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特開2024-93324基板吸着部材、トップリング、および基板処理装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024093324
(43)【公開日】2024-07-09
(54)【発明の名称】基板吸着部材、トップリング、および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20240702BHJP
   B24B 37/12 20120101ALI20240702BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B24B37/30 A
B24B37/30 E
B24B37/12 D
H01L21/304 622H
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209628
(22)【出願日】2022-12-27
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【弁理士】
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】吉田 篤史
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA12
3C158EA13
3C158EA14
3C158EB01
3C158ED00
5F057AA05
5F057AA32
5F057BA15
5F057BA21
5F057BA30
5F057CA12
5F057DA03
5F057FA13
5F057FA19
5F057FA20
(57)【要約】
【課題】基板の周縁部に破損が生じるのを抑制して安定的に基板を保持する。
【解決手段】基板吸着部材330は、基板WFを吸着するための基板吸着面334aおよび減圧手段31と連通する減圧部334bを有する多孔質部材334と、多孔質部材334の基板吸着面334aとは反対側の面334cを遮蔽する遮蔽部材332と、多孔質部材334を囲むように配置された袋部材336であって、気体供給源331と連通される、袋部材336と、を含む。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材と、
前記多孔質部材の前記基板吸着面とは反対側の面を遮蔽する遮蔽部材と、
前記多孔質部材を囲むように配置された袋部材であって、気体供給源と連通される、袋部材と、
を含む、基板吸着部材。
【請求項2】
前記袋部材は、前記多孔質部材と接触する内周側壁と、基板と接触する底壁と、を有する、
請求項1に記載の基板吸着部材。
【請求項3】
前記底壁は、前記多孔質部材を囲むように配置された複数の孔、または前記多孔質部材を囲むように形成されたスリット、を有する、
請求項2に記載の基板吸着部材。
【請求項4】
前記袋部材は、前記内周側壁と対向する外周側壁をさらに有し、
前記袋部材の内部空間には、前記内周側壁および前記外周側壁の少なくとも一方に、前記袋部材よりも剛性が高い補強部材が取り付けられる、
請求項3に記載の基板吸着部材。
【請求項5】
前記袋部材の外周側壁を囲むように配置され、前記袋部材の外周方向への膨らみを規制するように構成された規制部材をさらに含む、
請求項4に記載の基板吸着部材。
【請求項6】
基板を保持するためのトップリングであって、
回転シャフトと、
前記回転シャフトに連結されたキャリアと、
前記キャリアに取り付けられた請求項1から5のいずれか一項に記載の基板吸着部材と、
を含む、トップリング。
【請求項7】
前記キャリアと前記遮蔽部材との間には、前記基板を加圧するための加圧空間が形成され、
前記加圧空間には、前記基板の複数の領域をそれぞれ加圧するための複数の加圧室を形成するように構成された複数の弾性膜が設けられる、
請求項6に記載のトップリング。
【請求項8】
研磨面を有する研磨パッドが貼付される研磨テーブルと、
基板を保持して前記研磨面に押圧するように構成された請求項6に記載のトップリングと、
前記研磨パッド上に研磨液を供給するように構成された研磨液供給ノズルと、
を含む、基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、基板吸着部材、トップリング、および基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造に、基板の表面を平坦化するために化学機械研磨(CMP)装置が使用されている。半導体デバイスの製造に使用される基板は、多くの場合、円板形状である。また、半導体デバイスに限らず、CCL基板(Copper Clad Laminate基板)やPCB(Printed Circuit Board)基板、フォトマスク基板、ディスプレイパネルなどの四角形の基板の表面を平坦化する際の平坦度の要求も高まっている。また、PCB基板などの電子デバイスが配置されたパッケージ基板の表面を平坦化することへの要求も高まっている。
【0003】
化学機械研磨装置などの基板処理装置は、基板を保持するためのトップリングを含む。例えば特許文献1に記載されているように、トップリングは、回転軸と、回転軸に連結されたフランジと、フランジの下面中央に形成された開口に嵌合された多孔質の吸着板と、吸着板の上面に貼り付けられた遮蔽板とを含む。このトップリングは、真空吸引によって吸着板の微細孔を介して基板を吸着し、かつ、遮蔽板に圧力を加えることによって基板を研磨パッドに押圧するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3668529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているような従来技術のトップリングは、基板の周縁部に破損が生じるのを抑制して安定的に基板を保持することについては考慮されていない。
【0006】
すなわち、従来技術では、多孔質の吸着板から真空が抜けないように、吸着板の上面には遮蔽板が設けられ、吸着板の側面には基板保持具が設けられている。これに加えて、吸着板の下面全体が基板に塞がれるように、吸着板のサイズは基板よりも僅かに小さくなっているので、基板の周縁部は基板保持具に接触するようになっている。したがって、例えば薄型ガラス基板のような脆弱な基板は、吸着時に基板の周縁部が基板保持具と接触し、基板保持具からの反力により破損するおそれがある。
【0007】
このような基板の周縁部の破損を防ぐために基板保持具の下面の位置を高くすると、吸着板の側面から真空が抜けて基板を安定して吸着できないおそれがある。
【0008】
そこで、本願は、基板の周縁部に破損が生じるのを抑制して安定的に基板を保持することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施形態によれば、基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材と、前記多孔質部材の前記基板吸着面とは反対側の面を遮蔽する遮蔽部材と、前記多孔質部材を囲むように配置された袋部材であって、気体供給源と連通される、袋部材と、を含む、基板吸着部材が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態による、基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
図2】一実施形態による、研磨ユニットの構成を概略的に示す斜視図である。
図3A】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
図3B】一実施形態のトップリングを概略的に示す平面図である。
図4】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図5A】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図5B図5Aのトップリングの一部を拡大して概略的に示す平面図である。
図6A】一実施形態のトップリングの一部を概略的に示す断面図である。
図6B図6Aのトップリングの一部を拡大して概略的に示す平面図である。
図7】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図8A】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図8B】一実施形態のトップリングを概略的に示す平面図である。
図9】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図10A】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
図10B図10Aのトップリングを概略的に示す平面図である。
図10C図10Aのトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図10D】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
図10E】袋部材のグループ分けの変形例を概略的に示す平面図である。
図10F】袋部材のグループ分けの変形例を概略的に示す平面図である。
図10G】袋部材のグループ分けの変形例を概略的に示す平面図である。
図10H】袋部材のグループ分けの変形例を概略的に示す平面図である。
図11A】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
図11B図11Aのトップリングを概略的に示す平面図である。
図11C】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
図11D図11Cのトップリングを概略的に示す平面図である。
図11E図11Cのトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図12】一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
図13】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図14】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
図15】一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明に係る基板吸着部材、トップリング、および基板処理装置の実施形態を添付図面とともに説明する。添付図面において、同一または類似の要素には同一または類似の参照符号が付され、各実施形態の説明において同一または類似の要素に関する重複する説明は省略することがある。また、各実施形態で示される特徴は、互いに矛盾しない限り他の実施形態にも適用可能である。
【0012】
図1は、一実施形態による基板処理装置1000の全体構成を示す平面図である。図1に示される基板処理装置1000は、ロードユニット100、搬送ユニット200、研磨ユニット300、乾燥ユニット500、およびアンロードユニット600を有する。図示の実施形態において、搬送ユニット200は、2つの搬送ユニット200A、200Bを有し、研磨ユニット300は、2つの研磨ユニット300A、300Bを有する。一実施形態において、これらの各ユニットは、独立に形成することができる。これらのユニットを独立して形成することで、各ユニットの数を任意に組み合わせることで異なる構成の基板処理装置1000を簡易に形成することができる。また、基板処理装置1000は、制御装置900を備え、基板処理装置1000の各構成要素は制御装置900により制御される。一実施形態において、制御装置900は、入出力装置、演算装置、記憶装置などを備える一般的なコンピュータから構成することができる。
【0013】
<ロードユニット>
ロードユニット100は、研磨および洗浄などの処理が行われる前の基板WFを基板処理装置1000内へ導入するためのユニットである。一実施形態において、ロードユニット100は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0014】
図示の実施形態において、ロードユニット100の搬送機構は、複数の搬送ローラ202と、搬送ローラ202が取り付けられる複数のローラシャフト204とを有する。図1に示される実施形態においては、各ローラシャフト204には3つの搬送ローラ202が取り付けられている。基板WFは、搬送ローラ202上に配置され、搬送ローラ202が回転することで基板WFが搬送される。ローラシャフト204上の搬送ローラ202の取り付け位置は、基板WFを安定的に搬送することができる位置であれば任意とすることができる。ただし、搬送ローラ202は基板WFに接触するので、処理対象である基板WFに接触しても問題の無い領域に搬送ローラ202が接触するように配置すべきである。一実施形態において、ロードユニット100の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから構成することができる。一実施形態において、搬送ローラ202は、ローラシャフト204などを介して電気的に接地される。これは、基板WFが帯電して基板WFを損傷することを防止するためである。また、一実施形態において、ロードユニット100に、基板WFの帯電を防止するためにイオナイザー(図示せず)を設けてもよい。
【0015】
<搬送ユニット>
図1に示される基板処理装置1000は、2つの搬送ユニット200A、200Bを備えている。2つの搬送ユニット200A、200Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して搬送ユニット200として説明する。
【0016】
図示の搬送ユニット200は、基板WFを搬送するための複数の搬送ローラ202を備えている。搬送ローラ202を回転させることで、搬送ローラ202上の基板WFを所定の方向に搬送することができる。搬送ユニット200の搬送ローラ202は、導電性ポリマーから形成されても、導電性のないポリマーから形成されてもよい。搬送ローラ202は、図示していないモータにより駆動される。基板WFは、搬送ローラ202によって基板受け渡し位置まで搬送される。
【0017】
一実施形態において、搬送ユニット200は、洗浄ノズル284を有する。洗浄ノズル284は、図示しない洗浄液の供給源に接続される。洗浄ノズル284は、搬送ローラ202によって搬送される基板WFに洗浄液を供給するように構成される。
【0018】
<研磨ユニット>
図2は、一実施形態による研磨ユニット300の構成を概略的に示す斜視図である。図1に示される基板処理装置1000は、2つの研磨ユニット300A、300Bを備えている。2つの研磨ユニット300A、300Bは同一の構成とすることができるので、以下において、一括して研磨ユニット300として説明する。
【0019】
図2に示すように、研磨ユニット300は、研磨テーブル350と、研磨対象物である基板を保持して研磨テーブル350上の研磨面に押圧する研磨ヘッドを構成するトップリング302とを備えている。研磨テーブル350は、テーブルシャフト351を介してその下方に配置される研磨テーブル回転モータ(図示せず)に連結されており、テーブルシャフト351周りに回転可能になっている。研磨テーブル350の上面には研磨パッド352が貼付されており、研磨パッド352の表面352aが基板を研磨する研磨面を構成している。一実施形態において、研磨パッド352は、研磨テーブル350からの剥離を
容易にするための層を介して貼り付けられてもよい。そのような層は、たとえばシリコーン層やフッ素系樹脂層などがあり、例えば特開2014-176950号公報などに記載されているものを使用してもよい。
【0020】
研磨テーブル350の上方には研磨液供給ノズル354が設置されており、この研磨液供給ノズル354によって研磨テーブル350上の研磨パッド352上に研磨液が供給されるようになっている。また、図2に示されるように、研磨テーブル350およびテーブルシャフト351には、研磨液を供給するための通路353が設けられている。通路353は、研磨テーブル350の表面の開口部355に連通している。研磨テーブル350の開口部355に対応する位置において研磨パッド352には貫通孔357が形成されており、通路353を通る研磨液は、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357から研磨パッド352の表面に供給される。なお、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357は、1つであっても複数でもよい。また、研磨テーブル350の開口部355および研磨パッド352の貫通孔357の位置は任意であるが、一実施形態においては研磨テーブル350の中心付近に配置される。
【0021】
図2には示されていないが、一実施形態において、研磨ユニット300は、液体、または、液体と気体との混合流体、を研磨パッド352に向けて噴射するためのアトマイザ358を備える(図1参照)。アトマイザ358から噴射される液体は、例えば、純水であり、気体は、例えば、窒素ガスである。
【0022】
トップリング302は、トップリングシャフト18に接続されており、このトップリングシャフト18は、上下動機構319により揺動アーム360に対して上下動するようになっている。このトップリングシャフト18の上下動により、揺動アーム360に対してトップリング302の全体を上下動させ位置決めするようになっている。トップリングシャフト18は、図示しないトップリング回転モータの駆動により回転するようになっている。トップリングシャフト18の回転により、トップリング302がトップリングシャフト18を中心にして回転するようになっている。
【0023】
トップリング302は、その下面に四角形の基板を保持できるようになっている。揺動アーム360は支軸362を中心として旋回可能に構成されている。トップリング302は、揺動アーム360の旋回により、上述の搬送ユニット200の基板受け渡し位置と研磨テーブル350の上方との間で移動可能である。トップリングシャフト18を下降させることで、トップリング302を下降させて基板を研磨パッド352の表面(研磨面)352aに押圧することができる。このとき、トップリング302および研磨テーブル350をそれぞれ回転させ、研磨テーブル350の上方に設けられた研磨液供給ノズル354から、および/または、研磨テーブル350に設けられた開口部355から研磨パッド352上に研磨液を供給する。このように、基板WFを研磨パッド352の研磨面352aに押圧して基板の表面を研磨することができる。基板WFの研磨中に、トップリング302が研磨パッド352の中心を通過するように(研磨パッド352の貫通孔357を覆うように)、アーム360を固定あるいは揺動させてもよい。
【0024】
トップリングシャフト18およびトップリング302を上下動させる上下動機構319は、軸受321を介してトップリングシャフト18を回転可能に支持するブリッジ28と、ブリッジ28に取り付けられたボールねじ32と、支柱130により支持された支持台29と、支持台29上に設けられたACサーボモータ38とを備えている。サーボモータ38を支持する支持台29は、支柱130を介して揺動アーム360に固定されている。
【0025】
ボールねじ32は、サーボモータ38に連結されたねじ軸32aと、このねじ軸32a
が螺合するナット32bとを備えている。トップリングシャフト18は、ブリッジ28と一体となって上下動するようになっている。したがって、サーボモータ38を駆動すると、ボールねじ32を介してブリッジ28が上下動し、これによりトップリングシャフト18およびトップリング302が上下動する。
【0026】
一実施形態による研磨ユニット300は、研磨パッド352の研磨面352aをドレッシングするドレッシングユニット356を備えている。このドレッシングユニット356は、研磨面352aに摺接されるドレッサ50と、ドレッサ50が連結されるドレッサシャフト51と、ドレッサシャフト51の上端に設けられたエアシリンダ53と、ドレッサシャフト51を回転自在に支持する揺動アーム55とを備えている。ドレッサ50の下部はドレッシング部材50aにより構成され、このドレッシング部材50aの下面には針状のダイヤモンド粒子が付着している。エアシリンダ53は、支柱56により支持された支持台57上に配置されており、これらの支柱56は揺動アーム55に固定されている。
【0027】
揺動アーム55は図示しないモータに駆動されて、支軸58を中心として旋回するように構成されている。ドレッサシャフト51は、図示しないモータの駆動により回転し、このドレッサシャフト51の回転により、ドレッサ50がドレッサシャフト51周りに回転するようになっている。エアシリンダ53は、ドレッサシャフト51を介してドレッサ50を上下動させ、ドレッサ50を所定の押圧力で研磨パッド352の研磨面352aに押圧する。
【0028】
研磨パッド352の研磨面352aのドレッシングは次のようにして行われる。ドレッサ50はエアシリンダ53により研磨面352aに押圧され、これと同時に図示しない純水供給ノズルから純水が研磨面352aに供給される。この状態で、ドレッサ50をドレッサシャフト51周りに回転させるとともに揺動アーム55を研磨面352a上で揺動させ、ドレッシング部材50aの下面(ダイヤモンド粒子)を研磨面352aに摺接させる。このようにして、ドレッサ50により研磨パッド352が削り取られ、研磨面352aがドレッシングされる。
【0029】
<乾燥ユニット>
乾燥ユニット500は、基板WFを乾燥させるための装置である。図1に示される基板処理装置1000においては、乾燥ユニット500は、研磨ユニット300で研磨された後に、搬送ユニット200の洗浄ノズル284を含む洗浄部で洗浄された基板WFを乾燥させる。図1に示されるように、乾燥ユニット500は、搬送ユニット200の下流に配置される。乾燥ユニット500は、搬送ローラ202上を搬送される基板WFに向けて気体を噴射するためのノズル530を有する。気体は、たとえば圧縮された空気または窒素とすることができる。搬送される基板WF上の水滴を乾燥ユニット500によって吹き飛ばすことで、基板WFを乾燥させることができる。
【0030】
<アンロードユニット>
アンロードユニット600は、研磨および洗浄などの処理が行われた後の基板WFを基板処理装置1000の外へ搬出するためのユニットである。図1に示される基板処理装置1000においては、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500で乾燥された後の基板を受け入れる。図1に示されるように、アンロードユニット600は、乾燥ユニット500の下流に配置される。一実施形態において、アンロードユニット600は、SMEMA(Surface Mount Equipment Manufacturers Association)の機械装置インタフェース規格(IPC-SMEMA-9851)に準拠するように構成される。
【0031】
<トップリング>
次に、一実施形態による研磨ユニット300におけるトップリング302について説明
する。図3Aは、一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。図3Bは、一実施形態のトップリングを概略的に示す平面図である。図4は、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
【0032】
図3Aおよび図3Bに示すように、トップリング302は、トップリングシャフト(回転シャフト)18と、トップリングシャフト18に連結されたキャリア301と、を含む。また、トップリング302は、被研磨面を下方に向けた状態の基板WFの裏面を吸着するための基板吸着部材330を含む。
【0033】
基板吸着部材330は、キャリア301の下面に取り付けられる。基板吸着部材330は、矩形の多孔質部材334を含む。多孔質部材334は、減圧手段(真空源)31を用いた真空引きによって基板WFを真空吸着することができる部材であればよく、例えばPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、またはPVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂に多数の細孔が形成された樹脂ポーラス材で構成することができる。多孔質部材334は、本実施形態では板状に形成されており、基板WFを吸着するための基板吸着面334aおよび減圧手段(真空源)31と連通する減圧部334bを有する。減圧部334bは、気体流路312を介して減圧手段31と連通する。図3Bに示すように、減圧部334bは、多孔質部材334の4辺に設けられる。また、減圧部334bは、基板WFを基板吸着部材330から剥がすときに気体(例えばN2)を多孔質部材334に供給するために、気体流路312を介して気体供給源331と連通する。
【0034】
また、基板吸着部材330は、多孔質部材334の基板吸着面334aとは反対側の面334cを遮蔽する遮蔽部材332を含む。遮蔽部材332は、気体の流れを遮蔽することができる気密な部材であればよく、例えば比較的軟質なPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、またはPVC(ポリ塩化ビニル)などの樹脂板で形成することができる。
【0035】
キャリア301と遮蔽部材332との間には、基板WFを加圧するための加圧空間322が形成される。加圧空間322には、基板WFの複数の領域をそれぞれ加圧するための加圧室を形成するように構成された弾性膜320が設けられる。具体的には、弾性膜320は、面積が異なり積層される複数枚の弾性膜320-1、320-2、320-3を含む。弾性膜320-1、320-2、320-3の端部を異なる場所に固定することによって、キャリア301と弾性膜320-1、320-2、320-3との間には、基板WFを加圧するための同心状の複数の加圧室が形成される。複数の加圧室に供給する流体の圧力を調整することによって複数の加圧室の圧力を調整することができる。複数の加圧室を形成することによって、研磨パッド352に対する基板WFの押圧力をエリアごとにコントロールすることができる。
【0036】
また、基板吸着部材330は、多孔質部材334を囲むように配置された袋部材(エアバッグ)336を含む。袋部材336は、弾性膜によって形成される。図4に示すように、袋部材336は、弾性膜の両端部を固定部材337に折り込んで、固定部材337を遮蔽部材332の下面にボルト339で接続することによって、多孔質部材334の周囲に固定される。図3Bに示すように、固定部材337は、多孔質部材334を囲むように配置された複数のボルト339によって遮蔽部材332に固定される。袋部材336は、多孔質部材334の側面と接触する内周側壁336-1と、基板WFと接触する底壁336-2と、内周側壁336-1と対向する外周側壁336-3と、を有する。図3Aに示すように、袋部材336は、袋部材336の内部空間と連通する気体流路338を介して気体供給源331と連通される。気体供給源331から袋部材336の内部空間に気体(例えばN2)を供給することにより、底壁336-2で基板WFを押圧することができる。
また、袋部材336は、以下の実施形態で説明するように基板WFを吸着するために用いられる場合には、減圧手段31と連通していてもよい。
【0037】
本実施形態によれば、基板吸着部材330の周囲に弾性を有する袋部材336が配置される。したがって、割れ易く脆弱な基板WF(例えば薄型ガラス基板)を吸着するときに基板WFの周縁部が袋部材336に接触しても、基板WFの周縁部が破損するのを抑制することができる。
【0038】
これに加えて、袋部材336は、多孔質部材334の側面と接触する内周側壁336-1を有する。これにより、多孔質部材334の側面は袋部材336の内周側壁336-1により塞がれる。これに加えて、多孔質部材334の上面は遮蔽部材332により塞がれ、多孔質部材334の下面は基板WFにより塞がれる。したがって、本実施形態によれば、多孔質部材334から真空が抜けるのを抑制することができるので、安定的に基板WFを保持することができる。なお、内周側壁336-1および外周側壁336-3の少なくとも一方には、袋部材336の型崩れを抑制するために窪み(例えば図4に示す窪み336-3a)が形成されていてもよい。
【0039】
以下、トップリングの他の実施形態について説明する。以下の説明では、上記の実施形態と重複する構成については説明を省略する。図5Aは、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。図5Bは、図5Aのトップリングの一部を拡大して概略的に示す平面図である。
【0040】
図5Aに示すように、袋部材336の内部空間には、内周側壁336-1および外周側壁336-3に、袋部材336よりも剛性が高い補強部材335が取り付けられてもよい。補強部材335は、例えばステンレスなどの金属によって形成された板状部材であってもよい。補強部材335を設けることによって、袋部材336の型崩れを抑制することができる。なお、本実施形態では、内周側壁336-1および外周側壁336-3に補強部材335が取り付けられる例を示したが、これに限らず、内周側壁336-1および外周側壁336-3の少なくとも一方に補強部材335が取り付けられてもよい。
【0041】
また、図5A図5Bに示すように、底壁336-2は、多孔質部材334を囲むように配置された複数の孔336aを有していてもよい。底壁336-2に複数の孔336aが形成されている場合、袋部材336は、図3Aに示す気体流路338を介して減圧手段31と連通してもよい。この場合、トップリング302は、多孔質部材334によって基板WFの中央部を吸着するのに加えて、複数の孔336aを介して基板WFの周縁部を吸着することができるので、より安定的に基板WFを保持することができる。なお、底壁336-2に複数の孔336aが形成されている場合にも、基板WF研磨時には、袋部材336に気体を供給することによって基板WFの周縁部を加圧することができる。
【0042】
図6Aは、一実施形態のトップリングの一部を概略的に示す断面図である。図6Bは、図6Aのトップリングの一部を拡大して概略的に示す平面図である。図6A図6Bに示すように、底壁336-2は、多孔質部材334を囲むように形成されたスリット336bを有していてもよい。底壁336-2にスリット336bを形成することによって、スリット336bを介して基板WFの周縁部をより強力に吸着することができる。また、スリット336bを形成することによって底壁336-2と基板WFとの接触面積が小さくなるので、基板WFを基板吸着部材330から剥がし易くすることができる。
【0043】
図7は、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。トップリング302は、袋部材336の外周側壁336-3を囲むように配置された規制部材341を含んでいてもよい。規制部材341は、外周側壁336-3を囲む板状部材であ
り、袋部材336の外周方向への膨らみを規制するように構成される。規制部材341を設けることによって、袋部材336に気体を供給したときに袋部材336が下方に膨らむので、効率よく基板WFを押圧したり、効率よく基板WFを袋部材336から剥がしたりすることができる。なお、本実施形態は、図5に示した実施形態に規制部材341を加える例を示したが、これに限らず、図3図4,および図6に示した実施形態に規制部材341を加えてもよい。
【0044】
上記の実施形態では多孔質部材334を用いて基板WFを吸着する例を示したが、これに限定されない。図8Aは、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。図8Bは、一実施形態のトップリングを概略的に示す平面図である。上記の実施形態と同様の構成には同様の符号を付している。
【0045】
図8A図8Bに示すように、トップリング1302は、遮蔽部材332の下面に取り付けられたハニカム構造吸着部材1334を含む。ハニカム構造吸着部材1334は、ハニカム構造部材1334-1と、ハニカム構造部材1334-1の下面に取り付けられた荷重分散板1334-2と、ハニカム構造部材1334-1の上面に取り付けられた背板1334-3と、を含む。ハニカム構造部材1334-1は、ハニカム構造を有する板状部材である。荷重分散板1334-2は、金属または樹脂によって形成された板状部材であり、ハニカム構造部材1334-1の中空部1334-1aに対応する位置に貫通孔1334-2aが形成される。背板1334-3は、気体流路312に連通する流路1334-3aが形成された板状部材である。流路1334-3aは、ハニカム構造部材1334-1の中空部1334-1aに連通する。
【0046】
本実施形態によれば、気体流路312を介して気体を吸引することによって、基板WFの全面をハニカム構造吸着部材1334で吸着することができるので、安定的に基板WFを保持することができる。また、本実施形態によれば、基板を吸着するための部材にハニカム構造を採用しているので、トップリング1302の高強度と軽量化を実現することができる。なお、本実施形態では、荷重分散板1334-2として、金属または樹脂によって形成された板状部材を採用する例を示したが、これに限定されず、上記の実施形態の多孔質部材334のような多孔質材料の板部材を採用することもできる。
【0047】
図9は、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。図9に示すように、上記実施形態の袋部材336とハニカム構造吸着部材1334とを組み合わせてもよい。すなわち、トップリング1302は、ハニカム構造吸着部材1334と、ハニカム構造吸着部材1334を囲むように配置された袋部材336と、を含んで構成されてもよい。本実施形態によれば、トップリング1302の高強度と軽量化を実現し、かつ、基板WFを吸着するときに基板WFの周縁部が破損するのを抑制することができる。
【0048】
図10Aは、一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。図10Bは、図10Aのトップリングを概略的に示す平面図である。図10Cは、図10Aのトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。図10Dは、一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【0049】
本実施形態のトップリング2302は、回転シャフト2018と、回転シャフト2018に連結されたキャリア2301と、を含む。また、トップリング2302は、気体供給源2331から供給される気体を用いて基板WFを押圧するように構成された複数の同一形状かつ同一サイズの袋部材(エアバッグ)2335と、気体供給源2331から供給された気体を複数の袋部材2335に分配するための流路を有する分配機構2305と、を含む。また、トップリング2302は、複数の袋部材2335の下部に設けられた吸着板2334を含む。分配機構2305は、複数の袋部材2335を保持するように構成され
複数の袋部材2335の内部空間に連通する連通路2307aが形成された袋部材ホルダ2307と、気体供給源2331から供給された気体を袋部材ホルダ2307の連通路2307aに分配するための分配部材2306と、を含む。
【0050】
複数の袋部材2335はそれぞれ、弾性膜によって形成され、基板WFの被押圧面に対向して二次元配列される。図10Aでは、説明の便宜上、袋部材2335を簡略化して図示しているが、図10Cに示すように、袋部材2335は、弾性膜の端部を袋部材ホルダ2307に折り込んでボルト2339で固定することにより、袋部材ホルダ2307に接続される。袋部材ホルダ2307と分配部材2306もボルト2339によって接続される。なお、袋部材2335は、袋部材2335の型崩れを抑制するために側壁に窪みが形成されていてもよい。
【0051】
図10Bに示すように、トップリング2302は、11個×11個=121個の袋部材2335を含む。これらの袋部材2335は、複数のグループに分けられる。この複数のグループは固定されたものではなく、基板WFの種類または研磨レシピなどに応じて変更される。例えば、図10A図10Bでは、袋部材2335は、同心状に配置されたグループ2335-1、2335-2、2335-3、グループ2335-4に分けられる。グループ2335-1は、中央の9個の袋部材2335を含む。グループ2335-2は、グループ2335-1の周囲の40個の袋部材2335を含む。グループ2335-3は、グループ2335-2の周囲の32個の袋部材2335を含む。グループ2335-4は、グループ2335-3の周囲の40個の袋部材2335を含む。袋部材2335をグループ分けして構成されたグループ2335-1、2335-2、2335-3、グループ2335-4を「第1の複数のグループA」とする。
【0052】
また、図10Dに示す例では、袋部材2335は、同心状に配置されたグループ2335-5、2335-6、2335-7、グループ2335-8に分けられる。グループ2335-5は、中央の1個の袋部材2335を含む。グループ2335-6は、グループ2335-5の周囲の8個の袋部材2335を含む。グループ2335-7は、グループ2335-6の周囲の72個の袋部材2335を含む。グループ2335-8は、グループ2335-7の周囲の40個の袋部材2335を含む。袋部材2335をグループ分けして構成されたグループ2335-5、2335-6、2335-7、グループ2335-8を「第2の複数のグループB」とする。本実施形態では、袋部材2335を同心状にグループ分けする例を示したが、これに限定されず、袋部材2335のグループ分けの態様(数や形状など)は任意である。図10E図10F図10G図10Hはそれぞれ、袋部材2335のグループ分けの変形例を概略的に示す平面図である。図10E図10Hは、袋部材2335を、グループ2335-9、10、11、12に分けた状態を示している。袋部材2335のグループ分けは、上述の「第1の複数のグループA」、「第2の複数のグループB」に限らず、図10E図10Hに示すように行うこともできる。すなわち、図10E図10Hに示すように、基板WFの4つの角部に対応する領域をそれぞれ1つのグループ(グループ2335-12)として押圧力をコントロールできるように袋部材2335をグループ分けすることができる。また、図10F図10Hに示すように、中央のグループ2335-9の外側にあり、かつ、基板WFの4つの角部の対応するグループ2335-12の内側にある袋部材2335を、グループ2335-10、11のように概略円環状にグループ分けしてもよい。また、本実施形態では、袋部材2335が平面視で概略四角形の形状を有する例を示したが、これに限らず、例えば六角形など他の形状を有していてもよい。
【0053】
分配機構2305の流路は、第1の複数のグループAに気体を分配するための第1の流路2306Aと、第2の複数のグループBに気体を分配するための第2の流路2306Bと、を切り替え可能に構成される。
【0054】
具体的には、分配機構2305は、分配部材2306として、第1の流路2306Aを有する第1の分配部材2306-1と、第2の流路2306Bを有する第2の分配部材2306-2と、を交換可能に構成される。図10Aは、分配部材2306として、第1の分配部材2306-1が用いられている状態を示している。図10Aに示すように、第1の流路2306Aは、グループ2335-1の袋部材2335に連通する流路2306-1aと、グループ2335-2の袋部材2335に連通する流路2306-1bと、グループ2335-3の袋部材2335に連通する流路2306-1cと、グループ2335-4の袋部材2335に連通する流路2306-1dと、を含む。流路2306-1a,b,c,dに供給する流体の圧力を調整することによって基板WFの押圧力をグループ2335-1,2,3,4ごとにコントロールすることができる。
【0055】
一方、図10Dは、分配部材2306として、第2の分配部材2306-2が用いられている状態を示している。図10Dに示すように、第2の流路2306Bは、グループ2335-5の袋部材2335に連通する流路2306-2aと、グループ2335-6の袋部材2335に連通する流路2306-2bと、グループ2335-7の袋部材2335に連通する流路2306-2cと、グループ2335-8の袋部材2335に連通する流路2306-2dと、を含む。流路2306-2a,b,c,dに供給する流体の圧力を調整することによって基板WFの押圧力をグループ2335-5,6,7,8ごとにコントロールすることができる。
【0056】
図10Aおよび図10Dに示すように、第1の分配部材2306-1と第2の分配部材2306-2とを交換することによって、複数の袋部材2335を取り換えることなく、基板WFの加圧エリアの調整を柔軟
に行うことができる。
【0057】
上記の実施形態では、第1の分配部材2306-1と第2の分配部材2306-2とを交換することを例に挙げて説明したが、これに限定されない。図11Aは、一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。図11Bは、図11Aのトップリングを概略的に示す平面図である。図11Cは、一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。図11Dは、図11Cのトップリングを概略的に示す平面図である。図11Eは、図11Cのトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。
【0058】
図11Aに示すように、分配部材2306は、袋部材ホルダ2307に連結される底壁2306aと、底壁2306aと間隔をあけて対向配置される天壁2306bと、底壁2306aおよび天壁2306bの周縁部を接続する側壁2306cと、を含む。また、分配部材2306は、底壁2306a、天壁2306bおよび側壁2306cに囲まれる空間2306eを隔てる四角の枠状の隔壁2306dを含む。分配機構2305は、隔壁2306dとして、第1の流路2306Aを形成するための第1の隔壁2306d-1,2,3と、第2の流路2306Bを形成するための第2の隔壁2306d-4,5,6と、を交換可能に構成される。
【0059】
図11A図11Bは、隔壁2306dとして、第1の隔壁2306d-1,2,3が用いられている状態を示している。第1の隔壁2306d-1,2,3を底壁2306aに取り付けることにより、図10Aと同様の第1の流路2306Aが形成されるので、第1の複数のグループAの袋部材2335に気体を分配することができる。
【0060】
図11C図11Dは、隔壁2306dとして、第2の隔壁2306d-4,5,6が用いられている状態を示している。第2の隔壁2306d-4,5,6を底壁2306aに取り付けることにより、図10Dと同様の第2の流路2306Bが形成されるので、第
2の複数のグループBの袋部材2335に気体を分配することができる。
【0061】
本実施形態によれば、第1の隔壁2306d-1,2,3と第2の隔壁2306d-4,5,6とを交換することによって、複数の袋部材2335を取り換えることなく、基板WFの加圧エリアの調整を柔軟に行うことができる。なお、図11A図11Cでは、説明の便宜上、隔壁2306dを簡略化して図示しているが、図11Eに示すように、隔壁2306d(例えば第2の隔壁2306d-4,5)は、ボルト2339によって底壁2306aに取り付けられおり、ボルト2339を外すことによって底壁2306aから取り外し可能になっている。また、分配部材2306と袋部材ホルダ2307もボルト2339によって接続されている。また、図11Eに示す底壁2306aの上面には予め、可能な限り多数の(四角形)環状溝を形成し、所望の複数の加圧エリアを形成するために必要とされる環状溝のみにシール材(パッキン)を介して隔壁2306dを設置するようにしてもよい。また、上述の実施形態では、第1の流路2306Aおよび第2の流路2306Bは、四角と四角環状の組み合わせとしたが、これに限定されない。例えば、図10E図10Hに示す変形例では、概略円形環状の流路および基板WFの角部(4個)や辺部(4辺)に対応するそれぞれ離間した島状の流路も形成されるように、分配部材2306または隔壁2306dが構成される。基板WFの角部や辺部ごとに、各島状の流路同士を分配部材2306の上流側で連通させることで同一の圧力を供給できる。
【0062】
上記の実施形態では、複数の袋部材2335の下部に吸着板2334を設け、吸着板2334を用いて基板WFを吸着保持する例を示したが、吸着板2334を設けなくてもよい。図12は、一実施形態のトップリングを概略的に示す断面図である。
【0063】
図12に示すように、複数の袋部材2335は、袋部材の底壁に穴2335aが形成されている。また、図12に示す例では、基板WFがトップリングから離脱するのを防止するために、複数の袋部材2335の周囲にリテーナリング2333が設けられる。リテーナリング2333は、リテーナリング2333の上部に設けられたエアバッグ2336によって加圧することができる。なお、穴2335aは、すべての袋部材2335の底壁に形成されるのではなく、一部の袋部材2335の底壁に形成されていてもよい。また袋部材2335の全てが同一形状かつ同一サイズなので、穴2335aを備えた袋部材2335の設置位置も所望の位置に容易に変更できる。
【0064】
また、図12に示すように、ロータリージョイントを内蔵した回転シャフト2018およびキャリア2301を介して複数の配管2340-1a~2340-5aが設けられている。これらの配管2340-1a~2340-5aは、気体供給源2331および減圧手段2031に接続されている。
【0065】
一方、分配部材2306には、袋部材2335に気体を分配するための流路に連通する複数の配管2340-1b~2340-4b、および、エアバッグ2336に気体を供給するための配管2340-5bが設けられている。分配部材2306の各流路の周囲にはOリング2326が配置されており、各流路間がシールされている。複数の配管2340-1a~2340-4aと複数の配管2340-1b~2340-4bをそれぞれ接続することによって、複数の袋部材2335から気体を吸引したり、複数の袋部材2335に気体を供給したりすることができる。これにより、トップリングは、基板WFを保持するときには袋部材の穴2335aを介して気体を吸引することによって基板WFを吸着することができる。一方、研磨を行うときには、複数の袋部材2335に供給する気体を調整することによって基板WFの加圧エリアの調整を柔軟に行うことができる。また、配管2340-5aと複数の配管2340-5bを接続することによって、エアバッグ2336を介してリテーナリング2333を押圧することができる。
【0066】
図13は、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。以
下の説明では、上述の実施形態と同様の構成については同様の符号を付している。図13に示すように、上記実施形態の袋部材336と、複数の袋部材2335および分配機構2305と、を組み合わせてもよい。すなわち、図13に示すように、トップリング3302は、分配機構2305と、複数の袋部材2335と、複数の袋部材2335の下部に配置された多孔質部材334と、多孔質部材334を囲むように配置された袋部材336と、を含んで構成されてもよい。本実施形態によれば、基板WFの加圧エリアの調整を柔軟に行い、かつ、基板WFを吸着するときに基板WFの周縁部が破損するのを抑制することができる。なお、図13以降の図では、袋部材2335が平面視で六角形の形状を有するとともに、側壁に型崩れを抑制するための窪みが形成されている例を示している。
【0067】
図14は、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。図14に示すように、上記実施形態の複数の袋部材2335および分配機構2305と、ハニカム構造吸着部材1334と、を組み合わせてもよい。すなわち、図14に示すように、トップリング4302は、分配機構2305と、複数の袋部材2335と、複数の袋部材2335の下部に配置されたハニカム構造吸着部材1334と、を含んで構成されてもよい。また、トップリング4302は、最外周の袋部材2335の周囲に配置され、袋部材2335の外周方向への膨らみを規制するための規制部材341を含んでいてもよい。本実施形態によれば、トップリング4302の高強度と軽量化を実現し、かつ、基板WFの加圧エリアの調整を柔軟に行うことができる。
【0068】
図15は、一実施形態のトップリングの一部を拡大して概略的に示す断面図である。図15に示すように、上記実施形態の複数の袋部材2335および分配機構2305と、ハニカム構造吸着部材1334と、袋部材336と、を組み合わせてもよい。すなわち、図15に示すように、トップリング5302は、分配機構2305と、複数の袋部材2335と、複数の袋部材2335の下部に配置されたハニカム構造吸着部材1334と、ハニカム構造吸着部材1334を囲むように配置された袋部材336と、を含んで構成されてもよい。本実施形態によれば、トップリング5302の高強度と軽量化を実現し、基板WFの加圧エリアの調整を柔軟に行い、かつ、基板WFを吸着するときに基板WFの周縁部が破損するのを抑制することができる。
【0069】
以上、いくつかの本発明の実施形態について説明してきたが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0070】

本願は、一実施形態として、基板を吸着するための基板吸着面および減圧手段と連通する減圧部を有する多孔質部材と、前記多孔質部材の前記基板吸着面とは反対側の面を遮蔽する遮蔽部材と、前記多孔質部材を囲むように配置された袋部材であって、気体供給源と連通される、袋部材と、を含む、基板吸着部材を開示する。
【0071】
さらに、本願は、一実施形態として、前記袋部材は、前記多孔質部材と接触する内周側壁と、基板と接触する底壁と、を有する、基板吸着部材を開示する。
【0072】
さらに、本願は、一実施形態として、前記底壁は、前記多孔質部材を囲むように配置された複数の孔、または前記多孔質部材を囲むように形成されたスリット、を有する、基板吸着部材を開示する。
【0073】
さらに、本願は、一実施形態として、前記袋部材は、前記内周側壁と対向する外周側壁
をさらに有し、前記袋部材の内部空間には、前記内周側壁および前記外周側壁の少なくとも一方に、前記袋部材よりも剛性が高い補強部材が取り付けられる、基板吸着部材を開示する。
【0074】
さらに、本願は、一実施形態として、前記袋部材の外周側壁を囲むように配置され、前記袋部材の外周方向への膨らみを規制するように構成された規制部材をさらに含む、基板吸着部材を開示する。
【0075】
さらに、本願は、一実施形態として、基板を保持するためのトップリングであって、回転シャフトと、前記回転シャフトに連結されたキャリアと、前記キャリアに取り付けられた上記に記載の基板吸着部材と、を含む、トップリングを開示する。
【0076】
さらに、本願は、一実施形態として、前記キャリアと前記遮蔽部材との間には、前記基板を加圧するための加圧空間が形成され、前記加圧空間には、前記基板の複数の領域をそれぞれ加圧するための複数の加圧室を形成するように構成された複数の弾性膜が設けられる、トップリングを開示する。
【0077】
さらに、本願は、一実施形態として、研磨面を有する研磨パッドが貼付される研磨テーブルと、基板を保持して前記研磨面に押圧するように構成された上記に記載のトップリングと、前記研磨パッド上に研磨液を供給するように構成された研磨液供給ノズルと、を含む、基板処理装置を開示する。
【符号の説明】
【0078】
18,2018 トップリングシャフト(回転シャフト)
31,2031 減圧手段(真空源)
300 研磨ユニット
301,2301 キャリア
302,1302,2302,3302,4302,5302 トップリング
312 気体流路
320 弾性膜
322 加圧空間
330 基板吸着部材
331,2331 気体供給源
332 遮蔽部材
334 多孔質部材
334a 基板吸着面
334b 減圧部
335 補強部材
336 袋部材(エアバッグ)
336-1 内周側壁
336-2 底壁
336-3 外周側壁
336a 孔
336b スリット
338 気体流路
341 規制部材
350 研磨テーブル
352 研磨パッド
352a 表面(研磨面)
354 研磨液供給ノズル
1000 基板処理装置
2305 分配機構
2306 分配部材
2306-1 第1の分配部材
2306-2 第2の分配部材
2306A 第1の流路
2306B 第2の流路
2306a 底壁
2306b 天壁
2306c 側壁
2306d 隔壁
2306d-1,2,3 第1の隔壁
2306d-4,5,6 第2の隔壁
2307 袋部材ホルダ
2307a 連通路
2334 吸着板
2335 袋部材(エアバッグ)
A 第1の複数のグループ
B 第2の複数のグループ
WF 基板
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図10G
図10H
図11A
図11B
図11C
図11D
図11E
図12
図13
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図15