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特開2024-9219がんを検出、又はがんの進行期を判定する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009219
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】がんを検出、又はがんの進行期を判定する方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240112BHJP
   C12Q 1/6851 20180101ALI20240112BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20240112BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
C12Q1/6851 Z
C12Q1/686 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023198561
(22)【出願日】2023-11-22
(62)【分割の表示】P 2021119849の分割
【原出願日】2016-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】591146239
【氏名又は名称】いであ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(74)【代理人】
【識別番号】100136629
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 光宜
(74)【代理人】
【識別番号】100080791
【弁理士】
【氏名又は名称】高島 一
(74)【代理人】
【識別番号】100118371
【弁理士】
【氏名又は名称】▲駒▼谷 剛志
(72)【発明者】
【氏名】石井 秀始
(72)【発明者】
【氏名】森 正樹
(72)【発明者】
【氏名】今野 雅允
(57)【要約】
【課題】がんを検出、又はがんの進行期を判定する方法を提供すること。
【解決手段】がんを検出、又はがんの進行期を判定する方法が提供され、(1)組織検体又は細胞における、以下のmiRNAからなる群より選択される少なくとも一種のmiRNAにおけるメチル化の程度を測定する工程;及び(2-1)前記工程(1)で測定したmiRNAのメチル化の程度に基づいて、当該組織検体が、がん組織由来である、若しくは、特定のがん進行期の組織由来である、と判定する工程;又は(2-2)前記工程(1)で測定したmiRNAのメチル化の程度に基づいて、当該細胞が、がん細胞である、若しくは、特定のがん進行期の細胞である、と判定する工程を含む:miR-200c;miR-21;Let-7a;及びmiR-17。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
図面に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、がんを検出、又はがんの進行期を判定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、患者の症状や診察結果、又はスクリーニング検査の結果を元に、医師はがんを疑う。そして、さらに進んでがんの存在を確定するには、他の検査(いわゆる診断検査)が必要になる。がんであることが確定したら、病期の診断(ステージング)が行われる。病期とは、がんの大きさや隣接する組織への広がり方、又はより遠く離れたリンパ節や臓器に転移しているかどうか、といった基準でがんを分類し、進行の程度を示すものである。
【0003】
スクリーニング検査とは、症状がまだ現れない段階で、がんがあるかどうかの可能性を調べる検査である。スクリーニング検査の結果は、通常決定的なものではないとされる。その後の診察や診断検査によってがんの診断が確定ないし否定される。診断検査は医師ががんを疑っている場合に行うものをいう。
【0004】
各種の腫瘍マーカーが、スクリーニング検査において利用されている。特定の腫瘍が血液中に分泌する種々の物質が、腫瘍マーカーとして利用されている。しかし、がんでない生体の血液中にも、しばしばある程度の腫瘍マーカーが存在していることが明らかになってきており、腫瘍マーカーが検出されたとしてもその生体ががんを患っているとは限らないため、がんのスクリーニング検査において、この種の腫瘍マーカーが果たす役割は限定的であるとされる。
【0005】
一方、がんが疑われる場合、通常、医師は最初にX線検査、超音波検査及びコンピュータ断層撮影等の画像検査を行う。これらの検査により異常な組織の塊の存在や位置、大きさを明らかにすることができる。しかし、そのような異常な組織塊が発見されたとしても、その原因ががんだとは確定できない。がんが確定するのは、例えば、疑わしい領域から採取した組織検体を顕微鏡で検査して、がん細胞の存在を見つけた時とされる。通常、この組織検体としては組織片、又は、場合により血液検体が用いられる。血液中の腫瘍マーカーの値を測定すると、診察所見又は画像検査等によるがんの診断を支持するデータやそれに反するデータが得られることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、がんを検出、又はがんの進行期を判定する、新しい方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、マイクロRNA(miRNA)の分子修飾をがんの検出、及びがんの進行期のバイオマーカーとして利用できるのではないかとの独自の着想に基づいて検討を行い、miR-200c、miR-21、Let-7a及びmiR-17の四種のmiRNAのメチル化の程度が、がんの存在、及びがんの進行期と関連していることを突き止めた。本発明者らは、かかる知見に基づき、さらに試行錯誤を重ねることにより本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、下記の態様を含む。
項1.
がんを検出、又はがんの進行期を判定する方法であって、
(1)組織検体又は細胞における、以下のmiRNAからなる群より選択される少なくとも一種のmiRNAにおけるメチル化の程度を測定する工程;及び
(2-1)前記工程(1)で測定したmiRNAのメチル化の程度に基づいて、当該組織検体が、がん組織由来である、若しくは、特定のがん進行期の組織由来である、と判定する工程;又は
(2-2)前記工程(1)で測定したmiRNAのメチル化の程度に基づいて、当該細胞が、がん細胞である、若しくは、特定のがん進行期の細胞である、と判定する工程
を含む方法:
miR-200c;
miR-21;
Let-7a;及び
miR-17。
項2.
前記工程(1)で測定するmiRNAのメチル化の程度が、以下のmiRNA上の塩基からなる群より選択される少なくとも一種の塩基におけるメチル化の程度である、項1に記載の方法:
miR-200cの第9番目のシトシン;
miR-21の第9番目のシトシン;
Let-7aの第19番目のアデニン;及び
miR-17の第13番目のアデニン。
項3.
前記工程(1)における、メチル化の程度の測定を、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS/MS)を利用して行う、項1又は2に記載の方法。
項4.
前記組織検体として、血清又は血漿を用いる、項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、がんを検出、又はがんの進行期を判定する、新しい方法を提供できる。特に、例えばステージI等のような早期のがんも診断できる方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の方法の一態様の概略図である。
図2】本発明の方法による、miR-200cについての測定結果の一例である。
図3】大腸がんに関し、miR-200c、miR-21、Let-7a及びmiR-17について、正常部位及びがん部位それぞれにおけるメチル化率(%)と、miRNA発現量(log 10)とを測定した結果を示す図面である。
図4】直腸がんにおいて、ステージIとIVにおけるメチル化率を、miR-200c、miR-21、Let-7a及びmiR-17について測定した結果を示す図面である。
図5】胃がんに関し、miR-200c、miR-21、Let-7a及びmiR-17について、正常部位及びがん部位それぞれにおけるメチル化率(%)と、miRNA発現量(log 10)とを測定した結果を示す図面である。
図6】膵がん患者から採取した血清検体を用いて、miRNAメチル化を定量化した結果を示す図面である。
図7】既存の膵がんマーカーであるCA19-9及びCEAによる判定結果と、miR-17のメチル化による判定結果とを、ROC(Receiver operating characteristics)曲線により比較した結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1. 組織検体又は細胞
組織検体又は細胞は、特に限定されず、哺乳動物由来のものを幅広く使用することができる。組織検体又は細胞は、好ましくは、ヒト由来である。
【0012】
組織検体としては、特に限定されず、幅広く使用できる。組織検体としては、非侵襲的に採取できるという点で、好ましくは、血清、血漿、唾液、尿、胆汁及び糞便等を用いることができる。これらの中でも、血清及び血漿が好ましい。血清及び血漿は、例えば末梢血由来のものを使用できる。
【0013】
血清、血漿、唾液、尿、胆汁及び糞便等において、本発明の方法によりがんが検出された場合には、画像検査等の別の診断方法の結果と照らし合わせることにより、どの部位のがんであるのかを判定することができる。
【0014】
がんが疑われる組織に由来する組織検体を使用して本発明の判定を行うことにより、その組織ががんであるか否か、及び/又はその組織のがん進行期を判定することができる。
【0015】
2. miRNA
本発明では、以下のmiRNAからなる群より選択される少なくとも一種のmiRNAにおけるメチル化の程度を測定する。括弧内にそれぞれの塩基配列を示した配列番号を示す。
miR-200c(配列番号1)
miR-21(配列番号2)
Let-7a(配列番号3)
miR-17(配列番号4)
【0016】
より具体的には、以下のmiRNA上の塩基からなる群より選択される少なくとも一種の塩基におけるメチル化の程度を測定する。特に限定されないが、一例として、以下が挙げられる。括弧内にそれぞれどの位置がメチル化されているのかを示す。
【0017】
miR-200cの第9番目のシトシン[シトシン5位のメチル化(m5C)]
miR-21の第9番目のシトシン[シトシン5位のメチル化(m5C)]
Let-7aの第19番目のアデニン[アデニン6位のNのメチル化(m6A)]
miR-17の第13番目のアデニン[アデニン6位のNのメチル化(m6A)]
【0018】
上記4種のmiRNA群の全てについてメチル化の程度を測定してもよいし、一部のみについて測定してもよい。一般に、検出及び判定における高い精度が求められる場合には、より多くのmiRNAについて測定を行うことが好ましい。複数種のmiRNAについて測定を行う場合、検出及び判定の精度、並びに作業効率等を考慮し、例えば、上記4種のmiRNA群から選択される2~4種、又は2~3種におけるメチル化の程度を測定することができる。
【0019】
3. メチル化の程度の測定方法
miRNAにおけるメチル化の程度を測定する方法は、特に限定されず、幅広い手法の中から選択することができる。
【0020】
測定方法としては、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF-MS/MS)を利用する方法の他、バイサルファイトシークエンスや、メチル化RNA免疫沈降シークエンス等が利用できる。
【0021】
測定方法としては、m5Cとm6Aという複数種の分子修飾、すなわち、特定部位のメ
チル化、を一度に検出できるという点、プロセスが簡素であるという点、及び低コストである点において、特にMALDI-TOF-MS/MSを利用する方法が好ましい。
【0022】
本発明において、MALDI-TOF-MS/MSを利用する方法は、具体的には以下のようにして行うことができる。
【0023】
まず、組織検体又は細胞から、適当な方法を用いてTotal RNAを抽出する。続いて、目的のmiRNAと相補的な配列を有するオリゴヌクレオチド(相補塩基オリゴ)を表面に有するビーズを用いて、得られたTotal RNAの中から目的のmiRNAを捕捉する。
【0024】
次に、単離されたmiRNAを、MALDI-TOF-MS/MSを利用して分析する。メチル化された塩基は、メチル化されていない場合と比べ、マススペクトル上のピークが+14kDaシフトする。このことを利用してメチル化の程度を測定することできる。具体的には、標的塩基について、メチル化されていない塩基由来のピークに対する、メチル化されている塩基由来のピーク(これらは互いにマススペクトル上14kDa離間している)の比率を算出することにより、単離されたmiRNA全体における、メチル化されているmiRNAの割合を算出することができる。
【0025】
4. 判定工程
本発明者らの検討により、メチル化の程度と、がんの進行期との間に正の相関がみられることが明らかとなっている。このため、本発明の方法に供した組織検体が、がん組織由来である、若しくは、特定のがん進行期の組織由来である、と判定することが可能となる。あるいは、本発明の方法に供した細胞が、がん細胞である、若しくは、特定のがん進行期の細胞である、と判定することも可能となる。この場合、メチル化の程度がより高いほど、がんの進行期がより後期であることが示唆されているといえる。
【0026】
本発明の方法は、特に、例えばステージI等のような、早期のがんを診断できるという点で有用である。
【0027】
本発明の方法により判定が可能ながんは、特に限定されず、上皮性腫瘍又は非上皮性腫瘍であってもよい。
【0028】
上皮性腫瘍としては、特に限定されず、例えば、消化器がん及び一部の乳がん等が挙げられる。
【0029】
消化器がんとしては、特に限定されず、例えば、大腸がん、直腸がん、胆嚢がん、胃がん、膵がん及び肝臓がん等が挙げられる。
【0030】
非上皮性腫瘍としては、特に限定されず、例えば、白血病、悪性リンパ腫、脳腫瘍、(骨)肉腫及び一部の乳がん等が挙げられる。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0032】
A.実施例1
1.組織検体の調製
事前にインフォームド・コンセントを得たヒト患者より大腸がんの組織検体を手術時に採取した。なお、悪性腫瘍領域から5cm超離間した領域から、健常組織として組織検体
を同時に採取した。また、直腸がんについても同様に組織検体を一組用意した。
【0033】
2.Total RNAの調製
TRIzol(インビトロジェン社)を用い、製品プロトコールに沿って各組織検体からTotal RNAを抽出した。
【0034】
続いて、目的のmiRNAと相補的な配列を有するオリゴDNAを表面に有するビーズを用いて、得られたTotal RNAの中から目的のmiRNAを捕捉した。このオリゴDNAは、5’末端がC6リンカーを介してアミンで修飾されている。RNAとオリゴDNAを混合後、95℃まで加熱した後、ゆっくりと30℃まで冷却した。得られたRNA-DNA複合体を、Dynabeads(登録商標)M-270 Amine(サーモフィッシャーサイエンティフィック社)とともに4℃にて1時間インキュベートした。
【0035】
インキュベート後、熱で複合体を抽出し、磁性分離を経て捕捉されたmiRNAを含む上清を得た。これを凍結乾燥後、以後の操作に用いた。
【0036】
目的のmiRNAを捕捉する工程のイメージを図1(上段部分)に示した。
【0037】
3.MALDI-TOF-MS解析
Zip Tip C18(ミリポア社)を用い、製品プロトコールに沿って、捕捉されたmiRNAを精製した。これを、3-ヒドロキシピコリン酸(3-HPA;ブルカーダルトニクス社)と、容積比1:1で混合し、MTP AnchorChip 384 target plate(ブルカーダルトニクス社)上にアプライし、室温で風乾させた。
【0038】
ultrafleXtreme MALDI-TOF/TOF マススペクトロメーター(ブルカーダルトニクス社)を用い、ネガティブイオン・モード、レフレクション・モードにてMALDI-TOF-MS解析を行った。ソフトウエアFlexControl(ヴァージョン3.4.135.0)(ブルカーダルトニクス社)を用い、マニュアルで
スペクトルデータを収集した。メチル化シトシンに関しては、ハイドラジン処理されたRNAを用いてさらなる分析を行い、ピークがm5Cを含むことを確認した。メチル化アデニンに関しては、硫酸ジメチル処理されたRNAを用いたシークエンシャルMS解析により、m6Aであることを確認した。
【0039】
MALDI-TOF-MS解析のイメージを図1(下段部分)に示した。
【0040】
一例として、miR-200cについての測定結果を図2に示す。このように、単離されたmiRNAについてMALDI-TOF-MS/MS解析を行うと、メチル化された塩基は、メチル化されていない場合と比べ、マススペクトル上のピークが+14kDaシフトすることが判った。同様の現象が、他のmiRNAについても確認されている。このことを利用してメチル化の程度を測定することできることが判った。具体的には、標的塩基について、メチル化されていない塩基由来のピークに対する、メチル化されている塩基由来のピーク(これらは互いにマススペクトル上14kDa離間している)の比率(以下「メチル化率」ということがある。)を算出することにより、単離されたmiRNA全体における、メチル化されているmiRNAの割合を算出することができることが判った。
【0041】
網羅的に解析した結果、メチル化率が、正常部位に比べ、がん部位において有意に高くなっているmiRNAとして、miR-200c(配列番号1)、miR-21(配列番号2)、Let-7a(配列番号3)及びmiR-17(配列番号4)が見出された。
【0042】
これら四種のmiRNAについて、正常部位及びがん部位それぞれにおけるメチル化率(%)と、miRNA発現量(log 10)とを測定した結果を図3に示す(P<0.05)。miRNA発現量は、qRT-PCR法により求めた。
【0043】
qRT-PCR法は以下のようにして行った。TaqMan microRNA reverse transcription kit及びTaqMan microRNA
assays(ともにApplied Biosystems社)を用い、製品プロトコールに沿って操作を行った。PCRマスターミックスとしてはTHUNDERBIRD(登録商標)SYBR(登録商標) qPCR Mix(東洋紡社)を用いた。
【0044】
使用プライマーを以下に示す。
【0045】
GAPDH:
Forward5′-agccacatcgctcagacac-3′(配列番号5)
Reverse5′-gcccaatacgaccaaatcc-3′(配列番号6)
METTL3:
Forward5′- cgtactacaggatgatggctttc -3′(配列番号7)
Reverse5′- tttcatctacccgttcataccc -3′(配列番号8)
DNMT1:
Forward5′- caaacccctttccaaacctc -3′(配列番号9)
Reverse5′- taatcctggggctaggtgaa -3′(配列番号10)
DNMT2:
Forward5′- gacattgttcagcccacttgta -3′(配列番号11)
Reverse5′- taacacagaccctgtcccttct -3′(配列番号12)
DNMT3A:
Forward5′- accagcattttcctgtcttcat -3′(配列番号13)
Reverse5′- actgggaaaccaaatacccttt -3′(配列番号14)
DNMT3B:
Forward5′- gataaactcgagctgcaggact -3′(配列番号15)
Reverse5′- tcatgacaacagggaaaagttg -3′(配列番号16)
NSUN2:
Forward5′- aagaaaaggcagctctacatgg -3′(配列番号17)
Reverse5′- caccgctgttatttctacacca -3′(配列番号18)
MYC:
Forward5′- gctgcttagacgctggattt -3′(配列番号19)
Reverse5′- taacgttgaggggcatcg -3′(配列番号20)
【0046】
また、がん進行期と、メチル化率との間に正の相関があることも判った。一例として、直腸がんにおいて、ステージIとIVにおけるメチル化率を、上記4種のmiRNAにおいて測定した結果を図4に示す。ステージIVにおけるメチル化率のほうが、ステージIにおけるよりも高くなっている傾向があることが判った。
【0047】
B.実施例2
実施例1と同様に、胃がんの組織検体におけるmiRNAメチル化を定量化した。コントロールとして、同一患者から採取した健常組織を用いた。
【0048】
結果を図5に示す。正常部位に比べ、がん部位においてmiR-200c、miR-21、Let-7a及びmiR-17のメチル化の程度がいずれも有意に高くなっていることが判った。
【0049】
C.実施例3
膵がん患者から採取した血清検体を用いて、実施例1と同様の方法によりmiRNAメチル化を定量化した。コントロールとして、健常者の血清検体を用いた。
【0050】
miR-17について定量化した結果を図6に示す。miR-17のメチル化は、膵がんの全ての血清検体において検出されたが、健常検体においては検出されないか、メチル化の程度が低かった。
【0051】
また、既存の膵がんマーカーであるCA19-9及びCEAによる判定結果(図6)と比較して、miR-17のメチル化の程度は、膵がんの検出という意味ではより正確な指標となりうることが判った(図7)。なお、図7は、横軸に偽陽性率(1-特異度)、縦軸に真陽性率(感度)をプロットした、いわゆるROC(Receiver operating characteristics)曲線である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【配列表】
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