(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091565
(43)【公開日】2024-07-04
(54)【発明の名称】電源装置及び電源システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240627BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240627BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240627BHJP
H02M 3/155 20060101ALI20240627BHJP
H02M 3/07 20060101ALI20240627BHJP
【FI】
H02J7/00 303C
H02J7/00 302A
H02J7/35 A
H02J7/02 H
H02M3/155 H
H02M3/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023215157
(22)【出願日】2023-12-20
(31)【優先権主張番号】P 2022205777
(32)【優先日】2022-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 開催日 令和5年3月8日 集会名、開催場所 2023年電気情報通信学会総合大会 芝浦工業大学(埼玉県さいたま市見沼区大字深作307番地) 発行日 令和5年2月28日 刊行物 2023年電気情報通信学会総合大会エレクトロニクス講演論文集2
(71)【出願人】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(71)【出願人】
【識別番号】000229117
【氏名又は名称】日本ゼオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124800
【弁理士】
【氏名又は名称】諏澤 勇司
(74)【代理人】
【識別番号】100170818
【弁理士】
【氏名又は名称】小松 秀輝
(72)【発明者】
【氏名】丹沢 徹
(72)【発明者】
【氏名】内田 秀樹
【テーマコード(参考)】
5G503
5H730
【Fターム(参考)】
5G503AA04
5G503AA06
5G503BA03
5G503BB01
5G503BB03
5G503BB05
5G503CA10
5G503CA11
5G503CC01
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA07
5G503DA13
5G503GB03
5G503GD04
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB02
5H730BB13
5H730BB14
5H730BB82
5H730BB88
5H730DD04
5H730EE13
(57)【要約】
【課題】負荷装置に対して安定した電力を供給する。
【解決手段】電源装置1は、負荷装置9を含む閉回路である負荷駆動回路C1に配置され、負荷装置9の求めに応じて負荷装置9に電力を与える二次電池3と、外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子2と、発電素子2が発生した電力を二次電池3を充電するための電力に変換すると共に、二次電池3を充電するための電力を二次電池3に与えるコンバータ4と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷装置に電力を与える電源装置であって、
前記負荷装置を含む閉回路に配置され、前記負荷装置の求めに応じて前記負荷装置に電力を与える二次電池と、
外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子と、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与えるコンバータと、を備える、電源装置。
【請求項2】
前記発電素子を含む閉回路であって、前記二次電池が前記発電素子に対して直列に接続された蓄積回路を構成し、前記発電素子から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力を前記コンバータに与えるキャパシタをさらに備える、請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記コンバータは、前記二次電池、前記キャパシタ及び前記コンバータを含む閉回路である第1充電回路と、前記キャパシタを含まず、前記二次電池及び前記コンバータを含む第2充電回路と、を相互に切り替える、請求項2に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1充電回路とする第1制御指令及び前記第2充電回路とする第2制御指令を選択的に前記コンバータに与えるコントローラをさらに備える、請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記コンバータは、前記キャパシタから与えられた電力を蓄積するエネルギ蓄積素子を有し、
前記コントローラは、前記エネルギ蓄積素子の入力に発生する電圧を用いて、前記第1制御指令を出力するタイミングを制御する、請求項4に記載の電源装置。
【請求項6】
前記コンバータである第1コンバータと、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与える第2コンバータと、をさらに備え、
前記コントローラは、第1の期間であるときに前記第1コンバータに前記第1制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第2制御指令を出力する動作と、前記第1の期間とは別の第2の期間であるときに、前記第1コンバータに前記第2制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第1制御指令を出力する動作と、を交互に実行する、請求項4に記載の電源装置。
【請求項7】
前記発電素子を含む閉回路である蓄積回路を構成し、前記発電素子から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力を前記コンバータに与えるキャパシタをさらに備え、
前記コンバータは、前記二次電池を含まず、前記キャパシタ及び前記コンバータを含む閉回路である第1充電回路と、前記二次電池、前記キャパシタ及び前記コンバータを含む第2充電回路と、を相互に切り替える、請求項1に記載の電源装置。
【請求項8】
前記コンバータである第1コンバータと、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与える第2コンバータと、
前記第1充電回路とする第1制御指令及び前記第2充電回路とする第2制御指令を選択的に前記コンバータに与えるコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、第1の期間であるときに前記第1コンバータに前記第1制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第2制御指令を出力する動作と、前記第1の期間とは別の第2の期間であるときに、前記第1コンバータに前記第2制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第1制御指令を出力する動作と、を交互に実行する、請求項7に記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1充電回路とする第1制御指令及び前記第2充電回路とする第2制御指令を選択的に前記コンバータに与えるコントローラをさらに備え、
前記コンバータは、前記第1制御指令を受けて前記第1充電回路を構成すると共に、前記第2制御指令を受けて前記第2充電回路を構成するスイッチ素子をさらに有し、
前記コンバータが出力する電力が前記二次電池が前記コントローラに与える電力より大きいとき、前記二次電池は充電される、請求項7に記載の電源装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載の電源装置と、
前記電源装置が出力する電圧を昇圧する昇圧装置と、を備える、電源システム。
【請求項11】
前記コンバータは、
前記二次電池から受けた電力を利用して、前記二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号を発生する発振回路と、
前記クロック信号に従う動作によって、前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換するチャージポンプ回路と、を有する請求項1に記載の電源装置。
【請求項12】
負荷装置に電力を与える電源装置であって、
前記負荷装置を含む閉回路に配置され、前記負荷装置の求めに応じて前記負荷装置に電力を与える二次電池と、
外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子と、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与えるコンバータと、を備え、
前記コンバータは、
前記二次電池から受けた電力を利用して、前記二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号を発生する発振回路と、
前記クロック信号に従う動作によって、前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換するチャージポンプ回路と、を有する電源装置。
【請求項13】
前記チャージポンプ回路は、
受け入れた電圧に対応する電荷を蓄積するキャパシタと、
前記キャパシタに接続されて、前記キャパシタの充電動作の開始と前記キャパシタの充電動作の停止とを前記クロック信号に従って切り替える入力スイッチ素子と、
前記キャパシタに接続されて、前記キャパシタの放電動作の開始と前記キャパシタの放電動作の停止とを前記クロック信号に従って切り替える出力スイッチ素子と、を含む、請求項12に記載の電源装置。
【請求項14】
前記チャージポンプ回路は、
前記発電素子に接続された第1の昇圧モジュールを含むn個の前段昇圧モジュールと、
前記二次電池に接続された第Nの昇圧モジュールを含むN-n個の後段昇圧モジュールと、を含み、
前記前段昇圧モジュールは、nチャネル型のMOSFETを含んで構成され、
前記後段昇圧モジュールは、pチャネル型のMOSFETを含んで構成される、請求項13に記載の電源装置。
【請求項15】
前記チャージポンプ回路は、
前記クロック信号に従う動作によって、前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換する昇圧回路部と、
前記昇圧回路部が受けた入力電圧と前記クロック信号の振幅とに基づくブーストクロック信号を生成し、前記ブーストクロック信号を前記昇圧回路部に与えるブースト回路部と、を含む、請求項12に記載の電源装置。
【請求項16】
前記昇圧回路部は、nチャネル型のMOSFETを含んで構成される、請求項15に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置及び電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
将来の社会システムに利用される技術のひとつとしてモノのインターネット(IoT:Internet of Things)がある。IoT技術では、室内及び室外を問わず温度、圧力、振動、化学物質及び交通量などの情報を自立的にセンサで収集する。収集した情報は、インターネットを介してクラウドに転送される。転送されたデータは、ビッグデータとして解析がなされる。解析の目的はさまざまである。例えば、センサに異常が発生しているか否かの判断を目的とし、異常が発生していると判断された場合には、センサの動作を止めるといった対応がなされる。例えば、センサを所定の条件で動作させることを目的とし、外部環境の変化に応じて、適切なセンサの動作条件をフィードバックすることもある。つまり、IoT技術は、モノ同士が基本的にはヒトを介さずに情報の収集、情報の伝達及び情報のフィードバックを行う。
【0003】
このうち、IoT用集積回路システムは、環境変数を測定し、測定によって得た情報をインターネットに送る重要な装置である。このようなシステムは、Edge端末とも称される。Edge端末が用いられる環境によっては、Edge端末は、十分な電力の供給を受けることが難しい場合がある。また、Edge端末は、そもそも電力の供給を受けることができない場合もある。さらに、Edge端末がバッテリなどの電源を備えている場合であっても、その交換作業には制限が課される場合もある。
【0004】
制限された電力供給の条件のもとで、Edge端末を動作させ続けるための技術として、エネルギ・ハーベスティング技術が挙げられる。エネルギ・ハーベスティング技術は、発電素子が環境エネルギを収穫することによって、電力を得る。例えば、発電素子は、太陽光、熱、振動又は電波を電力に変換する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Imet al.,IEEE JSSC,vol.47,no.12,pp.3055,Dec.2012.
【非特許文献2】Caoet al.,IEEE JSSC,vol.54,no.12,pp.3362,Dec.2019.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発電素子が発生する電力は極めて小さいので、そのままではEdge端末のような負荷装置が要求する電力を満たすことができない。そこで、発電素子が発生する電力を利用して、負荷装置が要求する電力を出力する電源技術が検討されている。非特許文献1、2は、環境エネルギである温度差を利用して発電する素子を利用した電源技術を開示する。非特許文献1、2は、素子から効率よく電力を取り出すための電源回路と、その動作条件とを提案する。
【0007】
負荷装置を駆動するためには、発電素子が発生した電力の態様を負荷装置が要求する電力の態様に適合させるだけでなく、負荷装置が要求する電力を安定して負荷装置に供給することが望まれる。非特許文献1、2に開示された技術は、発電素子が発生した電力の態様を負荷装置が要求する電力の態様に適合させることは可能である。しかし、非特許文献1、2に開示された技術は、負荷装置が要求する電力を安定して供給するという問題について解決するに至らない。
【0008】
本発明は、負荷装置に対して安定した電力を供給することができる電源装置及び電源システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態は、負荷装置に電力を与える電源装置であって、負荷装置を含む閉回路に配置され、負荷装置の求めに応じて負荷装置に電力を与える二次電池と、外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子と、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換すると共に、二次電池を充電するための電力を二次電池に与えるコンバータと、を備える。
【0010】
この電源装置は、負荷装置を含む閉回路に配置された二次電池を有する。従って、安定した電力を出力可能な二次電池から、負荷装置に対して電力を供給できる。そして、この二次電池は、発電素子が発生した電力によって充電することもできる。その結果、電源装置は、負荷装置に対して安定した電力を供給することができる。
【0011】
上記の電源装置は、発電素子を含む閉回路であって、二次電池が発電素子に対して直列に接続された蓄積回路を構成し、発電素子から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力をコンバータに与えるキャパシタをさらに備えてもよい。この構成によれば、コンバータによる電力変換効率を高めることができる。
【0012】
上記の電源装置のコンバータは、二次電池、キャパシタ及びコンバータを含む閉回路である第1充電回路と、キャパシタを含まず、二次電池及びコンバータを含む第2充電回路と、を相互に切り替えてもよい。この構成によっても、コンバータによる電力変換効率を高めることができる。
【0013】
上記の電源装置は、第1充電回路とする第1制御指令及び第2充電回路とする第2制御指令を選択的にコンバータに与えるコントローラをさらに備えてもよい。この構成によれば、コンバータによる電力変換効率を高めることができる動作を実現することができる。
【0014】
上記の電源装置のコンバータは、キャパシタから与えられた電力を蓄積するエネルギ蓄積素子を有し、コントローラは、エネルギ蓄積素子の入力に発生する電圧を用いて、第1制御指令を出力するタイミングを制御してもよい。この構成によれば、コンバータによる電力変換効率を高めることができる動作を容易に実現することができる。
【0015】
上記の電源装置は、上述のコンバータである第1コンバータと、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換すると共に、二次電池を充電するための電力を二次電池に与える第2コンバータと、をさらに備え、コントローラは、第1の期間であるときに第1コンバータに第1制御指令を出力すると共に第2コンバータに第2制御指令を出力する動作と、第1の期間とは別の第2の期間であるときに、第1コンバータに第2制御指令を出力すると共に第2コンバータに第1制御指令を出力する動作と、を交互に実行してもよい。この構成によれば、二次電池を充電するための電力に変換する動作と、二次電池を充電するための電力を二次電池に与える動作と、を並行して実行することができる。
【0016】
上記の電源装置は、発電素子を含む閉回路である蓄積回路を構成し、発電素子から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力をコンバータに与えるキャパシタをさらに備え、コンバータは、二次電池を含まず、キャパシタ及びコンバータを含む閉回路である第1充電回路と、二次電池、キャパシタ及びコンバータを含む第2充電回路と、を相互に切り替えてもよい。この構成によっても、負荷装置に対して安定した電力を供給することができる。
【0017】
上記の電源装置は、コンバータである第1コンバータと、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換すると共に、二次電池を充電するための電力を二次電池に与える第2コンバータと、第1充電回路とする第1制御指令及び第2充電回路とする第2制御指令を選択的にコンバータに与えるコントローラをさらに備え、コントローラは、第1の期間であるときに第1コンバータに第1制御指令を出力すると共に第2コンバータに第2制御指令を出力する動作と、第1の期間とは別の第2の期間であるときに、第1コンバータに第2制御指令を出力すると共に第2コンバータに第1制御指令を出力する動作と、を交互に実行してもよい。この構成によれば、二次電池を充電するための電力に変換する動作と、二次電池を充電するための電力を二次電池に与える動作と、を並行して実行することができる。
【0018】
上記の電源装置は、第1充電回路とする第1制御指令及び第2充電回路とする第2制御指令を選択的にコンバータに与えるコントローラをさらに備え、コンバータは、第1制御指令を受けて第1充電回路を構成すると共に、第2制御指令を受けて第2充電回路を構成するスイッチ素子をさらに有し、コンバータが出力する電力が二次電池がコントローラに与える電力より大きいとき、二次電池は充電されてもよい。この構成によれば、二次電池を充電しながらコンバータを駆動することができる。
【0019】
本発明の別の形態である電源システムは、上記の電源装置と、電源装置が出力する電圧を昇圧する昇圧装置と、を備える。この電源システムによっても、負荷装置に対して安定した電力を供給することができる。
【0020】
上記の電源装置のコンバータは、二次電池から受けた電力を利用して、二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号を発生する発振回路と、クロック信号に従う動作によって、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換するチャージポンプ回路と、を有してもよい。この構成によれば、チャージポンプ回路を駆動するためのクロック信号は、二次電池から受けた電力を利用して発振回路が発生する。その結果、チャージポンプ回路の昇圧動作には、発電素子が発生した電力の態様に左右されることがなくなる。その結果、チャージポンプ回路を動作させるための条件が緩和することができる。
【0021】
本発明の別の形態は、負荷装置に電力を与える電源装置であって、負荷装置を含む閉回路に配置され、負荷装置の求めに応じて負荷装置に電力を与える二次電池と、外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子と、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換すると共に、二次電池を充電するための電力を二次電池に与えるコンバータと、を備え、コンバータは、二次電池から受けた電力を利用して、二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号を発生する発振回路と、クロック信号に従う動作によって、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換するチャージポンプ回路と、を有する。
【0022】
この電源装置において、チャージポンプ回路を駆動するためのクロック信号は、二次電池から受けた電力を利用して発振回路が発生する。その結果、チャージポンプ回路の昇圧動作には、発電素子が発生した電力の態様に左右されることがなくなる。その結果、チャージポンプ回路を動作させるための条件が緩和することができる。
【0023】
別の形態の電源装置におけるチャージポンプ回路は、受け入れた電圧に対応する電荷を蓄積するキャパシタと、キャパシタに接続されて、キャパシタの充電動作の開始とキャパシタの充電動作の停止とをクロック信号に従って切り替える入力スイッチ素子と、キャパシタに接続されて、キャパシタの放電動作の開始とキャパシタの放電動作の停止とをクロック信号に従って切り替える出力スイッチ素子と、を含んでもよい。この構成によれば、入力スイッチ素子及び出力スイッチ素子は、二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号によってそれぞれの状態が切り替えられる。その結果、発電素子が発生する電力が小さい場合であっても、入力スイッチ素子及び出力スイッチ素子の状態を確実に切り替えることができる。
【0024】
別の形態の電源装置におけるチャージポンプ回路は、発電素子に接続された第1の昇圧モジュールを含むn個の前段昇圧モジュールと、二次電池に接続された第Nの昇圧モジュールを含むN-n個の後段昇圧モジュールと、を含み、前段昇圧モジュールは、nチャネル型のMOSFETを含んで構成され、後段昇圧モジュールは、pチャネル型のMOSFETを含んで構成されてもよい。この構成によると、相対的に昇圧の対象である入力電圧が相対的に高くなる後段において、pチャネル型のMOSFETを含んで構成された後段昇圧モジュールによって昇圧が行われる。従って、pチャネル型のMOSFETを含んで構成された後段昇圧モジュールによれば、相対的に入力電圧が高い場合であっても良好に昇圧を行うことができる。
【0025】
別の形態の電源装置におけるチャージポンプ回路は、クロック信号に従う動作によって、発電素子が発生した電力を二次電池を充電するための電力に変換する昇圧回路部と、昇圧回路部が受けた入力電圧とクロック信号の振幅とに基づくブーストクロック信号を生成し、ブーストクロック信号を昇圧回路部に与えるブースト回路部と、を含んでもよい。この構成によれば、昇圧回路部が受けた入力電圧とクロック信号の振幅とに基づくブーストクロック信号が昇圧回路部に与えられるので、昇圧回路部を確実に動作させることができる。
【0026】
別の形態の電源装置における昇圧回路部は、nチャネル型のMOSFETを含んで構成されてもよい。この構成によれば、昇圧回路部が1種類のMOSFETによって形成されるので、昇圧回路部の構成を簡易にすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、負荷装置に対して安定した電力を供給することができる電源装置及び電源システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、第1実施形態の電源装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の電源装置の変形例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電源装置の接続構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4(a)及び
図4(b)は、
図1に示す電源装置の動作原理を説明する図である。
【
図6】
図6(a)は
図1に示す電源装置における負荷駆動回路を示す回路図である。
図6(b)は
図1に示す電源装置における蓄積回路を示す回路図である。
【
図7】
図7(a)は
図1に示す電源装置における第1充電回路を示す回路図である。
図7(b)は
図1に示す電源装置における第2充電回路を示す回路図である。
【
図8】
図8(a)は、制御信号のための波形を示す図である。
図8(b)はコンバータが含むノードにおける電圧を示す図である。
図8(c)はコンバータが含むノードにおける電流を示す図である。
【
図9】
図9は、第2実施形態の電源装置を示すブロック図である。
【
図11】
図11(a)は
図9に示す電源装置における負荷駆動回路を示す回路図である。
図11(b)は
図9に示す電源装置における蓄積回路を示す回路図である。
【
図12】
図12(a)は
図1に示す電源装置における第1充電回路を示す回路図である。
図12(b)は
図1に示す電源装置における第2充電回路を示す回路図である。
【
図13】
図13(a)は、制御信号のための波形を示す図である。
図13(b)はコンバータが含むノードにおける電圧を示す図である。
図13(c)はコンバータが含むノードにおける電流を示す図である。
【
図14】
図14は、第2実施形態の電源装置の変形例を示すブロック図である。
【
図16】
図16(a)は、
図14に示す電源装置が備える第1クロック発生回路の回路図である。
図16(b)は、
図14に示す電源装置が備える第2クロック発生回路の回路図である。
図16(c)は、
図14に示す電源装置が備える発振回路を示す図である。
【
図17】
図17(a)は、MPPT動作を説明するための電圧の時間履歴である。
図17(b)は、
図17(a)の一部を拡大して示す電圧の時間履歴である。
【
図18】
図18は、変形例2の電源装置の機能ブロック図である。
【
図23】
図23は、変形例6の電源装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図24】
図24は、変形例6の電源装置が備えるチャージポンプ回路を示す回路図である。
【
図25】
図25は、変形例7の電源装置の全体構成を示すブロック図である。
【
図26】
図26は、変形例7の電源装置の主要部分の構成を示すブロック図である。
【
図27】
図27は、変形例7の電源装置が備えるチャージポンプ回路を示す回路図である。
【
図28】
図28(a)は変形例7の電源装置が備えるチャージポンプ回路における第1フェーズを説明するための図である。
図28(b)及び
図28(c)は第2フェーズであるときのクロック信号を示す図である。
【
図29】
図29(a)は変形例7の電源装置が備えるチャージポンプ回路における第2フェーズを説明するための図である。
図29(b)及び
図29(c)は第2フェーズであるときのクロック信号を示す図である。
【
図30】
図30は、変形例8の電源装置の構成を示すブロック図である。
【
図32】
図32は、変形例8の電源装置が備えるチャージポンプ回路を示す回路図である。
【
図33】
図33(a)は、実施例1及び比較例1の結果を示すグラフである。
図33(b)は、実施例2及び比較例2、3の結果を示すグラフである。
【
図34】
図34は、比較例に係るチャージポンプ回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、実施形態の電源装置及び電源システムを詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の電源装置1の機能ブロック図である。
図1に示すように、電源装置1は、負荷装置9に対して電力(P
OUT)を与える。
【0031】
負荷装置9は、IoTを構成する装置であってよい。負荷装置9は、複数の電気素子を含む。負荷装置9は、電力(PLOAD)を消費する。電力(PLOAD)は、電圧(VLOAD)と、電流(ILOAD)との積によって定義できる。
【0032】
IoTを構成する装置として、例えば、周囲環境の計測を行うセンサモジュールが挙げられる。センサモジュールは、温度、湿度、照度など所望の計測パラメータに関する計測値を得る。このような負荷装置9は、数ワット程度の電力(PLOAD)を要求する。例えば、負荷装置9が要求する電圧(VLOAD)は、3V程度である。電源装置1は、負荷装置9が要求するタイミングで、負荷装置9に所定の電力(POUT)を供給する。つまり、負荷装置9は、継続的に電源装置1に電力(POUT)を要求するものでなくてもよい。例えば、負荷装置9は、あらかじめ定められた時間間隔で周囲の温度を計測し、無線ICなどを通じて送信する動作を行う。このような動作では、負荷装置9は、温度計測及び通信が行われるタイミングで、電源装置1から電力(POUT)の供給を受ける。
【0033】
電源装置1は、負荷装置9に与えるための電力(POUT)を出力する。
【0034】
なお、電源装置1が出力する電力(P
BAT2)が負荷装置9の要求電力(P
LOAD)を満たさない場合には、電源装置1に昇圧コンバータ11(昇圧装置)を接続してもよい。電源装置1及び昇圧コンバータ11を備える構成は、電源システム100である(
図2参照)。昇圧コンバータ11は、電源装置1から受けた電力(P
BAT2)を、負荷装置9が要求する電力(P
OUT)に変換する。電源システム100は、昇圧コンバータ11から電力(P
OUT)を負荷装置9に与える。
【0035】
電源装置1は、発電素子2と、二次電池3と、コントローラ7と、コンバータ4と、を有する。
【0036】
発電素子2は、外部エネルギを受けて、当該外部エネルギを電気エネルギに変換する。発電素子2は、外部エネルギを受けて電気エネルギを発生可能な種々の素子を用いてよい。
【0037】
発電素子2は、電力(PEH)を出力する。電力(PEH)は、電圧(VEH)及び電流(IEH)によって定義できる。発電素子2の電圧(VEH)は、直流電圧であってもよいし、交流電圧であってもよい。例えば、発電素子2が振動エネルギを電気エネルギに変換するものであるとき、発電素子2は、入力された振動の周波数に応じた周波数を有する交流電圧を出力する。
【0038】
直流電圧の発電素子としては、太陽光エネルギを利用した太陽電池や、温度差による電荷の偏りを利用した熱電変換素子などが挙げられる。交流電圧の発電素子としては、振動による双極子モーメントの乱れを利用した圧電素子、電磁誘導電圧を利用した振動素子、焦電効果を利用した焦電素子、電波の受信によって発電するRF素子などが挙げられる。
【0039】
特に熱電変換素子は、もっともありふれたエネルギである熱エネルギを使用するという点で、今後応用範囲が広がっていく期待がある。熱電変換素子に用いられる材料は、無機半導体材料、有機導電性高分子などがある。中でもカーボンナノチューブ(CNT)を使った素子はフレキシビリティで軽量であり、さらに薄膜を使った素子である。このような性質によれば、同一の環境でも他の材料よりも温度差をより大きく取れる構造を作ることができる。その結果、取り付けられる環境が大きく広がり、応用範囲を広げることができる。
【0040】
カーボンナノチューブ(CNT)としては、単層カーボンナノチューブ(単層CNT)、及び、多層カーボンナノチューブ(多層CNT)を用いることができる。なお、単層CNTを用いることが好ましい。CNTは、単層CNT又は多層CNTをそれぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。混合して用いる場合、単層CNTの含有割合は、50質量%以上であることが好ましい。さらには、70質量%以上であることがより好ましい。さらには、90質量%以上であることがさらに好ましい。単層CNTは、その平均直径が好適には0.7~15nmである。また、単層CNTは、ラマンスペクトルにおけるDバンドピーク強度に対するGバンドピーク強度の比(G/D比)が1以上20以下であることが好ましい。また、単層CNTは、合成ときにおける繊維状炭素ナノ構造体の平均長さが100μm以上であることが好ましい。さらに、単層CNTのBET比表面積は、600m2/g以上であることが好ましい。さらには、単層CNTのBET比表面積は、800m2/g以上であることがさらに好ましい。さらには、単層CNTのBET比表面積は、2500m2/g以下であることが好ましい。そして、単層CNTのBET比表面積は、1200m2/g以下であることがさらに好ましい。
【0041】
単層CNTは、例えば、カーボンナノチューブ製造用の触媒層を表面に有する基材上に、原料化合物及びキャリアガスを供給して、化学的気相成長法(CVD法)によりCNTを合成する際に、系内に微量の酸化剤(触媒賦活物質)を存在させることで、触媒層の触媒活性を飛躍的に向上させるという方法(スーパーグロース法;国際公開第2006/011655号参照)において、基材表面への触媒層の形成をウェットプロセスにより行うことで、効率的に製造することができる。
【0042】
なお、以下では、スーパーグロース法により得られるカーボンナノチューブを「SGCNT」と称することがある。SGCNT(Super Growth Carbon nanotube)は、他のCNTに比べて、純度が高く、ドーピングの効果が高いため発電能力(ゼーベック係数)が大きいという特徴を有する。このような特徴によれば、SGCNTは、熱電変換素子としての適性が高い材料であるといえる。また、SGCNTは、低コスト、材料純度が高い、ドーピングがしやすいという特徴を有する。
【0043】
二次電池3は、充電動作及び放電動作を行う。二次電池3は、電力(PBAT1)、電力(PBAT2)、電力(PBAT3)を出力することができる。電力(PBAT1)は、発電素子2に与えられる。電力(PBAT2)は、電源装置1の出力端子1bに与えられる。電力(PBAT3)は、コントローラ7に与えられる。電力(PBAT1)は、電圧(VBAT)と電流(IBAT1)とによって定義できる。二次電池3は、例えば、3V又は5Vといった直流の電圧(VBAT)を出力する。二次電池3が出力する電圧(VBAT)は、負荷装置9が要求する電圧(VLOAD)に対応してよい。例えば、負荷装置9が直流である3Vの電圧(VLOAD)を要求する場合には、二次電池3が出力する電圧(VBAT)は、少なくとも3V以上であるとしてよい。
【0044】
コンバータ4は、電力(PIN)を受ける。コンバータ4は、発電素子2から出力された電力(PEH)を電気素子(キャパシタ51)を介して受ける。
【0045】
コンバータ4は、受けた電力(PIN)を二次電池3を充電するためのフィードバック電力(PBACK)の態様に変換する。コンバータ4は、フィードバック電力(PBACK)を二次電池3に与える。フィードバック電力(PBACK)の態様とは、例えば、フィードバック電流(IBACK)によって定義してもよい。例えば、コンバータ4は、例えば、電圧(VIN)を下げることによって電流(IIN)を、フィードバック電流(IBACK)と同じであるかそれよりも大きい電流まで増加させる。つまり、コンバータ4は、降圧型の電力変換器であってもよい。コンバータ4の具体的な回路構成は、後述する。
【0046】
コントローラ7は、コンバータ4のための制御信号φ41、φ42を出力する。コンバータ4は、いくつかのスイッチ素子を備えている。制御信号φ41、φ42は、スイッチ素子をオン又はオフとするためのものである。
【0047】
次に、
図3を参照しながら発電素子2、二次電池3、コンバータ4及びキャパシタ51の主要な接続構成について説明する。二次電池3の正極3aは、発電素子2の負極2bに接続されている。発電素子2の正極2aは、キャパシタ51及びコンバータ4の入力端子4aに接続されている。コンバータ4の出力端子4bは、二次電池3の正極3a及び負荷装置9に接続されている。二次電池3の負極3b、キャパシタ51、コンバータ4の出力端子4cは、基準電圧源GNDに接続されている。
【0048】
次に、
図4を参照しながら電源装置1の動作原理について説明する。
【0049】
図4(a)は、コンバータ4に入力される電力(P
IN)を示す。電力(P
IN)は、二次電池3に起因する電力(P
BAT)と、発電素子2に起因する電力(P
E_NET)と、の和である。
【0050】
二次電池3に起因する電力(P
BAT)は、電流(I
IN)と二次電池3の出力電圧(V
BAT)との積である。
図4(a)では、電力(P
BAT)を矩形の領域の面積として示す。矩形の領域の横辺は、電流(I
IN)を示す。矩形の領域の縦辺は、電圧(V
BAT)を示す。
【0051】
発電素子2に起因する電力(P
E_NET)は、電流(I
IN)と発電素子2の出力電圧との積である。発電素子2が出力する電圧(V
EH)は、発電体22が出力する電圧(V
E)から出力抵抗21に起因する電圧降下(R
E×I
IN)を減じたもの(V
E-R
E×I
IN)である。
図4(a)では、電力(P
E_NET)を矩形の領域の面積として示す。矩形の領域の横辺は、電流(I
IN)を示す。矩形の領域の縦辺は、電圧(V
E-R
E×I
IN)を示す。
【0052】
図4(b)は、コンバータ4が出力する電力(P
BACK)を示す。
【0053】
仮に、コンバータ4の電力取出効率(η)が100%であるとする。この場合には、電力(PIN)の大きさと電力(PBACK)の大きさとは互いに同じである。そして、コンバータ4が出力する電力(PBACK)から二次電池3に起因する電力(PBAT)と同じ大きさの電力を二次電池3に戻すことによって、実質的に二次電池3の電力消費をゼロとすることができる。
【0054】
<具体的な回路構成>
図5は、
図1に示す電源装置1の具体的な回路の一例である。まず、電源装置1が備える構成要素と、それらの接続構成について説明する。次に、電源装置1の動作について説明する。
【0055】
<二次電池>
二次電池3は、発電素子2が発生した電力を蓄えることができる。さらに、二次電池3は、蓄えた電力を負荷装置9に与えることができる。上述したように、二次電池3の正極3aは、発電素子2の負極2bに接続されている。発電素子2の正極2aは、ノードN2を介してキャパシタ51及びコンバータ4の入力端子4aに接続されている。
【0056】
<発電素子>
発電素子2は、出力抵抗21と、発電体22と、を含む。発電体22は、外部エネルギを受けて直流の電力を発生する。発電体22の負極は、二次電池3に接続されている。発電体22の正極は、出力抵抗21を介して、コンバータ4に接続されている。
【0057】
<コントローラ>
コントローラ7は、二次電池3から受けた電力(PBAT3)によって動作する。コントローラ7は、コンバータ4が有する第1スイッチ素子41及び第2スイッチ素子42のための制御信号φ41、φ42を出力する。コントローラ7は、ノードN4に設けられた電圧計47が出力する電圧(Vd)を用いる。コントローラ7の具体的な説明は、後述する。
【0058】
<コンバータ>
コンバータ4は、入力端子4aと、出力端子4b、4cと、を有する。入力端子4aは、ノードN2を介してキャパシタ51に接続されている。コンバータ4の出力端子4bは、ノードN5を介して電源装置1の出力端子1bに接続されている。また、コンバータ4の出力端子4bは、ノードN5、N1を介して二次電池3にも接続されている。出力端子4cは、ノードN3を介して基準電圧源GNDに接続されている。
【0059】
さらに、コンバータ4は、第1スイッチ素子41と、第2スイッチ素子42と、第1ダイオード44と、第2ダイオード45と、インダクタ46(エネルギ蓄積素子)と、を有する。
【0060】
第1スイッチ素子41は、コンバータ4の入力端子4aをインダクタ46に接続する動作と、コンバータ4の入力端子4aをインダクタ46から切り離す動作と、を相互に切り替える。第1スイッチ素子41のドレインは、コンバータ4の入力端子4aに接続されている。第1スイッチ素子41のソースは、第2スイッチ素子42に接続されている。第1スイッチ素子41のゲートは、制御信号φ41を受ける。
【0061】
第1スイッチ素子41は、pチャネル型のMOSFETである。第1スイッチ素子41は、制御信号φ41(L)を受けたとき、コンバータ4の入力端子4aをインダクタ46に接続する。第1スイッチ素子41は、制御信号φ41(H)を受けたとき、コンバータ4の入力端子4aをインダクタ46から切り離す。
【0062】
第2スイッチ素子42は、インダクタ46を基準電圧源GNDに接続する動作と、インダクタ46を基準電圧源GNDから切り離す動作と、を相互に切り替える。第2スイッチ素子42のドレインは、ノードN4を介して第1スイッチ素子41のソースに接続されている。第2スイッチ素子42のソースは、出力端子4c及びノードN3を介して基準電圧源GNDに接続されている。第2スイッチ素子42のゲートは、制御信号φ42を受ける。
【0063】
第2スイッチ素子42は、nチャネル型のMOSFETである。第2スイッチ素子42は、制御信号φ42(H)を受けたとき、インダクタ46を基準電圧源GNDに接続する。第2スイッチ素子42は、制御信号φ42(L)を受けたとき、インダクタ46を基準電圧源GNDから切り離す。
【0064】
インダクタ46は、第1スイッチ素子41を第2スイッチ素子42に接続する配線に設けられたノードN4に接続されている。インダクタ46は、コンバータ4の出力端子4bにも接続されている。
【0065】
インダクタ46は、エネルギ蓄積素子の例示である。しかし、エネルギ蓄積素子はインダクタ46に限定されない。エネルギ蓄積素子は、例えば、複数のキャパシタとそれぞれのキャパシタの接続構成を切り替えるスイッチとを含むスイッチトキャパシタ回路を採用してもよい。
【0066】
第1ダイオード44は、第1スイッチ素子41に対して並列に接続されている。具体的には、第1ダイオード44の入力は、第1スイッチ素子41のソースに接続されている。第1ダイオード44の出力は、第1スイッチ素子41のドレインに接続されている。
【0067】
第2ダイオード45は、第2スイッチ素子42に対して並列に接続されている。具体的には、第2ダイオード45の入力は、第2スイッチ素子42のソースに接続されている。第2ダイオード45の出力は、出力端子4cを介して基準電圧源GNDに接続されている。また、第2ダイオード45の出力は、第1ダイオード44の入力に接続されている。つまり、第2ダイオード45は、第1ダイオード44に対して直列に接続されている。
【0068】
第1スイッチ素子41及び第2スイッチ素子42と、インダクタ46と、の間でリンギングが発生する可能性がある。このリンギングによれば、電圧の増減が繰り返される。この電圧の増減は、第1スイッチ素子41及び第2スイッチ素子42にダメージを与える可能性がある。第1ダイオード44及び第2ダイオード45は、リンギングに起因する電圧の増減から、第1スイッチ素子41及び第2スイッチ素子42を保護する。
【0069】
なお、第1ダイオード44及び第2ダイオード45は、コンバータ4にとって付加的な構成要素である。従って、コンバータ4は、第1ダイオード44及び第2ダイオード45を省略することもできる。
【0070】
<キャパシタ>
キャパシタ51はコンバータ4の入力端子4aと基準電圧源GNDとの間に配置されている。キャパシタ51は、発電素子2が発生した電力を一時的に蓄える。キャパシタ51は、蓄えた電力をコンバータ4に渡す。
【0071】
<電源装置の動作>
電源装置1は、負荷装置9に電力を与える動作(負荷駆動動作S1)と、二次電池3を充電する動作(電池充電動作S2)と、を行う。負荷駆動動作S1及び電池充電動作S2は、並行して実行することができる。つまり、電源装置1は、負荷装置9に電力を与えながら、二次電池3を充電することができる。
【0072】
<負荷駆動動作と負荷駆動回路>
図6(a)は、負荷駆動動作S1のための閉回路を示す。
図6(a)において、太い実線は、負荷駆動動作S1に関係する負荷駆動回路C1を示す。
図6(a)において、細い破線は、負荷駆動動作S1に関係しない回路を示す。太い実線と細い破線による区別は、理解を容易にするためのものである。
【0073】
負荷駆動回路C1は、二次電池3と、負荷装置9と、を含む。二次電池3の正極3aは、ノードN1、N5を介して負荷装置9の端子9aに接続されている。二次電池3の負極3b及び負荷装置9の端子9bは、ノードN3を介して基準電圧源GNDに接続されている。なお、二次電池3の負極3b及び負荷装置9の端子9bは、基準電圧源GNDに接続されていればよく、基準電圧源GNDへの接続構成は所望の構成を選択してよい。負荷駆動回路C1は、スイッチ機能を有する要素を含まない。従って、負荷装置9が電力を要求したときには、二次電池3から電力が与えられる。負荷装置9が電力を要求しないときには、二次電池3から電力は与えられない。つまり、二次電池3から負荷装置9に電力を与えるための特段の制御を要しない。
【0074】
<電池充電動作と蓄積回路、第1充電回路及び第2充電回路>
図6(b)、
図7(a)及び
図7(b)は、電池充電動作S2のための閉回路を示す。
図6(b)、
図7(a)及び
図7(b)において、太い実線と細い破線の意味するところは、
図6(a)で説明したとおりである。電池充電動作S2は、3つの動作を含む。電池充電動作S2は、蓄積動作S21と、第1充電動作S22と、第2充電動作S23と、を含む。
【0075】
<蓄積動作>
図6(b)は、蓄積動作S21のための閉回路を示す。
図6(b)において、太い実線は、蓄積動作S21に関係する蓄積回路C21を示す。蓄積回路C21は、二次電池3と、発電素子2と、キャパシタ51と、を含む。二次電池3の正極3aは、ノードN1を介して発電素子2の負極2bに接続されている。発電素子2の正極2aは、ノードN2を介してキャパシタ51の端子51aに接続されている。キャパシタ51の端子51bは、ノードN3を介して二次電池3の負極3b及び基準電圧源GNDに接続されている。負荷駆動回路C1と同様に、蓄積回路C21も、スイッチ機能を有する要素を含まない。従って、発電素子2が電力を出力したときには、キャパシタ51に電力が蓄えられる。発電素子2が電力を出力しないときには、キャパシタ51に電力が蓄えられない。つまり、発電素子2からキャパシタ51に電力を蓄えるための特段の制御を要しない。
【0076】
従って、負荷駆動回路C1(
図6(a))及び蓄積回路C21(
図6(b))のそれぞれは、電流が常時流れることができる状態であるといえる。一方、第1充電動作S22及び第2充電動作S23は、交互に実行される。
【0077】
<第1充電動作>
図7(a)は、第1充電動作S22のための閉回路を示す。
図7(a)において、太い実線は、第1充電動作S22に関係する第1充電回路C22を示す。第1充電回路C22は、二次電池3と、キャパシタ51と、第1スイッチ素子41と、インダクタ46と、を含む。二次電池3の負極3bは、ノードN3を介してキャパシタ51の端子51bに接続されている。キャパシタ51の端子51aは、ノードN2を介して第1スイッチ素子41のドレインに接続されている。第1スイッチ素子41のソースは、ノードN4を介してインダクタ46の端子46aに接続されている。インダクタ46の端子46bは、ノードN5、N1を介して二次電池3の正極3aに接続されている。
【0078】
第1充電回路C22は、第1スイッチ素子41を含む。従って、第1スイッチ素子41が導通であるときに第1充電回路C22が形成される。第1スイッチ素子41は、キャパシタ51とインダクタ46とを接続する経路に配置されている。従って、第1スイッチ素子41が導通であるとき、キャパシタ51はインダクタ46に接続された状態である。第1スイッチ素子41が非導通であるとき、キャパシタ51はインダクタ46から切断された状態である。第1スイッチ素子41は、pチャネル型のMOSFETである。第1スイッチ素子41は、制御信号φ41(L)を受けたとき、キャパシタ51をインダクタ46に接続する。
【0079】
<第2充電動作>
図7(b)は、第2充電動作S23のための閉回路を示す。
図7(b)において、太い実線は、第2充電動作S23に関係する第2充電回路C23を示す。第2充電回路C23は、二次電池3と、第2スイッチ素子42と、インダクタ46と、を含む。二次電池3の負極3bは、ノードN3を介して第2スイッチ素子42のソースに接続されている。第2スイッチ素子42のドレインは、ノードN4を介してインダクタ46の端子46aに接続されている。インダクタ46の端子46bは、ノードN5、N1を介して二次電池3の正極3aに接続されている。
【0080】
第2充電回路C23は、第2スイッチ素子42を含む。従って、第2スイッチ素子42が導通であるときに第2充電回路C23が形成される。第2スイッチ素子42は、インダクタ46の端子46aを二次電池3の負極3bに接続する経路に配置されている。従って、第2スイッチ素子42が導通であるとき、インダクタ46の端子46aは二次電池3の負極3bに接続された状態である。第2スイッチ素子42が非導通であるとき、インダクタ46の端子46aは二次電池3の負極3bから切断された状態である。第2スイッチ素子42は、nチャネル型のMOSFETである。第2スイッチ素子42は、制御信号φ42(H)を受けたとき、インダクタ46の端子46aを二次電池3の負極3bに接続する。
【0081】
<コントローラによる第1充電回路と第2充電回路の切り替え>
図8(a)に示すように、コントローラ7は、第1充電回路C22とするための第1充電指令D22(第1制御指令)と、第2充電回路C23とするための第2充電指令D23(第2制御指令)と、を交互に出力する。コントローラ7は、予め定めた時間が経過したことを条件として、第2充電指令D23を出力する。コントローラ7は、所定の電圧条件が満たされたことを条件として、第1充電指令D22を出力する。
【0082】
さらに、コントローラ7は、第2充電回路C23から第1充電回路C22に切り替えるための第1余裕指令D2aと、第1充電回路C22から第2充電回路C23に切り替えるための第2余裕指令D2bと、を出力する。第1余裕指令D2a及び第2余裕指令D2bは、第1スイッチ素子41が導通である期間と、第2スイッチ素子42が導通である期間と、を重複させないためのものである。第1余裕指令D2a及び第2余裕指令D2bは、コンバータ4の入力端子4aから基準電圧源GNDに至る回路が形成されることに起因する貫通電流の発生を防止する。
【0083】
つまり、コントローラ7は、第1余裕指令D2a、第1充電指令D22、第2余裕指令D2b、第2充電指令D23の順に出力する。
【0084】
図8(a)は、第1余裕指令D2a、第1充電指令D22、第2余裕指令D2b、第2充電指令D23の具体的な内容を示す。第1余裕指令D2a、第1充電指令D22、第2余裕指令D2b、第2充電指令D23は、制御信号φ41、φ42を含む。具体的には、以下のとおりである。
第1余裕指令D2a:φ41(H)、φ42(L)。
第1充電指令D22:φ41(L)、φ42(L)。
第2余裕指令D2b:φ41(H)、φ42(L)。
第2充電指令D23:φ41(H)、φ42(H)。
【0085】
上述の指令であるときの第1スイッチ素子41の状態及び第2スイッチ素子42の状態は、以下のとおりである。
第1余裕指令D2a:第1スイッチ素子41(OFF)、第2スイッチ素子42(OFF)。
第1充電指令D22:第1スイッチ素子41(ON)、第2スイッチ素子42(OFF)。
第2余裕指令D2b:第1スイッチ素子41(OFF)、第2スイッチ素子42(OFF)。
第2充電指令D23:第1スイッチ素子41(OFF)、第2スイッチ素子42(ON)。
【0086】
第1余裕指令D2aを出力する期間T2aは、予め設定されている。従って、コントローラ7は、第1余裕指令D2aの出力を開始する時間t1から所定時間が経過した後に、第1余裕指令D2aの出力を停止すると共に第1充電指令D22の出力を開始する。
【0087】
第1充電指令D22を出力する期間T22も、予め設定されている。従って、コントローラ7は、第1充電指令D22の出力を開始する時間t2から所定時間が経過した後に、第1充電指令D22の出力を停止すると共に第2余裕指令D2bの出力を開始する。
【0088】
第2余裕指令D2bを出力する期間T2bも、予め設定されている。従って、コントローラ7は、第2余裕指令D2bの出力を開始する時間t3から所定時間が経過した後に、第2余裕指令D2bの出力を停止すると共に第2充電指令D23の出力を開始する。
【0089】
第2充電指令D23を出力する期間T23は、ノードN4の電圧(Vd)によって制御される。具体的には、コントローラ7は、ノードN4の電圧(Vd)が閾値電圧に達したことを条件として、第2充電指令D23の出力を終了させると共に第1余裕指令D2aの出力を開始する。閾値電圧は、0Vとしてもよい。
【0090】
図8(b)のグラフG8bは、ノードN4の電圧(Vd)を示す。
図8(c)のグラフG8c1、G8c2、G8c3は、電源装置1に流れる電流(Id、Ia、Ic)を示す。
図8(c)のグラフG8c1は、第1充電回路C22及び第2充電回路C23に流れる電流(Id)を示す。換言すると、グラフG8c1は、インダクタ46に流れる電流であるともいえる。グラフG8c1は、二次電池3の充電のための電流であるともいえる。さらに、グラフG8c1に示す電流(Id)において、期間T22は、第1充電回路C22(
図7(a)参照)に流れる電流を示す。期間T23は、第2充電回路C23(
図7(b)参照)に流れる電流を示す。例えば、一例として、第1充電回路C22及び第2充電回路C23に流れる電流のピーク値は、1ミリアンペアである。
【0091】
グラフG8c2は、負荷駆動回路C1に流れる電流(Ia)を示す。グラフG8c3は、蓄積回路C21に流れる電流(Ic)を示す。本実施形態では、負荷駆動回路C1及び蓄積回路C21には、常に一定の電流が流れると仮定する。一例として、負荷駆動回路C1に流れる電流の大きさは、200マイクロアンペアである。蓄積回路C21に流れる電流の大きさは、100マイクロアンペアである。
【0092】
つまり、蓄積回路C21に流れる電流(Ic)は、負荷駆動回路C1に流れる電流(Ia)よりも小さい。また、蓄積回路C21に流れる電流(Ic)は、第1充電回路C22及び第2充電回路C23に流れる電流(Id)のピーク値よりも小さい。負荷駆動回路C1に流れる電流(Ia)は、蓄積回路C21に流れる電流(Ic)よりも大きい。負荷駆動回路C1に流れる電流(Ia)は、第1充電回路C22及び第2充電回路C23に流れる電流(Id)のピーク値よりも小さい。
【0093】
第1充電動作S22の期間(フェーズ1:T22)であるとき、第1スイッチ素子41を流れる電流が増加する(
図8(c)の期間T22)ので、ノードN4の電圧(Vd)は次第に降下する(
図8(b)の期間T22)。次に、第2充電動作S23の期間(フェーズ2:T23)が開始されたとき、電流(Id)の流れる方向が逆転する。つまり、ノードN4の電位は、マイナスとなる。そして、第2充電動作S23の期間中は、インダクタ46に流れる電流が次第に減少する(
図8(c)の期間T23)。つまり、第2スイッチ素子42のソース・ドレイン間の電位差は次第に減少する(
図8(b)の期間T23)。第2スイッチ素子42のソース・ドレイン間の電位差は最終的にゼロに至る(
図8(b)の参照番号P8b)。
【0094】
コントローラ7は、第2スイッチ素子42のソース・ドレイン間の電位差がゼロになったことを条件として、第2充電指令D23の出力を停止する。換言すると、コントローラ7は、第2スイッチ素子42のソースに接続されているノードN4の電圧(Vd)がゼロになったことを条件(Vd=0V)として、第2充電指令D23の出力を停止する。
【0095】
<作用効果>
電源装置1は、負荷装置9を含む閉回路である負荷駆動回路C1に配置され、負荷装置9の求めに応じて負荷装置9に電力を与える二次電池3と、外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子2と、発電素子2が発生した電力を二次電池3を充電するための電力に変換すると共に、二次電池3を充電するための電力を二次電池3に与えるコンバータ4と、を備える。
【0096】
電源装置1は、負荷装置9を含む閉回路である負荷駆動回路C1に配置された二次電池3を有する。従って、安定した電力を出力可能な二次電池3から、負荷装置9に対して電力を供給できる。そして、この二次電池3は、発電素子2によって発生した電力によって充電することもできる。その結果、電源装置1は、負荷装置9に対して安定した電力を長期間に渡って供給することができる。
【0097】
電源装置1は、発電素子2を含む閉回路である蓄積回路C21を構成し、発電素子2から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力をコンバータ4に与えるキャパシタ51をさらに備える。この構成によれば、コンバータ4による電力変換効率を高めることができる。
【0098】
電源装置1のコンバータ4は、二次電池3、キャパシタ51及びコンバータ4を含む閉回路である第1充電回路C22と、キャパシタ51を含まず、二次電池3及びコンバータ4を含む第2充電回路C23と、を相互に切り替える。この構成によっても、コンバータ4による電力変換効率を高めることができる。
【0099】
電源装置1は、第1充電回路C22とする第1充電指令D22及び第2充電回路C23とする第2充電指令D23を選択的にコンバータ4に与えるコントローラ7をさらに備える。この構成によれば、コンバータ4による電力変換効率を高めることができる動作を実現することができる。
【0100】
電源装置1のコンバータ4は、キャパシタ51から与えられた電力を蓄積するインダクタ46を有し、コントローラ7は、インダクタ46の入力に発生する電圧(Vd)を用いて、第1充電指令D22を出力するタイミングを制御する。この構成によれば、コンバータ4による電力変換効率を高めることができる動作を容易に実現することができる。
【0101】
<第2実施形態>
第1実施形態の電源装置1は、降圧型のコンバータ4を備えていた。第2実施形態では、昇圧型のコンバータ4Bを備えた電源装置1Bを説明する。
図9は、第2実施形態の電源装置1Bの機能ブロック図である。
図9に示すように、電源装置1Bも、負荷装置9に対して電力を与える。
【0102】
電源装置1Bは、負荷装置9に与えるための電力を出力する。電源装置1Bは、発電素子2Bと、二次電池3Bと、コンバータ4Bと、コントローラ7Bと、キャパシタ51Bと、を有する。
【0103】
発電素子2Bの正極2aは、キャパシタ51Bの端子51aに接続されている。発電素子2Bの正極2aは、コンバータ4Bの入力端子4aにも接続されている。発電素子2Bの負極2bは、キャパシタ51Bの端子51bに接続されている。発電素子2Bの負極2bは、基準電圧源GNDにも接続されている。
【0104】
コンバータ4Bの入力端子4aは、キャパシタ51Bの端子51aに接続されている。コンバータ4Bの出力端子4bは、二次電池3Bの正極3aに接続されている。コンバータ4Bの出力端子4cは、基準電圧源GNDに接続されている。
【0105】
二次電池3Bの正極3aは、コンバータ4Bの出力端子4bに接続されている。二次電池3Bの正極3aは、負荷装置9の端子9aにも接続されている。二次電池3Bの負極3bは、基準電圧源GNDに接続されている。
【0106】
<具体的な回路構成>
図10(a)は、
図9に示す電源装置1Bの具体的な回路の一例である。
図10(a)を参照しながら、昇圧型のコンバータ4Bについて詳細に説明する。
【0107】
コンバータ4Bは、インダクタ46Bと、第1スイッチ素子41Bと、第2スイッチ素子42Bと、を有する。電源装置1Bは、コントローラ7Bを備えており、コンバータ4Bは、コントローラ7Bが出力する制御信号φ41Bに従って動作する。
【0108】
インダクタ46Bの端子46aは、コンバータ4Bの入力端子4aに接続されている。インダクタ46Bの端子46bは、ノードN3Bを介して第1スイッチ素子41Bのドレインに接続されている。インダクタ46Bの端子46bは、ノードN3Bを介して第2スイッチ素子42Bのドレインにも接続されている。
【0109】
第1スイッチ素子41Bは、インダクタ46Bの端子46bをキャパシタ51Bの端子51bに接続する動作と、インダクタ46Bの端子46bをキャパシタ51Bの端子51bから切り離す動作と、を相互に切り替える。第1スイッチ素子41Bのドレインは、インダクタ46Bに接続されている。第1スイッチ素子41Bのソースは、ノードN4B、N1Bを介してキャパシタ51Bの端子51bに接続されている。第1スイッチ素子41Bのゲートは、制御信号φ41Bを受ける。
【0110】
第1スイッチ素子41Bは、nチャネル型のMOSFETである。第1スイッチ素子41Bは、制御信号φ41B(H)を受けたとき、インダクタ46Bの端子46bをキャパシタ51Bの端子51bに接続する。第1スイッチ素子41Bは、制御信号φ41B(L)を受けたとき、インダクタ46Bの端子46bをキャパシタ51Bの端子51bから切り離す。
【0111】
第2スイッチ素子42Bは、インダクタ46Bと二次電池3Bとの間に配置されている。第2スイッチ素子42Bは、インダクタ46Bの端子46bを二次電池3Bの正極3aに接続する動作と、インダクタ46Bの端子46bを二次電池3Bの正極3aから切り離す動作と、を相互に切り替える。第2スイッチ素子42Bのドレインは、ノードN3Bを介してインダクタ46Bの端子46bに接続されている。第2スイッチ素子42Bのソースは、ノードN5B、N6Bを介して二次電池3Bの正極3aに接続されている。第2スイッチ素子42Bのゲートは、第2スイッチ素子42Bのドレインに接続されている。第1スイッチ素子41Bがオンする間はノードN3Bは接地されている。このとき、第2スイッチ素子42Bはオフである(第1充電動作S22B:
図12(a)参照)。第1スイッチ素子41Bがオフに切り替えられたとき、切替後からしばらくの期間、インダクタ46Bを流れていた電流は、第2スイッチ素子42Bを介して二次電池3Bの正極3aに流れる(第2充電動作S23B:
図12(b)参照)。そして、二次電池3Bの正極3aへ流れる電流が閾値よりも小さくなると、コントローラ7Bは、第1スイッチ素子41Bをオンにする制御信号φ41Bを出力する。その結果、第1スイッチ素子41Bがオンとなると共に、第2スイッチ素子42Bとオフとなる(第1充電動作S22B:
図12(a)参照)。
【0112】
なお、第2スイッチ素子42Bは、pチャネル型のMOSFETとしてもよい(
図10(b)参照)。この場合には、第2スイッチ素子42Bのゲートに制御信号φ42Bを入力する。第2スイッチ素子42Bは、制御信号φ42B(L)を受けたとき、インダクタ46Bの端子46bを二次電池3Bの正極3aに接続する。第2スイッチ素子42Bは、制御信号φ42B(H)を受けたとき、インダクタ46Bの端子46bを二次電池3Bの正極3aから切り離す。
【0113】
<電源装置の動作>
電源装置1Bも、負荷装置9に電力を与える動作(負荷駆動動作S1B)と、二次電池3Bを充電する動作(電池充電動作S2B)と、を行う。
【0114】
<負荷駆動動作と負荷駆動回路>
図11(a)は、負荷駆動動作S1Bのための閉回路を示す。
図11(a)において、太い実線は、負荷駆動動作S1Bに関係する負荷駆動回路C1Bを示す。
【0115】
負荷駆動回路C1Bは、二次電池3Bと、負荷装置9と、を含む。二次電池3Bの正極3aは、ノードN6Bを介して負荷装置9の端子9aに接続されている。二次電池3Bの負極3b及び負荷装置9の端子9bは、ノードN7B、N4B、N1Bを介して基準電圧源GNDに接続されている。電源装置1Bの負荷駆動回路C1Bも、スイッチ機能を有する要素を含まない。従って、負荷装置9が電力を要求したときには、二次電池3Bから電力が与えられる。負荷装置9が電力を要求しないときには、二次電池3Bから電力は与えられない。つまり、二次電池3Bから負荷装置9に電力を与えるための特段の制御を要しない。
【0116】
<電池充電動作と蓄積回路、第1充電回路及び第2充電回路>
図11(b)、
図12(a)及び
図12(b)は、電池充電動作S2Bのための閉回路を示す。電池充電動作S2Bは、3つの動作を含む。電池充電動作S2Bは、蓄積動作S21Bと、第1充電動作S22Bと、第2充電動作S23Bと、を含む。
【0117】
<蓄積動作>
図11(b)は、蓄積動作S21Bのための閉回路を示す。
図11(b)において、太い実線は、蓄積動作S21Bに関係する蓄積回路C21Bを示す。蓄積回路C21Bは、発電素子2Bと、キャパシタ51Bと、を含む。発電素子2Bの正極2aは、ノードN2Bを介してキャパシタ51Bの端子51aに接続されている。キャパシタ51Bの端子51bは、ノードN1Bを介して発電素子2Bの負極2b及び基準電圧源GNDに接続されている。負荷駆動回路C1Bと同様に、蓄積回路C21Bも、スイッチ機能を有する要素を含まない。従って、発電素子2Bが電力を出力したときには、キャパシタ51Bに電力が蓄えられる。発電素子2Bが電力を出力しないときには、キャパシタ51Bに電力が蓄えられない。つまり、発電素子2Bからキャパシタ51Bに電力を蓄えるための特段の制御を要しない。
【0118】
従って、負荷駆動回路C1B(
図11(a))及び蓄積回路C21B(
図11(b))のそれぞれは、電流が常時流れることができる状態であるといえる。一方、第1充電動作S22B及び第2充電動作S23Bは、交互に実行される。
【0119】
<第1充電動作>
図12(a)は、第1充電動作S22Bのための閉回路を示す。
図12(a)において、太い実線は、第1充電動作S22Bに関係する第1充電回路C22Bを示す。第1充電回路C22Bは、キャパシタ51Bと、インダクタ46Bと、第1スイッチ素子41Bと、を含む。キャパシタ51Bの端子51aは、インダクタ46Bの端子46aに接続されている。インダクタ46Bの端子46bは、ノードN3Bを介して第1スイッチ素子41Bのドレインに接続されている。第1スイッチ素子41Bのソースは、ノードN4B、N1Bを介して基準電圧源GNDに接続されている。
【0120】
第1充電回路C22Bは、第1スイッチ素子41Bを含む。従って、第1スイッチ素子41Bが導通であるときに第1充電回路C22Bが形成される。第1スイッチ素子41Bは、インダクタ46Bの端子46bをキャパシタ51Bの端子51bに接続する経路に配置されている。従って、第1スイッチ素子41Bが導通であるとき、インダクタ46Bの端子46bはキャパシタ51Bの端子51bに接続された状態である。第1スイッチ素子41Bが非導通であるとき、インダクタ46Bの端子46bはキャパシタ51Bの端子51bから切断された状態である。第1スイッチ素子41Bは、nチャネル型のMOSFETである。第1スイッチ素子41Bは、制御信号φ41(H)を受けたとき、インダクタ46Bの端子46bをキャパシタ51Bの端子51bに接続する。
【0121】
<第2充電動作>
図12(b)は、第2充電動作S23Bのための閉回路を示す。
図12(b)において、太い実線は、第2充電動作S23Bに関係する第2充電回路C23Bを示す。第2充電回路C23Bは、二次電池3Bと、第2スイッチ素子42Bと、インダクタ46Bと、を含む。キャパシタ51Bの端子51aは、インダクタ46Bに接続されている。インダクタ46Bは、ノードN3Bを介して第2スイッチ素子42Bのソースに接続されている。第1スイッチ素子41Bのドレインは、ノードN5B、N6Bを介して二次電池3Bの正極3aに接続されている。二次電池3Bの負極3bは、基準電圧源GNDに接続されている。
【0122】
第2充電回路C23Bは、第2スイッチ素子42Bを含む。従って、第2スイッチ素子42Bが導通であるときに第2充電回路C23Bが形成される。第2スイッチ素子42Bは、インダクタ46Bの端子46bを二次電池3Bの正極3aに接続する経路に配置されている。従って、第2スイッチ素子42Bが導通であるとき、インダクタ46Bの端子46bは二次電池3Bの正極3aに接続された状態である。第2スイッチ素子42Bが非導通であるとき、インダクタ46Bの端子46bは二次電池3Bの正極3aから切断された状態である。第2スイッチ素子42Bは、pチャネル型のMOSFETである。第2スイッチ素子42Bは、制御信号φ41B(L)を受けたとき、インダクタ46Bの端子46bを二次電池3Bの正極3aに接続する。
【0123】
<コントローラによる第1充電回路と第2充電回路の切り替え>
コントローラ7Bは、第1充電回路C22Bとするための第1充電指令D22Bと、第2充電回路C23Bとするための第2充電指令D23Bと、を交互に出力する。コントローラ7Bは、予め定めた時間が経過したことを条件として、第1充電指令D22B及び第2充電指令D23Bを出力する。
【0124】
図13(a)は、第1充電指令D22B及び第2充電指令D23Bの具体的な内容を示す。第1充電指令D22B及び第2充電指令D23Bは、制御信号φ41Bを含む。具体的には、以下のとおりである。
第1充電指令D22B:φ41B(H)。
第2充電指令D23B:φ41B(L)。
【0125】
上述の指令であるときの第1スイッチ素子41Bの状態及び第2スイッチ素子42Bの状態は、以下のとおりである。
第1充電指令D22B:第1スイッチ素子41B(ON)、第2スイッチ素子42B(OFF)。
第2充電指令D23B:第1スイッチ素子41B(OFF)、第2スイッチ素子42B(ON)。
【0126】
第1充電指令D22Bを出力する期間T22Bは、予め設定されている。従って、コントローラ7Bは、第1充電指令D22Bの出力を開始する時間t1から所定時間が経過した後に、第1充電指令D22Bの出力を停止すると共に第2充電指令D23Bの出力を開始する。
【0127】
第2充電指令D23Bを出力する期間T23Bも、予め設定されている。従って、コントローラ7Bは、第2充電指令D23Bの出力を開始する時間t2から所定時間が経過した後に、第2充電指令D23Bの出力を停止すると共に第1充電指令D22Bの出力を開始する。
【0128】
図13(b)のグラフG13bは、ノードN3Bの電圧(Vd)を示す。
図13(c)のグラフG13cは、電源装置1Bに流れる電流(Id)を示す。換言すると、グラフG13cは、第1充電回路C22B及び第2充電回路C23Bに流れる電流を示す。さらに換言すると、グラフG13cは、インダクタ46Bに流れる電流であるともいえる。グラフG13cは、二次電池3Bの充電のための電流であるともいえる。さらに、グラフG13cに示す電流(Id)において、期間T22Bは、第1充電回路C22B(
図12(a)参照)に流れる電流を示す。期間T23Bは、第2充電回路C23B(
図12(b)参照)に流れる電流を示す。
【0129】
第1充電動作S22Bの期間(フェーズ1)であるとき、ノードN3Bの電圧(Vd)も次第に上昇する(
図13(b)の期間T22B)。この電圧(Vd)の上昇に伴って、ノードN3Bを流れる電流も増加する(
図13(c)の期間T22B)。
【0130】
次に、第2充電動作S23Bの期間(フェーズ2)であるとき、ノードN3Bの電圧(Vd)は次第に低下する(
図13(b)の期間T23B)。ノードN3Bの電圧(Vd)は、最終的にゼロに至る(
図13(b)の参照番号P13b)。この電圧(Vd)の低下に伴って、ノードN3Bを流れる電流(Id)も低下する(
図13(c)の期間T23B)。ノードN3Bを流れる電流(Id)も、最終的にゼロに至る(
図13(b)の参照番号P13b)。
【0131】
コントローラ7Bは、ノードN3Bの電圧(Vd)がゼロに至った時点から所定期間経過だけ第2充電動作S23Bの期間を維持する。つまり、第2充電動作S23Bの期間T23Bは、ノードN3Bの電圧(Vd)が低下する期間T23dと、ノードN3Bの電圧(Vd)がゼロである期間T23zと、を含む。換言すると、コントローラ7Bは、ノードN3Bを流れる電流(Id)がゼロに至った時点から所定期間経過だけ第2充電動作S23Bの期間を維持する。つまり、第2充電動作S23Bの期間T23Bは、ノードN3Bを流れる電流(Id)が低下する期間T23dと、ノードN3Bを流れる電流(Id)がゼロである期間T23zと、を含む。
【0132】
<作用効果>
【0133】
第2実施形態の電源装置1Bも、第1実施形態の電源装置1と同様の作用効果を得ることができる。
【0134】
さらに、二次電池3Bがコントローラ7Bに与える電力(Ploss)よりコンバータ4Bが出力する電力(Peh)が大きいとき、二次電池3Bを充電することができる。つまり、電力の差分(Peh-Ploss)が正であるとき、二次電池3Bを充電することができる。この構成によれば、二次電池3Bを充電しながらコンバータ4Bを駆動することができる。
【0135】
請求項に記載された電源装置及び電源システムは、第1実施形態の電源装置1及び第2実施形態の電源装置1Bの構成や動作には、限定されない。
【0136】
<変形例1>
第2実施形態の電源装置1Cの変形例を説明する。変形例の電源装置1Cは、昇圧型のコンバータ4Cを備える。変形例のコンバータ4Cは、昇圧回路として、いわゆるチャージポンプ回路を採用する。
【0137】
図14は、変形例の電源装置1Cの機能ブロック図である。コンバータ4Cは、入力端子4aと、出力端子4bと、を有する。入力端子4aは、キャパシタ51Cに接続されている。出力端子4bは、二次電池3Cに接続されている。コンバータ4Cは、チャージポンプ回路48と、発振回路49と、を有する。
【0138】
チャージポンプ回路48は、チャージポンプ動作によって受け入れた電圧を所望の電圧まで昇圧する。チャージポンプ回路48は、入力端子48a、48bと、出力端子48cと、を有する。チャージポンプ回路48の入力端子48aは、コンバータ4Cの入力端子4aに接続されている。チャージポンプ回路48の入力端子48bは、発振回路49に接続されている。つまり、入力端子48bは、チャージポンプ動作のためのクロック信号CLK1、CLK2、CLK_H4、CLK_H3などを受ける。チャージポンプ回路48の出力端子4cは、コンバータ4Cの出力端子4bに接続されている。また、チャージポンプ回路48の出力端子48cは、発振回路49に接続されている。
【0139】
発振回路49は、チャージポンプ動作のためのクロック信号CLK1、CLK2、CLK_H4、CLK_H3などを出力する。発振回路49は、入力端子49aと、出力端子49bと、を有する。発振回路49の入力端子49aは、チャージポンプ回路48の出力端子48cに接続されている。発振回路49の出力端子49bは、チャージポンプ回路48の入力端子48bに接続されている。
【0140】
図15は、変形例の電源装置1Cが備えるチャージポンプ回路48の例示である。チャージポンプ回路48は、複数の昇圧回路48Cを有する。複数の昇圧回路48Cのそれぞれは、直列に接続されている。昇圧回路48Cのそれぞれは、第1昇圧モジュール48C1と第2昇圧モジュール48C2とを有する。
【0141】
第1昇圧モジュール48C1は、メインキャパシタ481、サブキャパシタ482と、を有する。メインキャパシタ481は、入力端子48aから受け入れた電圧(Vteg)によって駆動する。サブキャパシタ482は、入力端子48bから受け入れた二次電池3Cに起因する電圧(Vbat)によって駆動する。
【0142】
第1昇圧モジュール48C1は、さらに、第1スイッチ素子483と、第2スイッチ素子484と、を有する。
【0143】
第1スイッチ素子483は、メインキャパシタ481への電力を与える動作と、電力を与えない動作と、を切り替える。第1スイッチ素子483のソースは、前段の昇圧モジュールの出力に接続されている。なお、昇圧回路48Cがチャージポンプ回路48の入力端子48aに接続されている場合には、第1スイッチ素子483のソースは、チャージポンプ回路48の入力端子48aに接続されていてもよい。第1スイッチ素子483のドレインは、メインキャパシタ481及び第2昇圧モジュール48C2の入力に接続されている。第1スイッチ素子483のゲートは、第2スイッチ素子484及びサブキャパシタ482に接続されている。
【0144】
第2スイッチ素子484は、第1スイッチ素子483を導通させる動作と、第1スイッチ素子483を導通させない動作と、を切り替える。第2スイッチ素子484のソースは、前段の昇圧モジュールの出力に接続されている。第2スイッチ素子484のドレインは、第1スイッチ素子483のゲート及びサブキャパシタ482に接続されている。第2スイッチ素子484のゲートは、メインキャパシタ481に接続されている。
【0145】
第2昇圧モジュール48C2の回路構成は、第1昇圧モジュール48C1と同じであるから詳細な説明は省略する。
【0146】
昇圧回路48Cは、4つのクロック信号CLK1、CLK2、CLK_H4、CLK_H3を受け入れる。第1クロック信号CLK1は、第1昇圧モジュール48C1のメインキャパシタ481に与えられる。第2クロック信号CLK2は、第2昇圧モジュール48C2のメインキャパシタ481に与えられる。第3のクロック信号CLK_H3は、第2昇圧モジュール48C2のサブキャパシタ482に与えられる。第4のクロック信号CLK_H4は、第1昇圧モジュール48C1のサブキャパシタ482に与えられる。
【0147】
図16(a)及び
図16(b)は、第1クロック信号CLK1及び第2クロック信号CLK2を発生する回路の例示である。
図16(a)及び
図16(b)に示す回路は、チャージポンプ回路48に含まれてもよいし、発振回路49に含まれてもよい。
【0148】
図16(a)に示すように、第1クロック発生回路48D1は、電圧(Vteg)と、クロック信号CLK_H1、CLK_H1Bを受ける。第1クロック発生回路48D1は、第1クロック信号CLK1を出力する。第1クロック発生回路48D1は、第3スイッチ素子485と第4スイッチ素子486と、を含む。第3スイッチ素子485のソースは、電圧(Vteg)を受ける。第3スイッチ素子485のドレインは、第4スイッチ素子486のソースに接続されている。また、第3スイッチ素子485のドレインは、第1クロック信号CLK1を出力する端子にも接続されている。第3スイッチ素子485のゲートは、クロック信号CLK_H1Bを受ける。第4スイッチ素子486のソースは、第3スイッチ素子485のドレインに接続されている。第4スイッチ素子486のドレインは、基準電圧源GNDに接続されている。第4スイッチ素子486のゲートは、クロック信号CLK_H1を受ける。
【0149】
図16(b)に示すように、第2クロック発生回路48D2は、電圧(Vteg)と、クロック信号CLK_H2、CLK_H2Bを受ける。第2クロック発生回路48D2の回路構成は、第1クロック発生回路48D1と同じであるから詳細な説明は省略する。第2クロック発生回路48D2の第3スイッチ素子485は、クロック信号CLK_H2Bを受ける。第2クロック発生回路48D2の第4スイッチ素子486は、クロック信号CLK_H2を受ける。第2クロック発生回路48D2の出力端子は、第2クロック信号CLK2を出力する。
【0150】
図16(c)は、発振回路49を示す。発振回路49は、二次電池3から電力(Vbat)を受けて、クロック信号CLK_H1、CLK_H2、CLK_H3、CLK_H4を出力する。クロック信号CLK_H1、CLK_H2、CLK_H3、CLK_H4は、第1クロック発生回路48D1、第2クロック発生回路48D2及び昇圧回路48Cに与えられる。
【0151】
このような昇圧型のコンバータ4Cを備える変形例1の電源装置1Cも、第2実施形態の電源装置1Bと同様の作用効果を得ることができる。
【0152】
<変形例2>
変形例2では、外部環境の変化が生じた場合であっても、電力取出効率(η)を所望の状態に保つことが可能な電源装置1D(
図18参照)を説明する。電力取出効率(η)を所望の状態に保つとは、式(1)の条件を満たすように、電源装置1Dを動作させることである。
V
IN=V
BAT+V
E/2…(1)
【0153】
なお、式(1)に示す条件は、電源装置1Dが寄生抵抗や寄生容量などの成分を含まない理想的な電気回路に基づく。現実の電源装置1Dは、インダクタやトランジスタが有する寄生抵抗や寄生容量といった成分を含む。さらに、現実の電源装置1Dは、コントローラ7Dの電力消費といった電力の損失も含む。これらの要因を考慮すると、最大電力を取り出すための最適条件は、式(1)に示す条件からずれることもあり得る。そこで、電源装置1Dは、式(1)に示す条件に代えて、式(2)に示す条件を採用してもよい。
VIN=VBAT+b×VE…(2)
【0154】
式(2)は、変数bを含む。電源装置1Dの動作条件として式(2)を採用する場合には、変数bは、0.5とは異なる数値に設定される。
【0155】
変形例2の電源装置1Dは、その回路構成は、第1実施形態と同じである。変形例2の電源装置1Dは、コンバータ4の動作に特徴を有する。外部環境の変化が生じた場合であっても、電力取出効率(η)を所望の状態に保ち続けるための動作を、MPPT動作R1と称する。以下、MPPT動作R1を実行する電源装置1Dについて詳細に説明する。
【0156】
<MPPT動作R1>
まず、MPPT動作R1について説明する。電力取出効率(η)は、コンバータ4が受ける電流(IIN)の影響を受けることをすでに述べた。つまり、コントローラ7Dは、コンバータ4へ与えられる電流(IIN)を所望の値に維持する制御を実行する。具体的には、コントローラ7Dは、コンバータ4へ与えられる電流(IIN)を所望の値に維持されるように、コンバータ4が受ける電圧(VIN)を所定の範囲に収める動作を実行する。電圧(VIN)を所定の範囲に収める動作を、「電力取出動作R11」と称する。
【0157】
上述したように、電力取出効率(η)は外部環境の変化の影響を受ける。そこで、コントローラ7Dは、コンバータ4が受ける電圧(VIN)を収めるべき範囲を更新する動作を実行する。コンバータ4が受ける電圧(VIN)を収めるべき範囲を更新する動作を、「リフレッシュ動作R12」と称する。
【0158】
図17(a)は、MPPT動作R1を実行しているときの、コンバータ4が受ける電圧(V
IN)を示す。MPPT動作R1は、電力取出動作R11と、リフレッシュ動作R12と、を含む。換言すると、コントローラ7Dは、電力取出動作R11と、リフレッシュ動作R12と、を繰り返し実行する。
【0159】
MPPT動作R1の最小単位(T
CYC)は、1回の電力取出動作R11と1回のリフレッシュ動作R12とによって定義される。
図17(a)では、電力取出動作R11を先に実行し、リフレッシュ動作R12をあとに実行したものを最小単位(T
CYC)として示している。しかし、リフレッシュ動作R12を先に実行し、電力取出動作R11をあとに実行したものを最小単位(T
CYC)として定義してもよい。
【0160】
電力取出動作R11は、負荷装置9に電力(P
OUT)を与える。電力取出動作R11の期間では、電圧(V
IN)が所定の範囲に収まっている。所定の範囲は、上基準電圧(V
REFP)(第1閾値電圧)と、下基準電圧(V
REFN)(第2閾値電圧)と、によって定義される。コントローラ7Dは、電圧(V
IN)が下基準電圧(V
REFN)から上基準電圧(V
REFP)に向かって高まるようにコンバータ4を制御する。このような動作を、サスペンド動作R111と称する(
図17(b)参照)。コントローラ7Dは、電圧(V
IN)が上基準電圧(V
REFP)から下基準電圧(V
REFN)に向かって低下するようにコンバータ4を制御する。このような動作を、レジューム動作R112と称する。電力取出動作R11の最小単位(T
OP)は、1回のサスペンド動作R111と1回のレジューム動作R112とによって定義される。
【0161】
リフレッシュ動作R12は、コンバータ4が受けている電圧(V
IN)の大きさを得る。リフレッシュ動作R12は、待機動作R121と、サンプル動作R122と、を含む。待機動作R121では、コンバータ4の動作を停止させることによって、キャパシタ51(
図3参照)に電荷を蓄積する。キャパシタ51の容量が十分に大きいとき、電圧(V
IN)の値に収束する。その結果、電圧(V
IN)の大きさを得ることができる。サンプル動作R122では、待機動作R121で得た電圧(V
IN)を利用して、上基準電圧(V
REFP)と、下基準電圧(V
REFN)と、を得る。
【0162】
<コントローラ:構成>
図18に示すように、コントローラ7Dは、基準電圧発生部75と、電圧判定部74と、制御信号出力部73と、を有する。
【0163】
<基準電圧発生部>
基準電圧発生部75は、電圧(VBAT)と電圧(VIN)とを受ける。基準電圧発生部75は、電圧(VBAT)と電圧(VIN)とを利用して、上基準電圧(VREFP)と下基準電圧(VREFN)とを得る。基準電圧発生部75は、上基準電圧(VREFP)と下基準電圧(VREFN)とを電圧判定部74に与える。
【0164】
基準電圧発生部75は、アナログ回路を利用して上基準電圧(VREFP)と下基準電圧(VREFN)とを得てもよい。また、基準電圧発生部75は、デジタル回路を利用して上基準電圧(VREFP)と下基準電圧(VREFN)とを得てもよい。この場合には、基準電圧発生部75は、ADコンバータによって電圧(VIN)をデジタル値に変換する。そして、コンピュータの演算によって上基準電圧(VREFP)と下基準電圧(VREFN)とを得る。例えば、電圧(VIN)に所定の値を加算することによって、上基準電圧(VREFP)を得る。同様に、電圧(VIN)から所定の値を減算することによって、下基準電圧(VREFN)を得る。
【0165】
<電圧判定部>
電圧判定部74は、上基準電圧(VREFP)と下基準電圧(VREFN)とを受ける。さらに、電圧判定部74は、電圧(VIN)を受ける。
【0166】
電圧判定部74は、電力取出動作R11であるとき、以下の動作を実行する。電圧判定部74は、電圧(VIN)が上基準電圧(VREFP)に達したか否かを判定する。また、電圧判定部74は、電圧(VIN)が下基準電圧(VREFN)に達したか否かを判定する。電圧判定部74は、判定の結果として、制御信号φ73(SUSPEND)と、制御信号φ74(RESUME)と、を得る。そして、電圧判定部74は、制御信号φ73(SUSPEND)と、制御信号φ74(RESUME)と、を制御信号出力部73に与える。
【0167】
<変形例3>
図19は、第1実施形態の電源装置1Aの変形例としての電源装置1Eの回路図である。電源装置1Eは、コンバータモジュール4Eと、コントローラ7Eを有する。電源装置1Eを構成するそのほかの要素は、第1実施形態の電源装置1Aの要素と同じである。従って、これらの要素の説明は省略する。
【0168】
コンバータモジュール4Eは、入力端子4Eaと、出力端子4Ebと、出力端子4Ecと、を有する。入力端子4Eaは、キャパシタ51から電力を受ける。出力端子4Ebは、負荷装置9に電力を渡す。出力端子4Ecは、基準電圧源GNDに接続されている。
【0169】
コンバータモジュール4Eは、2個のコンバータ4E1、4E2を有する。コンバータ4E1、4E2の構成は、第1実施形態の電源装置1Aが有するコンバータ4の構成と同じである。コンバータ4E1の入力端子4aは、コンバータモジュール4Eの入力端子4Eaに接続されている。コンバータ4E2の入力端子4aも、コンバータモジュール4Eの入力端子4Eaに接続されている。コンバータ4E1の出力端子4bは、コンバータモジュール4Eの出力端子4Ebに接続されている。コンバータ4E2の出力端子4bも、コンバータモジュール4Eの出力端子4Ebに接続されている。
【0170】
コントローラ7Eは、コンバータ4E1の電圧計47が出力する電圧(Vd1)を受ける。コントローラ7Eは、電圧(Vd1)を利用して、制御信号φ41E1、φ42E1、φ41E2、φ42E2を出力する。なお、コントローラ7Eは、コンバータ4E2の電圧計47が出力する電圧(Vd2)を利用して、制御信号φ41E1、φ42E1、φ41E2、φ42E2を出力してもよい。また、コントローラ7Eは、電圧(Vd1)及び電圧(Vd2)の両方を利用して、制御信号φ41E1、φ42E1、φ41E2、φ42E2を出力してもよい。
【0171】
制御信号φ41E1は、コンバータ4E1の第1スイッチ素子41に与えられる。制御信号φ42E1は、コンバータ4E1の第2スイッチ素子42に与えられる。制御信号φ41E2は、コンバータ4E2の第1スイッチ素子41に与えられる。制御信号φ42E2は、コンバータ4E2の第2スイッチ素子42に与えられる。
【0172】
図20は、制御信号のための波形を示す図である。
図20に示すように、制御信号φ41E1は、第1実施形態の制御信号φ41と同じである。制御信号φ42E1も、第1実施形態の制御信号φ42と同じである。これに対して、制御信号φ41E2は、第1実施形態の制御信号φ41の反転信号である。換言すると、制御信号φ41E2は、制御信号φ41E1の反転信号である。同様に、制御信号φ42E2は、第1実施形態の制御信号φ42の反転信号である。換言すると、制御信号φ42E2は、制御信号φ42E1の反転信号である。
【0173】
制御信号φ41E1、φ42E1、φ41E2、φ42E2を受けたコンバータモジュール4Eは、以下の動作を交互に繰り返す。
第1の期間T22E:コンバータ4E1(充電動作)、コンバータ4E2(出力動作)。
第2の期間T23E:コンバータ4E1(出力動作)、コンバータ4E2(充電動作)。
【0174】
換言すると、コントローラ7Eは、第1の期間T22Eであるときにコンバータ4E1に制御指令(制御信号φ41E1(L)、φ42E1(L))を出力すると共にコンバータ4E2に制御指令(制御信号φ41E2(H)、φ42E2(H))を出力する動作と、第1の期間T22Eとは別の第2の期間T23Eであるときに、コンバータ4E1に制御指令(制御信号φ41E1(H)、φ42E1(H))を出力すると共にコンバータ4E2に制御指令(制御信号φ41E2(L)、φ42E2(L))を出力する動作と、を交互に実行する。
【0175】
このような動作によれば、コンバータモジュール4Eにおいて、入力端子4Eaからの電力の受け入れと、出力端子4Ebからの電力の出力と、を並行して実行することができる。
【0176】
<変形例4>
2つのコンバータを用いて、充電動作と出力動作とを交互に実行する動作は、別の電源装置にも適用できる。
図21は、第2実施形態の電源装置1Bの変形例としての電源装置1Fの回路図である。電源装置1Fは、コンバータモジュール4Fを有する。電源装置1Fを構成するそのほかの要素は、第2実施形態の電源装置1Bの要素と同じである。従って、これらの要素の説明は省略する。
【0177】
コンバータモジュール4Fは、入力端子4Faと、出力端子4Fbと、出力端子4Fcと、を有する。入力端子4Faは、キャパシタ51から電力を受ける。出力端子4Fbは、二次電池3B及び負荷装置9に電力を渡す。出力端子4Fcは、基準電圧源GNDに接続されている。
【0178】
コンバータモジュール4Fは、2個のコンバータ4F1、4F2を有する。コンバータ4F1、4F2の構成は、第2実施形態の電源装置1Bが有するコンバータ4Bの構成と同じである。コンバータ4F1の入力端子4aは、コンバータモジュール4Fの入力端子4Faに接続されている。コンバータ4F2の入力端子4aも、コンバータモジュール4Fの入力端子4Faに接続されている。コンバータ4F1の出力端子4bは、コンバータモジュール4Fの出力端子4Fbに接続されている。コンバータ4F2の出力端子4bも、コンバータモジュール4Fの出力端子4Fbに接続されている。
【0179】
コンバータモジュール4Fは、以下の動作を行う。
第1の期間:コンバータ4F1(充電動作)、コンバータ4F2(出力動作)。
第2の期間:コンバータ4F1(出力動作)、コンバータ4F2(充電動作)。
【0180】
コンバータ4F1、4F2の動作は、スイッチ素子41Bによって切り替えられる。第2実施形態で説明したように、出力動作(スイッチ素子41B:オフ)は、スイッチ素子41Bに制御信号φ41F1(L)が与えられることにより実行される。制御信号φ41F1(L)は、インダクタ46Bが出力する電流の大きさが閾値より小さくなることを条件として出力される。
【0181】
コントローラ7Bは、第1の期間において、コンバータ4F2の出力電流が閾値を下回ったことを条件として、コンバータ4F2のスイッチ素子41Bに制御信号φ41F2(H)を出力する。その結果、コンバータ4F2の動作は、出力動作から充電動作に切り替わる。さらに、コントローラ7Bは、第1の期間において、コンバータ4F2の出力電流が閾値を下回ったことを条件として、コンバータ4F1のスイッチ素子41Bに制御信号φ41F1(L)を出力する。その結果、コンバータ4F1の動作は、充電動作から出力動作に切り替わる。
【0182】
コントローラ7Bは、第2の期間において、コンバータ4F1の出力電流が閾値を下回ったことを条件として、コンバータ4F1のスイッチ素子41Bに制御信号φ41F1(H)を出力する。その結果、コンバータ4F1の動作は、出力動作から充電動作に切り替わる。さらに、コントローラ7Bは、第2の期間において、コンバータ4F1の出力電流が閾値を下回ったことを条件として、コンバータ4F2のスイッチ素子41Bに制御信号φ41F2(L)を出力する。その結果、コンバータ4F2の動作は、充電動作から出力動作に切り替わる。
【0183】
つまり、コンバータ4F1、4F2のそれぞれのコントローラ7Bが、交互に制御信号φ41F1、φ41F2を出力する。
【0184】
このような動作によれば、コンバータモジュール4Fにおいて、入力端子4Faからの電力の受け入れと、出力端子4Fbからの電力の出力と、を並行して実行することができる。
【0185】
<変形例5>
図22は、変形例1の電源装置1Cのさらなる変形例としての電源装置1Gの回路図である。電源装置1Gは、コンバータモジュール4Gを有する。電源装置1Gを構成するそのほかの要素は、変形例1の電源装置1Cの要素と同じである。従って、これらの要素の説明は省略する。
【0186】
コンバータモジュール4Gは、入力端子4Gaと、出力端子4Gbと、を有する。入力端子4Gaは、キャパシタ51Cから電力を受ける。出力端子4Gbは、二次電池3C及び負荷装置9に電力を渡す。
【0187】
コンバータモジュール4Gは、2個のコンバータ4G1、4G2を有する。コンバータ4G1、4G2の構成は、変形例1の電源装置1Cが有するコンバータ4Cの構成と同じである。コンバータ4G1の入力端子4aは、コンバータモジュール4Gの入力端子4Gaに接続されている。コンバータ4G2の入力端子4aも、コンバータモジュール4Gの入力端子4Gaに接続されている。コンバータ4G1の出力端子4bは、コンバータモジュール4Gの出力端子4Gbに接続されている。コンバータ4G2の出力端子4bも、コンバータモジュール4Gの出力端子4Gbに接続されている。
【0188】
コンバータモジュール4Gは、以下の動作を行う。
第1の期間:コンバータ4G1(充電動作)、コンバータ4G2(出力動作)。
第2の期間:コンバータ4G1(出力動作)、コンバータ4G2(充電動作)。
【0189】
このような動作によれば、コンバータモジュール4Gにおいて、入力端子4Gaからの電力の受け入れと、出力端子4Gbからの電力の出力と、を並行して実行することができる。
【0190】
<変形例6>
図23に示す変形例6の電源装置1Hは、
図14に示す変形例1の電源装置1Cをさらに具体化したものである。変形例6の電源装置1Hは、発振回路49Hが出力するクロック信号θ1[CLK1]、θ2[CLK2]に従って動作する。これらのクロック信号θ1、θ2は、二次電池3Hから受けた電力を利用して生成される。従って、クロック信号θ1、θ2の振幅は、二次電池3Hの出力電圧Vbatと同じであってもよい。つまり、クロック信号θ1、θ2の振幅は、Vbatであってもよい。二次電池3Hの出力電圧Vbatは、例えば1.5Vといった一定値である。振幅(Vbat)であるクロック信号θ1、θ2によれば、発電素子2Hが出力する電圧Vtegに左右されることなく、チャージポンプ回路48Hを構成するスイッチ素子のON及びOFFを確実に切り替えることができる。
【0191】
図24は、
図23に示すチャージポンプ回路48Hの具体的な構成の例示である。チャージポンプ回路48Hは、N個の昇圧モジュール61を含む。第1の昇圧モジュール61
1の入力61aは、発電素子2Hに接続されている。第Nの昇圧モジュール61
Nの出力61bは、二次電池3Hに接続されている。昇圧モジュール61は、互いに直列に接続されている。つまり、第nの昇圧モジュール61の出力61bは、第n+1の昇圧モジュール61の入力61aに接続されている。
【0192】
昇圧モジュール61は、入力スイッチ素子611と、出力スイッチ素子612と、キャパシタ613と、を有する。さらに、昇圧モジュール61は、基準電圧スイッチ素子614と、バイアス電圧スイッチ素子615と、を有する。入力スイッチ素子611、出力スイッチ素子612、基準電圧スイッチ素子614及びバイアス電圧スイッチ素子615は、例えばnチャネル型のMOSFETである。
【0193】
入力スイッチ素子611は、クロック信号θ2[CLK2]に基づいてキャパシタ613の充電の開始と停止とを切り替える。入力スイッチ素子611のソースは、昇圧モジュール61の入力61aに接続されている。入力スイッチ素子611のドレインは、出力スイッチ素子612のソースに接続されている。さらに、入力スイッチ素子611のドレインは、キャパシタ613にも接続されている。入力スイッチ素子611のゲートは、クロック信号θ2を受ける。
【0194】
出力スイッチ素子612は、クロック信号θ1[CLK1]に基づいてキャパシタ613からの放電の開始と停止とを切り替える。出力スイッチ素子612のソースは、入力スイッチ素子611のドレインに接続されている。出力スイッチ素子612のソースは、キャパシタ613にも接続されている。出力スイッチ素子612のドレインは、昇圧モジュール61の出力61bに接続されている。出力スイッチ素子612のゲートは、クロック信号θ1を受ける。
【0195】
基準電圧スイッチ素子614及びバイアス電圧スイッチ素子615は、キャパシタ613に対して基準電圧VGND及び電圧Vtegのいずれか一方を選択的に提供する。
【0196】
基準電圧スイッチ素子614は、クロック信号θ2に基づいてキャパシタ613に基準電圧源GNDを接続した状態と、キャパシタ613から基準電圧源GNDを切り離した状態と、を相互に切り替える。基準電圧スイッチ素子614のソースは、基準電圧源GNDに接続されている。基準電圧スイッチ素子614のドレインは、キャパシタ613に接続されている。基準電圧スイッチ素子614のゲートは、クロック信号θ2を受ける。
【0197】
バイアス電圧スイッチ素子615は、クロック信号θ1に基づいてキャパシタ613に発電素子2Hを接続した状態と、キャパシタ613から発電素子2Hを切り離した状態と、を相互に切り替える。バイアス電圧スイッチ素子615のソースは、発電素子2Hに接続されている。バイアス電圧スイッチ素子615のドレインは、キャパシタ613に接続されている。バイアス電圧スイッチ素子615のゲートは、クロック信号θ1を受ける。
【0198】
<作用効果>
電源装置1Hは、負荷装置9を含む閉回路に配置され、負荷装置9の求めに応じて負荷装置9に電力を与える二次電池3Hと、外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子2Hと、発電素子2Hが発生した電力を二次電池3Hを充電するための電力に変換すると共に、二次電池3Hを充電するための電力を二次電池3Hに与えるコンバータ4Hと、を備える。コンバータ4Hは、二次電池3Hから受けた電力を利用して、二次電池3Hの出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号θ1、θ2を発生する発振回路49Hと、クロック信号θ1、θ2に従う動作によって、発電素子2Hが発生した電力を二次電池3Hを充電するための電力に変換するチャージポンプ回路48Hと、を有する。
【0199】
チャージポンプ回路48Hを駆動するためのクロック信号θ1、θ2は、二次電池3Hから受けた電力を利用して発振回路49Hが発生する。その結果、チャージポンプ回路48Hの昇圧動作には、発電素子2Hが発生した電力の態様に左右されることがなくなる。その結果、チャージポンプ回路48Hを動作させるための条件を緩和することができる。
【0200】
チャージポンプ回路48Hは、受け入れた電圧に対応する電荷を蓄積するキャパシタ613と、キャパシタ613に接続されて、キャパシタ613の充電動作の開始とキャパシタ613の充電動作の停止とをクロック信号θ1、θ2に従って切り替える入力スイッチ素子611と、キャパシタ613に接続されて、キャパシタ613の放電動作の開始とキャパシタ613の放電動作の停止とをクロック信号θ1、θ2に従って切り替える出力スイッチ素子612と、を含む。
【0201】
この構成によれば、入力スイッチ素子611及び出力スイッチ素子612は、二次電池3Hの出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号θ1、θ2によってそれぞれの状態が切り替えられる。その結果、発電素子2Hが発生する電力が小さい場合であっても、入力スイッチ素子611及び出力スイッチ素子612の状態を確実に切り替えることができる。
【0202】
<変形例7>
図25及び
図26に示す変形例7の電源装置1Jのチャージポンプ回路48Jは、前段昇圧部81Mと、後段昇圧部82Mと、を含む。前段昇圧部81Mは、N/2個の前段昇圧モジュール81を含む。後段昇圧部82Mは、N/2個の後段昇圧モジュール82を含む。前段昇圧モジュール81は、nチャネル型のMOSFETを含む回路であり、後段昇圧モジュール82は、pチャネル型のMOSFETを含む回路である。
【0203】
図27は、前段昇圧モジュール81及び後段昇圧モジュール82の具体的な構成の例示である。
【0204】
<前段昇圧モジュール81>
前段昇圧モジュール81は、入力スイッチ素子811と、出力スイッチ素子812と、第1キャパシタ813を有する。また、前段昇圧モジュール81は、第1基準電圧スイッチ素子814と、第1バイアス電圧スイッチ素子815と、を有する。さらに、前段昇圧モジュール81は、第2キャパシタ816と、第2基準電圧スイッチ素子817と、第2バイアス電圧スイッチ素子818と、を有する。
【0205】
第2キャパシタ816は、出力スイッチ素子812のドレインと前段昇圧モジュール81の出力81cに接続されている。第2基準電圧スイッチ素子817及び第2バイアス電圧スイッチ素子818は、第2キャパシタ816に対して基準電圧VGND及び電圧Vtegのいずれか一方を選択的に提供する。
【0206】
第2基準電圧スイッチ素子817は、クロック信号θ1[CLK1]に基づいて第2キャパシタ816に基準電圧源GNDを接続した状態と、第2キャパシタ816から基準電圧源GNDを切り離した状態と、を相互に切り替える。第2基準電圧スイッチ素子817のソースは、基準電圧源GNDに接続されている。第2基準電圧スイッチ素子817のドレインは、第2キャパシタ816に接続されている。第2基準電圧スイッチ素子817のゲートは、クロック信号θ1[CLK1]を受ける。
【0207】
第2バイアス電圧スイッチ素子818は、クロック信号θ2[CLK2]に基づいて第2キャパシタ816に発電素子2Jを接続した状態と、第2キャパシタ816から発電素子2Jを切り離した状態と、を相互に切り替える。第2バイアス電圧スイッチ素子818のソースは、発電素子2Jに接続されている。第2バイアス電圧スイッチ素子818のドレインは、第2キャパシタ816に接続されている。第2バイアス電圧スイッチ素子818のゲートは、クロック信号θ2[CLK2]を受ける。
【0208】
<後段昇圧モジュール82>
後段昇圧モジュール82は、転送スイッチ素子821と、出力スイッチ素子822と、第3キャパシタ823と、第4キャパシタ826と、を有する。さらに、後段昇圧モジュール82は、第3基準電圧スイッチ素子824と、第3バイアス電圧スイッチ素子825と、第4基準電圧スイッチ素子827と、第4バイアス電圧スイッチ素子828と、を有する。前段昇圧モジュール81の入力スイッチ素子811及び出力スイッチ素子812がnチャネル型のMOSFETであるのに対して、後段昇圧モジュール82の転送スイッチ素子821及び出力スイッチ素子822は、pチャネル型のMOSFETである。
【0209】
第3キャパシタ823は、後段昇圧モジュール82の入力82aに生じた電圧Vbtに応じて充電される。後段昇圧モジュール82の入力82aと第3キャパシタ823との間には、スイッチ素子は設けられていない。従って、第3キャパシタ823は、スイッチ素子の制御に左右されることなく、後段昇圧モジュール82の入力82aに電圧Vbtが生じたことをきっかけとして充電される。
【0210】
第3キャパシタ823には、第3基準電圧スイッチ素子824及び第3バイアス電圧スイッチ素子825が接続されている。第3基準電圧スイッチ素子824及び第3バイアス電圧スイッチ素子825は、第3キャパシタ823に対して基準電圧VGND及び電圧Vtegのいずれか一方を選択的に提供する。第3基準電圧スイッチ素子824及び第3バイアス電圧スイッチ素子825の接続構成は、第1基準電圧スイッチ素子814及び第1バイアス電圧スイッチ素子815と同じであるから詳細な説明は省略する。
【0211】
転送スイッチ素子821は、反転クロック信号θ3に基づいて、第3キャパシタ823から第4キャパシタ826への電荷の転送を制御する。反転クロック信号θ3は、クロック信号θ1[CLK1]の反転信号である。転送スイッチ素子821のソースは、第3キャパシタ823に接続されている。転送スイッチ素子821のドレインは、第4キャパシタ826に接続されている。転送スイッチ素子821のゲートは、反転クロック信号θ3を受ける。
【0212】
第4キャパシタ826は、転送スイッチ素子821を介して、第3キャパシタ823が蓄積した電荷の転送を受ける。第3キャパシタ823が蓄積した電荷は、後段昇圧モジュール82の入力に生じた電圧Vbtと、第4バイアス電圧スイッチ素子828から与えられた電圧Vtegとに基づく。第4バイアス電圧スイッチ素子828から与えられた電圧Vtegに基づく電荷が加算されることにより、昇圧が生じる。
【0213】
第4キャパシタ826には、第4基準電圧スイッチ素子827及び第4バイアス電圧スイッチ素子828が接続されている。第4基準電圧スイッチ素子827及び第4バイアス電圧スイッチ素子828は、第4キャパシタ826に対して基準電圧VGND及び電圧Vtegのいずれか一方を選択的に提供する。第4基準電圧スイッチ素子827及び第4バイアス電圧スイッチ素子828の接続構成も、第1基準電圧スイッチ素子814及び第1バイアス電圧スイッチ素子815と同じであるから詳細な説明は省略する。
【0214】
出力スイッチ素子822は、反転クロック信号θ4に基づいて、第4キャパシタ826に蓄積された電荷に起因する電圧を後段昇圧モジュール82の出力82cへ発生させる。反転クロック信号θ4は、クロック信号θ2[CLK2]の反転信号である。出力スイッチ素子822のソースは、第4キャパシタ826に接続されている。出力スイッチ素子822のドレインは、後段昇圧モジュール82の出力82cに接続されている。出力スイッチ素子822のゲートは、反転クロック信号θ4を受ける。
【0215】
<変形例7のチャージポンプ回路48Jの動作>
次に、
図28及び
図29を参照しながら、変形例7のチャージポンプ回路48Jの動作について詳細に説明する。変形例7のチャージポンプ回路48Jの動作は、第1フェーズP1と、第2フェーズP2と、を含む。
【0216】
<第1フェーズP1>
図28(a)は、チャージポンプ回路48Jの動作における第1フェーズP1を示す。
図28(b)はクロック信号θ1[CLK1]を示す。
図28(c)はクロック信号θ2[CLK2]を示す。第1フェーズP1であるとき、前段昇圧モジュール81が含む各スイッチ素子の状態は、下記のとおりである。
入力スイッチ素子811:ON
出力スイッチ素子812:OFF
第1基準電圧スイッチ素子814:ON
第1バイアス電圧スイッチ素子815:OFF
第2基準電圧スイッチ素子817:OFF
第2バイアス電圧スイッチ素子818:ON
【0217】
前段昇圧モジュール81の第1キャパシタ813は、基準電圧源GNDから基準電圧VGNDを受けると共に前段昇圧モジュール81の入力から電圧Vbt(n)を受ける。つまり、第1フェーズP1であるとき、第1キャパシタ813は充電状態である。
【0218】
前段昇圧モジュール81の第2キャパシタ816は、第2バイアス電圧スイッチ素子818から電圧Vbt(n)を受けた状態で、蓄積した電荷に起因する電圧を前段昇圧モジュール81の出力81cに発生する。つまり、第1フェーズP1であるとき、第2キャパシタ816は放電状態である。
【0219】
さらに、第1フェーズP1であるとき、後段昇圧モジュール82が含む各スイッチ素子の状態は、下記のとおりである。
転送スイッチ素子821:OFF
出力スイッチ素子822:ON
第3基準電圧スイッチ素子824:ON
第3バイアス電圧スイッチ素子825:OFF
第4基準電圧スイッチ素子827:OFF
第4バイアス電圧スイッチ素子828:ON
【0220】
後段昇圧モジュール82の第3キャパシタ823は、後段昇圧モジュール82の入力及び基準電圧源GNDに接続されており、後段昇圧モジュール82の入力に生じた電圧Vbt(n)を受ける。つまり、第1フェーズP1であるとき、第3キャパシタ823は充電状態である。
【0221】
後段昇圧モジュール82の第4キャパシタ826は、第4バイアス電圧スイッチ素子828から電圧Vbt(n)を受けた状態で、蓄積した電荷に起因する電圧を後段昇圧モジュール82の出力に発生する。つまり、第1フェーズP1であるとき、第4キャパシタ826は放電状態である。例えば、第Nの後段昇圧モジュール82の出力に生じた電圧Vbt(n)は、二次電池3Jに与えられる。
【0222】
<第2フェーズP2>
図29(a)は、チャージポンプ回路48Jの動作における第2フェーズP2を示す。
図29(b)はクロック信号θ1[CLK1]を示す。
図29(c)はクロック信号θ2[CLK2]を示す。第2フェーズP2であるとき、前段昇圧モジュール81が含む各スイッチ素子の状態は、下記のとおりである。
入力スイッチ素子811:OFF
出力スイッチ素子812:ON
第1基準電圧スイッチ素子814:OFF
第1バイアス電圧スイッチ素子815:ON
第2基準電圧スイッチ素子817:ON
第2バイアス電圧スイッチ素子818:OFF
【0223】
前段昇圧モジュール81の第1キャパシタ813は、発電素子2Jから第2バイアス電圧スイッチ素子818を介して電圧Vbt(n)を受けた状態で、転送スイッチ素子821を介して蓄積した電荷を第2キャパシタ816に転送する。つまり、第2フェーズP2であるとき、第1キャパシタ813は、放電状態である。
【0224】
前段昇圧モジュール81の第2キャパシタ816は、第2基準電圧スイッチ素子817を介して基準電圧源GNDに接続されている。そして、第2キャパシタ816は、転送スイッチ素子821を介して第1キャパシタ813から電荷の転送を受ける。つまり、第2フェーズP2であるとき、第2キャパシタ816は充電状態である。
【0225】
さらに、第2フェーズP2であるとき、後段昇圧モジュール82が含む各スイッチ素子の状態は、下記のとおりである。
転送スイッチ素子821:ON
出力スイッチ素子822:OFF
第3基準電圧スイッチ素子824:OFF
第3バイアス電圧スイッチ素子825:ON
第4基準電圧スイッチ素子827:ON
第4バイアス電圧スイッチ素子828:OFF
【0226】
後段昇圧モジュール82の第3キャパシタ823は、発電素子2Jから第3バイアス電圧スイッチ素子825を介して電圧Vbt(n)を受けた状態で、転送スイッチ素子821を介して蓄積した電荷を第4キャパシタ826に転送する。つまり、第2フェーズであるとき、第3キャパシタ823は、放電状態である。
【0227】
後段昇圧モジュール82の第4キャパシタ826は、第4基準電圧スイッチ素子827を介して基準電圧源GNDに接続されている。そして、第4キャパシタ826は、転送スイッチ素子821を介して第3キャパシタ823から電荷の転送を受ける。つまり、第2フェーズP2であるとき、第4キャパシタ826は充電状態である。
【0228】
<作用効果>
チャージポンプ回路48Jは、発電素子2Jに接続された昇圧モジュールを含むn個の前段昇圧モジュール81と、二次電池3Jに接続された昇圧モジュールを含むN-n個の後段昇圧モジュール82と、を含む。前段昇圧モジュール81は、nチャネル型のMOSFETを含んで構成される。後段昇圧モジュール82は、pチャネル型のMOSFETを含んで構成される。この構成によると、昇圧の対象である入力電圧が相対的に高くなる後段において、pチャネル型のMOSFETを含んで構成された後段昇圧モジュール82によって昇圧が行われる。従って、pチャネル型のMOSFETを含んで構成された後段昇圧モジュール82によれば、相対的に入力電圧が高い場合であっても良好に昇圧を行うことができる。
【0229】
<変形例8>
図30に示す変形例8の電源装置1Jは、N個の昇圧モジュール91Mを含む。昇圧モジュール91Mを構成するスイッチ素子は、すべてnチャネル型のMOSFETである。一方、昇圧モジュール91Mは、ローカルブースト回路91Bを含む。ローカルブースト回路91Bは、入力スイッチ素子911(
図32参照)のゲートに対して、入力スイッチ素子911を確実にONにできる電圧Vgsを与える。
【0230】
入力スイッチ素子911をONとするためにゲートに与えるべき電圧Vgsは、入力スイッチ素子911のソースに与えられる電圧Vbt(n)の影響を受ける。昇圧モジュール91Mは、後段になるほど入力スイッチ素子911のソースが受ける電圧Vbt(n)が高くなる。これに対して、入力スイッチ素子911のゲートに与えられるゲート信号は、電圧Vgsである。入力スイッチ素子911をONとするゲート電圧は、ソースが受ける電圧Vbt(n)とゲート信号の電圧Vgsとの差分によって決まる。つまり、後段になるほどソースが受ける電圧Vbt(n)が高くなるから、ソースが受ける電圧Vbt(n)とゲート信号の電圧Vgsとの差分は小さくなる。その結果、電圧の差分が小さくなると、入力スイッチ素子911をONにできない場合が生じ得る。
【0231】
そこで、変形例8の電源装置1Jは、入力スイッチ素子911のゲートに与える電圧を高めるためのローカルブースト回路91Bを有する。ローカルブースト回路91Bによれば、昇圧モジュール91Mの段数によらず、入力スイッチ素子911のゲートに対して、差分が制御信号の振幅(Vbat)と同じである電圧Vbatであるゲート電圧を与えることができる。
【0232】
変形例8の昇圧モジュール91Mは、2個の昇圧部91M1、91M2を含む。それぞれの昇圧部91M1、91M2は、昇圧動作に用いるキャパシタ912を1個含む。つまり、昇圧動作に用いるキャパシタ912を基準とする「段数」で定義すると、昇圧部91M1、91M2はそれぞれ1段の構成であり、2個の昇圧部91M1、91M2を含む昇圧モジュール91Mは2段の構成である。
【0233】
昇圧モジュール91Mは、
図31(a)、
図31(b)、
図31(c)、
図31(d)に示す4個の制御信号φ1、φ2、φ3、φ4に従って動作する。さらに詳細には、前段の昇圧部91M1は、制御信号φ1、φ2、φ3に従って動作する。後段の昇圧部91M2は、制御信号φ1、φ2、φ4に従って動作する。
【0234】
図32は、変形例8の昇圧モジュール91Mの回路構成の例示である。後段の昇圧部92M2の回路構成は、前段の昇圧部91M1の回路構成と同じである。従って、前段の昇圧部92M1の回路を説明し、後段の昇圧部92M2の回路の説明は省略する。
【0235】
昇圧部92M1は、昇圧回路91Sと、ローカルブースト回路91Bと、を有する。昇圧回路91Sは、入力スイッチ素子911と、キャパシタ912と、基準電圧スイッチ素子913と、バイアス電圧スイッチ素子914と、を有する。これらの接続構成は、変形例6の昇圧モジュール61と同じであるから、詳細な説明は省略する。
【0236】
ローカルブースト回路91Bは、第1ブーストスイッチ素子915と、第2ブーストスイッチ素子916と、第1ブーストキャパシタ917と、第2ブーストキャパシタ918と、を有する。
【0237】
第1ブーストスイッチ素子915は、第1ブーストキャパシタ917へ電圧Vbt(n)を与える状態と、第1ブーストキャパシタ917へ電圧Vbt(n)を与えない状態と、を切り替える。第1ブーストスイッチ素子915のソースは、昇圧部91M1の入力に接続されている。第1ブーストスイッチ素子915のドレインは、第1ブーストキャパシタ917に接続されている。なお、第1ブーストキャパシタ917は、制御信号φ1を受ける。第1ブーストスイッチ素子915のゲートは、第2ブーストキャパシタ918に接続されている。つまり、第1ブーストスイッチ素子915は、第2ブーストキャパシタ918に蓄積された電荷に起因する電圧を受けて駆動する。
【0238】
第2ブーストスイッチ素子916は、第2ブーストキャパシタ918へ電圧Vbt(n)を与える状態と、第2ブーストキャパシタ918へ電圧Vbt(n)を与えない状態と、を切り替える。第2ブーストスイッチ素子916のソースは、昇圧部91M1の入力に接続されている。第2ブーストスイッチ素子916のドレインは、第2ブーストキャパシタ918に接続されている。なお、第2ブーストキャパシタ918は、制御信号φ3を受ける。第2ブーストスイッチ素子916のゲートは、第1ブーストキャパシタ917に接続されている。つまり、第2ブーストスイッチ素子916は、第1ブーストキャパシタ917に蓄積された電荷に起因する電圧を受けて駆動する。
【0239】
いま、昇圧部91M1の入力に電圧Vbt(n)が生じたと仮定する。そうすると、ローカルブースト回路91Bのノード91nにも電圧Vbt(n)が生じる。そして、第2ブーストスイッチ素子916のドレインと第2ブーストキャパシタ918との間のノード91mには、昇圧部91M1が受けた電圧Vbt(n)と、制御信号φ3に起因する電圧Vbatとが足し合わされた合計電圧Vgsが生じる。この合計電圧Vgsが、入力スイッチ素子911のゲートに与えられる。入力スイッチ素子911のソースには電圧Vbt(n)が与えられており、入力スイッチ素子911のゲートには合計電圧Vgsが与えられているから、入力スイッチ素子911をONとするゲート電圧は、式(1)により示される。
Vgs=(Vbt(n)+Vbat)-Vbt(n)=Vbat…(1)
【0240】
つまり、入力スイッチ素子911をONとする動作に寄与する電圧は、二次電池3Kの出力電圧Vbatである。ローカルブースト回路91Bは、電圧Vbatに対して入力スイッチ素子911のソースに与えられる電圧Vbt(n)を加算した合計電圧Vgsを入力スイッチ素子911に与える。その結果、入力スイッチ素子911のソースに与えられる電圧Vbt(n)が高まったとしても、入力スイッチ素子911をONとする動作に寄与する電圧として、常に電圧Vbatを確保することができる。
【0241】
<作用効果>
チャージポンプ回路48Kは、制御信号φ1、φ2、φ3、φ4に従う動作によって、発電素子2Kが発生した電力を二次電池3Kを充電するための電力に変換する昇圧回路91Sと、昇圧回路91Sが受けた入力電圧Vbt(n)と制御信号φ1、φ2、φ3、φ4の振幅とに基づくブーストクロック信号を生成し、ブーストクロック信号を昇圧回路91Sに与えるローカルブースト回路91Bと、を含むこの構成によれば、昇圧回路91Sが受けた入力電圧Vbt(n)と制御信号φ1、φ2、φ3、φ4の振幅とに基づくブーストクロック信号が昇圧回路91Sに与えられるので、昇圧回路91Sを確実に動作させることができる。
【0242】
昇圧回路91Sは、nチャネル型のMOSFETを含んで構成される。この構成によれば、昇圧回路91Sが1種類のMOSFETによって形成されるので、昇圧回路91Sの構成を簡易にすることができる。
【0243】
<実施例1、比較例1>
実施例1では、
図24に例示する回路構成を採用したチャージポンプ回路48Hの効果を確認した。具体的には、チャージポンプ回路48Hの昇圧動作に要する最低入力電圧を、回路シミューレータを用いた計算により確認した。また、比較例1として、
図34に例示するラッチ型の回路構成を採用したチャージポンプ回路48Pの動作に要する最低入力電圧を確認した。実施例1及び比較例1では、キャパシタ等の回路要素に対して以下の数値を設定した。
段数(N):1
周波数(f):10MHz
キャパシタの容量(C’):10pF…比較例2のみ
キャパシタの容量(C):20pF
スイッチ素子の閾値電圧(V
TH):0.26V
【0244】
図33(a)は、実施例1及び比較例1のシミュレーション結果を示す。
図33(a)の横軸はチャージポンプ回路48H、48Pへの入力電圧(Vteg)を示す。
図33(a)の縦軸はチャージポンプ回路48H、48Pの出力電流(I
O)を示す。グラフG33aは、実施例1の結果である。グラフG33aに示されるように、実施例1のチャージポンプ回路48Hの動作に要する最低入力電圧は、およそ0.01Vであることがわかった。つまり、
図24に示す回路構成を採用することにより、入力電圧が0.01Vである状態から昇圧動作を行うことができることが確認できた。一方、グラフG33bは、比較例1の結果である。グラフG33bに示されるように、比較例1のチャージポンプ回路48Pの動作に要する最低入力電圧は、およそ0.13Vであることがわかった。
【0245】
<実施例2、比較例2、3>
実施例2では、
図24に例示する回路構成において、二次電池3Hへの充電とチャージポンプ回路48Hの昇圧とが両立可能な最低入力電圧を回路シミューレータを用いた計算により確認した。また、比較例2として比較例1と同様にラッチ型の回路構成を採用したチャージポンプ回路48Pにおいて、二次電池3Hへの充電とチャージポンプ回路48Pの昇圧とが両立可能な最低入力電圧を確認した。さらに、比較例3として、
図24に例示する回路構成における最低入力電圧の理論値を確認した。
【0246】
二次電池3Hへの充電は、チャージポンプ回路48H、48Pの出力電流IOの一部を二次電池3Hに与えることにより達成される。そこで、二次電池3Hへの充電に際して要求される電流を定義(グラフG33f、G33g)し、当該電流を出力可能な入力電圧Vtegを確認した。
【0247】
実施例2及び比較例2、3では、キャパシタ等の回路要素に対して以下の数値を設定した。
段数(N):90
周波数(f):10MHz
キャパシタの容量(C’):40pF…比較例2のみ
キャパシタの容量(C):40pF
スイッチ素子の閾値電圧(VTH):0.26V
【0248】
図33(b)は、実施例2及び比較例2、3のシミュレーション結果を示す。
図33(b)の横軸はチャージポンプ回路48H、48Pの入力電圧(Vteg)を示す。
図33(b)の縦軸はチャージポンプ回路48H、48Pの出力電流(I
O)を示す。グラフG33cは、実施例2の結果である。グラフG33dは、比較例2の結果である。グラフG33eは、比較例3の結果である。グラフG33f、G33gは、二次電池3Hへの充電に際して要求される電流を示す。
【0249】
グラフG33cに示されるように、実施例2によれば二次電池3Hへの充電とチャージポンプ回路48Hの昇圧とが両立可能な最低入力電圧は、グラフG33cとグラフG33gの交点によって示される0.06Vであることがわかった。グラフG33dに示される比較例2によれば、最低入力電圧はグラフG33dとグラフG33fの交点によって示される0.13Vであることがわかった。実施例2と比較例2とを比べると、実施例2はおよそ42%程度の改善が確認できた。なお、グラフG33eに示される比較例3の結果によると、最低入力電圧の理論値は、0.048Vであることもわかった。
【0250】
〔付記〕
本開示は、以下の構成を含む。
【0251】
本開示は、[1]「負荷装置に電力を与える電源装置であって、
前記負荷装置を含む閉回路に配置され、前記負荷装置の求めに応じて前記負荷装置に電力を与える二次電池と、
外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子と、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与えるコンバータと、を備える、電源装置。」である。
【0252】
本開示は、[2]「前記発電素子を含む閉回路であって、前記二次電池が前記発電素子に対して直列に接続された蓄積回路を構成し、前記発電素子から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力を前記コンバータに与えるキャパシタをさらに備える、上記[1]に記載の電源装置。」である。
【0253】
本開示は、[3]「前記コンバータは、前記二次電池、前記キャパシタ及び前記コンバータを含む閉回路である第1充電回路と、前記キャパシタを含まず、前記二次電池及び前記コンバータを含む第2充電回路と、を相互に切り替える、上記[2]に記載の電源装置。」である。
【0254】
本開示は、[4]「前記第1充電回路とする第1制御指令及び前記第2充電回路とする第2制御指令を選択的に前記コンバータに与えるコントローラをさらに備える、上記[3]に記載の電源装置。」である。
【0255】
本開示は、[5]「前記コンバータは、前記キャパシタから与えられた電力を蓄積するエネルギ蓄積素子を有し、
前記コントローラは、前記エネルギ蓄積素子の入力に発生する電圧を用いて、前記第1制御指令を出力するタイミングを制御する、上記[4]に記載の電源装置。」である。
【0256】
本開示は、[6]「前記コンバータである第1コンバータと、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与える第2コンバータと、をさらに備え、
前記コントローラは、第1の期間であるときに前記第1コンバータに前記第1制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第2制御指令を出力する動作と、前記第1の期間とは別の第2の期間であるときに、前記第1コンバータに前記第2制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第1制御指令を出力する動作と、を交互に実行する、上記[4]又は[5]に記載の電源装置。」である。
【0257】
本開示は、[7]「前記発電素子を含む閉回路である蓄積回路を構成し、前記発電素子から受けた電力を蓄えると共に、蓄えた電力を前記コンバータに与えるキャパシタをさらに備え、
前記コンバータは、前記二次電池を含まず、前記キャパシタ及び前記コンバータを含む閉回路である第1充電回路と、前記二次電池、前記キャパシタ及び前記コンバータを含む第2充電回路と、を相互に切り替える、上記[1]に記載の電源装置。」である。
【0258】
本開示は、[8]「前記コンバータである第1コンバータと、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与える第2コンバータと、
前記第1充電回路とする第1制御指令及び前記第2充電回路とする第2制御指令を選択的に前記コンバータに与えるコントローラをさらに備え、
前記コントローラは、第1の期間であるときに前記第1コンバータに前記第1制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第2制御指令を出力する動作と、前記第1の期間とは別の第2の期間であるときに、前記第1コンバータに前記第2制御指令を出力すると共に前記第2コンバータに前記第1制御指令を出力する動作と、を交互に実行する、上記[7]に記載の電源装置。」である。
【0259】
本開示は、[9]「前記第1充電回路とする第1制御指令及び前記第2充電回路とする第2制御指令を選択的に前記コンバータに与えるコントローラをさらに備え、
前記コンバータは、前記第1制御指令を受けて前記第1充電回路を構成すると共に、前記第2制御指令を受けて前記第2充電回路を構成するスイッチ素子をさらに有し、
前記コンバータが出力する電力が前記二次電池が前記コントローラに与える電力より大きいとき、前記二次電池は充電される、上記[7]又は[8]に記載の電源装置。」である。
【0260】
別の開示は、[10]「上記[1]~[9]の何れか一項に記載の電源装置と、
前記電源装置が出力する電圧を昇圧する昇圧装置と、を備える、電源システム。」である。
【0261】
本開示は、[11]「前記コンバータは、
前記二次電池から受けた電力を利用して、前記二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号を発生する発振回路と、
前記クロック信号に従う動作によって、前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換するチャージポンプ回路と、を有する請求項1に記載の電源装置。」である。
【0262】
さらに別の開示は、[12]「負s荷装置に電力を与える電源装置であって、
前記負荷装置を含む閉回路に配置され、前記負荷装置の求めに応じて前記負荷装置に電力を与える二次電池と、
外部エネルギを受けて電力を発生する発電素子と、
前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換すると共に、前記二次電池を充電するための電力を前記二次電池に与えるコンバータと、を備え、
前記コンバータは、
前記二次電池から受けた電力を利用して、前記二次電池の出力電圧に対応する振幅を有するクロック信号を発生する発振回路と、
前記クロック信号に従う動作によって、前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換するチャージポンプ回路と、を有する電源装置。」である。
【0263】
さらに別の開示は、[13]「前記チャージポンプ回路は、
受け入れた電圧に対応する電荷を蓄積するキャパシタと、
前記キャパシタに接続されて、前記キャパシタの充電動作の開始と前記キャパシタの充電動作の停止とを前記クロック信号に従って切り替える入力スイッチ素子と、
前記キャパシタに接続されて、前記キャパシタの放電動作の開始と前記キャパシタの放電動作の停止とを前記クロック信号に従って切り替える出力スイッチ素子と、を含む、上記[12]に記載の電源装置。」である。
【0264】
さらに別の開示は、[14]「前記チャージポンプ回路は、
前記発電素子に接続された第1の昇圧モジュールを含むn個の前段昇圧モジュールと、
前記二次電池に接続された第Nの昇圧モジュールを含むN-n個の後段昇圧モジュールと、を含み、
前記前段昇圧モジュールは、nチャネル型のMOSFETを含んで構成され、
前記後段昇圧モジュールは、pチャネル型のMOSFETを含んで構成される、上記[13]に記載の電源装置。」である。
【0265】
さらに別の開示は、[15]「前記チャージポンプ回路は、
前記クロック信号に従う動作によって、前記発電素子が発生した電力を前記二次電池を充電するための電力に変換する昇圧回路部と、
前記昇圧回路部が受けた入力電圧と前記クロック信号の振幅とに基づくブーストクロック信号を生成し、前記ブーストクロック信号を前記昇圧回路部に与えるブースト回路部と、を含む、上記[12]~[14]の何れか一項に記載の電源装置。」である。
【0266】
さらに別の開示は、[16]「前記昇圧回路部は、nチャネル型のMOSFETを含んで構成される、上記[15]に記載の電源装置。」である。
【符号の説明】
【0267】
1,1B,1C,1D,1E,1F,1G…電源装置、2,2B…発電素子、3,3B,3C…二次電池、4,4B,4C…コンバータ、4E,4F,4G…コンバータモジュール、7,7B,7D,7E…コントローラ、9…負荷装置、46…インダクタ(エネルギ蓄積素子)、51,51B,51C…キャパシタ、C21,C21B…蓄積回路、C22,C22B…第1充電回路、C23,C23B…第2充電回路、D22…第1充電指令(第1制御指令)、D23…第2充電指令(第2制御指令)。