(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024092971
(43)【公開日】2024-07-08
(54)【発明の名称】光源ユニットおよび映像表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 27/01 20060101AFI20240701BHJP
G02B 26/08 20060101ALI20240701BHJP
B60K 35/23 20240101ALI20240701BHJP
【FI】
G02B27/01
G02B26/08 E
B60K35/23
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023204683
(22)【出願日】2023-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2022208937
(32)【優先日】2022-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】北原 和
(72)【発明者】
【氏名】中村 直記
(72)【発明者】
【氏名】有賀 貴紀
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
【テーマコード(参考)】
2H141
2H199
3D344
【Fターム(参考)】
2H141MA12
2H141MB24
2H141MB39
2H141MD12
2H141MD20
2H141ME09
2H141ME18
2H141MF12
2H141MF28
2H141MG04
2H141MZ13
2H199DA03
2H199DA12
2H199DA13
2H199DA15
2H199DA22
2H199DA29
2H199DA30
2H199DA34
2H199DA35
2H199DA42
3D344AA03
3D344AB01
3D344AC25
(57)【要約】
【課題】小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供する。
【解決手段】光源ユニットは、第1方向に沿って配列された複数の画素を含む画素列を有する表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射され、前記第1方向に沿って平行な軸を中心に可動であり、可動状態に応じた角度で光を出射する可動光学系と、前記可動光学系を介して光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が像を形成する結像光学系と、を備える。前記結像光学系は、前記像側において略テレセントリック性を有し、前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配列された複数の画素を含む画素列を有する表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射され、前記第1方向に沿って平行な軸を中心に可動であり、可動状態に応じた角度で光を出射する可動光学系と、前記可動光学系を介して光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が像を形成する結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、前記像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する、光源ユニット。
【請求項2】
前記可動光学系は、反射鏡を含む請求項1記載の光源ユニット。
【請求項3】
前記可動光学系は、ポリゴンミラーを含む請求項1記載の光源ユニット。
【請求項4】
前記可動光学系は、レンズを含む請求項1記載の光源ユニット。
【請求項5】
前記表示装置は、複数の前記画素列を含み、
前記複数の前記画素列は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列された請求項1記載の光源ユニット。
【請求項6】
前記複数の前記画素列は、
複数の第1画素を含む第1画素列と、
複数の第2画素を含み、前記第2方向で前記第1画素列の隣りに配置された第2画素列と、
を含み、
前記複数の第1画素における画素間の第1画素ピッチは、前記複数の第2画素における画素間の第2画素ピッチと等しく、
前記複数の第1画素のうちの一の前記第1画素の中心と、前記第1画素に隣り合って配置され、前記複数の第2画素のうちの一の第2画素の中心と、の間の前記第1方向に沿う長さは0よりも長い請求項5記載の光源ユニット。
【請求項7】
前記複数の前記画素列は、
第1色を発光する複数の第1画素を含む第1画素列と、
第2色を発光する複数の第2画素を含み、前記第2方向で前記第1画素列の隣りに配置された第2画素列と、
第3色を発光する複数の第3画素を含み、前記第2方向で前記第2画素列の隣りに配置された第3画素列と、
を含む請求項5記載の光源ユニット。
【請求項8】
前記表示装置から出射する光は、前記表示装置から出射する光の光軸に対して角度θの方向の光度が前記光軸上の光度のcosnθ倍で近似される配光パターンを有し、
前記nは0より大きい値である請求項1記載の光源ユニット。
【請求項9】
前記nは、11以下である、請求項8記載の光源ユニット。
【請求項10】
前記複数の画素は、複数のLED素子をそれぞれ含む請求項1記載の光源ユニット。
【請求項11】
前記複数のLED素子のそれぞれから出射する光は、略ランバーシアン配光を有する請求項10記載の光源ユニット。
【請求項12】
前記複数の画素のそれぞれは、前記複数のLED素子のそれぞれ上に配置された波長変換部材をさらに有する請求項10記載の光源ユニット。
【請求項13】
前記結像光学系は、
前記可動光学系を含む屈曲部と、
前記出力素子を含む方向変更部と、
をさらに有し、
前記屈曲部は、前記可動光学系から異なる角度で出射された光の主光線同士が、前記像の前後で略平行になるように前記主光線を屈曲し、
前記方向変更部は、前記屈曲部を経由した前記主光線が、前記像の形成位置に向かうように前記主光線の進行方向を変更する請求項1に記載の光源ユニット。
【請求項14】
前記表示装置と前記結像光学系との間に配置され、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の一部が通過する開口が設けられ、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の他の一部を遮断する遮光部材をさらに備える請求項1記載の光源ユニット。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1つに記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される映像表示装置。
【請求項16】
前記表示装置から前記反射ユニットに至るまでの光路のうち、前記可動光学系から異なる角度で出射され、前記像を通る光の主光線同士が略平行となる部分に配置され、前記表示装置から出射された光のうちの第1偏光を透過し、前記表示装置から出射された光のうちの第2偏光を前記表示装置に戻るように反射する反射型偏光素子をさらに備えた請求項15記載の映像表示装置。
【請求項17】
車両と、
前記車両に固定された請求項15記載の映像表示装置と、
を備えた自動車。
【請求項18】
車両と、
前記車両に固定された請求項16記載の映像表示装置と、
を備えた自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源ユニットおよび映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を表示可能な表示装置から出射した光を、複数のミラーで順次反射し、最後のミラーにおいて反射された光を、ウインドシールド等の反射部材で使用者に向けてさらに反射し、使用者に表示装置が表示する画像に応じた虚像を視認させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一実施形態は、小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態に係る光源ユニットは、第1方向に沿って配列された複数の画素を含む画素列を有する表示装置と、前記表示装置から出射した光が入射され、前記第1方向に沿って平行な軸を中心に可動であり、可動状態に応じた角度で光を出射する可動光学系と、前記可動光学系を介して光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が像を形成する結像光学系と、を備える。前記結像光学系は、前記像側において略テレセントリック性を有し、前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、小型であり、高品位な映像を表示できる光源ユニットおよび映像表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す模式的な断面図である。
【
図2】第1の実施形態に係る映像表示装置の可動光学系の動作を説明するための模式的なブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係る映像表示装置の可動光学系の動作を説明するための模式図である。
【
図4A】可動光学系の変形例を例示する模式的な斜視図である。
【
図4B】
図4Aの可動光学系の動作を説明するための模式図である。
【
図5A】第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
【
図6A】
図5BのVIA-VIA線における模式的な断面図である。
【
図6B】
図5Aに示す表示装置の変形例を例示する模式的な断面図である。
【
図7】第2の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す模式的な断面図である。
【
図8】
図7に示した光源ユニットの変形例を例示する模式図である。
【
図9A】第3の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式図である。
【
図9B】第3の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の変形例を例示する模式図である。
【
図10】第4の実施形態に係る光源ユニットを例示する模式的な側面図である。
【
図11】第5の実施形態に係る映像表示装置を搭載した車両を示す模式的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、各実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。さらに、本明細書と各図において、既出の図に関して説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す断面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る映像表示装置10は、光源ユニット11と、反射ユニット12と、を備える。なお、
図1では、光源ユニット11および反射ユニット12のそれぞれの構成をより明確に示すように、映像表示装置10の一部を拡大して示している。
図7に関連して後述する第2の実施形態に係る映像表示装置20および
図10に関連して後述する第3の実施形態に係る映像表示装置70Bの図示についても同様である。
【0010】
光源ユニット11は、第1の像(像)IM1を形成する。第1の像IM1は、
図2に関連して後述する表示コントローラ1410において設定される画像に応じた像である。反射ユニット12は、光源ユニット11から離隔して配置される。反射ユニット12は、光源ユニット11が出射した光を反射する位置に配置される。第1の像IM1は、光源ユニット11と反射ユニット12との間の形成位置Pに形成される。第1の像IM1は、中間像であり、実像である。表示コントローラ1410に設定された画像と第1の像IM1とは、概ね相似形状である。なお、図では説明をわかりやすくするために、第1の像IM1が形成される位置を円形のマークにより示している。また、像の形成位置Pとは、光源ユニット11から出射された光の主光線が略平行になる位置に、主光線に略直交するように平面状の投影面を配置し、像が形成された投影面の位置をいう。本実施形態の場合には、像の形成位置Pは、光源ユニット11と反射ユニット12との間の任意の位置である。
【0011】
映像表示装置10は、たとえば自動車等の車両13に搭載されて、HUD(Head Up Display)に適用される。具体的には、車両13の運転者等である使用者14は、フロントウインドシールド13aに対向する位置に着席等する。反射ユニット12が反射した光の大部分は、フロントウインドシールド13aの内面で反射し、使用者14のアイボックス14aに入射する。すなわち、車両13のフロントウインドシールド13aの内面が、反射面として機能する。フロントウインドシールド13aに代えて、使用者14と対向する面を有するコンバイナを反射面としてもよい。このようにして、使用者14は、光源ユニット11が形成する第1の像IM1に対応した第2の像IM2を視認できる。第2の像IM2は、第1の像IM1よりも大きい虚像である。表示コントローラ1410に設定された画像と第2の像IM2とは、概ね相似形状である。なお、図では、第2の像IM2が形成される位置を円形のマークにより示している。
【0012】
映像表示装置10の説明では、説明をわかりやすくするために、XYZ直交座標系を用いることがある。以下では、X軸が延びる方向を「X方向」といい、Y軸が延びる方向を「Y方向」といい、Z軸が延びる方向を「Z方向」という。本実施形態では、車両13の前後方向が「X方向」と一致し、車両13の左右方向が「Y方向」と一致し、車両13の上下方向が「Z方向」と一致する例を説明する。すなわち、以下の例では、XY平面は、車両13の水平面である。
【0013】
また、以下では、X方向のうち矢印の方向を「+X方向」といい、その逆方向を「-X方向」ともいう。また、Y方向のうち矢印の方向を「+Y方向」といい、その逆方向を「-Y方向」ともいう。また、Z方向のうち矢印の方向を「+Z方向」といい、その逆方向を「-Z方向」ともいう。また、+X方向に部材Aおよび部材Bが、この順で配置されている場合、「部材Bは部材Aよりも+X側に位置する」または「部材Aは部材Bよりも-X側に位置する」という。+Y方向および+Z方向についても同様である。後述する第2の実施形態に係る映像表示装置20および第4の実施形態に係る映像表示装置70Bの説明においてもXYZ直交座標系を用いて説明することがある。
【0014】
光源ユニット11について説明する。
光源ユニット11は、表示装置110と結像光学系120とを有する。表示装置110は、略ランバーシアン配光を有する光を結像光学系120に出射する。結像光学系120は、入射した光を第1の像IM1側で、略テレセントリック性を有する光を出射する。略ランバーシアン配光を有する光および略テレセントリック性を有する光については、後述する。
【0015】
表示装置110は、複数の画素110pを有する。複数の画素110pは、1つの方向に1列で配列されている。
図1の例では、画素110pは、Y軸方向に沿って配列されている。
【0016】
結像光学系120は、可動光学系140と、出力素子123と、を含む。可動光学系140は、
図1の例では、ガルバノミラーである。ガルバノミラーである可動光学系140は、少なくとも一方の面にミラー面(反射鏡)140aを有する。可動光学系140は、表示装置110の複数の画素110pと対向する位置に配置される。出力素子123は、可動光学系140から出射された光を反射する位置に配置される。出力素子123には、可動光学系140を介して光が入射する。出力素子123から出射した光は、第1の像IM1を形成する。
【0017】
表示装置110から出射された光は、可動光学系140のミラー面140aで反射され、出力素子123に出射される。出力素子123は、一方の面にミラー面123aを有する。可動光学系140から入射された光は、出力素子123のミラー面123aで反射され、反射ユニット12に出射される。
【0018】
可動光学系140は、軸141aを中心に可動する。
図1の例では、軸141aは、Y軸方向に沿って平行に配置されている。なお、Y軸方向は、
図5Aに関連して説明するように、α軸の方向に平行である。可動光学系140のミラー面140aは、可動光学系140の可動状態に応じた角度で、表示装置110の画素110pが出射した光を入射し反射する。
【0019】
図1では、図示が煩雑にならないように、1つの画素110pが出射し、各光学系が反射し、透過する光の主光線La~Lcを表示している。表示装置110の画素110pは、時間の経過に応じた光を順次発する。表示装置110は、時間の経過に応じて光を出射し、たとえば一定の周期で光を出射する。
図1では、一定の周期で順次出射された光に対応した主光線La、Lb、Lcが示されている。
【0020】
可動光学系140は、時間の経過に応じて可動する。具体的には、たとえば可動光学系140は、軸141aのまわりを定速で回転する。そのため、可動光学系140は、時刻に応じた角度で光を入射し、反射する。つまり、可動光学系140は、表示装置110が主光線Laに対応する光を出射した時刻では、そのときの角度で主光線Laに対応する光を入射し、反射する。可動光学系140は、表示装置110が主光線Lbに対応する光を出射した時刻では、そのときの角度で主光線Lbに対応する光を入射し、反射する。可動光学系140は、表示装置110が主光線Lcに対応する光を出射した時刻では、そのときの角度で主光線Lcに対応する光を入射し、反射する。表示装置110が出射する光の周期および可動光学系140の回転速度を適切に設定することによって、表示装置110および可動光学系140は、1つの画像を形成するように、光を出力素子123に順次出射する。
【0021】
図1に示すように、結像光学系120が第1の像IM1側において、略テレセントリック性を有しており、可動光学系140は、主光線La~Lcが交差している位置に配置されている。つまり、可動光学系140は、第1の像IM1から見た場合に、結像光学系120の焦点Fの近傍に配置される。
【0022】
「結像光学系120が、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有する」とは、
図1に示すように、表示装置110において互いに異なる位置から出射して、結像光学系120を経由し、第1の像IM1に至る主光線La~Lcが、第1の像IM1の前後において、略平行であることを意味する。異なる位置とは、異なる時刻で表示装置110から出射された光を、可動光学系140がそれぞれの時刻における角度で出射した反射光の形成位置Pにおける位置である。「主光線La~Lcが略平行」とは、光源ユニット11の構成要素の製造精度や組み立て精度等による誤差を許容するような実用的な範囲で、概ね平行であることを意味する。「複数の主光線La~Lc同士が略平行」である場合、たとえば、主光線La~Lcの相互のなす角は、10°以下である。
【0023】
たとえば、光学シミュレーション等を用いることにより、結像光学系120が第1の像IM1側において略テレセントリック性を有するか否かおよび結像光学系120の焦点Fの位置を設計することが可能である。
【0024】
可動光学系140の動作について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の動作を説明するための模式的なブロック図である。
図2には、1列に配列された複数の画素を有する表示装置110から出射された光を、回転する可動光学系140に出射し、可動光学系140がその角度に応じて光を出射するための構成例が示されている。
【0025】
図2に示すように、表示制御システム1400は、表示コントローラ1410、走査回路1420、モータ1430、角度センサ1440およびドライバ1450を有する。表示コントローラ1410は、走査回路1420およびドライバ1450にそれぞれ電気的に接続される。走査回路1420は、モータ1430に電気的に接続される。角度センサ1440は、可動光学系140の軸141aの角度を検出するように設けられている。角度センサ1440は、走査回路1420に電気的に接続されている。
【0026】
ドライバ1450は、表示装置110に電気的に接続されている。ドライバ1450は、たとえば、表示装置110のm個の画素を駆動するように、複数の駆動信号Dr1~Drmを表示装置110に出力するように接続されている。
【0027】
表示コントローラ1410には、
図1に示した光源ユニット11が表示する画像に関するデータがあらかじめ設定される。表示コントローラ1410は、あらかじめ設定された画像に関するデータにもとづいて、走査信号および駆動信号を生成し、走査回路1420およびドライバ1450にそれぞれ出力する。
【0028】
走査回路1420は、走査信号にもとづいて、モータ1430を駆動するための駆動信号を生成し、モータ1430を駆動する。走査回路1420は、角度センサ1440から出力されたモータ1430の回転角度が、走査信号にもとづくモータ1430の設定角度に追従するようにモータ1430を制御する。これにより、可動光学系140の軸141aは走査信号にもとづく角度に設定される。
【0029】
ドライバ1450は、たとえば、表示コントローラ1410から出力された駆動信号を増幅して、駆動信号Dr1~Drmを出力する。表示装置110の各画素は、駆動信号Dr1~Drmにもとづいて、光L1~Lmをそれぞれ可動光学系140に出射する。
【0030】
可動光学系140は、軸141aの回転する角度に応じて、順次光を入射し、反射する。
図2では、反射する光は、時刻の経過、すなわち、軸141aおよび軸141aとともに回転する可動光学系140の角度が進むごとに、1個目の画素が出射する光L1の反射光La1~Lc1が示されている。同様にm個目の画素が出射するLmの反射光Lam~Lcmが示されている。
【0031】
図2では、角度センサ1440により、モータ1430を角度制御する例を示したが、走査回路にセンサレスによるモータ制御システムを採用したり、モータをステッピングモータとすることによって、角度センサを不要としてもよい。
【0032】
図3は、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の動作を説明するための模式図である。
図3は、可動光学系140の可動状態に応じた角度で反射された光が、表示コントローラに設定された画像を再現した像を形成することを説明するための模式図である。
図3は、動作原理を説明するための図であるため、可動光学系140は、側面図として示されており、反射光のみが示されている。可動光学系140は、紙面の奥行方向に軸141aおよびミラー面140aを有しており、ミラー面140aは、奥行方向に1列に配列されたm個の画素が出射する光を入射するものとする。像Imは、反射光との対応関係を示すため、像Imの正面図として示されている。
【0033】
図3に示すように、可動光学系140は、軸141aを中心に時計回りに回転する。実線で示した位置を初期位置とした場合には、角度φaは0°である。
図3には、時刻の経過とともに、増加した角度φb、φcに対応する可動光学系140を一点鎖線で示している。角度φb、φcは、角度φaを基準とする角度であり、φa<φb<φcとなる。
【0034】
角度φaのときの反射光La1~Lamは、m個の画素が出射する光にそれぞれ対応する。角度φbのときの反射光Lb1~Lbmは、m個の画素が出射する光にそれぞれ対応する。角度φcのときの反射光Lc1~Lcmは、m個の画素が出射する光にそれぞれ対応する。
【0035】
角度φaのときの反射光La1~Lamは、角度φaに対応する位置で像Imaを形成する。角度φbのときの反射光Lb1~Lbmは、角度φbに対応する位置で像Imbを形成する。角度φcのときの反射光Lc1~Lcmは、角度φcに対応する位置で像Imcを形成する。
【0036】
可動光学系140を回転させ、可動光学系140の角度に応じて可動光学系140が光を出射すると、可動光学系140の角度に応じた位置で像を形成する。つまり、可動光学系140の角度が像Imにおける走査位置に対応し、像Imは、走査位置に応じて形成される。
【0037】
画素の光を反射する可動光学系は、ガルバノミラーに限らず、他の反射型の光学素子としてもよい。ガルバノミラーに代えて、ポリゴンミラーを用いることもできる。
【0038】
図4Aは、可動光学系の変形例を例示する模式的な斜視図である。
図4Bは、
図4Aの可動光学系の動作を説明するための模式図である。
図4Aに示すように、可動光学系240は、ポリゴンミラーである。ポリゴンミラーである可動光学系240は、複数のミラー面240aと軸241aとを有する。
図4Aおよび
図4Bの例では、可動光学系240は、6つのミラー面240aを有する。可動光学系240は、正六角柱の形状を有し、正六角形の各面がミラー面240aとされている。可動光学系240は、軸241aを中心に回転することができ、
図2に示したモータによって可動される。
【0039】
図4Bでは、
図3示した場合と同様に、可動光学系240の可動状態に応じた角度で反射された光が、表示コントローラに設定された画像を再現した像を形成する原理を説明するための模式図である。可動光学系240は、側面図として示されており、反射光のみが示されている。可動光学系240は、紙面の奥行方向に軸241aおよびミラー面240aを有しており、ミラー面240aは、奥行方向に1列に配列されたm個の画素が出射する光を入射するものとする。像Imは、反射光との対応関係を示すため、像Imの正面図として示されている。また、ポリゴンミラーは、たとえば6つのミラー面を有するが、
図4Bでは、そのうちの1つのミラー面240aによる反射光を示している。
【0040】
図4Bに示すように、可動光学系240は、軸241aを中心に時計回りに回転する。実線で示した位置を初期位置とした場合には、角度φaは0°である。時刻の経過とともに、角度は増加し、φa<φcとなる。
【0041】
角度φaのときの反射光La1~Lamは、m個の画素が出射する光にそれぞれ対応する。角度φcのときの反射光Lc1~Lcmは、m個の画素が出射する光にそれぞれ対応する。
【0042】
角度φaのときの反射光La1~Lamは、角度φaに対応する位置で像Imaを形成する。角度φcのときの反射光Lc1~Lcmは、角度φcに対応する位置で像Imcを形成する。
【0043】
可動光学系240を回転させ、可動光学系240の角度に応じて可動光学系240が光を出射すると、像Imは、可動光学系240の角度に応じた位置で形成される。つまり、
図3に示した例と同様に、可動光学系240の角度が像Imにおける走査位置に対応し、像Imは、走査位置に応じて形成される。
【0044】
ポリゴンミラーとしての可動光学系240では、ミラー面240aの数は、
図4Aおよび
図4Bの場合の6つに限らず、4つでもよいし、5つでもよいし、8つ以上としてもよい。いずれの場合であっても、ポリゴンミラーの場合には、ガルバノミラーよりも可動光学系の1回転当たりのミラー面の数を多くすることができる。可動光学系の1回転当たりのミラー面を多くすることによって、より短い周期で異なる画像を表示することが可能になる。たとえば、第1の像IM1および第2の像IM2として動画を形成することも可能である。
【0045】
表示装置110について説明する。
図5Aは、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式的な平面図である。
図5Bは、
図5AのVB部の模式的な拡大図である。
図6Aは、
図5BのVIA-VIA線における模式的な断面図である。
図6Bは、
図5Aに示す表示装置の変形例を例示する模式的な断面図である。
表示装置110の構成および動作を説明する場合には、α軸、β軸およびγ軸からなる3次元の直交座標系を用いることがある。α軸およびβ軸を含むαβ平面は、
図6Aおよび
図6Bに関連して説明するLED素子112の基板111の第1面111-1に平行な平面であるものとする。画素列110prでは、複数の画素110pはα軸の方向(第1方向)に沿って配列されているものとする。γ軸は、基板111の第2面111-2から第1面111-1に向かう方向を正方向とする。第2面111-2は、第1面111-1の反対側の面である。
【0046】
α軸の正方向を「+α方向」といい、α軸の負方向を「-α方向」というものとする。β軸の正方向を「+β方向」といい、β軸の負方向を「-β方向」というものとする。γ軸の正方向を「+γ方向」といい、γ軸の負方向を「-γ方向」というものとする。なお、αβ平面に平行な平面に向かって、+γ方向または-γ方向から見る場合を単に平面視ということがある。
【0047】
図5Aに示すように、表示装置110は、複数の画素110pを含む画素列110prを有する。複数の画素110pは、α方向に沿って配列されている。画素110pは、m個、α方向に沿って配列されており、mは2以上の整数である。
【0048】
図5Bに示すように、表示装置110は、たとえば、基板111と、複数のLED素子112と、m本の駆動線117と、接地線119aと、を含む。
【0049】
基板111は、たとえばα方向に長辺を有する矩形の平板形状を有する。基板111には、たとえばガラスまたはポリイミド等の樹脂を用いることができ、Si等n半導体材料を用いてもよい。複数のLED素子112は、
図5Bに示すように基板111上にα方向に沿って1列に配列されている。
【0050】
図6Aに示すように、各LED素子112は、たとえば、基板111にフェースダウン実装される。各LED素子112は、基板111にフェースアップ実装されてもよい。各LED素子112は、半導体積層体112aと、アノード電極112bと、カソード電極112cと、を有する。
【0051】
半導体積層体112aは、p型半導体層112p1と、p型半導体層112p1上に配置される活性層112p2と、活性層112p2上に配置されるn型半導体層112p3と、を有する。半導体積層体112aには、たとえばInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)で表す窒化ガリウム系化合物半導体が用いられる。LED素子112が発光する光は、本実施形態では可視光である。
【0052】
アノード電極112bは、p型半導体層112p1に電気的に接続される。また、アノード電極112bは、駆動線117に電気的に接続される。駆動線117は、
図2に示したドライバ1450に電気的に接続される。カソード電極112cは、n型半導体層112p3に電気的に接続される。また、カソード電極112cは、接地線119aに電気的に接続される。アノード電極112bおよびカソード電極112cには、たとえば金属材料を用いることができる。
【0053】
本実施形態では各LED素子112の光出射面112sには、複数の凹部112tが設けられている。本明細書において「LED素子の光出射面」とは、LED素子の表面のうち、結像光学系120に入射する光が主に出射する面を意味する。本実施形態では、n型半導体層112p3において、活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面が、光出射面112sに相当する。
【0054】
n型半導体層112p3において、活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面に複数の凹部112tを設ける方法としては、たとえば、成長基板の上面に複数の凸部を形成し、その上にn型半導体層112p3、活性層112p2、およびp型半導体層112p1をこの順で成長させ、LLO(Laser Lift OFF)等により、n型半導体層112p3とこの成長基板とを剥離する方法や、n型半導体層112p3の表面を成長基板の剥離後に複数の凹部112tが形成されるように粗面加工する方法等が挙げられる。粗面加工の方法としては異方性エッチング等が用いられる。
【0055】
以下、各画素110pから出射する光の光軸を、単に「光軸C」という。光軸Cは、たとえば、
図6Aに示すように、αβ平面に平行であり、かつ、表示装置110の光出射側に位置する第1平面P1において、1つの画素110pからの光が照射される範囲のうち、輝度が最大となる点a1と、αβ平面に平行であり、第1平面P1から+γ方向に離隔した第2平面P2において、この画素110pからの光が照射される範囲のうち、輝度が最大となる点a2と、を結ぶ直線である。輝度が最大となる点が複数存在する場合、たとえば、それらの点の中心点を、輝度が最大となる点としてもよい。なお、生産的な観点からは、光軸Cはγ軸と平行であることが望ましい。
【0056】
このように、各LED素子112の光出射面112sに複数の凹部112tが設けられていることにより、各LED素子112から出射する光、すなわち各画素110pから出射する光は、
図6Aに破線の曲線で示すように、略ランバーシアン配光を有する。「各画素から出射された光が略ランバーシアン配光を有する」とは、各画素110pの光軸Cに対して角度θの方向の光度が、nを0より大きい値として、光軸C上の光度のcos
nθ倍で近似できる配光パターンであることを意味する。ここで、nは、11以下であることが好ましく、1であることがより一層好ましい。なお、1つの画素110pから出射する光の光軸Cを含む平面は多数存在するが、各平面内においてこの画素110pから出射する光の配光パターンは、略ランバーシアン配光であり、また、nの数値も概ね等しい。
【0057】
ただし、各LED素子の構成は、上記に限定されない。たとえば、各LED素子の光出射面には複数の凹部ではなく複数の凸部が設けられていてもよいし、複数の凹部および複数の凸部の両方が設けられていてもよい。また、成長基板が透光性を有する場合、半導体積層体から成長基板を剥離させず、光出射面に相当する成長基板の表面に複数の凹部および/または複数の凸部を設けてもよい。これらの形態においても、各LED素子から出射する光は、略ランバーシアン配光を有する。また、各LED素子において基板と対向するようにn型半導体層を設け、その上に活性層およびp型半導体層をこの順で積層し、p型半導体層において活性層と対向する面の反対側の面を、各LED素子の光出射面としてもよい。また、後述する他の実施形態で説明するように、各LED素子から出射する光が略ランバーシアン配光を有さなくても、各画素から最終的に出射する光が略ランバーシアン配光を有すればよい。
【0058】
図2で示したドライバ1450は、複数の駆動線117を介して、複数のLED素子112に電流をそれぞれ出力する。ドライバ1450は、電流を供給するLED素子112ごとに電流値を設定することによって、LED素子112は、電流値に応じた明るさで発光する。なお、
図5Aに示した例では、ドライバは、表示装置110とは別に設けられるものとしたが、たとえば低温ポリシリコン(LTPS:Low Temperature Polycrystalline Silicon)プロセスを用いることによって、基板111上に形成されてもよい。
【0059】
図6Bは、第1の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の変形例を示す断面図である。
本変形例では、表示装置710の画素710pは、LED素子712を有する。LED素子712は、半導体積層体712aを含み、半導体積層体712aは、n型半導体層712p3を含む。LED素子712では、n型半導体層712p3において活性層112p2と対向する面の反対側に位置する面が概ね平坦であり、保護層714、波長変換部材715およびカラーフィルタ716をさらに有する点で、
図6Aに示した例と相違する。
【0060】
保護層714は、行列状に配列された複数のLED素子712を覆っている。保護層714には、たとえば、硫黄(S)含有置換基もしくはリン(P)原子含有基を有する高分子材料、または、ポリイミド等の高分子マトリックスに高屈折率の無機ナノ粒子を導入した高屈折率ナノコンポジット材料等の透光性材料を用いることができる。
【0061】
波長変換部材715は、保護層714上に配置される。つまり、波長変換部材715は、複数のLED素子712のそれぞれ上に配置される。波長変換部材715は、一般的な蛍光体材料、ペロブスカイト蛍光体材料、または量子ドット(Quantum Dot:QD)等の波長変換材料を1種以上含む。各LED素子712から出射した光は、波長変換部材715に入射する。波長変換部材715に含まれる波長変換材料は、各LED素子712から出射した光が入射することにより、各LED素子712の発光ピーク波長と異なる発光ピーク波長の光を発する。波長変換部材715が発する光は、略ランバーシアン配光を有する。
【0062】
カラーフィルタ716は、波長変換部材715上に配置される。カラーフィルタ716は、LED素子712から出射した光の大部分を遮断可能である。これにより、各画素710pからは、主に波長変換部材715が発する光が出射する。そのため、各画素710pから出射する光は、
図6Bに破線の曲線で示すように、略ランバーシアン配光を有する。なお、LED素子712から出射する光の大部分が波長変換部材715に吸収される場合は、カラーフィルタを設けなくてもよい。このように、LED素子の光出射面に複数の凹部または凸部を設けなくても、各画素から出射する光がランバーシアン配光を有するように構成できる。
【0063】
本実施形態においては、LED素子712の発光ピーク波長は、紫外光の領域であってもよいし、可視光の領域であってもよい。なお、少なくとも1つの画素710pから青色光を出射させたい場合、たとえば、この画素710pのLED素子712から青色光を出射させ、この画素710pには、波長変換部材715およびカラーフィルタ716を設けなくともよい。この場合、このLED素子712を覆うように光散乱パーティクルを含む光散乱部材を設けることで、この画素710pから出射する光が略ランバーシアン配光を有するように構成してもよい。
【0064】
光源ユニット11や映像表示装置10には、いずれの表示装置110、710を用いてもよい。以下では、特に断らない限り、画素110pを有する表示装置110であるものとして説明する。
【0065】
LED素子は、別途製造されたものを基板に実装するのではなく、基板にシリコン(Si)等の半導体材料を用い、LED素子を基板上に形成してもよい。また、表示装置は、LEDディスプレイに限るものではなく、出射する光が略ランバーシアン配光を有する他のディスプレイでもよい。
【0066】
図1に戻って、光源ユニット11の構成について説明を続ける。
光源ユニット11における結像光学系120は、第1の像IM1を所定の位置に結像させるのに必要なすべての光学素子を含む光学系である。本実施形態では、結像光学系120は、可動光学系140と出力素子123との間に配置される中間素子122をさらに有する。なお、結像光学系に中間素子は設けられていなくてもよい。出力素子123から出射した光は、
図1に示すように形成位置Pに第1の像IM1を形成する。
【0067】
中間素子122は、表示装置110および可動光学系140よりも-X側に位置する。中間素子122は、可動光学系140のミラー面140aと対向するように配置される。中間素子122は、凹面状のミラー面122aを有するミラーである。中間素子122は、可動光学系140が反射した光をさらに反射する。
【0068】
中間素子122は、可動光学系140の角度に応じて出射された光の主光線La~Lcが略平行になるように、主光線La~Lcを屈曲させる屈曲部120aを構成する。ミラー面122aは、本実施形態では、バイコーニック面である。ミラー面は、球面の一部であってもよいし、自由曲面であってもよい。
【0069】
出力素子123は、表示装置110および可動光学系140よりも+X側に位置する。出力素子123は、中間素子122と対向するように配置される。出力素子123は、平坦なミラー面123aを有するミラーである。出力素子123は、可動光学系140および中間素子122を経由した光を反射して、第1の像IM1の形成位置Pに向けて出射する。
【0070】
具体的には、出力素子123には、屈曲部120aによって略平行となった主光線La~Lcが入射する。ミラー面123aは、-Z方向に向かうほど+X方向に向かうように、車両13の水平面であるXY平面に対して傾斜している。これにより、出力素子123は、中間素子122が反射した光を、-Z方向に向かうほど+X方向に向かうようにZ方向に対して傾斜した方向に反射する。
図1に示すように、出力素子123は、屈曲部120aによって略平行となった主光線La~Lcが、第1の像IM1の形成位置Pに向かうように、主光線La~Lcの方向を変更する方向変更部120bを構成する。
【0071】
本実施形態では、可動光学系140と中間素子122との間の光路は、XY平面と交差する方向に延びる。また、中間素子122と出力素子123との間の光路は、XY平面に沿った方向に延びる。結像光学系120内の光路の一部が、XY平面と交差する方向に延びるため、光源ユニット11をXY平面に沿う方向にある程度小型化できる。また、結像光学系120内の光路の他の一部が、XY平面に沿う方向に延びるため、光源ユニット11をZ方向にある程度小型化できる。
【0072】
図1の例のように、表示装置110および可動光学系140は、中間素子122と出力素子123との間に配置することができる。そのため、光源ユニット11を小型化できる。なお、光源ユニット内の光路は、上記に限定されない。たとえば、結像光学系内のすべての光路が、XY平面に沿う方向に延びてもよいし、XY平面と交差する方向に延びてもよい。
【0073】
中間素子122および出力素子123は、それぞれ、ガラスまたは樹脂材料等からなる本体部材と、本体部材の表面に設けられてミラー面122a、123aを構成する金属膜や誘電体多層膜等の反射膜と、により構成されていてもよい。また、中間素子122、および出力素子123は、それぞれ、全体が金属材料により構成されていてもよい。
【0074】
光源ユニット11は、本実施形態では
図1に示すように、車両13の天井部13bに設けられる。光源ユニット11は、たとえば、天井部13bにおいて車内に露出する壁13s1の内側に配置される。壁13s1には、光源ユニット11の出力素子123から出射した光が通過可能な貫通穴13h1が設けられている。出力素子123から出射した光は、貫通穴13h1を通過し、使用者14とフロントウインドシールド13aとの間の空間に照射される。光源ユニットは、天井面に取り付けられていてもよい。貫通穴13h1には、透明あるいは半透明のカバーが設けられていてもよい。貫通穴13h1のカバーのヘイズ(Haze)値は、50%以下であることが好ましく、20%以下であることがより一層好ましい。
【0075】
以上、結像光学系120について説明したが、結合光学系の構成および位置は、第1の像側において略テレセントリック性を有する限り、上記に限定されない。たとえば、方向変更部を構成する光学素子の数は、2以上であってもよい。
【0076】
次に、反射ユニット12について説明する。
反射ユニット12は、本実施形態では、凹面状のミラー面131aを有するミラー131を含む。ミラー面131aは、本実施形態では、バイコーニック面である。ミラー面は、バイコーニック面に限らず、球面の一部であってもよいし、自由曲面であってもよい。ミラー131は、
図1に示すようにフロントウインドシールド13aと対向するように配置される。ミラー131は、出力素子123から出射した光を反射してフロントウインドシールド13aに出射する。フロントウインドシールド13aに向けて出射された光は、フロントウインドシールド13aの内面で反射され、使用者14のアイボックス14aに入射する。これにより、使用者14は、フロントウインドシールド13aよりも+X側に、表示装置110に表示された画像に応じた第2の像IM2を視認する。
【0077】
ミラー131は、ガラスまたは樹脂材料等からなる本体部材と、本体部材の表面に設けられてミラー面131aを構成する金属膜や誘電体多層膜等の反射膜と、により構成されていてもよい。また、ミラー131は、全体が金属材料により構成されていてもよい。
【0078】
反射ユニット12は、本実施形態では、車両13のダッシュボード部13cに設けられる。反射ユニット12は、たとえば車両13のダッシュボード部13cにおいて車内に露出する壁13s2の内側に配置される。壁13s2には、光源ユニット11の出力素子123から出射した光が通過可能な貫通穴13h2が設けられている。出力素子123から出射した光は、貫通穴13h1を通過して、第1の像IM1を形成した後、貫通穴13h2を通過し、反射ユニット12に照射される。反射ユニットは、ダッシュボード部の上面に取り付けられてもよい。反射ユニットを天井部に配置し、光源ユニットをダッシュボード部に配置してもよい。
【0079】
図1に示すように、XY平面に、フロントウインドシールド13aの内面からアイボックス14aに向かう光が位置する。ここで、「XY平面に、フロントウインドシールド13aの内面からアイボックス14aに向かう光が位置する」とは、フロントウインドシールド13aの内面からアイボックス14aに向かう光の一部が、このXY平面に位置することを意味する。そして、光源ユニット11は、このXY平面を境界として、+Z側の領域に配置されている。すなわち、光源ユニット11は、このXY平面から+Z方向に離隔している。また、反射ユニット12は、この平面XYを境界として、-Z側の領域に配置されている。すなわち、反射ユニット12は、このXY平面から-Z方向に離隔している。光源ユニットおよび反射ユニットの配置は、上記に限定されない。
【0080】
反射ユニットの構成および位置は、上記に限定されない。たとえば、反射ユニットを構成するミラー等の光学素子の数は、2以上であってもよい。なお、反射ユニット12は、たとえば車外からフロントウインドシールド13aを介して照射した太陽光が、アイボックス14aに向けて反射しないように配置する必要があることはいうまでもない。
【0081】
次に、本実施形態に係る映像表示装置10の効果について説明する。
本実施形態に係る映像表示装置10の光源ユニット11では、結像光学系120は、第1の像IM1側において略テレセントリック性を有し、表示装置110から出射する光が略ランバーシアン配光を有する。そのため、光源ユニット11を小型化しつつ、第1の像IM1の品位を向上できる。より具体的には、表示装置110から出射する光が略ランバーシアン配光を有するため、表示装置110の各画素110pから出射した光の光度や色度の角度に対する依存性を低減することができる。
【0082】
厳密なランバーシアン配光に近づくほど、すなわち、配光パターンの近似式であるcosnθのnが1に近づくほど、表示装置110の各画素110pから出射した光の光度や色度は、角度によらず概ね均一になる。そのため、第1の像IM1の輝度や色度のばらつきを抑制し、第1の像IM1の品位を向上できる。
【0083】
結像光学系120では、可動光学系140は、第1の像IM1側で略テレセントリック性を有する光の焦点Fに配置される。これにより、結像光学系120は、第1の像IM1側で略テレセントリック性を有する光を出射することが保証される。
【0084】
光源ユニット11は、一方向に沿って配列された複数の画素110pを含む画素列110prを有する。そのため、表示装置110を小型化することが可能になり、光源ユニット11も小型化が可能である。また、第1の像IM1ひいては、第2の像IM2を表示するために必要なLED素子の数を少なくすることができるため、表示装置の製造費用または購入費用を低くすることができる。
【0085】
表示装置110から出射された光は、画素列110prが形成された方向に平行な方向に沿って設けられた軸141aを有する可動光学系140に入射される。可動光学系140は、軸141aを中心に可動であり、可動状態に応じた角度で光を出射する。表示装置110が時間の経過に応じて光を出射し、可動光学系140が光の出射された時刻に応じた角度で、順次光を入射し反射する。これによって、光源ユニット11は、あらかじめ設定された画像を再現するように光を出射することができる。
【0086】
本実施形態に係る映像表示装置10は、光源ユニット11と、光源ユニット11から離隔し、結像光学系120から出射した光を反射する反射ユニット12と、を備える。第1の像IM1は、光源ユニット11と反射ユニット12との間に形成される。このような場合、表示装置110のある1つの点から出射した光は、出力素子123を経由した後に、第1の像IM1の形成位置Pにおいて集光する。一方、光源ユニット11と反射ユニット12との間に第1の像IM1が形成されない場合、表示装置110のある1つの点から出射した光の光径は、入力素子121から反射ユニット12に向けて、徐々に広がる。したがって、本実施形態では、出力素子123において、表示装置110のある1つの点から出射した光が照射される範囲を、第1の像IM1が形成されない場合と比較して、小さくできる。そのため、出力素子123を小型化できる。
【0087】
本実施形態に係る光源ユニット11は小型であるため、光源ユニット11を車両13に搭載し、ヘッドアップディスプレイとして用いる場合は、光源ユニット11を車両13内の限られたスペースに容易に配置できる。
【0088】
本実施形態における結像光学系120は、屈曲部120aと、方向変更部120bと、を有する。このように、結像光学系120において、主光線同士を平行にする機能を有する部分と、第1の像IM1を所望の位置に形成する部分と、を別々にすることで、結像光学系120の設計が容易になる。
【0089】
結像光学系120内の光路の一部は、Z方向と直交するXY平面と交差する方向に延びる。そのため、結像光学系120をXY平面に沿う方向にある程度小型化できる。
【0090】
結像光学系120内の光路の他の一部は、Z方向と直交するXY平面に沿う方向に延びる。そのため、結像光学系120をZ方向にある程度小型化できる。
【0091】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態に係る映像表示装置を適用したヘッドアップディスプレイを示す模式的な断面図である。
図7に示すように、本実施形態に係る映像表示装置20は、光源ユニット21と、反射ユニット12と、を備える。本実施形態に係る映像表示装置20では、
図1に示した光源ユニット11と異なる光源ユニット21を備える。他の点では、本実施形態に係る映像表示装置20の構成は、第1の実施形態に係る映像表示装置10の構成と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0092】
光源ユニット21は、表示装置110と、結像光学系220と、を有する。表示装置110は、
図1に示した表示装置110と同様とすることができ、詳細な説明を省略する。結像光学系220は、可動光学系340と、入力素子221と、中間素子122と、出力素子123と、を含む。
図7に示した例では、中間素子122および出力素子123は、
図1に示した例と同じである。
【0093】
可動光学系340は、結像光学系220の焦点Fの近傍に配置され、焦点Fを経由する光を透過するように配置される。可動光学系340は、軸341aを有する光透過型の可動レンズである。可動光学系340の軸341aは、
図7の例では、Y方向に沿って平行に配置されている。可動レンズである可動光学系340は、軸341aを中心にして可動である。たとえば、可動光学系340は、軸341aを中心にして時計回りに定速で回転する。可動光学系340は、表示装置可動状態に応じた角度で、表示装置110が出射した光を入射し出射する。
【0094】
図1に示した可動光学系140の場合と同様に、可動光学系340は、表示装置110が主光線Laに対応する光を出射した時刻では、そのときの角度で主光線Laに対応する光を入射し、出射する。可動光学系340は、表示装置110が主光線Lbに対応する光を出射した時刻では、そのときの角度で主光線Lbに対応する光を入射し、出射する。可動光学系340は、表示装置110が主光線Lcに対応する光を出射した時刻では、そのときの角度で主光線Lcに対応する光を入射し、出射する。
【0095】
表示装置110が出射する光の周期および可動光学系340の回転速度を適切に設定することによって、表示装置110および可動光学系340は、1つの画像を形成するように、光を出力素子123に順次出射する。出力素子123は入射した光を順次反射し、反射された光は第1の像IM1を形成する。なお、表示装置110が出射する光の周期および可動光学系340の回転速度については、
図2に関連して説明した表示制御システム1400と同様のシステムを適用することができる。
【0096】
図7に示した具体例では、可動光学系340は、軸341aを中心に回転する可動レンズであるとしたが、透過型の可動光学系であれば可動レンズに限らず、たとえば、軸を中心に回転または可動するプリズム等であってもよい。
【0097】
図7に示した例では、結像光学系220は、入力素子221を含む。入力素子221は、表示装置110および可動光学系340の-Z方向に配置され、可動光学系340と対向するように配置される。入力素子221は、中間素子122と出力素子123との間に配置される。入力素子221は、凹面状のミラー面221aを有するミラーである。ミラー面221aは、たとえばバイコーニック面であり、球面の一部でもよく、自由曲面であってもよい。入力素子221は、可動光学系340が出射した光を反射して、中間素子122に向けて出射する。
【0098】
入力素子221および中間素子122は、可動光学系340の可動状態に応じた角度で出射された光の主光線La~Lcが略平行になるように主光線La~Lcを屈曲させる屈曲部220aを構成する。
【0099】
上述のように構成された光源ユニット21では、表示装置110が出射する光は略ランバーシアン配光を有しており、光源ユニット21が出射する光は、テレセントリック性を有し、形成位置Pにおいて第1の像IM1側を形成する。
【0100】
図7に示した例では、可動光学系340が中間素子122と出力素子123との間の光路を遮らないように、表示装置110および可動光学系340は、中間素子122および出力素子123よりも+Z方向に配置している。表示装置110、可動光学系340および入力素子221による光路が中間素子122と出力素子123との間の光路を遮らなければ、表示装置110および可動光学系340の配置は、この例に限らない。たとえば、表示装置110、可動光学系340および入力素子221による光路をYZ平面内で、+Y方向または-Y方向にさらに傾けて形成してもよい。このようにすることによって、光源ユニット21のZ方向の寸法を短くすることが可能である。
【0101】
図8は、
図7に示した光源ユニットの変形例を例示する模式図である。
図8に示すように、光源ユニット21Aは、表示装置110と、結像光学系220bと、を有する。結像光学系220bは、可動光学系340と、中間素子122と、出力素子123と、を含む。本変形例では、
図7に示した光源ユニット21のうち、入力素子221を省略し、入力素子221の位置に可動光学系340を配置する。可動光学系340は、
図7に示した例の場合と同様に、中間素子122および出力素子123からなる光学系が略平行な主光線を有する光の焦点Fの近傍に配置される。
【0102】
このような構成および配置とすることによって、部品点数を削減するとともに、光源ユニット21AのZ方向の寸法を縮小することが可能になる。
【0103】
本実施形態に係る映像表示装置20の効果について説明する。
本実施形態に係る映像表示装置20は、第1の実施形態に係る映像表示装置10と同様の効果を奏する。そのほか、本実施形態に係る映像表示装置20は、以下の効果を奏する。すなわち、映像表示装置20は、透過型の可動光学系340を有する光源ユニット21を備える。可動光学系340を透過型とすることによって、光の反射による損失を抑制することが可能になり、より鮮明な像を形成することが可能になる。また、可動光学系340を透過型とすることによって、光源ユニット21を構成する部材の配置の自由度を向上させることができ、搭載箇所に合わせた構造設計が可能になる。
【0104】
<第3の実施形態>
図9Aは、第3の実施形態に係る映像表示装置の表示装置を例示する模式図である。
図9Aに示すように、本実施形態では、表示装置410は、α方向に沿って配列された複数の画素110pを含む画素列(第1画素列)110pr1を有する。表示装置410は、画素列110pr1のβ方向(第2方向)の隣りに配置された画素列(第2画素列)110pr2を有する。画素列110pr2は、α方向に沿って配列された複数の画素110pを含む。なお、
図9Aでは、基板の図示は省略されている。表示装置410は、
図5Aおよび
図5Bに示した表示装置110と同様に、基板上に画素列110pr1、110pr2を有しており、各画素110pの構成は、
図6Aに示した例と同様である。
【0105】
画素列110pr1における隣り合う画素110pの画素ピッチ(第1画素ピッチ)p1は、画素列110pr2の画素ピッチ(第2画素ピッチ)p2と等しい。画素ピッチp1は、α方向に隣り合う2つの画素110pの中心C1の間の最短の長さとして定義され、画素ピッチp2は、α方向に隣り合う2つの画素110pの中心C2の間の最短の長さとして定義される。画素110pの中心は、
図9Aの例のように、画素110pのαβ平面視での形状が矩形の場合には、対角線の交点である。より一般的には、画素110pの中心は、画素110pのαβ平面視での形状の重心の位置である。
【0106】
画素列110pr1を構成する複数の画素110pのうちの1つの画素(第1画素)110pの中心C1と、画素列110pr2を構成する複数の画素110pのうちの1つの画素(第2画素)110pの中心C2と、の間のα方向に沿う長さp12は、0よりも長い。長さp12は、β方向に隣り合う2つの画素110pの中心C1、C2の間のα方向の長さである。
図9Aに示した例では、β方向に隣り合う2つの画素110pの中心C1、C2の間のα方向の長さp12は、画素ピッチp1、p2の1/2である。つまり、画素列110pr1を構成する複数の画素110pと、画素列110pr2を構成する複数の画素110pとは、中心の位置を画素ピッチp1、p2の1/2だけ互いにずらして配置されている。
【0107】
表示装置410が出射する光の周期および可動光学系140の回転速度を適切に設定することによって、表示装置410および可動光学系140は、1つの画像を形成するように、光を出力素子123に順次出射する。出力素子123は、入射した光を順次反射し、反射された光は第1の像IM1を形成する。なお、表示装置410が出射する光の周期および可動光学系140の回転速度については、
図2に関連して説明した表示制御システム1400と同様のシステムを適用することできる。
【0108】
本実施形態に係る映像表示装置の効果について説明する。
本実施形態に係る映像表示装置は、上述の第1の実施形態に係る映像表示装置10と同様の効果を奏する。そのほか、本実施形態に係る映像表示装置は、以下の効果を奏する。すなわち、本実施形態に係る映像表示装置は、表示装置410を有する光源ユニットを備える。表示装置410は、β方向に隣り合う画素列110pr1、110pr2を含む。画素列110pr1、110pr2では、各画素110pのα方向の長さは、p1=p2である。つまり、本実施形態では、画素110pのα方向の長さを縮小したり、表示装置410のα方向の長さを長くしたりすることなく、表示装置410の画素110pのα方向における密度を実質的に増大させることができる。表示装置410において、α方向における画素110pの密度を実質的に増大することによって、表示装置410は、高精細な画像を再現するための光を出射することができる。
【0109】
図9Bは、第3の実施形態に係る映像表示装置の表示装置の変形例を例示する模式図である。
図9Bに示すように、本実施形態では、表示装置410aは、第1画素列110praと、第2画素列110prbと、第3画素列110prcと、を含む。第2画素列110prbは、第1画素列110praとβ方向で隣り合って配置されている。第3画素列110prcは、第2画素列110prbとβ方向で隣り合って配置されている。この例では、第1画素列110pra、第2画素列110prbおよび第3画素列110prcは、-β方向で、この順で配置されている。
【0110】
第1画素列110praは、複数の第1画素110paを含む。複数の第1画素110paは、α方向に沿って配列されている。複数の第1画素110paは、たとえば赤色(第1色)を発光する。第2画素列110prbは、複数の第2画素110pbを含む。複数の画素110pbは、α方向に沿って配列されている。複数の第2画素110pbは、たとえば緑色を発光する。第3画素列110prcは、複数の第3画素110pcを含む。複数の第3画素110pcは、α方向に沿って配列されている。複数の第3画素110pcは、たとえば青色を発光する。なお、
図9Bでは、基板の図示は省略されている。表示装置410aは、たとえば、
図5Aおよび
図5Bに示した表示装置110と同様に、基板上に複数の第1画素110pa、複数の第2画素110pbおよび複数の第3画素110pcを有している。
【0111】
第1画素110pa、第2画素110pbおよび第3画素110pcは、
図6Bに示した画素710pと同様の構成を有する。たとえば、半導体積層体712aは、紫外光を発光する。第1画素110paでは、波長変換部材は、紫外光を入射して赤色(第1色)の光に変換して出射する。第2画素110pbでは、波長変換部材は、紫外光を入射して緑色(第2色)の光に変換して出射する。第3画素110pcでは、波長変換部材は、紫外光を入射して青色(第3色)の光に変換して出射する。なお、第1画素、第2画素および第3画素は、異なる色の光であって、好ましくは、赤色、緑色および青色をそれぞれ発光することができれば、上述の構成に限らず、適切な構成とすることができる。
【0112】
表示装置410aが出射する光の周期および可動光学系140の回転速度を適切に設定することによって、表示装置410aおよび可動光学系140は、1つの画像を形成するように、光を出力素子123に順次出射する。出力素子123は、入射した光を順次反射し、反射された光は第1の像IM1を形成する。
【0113】
なお、表示装置410が出射する光の周期および可動光学系140の回転速度については、
図2に関連して説明した表示制御システム1400と同様のシステムを適用することができる。また、第1画素列110pra、第2画素列110prbおよび第3画素列110prcの各画素の混色により、第1の像IM1および第2の像IM2に対応する画像は再現される。そのため、再現される画像の上端および下端は、すべての画素の色が含まれない場合があるので、たとえば、表示制御システムにおいて、画像の上端および下端をあらかじめ除去する等の処理を行うことが好ましい。
【0114】
本変形例について効果を説明する。
本変形例に係る映像表示装置は、第1の実施形態に係る映像表示装置10と同様の効果のほか、以下の効果を奏する。すなわち、表示装置410aは、異なる色の光を出射する画素を含む画素列を有しているので、表示装置410aを有する光源装置は、カラー画像を再現することができ、第1の像IM1および第2の像IM2をカラーで表示することができる。なお、
図9Aに示した例と同様に、1つの色に対して、2つ以上の画素列を、画素ピッチをずらして配置することによって、高精細なカラー画像を再現できることはいうまでもない。
【0115】
<第4の実施形態>
図10は、第4の実施形態に係る映像表示装置を例示する模式的な側面図である。
図10に示すように、本実施形態に係る映像表示装置70Bは、光源ユニット71Bと、反射ユニット12と、を備える。本実施形態に係る映像表示装置70Bは、第2の実施形態に係る映像表示装置20と異なる光源ユニット71Bを備えている。他の点では、本実施形態に係る映像表示装置70Bの構成は、
図7に示した映像表示装置20の構成と同じであり、同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0116】
光源ユニット71Bは、表示装置110と、結像光学系220と、反射型偏光素子750と、遮光部材760と、を備える。本実施形態では、反射型偏光素子750および遮光部材760をさらに備える点で、
図7に示した光源ユニット21と相違する。なお、
図10では、遮光部材760を断面で示し、他の構成要素を端面で示している。また、
図10では、図示の煩雑さを回避するために、2本の主光線La、Lcを示しているが、主光線と表示装置110が出射する光との関係は、
図1に示した例および
図7に示した例と同様である。
【0117】
反射型偏光素子750は、表示装置110から反射ユニット12に至るまでの光路のうち、主光線La、Lcが互いに略平行になる位置に配置される。
図10の例では、主光線La、Lcは、中間素子122から反射ユニット12までの間の光路において互いに略平行になり、反射型偏光素子750は、出力素子123と反射ユニット12との間に配置される。
【0118】
反射型偏光素子750は、P偏光である第1偏光711pを透過し、S偏光である第2偏光711sを、表示装置110に戻るように反射する。具体的には、表示装置110からは、第1偏光711pおよび第2偏光711sを含む光711aが出射する。この光711aは、入力素子121および中間素子122を経由した後、反射型偏光素子750に入射する。
図10では、第1偏光711pおよび第2偏光711sを含む光711aの光路を太実線の矢印で示し、第1偏光711pを細実線の矢印で示し、第2偏光711sを2点鎖線の矢印で示している。なお、「P偏光」とは、電場の振動方向が反射型偏光素子750への入射面に略平行な光を意味する。また、「S偏光」とは、電場の振動方向が反射型偏光素子750への入射面に概ね垂直な光を意味する。
【0119】
反射型偏光素子750は、この光711aに含まれる第1偏光711pの大部分を透過する。反射型偏光素子750を透過した第1偏光711pの大部分は、出力素子123を経由した後、反射ユニット12から出射する。
【0120】
反射型偏光素子750は、この光711aに含まれる第2偏光711sの大部分を、表示装置110から反射型偏光素子750に至るまでの光路を戻るように反射する。具体的には、反射型偏光素子750の形状は、平板状である。反射型偏光素子750は、主光線と概ね直交するように配置される。反射型偏光素子750は、第2偏光711sの大部分を正反射する。そのため、反射型偏光素子750によって反射された第2偏光711sの大部分は、中間素子122および入力素子121をこの順で経由した後、表示装置110に戻る。
【0121】
たとえば、
図6Bに示した表示装置710とすることにより、上述のような経路で表示装置710に戻された第2偏光711sの一部は、たとえば表示装置710の波長変換部材715によって散乱され、第1偏光711pに変換されるものがある。第1偏光711pに変換された光は、再度表示装置710から出射されるので、表示装置710が出射する光711a中に含まれる第1偏光711pの割合を高める効果が期待できる。第1偏光711pの割合の高い光711aによって、第1の像IM1および第2の像IM2が形成されるので、使用者14は、第2の像IM2を視認しやすくなる。
【0122】
反射型偏光素子750には、たとえば、複数の金属製のナノワイヤを用いたワイヤグリッド型の反射型偏光素子を用いることができる。
【0123】
反射型偏光素子750は、主光線La、Lcが略平行となる位置であれば、出力素子123と反射ユニット12との間に限らず、中間素子122と出力素子123との間に配置してもよい。
【0124】
遮光部材760は、可動光学系340の光を出射する側で、焦点Fの近傍に配置された可動光学系340の近傍に配置される。遮光部材760の形状は、たとえばXY平面に略平行な平板状である。遮光部材760には、遮光部材760をZ方向に貫通する開口761が設けられている。つまり、開口761は、結像光学系120の焦点Fの近傍に位置する。
【0125】
表示装置110から出射した光のうち、焦点Fおよびその近辺を通過する光は、遮光部材760の開口761を通過して入力素子121に入射し、それ以外の光の大部分は、遮光部材760に遮断される。また、反射型偏光素子750によって反射した第2偏光711sのうち、光路に沿う光、すなわち焦点Fおよびその近辺を通過する光は、遮光部材760の開口761を通過して表示装置110に戻る。一方、反射型偏光素子750によって反射した第2偏光711sのうち、光路に沿わずに表示装置110に向かう光の大部分は、遮光部材760によって遮断される。
【0126】
本実施形態に係る映像表示装置の効果について説明する。
本実施形態に係る映像表示装置70Bは、光源ユニット71Bを備える。光源ユニット71Bは、反射型偏光素子750を有しており、反射型偏光素子750は、主光線La、Lcが略平行となる位置に配置される。反射型偏光素子750は、表示装置110から出射された光のうち、第1偏光711pを透過し、第2偏光711sを反射する。そのため、光源ユニット71Bから出射する光に含まれる第1偏光711pの割合を高めることができるので、第2の像IM2の輝度を向上できる。
【0127】
本実施形態に係る光源ユニット71Bは、遮光部材760を備えており、遮光部材760は、可動光学系340の近傍に配置される。可動光学系340は、光源ユニット71Bの焦点Fの位置に配置されるので、遮光部材760は、光路に沿った光を通過させ、光路に沿わない非有効光を遮断することができる。これにより、非有効光による迷光の発生抑制し、また、外部からの光が光源ユニット71B内に進入した場合に、その光が表示装置110等に向かうのを抑制して、表示装置110の温度上昇を抑えることができる。
【0128】
図10の例では、光源ユニットは、反射型偏光素子750および遮光部材760の両方を備えるものとしたが、いずれか一方を備えてもよく、それぞれの構成要素による効果を奏する。
【0129】
<第5の実施形態>
図11は、本実施形態に係る映像表示装置を搭載した車両を示す側面図である。
本実施形態に係る映像表示装置100は、車両130に搭載して、HUDとして用いることができる。換言すれば、本実施形態に係る自動車1000は、車両130と、映像表示装置100と、を有する。映像表示装置100は車両130に固定されている。他の実施形態についても同様である。映像表示装置100における光源ユニット11は、車両130の天井部130bに配置される。映像表示装置100における反射ユニット12は、車両130のダッシュボード部130cに配置される。
【0130】
天井部130bに設けられた光源ユニット11は、反射ユニット12との間に第1の像IM1を形成する。反射ユニット12は、光源ユニット11から出射した光を反射する。反射ユニット12が反射した光の大部分は、フロントウインドシールド130aの内面において反射し、使用者14のアイボックスに入射する。これにより、使用者14は、第2の像IM2を視認できる。なお光源ユニット11はバックミラーユニット(図示せず)等と一体化して構成することもできる。
【0131】
上記の複数の実施形態および複数の変形例の各構成は、矛盾のない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0132】
以上説明したように、光源ユニットおよび反射ユニット12の配置は、光源ユニットと反射ユニット12との間に第1の像IM1が形成され、反射ユニット12から出射した光をフロントウインドシールド13aの内面等の反射面に照射可能である限り、自由に設定できる。
【0133】
実施形態は、以下の態様を含む。
【0134】
(付記1)
第1方向に沿って配列された複数の画素を含む画素列を有する表示装置と、
前記表示装置から出射した光が入射され、前記第1方向に沿って平行な軸を中心に可動であり、可動状態に応じた角度で光を出射する可動光学系と、前記可動光学系を介して光が入射する出力素子と、を含み、前記出力素子から出射した光が像を形成する結像光学系と、
を備え、
前記結像光学系は、前記像側において略テレセントリック性を有し、
前記表示装置から出射する光が略ランバーシアン配光を有する、光源ユニット。
【0135】
(付記2)
前記可動光学系は、反射鏡を含む付記1記載の光源ユニット。
【0136】
(付記3)
前記可動光学系は、ポリゴンミラーを含む付記1記載の光源ユニット。
【0137】
(付記4)
前記可動光学系は、レンズを含む付記1記載の光源ユニット。
【0138】
(付記5)
前記表示装置は、複数の前記画素列を含み、
前記複数の画素列は、前記第1方向に交差する第2方向に沿って配列された付記1~4のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0139】
(付記6)
前記複数の画素列は、
複数の第1画素を含む第1画素列と、
複数の第2画素を含み、前記第2方向で前記第1画素列の隣りに配置された第2画素列と、
を含み、
前記複数の第1画素における画素間の第1画素ピッチは、前記複数の第2画素における画素間の第2画素ピッチと等しく、
前記複数の第1画素のうちの一の前記第1画素の中心と、前記第1画素に隣り合って配置され、前記複数の第2画素のうちの一の第2画素の中心と、の間の前記第1方向に沿う長さは0よりも長い付記5記載の光源ユニット。
【0140】
(付記7)
前記複数の画素列は、
第1色を発光する複数の第1画素を含む第1画素列と、
第2色を発光する複数の第2画素を含み、前記第2方向で前記第1画素列の隣りに配置された第2画素列と、
第3色を発光する複数の第3画素を含み、前記第2方向で前記第2画素列の隣りに配置された第3画素列と、
を含む付記5記載の光源ユニット。
【0141】
(付記8)
前記表示装置から出射する光は、前記表示装置から出射する光の光軸に対して角度θの方向の光度が前記光軸上の光度のcosnθ倍で近似される配光パターンを有し、
前記nは0より大きい値である付記1~7のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0142】
(付記9)
前記nは、11以下である、付記8記載の光源ユニット。
【0143】
(付記10)
前記複数の画素は、複数のLED素子をそれぞれ含む付記1~9のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0144】
(付記11)
前記複数のLED素子のそれぞれから出射する光は、略ランバーシアン配光を有する付記10記載の光源ユニット。
【0145】
(付記12)
前記複数の画素のそれぞれは、前記複数のLED素子のそれぞれ上に配置された波長変換部材をさらに有する付記10記載の光源ユニット。
【0146】
(付記13)
前記結像光学系は、
前記可動光学系を含む屈曲部と、
前記出力素子を含む方向変更部と、
をさらに有し、
前記屈曲部は、前記可動光学系から異なる角度で出射された光の主光線同士が、前記像の前後で略平行になるように前記主光線を屈曲し、
前記方向変更部は、前記屈曲部を経由した前記主光線が、前記像の形成位置に向かうように前記主光線の進行方向を変更する付記1~12のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0147】
(付記14)
前記表示装置と前記結像光学系との間に配置され、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の一部が通過する開口が設けられ、前記表示装置から前記結像光学系に向かう光の他の一部を遮断する遮光部材をさらに備える付記1~13のいずれか1つに記載の光源ユニット。
【0148】
(付記15)
付記1~14のいずれか1つに記載の光源ユニットと、
前記光源ユニットから離隔し、前記結像光学系から出射した光を反射する反射ユニットと、
を備え、
前記像は、前記光源ユニットと前記反射ユニットとの間に形成される映像表示装置。
【0149】
(付記16)
前記表示装置から前記反射ユニットに至るまでの光路のうち、前記可動光学系から異なる角度で出射され、前記像を通る光の主光線同士が略平行となる部分に配置され、前記表示装置から出射された光のうちの第1偏光を透過し、前記表示装置から出射された光のうちの第2偏光を前記表示装置に戻るように反射する反射型偏光素子をさらに備えた付記15記載の映像表示装置。
【0150】
(付記17)
車両と、
前記車両に固定された付記15または16に記載の映像表示装置と、
を備えた自動車。
【符号の説明】
【0151】
10、20、70B、100…映像表示装置、11、21、71B…光源ユニット、12…反射ユニット、13、130…車両、13a、130a…フロントウインドシールド、13b、130b…天井部、13c、130c…ダッシュボード部、13h1、13h2…貫通穴、13s1、13s2…壁、14…使用者、14a…アイボックス、110、410、410a…表示装置、110p、710p…画素、110pr…画素列、111…基板、112…LED素子、112a、712a…半導体積層体、112b、112c…電極、112p1…p型半導体層、112p2…活性層、112p3、712p3…n型半導体層、112s…光出射面、112t…凹部、117…駆動線、119a…接地線、120、220、220b…結像光学系、120a、220a…屈曲部、120b…方向変更部、122…中間素子、123…出力素子、121a、122a、123a、131a、221a…ミラー面、131…ミラー、140、240、340…可動光学系、221…入力素子、760…遮光部材、761…開口、711p…第1偏光、711s…第2偏光、714…保護層、715…波長変換部材、716…カラーフィルタ、750…反射型偏光素子、1000…自動車