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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024009341
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】半導体部品及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/52 20060101AFI20240112BHJP
【FI】
H01L21/52 C
H01L21/52 E
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023202498
(22)【出願日】2023-11-30
(62)【分割の表示】P 2018187503の分割
【原出願日】2018-10-02
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100160897
【弁理士】
【氏名又は名称】古下 智也
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶子
(72)【発明者】
【氏名】藤田 賢
(72)【発明者】
【氏名】石井 学
(57)【要約】
【課題】接着剤層を介して支持部材上に半導体素子を配置するに際して、半導体素子の側面において接着剤が半導体素子の上面側に伸びる現象を抑制することが可能な半導体部品の製造方法を提供する。
【解決手段】支持部材11と、支持部材11上に配置された半導体素子13と、支持部材11及び半導体素子13の間に配置された接着剤層15と、を備える半導体部品10の製造方法であって、半導体素子13の側面において接着剤が半導体素子13の上面側に伸びる現象を抑制しつつ接着剤層15を形成する工程を備える、半導体部品10の製造方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材と、当該支持部材上に配置された半導体素子と、前記支持部材及び前記半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備える半導体部品の製造方法であって、
前記半導体素子の側面において接着剤が前記半導体素子の上面側に伸びる現象を抑制しつつ前記接着剤層を形成する工程を備える、半導体部品の製造方法。
【請求項2】
支持部材と、当該支持部材上に配置された半導体素子と、前記支持部材及び前記半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備え、
前記半導体素子の側面において接着剤が前記半導体素子の上面側に伸びる現象が抑制されている、半導体部品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置に用いられる半導体部品は、例えば、接着剤層を介して支持部材上に半導体素子を配置(ダイボンディング)することにより製造されている。接着剤層を形成するための接着剤としては、金-シリコン共晶、半田、ペースト状の樹脂組成物等が知られている。これらの中で、作業性及びコストの点からペースト状の樹脂組成物が使用される場合がある。ペースト状の樹脂組成物を用いた半導体部品の製造方法に対しては、樹脂組成物中にボイドが発生することを抑制すること等が求められており、各種製造方法が検討されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-114301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ペースト状の樹脂組成物に対しては、ペースト状であることに起因して生じやすい不具合を抑制することが求められている。
【0005】
本発明は、接着剤層を介して支持部材上に半導体素子を配置するに際して、半導体素子の側面において接着剤が半導体素子の上面側に伸びる現象を抑制することが可能な半導体部品の製造方法、及び、当該製造方法により得られる半導体部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施形態に係る半導体部品の製造方法は、支持部材と、当該支持部材上に配置された半導体素子と、前記支持部材及び前記半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備える半導体部品の製造方法であって、前記半導体素子の側面において接着剤が前記半導体素子の上面側に伸びる現象を抑制しつつ前記接着剤層を形成する工程を備える。本発明の第2実施形態に係る半導体部品は、支持部材と、当該支持部材上に配置された半導体素子と、前記支持部材及び前記半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備え、前記半導体素子の側面において接着剤が前記半導体素子の上面側に伸びる現象が抑制されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、接着剤層を介して支持部材上に半導体素子を配置するに際して、半導体素子の側面において接着剤が半導体素子の上面側に伸びる現象を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、半導体部品の一例を示す模式断面図である。
図2図2は、半導体部品の他の例を示す模式断面図である。
図3図3は、這い上がり現象の観察結果を示す図面である。
図4図4は、這い上がり現象の観察結果を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値と任意に組み合わせることができる。本明細書に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。本明細書に例示する材料は、特に断らない限り、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。本明細書において、組成物中の各成分の使用量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。本明細書において「層」との語は、平面図として観察したときに、全面に形成されている形状の構造に加え、一部に形成されている形状の構造も包含される。本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。「(メタ)アクリル」とは、アクリル、及び、それに対応するメタクリルの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。
【0010】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。但し、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0011】
<半導体部品>
本実施形態に係る半導体部品は、支持部材と、当該支持部材上に配置された半導体素子と、支持部材及び半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備える。本実施形態に係る半導体部品では、半導体素子の側面において接着剤(接着剤層を形成するための接着剤)が半導体素子の上面側に伸びる現象(場合により、半導体素子の上面に樹脂組成物が達する現象。以下、「這い上がり現象(Creeping)」という)が抑制されている。本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、這い上がり現象を抑制しつつ接着剤層を形成する工程を備える。接着剤層は、硬化性の接着剤(樹脂組成物等)又はその硬化物を含む。半導体素子は、接着剤層を介して支持部材上に搭載されている。接着剤層は、支持部材及び半導体素子に接している。本実施形態に係る半導体装置は、本実施形態に係る半導体部品を備える。
【0012】
支持部材(半導体素子搭載用支持部材)としては、42アロイリードフレーム、銅リードフレーム、パラジウムPPFリードフレーム等のリードフレーム;ガラスエポキシ基板(ガラス繊維強化エポキシ樹脂からなる基板)、BT基板(シアネートモノマー及びそのオリゴマーとビスマレイミドからなるBTレジン使用基板)等の有機基板などが挙げられる。半導体素子としては、IC、LSI、LEDチップ等が挙げられる。半導体素子の厚さは、600μm以下であってよく、500μm以下であってよく、400μm以下であってよい。
【0013】
本実施形態に係る半導体部品は、半導体素子の一部又は全部を封止する封止部を備えていてよい。封止部の構成材料としては、透光性樹脂を用いることができる。封止部は、支持部材の一部又は全部を封止していてもよい。
【0014】
本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤を支持部材と半導体素子との間に配置して接着剤層を形成する接着剤層形成工程を備える。本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤層形成工程の後に、接着剤層を硬化(熱硬化等)して硬化物を得る工程を備えてよい。本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤層形成工程の後に、半導体素子をワイヤボンディングするワイヤボンド工程を備えていてよい。本実施形態に係る半導体部品の製造方法は、接着剤層形成工程の後に、半導体素子を封止する工程を備えていてよい。
【0015】
接着剤を用いて半導体素子を支持部材に接着させるには、例えば、まず、支持部材上に接着剤をディスペンス法、スクリーン印刷法、スタンピング法等により塗布した後、半導体素子を圧着し、その後、加熱装置(オーブン、ヒートブロック等)を用いて接着剤を加熱硬化することにより行うことができる。さらに、ワイヤボンド工程を経た後、通常の方法により半導体素子を封止することができる。
【0016】
接着剤の加熱硬化条件は、高温での速硬化の場合と、低温での長時間硬化の場合とで異なる。例えば、高温での速硬化の場合、接着剤の加熱硬化は、150~220℃(好ましくは180~200℃)で30秒~2時間(好ましくは1時間~1時間30分)で行うことができる。
【0017】
図1は、本実施形態に係る半導体部品の一例を示す模式断面図である。図1に示すように、半導体部品10は、支持部材11、半導体素子13、接着剤層15、及び、封止部17を備える。接着剤層15は、支持部材11と半導体素子13との間に配置されており、本実施形態に係る接着剤又はその硬化物を含む。封止部17は、支持部材11、半導体素子13及び接着剤層15を封止している。半導体素子13は、ワイヤ19aを介してリードフレーム19bに接続されている。
【0018】
図2は、本実施形態に係る半導体部品の他の例を示す模式断面図である。図2に示すように、半導体部品20は、支持部材21、半導体素子(LEDチップ)23、接着剤層25、及び、封止部27を備える。支持部材21は、基板21aと、基板21aを囲むように形成されたリードフレーム21bと、を有している。接着剤層25は、支持部材21と半導体素子23との間に配置されており、本実施形態に係る接着剤又はその硬化物を含む。封止部27は、半導体素子23及び接着剤層25を封止している。半導体素子23は、ワイヤ29を介してリードフレーム21bに接続されている。
【0019】
以下、接着剤層を形成するために使用可能な接着剤である樹脂組成物の一例について説明する。
【0020】
<樹脂組成物及び硬化物>
本実施形態に係る樹脂組成物は、半導体素子を支持部材に接着させるための樹脂組成物として用いることができる。本実施形態に係る樹脂組成物は、例えば硬化性(例えば熱硬化性)の組成物である。本実施形態に係る樹脂組成物は、ペースト状の樹脂組成物として用いることができる。本実施形態に係る硬化物は、本実施形態に係る樹脂組成物の硬化物である。
【0021】
本実施形態に係る樹脂組成物は、脂肪酸、及び、ポリオキシアルキレン基を有する高分子化合物(以下、場合により「ポリオキシアルキレン化合物」という。脂肪酸に該当する化合物を除く)からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することができる。脂肪酸、及び、ポリオキシアルキレン化合物は、分散剤として用いることができる。
【0022】
本実施形態によれば、支持部材と、当該支持部材上に配置された半導体素子と、支持部材及び半導体素子の間に配置された接着剤層と、を備え、接着剤層が、脂肪酸及びポリオキシアルキレン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する樹脂組成物又はその硬化物を含む、半導体部品を提供することができる。また、本実施形態によれば、脂肪酸及びポリオキシアルキレン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有する樹脂組成物を支持部材と半導体素子との間に配置して接着剤層を形成する工程を備える、半導体部品の製造方法を提供することができる。
【0023】
ところで、半導体部品の高機能化、小型化、軽量化及び薄型化に伴い半導体素子の薄型化が進んでおり、樹脂組成物を用いて支持部材と半導体素子(例えば、厚さ400μm以下の半導体素子)との間に接着剤層を形成した後にワイヤボンディングにより半導体素子のパッド部分を外部と電気的に接続する際に不具合が生じている。本発明者の知見によれば、毛細管現象等に起因して生じる這い上がり現象が上記不具合の要因であると推測される。これに対し、樹脂組成物が、脂肪酸、及び、ポリオキシアルキレン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含有することにより、這い上がり現象を抑制しやすい。金属粒子及び樹脂成分に対する脂肪酸及びポリオキシアルキレン化合物の親和性が高いため、脂肪酸又はポリオキシアルキレン化合物を用いることによって金属粒子の樹脂成分への分散性が向上すること等により、這い上がり現象を抑制できると推察される。
【0024】
脂肪酸としては、飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸の少なくとも一方を用いることができる。脂肪酸の炭素数は、這い上がり現象を抑制しやすい観点から、6以上が好ましく、9以上がより好ましく、12以上が更に好ましい。脂肪酸の炭素数は、15以上であってよく、18以上であってよい。脂肪酸の炭素数は、這い上がり現象を抑制しやすい観点から、24以下が好ましく、21以下がより好ましく、18以下が更に好ましい。脂肪酸の炭素数は、15以下であってよく、12以下であってよい。脂肪酸は、這い上がり現象を抑制しやすい観点から、オレイン酸、ステアリン酸及びラウリン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0025】
ポリオキシアルキレン化合物は、高分子アミン化合物であってよい。ポリオキシアルキレン化合物としては、日油株式会社製の商品名「エスリーム AD-374M」を用いることができる。
【0026】
脂肪酸及び/又はポリオキシアルキレン化合物の含有量は、樹脂組成物の総量(固形分の総量。以下同様)を基準として下記の範囲が好ましい。脂肪酸及び/又はポリオキシアルキレン化合物の含有量は、這い上がり現象を抑制しやすい観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.7質量%以上が特に好ましく、0.9質量%以上が極めて好ましい。脂肪酸及び/又はポリオキシアルキレン化合物の含有量は、樹脂組成物の硬化性を充分に確保しやすい観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以下が特に好ましく、1.1質量%以下が極めて好ましく、1質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、脂肪酸及び/又はポリオキシアルキレン化合物の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。
【0027】
本実施形態に係る樹脂組成物は、金属粒子(金属を含む粒子。例えば金属粉)、及び/又は、熱硬化性成分を含有することができる。
【0028】
金属粒子は、アルミニウムを含む第1の粒子(以下、場合により「アルミニウム粒子」という。例えばアルミニウム粉)を含んでよい。アルミニウム粒子は、安価であると共に電気伝導性、熱伝導性等に優れる。アルミニウム粒子を用いることにより、銀粒子を用いることなく、又は、銀粒子の使用量を低減しつつ、樹脂組成物の電気伝導性及び熱伝導性を高くすることができる。アルミニウム粒子の形状としては、鱗片状、球状、塊状、樹枝状、板状等が挙げられる。
【0029】
少なくとも一つのアルミニウム粒子におけるアルミニウムの含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。少なくとも一つのアルミニウム粒子は、実質的にアルミニウムからなる(実質的に粒子の100質量%がアルミニウムである)態様であってよい。
【0030】
金属粒子は、アルミニウム以外の金属を含む第2の粒子(アルミニウムを含む粒子を除く)を含んでよい。第2の粒子の形状としては、鱗片状、球状、塊状、樹枝状、板状等が挙げられるが、第2の粒子同士が接触しやすいことから優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、鱗片状が好ましい。
【0031】
第2の粒子におけるアルミニウム以外の金属としては、銀、金、銅、ニッケル、鉄、ステンレス等が挙げられる。第2の粒子は、優れた電気伝導性、熱伝導性、耐酸化性及び分散性を得やすい観点から、銀を含む粒子(以下、場合により「銀粒子」という。例えば銀粉)を含むことが好ましい。
【0032】
少なくとも一つの銀粒子における銀の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、98質量%以上が特に好ましく、99質量%以上が極めて好ましい。少なくとも一つの銀粒子は、実質的に銀からなる(実質的に粒子の100質量%が銀である)態様であってよい。
【0033】
アルミニウム粒子の平均粒径は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上が更に好ましい。アルミニウム粒子の平均粒径は、樹脂組成物の優れた濡れ拡がり性が得られる観点、及び、樹脂組成物を使用して支持部材の上に半導体素子を実装するときに半導体素子が傾くことを抑制しやすい観点から、6μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、4μm以下が更に好ましい。これらの観点から、アルミニウム粒子の平均粒径は、1~6μmが好ましい。
【0034】
銀粒子の平均粒径は、樹脂組成物中の銀粒子が沈降しづらい観点から、下記の範囲が好ましい。銀粒子の平均粒径は、1μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2μm以上が更に好ましい。銀粒子の平均粒径は、15μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、6μm以下が更に好ましく、5μm以下が特に好ましく、4μm以下が極めて好ましく、3μm以下が非常に好ましい。これらの観点から、銀粒子の平均粒径は、1~15μmが好ましい。
【0035】
金属粒子の平均粒径は、レーザー光回折法を利用した粒度分布測定装置(例えば、マイクロトラック・ベル株式会社製、マイクロトラックX100)を用いてメジアン径として求めることができる。「メジアン径」は、個数基準の粒度分布における累積率が50%である粒子径(D50)の値を示す。
【0036】
アルミニウム粒子の含有量は、金属粒子の総量を基準として下記の範囲が好ましい。アルミニウム粒子の含有量は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましく、35質量%以上が極めて好ましく、40質量%以上が非常に好ましい。アルミニウム粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、100質量%以下であり、100質量%未満が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が特に好ましく、60質量%以下が極めて好ましく、50質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、アルミニウム粒子の含有量は、10~100質量%が好ましい。
【0037】
第2の粒子の含有量は、金属粒子の総量を基準として下記の範囲が好ましい。第2の粒子の含有量は、優れた電気伝導性を得やすい観点から、0質量%を超えることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましく、40質量%以上が極めて好ましく、50質量%以上が非常に好ましい。第2の粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が特に好ましく、65質量%以下が極めて好ましく、60質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、第2の粒子の含有量は、0質量%を超え90質量%以下が好ましい。
【0038】
銀粒子の含有量は、金属粒子の総量を基準として下記の範囲が好ましい。銀粒子の含有量は、優れた電気伝導性を得やすい観点から、0質量%を超えることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましく、40質量%以上が極めて好ましく、50質量%以上が非常に好ましい。銀粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましく、70質量%以下が特に好ましく、65質量%以下が極めて好ましく、60質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、銀粒子の含有量は、0質量%を超え90質量%以下が好ましい。
【0039】
アルミニウム粒子の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。アルミニウム粒子の含有量は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、15質量%以上が特に好ましく、20質量%以上が極めて好ましく、25質量%以上が非常に好ましい。アルミニウム粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、42質量%以下が特に好ましく、40質量%以下が極めて好ましく、35質量%以下が非常に好ましく、30質量%以下がより一層好ましい。これらの観点から、アルミニウム粒子の含有量は、1~70質量%が好ましい。
【0040】
第2の粒子の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。第2の粒子の含有量は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましく、30質量%以上が極めて好ましく、35質量%以上が非常に好ましい。第2の粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましく、45質量%以下が極めて好ましく、40質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、第2の粒子の含有量は、1~70質量%が好ましい。
【0041】
銀粒子の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。銀粒子の含有量は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、20質量%以上が特に好ましく、30質量%以上が極めて好ましく、35質量%以上が非常に好ましい。銀粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましく、45質量%以下が極めて好ましく、40質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、銀粒子の含有量は、1~70質量%が好ましい。
【0042】
第2の粒子の含有量に対するアルミニウム粒子の含有量の質量比(アルミニウム粒子の含有量/第2の粒子の含有量)は、下記の範囲が好ましい。前記質量比は、優れた作業性を得やすい観点から、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.5を超えることが更に好ましく、0.6以上が特に好ましく、0.7以上が極めて好ましく、0.75以上が非常に好ましい。前記質量比は、優れた作業性を得やすい観点から、2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、2以下が更に好ましく、1.5以下が特に好ましく、1以下が極めて好ましく、1未満が非常に好ましく、0.95以下がより一層好ましく、0.9以下が更に好ましく、0.85以下が特に好ましく、0.8以下が極めて好ましい。これらの観点から、前記質量比は、0.3~2.5が好ましく、0.3~2.3がより好ましい。
【0043】
銀粒子の含有量に対するアルミニウム粒子の含有量の質量比(アルミニウム粒子の含有量/銀粒子の含有量)は、下記の範囲が好ましい。前記質量比は、優れた作業性を得やすい観点から、0.3以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.5を超えることが更に好ましく、0.6以上が特に好ましく、0.7以上が極めて好ましく、0.75以上が非常に好ましい。前記質量比は、優れた作業性を得やすい観点から、2.5以下が好ましく、2.3以下がより好ましく、2以下が更に好ましく、1.5以下が特に好ましく、1以下が極めて好ましく、1未満が非常に好ましく、0.95以下がより一層好ましく、0.9以下が更に好ましく、0.85以下が特に好ましく、0.8以下が極めて好ましい。これらの観点から、前記質量比は、0.3~2.5が好ましく、0.3~2.3がより好ましい。
【0044】
金属粒子の含有量(アルミニウム粒子及び第2の粒子の総量)は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。金属粒子の含有量は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、2質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、40質量%以上が特に好ましく、50質量%以上が極めて好ましく、60質量%以上が非常に好ましく、65質量%以上がより一層好ましい。金属粒子の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点、及び、粘度を低減させやすい観点から、100質量%未満が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましく、80質量%以下が特に好ましく、75質量%以下が極めて好ましく、70質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、金属粒子の含有量は、2質量%以上100質量%未満が好ましい。
【0045】
熱硬化性成分としては、(メタ)アクリロイル基を有する化合物(以下、場合により「(メタ)アクリル化合物」という)、熱硬化性樹脂((メタ)アクリル化合物に該当する化合物を除く)、重合開始剤、硬化促進剤等が挙げられる。
【0046】
熱硬化性成分は、樹脂組成物の流動時に金属粒子と他の成分(樹脂成分等)とが分離することを抑制しやすい観点から、(メタ)アクリル化合物を含むことが好ましい。(メタ)アクリル化合物は、金属粒子と他の成分(樹脂成分等)とが分離することを更に抑制しやすい観点から、1個以上の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。(メタ)アクリル酸エステルは、金属粒子と他の成分(樹脂成分等)とが分離することを更に抑制しやすい観点から、下記一般式(C1)で表される化合物、下記一般式(C2)で表される化合物、下記一般式(C3)で表される化合物、下記一般式(C4)で表される化合物、下記一般式(C5)で表される化合物、下記一般式(C6)で表される化合物、下記一般式(C7)で表される化合物、下記一般式(C8)で表される化合物、下記一般式(C9)で表される化合物、及び、下記一般式(C10)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。
【0047】
【化1】

[式中、R1aは水素原子又はメチル基を表し、R1bは炭素数1~100(好ましくは、炭素数1~36の2価の脂肪族基、又は、環状構造を有する炭化水素基)を表す。]
【0048】
【化2】

[式中、R2aは水素原子又はメチル基を表し、R2bは炭素数1~100(好ましくは、炭素数1~36の2価の脂肪族基、又は、環状構造を有する炭化水素基)を表す。]
【0049】
【化3】

[式中、R3aは水素原子又はメチル基を表し、R3bは水素原子、メチル基又はフェノキシメチル基を表し、R3cは水素原子、炭素数1~6のアルキル基、フェニル基又はベンゾイル基を表し、n3は1~50の整数を表す。]
【0050】
【化4】

[式中、R4aは、水素原子又はメチル基を表し、R4bは、フェニル基、シアノ基、-Si(OR4c(R4cは炭素数1~6のアルキル基を表す)、又は、下記式で表される1価の基を表し、n4は0~3の整数を表す。]
【0051】
【化5】

[式中、R4d、R4e及びR4fは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、R4gは、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は、フェニル基を表す。]
【0052】
【化6】

[式中、R5a及びR5bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R5cは、炭素数1~100(好ましくは、炭素数1~36の2価の脂肪族基、又は、環状構造を有する炭化水素基)を表す。]
【0053】
【化7】

[式中、R6a及びR6bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、R6cは、水素原子、メチル基又はフェノキシメチル基を表し、n6は1~50の整数を表す。但し、R6cが水素原子又はメチル基であるとき、n6は1ではない。]
【0054】
【化8】

[式中、R7a、R7b、R7c及びR7dは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表す。]
【0055】
【化9】

[式中、R8a、R8b、R8c、R8d、R8e及びR8fは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、n81及びn82は、それぞれ独立に1~20の整数を表す。]
【0056】
【化10】

[式中、R9a、R9b、R9c、R9d、R9e及びR9fは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、n9は1~20の整数を表す。]
【0057】
【化11】

[式中、R10a及びR10bは、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を表し、r、s、t及びuは、それぞれ独立に、繰り返し数の平均値を示す0以上の数であり、r+tは0.1以上(好ましくは0.3~5)であり、s+uは1以上(好ましくは1~100)である。]
【0058】
式(C1)で表される化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル(メタ)アクリレート、2-(トリシクロ)[5.2.1.02,6]デカ-3-エン-8又は9-イルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(C1)で表される化合物としては、エチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0059】
式(C2)で表される化合物としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ダイマージオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0060】
式(C3)で表される化合物としては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(C3)で表される化合物としては、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0061】
式(C4)で表される化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロピラニル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルホスフェート、(メタ)アクリロキシエチルフェニルアシッドホスフェート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(C4)で表される化合物としては、金属粒子と他の成分(樹脂成分等)とが分離することを更に抑制しやすい観点から、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0062】
式(C5)で表される化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ダイマージオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(C5)で表される化合物としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0063】
式(C6)で表される化合物としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。式(C6)で表される化合物としては、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0064】
式(C7)で表される化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールAD1モルと、グリシジル(メタ)アクリレート2モルと、を反応させたジ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0065】
式(C8)で表される化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF又はビスフェノールADのポリエチレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。ビスフェノールAとしては、エトキシ化ビスフェノールA(例えばEO変性ビスフェノールAジアクリレート)、水素化ビスフェノールA、ハロゲン化ビスフェノールA等が挙げられる。
【0066】
式(C9)で表される化合物としては、ビス((メタ)アクリロキシプロピル)ポリジメチルシロキサン、ビス((メタ)アクリロキシプロピル)メチルシロキサン-ジメチルシロキサンコポリマー等が挙げられる。
【0067】
式(C10)で表される化合物としては、無水マレイン酸を付加させたポリブタジエンと、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと、を反応させて得られる反応物及びその水素添加物等が挙げられる。式(C10)で表される化合物としては、MM-1000-80、MAC-1000-80(共に、JX日鉱日石エネルギー株式会社、商品名)等が挙げられる。
【0068】
(メタ)アクリル化合物の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。(メタ)アクリル化合物の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、10質量%以上が特に好ましく、15質量%以上が極めて好ましく、20質量%以上が非常に好ましい。(メタ)アクリル化合物の含有量は、優れた電気伝導性及び熱伝導性を得やすい観点から、50質量%以下が好ましく、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましく、35質量%以下が特に好ましく、30質量%以下が極めて好ましく、25質量%以下が非常に好ましい。これらの観点から、(メタ)アクリル化合物の含有量は、1~50質量%が好ましい。
【0069】
熱硬化性樹脂は、バインダー樹脂として用いることができる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。熱硬化性成分は、優れた接着強度が得られやすい観点、及び、金属粒子と他の成分(樹脂成分等)とが分離することを更に抑制しやすい観点から、エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
【0070】
エポキシ樹脂は、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。このようなエポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、AER-X8501(旭化成株式会社、商品名)、R-301(三菱化学株式会社、商品名)、YL-980(三菱化学株式会社、商品名))、ビスフェノールF型エポキシ樹脂(例えば、YDF-170(東都化成株式会社、商品名))、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂(例えば、R-1710(三井化学株式会社、商品名))、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、N-730S(DIC株式会社、商品名)、Quatrex-2010(ダウ・ケミカル社、商品名))、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、N-665-EXP(DIC株式会社、商品名)、YDCN-702S(東都化成株式会社、商品名)、EOCN-100(日本化薬株式会社、商品名))、多官能エポキシ樹脂(例えば、EPPN-501(日本化薬株式会社、商品名)、TACTIX-742(ダウ・ケミカル社、商品名)、VG-3010(三井化学株式会社、商品名)、1032S(三菱化学株式会社、商品名))、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂(例えば、HP-4032(DIC株式会社、商品名))、脂環式エポキシ樹脂(例えば、CELー3000(株式会社ダイセル、商品名))、エポキシ化ポリブタジエン(例えば、PB-3600(株式会社ダイセル、商品名)、E-1000-6.5(JX日鉱日石エネルギー株式会社、商品名))、アミン型エポキシ樹脂(例えば、ELM-100(住友化学株式会社、商品名)、YH-434L(東都化成株式会社、商品名))、レゾルシン型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX-201(ナガセケムテックス株式会社、商品名))、ネオペンチルグリコール型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX-211(ナガセケムテックス株式会社、商品名))、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX-212(ナガセケムテックス株式会社、商品名))、エチレン・プロピレングリコール型エポキシ樹脂(例えば、デナコールEX-810、811、850、851、821、830、832、841、861(ナガセケムテックス株式会社、商品名))、下記一般式(C11)で表されるエポキシ樹脂(例えば、E-XL-24、E-XL-3L(三井化学株式会社、商品名))等が挙げられる。
【0071】
【化12】

[式中、n11は0~5の整数を表す。]
【0072】
エポキシ樹脂は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及び、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種を含むことが好ましい。この場合、優れた電気伝導性、接着強度、熱伝導性、塗布作業性及び機械特性が得られやすい。
【0073】
エポキシ樹脂は、1分子中に1個のエポキシ基を有する化合物である単官能エポキシ化合物(反応性希釈剤)を含んでもよい。このような単官能エポキシ化合物としては、フェニルグリシジルエーテル(例えば、PGE(日本化薬株式会社、商品名))、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル(例えば、PP-101(東都化成株式会社、商品名))、脂肪族モノグリシジルエーテル(例えば、ED-502(株式会社ADEKA、商品名))、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル(例えば、ED-509(株式会社ADEKA、商品名))、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル(例えば、YED-122(三菱化学株式会社、商品名))等が挙げられる。
【0074】
熱硬化性樹脂の数平均分子量は、160~3000が好ましい。熱硬化性樹脂の数平均分子量が160以上であると、優れた接着強度が得られやすい。熱硬化性樹脂の数平均分子量が3000以下であると、樹脂組成物の粘度が上昇しすぎることなく良好な作業性が得られやすい。数平均分子量は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定し、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算して得ることができる。
[GPC条件]
ポンプ:日立 L-6000型(株式会社日立製作所製)
検出器:日立 L-3300 RI(株式会社日立製作所製)
カラム:Gelpack GL-R420+Gelpack GL-R430+Gelpack GL-R430(計3本)(日立化成株式会社製、商品名)
溶離液:THF
試料濃度:250mg/5mL
注入量:50μL
圧力:441Pa(45kgf/cm
流量:1.75mL/分
【0075】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、80~1000が好ましく、100~500がより好ましい。エポキシ樹脂のエポキシ当量が80以上であると、優れた接着強度が得られやすい。エポキシ樹脂のエポキシ当量が1000以下であると、樹脂組成物の硬化時に未反応硬化物が残留することを抑制しやすいことから、硬化後の熱履歴で生じる樹脂組成物の硬化物のアウトガスの発生を抑制しやすい。
【0076】
熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。熱硬化性樹脂の含有量は、優れた接着強度が得られやすい観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましく、1質量%以上が特に好ましい。熱硬化性樹脂の含有量は、樹脂組成物の粘度が上昇しすぎることが抑制されて良好な作業性が得られやすい観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、熱硬化性樹脂の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。
【0077】
重合開始剤は、樹脂組成物の硬化を促進するために用いることができる。重合開始剤は、ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
【0078】
ラジカル重合開始剤は、樹脂組成物の硬化時のボイドの生成を抑えやすい観点から、過酸化物系ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。過酸化物系ラジカル重合開始剤としては、1,1,3,3-テトラメチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0079】
重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。重合開始剤の含有量は、樹脂組成物の硬化性を充分に確保しやすい観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.7質量%以上が特に好ましく、0.9質量%以上が極めて好ましい。重合開始剤の含有量は、優れた接着強度を得やすい観点から、5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1.5質量%以下が特に好ましく、1質量%以下が極めて好ましい。これらの観点から、重合開始剤の含有量は、0.1~5質量%が好ましい。
【0080】
硬化促進剤としては、アミン化合物(ポリオキシアルキレン化合物を除く)等が挙げられる。熱硬化性成分は、樹脂組成物の硬化性を充分に確保しやすい観点から、アミン化合物を含むことが好ましい。アミン化合物としては、ジシアンジアミド、下記一般式(C12)で表される二塩基酸ジヒドラジド(例えば、ADH、PDH、及び、SDH(いずれも株式会社日本ファインケム、商品名))、ポリアミン、イミダゾール化合物、エポキシ樹脂とアミン化合物との反応物からなるマイクロカプセル型硬化剤(例えば、ノバキュア(旭化成株式会社、商品名))、ジアミノジフェニルメタン、m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォン、尿素、尿素誘導体、メラミン等が挙げられる。イミダゾール化合物としては、2-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等が挙げられる。
【0081】
【化13】

[式中、R12aは、m-フェニレン基、p-フェニレン基等の2価の芳香族基、炭素数2~12の直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を表す。]
【0082】
硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の硬化性を充分に確保しやすい観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.15質量%以上がより好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、0.25質量%以上が特に好ましい。硬化促進剤の含有量は、樹脂組成物の安定性を充分に確保しやすい観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.4質量%以下が更に好ましく、0.3質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、硬化促進剤の含有量は、0.1~1質量%が好ましい。
【0083】
本実施形態に係る樹脂組成物は、可とう化剤(熱硬化性成分に該当する化合物を除く)を含有することができる。この場合、樹脂組成物の硬化物に可とう性を付与することができる。可とう化剤としては、ゴム系化合物、熱可塑性樹脂(ゴム系化合物を除く)等が挙げられる。
【0084】
ゴム系化合物は、ブタジエンの骨格を有するブタジエン系ゴムを含むことが好ましい。ブタジエン系ゴムとしては、エポキシ化ポリブタジエンゴム、マレイン化ポリブタジエン、アクリロニトリルブタジエンゴム、カルボキシ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、アミノ末端アクリロニトリルブタジエンゴム、ビニル末端アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム等の液状ゴムなどが挙げられる。
【0085】
ゴム系化合物の数平均分子量は、500~10000が好ましく、1000~5000がより好ましい。ゴム系化合物の数平均分子量が500以上であると、樹脂組成物の硬化物に良好な可とう性を付与しやすい。ゴム系化合物の数平均分子量が10000以下であると、樹脂組成物の粘度が上昇しづらく、樹脂組成物の良好な作業性が得られやすい。ゴム系化合物の数平均分子量は、熱硬化性樹脂の数平均分子量と同様の方法により測定できる。
【0086】
可とう化剤の含有量は、樹脂組成物の総量を基準として下記の範囲が好ましい。可とう化剤の含有量は、硬化物の反りを低減しやすい観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、2.5質量%以上が更に好ましく、3質量%以上が特に好ましい。可とう化剤の含有量は、樹脂組成物の粘度が上昇しすぎることが抑制されて良好な作業性が得られやすい観点から、10質量%以下が好ましく、9質量%以下がより好ましく、6質量%以下が更に好ましく、4質量%以下が特に好ましい。これらの観点から、可とう化剤の含有量は、1~10質量%が好ましい。
【0087】
本実施形態に係る樹脂組成物は、上述した成分とは異なる他の添加剤を含有することができる。添加剤としては、アルコキシシラン(シランカップリング剤等)、カップリング剤(チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤等。アルコキシシランに該当するカップリング剤を除く)、吸湿剤(酸化カルシウム、酸化マグネシウム等)、濡れ性向上剤(フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、高級脂肪酸等)、消泡剤(シリコーン油等)、イオントラップ剤(無機イオン交換体等)などが挙げられる。
【実施例0088】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明の内容を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0089】
<樹脂組成物の構成成分>
(脂肪酸)
オレイン酸、ステアリン酸及びラウリン酸を用いた。
【0090】
(ポリオキシアルキレン化合物)
エスリームAD-374M(ポリアルキレングリコール誘導体、分散剤、日油株式会社製、商品名)
【0091】
(アルミニウム粒子)
12-0086(東洋アルミニウム株式会社製、商品名、平均粒径:3.5~4.2μm)
【0092】
(銀粒子)
TC-204B(株式会社徳力化学研究所製、商品名、平均粒径:2.0~4.0μm)
【0093】
((メタ)アクリル化合物)
FA-512AS(ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、日立化成株式会社製、商品名、下記式(C4-1)で表される化合物)
SR-349(EO変性ビスフェノールAジアクリレート、サートマー社製、商品名、下記式(C8-1)で表される化合物)
【化14】
【0094】
(熱硬化性樹脂)
N-665-EXP(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、DIC株式会社製、商品名、エポキシ当量:198~208)
【0095】
(重合開始剤)
トリゴノックス22-70E(1,1-ビス(tert-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、化薬アクゾ株式会社製、商品名)
【0096】
(硬化促進剤)
Dicy(ジシアンジアミド、三菱化学株式会社製、商品名)
【0097】
(可とう化剤)
エポリードPB-4700(エポキシ化ポリブタジエン、株式会社ダイセル製、商品名、エポキシ当量:152.4~177.8、数平均分子量:3500)
【0098】
(カップリング剤)
KBM-403(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製、商品名)
【0099】
<樹脂組成物の調製>
表1の各成分(配合量の単位:質量部)を混合した後、プラネタリーミキサー(プライミクス株式会社製、型番:T.K. HIVIS MIX 2P-06)を用いて混練した。次に、666.61Pa(5Torr)以下で10分間脱泡処理を行うことにより樹脂組成物を得た。
【0100】
<評価>
樹脂組成物を銀スポットめっき付き銅リードフレーム上に約6mg塗布して接着剤層を形成した後、7mm×7mmのシリコンチップ(厚さ:400μm)を接着剤層上に圧着(ダイボンディング)した。次に、オーブンで180℃まで30分で昇温した後、180℃で1時間加熱することにより樹脂組成物を硬化させて硬化物を得た。そして、シリコンチップの側面において樹脂組成物がシリコンチップの上面側に伸びる現象(這い上がり現象)の有無を目視で確認した。結果を表1に示す。図3及び図4は、シリコンチップの側面を示す写真である(図3(a):実施例1、図3(b):実施例2、図4(a):実施例3、図4(b):実施例4、図4(c):比較例1。実施例5の写真の掲載は省略する)。
【0101】
【表1】
【符号の説明】
【0102】
10,20…半導体部品、11,21…支持部材、13,23…半導体素子、15,25…接着剤層、17,27…封止部、19a,29…ワイヤ、19b,21b…リードフレーム、21a…基板。

図1
図2
図3
図4