(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092605
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】光源ユニットおよび映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240701BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240701BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240701BHJP
【FI】
G02B27/01
H01L33/00 L
B60K35/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208656
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】有賀 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】北原 和
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
5F142
【Fターム(参考)】
2H199DA03
2H199DA04
2H199DA15
2H199DA19
2H199DA23
2H199DA30
2H199DA42
2H199DA44
2H199DA48
3D344AA03
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB23
5F142CD01
5F142CD17
5F142CD18
5F142CE23
5F142CG03
5F142DA13
5F142DB15
5F142DB16
5F142DB20
5F142DB42
5F142GA01
(57)【要約】
【課題】小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供する。
【解決手段】光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた第1の像を形成する結像光学系と、を備える。前記結像光学系は、前記第1の像側において略テレセントリック性を有する。前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。前記表示装置は、複数の画素を有し、複数の画素は、結像光学系を含む光学系の2次元歪を相殺するように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた像を形成する結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、前記画像に応じた像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は、略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、同一平面に行列状に配列され、
前記複数の画素のうち最外周に配置された画素は、前記最外周に配置された画素の中心を結ぶ直線が矩形とならないように配置された光源ユニット。
【請求項2】
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた像を形成する結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、前記画像に応じた像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は、略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、同一の湾曲面に配列された光源ユニット。
【請求項3】
前記表示装置から出射する光は、前記表示装置から出射する光の光軸に対して角度θの方向の光度が前記光軸上の光度のcosnθ倍で近似される配光パターンを有し、
前記nは0より大きい値である請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記nは、11以下である請求項3記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記複数の画素は、LED素子をそれぞれ含む請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記LED素子から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する請求項5記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記表示装置は、前記LED素子上に配置された波長変換部材を含む請求項5記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記結像光学系は、前記入力素子を含む屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記表示装置において互いに異なる位置から出射して前記入力素子に入射する前に互いに交差して前記画像に応じた像に至る複数の主光線同士が、前記画像に応じた像の前後で略平行になるように前記複数の主光線を屈曲する請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記結像光学系は、前記出力素子を含む方向変更部をさらに有し、
前記方向変更部は、前記屈曲部を経由した前記複数の主光線が、前記画像に応じた像の形成位置に向かうように前記複数の主光線の進行方向を変更する、請求項8記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記表示装置と前記結像光学系との間に配置された遮光部材をさらに備え、
前記遮光部材は、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の一部が通過する開口を有し、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の他の一部を遮断する請求項1または2に記載の光源ユニット。
【請求項11】
前記複数の画素は、前記結像光学系を含む光学系の2次元歪を解消するように配置された請求項1記載の光源ユニット。
【請求項12】
請求項1または2に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される映像表示装置。
【請求項13】
車両と、
前記車両に配置された請求項12記載の映像表示装置と、
を備えた自動車。
【請求項14】
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光を反射して前記画像に応じた像を形成するミラーと、
前記表示装置と前記ミラーとの間に配置される反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子と前記ミラーとの間に配置される波長板と、
を備え、
前記反射型偏光素子は、前記表示装置から出射した光のうちの第1偏光を透過し、
前記波長板は、前記反射型偏光素子を透過した前記第1偏光を円偏光に変換し、
前記ミラーは、前記波長板から出射した前記円偏光を前記波長板に向けて反射し、
前記波長板は、前記ミラーが反射した前記円偏光を第2偏光に変換し、
前記反射型偏光素子は、前記波長板から出射した前記第2偏光を、前記像の形成位置に向けて反射し、
前記ミラーは、前記像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、平面に行列状に配列され、
前記複数の画素のうち最外周に配置された画素は、前記最外周に配置された画素の中心を結ぶ直線が矩形とならないように配置された光源ユニット。
【請求項15】
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光を反射して前記画像に応じた像を形成するミラーと、
前記表示装置と前記ミラーとの間に配置される反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子と前記ミラーとの間に配置される波長板と、
を備え、
前記反射型偏光素子は、前記表示装置から出射した光のうちの第1偏光を透過し、
前記波長板は、前記反射型偏光素子を透過した前記第1偏光を円偏光に変換し、
前記ミラーは、前記波長板から出射した前記円偏光を前記波長板に向けて反射し、
前記波長板は、前記ミラーが反射した前記円偏光を第2偏光に変換し、
前記反射型偏光素子は、前記波長板から出射した前記第2偏光を、前記像の形成位置に向けて反射し、
前記ミラーは、前記像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、湾曲した面上に配列された光源ユニット。
【請求項16】
車両と、
前記車両に配置された請求項14または15に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニットおよび映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を表示可能な表示装置から出射した光を、複数のミラーで順次反射し、最後のミラーにおいて反射された光を、ウインドシールド等の反射部材で使用者に向けてさらに反射し、使用者に表示装置が表示する画像に応じた虚像を視認させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた像を形成する結像光学系と、を備える。前記結像光学系は、前記画像に応じた像側において略テレセントリック性を有する。前記表示装置から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する。前記表示装置は、複数の画素を含む。前記複数の画素は、同一平面に配列される。前記複数の画素のうち最外周に配置された画素は、前記最外周に配置された画素の中心を結ぶ直線が矩形とならないように配置される。
【0006】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた像を形成する結像光学系と、を備える。前記結像光学系は、前記画像に応じた像側において略テレセントリック性を有する。前記表示装置から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する。前記表示装置は、複数の画素を含む。前記複数の画素は、同一の湾曲面に配列される。
【0007】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光を反射して前記画像に応じた像を形成するミラーと、前記表示装置と前記ミラーとの間に配置される反射型偏光素子と、前記反射型偏光素子と前記ミラーとの間に配置される波長板と、を備える。前記反射型偏光素子は、前記表示装置から出射した光のうちの第1偏光を透過する。前記波長板は、前記反射型偏光素子を透過した前記第1偏光を円偏光に変換する。前記ミラーは、前記波長板から出射した前記円偏光を前記波長板に向けて反射する。前記波長板は、前記ミラーが反射した前記円偏光を第2偏光に変換する。前記反射型偏光素子は、前記波長板から出射した前記第2偏光を、前記像の形成位置に向けて反射する。前記ミラーは、前記像側において略テレセントリック性を有する。前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。前記表示装置は、複数の画素を含む。前記複数の画素は、平面上に配列される。前記複数の画素のうち最外周に配置された画素は、前記最外周に配置された画素の中心を結ぶ直線が矩形とならないように配置される。
【0008】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、画像を表示可能な表示装置と、前記表示装置から出射した光を反射して前記画像に応じた像を形成するミラーと、前記表示装置と前記ミラーとの間に配置される反射型偏光素子と、前記反射型偏光素子と前記ミラーとの間に配置される波長板と、を備える。前記反射型偏光素子は、前記表示装置から出射した光のうちの第1偏光を透過する。前記波長板は、前記反射型偏光素子を透過した前記第1偏光を円偏光に変換する。前記ミラーは、前記波長板から出射した前記円偏光を前記波長板に向けて反射する。前記波長板は、前記ミラーが反射した前記円偏光を第2偏光に変換する。前記反射型偏光素子は、前記波長板から出射した前記第2偏光を、前記像の形成位置に向けて反射する。前記ミラーは、前記像側において略テレセントリック性を有する。前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。前記表示装置は、複数の画素を含む。前記複数の画素は、湾曲した面上に配列される。
【0009】
本発明の一実施形態に係る映像表示装置は、前記光源ユニットと、前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、を備える。前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す模式的な断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図3A】第1の実施形態に係る映像表示装置の光学系の歪を示す模式図である。
【
図3B】第1の実施形態に係る映像表示装置が2次元平面に結像する像の模式図である。
【
図4A】第1の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図4B】第1の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図5A】第1の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図5B】第1の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図6】第1の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図7】
図2において破線VIIで囲まれた部分を示す模式的な拡大図である。
【
図8A】
図7のVIIIA-VIIIA線における模式的な断面図である。
【
図8B】第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の変形例を示す模式的な断面図である。
【
図9】
図7の画素において、LED素子を制御する個別回路を例示する模式的な回路図である。
【
図10A】第2の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な側面図である。
【
図10B】第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な側面図である。
【
図11A】像面歪曲を説明するための模式図である。
【
図11B】像面歪曲を説明するための模式図である。
【
図12A】第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な斜視図である。
【
図12B】第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な側面図である。
【
図13A】第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な斜視図である。
【
図13B】第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な側面図である。
【
図14】第3の実施形態に係る光源ユニットを示す模式図である。
【
図15】第4の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す模式的な断面図である。
【
図16】
図15に示す表示装置および反射型偏光素子を拡大して示す模式的な断面図である。
【
図17】第5の実施形態に係る光源ユニットを示す模式的な側面図である。
【
図18A】第5の実施形態に係る光源ユニットの動作を説明するための模式図である。
【
図19】第6の実施形態に係る映像表示装置を搭載した車両を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0013】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る映像表示装置10は、光源ユニット11と、反射ユニット12と、を備える。なお、
図1では、光源ユニット11および反射ユニット12のそれぞれの構成をより明確に示すように、映像表示装置10の一部を拡大して示している。
図15に関連して後述する第4の実施形態に係る映像表示装置70Aの図示についても同様である。
【0014】
光源ユニット11は、画像を表示可能な表示装置110と、表示装置110から出射した光が入射し、表示装置110が表示する画像に応じた第1の像IM1を形成する結像光学系120と、を有する。反射ユニット12は、光源ユニット11から出射した光を反射する。第1の像IM1は、光源ユニット11と反射ユニット12との間に形成される。第1の像IM1は、実像であって中間像である。なお、図では説明をわかりやすくするために、第1の像IM1が形成される位置を円形のマークにより示している。また、表示装置110において第1の像IM1の各マークに到達する主光線Lが出射する位置を、四角形のマークにより示している。このように、説明をわかりやすくするために、各主光線Lにおいて表示装置110上の出射位置と、第1の像IM1における到達位置とを別のマークで示しているが、表示装置110上に表示される画像と第1の像IM1とは、概ね相似形状である。
【0015】
映像表示装置10は、例えば自動車等の車両13に搭載されて、HUD(Head Up Display)に適用される。具体的には、反射ユニット12が反射した光の大部分は、車両13のフロントウインドシールド13aにおいて車内の使用者14と対向する面、すなわちフロントウインドシールド13aの内面において反射し、車両13の運転者等である使用者14のアイボックス14aに入射する。すなわち、車両13のフロントウインドシールド13aの内面が、反射面として機能する。ただし、フロントウインドシールドではなく、コンバイナにおいて使用者と対向する面を反射面としてもよい。これにより、使用者14は、表示装置110が表示する画像に応じた第2の像IM2を視認できる。第2の像IM2は、第1の像IM1よりも大きい虚像である。なお、フロントウインドシールド13aや他の反射面は、平面に限らず、
図1に示したように、湾曲していてもよい。
【0016】
本明細書で、「アイボックス」とは、使用者の眼の前の空間のうち、虚像が視認可能な範囲を意味する。なお、図では説明をわかりやすくするために、第1の像IM1と同様に、第2の像IM2が形成される位置を円形のマークにより示している。第1の像IM1と同様に、各主光線Lにおいて、表示装置110上の出射位置と第2の像IM2における到達位置とを別の形状のマークで示しているが、表示装置110上に表示される画像と第2の像IM2とは、概ね相似形状である。
【0017】
表示装置110の構成について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
図2に示すように、表示装置110は、複数の画素110pを含む。表示装置110は、例えば、LEDディスプレイである。
図7~
図9に関連して後述するように、画素110pは、LED(Light Emitting Diode)素子112を含む。画素110pは、1つLED素子112を含んでもよいし、複数のLED素子112を含んでもよい。表示装置110は、例えば車両13に搭載されたコントローラ(不図示)に電気的に接続され、例えば、車両13の状態に応じた画像を表示する。
【0018】
図1に示すように、映像表示装置10の構成や動作を説明する場合には、後述するXYZ座標を用いることがある。
図2に示すように、表示装置110の構成および動作の説明をする場合には、XYZ座標とは別に、α軸、β軸およびγ軸からなる3次元の直交座標系を用いることがある。α軸およびβ軸を含むαβ平面は、
図8Aおよび
図8Bに関連して説明するLED素子112の基板111の第1面111-1に平行な平面であるものとする。画素行110piでは、画素110pはα軸の方向に配列され、画素列110pjでは、画素110pはβ軸の方向に配列されているものとする。γ軸は、基板111の第2面111-2から第1面111-1に向かう方向を正方向とする。基板111の第2面111-2は、基板111の第1面111-1の反対側の面である。
【0019】
α軸の正方向を「+α方向」といい、α軸の負方向を「-α方向」というものとする。β軸の正方向を「+β方向」といい、β軸の負方向を「-β方向」というものとする。γ軸の正方向を「+γ方向」といい、γ軸の負方向を「-γ方向」というものとする。なお、αβ平面に平行な平面に向かって、+γ方向または-γ方向から見る場合を単に平面視ということがある。
【0020】
複数の画素110pは、α方向にほぼ沿って配列され、β方向にほぼ沿って配列されている。より具体的には、複数の画素110pは、αβ平面に平行な平面に行列状に配列されている。複数の画素110pは、m行×n列の画素配列110prを形成する。mおよびnは、任意の自然数であり、m>2、n>2である。画素配列110prは、α方向に配列されたm行の画素行110piと、β方向に配列されたn列の画素列110pjと、を有する。
図2に示した例では、画素配列110prでは、5行×19列の画素110pが配列されている。なお、後述するように、α方向に配列された画素110pとは、α軸に平行に配列された場合に限らず、+β方向または-β方向に湾曲、屈曲またはα軸から角度を有して直線状に配列された場合も含む。また、β方向に配列された画素110pとは、β軸に平行に配列された場合に限らず、+α方向または-α方向に湾曲、屈曲またはβ軸から角度を有して直線状に配列された場合も含む。
【0021】
画素配列110prでは、画素列110pjにおいて、隣り合う2つ画素110pの距離を画素110pの列方向ピッチpiまたは単に列方向ピッチpiと呼ぶことにする。また、画素行110piにおいて、隣り合う2つの画素110pの距離を画素110pの行方向ピッチpjまたは単に行方向ピッチpjと呼ぶことにする。隣り合う2つの画素110pの距離は、各画素110pの中心C1間の距離とする。例えば、画素110pの中心C1は、画素110pの平面視における形状が四角形の場合には、四角形の対角線の交点であり、画素110pの平面視における形状が円形または楕円形の場合の中心の点である。より一般的には、画素110pの中心C1は、画素110pの平面視における形状の重心である。なお、
図4A~
図6に関連して後述する変形例の画素配列についても、列方向ピッチおよび行方向ピッチは、同様に定義される。
【0022】
本実施形態では、表示装置110の画素配列110prにおいて、列方向ピッチpiおよび行方向ピッチpjは、光学系の2次元平面における歪に応じて設定されている。ここで、光学系は、
図1の例では、結像光学系120を含んでおり、反射ユニット12およびフロントウインドシールド13aを含んでもよい。画素配列110prにおける列方向ピッチpiおよび行方向ピッチpjは、これらの光学系の2次元平面における歪を相殺するように設定される。
【0023】
図2の例では、画素列110pjは19列あり、1つの画素列110pjでは、列方向ピッチpiは列方向にわたってほぼ等しい。1列目の画素列110pjから19列目の画素列110pjでは、画素列110pjごとに異なる列方向ピッチpiで、画素110pが配列されている。具体的には、1列目の画素列110pjから10列目の画素列110pjまででは、画素列110pjごとの列方向ピッチpiは、+α方向に向かって次第に広くなるように設定されている。10列目の画素列110pjから19列目の画素列110pjまででは、画素列110pjごとの列方向ピッチpiは、+α方向に向かって次第に狭くなるように設定されている。
【0024】
図2の例では、画素行110piは5行あり、各画素行110piでは、行方向ピッチpjは、行方向にわたってほぼ等しい。1行目の画素行110piから5行目の画素行110piでは、画素行110piごとに異なる行方向ピッチpjで画素110pが配列されている。具体的には、1行目の画素行110piから3行目の画素行110piまででは、画素行110piごとの行方向ピッチpjは、+β方向に向かって次第に広くなるように設定されている。3行目の画素行110piから5行目の画素行110piまででは、画素行110piごとの行方向ピッチpjは、+β方向に向かって次第に狭くなるように設定されている。
【0025】
画素配列110prのうち、もっとも外側の画素行110piを構成する各画素110pのそれぞれの中心C1を結んだ折れ線をMP1、MP2とする。画素配列110prのうち、もっとも外側の画素列110pjを構成する各画素110pのそれぞれの中心C1を結んだ折れ線MP3、MP4とする。MP1~MP4を結んで形成される形状は、外側に向かって凸となる樽型となる。つまり、折れ線MP1と折れ線MP3とのなす角θ1は90°よりも大きく、折れ線MP1と折れ線MP4とのなす角θ2は90°よりも大きい。また、折れ線MP2と折れ線MP3とのなす角θ3は90°よりも大きく、折れ線MP2と折れ線MP4とのなす角θ4は90°よりも大きい。つまり、折れ線MP1~MP4が囲む形状は、矩形ではない。
【0026】
図3Aは、第1の実施形態に係る映像表示装置の光学系の歪を示す模式図である。
図3Bは、第1の実施形態に係る映像表示装置が2次元平面に結像する像の模式図である。
図2に示した例は、
図3Aに示す光学系の歪を相殺する画素配列110prである。
図3Aには、矩形の入射光が入射された場合に、光学系が出射する出射光OPの2次元平面での形状が示されている。曲線MO1~MO4で囲まれた領域が、平面に照射されたときの形状である。曲線MO1、MO2は対向し、曲線MO3、MO4は対向する位置にある。ここで、この出射光OPでは、曲線MO1、MO2は
図2の折れ線MP1、MP2にそれぞれ対応し、曲線MO3、MO4は
図2の折れ線MP3、MP4にそれぞれ対応する。
図3には、この対応関係を示すために、
図2と同様のα軸、β軸およびγ軸が示されている。
【0027】
光学系の出射光OPでは、曲線MO1は-β方向に凸であり、曲線MO2は+β方向に凸であり、曲線MO3は+α方向に凸であり、曲線MO4は-α方向に凸である。
【0028】
図3Bに示す像IMは、
図2に示した画素配列110prの各画素110pの発光が
図3Aに示した光学系を介して、2次元平面に結像した状態を模式的に示している。像IMは、複数の画素110pの像R110pにより形成される。画素110pの像R110pの形状は、
図2に示した画素110pとの対応関係の説明のために、画素110pと同一形状としたが、この形状に限定されない。また、
図2に示した画素110pと画素110pの像R110pとの対応関係を示すために、
図3Bにもα軸、β軸およびγ軸が示されている。
【0029】
図2に示した表示装置110の画素配列110prの各画素110pは光を出射し、出射された光は、
図3Aに示した出射光OPを出射する光学系を介して、像IMを形成する。
【0030】
図3Bに示すように、像IMは、m行×n列の画素110pの像R110pの配列によって形成される。
図2に示した画素配列110prの画素行110piおよび画素列110pjと同様に、画素の像の行R110piおよび画素の像の列R110pjとすると、像IMは、m行×n列の画素の像R110pの配列ということができる。
【0031】
画素の像の行R110piでは、各列R110pj間の画素の像のピッチRpjは、等しい。画素の像の列R110pjでは、各行R110pi間の画素の像のピッチRpiは、等しい。
【0032】
画素の像R110pの配列のうち、もっとも外側の行R110piを構成する各画素の像R110pのそれぞれの中心RC1を結んだ直線をMI1、MI2とする。画素の像R110pの配列のうち、もっとも外側の列R110pjを構成する各画素の像R110pのそれぞれの中心RC1を結んだ直線をMI3、MI4とする。MI1とMI3とのなす角Rθ1は90°であり、MI1とMI4とのなす角Rθ2は90°である。また、MI2とMI3とのなす角Rθ3は90°であり、MP2とMP4とのなす角Rθ4は90°である。つまり、MI1~MI4結んで形成される形状は、矩形となる。
【0033】
<変形例>
複数の画素110pの配列は、光学系の2次元における歪に応じて適切に設定される。画素配列の変形例について以下説明する。
図4A~
図6は、第1の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する平面図である。
図4Aに示すように、この変形例の表示装置110aは、複数の画素110pを有する画素配列110aprを有する。画素配列110aprでは、5行の画素行110apiと、19列の画素列110apjとを含む。
【0034】
具体的には、1列目の画素列110apjから10列目の画素列110apjまででは、画素列110apjごとの列方向ピッチapiは、+α方向に向かって次第に狭くなるように設定されている。10列目の画素列110apjから19列目の画素列110apjまででは、画素列110apjごとの列方向ピッチapiは、+α方向に向かって次第に広くなるように設定されている。
【0035】
1行目の画素行110apiから3行目の画素行110apiまででは、画素行110apiごとの行方向ピッチapjは、+β方向に向かって次第に狭くなるように設定されている。3行目の画素行110apiから5行目の画素行110apiまででは、画素行110apiごとの行方向ピッチapjは、+β方向に向かって次第に広くなるように設定されている。
【0036】
図4Aに示した例では、すべての画素行110apiを構成する画素110pは、α軸に平行に配置されている。画素行110apiのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ直線は、MPa1、MPa2である。画素列110apjを構成する画素110pは、β軸に対して屈曲して配置されている。画素列110apjのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ折れ線は、MPa3、MPa4である。MPa3は、表示装置110aにおけるβ方向のほぼ中央で+α方向に凸となるように屈曲し、屈曲の前後では直線となっている。MPa4は、表示装置110aにおけるβ方向のほぼ中央で-α方向に凸となるように屈曲し、屈曲の前後では直線となっている。
【0037】
MPa1とMPa3とのなす角θa1は90°よりも小さく、MPa1とMPa4とのなす角θa2は90°よりも小さい。MPa2とMPa3とのなす角θa3は90°よりも小さく、MPa2とMPa4とのなす角θa4は90°よりも小さい。直線MPa1、MPa2および折れ線MPa3、MPb4を外縁とする図形は、六角形であり、矩形ではない。所望の画像の精細度を得るためには、画素配列には、十分な数の画素が配置される。そのため、MPa3は、+α方向に凸となるような曲線状の線といってもよく、MPa4は、-α方向に凸となるような曲線状の線といってもよい。後述する他の変形例についても、外周形状は、曲線状の線で形成されているといってもよい。
【0038】
図4Bに示すように、この変形例の表示装置110bは、複数の画素110pを有する画素配列110bprを有する。画素配列110bprでは、5行の画素行110bpiと、19列の画素列110bpjとを含む。
【0039】
具体的には、1列目の画素列110bpjから10列目の画素列110bpjまでは、画素列110bpjごとの列方向ピッチbpiは、+α方向に向かって次第に狭くなる。10列目の画素列110bpjから19列目の画素列110bpjまででは、画素列110bpjごとの列方向ピッチbpiは、+α方向に向かって次第に広くなる。
【0040】
1行目の画素行110bpiから5行目の画素行110bpiでは、画素行110bpiごとの行方向ピッチbpjは、+β方向に向かって次第に狭くなる。
【0041】
図4Bに示した例では、すべての画素行110bpiを構成する画素110pは、α軸に平行に配置されている。画素行110bpiのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ直線は、MPb1、MPb2である。すべての画素列110bpjを構成する画素110pは、直線状に配置されている。画素列110bpjのうち、もっとも外側の画素110pの中心を結んだ直線は、MPb3、MPb4である。
【0042】
MPb1とMPb3とのなす角θb1は90°よりも大きく、MPb1とMPb4とのなす角θb2は90°よりも大きい。MPb2とMPb3とのなす角θb3は90°よりも小さく、MPb2とMPb4とのなす角θb4は90°よりも小さい。MPb1~MPb4を外縁とする図形は、台形であり、矩形ではない。
【0043】
図5Aに示すように、この変形例の表示装置110cは、複数の画素110pを有する画素配列110cprを有する。画素配列110cprでは、5行の画素行110cpiと、19列の画素列110cpjとを含む。
【0044】
具体的には、1列目の画素列110cpjから10列目の画素列110cpjまででは、画素列110cpjごとの列方向ピッチcpiは、+α方向に向かって次第に狭くなるように設定されている。10列目の画素列110cpjから19列目の画素列110cpjまででは、画素列110cpjごとの列方向ピッチcpiは、+α方向に向かって次第に広くなるように設定されている。
【0045】
1行目の画素行110cpiから3行目の画素行110cpiまででは、画素行110cpiごとの行方向ピッチcpjは、+β方向に向かって次第に広くなるように設定されている。3行目の画素行110cpiから5行目の画素行110cpiまででは、画素行110cpiごとの行方向ピッチcpjは、+β方向に向かって次第に狭くなるように設定されている。
【0046】
図5Aに示した例では、すべての画素行110cpiを構成する画素110pは、α軸に平行な直線状に配置されている。画素行110cpiのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ折れ線は、MPc1、MPc2である。すべての画素列110cpjを構成する画素110pは、直線状に配置されている。画素列110cpjのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ直線は、MPc3、MPc4である。
【0047】
MPc1~MPc4を外縁とする図形は、六角形であり、矩形ではない。MPc1とMPc3とのなす角θc1は90°よりも大きく、MPc1とMPc4とのなす角θc2は90°よりも大きい。MPc2とMPc3とのなす角θc3は90°よりも大きく、MPc2とMPc4とのなす角θc4は90°よりも大きい。
【0048】
図5Bに示すように、この変形例の表示装置110dは、複数の画素110pを有する画素配列110dprを有する。画素配列110dprでは、5行の画素行110dpiと、19列の画素列110dpjとを含む。
【0049】
具体的には、1列目の画素列110dpjから19列目の画素列110dpjでは、すべての画素列110dpjで列方向ピッチdpiは等しい。
【0050】
また、1行目の画素行110dpiから5行目の画素行110dpiでは、すべての画素行110dpiで行方向ピッチdpjは等しい。
【0051】
図5Bに示した例では、すべての画素行110dpiを構成する画素110pは、α軸に平行な直線状に配置されている。画素行110dpiのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ直線は、MPd1、MPd2である。画素列110dpjを構成する画素110pは、β軸から角度をもって、直線状に配置されている。画素列110dpjのうち、もっとも外側の画素110pの中心を結んだ直線は、MPd3、MPd4である。
【0052】
MPd1~MPd4を外縁とする図形は、平行四辺形であり、矩形ではない。MPd1とMPd3とのなす角θd1は90°よりも小さく、MPd1とMPd4とのなす角θd2は90°よりも大きい。MPd2とMPd3とのなす角θd3は90°よりも大きく、MPd2とMPd4とのなす角θd4は90°よりも小さい。
【0053】
図6に示すように、この変形例の表示装置110eは、複数の画素110pを有する画素配列110eprを有する。画素配列110eprでは、5行の画素行110epiと、19列の画素列110epjとを含む。
【0054】
具体的には、1列目の画素列110epjから19列目の画素列110epjに向かって、画素列110epjごとの列方向ピッチepiは、次第に広くなるように設定されている。
【0055】
1行目の画素行110epiから5行目の画素行110epiに向かって、画素行110epiごとの行方向ピッチepjは、次第に広くなるように設定されている。
【0056】
図6に示した例では、すべての画素行110epiを構成する画素110pは、α軸に平行な直線状に配置されている。画素行110epiのうち、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んだ直線は、MPe1、MPe2である。すべての画素列110epjを構成する画素110pは、直線状に配置されている。画素列110epjのうち、もっとも外側の画素110pの中心を結んだ直線は、MPe3、MPe4である。
【0057】
MPe1とMPe3とのなす角θe1は90°であり、MPe1とMPe4とのなす角θe2は90°よりも大きい。MPe2とMPe3とのなす角θe3は90°であり、MPe2とMPe4とのなす角θe4は90°よりも小さい。つまり、MPe1~MPe4を外縁とする図形は、台形であり、矩形ではない。
【0058】
図4A~
図6に示した具体例において、画素行と画素列とを入れ替えて画素配列を形成するようにしてもよい。また、
図4A~
図6の例では、最外周の画素の中心を結んだ線による図形はいずれも、直線で囲まれた多角形状であるが、画素列ごと、画素行ごとのピッチが均等となることによって、図形に囲まれた領域で、均一に発光するのであれば、どのような形状であってもかまわない。例えば、
図5Bの平行四辺形の各辺が図形の内側に向かって凸となるような曲線状であったり、図形の外側に向かって凸となるような曲線状であったりしてもよい。
【0059】
以上説明したように、表示装置の画素110pは、m行×n列の行列状に配列された画素配列110prを有している。上述の行ピッチおよび列ピッチで画素が配列された画素配列110prは、各画素110pが、もっとも外側の画素110pの中心C1を結んで形成される図形内で均等に配置されることを意味している。複数の画素110pが、最外周の画素110pの中心C1を結んだ図形内に均等に配置されるとは、複数の画素110pがほぼ同じ明るさで発光した場合に、最外周の画素110pの中心C1を結んだ図形がほぼ均一に発光することを意味する。これによって、各画素110pから出射された光が2次元の歪を有する光学系を透過した場合に、表示装置は、光学系の歪を相殺して、歪の少ない像を結ぶことができる。
【0060】
表示装置110の詳細な構成について説明する。
表示装置110は、例えば
図7および
図8Aに示すように、基板111と、複数のLED素子112と、複数の走査線114と、複数の点灯制御線115と、複数の信号線117と、複数の個別回路118と、を含む。なお、
図7では、個別回路118を四角形で簡易的に示している。
【0061】
基板111の形状は、例えば平板状である。基板111には、例えばガラスまたはポリイミド等の樹脂を用いることができる。複数のLED素子112は、
図7に示すように基板111上に行列状に配列されている。以下、α方向に1行で並ぶ複数のLED素子112を「行112i」という。
【0062】
各LED素子112は、例えば、基板111にフェースダウン実装される。各LED素子112は、基板111にフェースアップ実装されてもよい。各LED素子112は、半導体積層体112aと、アノード電極112bと、カソード電極112cと、を有する。
【0063】
半導体積層体112aは、p型半導体層112p1と、p型半導体層112p1上に配置される活性層112p2と、活性層112p2上に配置されるn型半導体層112p3と、を有する。半導体積層体112aには、例えばInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表せる窒化ガリウム系化合物半導体が用いられる。LED素子112が発光する光は、本実施形態では可視光である。
【0064】
アノード電極112bは、p型半導体層112p1に電気的に接続される。また、アノード電極112bは、後述する個別回路118の配線118bに電気的に接続される。カソード電極112cは、n型半導体層112p3に電気的に接続される。また、カソード電極112cは、後述する個別回路118の別の配線118aに電気的に接続される。アノード電極112bおよびカソード電極112cには、例えば金属材料を用いることができる。
【0065】
本実施形態では各LED素子112の光出射面112sには、複数の凹部112tが設けられている。本明細書において「LED素子の光出射面」とは、LED素子の表面のうち、結像光学系120に入射する光が主に出射する面を意味する。本実施形態では、n型半導体層112p3において、活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面が、光出射面112sに相当する。
【0066】
n型半導体層112p3において、活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面に複数の凹部112tを設ける方法としては、例えば、成長基板の上面に複数の凸部を形成し、その上にn型半導体層112p3、活性層112p2、およびp型半導体層112p1をこの順で成長させ、LLO(Laser Lift OFF)等により、n型半導体層112p3とこの成長基板とを剥離する方法や、n型半導体層112p3の表面を成長基板の剥離後に複数の凹部112tが形成されるように粗面加工する方法等が挙げられる。粗面加工の方法としては異方性エッチング等が用いられる。
【0067】
以下、各画素110pから出射する光の光軸を、単に「光軸C」という。光軸Cは、例えば、
図8Aに示すように、複数の画素110pが配列されるαβ平面に平行であり、かつ、表示装置110の光出射側に位置する第1平面P1において、1つの画素110pからの光が照射される範囲のうち、輝度が最大となる点a1と、αβ平面に平行であり、第1平面P1から離隔した第2平面P2において、この画素110pからの光が照射される範囲のうち、輝度が最大となる点a2と、を結ぶ直線である。輝度が最大となる点が複数存在する場合、例えば、それらの点の中心点を、輝度が最大となる点としてもよい。なお、生産的な観点からは、光軸Cはγ軸と平行であることが望ましい。
【0068】
このように、各LED素子112の光出射面112sに複数の凹部112tが設けられていることにより、各LED素子112から出射する光、すなわち各画素110pから出射する光は、
図8Aに破線で示すように、略ランバーシアン配光を有する。「各画素から出射された光が略ランバーシアン配光を有する」とは、各画素110pの光軸Cに対して角度θの方向の光度が、nを0より大きい値として、光軸C上の光度のcos
nθ倍で近似できる配光パターンであることを意味する。ここで、nは、11以下であることが好ましく、1であることがより一層好ましい。なお、1つの画素110pから出射する光の光軸Cを含む平面は多数存在するが、各平面内においてこの画素110pから出射する光の配光パターンは、略ランバーシアン配光であり、また、nの数値も概ね等しい。
【0069】
ただし、各LED素子の構成は、上記に限定されない。例えば、各LED素子の光出射面には複数の凹部ではなく複数の凸部が設けられていてもよいし、複数の凹部および複数の凸部の両方が設けられていてもよい。また、成長基板が透光性を有する場合、半導体積層体から成長基板を剥離させず、光出射面に相当する成長基板の表面に複数の凹部および/または複数の凸部を設けてもよい。これらの形態においても、各LED素子から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する。また、各LED素子において基板と対向するようにn型半導体層を設け、その上に活性層およびp型半導体層をこの順で積層し、p型半導体層において活性層と対向する面の反対側の面を、各LED素子の光出射面としてもよい。また、後述する他の実施形態で説明するように、各LED素子から出射する光が略ランバーシアン配光を有さなくても、各画素から最終的に出射する光が略ランバーシアン配光を有すればよい。
【0070】
各走査線114、各点灯制御線115、各信号線117および各個別回路118は、例えば、基板111上に低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicon)プロセスで形成される。なお、本実施形態においては、各走査線114、各点灯制御線115および各信号線117を走査し、駆動する走査回路およびドライバ回路は、例えばコントローラに設けられる。走査回路およびドライバ回路は、LTPSプロセスによって、表示装置の基板上に形成されてもよい。
【0071】
本実施形態では、1つの個別回路118は、1つのLED素子112に対応している。ただし、1つの画素内に、複数のLED素子が設けられていてもよく、このような場合、1つの個別回路が1つの画素内の複数のLED素子に対応してもよい。
【0072】
図8Bは、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の変形例を示す断面図である。
本変形例では、表示装置710の画素710pは、n型半導体層712p3において活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面が概ね平坦であり、保護層714、波長変換部材715、およびカラーフィルタ716をさらに有する点で、
図8Aに示した例と相違する。
【0073】
保護層714は、行列状に配列された複数のLED素子712を覆っている。保護層714には、例えば、硫黄(S)含有置換基もしくはリン(P)原子含有基を有する高分子材料、または、ポリイミド等の高分子マトリックスに高屈折率の無機ナノ粒子を導入した高屈折率ナノコンポジット材料等の透光性材料を用いることができる。
【0074】
波長変換部材715は、保護層714上に配置される。波長変換部材715は、一般的な蛍光体材料、ペロブスカイト蛍光体材料、または量子ドット(Quantum Dot:QD)等の波長変換材料を1種以上含む。各LED素子712から出射した光は、波長変換部材715に入射する。波長変換部材715に含まれる波長変換材料は、各LED素子712から出射した光が入射することにより、各LED素子712の発光ピーク波長と異なる発光ピーク波長の光を発する。波長変換部材715が発する光は、略ランバーシアン配光を有する。
【0075】
カラーフィルタ716は、波長変換部材715上に配置される。カラーフィルタ716は、LED素子712から出射した光の大部分を遮断可能である。これにより、各画素710pからは、主に波長変換部材715が発する光が出射する。そのため、各画素710pから出射する光は、
図8Bに破線で示すように、略ランバーシアン配光を有する。なお、LED素子712から出射する光の大部分が波長変換部材715に吸収される場合は、カラーフィルタを設けなくてもよい。このように、LED素子の光出射面に複数の凹部または凸部を設けなくても、各画素から出射する光がランバーシアン配光を有するように構成できる。
【0076】
本実施形態においては、LED素子712の発光ピーク波長は、紫外光の領域であってもよいし、可視光の領域であってもよい。なお、少なくとも1つの画素710pから青色光を出射させたい場合、例えば、この画素710pのLED素子712から青色光を出射させ、この画素710pには、波長変換部材715およびカラーフィルタ716を設けなくともよい。この場合、このLED素子712を覆うように光散乱パーティクルを含む光散乱部材を設けることで、この画素710pから出射する光が略ランバーシアン配光を有するように構成してもよい。
【0077】
光源ユニット11や映像表示装置10には、いずれの表示装置110、710を用いてもよい。以下では、特に断らない限り、画素110pを有する表示装置110であるものとして説明する。
【0078】
図9に示すように、各個別回路118は、第1トランジスタT1と、第2トランジスタT2と、第3トランジスタT3と、キャパシタCmと、複数の配線118a~118eと、を含む。
【0079】
LED素子112のカソード電極112cは、
図4および
図5に示すように、配線118aを介して接地線119aに電気的に接続される。接地線119aは、基準電位に接続される。LED素子112のアノード電極112bは、配線118bを介して第1トランジスタT1のソース電極に電気的に接続される。
【0080】
第1トランジスタT1のゲート電極は、点灯制御線115に電気的に接続される。第1トランジスタT1のドレイン電極は、配線118cを介して第2トランジスタT2のドレイン電極に電気的に接続される。第2トランジスタT2のソース電極は、配線118dを介して電源線119bに電気的に接続される。電源線119bは、電源(不図示)に接続される。
【0081】
第2トランジスタT2のゲート電極は、配線118eを介して第3トランジスタT3のドレイン電極に電気的に接続される。第3トランジスタT3のソース電極は、信号線117に電気的に接続される。第3トランジスタT3のゲート電極は、走査線114に電気的に接続される。
【0082】
配線118eは、キャパシタCmの一方の端子に電気的に接続される。キャパシタCmの他方の端子は、電源線119bに電気的に接続される。
【0083】
図示しない走査回路は、複数の行112iのうちの1行を選択し、この行112iに電気的に接続される走査線114に、ON信号を送信する。これにより、この行112iに対応する各個別回路118の第3トランジスタT3がON可能な状態になる。また、図示しないドライバ回路は、各信号線117に、この行112iに属する各LED素子112の設定出力に応じた駆動信号を送信する。これにより、キャパシタCmに駆動信号電圧が保持される。また、この駆動信号電圧により、この行112iに対応する各個別回路118の第2トランジスタT2がON可能な状態になる。
【0084】
また、走査回路は、この行112iに電気的に接続される点灯制御線115に、この行112iの第1トランジスタT1のONとOFFを順次切り替える制御信号を送信する。第1トランジスタT1がONの状態では、この行112iに属する各LED素子112に、キャパシタCmに保持されている駆動信号電圧に応じた電流が流れることでLED素子の発光輝度が制御される。また、第1トランジスタT1のONとOFFが切り替わることにより、LED素子112の発光期間が行112iごとに制御される。
【0085】
走査回路は、ON信号を送信する走査線114および制御信号を送信する点灯制御線115をY方向に順次切り替える。これにより、駆動される行112iがY方向に順次切り替わる。
【0086】
個別回路の構成は、上記に限定されない。例えば、個別回路は、第2トランジスタ、第3トランジスタ、キャパシタ、および配線を有し、第1トランジスタが設けられていなくてもよい。走査回路からは、複数の走査線が延び、点灯制御線は設けられていなくてもよい。また、各走査線、各点灯制御線、各信号線、および各個別回路における配線等は、基板の表面上ではなく、基板の中に設けられてもよい。また、個別回路に含まれるトランジスタやキャパシタ等の電気的な素子は、基板上に形成するのではなく別途製造されたものを、基板上に実装してもよい。また、LED素子は、別途製造されたものを基板に実装するのではなく、基板にシリコン(Si)等の半導体材料と半導体素子を用い、LED素子を基板上に形成してもよい。また、表示装置は、LEDディスプレイに限るものではなく、出射する光が略ランバーシアン配光を有する他のディスプレイでもよい。
【0087】
図1に戻って説明を続ける。
映像表示装置10の説明では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いることがある。以下では、X軸が延びる方向を「X方向」といい、Y軸が延びる方向を「Y方向」といい、Z軸が延びる方向を「Z方向」という。本実施形態では、車両13の前後方向が「X方向」と一致し、車両13の左右方向が「Y方向」と一致し、車両13の上下方向が「Z方向」と一致する例を説明する。すなわち、以下の例では、XY平面は、車両13の水平面である。
【0088】
また、以下では、X方向のうち矢印の方向を「+X方向」といい、その逆方向を「-X方向」ともいう。また、Y方向のうち矢印の方向を「+Y方向」といい、その逆方向を「-Y方向」ともいう。また、Z方向のうち矢印の方向を「+Z方向」といい、その逆方向を「-Z方向」ともいう。また、+X方向に部材Aおよび部材Bが、この順で配置されている場合、「部材Bは部材Aよりも+X側に位置する」または「部材Aは部材Bよりも-X側に位置する」という。+Y方向および+Z方向についても同様である。
図14、
図15、
図17および
図18に関連する説明でも同様にXYZ座標を用いる。
【0089】
光源ユニット11における結像光学系120は、第1の像(画像に応じた像)IM1を所定の位置に結像させるのに必要なすべての光学素子を含む光学系である。本実施形態では、表示装置110から出射した光が入射する入力素子121と、入力素子121を経由した光が入射する出力素子123と、を有する。結像光学系120は、入力素子121と出力素子123との間に配置される中間素子122をさらに有する。なお、結像光学系に中間素子は設けられていなくてもよい。出力素子123から出射した光は、
図1に示すように第1の像IM1を形成する。
【0090】
結像光学系120は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する。ここで「結像光学系120が、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する」とは、
図1に示すように、表示装置110において互いに異なる位置から出射して、結像光学系120を経由し、第1の像IM1に至る複数の主光線L同士が、第1の像IM1の前後において、略平行であることを意味する。異なる位置とは、例えば異なる画素110pである。「複数の主光線L同士が略平行」とは、光源ユニット11の構成要素の製造精度や組み立て精度等による誤差を許容するような実用的な範囲で、概ね平行であることを意味する。「複数の主光線L同士が略平行」である場合、例えば、主光線L同士のなす角は、10度以下ある。
【0091】
結像光学系120が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する場合、複数の主光線L同士は、入力素子121に入射する前に交差する。以下、複数の主光線L同士が交差するポイントを「焦点F」という。そのため、結像光学系120が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有するか否かは、例えば、光の逆進性を利用して以下の方法で確認できる。先ず、第1の像IM1が形成される位置付近に、レーザ光源等の平行光を出射可能な光源を配置する。この光源から出射した光を、結像光学系120の出力素子123に照射する。この光源から出射して出力素子123を経由した光は、入力素子121に入射する。そして、入力素子121から出射した光が表示装置110に到達する前に、集光するポイント、すなわち焦点Fが存在する場合は、結像光学系120が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有すると判断できる。
【0092】
結像光学系120が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有するため、結像光学系120には、各画素110pから出射する光のうち、焦点Fおよびその近辺を通過する光が主に入射する。以下、結像光学系120を構成する各光学素子について説明する。
【0093】
入力素子121は、表示装置110の-Z側に位置し、表示装置110と対向するように配置される。入力素子121は、凹面状のミラー面121aを有するミラーである。入力素子121は、表示装置110から出射した光を反射する。
【0094】
中間素子122は、表示装置110および入力素子121よりも-X側に位置し、入力素子121と対向するように配置される。中間素子122は、凹面状のミラー面122aを有するミラーである。中間素子122は、入力素子121が反射した光をさらに反射する。
【0095】
入力素子121および中間素子122は、表示装置110の互いに異なる位置から出射した複数の主光線L同士が略平行になるように、複数の主光線Lを屈曲させる屈曲部120aを構成する。ミラー面121a、122aは、本実施形態では、バイコーニック面である。ただし、ミラー面は、球面の一部であってもよいし、自由曲面であってもよい。
【0096】
出力素子123は、表示装置110および入力素子121よりも+X側に位置し、中間素子122と対向するように配置される。出力素子123は、平坦なミラー面123aを有するミラーである。出力素子123は、入力素子121および中間素子122を経由した光を、第1の像IM1の形成位置に向けて反射する。具体的には、出力素子123には、屈曲部120aによって略平行となった複数の主光線Lが入射する。ミラー面123aは、-Z方向に向かうほど+X方向に向かうように、車両13の水平面であるXY平面に対して傾斜している。これにより、出力素子123は、中間素子122が反射した光を、-Z方向に向かうほど+X方向に向かうようにZ方向に対して傾斜した方向に反射する。このように、出力素子123は、
図1に示すように、屈曲部120aによって略平行となった複数の主光線Lが、第1の像IM1の形成位置Pに向かうように、複数の主光線Lの方向を変更する方向変更部120bを構成する。
【0097】
本実施形態では、入力素子121と中間素子122との間の光路は、XY平面と交差する方向に延びる。また、中間素子122と出力素子123との間の光路は、XY平面に沿った方向に延びる。結像光学系120内の光路の一部が、XY平面と交差する方向に延びるため、光源ユニット11をXY平面に沿う方向にある程度小型化できる。また、結像光学系120内の光路の他の一部が、XY平面に沿う方向に延びるため、光源ユニット11をZ方向にある程度小型化できる。
【0098】
また、表示装置110と入力素子121との間の光路は、中間素子122と出力素子123との間の光路と交差する。このように、光源ユニット11内で光路同士を交差させることで、光源ユニット11を小型化できる。
光源ユニット内の光路は、上記に限定されない。例えば、結像光学系内のすべての光路が、XY平面に沿う方向に延びてもよいし、XY平面と交差する方向に延びてもよい。また、光源ユニット内の光路同士は交差しなくてもよい。
【0099】
入力素子121、中間素子122および出力素子123は、それぞれ、ガラスまたは樹脂材料等からなる本体部材と、本体部材の表面に設けられてミラー面121a、122a、123aを構成する金属膜や誘電体多層膜等の反射膜と、により構成されていてもよい。また、入力素子121、中間素子122、および出力素子123は、それぞれ、全体が金属材料により構成されていてもよい。
【0100】
光源ユニット11は、本実施形態では
図1に示すように、車両13の天井部13bに設けられる。光源ユニット11は、例えば、天井部13bにおいて車内に露出する壁13s1の内側に配置される。壁13s1には、光源ユニット11の出力素子123から出射した光が通過可能な貫通穴13h1が設けられている。出力素子123から出射した光は、貫通穴13h1を通過し、使用者14とフロントウインドシールド13aとの間の空間に照射される。光源ユニットは、天井面に取り付けられていてもよい。貫通穴13h1には、透明あるいは半透明のカバーが設けられていてもよい。貫通穴13h1のカバーのヘイズ(Haze)値は、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより一層好ましい。
【0101】
以上、結像光学系120について説明したが、結合光学系の構成および位置は、第1の像側において略テレセントリック性を有する限り、上記に限定されない。例えば、方向変更部を構成する光学素子の数は、2以上であってもよい。
【0102】
次に、反射ユニット12について説明する。
反射ユニット12は、本実施形態では、凹面状のミラー面131aを有するミラー131を含む。ミラー面131aは、本実施形態では、バイコーニック面である。ただし、ミラー面は、球面の一部であってもよいし、自由曲面であってもよい。ミラー131は、
図1に示すようにフロントウインドシールド13aと対向するように配置される。ミラー131は、出力素子123から出射した光を反射してフロントウインドシールド13aに照射する。フロントウインドシールド13aに照射された光は、フロントウインドシールド13aの内面において反射され、使用者14のアイボックス14aに入射する。これにより、使用者14は、フロントウインドシールド13aよりも+X側に、表示装置110に表示された画像に応じた第2の像IM2を視認する。
【0103】
ミラー131は、ガラスまたは樹脂材料等からなる本体部材と、本体部材の表面に設けられてミラー面131aを構成する金属膜や誘電体多層膜等の反射膜と、により構成されていてもよい。また、ミラー131は、全体が金属材料により構成されていてもよい。
【0104】
反射ユニット12は、本実施形態では、車両13のダッシュボード部13cに設けられる。反射ユニット12は、例えば車両13のダッシュボード部13cにおいて車内に露出する壁13s2の内側に配置される。壁13s2には、光源ユニット11の出力素子123から出射した光が通過可能な貫通穴13h2が設けられている。出力素子123から出射した光は、貫通穴13h1を通過して、第1の像IM1を形成した後、貫通穴13h2を通過し、反射ユニット12に照射される。反射ユニットは、ダッシュボード部の上面に取り付けられてもよい。反射ユニットを天井部に配置し、光源ユニットをダッシュボード部に配置してもよい。
【0105】
図1に示すように、XY平面に、フロントウインドシールド13aの内面からアイボックス14aに向かう光が位置する。ここで、「XY平面に、フロントウインドシールド13aの内面からアイボックス14aに向かう光が位置する」とは、フロントウインドシールド13aの内面からアイボックス14aに向かう光の一部が、このXY平面に位置することを意味する。そして、光源ユニット11は、このXY平面を境界として、+Z側の領域に配置されている。すなわち、光源ユニット11は、このXY平面から+Z方向に離隔している。また、反射ユニット12は、この平面XYを境界として、-Z側の領域に配置されている。すなわち、反射ユニット12は、このXY平面から-Z方向に離隔している。光源ユニットおよび反射ユニットの配置は、上記に限定されない。
【0106】
以上、反射ユニット12について説明したが、反射ユニットの構成および位置は、上記に限定されない。例えば、反射ユニットを構成するミラー等の光学素子の数は、2以上であってもよい。なお反射ユニット12は、例えば車外からフロントウインドシールド13aを介して照射した太陽光が、アイボックス14aに向けて反射しないように配置する必要があることはいうまでもない。
【0107】
次に、本実施形態に係る映像表示装置10の効果について説明する。
本実施形態に係る映像表示装置10の光源ユニット11では、結像光学系120は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有し、表示装置110から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。そのため、光源ユニット11を小型化しつつ、第1の像IM1の品位を向上できる。より具体的には、表示装置110から出射する光が略ランバーシアン配光を有するため、表示装置110の各画素110pから出射した光の光度や色度の角度に対する依存性を低減することができる。
【0108】
厳密なランバーシアン配光に近づくほど、すなわち、配光パターンの近似式であるcosnθのnが1に近づくほど、表示装置110の各画素110pから出射した光の光度や色度は、角度によらず概ね均一になる。そのため、第1の像IM1の輝度や色度のばらつきを抑制し、第1の像IM1の品位を向上できる。
【0109】
結像光学系120は、主に焦点Fを通過した光で第1の像IM1を形成するため、結像光学系120に入射する光の光径が広がることを抑制できる。これにより、入力素子121を小型化できる。さらに、出力素子123から出射する複数の主光線Lは、互いに略平行である。出力素子123から出射する複数の主光線L同士が互いに略平行であるということは、出力素子123において結像に寄与する光が照射される範囲が、第1の像IM1のサイズと概ね同じであるということである。そのため、結像光学系120の出力素子123も小型化できる。以上より、小型かつ品位が高い第1の像IM1を形成可能な光源ユニット11を提供できる。
【0110】
本実施形態に係る映像表示装置10は、光源ユニット11と、光源ユニット11から離隔し、結像光学系120から出射した光を反射する反射ユニット12と、を備える。第1の像IM1は、光源ユニット11と反射ユニット12との間に形成される。このような場合、表示装置110のある1つの点から出射した光は、出力素子123を経由した後に、第1の像IM1の形成位置において集光する。一方、光源ユニット11と反射ユニット12との間に第1の像IM1が形成されない場合、表示装置110のある1つの点から出射した光の光径は、入力素子121から反射ユニット12に向けて、徐々に広がる。したがって、本実施形態では、出力素子123において、表示装置110のある1つの点から出射した光が照射される範囲を、第1の像IM1が形成されない場合と比較して、小さくできる。そのため、出力素子123を小型化できる。
【0111】
本実施形態に係る光源ユニット11は小型であるため、光源ユニット11を車両13に搭載し、ヘッドアップディスプレイとして用いる場合は、光源ユニット11を車両13内の限られたスペースに容易に配置できる。
【0112】
本実施形態に係る光源ユニット11および映像表示装置10では、光学系の2次元の歪を相殺するように、表示装置110の複数の画素110pが行列状に配列されている。より具体的には、複数の画素110pの配列である画素配列110prにおいて、もっとも外側に配置された画素110pの中心C1を結んだ線分による折れ線、曲線状の線および直線がなす形状を外縁とし、その形状内で均等になるように複数の画素110pが配置されている。
【0113】
上述したように、本実施形態に係る光源ユニット11や映像表示装置10では、光学系として、結像光学系120や反射ユニット12のミラー131等を含んでいる。これらの光学系の光学パラメータは、光源ユニット11や映像表示装置10を搭載する車両13の各部の寸法や配置等に応じて、さまざまに設定される。表示装置110から出射された光は、これらの光学系を介して像を結ぶため、これらの光学系に2次元の歪が生じる場合には、光学系の2次元歪を相殺するように、上述した変形例を含めてさまざまな画素配列110pr~110epr等を設定することによって、歪のない像を2次元の平面に結ぶことが可能になる。
【0114】
本実施形態における結像光学系120は、屈曲部120aと、方向変更部120bと、を有する。このように、結像光学系120において、主光線L同士を平行にする機能を有する部分と、第1の像IM1を所望の位置に形成する部分と、を別々にすることで、結像光学系120の設計が容易になる。
【0115】
結像光学系120内の光路の一部は、Z方向と直交するXY平面と交差する方向に延びる。そのため、結像光学系120をXY平面に沿う方向にある程度小型化できる。
【0116】
結像光学系120内の光路の他の一部は、Z方向と直交するXY平面に沿う方向に延びる。そのため、結像光学系120をZ方向にある程度小型化できる。
【0117】
<第2の実施形態>
図10Aは、第2の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する側面図である。
図10Bは、第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する側面図である。
光学系が有する歪は、2次元での歪に限らず、3次元での歪を生じる場合がある。
図10Aに示すように、本実施形態に係る映像表示装置の表示装置210は、-γ方向に凸となる基板211に複数の画素110pを有する点で、上述した第1の実施形態に係る映像表示装置10の表示装置110と相違する。他の点では、表示装置210の構成要素は、
図2に示した表示装置110の構成要素と同じであり、同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0118】
図10Aは、αγ平面視での表示装置210を示している。
図10Aに示すように、表示装置210は、基板211と、複数の画素110pとを有する。基板211は、第1面211-1と第2面211-2とを有している。第2面211-2は、第1面211-1の反対側の面である。複数の画素110pは、第1面211-1にm行×n列で行列状に配列されている。基板211は、αβ平面視で長方形であり、αγ平面視で-γ方向に凸になるように湾曲している。基板211は、例えばポリイミド樹脂等の可撓性を有する材料で形成されている。画素110pの構成は、
図7~
図9に関連して説明した場合と同じである。
【0119】
図10Aの例では、複数の画素110pは、第1面211-1上に、m行×n列で行列状に配列されている。m行×n列の画素110pの配列は、第1面211-1上で矩形になるように配置されている。
【0120】
本実施形態では、光学系の像面歪曲を相殺するように複数の画素110pが湾曲した基板211に配列されている。この場合の光学系の像面歪曲の方向は、光学系が透過した光が2次元の平面上に像を投影したときに、投影した平面の左右方向、つまり、-γ方向に凸に湾曲している。
【0121】
図10Bは、βγ平面視での表示装置210aを示している。
図10Bに示すように、表示装置210aは、基板211aと、複数の画素110pとを有する。基板211aは、第1面211a-1と第2面211a-2とを有する。第2面211a-2は、第1面211a-1の反対側の面である。複数の画素110pは、第1面211a-1に配置されている。複数の画素110pは、第1面211a-1にm行×n列で行列状に配置されている。複数の画素110pの配列は、
図10Aの場合と同様に、m行×n列の矩形配列である。
【0122】
この例では、光学系の像面歪曲の方向は、光学系が透過した光が2次元の平面上に像を投影したときに、投影した平面の上下方向、つまり、-γ方向に凸に湾曲している。表示装置210aは、このような光学系の像面歪曲を相殺するように第1面211a-1に配列されている。
【0123】
図11Aおよび
図11Bは、像面歪曲を説明するための模式図である。
図11Aは、物体I1が光学系O1を介して、像R1を結んでいる状態を示している。この図では、物体の先端の点A1が光学系O1を介して、像を結ぶ位置を示している。
図11Aに示すように、点A1から放たれた光線a11は、光学系O1の上部で屈折されて、点A1’に至る。点A1から放たれた光線a12は、光学系O1のほぼ中心で屈折されて、点A1’に至る。点A1から放たれた光線a13は、光学系O1の下部で屈折されて、点A1’に至る。
【0124】
点A1’は、光学系O1の像を結ぶ位置であるが、この物体I1から像を結ぶ位置は、物体I1の高さ方向に応じて代わる。点A1のように、物体I1の上端や下端に近い側ほど、物体I1から像を結ぶ位置までの距離が近くなる。この現象が像面歪曲または像面湾曲と呼ばれる現象である。光学系O1の像面歪曲により、
図11Aに示すように、像R1が結像すると、湾曲した像となる。物体I1の高さ方向の中ほどに像を結ぶ位置を合わせて平面に投影すると、実際の像R1’は、
図11Aの破線のように直線の像となるが、上端および下端にいくほど像を結ぶ位置がずれて不鮮明な像となる。
【0125】
像面歪曲を相殺するには、像面歪曲に応じて、像の方を湾曲させればよい。
図11Bに示すように、湾曲した物体I2の先端の点A2から放たれた光線a21は、光学系O1の上部で屈折されて、点A2’に至る。点A2から放たれた光線a22は、光学系O1のほぼ中心で屈折されて、点A2’に至る。点A2から放たれた光線a23は、光学系O1の下部で屈折されて、点A2’に至る。
【0126】
点A2’は、光学系O1の像を結ぶ位置であり、
図11Aの場合と逆の経路の光路となり、像R2を結ぶ。像R2の結像位置に平面を配置して、配置した平面に物体I2を投影すると、歪のない像R2を観測することができる。
【0127】
図12A~
図13Bは、第2の実施形態の変形例に係る映像表示装置の表示装置を例示する側面図である。
像面歪曲は、光学系の設計によって決まるので、表示装置の構成は、光学系の像面歪曲の性質に応じて種々設定される。上述の
図10Aは、α方向の像面歪曲を補正する例であり、
図10Bは、β方向の像面歪曲を補正する表示装置の構成例である。表示装置の構成は、これらを組み合わせてさまざまな方向の像面歪曲に対応することができる。
図12Aおよび
図12Bの例は、α方向およびβ方向の両方の像面歪曲を補正する場合の表示装置210bの例である。表示装置210bの基板211bは、αγ平面視で-γ方向に凸の湾曲を有し、かつ、βγ平面視で-γ方向に凸の湾曲を有する。複数の画素110pは、第1面211b-1側に配置されている。
【0128】
図13Aおよび
図13Bの例は、α方向およびβ方向の両方の像面歪曲を補正する場合の表示装置210cの例である。表示装置210cの基板211cは、αγ平面視で-γ方向に凸の湾曲を有し、かつ、βγ平面視で-γ方向に凸の湾曲を有する。複数の画素110pは、第1面211c-1側に配置されている。この例では、基板211cは、第1面211c-1を+β方向となるほど、+γ方向にせりだすように設定されている。
【0129】
図12A~
図13Bのいずれの場合であっても、湾曲した面に配置される複数の画素110pは、
図2~
図6に関連して説明した第1の実施形態およびその変形例の表示装置における画素配列を適用することができる。
図12A~
図13Bの例では、画素配列は、
図4Bに関連して説明した台形状の配列である。
【0130】
本実施形態に係る光源ユニットおよび映像表示装置の効果について説明する。
本実施形態に係る光源ユニットおよび映像表示装置は、第1の実施形態に係る光源ユニットおよび映像表示装置と同様の効果のほか、以下の効果を奏する。すなわち、光源ユニットの表示装置210~210cは、湾曲した基板に複数の画素110pが配列されている。基板の湾曲は、光源ユニットおよび映像表示装置の光学系に生じ得る像面歪曲を相殺するように設定されている。そのため、個々に設計される光学系に応じて、歪のない映像を表示することが可能である。
【0131】
光源ユニットおよび映像表示装置を構成する光学系には、
図1に示した結像光学系120や反射ユニット12のミラー131のほか、像を投影するフロントウインドシールド13aの面も含まれる。
図1に示したように、フロントウインドシールド13aは、平坦な平面でなく、車両13の進行方向に凸となるような曲面で形成される場合が多い。本実施形態に係る光源ユニットおよび映像表示装置では、全体の光学系の光学設計にもとづいて、最適な画素配列とすることができる。
【0132】
<第3の実施形態>
図14は、第3の実施形態に係る光源ユニットを示す模式図である。
図14は、XY平面視での模式的な平面図である。
図14に示すように、本実施形態に係る光源ユニット31は、遮光部材340をさらに備える点で
図1に示した光源ユニット11と相違する。なお、
図14では、遮光部材340を断面で示し、他の構成要素を端面で示している。
【0133】
結像光学系220は、入力素子221、中間素子222、および出力素子223を含む。入力素子221および中間素子222は、屈曲部220aを構成し、出力素子223は、方向変更部220bを構成する。結像光学系220の焦点F2は、表示装置110と入力素子221との間に位置する。すなわち、結像光学系220は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する。
【0134】
入力素子221は、凹面状のミラー面221aを有するミラーである。入力素子221は、表示装置110よりも-X側に配置されており、表示装置110と対向している。表示装置110から出射した光は、入力素子221によって反射される。中間素子222は、凹面状のミラー面222aを有するミラーである。中間素子222は、入力素子221とY方向において隣り合うように配置されており、入力素子221と対向している。入力素子221によって反射された光は、中間素子222によってさらに反射される。入力素子221および中間素子222に順次反射されることにより、表示装置110において互いに異なる位置から出射して焦点F2を通る複数の主光線L2は、屈曲して互いに略平行となる。
【0135】
出力素子223は、平坦なミラー面223aを有するミラーである。出力素子223は、中間素子222よりも+X側に配置されており、中間素子222と対向している。ミラー面223aは、第1の実施形態における出力素子123のミラー面123aと同様に、-Z方向に向かうほど+X方向に向かうようにXY平面に対して傾斜している。これにより、出力素子223は、中間素子222が反射した光を、-Z方向に向かうほど+X方向に向かうようにZ方向に対して傾斜した方向に反射する。
【0136】
遮光部材340は、表示装置110と結像光学系220の入力素子221との間に配置されている。遮光部材340の形状は、例えばZY平面に略平行な平板状である。遮光部材340には、遮光部材340をX方向に貫通する開口341が設けられている。結像光学系220の焦点F2は、開口341内に位置する。表示装置110から出射した光のうち、焦点F2およびその近辺を通過する光は、遮光部材340の開口341を通過して入力素子221に入射し、それ以外の光の大部分は、遮光部材340に遮断される。
【0137】
表示装置110においては、
図2~
図6に関連して説明した画素配列や
図10A~
図13Bに関連して説明した構成は、光学系の歪に応じて適宜組み合せて適用される。
【0138】
以上説明したように、本実施形態に係る光源ユニット31は、遮光部材340をさらに備える。遮光部材340は、表示装置110と結像光学系220との間に配置される。遮光部材340は、表示装置110から結像光学系220に向かう光の一部が通過する開口341を有する。遮光部材340は、表示装置110から結像光学系220に向かう光の他の一部を遮断するそのため、表示装置110が発する光のうち、結像光学系220に焦点F2を通過しない光、すなわち非有効光が入射することを抑制できる。これにより、迷光の発生を抑制できる。また、太陽光等の光源ユニット31の外部からの光が光源ユニット31内に進入した場合に、この光が表示装置110へ向かうことを抑制できる。これにより、表示装置110の温度が上昇することを抑制できる。表示装置110の温度が所定値以上に上昇すると、熱膨張による光軸のずれ等の問題が生じるからである。
【0139】
<第4の実施形態>
図15は、本実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す断面図である。
図16は、
図15に示す表示装置および反射型偏光素子の一部を拡大して示す断面図である。
本実施形態に係る映像表示装置70Aは、表示装置110の代わりに表示装置710Aを備え、反射型偏光素子740をさらに備える点で、第1の実施形態に係る映像表示装置10と相違する。
【0140】
表示装置710Aは、
図8Bに関連して説明した表示装置710のカラーフィルタ716に代えて、光散乱部材716Aが設けられている点で相違する。表示装置710Aは、複数の画素710Apを含み、複数の画素710Apのそれぞれは、LED素子712、波長変換部材715および光散乱部材716Aを含む。表示装置710Aの他の構成は、
図8Bに示した表示装置710と同様である。光散乱部材716Aは、LED素子712を覆うように設けられている。光散乱部材716Aは、例えば、透光性を有する樹脂部材と、樹脂部材中に配置される光散乱パーティクルまたは空孔と、を含む。樹脂部材としては、例えば、ポリカーボネート等が挙げられる。光散乱パーティクルとしては、例えば、酸化チタン等のように樹脂部材と屈折率差を有する材料等が挙げられる。なお、光散乱部材716Aは、その表面を粗面加工して凹凸を設けることで、光の散乱効果を得てもよい。
【0141】
図16に示すように、反射型偏光素子740は、表示装置710A上に配置される。本実施形態では、反射型偏光素子740は、光散乱部材716A上に配置される。そのため、LED素子712および波長変換部材715から出射した光は、反射型偏光素子740に入射する。表示装置710Aから出射する光のうちの第1偏光711pは、反射型偏光素子740を透過し、表示装置710Aから出射する光のうちの第2偏光711sは、反射型偏光素子740によって反射され、表示装置710Aに向かう。第2偏光711sの電場の振動方向は、第1偏光711pの電場の振動方向と概ね直交する。
【0142】
本実施形態では、第1偏光711pはP偏光であり、第2偏光711sはS偏光である。「P偏光」と「S偏光」は、光が入射する入射面に対して定義される。P偏光とは入射面上で振動するような偏光を意味し、S偏光は入射面に対して垂直方向に振動するような偏光のことを意味する。ここで入射面とは、車両13の使用者14がフロントウインドシールド13aを介して第2の像IM2を視認するための、主光線Lがフロントウインドシールド13aに入射する際の入射面を意味する。
【0143】
車両13の使用者14は、車両13の前方の水溜まり等で反射され、フロントウインドシールド13aを透過した日光等の眩しさを軽減するために、偏光サングラス14bを着用する場合がある。この場合、水溜まり等で反射された日光等は、反射の際にフロントウインドシールド13aから見た場合のP偏光に相当する成分が特に減少するため、偏光サングラス14bはS偏光の大部分を遮断するように設計される。したがって、使用者14が偏光サングラス14bを着用した場合、表示装置710Aが発する光に含まれるS偏光の大部分も偏光サングラス14bに遮断されてしまい、使用者14が第2の像IM2が視認し難くなる可能性がある。なお、本明細書におけるP偏光およびS偏光は、上述した水溜まり等の反射物があることにより物理的に定義される。
【0144】
本実施形態においては、反射型偏光素子740が、表示装置710Aから出射する光のうちの第1偏光711pを透過し、第2偏光711sを反射する。反射型偏光素子740を透過した第1偏光711pの大部分は、結像光学系120、反射ユニット12、およびフロントウインドシールド13aの内面を経由した後、偏光サングラス14bに遮られることなく、アイボックス14aに入射する。なお、フロントウインドシールド13aの内面に入射する際の第1偏光711pの入射角は、ブリュースター角とは異なる角度となるように設定されている。
【0145】
具体的には
図16に示すように、LED素子712から出射した光は、波長変換部材715に照射される。これにより、波長変換部材715が励起されて、LED素子712から出射する光の発光ピーク波長よりも長い発光ピーク波長の光を発する。表示装置710Aから出射する光は、本実施形態では、LED素子712から出射する光および波長変換部材715から出射する光を含む。以下、表示装置710Aから出射する光のうち、LED素子712から出射した光を、「短波長光」ともいい、波長変換部材715から出射した光を「長波長光」ともいう。ただし、LED素子712から出射した光の大部分が、波長変換部材715に吸収されてもよい。
【0146】
これらの短波長光および長波長光に含まれる第1偏光711pの大部分は、反射型偏光素子740を透過して結像光学系120から出射する。
【0147】
また、これらの短波長光および長波長光に含まれる第2偏光711sの大部分は、反射型偏光素子740によって反射される。反射型偏光素子740によって反射された第2偏光711sの一部は、光散乱部材716Aや波長変換部材715等の表示装置710Aの構成要素において散乱反射する。散乱反射により、第2偏光711sの一部は第1偏光711pに変換される。第2偏光711sから変換した第1偏光711pの一部は、反射型偏光素子740を透過して光源ユニット71Aから出射する。そのため、光源ユニット71Aから出射する光に含まれる第1偏光711pの割合を高めつつ、第1の像IM1の輝度を向上できる。第1の像IM1の輝度が向上することで、第2の像IM2の輝度も向上する。これにより、使用者14は第2の像IM2を視認しやすくなる。
【0148】
また、第2偏光711sに含まれる短波長光の一部は、反射型偏光素子740によって反射された後、波長変換部材715に入射してもよい。この場合、波長変換部材715が第2偏光711sの短波長光を吸収して、新たに長波長光を放射する効果が期待できる。これらの散乱反射光および放射光は、いずれも略ランバーシアン配光を有する。
【0149】
また、反射型偏光素子740自体が第2偏光711sを散乱反射してもよい。このような場合も、散乱反射により、第2偏光711sの一部は第1偏光711pに変換される。
【0150】
反射型偏光素子740としては、例えば、偏光特性が異なる薄膜層を積層した多層薄膜積層偏光板等を用いることができる。
【0151】
本実施形態では、1つの反射型偏光素子740が表示装置710Aのすべての画素を覆う。ただし、光源ユニットは複数の反射型偏光素子を備え、各反射型偏光素子が、各画素上に配置されてもよい。また、反射型偏光素子と組み合わせて使用する表示装置の構成は、上記に限定されない。例えば、波長変換部材の有する光の散乱反射効果を用いることで、表示装置を光散乱部材を設けない構成としてもよい。また、光散乱部材の有する散乱反射効果を用いることで、表示装置を波長変換部材を設けない構成としてもよい。また、第1の実施形態のように、LED素子の光出射面に設けた複数の凹部または複数の凸部による光の散乱反射効果を用いることで、表示装置を波長変換部材および光散乱部材のどちらも設けない構成としてもよい。
【0152】
なお、表示装置710Aにおいては、
図2~
図6に関連して説明した画素配列や
図10A~
図13Bに関連して説明した構成は、光学系の歪に応じて適宜組み合せて適用される。
図17に関連して後述する第5の実施形態に係る光源ユニット80Aの表示装置710Aについても同様である。
【0153】
次に、本実施形態の効果を説明する。
本実施形態に係る光源ユニット71Aは、表示装置710A上に配置され、表示装置710Aから出射する光のうちの第1偏光711pを透過し、表示装置710Aから出射する光のうちの第2偏光711sを反射する反射型偏光素子740をさらに備える。そのため、光源ユニット71Aから出射する光に含まれる第1偏光711pの割合を高めつつ、第1の像IM1の輝度を向上できる。
【0154】
また、反射型偏光素子740から出射した光も、略ランバーシアン配光を有する。そのため、本実施形態においても、小型かつ品位が高い第1の像IM1を形成可能な光源ユニット71Aを提供できる。なお、複数のLED素子712が基板111上に離散的に実装されているため、第1の像IM1に粒状感が生じる場合がある。波長変換部材715はこの粒状感を緩和する効果を有する。そして光散乱部材716Aはこの粒状感を緩和する効果をさらに補強できる。
【0155】
本実施形態においては、表示装置710Aでは、フロントウインドシールド13aを含めた光学系の歪を相殺するように、複数の画素110pが配列されている。したがって、使用者14は、フロントウインドシールド13aに投影される第2の像IM2を、歪の少ない画像として観測することができる。
【0156】
<第5の実施形態>
図17は、第5の実施形態に係る光源ユニットを示す側面図である。
図17に示すように、本実施形態に係る光源ユニット80Aは、第4の実施形態と同様の表示装置710Aと、第4の実施形態と同様の反射型偏光素子740と、結像光学系820と、反射型偏光素子871と、第1波長板880と、第2波長板890と、を備える。表示装置710A、反射型偏光素子871、第1波長板880および結像光学系820は、この順でX方向に並ぶ。ただし、表示装置、反射型偏光素子、第1波長板および結像光学系の並ぶ方向は、X方向に限定されない。
【0157】
表示装置710Aは、本実施形態では、表示装置710Aの光出射面が+X方向を向くように配置されている。ただし、表示装置の向きは上記に限定されない。
【0158】
反射型偏光素子740は、表示装置710A上に配置される。反射型偏光素子740は、本実施形態では、表示装置710Aから出射する光のうち、P偏光である第1偏光711pを透過し、表示装置710Aから出射する光のうち、S偏光である第2偏光711sを表示装置710Aに向けて反射する。
【0159】
結像光学系820は、1つのミラー821を有する。ミラー821は、凹面状のミラー面821aを有する。ミラー821は、表示装置710Aから出射した光を反射し、表示装置710Aに表示される画像に応じた第1の像IM1を形成する。ミラー821は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する。すなわち、表示装置710Aとミラー821との間には、表示装置710A上の相互に異なる位置から出射し、第1の像IM1に至る複数の主光線L7が交差する焦点F3が存在する。また、ミラー821から出射する複数の主光線L7同士は、略平行である。
【0160】
反射型偏光素子871は、表示装置710Aとミラー821との間に配置される。反射型偏光素子871は、第1偏光711pを透過し、第2偏光711sを反射する。反射型偏光素子871には、例えば、ビームスプリッタを用いることができる。反射型偏光素子871の形状は、例えば、平板状である。反射型偏光素子871は、例えば、+Z方向に向かうほど+X方向に向かうように傾斜している。ただし、反射型偏光素子の形状および向きは、上記に限定されない。
【0161】
第1波長板880は、反射型偏光素子871とミラー821との間に配置される。第1波長板880は、本実施形態では、1/4波長板である。第1波長板880の形状は、平板状である。第1波長板880は、例えば、ミラー821により反射された主光線L7と概ね直交するように配置される。すなわち、第1波長板880は、YZ平面に略平行に配置される。ただし、第1波長板の向きは、上記に限定されない。例えば、第1波長板は、ミラーにより反射された主光線と直交する平面に対して傾斜していてもよい。
【0162】
第1波長板880は、XY平面またはYZ平面から角度を有するように傾けて配置してもよい。第1波長板880を傾けて配置することによって、第1波長板880とミラー面821aとの間での複数回の光の反射が迷光となって、ゴースト像を形成することを防止することができる。どちら側に傾けるかは、ゴースト像が形成される位置に応じて決定される。
【0163】
図18Aは、第5の実施形態に係る光源ユニットの動作を説明するための模式図である。
図18Aは、
図1に示した映像表示装置10に本実施形態に係る光源ユニット80Aを適用した場合の映像表示装置を車両13に搭載した自動車1000の例を示している。
図18Aは、使用者14である自動車1000の運転者が前方に視認する風景を模式的に表している。
【0164】
図18Aには図示しないが、
図1に示した光源ユニット11は、車両13の天井部に配置されている。反射ユニット12は、車両13のダッシュボード部13cに配置されている。使用者14が車両13の運転席にいるときに、使用者14のアイボックス14aに対向する位置および角度で配置されている。
【0165】
図18Bは、
図18AのXVIIIB部の模式的な拡大図である。
上述したように、第1波長板880のXY平面またはYZ平面からの傾きによっては、
図18Bに示すように、使用者14は、第2の像IM2の近傍にゴースト像GIMを観測することがある。第1波長板880を適切な角度で設置することによって、第2の像IM2の近傍からゴースト像GIMの形成を排除することができる。
【0166】
図17に戻って説明を続ける。
第2波長板890は、第1波長板880の-Z側に配置される。第2波長板890は、本実施形態では、1/2波長板である。第2波長板890の形状は、平板状である。第2波長板890は、例えば、ミラー821によって反射されて第1波長板880を通過した後に反射型偏光素子871によって反射された主光線L7と概ね直交するように配置される。したがって、第2波長板890は、+Z方向に向かうほど+X方向に向かうように傾斜するように配置される。ただし、第2波長板の向きは、上記に限定されない。例えば、第2波長板は、主光線と直交する平面に対して傾斜していてもよい。
【0167】
表示装置710Aから出射した光のうちの第1偏光711pの大部分は、反射型偏光素子740を透過し、第2偏光711sの大部分は反射型偏光素子740によって反射され、表示装置710Aに戻る。
【0168】
反射型偏光素子740を透過した第1偏光711pの大部分は、反射型偏光素子871を透過した後、第1波長板880に入射する。第1波長板880は、入射した第1偏光711pの大部分を円偏光711cに変換するように配置される。第1波長板880から出射した円偏光711cの大部分は、ミラー821のミラー面821aにおいて反射される。
【0169】
ミラー面821aにおいて反射された円偏光711cの大部分は、第1波長板880に入射する。第1波長板880は、入射した円偏光711cの大部分を第2偏光711sに変換する。第1波長板880から出射した第2偏光711sの大部分は、反射型偏光素子871によって反射され、第1の像IM1の形成位置Pに向かう。
【0170】
反射型偏光素子871によって反射された第2偏光711sの大部分は、第2波長板890に入射する。第2波長板890は、入射した第2偏光711sの大部分を第1偏光711pに変換するように配置される。
【0171】
本実施形態の効果について説明する。
本実施形態に係る光源ユニット80Aは、画像を表示可能な表示装置710Aと、表示装置710Aから出射した光を反射して画像に応じた第1の像IM1を形成するミラー821と、表示装置710Aとミラー821との間に配置される反射型偏光素子871と、反射型偏光素子871とミラー821との間に配置される第1波長板880と、を備える。反射型偏光素子871は、表示装置710Aから出射した光のうちの第1偏光711pを透過する。第1波長板880は、反射型偏光素子871を透過した第1偏光711pを円偏光711cに変換する。ミラー821は、第1波長板880から出射した円偏光711cを第1波長板880に向けて反射する。第1波長板880は、ミラー821が反射した円偏光711cを第2偏光711sに変換する。反射型偏光素子871は、第1波長板880から出射した第2偏光711sを、第1の像IM1の形成位置Pに向けて反射する。
【0172】
ミラー821は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有し、表示装置710Aから出射する光が略ランバーシアン配光を有する。そのため、本実施形態においても、小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニット80Aを提供できる。
【0173】
また、第1の像IM1を1つのミラー821により形成できるため、光源ユニット80Aをより一層小型にできる。
【0174】
また、表示装置710Aとミラー821との間に配置された反射型偏光素子871により、ミラー821が反射した光を第1の像IM1の形成位置Pに向けて反射するため、第1の像IM1を所望の形成位置Pに形成しつつ、光源ユニット80Aをより一層小型にできる。
【0175】
また、光源ユニット80Aは、反射型偏光素子871が反射した第2偏光711sを第1偏光711pに変換する第2波長板890をさらに備える。そのため、光源ユニット80Aから出射する光に含まれる第1偏光711pの割合を高めることができる。
【0176】
図17に示した例では、第1波長板880をXY平面またはYZ平面から角度を有するように傾けて配置している。このように第1波長板880を傾けて配置することによって、第1波長板880とミラー面821aとの間での複数回の光の反射によるゴースト像を形成することを防止することができる。第1波長板880をXY平面またはYZ平面から適切な角度をもって配置することによって、視認される位置に応じてゴースト像の形成を抑制することができる。
【0177】
また、光源ユニット80Aは、表示装置710A上に配置され、表示装置710Aから出射した光のうちの第1偏光711pを透過し、表示装置710Aから出射した光のうちの第2偏光711sを表示装置710Aに向けて反射する反射型偏光素子740をさらに備える。そのため、光源ユニット80Aから出射する光に含まれる第1偏光711pの割合を高めつつ、第1の像IM1の輝度および第2の像IM2の輝度を向上できる。
【0178】
<第6の実施形態>
図19は、本実施形態に係る映像表示装置を搭載した車両を示す側面図である。
本実施形態に係る映像表示装置100は、車両130に搭載して、HUDとして用いることができる。換言すれば、本実施形態に係る自動車1000は、車両130と、映像表示装置100と、を有する。映像表示装置100は車両130に固定されている。他の実施形態についても同様である。映像表示装置100における光源ユニット11は、車両130の天井部130bに配置される。映像表示装置100における反射ユニット12は、車両130のダッシュボード部130cに配置される。
【0179】
天井部130bに設けられた光源ユニット11は、反射ユニット12との間に第1の像IM1を形成する。反射ユニット12は、光源ユニット11から出射した光を反射する。反射ユニット12が反射した光の大部分は、フロントウインドシールド130aの内面において反射し、使用者14のアイボックスに入射する。これにより、使用者14は、第2の像IM2を視認できる。なお光源ユニット11はバックミラーユニット(図示せず)等と一体化して構成することもできる。
【0180】
光源ユニット11の表示装置には、
図1~
図13Bに関連して説明した画素配列および基板を適用することができる。いずれの画素配列や基板の構成を適用し、いずれの画素配列と基板との組合せを適用するかについては、結像光学系、反射ユニットおよび第2の像IM2を投影するフロントウインドシールド13aやコンバイナを含む光学系の特性に応じて設定される。
【0181】
上記の複数の実施形態および複数の変形例の各構成は、矛盾のない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0182】
以上説明したように、光源ユニットおよび反射ユニットの配置は、光源ユニットと反射ユニットとの間に第1の像が形成され、反射ユニットから出射した光をフロントウインドシールドの内面等の反射面に照射可能である限り、自由に設定できる。
【0183】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0184】
(付記1)
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた像を形成する結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、前記画像に応じた像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は、略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、同一平面に行列状に配列され、
前記複数の画素のうち最外周に配置された画素は、前記最外周に配置された画素の中心を結ぶ直線が矩形とならないように配置された
光源ユニット。
【0185】
(付記2)
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射する入力素子と、前記入力素子を経由した光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が前記画像に応じた像を形成する結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、前記画像に応じた像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光は、略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、同一の湾曲面に配列された光源ユニット。
【0186】
(付記3)
前記表示装置から出射する光は、前記表示装置から出射する光の光軸に対して角度θの方向の光度が前記光軸上の光度のcosnθ倍で近似される配光パターンを有し、
前記nは0より大きい値である付記1または2に記載の光源ユニット。
【0187】
(付記4)
前記nは、11以下である付記3記載の光源ユニット。
【0188】
(付記5)
前記複数の画素は、LED素子をそれぞれ含む付記1~4のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0189】
(付記6)
前記LED素子から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する付記5記載の光源ユニット。
【0190】
(付記7)
前記表示装置は、前記LED素子上に配置された波長変換部材を含む付記5記載の光源ユニット。
【0191】
(付記8)
前記結像光学系は、前記入力素子を含む屈曲部を有し、
前記屈曲部は、前記表示装置において互いに異なる位置から出射して前記入力素子に入射する前に互いに交差して前記画像に応じた像に至る複数の主光線同士が、前記画像に応じた像の前後で略平行になるように前記複数の主光線を屈曲する付記1~8のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0192】
(付記9)
前記結像光学系は、前記出力素子を含む方向変更部をさらに有し、
前記方向変更部は、前記屈曲部を経由した前記複数の主光線が、前記画像に応じたの像の形成位置に向かうように前記複数の主光線の進行方向を変更する付記8記載の光源ユニット。
【0193】
(付記10)
前記表示装置と前記結像光学系との間に配置された遮光部材をさらに備え、
前記遮光部材は、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の一部が通過する開口を有し、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の他の一部を遮断する付記1~9のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0194】
(付記11)
前記複数の画素は、前記結像光学系を含む光学系の2次元歪を解消するように配置された付記1~10のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0195】
(付記12)
付記1~11のいずれか1つに記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される映像表示装置。
【0196】
(付記13)
車両と、
前記車両に配置された付記12記載の映像表示装置と、
を備えた自動車。
【0197】
(付記14)
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光を反射して前記画像に応じた像を形成するミラーと、
前記表示装置と前記ミラーとの間に配置される反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子と前記ミラーとの間に配置される波長板と、
を備え、
前記反射型偏光素子は、前記表示装置から出射した光のうちの第1偏光を透過し、
前記波長板は、前記反射型偏光素子を透過した前記第1偏光を円偏光に変換し、
前記ミラーは、前記波長板から出射した前記円偏光を前記波長板に向けて反射し、
前記波長板は、前記ミラーが反射した前記円偏光を第2偏光に変換し、
前記反射型偏光素子は、前記波長板から出射した前記第2偏光を、前記像の形成位置に向けて反射し、
前記ミラーは、前記像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、平面上に配列され、
前記複数の画素のうち最外周に配置された画素は、前記最外周に配置された画素の中心を結ぶ直線が矩形とならないように配置された光源ユニット。
【0198】
(付記15)
画像を表示可能な表示装置と、
前記表示装置から出射した光を反射して前記画像に応じた像を形成するミラーと、
前記表示装置と前記ミラーとの間に配置される反射型偏光素子と、
前記反射型偏光素子と前記ミラーとの間に配置される波長板と、
を備え、
前記反射型偏光素子は、前記表示装置から出射した光のうちの第1偏光を透過し、
前記波長板は、前記反射型偏光素子を透過した前記第1偏光を円偏光に変換し、
前記ミラーは、前記波長板から出射した前記円偏光を前記波長板に向けて反射し、
前記波長板は、前記ミラーが反射した前記円偏光を第2偏光に変換し、
前記反射型偏光素子は、前記波長板から出射した前記第2偏光を、前記像の形成位置に向けて反射し、
前記ミラーは、前記像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有し、
前記表示装置は、複数の画素を含み、
前記複数の画素は、湾曲した面上に配列された光源ユニット。
【0199】
(付記16)
車両と、
前記車両に配置された付記14または15に記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される自動車。
【符号の説明】
【0200】
10、70A、100…映像表示装置、11、31、71A、80A…光源ユニット、12…反射ユニット、13、130…車両、13a、130a…フロントウインドシールド、13b、130b…天井部、13c、130c…ダッシュボード部、13h1、13h2…貫通穴、13s1、13s2…壁、14…使用者、14a…アイボックス、14b…偏光サングラス、110、110a、110b、110c、110d、110e、210、210a、210b、210c、710、710A…表示装置、110p、710p、710Ap…画素、110pi、110api、110bpi、110cbi、110dpi、110epi…画素行、110pj、110apj、110bpj、110cpj、110dpj、110epj…画素列、110pr、110apr、110bpr、110cpr、110dpr、110epr…画素配列、111、211、211a、211b、211c…基板、112、712…LED素子、112a…半導体積層体、112b、112c…電極、112i…行、112p1…p型半導体層、112p2…活性層、112p3、712p3…n型半導体層、112s…光出射面、112t…凹部、114…走査線、115…点灯制御線、117…信号線、118…個別回路、118a~118e…配線、119a…接地線、119b…電源線、120、220、820…結像光学系、120a、220a…屈曲部、120b、220b…方向変更部、121、221…入力素子、122、222…中間素子、123、223…出力素子、121a、122a、123a、221a、222a…ミラー面、131、821…ミラー、340…遮光部材、341…開口、711c…円偏光、711p…第1偏光、711s…第2偏光、714…保護層、715…波長変換部材、716…カラーフィルタ、716A…光散乱部材、740、871…反射型偏光素子、880…第1波長板、890…第2波長板、1000…自動車、