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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092707
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】液晶素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/137 20060101AFI20240701BHJP
   G02F 1/13 20060101ALI20240701BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240701BHJP
   G02F 1/1334 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/18 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/20 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/24 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/30 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/32 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/34 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/14 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/16 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/12 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/38 20060101ALI20240701BHJP
   C09K 19/54 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G02F1/137 500
G02F1/13 500
G02F1/13 101
G02F1/13 505
G02F1/1335 500
G02F1/1334
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/24
C09K19/30
C09K19/32
C09K19/34
C09K19/14
C09K19/16
C09K19/12
C09K19/38
C09K19/54 Z
C09K19/54 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022208827
(22)【出願日】2022-12-26
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100185591
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 岳
(74)【代理人】
【識別番号】100211018
【弁理士】
【氏名又は名称】財部 俊正
(72)【発明者】
【氏名】中田 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】高島 正直
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H291
4H027
【Fターム(参考)】
2H088EA34
2H088EA35
2H088FA09
2H088FA25
2H088GA10
2H088JA04
2H088KA06
2H088KA24
2H088KA26
2H088MA10
2H088MA20
2H189AA04
2H189FA23
2H189FA80
2H189HA06
2H189JA04
2H189KA02
2H189MA15
2H291FA10X
2H291FA10Z
2H291FB02
2H291FB21
2H291JA02
2H291LA05
2H291MA20
4H027BA02
4H027BD01
4H027BD02
4H027BD07
4H027BD08
4H027BE04
4H027BE05
4H027CB01
4H027CB02
4H027CE05
4H027CK01
4H027CL01
4H027CL04
4H027CM04
4H027CN01
4H027CN02
4H027CN04
4H027CT01
4H027CT02
4H027CU01
4H027CW02
4H027DF04
(57)【要約】
【課題】偏光板を使用せずとも、初期の低温応答性に優れ、かつ、耐光性試験において該低温応答性が劣化し難い液晶素子を提供すること。
【解決手段】偏光板を備えない液晶素子であって、第一の電極基板及び第二の電極基板からなる一対の電極基板と、一対の電極基板間に配置された液晶層と、第一の電極基板の液晶層とは反対側に設けられた紫外線遮断層と、を備え、第一の電極基板は、透明電極基板であり、紫外線遮断層は、378nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である層であり、液晶層は、1種又は2種以上の液晶化合物からなる液晶成分を含み、液晶成分は、下記式(1)で表される液晶化合物を含む、液晶素子。

【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光板を備えない液晶素子であって、
第一の電極基板及び第二の電極基板からなる一対の電極基板と、
前記一対の電極基板間に配置された液晶層と、
前記第一の電極基板の前記液晶層とは反対側に設けられた紫外線遮断層と、を備え、
前記第一の電極基板は、透明電極基板であり、
前記紫外線遮断層は、378nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である層であり、
前記液晶層は、1種又は2種以上の液晶化合物からなる液晶成分を含み、
前記液晶成分は、下記式(1)で表される液晶化合物を含む、液晶素子。
【化1】

[式(1)中、
T1は炭素原子数1~10のアルキル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
T2はハロゲン原子、シアノ基、イソチオシアネート基又は炭素原子数1~10のアルキル基(該アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、該アルキル基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
T1、AT2及びAT3はそれぞれ独立して
(a1)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b1)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c1)1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a1)、基(b1)及び基(c1)中に存在する水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子に置き換えられてもよく、
T1は単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
ntは0又は1を表す。]
【請求項2】
前記液晶成分が、前記式(1)で表される液晶化合物として、前記式(1)中の前記AT1が前記基(a1)及び前記基(b1)からなる群より選ばれる基であり、前記AT2及び前記AT3が前記基(b1)である液晶化合物1a(ただし、前記AT1、前記AT2及び前記AT3は互いに同一でも異なっていてもよい。)を含む、請求項1に記載の液晶素子。
【請求項3】
前記液晶成分が、前記式(1)で表される液晶化合物として、前記式(1)中の前記AT1、前記AT2及び前記AT3が前記基(b1)であり、ntが1である液晶化合物1b(ただし、前記AT1、前記AT2及び前記AT3は互いに同一でも異なっていてもよい。)を含む、請求項1に記載の液晶素子。
【請求項4】
前記液晶化合物1bの含有量が、前記液晶成分の総量を基準として、25質量%以上である、請求項3に記載の液晶素子。
【請求項5】
前記液晶成分が、下記式(2-1)で表される液晶化合物をさらに含む、請求項1に記載の液晶素子。
【化2】

[式(2-1)中、
11は炭素原子数1~10のアルキル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
11、A12及びA13はそれぞれ独立して
(a2)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b2)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c2)1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a2)、基(b2)及び基(c2)中に存在する水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子に置き換えられてもよく、
11及びZ12はそれぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-(ただし、Z12は-C≡C-ではない。)を表し、
11は0~3の整数を表し、
11及びZ11が複数存在する場合、複数のA11は互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のZ11は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【請求項6】
前記液晶成分の転移温度Tniが80℃以上である、請求項1に記載の液晶素子。
【請求項7】
前記紫外線遮断層の394nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶素子。
【請求項8】
前記液晶層がポリマーネットワークをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶素子。
【請求項9】
前記液晶層が、前記ポリマーネットワークを構成するポリマー成分として、単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物を含む重合性成分の重合体を含む、請求項8に記載の液晶素子。
【請求項10】
前記液晶層が、前記ポリマーネットワークを構成するポリマー成分として、重量平均分子量が2000以上の重合性オリゴマーを含む重合性成分の重合体を含む、請求項8に記載の液晶素子。
【請求項11】
25℃において剥離角度180°の条件で測定される、前記液晶層と前記一対の電極基板の少なくとも一方との間の密着力が、0.1N/25mm以上である、請求項8に記載の液晶素子。
【請求項12】
前記液晶層が光学活性物質をさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶素子。
【請求項13】
前記透明電極基板を構成する透明基材がプラスチック基材である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶素子に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶材料は、TVやスマートフォンに代表される文字や画像、映像を表示させる各種の液晶表示素子に利用されている。液晶表示素子の中でも、偏光板を必要とせず、より一層の低消費電力化が可能となることから、コレステリック液晶を用いた表示素子が注目されている(例えば特許文献1参照。)。また、近年では、高分子分散型液晶等を用いた液晶調光素子の検討も活発に行われている。このような液晶調光素子も一般的には偏光板を必要としない液晶素子である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-513975号公報
【特許文献2】国際公開第2022/138418号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、上記偏光板を使用しない液晶素子には、屈折率異方性Δnが比較的大きい液晶成分(例えば、Δnが0.20前後の液晶成分)が用いられる。しかしながら、このような液晶成分を用いた液晶素子は、偏光板を用いた液晶素子、すなわち、屈折率異方性Δnが小さい液晶成分(例えば、Δnが0.10前後の液晶成分)を用いた液晶素子よりも、応答性及び環境安定性に劣る傾向があり、特に、太陽光や周囲光の影響により、低温応答性が劣化する傾向がある。
【0005】
そこで、本発明は、偏光板を使用せずとも、初期の低温応答性に優れ、かつ、耐光性試験において該低温応答性が劣化し難い液晶素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のいくつかの側面は、下記[1]~[13]に記載の液晶素子を提供する。
【0007】
[1]
偏光板を備えない液晶素子であって、
第一の電極基板及び第二の電極基板からなる一対の電極基板と、
前記一対の電極基板間に配置された液晶層と、
前記第一の電極基板の前記液晶層とは反対側に設けられた紫外線遮断層と、を備え、
前記第一の電極基板は、透明電極基板であり、
前記紫外線遮断層は、378nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である層であり、
前記液晶層は、1種又は2種以上の液晶化合物からなる液晶成分を含み、
前記液晶成分は、下記式(1)で表される液晶化合物を含む、液晶素子。
【0008】
【化1】

[式(1)中、
T1は炭素原子数1~10のアルキル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
T2はハロゲン原子、シアノ基、イソチオシアネート基又は炭素原子数1~10のアルキル基(該アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、該アルキル基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
T1、AT2及びAT3はそれぞれ独立して
(a1)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b1)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c1)1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a1)、基(b1)及び基(c1)中に存在する水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子に置き換えられてもよく、
T1は単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
ntは0又は1を表す。]
【0009】
[2]
前記液晶成分が、前記式(1)で表される液晶化合物として、前記式(1)中の前記AT1が前記基(a1)及び前記基(b1)からなる群より選ばれる基であり、前記AT2及び前記AT3が前記基(b1)である液晶化合物1a(ただし、前記AT1、前記AT2及び前記AT3は互いに同一でも異なっていてもよい。)を含む、[1]に記載の液晶素子。
【0010】
[3]
前記液晶成分が、前記式(1)で表される液晶化合物として、前記式(1)中の前記AT1、前記AT2及び前記AT3が前記基(b1)であり、ntが1である液晶化合物1b(ただし、前記AT1、前記AT2及び前記AT3は互いに同一でも異なっていてもよい。)を含む、[1]又は[2]に記載の液晶素子。
【0011】
[4]
前記液晶化合物1bの含有量が、前記液晶成分の総量を基準として、25質量%以上である、[3]に記載の液晶素子。
【0012】
[5]
前記液晶成分が、下記式(2-1)で表される液晶化合物をさらに含む、[1]~[4]のいずれかに記載の液晶素子。
【0013】
【化2】

[式(2-1)中、
11は炭素原子数1~10のアルキル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
11、A12及びA13はそれぞれ独立して
(a2)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b2)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c2)1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a2)、基(b2)及び基(c2)中に存在する水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子に置き換えられてもよく、
11及びZ12はそれぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-(ただし、Z12は-C≡C-ではない。)を表し、
11は0~3の整数を表し、
11及びZ11が複数存在する場合、複数のA11は互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のZ11は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0014】
[6]
前記液晶成分の転移温度Tniが80℃以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の液晶素子。
【0015】
[7]
前記紫外線遮断層の394nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である、[1]~[6]のいずれかに記載の液晶素子。
【0016】
[8]
前記液晶層がポリマーネットワークをさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の液晶素子。
【0017】
[9]
前記液晶層が、前記ポリマーネットワークを構成するポリマー成分として、単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物を含む重合性成分の重合体を含む、[8]に記載の液晶素子。
【0018】
[10]
前記液晶層が、前記ポリマーネットワークを構成するポリマー成分として、重量平均分子量が2000以上の重合性オリゴマーを含む重合性成分の重合体を含む、[8]又は[9]に記載の液晶素子。
【0019】
[11]
25℃において剥離角度180°の条件で測定される、前記液晶層と前記一対の電極基板の少なくとも一方との間の密着力が、0.1N/25mm以上である、[8]~[10]のいずれかに記載の液晶素子。
【0020】
[12]
前記液晶層が光学活性物質をさらに含む、[1]~[7]のいずれかに記載の液晶素子。
【0021】
[13]
前記透明電極基板を構成する透明基材がプラスチック基材である、[1]~[12]のいずれかに記載の液晶素子。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、偏光板を使用せずとも、初期の低温応答性に優れ、かつ、耐光性試験において該低温応答性が劣化し難い液晶素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】一実施形態に係る液晶素子を示す模式断面図である。
図2】実施例で用いた紫外線遮断フィルムの光透過率曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明は下記実施形態に何ら限定されるものではない。
【0025】
<液晶素子>
図1は、一実施形態に係る液晶素子を示す模式断面図である。図1に示すように、一実施形態に係る液晶素子1は、第1の電極基板2及び第2の電極基板3からなる一対の電極基板と、一対の電極基板(第1の電極基板2及び第2の電極基板3)間に配置された液晶層4と、第1の電極基板2の液晶層4とは反対側に設けられた紫外線遮断層5と、を備える。すなわち、一実施形態に係る液晶素子1は、厚さ方向(積層方向)に、第2の電極基板3、液晶層4、第1の電極基板2及び紫外線遮断層5をこの順に備える。
【0026】
(電極基板)
第1の電極基板2は、第1の基材2aと該第1の基材2a上に設けられた第1の電極2bとを備える。同様に、第2の電極基板3は、第2の基材3aと該第2の基材3a上に設けられた第2の電極3bとを備える。これらの電極基板において、電極(第1の電極2b及び第2の電極3b)は、液晶層中の液晶分子を配向制御可能な電界を生じるように設けられている。
【0027】
第1の電極基板2は透明な電極基板(透明電極基板)であり、第1の基材2a及び第1の電極2bは透明な材料で構成されている。すなわち、第1の基材2aは透明基材であり、第1の電極2bは透明電極である。ここで、「透明」とは、400~780nmの波長域の光透過率が80%以上であることを意味する。なお、特に断りのない場合、本明細書中、光透過率は、分光光度計(V-660)を用いて測定される透過率を意味する。
【0028】
第1の基材2a(透明基材)は、例えば、平板状又は非平板状(例えば曲面を有する形状)である。第1の基材2a(透明基材)を構成する材料は、ガラスであってもプラスチックであってもよい。すなわち、第1の基材2a(透明基材)はガラス基材であってもプラスチック基材であってもよい。軽量化や後工程の作業性の観点では、第1の基材2a(透明基材)はプラスチック基材であることが好ましい。プラスチック基材の材料としては、セルロース誘導体、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアリレート、ポリエーテルサルホン、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンエーテル、ナイロン又はポリスチレン等が挙げられる。中でもポリエステル(例えばPET)、ポリスチレン、ポリオレフィン、セルロース誘導体、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリイミド等が好ましく用いられる。
【0029】
第1の基材2a(透明基材)の厚さは、例えば5~500μmであってよい。
【0030】
第1の電極2b(透明電極)は、例えば、膜状である。第1の電極2b(透明電極)の形状は特に限定されず、例えば、電極の導電部が、ストライプ状、メッシュ状、ランダムな網目状等に形成されていてもよい。第1の電極2b(透明電極)を構成する材料としては、例えばITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、IZTO(Indium Zinc Tin Oxide)のような公知の透明導電性材料が挙げられる。
【0031】
第1の電極2b(透明電極)の厚さは、例えば5~500nmであってよい。
【0032】
第2の電極基板3は、第1の電極基板2と同じく透明電極基板であってもよいが、場合によっては非透明の電極基板(例えば、色付きの電極基板、遮光性を有する電極基板等)であってもよい。
【0033】
第2の基材3aは、例えば、平板状又は非平板状(例えば曲面を有する形状)である。第2の基材3aとしては、液晶表示素子、有機発光表示素子、その他表示素子、光学部品、調光素子、着色剤、マーキング、印刷物や光学フィルムに通常使用する基材を用いることができる。第2の基材3aの材料に特に制限はなく、例えば、上記第1の基材2aに用いられるガラス基材及びプラスチック基材の他、金属基材、セラミックス基材、紙基材等を用いることができる。第2の基材3aは、透明であってよく、色付きの基材であってもよい。第2の基材3aとしては、第2の電極基板3に遮光性を付与するために、可視光の透過率が低い基材(例えば、グレー色等の基材)を用いることもできる。
【0034】
第2の電極3bは、例えば、膜状である。第2の電極3bの形状は特に限定されず、例えば、電極の導電部が、ストライプ状、メッシュ状、ランダムな網目状等に形成されていてもよい。第2の電極3bの材料に特に制限はなく、公知の金属材料であってよい。このような金属材料としては、上記第1の電極2bに用いられる透明導電性材料の他、例えば、Al、Cu、Au、Ag、Cr、Ta、Ti、Mo、W、Niまたはこれらのうちの少なくとも1種を含む合金を用いることができる。
【0035】
第2の基材3aの厚さ及び第2の電極3bの厚さの範囲は、それぞれ、第1の基材2aの厚さ及び第1の電極2bの厚さとして例示した上記範囲と同じであってよい。
【0036】
第1の電極基板2及び第2の電極基板3の基材(第1の基材2a及び第2の基材3a)は、液晶素子の密着性向上のために表面処理されていてもよい。表面処理としては、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、シランカップリング処理などが挙げられる。また、光の透過率や反射率を調節するために、基材表面に、有機薄膜、無機酸化物薄膜、金属薄膜等が、蒸着等の方法によって設けられていてよい。また、光学的な付加価値をつけるために、基材がピックアップレンズ、ロッドレンズ、光ディスク、位相差フィルム、光拡散フィルム、マイクロレンズシート、カラーフィルター、等であってもよい。また、必要に応じて、基材に反射防止機能、反射機能等が付与されていてもよい。
【0037】
図示しないが、第1の電極基板2及び第2の電極基板3は、周縁領域に配置されたエポキシ系熱硬化性組成物等のシール材及び封止材によって互いに貼り合わされていてよい。第1の電極基板2及び第2の電極基板3の間には、基板間距離を保持するために、例えば、ガラス粒子、プラスチック粒子、アルミナ粒子等の粒状スペーサー、又はフォトリソグラフィー法により形成された樹脂からなるスペーサー柱が配置されていてもよい。
【0038】
(液晶層)
液晶層4は、液晶成分を含む液晶組成物からなる。液晶成分は、1種又は2種以上の液晶化合物からなる成分であり、後述する式(1)で表される液晶化合物(以下、「液晶化合物(1)」という。)を含む。液晶成分として用いられる液晶化合物は、1種であっても2種以上であってもよい。液晶化合物は、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種又は9種組み合わせて用いてよく、10種以上組み合わせて用いてもよい。組み合わせることができる化合物の種類に特に制限は無いが、低温での溶解性、転移温度、電気的な信頼性、複屈折率などの所望の性能に応じて組み合わせて使用する。
【0039】
一実施形態において、液晶層4は、ポリマーネットワークをさらに含んでいてよい。すなわち、液晶層4は、高分子分散型(ポリマーネットワーク型)液晶層であってよい。高分子分散型液晶層は、例えば、ポリマーの3次元ネットワーク構造中に液晶成分が連続層をなす構造、液晶成分のドロップレットがポリマー中に分散している構造、又は両者が混在する構造を有する。高分子分散型液晶層は、液晶成分がポリマー成分内にカプセル状に閉じ込められた構造、液晶成分の連続相中にポリマー成分の3次元ネットワーク構造が形成された構造、又は両者が混在した構造等を有しているが、液晶成分の連続相中にポリマー成分の3次元ネットワーク構造が形成された構造を有することが好ましい。カプセル状の液晶成分の平均粒径、及び、ポリマー成分の3次元ネットワーク構造の平均空隙間隔は、それぞれ、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が最も好ましく、3μm以下が好ましく、2μm以下がより好ましく、1μm以下が最も好ましい。
【0040】
液晶層4が上記高分子分散型液晶層である場合、25℃において剥離角度180°の条件で測定される、液晶層4と一対の電極基板(第1の電極基板2及び第2の電極基板3)の少なくとも一方との間の密着力は、好ましくは0.1N/25mm以上であり、より好ましくは0.2N/25mm以上であり、さらに好ましくは0.4N/25mm以上である。上記のような高い密着力は、ポリマーネットワークを形成するための重合性化合物として、極性基を持つ重合性化合物を用いること等によって実現可能である。液晶層4と一対の電極基板(第1の電極基板2及び第2の電極基板3)のそれぞれとの間の密着力はいずれも上記範囲であることが好ましい。
【0041】
他の一実施形態において、液晶層4は、光学活性物質をさらに含んでいてよい。すなわち、液晶層4は、コレステリック液晶層であってよい。
【0042】
液晶層4の厚さは、例えば5~100μmであってよい。
【0043】
(紫外線遮断層)
紫外線遮断層5は、378nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である層である。紫外線遮断層5の412nm以下の波長域における光透過率は、好ましくは30%以上であり、50%以上であってもよい。紫外線遮断層5の400nm以下の波長域における光透過率は0.1%超(例えば0.1%超90%以下)であってもよいが、0.1%以下であってもよい。紫外線遮断層5の394nm以下の波長域における光透過率は0.1%以下であってよい。紫外線遮断層5の394nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である場合、紫外線遮断層5の412nm以下の波長域における光透過率は、好ましくは50%以上である。
【0044】
紫外線遮断層5は、長波長域の光に対しては光透過性を有する。紫外線遮断層5の420nm以上の波長域における光透過率は、例えば、80%以上である。
【0045】
紫外線遮断層5は、例えば、膜状である。紫外線遮断層5を構成する材料としては、紫外線吸収剤を混入、又はコーティングした各種プラスチックフィルム、光干渉型の基材等が挙げられる。紫外線吸収剤入り樹脂を電極基板2に直接コーティングして形成されたコーティング層であってもよい。
【0046】
紫外線遮断層5の厚さは、例えば10μm~5mmであってよい。
【0047】
紫外線遮断層5としては、例えば、富士フィルム社製のTAC基材の紫外線吸収フィルターSCシリーズ、日東樹脂工業社製のアクリル基材の紫外線カットフィルター、HOYA社の色ガラスフィルター、3M社製のUVカットフィルター等として入手可能な紫外線遮断フィルムを使用可能である。
【0048】
上記構成の液晶素子1は、液晶層4が液晶化合物(1)を含むこと、及び、紫外線遮断層5を備えることから、偏光板を備えない液晶素子でありながら、優れた応答性(特に低温応答性)及び耐光性を有しており、耐光性試験において低温応答性が劣化し難い特性を有している。また、上記液晶素子1は、耐熱性にも優れる傾向がある。
【0049】
上記液晶素子1は、例えば、建材、調光ガラス、車載向けのスマートウィンドウ又はOLEDディスプレイにおける調光ユニット等に用いられる、液晶調光素子であってよく、液晶表示素子であってもよい。液晶素子1は、従来の調光素子及び液晶表示素子と同様な用途に用いることもできる。液晶素子1は、透過型ディスプレイ、フレキシブルディスプレイ等にも好ましく用いることができる。より具体的には、窓、天窓、屋根、壁、仕切り、間仕切り、扉等の建築用調光素子、扉、窓、ドア、ヘルメット、サンルーフ等の輸送用調光素子、サングラス、眼鏡、サンバイザー、時計、鏡、反射板等の装飾用調光素子、フレキシブル液晶表示素子、反射型液晶表示素子、透明液晶表示素子、可変式拡散フィルム等のディスプレイ用部材等の物品に用いることができる。
【0050】
上記液晶素子1は、ロールtoロール法、ODF法等の公知の方法で製造することができる。上記液晶素子1の製造方法は、例えば、一対の電極基板(第1の電極基板2及び第2の電極基板3)の一方に液晶層4を形成するための組成物(以下、「液晶層形成用組成物」という。)を滴下又は塗布し、他方の電極基板を配置(例えばラミネート)すること、及び、第1の電極基板2の液晶層4が配置される側とは反対側に紫外線遮断層5を配置することを含む。
【0051】
液晶層形成用組成物の塗布方法は、アプリケーター法、バーコーティング法、ロールコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、インクジェット法、ダイコーティング法、キャップコーティング法等の公知慣用の方法であってよい。
【0052】
紫外線遮断層5を配置する方法は、紫外線遮断層であるフィルム・基材を第1の電極基板2に貼り合わせる方法、第1の電極基板2に紫外線遮断層をコーティング等の手法により、直接成形させる方法等が挙げられる。
【0053】
液晶層形成用組成物が後述する「高分子分散型液晶形成性組成物」である場合、すなわち、液晶成分と、重合性成分と、重合開始剤と、を含む組成物を用いて高分子分散型(ポリマーネットワーク型)液晶層を形成する場合、液晶素子1の製造方法は、高分子分散型液晶形成性組成物中の重合性成分を重合させる工程をさらに含んでよい。
【0054】
重合性成分を重合させる方法は、重合性成分の種類(重合開始剤の種類)に応じた方法であればよい。例えば、重合性成分が光重合性を有する場合、高分子分散型液晶形成性組成物に対して紫外線照射を行うことで、重合性成分を重合させる。
【0055】
紫外線を発生させるランプとしては、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ等を用いることができる。また、照射する紫外線の波長としては、高分子分散型液晶形成性組成物に含有されている光重合開始剤の吸収波長領域であり、かつ、含有されている液晶成分の吸収波長域でない波長領域の紫外線を照射することが好ましい。具体的には、メタルハライドランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプを使用して330nm以下の紫外線をカットして使用することが好ましい。また、単一波長を照射できるUV-LEDランプを用いることも好ましい。
【0056】
照射する紫外線の強度は、目的とする液晶層を得る観点から適宜調整することができるが、1~200mw/cmが好ましく、5~50mw/cmがより好ましい。紫外線を照射する時間は照射する紫外線強度により適宜選ばれるが、10~300秒が好ましい。紫外線照射時の温度は、液晶層の特性を決める重要な要素となるが、高分子分散型液晶形成性組成物のアイソトロピック-ネマチック転移点(Tnm)より高い温度が好ましい。
【0057】
本発明の液晶素子は上記実施形態の液晶素子に限定されない。例えば、紫外線遮断層が第2の電極基板3の液晶層4とは反対側にさらに設けられていてもよい。すなわち、液晶素子は、一対の電極基板(第1の電極基板2及び第2の電極基板3)と液晶層4とを挟むように、一対の紫外線遮断層を備えていてもよい。この場合、第2の電極基板3は透明電極基板であってよい。透明電極基板の詳細は、第1の電極基板2場合と同じである。また、本発明の液晶素子が、一対の電極基板と該一対の電極基板間に配置された液晶層とを備える素子を他の基材に貼り合わせて得られたものである場合、該基材、貼り合わせに使用された感圧接着剤(PSA)、PVB、EVA等の中間膜などが紫外線遮断層5であってもよい。すなわち、これらの基材等に紫外性遮断機能を持たせることで、紫外線遮断層5としてもよい。PSAや、PVB、EVA等の中間膜に紫外線遮断機能を持たせる方法としては、例えば、これらの材料に紫外線吸収剤等を含有させる方法が挙げられる。
【0058】
また、液晶素子中の液晶分子が水平配向、あるいは、垂直配向するように、第1の電極基板2の液晶層4側(第1の電極基板2と液晶層4との間)、及び/又は、第2の電極基板3の液晶層4側(第2の電極基板3と液晶層4との間)に配向膜が設けられていてもよく、基材(第1の基材2a及び/又は第2の基材3a)に配向処理が施されていてもよい。配向膜としては、ポリイミド、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルサルホン、エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、アクリル樹脂、アゾ化合物、クマリン化合物、カルコン化合物、シンナメート化合物、フルギド化合物、アントラキノン化合物、アゾ化合物、アリールエテン化合物等の化合物、又は、前記化合物の重合体や共重合体などで構成される膜が挙げられる。配向処理としては、延伸処理、ラビング処理、偏光紫外可視光照射処理、イオンビーム処理、基材へのSiOの斜方蒸着処理、等が挙げられる。液晶分子にチルト角を付与するために、ラビング処理を行う場合、ラビングにより配向処理する化合物は、配向処理、もしくは配向処理の後に加熱工程を入れることで材料の結晶化が促進されるものが好ましい。ラビング以外の配向処理を行う化合物の中では光配向材料を用いることが好ましい。一般に、配向機能を有する基材に液晶材料を接触させた場合、液晶分子は基板付近で基板を配向処理した方向に沿って配向する。液晶分子が基板と水平に配向するか、傾斜あるいは垂直して配向するかは、基板への配向処理方法による影響が大きい。
【0059】
また、液晶素子には、接着剤や接着層、粘着剤や粘着層、保護フィルム等が積層されていてもよい。また、液晶素子が電圧印加装置を備えていてもよい。
【0060】
<液晶組成物>
次に、上記液晶層4を構成する液晶組成物についてより詳細に説明する。以下では、高分子分散型(ポリマーネットワーク型)液晶層を構成する液晶組成物を第1実施形態の液晶組成物といい、コレステリック液晶層を構成する液晶組成物を第2実施形態の液晶組成物という。なお、以下の説明における液晶組成物は液晶層と読み替えることができる。ただし、本発明の効果を阻害しない限り、液晶層が液晶組成物以外の成分を含むことを妨げるものではない。
【0061】
(第1実施形態)
第1実施形態の液晶組成物は、いわゆる「高分子分散型液晶組成物」であり、液晶成分と、ポリマーネットワークを構成するポリマー成分と、を含有する。この液晶組成物は、液晶成分と、重合性成分と、重合開始剤と、を含む組成物(「高分子分散型液晶形成性組成物」)中の前記重合性成分を重合させることで得られる。
【0062】
[液晶成分]
液晶成分は、1種又は2種以上の液晶化合物からなる。液晶成分は、例えば、非重合性液晶成分である。液晶成分は、少なくとも下記式(1)で表される化合物(液晶化合物(1))を含む。
【0063】
【化3】
【0064】
式(1)中、
T1は炭素原子数1~10のアルキル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
T2はハロゲン原子(例えばフッ素原子及び塩素原子)、シアノ基、イソチオシアネート基又は炭素原子数1~10のアルキル基(該アルキル基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、該アルキル基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
T1、AT2及びAT3はそれぞれ独立して
(a1)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b1)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c1)1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a1)、基(b1)及び基(c1)中に存在する水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子に置き換えられてもよく、
T1は単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-を表し、
ntは0又は1を表す。なお、上記のとおり、液晶化合物(1)は、分子中に-CH=CH-、-C≡C-等の不飽和結合を含み得るが、液晶化合物(1)の構造上、これらの不飽和結合を有する基(例えばアルケニル基)は重合性基として機能しない基であり、実質的に、重合性基ではない。後述する液晶化合物(2)についても同様である。
【0065】
T1は、炭素原子数1~8のアルキル基、炭素原子数1~8のアルコキシ基、炭素原子数2~8のアルケニル基又は炭素原子数2~8のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、炭素原子数2~5のアルケニル基又は炭素原子数2~5のアルケニルオキシ基が好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数2~5のアルケニル基がさらに好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基又は炭素原子数2~3のアルケニル基がさらに好ましく、炭素原子数2~5のアルキル基が特に好ましい。
【0066】
T1は、信頼性を重視する場合にはアルキル基であることが好ましく、粘性の低下を重視する場合にはアルケニル基であることが好ましい。
【0067】
アルケニル基としては、式(R1)~式(R5)のいずれかで表される基から選ばれることが好ましい。式(R1)~式(R5)中の黒点は、アルケニル基が結合している環構造中の炭素原子を表す。
【0068】
【化4】
【0069】
T1は、ネマチック相を安定化させるためには、炭素原子及び酸素原子の合計が5以下であることが好ましく、直鎖状であることが好ましい。
【0070】
T2は、好ましくはフッ素原子、シアノ基又は炭素原子数1~10のアルキル基(置換されたものも含む)であり、より好ましくは炭素原子数1~10のアルキル基(置換されたものも含む)である。炭素原子数1~10のアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましい。
【0071】
T1、AT2及びAT3はそれぞれ独立して、上記の基(a1)及び基(b1)からなる群より選ばれる基を表すことが好ましい。
【0072】
T1は、-COO-又は単結合であることが好ましく、単結合であることがより好ましい。
【0073】
上記液晶化合物(1)は、一般に誘電的に中性の化合物であり、25℃、1kHzにおける誘電率異方性Δεは、例えば、-1.5~+1.5である。各化合物のΔεは、ある液晶組成物に各化合物を一定量添加した際に得られるΔεの値から外挿して求めることができる。
【0074】
液晶化合物(1)の含有量(総量)は、液晶素子の視認性や散乱特性の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、25質量%以上、35質量%以上又は45質量%以上であってよい。液晶化合物(1)の含有量(総量)は、信頼性の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、80質量%以下、70質量%以下又は60質量%以下であってよい。これらの観点から、液晶化合物(1)の含有量(総量)は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、25~80質量%、35~70質量%又は45~60質量%であってよい。
【0075】
一実施形態では、液晶成分が、液晶化合物(1)として、式(1)中のAT1が基(a1)及び基(b1)からなる群より選ばれる基であり、AT2及びAT3が基(b1)である液晶化合物1a(ただし、AT1、AT2及びAT3は互いに同一でも異なっていてもよい。)を含むことが好ましい。
【0076】
液晶化合物1aは、好ましくは、下記式(1a)で表される化合物である。
【0077】
【化5】
【0078】
式(1a)中のRT1、RT2及びntは、式(1)中のRT1、RT2及びntと同義である。式(1a)中、AT11は1,4―シクロへキシレン基、又は、水素原子がフッ素原子若しくはメチル基で置換されてもよい1,4-フェニレン基を表し、ZT11は単結合、-COO-又は-CHCH-を表し、XT1、XT2、XT3、XT4、XT5及びXT6はそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子又はメチル基を表す。
【0079】
T1及びRT2はそれぞれ独立して炭素原子数1~7個のアルキル基若しくはアルコキシ基、又は、炭素原子数2~7個のアルケニル基若しくはアルケニルオキシ基であることが好ましい。
【0080】
T11は、1,4-シクロへキシレン基であるか、又は、下記式(A1)~式(A12)で表されるいずれかの構造であることが好ましい。
【0081】
【化6】
【0082】
【化7】
【0083】
上記構造中の波線で表される結合手がRT1側の結合手であり、*で表される結合手がRT2側の結合手である。
【0084】
T1、XT2及びXT3で表される原子又は基の組み合わせは、上記式(A1)~式(A4)、式(A6)~式(A8)、式(A10)及び式(A12)で表されるいずれかの構造となるように選択されることが好ましい。
【0085】
T4、XT5及びXT6で表される原子又は基の組み合わせは、上記式(A1)~式(A5)及び式(A7)~式(A11)で表されるいずれかの構造となるように選択されることが好ましい。
【0086】
液晶化合物1aの好適な具体例としては、下記式(1a-1)~式(1a-5)で表される化合物が挙げられる。
【0087】
【化8】
【0088】
式(1a-1)~式(1a-5)中のRT1及びRT2は、前述の式(1)中のRT1及びRT2と同義であり、好ましい態様も同じである。式(1a-5)中のXT7、XT8、XT9及びXT10は、それぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子を表す。XT7、XT8、XT9及びXT10のいずれか一つ以上はフッ素原子であることが好ましい。ただし、XT9及びXT10のいずれか一方がフッ素原子であるとき、XT7及びXT8は水素原子であることが好ましい。
【0089】
液晶化合物1aのさらに具体的な例としては、下記式(1a-1-A)~式(1a-1-H)、式(1a-2-A)~式(1a-2-D)、式(1a-3-A)、式(1a-4-A)~(1a-4-B)及び式(1a-5-A)~式(1a-5-C)で表される化合物が挙げられる。
【0090】
【化9】
【0091】
【化10】
【0092】
【化11】
【0093】
【化12】
【0094】
【化13】
【0095】
液晶化合物1aは、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0096】
液晶化合物1aの含有量(総量)は、上記液晶化合物(1)の含有量(総量)として例示した範囲と同じであってよい。すなわち、液晶成分は、液晶化合物(1)として液晶化合物1aのみを含んでいてもよい。
【0097】
液晶成分は、上記液晶化合物(1)の中でも、式(1)中のAT1、AT2及びAT3が基(b1)であり、ntが1である液晶化合物1b(ただし、前記AT1、前記AT2及び前記AT3は互いに同一でも異なっていてもよい。)を含むことがより好ましい。このような液晶化合物1bは、特に、紫外線遮断層5として、394nm以下の波長域における光透過率が0.1%以下である層を用いる場合に好適であり、該光透過率を有する紫外線遮断層と組み合わせることで、耐光性試験による低温応答性の劣化がより抑制される傾向がある。
【0098】
液晶化合物1bにおいて、式(1)中のAT1は、高散乱の点から、1,4-フェニレン基であることがさらに好ましい。
【0099】
液晶化合物1bにおいて、式(1)中のAT2及びAT3は、高速応答性の点から、下記いずれかの構造であることがより好ましい。なお、下記構造中の波線及び*は上記と同義である。
【0100】
【化14】
【0101】
上記の中でも、AT2は、1,4-フェニレン基又は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表すことが好ましく、1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。また、AT3は、1,4-フェニレン基又は2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレン基又は6-メチル-1,4-フェニレン基を表すことが好ましく、2,6-ジフルオロ-1,4-フェニレン基を表すことがより好ましい。なお、1位がRT1側であり、4位がRT2側である。
【0102】
液晶化合物1bの好適な具体例は、上記式(1a-5)で表される化合物であり、さらに具体的な例は、上記式(1a-5-A)~(1a-5-C)で表される化合物である。
【0103】
液晶化合物1bは、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
液晶化合物1bの含有量(総量)は、液晶素子の視認性や散乱特性の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、25質量%以上、30質量%以上又は45質量%以上であってよい。液晶化合物1bの含有量(総量)は、信頼性の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、80質量%以下、70質量%以下又は60質量%以下であってよい。これらの観点から、液晶化合物1bの含有量(総量)は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、25~80質量%、30~70質量%又は45~60質量%であってよい。
【0105】
液晶成分は、液晶化合物(1)以外の液晶化合物をさらに含んでいてもよい。このような液晶化合物としては、下記式(2)で表される液晶化合物(以下、「液晶化合物(2)」という。)が挙げられる。
【0106】
【化15】
【0107】
式(2)中、
11は炭素原子数1~10のアルキル基(この基中に存在する水素原子はフッ素原子に置き換えられてもよく、この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-はそれぞれ独立して、-CH=CH-、-C≡C-、-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-に置き換えられてもよい。)を表し、
11、A12及びA13はそれぞれ独立して
(a2)1,4-シクロヘキシレン基(この基中に存在する1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は-O-に置き換えられてもよい。)、
(b2)1,4-フェニレン基(この基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)及び
(c2)1,4-シクロヘキセニル基、テトラヒドロピラン-2,5-ジイル基、1,3-ジオキサン-2,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピリミジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基、ナフタレン-2,6-ジイル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基(ナフタレン-2,6-ジイル基及び1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2,6-ジイル基中に存在する1個の-CH=又は隣接していない2個以上の-CH=は-N=に置き換えられてもよい。)
からなる群より選ばれる基を表し、前記の基(a2)、基(b2)及び基(c2)中に存在する水素原子はそれぞれ独立して、シアノ基、メチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメチルオキシ基、フッ素原子又は塩素原子に置き換えられてもよく、
11及びZ12はそれぞれ独立して、単結合、-CHCH-、-(CH-、-OCH-、-CHO-、-COO-、-OCO-、-OCF-、-CFO-、-CH=N-N=CH-、-CH=CH-、-CF=CF-又は-C≡C-(ただし、Z12は-C≡C-ではない。)を表し、
11は0~3の整数を表し、
11及びZ11が複数存在する場合、複数のA11は互いに同一であっても異なっていてもよく、複数のZ11は互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【0108】
液晶成分は、上記液晶化合物(2)として、下記式(2-1)で表される液晶化合物(以下、「液晶化合物(2-1)」という。)をさらに含むことが好ましい。
【0109】
【化16】
【0110】
式(2-1)中のR11、A11、A12、A13、Z11、Z12及びn11は前述の式(2)中のR11、A11、A12、A13、Z11、Z12及びn11と同義である。
【0111】
液晶化合物(2-1)において、R11の炭素原子数は、好ましくは2~7であり、より好ましくは2~5である。
【0112】
液晶化合物(2-1)において、A11、A12及びA13はそれぞれ独立して、上記の基(a2)及び基(b2)からなる群より選ばれる基を表すことが好ましい。
【0113】
液晶化合物(2-1)において、Z11及びZ12は、それぞれ独立して、単結合、-COO-、-OCO-、-CH-CH-であることが好ましく、単結合又は-COO-であることがより好ましい。
【0114】
液晶化合物(2-1)において、n11は0又は1であることが好ましい。
【0115】
液晶化合物(2-1)の好適な具体例としては、下記式(vi-1)~(vi-11)で表される化合物が挙げられる。
【0116】
【化17】
【0117】
上記式(vi-1)~(vi-11)中、R51は炭素原子数1~10のアルキル基、又は炭素原子数1~10のアルコキシ基を表し、Y11~Y64は、それぞれ独立して水素原子、又はフッ素原子を表す。Y11~Y64は、全て水素原子を表してもよく、その中の1つ以上がフッ素原子を表してもよい。
【0118】
液晶化合物(2-1)のより具体的な例としては、下記式(vi-A)~(vi-G)で表される化合物が挙げられる。
【0119】
【化18】
【0120】
上記式(vi-A)~(vi-G)中、R511は炭素原子数2~7のアルキル基、又は炭素原子数2~7のアルコキシ基を表し、好ましくは2~5のアルキル基、又は炭素原子数2~5のアルコキシ基を表す。
【0121】
液晶化合物(2-1)のさらに具体的な例としては、下記式(2-1-A)~(2-1-R)で表される化合物が挙げられる。
【0122】
【化19】
【0123】
【化20】
【0124】
【化21】
【0125】
【化22】
【0126】
【化23】
【0127】
上記液晶化合物(2-1)は、一般に誘電的に正の化合物であり、25℃、1kHzにおける誘電率異方性Δεは、例えば、+3.0以上である。
【0128】
上記液晶化合物(2-1)は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0129】
液晶化合物(2-1)の含有量(総量)は、低駆動電圧の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、15質量%以上、20質量%以上又は25質量%以上であってよい。液晶化合物(2-1)の含有量(総量)は、信頼性・低粘度化による高速応答性の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、80質量%以下、65質量%以下又は55質量%以下であってよい。これらの観点から、液晶化合物(2-1)の含有量(総量)は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、15~80質量%、20~65質量%又は25~55質量%であってよい。
【0130】
液晶化合物(1)の含有量と液晶化合物(2-1)の含有量の質量比(液晶化合物(1)の含有量:液晶化合物(2-1)の含有量)は、例えば、6:1~1:2であってよく、5:1~1:2又は4:1~1:1であってよい。
【0131】
液晶成分は、上記液晶化合物(2)として、液晶化合物(2-1)に該当しない液晶化合物を1種又は2種以上さらに含んでいてもよい。液晶化合物(2-2)としては、例えば、液晶化合物(2)のうち、式(2)中のR12が炭素原子数1~10のアルキル基(置換されたものも含む)であり、Z11及びZ12が単結合又は-COO-である液晶化合物(以下、「液晶化合物(2-2)という。」)が挙げられる。
【0132】
液晶化合物(2-2)において、式(2)中のA11、A12及びA13はそれぞれ独立して、上記の基(a2)及び基(b2)からなる群より選ばれる基を表すことが好ましい。
【0133】
液晶化合物(2-2)の具体例としては、下記式(2-2-A)~(2-2-K)で表される化合物のうちの1種以上を用いることが好ましい。
【0134】
【化24】
【0135】
【化25】
【0136】
上記液晶化合物(2-2)は、一般に誘電的に中性の化合物であり、25℃、1kHzにおける誘電率異方性Δεは、例えば、-1.5~+1.5である。
【0137】
液晶化合物(2-2)の含有量(総量)は、低温保存性の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、5質量%以上、10質量%以上又は20質量%以上であってよい。液晶化合物(2-2)の含有量(総量)は、駆動電圧の観点から、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、60質量%以下、50質量%以下又は40質量%以下であってよい。これらの観点から、液晶化合物(2-2)の含有量(総量)は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、5~60質量%、10~50質量%又は20~40質量%であってよい。
【0138】
液晶成分は、液晶化合物(1)及び液晶化合物(2)以外の液晶化合物を含んでいてもよいが、このような液晶化合物の含有量は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、30質量%以下であることが好ましい。
【0139】
液晶成分の転移温度Tniは、80℃以上であることが好ましく、100~150℃であることがより好ましく、120~140℃であることがさらに好ましい。ここで、転移温度Tniは、液晶成分がネマチック相から等方相へ相転移する温度(上限温度)を意味する。転移温度Tniが高いほど高温でもネマチック相を維持することができ、駆動温度範囲を広く取ることができる。
【0140】
液晶成分の25℃、589nmにおける屈折率異方性Δnは、0.15~0.35であることが好ましく、0.18~0.32であることがより好ましく0.20~0.30であることがさらに好ましい。
【0141】
液晶成分の含有量は、視認性・散乱性の観点から、液晶組成物中の液晶成分及びポリマー成分の総量を基準として、30質量%以上、40質量%以上又は50質量%以上であってよい。液晶成分の含有量は、作製のし易さの観点から、液晶組成物中の液晶成分及びポリマー成分の総量を基準として、80質量%以下、70質量%以下又は60質量%以下であってよい。これらの観点から、液晶成分の含有量は、液晶組成物中の液晶成分及びポリマー成分の総量を基準として、30~80質量%、40~70質量%又は50~60質量%であってよい。
【0142】
[ポリマー成分]
ポリマー成分は重合性成分の重合体である。ここで、重合性成分は、1種又は2種以上の重合性化合物からなる成分である。重合性化合物は、重合性基を有する化合物であり、ラジカル重合性、カチオン重合性又はアニオン重合性を有する。重合性化合物は、好ましくは(メタ)アクリレートである。ここで、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
【0143】
ポリマー成分は、高散乱性、低駆動電圧、高透過率、信頼性の観点から、単官能重合性化合物及び多官能重合性化合物を含む重合性成分の重合体であることが好ましい。また、ポリマー成分は、高密着性、高散乱性、低駆動電圧観点から、重量平均分子量が2000以上の重合性オリゴマーを含む重合性成分の重合体であることが好ましい。これらの観点から、ポリマー成分は、単官能重合性化合物と、重量平均分子量が2000以上の多官能重合性オリゴマーとを含む重合性成分の重合体であることがより好ましい。
【0144】
重合性成分としては、後述する第1~第3成分のうちの少なくとも1種を用いることが好ましい。中でも、第1成分を用いることが好ましく、第1成分と、第2成分及び第3成分のうちの少なくとも1種とを組み合わせて用いることがより好ましい。
【0145】
-第1成分-
第1成分は、例えば、下記式(v)で表される鎖状単官能重合性化合物である。
【0146】
【化26】
【0147】
式(v)中、Piia1は重合性基を表し、
iia2は炭素原子数1~22の直鎖又は分岐のアルキル基を表すが、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して、-O-、-CO-、-COO-又は、-OCO-で置換されていてもよく、該アルキル基中に存在する1又は2以上の水素原子は、それぞれ独立して、フッ素原子又は-OHで置換されていてもよい。
【0148】
式(v)で表される化合物において、Piia1は重合性基を表すが、好ましくは、下記式(P-1)~式(P-21)のいずれかで表される基である。また、下記式(P-1)~式(P-21)中、*は、炭素原子又は他の原子との結合手を示す。
【0149】
【化27】
【0150】
重合性及び保存安定性を高める観点では、上記式(P-1)~(P-21)で表わされる重合性基のうち、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)、式(P-12)、式(P-13)または式(P-21)で表わされる重合性基が好ましく、式(P-1)、式(P-2)、式(P-7)又は式(P-21)で表わされる重合性基がより好ましく、特に式(P-1)、式(P-2)又は式(P-21)で表わされる重合性基が好ましい。
【0151】
式(v)で表される化合物において、Riia2は炭素原子数3~20の直鎖又は分岐のアルキル基を表すことがより好ましく、炭素原子数6~18の直鎖又は分岐のアルキル基を表すことが特に結晶性を抑制できる点から好ましく、分岐のアルキル基を表すことがさらにより好ましく、炭素原子数9~24の分岐のアルキル基を表すことがさらにより好ましく、炭素原子数9~24の分岐のアルキル基を表すことが最も好ましい。なお、上記「直鎖又は分岐のアルキル基」には、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の-CH-が、酸素原子が直接隣接しないように-O-で置換されたものも包含される。
【0152】
iia2が分岐のアルキル基を表す場合、式(v)で表される化合物としては、下記の構造で表される分岐状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0153】
【化28】
【0154】
特に電圧無印加時の透明性を良好に維持しつつ、駆動電圧を低減効果が顕著なものとなる観点では、式(v)で表される化合物のなかでも分岐状アルキル鎖を有するモノ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
【0155】
式(v)で表される化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0156】
式(v)で表される化合物の含有量は、低電圧駆動化の観点から、また、高分子分散型液晶形成性組成物中の各成分の相溶性を高める観点から、重合性成分の総量を基準として、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。式(v)で表される化合物の含有量は、密着性の観点から、重合性成分の総量を基準として、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることが特に好ましい。
【0157】
第1成分は、下記式(ii)で表される環状単官能重合性化合物であってもよい。
【0158】
【化29】
【0159】
式(ii)中、
iii1は重合性基を表し、
iii1は単結合、又は炭素原子数1~7のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、
iii1は下記式(ii-1)~(ii-20)で表される基を表す。
【0160】
【化30】
【0161】
式(ii-1)~(ii-20)中、1つ以上の-CH-はそれぞれ独立して、-O-、-S-、-COO-、-OCO-、-NH-、-NCH-、又は-CO-で置換されていてもよいが、式(ii-1)~(ii-20)中に酸素原子及び/又は硫黄原子が合計2個以上存在する場合には、これらは-O-O-、-O-S-又は-S-S-のようにお互い同士結合することはなく、また、一つ以上の-CH-CH-は、-CH=CH-基に置換されていてもよく、また、式(ii-1)~(ii-20)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。また、式中の黒点はZiii1への結合手を表す。
【0162】
式(ii)で表される化合物は、可撓性に優れる材料であり、この化合物を用いると、曲げた状態でも白濁性を維持することができる。また、密着性を高めるとともに、高分子分散型液晶形成性組成物中の各成分の相溶性を高めることができる。式(ii)で表される化合物は、非液晶性の化合物である。
【0163】
式(ii)で表される化合物において、Piii1の好ましい例は式(v)中のPiia1で表される重合性基の好ましい例と同じである。
【0164】
式(ii)で表される化合物において、Ziii1は単結合又は炭素原子数1~7のアルキレン基を表し、該アルキレン基中の1つ又は2つ以上の-CH-は、酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよく、該アルキレン基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子で置換されていてもよい。Ziii1は、単結合又は炭素原子数1~6のアルキレン基であることが好ましく、単結合又は炭素原子数1~3のアルキレン基であることがより好ましく、単結合又は-CH-基であるのが特に好ましい。
【0165】
式(ii)で表される化合物において、Aiii1は、密着性をより向上させる観点から、Aiii1中に窒素原子、酸素原子、硫黄原子を有する複素環構造を有することが好ましく、より具体的には、以下の式(ii-a1)~(ii-a11)で表される基であることが好ましい。特に、環状構造が窒素原子を有する場合には、環状構造が窒素原子の存在により、密着性をより向上させることができる。
【0166】
【化31】
【0167】
式(ii-a1)~(ii-a11)中、1つ以上の-CH-はそれぞれ独立して-CO-で置換されていてもよく、また、式(ii-a1)~(ii-a11)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。
【0168】
式(ii-a1)~(ii-a11)中の水素原子は炭素原子数1~8のアルキル基で置換されていてもよく、該アルキル基は直鎖であっても分岐鎖であってもよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の隣接しない-CH-は酸素原子が直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-CO-、-COO-又は-OCO-で置換されていてもよい。
【0169】
式(ii-a1)~(ii-a11)中の黒点はZiii1への結合手を表す。
【0170】
式(ii)で表される化合物としては、具体的には、下記の式(II-34)~(II-51)で表される化合物が好ましい。
【0171】
【化32】
【0172】
式(II-34)~(II-51)中、Xは水素原子、又はメチル基を表す。
【0173】
式(II-34)~(II-51)で表される化合物の中でも、式(II-34)、(II-36)、式(II-38)、式(II-39)、式(II-40)、式(II-41)、式(II-43)、又は式(II-45)で表される化合物を用いることがより好ましい。
【0174】
式(ii)で表される化合物は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0175】
式(ii)で表される化合物の含有量は、密着性を向上させる観点から、また、高分子分散型液晶形成性組成物中の各成分の相溶性を高める観点から、重合性成分の総量を基準として、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。式(ii)で表される化合物の含有量は、低電圧化の観点から、重合性成分の総量を基準として、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
【0176】
第1成分としては、低電圧を重視する場合は、式(v)で表される化合物を用いることが好ましく、密着性を重視する場合は式(ii)で表される化合物を用いることが好ましい。第1成分としては、式(v)で表される化合物と式(ii)で表される化合物とを併用することもできる。
【0177】
-第2成分-
第2成分は、重量平均分子量が2000以上の多官能(メタ)アクリレートオリゴマーである。多官能(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリマーのネットワーク構造中に架橋構造を導入するために、また、良好な密着性を得るために用いられてよい。
【0178】
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの重量平均分子量は、2000以上であり、2000~60000が好ましく、2500~40000がより好ましく、2800~35000がさらにより好ましく、3000~30000がさらにより好ましい。これは、分子量が小さすぎると、1分子中に含まれる(メタ)アクリル基の増加によって引き起こる架橋密度の増加により、硬化収縮の度合いが大きくなり、密着性が悪化してしまうこと、及び、分子量が大きいすぎると、架橋間距離が長くなるため、隙間が大きくなり、液晶を取り込みやすくなるために高分子分散型液晶としての散乱性が低下するからである。すなわち高温下での環境に放置すると、ポリマーが液晶を吸収してしまい、特性が大きく変化してしまうためである。また、分子量が大きすぎると重合性化合物添加による高分子分散型液晶の転移点Tnmの低下度合いが小さくなり、Tnmを室温以下にするには、液晶化合物自身のTniが低い材料を用いなければならなくなるため、結果的に動作温度範囲が狭くなってしまう問題も生じてしまう。
【0179】
多官能(メタ)アクリレートオリゴマーの中でも、2官能アクリレートオリゴマーが好ましい。さらに、基材との密着性を重視するには、ウレタン系又はポリエステル系の(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましく、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーがより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーはポリエステル系のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーであってもよいが、ポリエーテル系のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーが好ましい。
【0180】
多官能のウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、水酸基含有(メタ)アクリレートと、ポリオールと、ポリイソシアネートとを反応させて得られる。
【0181】
ポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリブタジエンポリオール等があげられ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
【0182】
ポリイソシアネートとしては、2、4-および2、6-トリレンジイソシアネート(TDI)、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、ナフチレンジイソシアネート(NDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、4、4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、1,8-ジイソシアネート-4-イソシアネートメチルオクタン、1,3,6-ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびカルボジイミド変成MDI、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、ポリメリックポリイソシアネート等があげられる。
【0183】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ε-カプロラクトンで変性されたモノ(メタ)アクリレート等があげられる。
【0184】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、具体的には、脂肪族ウレタン(メタ)アクリレート又は芳香族ウレタン(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、脂肪族ウレタンアクリレートを用いることがより好ましい。また、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることが好ましい。
【0185】
用いるポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオールが好ましく、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールが特に好ましい。
【0186】
用いるポリイソシアネートとしては、環状構造を有するポリイソシアネートが好ましく、脂環構造を有するポリイソシアネートが特に好ましい。より具体的には、オルトトルイジンジイソシアネート(TODI)、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、カルボジイミド変成MDIが好ましく、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサン1,4-ジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジシクロペンタジエンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。
【0187】
用いる水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート、ε-カプロラクトンで変性されたモノ(メタ)アクリレートが好ましく、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
【0188】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、以下の一般式(i-1)の化合物も好ましい。
【0189】
【化33】
【0190】
式(i-1)中、Xi1はそれぞれ独立して水素原子、又はメチル基を表し、Bは各々独立して、炭素原子数1~4までのアルキル基を表し、該アルキル基中の一つ以上の-CH-は酸素原子、-CO-、-COO-、-OCO-で置換されていてもよく、bは1~20を表す。Bは、下記式(i-2)~(i-6)で表される基の中から選ばれる基を表し、bが2以上である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0191】
【化34】
【0192】
は下記式(i-7)~(i-11)で表される基の中から選ばれる基を表し、bが2以上である場合、複数のBは互いに同一であっても異なっていてもよい。
【0193】
【化35】
【0194】
式(i-7)~(i-11)中、Xi4、及びXi5はそれぞれ独立に水素原子、又はメチル基を表し、Xi2、及びXi3はそれぞれ独立に炭素原子数1~9のアルキル基を表し、Yは分岐鎖を有していてもよい炭素原子数1~15のアルキレン基、2価の芳香族基又は2価の脂環式炭化水素基を表し、該アルキレン基中の一つ以上の-CH-基は、酸素原子が互いに隣接しない条件で酸素原子、-COO-、-OCO-で置換されていてもよく、t1及びt2はそれぞれ独立して0、又は1を表し、t3は0~300の整数を表す。
【0195】
第2成分は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0196】
第2成分の含有量は、密着性を高める観点から、重合性成分の総量を基準として、5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることが特に好ましい。第2成分の含有量は、低電圧化の観点から、重合性成分の総量を基準として、80質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが特に好ましい。
【0197】
-第3成分-
第3成分は、下記式(iv)で表される重量平均分子量2000未満の多官能重合性化合物である。
【0198】
【化36】
【0199】
式(iv)中、
31は水素原子、又はメチル基を表し、
31は炭素原子数130以下のアルキレン基を表し、該アルキレン基は環式炭化水素基や分岐鎖を有していてもよく、該アルキレン基、又は環式炭化水素基中の一つ以上の-CH-基は、酸素原子が互いに直接隣接しないようにそれぞれ独立して-O-、-NH-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、又は-C≡C-で置換されていてもよく、該アルキレン基又は環式炭化水素基中に存在する1つ又は2つ以上の水素原子は、それぞれ独立してフッ素原子又は-OHで置換されていてもよく、
31は2~6の整数を表す。
【0200】
式(iv)で表される重合性化合物としては、好ましくは下記式(iv-1)で表される重合性化合物を用いることが好ましい。
【0201】
【化37】
【0202】
式(iv-1)中、
、及びYは水素原子、又はメチル基を表し、
は直鎖、または分岐の炭素原子数2~80のアルキレンを表す。該アルキレンの任意の炭素原子は、酸素原子が直接隣接しないように、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CH=CH-、-C≡C-又は、OHで置換されてよい。該アルキレンの炭素原子数は6~70の範囲であることが好ましく、中でも8~60の範囲であることが好ましく、特に9~50の範囲であることが駆動電圧低下の点から好ましい。
【0203】
式(iv-1)で表される重合性化合物としては、例えば、下記式(iv-1-1)~(iv-1-10)で表される化合物が挙げられる。
【0204】
【化38】
【0205】
式(iv-1-1)~(iv-1-10)中、n及びmはn+mが1~10となる整数、nは1~18の整数、n及びmはn+mが1~18となる整数、nは1~23の整数、nは1~23の整数、nは4~30の整数、nは2~10の整数、n及びnは2~10の整数をそれぞれ表す。
【0206】
第3成分はオリゴマーであってもモノマーであってもよい。第3成分の分子量は、1500以下であることが好ましく、1000以下であることがより好ましい。
【0207】
第3成分は、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。例えば、オリゴマーとモノマーを組み合わせて用いてもよい。
【0208】
第3成分の含有量は、耐熱性向上の観点から、重合性成分の総量を基準として、2質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがさらに好ましい。第3成分の含有量は、密着性を維持する観点から、重合性成分の総量を基準として、50質量%以下であること、40質量%以下であること、30質量%以下であること、25質量%以下であることが特に好ましい。
【0209】
-その他の重合性化合物-
重合性化合物としては、上記第1~第3成分以外の重合性化合物(例えば、リン酸エステル(メタ)アクリレート、メソゲン性骨格を有する重合性化合物等)を用いてもよい。その重合性化合物の含有量は、重合性成分の総量を基準として、5質量%以下であってよく、0質量%であってもよい。
【0210】
-重合開始剤-
上記重合性成分の重合に用いられる重合開始剤は、光重合開始剤であっても熱重合開始剤であってもよい。
【0211】
光重合開始剤としては、重合性化合物の重合性に対応した活性種を発生するものを使用すればよく、例えば、光ラジカル重合開始剤又は光カチオン重合開始剤を用いることができる。光重合開始剤としては、公知慣用のものを使用できる。
【0212】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「オムニラッド184」、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン「オムニラッド1173」、2-メチル-1-[(メチルチオ)フェニル]-2-モリホリノプロパン-1「オムニラッド907」、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン「オムニラッドBDK」、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン「オムニラッド369」)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリノ-フェニル)ブタン-1-オン「オムニラッド379」、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン「オムニラッド651」等のアルキルフェノン系光ラジカル重合開始剤;2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-ジフェニルフォスフィンオキサイド「オムニラッドTPO」、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニル-フォスフィンオキサイド「オムニラッド819」(IGM Resins株式会社製)等のアシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)],エタノン「イルガキュアOXE01」)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)「イルガキュアOXE02」、「イルガキュアOXE04」(BASF株式会社製)、「アデカアークルズNCI-831」、「アデカアークルズNCI-930」、「アデカアークルズN-1919」(ADEKA社製)等のオキシムエステル系光ラジカル重合開始剤などが挙げられる。光ラジカル重合開始剤としては、2,4-ジエチルチオキサントン(日本化薬社製「カヤキュアDETX」)とp-ジメチルアミノ安息香酸エチル(日本化薬社製「カヤキュアEPA」)との混合物、イソプロピルチオキサントン(ワ-ドプレキンソップ社製「カンタキュア-ITX」)とp-ジメチルアミノ安息香酸エチルとの混合物、「エサキュア ONE」、「エサキュアKIP150」、「エサキュアKIP160」、「エサキュア1001M」、「エサキュアA198」、「エサキュアKIP IT」、「エサキュアKTO46」、「エサキュアTZT」(lamberti株式会社製)、「スピードキュアBMS」、「スピードキュアPBZ」、「ベンゾフェノン」(LAMBSON社製)等を用いることもできる。これらは、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0213】
光カチオン重合開始剤としては、光酸発生剤を用いることができる。光酸発生剤としてはジアゾジスルホン系化合物、トリフェニルスルホニウム系化合物、フェニルスルホン系化合物、スルフォニルピリジン系化合物、トリアジン系化合物及びジフェニルヨードニウム化合物などが挙げられる。
【0214】
光重合開始剤の使用量は、重合性成分の総量100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、0.2質量部以上6質量部以下がより好ましい。
【0215】
重合開始剤としては、熱重合開始剤を用いることもできる。熱重合の際に使用する熱重合開始剤としては、公知慣用のものが使用でき、例えば、メチルアセトアセテイトパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パ-オキシジカーボネイト、t-ブチルパーオキシベンゾエイト、メチルエチルケトンパーオキサイド、1,1-ビス(t-ヘキシルパ-オキシ)3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、p-ペンタハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジ(3-メチル-3-メトキシブチル)パーオキシジカーボネイト、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等の有機過酸化物、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾニトリル化合物、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロピオン-アミヂン)ジハイドロクロライド等のアゾアミヂン化合物、2,2’アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾアミド化合物、2,2’アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等のアルキルアゾ化合物等を使用することができる。これらは、1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0216】
熱重合開始剤の使用量は、重合性成分の総量100質量部に対し、0.1質量部以上10質量部以下が好ましく、1質量部以上6質量部以下がより好ましい。
【0217】
ポリマー成分の含有量(総量)は、高散乱性、高密着性の観点から、液晶組成物中の液晶成分及びポリマー成分の総量を基準として、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であってよい。ポリマー成分の含有量(総量)は、高散乱性、低電圧性の観点から、液晶組成物中の液晶成分及びポリマー成分の総量を基準として、70質量%以下、60質量%以下又は50質量%以下であってよい。これらの観点から、ポリマー成分の含有量(総量)は、高散乱性の観点から、液晶組成物中の液晶成分及びポリマー成分の総量を基準として、20~70質量%、30~60質量%又は40~50質量%であってよい。
【0218】
[添加剤成分]
液晶組成物には、実用的な電気光学特性、及び、液晶素子を作製した際に密着性が損なわれない範囲で、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、連鎖移動剤、顔料、粒子径が1μm未満の粒子、キラル化合物、あるいは、配向材料が添加されていてよい。これらの中でも、重合禁止剤、酸化防止剤、光安定剤、粒子径が1μm未満の粒子及び顔料からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。これらの添加剤としては、公知慣用のものを使用でき、例えば、国際公開第2022/138418号に記載されている化合物を同様の添加量で用いることができる。
【0219】
(第2実施形態)
第2実施形態の液晶組成物は、液晶成分と、光学活性物質(キラル化合物)と、を含有する。
【0220】
[液晶成分]
液晶成分は、液晶化合物(1)を含む。液晶化合物(1)の好ましい態様は、上記第1実施形態と同じである。
【0221】
液晶成分は、液晶化合物(1)として、上記液晶化合物1aを含むことが好ましく、上記液晶化合物1bを含むことがより好ましい。液晶化合物1a及び液晶化合物1bの好ましい態様も、上記第1実施形態と同じである。
【0222】
液晶成分は、上記液晶化合物(2)をさらに含んでいてよく、液晶化合物(2)として、液晶化合物(2-1)及び/又は液晶化合物(2-2)をさらに含んでいてもよい。
【0223】
液晶成分には、選択反射波長の温度変化、誘電率異方性Δε及び屈折率異方性Δn、コレステリック液晶温度範囲、低温安定性、熱や光など外部刺激に対する安定性、等をより向上させる目的で、液晶化合物(1)に加えて、誘電的に正の化合物、具体的には、25℃、1kHzにおける誘電率異方性Δεが+3.0以上である化合物を添加することが好ましい。
【0224】
上記誘電的に正の化合物としては、下記式(2-1-1)で表される化合物と、下記式(2-1-2)で表される化合物とを併用することが好ましい。
【0225】
【化39】
【0226】
式(2-1-1)及び式(2-1-2)中、RC1及びRC2は相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表し、YC1~YC5は相互に独立して水素原子又はフッ素原子を表す。
【0227】
式(2-1-1)で表される化合物は大きいΔεと中程度のΔnを有し、式(2-1-2)で表される化合物は大きいΔεと高いΔnを有する。これらを液晶化合物(1)と併用することで液晶温度範囲や低温安定性等を維持しながら、組成物に非常に大きいΔεとΔnを付与できる。
【0228】
式(2-1-1)中のYC1及びYC2は水素原子、又はフッ素原子を表し、共に水素原子が好ましい。YC3は水素原子又はフッ素原子を表し、水素原子が好ましい。aは0又は1を表し、aが0である2環化合物と、aが1である3環化合物とを併用することも好ましい。
【0229】
式(2-1-2)中のYC4及びYC5は水素原子又はフッ素原子を表し、bは0又は1を表す。bが0でYC4及びYC5が共にフッ素原子であるか、或いは、bが1でYC4及びYC5が共に水素原子であることが好ましい。また、bが0である2環化合物と、bが1である3環化合物とを併用することも好ましい。
【0230】
式(2-1-1)及び式(2-1-2)中のRC1及びRC2はそれぞれ独立に、炭素原子数1~7のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数1~5のアルキル基がより好ましい。
【0231】
式(2-1-1)及び式(2-1-2)で表される化合物は、それぞれ1種を単独で用いてよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0232】
式(2-1-1)及び式(2-1-2)で表される化合物の好ましい含有量は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、40~75%であり、より好ましくは45~70質量%であり、特に好ましくは48~68質量%である。
【0233】
さらにΔε及びΔnを上昇せしめる目的で、下記式(2-1-3)で表される化合物を添加してもよい。
【0234】
【化40】
【0235】
式(2-1-3)中、RC3は炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表し、YC12~YC23は相互に独立して水素原子又はフッ素原子を表し、XC1はフッ素原子、塩素原子、-CN、-NCS、-CF又は-OCFを表し、ZC1及びZC2は相互に独立して単結合、-CHCH-、-COO-、-OCO-、-CHO-、-OCH-、-CFO-、-OCF-又は-C≡C-を表す。ただし、ZC2は-C≡C-ではない。
【0236】
液晶成分が式(2-1-3)で表される化合物を含有する場合、式(2-1-3)の化合物の好ましい含有量は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、1質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上である。
【0237】
さらに、下記式(2-1-4)で表される化合物を添加してもよい。
【0238】
【化41】
【0239】
式(2-1-4)中、RC4は炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表し、XC2はフッ素原子、塩素原子、-CN、-NCS、-CF又は-OCFを表し、環A及びBは相互に独立して1,4-シクロへキシレン基又は水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、ZC3は単結合、-COO-、-CHCH-、-CH=CH-、-FC=CF-又は-C=N-N=C-を表し、cは1、2又は3を表す。複数存在する場合の環A及びZC3は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただし、上記式(2-1-1)で表される化合物は上記式(2-1-4)で表される化合物には含まれないものとする。
【0240】
式(2-1-4)で表される化合物は、中程度のΔεと中程度のΔnを有する。これを液晶化合物(1)と併用することで液晶温度範囲や低温安定性等を向上する事ができる。
【0241】
式(2-1-4)中の環Aの少なくとも一つは1,4-シクロへキシレン基であることが好ましく、RC4に直接結合する基が1,4-シクロへキシレン基であることが好ましい。
【0242】
式(2-1-4)中の環Bは、水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4-フェニレン基であることが好ましく、3-フルオロ-1,4-フェニレン基又は3,5-ジフルオロ-1,4-フェニレン基であることが好ましい。
【0243】
式(2-1-1)、式(2-1-2)、式(2-1-3)及び式(2-1-4)で表される化合物として好ましい例は以下の式(2-1-1-a)~式(2-1-1-d)、式(2-1-2-a)~式(2-1-2-d)、式(2-1-3-a)~式(2-1-3-f)、及び式(2-1-4-a)~式(2-1-4-j)で表される化合物である。
【0244】
【化42】
【0245】
【化43】
【0246】
【化44】
【0247】
式(2-1-1-a)~式(2-1-1-d)中、RC1は式(2-1-1)におけるRC1と同じ意味を表し、式(2-1-2-a)~式(2-1-2-d)中、RC2は式(2-1-2)におけるRC2と同じ意味を表し、式(2-1-3-a)~式(2-1-3-f)中、RC3は式(2-1-3)におけるRC3と同じ意味を表し、式(2-1-4-a)~式(2-1-4-j)中、RC4は式(2-1-4)におけるRC4と同じ意味を表す。
【0248】
誘電的に正の化合物の好ましい含有量の合計は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、40~80質量%であり、より好ましくは45~75質量%であり、最も好ましくは50~70質量%である。
【0249】
液晶成分には、粘性の低減や液晶温度範囲の拡大させる目的で、液晶化合物(1)に加えて、誘電的に中性の化合物、具体的には、25℃、1kHzにおける誘電率異方性Δεが-1.5~+1.5である化合物を添加することが好ましい。該化合物は、上記誘電的に正の化合物と併用することが好ましい。
【0250】
上記誘電的に中性の化合物としては、下記式(2-2-1)で表される化合物を添加してもよい。
【0251】
【化45】
【0252】
式(2-2-1)中、RC5及びRC6は相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表し、環C及びDは相互に独立して1,4-シクロへキシレン基又は水素原子がフッ素原子で置換されていてもよい1,4-フェニレン基を表し、ZC4は、単結合、-COO-、-CHCH-、-CH=CH-、-FC=CF-又は-C=N-N=C-を表し、dは1、2又は3を表す。複数存在する場合の環C及びZC4は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0253】
式(2-2-1)で表される化合物として好ましい例は、以下の式(2-2-1-a)~式(2-2-1-k)である。
【0254】
【化46】
【0255】
式(2-2-a)~式(2-2-k)中、RC5は式(2-2-1)におけるRC5と同じ意味を表し、RC6は式(2-2-1)におけるRC6と同じ意味を表す。
【0256】
式(2-2-1)で表される化合物のより好ましい例は、式(2-2-a)、式(2-2-b)、式(2-2-c)又は式(2-2-d)で表される化合物であり、特に式(2-2-a)及び/又は(2-2-d)においてRC5がアルケニル基である化合物群から選ばれる化合物が好ましい。
【0257】
式(2-2-1)で表される化合物の好ましい含有量は、液晶組成物中の液晶成分の総量を基準として、3質量%以上であり、より好ましくは5質量%以上であり、特に好ましくは7質量%以上である。
【0258】
[光学活性物質]
光学活性物質としては、下記式(3)、(3A)又は(3B)で表される化合物を1種又は2種以上含有することが好ましく、式(3)で表される化合物を1種又は2種以上含有することがより好ましい。
【0259】
【化47】
【0260】
式(3)、(3A)又は(3B)中、RC7、RC8、RC9、RC10及びRC11は相互に独立して炭素原子数1~7個のアルキル基、炭素原子数1~7個のアルコキシ基又は炭素原子数2~7個のアルケニル基を表し、環E、F、G、H、I、J及びKは相互に独立して1,4―シクロへキシレン基又は1,4-フェニレン基を表し、ZC5、ZC6、ZC9、ZC10及びZC11は相互に独立して単結合、-OCO-又は-COO-を表し、e、f、g1及びg2は相互に独立して0、1又は2を表す。複数存在する場合の、環E、F、G、H、I、J及びK、ZC5、ZC6、ZC9、ZC10及びZC11は、それぞれ同一であっても異なっていてもよい。
【0261】
式(3)で表される化合物として好ましい例は以下の式(3-1)~(3-4)で表される化合物である。
【0262】
【化48】
【0263】
式(3-1)及び式(3-2)で表される化合物は一般的にキラルピッチ長の温度依存性は正である。式(3-3)及び式(3-4)で表される化合物は一般的にキラルピッチ長の温度依存性は負である。また、式(3-1)及び式(3-3)で表される化合物は右旋性物質であり、式(3-2)及び式(3-4)で表される化合物は左旋性物質である。
【0264】
光学活性物質としてはキラルピッチ長の温度依存性が互いに異なる少なくとも2種のキラル化合物を併用することが好ましい。これらの化合物は、液晶表示素子の常用温度、すなわち好ましくは0~50℃の範囲において、一方は正のキラルピッチ温度依存性を有し、他方は負のキラルピッチ温度依存性を有することが好ましい。好適なキラル化合物の組み合わせは、式(3-1)で表される化合物と式(3-3)で表される化合物との組み合わせ、及び、式(3-2)で表される化合物と式(3-4)で表される化合物との組み合わせである。右旋性、左旋性は要求される液晶素子(液晶表示素子)の仕様にあわせて適宜選択することができるが、異なる選択反射波長に調整されたコレステリック液晶領域を隣接させる場合には、混色を避ける目的でそれぞれの旋光性を逆にしておくことが好ましい。
【0265】
光学活性物質の含有量(総量)は、意図する選択反射波長によって異なるが、液晶組成物の総量を基準として、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましく、6質量%以下が特に好ましい。好ましい下限量は特に制限されないが、液晶ねじれ力が著しく大きい場合、組成物における光学活性物質の添加量が微量となってしまい、僅かな混合比のずれにより選択反射波長やその温度依存性がずれてしまう場合があるため、液晶組成物の総量を基準として、0.1質量%以上が好ましく、1%以上がより好ましく、2%以上がさらに好ましい。製造設備の秤量精度などにも影響されるが、光学活性物質の濃度が0.1質量%以上であれば製造スケールに関わらず高い精度で液晶組成物を製造することができる。
【0266】
第2実施形態の液晶組成物は、添加剤成分をさらに含有してよい。例えば、外部刺激に対する安定性を高める目的でUV吸収剤や酸化防止剤、HALS等を添加することができる。これらの構造は特に制限されないが、一般的に液晶組成物への添加が公知である種々の化合物(例えばベンゾトリアゾール系UV吸収剤やヒンダードフェノール系酸化防止剤)を用いることができる。また、コレステリック液晶相の固定化を目的として、種々の重合性化合物を用いることもできる。この場合、重合性化合物は、硬化前の段階では液晶性を示す物質であることが好ましい。これを紫外線照射、あるいは加熱等によって重合、硬化して、流動性が無く外力によって配向形態に変化を生じない状態に変化した層にすることもできる。
【0267】
フロー粘性は小さいほど好ましくその下限は特に制限されないが、100mPa・s以下であれば実用上十分な応答速度を達成できる。
【実施例0268】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「部」は「質量部」を意味する。
【0269】
<液晶混合物(LC)の調製>
複数種の液晶化合物を混ぜ合わせ、下記表1~3に示す組成の液晶混合物(LC1~LC11)を調製した。これらの液晶混合物(LC1~LC11)を後述の実施例及び比較例で用いた。
【0270】
【表1】
【0271】
【表2】
【0272】
【表3】
【0273】
表1~3では液晶化合物の構造を符号及び数字で示している。各符号は、以下に示す構造の基を表し、末端の数字は、該数字と同一の炭素原子数の直鎖状アルキル基を表す。例えば、2-Ph-E-Ph3-CNで表される化合物は、上記式(2-1-A)で表される化合物を意味する。
【0274】
【化49】
【0275】
表1~3中、物性値「Tni」は、液晶相がネマチック相から等方相へ転移する温度(上限温度)を意味し、メトラートレド社製の温度コントロールシステムFP-90、及びホットステージFP82を用いて測定した値である。
【0276】
表1~3中、物性値「Δn」は、液晶相の25℃、589nmにおける屈折率異方性を意味し、アッベ屈折計を用いて、25℃、589nmにおける液晶分子(液晶混合物)の長軸方向の屈折率(n)及び液晶分子(液晶混合物)の短軸方向の屈折率(n)を測定し算出した値である。
【0277】
<キラル化合物(CH)の準備>
キラル化合物CH1として、上記式(3-1)で表されるキラル化合物を用意し、キラル化合物CH2として、上記式(3-3)で表されるキラル化合物を用意した。
【0278】
<重合性化合物及び重合開始剤の準備>
下記表4に示す重合性化合物及び重合開始剤を準備した。これらを後述の実施例及び比較例で用いた。
【表4】
【0279】
(合成例1)
攪拌羽根のついたフラスコにIPDI(イソホロンジイソシアネート)44.4部(0.2モル)を仕込み、攪拌を行いながらポリプロピレングリコール(平均分子量Mw:8100)810部(0.1モル)を発熱に注意しながら仕込み、70℃まで昇温した。この温度で反応を7時間行い、末端にイソシアネート基を有するウレタンポリマーを得た。次いで2-ヒドロキシエチルアクリレート(分子量116)23.2部(0.2モル)を仕込み、この温度でさらに7時間反応を行った。赤外吸収スペクトルでNCOの吸収が消失したことを確認して取り出し、ウレタンアクリレートである重合性化合物(2-1)(平均分子量Mw:29800)を得た。本発明において、数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)はGPC測定に基づきポリスチレン換算した値である。なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
【0280】
[GPCの測定条件]
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「SuperHZ-L」+東ソー株式会社製「SuperHZ2000」×3本+東ソー株式会社製「TSuperHZM-M」
検出器:内蔵RI検出器
データ処理:東ソー株式会社製「EcoSEC-WorkStation Ver2.01」
測定条件:カラム温度40℃、展開溶媒テトラヒドロフラン、流速1.0ml/分
標準:装置測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いた。
【0281】
<重合性混合物(MA)の調製>
上記表4に示す重合性化合物及び重合開始剤を、下記表5に示す質量比で混合し、50℃で攪拌しながら重合開始剤を重合性化合物に溶解させることで、重合性混合物(MA1~MA7)を得た。
【0282】
【表5】
【0283】
<コレステリック液晶素子の作製及び評価>
(実施例1~4及び比較例1~2)
下記表6に示す液晶混合物(LC)と、キラル化合物CH1及びCH2とを混合することで、実施例1~4及び比較例1~2の液晶組成物を得た。液晶混合物(LC)及びキラル化合物CH1及びCH2は、表6に記載の混合比(LC・CH混合比)で配合した。
【0284】
(液晶素子の作製)
実施例1~4及び比較例1~2で得られた液晶組成物を用いて液晶素子を作製した。具体的には、まず、電極基板としてITO電極付ガラス基板2枚を用意し、該電極基板のITO電極側の面に、ラビングさせていない配向膜SE-510(日産化学社製)を形成した。次いで、得られた2枚の配向膜付き電極基板を用いて、セル厚(GAPの幅)が5μmとなるように評価用セルを作製し、該評価用セルに液晶組成物を注入した。次いで、液晶組成物が注入された評価用セルを120℃のホットプレートで加熱後、室温(25℃)まで冷却した。次いで、基板を指で擦ることにより選択反射を示すプレーナー配向を促し、緑色の選択反射波長を有するコレステリック液晶セル(液晶素子X1)を得た。
【0285】
次に、上記で得られた液晶素子X1の一方の電極基板の液晶層とは反対側の面に、それぞれ、下記紫外線遮断フィルムA、B又はCを貼り付け、紫外線遮断フィルムAを備える液晶素子A1、紫外線遮断フィルムBを備える液晶素子B1、及び紫外線遮断フィルムCを備える液晶素子C1を得た。
・紫外線遮断フィルムA:SC39(富士フィルム社製、遮断波長域:370nm以下)
・紫外線遮断フィルムB:N-169(日東樹脂工業社製社製、遮断波長域:378nm以下、412nm以下の波長域における光透過率:90%以上)
・紫外線遮断フィルムC:N-190(日東樹脂工業社製社製、遮断波長域:394nm以下、412nm以下の波長域における光透過率:50%以上)
分光光度計(日本分光V-660)を用いて測定した紫外線遮断フィルムA~Cの光透過率曲線を図2に示す。なお、上記「遮断波長域」とは、光透過率が0.1%以下である波長域を意味する。
【0286】
(耐光性試験)
ATLAS社製のSUNTEST CPS+を使用し、設定強度550W/m、設定温度65℃で、実施例1~4及び比較例1~2の液晶素子A1~C1の耐光性試験を行った。試験時間は100hとした。
【0287】
(評価)
実施例1~4及び比較例1~2で作製した液晶素子X1、及び、耐光性試験後の液晶素子A1~C1について、以下のとおり評価を行った。評価結果を表6に示す。
【0288】
[選択反射波長の測定]
分光光度計(日本分光V-660)の透過率測定により、液晶素子X1、及び、耐光性試験後の液晶素子A1~C1の選択反射波長を算出した。透過率60%の2点の中心値を選択反射波長とした。
【0289】
[耐熱性評価]
液晶素子X1、及び、耐光性試験後の液晶素子A1~C1を、所定温度の恒温槽に15分間放置する耐熱試験を行った後、目視で反射光を観察し、耐熱性を評価した。液晶素子A1~C1については、紫外線遮断フィルム側から反射光を観察した。反射光(選択反射光)の色味が耐熱試験前(25℃)と同程度である場合を評価Aとし、反射光が薄くなっている場合を評価Bとし、反射光を確認できないか、ほとんど確認できない場合に評価Cとした。上記評価は、所定温度を80℃又は100℃とする2条件で実施した。
【0290】
[応答性評価]
液晶素子X1、及び、耐光性試験後の液晶素子A1~C1に対して、LCD-5200(大塚電子社製)を用い、ON時間10msec、OFF時間1000msecの設定で0vから所定電圧まで0.5vステップで電圧を印加し、応答速度を測定した。X軸に応答速度測定時に印加した電圧、Y軸にOFF時間1000msec後の反射率をプロットしてグラフを作成した。作成したグラフにおいて、初期(0v)の反射率と、所定電圧印加時の反射率が同等(反射率が初期以上であるか、反射率の減少が10%以内)であり、かつ、初期から所定電圧までの間に、75%以上の反射率の減少が確認された場合に良好な応答性が得られていると判断し、評価OKとした。また、所定電圧印加時の反射率が初期の反射率の90%未満である場合、及び、初期から所定電圧までの間に、75%以上の反射率の減少が確認されない場合は、応答性が不十分であると判断し、評価NGとした。上記評価は、25℃の環境下、所定電圧を50vとする条件、及び、0℃の環境下、所定電圧を50℃又は100℃とする条件の計3条件で実施した。
【0291】
【表6】
【0292】
<高分子分散型液晶素子の作製及び評価>
(実施例5~9及び比較例3~4)
下記表7に示す組み合わせで、液晶混合物(LC)と、重合性混合物(MA)とを混合し、50℃で攪拌しながら液晶混合物(LC)を重合性混合物(MA)に溶解させた後、ここに、平均粒子径20μmのビーズスペーサーを含有させることで、実施例5~9及び比較例3~4の高分子分散型液晶形成性組成物を得た。液晶混合物(LC)及び重合性混合物(MA)は、表7に記載の混合比(LC・MA混合比)で配合した。ビーズスペーサーの配合量は1質量%とした。
【0293】
(液晶素子の作製)
実施例5~9及び比較例3~4で得られた高分子分散型液晶形成性組成物を用いて液晶素子を作製した。具体的には、まず、電極基板としてITO電極付PETフィルムを2枚用意し、一方の電極基板のITO電極側に上記組成物を塗布して塗膜を形成し、他方の電極基板を、ITO電極側の面が塗膜に接するように塗膜上に配置した。次いで、得られた積層体に、ラミネーター(ヒサゴ社製FUJIPLA LPD2313)を用いて均一な圧をかけた後、UV-LEDランプで15mw/cmの波長365nmのUV光を60sec間照射して、高分子分散型液晶素子(液晶素子X2)を得た。
【0294】
次に、上記で得られた液晶素子X2の一方の電極基板の液晶層とは反対側の面に、それぞれ、上記<コレステリック液晶素子の作製及び評価>で使用した紫外線遮断フィルムA、B又はCを貼り付け、紫外線遮断フィルムAを備える液晶素子A2、紫外線遮断フィルムBを備える液晶素子B2、及び紫外線遮断フィルムCを備える液晶素子C2を得た。
【0295】
(耐光性試験)
ATLAS社製のSUNTEST CPS+を使用し、設定強度550W/m、設定温度65℃で、実施例5~9及び比較例3~4の液晶素子A2~C2の耐光性試験を行った。試験時間は250hとした。
【0296】
(評価)
実施例5~9及び比較例3~4で作製した液晶素子X2、及び、耐光性試験後の液晶素子A2~C2について、以下のとおり評価を行った。評価結果を表7に示す。
【0297】
[ヘイズの測定]
液晶素子X2、及び、耐光性試験後の液晶素子A2~C2に電極配線を取り付け、ヘイズメーター(日本電色工業社製NDH-7000)を用いて、電圧無印加時のヘイズ(OFF Haze、単位:%)及びAC100V印加時のヘイズ(ON Haze、単位:%)を測定した。測定はJIS K 7361-1に準拠し、25℃で矩形波60Hz、0~100Vの電圧を印加することにより行った。
【0298】
[耐熱性]
液晶素子X2、及び、耐光性試験後の液晶素子A2~C2を、所定温度の恒温槽に15分間放置する耐熱試験を行った後、目視で液晶層の白濁度を確認し、耐熱性を評価した。液晶素子A2~C2については、紫外線遮断フィルム側から液晶層を観察した。液晶層の白濁の程度が耐熱試験前(25℃)と同程度である場合を評価Aとし、液晶層の白濁度が低下している場合を評価Bとし、液晶層が透明又はほぼ透明な状態である場合に評価Cとした。上記評価は、所定温度を80℃又は100℃とする2条件で実施した。
【0299】
[応答性評価]
顕微鏡用温度ステージ(ジャパンハイテック社製)、及び光電子増倍管を顕微鏡にセットし、液晶素子X2、及び、耐光性試験後の液晶素子A2~C2に対して、100Vの電圧を1分間印加した後、電圧をオフ(0v)にし、90秒間、25℃、及び-10℃、-20℃の計3条件で応答速度τd(単位:sec)を測定した。応答速度τdが90sec以下である場合に応答性に優れると評価した。
【0300】
[密着性評価]
液晶素子X2を25mm幅にカットして密着性評価サンプルを作製した。次いで、密着性評価サンプルの電極基板と液晶層との間の密着力(単位:N/25mm)を、卓上型引張圧縮試験機(エーアンドディ社製MCT-2150)を用いて測定した。測定は、室温(25℃)で180度剥離法により行った。
【0301】
【表7】
【符号の説明】
【0302】
1…液晶素子、2…第1の電極基板、3…第2の電極基板、4…液晶層、5…紫外線遮断層、2a…第1の基材、2b…第1の電極、3a…第2の基材、3b…第2の電極。
図1
図2