(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093113
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】通信線からの信号を入力する装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04L 25/03 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
H04L25/03 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209279
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】303046277
【氏名又は名称】旭化成エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 智博
(72)【発明者】
【氏名】奥津 吉隆
【テーマコード(参考)】
5K029
【Fターム(参考)】
5K029AA03
5K029CC01
5K029HH08
5K029KK24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】通信インタフェースが使用されうる広い範囲の電源電圧に対して入力電圧仕様を満たせる装置を提供する。
【解決手段】装置は、第1通信線(SCL通信線)からの信号を入力する第1入力回路200と、第2通信線(SDA通信線)からの信号を入力する第2入力回路210と、基準電圧を生成する基準電圧生成回路220と、基準電圧と第1通信線の電圧とを比較する比較回路230と、を備える。第1入力回路及び第2入力回路は、比較回路の比較結果に応じて信号値の判定に用いる判定閾値を調整する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信線からの信号を入力する第1入力回路と、
第2通信線からの信号を入力する第2入力回路と、
基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、
前記基準電圧と前記第1通信線の電圧とを比較する比較回路と
を備え、
前記第1入力回路および前記第2入力回路は、前記比較回路の比較結果に応じて信号値の判定に用いる判定閾値を調整する
装置。
【請求項2】
前記第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて前記比較結果を取得する取得回路を備え、
前記第1入力回路および前記第2入力回路は、前記取得回路に取得された前記比較結果に応じて前記判定閾値を調整する
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記取得回路は、前記第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の前記第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて前記比較結果を取得する請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記取得回路は、前記第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間内に前記比較結果を取得する請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記取得回路は、前記第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超え、かつ前記第2通信線からの信号の電圧が第2電圧以下である期間内に前記比較結果を取得する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記取得回路は、前記第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の前記第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて取得済の比較結果をリセットし、リセット後に前記比較回路の出力が立ち上がったことに応じて前記第1通信線の電圧が前記基準電圧を超えた旨の新たな比較結果を取得する請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第1入力回路および前記第2入力回路のそれぞれの入力回路は、
前記第1通信線または前記第2通信線のうち対応する通信線の電圧に応じた信号値を、互いに異なる前記判定閾値を用いて検出する複数の入力検出器と、
前記比較回路の前記比較結果に応じて、前記複数の入力検出器のうちのいずれの入力検出器が出力した信号値を当該入力回路の出力とするかを選択する選択器と
を有する請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記複数の入力検出器のうち前記選択器により出力が選択されなかった少なくとも1つの入力検出器は、信号値の検出動作を停止する請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記比較回路は、前記第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間内の比較期間に比較動作を行い、前記比較期間以外の期間において比較動作を停止する請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記比較回路は、前記第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超え、かつ前記第2通信線からの信号の電圧が第2電圧以下である前記比較期間内に比較動作を行う請求項9に記載の装置。
【請求項11】
第1入力回路が、第1通信線からの信号を入力し、
第2入力回路が、第2通信線からの信号を入力し、
基準電圧生成回路が、基準電圧を生成し、
比較回路が、前記基準電圧と前記第1通信線の電圧とを比較し、
前記第1入力回路および前記第2入力回路が、前記比較回路の比較結果に応じて信号値の判定に用いる判定閾値を調整する
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信線からの信号を入力する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、I2C等のシリアルバスインタフェースが知られている。特許文献1には、I2Cシリアル通信バスはSDA(Serial Data Line)およびSCL(Serial Clock Line)の2つの双方向シリアルラインを用いること、SDAおよびSCLラインのそれぞれはプルアップ抵抗を介してVddに接続されること、Vddは典型的には1.2V~3.3Vであること等が記載されている(背景技術参照)。
【0003】
また、特許文献1には、SDAおよびSCL信号に応じた電圧をキャパシタC1に充電することによりVddに近い電圧Vcapを生成すること、電圧Vcapはシュミットトリガ208aおよび208bの参照電圧を提供すること等が記載されている(第4~5欄参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 米国特許第8698543号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通信インタフェースが使用されうる広い範囲の電源電圧に対して入力電圧仕様を満たせる装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様においては、第1通信線からの信号を入力する第1入力回路と、第2通信線からの信号を入力する第2入力回路と、基準電圧を生成する基準電圧生成回路と、基準電圧と第1通信線の電圧とを比較する比較回路とを備え、第1入力回路および第2入力回路は、比較回路の比較結果に応じて信号値の判定に用いる判定閾値を調整する装置を提供する。
【0006】
上記の装置は、第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて比較結果を取得する取得回路を備えてよく、第1入力回路および第2入力回路は、取得回路に取得された比較結果に応じて判定閾値を調整してよい。
【0007】
上記のいずれかの装置において、取得回路は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて比較結果を取得してよい。
【0008】
上記のいずれかの装置において、取得回路は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間内に比較結果を取得してよい。
【0009】
上記のいずれかの装置において、取得回路は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超え、かつ第2通信線からの信号の電圧が第2電圧以下である期間内に比較結果を取得してよい。
【0010】
上記のいずれかの装置において、取得回路は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて取得済の比較結果をリセットし、リセット後に比較回路の出力が立ち上がったことに応じて第1通信線の電圧が基準電圧を超えた旨の新たな比較結果を取得してよい。
【0011】
上記のいずれかの装置において、第1入力回路および第2入力回路のそれぞれの入力回路は、第1通信線または第2通信線のうち対応する通信線の電圧に応じた信号値を、互いに異なる判定閾値を用いて検出する複数の入力検出器と、比較回路の比較結果に応じて、複数の入力検出器のうちのいずれの入力検出器が出力した信号値を当該入力回路の出力とするかを選択する選択器とを有してよい。
【0012】
上記のいずれかの装置において、複数の入力検出器のうち選択器により出力が選択されなかった少なくとも1つの入力検出器は、信号値の検出動作を停止してよい。
【0013】
上記のいずれかの装置において、比較回路は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間内の比較期間に比較動作を行い、比較期間以外の期間において比較動作を停止してよい。
【0014】
上記のいずれかの装置において、比較回路は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超え、かつ第2通信線からの信号の電圧が第2電圧以下である比較期間内に比較動作を行ってよい。
【0015】
本発明の第2の態様においては、第1入力回路が、第1通信線からの信号を入力し、第2入力回路が、第2通信線からの信号を入力し、基準電圧生成回路が、基準電圧を生成し、
比較回路が、基準電圧と第1通信線の電圧とを比較し、第1入力回路および第2入力回路が、比較回路の比較結果に応じて信号値の判定に用いる判定閾値を調整する方法を提供する。
【0016】
なお、上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図3】本実施形態に係る装置2の動作フローを示す。
【
図4】本実施形態に係る装置2の動作タイミングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0019】
図1は、通信線の電圧仕様の一例を示す。本図の例においては、I
2CインタフェースのSDAおよびSCL通信線を用いて伝送される信号の電圧仕様を示す。この電圧仕様においては、動作電圧V
DDとして、1.2V系(図中ティピカル値が1.2V)、1.8V系(図中ティピカル値が1.8V)、および3.3V系(図中ティピカル値が3.3V)の3種類が定義されている。1.2V系、1.8V系、および3.3V系のそれぞれについて、許容されるV
DDの最小電圧及び最大電圧が定められる。例えば1.2V系の場合、V
DDは1.10~1.30Vの範囲内であることが求められる。
【0020】
ローレベル入力電圧VILは、-0.1×VDDから0.3×VDDの範囲内であることが求められる。ハイレベル入力電圧VIHは0.7×VDDから1.1×VDDの範囲内であることが求められる。また、信号入力に用いるシュミットトリガの入力ヒステリシスVhysは、0.1×VDD以上であることが求められる。
【0021】
I2Cインタフェースは定電圧化が図られ1.8V系、2.0V系等が混在してきたが、近年は、低電圧化が進んでI2Cインタフェースの1.2V化も進められている。したがって、I2Cインタフェースを用いてデバイス間通信を行うシステムとしては、1.8V系のVDDを用いるシステム、および1.2V系のVDDを用いるシステムが混在している。このため、このようなシステムに用いるICデバイスまたはLSIデバイス等の装置は、1.8V系および1.2V系の両方のI2Cインタフェースをサポートすることが望ましい。
【0022】
1.8V系および1.2V系の両方のI2Cインタフェースをサポートする場合、ハイレベル入力電圧VIHの最小値(SDAおよびSCLが論理Hの場合の最小電圧)は、0.7×1.1V(VDDの最小値)=0.77Vとなる。また、ローレベル入力電圧VILの最大値(SDAおよびSCLが論理Lの場合の最大電圧)は、0.3×1.9V(VDDの最大値)=0.57Vとなる。ここで、1.8V系および1.2V系の両方を同一入力ヒステリシスの入力バッファでサポートしようとすると、入力バッファの入力ヒステリシスVhysは、0.1×1.9V(VDDの最大値)=0.19Vとなる。
【0023】
したがって、1.8V系および1.2V系の両方を同一閾値および同一入力ヒステリシスの入力バッファでサポートしようとすると、ハイレベル入力電圧VIHの最小値0.77Vとローレベル入力電圧VILの最大値0.57Vの間に0.2V(=0.77V-0.57V)のマージンしかないにもかかわらず、入力ヒステリシスVhysを0.19V持たせる必要が生じる。したがって、このような入力バッファを用いて1.8V系および1.2V系をサポートすることは困難である。
【0024】
図2は、本実施形態に係る装置2の構成を示す。装置2は、例えばICデバイス、LSIデバイス、またはMCM(Multi-Chip Module)等である。装置2は、他のICデバイス等と通信するための通信インタフェースを備える。本実施形態に係る装置2は、このような通信インタフェースの一例として、シリアル通信インタフェースであるI
2Cインタフェース、またはI
2Cインタフェースの後継のインタフェース等をサポートする。装置2は、クロック通信線であるI
2CインタフェースのSCL通信線(「第1通信線」とも示す。)に接続される外部端子P_SCL(「第1外部端子」とも示す。)と、データ通信線であるI
2CインタフェースのSDA通信線(「第2通信線」とも示す。)に接続される外部端子P_SDA(「第2外部端子」とも示す。)とを備える。
【0025】
なお、本図においては説明の便宜上、装置2における、第1外部端子および第2外部端子から信号を受信する受信器に関する構成部分を示す。装置2は、第1外部端子および第2外部端子を介して他の装置に信号を送信する送信器を更に備えてよい。
【0026】
装置2は、第1外部端子および第2外部端子に加えて、電源端子および接地端子を備える4端子デバイスであってよい。このような装置2は、磁気センサ等のセンサデバイスであってよく、通信インタフェースを介して測定値を他の装置へと供給する。これに代えて、装置2は、より多くの端子を備えてよく、第1外部端子および第2外部端子を用いる通信インタフェースとは別に、他の装置と通信するための他の通信インタフェースを備えてもよい。
【0027】
本実施形態に係る装置2は、通信線の電圧を基準電圧と比較した結果に基づいて、入力回路の判定閾値を調整する機能を有する。これにより、装置2は、複数種類の電圧仕様に適応可能である。本実施形態に係る装置2は、一例としてI2Cインタフェースにおける1.8V系および1.2V系の2種類の電圧仕様をサポートする。装置2は、第1入力回路200と、第2入力回路210と、基準電圧生成回路220と、比較回路230と、取得回路240とを備える。
【0028】
第1入力回路200は、第1外部端子に接続され、第1通信線からの信号を入力する。なお、本明細書において、以下「接続」とは特記しない限り「電気的な接続」を意味し、部品同士が電気的に直接接続されているものに限らず、他の部品が間に接続された電気的な間接接続であってもよいことを意味する。第1入力回路200は、第1通信線からの信号の電圧値に応じた論理値を、第1通信線からの信号値SCLINとして装置2内の内部の他の回路(不図示)へと出力する。第1入力回路200は、入力検出器204と、入力検出器206a~bと、選択器208とを有する。
【0029】
入力検出器204は、第1外部端子に接続される。入力検出器204は、例えば入力バッファ回路であってよく、第1通信線の信号値がハイレベルであるか否かを検出する。ここで、入力検出器204は、第1通信線の電圧が閾値電圧(「第1電圧」とも示す。)を超えるか否かを検出する。この第1電圧は、複数種類の電圧仕様のいずれにおいても第1通信線の信号値がハイレベルであると検出できるような値に設定される。本実施形態において、入力検出器204は、1.8V系におけるローレベル電圧の最大値(0.3×1.9=0.57V)を超え、1.2V系におけるハイレベル電圧の最小値(0.7×1.10=0.77V)未満である第1電圧を閾値電圧として有する。入力検出器204は、入力ヒステリシスを有しなくてよく、通信インタフェースで定められた入力ヒステリシス未満の入力ヒステリシスを有してよい。
【0030】
複数の入力検出器206a~b(「入力検出器206」とも示す。)は、第1外部端子に接続される。複数の入力検出器206のそれぞれは、例えば入力バッファ回路であってよい。複数の入力検出器206は、第1通信線の電圧に応じた信号値を、互いに異なる判定閾値を用いて検出する。ここで、複数の入力検出器206のそれぞれは、複数種類の電圧仕様のそれぞれに対応して用意されてよく、対応する電圧仕様に応じた判定閾値を有する。
【0031】
本実施形態において、入力検出器206aは、1.8V系に用いられ、ローレベル電圧の最大値(例えば0.3×1.9=0.57V)を超え、ハイレベル電圧の最小値(例えば0.7×1.7=1.19V)未満の判定閾値を有する。また、入力検出器206bは、1.2V系に用いられ、ローレベル電圧の最大値(例えば0.3×1.30=0.39V)を超え、ハイレベル電圧の最小値(例えば0.7×1.10=0.77V)未満の判定閾値を有する。入力検出器206a~bは、通信インタフェースの電圧仕様を満たす入力ヒステリシスを有する。
【0032】
選択器208は、取得回路240と、複数の入力検出器206とに接続される。選択器208は、比較回路230の比較結果に応じて、複数の入力検出器206のうちのいずれの入力検出器206が出力した信号値を第1入力回路200の出力とするかを選択する。本実施形態において、選択器208は、取得回路240から論理Hの比較結果を受信したことに応じて入力検出器206aを選択し、論理Lの比較結果を受信したことに応じて入力検出器206bを選択する。
【0033】
第2入力回路210は、第2外部端子に接続され、第2通信線からの信号を入力する。第2入力回路210は、第2通信線からの信号の電圧値に応じた論理値を、第2通信線からの信号値SDAINとして装置2内の他の回路(不図示)へと出力する。第2入力回路210は、入力検出器214と、入力検出器216a~bと、選択器218とを有する。
【0034】
入力検出器214は、第2外部端子に接続される。入力検出器214は、例えば入力バッファ回路であってよく、第2通信線の信号値がハイレベルであるか否かを検出する。ここで、入力検出器214は、第2通信線の電圧が閾値電圧(「第2電圧」とも示す。)を超えるか否かを検出する。この第2電圧は、複数種類の電圧仕様のいずれにおいても第2通信線の信号値がローレベルであると検出できるような値に設定される。本実施形態において、入力検出器214は、1.8V系におけるローレベル電圧の最大値(0.3×1.9=0.57V)を超え、1.2V系におけるハイレベル電圧の最小値(0.7×1.10=0.77V)未満である第2電圧を閾値電圧として有する。なお、第2電圧は、第1電圧と同じであってよく、異なってもよい。入力検出器214は、入力ヒステリシスを有しなくてよく、通信インタフェースで定められた入力ヒステリシス未満の入力ヒステリシスを有してよい。
【0035】
複数の入力検出器216a~b(「入力検出器216」とも示す。)は、第2外部端子に接続される。複数の入力検出器216は、第2通信線の電圧に応じた信号値を、互いに異なる判定閾値を用いて検出する。複数の入力検出器216は、複数の入力検出器206と同様の機能および構成を有するから、以下相違点を除き説明を省略する。
【0036】
選択器218は、取得回路240と、複数の入力検出器216とに接続される。選択器218は、比較回路230の比較結果に応じて、複数の入力検出器216のうちのいずれの入力検出器216が出力した信号値を第2入力回路210の出力とするかを選択する。本実施形態において、選択器218は、取得回路240から論理Hの比較結果を受信したことに応じて入力検出器216aを選択し、論理Lの比較結果を受信したことに応じて入力検出器216bを選択する。
【0037】
基準電圧生成回路220は、基準電圧を生成する。基準電圧生成回路220は、基準電圧として、第1通信線の電圧に基づいて、通信インタフェースが複数種類の電圧仕様のいずれで動作しているかを判別するための閾値電圧を生成する。ここで、第1通信線および第2通信線は、通信インタフェースの電圧仕様に応じた電圧(例えば1.8Vまたは1.2V)でプルアップされ、ハイレベルの安定状態においては電圧仕様に応じた電圧とほぼ同じ電圧になる。したがって、本実施形態に係る基準電圧生成回路220は、1.2V系の最大電圧1.30Vより高く、1.8V系の最小電圧1.70Vより低い電圧(例えば1.4V)を閾値電圧とする。
【0038】
比較回路230は、第1外部端子および基準電圧生成回路220に接続される。比較回路230は、基準電圧と第1通信線の電圧とを比較する。本実施形態において、比較回路230は、第1通信線の電圧が基準電圧を超える場合に論理H(ハイ)、第1通信線の電圧が基準電圧以下の場合に論理L(ロー)の比較結果を出力する。
【0039】
取得回路240は、第1入力回路200、第2入力回路210、および比較回路230に接続される。取得回路240は、予め定められたタイミングに応じて比較回路230が出力する比較結果を取得する。取得回路240は、タイミング検出回路244と、記憶回路248とを有する。
【0040】
タイミング検出回路244は、第1入力回路200内の入力検出器204と、第2入力回路210内の入力検出器214とに接続される。タイミング検出回路244は、入力検出器204が検出した第1通信線の信号値および入力検出器214が検出した第2通信線の信号値を用いて、比較回路230が出力する比較結果を取得するタイミングを決定する。タイミング検出回路244は、第1通信線の信号値および第2通信線の信号値の関係から、通信インタフェースの仕様上第1通信線の信号値が必ずハイレベルとなるタイミングを比較結果の取得タイミングとして決定してよい。タイミング検出回路244は、このような取得タイミングを、入力検出器204が検出した第1通信線の信号値および入力検出器214が検出した第2通信線の信号値の論理演算により決定してよい。取得回路240による取得タイミングの決定方法については後述する。
【0041】
記憶回路248は、比較回路230およびタイミング検出回路244に接続される。記憶回路248は、フリップフロップ、レジスタ、またはメモリ等であってよく、比較回路230が出力する比較結果を、タイミング検出回路244により決定された取得タイミングで取得して記憶する。本図の例においては、記憶回路248はフリップフロップであり、D端子に入力される比較結果を、タイミング検出回路244からのタイミング信号の立ち上がりに応じてサンプリングして、Q端子から出力する。
【0042】
これにより、第1入力回路200および第2入力回路210は、取得回路240を介して受け取った比較回路230による比較結果に応じて第1入力回路200および第2入力回路210内の入力検出器を切り替えることにより、信号値の判定に用いる判定閾値を調整することができる。より具体的には、第1入力回路200および第2入力回路210は、第1通信線の電圧が基準電圧を超える場合に、複数種類の電圧仕様のうちより高い電圧を用いる電圧仕様(本図の例においては1.8V系)の入力検出器206aおよび入力検出器216aを選択する。また、第1入力回路200および第2入力回路210は、第1通信線の電圧が基準電圧を以下の場合に、複数種類の電圧仕様のうちより低い電圧を用いる電圧仕様(本図の例においては1.2V系)の入力検出器206bおよび入力検出器216bを選択する。したがって、装置2は、同一閾値の入力回路では複数種類の電圧仕様をサポートできない場合であっても、通信インタフェースが複数種類の電圧仕様のいずれで使用されるかを判定して入力回路の判定閾値を調整することにより、その電圧仕様をサポートすることができる。
【0043】
以上に加えて、記憶回路248は、比較結果が有効か否かを示す比較結果有効フラグを格納し、第1入力回路200および第2入力回路210へと出力してもよい。例えば、記憶回路248は、装置2の電源投入後またはリセット後等においては、比較回路230による比較がまだ行われていないことから、比較結果有効フラグを「無効」を示す値とする。記憶回路248は、比較回路230の比較結果の取得をタイミング検出回路244から指示されたこと(例えばタイミング検出回路244から取得タイミングを受け取ったこと)に応じて、比較結果有効フラグを「有効」を示す値とする。
【0044】
第1入力回路200および第2入力回路210内の選択器208および選択器218は、比較結果有効フラグが「無効」を示す場合には、入力検出器204および入力検出器214の出力を選択する。第1入力回路200および第2入力回路210内の選択器208および選択器218は、比較結果有効フラグが「有効」を示す場合には、比較回路230の比較結果に応じて入力検出器206aおよび入力検出器216aの出力、または入力検出器206bおよび入力検出器216bの出力を選択する。これにより、装置2は、複数種類の電圧仕様のうちいずれが用いられているかをまだ判定していない状態において、入力検出器204および入力検出器214を用いて第1外部端子および第2外部端子の信号値を使用することができる。
【0045】
また、装置2は、比較回路230の比較結果に応じて選択器208および選択器218の出力を選択することにより通信インタフェースの電圧仕様を自動的に選択する機能に加えて、電圧仕様の自動選択機能を無効化して電圧仕様を固定的に設定する機能を有してよい。例えば、装置2は、通信インタフェースの電圧指定値と、自動選択機能が有効か否かを示す自動設定有効フラグの値とに基づいて、自動選択機能を有効とするか否か、および自動選択機能を無効とする場合にどの電圧仕様を選択するかを設定してよい。
【0046】
例えば、自動設定有効フラグが「有効」を示す場合には、選択器208は、上述のように、比較回路230の比較結果(記憶回路248に記憶された比較結果)に応じて複数の入力検出器206(またはこれに加えて入力検出器204)のいずれの入力検出器が出力した信号値を第1入力回路200の出力とするかを選択する。同様にして、選択器218は、複数の入力検出器216(またはこれに加えて入力検出器214)のいずれの入力検出器が出力した信号値を第2入力回路210の出力とするかを選択する。
【0047】
自動設定有効フラグが「無効」を示す場合には、選択器208は、電圧指定値に応じて複数の入力検出器206(またはこれに加えて入力検出器204)のいずれの入力検出器が出力した信号値を第1入力回路200の出力とするかを選択する。同様にして、選択器218は、複数の入力検出器216(またはこれに加えて入力検出器214)のいずれの入力検出器が出力した信号値を第2入力回路210の出力とするかを選択する。ここで、電圧指定値は、複数の入力検出器206(またはこれに加えて入力検出器204)のいずれかを指定する選択値であってもよい。
【0048】
装置2は、電圧指定値および自動設定有効フラグを記憶回路248または内部の他のレジスタ等に格納してよい。装置2は、通信インタフェースまたは他のインタフェースを介して他の装置から電圧指定値および自動設定有効フラグを受け取って、内部に格納してよい。なお、装置2は、装置2の電源投入後またはリセット後等においては自動設定有効フラグを「有効」としてよい。
【0049】
この場合、他の装置は、装置2内での電圧仕様の自動設定が完了したことに応じて、通信インタフェースを介して記憶回路248の比較結果を読み出し、通信インタフェースを介して比較結果に応じた電圧指定値を装置2に設定して装置2の自動設定有効フラグを「無効」に設定してよい。これにより、第1入力回路200および第2入力回路210は、一旦自動選択機能で選択された入力検出器の出力を、他の装置による設定以後に固定的に出力し続けることができる。
【0050】
なお、通信インタフェースの電圧仕様が既知である場合には、他の装置は、装置2の記憶回路248に格納された比較結果を読み出すこと無しに、通信インタフェースを介して電圧指定値を装置2に設定して自動設定有効フラグを「無効」に設定してもよい。これにより、装置2は、電圧仕様が自動設定済の通信インタフェースを介して、電圧指定値を正しく受け取ることができる。
【0051】
図3は、本実施形態に係る装置2の動作フローを示す。S300において、第1通信線および第2通信線は、信号値が論理Hとなり、電圧がハイレベルとなる。例えばI
2Cインタフェースの場合、各通信線は、プルアップ抵抗を介して電圧仕様に応じた電源電圧V
DD(1.8V系であれば1.8V、1.2V系であれば1.2V)にプルアップされる。第1通信線および第2通信線に接続されたいずれの装置も通信を開始していない状態において、全ての装置は、各通信線を開放するので、各通信線の電圧は電源電圧V
DDまで上昇する。
【0052】
これにより、第1通信線からの信号の電圧は第1電圧を超えるので、入力検出器204は、論理Hを出力する。また、第2通信線からの信号の電圧は第2電圧を超えるので、入力検出器214は、論理Hを出力する。
【0053】
S310において、取得回路240内のタイミング検出回路244は、入力検出器204が検出した第1通信線の信号値および入力検出器214が検出した第2通信線の信号値を用いて、比較回路230が出力する比較結果を取得するタイミングを決定する。本実施形態において、タイミング検出回路244は、入力検出器214の出力を用いて第2通信線からの信号が変化するまで待ち(S310でNo)、第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて比較結果の取得タイミングを決定する(S310のYes)。
【0054】
S320において、取得回路240内の記憶回路248は、タイミング検出回路244が決定した取得タイミングにおいて、比較回路230が基準電圧と第1通信線の電圧とを比較した比較結果を取得する。ここで、I2Cインタフェースにおいては、第1通信線からの信号が論理Hである期間中に第2通信線からの信号が論理Hから論理Lへと変化することにより開始条件(Start Condition)となり、通信が開始される。したがって、第1通信線からの信号が論理Hである期間中に第2通信線からの信号が論理Hから論理Lへと変化する変化タイミングは、I2Cインタフェースの仕様上第1通信線の信号値が必ずハイレベルとなるタイミングである。そこで、本実施形態に係る取得回路240は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて比較結果を取得する。
【0055】
S330、S340、およびS350において、第1入力回路200および第2入力回路210は、取得回路240に取得された比較結果に応じて判定閾値を調整する。第1通信線の電圧(図中「SCL電圧」)が基準電圧(例えば1.4V)を超える旨の比較結果が取得された場合(S330のYes)、第1入力回路200内の選択器208および第2入力回路210内の選択器218は、入力検出器206aおよび入力検出器216a(「第1入力検出器」とも示す。)が出力した信号値を第1入力回路200および第2入力回路210の出力として選択する。第1通信線の電圧が基準電圧以下である旨の比較結果が取得された場合(S330のNo)、第1入力回路200内の選択器208および第2入力回路210内の選択器218は、入力検出器206bおよび入力検出器216b(第2入力検出器)が出力した信号値を第1入力回路200および第2入力回路210の出力として選択する。これにより、第1入力回路200および第2入力回路210は、判定閾値を調整することができる。
【0056】
S360において、第1入力回路200および第2入力回路210は、調整後の判定閾値を用いて、第2通信線の信号値が論理Lであり、かつ第1通信線の信号値が論理Hから論理Lとなったことを検出する(S360のYes)。これにより、信号SCLINおよびSDAINを受け取る装置2内の他の回路は、開始条件の期間が終了したと判断する。S370において、第1入力回路200および第2入力回路210は、調整後の判定閾値を用いて第1通信線および第2通信線の信号値を検出し、装置2内の他の回路は、第1入力回路200からの信号SCLINおよび第2入力回路210からのSDAINを用いてデータを受信する。
【0057】
図4は、本実施形態に係る装置2の動作タイミングを示す。時刻t1より前は、第1通信線の電圧が第1電圧を超え(論理H)、第2通信線の電圧が第2電圧を超える(論理H)状態である(
図3のS300に対応)。時刻t1において、第2通信線からの信号が論理Hから論理Lへと変化して開始条件の期間となると(S310のYesに対応)、取得回路240は、比較回路230による比較結果を取得する(S320)。第1入力回路200および第2入力回路210は、取得された比較結果に応じて判定閾値を調整する(S330、S340、およびS350)。
【0058】
時刻t2において第1信号線からの信号が論理Hから論理Lへと変化すると、開始条件の期間は終了する(S360のYes)。時刻t2以降で第1通信線および第2通信線を用いたデータ転送が行われ、第1入力回路200および第2入力回路210は、調整された判定閾値を用いて第1通信線および第2通信線の信号を受け取って、信号SCLINおよびSDAINとして装置2内の他の回路へと出力する。時刻t3において、第1通信線からの信号が論理Hである期間中に第2通信線からの信号が論理Lから論理Hへと立ち上がると、終了条件(Stop Condition)となり、データ転送は終了する。
【0059】
その後、時刻t1'において、第2通信線からの信号が論理Hから論理Lへと変化して次の開始条件の期間となると、取得回路240は、比較回路230による比較結果を取得する。そして、第1入力回路200および第2入力回路210は、新たに取得された比較結果に応じて判定閾値を調整する。
【0060】
本実施形態に係る取得回路240は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて、比較回路230の比較結果を取得する。これは、記憶回路248が第2通信線からの信号の変化タイミングと同時またはほぼ同時に比較回路230の比較結果を取得することに限られない。例えば、記憶回路248は、変化タイミングに応じて、予め定められた遅延時間の後時刻t2またはそれより前に、比較結果を取得してもよい。
【0061】
また、本実施形態に係る取得回路240は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超え、かつ第2通信線からの信号の電圧が第2電圧以下である期間内に比較結果を取得してよい。例えば、取得回路240は、図中の時刻t1からt2までの間の任意のタイミングで比較結果を取得してよい。例えばタイミング検出回路244は、「(入力検出器204の出力論理値) AND NOT(入力検出器214の出力論理値)」の立ち上がりタイミングを比較結果の取得タイミングとして出力してよく、この立ち上がりタイミングを予め定められた時間遅延させて比較結果の取得タイミングとして出力してよい。
【0062】
また、取得回路240は、第1通信線が論理Hから論理Lへと立ち下がる前または直前の第1通信線の電圧に応じた比較結果を取得してもよい。例えば、タイミング検出回路244は、「(入力検出器204の出力論理値) AND NOT(入力検出器214の出力論理値)」の立ち下がりタイミングを比較結果の取得タイミングとして出力してよく、記憶回路248は、取得タイミングにおいて、比較回路230からの比較結果を予め定められた遅延時間遅延させた値を取得してよい。
【0063】
なお、通信インタフェースの仕様に応じて、取得回路240は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間内に比較結果を取得する取得タイミングを決定してよい。例えば、取得回路240は、通信インタフェースの仕様によっては、第2通信線が論理Lから論理Hへと立ち上がる変化タイミングに応じて、比較回路230の比較結果を取得してもよい。
【0064】
図5は、
図2の装置2の変形例に係る装置502の構成を示す。本図において、
図2の装置2と同様の機能および構成を有する構成要素については同一の符号を付し、以下相違点を除いて説明を省略する。
【0065】
装置502は、取得回路240に代えて取得回路540を備える。取得回路540は、取得回路240の機能に加えて、比較回路230による比較動作の停止、入力検出器204および入力検出器214による信号の検出動作の停止、並びに入力検出器206a~bおよび入力検出器216a~bによる信号の検出動作の停止を指示する機能を有する。取得回路540は、これらの機能のうちのいずれか1つまたは2以上を有してもよい。取得回路540は、タイミング検出回路544と、記憶回路548とを有する。
【0066】
タイミング検出回路544は、第1入力回路200内の入力検出器204と、第2入力回路210内の入力検出器214とに接続される。タイミング検出回路544は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間内の比較期間に比較動作を行うことを比較回路230に指示する。タイミング検出回路544は、比較期間以外の期間においては、比較動作を停止することを比較回路230に指示する。比較回路230は、タイミング検出回路544からの指示を受けて、比較動作を実行および停止する。
【0067】
タイミング検出回路544は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間全体またはその一部である比較期間に比較動作を行うことを比較回路230に指示してよい。これに代えて、タイミング検出回路544は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超え、かつ第2通信線からの信号の電圧が第2電圧以下である期間全体またはその一部である比較期間に比較動作を行うことを比較回路230に指示してよい。また、タイミング検出回路544は、記憶回路548が比較結果の取得を終えた後に比較期間を終了させてもよい。
【0068】
比較回路230は、比較動作の停止中には、比較動作を実行する通常モードと比較して消費電力が小さい低消費電力モードに遷移してよい。これに代えて、比較回路230は、比較動作の停止中は電源オフとされてもよい。
【0069】
また、タイミング検出回路544は、タイミング検出回路244と同様に、入力検出器204が検出した第1通信線の信号値および入力検出器214が検出した第2通信線の信号値を用いて、比較回路230が出力する比較結果を取得するタイミングを決定する。タイミング検出回路544は、比較期間の開始から予め定められたマージン時間の経過後の、比較結果の値が安定するタイミングを取得タイミングとして決定してよい。
【0070】
記憶回路548は、比較回路230およびタイミング検出回路544に接続される。記憶回路548は、記憶回路248と同様に、比較回路230が出力する比較結果を、タイミング検出回路244により決定された取得タイミングで取得して記憶する。
【0071】
複数の入力検出器206および複数の入力検出器216は、記憶回路548からの比較結果に応じて信号の検出動作を行うか否かを切り替えてよい。複数の入力検出器206のうち選択器208により出力が選択されなかった少なくとも1つの入力検出器206と、複数の入力検出器216のうち選択器218により出力が選択されなかった少なくとも1つの入力検出器216とは、信号値の検出動作を停止してよい。各入力検出器206および各入力検出器216は、信号値の検出動作の停止中には、信号値の検出動作を実行する通常モードと比較して消費電力が小さい低消費電力モードに遷移してよい。これに代えて、各入力検出器206および各入力検出器216は、信号値の検出動作の停止中は電源オフとされてもよい。
【0072】
入力検出器204および入力検出器214は、記憶回路548からの比較結果に応じて信号値の検出動作を行うか否かを切り替えてよい。入力検出器204および入力検出器214は、選択器208および選択器218により選択されている場合に信号値の検出動作を実行し、選択器208および選択器218により選択されていない場合には信号値の検出動作を停止してよい。入力検出器204および入力検出器214は、取得回路540の指示に応じて、通信インタフェースから終了条件を示す信号を受け取ったことに応じて信号値の検出動作を開始し、記憶回路548による比較結果の取得タイミングの後、または通信インタフェースからの開始条件の終了後に信号値の検出動作を停止してよい。
【0073】
入力検出器204および入力検出器214は、信号値の検出動作の停止中には、信号値の検出動作を実行する通常モードと比較して消費電力が小さい低消費電力モードに遷移してよい。これに代えて、入力検出器204および入力検出器214は、信号値の検出動作の停止中は電源オフとされてもよい。
【0074】
図6は、変形例に係る取得回路640の構成を示す。取得回路640は、
図2の取得回路240の変形例であるから、以下相違点を除き説明を省略する。
【0075】
取得回路640は、記憶回路648およびリセット回路644を有する。記憶回路648は、
図2の記憶回路248の代わりに用いられる。記憶回路648は、一例としてセット-リセット型フリップフロップであり、セット入力Sの立ち上がりでセットされて出力Qを論理Hとし、リセット入力Rの立ち上がりでリセットされて出力Qを論理Lとする。
【0076】
リセット回路644は、
図2のタイミング検出回路244の代わりに用いられる。リセット回路644は、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間中の第2通信線からの信号の変化タイミングに応じて立ち上がる信号を記憶回路648のリセット入力Rに入力する。これにより、記憶回路648は、取得済の比較結果(前回の比較結果)をリセットして出力を論理Lとする。例えば、リセット回路644は、「(入力検出器204の出力論理値) AND NOT(入力検出器214の出力論理値)」の立ち上がりタイミングに応じて予め定められた時間幅のパルスを出力する回路により構成されてよい。
【0077】
ここで、記憶回路648は、リセット後に比較回路230の出力(すなわち記憶回路648のセット入力S)が立ち上がったことに応じて第1通信線の電圧が基準電圧を超えた旨の新たな比較結果(論理Hの比較結果)を取得する。記憶回路648は、リセット後に比較回路230の出力が立ち上がらず論理Lのままであった場合には新たな比較結果を取得せず、その結果として第1通信線の電圧が基準電圧以下であった旨を示す比較結果(論理Lの比較結果)を出力する。
【0078】
以上に示した装置2および装置502によれば、通信インタフェースの2種類の電圧仕様のうち使用されている電圧仕様に応じて入力回路の判定閾値を調整することができる。3種類以上の電圧仕様をサポートするために、基準電圧生成回路220は、複数種類の電圧仕様の境界に応じた複数の閾値電圧を生成してよい。1または複数の比較回路230は、基準電圧生成回路220からの複数の閾値電圧を用いて、第1通信線の電圧が複数種類の電圧仕様に対応する複数の電圧範囲のいずれに属するかを示す比較結果を出力してよい。第1入力回路200および第2入力回路210は、複数種類の電圧仕様のそれぞれに対応する入力検出器206および入力検出器216を有してよい。選択器208および選択器218は、比較回路230による比較結果に応じて信号値の判定に用いる入力検出器206および入力検出器216を選択してよい。
【0079】
また、以上に示した装置2または装置502は、通信インタフェースとしてシリアルインタフェースを用いる。これに代えて、装置2または装置502は、通信インタフェースとしてパラレルインタフェースを用いてもよい。この場合、通信インタフェースは、1または2以上の第1通信線と、2以上の第2通信線とを有してよい。装置2または装置502は、通信インタフェースの仕様上、第1通信線からの信号の電圧が第1電圧を超える期間を各第1通信線および各第2通信線の信号値に基づいて特定し、そのタイミングにおける比較回路230の比較結果に応じて信号値の判定に用いる入力検出器206および入力検出器216を選択してよい。
【0080】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0081】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0082】
2 装置
200 第1入力回路
204 入力検出器
206a~b 入力検出器
208 選択器
210 第2入力回路
214 入力検出器
216a~b 入力検出器
218 選択器
220 基準電圧生成回路
230 比較回路
240 取得回路
244 タイミング検出回路
248 記憶回路
502 装置
540 取得回路
544 タイミング検出回路
548 記憶回路
640 取得回路
644 リセット回路
648 記憶回路