(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091493
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】毛髪化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9789 20170101AFI20240627BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/64 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20240627BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/24 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20240627BHJP
A61K 8/25 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61Q5/00
A61K8/19
A61K8/49
A61K8/64
A61K8/73
A61K8/67
A61Q5/06
A61K8/24
A61K8/26
A61K8/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023206788
(22)【出願日】2023-12-07
(31)【優先権主張番号】P 2022205434
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149445
【弁理士】
【氏名又は名称】大野 孝幸
(74)【代理人】
【識別番号】100163290
【弁理士】
【氏名又は名称】岩本 明洋
(74)【代理人】
【識別番号】100214673
【弁理士】
【氏名又は名称】菅谷 英史
(74)【代理人】
【識別番号】100186646
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】関川 周司
(72)【発明者】
【氏名】田中 有加
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA111
4C083AA112
4C083AB032
4C083AB211
4C083AB222
4C083AB291
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC841
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD132
4C083AD392
4C083AD411
4C083AD621
4C083BB22
4C083BB24
4C083CC31
4C083CC36
4C083DD17
4C083DD22
4C083EE24
4C083EE26
(57)【要約】
【課題】天然色素の課題であった耐水性、発色、洗浄性を向上させる毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【解決手段】天然色素と担持物質が複合化した非水溶性色素組成物を含有することを特徴とした毛髪化粧料は、水に不溶であるため毛髪内部に色素が浸透せず、色素沈着が発生しにくい。また、本発明の非水溶性色素組成物は担持物質の隠蔽効果により、黒髪に使用した場合でも良好な発色を示す。耐水性、発色、洗浄性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然色素と担持物質が複合化した非水溶性色素組成物を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
【請求項2】
前記非水溶性色素組成物の天然色素と、担持物質の組成が質量比で、天然色素:担持物質=0.1:99.9~90:10である請求項1記載の毛髪化粧料。
【請求項3】
前記非水溶性色素組成物の担持物質が金属酸化物、金属水酸化物、粘土鉱物、ハイドロキシアパタイトまたは有機多糖類から選択される少なくとも1つ以上である請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項4】
前記非水溶性色素組成物の天然色素が、フラボノイド系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、または色素タンパク質から選択される少なくとも1つ以上である請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【請求項5】
前記非水溶性色素組成物の天然色素が、アナトー色素、クロロフィル色素、ベニバナ黄色素、またはフィコシアニン色素から選択される少なくとも1つ以上である請求項1または2に記載の毛髪化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、毛髪化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から毛髪化粧料( 別名: ヘアカラー、ヘアブリーチ、ヘアマニュキュア、カラーリンス、ヘアマーカー、ヘアマスカラ、カラースプレー、ヘアジェル、ヘアオイルなど) としては、髪に塗布した後の耐水性、発色、洗浄性を有していることが求められる。
【0003】
従来の天然色素由来の毛髪化粧料として、累積染毛性を有する一時的染毛料があり、繰り返し使用することで染毛が可能であることが記載されている(引用文献1)。また、従来の酸性染料や染毛に使用するカップリング剤に発がん性やアレルギーの懸念があることから、安全な色素を使用した染毛剤とその使用方法を提案している(引用文献2)。
【0004】
しかし、これらの文献記載の染毛料は、天然色素由来の特性に起因するため、耐水性に乏しく、発色が弱く、洗浄性も高いものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-250394号公報
【特許文献2】特開2012-116829号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、天然色素の課題であった耐水性、発色、洗浄性を向上させる毛髪化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、天然色素と担持物質が複合化した非水溶性色素組成物を含有することを特徴とした毛髪化粧料は、耐水性、発色、洗浄性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の態様を包含するものである。
[1]
天然色素と担持物質が複合化した非水溶性色素組成物を含有することを特徴とする毛髪化粧料。
[2]
前記非水溶性色素組成物の天然色素と、担持物質の組成が質量比で、天然色素:担持物質=0.1:99.9~90:10である1記載の毛髪化粧料。
[3]
前記非水溶性色素組成物の担持物質が金属酸化物、金属水酸化物、粘土鉱物、ハイドロキシアパタイトまたは有機多糖類から選択される少なくとも1つ以上である1または2に記載の毛髪化粧料。
[4]
前記非水溶性色素組成物の天然色素が、フラボノイド系色素、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、または色素タンパク質から選択される少なくとも1つ以上である1~3いずれか1つに記載の毛髪化粧料。
[5]
前記非水溶性色素組成物の天然色素が、アナトー色素、クロロフィル色素、ベニバナ黄色素、またはフィコシアニン色素から選択される少なくとも1つ以上である1~3いずれか1つに記載の毛髪化粧料。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐水性、発色が高く、色素沈着しづらい毛髪化粧料を提供することができる。本発明の非水溶性色素組成物は水に不溶であるため毛髪内部に色素が浸透せず、色素沈着が発生しにくい。また、本発明の非水溶性色素組成物は担持物質の隠蔽効果により、黒髪に使用した場合でも良好な発色を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の非水溶性色素組成物について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の一実施態様としての一例であり、これらの内容に特定されるものではない。
【0011】
(天然色素)
本発明で使用する天然色素は、赤キャベツ色素、赤大根色素、アナトー色素、イカスミ色素、ウコン色素、カカオ色素、カロテン色素、カロテノイド色素、クチナシ赤色素、クチナシ青色素、クチナシ黄色素、クロロフィル色素、フィコシアニン色素、コウリャン色素、コチニール色素、サフラン色素、シソ色素、シタン色素、スピルリナ色素、タマネギ色素、タマリンド色素、チョウマメ色素、トウカラシ色素、トマト色素、ハイビスカス色素、ビートレッド色素、ぶどう果皮色素、ヘマトコッカス色素、ベニコウジ色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、ベリー類色素、マリーゴールド色素、ムラサキイモ色素、ムラサキとうもろこし色素、ムラサキヤマイモ色素、カラメル色素、植物炭末色素等、天然由来の色素であれば、使用することができる。また、これらの色素を生合成、酵素合成、化学合成したものについても同様に使用することができる。
【0012】
中でも本発明で好適に使用できる色素としては、カロテノイド系色素、ポルフィリン系色素、フラボノイド系色素、色素タンパク質がある。
【0013】
カロテノイド系色素は、ニンジンやトマト、トウガラシから抽出される赤色色素、柑橘類やクチナシやベニノキ、マリーゴールドから抽出される黄色色素などが知られており、緑色の葉野菜にもカロテノイド系色素が多く含有されている。
【0014】
カロテノイドはテルペン類化合物の中でもテトラテルペン類に属する物質であり、テルペン類は植物にとって重要な化合物で、2万以上の化合物が知られている。カロテノイド系色素としては、β-カロテン、リコピン等の炭化水素系色素や、アスタキサンチン、カプサンチン、ルテイン等のキサントフィル系色素、その他ビキシン、ノルビキシン、クロシン等が知られている。
【0015】
ポルフィリン系色素は、4つのピロール環を有しており、その金属錯体は光合成において光吸収および光電子移動の役割を果たすクロロフィルや、血液中で酸素を運搬するヘモグロビンのヘムなどに含まれており、生体中で重要な役割を担う化合物である。ポルフィリン金属錯体は、光電子機能性材料や金属錯体触媒、分子性導電材料として多方面で用いられおり、ポルフィリンの周辺置換基、中心金属、アキシアル位の配位子を変化させることで実に多彩な機能性を発揮することが知られている。
【0016】
フラボノイドは、ポリフェノールの大分類のひとつである。フラボノイドは一定の化学構造を持つ成分の総称で、植物の葉、茎、幹などに含まれており、植物が紫外線や害虫などから身を守るために生成している物質であり、色素や苦味成分のもととなっている。また、フラボノイドは、構造の違いによってフラボノール類、フラボン類、カテキン類、フラバノン類、アントシアニン類、イソフラボン類などに分けられている。
【0017】
フラボノイド系色素としては、フラボノールや、様々な色調を示すアントシアニン色素、濃い黄色に発色するカルコン、オーロン等の色素が挙げられる。
【0018】
(色素タンパク質)
色素タンパク質は、天然の状態において、色素と複合化しているタンパク質の総称である。動植物の細胞および体液に存在し、色素を含む補欠分子族によって、様々な色調や生理的機能を発現する。ヘムタンパク質は、鉄-ポルフィリン錯塩とタンパク質との結合体であり、タンパク質とヘムとの結合比は1対1、1対2、1対4などである。天然に広く存在しており、ヘモグロビン、ミオグロビン、チトクロム、カタラーゼ、ペルオキシダーゼなどがある。
【0019】
金属錯化合物は、金属錯イオンとタンパク質との結合体であり、へモシアニンなどの銅タンパク質とフェリチンなどの鉄タンパク質がある。フェリチンは脾臓、小腸粘膜、肝臓などに存在し、生体内での鉄の貯蔵や消化の際の鉄の吸収に関与すると考えられている。
【0020】
フィコ色素タンパク質は、ピロール誘導体とタンパク質の結合体であり、紅藻植物の紅色を示すフィコエリトリン、藍藻植物の藍色を示すフィコシアニンなどがある。これらは葉緑体中にクロロフィル、カロチノイドに伴って含まれ、光合成の補助色素と考えられている。
【0021】
フラビンタンパク質は、補欠分子族として、フラビンモノヌクレオチドまたはフラビンアデニンジヌクレオチドをもつ。すべて酸化還元酵素としての作用をもち、フラビン酵素ともよばれる。アミノ酸オキシダーゼ、キサンチンオキシダーゼなどがある。
【0022】
カロテノイドタンパク質は、カロテノイドとタンパク質との結合体である。ビタミンAとタンパク質との結合体などがあり、ロドプシンはその一つである。
【0023】
(フィコシアニン)
本発明で使用する色素タンパク質としては、鮮やかな青色に発色することから、フィコシアニンが最も好ましい。フィコシアニンは、色素タンパク質であり、発色団としてフィコシアノビリンを有する。フィコシアニンは、フィコシアノビリンとタンパクが結合した構造を有する。
【0024】
本発明の係るフィコシアニンとしては、例えば、藍藻類由来のフィコシアニン、紅藻類由来のフィコシアニン、クリプト藻由来のフィコシアニン等の藻類由来のフィコシアニン等が挙げられ、中でも、大量に採取できることから藍藻類由来のフィコシアニンが好ましい。
【0025】
藍藻類としては、例えば、スピルリナ(Spirulina)属、アルスロスピラ(Arthrospira)属、アファニゾメノン(Aphanizomenon)属、フィッシェレラ(Fischerella)属、アナベナ(Anabaena)属、ネンジュモ(Nostoc)属、シネコキスチス(Synechocystis)属、シネココッカス(Synechococcus)属、トリポスリクス(Tolypothrix)属、スイゼンジノリ(Aphanothece)属、マスティゴクラディス(Mastigocladus)属、プルロカプサ(Pleurocapsa)属等の藍藻類が挙げられる。中でも、工業的規模で生産され、その安全性が確認されているスピルリナ属およびアルスロスピラ属の藍藻類が好ましく、スピルリナ属の藍藻類がより好ましい。
【0026】
また、フィコシアニン調製の原料として、生の藍藻類を使用することもできるし、乾燥処理した藍藻類を使用してもよい。藍藻類の乾燥品は、生の藍藻類を常法に従い乾燥品としてもよく、市販の乾燥品を使用することもできる。
【0027】
フィコシアニンは、例えば、藍藻類を水やリン酸緩衝液、クエン酸緩衝液等の緩衝液中に懸濁し、藍藻類中のフィコシアニンを抽出することにより得ることができる。
【0028】
フィコシアニンを抽出する方法としては、特に制限は無く、一般に知られている方法を用いることができる。
【0029】
抽出方法の好ましい実施態様としては、例えば、特開2006―230272号公報に記載の抽出方法を挙げることができる。具体的には、下記抽出方法(i)で記載する抽出方法が挙げられる。係る抽出方法(i)により、高純度であざやかな色調のフィコシアニンを得ることができる。
【0030】
<抽出方法(i)>
抽出方法(i)は、
藍藻類中のフィコシアニンを水懸濁液中に抽出させた抽出液を得る第一工程と、
該抽出液中でカルシウム塩とリン酸塩とを反応させてリン酸カルシウムを生成させると共に該リン酸カルシウムにフィコシアニンの夾雑物を吸着させ吸着物を得る第二工程と、 該抽出液から藍藻類の残渣及び吸着物を除去する第三工程と、を有する。
【0031】
さらに上記抽出方法(i)が下記抽出方法(ii)であると、より好ましい。
<抽出方法(ii)>
抽出方法(ii)は、
藍藻類中のフィコシアニンを水懸濁液中に抽出させた抽出液を得る第一工程と、
該抽出液中でカルシウム塩とリン酸塩とを反応させてリン酸カルシウムを生成させると共に該リン酸カルシウムにフィコシアニンの夾雑物を吸着させ吸着物を得る第二工程と、
該抽出液から藍藻類の残渣及び吸着物を除去する第三工程と、
第三工程より前に、抽出液にキレート剤を含有させる工程と、を有する。
【0032】
本発明で使用するフィコシアニンは、安定化剤と混合した市販品であるリナブルーG1(DICライフテック(株)製、トレハロース55%、スピルリナ抽出物40%、クエン酸三ナトリウム5%)から使用した。これらは、特開平11-299450号公報に記載しているように、トレハロースは、熱安定性を上げるため、クエン酸は、pH調整剤としてもちいられている。なお、フィコシアニン色素はスピルリナ抽出物中の主成分として含まれる。
【0033】
本発明において、天然色素は、一種類単独で用いても良いし、数種類の天然色素を同時に用いても良い。アプリケーションにより、所望の色相に調色するために、天然色素を事前に混合して、担持物質と複合化してもよいし、単独の天然色素と担持物質を複合化した後に、それぞれを複合化した非水溶性色素組成物を混合してもかまわない。
【0034】
(金属、金属化合物)
本発明で使用する金属および金属化合物は、天然色素を不溶化するための担持作用を有するものであれば、如何なるものでも使用することができる。金属単体、金属酸化物、金属水酸化物等であり、特にアルミニウム、アルミニウム酸化物、アルミニウム水酸化物が好適に使用できる。本発明で使用する金属または金属化合物中の金属元素としては、元素の周期表1~15族に属するもののうち、第1周期及び第2周期のものを除いたものが挙げられる。中でも鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、アルミニウム、チタン等の金属元素の使用が可能であり、それらから選択される1種類以上の金属元素を使用することができる。特に食品、化粧品用途として人体に影響のない金属または金属化合物が好ましく、本発明の実施形態においては、特にアルミニウム、チタン、亜鉛が好ましい。本発明の実施形態において、天然色素と金属または金属化合物の物理的吸着をより強固にするために、金属または金属化合物として金属の水酸化物や酸化物が好適に用いられ、特に水酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化亜鉛が好適に用いられる。塩化アルミニウムや4塩化チタン、塩化亜鉛等の塩化物にアルカリを添加し、水酸化アルミニウムや酸化チタン、水酸化亜鉛等のスラリーとしたものを使用したほうが、天然色素との物理的吸着がより強くなり、好ましい。さらに、物理的吸着をより強固にするために、金属または金属化合物の表面に天然色素が被覆されている状態がより好ましい。
【0035】
(ハイドロキシアパタイト)
本発明で使用するハイドロキシアパタイトはリン酸カルシウムの一種で、歯と骨の主成分である。自然界において鉱物や生体の構成成分として存在するハイドロキシアパタイトは、その生体親和性が高いことから、構成成分として医療機器や歯科材料(例えばインプラントのコーティング、骨形成の材料や人工歯根など)に広く使われている。また、ハイドロキシアパタイトには独特の性質があり、結晶中の一部のイオンを置換してもその結晶構造を保つことができる。その結果、結晶中のイオンや結晶形状を微妙に制御する事で、タンパク質の選択的吸着機能や触媒機能の発現など様々な機能を持たせることができるので、化学工業の分野でも広く利用されている物質である。
【0036】
ハイドロキシアパタイトは低結晶性なものほど比表面積が増加し、吸着能力が高い傾向がある。この観点から、本発明で使用するハイドロキシアパタイトは、Ca/P(モル比)が1.4~1.8の低結晶性ハイドロキシアパタイトが担持材として好ましい。また、同様に吸着量の観点から窒素ガス吸着法により測定した比表面積が10m2/g以上(より好ましくは40m2/g以上)のものが好ましい。吸着量はハイドロキシアパタイトのかさが大きいほど増加する傾向があり、かさが500mL/100g以上(より好ましくは900mL/100g以上)のものが好ましい。平均粒形は0.1~40μmが好ましく、より好ましくは10~30μmが好ましい。
【0037】
(粘土鉱物)
粘土鉱物は、粘土を構成する鉱物で、主成分は層状ケイ酸塩鉱物(フィロケイ酸塩鉱物)である。金属イオン(アルミニウム、ナトリウム、カルシウム等)とケイ酸が連結しできたシートが、層状に形成されているものであり、このシートの間隙に水や金属イオン、場合によっては有機物まで容易に取り込み放出することから、湿度調整やイオン交換性、触媒など、機能性材料として、生活用品をはじめ多様な分野で利用されている。また、セラミック素材や陶器の原料として利用されている。
【0038】
本発明で使用される粘土鉱物としては、ベントナイト、ヘクトライト、スメクタイト、カオリナイト(高陵石)、モンモリロナイト、絹雲母(セリサイト)、イライト、海緑石(グローコナイト)、緑泥石(クロライト)、滑石(タルク)、沸石(ゼオライト)等を挙げる事ができる。
【0039】
中でもベントナイト、ヘクトライト、スメクタイトは、本発明の粘土鉱物として、色素との親和性が高く、非水溶性の性能が高く、発色性も優れていることから望ましい。
【0040】
ベントナイト、ヘクトライト、スメクタイトの結晶相はマイナスの電荷を帯びている。シート状構造の層間には電荷の偏りを補う陽イオンを保持しており、シートの厚さに対する層面の広がりが大きいため、色素との親和性が高い。
【0041】
有機化処理とは、粘土鉱物が含有する金属陽イオンを疎水性を有する有機イオンに置換する処理を指す。有機化処理を施した有機化ベントナイトや、有機化ヘクトライト、有機化スメクタイトの表面はそれぞれ疎水性となるため、アナトー色素、クロロフィル色素、ベニバナ黄色素、フィコシアニン色素などの天然色素がその化学構造中に有する疎水性部位との疎水性相互作用が強くなり、色素と吸着しやすくなる。色素吸着のしやすさと吸着量の観点から、本願発明では有機化処理された粘土鉱物を使用することが好ましい。
【0042】
使用する粘土鉱物の粒子形状は、二次粒子径が0.1~100μmであることが好ましく、5~50μmであることがより好ましい。
【0043】
(非水溶性色素組成物) 本発明で使用される天然色素の多くは、天然由来であるため、基本、染料の形態であるため水溶性であるが、本発明では、強固に天然色素と担持物質が、被覆、含浸、吸着の作用形態から複合化し、非水溶性色素組成物として、水に不溶となることを見出したものである。ここでいう複合化は、被覆、含浸、吸着等の作用形態に限定されるものではなく、単なる混合物ではなく、物理的吸着、または化学的吸着により、天然色素がハイドロキシアパタイト、粘土鉱物とインタラクションを持つことで、非水溶性化をなし得たものであると定義している。
【0044】
本発明に使用される非水溶性色素組成物として、天然系色素と、担持物質の組成が質量比で、天然色素:担持物質=0.1:99.9~90:10で設定して使用することができる。好ましくは、天然色素:担持物質=1:99~80:20である。
【0045】
(非水溶性色素組成物の製造方法)
本発明の非水溶性色素組成物を製造する方法としては、溶媒中で天然系色素と、担持物質を混合する方法が最も均一な非水溶性色素組成物を製造できるため好ましい。
【0046】
溶媒中で各物質を混合する非水溶性色素組成物の製造方法としては、1)まず担持物質の分散液を作成する。2)一方で天然色素を水に溶解し、水溶液を作成する。3)次に上記2つの液を混合して、非水溶性色素組成物を作成するが、担持物質の分散液に天然色素水溶液を混合しても良いし、その逆に天然色素水溶液に担持物質分散液を混合しても良いし、これら2つの液を少量ずつ混合しながら作成しても構わない。混合する温度は、室温、加熱して混合しても構わない。天然色素単体の分解温度を考慮し、10~60℃で混合するのが好ましく、20~50℃がより好ましい。4)混合液のpHを調整し天然色素と担持物質を複合化し、非水溶性色素組成物とする。
【0047】
得られた混合液を濾過、乾燥し、非水溶性色素組成物を得ることができる。混合液をヌッチェ等のろ過器でろ過する際に、ろ液に着色がないことを確認し、天然色素と担持物質が複合化していることを確認できる。また、非水溶性色素組成物のウェットケーキをさらに水洗を繰り返すが、同様にろ液は、無色透明であり、色素成分が流出していないことを確認できる。得られた非水溶性色素組成物の水含有ウェットケーキは、室温や加熱、真空、減圧乾燥等により乾燥し、ドライの非水溶性色素組成物を得ることができる。乾燥方法、乾燥機は、通常の方法、装置であればいかなるものでも可能であり、限定されるものではない。
【0048】
本発明の非水溶性色素組成物は、上記の水が含有したウェットケーキであっても乾燥したドライの非水溶性色素組成物であっても、用途によって使い分けが可能である。水系の分散液、インキに使用する場合は、ウェットケーキをそのまま使用が可能であり、溶剤分散系の場合は、水系から溶剤系に置換し、使用が可能である。ドライの非水溶性色素組成物は、そのままでも使用可能であるし、水、または有機溶媒、樹脂溶液等に再分散させて使用することももちろん可能である。
【0049】
(安定化剤、添加剤)
本発明の非水溶性色素組成物に、他の有機顔料、無機顔料、染料、色素を任意の割合で混合することももちろん可能であり、所望の要求される色相を満たすことができる。
本発明の非水溶性色素組成物を更に耐光性、耐熱性を付与するために、安定化剤や添加剤を添加することもできる。
【0050】
安定化剤、添加剤は、金属水酸化物の水溶液または、天然色素水溶液各々または両方に添加することも可能であるし、作成された非水溶性色素組成物に添加しても良い。
【0051】
(油性基剤)
本発明の毛髪化粧料は、特に整髪料や化粧料として用いる場合、形状を整えたり、色素などを分散安定化させたり、髪への塗布に適した展延性(伸び)を得たりする目的で油性基剤を含むことが好ましい。本発明の毛髪化粧料では、一般的に使用される公知慣用の油性基剤を用いることができる。
【0052】
油性基剤としては、特にジェルやクリーム形状などの半固形の毛髪化粧料に用いる場合、常温(25℃)で固形であるワックス類が好ましく用いられる。このようなワックス類としては、例えば、キャンデリラロウ、カルナバロウ、ライスワックス、木ロウ、サンフラワーワックスなどの植物系ワックス、ミツロウ等の動物系ワックス、オゾケライト、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の鉱物系ワックス、固形パラフィン等の石油系ワックス、シリコーンワックス、合成ミツロウ等の合成ワックスが挙げられる。また、( アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMP、(メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン/メタクリル酸アルキル)コポリマーなどの被膜形成用樹脂を配合してもよい。これらのワックス類は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
このようなワックス類を用いる場合のその含有量は、例えば、油性基剤全体の30質量%以上、好ましくは50質量%以上である。また、ワックス類を含む場合のその含有量は、例えば、毛髪化粧料(固形分)全量に対して20~90質量% 、好ましくは40~80質量%である。
【0054】
本発明の毛髪化粧料では、油性基剤として上記ワックス類以外に、液状油性成分を用いてもよい。液状油性成分としては、製剤の安定性と染料の溶解性の観点から、多価アルコールを含有することが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1 ,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられる。多価アルコールを含む場合のその含有量は、毛髪化粧料全量に対して、例えば0.5~10.0質量%、好ましくは1.0~8.0質量%である。
【0055】
本発明の毛髪化粧料は、経時での安定性の観点から、液状油性成分として、高級アルコールを含有することが好ましい。高級アルコールとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、オレイルアルコールなどが挙げられる。高級アルコールを含む場合のその含有量は、毛髪化粧料全量に対して、例えば1.0~10.0質量%、好ましくは2.0~9.0質量%である。
【0056】
また、本発明の毛髪化粧料は、塗布時のなじみやすさの観点から、液状油性成分として、炭化水素油を含有することが好ましい。上記炭化水素油としては、α-オレフィンオリゴマー、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィンなどが挙げられる。炭化水素油を含む場合のその含有量は、毛髪化粧料全量に対して、例えば0.5~10.0質量% 、好ましくは1.0~8.0質量%である。
【0057】
上記以外に油性基剤として、化粧料や整髪料に一般に使用される動物油、植物油、合成油等の起源の固形油、半固形油、液体油、揮発性油、炭化水素類、油脂類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類等を含んでいてもよい。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ポリイソブチレン、ポリブテン等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類等を含んでいてもよい。
【0058】
(ノニオン性界面活性剤)
さらに、本発明の毛髪化粧料は、経時での安定性の観点から、ノニオン性界面活性剤を含有することが好ましい。上記ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、ジメチコンポリオール、ポリオキシエチレン(硬化)ヒマシ油、脂肪酸アルキロールアミドなどが挙げられる。ノニオン性界面活性剤を含む場合のその含有量は、毛髪化粧料全量に対して、例えば0.5~10.0質量%、好ましくは1.0~8.0質量%である。
【0059】
(水性成分)
本発明の毛髪化粧料は、主成分が油性成分である油性タイプであってもよく、油性成分に水性成分を配合した乳化タイプ(O/W乳化型)、水性成分に油性成分を配合したW/O型であってもよい。水性成分を配合する場合のその含有量は、例えば30.0~ 90.0質量%、好ましくは40.0~80.0質量%である。
【0060】
本発明の毛髪化粧料は、水以外の水性成分として水に可溶な成分を含んでいてもよい。このような水性成分としては、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、ソルビトール、マルチトール、グルコースなどの糖アルコール類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられる。また、水性成分にアロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が含まれていてもよい。
【0061】
(その他の成分)
本発明の毛髪化粧料では、上記以外のその他の成分として、一般的に使用される添加剤(酸化防止剤、美容成分、防腐剤、pH調整剤、清涼剤、紫外線吸収剤、溶解助剤、抗菌剤、保湿剤、香料、アミノ酸、ビタミン類、生薬抽出物、キレート剤等)を含んでいてもよい。これらの添加剤の含有量は、それぞれ毛髪化粧料(固形分)全量に対して、例えば0.1~10質量%程度である。
【0062】
酸化防止剤としては、α-トコフェロール、アスコルビン酸等が挙げられる。美容成分としては、ビタミン類、消炎剤、生薬等が挙げられる。防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等が挙げられる。pH調整剤としては、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、又はこれらの塩、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。清涼剤としてはL-メントール、カンファー等が挙げられる。
【0063】
紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,4,6 -トリアニリノ-p-(カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、サリチル酸-2-エチルヘキシル、パラジヒドロキシプロピル安息香酸エチル、パラメトキシ桂皮酸-2-エチルヘキシル、4-tert-4’-メトキシジベンゾイルメタン、2-[4-(ジエチルアミノ)-2-ヒドロキシベンゾイル]安息香酸ヘキシルエステル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル、2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール]、(1,3,5)-トリアジン-2,4-ビス[{4-2-エチルヘキシロキシ)-2-ヒドロキシ}-フェニル]-6-(4- メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、ジメチコジエチルベンザルマロネート、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5- スルホン酸及びそのナトリウム塩等が挙げられる。
【0064】
溶解助剤としては、エタノール、グリセリン、ソルビトール等が挙げられる。防腐剤や抗菌剤としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、デヒドロ酢酸塩、感光素、イソプロピルメチルフェノール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、カプリリルグリコール、メチルパラベン、アニス酸等が挙げられる。酸化防止剤としては、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン等が挙げられる。
【0065】
本発明の毛髪化粧料が、ヘアカラーやヘアブリーチなどの医薬部外品に該当する染毛剤(脱色剤)である場合、1剤と2剤を混合して使用する2液混合タイプであってもよい。1剤には通常、酸化染料( 酸化反応によって発色する染料)、カプラー(調色剤)、直接染料、pH調節剤、クリーム基剤(油脂類+界面活性剤)、コンディショニング剤(湿潤剤)、安定剤、香料、溶剤などが配合されている。また、2剤には、過酸化水素水などの酸化剤、pH調節剤、乳化基剤、安定剤、香料、溶剤などが配合されている。
【0066】
本発明の毛髪化粧料が、ヘアスプレーやヘアフォーム(ムース)である場合、本発明の非水溶性色素組成物や上記の成分を含む混合・分散液に、適宜噴射に必要なLPGなどのガスを配合してもよい。
【0067】
[毛髪化粧料の製造方法]
本発明の毛髪化粧料は、本発明の非水溶性色素組成物や上記の成分を含む混合・分散液とし、公知慣用の方法により製造できる。製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。本発明の毛髪化粧料は、乳液状、クリーム状、ムース状、固形状等、種々の形態にて実施することができる。また、それらの剤型に応じて、ディスペンサー、ポンプ、チューブ、ジャー、エアゾールなど各種の容器に充填することが可能である。
【実施例0068】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0069】
(実施例1)
3Lビーカーに有機化ベントナイト(モイストナイト-WO、クニミネ工業株式会社製)30.0gとエタノール(鹿1級、関東化学株式会製)100gを加えた。続いて、イオン交換水1000gを加え、スリーワンモーターに接続したガラス攪拌羽根で室温で5分攪拌し、有機化ベントナイトの水分散液を調整した。500mLビーカーにアナトー色素3.0g(関東化学株式会社製)とイオン交換水300mL、攪拌子を加え、マグネチックスターラーを使用して室温で15分攪拌し、アナトー色素溶液を調整した。アナトー色素溶液を有機化ベントナイトの水分散液に加え、室温で15分攪拌した。続いて、塩酸(鹿1級、関東化学株式会社製)をイオン交換水で10倍希釈して調整した希塩酸をスポイトでゆっくり滴下し、pHを4.0に調整した後、室温で2時間攪拌した。橙色のスラリーをろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に橙色に呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察され、アナトー色素の不溶化を確認した。このスラリーをヌッチェで濾過し、得られた固体を真空乾燥機(740mmHg)で30℃、14時間乾燥後、ジューサー粉砕し、粉体(1)29.1gを得た。粉体(1)中の有機化ベントナイトとアナトー色素の組成比率は、仕込み量比で10:1である。得られた粉体はアナトー色素と同系統の橙色を呈していた。
【0070】
(ヘアカラークリーム(1)の作製)
50mLビーカーに蒸留水11.4g、プロピレングリコール1.12g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.28g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.016g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した 。ここに、粉体(1)を3.2g(色素成分0.29g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(1)を作製した。
【0071】
(ヘアカラークリーム(1)の評価)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(1)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(1)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな橙色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(1)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(1)を塗り広げた黒髪人毛は鮮やかな橙色に発色した。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(1)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(1)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな橙色に発色した。
【0072】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(1)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず橙色に呈色し、着色部位から同心円状に無色透明な溶液が広がっていく様子が観察された。橙色に呈色している部分はヘアカラークリーム(1)の色素成分であり、ヘアカラークリーム(1)は水にブリードしなかった。
【0073】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(1)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約2分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金色を呈しており、ヘアカラークリーム(1)は色素沈着しないこと確認した。
【0074】
(実施例2)
2Lガラスビーカーに、室温(20℃)下、塩化アルミニウム(III)六水和物(関東化学株式会社製)25.5gをイオン交換水858mLに溶解し、48%水酸化ナトリウム水溶液(関東化学株式会社製)より調製した5%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを4.0とし、水酸化アルミニウムのスラリーとした。リナブルーG1(DICライフテック(株)製、トレハロース55%、スピルリナ抽出物40%、クエン酸三ナトリウム5%)49.7gを粉体で加え、室温(20℃)で30分間攪拌した。続いて、5%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを4.0から7.0に調整すると、水酸化アルミニウムが析出し、青色スラリーが得られた。1時間攪拌後、青色スラリーをろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に青く呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察され、フィコシアニンの不溶化を確認した。青色スラリーをヌッチェを用いてろ紙で濾過し、イオン交換水2000gで洗浄し、青色のウェットケーキを得た。ウェットケーキを室温(20℃)下、真空乾燥機(740mmHg)で12時間乾燥後、50℃乾燥機で5時間乾燥後、ジューサー粉砕し、水酸化アルミニウムがフィコシアニンで被覆された粉体(2)を28.1g得た。粉体(2)の収量から、仕込み量より算出した水酸化アルミニウム分を差し引いて求めた、粉体(2)中の水酸化アルミニウムとフィコシアニン色素の組成比率は、質量比で、水酸化アルミニウム:フィコシアニン=29:71だった。得られた粉体(2)はフィコシアニンと同系の青色を呈した。
【0075】
(ヘアカラークリーム(2)の作製)
50mLビーカーに蒸留水11.4g、プロピレングリコール1.12g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.28g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.016g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した 。ここに、粉体(2)を3.2g(色素成分2.26g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(2)を作製した。
【0076】
(ヘアカラークリーム(2)の評価)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(2)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(2)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな藍色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(2)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(2)を塗り広げた黒髪人毛は鮮やかな藍色に発色した。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(2)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(2)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな藍色に発色した。
【0077】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(2)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず藍色に呈色し、着色部位から同心円状に無色透明な溶液が広がっていく様子が観察された。藍色に呈色している部分はヘアカラークリーム(2)の色素成分であり、ヘアカラークリーム(2)は水にブリードしなかった。
【0078】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(2)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約2分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金色を呈しており、ヘアカラークリーム(2)は色素沈着しないこと確認した。
【0079】
(実施例3)
3Lビーカーに有機化ベントナイト(モイストナイト-WO、クニミネ工業株式会社製)20.0gとエタノール(鹿1級、関東化学株式会社製)100gを加え十分に濡らした。次に、イオン交換水1000gを加え、スリーワンモーターに接続したガラス攪拌羽根で室温で5分攪拌し、有機化ベントナイトの水分散液を調整した。500mLビーカーに銅クロロフィリンナトリウム2.0g(富士フィルム和光純薬株式会社)とイオン交換水300mL、攪拌子を加え、マグネチックスターラーを使用して室温で15分攪拌し、色素溶液を調整した。色素溶液を水分散液に加え、室温で15分攪拌した後、塩酸(鹿1級、関東化学株式会社製)をイオン交換水で10倍希釈して調整した希塩酸をスポイトでゆっくり滴下し、pHを4.0に調整し、室温で2時間攪拌した。緑色のスラリーをろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に緑色に呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察され、銅クロロフィリンナトリウムの不溶化を確認した。このスラリーをヌッチェで濾過し、イオン交換水2000gで洗浄して得られた固体を真空乾燥機(740mmHg)で30℃、14時間乾燥後、ジューサー粉砕し、粉体(3)18.1gを得た。得られた粉体(3)中の有機化ベントナイトと銅クロロフィリンナトリウムの組成比率は、仕込み量比で10:1である。得られた粉体は銅クロロフィリンナトリウムと同系統の緑色を呈していた。
【0080】
(ヘアカラークリーム(3)の作製)
50mLビーカーに蒸留水11.4g、プロピレングリコール1.12g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.28g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.016g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した 。ここに、粉体(3)を3.2g(色素成分0.29g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(3)を作製した。
【0081】
(ヘアカラークリーム(3)の評価)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(3)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(3)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな緑色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(3)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(3)を塗り広げた黒髪人毛は鮮やかな緑色に発色した。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(3)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(3)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな緑色に発色した。
【0082】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(3)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず緑色に呈色し、着色部位から同心円状に無色透明な溶液が広がっていく様子が観察された。緑色に呈色している部分はヘアカラークリーム(3)の色素成分であり、ヘアカラークリーム(3)の色素成分は水にブリードしなかった。
【0083】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(3)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約2分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金色を呈しており、ヘアカラークリーム(3)は色素沈着しないこと確認した。
【0084】
(実施例4)
3Lビーカーにハイドロキシアパタイト(富士フィルム和光純薬株式会社製)20.0gとイオン交換水1000gを加え、スリーワンモーターに接続したガラス攪拌羽根で室温で5分攪拌し、ハイドロキシアパタイトの水分散液を調整した。500mLビーカーに銅クロロフィリンナトリウム2.0g(富士フィルム和光純薬株式会社)とイオン交換水300mL、攪拌子を加え、マグネチックスターラーを使用して室温で15分攪拌し、色素溶液を調整した。色素溶液をハイドロキシアパタイト水分散液に加え、室温で15分攪拌した。続いて、塩酸(鹿1級、関東化学株式会社製)をイオン交換水で10倍希釈して調整した希塩酸をスポイトでゆっくり滴下し、pHを4.0に調整した後、室温で2時間攪拌した。緑色のスラリーをろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に緑色に呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察され、銅クロロフィリンナトリウムの不溶化を確認した。このスラリーをヌッチェで濾過し、イオン交換水2000gで洗浄して得られた固体を真空乾燥機(740mmHg)で30℃、14時間乾燥後、ジューサー粉砕し、粉体(4)20.2gを得た。粉体(4)中のハイドロキシアパタイトと銅クロロフィリンナトリウムの組成比率は、仕込み量比で10:1である。得られた粉体は銅クロロフィリンナトリウムと同系統の緑色を呈していた。
【0085】
(ヘアカラークリーム(4)の作製)
50mLビーカーに蒸留水11.4g、プロピレングリコール1.12g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.28g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.016g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した 。ここに、粉体(4)を3.2g(色素成分0.29g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(4)を作製した。
【0086】
(ヘアカラー評価方法)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(4)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(4)を塗り広げた金髪人毛は緑色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(4)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(4)を塗り広げた黒髪人毛は緑色に発色した。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(4)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(4)を塗り広げた人工皮膚は緑色に発色した。
【0087】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(4)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず緑色に呈色し、着色部位から同心円状に無色透明な溶液が広がっていく様子が観察された。緑色に呈色している部分はヘアカラークリーム(4)であり、ヘアカラークリーム(4)は水にブリードしなかった。
【0088】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(4)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約2分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金色を呈しており、ヘアカラークリーム(4)は色素沈着しないこと確認した。
【0089】
(実施例5)
3Lビーカーに有機化ベントナイト(モイストナイト-WO、クニミネ工業株式会社製)20.0gとエタノール(鹿1級、関東化学株式会社製)100gを加え十分に濡らした。次に、イオン交換水1000gを加え、スリーワンモーターに接続したガラス攪拌羽根で室温で5分攪拌し、有機化ベントナイトの水分散液を調整した。500mLビーカーにベニバナ黄色素(ダイワ化成株式会社製、ベニバナ黄色素85%、デキストリン15%)1.18gとイオン交換水300mL、攪拌子を加え、マグネチックスターラーを使用して室温で15分攪拌し、色素溶液を調整した。色素溶液を水分散液に加え、室温で15分攪拌した後、塩酸(鹿1級、関東化学株式会社製)をイオン交換水で10倍希釈して調整した希塩酸をスポイトでゆっくり滴下し、pHを4.0に調整し、室温で2時間攪拌した。黄色のスラリーをろ紙上に1滴滴下したところ、滴下部分は円状に黄色に呈色し、その後同心円状に無色透明の液が広がっていく様子が観察され、ベニバナ黄色素の不溶化を確認した。このスラリーをヌッチェで濾過し、イオン交換水2000gで洗浄して得られた固体を真空乾燥機(740mmHg)で30℃、14時間乾燥後、ジューサー粉砕し、粉体(5)20.1gを得た。得られた粉体(5)中の有機化ベントナイトとベニバナ黄色素の組成比率は、仕込み量比で20:1である。得られた粉体はベニバナ黄色素と同系統の黄色を呈していた。
【0090】
(ヘアカラークリーム(5)の作製)
50mLビーカーに蒸留水11.4g、プロピレングリコール1.12g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.28g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.016g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した 。ここに、粉体(5)を3.2g(色素成分0.15g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(5)を作製した。
【0091】
(ヘアカラー評価方法)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(5)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(5)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな黄色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(5)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(5)を塗り広げた黒髪人毛は鮮やかな黄色に発色した。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(5)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(5)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな黄色に発色した。
【0092】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(5)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず黄色に呈色し、着色部位から同心円状に無色透明な溶液が広がっていく様子が観察された。黄色に呈色している部分はヘアカラークリーム(5)であり、ヘアカラークリーム(5)は水にブリードしなかった。
【0093】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(5)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約2分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金色を呈しており、ヘアカラークリーム(5)は色素沈着しないこと確認した。
【0094】
(比較例1)
(ヘアカラークリーム(6)の作製)
50mLビーカーに蒸留水14.0g、プロピレングリコール1.38g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.35g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.02g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した。ここに、アナトー色素(関東化学株式会製)を0.29g加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(6)を作製した。
【0095】
(ヘアカラー評価方法)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(6)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(6)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな橙色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(6)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(6)を塗り広げた黒髪人毛は黒色であり、発色しなかった。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(6)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(6)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな橙色に発色した。
【0096】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(6)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず橙色に呈色し、着色部位から同心円状に橙色に着色した溶液が広がっていく様子が観察された。橙色に呈色している部分はヘアカラークリーム(6)、同心円状に広がった橙色の溶液はアナトー色素が溶出した水道水であり、ヘアカラークリーム(6)は水にブリードした。
【0097】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(6)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約3分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金髪人毛は橙色に呈色しており、ヘアカラークリーム(6)が色素沈着していた。
【0098】
ここまでの結果を以下の表1にまとめた。
【0099】
【0100】
表1に示すように粉体(1)を使用したヘアカラークリーム(1)は耐水性、黒髪への発色、色素沈着の観点で、優れていた。
【0101】
(比較例2)
(ヘアカラークリーム(7)の作製)
50mLビーカーに蒸留水9.22g、プロピレングリコール0.92g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.23g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.01g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した。ここに、リナブルーG1(DICライフテック(株)製、トレハロース55%、フィコシアニン色素40%、クエン酸三ナトリウム5%)を5.65g(色素成分2.26g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(7)を作製した。
【0102】
(ヘアカラー評価方法)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(7)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(7)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな藍色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(7)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(7)を塗り広げた黒髪人毛は黒色であり、発色しなかった。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(7)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(7)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな藍色に発色した。
【0103】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(7)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と変わらず藍色に呈色し、着色部位から同心円状に藍色に着色した溶液が広がっていく様子が観察された。藍色に呈色している部分はヘアカラークリーム(7)、同心円状に広がった藍色の溶液はフィコシアニン色素が溶出した水道水であり、ヘアカラークリーム(7)は水にブリードした。
【0104】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(7)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約3分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金色を呈色しており、ヘアカラークリーム(7)は色素沈着しないことを確認した。
【0105】
ここまでの結果を以下の表2にまとめた。
【0106】
【0107】
表2に示すように粉体(2)を使用したヘアカラークリーム(2)は耐水性、黒髪への発色観点で、優れていた。
【0108】
(比較例3)
(ヘアカラークリーム(8)の作製)
50mLビーカーに蒸留水14.0g、プロピレングリコール1.38g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.35g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.02g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した。ここに、銅クロロフィリンナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社)を0.29g加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(8)を作製した。
【0109】
(ヘアカラー評価方法)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(8)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(8)を塗り広げた金髪人毛は濃い緑色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(8)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(8)を塗り広げた黒髪人毛は黒色であり、発色しなかった。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(8)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(8)を塗り広げた人工皮膚は濃い緑色に発色した。
【0110】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(8)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と濃い緑色に呈色し、着色部位から同心円状に無色透明な溶液が広がっていく様子が観察された。濃い緑色に呈色している部分はヘアカラークリーム(8)、同心円状に広がった無色透明な溶液は水道水であり、ヘアカラークリーム(8)は水にブリードしなかった。
【0111】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(8)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約3分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金髪人毛は薄い緑色に呈色しており、ヘアカラークリーム(8)が色素沈着していた。
【0112】
ここまでの結果を以下の表3にまとめた。
【0113】
【0114】
表3に示すように粉体(3)、粉体(4)を使用したヘアカラークリーム(3)、ヘアカラークリーム(4)は黒髪への発色、色素沈着の観点で、優れていた。
【0115】
(比較例4)
(ヘアカラークリーム(9)の作製)
50mLビーカーに蒸留水14.1g、プロピレングリコール1.38g(交洋ファインケミカル株式会社製)、ポリクオタニウム-37・炭酸ジカプリリル・ラウリルグルコシド0.35g(BASFジャパン株式会社製)、EDTA-2Na0.02g(BASFジャパン株式会社製)を測り取り、均一になるまでスターラーで混合した。ここに、サフラワーY1500(ダイワ化成株式会社、ベニバナ黄色素85%、デキストリン15%)を0.18g(色素成分0.15g)加えてスパチュラで均一になるまで混合した。続いて、メチルパラベン0.048g(丸善薬品産業株式会社製)、プロピルパラベン0.032g(丸善薬品産業株式会社製)を加えてスパチュラで均一になるまで混合し、ヘアカラークリーム(9)を作製した。
【0116】
(ヘアカラー評価方法)
(発色評価)
<金髪人毛に塗布した際の発色>
金髪人毛に手でヘアカラークリーム(9)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(9)を塗り広げた金髪人毛は鮮やかな黄色に発色した。
<黒髪人毛に塗布した際の発色>
黒髪人毛に手でヘアカラークリーム(9)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(9)を塗り広げた黒髪人毛は黒色であり、発色しなかった。
<人工皮膚に塗布した際の発色>
人工皮膚に指で円を描くようにヘアカラークリーム(9)を塗り広げ、目視で発色を評価した。ヘアカラークリーム(9)を塗り広げた人工皮膚は鮮やかな黄色に発色した。
【0117】
(耐水性の評価)
ろ紙にヘアカラークリーム(9)を指で円を描くように塗り広げ、約10分間室温で乾燥させた。続いて、着色の中心部分に水道水1mLをスポイトで滴下した。このとき、滴下部分は滴下前と鮮やかな黄色に呈色し、着色部位から同心円状に黄色の溶液が広がっていく様子が観察された。黄色に呈色している部分はヘアカラークリーム(9)、同心円状に広がった黄色の溶液は水道水であり、ヘアカラークリーム(9)は水にブリードした。
【0118】
(色素沈着の評価)
金髪人毛にヘアカラークリーム(9)をまんべんなく塗布し、約10分間室温で乾燥させた。この金髪人毛をシャンプー(LUX super rich shineダメージリペア しっとり補修シャンプー/ユニリーバ・ジャパン株式会社製)半プッシュ分を使用して手洗浄し、常温の水道水でシャンプーを十分洗い流した。さらに、コンディショナー(LUX super rich shine ダメージリペア しっとり補修コンディショナー/ユニリーバ・ジャパン株式会社)を半プッシュ塗布した後、常温の水道水で洗い流した。洗浄後の金髪人毛をドライヤーの温風で約3分乾燥させた後、色残りの有無を確認したところ、金髪人毛は黄色に呈色しており、ヘアカラークリーム(9)が色素沈着していた。
【0119】
ここまでの結果を以下の表4にまとめた。
【0120】
【0121】
表4に示すように粉体(5)を使用したヘアカラークリーム(5)は耐水性、黒髪への発色、色素沈着の観点で、優れていた。