(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009284
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】発酵乳
(51)【国際特許分類】
A23C 9/123 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
A23C9/123
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200715
(22)【出願日】2023-11-28
(62)【分割の表示】P 2019091543の分割
【原出願日】2019-05-14
(71)【出願人】
【識別番号】711002926
【氏名又は名称】雪印メグミルク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 南羽
(72)【発明者】
【氏名】武本 篤寛
(72)【発明者】
【氏名】谷口 康晴
(72)【発明者】
【氏名】浅田 耕平
(57)【要約】
【課題】高タンパク質でありながら、硬度が低くカード粒が少ない静置型発酵乳及びその製造方法を提供する。
【解決手段】3.4重量%を超え、7重量%未満のタンパク質を含み、硬度が20gf以上60gf以下、カード粒が100gあたり0個以上500個以下である発酵乳。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
3.4重量%を超え、7重量%未満のタンパク質を含み、
硬度が20gf以上60gf以下、カード粒が100gあたり0個以上500個以下である、
ことを特徴とする発酵乳。
【請求項2】
発酵乳中のタンパク質が3.4重量%を超え、7重量%未満となるようタンパク質量を調整する工程と、
微粒子化ホエイタンパク質を前記タンパク質に対して10重量%以上80重量%以下となるよう微粒子化ホエイタンパク質量を調整する工程と、を具備することを特徴とする発酵乳の製造方法。
【請求項3】
下記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たすように、
(a)全タンパク質量が3.4重量%以上7.0重量%未満、
(b)微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量が0.01重量%以上、
(c)全タンパク質量に対する微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量が0.10~0.80、
前記発酵乳中の前記全タンパク質量及び/又は前記微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量を調整する工程を具備することを特徴とする請求項2に記載の発酵乳の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発酵乳に関する。より詳しくは、本発明はタンパク質を高濃度で含む静置型発酵乳及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質は重要な栄養素の一つであることから、発酵乳においてもタンパク質を多く含む製品が求められている。
【0003】
特許文献1は、風味と食感に優れたタンパク質を高濃度で含む発酵乳の製造方法を提供することを目的とし、その解決手段として、タンパク質の割合が5~10質量%であり、タンパク質の合計を100%としたときに、脱脂粉乳に含まれるタンパク質が20~60質量%、ホエイタンパク質濃縮物に含まれるタンパク質が20~30質量%、乳タンパク質濃縮物に含まれるタンパク質が20~60質量%となるように、前記脱脂粉乳と、前記ホエイタンパク質濃縮物と、前記乳タンパク質濃縮物を配合することを特徴とする、発酵乳の製造方法を開示している。
【0004】
特許文献2は、適度な硬度及び粘度を有し、離水が少なく、組織が安定し、風味が優れ、しかも安価な発酵乳とその製造方法を提供すること、さらに、発酵が促進されて発酵時間が短縮され、しかも上記のような優れた品質の発酵乳及びその製造方法を提供することを目的とし、その解決手段として、原料ミックス中に乳タンパク質濃縮物を1~15重量%及び脱乳糖パーミエートを配合してなる組織の安定した発酵乳、および発酵乳の製造方法を開示している。
【0005】
特許文献3は、製品の配送時や保存時において、温度上昇、物理的刺激といった保存条件の劣化が生じた場合でも、保形性、保水性を保ち、かつ口当たりのよい固形ヨーグルトおよびその製造方法を提供することを目的とし、実質的に非凝集性の変性蛋白球状粒子またはその凝集体と、ゼラチンとを含有することを特徴とする固形ヨーグルト、および乳原料に乳酸菌を接種、培養してヨーグルトを製造する方法において、培養工程の前または後に実質的に非凝集性の変性蛋白球状粒子またはその凝集体と、ゼラチンとを添加する工程を設けたことを特徴とする固形ヨーグルトの製造方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2017-029802号公報
【特許文献2】特開平11-28056号公報
【特許文献3】特開2002-238452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1~3に開示された発酵乳及びその製造方法の他に、高タンパク質でありながら、硬度が低くカード粒が少ない新規の静置型発酵乳及びその製造方法が求められていた。
以上より、本発明は、従来にない新規な高タンパク質の静置型発酵乳及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の解決手段として、以下の構成を含む発明を提供するものである。
[1]3.4重量%を超え、7重量%未満のタンパク質を含み、硬度が20gf以上60gf以下、カード粒が100gあたり0個以上500個以下である発酵乳。
[2]発酵乳中のタンパク質が3.4重量%を超え、7重量%未満となるようタンパク質量を調整する工程と、微粒子化ホエイタンパク質をタンパク質に対して10重量%以上80重量%以下となるよう微粒子化ホエイタンパク質量を調整する工程と、を具備する発酵乳の製造方法。
[3]下記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たすように、
(a)全タンパク質量が3.4重量%以上7.0重量%未満、
(b)微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量が0.01重量%以上、
(c)全タンパク質量に対する微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量が0.10~0.80、
発酵乳中の全タンパク質量及び/又は微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量を調整する工程を具備する[2]に記載の発酵乳の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高タンパク質でありながら、硬度が低くカード粒が少ない静置型発酵乳及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発酵乳)
本発明において、「発酵乳」とは、牛乳等の獣乳またはこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を、乳酸菌、ビフィズス菌、酵母のうちいずれか一つまたはこれらの組み合わせにより発酵させたものである。発酵乳を性状と製法により分類すると1)静置型発酵乳、2)攪拌型発酵乳、3)液状発酵乳に分けられる。この1)静置型発酵乳は、ハードタイプの発酵乳と称され、小売容器に充填して発酵させたプリン状の組織を有するものであり、例えば以下のように製造される。まず、乳、乳製品、ショ糖等の原材料を混合・溶解して調製した発酵ミックスを均質化、殺菌、冷却した後、乳酸菌スターターを接種し、容器に充填して密封してから培養室や発酵トンネル内で発酵させ、適度な酸度になった時点で直ちに10℃以下に冷却して発酵を終了させ、最終製品とする。2)攪拌型発酵乳は、ソフトタイプの発酵乳とも称され、発酵ミックスに乳酸菌スターターを添加し、タンクで発酵後、カードを破砕して容器に充填して、最終製品とする。3)液状発酵乳は発酵ミックスを攪拌型発酵乳と同様の方法で発酵させ、カードを破砕後に均質化して液状にした発酵乳を最終製品とする。本発明においては、上記のうち、1)静置型発酵乳が含まれる。
【0011】
発酵乳の原料となる乳及び乳製品は、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)の「乳」および「乳製品」に該当するものである。すなわち、「乳」とは、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいい、「乳製品」とは、クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調製粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上を含むものに限る。)及び乳飲料をいう。
【0012】
(タンパク質量)
本発明において「高タンパク質の発酵乳」とは、普通牛乳に含まれる3.4重量%を超えるタンパク質を含むことを指す。本発明の静置型発酵乳のタンパク質量に制限はないが、3.4重量%を越え、かつ7重量%未満とするとカード粒数が低下する点で好ましいが、4重量%以上7重量%未満、5重量%以上7重量%未満とすると高タンパク質でありながら、硬度が低くカード粒が少ない静置型発酵乳を得ることができる。
【0013】
続いて、発酵乳中の全タンパク質量、微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量について説明する。
(a)全タンパク質量は3.4重量%以上7.0重量%未満が好ましく、(b)微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量は0.01重量%以上が好ましく、(c)全タンパク質量に対する微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量は0.10~0.80が好ましい。上記条件(a)、(b)、(c)の少なくとも1つを満たすことが好ましく、2つを満たすことがより好ましく、3つを満たすことが特に好ましい。さらに、(a2)全タンパク質量は4.0重量%以上7.0重量%未満が好ましく、(b2)微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量は0.5重量%以上が好ましく、(c2)全タンパク質量に対する微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量は0.20~0.80が好ましい。上記条件(a2)、(b2)、(c2)の少なくとも1つを満たすことが好ましく、2つを満たすことがより好ましく、3つを満たすことが得に好ましい。
【0014】
(硬度)
本発明の発酵乳は、発酵乳の硬度は所望のものとすることができるが、舌触り等の風味や食感の滑らかさ、商品輸送耐性の点で硬度は20~60gfであることが好ましく、20~55gfがより好ましく、20~50gfであることがさらに好ましい。
【0015】
(カード粒数)
本発明の発酵乳のカード粒は、フルーツソースやジャムなどと混合した際にカード粒が目立ちにくい点で、発酵乳100gあたり0個以上500個以下であることが好ましく、0個以上450個以下であることがより好ましく、0個以上400個以下であることがさらに好ましい。
【0016】
(脂肪量)
本発明の発酵乳の脂肪量には特に限定はないが、本発明は高タンパク質の発酵乳に関するものであることから、発酵乳の全固形分の関係から、低脂肪タイプ(2重量%程度以下)や、無脂肪タイプ(実質的に0重量%)の発酵乳に好適である。
【0017】
(硬度の測定方法)
本発明の発酵乳の硬度は、発酵乳の最大荷重で定義する。最大荷重は、テクスチャーアナライザーを用いて、発酵乳を対象とした2回貫入試験により測定することができる。発酵乳の最大荷重は、具体的には、10℃に調整したサンプルをテクスチャーアナライザーにかけ、Test Speed:1mm/s、貫入距離:10mm、治具:直径16mm高さ25mmの樹脂円柱プローブ、モード:圧縮の条件で測定できる。サンプルの大きさは、貫入距離の10mm以上の高さがあり、直径16mm以上であればよい。
【0018】
(カード粒数の測定方法)
本発明の発酵乳のカード粒数は次の手順で測定することができる。100gの発酵乳をカップに採取し、モーターと4枚羽根を具備した攪拌機で200rpm、1分間撹拌する。撹拌後の発酵乳を1/4の25gになるように調整し、水道水を加えて全量200gとする。これを撹拌子で400rpm、30秒間撹拌し、1mm目開きのふるいでろ過してふるい上に補足された粒の数を計測する。計測によって得られた粒数を4倍したものをカード粒数とする。
【0019】
(製造方法)
(原材料)
(微粒子化ホエイタンパク質)
本発明の発酵乳は微粒子化ホエイタンパク質を含むものである。微粒子化ホエイタンパク質は、ホエイタンパク質を含む溶液をホエイタンパク質が凝集する物理化学処理を行った後、遠心分離して得られた沈殿画分を指す。
微粒子化ホエイタンパク質は公知の市販の乳タンパク質素材を使用してもよい。市販の微粒子化ホエイタンパク質素材としては、Simpless100(CPKelko社製)、WPC550(Fonterra社製)等を例示できる。
また、公知の方法を用いて、ホエイタンパク質を含有する溶液から調製してもよい。例えば、International journal of food science & technology、 34(5-6)、 p523-525に記載の方法によって調整することができる。
微粒子化ホエイタンパク質素材に含まれるホエイタンパク質の変性度は70%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上とする。また、微粒子化ホエイタンパク質のメジアン径は5μm以下であるのが好ましく、4μm以下であるのがより好ましく、3μm以下であるのが最も好ましい。このような変性度およびメジアン径となるよう、必要に応じて加熱、均質化処理を行う。
微粒子化ホエイタンパク質素材は、微粒子化ホエイタンパク質素材由来のタンパク質量が静置型発酵乳中に0.01重量%以上含まれるように配合すればよく、0.5重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましく、2重量%以上がさらに好ましく、3重量%以上がさらにより好ましい。
また、本発明の静置型発酵乳に含まれる全タンパク質に対する微粒子化ホエイタンパク質量の比はカード粒数が低下する点から、0.10~0.80であることが好ましく、0.20~0.70であることがより好ましく、0.30~0.60であることが最も好ましい。
硬度を調整する場合は、WPI(Whey Protein Isolate:WPI)および/またはWPC(Whey Protein Concentrate:MPC)を添加することができ、発酵乳に対してタンパク質量として1重量%未満の配合であれば、過剰なカード粒数の増加を惹起することなく、硬度低下を抑制することが可能となる。
【0020】
(製造工程)
本発明の発酵乳の製造方法の具体的な一態様を次に記す。
生乳、脱脂粉乳、MPC(Milk Protein Concentrate:MPC)、WPC、WPI、および微粒子化ホエイタンパク質などの乳原料、並びに、発酵乳の製造に一般的に用いられるその他の原料を所定量計量、溶解した後、均質化処理、殺菌処理を行う。均質化処理と殺菌処理の順序に指定はない。なお、均質化の条件は50~70℃の温度で50~500kg/cm2の均質圧を例示でき、殺菌の条件は80~95℃の温度で2秒~10分間保持を例示できるが、これに限られるものではない。
冷却した原料液(ミックス)に乳酸菌を添加し、容器に充填する。乳酸菌を添加する場合、発酵条件として、30~40℃で3~20時間の発酵、発酵の終点がミックスの乳酸酸度が0.7~1.3%に到達した時点、を例示できる。発酵に用いる乳酸菌は、ラクトバチルス・ブルガリクス(L.bulgaricus)、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)等を例示できるが、発酵乳製造に通常用いられている乳酸菌スターターであれば特に制限されることはない。発酵終了後、容器を10℃以下まで冷却することで、静置型発酵乳が得られる。
【0021】
(変性度)
ホエイタンパク質の変性度は以下の方法で測定することが可能である。試料0.4gと40℃の蒸留水0.8g、10体積%酢酸40μLをマイクロチューブに分注し、よく攪拌した後に10分保持する。その後、マイクロチューブに1M酢酸ナトリウム40μLと蒸留水0.72gを分注し、再びよく攪拌する。1時間放置後、3000gで5分間遠心分離を行う。この処理で沈殿した不溶性ホエイタンパク質量を変性ホエイタンパク質と、上清に含まれる可溶性ホエイタンパク質量を未変性ホエイタンパク質とみなす。また、10体積%塩酸、1M酢酸ナトリウムを蒸留水に置き換えて上記処理を実施後、上清に含まれる可溶性タンパク質量を全ホエイタンパク質量とみなす。このとき、以下の式でホエイタンパク質ベースに含まれるホエイタンパク質の変性度を表現した。なお、タンパク質定量には、ThermoFisher社製BCAProteinAssayKitを用いた。
変性度=変性ホエイタンパク質/全ホエイタンパク質=(1-上清中のホエイタンパク質)/全ホエイタンパク質)
【0022】
(メジアン径)
微粒子化ホエイタンパク質のメジアン径は、レーザー回折式粒度分布測定装置、レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置、画像解析式粒子径分布測定装置、精密粒度分布測定装置、リアルタイムゼータ電位・ナノ粒子径測定装置、動的光散乱式(DLS)粒子径分布測定装置、分析用超遠心システムなど、粒度分布を測定する装置で測定することができる。得られた体積基準での積算分布曲線の50%に相当する粒子径をメジアン径といい、いわゆる50%粒子径、50%径、d50等とも言われる。
【実施例0023】
次に、実施例を示して本発明を具体的に説明する。しかし、本発明は、実施例に限定して解釈されるものではない。
【0024】
(微粒子化ホエイタンパク質の調製)
チェダーチーズホエイのUF濃縮液を、Internationaljournaloffoodscience & technology、34(5-6)、p523-525に記載の方法によって加熱およびせん断処理した。その後、得られたホエイの懸濁液を噴霧乾燥し、微粒子化ホエイタンパク質(以下、表中ではMPWとも記す)の粉末を得た。微粒子化ホエイタンパク質の粉末のホエイタンパク質濃度は79%、ホエイタンパク質変性度は90%、ホエイタンパク質のメジアン径は1.5μmであった。得られた微粒子化ホエイタンパク質粉末を次項の試験に用いた。
【0025】
(実施例1~8、比較例1~2)
表1に示す配合に従い、次の調製方法によって実施例1~8、比較例1~2の静置型発酵乳を製造した。原料を65℃の調合水とともにホモミキサーで混合溶解し、ミックスを調製した。ミックスを65℃まで再加温し、140kg/cm2の均質圧で均質処理した後、95℃で30秒間加熱殺菌した。その後、40℃まで冷却し、ラクトバチルス・ブルガリクスを1.5重量%、ストレプトコッカス・サーモフィラスを0.15重量%添加し、容器に充填した。ミックスを充填した容器を40℃に設定した醗酵室内で発酵させ、酸度が1.00%になったところで5℃まで冷却し、静置型発酵乳を得た。なお、実施例1~8、比較例1~2の全てで脂質は0.5重量%以下であった。
【0026】
【0027】
表2に実施例1~8および比較例1~2の特性を示す。尚、静置型発酵乳の特性値として、調製から一週間後の品温10℃の静置型発酵乳の硬度およびカード粒数を用いた。
【0028】
【0029】
実施例1~8では、硬度が20~60gf、カード粒数が500個/100g以下となり、適度な硬度を持ち、カード粒数の増加が抑制された組織となった。比較例1では、硬度が60gf以上であり、組織が硬化した。また、比較例2ではミックスがゲル化せずに、静置型発酵乳とならなかった。
すなわち、全タンパク質を3.4%以上7.0%未満、微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質を0.01%以上、全タンパク質量に対する微粒子化ホエイタンパク質由来のタンパク質量を0.10~0.80とすることを特徴とする静置型発酵乳は、適度な硬度を持ち、カード粒数が抑制されていた。