(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092968
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】感光性樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルター、タッチパネル及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20240701BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20240701BHJP
【FI】
G03F7/004 505
G02B5/20 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023203651
(22)【出願日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】P 2022208574
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006644
【氏名又は名称】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100132230
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100088203
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 英一
(74)【代理人】
【識別番号】100100192
【弁理士】
【氏名又は名称】原 克己
(74)【代理人】
【識別番号】100198269
【弁理士】
【氏名又は名称】久本 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100226894
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 夏詩子
(72)【発明者】
【氏名】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 真琳
【テーマコード(参考)】
2H148
2H225
【Fターム(参考)】
2H148BE03
2H148BE12
2H148BE22
2H148BE36
2H148BF07
2H148BF16
2H148BF26
2H148BG02
2H148BG06
2H148BG11
2H148BH03
2H148BH04
2H225AC36
2H225AC54
2H225AC58
2H225AD06
2H225AE12P
2H225AN36P
2H225AN39P
2H225AN42P
2H225AN58P
2H225AP03P
2H225AP10P
2H225BA02P
2H225BA05P
2H225BA16P
2H225BA17P
2H225BA22P
2H225BA33P
2H225CA18
2H225CB06
2H225CC01
2H225CC13
(57)【要約】
【課題】現像性に優れ、遮光度、比誘電率及び反射率が所定の範囲に調整され、低誘電率化や低反射率化を満足できて、とくに高遮光性の硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】下記(A)~(E)成分、
(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、
(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)チタンブラックを含む黒色着色剤、
(D)溶剤、及び
(E)光重合開始剤
を含む感光性樹脂組成物であり、
硬化膜として形成した際に、該硬化膜の比誘電率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(比誘電率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が4.0以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)~(E)成分、
(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、
(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)チタンブラックを含む黒色着色剤、
(D)溶剤、及び
(E)光重合開始剤
を含む感光性樹脂組成物であり、
硬化膜として形成した際に、該硬化膜の比誘電率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(比誘電率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が4.0以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
【請求項2】
硬化膜として形成した際に、該硬化膜の表面反射率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(表面反射率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が4.5以下であることを特徴とする請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
硬化膜として形成した際に、該硬化膜の表面反射率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(表面反射率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が2.5以下であることを特徴とする請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が、感光性樹脂組成物の固形分中に35~80質量%含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(C)成分はチタンブラックとカーボンブラックとを含み、当該(C)成分の合計100質量部に対してチタンブラックが75質量部以上含有されることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
チタンブラックの平均二次粒子径が100nm未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化膜をブラックマトリックスとして有するカラーフィルター。
【請求項9】
請求項7に記載の硬化膜をブラックマトリックスとして有するタッチパネル。
【請求項10】
請求項8に記載のカラーフィルターを有する表示装置。
【請求項11】
請求項9に記載のタッチパネルを有する表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物及び該感光性樹脂組成物の硬化膜並びに該硬化膜を有するカラーフィルター、タッチパネル及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルターは液晶表示装置の視認性を左右する重要な部材の一つであり、視認性の向上、すなわち、鮮明な画像を得るためには、カラーフィルターを構成する赤(R)、緑(G)、青(B)などの画素を今まで以上に高色純度化すると共に、ブラックマトリクスでは高遮光化を達成する必要があり、そのためには、従来よりも感光性樹脂組成物に対して着色剤を多量に添加しなければならない。
【0003】
樹脂ブラックマトリクス用遮光材としては一般にカーボンブラックが知られているが、カーボンブラックは遮光性に優れる一方、電気抵抗が低いため、表示装置の誤作動を引き起こす原因となる場合がある。また、カーボンブラックを多量に用いようとすると、カーボンブラックが凝集し異物が発生しやすく、また、露光の際に膜深部までの硬化が不十分となりやすく、パターン形状や直線性等が悪化するといった問題も懸念される。
【0004】
カーボンブラックを用いてブラックマトリクスの電気抵抗を大きくする方法として、導電性であるカーボンブラックの比率を下げることや、カーボンブラック表面に樹脂をあらかじめ被覆した材料を適用する方法が提案されてきたが、パターニング性を十分に保持した上で実現できる遮光度に限界があり、高遮光性が要求される用途として実現することが困難になる場合が想定される。
【0005】
このように、カーボンブラックを遮光材とする場合の課題に関して、従来から、チタンブラックや黒色有機顔料や混色有機顔料を用いた遮光膜用の感光性樹脂組成物が検討されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-72760号公報
【特許文献2】特開2017-211826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、前記のような液晶表示装置などにおける樹脂ブラックマトリックス等を形成するための感光性樹脂組成物については、現像性や高遮光度の要求に加えて、液晶表示装置の方式や構成によっては低誘電率化のために、より高いブラックマトリクスの絶縁性が求められたり、各種ディスプレイ用途などの視認性を上げる目的でより高度な低反射率化の要求もなされるようになっている。そのような観点から、前記特許文献1に記載の方法は高遮光化に応えた技術とまでは言えず、高遮光に応えながら遮光度と比誘電率・反射率との関係も開示されていなかった。また、従来からのカーボンブラックでは、カーボンブラック自体の屈折率が高いことで、感光性樹脂組成物と空気層または透明基板層との屈折率差が大きくなってしまうため反射率が高くなる傾向があり、硬化膜の低反射化の実現が十分とは言えなかったが、この特許文献1においても、遮光膜の低反射化については開示されていなかった。
【0008】
そこで、本願の発明者らは、従来技術における課題に対して検討を進め、遮光材としてチタンブラックを必須として使用しながらその配合等について鋭意検討した結果、硬化膜としての現像性も担保しつつ、遮光度との関係で比誘電率及び反射率とが所望の範囲に調整されて低誘電率化及び低反射率化の要求も満足でき、しかもこれらの諸特性を具備した高遮光膜としても得ることができる感光性樹脂組成物を知見して、本発明を完成させた。
【0009】
なお、感光性樹脂組成物の遮光材としてチタンブラックを用いる技術については、前記特許文献1のほかにも既に提案されているが(例えば、特許文献2を参照)、いずれも、遮光度との関係で比誘電率及び反射率とを適切に調整することや、低誘電率化や低反射率化の目的を開示するものではなく、これらの特性と共に高遮光性が要求される用途に十分に展開できるものではなかった。
【0010】
したがって、本発明は上述した知見に基づいて発明されたものであり、その目的とするところは、硬化膜としての現像性に優れながらも、遮光度との関係で比誘電率及び反射率が所定の範囲に調整され、低誘電率化や低反射率化を満足でき、とくに高遮光性の硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物を提供することである。
【0011】
また、本願の他の目的は、そのような感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜を提供することであり、また、該硬化膜をブラックマトリックスとして有したカラーフィルター及びタッチパネルを提供することであり、さらには、該カラーフィルター又はタッチパネルを有する表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
〔1〕下記(A)~(E)成分、
(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、
(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物、
(C)チタンブラックを含む黒色着色剤、
(D)溶剤、及び
(E)光重合開始剤
を含む感光性樹脂組成物であり、
硬化膜として形成した際に、該硬化膜の比誘電率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(比誘電率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が4.0以下であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
〔2〕硬化膜として形成した際に、該硬化膜の表面反射率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(表面反射率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が4.5以下であることを特徴とする〔1〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔3〕硬化膜として形成した際に、該硬化膜の表面反射率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比(表面反射率/膜厚1μm当たりの光学濃度)が2.5以下であることを特徴とする〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔4〕前記(C)成分が、感光性樹脂組成物の固形分中に35~80質量%含有されることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔5〕前記(C)成分はチタンブラックとカーボンブラックとを含み、当該(C)成分の合計100質量部に対してチタンブラックが75質量部以上含有されることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔6〕チタンブラックの平均二次粒子径が100nm未満であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物。
〔7〕前記〔1〕又は〔2〕に記載の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜。
〔8〕前記〔7〕に記載の硬化膜をブラックマトリックスとして有するカラーフィルター。
〔9〕前記〔7〕に記載の硬化膜をブラックマトリックスとして有するタッチパネル。
〔10〕前記〔8〕に記載のカラーフィルターを有する表示装置。
〔11〕前記〔9〕に記載のタッチパネルを有する表示装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、現像性に優れ、遮光度、比誘電率及び反射率が所定の範囲に調整され、低誘電率化や低反射率化を満足できて、とくに高遮光性の硬化膜を得ることができる感光性樹脂組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0015】
<感光性樹脂組成物>
本発明の感光性樹脂組成物は、少なくとも、下記(A)~(E)成分を含有する。すなわち、本発明の感光性樹脂組成物は、(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂、(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物、(C)チタンブラックを含む黒色着色剤、(D)溶剤、及び(E)光重合開始剤を含む。
【0016】
また、本発明の感光性樹脂組成物は、硬化膜として形成した際に、該硬化膜の比誘電率と、膜厚1μm当たりの光学濃度との比である、比誘電率/膜厚1μm当たりの光学濃度が4.0以下であることを特徴とする。
【0017】
〔感光性樹脂組成物の物性〕
本発明の感光性樹脂組成物は、ブラックマトリックス形成用に好適に使用することができ、その観点からは黒色(擬似黒色を含む)を呈していることが好ましい。すなわち、当該感光性樹脂組成物を硬化膜として形成した際に、用途上で所望される光学濃度〔膜厚1μm当たりの光学濃度(以下、本明細書では、「単位OD」と表記する場合がある。)〕を有するように調製されることが好ましい。単位ODは、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
【0018】
硬化膜として形成した際の単位ODについては、前記のとおり用途上で所望される範囲に適宜調整されることが好ましく、制限されないが、ブラックマトリックス形成用としては通常単位ODが1.0以上とすることが好ましい。例えば、ブラックマトリクスによるパネル外周部の配線を隠す目的などのように、遮光度が比較的低くてもよい用途においては、単位ODが1.0~3.0とすることが好ましい。他方、遮光度が比較的高い用途においては、単位ODが3.0以上とすることが好ましく、より好ましくは4.0以上とされる。高遮光用途において単位ODの上限は制限されるものではないが、単位ODを高くするには遮光成分を多く配合する必要が生じ、場合によっては硬化膜の他の物性を損なうことも想定されるので、通常単位ODが6.0以下とすることが好ましく、より好ましくは5.5以下である。
【0019】
(比誘電率/単位ODについて)
そして、本発明の感光性樹脂組成物については、前記の単位ODの範囲に関わらず、硬化膜として形成した際に、該硬化膜の比誘電率と単位ODとの比である、比誘電率/単位ODが4.0以下であることを特徴とする。好ましくは比誘電率/単位ODが3.8以下、より好ましくは3.6以下となるようにする。とくに、高遮光膜の用途においては、単位ODが比較的大きくなることから、当該比誘電率/単位ODをより小さくすることができるため好ましい。単位ODが4.0以上の高遮光用途の場合、比誘電率/単位ODが3.3以下となることが好ましく、より好ましくは3.0以下、さらに好ましくは2.5以下である。比誘電率/単位ODの下限値は制限されないが、前記のとおり単位ODは通常6.0以下とされることが好ましいことから、比誘電率/単位ODは通常1.5以上となるようにすることが好ましい。比誘電率は、JIS C2138に準拠して測定される。実施例に記載の方法のように、1ヘルツ(Hz)から100000Hzにおける電気容量の測定から算出することができる。
【0020】
比誘電率/単位ODがこのような範囲となるように設計されることにより、用途上で所望される広い単位OD範囲を具備できると共に、絶縁性が高い硬化膜として形成することができるため、使用に際して装置などの誤作動を防止できるため好適である。とりわけ、高遮光の用途では遮光成分を多く含有させる必要が生じることから、例えば、高遮光を目的としてカーボンブラックを多く配合すると電気抵抗が比較的低くなることから、単位ODは所望の範囲となるが、絶縁性が低下することが懸念されていた。したがって、とくに高遮光となるような比較的高単位ODとする用途の場合、高単位ODとはトレードオフの傾向である高絶縁性の具備(すなわち、低誘電率化)が可能となるため、当該硬化膜とした際の比誘電率/単位ODを基準として感光性樹脂組成物の配合設計がなされることが好適である。
【0021】
ここで、本明細書における「硬化膜として形成した際」については、その形成方法については制限されず、後述されるフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成されるものであることが好ましい。具体的には、フォトリソグラフィー法による露光工程及び加熱工程により硬化反応が十分に進んでいて、当該分野において通常使用されるブラックマトリックスやブラックカラムスペーサーや隔壁材料に使用される硬化膜として形成されていればよい。
【0022】
より具体的な形成方法としては、加熱硬化の際の温度が好ましくは120~250℃、より好ましくは140℃~240℃、さらに好ましくは150~230℃で加熱されればよく、遮光成分の含有量等に応じて、加熱温度が適宜調整される。例えば、単位ODが1.0~3.0と比較的低い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の遮光成分の含有量は比較的少なくなることから、硬化膜として形成する際の、現像後の熱処理(本硬化)(ポストベーク)の温度を低めに設定することができる。好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上、さらに好ましくは120℃以上、さらにより好ましくは150℃以上であって、通常180℃以下とすることが好ましい。製造上の効率性等の観点から、このような用途においては、ポストベークの温度を150℃とすることがさらに好ましい。
【0023】
他方、例えば、単位ODが4.0以上と比較的高い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の遮光成分の含有量は比較的多くなることから、前記ポストベークの温度を高めに設定することが好ましい。好ましくは200℃以上、より好ましくは230℃以上であって、通常300℃以下とすることが好ましく、より好ましくは250℃以下とされる。製造上の効率性等の観点から、このような用途においては、ポストベークの温度を230℃とすることがさらに好ましい。
【0024】
本発明における感光性樹脂組成物は、前記単位OD値の範囲に関わらず、少なくとも前記ポストベーク温度が230℃において形成された硬化膜が、前記の比誘電率/単位ODなどの諸特性(後述する硬化膜の特性を含む)を満足できることがさらにより好ましい。但し、本発明の感光性樹脂組成物の硬化膜及びそれを有するカラーフィルターなどは、実際のポストベーク温度が230℃で製造されていなくてもよく、それ以外の温度条件で製造された硬化膜及びそれを有するカラーフィルターなどであってよい。
【0025】
硬化膜として形成した際の硬化膜の比誘電率は、2~20の範囲であることが好ましい。より好ましくは2~18である。比誘電率がこの範囲であれば、硬化膜を低誘電率化することができると共に、広い単位OD値の範囲で前記比誘電率/単位ODを満足できる硬化膜を得ることができる。比誘電率は、前記のとおり硬化膜を形成する感光性樹脂組成物の組成や硬化温度等に応じて適宜調整することが可能であって、例えば遮光成分の含有量などに応じて、所望の範囲が異なる場合がある。例えば、単位ODが1.0~3.0と比較的低い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の遮光成分の含有量は比較的少なくなることから、硬化膜の比誘電率は2~10程度に調整することも可能であり、好適には2~8程度に調整することも可能である。他方、例えば、単位ODが4.0以上と比較的高い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の遮光成分の含有量は比較的多くなることから、硬化膜の比誘電率は8~18程度に調整され、好適には9~17程度に調整され得る。
【0026】
(表面反射率/単位ODについて)
また、本発明の感光性樹脂組成物については、前記の単位ODの範囲に関わらず、硬化膜として形成した際に、該硬化膜の表面反射率と単位ODとの比である、表面反射率/単位ODが4.5以下であることが好適である。好ましくは表面反射率/単位ODが4.0以下、より好ましくは3.8以下、さらに好ましくは3.5以下、さらにより好ましくは3.2以下となるようにすることがよい。そのうち、とくに高遮光膜の用途においては、単位ODが比較的大きくなることから、当該表面反射率/単位ODをより小さくすることができるため好ましい。単位ODが4.0以上の高遮光用途の場合、表面反射率/単位ODが2.5以下となることが好ましく、より好ましくは2.2以下、さらに好ましくは2.0以下、さらにより好ましくは1.7である。表面反射率/単位ODの下限値は制限されないが、前記のとおり単位ODは通常6.0以下とされることが好ましいことから、表面反射率/単位ODは通常0.5以上、より好ましくは0.8以上となるようにすることが好ましい。硬化膜の表面反射率は、JIS Z 8722に準拠して測定される。実施例に記載の方法のように、C光源を用いた2°視野での380nm~780nmにおける反射率の測定から算出することができる。
【0027】
表面反射率/単位ODがこのような範囲となるように設計されることにより、用途上で所望される広い単位OD範囲を具備できると共に、表面反射率が小さい硬化膜として形成することができるため、表示装置の視認性の観点で好適である。とりわけ、高遮光の用途では遮光成分を多く含有させる必要が生じることから、例えば、高遮光を目的としてカーボンブラックを多く配合するとカーボンブラックの屈折率に起因して、単位ODは所望の範囲となるが、硬化膜の表面反射率が増加することが懸念されていた。したがって、とくに高遮光となるような比較的高単位ODとする用途の場合、高単位ODとはトレードオフの傾向である低反射率特性の具備が可能となるため、当該硬化膜とした際の表面反射率/単位ODを基準として感光性樹脂組成物の配合設計がなされることが好適である。
【0028】
硬化膜として形成した際の表面反射率10%以下であることが好ましい。より好ましくは9%以下、さらに好ましくは8%以下である。表面反射率がこの範囲であれば、硬化膜表面を低反射にすることができると共に、広い単位OD値の広い単位OD値の範囲で前記表面反射率/単位ODを満足できる硬化膜を得ることができる。表面反射率についても、前記のとおり硬化膜を形成する感光性樹脂組成物の組成等に応じて適宜調整することが可能であって、例えば遮光成分の含有量などに応じて、所望の範囲が異なる場合がある。例えば、単位ODが1.0~3.0と比較的低い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の遮光成分の含有量は比較的少なくなることから、硬化膜の表面反射率は7%以下程度に調整することも可能であり、好適には6.5%以下、より好適には6.0%以下、さらに好適には5%以下程度に調整することも可能である。下限値に制限は無いが通常3%以上となる。他方、例えば、単位ODが4.0以上と比較的高い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の遮光成分の含有量は比較的多くなることから、硬化膜の表面反射率は3~10%程度に調整され、好適には3~9%程度、より好適には3~8%程度、さらに好適には3~6.5%程度に調整され得る。
【0029】
(体積抵抗率について)
また、本発明の感光性樹脂組成物については、硬化膜として形成した際の体積抵抗率が1.0×1013Ω・cm以上であることが好ましい。より好ましくは1.0×1014Ω・cm以上である。単位ODが4以上5未満の場合は、1.0×1015Ω・cm以上であることがさらに好ましく、単位ODが5以上6以下の場合は、5.0×1014Ω・cm以上であることがさらに好ましい。体積抵抗率がこの範囲であれば、硬化膜の絶縁性を高くすることができるため、使用に際して装置などの誤作動を防止できるため好適である。体積抵抗率は、JIS C2139に準拠して測定される。実施例に記載の方法のように、印加電圧10Vにおいて測定することができる。
【0030】
〔感光性樹脂組成物の各成分〕
【0031】
(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂について説明する。
【0032】
この(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂については、アルカリ現像性を付与するための酸価を有し、後述の(B)成分の光重合性モノマーと組み合わせて適正な光硬化性を具備することができる樹脂であれば、特に限定なく用いることができる。
【0033】
(A)不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂は、分子内に重合性の不飽和基と酸性基とを有する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、好ましく適用できる第一の例としては、エポキシ基を2個以上有する化合物と(メタ)アクリル酸(これは、アクリル酸及び/又はメタクリル酸の意味である)とを反応させ、得られたヒドロキシ基を有するエポキシ(メタ)アクリレート化合物に、(a)ジカルボン酸又はトリカルボン酸又はその酸一無水物及び/又は(b)テトラカルボン酸又はその酸二無水物を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート酸付加物である。エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物へと誘導されるエポキシ基を2個以上有する化合物としては、ビスフェノール型エポキシ化合物やノボラック型エポキシ化合物を例示することができる。具体的には、下記一般式(I)で表されるビスフェノール型エポキシ化合物を好適に挙げることができる。
【0034】
【0035】
一般式(I)の式中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を表し、Aは、-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基又は直結合を表す。lは0~10の整数である。好ましいR1、R2、R3、R4は水素原子であり、好ましいAはフルオレン-9,9-ジイル基である。また、lは通常複数の値が混在するため平均値0~10(整数とは限らない)となるが、好ましいlの平均値は0~3である。なお、これ以降、一般式(I)においてl=0の場合を用いて説明する。
【0036】
ビスフェノール型エポキシ化合物は、ビスフェノール類とエピクロルヒドリンとを反応させて得られる2個のグリシジルエーテル基を有するエポキシ化合物であり、この反応の際には一般にジグリシジルエーテル化合物のオリゴマー化を伴うため、ビスフェノール骨格を2つ以上含むエポキシ化合物を含んでいる。この反応に用いられるビスフェノール類としては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ケトン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)スルホン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)ジメチルシラン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)メタン、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3- クロロフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)エーテル、ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)エーテル、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-クロロフェニル)フルオレン、9, 9-ビス(4-ヒドロキシ-3-ブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-フルオロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジクロロフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジブロモフェニル)フルオレン、9,9-ビス[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、4,4'-ビフェノール、3,3'-ビフェノール等を挙げられる。この中でも、フルオレン-9,9-ジイル基を有するビスフェノール類を特に好ましく用いることができる。
【0037】
エポキシ(メタ)アクリレートに反応させる(a)ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、鎖式炭化水素ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物や脂環式ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物、芳香族ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物が使用される。ここで、鎖式炭化水素ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、例えば、コハク酸、アセチルコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、イタコン酸、アゼライン酸、シトラリンゴ酸、マロン酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、オキソグルタル酸、ピメリン酸、セバシン酸、スベリン酸、ジグリコール酸等の酸一無水物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物でもよい。また、脂環式ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、例えば、シクロブタンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、ヘキサヒドロトリメリット酸、ノルボルナンジカルボン酸等の酸一無水物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物でもよい。更に、芳香族ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物としては、例えばフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、2,3-ナフタレンジカルボン酸等の酸一無水物があり、更には任意の置換基が導入されたジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物でもよい。
【0038】
また、エポキシ(メタ)アクリレートに反応させる(b)テトラカルボン酸の酸二無水物としては、鎖式炭化水素テトラカルボン酸の酸二無水物や脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物、又は、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物が使用される。ここで、鎖式炭化水素テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、ブタンテトラカルボン酸、ペンタンテトラカルボン酸、ヘキサンテトラカルボン酸等の酸二無水物があり、更には任意の置換基が導入されたテトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。また、脂環式テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、シクロへプタンテトラカルボン酸、ノルボルナンテトラカルボン酸等の酸二無水物があり、更には任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。更に、芳香族テトラカルボン酸の酸二無水物としては、例えば、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸、ナフタレン-2,3,6,7-テトラカルボン酸等の酸二無水物が挙げられ、更には任意の置換基の導入されたテトラカルボン酸の酸二無水物でもよい。
【0039】
エポキシ(メタ)アクリレートに反応させる(a)ジカルボン酸又はトリカルボン酸の酸一無水物と(b)テトラカルボン酸の酸二無水物とのモル比(a)/(b)は、0.01~10.0であることがよく、より好ましくは0.02以上3.0未満であるのがよい。モル比(a)/(b)が上記範囲であれば、良好な光パターニング性を有する感光性樹脂組成物とするための最適分子量が得られやすく、また、アルカリ溶解性が損なわれないため好ましい。
【0040】
エポキシ(メタ)アクリレート酸付加物は、既知の方法、例えば特開平8-278629号公報や特開2008-9401号公報等に記載の方法により製造することができる。先ず、エポキシ化合物に(メタ)アクリル酸を反応させる方法としては、例えば、エポキシ化合物のエポキシ基と等モルの(メタ)アクリル酸を溶剤中に添加し、触媒(トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、2,6-ジイソブチルフェノール等)の存在下、空気を吹き込みながら90~120℃に加熱・攪拌して反応させるという方法がある。次に、反応生成物であるエポキシアクリレート化合物の水酸基に酸無水物を反応させる方法としては、エポキシアクリレート化合物と酸二無水物および酸一無水物の所定量を溶剤中に添加し、触媒(臭化テトラエチルアンモニウム、トリフェニルホスフィン等)の存在下、90~130℃で加熱・攪拌して反応させるという方法がある。この方法で得られたエポキシアクリレート酸付加物は一般式(II)の骨格を有する。
【0041】
【0042】
式(II)中、R1、R2、R3及びR4は、それぞれ独立して水素原子、炭素数1~5のアルキル基、ハロゲン原子又はフェニル基を表し、Aは、-CO-、-SO2-、-C(CF3)2-、-Si(CH3)2-、-CH2-、-C(CH3)2-、-O-、フルオレン-9,9-ジイル基又は直結合を表し、Xは4価のカルボン酸残基を表し、Y1及びY2は、それぞれ独立して水素原子又は-OC-Z-(COOH)m(但し、Zは2価又は3価カルボン酸残基を表し、mは1~2の数を表す)を表し、nは1~20の整数を表す。〕
【0043】
(A)成分の別の例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル等の共重合体で(メタ)アクリル基とカルボキシル基を有する樹脂を挙げることができる。例えば、第一ステップとしてグリシジル(メタ)アクリレートを含む(メタ)アクリル酸エステル類を溶剤中で共重合させて得た共重合体に、第二ステップとして(メタ)アクリル酸を反応させ、第三ステップでジカルボン酸又はトリカルボン酸の無水物を反応させて得られる重合性不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂である。
【0044】
(A)成分のもう1つの別の例としては、第一成分として分子中にエチレン性不飽和結合を有するポリオール化合物、第二成分として分子中にカルボキシル基を有するジオール化合物、第三成分としてジイソシアネート化合物を反応させて得られるウレタン化合物を挙げることができる。この系統の樹脂としては特開2017-76071号公報に示されているものを参考にすることができる。
【0045】
感光性樹脂組成物中における(A)成分の含有量は、固形分中に10~50質量%配合されることが好ましく、より好ましくは20~40質量%であることがよい。(A)成分の含有量については、後述の(B)成分などと共に調整することが可能であり、とりわけ後述の(C)成分の黒色着色剤の含有量に応じて調整されることが好ましい。すなわち、黒色着色剤の含有量が増えることで(A)成分と(B)成分の含有量が少なくなり、硬化性や現像性等に影響する場合があるため、黒色着色剤の含有量に応じて(A)成分と(B)成分の含有量を調整することが好ましい。
【0046】
また、(A)成分の重量平均分子量(Mw)については、通常2000~10000の間であることが好ましく、3000~8000の間であることがより好ましい。重量平均分子量(Mw)が2000に満たないと現像時のパターンの密着性が維持できず、パターン剥がれが生じ易く、また、重量平均分子量(Mw)が10000を超えると現像残渣や未露光部の残膜が残り易くなる。更に、(A)成分は、酸価が30~200mgKOH/gの範囲にあることが好ましい。この値が30mgKOH/gより小さいとアルカリ現像がうまくできないか、強アルカリ等の特殊な現像条件が必要となる場合があり、また、200mgKOH/gを超えるとアルカリ現像液の浸透が早くなり過ぎ、剥離現像が起きやすくなるからである。
なお、(A)成分は、その1種のみを使用しても、2種以上を併用した混合物を使用することもできる。併用する(A)成分としては、重量平均分子量(Mw)が2000~10000の間であることが好ましい。併用する(A)成分の量や重量平均分子量は、所望の現像溶解時間や硬化膜の体積抵抗率によって決まる。
【0047】
(B)少なくとも2個以上の不飽和結合を有する光重合性化合物
当該(B)成分は、前記(A)成分である不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂の分子どうしを架橋する役割を果たすことができるものである。(B)成分としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクロイル基を有する樹枝状ポリマー等を挙げることができ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。(メタ)アクロイル基を有する樹枝状ポリマーとしては、例えば、多官能(メタ)アクリレート化合物の(メタ)アクロイル基の中の炭素-炭素二重結合の一部に多価メルカプト化合物中のチオール基を付加して得られる公知の樹枝状ポリマーを例示することができる。
【0048】
当該(B)成分は前記のとおりの役割を果たすものであることから、その機能を発揮させるためには不飽和結合(例えば、エチレン性不飽和結合)を2個以上有するものを用いることがより好ましい。また、モノマーの分子量を1分子中の(メタ)アクロイル基の数で除したアクリル当量が50~300であればよい。
【0049】
(B)成分の配合量については、前記(A)成分との配合割合として、質量割合(A)/(B)で50/50~90/10であり、好ましくは60/40~80/20である。(A)成分の配合割合が50/50より少ないと、光硬化後の硬化物が脆くなり、また、未露光部において塗膜の酸価が低いためにアルカリ現像液に対する溶解性が低下し、パターンエッジがぎざつきシャープにならないおそれがある。また、(A)成分の配合割合が90/10よりも多いと、樹脂に占める光反応性官能基の割合が少なく架橋構造の形成が十分でなく、更に、樹脂成分における酸価度が高過ぎて、露光部におけるアルカリ現像液に対する溶解性が高くなるおそれがあることから、形成されたパターンが目標とする線幅より細ったり、パターンの欠落が生じ易くなったりするといった問題が生じるおそれがある。
【0050】
(C)チタンブラックを含む黒色着色剤
本発明の感光性樹脂組成物における当該(C)成分は、チタンブラックを必須として含有する。チタンブラックを含有することで、硬化膜として形成した際に、遮光性を高くして前記の単位OD値の範囲を満足することができる。また、チタンブラックを含有することで、例えばカーボンブラックのみからなる黒色着色剤と比較して、硬化膜の絶縁性を高くすることが可能である。さらに、チタンブラックは、通常カーボンブラックよりも屈折率が低いことから、硬化膜の表面反射率の低減に寄与する。
【0051】
(C)成分におけるチタンブラックの含有量については、制限されず、単位ODなどの硬化膜として形成した際の前記の諸特性などに応じて適宜調整することができる。(C)成分の合計100質量部に対して、チタンブラックが25質量部以上であることが好ましく、より好ましくは50質量部以上、さらに好ましくは75質量部以上である。所望される単位ODにもよるが、チタンブラックの含有量が多いほど、硬化膜として形成した際の比誘電率及び表面反射率を低減できる傾向があるため、前記の比誘電率/単位OD及び表面反射率/単位ODを満足しやすい。また、体積抵抗率も共に満足しやすい。
【0052】
チタンブラックの粒子径は制限されないが、ブラックマトリックス形成用における分散性等を考慮すると、平均二次粒子径が通常300nm以下であり、好ましくは200nm以下、より好ましくは100nm未満、さらにより好ましくは80nm以下であることが良い。粒子径が小さくなるにつれて粒子間の距離を比較的大きくすることができるため、硬化膜として形成した際に絶縁性を高め、低誘電率化や体積抵抗率の上昇に寄与できると推測される。平均二次粒子径の下限値は制限されないが、粒子径が小さくなるにつれて表面積が大きくなって凝集しやすくなり、沈降しやすくもなることから、好ましくは5nm以上であることが好ましく、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは20nm以上とすることがよい。平均二次粒子径は、動的光散乱法の粒度分析計又はレーザー回折・散乱式粒子径分布計で測定することができる。
【0053】
当該(C)成分は、所望する単位ODや比誘電率や体積抵抗率に応じて感光性樹脂組成物中における配合割合を適宜調整することができ、感光性樹脂組成物の全固形分中に10~90質量%程度で用いることが好ましく、より好ましくは15~85質量%程度である。例えば、単位ODに基づく場合には、単位ODが1.0~4.0と比較的低い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の全固形分中に、好ましくは10~60質量%、より好ましくは15~55質量%、さらに好ましくは20~50質量%とされる。他方、例えば、単位ODが4.0以上と比較的高い単位ODを対象とする場合は、感光性樹脂組成物中の全固形分中に35~80質量%で用いることが好ましく、より好ましくは40~70質量%、さらに好ましくは40~60質量%とされる。
【0054】
本発明で使用するチタンブラックは、低次酸化チタン、酸窒化チタン等に代表される含チタン黒色無機顔料であり、これらの中でも高い絶縁性を示すものを好ましく用いることができる。2種以上のチタンブラックを併用してもよい。これらチタンブラックの作製方法としては、二酸化チタンと金属チタンの混合体を還元雰囲気下で加熱し還元させる方法(特開昭49-5432号公報)、四塩化チタンの高温加水分解で得られた超微細二酸化チタンを水素を含む還元雰囲気中で還元する方法(特開昭57-205322号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンをアンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭60-65069号公報、特開昭61-201610号公報)、二酸化チタンまたは水酸化チタンにバナジウム化合物を付着させ、アンモニア存在下で高温還元する方法(特開昭61-201610号公報)、などがあるがこれらに限定されるものではない。
【0055】
また、これらの含チタン黒色無機顔料は、無機粒子表面に有機化合物又は無機化合物を被覆したものでもよい。被覆するのに用いる有機化合物の例としては多価アルコール、アルカノールアミン又はその誘導体、有機ケイ素化合物(ポリシロキサン類、シラン系カップリング剤等)、高級脂肪酸又はその金属塩、有機金属化合物(チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等)等がある。一方、被覆するのに用いる無機化合物の例としては、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、ジルコニウム化合物、スズ化合物、チタニウム化合物、アンチモン化合物等を挙げることができる。この含チタン粒子の表面被覆する方法としては、特開2006-206891に記載されている方法等を使用することができる。
【0056】
チタンブラックの市販品の例としては、三菱マテリアル製チタンブラック10S、12S、13M、13M-T、13M-C、13R、13R-N、UF8、赤穂化成製Tilack D(「Tilack D」は同社の登録商標)などが挙げられる。
【0057】
(C)成分においては、チタンブラックのみから構成されてもよく、それ以外の遮光成分を併用してもよい。このような着色剤は、制限されないが、黒色有機顔料、混色有機顔料又は遮光材から選ばれる遮光成分を用いることができ、耐熱性、耐光性及び耐溶剤性等に優れたものであるのがよい。ここで、黒色有機顔料としては、例えばペリレンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、ラクタムブラック等が挙げられる。混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、シアニン、マゼンタ等から選ばれる2種以上の顔料を混合して擬似黒色化されたものが挙げられる。遮光材としては、カーボンブラック、酸化クロム、酸化鉄等を挙げることができる。これらの他の遮光成分は、2種以上を適宜選択して用いることもできる。他の遮光成分の中では、遮光性、表面平滑性、分散安定性、樹脂との相溶性等の観点でカーボンブラックを用いることが好ましい。カーボンブラックとしては、酸化処理や樹脂被覆処理といった特別な表面処理を施さない未処理のカーボンブラックや、分散工程前にカーボンブラックの表面が何らかの酸化剤で処理されたカーボンブラックや、カーボンブラック表面を染料、顔料、樹脂等で被覆した表面被覆カーボンブラックなどを用いてもよい。特に、表面が染料で被覆されたカーボンブラックと併用した場合は、感光性樹脂組成物の現像性を高め、かつこれを硬化してなる硬化膜の基板への密着性、細線再現性、および遮光性を高め、硬化膜の抵抗値を高めることもできる。
【0058】
上記染料は、遮光材の表面に吸着できるものであればよく、塩基性染料、酸性染料、直接染料、反応性染料等を利用することができる。なお、このとき、遮光材(特にはカーボンブラック)の分散性を高めるためにその表面に酸性官能基を付与している(酸化処理している)ときは、当該酸性官能基と相互しやすい酸性染料(特にはスルホン酸基またはカルボキシル基を有する酸性染料)が好ましい。また、(A)成分が有する酸性基との反応を抑制する観点から、アミノ基等を有する染料と比較して、酸性染料または非イオン性の染料が好ましい。また、硬化膜の遮光性をより高める観点からは、濃色系の染料が好ましい。
【0059】
上記染料の具体例には、Food Black No.1、Food Black No.2、Food Red No.40、Food Blue No.1、Food Yellow No.7等の食用色素染料、Bernacid Red 2BMN、Basacid Black X34(BASF X-34)(BASF社製)、Kayanol Red 3BL(Nippon Kayaku Company社製)、Dermacarbon 2GT(Sandoz社製)、Telon Fast Yellow 4GL-175、BASF Basacid Black SE 0228、Basacid Black X34(BASF X-34)(BASF社製)、Basacid Blue 750(BASF社製)、Bernacid Red(Bemcolors, Poughkeepsie, N. Y. 社製)、BASF Basacid Black SE 0228(BASF社製)等の各色の酸性染料、Pontamine Brilliant Bond Blue A及びその他のPontamine Brilliant Bond Blue A及びその他のPontamine(登録商標)染料(Bayer Chemicals Corporation、Pittsburgh,PA社製)、Cartasol Yellow GTF Presscake(Sandoz, Inc社製);Cartasol Yellow GTF Liquid Special 110(Sandoz, Inc. 社製);Yellow Shade 16948(Tricon社製)、Direct Brilliant Pink B(Crompton & Knowles社製)、Carta Black 2GT(Sandoz, Inc. 社製)、Sirius Supra Yellow GD 167、Cartasol Brilliant Yellow 4GF(Sandoz社製);、Pergasol Yellow CGP(Ciba-Geigy社製)、Pyrazol Black BG(JCI社製)、Diazol Black RN Quad(JCJ社製)、Pontamine Brilliant Bond Blue; Berncolor A. Y. 34等の各色の直接染料、Cibacron Brilliant Red 3B-A(Reactive Red 4)(Aldrich Chemical、Milwaukee, WI社製)、Drimarene Brilliant Red X-2B(Reactive Red 56)(Pylam Products, Inc. Tempe, AZ社製)、Levafix Brilliant Red E-4B,Levafix Brilliant Red F-6BA,及び類似のLevafix(登録商標)dyes Dystar L. P.(Charlotte, NC社製)製の染料、Procion Red H8B(Reactive Red 31)(JCI America社製)、等の各色の反応性染料、Neozapon Red 492(BASF社製)、Orasol Red G(Ciba-Geigy社製)、Aizen Spilon RedC-BH(Hodogaya Chemical Company社製)、Spirit Fast Yellow 3G、Aizen Spilon Yellow C-GNH(Hodogaya Chemical Company社製)、Orasol Black RL(Ciba-Geigy社製)、Orasol Black RLP(Ciba-Geigy社製)、Savinyl Black RLS(Sandoz社製)、Orasol Blue GN (Ciba-Geigy社製)、Luxol BlueMBSN (Morton-Thiokol社製)、Morfast Black Concentrate A(Morton-Thiokol社製)等の油溶性染料等が含まれる。これらは単独で利用されてもよいし又は2種以上を組み合わせて利用されてもよい。
【0060】
染料被覆カーボンブラックにおける染料の含有量は、染料被覆カーボンの全質量に対して0.5質量%~10質量%であることが好ましく、1質量%~7質量%であることがより好ましい。染料の量がより多いほど、硬化膜の抵抗値を高めることができる。染料の量が過剰とならない程度にすることで、余剰の染料による感光性樹脂組成物の増粘、および余剰の染料が他の成分の分散性を阻害することによる凝集の発生を抑制することができる。
【0061】
また、上記染料は、金属または金属塩によりレーキ化されていてもよい。染料をレーキ化することで、上記金属または金属塩を介して遮光材の表面に染料を固定して、遮光材の表面からの染料の離脱による上記効果の低減を抑制することができる。上記金属の例には、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウムおよびマンガン等が含まれる。上記金属塩の例には、これらの金属の塩酸塩および硫酸塩などが含まれる。上記金属または金属塩の含有量は、染料に対して0.3倍モル以上であることが好ましく、0.5倍モルであることがより好ましく、0.8倍モルであることがさらに好ましい。
【0062】
また、(C)成分は、好ましくは、予め(D)溶剤(後述)中で分散剤とともに分散させて遮光性分散液としたうえで、感光性樹脂組成物中に配合することが好ましい。ここで、分散させる溶剤は、後述の(D)成分の一部になるため、(D)成分に挙げるものであれば使用することができるが、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3メトキシブチルアセテート等が好適に用いられる。
【0063】
また、(C)成分を用いた遮光性分散液とする場合、前記分散剤としては、各種高分子分散剤等の公知の分散剤を使用することができる。分散剤の例としては、従来顔料分散に用いられている公知の化合物(分散剤、分散湿潤剤、分散促進剤等の名称で市販されている化合物等)を特に制限なく使用することができるが、例えば、カチオン性高分子系分散剤、アニオン性高分子系分散剤、ノニオン性高分子系分散剤、顔料誘導体型分散剤(分散助剤)等を挙げることができる。特に、顔料への吸着点としてイミダゾリル基、ピロリル基、ピリジル基、一級、二級又は三級のアミノ基等のカチオン性の官能基を有し、アミン価が1~100mgKOH/g、数平均分子量が1千~10万の範囲にあるカチオン性高分子系分散剤は好適である。この分散剤の配合量については、(C)成分に対して1~30質量%が好ましい。
【0064】
(D)溶剤
本発明の感光性樹脂組成物における(D)溶剤としては、制限されず、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールモノブチルエーテル、3-ヒドロキシ-2-ブタノン、ジアセトンアルコール等のアルコール類;α-もしくはβ-テルピネオール等のテルペン類等;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N-メチル-2-ピロリドン等のケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-ブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチル-1-ブチルアセテート、3-メトキシプロピオネート、3-エトキシプロピオネート、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類等が挙げられ、これらを用いて溶解、混合させることにより、均一な溶液状の組成物とすることができる。
【0065】
(E)光重合開始剤
本発明の感光性樹脂組成物における(E)光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-tert-ブチルアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール等のアセトフェノン類;ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、p,p'-ビスジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4-フェニルベンゾフェノン、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2-(o-クロロフェニル)-4,5-フェニルビイミダゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)ビイミダゾール、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルビイミダゾール、2,4,5-トリアリールビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物類;2-トリクロロメチル-5-スチリル-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-シアノスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-(p-メトキシスチリル)-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチルジアゾール化合物類;2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(3,4,5-トリメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-メチルチオスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のハロメチル-s-トリアジン系化合物類;1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-,2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-(4-フェニルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-ベンゾアート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1,2-ジオン-2-オキシム-O-アセタート、1-(4-メチルスルファニルフェニル)ブタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-ビシクロヘプチル-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-アダマンチルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-テトラヒドロフラニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-チオフェニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-ベンゾアート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-モロフォニルメタン-1-オンオキシム-O-アセタート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-ビシクロヘプタンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-トリシクロデカンカルボキシレート、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-エタン-1-オンオキシム-O-アダマンタンカルボキシレート、1-[4-(フェニルスルファニル)フェニル]オクタン-1,2-ジオン=2-O-ベンゾイルオキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)カルバゾール-3-イル]エタノン-O-アセチルオキシム、(2-メチルフェニル)(7-ニトロ-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル)-アセチルオキシム、エタノン,1-[7-(2-メチルベンゾイル)-9,9-ジプロピル-9H-フルオレン-2-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、エタノン,1-(-9,9-ジブチル-7-ニトロ-9H-フルオレン-2-イル)-1-O-アセチルオキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)等のO-アシルオキシム系化合物類;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン等のイオウ化合物;2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン等のアントラキノン類;アゾビスイソブチルニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、クメンパーオキシド等の有機過酸化物;2-メルカプトベンゾイミダゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、β-メルカプトプロピオン酸、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、3,3’-チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸等のチオール化合物などが挙げられる。この中でも、高感度の感光性樹脂組成物を得られやすい観点から、O-アシルオキシム系化合物類を用いることが好ましい。また、これら光重合開始剤を2種類以上使用することもできる。なお、本発明でいう光重合開始剤とは、増感剤を含む意味で使用される。
【0066】
また、それ自体では光重合開始剤や増感剤として作用しないが、上述の化合物と組み合わせて用いることにより、光重合開始剤や増感剤の能力を増大させ得るような化合物を添加してもよい。そのような化合物の例には、ベンゾフェノンと組みわせて使用すると効果のあるアミン系化合物が含まれる。上記アミン系化合物の例には、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノンなどが挙げられる。
【0067】
(E)成分の配合量については、前記(A)成分と(B)成分との合計100質量部に対して2~40質量部が好ましく、より好ましくは3~30質量部である。
【0068】
<その他の成分>
本発明の感光性樹脂組成物にはエポキシ化合物を含むことができる。エポキシ化合物としては、公知のものを制限なく用いることができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物、ビスナフトールフルオレン型エポキシ化合物、ジフェニルフルオレン型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、フェノールアラルキル型エポキシ化合物、ナフタレン骨格を含むフェノールノボラック化合物(例えば、NC-7000L:日本化薬株式会社製)、ビフェニル型エポキシ化合物(例えば、jER YX4000:三菱ケミカル株式会社製)、ナフトールアラルキル型エポキシ化合物、トリスフェノールメタン型エポキシ化合物(例えば、EPPN-501H:日本化薬株式会社製)、テトラキスフェノールエタン型エポキシ化合物、多価アルコールのグリシジルエーテル、多価カルボン酸のグリシジルエステル、メタクリル酸とメタクリル酸グリシジルの共重合体に代表される(メタ)アクリル酸グリシジルをユニットとして含む(メタ)アクリロイル基を有するモノマーの共重合体、水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(例えば、リカレジンHBE-100:新日本理化株式会社製)などのグリシジル基を有するエポキシ化合物、1,4-シクロヘキサンジメタノール-ビス3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-5,1-スピロ(3,4-エポキシ)シクロヘキシル-m-ジオキサン(例えば、アラルダイトCY175:ハンツマン社製)、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート(例えば、CYRACURE UVR-6128:ダウ・ケミカル社製)、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(例えば、セロキサイド2021P:株式会社ダイセル製)、ブタンテトラカルボン酸テトラ(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)修飾ε-カプロラクトン(例えば、エポリードGT401:株式会社ダイセル製)、エポキシシクロヘキシル基を有するエポキシ化合物(例えば、HiREM-1:四国化成工業株式会社製)、ジシクロペンタジエン骨格を有する多官能エポキシ化合物(例えば、HP7200シリーズ:DIC株式会社製)、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(例えば、EHPE3150:株式会社ダイセル製)などの脂環式エポキシ化合物、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、NISSO-PB・JP-100:日本曹達株式会社製)、シリコーン骨格を有するエポキシ化合物等が含まれる。
【0069】
また、前記エポキシ化合物の公知の硬化剤や硬化促進剤も用いることができる。硬化剤としては、エポキシ樹脂の硬化に寄与するアミン系化合物、多価カルボン酸系化合物、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ジシアンジアミド、ルイス酸錯化合物等が含まれる。硬化促進剤の例には、エポキシ樹脂の硬化促進に寄与する三級アミン、四級アンモニウム塩、三級ホスフィン、四級ホスホニウム塩、ホウ酸エステル、ルイス酸、有機金属化合物、イミダゾール類等が含まれる。
【0070】
また、本発明の感光性樹脂組成物には、必要に応じて、熱重合禁止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填材、レベリング剤、消泡剤、カップリング剤、界面活性剤、粘度調整剤、無機微粒子等の添加剤を配合することができる。熱重合禁止剤および酸化防止剤としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、ヒンダードフェノール系化合物等を挙げることができ、可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、リン酸トリクレジル等を挙げることができ、充填材としては、ガラスファイバー、シリカ、マイカ、アルミナ等を挙げることができ、消泡剤やレベリング剤としては、シリコーン系、フッ素系、アクリル系の化合物を挙げることができる。また、界面活性剤としてはラウリル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド、ラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤、ポリジメチルシロキサン等を主骨格とするシリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤等を挙げることができる。カップリング剤としては3-(グリシジルオキシ)プロピルトリメトキシシラン、3-イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤を挙げることができる。無機微粒子としては、酸化ケイ素等が挙げられる。
【0071】
<固形分>
本発明の感光性樹脂組成物は、上記(A)~(E)成分を主成分として含有する。溶剤を除いた固形分(固形分には硬化後に固形分となるモノマーを含む)中に、(A)~(C)及び(E)成分が合計で70質量%が好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上含むことがよい。(D)溶剤の量は、目標とする粘度によって変化するが、本発明の感光性樹脂組成物中に60~90質量%の範囲で含まれるようにするのがよい。
【0072】
<硬化膜の形成方法>
本発明における感光性樹脂組成物は、例えばカラーフィルター硬化膜(保護膜、遮光膜)形成用の感光性樹脂組成物として優れるものであり、硬化膜の形成方法としては、以下のようなフォトリソグラフィー法がある。先ず、感光性樹脂組成物を透明基板上に塗布し、次いで溶媒を乾燥させた(プリベーク)後、このようにして得られた被膜の上にフォトマスクをあて、紫外線を照射して露光部を硬化させ、更にアルカリ水溶液を用いて未露光部を溶出させる現像を行ってパターンを形成し、更に後乾燥としてポストベークを行う方法が挙げられる。
【0073】
感光性樹脂組成物を塗布する透明基板としては、ガラス基板のほか、透明フィルム(例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフォン等)上にITOや金などの透明電極が蒸着あるいはパターニングされたものなどが例示できる。また、本発明の硬化膜の製造方法に用いる他の基板の例には、ガラス基板、シリコンウェハおよびポリイミドフィルム等のように基板自体の耐熱性は高いが基板上に耐熱性の低い薄膜等を形成したものが含まれる。具体例としては、OLED又は有機薄膜トランジスタ(TFT)を形成した有機デバイス付基板等も含まれ、有機デバイス形成後に保護膜、保護フィルム等を形成したものも含む。なお、本発明で対象とする耐熱性の低い基板の耐熱温度は、樹脂の種類やデバイスによっても異なるが、100℃以下であることが好ましく、80~100℃であることがより好ましい。なお、有機デバイス付基板については、有機デバイス形成後に保護膜、保護フィルム等を形成したものも含む。これらの保護膜、保護フィルム自体の耐熱性が100℃以上であっても、有機デバイスの機能を担保するためには実質的に100℃以下の耐熱性しかない場合には、有機デバイス付基板に該当するためである。本発明は前記のように、耐熱性の低い基板の場合に特に有効な技術であるが、従来200℃以上の温度でポストベークしていたプロセスに対しても、低温でポストベークでき、プロセスコストも下げることができるので、こうした目的に対しても有効な技術である。
【0074】
透明基板上に感光性樹脂組成物の溶液を塗布する方法としては、公知の溶液浸漬法、スプレー法の他、ローラーコーター機、ランドコーター機、スリットコーター機やスピナー機を用いる方法等の何れの方法をも採用することができる。これらの方法によって、所望の厚さに塗布した後、溶剤を除去する(プリベーク)ことにより、被膜が形成される。プリベークはオーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。プリベークにおける加熱温度及び加熱時間は使用する溶剤に応じて適宜選択され、例えば60~110℃の温度で1~3分間行われる。
【0075】
プリベーク後に行われる露光は、紫外線露光装置によって行なわれ、フォトマスクを介して露光することによりパターンに対応した部分のレジストのみを感光させる。露光装置及びその露光照射条件は適宜選択され、超高圧水銀灯、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、遠紫外線灯等の光源を用いて露光を行い、塗膜中の感光性樹脂組成物を光硬化させる。露光量については、前記した用途等に応じた硬化膜として形成できる条件であればよく、感光性樹脂組成物の組成などに応じて適宜調整することができる。例えば、5mJ/cm2以上を照射とすることが好ましい。
【0076】
露光後のアルカリ現像は、露光されない部分のレジストを除去する目的で行われ、この現像によって所望のパターンが形成される。このアルカリ現像に適した現像液としては、例えばアルカリ金属やアルカリ土類金属の炭酸塩の水溶液、アルカリ金属の水酸化物の水溶液等を挙げることができるが、特に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等の炭酸塩を0.05~3質量%含有する弱アルカリ性水溶液を用いて23~28℃の温度で現像するのがよく、市販の現像機や超音波洗浄機等を用いて微細な画像を精密に形成することができる。
【0077】
現像後、ポストベークが行われる。このポストベークは、パターニングされた硬化膜と基板との密着性を高めるため等の目的で行われる。これはプリベークと同様に、オーブン、ホットプレート等により加熱することによって行われる。
【0078】
ポストベークの条件は、制限されないが、使用される前記透明基板の耐熱性や感光性樹脂組成物の組成等に応じて適宜調整することができる。前述のとおり、感光性樹脂組成物の配合成分、例えば、前記(C)成分の含有量等に応じて、ポストベークの温度が調整されてもよい。ポストベークの温度は、好ましくは120~250℃、より好ましくは140℃~240℃、さらに好ましくは150~230℃で加熱されればよく、硬化膜の単位OD範囲に応じた前述の好適な温度範囲を採用することができる。加熱時間も制限されないが、通常、膜厚が1μmあたり20~60分の条件で行うことができる。
【0079】
本発明のパターニングされた硬化膜は、以上のフォトリソグラフィー法による各工程を経て形成される。そして、得られた硬化膜を用いて所望のマトリクスパターンを得ることができる。
【0080】
本発明の感光性樹脂組成物は、前記のように、露光、アルカリ現像等の操作によって微細なパターンを形成するのに適している。また、本発明の硬化膜(遮光膜)は、カラーフィルターやタッチパネルに用いるブラックマトリクス、あるいは、有機EL素子に代表される電界発光装置、カラー液晶表示装置やイメージセンサー等の各種の多色表示体における各色分画用または遮光用の隔壁材や画素定義層、さらにはディスプレイの表示部分を囲むベゼル等のディスプレイ構成要素に使用することが可能である。
【実施例0081】
以下、実施例および比較例に基づいて、本発明の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0082】
先ず、本発明の(A)成分に相当する、不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂の合成例を示す。合成例における樹脂の評価は、以下のとおりに行った。
【0083】
[固形分濃度]
合成例中で得られた樹脂溶液1gをガラスフィルター〔重量:W0(g)〕に含浸させた後の重量〔W1(g)〕と、160℃にて2時間加熱した後の重量〔W2(g)〕から次式より求めた。
固形分濃度(重量%)=100×(W2-W0)/(W1-W0)
【0084】
[酸価]
樹脂溶液をジオキサンに溶解させ、電位差滴定装置「COM-1600」(平沼産業株式会社製)を用いて1/10N-KOH水溶液で滴定して求めた。
【0085】
[分子量]
ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC-8220GPC」(東ソー株式会社製、溶媒:テトラヒドロフラン、カラム:TSKgelSuper H-2000(2本)+TSKgelSuper H-3000(1本)+TSKgelSuper H-4000(1本)+TSKgelSuper H-5000(1本)(東ソー株式会社製)、温度:40℃、速度:0.6ml/min)にて測定し、標準ポリスチレン(東ソー株式会社製、PS-オリゴマーキット)換算値として重量平均分子量(Mw)を求めた。
【0086】
合成例で使用する略号は次のとおりである。
BPFE :ビスフェノールフルオレン型エポキシ化合物(9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンとクロロメチルオキシランとの反応物。一般式(I)の化合物において、Aがフルオレン-9,9-ジイル基、R1~R4が水素の化合物。)
AA :アクリル酸
BPDA :3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
THPA :テトラヒドロ無水フタル酸
TPP :トリフェニルホスフィン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
【0087】
[合成例1]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にBPFE(50.0g、0.10モル)、AA(14.1g、0.20モル)、PGMEA(67g)およびTPP(0.26g)を仕込み、100~105℃で12時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA(14.4g、0.05モル)、THPA(7.4g、0.05モル)を仕込み、120~125℃で6時間撹拌し、不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂(A-1)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は56質量%、酸価(固形分換算)は96mgKOH/g、GPC分析によるMwは3600であった。
【0088】
[合成例2]
還留冷却器付き500ml四つ口フラスコ中にBPFE(50.0g、0.1モル)、AA(14.1g、0.20モル)、PGMEA(67g)およびTPP(0.26g)を仕込み、100~105℃で12時間撹拌して反応させた。次いで、フラスコ内にBPDA(20.9g、0.07モル)、THPA(0.23g、0.015モル)を仕込み、120~125℃で6時間撹拌し、不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂(A-2)を得た。得られた樹脂溶液の固形分濃度は56質量%、酸価(固形分換算)は102mgKOH/g、GPC分析によるMwは7000であった。
【0089】
[調製例1]
カーボンブラック(TPX-1099:cabot社製)1000gを水と混合してスラリー10Lを調製し、95℃で1時間撹拌させ放冷した後水洗した。これを再び水と混合処理してスラリー10Lを調製し、70%の硝酸42.9gを添加して40℃で4時間撹拌した。これを放冷して水洗した後再び水と混合してスラリー10Lを調製し、13%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液769.2gを添加して40℃で6時間撹拌した。これを放冷して水洗した後再び水と混合してスラリー10Lを調製し、純度38.4%の染料(Direct Deep BLACK)38.1gを添加して40℃で1時間撹拌し、その後更に硫酸アルミニウム10.1gを添加して40℃で1時間撹拌した。これを放冷した後水洗し、ろ過乾燥させて、染料被覆カーボンブラックを得た。
【0090】
上記染料被覆カーボンブラックと、高分子分散剤と、上記合成例1で得られたアルカリ可溶性樹脂(下記(A)-1)と、PGMEAとを混合し、ビーズミルで分散して、染料被覆カーボンブラックの濃度が25.0質量%、高分子分散剤の濃度が2.0質量%、(A)-1の濃度(固形分)が8.0質量%のカーボンブラック分散液(C-3)を得た。
【0091】
(不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂)
(A)-1成分:上記合成例1で得られた不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液
(A)-2成分:上記合成例2で得られた不飽和基含有アルカリ可溶性樹脂溶液
【0092】
(光重合性化合物)
(B):ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートとの混合物(日本化薬株式会社製、商品名DPHA)
【0093】
(黒色着色剤)
(C)-1:チタンブラック(TiN)濃度15.0質量%、分散剤濃度4.0質量%のPGMEA分散液(固形分18.96%、チタンブラックの平均二次粒子径64nm)
(C)-2:カーボンブラック(CB)濃度15.0質量%、分散剤濃度4.0質量%のPGMEA分散液(固形分19.0%、カーボンブラックの平均二次粒子径112nm)
(C)-3:調製例1で得られた染料被覆カーボンブラック濃度25.0質量%、高分子分散剤濃度2.0質量%、(A)-1の濃度(固形分)が8.0質量%のPGMEA分散液(固形分35.0質量%、カーボンブラックの平均二次粒子径110nm)
【0094】
(溶剤)
(D)-1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(D)-2:ジエチレングリコールジメチルエーテル
(D)-3:ジエチレングリコールジエチルエーテル
(D)-4:シクロヘキサノン
(D)-5:3-エトキシプロピオン酸エチル
【0095】
(光重合開始剤)
(E)-1:オキシムエステル系光重合開始剤〔BASFジャパン(株)製 OXE-02〕
(E)-2:オキシムエステル系光重合開始剤〔(株)ADEKA製 NCI-831E〕
【0096】
(シランカップリング剤)
(F)-1:KBE-9007〔信越化学工業(株)製)
(F)-2:KBE-585〔信越化学工業(株)製)
【0097】
(界面活性剤)
(G):SH3775M〔ダウ・ケミカル(株)製〕
【0098】
(エポキシ化合物)
(H):2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物(ダイセル社製「EHPE3150」、エポキシ当量180)
【0099】
[感光性樹脂組成物1の調製]
前記配合成分を表1に示す割合で配合して、実施例1-1~1-8および比較例1-1~1-2の感光性樹脂組成物を調製した。なお、表1中の数値は、溶剤を除きすべて質量部(固形分)を表す。
【0100】
【0101】
[感光性樹脂組成物1を用いたポストベーク温度230℃での評価]
実施例1-1~1-8および比較例1-1~1-2の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表2に示す。
【0102】
(膜厚1μm当たりの光学濃度(単位OD)測定用の硬化膜の作製)
表1に示した各感光性樹脂組成物を125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、本硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークした。その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。次に、得られた硬化膜の光学濃度を透過濃度計(X-rite社製「X-rite 361T(V)」)を用いて測定し、単位膜厚当たりの光学濃度(単位OD)で評価した。
【0103】
(膜厚の測定)
段差計(KLA-Tencor社製「テンコールP-17」)を用い、測定範囲500μm、走査速度50μm/秒、サンプリングレート20Hzの条件で、ガラス基板表面と硬化膜表面との段差を測定し、その平均値を硬化膜の平均厚さとした。
【0104】
(現像特性評価用の硬化膜の作製)
表1に示した各感光性樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、ポストベーク後の膜厚1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で2分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで露光ギャップ100μmに調整し、上記硬化膜(塗膜)上にネガ型フォトマスクを被せ、i線照度25mW/cm2の超高圧水銀ランプで50mJ/cm2の紫外線を照射して、感光部分の光硬化反応を行った。
【0105】
次に、この露光後のガラス基板を0.05%水酸化カリウム水溶液を用いて、23℃、0.1MPaの圧力で、パターンが現れ始める現像溶解時間(ブレイクタイム=BT)から20秒および30秒の現像処理を行い、塗膜の未露光部を除去した。その後、熱風乾燥機を用いて230℃で30分間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。
【0106】
<現像特性評価>
〔現像溶解性〕
(評価方法)
スプレー現像によるアルカリ現像を行った際の現像溶解時間で判断した。現像溶解時間が短い場合現像マージンが狭くなり、パターンの欠落が生じやすくなる。現像溶解時間が長い場合現像時間が長くなるため、膜減りが生じやすくなる。そのため現像溶解性の判断基準を以下のように設定した。
【0107】
(判断基準)
◎:現像溶解時間が20秒以上30秒未満。
〇:現像溶解時間が30秒以上40秒未満。
△:現像溶解時間が20秒未満、または40秒以上。
【0108】
〔パターン現像性〕
(評価方法)
ポストベーク後のパターン現像性評価として、デジタルマイクロスコープ(VHX-5000:(株)KEYENCE製)を用いて、フリンジの有無による直線性、およびパターン密着性を評価した。パターン密着性の評価は現像後の残存パターンの内最も小さいマスク開口の値で評価を行った。パターン現像性の判断基準を以下のように設定した。
【0109】
(評価基準)
◎:フリンジ無しで、パターン密着性(マスク開口値)が4μm未満。
〇:フリンジ無しで、パターン密着性(マスク開口値)が4μm以上7μm未満。
△:フリンジ有りで、パターン密着性(マスク開口値)が7μm以上。
【0110】
<膜表面反射率>
現像特性評価時と同じ条件にて現像、硬化した硬化膜付き基板に対して、紫外可視赤外分光硬度「UH4150」((株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて、C光源、入射角2°、波長範囲380~780nmの条件で硬化膜側の表面反射率を測定した。測定した表面反射率と、表面反射率/単位ODの計算値を表2に示す。
【0111】
<体積抵抗率>
(体積抵抗率測定用の硬化膜の作製)
表1に示した各感光性樹脂組成物を、Cr蒸着された厚さ1.2mmのガラス基板上にスピンコーターを用いて、本硬化後の膜厚が3.5μmとなるように塗布し、90℃で2分間プリベークした。その後熱風乾燥機を用いて230℃、3時間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。その後硬化膜上にアルミニウム電極を形成して体積抵抗率測定用基板を作製した。次にエレクトロメーター(ケースレー社製、「6517A型」)を用いて、印加電圧1V、10V、20V、30Vにおける体積抵抗率を測定した。1Vステップで各印加電圧で60秒ずつ電圧保持する条件で測定し、10V印加時の体積抵抗率を表2に示した。
【0112】
(体積抵抗率/単位OD)
上記で得られた体積抵抗率を単位ODで除した値で評価し表2に示した。体積抵抗率/単位ODの判断基準を以下のように設定した。
【0113】
(判断基準)
◎:体積抵抗率/単位ODが1.0×1014以上。
〇:体積抵抗率/単位ODが5.0×1013以上1.0×1014未満。
△:体積抵抗率/単位ODが5.0×1013未満。
【0114】
<比誘電率>
上記で得られた各感光性樹脂組成物を、Cr蒸着された厚さ1.2mmのガラス基板上にスピンコーターを用いて、本硬化後の膜厚が3.5μmとなるように塗布し、90℃で2分間プリベークした。その後熱風乾燥機を用いて230℃、3時間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。その後、硬化膜上にアルミニウム電極を形成して誘電率測定用基板を作製した。次にエレクトロメーター(ケースレー社製、「6517A型
」)を用いて、周波数1Hzから100000Hzにおける電気容量を測定し、電気容量から誘電率を算出し、比誘電率を算出した。算出した比誘電率、および比誘電率/単位ODの計算値を表2に示した。
【0115】
【0116】
実施例1-1~1-8の感光性樹脂組成物1は、カーボンブラックのみを用いた系(比較例1-1~1-2)よりも体積抵抗率、比誘電率および反射率が良好であることが確認された。また黒色着色剤の配合量を増やした場合、カーボンブラックでは達成できない高い単位OD領域でも高体積抵抗率、低反射率を維持できることが確認された。それにより、所定の範囲の比誘電率/単位OD、表面反射率/単位OD、体積抵抗率/単位ODの値を有することが確認された。
【0117】
[感光性樹脂組成物2の調製]
前記配合成分を表3に示す割合で配合して、実施例2-1~2-6および比較例2-1の感光性樹脂組成物を調製した。なお、表3中の数値は、溶剤を除きすべて質量部(固形分)を表す。
【0118】
【0119】
[感光性樹脂組成物2を用いたポストベーク温度150℃及び230℃での評価]
実施例2-1~2-6および比較例2-1の感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化膜を用いて、以下の評価を行った。評価結果を表4に示す。
【0120】
(膜厚1μm当たりの光学濃度(単位OD)測定用の硬化膜の作製)
表3に示した感光性樹脂組成物を125mm×125mmのガラス基板「#1737」(コーニング社製)(以下「ガラス基板」という)上に、本硬化後の膜厚が1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間プリベークした。その後、熱風乾燥機を用いて150℃で30分間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。次に、得られた硬化膜の光学濃度を透過濃度計(X-rite社製「X-rite 361T(V)」)を用いて測定し、単位膜厚当たりの光学濃度(単位OD)で評価した。
【0121】
(膜厚の測定)
段差計(KLA-Tencor社製「テンコールP-17」)を用い、測定範囲500μm、走査速度50μm/秒、サンプリングレート20Hzの条件で、ガラス基板表面と硬化膜表面との段差を測定し、その平均値を硬化膜の平均厚さとした。
【0122】
(現像特性評価用の硬化膜の作製)
上記表3で得られた各感光性樹脂組成物を、125mm×125mmのガラス基板上に、本硬化後の膜厚1.0μmとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、ホットプレートを用いて90℃で1分間プリベークをして硬化膜(塗膜)を作製した。次いで上記硬化膜(塗膜)上にネガ型フォトマスクを被せ、i線照度25mW/cm2の超高圧水銀ランプで100mJ/cm2の紫外線を照射して、感光部分の光硬化反応を行った。
【0123】
次に、この露光後のガラス基板を5.0%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、26℃、0.1MPaの圧力で、パターンが現れ始める現像時間(ブレイクタイム=BT)から10秒の現像処理を行い、塗膜の未露光部を除去した。その後、熱風乾燥機を用いて150℃で30分間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。
【0124】
<現像特性評価>
〔現像溶解性〕
(評価方法)
感光性樹脂組成物1を用いた場合と同様の方法、判断基準で評価した。
【0125】
〔パターン現像性〕
(評価方法)
感光性樹脂組成物1を用いた場合と同様の方法、判断基準で評価した。
【0126】
〔硬化性〕
現像性評価用と同様にして作成した硬化膜付き基板をPGMEAに100秒浸漬前後の膜厚の変化率(残膜率)と浸漬後の膜表面状態から評価した。硬化性の判断基準を以下のように設定した。
【0127】
(判断基準)
◎:残膜率が80%以上で、膜表面に荒れ無し。
〇:残膜率が80%以上で、膜表面に荒れ有り。
△:残膜率が80%未満で、膜表面に荒れ有り。
【0128】
<比誘電率>
上記表3で得られた各感光性樹脂組成物をCr装着された厚さ1.2mmのガラス基板上にスピンコーターを用いて、本硬化後の膜厚が3.5μmとなるように塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後、熱風乾燥機を用いて150℃、30分間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。その後、硬化膜上にアルミニウム電極を形成して誘電率測定用基板を作製した。次にエレクトロメーター(ケースレー社製、「6517A型」)を用いて、周波数1Hzから100000Hzにおける電気容量を測定し、電気容量から誘電率を算出し比誘電率を算出した。算出した比誘電率、および比誘電率/単位ODの計算値を表4に示した。
【0129】
<膜表面反射率>
現像特性評価時と同じ条件にて現像、硬化した硬化膜付き基板に対して、紫外可視赤外分光硬度「UH4150」((株)日立ハイテクサイエンス製)を用いて、C光源、入射角2°、波長範囲380~780nmの条件で硬化膜側の表面反射率を測定した。測定した表面反射率と、表面反射率/単位ODの計算値を表4に示す。
【0130】
<体積抵抗率>
(体積抵抗率測定用の硬化膜の作製)
表3に示した各感光性樹脂組成物を、Cr蒸着された厚さ1.2mmのガラス基板上にスピンコーターを用いて、本硬化後の膜厚が3.5μmとなるように塗布し、90℃で1分間プリベークした。その後熱風乾燥機を用いて150℃、30分間ポストベークを行い、感光性樹脂組成物の硬化膜を得た。その後硬化膜上にアルミニウム電極を形成して体積抵抗率測定用基板を作製した。次にエレクトロメーター(ケースレー社製、「6517A型」)を用いて、印加電圧1V、10V、20V、30Vにおける体積抵抗率を測定した。1Vステップで各印加電圧で60秒ずつ電圧保持する条件で測定し、10V印加時の体積抵抗率を表4に示した。
【0131】
(体積抵抗率/単位OD)
上記で得られた体積抵抗率を単位ODで除した値で評価し表4に示した。
【0132】
さらに、前記感光性樹脂組成物2を用いた評価に加えて、ポストベークの条件のみを230℃、3時間に変更して別途同じように評価した場合の結果を表5に示した(実施例3-1~3-6、比較例3-1)。
【0133】
【0134】
【0135】
実施例2-1~2-6の感光性樹脂組成物2は、カーボンブラックのみを用いた系(比較例2-1)と比較して、体積抵抗率、比誘電率および反射率が良好であることが確認され、180℃未満の温度での本硬化でも前記の諸特性、耐薬品性に優れ、硬化性に問題がないことが確認された。それにより、当該温度でも所定の範囲の比誘電率/単位OD、表面反射率/単位OD、体積抵抗率/単位ODの値を有することが確認された。
【0136】
さらに、感光性樹脂組成物2のポストベーク温度を230℃とした実施例3-1~3-6、比較例3-1の場合においても、同様の傾向がみられ、遮光成分が接近しやすくなる高温条件でも、チタンブラックはカーボンブラックよりも優れた絶縁性があることが確認された。