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特開2024-92231渦電流センサ、研磨装置および膜厚検出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092231
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】渦電流センサ、研磨装置および膜厚検出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/06 20060101AFI20240701BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G01B7/06 M
H01L21/304 622S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208003
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(74)【代理人】
【氏名又は名称】串田 幸一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 太郎
(72)【発明者】
【氏名】徳永 晋平
【テーマコード(参考)】
2F063
5F057
【Fターム(参考)】
2F063AA16
2F063BA26
2F063BB06
2F063BC02
2F063CA08
2F063DA05
2F063GA08
5F057AA20
5F057BA15
5F057BA21
5F057CA12
5F057DA03
5F057GA12
5F057GA13
5F057GB03
5F057GB13
(57)【要約】
【課題】微細な金属を検出する場合でも検出出力が従来技術よりも大きい渦電流センサを提供する。
【解決手段】渦電流センサ50は、半導体ウェハWHに生成される渦電流を検出する第1の検出部180と、渦電流を検出する第2の検出部182とを有する。第1の検出部180は、渦電流を生成可能な第1の励磁コイル72と、渦電流を検出可能な第1の検出コイル73を有する。第1の励磁コイル72と第1の検出コイル73は空芯コイルである。第2の検出部182は、渦電流を生成可能な第2の励磁コイル860,862と、渦電流を検出可能な第2の検出コイル864,866を有する。第2の励磁コイル860,862と第2の検出コイル864,866は、磁性体のコア60を有するコイルである。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象物に生成される渦電流を検出する第1の検出部と、前記渦電流を検出する第2の検出部とを有する渦電流センサであって、
前記第1の検出部は、前記渦電流を生成可能な第1の励磁コイルと、前記渦電流を検出可能な第1の検出コイルを有し、
前記第1の励磁コイルと前記第1の検出コイルは空芯コイル、または非磁性体のコアを有するコイルであり、
前記第2の検出部は、前記渦電流を生成可能な第2の励磁コイルと、前記渦電流を検出可能な第2の検出コイルを有し、
前記第2の励磁コイルと前記第2の検出コイルは、磁性体のコアを有するコイルであることを特徴とする渦電流センサ。
【請求項2】
前記第1の検出部は、前記検出対象物と前記第2の検出部との間に配置されることを特徴とする請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項3】
前記第1の検出部は、前記第2の検出部の外周に配置されることを特徴とする請求項1記載の渦電流センサ。
【請求項4】
前記第1の励磁コイルの中心軸と、前記第1の検出コイルの中心軸と、前記第2の励磁コイルの中心軸と、前記第2の検出コイルの中心軸は一致することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の渦電流センサ。
【請求項5】
前記第1の励磁コイルと前記第1の検出コイルは、列を前記検出対象物に対して垂直方向、層を前記検出対象物に対して平行方向と定義したときに、導電体を1列複数層に、または複数列複数層に巻いたコイルであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の渦電流センサ。
【請求項6】
前記磁性体のコアは、
底部磁性体と、
前記底部磁性体の中央に設けられた中央磁性体と、
前記底部磁性体の周辺部に設けられた周辺部磁性体とを有し、
前記第2の励磁コイルは、前記中央磁性体に配置される第2の中央励磁コイルを有し、
前記第2の検出コイルは、前記中央磁性体に配置される第2の中央検出コイルを有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の渦電流センサ。
【請求項7】
前記第2の励磁コイルは、前記周辺部磁性体に配置される第2の周辺部励磁コイルを有し、
前記第2の検出コイルは、前記周辺部磁性体に配置される第2の周辺部検出コイルを有することを特徴とする請求項6記載の渦電流センサ。
【請求項8】
前記底部磁性体は、柱状の形状を有し、前記周辺部磁性体は、前記柱状の形状の両端に配置されることを特徴とする請求項6または7記載の渦電流センサ。
【請求項9】
前記第1の励磁コイルと前記第1の検出コイルは同一のコイルである、又は前記第2の励磁コイルと前記第2の検出コイルは同一のコイルであることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の渦電流センサ。
【請求項10】
前記検出対象物を研磨するための研磨パッドが貼り付け可能な研磨テーブルと、
前記研磨テーブルを回転駆動可能な駆動部と、
前記検出対象物を保持して前記研磨パッドに押圧可能な保持部と、
前記研磨テーブルの内部に配置され、前記研磨テーブルの回転に伴い前記第1の励磁コイルまたは前記第2の励磁コイルによって前記検出対象物に形成される前記渦電流を前記第1の検出コイルまたは前記第2の検出コイルによって検出可能な請求項1ないし9のいずれか1項に記載の渦電流センサと、
前記検出された前記渦電流から前記被研磨物の研磨の終了を示す研磨終点を検出可能な終点検出部と、
を備える研磨装置。
【請求項11】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の渦電流センサを用いた膜厚検出方法であって、
前記検出対象物の電気抵抗が所定値より小さいときに前記第1の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、
前記検出対象物の電気抵抗が所定値より大きいときに前記第2の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、
を有することを特徴とする膜厚検出方法。
【請求項12】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載の渦電流センサを用いた膜厚検出方法であって、
前記検出対象物の膜厚が所定値より大きいときに前記第1の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、
前記検出対象物の膜厚が所定値より小さいときに前記第2の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、
を有することを特徴とする膜厚検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、渦電流センサと、この渦電流センサを用いた研磨装置および膜厚検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
渦電流センサは膜厚測定、変位測定等に使用される。以下では、膜厚測定を例にして渦電流センサを説明する。膜厚測定用渦電流センサは、例えば半導体デバイスの製造工程(研磨工程)で用いられる。研磨工程において渦電流センサは、以下のように用いられる。半導体デバイスの高集積化が進むにつれて回路の配線が微細化し、配線間距離もより狭くなりつつある。そこで、被研磨物である半導体ウェハの表面を平坦化することが必要となるが、この平坦化法の一手段として研磨装置により研磨(ポリッシング)することが行われている。
【0003】
研磨装置は、被研磨物を研磨するための研磨パッドを保持するための研磨テーブルと、被研磨物を保持して研磨パッドに押圧するためにトップリングを備える。研磨テーブルとトップリングはそれぞれ、駆動部(例えばモータ)によって回転駆動される。研磨剤を含む液体(スラリー)を研磨パッド上に流し、そこにトップリングに保持された被研磨物を押し当てることにより、被研磨物は研磨される。
【0004】
研磨装置では、被研磨物の研磨が不十分であると、回路間の絶縁がとれず、ショートするおそれが生じ、また、過研磨となった場合は、配線の断面積が減ることによる抵抗値の上昇、又は配線自体が完全に除去され、回路自体が形成されないなどの問題が生じる。被研磨物が、被研磨物の表面に広く存在するバルクと呼ばれるものではなく、細い被研磨物、例えば微細な銅(Cu)配線である場合、被研磨物の膜厚の検出が困難になる。このため、検出感度を向上することが求められる。
【0005】
特開2011-23579号には、感度が異なる2つのセンサA,Bを用い、研磨開始からセンサAの感度がなくなるまで出力を監視し、研磨終点の検出を実施した後、センサBに切替えを行い、ウェハ上に金属残膜がないことを確認する技術が記載されている。センサA、Bはテーブル上の異なる位置に配置されている。研磨が進行して金属薄膜を検出するためには、センサの感度(センサの出力の大きさ)を上げる必要がある。センサの感度を上げるために、特開2011-23579号は、渦電流センサの発振周波数を上昇させること、渦電流センサの内部回路の増幅度を上げること、或いは渦電流センサの励磁電圧を上昇させることを提案している。
【0006】
センサの感度を上げるためのこれらの方法には、以下の問題がある。渦電流センサの発振周波数は、コイル自身のインダクタンス、静電容量によって決定されるコイル共振周波数より低く設定する必要がある。共振周波数付近に発振周波数を設定すると、特性の安定性に問題がある。また、渦電流センサの内部回路の増幅度を上げた場合には回路ノイズの影響が大きくなるという問題がある。さらに渦電流センサの励磁電圧を上昇させた場合には特性の安定性に問題がある。
【0007】
これらの問題を解決するために、特開2013-211354号では、同心状に配置された内側のセンサコイル60Aと、外側のセンサコイル60Bとからなる構成を開示している。外側のセンサコイル60Bは感度が低いセンサとして機能し、半導体ウェハの被研磨面全体の残膜を正確に検出することが可能である。センサコイル60Bは研磨終点の検出を安定して行うことができる。
【0008】
内側のセンサコイル60Aは感度が高いセンサとして機能し、ターゲットの金属膜が薄くなった場合や金属膜の面積が小さくなった場合にも金属膜の検出が可能である。センサコイル60Aは、半導体ウェハWH(基板)の被研磨面上の詳細な残膜分布の検出および半導体ウェハWHのエッジ部分の薄膜の検出を行うことができる(特開2013-211354号の段落[0075])。センサコイル60Aと、センサコイル60Bは、非磁性体であるボビンにソレノイド巻き、もしくはスパイラル巻きされたコイルである。しかしながら、特開2013-211354号に示すコイルは、微細な銅(Cu)配線に対しては検出出力が小さく、微細な銅配線を検出することが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011-23579号公報
【特許文献2】特開2013-211354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一形態は、このような問題点を解消すべくなされたもので、その目的は、微細な金属を検出する場合でも検出出力が従来技術よりも大きい渦電流センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の形態では、検出対象物に生成される渦電流を検出する第1の検出部と、前記渦電流を検出する第2の検出部とを有する渦電流センサであって、前記第1の検出部は、前記渦電流を生成可能な第1の励磁コイルと、前記渦電流を検出可能な第1の検出コイルを有し、前記第1の励磁コイルと前記第1の検出コイルは空芯コイル、または非磁性体のコアを有するコイルであり、前記第2の検出部は、前記渦電流を生成可能な第2の励磁コイルと、前記渦電流を検出可能な第2の検出コイルを有し、前記第2の励磁コイルと前記第2の検出コイルは、磁性体のコアを有するコイルであることを特徴とする渦電流センサという構成を採っている。
【0012】
本実施形態では、第1の励磁コイルと第1の検出コイルは空芯コイル、または非磁性体のコアを有するコイルであり、第2の励磁コイルと第2の検出コイルは、磁性体のコアを有するコイルである。このため、微細な金属を検出する場合、第2の検出部の検出出力が大きくなり、微細な金属を検出する場合でも検出出力が大きい渦電流センサを提供できる。磁性体のコアを有する第2の検出部は、微細な金属ではないバルクのような金属に対しては、第1の検出部より検出出力が小さくなる場合がある。そのようなとき本実施形態によれば、第1の検出部により、検出出力が大きい渦電流センサを提供できる。
【0013】
第2の形態では、前記第1の検出部は、前記検出対象物と前記第2の検出部との間に配置されることを特徴とする形態1記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0014】
第3の形態では、前記第1の検出部は、前記第2の検出部の外周に配置されることを特徴とする形態1記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0015】
第4の形態では、前記第1の励磁コイルの中心軸と、前記第1の検出コイルの中心軸と、前記第2の励磁コイルの中心軸と、前記第2の検出コイルの中心軸は一致することを特徴とする形態1ないし3のいずれか1項に記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0016】
第5の形態では、前記第1の励磁コイルと前記第1の検出コイルは、列を前記検出対象
物に対して垂直方向、層を前記検出対象物に対して平行方向と定義したときに、導電体を1列複数層に、または複数列複数層に巻いたコイルであることを特徴とする形態1ないし4のいずれか1項に記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0017】
第6の形態では、前記磁性体のコアは、底部磁性体と、前記底部磁性体の中央に設けられた中央磁性体と、前記底部磁性体の周辺部に設けられた周辺部磁性体とを有し、前記第2の励磁コイルは、前記中央磁性体に配置される第2の中央励磁コイルを有し、前記第2の検出コイルは、前記中央磁性体に配置される第2の中央検出コイルを有することを特徴とする形態1ないし5のいずれか1項に記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0018】
第7の形態では、前記第2の励磁コイルは、前記周辺部磁性体に配置される第2の周辺部励磁コイルを有し、前記第2の検出コイルは、前記周辺部磁性体に配置される第2の周辺部検出コイルを有することを特徴とする形態6記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0019】
第8の形態では、前記底部磁性体は、柱状の形状を有し、前記周辺部磁性体は、前記柱状の形状の両端に配置されることを特徴とする形態6または7記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0020】
第9の形態では、前記第1の励磁コイルと前記第1の検出コイルは同一のコイルである、又は前記第2の励磁コイルと前記第2の検出コイルは同一のコイルであることを特徴とする形態1ないし8のいずれか1項に記載の渦電流センサという構成を採っている。
【0021】
第10の形態では、前記検出対象物を研磨するための研磨パッドが貼り付け可能な研磨テーブルと、前記研磨テーブルを回転駆動可能な駆動部と、前記検出対象物を保持して前記研磨パッドに押圧可能な保持部と、前記研磨テーブルの内部に配置され、前記研磨テーブルの回転に伴い前記第1の励磁コイルまたは前記第2の励磁コイルによって前記検出対象物に形成される前記渦電流を前記第1の検出コイルまたは前記第2の検出コイルによって検出可能な形態1ないし9のいずれか1項に記載の渦電流センサと、前記検出された前記渦電流から前記被研磨物の研磨の終了を示す研磨終点を検出可能な終点検出部と、を備える研磨装置という構成を採っている。
【0022】
第11の形態では、形態1ないし9のいずれか1項に記載の渦電流センサを用いた膜厚検出方法であって、前記検出対象物の電気抵抗が所定値より小さいときに前記第1の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、前記検出対象物の電気抵抗が所定値より大きいときに前記第2の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、を有することを特徴とする膜厚検出方法という構成を採っている。
【0023】
第12の形態では、形態1ないし9のいずれか1項に記載の渦電流センサを用いた膜厚検出方法であって、前記検出対象物の膜厚が所定値より大きいときに前記第1の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、前記検出対象物の膜厚が所定値より小さいときに前記第2の検出部により、前記渦電流を検出して、膜厚を求めるステップと、を有することを特徴とする膜厚検出方法という構成を採っている。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る研磨装置の全体構成を示す概略図である。
図2図2は、研磨テーブルと渦電流センサと半導体ウェハとの関係を示す平面図である。
図3図3は、渦電流センサ組立体の構成を示す図であり、図3(a)は渦電流センサ組立体の構成を示すブロック図であり、図3(b)は渦電流センサ組立体の等価回路図である。
図4図4は、本実施形態の渦電流センサの構成例を示す概略図である。
図5図5は、第2の検出部における励磁コイルの接続例を示す概略図である。
図6図6は、第2の検出部による磁場を示す図である。
図7図7(a)は、第2の検出部の平面図であり、図7(b)は、第2の検出部の断面図である。
図8図8は、本実施形態の渦電流センサにおける第1の検出部の構成例を示す概略図である。
図9図9は、渦電流センサの第1の検出部における各コイルの接続例を示す概略図である。
図10図10は、渦電流センサの第2の検出部における各コイルの接続例を示す概略図である。
図11図11は、渦電流センサ全体とブリッジ回路との接続を示す図である。
図12図12は、渦電流センサが生成する磁場を示す。
図13図13は、ブリッジ回路で処理した後の第1の検出部の出力と第2の検出部の出力を示す。
図14図14は、渦電流センサの出力信号処理回路を示すブロック図である。
図15図15は、周辺部磁性体が、磁心部を囲うように底面部の周辺部に設けられる壁部ではない例を示す。
図16図16は、周辺部磁性体が、磁心部を囲うように底面部の周辺部に設けられる壁部ではない例を示す。
図17図17は、周辺部磁性体が、磁心部を囲うように底面部の周辺部に設けられる壁部ではない例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の各実施形態において、同一または相当する部材には同一符号を付して重複した説明を省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0026】
図1は、本発明の一実施形態に係る渦電流センサ50が適用される研磨装置の全体構成を示す概略図である。図1に示すように、研磨装置は、研磨テーブル100と、研磨対象物である半導体ウェハWH等の基板を保持して研磨テーブル上の研磨面に押圧するトップリング1(保持部)とを備えている。
【0027】
研磨テーブル100は、検出対象物を研磨するための研磨パッド101が貼り付け可能である。トップリング1は、検出対象物を保持して研磨パッド101に押圧可能である。渦電流センサ50は、研磨テーブル100の内部に配置され、研磨テーブル100の回転に伴い、第1の励磁コイルまたは第2の励磁コイルによって検出対象物に形成される渦電流を第1の検出コイルまたは第2の検出コイルによって検出可能である。終点検出部は、検出された渦電流から被研磨物の研磨の終了を示す研磨終点を検出可能である。
【0028】
研磨テーブル100は、テーブル軸170を介してその下方に配置される駆動部であるモータ(図示せず)に連結されており、そのテーブル軸170周りに回転可能になっている。駆動部は、研磨テーブルを回転駆動可能である。研磨テーブル100の上面には研磨パッド101が貼付されており、研磨パッド101の表面101aが半導体ウェハWHを研磨する研磨面を構成している。研磨テーブル100の上方には研磨液供給ノズル102が設置されており、この研磨液供給ノズル102によって研磨テーブル100上の研磨パッド101上に研磨液Qが供給されるようになっている。図1に示すように、研磨テーブ
ル100の内部には、渦電流センサ50が埋設されている。
【0029】
トップリング1は、半導体ウェハWHを研磨面101aに対して押圧するトップリング本体142と、半導体ウェハWHの外周縁を保持して半導体ウェハWHがトップリングから飛び出さないようにするリテーナリング143とから基本的に構成されている。
【0030】
トップリング1は、トップリングシャフト111に接続されており、このトップリングシャフト111は、上下動機構124によりトップリングヘッド110に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト111の上下動により、トップリングヘッド110に対してトップリング1の全体を昇降させ位置決めするようになっている。なお、トップリングシャフト111の上端にはロータリージョイント125が取り付けられている。
【0031】
トップリングシャフト111およびトップリング1を上下動させる上下動機構124は、軸受126を介してトップリングシャフト111を回転可能に支持するブリッジ128と、ブリッジ128に取り付けられたボールねじ132と、支柱130により支持された支持台129と、支持台129上に設けられたサーボモータ138とを備えている。サーボモータ138を支持する支持台129は、支柱130を介してトップリングヘッド110に固定されている。
【0032】
ボールねじ132は、サーボモータ138に連結されたねじ軸132aと、このねじ軸132aが螺合するナット132bとを備えている。トップリングシャフト111は、ブリッジ128と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ138を駆動すると、ボールねじ132を介してブリッジ128が上下動し、これによりトップリングシャフト111およびトップリング1が上下動する。
【0033】
また、トップリングシャフト111はキー(図示せず)を介して回転筒112に連結されている。この回転筒112はその外周部にタイミングプーリ113を備えている。トップリングヘッド110にはトップリング用モータ114が固定されており、上記タイミングプーリ113は、タイミングベルト115を介してトップリング用モータ114に設けられたタイミングプーリ116に接続されている。したがって、トップリング用モータ114を回転駆動することによってタイミングプーリ116、タイミングベルト115、およびタイミングプーリ113を介して回転筒112およびトップリングシャフト111が一体に回転し、トップリング1が回転する。なお、トップリングヘッド110は、フレーム(図示せず)に回転可能に支持されたトップリングヘッドシャフト117によって支持されている。
【0034】
図1に示すように構成された研磨装置において、トップリング1は、その下面に半導体ウェハWHなどの基板を保持できるようになっている。トップリングヘッド110はトップリングヘッドシャフト117を中心として旋回可能に構成されており、下面に半導体ウェハWHを保持したトップリング1は、トップリングヘッド110の旋回により半導体ウェハWHの受取位置から研磨テーブル100の上方に移動される。そして、トップリング1を下降させて半導体ウェハWHを研磨パッド101の表面(研磨面)101aに押圧する。このとき、トップリング1および研磨テーブル100をそれぞれ回転させ、研磨テーブル100の上方に設けられた研磨液供給ノズル102から研磨パッド101上に研磨液Qを供給する。このように、半導体ウェハWHを研磨パッド101の研磨面101aに摺接させて半導体ウェハWHの表面を研磨する。
【0035】
図2は、研磨テーブル100と渦電流センサ50と半導体ウェハWHとの関係を示す平面図である。図2に示すように、渦電流センサ50は、トップリング1に保持された研磨
中の半導体ウェハWHの中心Cwを通過する位置に設置されている。研磨テーブル100は回転中心170の周りを回転する。例えば、渦電流センサ50は、半導体ウェハWHの下方を通過している間、通過軌跡(走査線)上で連続的に半導体ウェハWHのCu層等の金属膜(導電性膜)を検出できるようになっている。
【0036】
次に、本発明に係る研磨装置が備える渦電流センサ50について、添付図面を用いてより詳細に説明する。図3は、渦電流センサ50を含む渦電流センサ組立体の構成を示す図であり、図3(a)は渦電流センサ組立体の構成を示すブロック図であり、図3(b)は渦電流センサ組立体の等価回路図である。図3(a)に示すように、渦電流センサ50は、検出対象の金属膜(または導電性膜)mfの近傍に配置され、その励磁コイルに交流信号源52が接続されている。ここで、検出対象の金属膜(または導電性膜)mfは、例えば半導体ウェハWH上に形成されたCu,Al,Au,Wなどの薄膜である。渦電流センサ50は、検出対象の金属膜(または導電性膜)に対して、例えば1.0~4.0mm程度の近傍に配置される。コイルはフェライト等の磁性体(図示せず)に通常、巻かれている。
【0037】
渦電流センサには、金属膜(または導電性膜)mfに渦電流が生じることにより、発振周波数が変化し、この周波数変化から金属膜(または導電性膜)を検出する周波数タイプと、インピーダンスが変化し、このインピーダンス変化から金属膜(または導電性膜)を検出するインピーダンスタイプとがある。即ち、周波数タイプでは、図3(b)に示す等価回路において、渦電流Iが変化することで、インピーダンスZが変化し、信号源(可変周波数発振器)52の発振周波数が変化すると、出力信号処理回路54でこの発振周波数の変化を検出し、金属膜(または導電性膜)の変化を検出することができる。周波数タイプでは、励磁コイルのみがあれば良く、検出コイルが不要である。そのため、第1の励磁コイルと第1の検出コイルは同一のコイルである、又は第2の励磁コイルと第2の検出コイルは同一のコイルである。
【0038】
インピーダンスタイプでは、図3(b)に示す等価回路において、渦電流Iが変化することで、インピーダンスZが変化し、信号源(固定周波数発振器)52から見たインピーダンスZが変化すると、出力信号処理回路54でこのインピーダンスZの変化を検出し、金属膜(または導電性膜)の変化を検出することができる。
【0039】
インピーダンスタイプの渦電流センサでは、信号出力X、Y、位相、合成インピーダンスZ(=X+iY)、を取り出すことが可能である。インピーダンス成分X、Y等から、金属膜(または導電性膜)Cu,Al,Au,Wの膜厚に関する測定情報が得られる。渦電流センサ50は、図1に示すように研磨テーブル100の内部の表面付近の位置に内蔵することができ、研磨対象の半導体ウェハに対して研磨パッドを介して対面するように位置し、半導体ウェハ上の金属膜(または導電性膜)に流れる渦電流から金属膜(または導電性膜)の変化を検出することができる。
【0040】
渦電流センサの周波数は、単一電波、AM変調電波、関数発生器の掃引出力等を用いることができ、金属膜の膜種に適合させて、感度の良い発振周波数や変調方式を選択することが好ましい。
【0041】
以下に、インピーダンスタイプの渦電流センサについて具体的に説明する。交流信号源52は、2~30MHz程度の固定周波数の発振器(図示しない)を有する。発振器は、例えば水晶発振器である。そして、交流信号源52により供給される交流電圧により、渦電流センサ50に電流Iが流れる。金属膜(または導電性膜)mfの近傍に配置された渦電流センサ50に電流が流れることで、この磁束が金属膜(または導電性膜)mfと鎖交することでその間に相互インダクタンスMが形成され、金属膜(または導電性膜)mf
中に渦電流Iが流れる。ここでR1は渦電流センサを含む一次側の等価抵抗であり、L1は同様に渦電流センサを含む一次側の自己インダクタンスである。金属膜(または導電性膜)mf側では、R2は渦電流損に相当する等価抵抗であり、L2はその自己インダクタンスである。交流信号源52の端子a,bから渦電流センサ側を見たインピーダンスZは、金属膜(または導電性膜)mf中に形成される渦電流損の大きさによって変化する。
【0042】
図1は、渦電流センサ50の出力信号処理回路54も示す。図2に示すように、研磨装置の研磨テーブル100は矢印で示すようにその軸心170まわりに回転可能になっている。この研磨テーブル100内には、交流信号源52および出力信号処理回路54が埋め込まれている。渦電流センサ50と交流信号源52および出力信号処理回路54を一体型としてもよい。出力信号処理回路54の出力信号172は、研磨テーブル100のテーブル軸100a内を通り、テーブル軸100aの軸端に設けられたロータリジョイント(図示せず)を経由して、終点検出コントローラ246(終点検出部)に出力される。なお、交流信号源52および出力信号処理回路54のうちの少なくとも一方を研磨テーブル100外に配置してもよい。終点検出コントローラ246は、検出された渦電流から被研磨物の研磨の終了を示す研磨終点を検出可能である。
【0043】
図4は、本実施形態の渦電流センサ50の構成例を示す概略図である。導電性膜が形成された基板(検出対象物であり、例えば半導体ウェハWHである。)の近傍に配置される渦電流センサ50は、基板に生成される渦電流を検出する第1の検出部180と、渦電流を検出する第2の検出部182とを有する。第1の検出部180は、渦電流を生成可能な第1の励磁コイル72と、渦電流を検出可能な第1の検出コイル73と、第1のダミーコイル74を有する。
【0044】
第1の励磁コイル72と、第1の検出コイル73と、第1のダミーコイル74は空芯コイルである。第1の励磁コイル72と第1の検出コイル73と第1のダミーコイル74は非磁性体のコアを有するコイルでもよい。第1の励磁コイル72と第1の検出コイル73と第1のダミーコイル74は、薄い樹脂製の基板の上に導体をらせん状に形成したものである。本図においては、基板は図示していない。
【0045】
第2の検出部182は、渦電流を生成可能な第2の励磁コイル860,862と、渦電流を検出可能な第2の検出コイル864,866と、第2のダミーコイル868,870を有する。第2の励磁コイル860,862と、第2の検出コイル864,866と、第2のダミーコイル868,870は、磁性体のポットコア60を有するコイルである。
【0046】
第1の検出部180は、半導体ウェハWHと第2の検出部182との間に配置される。なお、第1の検出部180は、第2の検出部182の外周に配置してもよい。この場合、第1の励磁コイル72と第1の検出コイル73と第1のダミーコイル74の中心部に穴を設け、穴の部分に第2の検出部182を配置することが好ましい。本図において、第1の励磁コイル72の中心軸184と、第1の検出コイル73の中心軸184と、第2の励磁コイル860,862の中心軸184と、第2の検出コイル864,866の中心軸184は一致する。
【0047】
第1の励磁コイル72の中心軸184と、第1の検出コイル73の中心軸184と、第2の励磁コイル860,862の中心軸184と、第2の検出コイル864,866の中心軸184が一致するように配置することが好ましい。その理由は、中心軸184が一致すると、第1の検出部180と第2の検出部182が半導体ウェハWHの同一地点の膜厚を測定するため、研磨の制御が正確かつ容易になるためである。中心軸184が一致しない場合、すなわち研磨テーブル100内の異なる地点に第1の検出部180と第2の検出部182を配置すると、半導体ウェハWHの膜厚が場所により変動することを考慮しなけ
ればならない場合があるからである。中心軸184は厳密に一致する必要はない。膜厚測定の精度等を考慮して、中心軸184の一致度を決めることができる。
【0048】
本図では第1の検出部180と第2の検出部182は、互いに近傍に配置されているが、第1の検出部180と第2の検出部182を離れた位置に配置してもよい。例えば、研磨テーブル100上の回転中心170に関して、対称な位置に第1の検出部180と第2の検出部182を配置してもよい。
【0049】
本図の第1の励磁コイル72と第1の検出コイル73と第1のダミーコイル74は、列を半導体ウェハWHに対して垂直方向、層を半導体ウェハWHに対して平行方向と定義したときに、導電体を1列複数層に巻いたコイルである。なお、第1の励磁コイル72と第1の検出コイル73と第1のダミーコイル74は、導電体を複数列複数層、1列1層、複数列1層に巻いたコイルでもよい。これらのなかでは、導電体を1列複数層に巻いたコイルが好ましい。磁性体コアを有しない薄い(すなわち扁平な)コイルは、広い範囲を検出可能だからである。なお、第2の励磁コイル860,862と、第2の検出コイル864,866と、第2のダミーコイル868,870は、導電体を複数列複数層に巻いたコイルである。
【0050】
磁性体であるポットコア60は、底面部61a(底部磁性体)と、底面部61aの中央に設けられた磁心部61b(中央磁性体)と、底面部61aの周辺部に設けられた周壁部61c(周辺部磁性体)とを有する。周壁部61cは、磁心部61bを囲うように底面部61aの周辺部に設けられる壁部である。本実施形態では、底面部61aは、円形のディスク形状であり、磁心部61bは、中実な円柱形状であり、周壁部61cは、底面部61aを囲うシリンダ形状である。第2の励磁コイルは、磁心部61bに配置される第2の中央励磁コイル860を有し、第2の検出コイルは、磁心部61bに配置される第2の中央検出コイル864を有する。第2のダミーコイルは、磁心部61bに配置された第2の中央ダミーコイル868を有する。
【0051】
第2の励磁コイルは、周壁部61cに配置される第2の周辺部励磁コイル862を有する。第2の検出コイルは、周壁部61cに配置される第2の周辺部検出コイル866を有する。第2の検出コイルは、周壁部61cに配置される第2の周辺部ダミーコイル870を有する。なお、周壁部61cに配置される第2の周辺部励磁コイル862、第2の周辺部検出コイル866、第2の周辺部ダミーコイル870は無くてもよい。この場合、第2の検出部182は、従来からあるポット型コアを有するコイルである。さらに第2の検出部182は、周壁部61cに配置される第2の周辺部励磁コイル862、第2の周辺部検出コイル866、第2の周辺部ダミーコイル870のみを有し、磁心部61bに配置される第2の中央検出コイル864、第2の中央励磁コイル860、第2の中央ダミーコイル868が無くてもよい。
【0052】
本図に示す第2の検出部182についてさらに説明する。6個のコイル860,862、864,866、868、870のうち中央のコイル860,862は、交流信号源52に接続される励磁コイルである。この励磁コイル860,862は、交流信号源52より供給される電圧の形成する磁界により、近傍に配置される半導体ウェハWH上の金属膜(または導電性膜)mfに渦電流を形成する。励磁コイル860,862の金属膜側には、検出コイル864,866が配置され、金属膜に形成される渦電流により発生する磁界を検出する。励磁コイル860,862を挟んで検出コイル864,866と反対側にはダミーコイル868、870が配置されている。
【0053】
励磁コイル860は、磁心部61bの外周に配置され、磁場を生成可能な内部コイルであり、導電性膜に渦電流を形成する。励磁コイル862は、周壁部61cの外周に配置さ
れ、磁場を生成可能な外部コイルであり、導電性膜に渦電流を形成する。検出コイル864は、磁心部61bの外周に配置され、磁場を検出可能であり、導電性膜に形成される渦電流を検出する。検出コイル866は、周壁部61cの外周に配置され、磁場を検出可能であり、導電性膜に形成される渦電流を検出する。
【0054】
渦電流センサは、導電性膜に形成される渦電流を検出するダミーコイル868、870を有する。ダミーコイル868は、磁心部61bの外周に配置され、磁場を検出可能である。ダミーコイル870は、周壁部61cの外周に配置され、磁場を検出可能である。検出コイルとダミーコイルは、本実施形態では、底面部61aの外周および周壁部61cの外周に配置されているが、底面部61aの外周および周壁部61cの外周の一方のみに配置してもよい。
【0055】
磁心部61bの軸方向は、基板上の導電性膜に直交し、検出コイル864,866と励磁コイル860,862とダミーコイル868,870は、磁心部61bの軸方向に異なる位置に配置され、かつ磁心部61bの軸方向に、基板上の導電性膜に近い位置から遠い位置に向かって、検出コイル864,866、励磁コイル860,862、ダミーコイル868,870の順に配置される。検出コイル864,866、励磁コイル860,862、ダミーコイル868,870からは、それぞれ、外部と接続するためのリード線(図示しない)が出ている。
【0056】
図4は、磁心部61bの中心軸872を通る平面における断面図である。磁性体であるポットコア60は、円板形状の底面部61aと、底面部61aの中央に設けられた円柱形状の磁心部61bと、底面部61aの周囲に設けられた円筒形状の周壁部61cとを有する。ポットコア60の寸法の1例としては、底面部61aの直径T1は約1cm~5cm、ポットコア60の高さT2は約1cmから5cmである。周壁部61cの外径は、図4では高さ方向に同一である円筒形状であるが、底面部61aから離れる方向に、すなわち先端に向かって細くなる先細形状(テーパ形状)でもよい。また、磁性体コアは、円板形状に限らず、楕円形、角形でもよい。また円柱に限らず、楕円柱、角柱でもよい。
【0057】
検出コイル864,866、励磁コイル860,862、ダミーコイル868,870に使用される導線は、銅、マンガニン線、又はニクロム線である。マンガニン線やニクロム線を使用することにより、電気抵抗等の温度変化が少なくなり、温度特性が良くなる。
【0058】
本実施形態では、フェライト等からなる磁心部61bの外側と、周壁部61cの外側に線材を巻き付けて、励磁コイル860,862を形成しているために、計測対象物に流れる渦電流密度を上げることができる。また、検出コイル864,866も磁心部61bの外側と、周壁部61cの外側に形成しているために、生成された逆磁場(鎖交磁束)を効率的に収集できる。
【0059】
計測対象物に流れる渦電流密度を上げるために、本実施形態では、さらに、励磁コイル860と励磁コイル862は、図5に示すように、並列に接続する。図5は、第2の検出部182における励磁コイルの接続例を示す概略図である。すなわち、内部コイルと外部コイルは電気的に並列に接続される。並列に接続する理由は、以下のとおりである。並列に接続すると、直列に接続した場合よりも、励磁コイル860と励磁コイル862に印加できる電圧が増加して、励磁コイル860と励磁コイル862に流れる電流が増加する。このため、磁場が大きくなる。また、直列に接続すると、回路のインダクタンスが増加して、回路の周波数が低下する。必要な高周波を励磁コイル860,862に印可することが困難になる。矢印874は、励磁コイル860と励磁コイル862に流れる電流の向きを示す。
【0060】
励磁コイル860と励磁コイル862は、図5に示すように、励磁コイル860と励磁コイル862の磁場方向が同じになるように接続する。すなわち、電流は励磁コイル860と励磁コイル862で異なる方向に流す。磁場876は、内側の励磁コイル860が生成する磁場であり、磁場878は、外側の励磁コイル862が生成する磁場である。図6に示すように、励磁コイル860と励磁コイル862の磁場方向は同じである。図6は、第2の検出部182による磁場を示す図である。すなわち、内部コイル(第2の中央励磁コイル860)が磁心部61b内に生成する磁場の方向と、外部コイル(第2の周辺部励磁コイル862)が磁心部61b内に生成する磁場の方向は同じである。
【0061】
第2の検出部182の上部である領域880に示す磁場876と磁場878は、同じ向きであるために、2つの磁場が加算されて大きくなる。従来のような励磁コイル860による磁場876のみが存在する場合に比べて、本実施形態では励磁コイル862による磁場878分だけ、磁場が大きくなる。図7(a)に第2の検出部182の平面図を示す。図7(b)は、図4の第2の検出部182の断面図である。
【0062】
図8は、本実施形態の渦電流センサ50における第1の検出部180の構成例を示す概略図である。本図に示すように、第1の検出部180は、半導体ウェハWH上の金属膜(または導電性膜)に渦電流を形成するための第1の励磁コイル72と、金属膜(または導電性膜)の渦電流を検出するための第1の検出コイル73とを有する。第1の励磁コイル72の第1の検出コイル73と反対側には第1のダミーコイル74が配置されている。基板186,188,190上にそれぞれ第1の検出コイル73、第1の励磁コイル72、第1のダミーコイル74が形成されている。第1の検出コイル73の上に樹脂製の保護層192が設けられている。保護層192は無くてもよい。第1の検出コイル73、第1の励磁コイル72、第1のダミーコイル74は、樹脂製のボビンに巻回された通常のソレノイドコイルでもよい。
【0063】
本図の第1の励磁コイル72は、交流信号源52に接続される発振コイルである。この発振コイル72は、交流信号源52より供給される電圧の形成する磁界により、近傍に配置される半導体ウェハWH上の金属膜(または導電性膜)mfに渦電流を形成する。第1の励磁コイル72の上側(金属膜(または導電性膜)側)には、第1の検出コイル73が配置され、金属膜(または導電性膜)に形成される渦電流により発生する磁界を検出する。
【0064】
図9は、渦電流センサ50の第1の検出部180における各コイルの接続例を示す概略図である。この例では、抵抗ブリッジ回路77を用いている。図9(a)に示すように、検出コイル73とダミーコイル74は互いに逆相に接続されている。検出コイル73とダミーコイル74は、逆相の直列回路を構成し、その両端は可変抵抗76を含む抵抗ブリッジ回路77に接続されている。
【0065】
具体的には、検出コイル73の信号線731は、抵抗ブリッジ回路77の端子773に接続され、検出コイル73の信号線732は、抵抗ブリッジ回路77の端子771に接続される。ダミーコイル74の信号線741は、抵抗ブリッジ回路77の端子772に接続され、ダミーコイル74の信号線742は、抵抗ブリッジ回路77の端子771に接続される。端子771は接地される。抵抗ブリッジ回路77の端子774がセンサ出力である。検出コイル73,励磁コイル72,ダミーコイル74は、それぞれインダクタンスL,L,Lを有する。
【0066】
励磁コイル72は交流信号源52に接続され、交番磁束を生成することで、近傍に配置される金属膜(または導電性膜)mfに渦電流を形成する。可変抵抗76の抵抗値を調整することで、検出コイル73とダミーコイル74からなる直列回路の出力電圧が、金属膜
(または導電性膜)が存在しないときにはゼロとなるように調整可能としている。検出コイル73とダミーコイル74のそれぞれに並列に入る可変抵抗76(VR,VR)でL,Lの信号を同位相にするように調整する。即ち、図9(b)の等価回路において、
VR1-1×(VR2-2+jωL3)=VR1-2×(VR2-1+jωL1) (1)
となるように、可変抵抗VR1(=VR1-1+VR1-2)およびVR2(=VR2-1+VR2-2)を調整する。これにより、図9(c)に示すように、調整前のL,Lの信号(図中点線で示す)を、同位相・同振幅の信号(図中実線で示す)とする。
【0067】
図10は、渦電流センサ50の第2の検出部182における各コイルの接続例を示す概略図である。図10の渦電流センサに対応した出力信号処理回路54の一例を図14に示す。図10は、図4に示す第2の検出部182を斜視図で示す。図10では理解の容易のために、上面218が上面220の上方にあるが、上面218と上面220は、図6に示すように同一水平面にある。図10では、コイル組立体が2組あるが、コイル組立体が3組以上あってもよい。コイル組立体が2組以上ある場合、コイル組立体が1組の場合に比べて、膜厚の測定数が増えるために、測定精度(S/N比)が向上する。
【0068】
第2の検出部182では、内側渦電流センサ286の検出コイル864と、外側渦電流センサ288の検出コイル866は直列に接続される。内側渦電流センサ286のダミーコイル868と、外側渦電流センサ288のダミーコイル870は直列に接続される。内側と外側の渦電流センサの励磁コイル860と励磁コイル862は、信号源52に並列に接続される。なお、検出コイル864と検出コイル866を並列に接続し、ダミーコイル868とダミーコイル870を並列に接続してもよい。
【0069】
図10では、1個のブリッジ回路77を使用しているが、2個のブリッジ回路77を使用してもよい。すなわち検出コイル864と検出コイル866をそれぞれ独立に2個のブリッジ回路77に接続し、ダミーコイル868とダミーコイル870をそれぞれ独立に当該2個のブリッジ回路77に接続してもよい。周波数特性の観点からは、独立に別個のブリッジ回路77に接続することが好ましい。なお、ブリッジ回路を用いなくてもよい。すなわち渦電流センサ50の出力を、ブリッジ回路を介さずに、出力信号処理回路54に直接入力して、処理することも可能である。ブリッジ回路を使用しないとき、ダミーコイル74,868、870は不要である。
【0070】
図10における具体的な接続は以下の通りである。内側渦電流センサ286において、検出コイル864は、信号線8641,8642を有する。励磁コイル860は、信号線8601,8602を有する。ダミーコイル868は、信号線8681,8682を有する。外側渦電流センサ288において、検出コイル866は、信号線8661,8662を有する。励磁コイル862は、信号線8621,8622を有する。ダミーコイル870は、信号線8701,8702を有する。
【0071】
内側渦電流センサ286の検出コイル864の信号線8641は、抵抗ブリッジ回路77の端子773に接続される。検出コイル864の信号線8642は、外側渦電流センサ288の検出コイル866の信号線8661に接続される。検出コイル866の信号線8662は、抵抗ブリッジ回路77の端子771に接続される。内側渦電流センサ286のダミーコイル868の信号線8681は、抵抗ブリッジ回路77の端子772に接続される。ダミーコイル868の信号線8642は、外側渦電流センサ288のダミーコイル870の信号線8701に接続される。ダミーコイル870の信号線8702は、抵抗ブリッジ回路77の端子771に接続される。
【0072】
本図においては、内側渦電流センサ286の検出コイル864の出力と、外側渦電流センサ288の検出コイル866の出力が直列であるため、検出コイルが1個の場合と比較
して、出力が大きくなるという効果がある。ブリッジ回路77の端子774が出力信号処理回路54(検波回路)に接続される。出力信号処理回路54の出力が出力信号172であり、図1に示す終点検出コントローラ246に接続される。
【0073】
図11に渦電流センサ50全体とブリッジ回路77との接続を示す。本図は、図8図10で説明した接続例をまとめたものである。渦電流センサ50とブリッジ回路77との接続は、煩雑さを避けるために略図で示す。上述したように渦電流センサ50は、種類が異なるコイルを有する。すなわち、第1の励磁コイルと第1の検出コイルは空芯コイル、または非磁性体のコアを有するコイルであり、第2の励磁コイルと第2の検出コイルは、磁性体のコアを有するコイルである。本実施形態では、種類が異なるコイルを用途によって選択する。
【0074】
フェライトなどの磁性体を有するコアコイル(第2の検出部182)と、コアコイルよりも扁平であるコイル(第1の検出部180)を組み合わせることにより、感度と、分解能と、スポット径を改善することができる。すなわち第2の検出部182と第1の検出部180は、異なるメリットを有する。第2の検出部182は渦電流を検出する範囲(スポット径と呼ばれる。)が小さく、薄膜での分解能が大きいというメリットを有する。ここで分解能とは、膜厚の変化量に対する渦電流センサの出力の変化量の比である。一方で、第2の検出部182は、第1の検出部180と比較すると、厚膜での分解能が小さい。
【0075】
第2の検出部182によるスポット径が小さい理由は以下の通りである。第2の検出部182は磁性体コアを有するため、狭い範囲に磁場を形成できるので、狭い範囲で効率よく磁束を検知できる。そのため、スポット径が小さくなる。扁平コイルなどの第1の検出部180の場合は、コアコイルである第2の検出部182と同じ出力にするためには、コアコイルよりも直径を大きくする必要がある。そのため、第2の検出部182では、小さいスポット径にするためには、コアコイルが必要である。
【0076】
扁平コイルもしくはソレノイドコイルである第1の検出部180は、周波数特性が良く、厚膜での分解能が高いというメリットを有する。ここで、周波数特性とは、コイルの共振点(コイルが共振する周波数)が高いか低いかという特性である。周波数特性が良いとは、コイルの共振点が高いことを意味する。コイルの共振点が高い場合、コイルに高い周波数を印加することができるので、センサの感度が高くなる。一方で、第1の検出部180は第2の検出部182と比較すると、薄膜での分解能が低く、スポット径が大きいという特徴がある。
【0077】
図12に渦電流センサ50が生成する磁場202を示す。図13に第1の検出部180の出力194と、第2の検出部182の出力196を示す。出力194は、第1の検出部180の第1の検出コイル73と第1のダミーコイル74の出力をブリッジ回路77で処理後に、ブリッジ回路77の端子774が出力する信号である。出力196は、第2の検出部182の第2の検出コイル864、866と第2のダミーコイル868、870の出力をブリッジ回路77で処理後に、端子774が出力する信号である。図の横軸は膜厚(単位はナノメートル(nm))であり、縦軸は電圧(単位はミリボルト(mv))である。
【0078】
図13からわかるように、膜厚が薄いときは、第2の検出部182の出力196は、第1の検出部180の出力194より大きく、膜厚が厚いときは、第2の検出部182の出力196は、第1の検出部180の出力194より小さい。膜厚に対する分解能の違いについても本図から、第2の検出部182は薄膜での分解能が大きく、第1の検出部180は厚膜での分解能が大きいことがわかる。
【0079】
本図では、センサの出力は膜厚に依存すると述べたが、より正確には、センサの出力は
膜の抵抗値に依存する。すなわち、抵抗値が高い金属(例えばチタンやルテニウム)の場合、厚膜であっても、抵抗値が高いためセンサの出力は小さい。一方、金のような抵抗値が低い金属の場合、薄膜であっても抵抗値が低いためセンサの出力は大きい。図13は、銅のような比較的、抵抗値が低い金属についての測定値である。
【0080】
図14は、渦電流センサ50の出力信号処理回路54(同期検波回路)を示すブロック図である。本図は、交流信号源52側から渦電流センサ50側を見たインピーダンスZの計測回路例を示している。本図に示すインピーダンスZの計測回路においては、膜厚の変化に伴う抵抗成分(R)、リアクタンス成分(X)、振幅出力(Z)および位相出力(tan-1R/X)を取り出すことができる。本図は第1の検出部180または第2の検出部182の処理回路を示す。すなわち、図11の2個のブリッジ回路77のうちの1個のブリッジ回路77について示す。2個のブリッジ回路77の出力信号はそれぞれ、同様な出力信号処理回路54で処理される。
【0081】
上述したように、検出対象の金属膜(または導電性膜)mfが成膜された半導体ウェハWH近傍に配置された渦電流センサ50に、交流信号を供給する信号源52は、水晶発振器からなる固定周波数の発振器であり、例えば、2MHz,8MHz,16MHzの固定周波数の電圧を供給する。信号源52で形成される交流電圧は、バンドパスフィルタ82を介して渦電流センサ50に供給される。渦電流センサ50の端子で検出された信号は、ブリッジ回路77を経て、cos同期検波回路85およびsin同期検波回路86からなる同期検波部により検出信号のcos成分とsin成分とが取り出される。ここで、信号源52で形成される発振信号は、位相シフト回路84により信号源52の同相成分(0゜)と直交成分(90゜)の2つの信号が形成され、それぞれcos同期検波回路85とsin同期検波回路86とに導入され、上述の同期検波が行われる。
【0082】
同期検波された信号は、ローパスフィルタ87,88により、信号成分以上の不要な高周波成分が除去され、cos同期検波出力である抵抗成分(R)出力と、sin同期検波出力であるリアクタンス成分(X)出力とがそれぞれ取り出される。また、ベクトル演算回路89により、抵抗成分(R)出力とリアクタンス成分(X)出力とから振幅出力(R+X1/2が得られる。また、ベクトル演算回路90により、同様に抵抗成分出力とリアクタンス成分出力とから位相出力(tan-1R/X)が得られる。
【0083】
次に、周辺部磁性体が、磁心部61bを囲うように底面部61aの周辺部に設けられる壁部61c(図7(a)参照)ではない例について図15~17により説明する。図15,16は、底面部61aが柱状の形状を有し、周壁部61cは、柱状の形状の両端に配置される渦電流センサ50である。図15は上面図である。図16は、図15のAA断面図である。周辺部磁性体61dは、底面部61aの周辺部に2個設けられている。この渦電流センサ50は、図16からわかるようにE型の磁性体コアを有する。図17は、周辺部磁性体61dが、底面部61aの周辺部に4個設けられている渦電流センサ50の上面図である。周辺部磁性体61dは、5個以上でもよい。なお、図4,15,17において、コイルは外側のみ(すなわち周壁部61c、または周辺部磁性体61dのみ)、内側のみ(すなわち磁心部61bのみ)でもよい。その時は内側のみの方がよい。なお、外側と内側の一方にのみコイルを設けるよりも、外側と内側の両方にコイルに設けることが好ましい。これまで、第2の検出部182の磁性体がポット型コアまたはE型コア等である場合について説明したが、第2の検出部182の磁性体は、棒状コアでもよい。
【0084】
渦電流センサ50は図4に示すように、ハウジング198を有することができる。この場合、第1の検出部180と第2の検出部182を金属製のハウジング198内に配置する。ハウジング198は、渦電流センサ50が外部から受ける電気的影響を低減することができる。第1の検出部180と第2の検出部182は例えば、コイル間の隙間等のハウ
ジング198内の隙間にエポキシ樹脂等の樹脂200を充てんすることによりハウジング198内に固定される。
【0085】
渦電流センサ50によって得られた膜厚に基づいて、研磨装置の各部を制御する方法について以下説明する。図1に示すように、渦電流センサ50は、出力信号処理回路54を介して、終点検出コントローラ246に接続される。終点検出コントローラ246は、機器制御コントローラ248に接続されている。従って渦電流センサ50の出力信号は、終点検出コントローラ246に送られる。終点検出コントローラ246は、出力信号処理回路54の出力信号172に対して必要な処理(演算処理・補正)を施してモニタリング信号(膜厚データ)を生成する。機器制御コントローラ248は、膜厚データに基づいて、トップリング用モータ114、研磨テーブル100用モータ(図示しない)等を制御する。
【0086】
次に、機器制御コントローラ248による研磨装置全体の制御について説明する。メインコントローラである機器制御コントローラ248は、CPUとメモリと記録媒体と、記録媒体に記録されたソフトウェア等とを有する。機器制御コントローラ248は、研磨装置全体の監視・制御を行い、そのための信号の授受、情報記録、演算を行う。機器制御コントローラ248は、研磨装置による研磨を制御する制御手段として機能するプログラムを内蔵する。終点検出コントローラ246も、CPUとメモリと記録媒体と、記録媒体に記録されたソフトウェア等とを有することができる。終点検出コントローラ246は、研磨の終了を示す研磨終点を検出する終点検出手段として機能するプログラムを内蔵する。なお、機器制御コントローラ248が、このプログラムの一部または全部を内蔵してもよい。プログラムは更新可能である。なお、プログラムは更新可能でなくてもよい。
【0087】
次に渦電流センサ50を用いた膜厚検出方法について説明する。本方法では、機器制御コントローラ248は、半導体ウェハWH(検出対象物)の電気抵抗が所定値より小さいと判断したときに第1の検出部180により、渦電流を検出して、膜厚を求める(ステップ1)。半導体ウェハWHの電気抵抗が所定値より大きいと判断したときに第2の検出部182により、渦電流を検出して、膜厚を求める(ステップ2)。機器制御コントローラ248は、半導体ウェハWHの電気抵抗が所定値より大きいかどうかの判断を例えば、以下の方法で行う。(1)研磨時間が所定時間経過するまでは、電気抵抗が所定値より小さいと判断とする、および/または(2)第1の検出部180の出力が所定値以下になるまでは、電気抵抗が所定値より小さいと判断とする、および/または(3)第2の検出部182の出力が所定値以下になるまでは、電気抵抗が所定値より小さいと判断とする、および/または(4)終点検出コントローラ246が生成した膜厚データに基づいて、膜厚が所定値より小さくなったときに、電気抵抗が所定値より小さいと判断とする。
【0088】
次に渦電流センサ50を用いた別の膜厚検出方法について説明する。本方法では、機器制御コントローラ248は、半導体ウェハWH(検出対象物)の膜厚が所定値より大きいと判断したときに第1の検出部180により、渦電流を検出して、膜厚を求める(ステップ11)。機器制御コントローラ248は、半導体ウェハWHの膜厚が所定値より小さいと判断したきに第2の検出部182により、渦電流を検出して、膜厚を求める(ステップ12)。機器制御コントローラ248は、半導体ウェハWHの膜厚が所定値より大きいかどうかの判断を例えば、以下の方法で行う。(1)研磨時間が所定時間経過するまでは、膜厚が所定値より大きいと判断とする、および/または(2)第1の検出部180の出力が所定値以下になるまでは、膜厚が所定値より大きいと判断とする、および/または(3)第2の検出部182の出力が所定値以下になるまでは、膜厚が所定値より大きいと判断とする、および/または(4)終点検出コントローラ246が生成した膜厚データに基づいて、膜厚が所定値より大きいと判断とする。
【0089】
以上、本発明の実施形態の例について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明には、その均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【符号の説明】
【0090】
50…渦電流センサ
54…出力信号処理回路
60…ポットコア
72…第1の励磁コイル
73…第1の検出コイル
74…第1のダミーコイル
77…ブリッジ回路
100…研磨テーブル
101…研磨パッド
110…トップリングヘッド
180…第1の検出部
182…第2の検出部
246…終点検出コントローラ
61a…底面部
61b…磁心部
61c…周壁部
61d…周辺部磁性体
860…第2の中央励磁コイル
862…第2の周辺部励磁コイル
864…第2の中央検出コイル
866…第2の周辺部検出コイル
868…第2の中央ダミーコイル
870…第2の周辺部ダミーコイル
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
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