導出手段12で導出された頻度(カウント数)がピークになる強度SP1の画素、及び、ピークになる強度SP1の画素の所定割合になる強度の画素を削除して探傷画像を作成することができる。これにより、頻度が高い(カウント数が多い)部分の画素である、強度が小さい画素(実際には反射源がないところに生じる指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の原因となる信号に基づいた画素)が削除された状態になり、ノイズの表示を大幅に減らすことができる。
【0046】
上述した実施例では、画素の強度が相対的に高くなる強度SPCの画素を中心にして探傷画像が作成されるため、図4に示すように、ノイズである表示データの虚像(実際には反射源がないところに生じる指示模様)が抑制された状態で、傷部25(強度SPCの画素を中心とした探傷画像の一部であって、反射源である傷が画像化されたもの)が表示された断面画像を得ることができる。
【0047】
尚、断面画像において、図中上方に向かう座標の方向をZ、図中左右に向かう座標の方向をXと表示してある。
【0048】
図5から図8に基づいて探傷画像の具体例を説明する。
【0049】
図5に示した探傷画像は、全ての強度の画素を用いて探傷画像を作成した状況である。図に示すように、傷部25の並び方向を挟んで両側に比較的濃い状態で広い範囲の指示模様26がノイズとして表示され、傷部25の周囲に淡い状態の指示模様27がノイズとして表示される。
【0050】
図6に示した探傷画像は、ピークの頻度の強度SP1を削除して探傷画像を作成した状況である。図に示すように、傷部25の並び方向を挟んで両側に淡い状態で広い範囲の指示模様27がノイズとして表示され、傷部25の周囲に淡い状態の指示模様27がノイズとして表示される。
【0051】
図7に示した探傷画像は、ピークの頻度の強度SP1、及び、ピークの強度の2倍の強度SP2の画素を削除して探傷画像を作成した状況である。図に示すように、傷部25の並び方向を挟んで両側に淡い状態で比較的狭い範囲の指示模様27がノイズとして表示され、傷部25の周囲に淡い状態の指示模様27がノイズとして表示される。
【0052】
図8に示した探傷画像は、ピークの頻度の強度SP1の画素、及び、強度SP2、強度SP3の画素を削除して探傷画像を作成した状況である。図に示すように、傷部25の並び方向を挟んで両側に淡い状態で指示模様27がノイズとして点在して表示され、傷部25の周囲に淡い状態の指示模様27がノイズとしてわずかに表示される。
【0053】
上述したように、ピークの頻度の強度の画素を少なくとも削除して探傷画像を作成することで、濃い状態で表示される指示模様27(ノイズ)を抑制することができ、淡い状態の指示模様27(ノイズ)の範囲を小さくすることができる。
【0054】
従って、実際には反射源ではない可能性が高い信号に基づいた画素を削除し、指示模様(表示データの虚像:ノイズ)の影響を排除して探傷画像を作成することが可能になり、ノイズの表示を抑制することができる。
【0055】
本発明は、パルス波を用いた計測技術(超音波であれば、フェーズドアレイ超音波計測法、レーザー超音波計測法、電磁超音波法、空気超音波法、魚群探知機などの超音波ソナーなど)に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、例えば、構造物を非破壊で検査する際の探傷試験システムの産業分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 探傷試験システム
2 構造物
3 探触子
4 送受信手段
5 処理手段
6 表示手段
8 反射源(傷)
11 画像作成手段
12 頻度導出手段
13 選択手段
25 傷部
26 指示模様(濃い状態)
27 指示模様(淡い状態)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8