(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092320
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】液体吐出装置および異常ノズル検出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240701BHJP
【FI】
B41J2/01 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208161
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】亀井 謙二
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA14
2C056EB13
2C056EB27
2C056EB30
2C056EB40
2C056EB45
2C056EC08
2C056EC72
2C056FA04
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】異常ノズルの検出精度を向上する。
【解決手段】
ノズルから液体を吐出して被検出部材にテストパターンを形成する液体吐出部と、前記テストパターンを撮影してテストパターン画像を取得する撮影部と、前記撮影部が取得した前記テストパターン画像に対して画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部の処理結果に基づいて前記ノズルの異常の有無を判断する判断部と、を備える液体吐出装置であって、前記テストパターンは、前記液体吐出部が被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて単位面積当たりの前記液体の量が多くなるようにして、前記被検出部材に形成される。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルから液体を吐出して被検出部材にテストパターンを形成する液体吐出部と、
前記テストパターンを撮影してテストパターン画像を取得する撮影部と、
前記撮影部が取得した前記テストパターン画像に対して画像処理を行う画像処理部と、
前記画像処理部の処理結果に基づいて前記ノズルの異常の有無を判断する判断部と、
を備える液体吐出装置であって、
前記テストパターンは、前記液体吐出部が被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて単位面積当たりの前記液体の量が多くなるようにして、前記被検出部材に形成されることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記テストパターンは、前記液体吐出部が前記被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて前記ノズルからの前記液体の吐出量を多くして形成されることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記テストパターンは、前記液体吐出部が前記被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて前記液体のドット間距離を小さくして形成されることを特徴とする請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ドット間距離を、環境温度に応じて変更することを特徴とする請求項3記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記環境温度が、前記液体吐出部からの液体の吐出量が減少する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を縮めて前記テストパターンを形成し、前記環境温度が、前記液体吐出部からの液体の吐出量が増加する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を広げて前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項4記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記ドット間距離を、前記液体の種類に応じて変更することを特徴とする請求項3または4記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体を種類の異なる液体に交換したことによって、前記液体吐出部からの液体の吐出量が減少する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を縮めて前記テストパターンを形成し、前記液体を種類の異なる液体に交換したことによって、前記液体吐出部からの液体の吐出量が増加する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を広げて前記テストパターンを形成することを特徴とする請求項6記載の液体吐出装置。
【請求項8】
ノズルから液体を吐出して被検出部材にテストパターンを形成するテストパターン形成ステップと、
前記テストパターンを撮影してテストパターン画像を取得する撮影ステップと、
前記撮影ステップで取得した前記テストパターン画像に基づいて前記ノズルの異常の有無を判断する判断ステップと、
を備える液体吐出装置の異常ノズル検出方法であって、
前記テストパターンは、被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて単位面積当たりの前記液体の量が多くなるようにして、前記被検出部材に形成されることを特徴とする異常ノズル検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および異常ノズル検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、印刷用紙上にインクを吐出する複数のノズルを有し、印刷用紙上に所定の解像度で画像を記録する記録ヘッドと、記録ヘッドにより記録された所定のテストパターンを、記録ヘッドの解像度よりも低い解像度で読み取るスキャナと、スキャナにより読み取られた読み取りデータを補間処理する補間処理手段と、補間処理手段により補間処理された読み取りデータに基づいて、ノズルの異常を判定する判定手段と、を備えたインクジェット方式の印刷装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなテストパターンは、スキャナやカメラ等の読取装置によって読み取るだけでなく、明らかな異常はユーザが目視でも判断することが可能なように、ある程度の長さと幅を有した形状で形成されるのが一般的である。読取装置を用いてノズルの異常を判断する場合は、読取装置が取得したテストパターン画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理の結果に基づいてノズルの異常を判断する。例えば、画像処理によってテストパターン画像の重心位置を求め、基準の重心位置からのずれ量を測定することでノズルに曲がりが発生しているかを判断する方法がある。
【0005】
しかし、この方法の場合、読取装置の読み取り誤差により、読取装置が本来取得すべきテストパターンよりも広い範囲をテストパターンとして誤認識してしまうことがある。誤認識されたテストパターン画像の面積は、正しく認識されたテストパターン画像の面積よりも大きいことから、テストパターン画像の重心位置も変動してしまう。その結果、ノズル曲がり等の異常ノズルを精度よく検出できないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ノズルから液体を吐出して被検出部材にテストパターンを形成する液体吐出部と、前記テストパターンを撮影してテストパターン画像を取得する撮影部と、前記撮影部が取得した前記テストパターン画像に対して画像処理を行う画像処理部と、前記画像処理部の処理結果に基づいて前記ノズルの異常の有無を判断する判断部と、を備える液体吐出装置であって、前記テストパターンは、前記液体吐出部が被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて単位面積当たりの前記液体の量が多くなるようにして、前記被検出部材に形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異常ノズルの検出精度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略構成図。
【
図2】実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略構成図。
【
図4】ノズルを複数有したヘッドの構成例を示す図。
【
図5】複数のノズルが形成されたノズル面を二面有したヘッドの構成例を示す斜視図。
【
図8】制御装置のハードウエア構成の一例を示す図。
【
図10】ノズルの状態とテストパターンの関係を説明する図。
【
図11】ベタ塗りとノズル曲がりの関係を説明する図。
【
図12】比較例における曲がり検出の一例を示す図。
【
図13】実施形態における曲がり検出の一例を示す図。
【
図16】洗浄液がテストパターンに及ぼす不具合を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための形態を説明する。図面の説明において同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
<液体吐出装置の概要>
はじめに
図1および
図2を用いて液体吐出装置の概要について説明する。
図1および
図2は、実施形態に係る液体吐出装置の一例を示す概略構成図である。
図1および
図2には、自動車の車体を塗装する塗装ロボットを含む塗装システムが例示されている。
【0011】
液体吐出装置の一例である塗装システム10000において、被吐出物の一例である車体Uの右側には塗装ロボット1000Aが設置され、車体Uの左側には塗装ロボット1000Bが設置されている。例えば、塗装ロボット1000Aは車体Uの外板全体のうち右側半分を塗装し、塗装ロボット1000Bは車体Uの外板全体のうち左側半分を塗装する。以降、塗装ロボット1000Aと塗装ロボット1000Bを総称して説明する場合は「塗装ロボット1000」という。
【0012】
塗装ロボット1000は、例えば多関節ロボットであり、ベース1001、ベース1001と連結した第1アーム1002、第1アーム1002と連結した第2アーム1003、および第2アーム1003と連結したエンドエフェクタ1004を備える。また、塗装ロボット1000は、ベース1001と第1アーム1002とを連結する第1ジョイント1005、第1アーム1002と第2アーム1003とを連結する第2ジョイント1006、および第2アーム1003とエンドエフェクタ1004とを連結する第3ジョイント1007を備える。
【0013】
ベース1001は、Z軸と平行な軸を回転軸にして矢印a方向に旋回可能である。また、ベース1001は、第1アーム1002が水平軸(XY平面と平行な軸)を回転軸にして矢印b方向に回動可能となるように、第1ジョイント1005を介して第1アーム1002の一端部を支持している。第1アーム1002の他端部は、第2アーム1003が水平軸(XY平面と平行な軸)を回転軸にして矢印c方向に回動可能となるように、第2ジョイント1006を介して第2アーム1003の一端部に接続されている。
【0014】
第2アーム1003は、矢印c方向の回転軸と直交する軸も備え、この直交する軸を回転軸にして第2ジョイント1006に対し矢印d方向の回転も可能である。第2アーム1003の他端部は、エンドエフェクタ1004が水平軸(XY平面と平行な軸)を回転軸にして矢印e方向に回動可能となるように、第3ジョイント1007を介してエンドエフェクタ1004を支持している。エンドエフェクタ1004は、矢印e方向の回転軸と直交する軸も備え、この直交する軸を回転軸にして第3ジョイント1007に対し矢印f方向の回転も可能である。
【0015】
上記構成の塗装ロボット1000は、車体Uに対してエンドエフェクタ1004を自由に動かし、エンドエフェクタ1004に取り付けられたヘッド100を車体Uの塗装を施す位置に正確に配置することができる。ヘッド100は、塗装位置に配置されると車体Uに向けて液体の一例である塗料を吐出して車体Uを塗装する。
【0016】
塗装システム10000は、
図2に示されるように塗装ロボット1000が届く範囲に維持ステーション2000を備える。維持ステーション2000は、維持・洗浄部2001を備え、塗装実施前、塗装終了時または塗装時間が規定の時間を経過した時、ヘッド100は塗装ロボット1000によって維持・洗浄部2001に移される。
【0017】
維持・洗浄部2001には、例えば、ヘッド100のノズル面に対して拭き取り清掃を実行する清掃機構、ヘッド100に対して空吐出を実行させた際にノズルから吐出された塗料を受けるための収容部(空吐出受け)等の維持装置が備えられている。
【0018】
また、維持・洗浄部2001には、塗装実施前または塗装時間が規定の時間を経過した時、ヘッド100のすべてのノズルで吐出動作が行われて形成されるテストパターンを保持するメディア板が備えられている。メディア板については後述する。
【0019】
また、維持・洗浄部2001には、ヘッド100のノズル面に対して洗浄液や洗浄エアを吹き付けてノズル面を洗浄する洗浄装置、およびメディア板に対して洗浄液や洗浄エアを吹き付けてメディア板からテストパターンを除去する洗浄装置が備えられている。
【0020】
なお、本実施形態において塗装システム10000は、車体Uの両側に塗装ロボット1000を1台ずつ設置した構成としたが、これに限るものではない。塗装ロボットの数は、車体Uの塗装面積、作業効率等を踏まえて適宜決めてよく、塗装ロボットは塗装システム10000内に1台であってもよいし、3台以上であってもよい。
【0021】
また、塗装ロボット1000が複数台の場合、維持ステーション2000は、複数の塗装ロボットで共用にしてもよいし、塗装ロボット毎に設置してもよい。維持ステーション2000は、上述の空吐出によってノズルから吐出された塗料や、ノズル面およびメディア板洗浄時の洗浄液などが車体Uに付着しないよう、車体Uから離れた位置に設置される。
【0022】
なお、被吐出物は自動車の車体に限るものではなく、航空機の機体、船舶の船体、鉄道車両の車体等、自動車以外の乗り物であってもよい。また、塗装ロボットは、定置型のロボットに限るものではなく、例えば、遠隔操作や自律走行によって移動が可能なロボットであってもよい。その場合の移動型ロボットは、地上を移動するものに限らず、壁面の登り降りが可能なクライミングロボット、あるいはドローンに代表される飛行が可能な無人飛行機を含む。移動型ロボットの場合、被吐出物は乗り物に限らず、道路や建物も被吐出物の対象となり、道路の路面標示(横断歩道、停止線、速度表示等)の塗装や、建物の外壁塗装等に対応することが可能になる。
【0023】
<ヘッドの概略構成と動作>
次に、
図3を用いてヘッドの概略構成と動作について説明する。
図3は、ヘッドの概略構成を説明する図であり、
図3(a)はノズルが閉じた状態を示す要部概略図、
図3(b)はノズルが開いた状態を示す要部概略図である。
【0024】
塗装ロボット1000のエンドエフェクタ1004には、複数のノズルを備えたヘッドを搭載するが、
図3にはヘッド最小単位(1ノズル)の構成が図示されている。
【0025】
ヘッド100は、中空状に形成されたハウジング110と、ハウジング110の一端部に設けられたノズル板101を備える。ノズル板101は、塗料を吐出するノズル102が形成された板状の部材である。
【0026】
ハウジング110は、ノズル102に近い側面に、塗料が供給される供給口113を備える。供給口113に供給された塗料は、ハウジング110内の液室114へ送られる。液室114は、概略としてノズル板101と、ハウジング110内に設けた封止部材135との間の空間によって形成される。
【0027】
封止部材135は、例えばゴム等の弾性体からなる。本実施形態では、封止部材135としてゴム製のOリングが用いられ、ハウジング110の内面と、液室114内に配置したニードル弁131の外周面との間の隙間を封止するように、ニードル弁131にOリングが嵌められている。これにより、封止部材135は液室114の塗料が圧電素子132側へ流入することを防止する。
【0028】
圧電素子132は、封止部材135を境に液室114の隣(
図3では上方)に形成されたハウジング110の空間110a内に設けられる。圧電素子132には、ニードル弁131が接合されており、後述するヘッド制御部902からの指示に応じて、圧電素子132はニードル弁131を、ノズル102を閉塞する位置とノズル102を開放する位置との間で移動させる。ノズル102を閉塞する位置では、ニードル弁131の先端がノズル板101に当接した状態となり、ノズル102を開放する位置では、ニードル弁131の先端がノズル板101から離間した状態となる。圧電素子132は、ジルコニアセラミックス等を用いて形成されたピエゾ素子であり、圧電素子132の形状等は、吐出させる塗料の量などに応じて適宜設定される。
【0029】
上記構成において、例えば、圧電素子132に駆動電圧(開放電圧)が印加されると、
図3(b)に示されるように圧電素子132が矢印Aの方向に収縮する。圧電素子132の収縮に伴いニードル弁131はノズル板101から離間する。これにより、ノズル102が開き、ノズル102と液室114とが連通し、液室114内の塗料はノズル102から吐出される。圧電素子132は、例えば2kHzの周波数でノズル102を高速開閉させ、塗料を一滴ずつ液滴Dとして吐出することができる。
【0030】
圧電素子132に駆動電圧(閉塞電圧)が印加された場合は、圧電素子132が矢印Aと反対の方向に伸長する。圧電素子132の伸長に伴いニードル弁131はノズル板101に当接する。これにより、ノズル102が閉じ、ノズル102と液室114との連通状態が遮断され、液室114内の塗料の吐出は停止される。
【0031】
<ヘッドの構成例>
続いて、
図4および
図5を用いてヘッドの構成例について説明する。
図4は、ノズルを複数有したヘッドの構成例を示す図であり、ヘッドをノズル板側から見た平面図である。
図5は、複数のノズルが形成されたノズル面を二面有したヘッドの構成例を示す斜視図である。
【0032】
図4において複数ノズルヘッド700は、複数(本例では6個)のサブヘッド100a~100fから構成される。サブヘッド100a~100fはノズル板101を備え、各ノズル板101には複数(本例では8個)のノズル102a~102hが形成されている。つまり、1つのサブヘッドは、
図3に示されたヘッドを実質8セット備えた構成となっている。8個のノズル102a~102hのうち、ノズル102a,102b,102c,102dで1つのノズル列を形成し、ノズル102e,102f,102g,102hでもう1つのノズル列を形成している。2つのノズル列は、図において上からノズル102e、ノズル102a、ノズル102f、ノズル102b・・・、と互い違いに配置されるようにノズル板101に形成されており、複数のノズルが二次元配置されている。
【0033】
各ノズル102a~102hには、
図3に示したようなニードル弁131および圧電素子132がノズル毎に設けられている。圧電素子132に駆動電圧(開放電圧)が印加されるとニードル弁131がノズル102を開く方向に移動し、ノズル102から塗料が吐出される。
【0034】
サブヘッド100a~100fは、それぞれのノズル102a~102hが相互に重ならないよう、上下方向にわずかに位置をずらして複数ノズルヘッド700のハウジング710に取り付けられている。これにより、例えばサブヘッド100aのノズル102eとノズル102aとの間は、別のサブヘッドのノズルによって補間され、高解像度での記録が可能になる。
【0035】
上記構成の複数ノズルヘッド700は、塗装ロボット1000のエンドエフェクタ1004に取り付けることが可能であり、車体Uに対して高解像度での塗装を可能にする。
【0036】
なお、
図4に示されたサブヘッドの数、ノズルの数は一例であり、これに限るものではない。例えば、サブヘッドは6個より少なくてもよいし、多くてもよい。また、1つのノズル板101に形成されるノズルは8個より少なくてもよいし、多くてもよい。また、1つのノズル板101に形成されるノズル列は2列に限らず、3列以上としてもよい。
【0037】
複数ノズルヘッド700は、1つに限らず、複数ノズルヘッド700を複数個アレイ状につなげて用いてもよい。例えば、塗装ロボット1000のエンドエフェクタ1004に、複数ノズルヘッド700をアレイ状に隣接させて取り付けてもよい。これにより、塗装の解像度をより高めることができる。
【0038】
また、自動車の車体などは複雑な表面形状を含むものがあるため、
図5に示されるようにノズル数を異ならせた複数ノズルヘッド700A,700Bを備え、塗装面の表面形状に合わせて複数ノズルヘッド700A,700Bを使い分ける構成としてもよい。例えば、複数ノズルヘッド700Aは96個のノズル102Aを有したノズル面101Aを備え、複数ノズルヘッド700Bは8個のノズル102Bを有したノズル面101Bを備える。
【0039】
複数ノズルヘッド700Aと複数ノズルヘッド700Bは、ノズル面101A,101Bの向きを異ならせてヘッド保持部材720に保持されている。本実施形態ではノズル面101Aとノズル面101Bとを90度ずらして設置している。また、ノズル面101Bは、ノズル面101Aに比べて面積を小さくし、車体Uの狭い部位の塗装に対応できるサイズに構成されている。
【0040】
上記構成において、ヘッド保持部材720を塗装ロボット1000のエンドエフェクタ1004に取り付け、車体Uの形状に応じて複数ノズルヘッド700A,700Bを切り替えることで複雑な表面形状への塗装が可能になる。なお、ノズル102A、102Bの数や配列は一例であり、これに限るものではない。また、本例ではノズル面101Aとノズル面101Bの向きが異なる構成としたが、ノズル面101Aとノズル面101Bの向きは同じであってもよい。
【0041】
<メディア板の構成例>
続いて、
図6を用いてメディア板の構成例について説明する。
図6は、メディア板の構成例を示す図である。
【0042】
維持ステーション2000の維持・洗浄部2001には、塗装実施前または塗装時間が規定の時間を経過した時、すべてのノズルで吐出動作が行われて形成されるテストパターンを保持するメディア板2002が備えられている。ここで、メディア板2002は、被検出部材の一例である。
【0043】
メディア板2002は、メディア板支持部材2003にネジ等で固定されている。維持ステーション2000のフレーム2004にはベース板2005が固定されており、このベース板2005を介してカバー部材2006が取り付けられている。メディア板2002を乗せたメディア板支持部材2003は、矢印B方向に往復動が可能であり、メディア板支持部材2003はカバー部材2006の内部をくぐり、ベース板2005の後側に抜けることができる。ベース板2005の後側には、メディア板2002の表面に形成されたテストパターンを除去するための洗浄機構等が備えられている。
【0044】
テストパターン除去後のメディア板2002を乗せたメディア板支持部材2003は、次のテストパターン形成に合わせてカバー部材2006の内部をくぐり、ベース板2005の前側に移動する。メディア板2002にテストパターンを形成する際は、ヘッド100(700,700A,700B)を破線で示すようにメディア板2002の真上に位置させ、この状態ですべてのノズルに対して吐出動作を実行させる。
【0045】
なお、上記の説明では、メディア板2002を維持ステーション2000内に備える構成としたが、メディア板2002は維持ステーション2000とは異なる場所に設置してもよい。
【0046】
<塗装システムの機能構成>
次に、
図7を用いて実施形態に係る塗装システムの機能構成について説明する。
図7は、塗装システムの機能構成の一例を示す図である。
【0047】
図7において、塗装システム10000は、制御装置901、ヘッド制御部902、端末装置903、ロボット制御部904、維持制御部905、塗装ロボット1000、および維持ステーション2000を備える。
【0048】
制御装置901は、算出部9011、特定部9012、判断部9013、記憶・読出部9014、記憶部9015、撮影制御部9016、画像処理部9017、同期制御部9018および環境情報取得部9019等を備える。
【0049】
制御装置901は、車体Uの塗装データや指示を端末装置903から受信し、塗装システム10000の全体動作を制御する。
【0050】
算出部9011は、後述のCPU9001の処理によって実現され、端末装置903から受信する塗装データに基づいて車体Uの塗装領域におけるヘッド100(700,700A,700B)の移動方向、および当該塗装領域において塗料を吐出させるノズル数を算出する。
【0051】
特定部9012は、後述のCPU9001の処理によって実現され、端末装置903から受信する塗装データに基づいて車体Uの塗装領域等を特定する。
【0052】
判断部9013は、後述のCPU9001の処理によって実現され、各種判断を行う。
【0053】
記憶・読出部9014は、主に、後述のCPU9001の処理によって実現され、記憶部9015に各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部9015から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0054】
記憶部9015は、後述のROM9002、RAM9003、HDD/SSD9004等によって構築され、端末装置903から受信した塗装データ、塗装対象範囲(塗装対象サイズ)データ、塗装領域データ、塗料の仕様データ等を格納する。
【0055】
撮影制御部9016は、主に、後述するI/Oインターフェース9005に対するCPU9001の処理によって実現され、例えば、塗装ロボット1000がカメラ等の撮影装置を備える場合、塗装ロボット1000の撮影部1010に対する撮影処理を制御する。撮影制御部9016は、例えば、撮影部1010に対する撮影処理を指示する。また、撮影制御部9016は、例えば、撮影部1010による撮影処理で得られた撮影画像を取得する。
【0056】
画像処理部9017は、主に、後述のCPU9001の処理によって実現され、撮影制御部9016が撮影部1010から取得した撮影画像に対して所定の処理を実行する。画像処理部9017は、例えば、撮影制御部9016が取得したヘッド100の試し打ち画像(テストパターンを撮影した画像)に対して所定の処理を実行し、塗料の吐出状態の判断に用いる画像データを生成する。
【0057】
同期制御部9018は、後述のCPU9001の処理によって実現され、端末装置903から受信した塗装データおよび塗装指示等に基づき、塗装ロボット1000の動作と、塗料吐出部1030の吐出動作とを同期させる。
【0058】
環境情報取得部9019は、主に、後述するI/Oインターフェース9005に対するCPU9001の処理によって実現され、例えば、塗装システム10000内の環境温度、あるいは塗料の温度等を示す温度情報を取得する。
【0059】
ヘッド制御部902は、制御装置901からの指示に基づき塗料吐出部1030における塗料の吐出動作を制御する。
【0060】
端末装置903は、RIP(Routing Information Protocol)部9031、レンダリング部9032、表示制御部9033および受付部9034を備える。
【0061】
RIP部9031は、カラープロファイルやユーザの設定に応じて画像処理を行う。
【0062】
レンダリング部9032は、塗装データを走査毎(例えばヘッド100の主走査方向の移動毎)の画像データに分解する。
【0063】
表示制御部9033は、主に、後述のCPU9001の処理によって実現され、ディスプレイ等の表示部に各種画面を表示させる。
【0064】
受付部9034は、主に、通信インターフェース9006に対するCPU9001の処理によって実現され、ユーザから各種の選択または入力を受け付ける。受付部9034は、例えば、車体Uに施す塗装データおよび座標データの設定や、塗装モードの選択、塗装範囲(塗装開始位置、塗装終了位置)の設定、塗装指示等を受け付ける。なお、受付部9034はタッチパネルで構成されてもよい。
【0065】
また、端末装置903は、受付部9034が受け付けた塗装データ、および塗装ロボット1000が備えるヘッド位置測定部1020から取得した位置データに基づき、塗装ロボット1000の移動軌跡を生成する。
【0066】
ロボット制御部904は、制御装置901からの指示に基づきアーム駆動部1050の駆動を制御する。アーム駆動部1050の駆動を制御することによって、塗装ロボット1000の第1アーム1002、第2アーム1003およびエンドエフェクタ1004(ヘッド100)は所望の位置に移動する。また、ロボット制御部904は、アーム駆動部1050の駆動状態を示す駆動状態情報を制御装置901に送信する。
【0067】
維持制御部905は、制御装置901からの指示に基づき維持ステーション2000の洗浄液供給部2010、洗浄エア供給部2020および維持駆動部2030を制御する。また、維持制御部905は、維持ステーション2000の動作状態を示す動作状態情報を制御装置901に送信する。
【0068】
塗装ロボット1000は、撮影部1010、ヘッド位置測定部1020、塗料吐出部1030、アーム位置検出部1040およびアーム駆動部1050を備える。
【0069】
撮影部1010は、例えば、塗装ロボット1000に取り付けたヘッド100の近くに設置されるカメラ等の撮影装置によって実現され、撮影制御部9016からの指示に応じて撮影処理を実行する。また、撮影部1010は、撮影制御部9016からの指示に応じて撮影処理で得られた撮影画像を制御装置901へ送信する。
【0070】
ヘッド位置測定部1020は、例えば、塗装ロボット1000に取り付けたヘッド100の近傍に設置されるセンサによって実現され、車体Uの表面(塗装面)に対するヘッド100の位置や姿勢(塗装面に対する傾き等)を測定する。ヘッド位置測定部1020には、3Dセンサ、3Dカメラ、レーザ変位計等を用いることができる。例えば、3Dセンサや3DカメラによってXY方向の位置や傾きの測定、塗装開始位置の検出、および塗装対象サイズの検出等を行う。また、レーザ変位計によってZ方向の測定、塗装面までの距離、および塗装面の表面形状(曲率等)の検出等を行う。また、ヘッド位置測定部1020は、上記の測定結果および検出結果を制御装置901へ送信する。
【0071】
塗料吐出部1030は、塗装ロボット1000に取り付けたヘッド100(700,700A,700B)によって実現され、ヘッド制御部902からの指示に基づき塗料を吐出する。塗料吐出部1030は、液体吐出部の一例である。
【0072】
アーム位置検出部1040は、例えば第1ジョイント1005、第2ジョイント1006および第3ジョイント1007等が備えるエンコーダの各スリットを光学的に検出する。そして、第1アーム1002、第2アーム1003およびエンドエフェクタ1004の回転量からそれらの位置を検出し、エンドエフェクタ1004の3次元での位置情報を取得する。
【0073】
アーム駆動部1050は、ロボット制御部904からの指示に基づき塗装ロボット1000の第1アーム1002、第2アーム1003およびエンドエフェクタ1004(ヘッド100)等を所望の位置へ動かす。また、アーム駆動部1050は、第1アーム1002、第2アーム1003およびエンドエフェクタ1004等の駆動状態を示す駆動状態情報等をロボット制御部904に送信する。
【0074】
維持ステーション2000は、洗浄液供給部2010、洗浄エア供給部2020および維持駆動部2030を備える。維持ステーションは、洗浄液供給部2010および洗浄エア供給部2020の供給動作の状態を示す動作状態情報、ならびに維持駆動部2030の駆動状態を示す駆動状態情報を維持制御部905に送信する。
【0075】
洗浄液供給部2010は、ヘッド100(700,700A,700B)のノズル板101およびノズル102に洗浄液Lcを吹き付ける洗浄ノズル等を備え、維持制御部905からの指示に基づき洗浄液を吐出する。
【0076】
洗浄エア供給部2020は、例えば、ヘッド100(700,700A,700B)のノズル板101およびノズル102に洗浄エアを吹き付けるエアノズル等を備え、維持制御部905からの指示に基づき洗浄エアを吐出する。
【0077】
維持駆動部2030は、例えば、洗浄ノズルやエアノズルをヘッド100(700,700A,700B)に対して進退移動させる移動機構、ノズル面を拭き取り清掃する清掃部材を移動させる移動機構、空吐出受けをヘッド100に対して進退移動させる移動機構等、各種移動機構を駆動する。また、維持駆動部2030は、維持ステーション2000が、ヘッド100にテストパターンを打たせるためのメディア板を備えている場合、当該メディア板をヘッド100に対して進退移動させる移動機構を駆動する。
【0078】
なお、ヘッド制御部902およびロボット制御部904は、塗装ロボットを複数台(1000A,1000B,・・・)設置する場合は、塗装ロボット毎に設けられる。また、端末装置903に設けたRIP部9031、レンダリング部9032の機能、ならびにヘッド制御部902、ロボット制御部904および維持制御部905の機能は、制御装置901に設ける構成としてもよい。
【0079】
<制御装置のハードウェア構成>
次に、
図8を用いて制御装置901のハードウエア構成について説明する。
図8は、制御装置のハードウエア構成の一例を示す説明図である。なお、
図8に示されているハードウエア構成は、必要に応じて構成要素が追加または削除されてもよい。
【0080】
制御装置901は、CPU(Central Processing Unit)9001、ROM(Read Only Memory)9002、RAM(Random Access Memory)9003、HDD(Hard Disk Drive)/SSD(Solid State Drive)9004、I/O(Input/Output)インターフェース9005、通信インターフェース9006、およびバスライン9007を備える。
【0081】
CPU9001は、ROM9002に格納されたプログラムもしくはデータをRAM9003上に読み出し、処理を実行することで、対象とする装置または対象とするユニットの各機能を実現する演算装置である。
【0082】
ROM9002は、電源を切ってもプログラムまたはデータを保持することができる不揮発性のメモリである。
【0083】
RAM9003は、CPU9001のワークエリア等として用いられる揮発性のメモリである。
【0084】
HDD/SSD9004は、CPU9001の制御にしたがって各種データの読み出し、または書き込みを制御する。
【0085】
I/Oインターフェース9005は、塗装ロボット1000、ヘッド制御部902、ロボット制御部904、維持制御部905等の機器との間で入出力するためのインターフェースである。
【0086】
通信インターフェース9006は、通信ネットワークを経由して端末装置903などのデータ処理を行う機器との通信(接続)を行うインターフェースである。
【0087】
バスライン9007は、上記各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等であり、アドレス信号、データ信号、および各種制御信号等を伝送する。CPU9001、ROM9002、RAM9003、HDD/SSD9004、I/Oインターフェース9005、および通信インターフェース9006は、バスライン9007を介して相互に接続されている。
【0088】
<テストパターンの概要>
次に、
図9乃至
図11を用いてテストパターンの概要について説明する。
図9は、テストパターンの一例を示す説明図、
図10は、ノズルの状態とテストパターンの関係を説明する図、
図11は、ベタ塗りとノズル曲がりの関係を説明する図である。
【0089】
図9において、
図9(a)は、テストパターンが形成されたメディア板の一例を示す平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のP部の拡大図である。
【0090】
図9(a)には、
図5に示された複数ノズルヘッド700A,700Bによりメディア板2002に形成されたテストパターンを示している。このテストパターンを得る場合は、複数ノズルヘッド700Aのノズル面101Aがメディア板2002と対向するように、塗装ロボット1000によりヘッドを移動させ、複数ノズルヘッド700Aのすべてのノズル102Aに対して吐出動作を実行させる。複数ノズルヘッド700Aのすべてのノズル102Aが正常であれば、
図9(a)に示すようなテストパターンTPAが得られる。
【0091】
次に、塗装ロボット1000によってヘッド保持部材720を90度回転させて、複数ノズルヘッド700Bのノズル面101Bを、テストパターンTPAが形成されていないメディア板2002の領域に対向させる。次に、複数ノズルヘッド700Bのすべてのノズル102Bに対して吐出動作を実行させる。複数ノズルヘッド700Bのすべてのノズル102Bが正常であれば、
図9(a)に示すようなテストパターンTPBが得られる。
【0092】
なお、以降の説明において、テストパターンの長さを「パターン長さ」とも呼び、パターン長さとは
図9(b)に示されるようにテストパターンの主走査方向の長さを意味するものとする。また、テストパターンの幅を「パターン幅」とも呼び、パターン幅とは
図9(b)に示されるようにテストパターンの副走査方向の長さを意味するものとする。
【0093】
図10は、ノズルの状態とテストパターンの関係を示している。ここでは、複数ノズルヘッド700Aによって形成されるテストパターンTPAを例に説明することとする。メディア板2002に形成されたテストパターンTPAから以下のようなノズル状態を把握することができる。
【0094】
ノズル状態の判断は、予め設定した基準パターンの面積値と、メディア板2002に形成されたテストパターンTPAの面積値とを比較することで行われる。
【0095】
図10(a)は正常時を示している。この場合は基準パターンの面積値とテストパターンTPAの面積値とが同等の値となるため、制御装置901はノズルが正常であると判断する。
【0096】
図10(b)は常時吐出を示している。この場合は例えば1つのノズルが塗料を吐出し続けるため、テストパターンTPA中に1本の線T1となって現れる。その結果、テストパターンTPAの面積値は基準パターンの面積値よりも大きい値となるため、制御装置901は、常時吐出を起こしているノズルがあると判断する。
【0097】
図10(c)は不吐出を示している。この場合は例えば1つのノズルから塗料が吐出されないため、テストパターンTPA中に空白T2となって現れる。その結果、テストパターンTPAの面積値は基準パターンの面積値よりも小さい値となるため、制御装置901は、不吐出を起こしているノズルがあると判断する。
【0098】
図10(d)は曲がりを示している。この場合はノズルから吐出された塗料が狙いの位置に正しく着弾せず、テストパターンTPA中に位置ずれを起こしたパターンT3となって現れる。曲がりの場合、テストパターンTPAの面積値は基準パターンの面積値と同等の値であるため、面積値を比較する方法で曲がりを検出することは困難である。そこで、曲がりについては、曲がりがない状態の基準データを予め取得しておき、基準データの重心位置と、テストパターンTPAを構成する個々のパターンの重心位置とを比較することによりパターンの曲がり量を測定する。測定の結果、曲がり量が規定の値を超えている場合は制御装置901は曲がりと判断する。なお、
図10(d)については、現象をわかりやすくするためパターンT3の位置を大きくずらして図示されているが、実際のずれ量(曲がり量)は微小である。
【0099】
図11は、正常なノズルでベタ塗りを行なった場合(
図11(a))と、曲がりが生じているノズルでベタ塗りを行なった場合(
図11(b))とを示している。ノズルが副走査方向に曲がっていた場合、
図11(b)に示すように塗料が着弾しない部分は、主走査方向に伸びるスジとなって現れる。当然、スジが現れた被吐出物(車体等)は不良品となる。
【0100】
以上のように、常時吐出および不吐出は、テストパターンの面積値に基づいて判断するのに対し、ノズルの曲がりは、テストパターンの重心位置に基づいて判断する。しかも、ノズルの曲がり量(重心位置のずれ量)は微小であるため、重心位置のずれ量の検出には高い精度が求められる。
【0101】
<ノズル曲がりの検出について>
図12および
図13を用いてノズル曲がりの検出方法について説明する。
図12は、比較例における曲がり検出の一例を示す図であり、
図13は、実施形態における曲がり検出の一例を示す図である。
【0102】
図12において、
図12(a)には本来取得したいパターン形状が示されている。実線で示した長円はパターンの外形を示しており、塗料は、実線にならうようにノズルから吐出されて上述のメディア板2002にパターンを形成する。メディア板2002に形成されたパターン(テストパターン)は、例えば、塗装ロボット1000の撮影部1010によって撮影(取得)される。撮影部1010が取得したテストパターン画像は、制御装置901の画像処理部9017によって所定の画像処理が行われる。
【0103】
画像処理では、実線より内側の領域(グレーで示された領域)をパターンとして認識させたいのだが、その周囲には撮影部1010の解像度等により認識されたり、認識されなかったりする領域(ハッチングで示された領域)が存在する。そのため、実際に認識されたパターン形状は、例えば、
図12(b)に示されるように誤差部分を含んだ形状で認識されてしまう場合がある。このように誤差部分を含んだ状態でパターンとして認識されてしまうと、パターンの重心の位置が副走査方向負側へΔP1移動する。その結果、比較例ではノズル曲がりが発生していないにもかかわらず、制御装置901はノズル曲がりと判断してしまう等、重心位置の検出精度の低下が懸念される。
【0104】
上記比較例に対し本発明は、車体Uを塗装する場合に比べて単位面積当たりの塗料の量を多くして、メディア板にテストパターンを形成するようにしている。
【0105】
図13において、
図13(a)は被吐出物(車体U)の塗装時の液量で形成した場合のパターンを示している。メディア板2002にテストパターンTPA,TPBを形成する際は、車体Uを塗装する場合に比べて単位面積当たりの液量を多くし、
図13(b)に示されるようにパターン幅を太くする。パターン幅を太くすることで、パターン一つ当たりの面積が大きくなり、誤差部分がパターンの面積に対して占める割合が小さくなる。
【0106】
これにより、重心位置の副走査方向への移動量ΔP2は、比較例の場合の移動量ΔP1よりも減り、その結果、副走査方向の重心位置の検出精度を向上させることができる。なお、テストパターン形成時に単位面積当たりの液量を多くする方法としては、例えば、ノズルからの塗料の吐出量(Mj)を増やす方法や、ノズルから吐出する塗料のドット(液滴)間の距離を小さくする方法等が挙げられる。
【0107】
上述のように本実施形態は、ノズル102から塗料を吐出してメディア板2002にテストパターンTPA,TPBを形成する塗料吐出部1030(ヘッド100,700,700A,700B)と、テストパターンTPA,TPBを撮影してテストパターン画像を取得する撮影部1010と、撮影部1010が取得したテストパターン画像に対して画像処理を行う画像処理部9017と、画像処理部9017の処理結果に基づいてノズル102の異常の有無を判断する判断部9013と、を備える塗装システム10000であって、テストパターンTPA,TPBは、塗料吐出部1030が車体Uに塗料を吐出する場合に比べて単位面積当たりの塗料の量が多くなるようにして、メディア板2002に形成される。
【0108】
また、上述のように、テストパターンTPA,TPBは、塗料吐出部1030(ヘッド100,700,700A,700B)が車体Uに塗料を吐出する場合に比べてノズル102からの塗料の吐出量(Mj)を多くして形成される。
【0109】
また、上述のように、テストパターンTPA,TPBは、塗料吐出部1030(ヘッド100,700,700A,700B)が車体Uに塗料を吐出する場合に比べて塗料のドット間距離を小さくして形成される。
【0110】
これにより、誤差部分を含んだ形状でパターンが認識されたとしても、パターンの重心位置の移動量が低減され、重心の位置ずれに基づくノズル曲がりの検出精度を向上させることができる。
【0111】
<洗浄液対応>
次に、
図14乃至
図18を用いて、洗浄液による不具合への対応について説明する。
【0112】
図14は、ノズル汚れの様子を説明する図、
図15は、ノズル洗浄を説明する図、
図16は、洗浄液がテストパターンに及ぼす不具合を説明する図、
図17および
図18は、テストパターンの形成例を示す図である。
【0113】
実施形態のようにニードル弁131によるノズル開閉によって塗料を吐出させる弁開閉方式のヘッドの場合、吐出開始前はノズル102がニードル弁131によって閉塞されているため、液室114内の塗料が乾燥したり増粘することはない。しかし、一度吐出が行われた後は、
図14(a)および
図14(b)に示すようにノズル102およびノズル板101には増粘した塗料Laが残ることがある。また、
図14(c)に示すように吐出時に発生するミストによってノズル102の周囲に残液が付着し、固着物Lbとなって残ることがある。
【0114】
増粘した液体Laや固着物Lbは、ノズル102から塗料を吐出する際に抵抗となり、塗料の吐出曲がりをまねき、塗料を狙いの位置へ正しく吐出することができなくなる。また、液体Laの増粘が大きい場合には、不吐出(ノズル102からの液体吐出不能)をまねくことがある。したがって、吐出品質を維持するためには、増粘した液体Laおよび固着物Lbを取り除く必要がある。
【0115】
増粘した液体Laや固着物Lbは、例えば、ノズル板101の表面に対して拭き取り(または掻き取り)清掃を行うことで除去される。または、例えば、定期的に塗装に寄与しない液滴を吐出させて、増粘した液体Laや固着物Lbをノズル102から吐き出させる空吐出(予備吐出、スピッティングなどともいう)を行うことで除去される。または、例えば、ノズル板101およびノズル102を洗浄することで除去される。
【0116】
本実施形態では、例えば、加圧された洗浄液Lcを洗浄ノズルからノズル板101に吹き付けてノズル板101およびノズル102を洗浄する。ノズル102の洗浄を行う際は、
図15に示されるようにニードル弁131の先端をノズル102に当接(密着)させ、ノズル102を閉じた状態で洗浄液Lcを吹き付ける。これにより、ノズル板101およびノズル102に付着した固着物Lbや増粘した液体La等の異物を洗い流すことができ、ヘッド100の吐出品質を保つことが可能となる。なお、洗浄液供給機構等のヘッド維持機構は、
図2に示された維持ステーション2000の維持・洗浄部2001に設けられる。
【0117】
ところが洗浄液でノズル板101およびノズル102の洗浄を行った場合、
図16(a)に示すように洗浄液Lcがノズル102内に残ることがある。ノズル102内に洗浄液Lcが残ったままの状態でメディア板2002にテストパターンを形成させた場合、
図16(b)に示すように先頭に洗浄液Lcが現れ、パターンの形状を正しく認識できない場合がある。
【0118】
例えば、1滴目に塗料を着弾させるべきところを洗浄液Lcが着弾してしまった場合は、取得したいパターン形状よりも主走査方向のパターン長さが短くなるため、正しい判断ができなくなる。または、ノズルから落下した洗浄液Lcの後に取得したいパターン形状が形成された場合であって、洗浄液Lcがパターンとして認識されてしまった場合は、取得したいパターン形状よりも主走査方向のパターン長さが長くなるため、正しい判断ができなくなる。
【0119】
このような場合、テストパターンの形成動作を実行する前に空吐出を実施し、ノズル102内の異物を吐き出させる工程を入れることも考えられるが、空吐出のための時間や設備が必要となり、コストアップになる。
【0120】
上記の説明で、テストパターン形成時に単位面積当たりの液量を多くする方法の一例として、ノズルから吐出する塗料のドット間の距離を小さくする方法を挙げたが、この方法は、上述の洗浄液による不具合に対しても有効である。
【0121】
図17において、
図17(a)は被吐出物(車体U)の塗装時の液量で形成した場合のパターンを示し、1滴目に洗浄液Lcが吐出された状態を示している。この状態では洗浄液Lcの液滴がテストパターン認識に不具合をまねきやすくなる。
【0122】
これに対し、
図17(b)に示されるように液滴のドット間距離を縮めてパターンを形成した場合は、洗浄液Lcの液滴部分のほとんどが2滴目に滴下された塗料によって隠れるため、洗浄液Lcの液滴部分はパターンとして誤認識されにくくなる。これにより、空吐出なしで洗浄液の影響を抑えることが可能となる。
【0123】
また、ドット間距離を縮めたテストパターン形成は、ヘッドの吐出周波数が一定の場合は、
図18に示すようにヘッドを備えた塗装ロボットのアーム移動速度が加速区間TAにあるうち(例えば時間Ttp)からテストパターン形成を開始する構成としてもよい。この場合にも1滴目と2滴目のドット間距離が縮まるため、
図17(b)の場合と同様の効果が得られる。
【0124】
<環境温度・塗料交換への対応>
次に、
図19を用いて、環境温度が変化したり、使用する塗料が交換された場合の対応について説明する。
図19は、ドット間距離の調整例を説明する図である。
【0125】
塗装時の環境温度が変化した場合は、塗料吐出部1030(ヘッド100,700,700A,700B)における吐出条件を変更しないとノズル102からの塗料の吐出量(Mj)が変わってしまうおそれがある。実施形態では、環境情報取得部9019によって塗装システム10000内の環境温度あるいは塗料の温度等を示す温度情報を取得しており、取得した温度情報に基づきテストパターンのドット間距離を調整し、パターン幅が一定に保たれるようにしている。
【0126】
具体的には、環境温度の変化によって吐出量が減少する場合は
図19(a)に示されるようにドット間距離を縮めてテストパターンを形成する。逆に、環境温度の変化によって吐出量が増加する場合は
図19(b)に示されるようにドット間距離を広げてテストパターンを形成する。これによりパターン幅を一定に保つことができるようになる。このようなドット間距離の調整を自動で実施させることにより、検出精度を低下させることなく、ノズルの状態を高精度で検出することが可能になる。
【0127】
また、実施形態の塗装システム10000においては、ヘッド100(700,700A,700B)に対して、塗装に用いる塗料を入れ替えて使用される。例えば色の変更である。このように、塗装に用いる塗料を、種類の異なる塗料に交換した場合も、塗料吐出部1030(ヘッド100,700,700A,700B)における吐出条件を変更しないと塗料の特性差によりノズル102からの塗料の吐出量(Mj)が変わるおそれがある。
【0128】
実施形態では、例えば、塗装システム10000で使用される塗料の特性を示す塗料情報が予め記憶部9015に格納されている。端末装置903でユーザが塗料を選択すると、記憶・読出部9014は、記憶部9015からユーザが選択した塗料に対応する塗料情報を読み出し、読み出された塗料情報に基づき特定部9012はテストパターンのドット間距離を特定する。そして、制御装置901が特定部9012の特定結果に基づきテストパターンのドット間距離を調整することで、パターン幅が一定に保たれるようにしている。
【0129】
具体的には、塗料を種類の異なる塗料に交換したことによって、吐出量が減少する場合は
図19(a)に示されるようにドット間距離を縮めてテストパターンを形成する。逆に、塗料を種類の異なる塗料に交換したことによって、吐出量が増加する場合は
図19(b)に示されるようにドット間距離を広げてテストパターンを形成する。これによりパターン幅を一定に保つことができるようになる。このようなドット間距離の調整を自動で実施させることにより、検出精度を低下させることなく、ノズルの状態を高精度で検出することが可能になる。
【0130】
上述のように本実施形態は、ドット間距離を、環境温度に応じて変更する。
【0131】
また、上述のように、環境温度が、塗料吐出部1030からの塗料の吐出量が減少する方向に変化した場合は、ドット間距離を縮めてテストパターンを形成し、環境温度が、塗料吐出部1030からの塗料の吐出量が増加する方向に変化した場合は、ドット間距離を広げてテストパターンを形成する。
【0132】
また、上述のようにドット間距離を、塗料の種類に応じて変更する。
【0133】
また、上述のように、塗料を種類の異なる塗料に交換したことによって、塗料吐出部1030からの塗料の吐出量が減少する方向に変化した場合は、ドット間距離を縮めてテストパターンを形成し、塗料を種類の異なる液体に交換したことによって、塗料吐出部1030からの塗料の吐出量が増加する方向に変化した場合は、ドット間距離を広げてテストパターンを形成する。
【0134】
これにより、パターン幅が一定に維持され、常にノズルの状態を高精度で検出することができる。
【0135】
<異常判断のフロー>
図20を用いて実施形態における異常判断のフローを説明する。
図20は、異常判断の一例を示すフローチャートである。
【0136】
異常判断においては、まず塗装ロボット1000のエンドエフェクタ1004に取り付けたヘッド100(700,700A,700B)の洗浄回数がリセットされる(ステップS1)。次に、ヘッド100(700,700A,700B)に対して実施された洗浄回数が確認される(ステップS2)。
【0137】
ステップS2において、洗浄回数が所定値Mを超えている(N>M)と判断された場合は、塗装を停止し(ステップS8)、終了(システム停止)となる。これは、洗浄をM回実施したが洗浄だけでは異常状態を解消することができなかったことを意味する。ステップS2において、洗浄回数が所定値M以下(N≦M)と判断された場合は、ヘッド100(700,700A,700B)に対して維持動作が実行される(ステップS3)。
【0138】
なお、ステップS1から実行した場合は、洗浄回数Nは必ずM以下となるため、その場合はステップS2をスキップし、ステップS3(維持動作)を実行する構成としてもよい。ステップS3(維持動作)では、ヘッドのノズル面(ノズル板101表面)の拭き取り清掃、ヘッドの空吐出、または洗浄液、洗浄エアによるノズル面の洗浄等の手段によって、適宜、維持動作が実行される。
【0139】
次に、ヘッド100(700,700A,700B)は、メディア板2002と対向する位置に移動し、メディア板2002に塗料を吐出してメディア板2002にテストパターンを形成する(ステップS4)。
【0140】
次に、メディア板2002に形成されたテストパターンを撮影する(ステップS5)。テストパターンの撮影は、例えば、塗装ロボット1000の撮影部1010によって行われる。撮影部1010が撮影(取得)したテストパターン画像は、制御装置901の画像処理部9017によって所定の画像処理が行われ、画像処理部9017での処理結果に基づき異常判断が実行される(ステップS6)。
【0141】
ステップS6において、「異常なし」と判断された場合は、塗装の実施が可能となる(ステップS7)。ステップS6において、「異常あり(常時吐出)」と判断された場合は、塗装を停止し(ステップS8)、終了となる。常時吐出は、ノズルが塗料を吐出し続ける現象であり、維持動作では対処できないためである。ステップS6において、「異常あり(不吐出・曲がり)」と判断された場合は、維持動作によって解消できる可能性があるため、ステップS2に戻る。このとき洗浄回数Nには1が加算される。加算後の洗浄回数が所定値Mを超える場合はステップS8へ移行し、所定値M以下である場合は再びステップS3以降の工程が実行される。そして、所定値Mを超えないうちに「異常あり(不吐出・曲がり)」が解消されたならば、塗装の実施が可能となり、所定値Mを超えても「異常あり(不吐出・曲がり)」が解消されなかった場合は、塗装を停止し(ステップS8)、終了となる。
【0142】
<補足>
本発明において「液体吐出装置」は、液体を吐出するヘッドを備え、ヘッドを駆動させて液体を吐出する装置である。液体吐出装置には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0143】
この「液体吐出装置」は、液体が付着可能なものの供給、搬送、排出に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。例えば、「液体吐出装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0144】
また、「液体吐出装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0145】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、紙、フィルム、布、鋼板などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0146】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス、アルミニウム箔や銅箔といった集電体、または集電体上に活物質層が形成された電極など、液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0147】
また、「液体」は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、電極材料として用いられる活物質や固体電解質、導電性材料や絶縁性材料を含むインクなどを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどが挙げられる。これらは例えば、塗工用塗料、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液、電極、電気化学素子等の用途で用いることができる。
【0148】
また、「液体吐出装置」は、ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、ヘッドを移動させるシリアル型装置、ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0149】
また、「液体吐出装置」としては他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液をノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0150】
また、「液体吐出装置」は、定置型の装置に限るものではない。液体吐出装置は、例えば、ヘッドが搭載された、遠隔操作や自律走行によって移動が可能なロボットであってもよく、移動可能なロボットにより建物の外壁塗装や道路の路面標示(横断歩道、停止線、速度表示等)の塗装等への適用も可能になる。この場合の建物や道路もまた「液体が付着可能なもの」に含まれる。
【0151】
以上説明したものは一例であり、本発明は、次の態様毎に特有の効果を奏する。
【0152】
[第1態様]
第1態様は、ノズルから液体(例えば塗料)を吐出して被検出部材(例えばメディア板2002)にテストパターンを形成する液体吐出部(例えば塗料吐出部1030)と、前記テストパターンを撮影してテストパターン画像を取得する撮影部(例えば撮影部1010)と、前記撮影部が取得した前記テストパターン画像に対して画像処理を行う画像処理部(例えば画像処理部9017)と、前記画像処理部の処理結果に基づいて前記ノズルの異常の有無を判断する判断部(例えば判断部9013)と、を備える液体吐出装置(例えば塗装システム10000)であって、前記テストパターンは、前記液体吐出部が被吐出物(例えば車体U)に前記液体を吐出する場合に比べて単位面積当たりの前記液体の量が多くなるようにして、前記被検出部材に形成されることを特徴とするものである。
【0153】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記テストパターンは、前記液体吐出部が前記被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて前記ノズルからの前記液体の吐出量を多くして形成されることを特徴とするものである。
【0154】
[第3態様]
第3態様は、第1態様において、前記テストパターンは、前記液体吐出部が前記被吐出物に前記液体を吐出する場合に比べて前記液体のドット間距離を小さくして形成されることを特徴とするものである。
【0155】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記ドット間距離を、環境温度に応じて変更することを特徴とするものである。
【0156】
[第5態様]
第5態様は、第4態様において、前記環境温度が、前記液体吐出部からの液体の吐出量が減少する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を縮めて前記テストパターンを形成し、前記環境温度が、前記液体吐出部からの液体の吐出量が増加する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を広げて前記テストパターンを形成することを特徴とするものである。
【0157】
[第6態様]
第6態様は、第3態様または第4態様において、前記ドット間距離を、前記液体の種類に応じて変更することを特徴とするものである。
【0158】
[第7態様]
第7態様は、第6態様において、前記液体を種類の異なる液体に交換したことによって、前記液体吐出部からの液体の吐出量が減少する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を縮めて前記テストパターンを形成し、前記液体を種類の異なる液体に交換したことによって、前記液体吐出部からの液体の吐出量が増加する方向に変化した場合は、前記ドット間距離を広げて前記テストパターンを形成することを特徴とするものである。
【0159】
[第8態様]
第8態様は、ノズルから液体(例えば塗料)を吐出して被検出部材(例えばメディア板2002)にテストパターンを形成するテストパターン形成ステップ(例えばステップS4)と、前記テストパターンを撮影してテストパターン画像を取得する撮影ステップ(例えばステップS5)と、前記撮影ステップで取得した前記テストパターン画像に基づいて前記ノズルの異常の有無を判断する判断ステップ(例えばステップS6)と、を備える液体吐出装置(例えば塗装システム10000)の異常ノズル検出方法であって、前記テストパターンは、被吐出物(例えば車体U)に前記液体を吐出する場合に比べて単位面積当たりの前記液体の量が多くなるようにして、前記被検出部材に形成されることを特徴とするものである。
【符号の説明】
【0160】
100,700,700A,700B ヘッド
101 ノズル板
102 ノズル
131 ニードル弁
132 圧電素子
901 制御装置
9013 判断部
9017 画像処理部
902 ヘッド制御部
903 端末装置
904 ロボット制御部
905 維持制御部
1000 塗装ロボット
1010 撮影部
1030 塗料吐出部(液体吐出部の一例)
2000 維持ステーション
2002 メディア板(被検出部材の一例)
10000 塗装システム
U 車体(被吐出物の一例)