(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024091633
(43)【公開日】2024-07-05
(54)【発明の名称】被試験デバイス試験方法及び試験測定システム
(51)【国際特許分類】
G01R 31/28 20060101AFI20240628BHJP
G01R 31/319 20060101ALI20240628BHJP
G01R 13/00 20060101ALI20240628BHJP
G01R 13/20 20060101ALI20240628BHJP
G06F 11/22 20060101ALI20240628BHJP
【FI】
G01R31/28 H
G01R31/319
G01R13/00 Z
G01R13/20 R
G06F11/22 607Z
G06F11/22 673F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208588
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】202221072283
(32)【優先日】2022-12-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】18/534,495
(32)【優先日】2023-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】スワプニル・ジャワール
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラ・セカール・カッパガントゥ
(72)【発明者】
【氏名】マヘシャ・グッタハリ・ラクシュミパシー
(72)【発明者】
【氏名】スリラム・マンディヤム・クリシュナクマール
(57)【要約】
【課題】メモリ・デバイスの検証試験を改善する。
【解決手段】試験測定システム100は、複数の試験測定装置104A~Dを含むマルチ・スタック試験サブシステム102を有し、各試験測定装置は、被試験デバイス(DUT)106に結合され、試験モードで動作中にDUT106から複数の試験信号を受信する。試験測定装置104A~Dの中の1つをマスターとし、残りを拡張試験測定装置とする。マスターは、拡張試験測定装置の夫々と制御信号を通信して、試験測定装置104A~Dを同期させて、DUT106が供給する複数の試験信号を同時に取得する。自動化エンジン108は、マルチ・スタック試験サブシステム102に結合されて、取得した複数の試験信号をマスターから受信し、取得した試験信号を分析して、複数の試験信号の夫々について検証試験を行い、複数の試験信号に関する検証試験の結果を同時に表示する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験測定システムにおいて被試験デバイス(DUT)を試験する方法であって、
試験モードで動作中に複数の試験信号を供給する上記DUTを上記試験モードの動作に設定する処理と、
上記複数の試験信号の中の選択された試験信号を受けるように上記DUTに夫々結合される複数の試験測定装置を同期させる処理と、
同期された上記複数の試験測定装置によって上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得する処理と、
上記複数の試験信号の夫々について検証試験を行うために取得した上記複数の試験信号を分析する処理と、
上記複数の試験信号の夫々についての上記検証試験の結果を同時に表示する処理と
を具えるDUT試験方法。
【請求項2】
上記試験信号が、複数のデータ信号とデータ・ストローブ信号とを含む請求項1のDUT試験方法。
【請求項3】
上記試験信号が、複数のコマンド・アドレス信号と、チップ・セレクト信号とを含む請求項1のDUT試験方法。
【請求項4】
上記DUTがダブル・データ・レート(DDR)メモリである請求項1のDUT試験方法。
【請求項5】
上記複数の試験測定装置によって上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得する処理が、上記複数の試験信号の夫々についてアイ・ダイアグラムを生成する処理を更に有し、
取得した上記複数の試験信号を分析する処理が、上記複数の試験信号の夫々について、生成された上記アイ・ダイアグラムのアイ高さ、アイ幅及びマスクを決定する処理を更に有する
請求項1のDUT試験方法。
【請求項6】
上記複数の試験測定装置を同期させる処理が、
上記複数の試験測定装置の中の1つをマスター試験測定装置として指定し、上記複数の試験測定装置の残りの部分を拡張試験測定装置として指定する処理と、
上記マスター試験測定装置からの制御信号を上記複数の拡張試験測定装置の夫々に通信して、上記DUTが供給する上記複数の試験信号の同時取得を制御する処理とを有し、
上記マスター試験測定装置から上記複数の拡張試験測定装置の夫々に制御信号を通信する処理が、
上記DUTが供給する上記複数の試験信号を上記複数の試験測定装置が同期した状態で同時に取得するために用いるサンプリング・クロック信号を上記マスター試験測定装置が供給する処理と、
上記複数の試験測定装置による上記複数の試験信号の取得の開始及び停止を制御するトリガ信号を供給する処理と、
上記複数の拡張試験測定装置の夫々から上記マスター試験測定装置へのデータの転送を制御する処理とを有し、上記複数の拡張試験測定装置の夫々に関する転送される上記データが、上記拡張試験測定装置が取得した上記複数の試験信号に関するデータに対応する
請求項1のDUT試験方法。
【請求項7】
試験測定システムであって、
被試験デバイス(DUT)に夫々結合され、試験モードで動作中に上記DUTから複数の試験信号を受信するように夫々構成される複数の試験測定装置であって、上記複数の試験測定装置の中の1つがマスター試験測定装置として指定され、上記複数の上記試験測定装置の残りのものが拡張試験測定装置として指定され、上記マスター試験測定装置は、上記複数の拡張試験測定装置の夫々と制御信号を通信して上記複数の試験測定装置を同期させて上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得するようにする上記複数の試験測定装置を有するマルチ・スタック試験サブシステムと、
該マルチ・スタック試験サブシステムに結合され、上記複数の試験測定装置の中の上記マスター試験測定装置から取得された上記複数の試験信号を受信するように構成された自動化エンジンであって、取得された上記複数の試験信号を分析して、上記複数の試験信号の夫々について検証試験を行い、上記複数の試験信号についての上記検証試験の結果を同時に表示するように構成される上記自動化エンジンと
を具える試験測定システム。
【請求項8】
上記自動化エンジンは、取得された上記複数の試験信号の夫々についてアイ・ダイアグラムを生成し、上記複数の試験信号について、生成された上記アイ・ダイアグラムのアイ高さ、アイ幅及びマスクを決定するように構成される請求項7の試験測定システム。
【請求項9】
試験測定システムであって、
被試験デバイス(DUT)に夫々結合され、検証試験モードで動作中に上記DUTから複数の試験信号を受信するように夫々構成される複数の拡張試験測定装置と、
上記複数の拡張試験測定装置に結合されるとともに、上記DUTに結合されて上記検証試験モードで動作中に上記DUTから複数の試験信号を受信するように構成されるマスター試験測定装置であって、上記複数の拡張試験測定装置の夫々と制御信号を通信して、上記複数の試験測定装置を同期させて上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得するように更に構成される上記マスター試験測定装置と
を有するマルチ・スタック試験サブシステムと、
該マルチ・スタック試験サブシステムに結合され、上記複数の試験測定装置の中の上記マスター試験測定装置から取得された上記複数の試験信号を受信するように構成された自動化エンジンであって、取得された上記複数の試験信号を分析して、上記複数の試験信号の夫々について検証試験を行い、上記複数の試験信号についての上記検証試験の結果を同時に表示するように構成される上記自動化エンジンと
を具える試験測定システム。
【請求項10】
上記マスター試験測定装置は、
上記DUTが供給する上記複数の試験信号を上記複数の試験測定装置が同期状態で同時に取得するために用いるためのサンプリング・クロック信号と、
上記複数の試験測定装置による上記複数の試験信号の取得の開始及び停止を制御するトリガ信号と、
上記複数の拡張試験測定装置の夫々から上記マスター試験測定装置へのデータの転送を制御する信号と、
を含む制御信号を通信するように構成され、
上記複数の拡張試験測定装置の夫々に関して転送される上記データは、上記拡張試験測定装置によって取得された上記複数の試験信号のデータに対応する
請求項9の試験測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、集積回路又は半導体チップの検証試験に関し、より詳細には、検証試験中に被試験デバイス(DUT)からの信号の並行な捕捉を同期させるための方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、自動車、産業オートメーション、電気通信、コンピュータ・システムなどの産業において、様々な用途で利用されている。これらの電子デバイスの多くは、システム動作のためのファームウェアとソフトウェアを保存するために加えて、及びデータ取得、データ・ロギング及びその他の無数のアプリケーションなどのデータの保存のために、何らかのタイプのメモリ・システムを有している。これらのメモリ・システムとしては、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)、スタティック・ランダム・アクセス・メモリ(SRAM)と、これら2つの中心となる形式のメモリ・デバイスの多数のバリエーションである、シンクロナスDRAM(SDRAM)、ダブル・データ・レート(DDR)SDRAM、クワッド・データ・レート(QDR)SRAMなどに加えて、特定のアプリケーションに適した他のタイプのメモリを含む多種多様な形式のメモリ・デバイスの中の1つ以上が含まれることがある。
【0003】
DDR SDRAMなど、これらのメモリ・デバイスの多くは、デバイスの動作中にデータ信号DQとともに通信されるデータ・ストローブ信号(DQS)信号を利用する。データ・ストローブ信号DQSは、データ信号DQの遷移と適切に位置合わせされ、DQ信号を受信するデバイスが、リード(読み出し)及びライト(書き込み)動作中に、DQ信号を適切に捕捉(キャプチャ)できるようにする。リード動作中、DDR SDRAMは、DDR SDRAMのデータ・バスにDQS信号とDQ信号を供給し、データ・バスに結合されたプロセッサなどの別の電子デバイスは、DQS信号を利用してDQ信号を捕捉する。ライト動作中、DDR SDRAMは、DQS信号と、プロセッサから書き込まれるDQ信号とを受信し、DQS信号を使用して受信したDQ信号を捕捉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「テクトロニクス社製オシロスコープ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2023年12月9日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/products/oscilloscopes>
【非特許文献2】「スケーラブル・パフォーマンス・オシロスコープ」の紹介サイト、「UltraSync」に言及、テクトロニクス、[online]、[2023年12月10日検索]、インターネット<https://www.tek.com/ja/datasheet/scalable-performance-oscilloscopes>
【非特許文献3】トランジスタ技術SPECIAL編集部編、「ディジタル・オシロスコープ活用ノート」、「5-2 トリガ回路のしくみ」、第85~87頁、
図2(回路ブロック図)、トランジスタ技術SPECIAL for フレッシャーズ No.99、CQ出版株式会社、2007年7月1日発行
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
データ・ストローブ信号DQSやデータ信号を含むデータ・バスを利用する、DDR SDRAMやその他のタイプのメモリ・デバイス、その他のタイプの集積回路の試験は、複数のデータ信号DQをデータ・ストローブ信号DQSとともに取得する必要があるために複雑になる。被試験デバイスは、メモリ・デバイスでも、他のタイプの集積回路でも、本説明ではDUTと呼ぶことがある。既存の試験手順では、通常、複数のDQ信号の中の1つのDQ信号と共にDQS信号を同時に捕捉又はアクイジション(波形データ取得)する。
【0007】
このため、一度にアクイジションされるのは、2つ信号から成る1ペアのみ、つまり、1つのDQS信号と1つのDQ信号の1ペアのみで、1つのDQS信号と、複数のDQ信号の全ての適切な動作を試験及び検証するのに必要な時間が長くなる。例えば、現在のDDR SDRAMには、32個のDQ信号がある。この試験プロセスでは、選択したDQ信号をオシロスコープなどの試験測定装置の試験ポートに手動で接続することがあり、必要な試験時間が更に長くなり、各データ信号DQを新たに接続するときに、エラーが発生しやすくなる。
【0008】
DQS信号は、この信号の生成が異なるときに行われると、変動することがあるため、現在生成されているDQS信号と複数のDQ信号の中の1つとをシーケンシャルにアクイジションするアプローチでは、シーケンシャルに生成されたDQS信号の変動によるエラーが発生する可能性がある。例えば、温度、電源電圧及びその他の動作パラメータの変動により、試験中に連続して(シーケンシャルに)生成されるDQS信号に変動が生じる可能性がある。更に、現在の技術の中には、DQS信号とともに、2つ以上のデータ信号DQを同時にアクイジションするものもあるが、これらの技術には限界があり、これらのメモリ・デバイスや他の集積回路のユーザが望む包括的な検証試験ができない。
【0009】
従来の検証試験技術で経験される上記の欠点の少なくとも一部を克服する、メモリ・デバイス及びその他の集積回路の検証試験の改良された技術が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示技術の実施形態は、同期された複数の試験測定装置を利用して、DUTからの複数の試験信号を並行して捕捉又はアクイジション(波形データ取得)し、これらの取得された試験信号を分析してDUTについて検証試験を実行し、この分析の結果をユーザに表示する。これらの試験信号は、例えば、DDR SDRAMのようなメモリ・デバイスのデータ信号DQ及びデータ・ストローブ信号DQSであっても良い。
【0011】
このようにして、本開示技術の実施形態による方法及びシステムは、ユーザが、DUT内の関心のある各データ信号について、データ信号が、対応する検証試験に合格したか不合格かを示すステータスを見ることを可能にする。これにより、ユーザの試験プロセスが簡素化され、対象となるデータ信号のシーケンシャルなアクイジションや、そのようなシーケンシャルなアクイジションによって生じる可能性のあるエラーが排除されるだけでなく、試験システムの手動再設定やそれに伴うエラーも排除される。
【0012】
ユーザは、1回の試験サイクルで、特定のDUTが検証試験に合格するかどうかを確認でき、このとき、1回の試験サイクルとは、この期間中にシステムがDUTから試験信号をアクイジション(波形データを取得)し、これらの取得した信号を分析し、この分析結果をユーザに表示する時間である。これにより、DUTの試験に必要な時間が短縮される。しかし、ユーザは、特定のDUTについて、複数の試験サイクルを実行し、検証試験に不合格となった各試験信号の特性を補正又は調整するためのアクションを実行しても良い。適切な修正アクションを実行した後、ユーザは、DUTについて検証試験を再度実行して、これらのアクションによって試験信号又は最初に検証試験に不合格となった信号が修正されているかどうかを確認できる。
【0013】
本開示技術の実施例の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照して実施例の以下の説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による被試験デバイス(DUT)の検証試験中に、DUTから並行して複数の信号を捕捉するために同期される複数の試験測定装置を含むマルチ・スタック試験サブシステムを含む試験測定システムの簡略化された機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による
図1の試験測定システムの構成要素の動作プロセスを示すシーケンス図である。
【
図3】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による
図1の試験測定システムのマルチ・スタック試験サブシステムによって取得され、自動化エンジンによって表示されたデータ信号及びデータ・ストローブ信号の例を示す。
【
図4A】
図4Aは、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のDUTから取り込まれたデータ信号の夫々について計算されるアイ・ダイアグラムのパラメータをより明確に示すために、
図3のアイ・ダイアグラムの中から選択されたもののアイ・ダイアグラムを示す。
【
図4B】
図4Bは、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のDUTから取り込まれたデータ信号の夫々について計算されるアイ・ダイアグラムのパラメータをより明確に示すために、
図3のアイ・ダイアグラムの中から選択されたもののアイ・ダイアグラムを示す。
【
図4C】
図4Cは、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のDUTから取り込まれたデータ信号の夫々について計算されるアイ・ダイアグラムのパラメータをより明確に示すために、
図3のアイ・ダイアグラムの中から選択されたもののアイ・ダイアグラムを示す。
【
図5】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1のDUTから取り込まれた、複数のデータ信号とデータ・ストローブ信号との間のスキューを示すアイ・ダイアグラムを示す。
【
図6】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、
図1の試験測定システムの自動化エンジンによって生成された例示的なグラフィカル表示を示しており、これは、DUTから捕捉されたデータ信号について計算されたパラメータが関連する試験基準に合格であるか又は不合格であるかに関する情報をユーザに同時に提供する。
【
図7】
図7は、
図1の試験測定システムの自動化エンジンによって生成された別の例示的なグラフィカル表示を示しており、これは、本開示のいくつかの実施形態によるDUTから捕捉されたデータ信号について計算されたパラメータが関連する試験基準に合格であるか又は不合格であるかに関する情報をユーザに同時に提供する。
【
図8】
図8は、
図1の試験測定システムの自動化エンジンによって生成された更に別の例示的なグラフィカル表示を示しており、これは、本開示のいくつかの実施形態によるDUTから捕捉されたデータ信号について計算されたパラメータが関連する試験基準に合格であるか又は不合格であるかに関する情報をユーザに同時に提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
当業者であれば、本願の任意のブロック図が、本開示の原理を具体化する例示的方法の概念図を表すことを理解できよう。同様に、任意のフローチャート、フロー図などは、コンピュータ可読媒体の形で実質的に表現され、コンピュータ又はプロセッサ(こうしたコンピュータ又はプロセッサが明示的に示されているかどうかにかかわらず)によって実行されても良い様々なプロセスを表すことが理解できよう。
【0016】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による検証試験中に被試験デバイス(DUT)106からの並行する試験信号を捕捉するために同期される複数の試験測定装置104A~104Dを含むマルチ・スタック試験サブシステム102を含む試験測定システム100の簡略化された機能ブロック図である。このマルチ・スタック試験サブシステムは、個数N個の試験測定装置104A~Dを含み、
図1の例の実施形態では、N=4である。システム100の別の実施形態では、もっと多数又はもっと少数の試験測定装置104A~N(即ち、N<4又はN>4)を有していても良い。試験測定装置104の夫々は、例えば、オシロスコープ(スコープ)であってもよく、試験モードで動作中にDUTから複数の試験信号を受信するために、DUT106に結合されるように構成されている。
【0017】
図1の実施形態の例では、DUT106は、1つ以上のDDR SDRAMを含む試験ボードであり、試験測定装置104A~Dによって受信される試験信号は、データ信号DQ0~DQ14及びデータ・ストローブ信号DQSを含む。DUT106は、いくつかの実施形態において、様々なタイプのメモリ・デバイスを含んでもよく、試験測定装置104A~Dに供給される試験信号は、DUTの1つ以上のDDR SDRAMからの様々な信号を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態では、DUT106のDDR SDRAMからの試験信号は、コマンド・アドレス信号CA及びチップ・セレクト信号CSを含む。
【0018】
試験測定装置104A~Dの中の1つは、マスター試験測定装置に指定され、残りの試験測定装置は、拡張試験測定装置に指定される。試験測定装置104Aは、マスターであり、試験測定装置104B~Dは試験測定システム100における拡張である。マスター又は拡張としての指定により、試験測定装置104A~Dの夫々が、それに応じてマスター又は拡張の試験測定装置のいずれかとして機能するように設定される。試験測定装置104A~Dは、マスター(これは、
図1では、試験測定装置104Aである)として指定されると、拡張試験測定装置104B~Dの夫々と制御信号を通信して、全ての試験測定装置を同期させることで、DUT106が供給するDQS信号とDQ0~DQ14信号を同時にアクイジション(波形データ取得)するように構成されている。
【0019】
マスター試験測定装置104Aと拡張試験測定装置104B~Dの夫々との間の通信は、試験測定システム100内の通信リンク107を介して行われる。いくつかの実施形態では、通信リンク107は、テクトロニクス社によるUltraSyncマルチ・ユニット・タイミング同期バスである。マスター試験測定装置104Aは、マスターから拡張試験測定装置104B~Dの夫々に通信リンク107を介して制御信号を通信し、全ての装置を同期させる。試験測定システム100のいくつかの実施形態では、DUT106によって供給されるDQS及びDQ信号を、試験測定装置104A~Dの夫々が同期状態で同時に取得するために使用するサンプリング・クロック信号を、マスター試験測定装置104Aが通信リンク107を介して供給する。また、マスター試験測定装置107は、トリガ信号を供給して、試験サイクルの開始及び停止、即ち、試験測定装置104A~DによるDQS及びDQ信号の取得の開始及び停止を制御する。また、マスター試験測定装置は、拡張試験測定装置104B~Dの夫々からマスター試験測定装置への通信リンク107を介したデータの転送を制御する。拡張試験測定装置の夫々に関して、通信リンク107を介して転送されるデータは、拡張試験測定装置104B~Dによって取得されたDQ0~DQ14信号のデータに対応する。
【0020】
一旦、試験測定装置104A~Dが、試験測定システム100の現在の試験サイクルにおいて、DUT106からDQS及びDQ0~DQ14信号を取得すると、拡張試験測定装置104B~Dの夫々は、DQS及びDQ0~DQ14信号の対応するサブセットをマスター試験測定装置104Aに供給する。マスター試験測定装置104Aは、拡張試験測定装置104B~Dから受信したDQ3~14信号と、マスター試験測定装置で取得したDQS信号及びDQ0~2信号とを集約し、これらの集約された取得信号を、マルチ・スタック試験サブシステム102に結合された自動化エンジン108に供給する。自動化エンジン108は、試験測定装置104Aから取得したDQS信号及びDQ0~DQ14信号を受信すると、取得したDQS及びDQ0~DQ14信号を解析して、これらの信号の夫々について検証試験を行い、その後、これらの信号について検証試験の結果を同時に表示するように構成される。ユーザは、自動化エンジン108によって供給されるこれらの表示された結果を見て、DUT106が検証試験に合格したか不合格であったかを即座に判断し、もしある場合には、DQS及びDQ0~DQ14信号のどれが試験に不合格となったかを特定しても良い。
【0021】
自動化エンジン108は、分析アルゴリズム110を実行して、取得されたDQS及びDQ0~DQ14信号を分析する。取得されたDQS及びDQ0~DQ14信号を分析するために自動化エンジン108によって実行される特定の分析アルゴリズム110は、試験測定システム100の異なる実施形態では変化しても良い。ユーザは、DUT106のDQS及びDQ0~DQ14信号の夫々が検証試験に合格したか不合格であったかを判断するために、自動化エンジン108によって供給されるこれらの同時に表示された結果を見ることができ、また、これらの信号の夫々について分析アルゴリズム110によって計算された様々なパラメータを見ることができる。例えば、自動化エンジン108は、分析アルゴリズム110を実行して、取得されたDQS及びDQ0~DQ14信号の夫々についてアイ・ダイアグラムを生成しても良く、また、これらの信号の夫々について生成されたアイ・ダイアグラムについて、アイ高さ、アイ幅及びマスクを求めても良い。本開示技術の実施形態では、自動化エンジン108は、1つ以上のプロセッサを使用して実装することができ、様々な実施形態では、1つ以上のプロセッサが、複数の試験測定装置104A~Dの中の1つ以上に存在しても良いし、クラウド・ベースのプロセッサを含む1つ以上の外部コンピューティング・デバイス上に存在しても良いし、複数の試験測定装置104A~Dの中の1つ以上及び1つ以上の外部コンピューティング・デバイスの間に分散されていても良い。
【0022】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による
図1の試験測定システム100の構成要素の動作のシーケンスを示すシーケンス図である。本開示のいくつかの実施形態による試験測定システム100の全体的な動作について、
図1及び
図2を参照して、より詳細に説明する。DUT106の試験サイクルを開始するために、DUTは、検証試験モードの動作に設定される。これは、
図2には明示的に示されておらず、試験されるDUT106のタイプに応じて変化することになろう。DUTがDDR SDRAMである場合、当業者であれば、デバイスを検証試験モード動作にすることは、わかるであろうから、本願では詳細には説明しない。簡単に説明すると、DDR SDRAMでは、典型的なメモリのアクセス動作には、メモリ・デバイス中の特定のバンクの特定の行(row)にアクセスするためのアクティブ化コマンドがあり、リード(読み取り)又はライト(書き込み)コマンドに関連付けられたアドレス・ビットが、アクティブ行中のメモリ・セルから、バースト・データ転送に関する開始列(column)を特定する。バースト・データ転送における各バーストは、データ・バスのデータ信号DQ0~DQ14に対応するデータ・ワードとして供給され、DQS信号は、これらデータ信号とともに供給されて、これらデータ信号を受信するデバイスが信号を適切に捕捉又は取得できるようにする。DQS信号は、差動「バースト・クロック」として機能し、リード及びライト動作中にデータ・バス上のデータ信号DQ0からDQ14と共に供給される。データは、DQS信号の立ち上がりエッジと立ち下がりエッジの両方で転送され、このため、DQS信号の各サイクルで2回転送されるので、ダブル・データ・レート(DDR)と呼ばれる。
【0023】
DDR SDRAMには、通常、8個、16個又は32個のデータ信号DQを含むデータ・バスがある。DUT106のDQ0~DQ14は、本説明において一例として使用されており、また、実施形態の一例を表し、ここでは、DUT106が、データ信号DQ0~DQ15を伝送する16ビットのデータ・バスを有するDDR SDRAMである。試験測定装置104A~104Dの夫々は、4つの入力試験ポートを有しており、これは、多くの従来のオシロスコープに当てはまる。試験測定装置104A~D上の各試験ポートは、DUT106上の試験ポイントに結合され、DUTが試験ポイントに供給する試験信号を取得するように構成される。DQS信号に加えて15個のDQ信号DQ0~DQ14は、16個の試験信号に等しく、これは、4台の試験測定装置104A~104Dで利用可能な試験ポートの数である。DUT106のこの構成は、単に例として提示されるものであり、他の構成としては、本開示の更なる実施形態において、もっと多数又はもっと少数のデータ信号DQに加えて、もっと多数又はもっと少数の試験測定装置104、即ち、もっと多数又はもっと少数の試験ポートを含む試験測定装置があっても良い。
【0024】
検証試験モードの動作に入ると、DUT106は、DQS信号とともにDQ0~DQ14信号の夫々について試験データ・パターンの供給を開始する。DQS信号の周波数は、通常、メモリ・デバイスに供給されるクロック信号と同じである。典型的には、DQ0~DQ14信号の夫々についての試験データ・パターンは、論理零及び論理1が交互するシリーズ(例えば、1010101010...)、又は、他の何らかの擬似ランダム・ビット・シーケンスである。
図2の工程200において、自動化エンジン108は、取得要求(acquire request)をマスター試験測定装置104Aに送信して試験サイクルを開始する。取得要求に応答して、工程202において、マスター試験測定装置104Aは、拡張試験測定装置104B、104C及び104Dに取得命令を送信する。自動化エンジン108からの取得要求と、マスター試験測定装置104Aから拡張試験測定装置104B~Dに供給される取得命令に応答して、工程202~208では、マスター及び拡張試験測定装置104A~Dの夫々は、DUT106によって供給される対応するDQS及びDQ0~DQ14信号を取得(アクイジション)する。各試験測定装置は、対応する取得されたDQS及びDQ0~DQ14信号のデータを、工程210においてデータ・ストアに保存し、これは、試験測定装置104A~Dの夫々による対応する取得された信号の蓄積(ストレージ)を表す。
【0025】
対応する取得されたDQS及びDQ信号を保存した後、各拡張試験測定装置104B~Dは、応答をマスター試験測定装置104Aに供給するが、これは、その拡張試験測定装置に関して取得された信号に対応するデータを含む。次に、マスター試験測定装置104Aは、拡張試験測定装置104B~Dからの応答を集約するが、これは、マスター試験測定装置104Aによって取得されたDQS及びDQ0~2信号に対応するデータとともに、取得されたDQ3~14信号のデータに対応する。全ての試験測定装置104A~Dからのこれらの集約された応答は、次いで、工程212でブローカーに供給される。ブローカー(broker:仲介役)は、マスター試験測定装置104Aからの集約された応答の転送を容易にし、これらの集約された応答を自動化エンジン108に供給する機能を持つ
図1の自動化エンジン108のコンポーネントであると見なすことができる。自動化エンジン108では、集約された応答が、分析アルゴリズム110に供給されて分析され、取得されたDQS及びDQ信号の検証試験を実行する。
【0026】
図3は、本開示のいくつかの実施形態によるマルチ・スタック試験サブシステム102によって取得され、
図1の試験測定システム100の自動化エンジン108によって表示されるデータ信号DQ0~7及びデータ・ストローブ信号DQSの例のアイ・ダイアグラムを示す。
図3では、単に図を簡略化するということから、データ信号DQ0~DQ7のアイ・ダイアグラムのみを示し、データ信号DQ8~DQ14は省略している。これらアイ・ダイアグラムは、各信号の縦軸に電圧、横軸に時間を示す。これらアイ・ダイアグラムは、
図1の自動化エンジン108によって生成される表示の例であり、検証試験中にDUT106から取得されたDQ0~DQ7及びDQS信号についての検証試験結果に関する情報をユーザに同時に供給する。
図3は、データ信号DQ0~DQ7の夫々のアイ・ダイアグラムを、これらの各信号のアイ・マスクとともに示し、また、DQS信号のアイ・ダイアグラムも示している。アイ・ダイアグラムは、複数のタイム・インターバルでデジタル信号を繰り返しアクイジション(波形データ取得)し、これらの複数のアクイジションしたデジタル信号を重ね合わせることによって生成される。アイ・マスクは、アイ・ダイアグラムの許容範囲(acceptable limits)を定義し、アイ・ダイアグラムの一部がアイ・マスク内に存在する場合、信号の検証を不合格とするような「許容できない領域」を効果的に示す。デジタル信号のアイ・ダイアグラム及びアイ・マスクは、当業者にはよく理解されているので、本願では詳細には説明しない。
【0027】
図3の左上には、DQ0信号に関するアイ・ダイアグラム300が、DQ0信号に関するアイ・マスク302とともに示され、また、DQS信号に関するアイ・ダイアグラム304も示されている。
図3では、図を簡略化するために、アイ・パターン300、304と、データ信号DQ0のアイ・マスク302(Rxマスク)についてのみ符号を付けている。これらのアイ・ダイアグラムの表示は、試験対象の各DQ0~7信号及びDQS信号についての検証試験の結果の視覚的な表現をユーザに提示し、これによって、ユーザは、これらの各信号の特性をより詳細に調べ、DQ0信号のアイ・ダイアグラム300の一部がアイ・マスク302中に存在するなど、いずれかの信号が不合格である理由を調べることができる。
図3に例示されたアイ・ダイアグラムでは、いずれにも不合格(failures)は存在していない。
図3は、また、DQS信号のアイ・ダイアグラムとともにデータ信号DQ0~7のアイ・ダイアグラムを示し、これらのアイ・ダイアグラムの夫々についてアイ高さパラメータEHを示す。
図3は、また、データ信号DQ0~7のアイ・ダイアグラムを、DQS信号のアイ・ダイアグラムとともに示し、これらのアイ・ダイアグラムの夫々のアイ幅パラメータEWを示す。いくつかの実施形態では、自動化エンジン108が、DQ0~7信号の夫々について、アイ・マスク302(Rxマスク)、アイ高さパラメータEH及びアイ幅パラメータEWを示すアイ・ダイアグラムを示す別個の表示を生成しても良い。
【0028】
図4A~
図4Cは、アイ・ダイアグラムのパラメータをより明確に示すために、
図3のアイ・ダイアグラムの中から選択されたものを分解したアイ・ダイアグラムであり、これらパラメータは、本開示のいくつかの実施形態によって、
図1のDUT106から取り込まれたDQ0~DQ14及びDQS信号の夫々について、自動化エンジン108の分析アルゴリズム110によって計算されても良い。
図4A~
図4Cは、DQ0信号のアイ・ダイアグラムを具体的に示す。再度、これらのアイ・ダイアグラムは、各信号に関して、垂直軸で電圧、横軸で時間を示している。
図4Aは、DQ0信号に関するアイ・ダイアグラム400を、DQS信号に関するアイ・ダイアグラム402とともに示す。アイ・ダイアグラム400のアイ高さEHパラメータが示され、DQ0信号のアイ開口部の最低及び最高測定電圧の間の範囲を与え、ここで、信号のアイ開口部は、
図4Bに示されるように、垂直のアイ高さEHパラメータ及び水平のアイ幅EWパラメータによって定義される。
図4Bは、DQ0信号に関するアイ・ダイアグラム400を、DQS信号に関するアイ・ダイアグラム402と共に示し、アイ・ダイアグラム400のアイ幅EWは、アイ・ダイアグラムのアイ開口の持続時間を示す。
図4Cは、アイ・ダイアグラム400のアイ・マスクEM(即ち、Rxマスク)を示しており、これは、上述したように、DQ0信号のアイ・ダイアグラム400の禁止領域に効果的に対応している。アイ・ダイアグラム400のいずれかの部分がアイ・マスクEM内に存在する場合、DQ0信号の検証は、不合格となる。
【0029】
図5は、DQ0~DQ7信号の夫々についてのアイ・ダイアグラム500-DQ0から500-DQ7を、DQS信号502のアイ・ダイアグラム(一番上のダイアグラムにおいてのみ、符号を付けている)とともに示している。図を簡略化するため、DQ0~DQ7のみ図示し、DQ0~DQ14の全ては図示していない。
図5の各ダイアグラムにおいて、縦軸で電圧、横軸で時間を示している。
図5は、最も悪いスキューを特定できるように、DQS信号と500-DQ0から500-DQ7の各アイ・ダイアグラムとの間のスキューを示している。
図5において、DQS信号の遷移は、垂直線504によって示され、各DQ0~DQ7信号のスキューは、垂直線504における時点と、対応するアイ・ダイアグラム500-DQ0~500-DQ7で示される対応するDQ0~DQ7信号の遷移との間の時間差によって定義される。この例では、最も悪いスキューは、DQS信号とアイ・ダイアグラム500-DQ6との間で発生し、最短のスキューは、アイ・ダイアグラム500-DQ2で発生する。いくつかの実施形態では、
図1の自動化エンジン108によって実行される分析アルゴリズム110は、最短スキューと最長スキューとの差の大きさとして定義されるスキュー・オフセットも計算する。ここでも、アイ・ダイアグラム500-DQ0から500-DQ7の表示により、ユーザは、DUT106からのDQ及びDQS信号の全てについての検証試験の結果を同時に表示し、これらの視覚的表示に基づいて、検証試験の結果を迅速に評価することができる。
【0030】
図6~
図8は、本開示のいくつかの実施形態に従って分析アルゴリズム110を実行する際に、
図1の自動化エンジン108によって生成されるいくつかの例示的なグラフィカル表示を示す。これらのグラフィカル表示は、DUT106から取り込まれたDQS及びDQ0~DQ14信号について計算されたパラメータが、分析アルゴリズム110によって分析されて、関連する試験基準に合格するか不合格であるかを視覚的に示すために、自動化エンジン108がユーザに提供することがある検証試験情報の形式を例示するために提示される。
図6は、DQ信号の入力電圧振幅ViHLAc、DQ信号の入力パルス幅の高値TdiPW_High及び入力パルス幅の低値TdiPW_Lowと、DQ信号の立上りエッジのスルーレートSRIN-diVW_Riseを示す。
図7及び
図8は、
図5との関係で上述したように、DQ信号とDQS信号の夫々との間で計算されたスキュー値を示す表を図示している。
図7は、DQ0~DQ5信号に関する2列目に、スキュー値をピコ秒単位で示している。
図8は、DQ3~DQ7信号に関するスキュー値を示す。
図7及び
図8の表に示すスキュー値を比較すると、DQ6信号に関して、601.64087676ピコ秒(ps)の最大スキュー値が発生していることが分かる。最短スキュー値560.77103533psが、DQ2に関して、
図5に示されている。40.8698414psに等しいスキュー・オフセット・パラメータtDQ2DQが、
図8に示され、最短スキュー値と最長スキュー値との差の大きさに対応している(即ち、(601.64087676ps-560.77103533ps)=40.8698414ps)。
【0031】
本開示技術の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本開示技術の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本開示技術の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0032】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含んでいても良い。
【0033】
コンピュータ記憶媒体とは、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実装された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は除外される。
【0034】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含んでも良い。
実施例
【0035】
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0036】
実施例1は、試験測定システムにおいて被試験デバイス(DUT)を試験する方法である。この方法は、
試験モードで動作中に複数の試験信号を供給する上記DUTを上記試験モードの動作に設定する処理と、
上記複数の試験信号の中の選択された試験信号を受けるように上記DUTに夫々結合される複数の試験測定装置を同期させる処理と、
同期された上記複数の試験測定装置によって上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得(アクイジション)する処理と、
上記複数の試験信号の夫々について検証試験を行うために取得した上記複数の試験信号を分析する処理と、
上記複数の試験信号の夫々についての上記検証試験の結果を同時に表示する処理とを具える。
【0037】
実施例2は、実施例1による方法であって、上記試験信号が、複数のデータ信号と、データ・ストローブ信号とを有する。
【0038】
実施例3は、実施例1による方法であって、上記試験信号が、複数のコマンド・アドレス信号と、チップ・セレクト信号とを有する。
【0039】
実施例4は、上述の実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記DUTは、ダブル・データ・レート(DDR)メモリである。
【0040】
実施例5は、上述の実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記複数の試験測定装置の夫々が、オシロスコープを有する。
【0041】
実施例6は、上述の実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記複数の試験測定装置によって上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得する処理が、上記複数の試験信号の夫々についてアイ・ダイアグラムを生成する処理を更に有する。
【0042】
実施例7は、上述の例示方法のいずれかによる方法であって、取得した上記複数の試験信号を分析する処理が、上記複数の試験信号の夫々について、生成されたアイ・ダイアグラムのアイ高さ、アイ幅及びマスクを決定する処理を更に有する。
【0043】
実施例8は、上述した実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記検証試験の結果を同時に表示する処理が、上記複数の試験信号の夫々について、生成されたアイ・ダイアグラムと、決定されたアイ高さ、アイ幅及びマスクを表示する処理を更に有する。
【0044】
実施例9は、上述した実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記検証試験の結果を同時に表示する処理が、上記複数の試験信号について、上記試験信号波形が上記検証試験に合格したか又は不合格かの指示を表示する処理を更に有する。
【0045】
実施例10は、上述した実施例の方法のいずれかによる方法であって、上記複数の試験測定装置を同期させる処理が、上記複数の試験測定装置の中の1つをマスター試験測定装置として指定し、上記複数の試験測定装置の残りの部分を拡張試験測定装置として指定する処理と、上記マスター試験測定装置からの制御信号を上記複数の拡張試験測定装置の夫々に通信して、上記DUTが供給する上記複数の試験信号の同時取得を制御する処理とを有する。
【0046】
実施例11は、実施例10による方法であって、上記マスター試験測定装置から上記複数の拡張試験測定装置の夫々に制御信号を通信する処理が、上記DUTが供給する上記複数の試験信号を上記複数の試験測定装置が同期した状態で同時に取得するために用いるサンプリング・クロック信号を上記マスター試験測定装置が供給する処理と、上記複数の試験測定装置による上記複数の試験信号の取得の開始及び停止を制御するトリガ信号を供給する処理と、上記複数の拡張試験測定装置の夫々から上記マスター試験測定装置へのデータの転送を制御する処理とを有し、上記複数の拡張試験測定装置の夫々に関する転送されるデータが、上記拡張試験測定装置が取得した上記複数の試験信号に関するデータに対応する。
【0047】
実施例12は、実施例11による試験測定システムであって、
被試験デバイス(DUT)に夫々結合され、試験モードで動作中に上記DUTから複数の試験信号を受信するように夫々構成される複数の試験測定装置であって、上記複数の試験測定装置の中の1つがマスター試験測定装置として指定され、上記複数の上記試験測定装置の残りのものが拡張試験測定装置として指定され、上記マスター試験測定装置は、上記複数の拡張試験測定装置の夫々と制御信号を通信して上記複数の試験測定装置を同期させて上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得するようにする上記複数の試験測定装置を有するマルチ・スタック試験サブシステムと、
該マルチ・スタック試験サブシステムに結合され、上記複数の試験測定装置の中の上記マスター試験測定装置から取得された上記複数の試験信号を受信するように構成された自動化エンジンであって、取得された上記複数の試験信号を分析して、上記複数の試験信号の夫々について検証試験を行い、上記複数の試験信号についての上記検証試験の結果を同時に表示するように構成される上記自動化エンジンと
を具える。
【0048】
実施例13は、実施例12による試験測定システムであって、上記DUTは、ダブル・データ・レート(DDR)メモリである。
【0049】
実施例14は、実施例13による試験測定システムであって、上記試験信号は、複数のデータ信号とデータ・ストローブ信号とを含む。
【0050】
実施例15は、実施例13による試験測定システムであって、上記試験信号は、複数のコマンド・アドレス信号及びチップ・セレクト信号を有する。
【0051】
実施例16は、上記実施例の試験測定システムのいずれかによる試験測定システムであって、上記複数の試験測定装置の夫々は、オシロスコープを有する。
【0052】
実施例17は、上記実施例の試験測定システムのいずれかによる試験測定システムであって、上記自動化エンジンは、取得された上記複数の試験信号の夫々についてアイ・ダイアグラムを生成するように構成されている。
【0053】
実施例18は、上記実施例の試験測定システムのいずれかによる試験測定システムであって、上記自動化エンジンは、上記複数の試験信号について、生成されたアイ・ダイアグラムのアイ高さ、アイ幅及びマスクを決定するように構成されている。
【0054】
実施例19は、試験測定システムであって、
被試験デバイス(DUT)に夫々結合され、検証試験モードで動作中に上記DUTから複数の試験信号を受信するように夫々構成される複数の拡張試験測定装置と、
上記複数の拡張試験測定装置に結合されるとともに、上記DUTに結合されて上記検証試験モードで動作中に上記DUTから複数の試験信号を受信するように構成されるマスター試験測定装置であって、上記複数の拡張試験測定装置の夫々と制御信号を通信して、上記複数の試験測定装置を同期させて上記DUTが供給する上記複数の試験信号を同時に取得するように更に構成される上記マスター試験測定装置と
を有するマルチ・スタック試験サブシステムと、
該マルチ・スタック試験サブシステムに結合され、上記複数の試験測定装置の中の上記マスター試験測定装置から取得された上記複数の試験信号を受信するように構成された自動化エンジンであって、取得された上記複数の試験信号を分析して、上記複数の試験信号の夫々について検証試験を行い、上記複数の試験信号についての上記検証試験の結果を同時に表示するように構成される上記自動化エンジンと
を具える。
【0055】
実施例20は、実施例19の試験測定システムであって、上記マスター試験測定装置は、
上記DUTが供給する上記複数の試験信号を上記複数の試験測定装置が同期状態で同時に取得するために用いるためのサンプリング・クロック信号と、
上記複数の試験測定装置による上記複数の試験信号の取得の開始及び停止を制御するトリガ信号と、
上記複数の拡張試験測定装置の夫々から上記マスター試験測定装置へのデータの転送を制御する信号と、
を含む制御信号を通信するように構成され、
上記複数の拡張試験測定装置の夫々に関して転送される上記データは、上記拡張試験測定装置によって取得された上記複数の試験信号のデータに対応する。
【0056】
本発明の上述の説明は、単に本発明を説明するために設定されたものであり、限定することを意図するものではない。本発明の本質を組み込んだ開示された実施形態を改変することは、当業者であれば行いうるので、その発明は、本発明の範囲内の全てを含むと解釈されるべきである。
【0057】
開示された本件の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0058】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。特許請求の範囲、要約及び図面を含め、本明細書に開示される全ての特徴と、開示される全ての方法又は処理における全ての工程は、互いに少なくとも一部分が排他的でない限り、任意に組み合わせても良い。特許請求の範囲、要約及び図面を含め、本明細書に開示される特徴の夫々は、特に明記されていない限り、同じ、等価又は類似の目的に寄与する代替の特徴で置き換えても良い。
【0059】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0060】
説明の都合上、本開示技術の具体的な例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本開示技術は、添付の請求項以外では、限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0061】
100 試験測定システム
102 マルチ・スタック試験サブシステム
104A 試験測定装置
104B 試験測定装置
104C 試験測定装置
104D 試験測定装置
106 被試験デバイス(DUT)
107 通信リンク
108 自動化エンジン
110 分析アルゴリズム
300 DQ0信号のアイ・ダイアグラム
302 アイ・マスク
304 DQS信号のアイ・ダイアグラム
400 DQ0信号のアイ・ダイアグラム
402 DQS信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ0 DQ0信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ1 DQ1信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ2 DQ2信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ3 DQ3信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ4 DQ4信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ5 DQ5信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ6 DQ6信号のアイ・ダイアグラム
500-DQ7 DQ7信号のアイ・ダイアグラム
502 DQS信号のアイ・ダイアグラム
504 縦線
【外国語明細書】